JP2003167121A - ポリカーボネート系位相差フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート系位相差フィルムおよびその製造方法

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JP2003167121A
JP2003167121A JP2001365706A JP2001365706A JP2003167121A JP 2003167121 A JP2003167121 A JP 2003167121A JP 2001365706 A JP2001365706 A JP 2001365706A JP 2001365706 A JP2001365706 A JP 2001365706A JP 2003167121 A JP2003167121 A JP 2003167121A
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Tsukasa Yamada
司 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱温度が高く、温度および湿度による寸
法、光学特性変化の小さい位相差フィルムおよびその製
造方法を提供する。 【解決手段】 波長550nmで測定した面内レターデ
ーション値が40〜350nmであり、且つ100℃の
条件下における長さ方向の熱寸法変化率が0.001%
〜0.04%であることを特徴とするポリカーボネート
系位相差フィルムである。また、波長550nmで測定
した面内レターデーション値が40〜350nmである
ポリカーボネート系位相差フィルムの製造方法におい
て、ポリカーボネート系樹脂の溶液を流延製膜して膜を
作製する製膜工程と、作製された膜を少なくとも一方向
に延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、前記延伸フ
ィルムを低張力条件下で熱処理する熱処理工程とを含む
ことを特徴とするポリカーボネート系位相差フィルムの
製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
系位相差フィルムおよびその製造方法の技術分野に属
し、より詳細には、寸法安定性、光学特性および光学均
一性に優れたポリカーボネート系位相差フィルムおよび
その製造方法に関するものである。さらには表示品位に
優れた液晶表示パネルを実現する液晶表示パネル用材料
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】λ/4およびλ/2板は、反射防止膜や
液晶表示装置に関連する多くの用途を有しており、既に
実際に多面的に使用されている。しかしながら、従来、
液晶表示装置に用いられているλ/4板およびλ/2板
は、λ/4板およびλ/2板と各々称されているもの
の、ある特定波長でのみλ/4およびλ/2特性を達成
しているものが大部分であり、広帯域においてはその効
果は十分ではない。また、液晶表示装置に用いる都合
上、透明性および軽量化等の理由より、厚み等の制約も
加わることになるが、十分薄層化が達成されているとは
いえない状況にあった。
【0003】特開平5−27118号および同5−27
119号の各公報には、面内レターデーションが大きい
複屈折性フィルムと、面内レターデーションが小さい複
屈折率フィルムとを、それらの光軸が直交するように積
層させた位相差板が開示されている。二枚のフィルムの
面内レターデーションの差が可視光域の全体にわたりλ
/4であれば、位相差板は理論的には、可視光域の全体
にわたりλ/4して機能する。特開平10−68816
号公報には、特定波長においてλ/2となっているポリ
マーフィルムと、それと同一材料からなり同じ波長にお
いてλ/4となっているポリマーフィルムとを積層させ
て、広い波長領域でλ/4が得られる位相差板が開示さ
れている。特開平10−90521号公報にも、二枚の
ポリマーフィルムを積層することにより広い波長領域で
λ/4を達成できる位相差板が開示されている。この様
に、種々のポリマーフィルムからなる位相差板が提案さ
れているが、基本的に、ポリカーボネートのような合成
ポリマーの延伸フィルムを2枚積層した構成であるの
で、薄層化には限界があり、装置の薄型化に充分対応す
ることができない。特開平2000−137116号公
報には、一枚のポリマーフィルムからなる広帯域λ/4
板が開示されているが、このλ/4板についても、フィ
ルムの厚みが厚いという問題があった。
【0004】また一方で、近年、液晶ディスプレイにつ
いてもより高精細化が求められている。かかる状況の下
では、位相差板の寸法および光学特性がわずかに変化す
ることによって生じる位相差のずれも、液晶ディスプレ
イの表示品位を低下させることになる。従って、近年で
は、位相差フィルムについて、寸法安定性および光学特
性安定性の向上に対する要求が高まっている。また、液
晶ディスプレイの加工温度等の観点から、位相差板につ
いては耐熱性も要求されるようになってきた。そのため
位相差フィルムとしては、優れた光学的等方性および高
いガラス転移温度(Tg)を有するものが要求されるよ
うになっている。
【0005】ポリカーボネートは位相差フィルムとして
汎用されているが、同時に上記のような問題も有してお
り、その改良が必要であった。実際に改良の手段とし
て、各種の共重合ポリカーボネートが検討されている。
例えば、フルオレン基を共重合したポリカーボネートが
耐熱性が改善された材料として知られていて(米国特許
第3,546,165号明細書)、また、フルオレン基
を共重合したポリカーボネートの光学用フィルムへの応
用が知られている(特開平5−155998号公報、特
開平8−134198号公報、特開平8−54615号
公報、特開平8−134198公報)。これらにより、
耐熱性の向上は目覚しいものがあったが、液晶表示装置
の材料として用いられた場合、フィルム作製時のみなら
ず、使用時においても高温になることが多い。フルオレ
ンで耐熱性が改良された上記ポリカーボネートは、使用
中の寸法安定性が悪いために、位相差特性が変化し、そ
の結果、液晶表示装置の表示品位が低下する、あるいは
長期間使用すると他の部材と接着不良を発生するという
恐れがある。
【0006】これらの問題を改善するための方法とし
て、流延製膜法によるポリカーボネート位相差フィルム
の製造方法であって、溶媒を含むポリカーボネートのフ
ィルムを、キャスティング支持体より剥離した後、次の
(1)〜(4)の工程を連続的に経てフィルムを室温に
まで冷却する方法が、特開平9−230316号公報に
開示されている。この方法では、まず、該フィルムを
(1)雰囲気温度が15〜40℃のもとで、フィルムの
搬送方向に張力を1平方cm当たり3〜7kgかけつ
つ、2〜4分間搬送し、次に、(2)ピンテンターにフ
ィルムを送り込み、ポリカーボネートのガラス転移温度
であるTgに対して、雰囲気温度が(Tg−45)〜
(Tg−5)℃のもとで、ピンテンターのレール幅をフ
ィルム幅よりも2.5〜7.5%縮小させた状態で、ピ
ンクリップによリフィルム幅方向の両縁部を把持しなが
ら、フィルム幅方向の断面が懸垂線を描く状態で、2〜
6分間搬送し、次に、(3)ロール懸垂型乾燥機にフィ
ルムを送り込み、雰囲気温度が(Tg−10)〜Tg℃
のもとで、1平方cm当たり0.4〜1.5kgの張力
をかけつつ、30〜90分間搬送し、最後に、(4)フ
ィルムを室温まで冷却する。しかし、この方法では、溶
剤が残留している状態で加熱処理をしているため、この
方法により作製された位相差フィルムは、高温使用時に
おける寸法安定性が不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記諸問題に
鑑みなされたものであって、光学特性および熱安定性に
優れた位相差フィルムおよびその製造方法を提供するこ
とを課題とする。また、光学的に均一性の高い位相差フ
ィルム、特に液晶表示パネル用の位相差フィルムとして
優れた位相差フィルムおよびその製造方法を提供するこ
とを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ポリカーボ
ネート系樹脂について鋭意検討した結果、熱寸法変化率
を低減することによって、光学特性および熱安定性に優
れた位相差フィルムが得られること、および位相差フィ
ルムの熱寸法変化率は、延伸後に、延伸フィルムを低張
力で熱処理することによって効果的に低減できることを
見出し、本発明を完成するに至った。さらに、ポリカー
ボネート系樹脂として、少なくとも一種のフルオレン骨
格からなるビスフェノール誘導体と、少なくとも一種の
非フルオレン骨格からなるビスフェノール誘導体とを共
重合させたポリカーボネート系樹脂を用いた場合に、高
温でも位相差の変化がより少なく、耐久性がより高く、
また、延伸後の面内レターデーションが長波長側ほど大
きい、より広い範囲でλ/4あるいはλ/2機能を実現
できることを見出した。
【0009】即ち、前記課題は、以下の(1)〜(1
7)によって達成された。 (1) 波長550nmで測定した面内レターデーショ
ン値が40〜350nmであり、且つ100℃の条件下
における長さ方向の熱寸法変化率が0.001%〜0.
04%であることを特徴とするポリカーボネート系位相
差フィルム。 (2) 100℃の条件下における幅方向の熱寸法変化
率が0%〜0.04%であることを特徴とする(1)の
ポリカーボネート系位相差フィルム。 (3) 残存溶媒濃度が0.3質量%以下、遅相軸角度
分布が±10°以下、厚みムラが±5%以内、且つヘイ
ズ値が0.6%以下であることを特徴とする(1)また
は(2)のポリカーボネート系位相差フィルム。 (4) 少なくとも一種のフルオレン骨格からなるビス
フェノール誘導体と、少なくとも一種の非フルオレン骨
格からなるビスフェノール誘導体を共重合させたポリカ
ーボネート系樹脂を溶液流延し、少なくとも一方向に延
伸してなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか
に記載のポリカーボネート系位相差フィルム。
【0010】(5) 下記一般式(1)で表されるフル
オレン骨格からなるビスフェノール誘導体の繰り返し単
位と、下記一般式(2)で表される非フルオレン骨格か
らなるビスフェノール誘導体の繰り返し単位とからなる
ことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポ
リカーボネート系位相差フィルム。
【0011】一般式(1)
【化3】
【0012】一般式(1)において、R1〜R8はそれぞ
れ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の
炭化水素基から選ばれるいずれかを表すが、但し、R1
〜R8がすべて水素原子になることはない。
【0013】一般式(2)
【化4】
【0014】一般式(2)において、R11〜R18はそれ
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6
の炭化水素基から選ばれるいずれかを表し、Xは炭素数
1〜15の炭化水素基を表す。
【0015】(6) 前記一般式(1)で表されるフル
オレン骨格からなるビスフェノール誘導体の繰り返し単
位が、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3メチルフェニ
ル)フルオレンより誘導されたものであることを特徴と
する(5)に記載のポリカーボネート系位相差フィル
ム。 (7) 前記一般式(2)で表される非フルオレン骨格
からなるビスフェノール誘導体の繰り返し単位が、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンより誘導
されたものであることを特徴とする(5)または(6)
に記載のポリカーボネート系位相差フィルム。 (8) メチレンクロリド溶液の20℃における極限粘
度が、0.35〜1.0dl/gであるポリカーボネー
ト重合体から構成され、且つフィルムのガラス転移点が
150℃以上であることを特徴とする(1)〜(7)の
いずれかに記載のポリカーボネート系位相差フィルム。 (9) 波長550nmで測定した面内レターデーショ
ン値(Re550)が110〜160nmであることを
特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のポリカー
ボネート系位相差フィルム。
【0016】(10) 波長450nmで測定した面内
レターデーション値(Re450)が100〜125n
m、波長590nmで測定した面内レターデーション値
(Re590)が120〜175nmであり、且つ
{(Re590)−(Re450)}≧2nmの関係を
満足することを特徴とする(9)に記載のポリカーボネ
ート系位相差フィルム。 (11) 波長550nmで測定した面内レターデーシ
ョン値(Re550)が220〜320nmであること
を特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のポリカ
ーボネート系位相差フィルム。 (12) 波長450nmで測定した面内レターデーシ
ョン値(Re450)が200〜250nm、波長59
0nmで測定した面内レターデーション値(Re59
0)が240〜350nmであり、且つ{(Re59
0)−(Re450)}≧4nmの関係を満足すること
を特徴とする(11)に記載のポリカーボネート系位相
差フィルム。
【0017】(13) 波長550nmで測定した面内
レターデーション値が40〜350nmであるポリカー
ボネート系位相差フィルムの製造方法において、ポリカ
ーボネート系樹脂の溶液を流延製膜して膜を作製する製
膜工程と、作製された膜を少なくとも一方向に延伸して
延伸フィルムを得る延伸工程と、前記延伸フィルムを低
張力条件下で熱処理する熱処理工程とを含むことを特徴
とするポリカーボネート系位相差フィルムの製造方法。 (14) 前記ポリカーボネート系樹脂が、少なくとも
一種のフルオレン骨格からなるビスフェノール誘導体
と、少なくとも一種の非フルオレン骨格からなるビスフ
ェノール誘導体を共重合させたポリカーボネート系樹脂
であることを特徴とする(13)に記載のポリカーボネ
ート系位相差フィルムの製造方法。 (15) 前記熱処理工程が、前記延伸フィルムを0.
04kg/cm2〜20kg/cm2の低張力条件で、温
度(Tg−50)℃〜(Tg+80)℃で熱処理する工
程であることを特徴とする(13)または(14)に記
載のポリカーボネート系位相差フィルムの製造方法。 (16)前記熱処理工程が、前記延伸フィルムを0.0
4kg/cm2〜6kg/cm2の張力で搬送しつつ、温
度(Tg−50)℃〜(Tg+80)℃で熱処理する工
程であることを特徴とする(13)〜(15)のいずれ
かに記載のポリカーボネート系位相差フィルムの製造方
法。 (17) 前記熱処理工程が、前記延伸フィルムを0.
04kg/cm2〜20kg/cm2の張力で一旦ロール
状に巻き取った後、温度(Tg−50)℃〜(Tg+8
0)℃でロール形態のまま熱処理する工程であることを
特徴とする(13)〜(15)のいずれかに記載のポリ
カーボネート系位相差フィルムの製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の位相差フィルムは、ポリカーボネート系
樹脂からなる。好ましくは、少なくとも一種のフルオレ
ン骨格からなるビスフェノール誘導体と、少なくとも一
種の非フルオレン骨格からなるビスフェノール誘導体を
共重合させたポリカーボネート系樹脂からなる。ここ
で、「フルオレン骨格からなるビスフェノール誘導体」
とは、2つのフェノールがフルオレン骨格によって連結
された構造を有するビスフェノール誘導体をいう。
【0019】前記ポリカーボネート系樹脂は、下記一般
式(1)で表されるフルオレン骨格からなるビスフェノ
ール誘導体の繰り返し単位と、下記一般式(2)で表さ
れる非フルオレン骨格からなるビスフェノール誘導体の
繰り返し単位とを含む共重合ポリカーボネート系樹脂で
あるのが好ましい。前記ポリカーボネート系樹脂におい
て、下記一般式(1)で表される繰り返し単位は、下記
一般式(1)および(2)で表される各々の繰り返し単
位の合計に対して、5〜70モル%であるのが好まし
く、10〜60モル%であるのがより好ましく、20〜
50モル%であるのがさらに好ましい。但し、モル%が
減少しすぎると耐熱性が不十分となる場合があるため、
20〜50モル%の中でもより高いほうが好ましい。
【0020】一般式(1)
【化5】
【0021】一般式(2)
【化6】
【0022】前記一般式(1)において、R1〜R8はそ
れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜
6の炭化水素基から選ばれるいずれかを表すが、但し、
1〜R8がすべて水素原子になることはない。ハロゲン
原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が例示
できる。炭素数1〜6の炭化水素基としてはメチル基、
エチル基が例示できる。前記一般式(1)で表される繰
り返し単位となるモノマーの具体例としては、9,9−
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレ
ン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ
−3−クロロフェニル)フルオレン等が例示され、中で
も、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)フルオレンが好ましい。
【0023】前記一般式(2)において、R11〜R18
それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1
〜6の炭化水素基から選ばれるいずれかを表し、Xは炭
素数1〜15の炭化水素基を表す。前記一般式(2)で
表される繰り返し単位となるモノマーの具体例として
は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
クロロフェニル)プロパン等が例示され、中でも、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフ
ェノールA)が好ましい。
【0024】前記一般式(1)で表される繰り返し単位
を2種類以上組み合わせてもよいし、および/または前
記一般式(2)で表される繰り返し単位を2種類以上組
み合わせてもよい。また、本発明には、2種類上のポリ
カーボネート系樹脂を混合して用いてもよい。
【0025】本発明の位相差フィルムは、100℃の条
件下における長さ方向の熱寸法変化率が0.001%〜
0.04%であることを特徴とする。さらに、100℃
の条件下における幅方向の熱寸法変化率が0%〜0.0
4%であるのが好ましい。温度100℃における長さ方
向の熱寸法変化率が前記範囲であると、高温下で使用し
ても位相差フィルムの面内レターデーション等の光学的
変化を、実用上問題のない範囲まで軽減することができ
る。例えば、液晶表示装置に適用した場合に、高温下で
の使用による表示品位の低下を抑制することができる。
なお、本明細書において「熱寸法変化率」は、温度25
℃・相対湿度60%において測定した長さL1と、絶対
湿度をそのままに維持し、温度を100℃まで上昇させ
て所定の時間経過した後、測定した長さL2とから、以
下の式によって算出される値をいう。 熱寸法変化率(%)={100×(L1−L2)/L1
の絶対値
【0026】本発明に用いるポリカーボネート系樹脂の
重合度は、ウベローデ型粘度計を用い、塩化メチレン溶
媒、20℃で測定し、外挿して求めた極限粘度ηが0.
15〜2.0dl/gであることが好ましい。ηが0.
15dl/gより低い場合は、十分な強度を有するフィ
ルムもしくはシート状成型物を得ることができないこと
がある。また、2.0dl/gより大きい場合は、成型
が困難になる場合がある。極限粘度は、より好ましくは
0.3〜1.5dl/gであり、さらに好ましくは0.
35〜1.0dl/gである。
【0027】また、共重合ポリカーボネート樹脂を2種
類以上混合して用いる場合には、上記極限粘度の範囲を
超える共重合ポリカーボネート樹脂を、かかる範囲内の
共重合ポリカーボネート樹脂と混合することで、好まし
い極限粘度範囲の共重合ポリカーボネート樹脂とするこ
とも可能である。
【0028】上記ポリカーボネート樹脂の重合方法は特
に限定するものではないが、通常の界面重合法、溶融重
合法等を挙げることができる。
【0029】本発明の位相差フィルムの共重合ポリカー
ボネートの光弾性係数は、80×10-8cm2/N(以
下であるのが好ましい。80×10-8cm2/Nを超え
ると応力等で複屈折性が発現し、位相差フィルムとして
の品位が劣化する傾向がある。
【0030】前記位相差フィルムのまた、厚みムラは±
5%以下であることが好ましい。一般的に、厚みムラの
少ない基材は面内レターデーションのバラツキも小さく
なるため、位相差フィルムの均一性からも厚みムラは小
さいほうがより好ましい。
【0031】前記位相差フィルムのガラス転移温度(T
g)は150℃以上が望ましい。150℃未満の場合、
位相差フィルムの加工等において、制限が生じる可能性
がある。液晶表示用パネルの部材としての応用も考慮
し、ガラス転移温度は180℃以上であることが好まし
い。なお、本特許に記載されているガラス転移温度は樹
脂自体のガラス転移温度ではなく、フィルムのガラス転
移温度である。
【0032】位相差フィルムとして用いられるポリカー
ボネート系樹脂の面内レターデーション値は、波長55
0nmで測定した場合30〜350nmの範囲にあるこ
とが必要である。本発明では主にλ/4板として用いら
れるため、波長550nmで測定した面内レターデーシ
ョン値(Re550)が110〜160nm、波長45
0nmで測定した面内レターデーション値(Re45
0)が100〜125nmであり、かつ波長590nm
で測定した面内レターデーション値(Re590)が1
20〜175nmであり、そして、{(Re590)−
(Re450)}≧2nmの関係を満足する。{(Re
590)−(Re450)}≧5nmであることがさら
に好ましく、{(Re590)−(Re450)}≧1
0nmであることが最も好ましい。波長450nmで測
定した面内レターデーション値(Re450)が108
〜120nmであり、波長550nmで測定した面内レ
ターデーション値(Re550)が125〜142nm
であり、波長590nmで測定した面内レターデーショ
ン値(Re590)が130〜152nmであり、そし
て、{(Re590)−(Re550)}≧2nmの関
係を満足することが好ましい。{(Re590)−(R
e550)}≧5nmであることがさらに好ましく、
{(Re590)−(Re550)}≧10nmである
ことが最も好ましい。また、{(Re550)−(Re
450)}≧10nmであることも好ましい。
【0033】また、本発明のポリマーフィルムをλ/2
板として使用する場合は、波長550nmで測定した面
内レターデーション値(Re550)が220〜320
nmであり、波長450nmで測定した面内レターデー
ション値(Re450)が200〜250nmであり、
かつ波長590nmで測定した面内レターデーション値
(Re590)が240〜350nmであり、そして、
{(Re590)−(Re450)}≧4nmの関係を
満足する。{(Re590)−(Re450)}≧10
nmであることがさらに好ましく、{(Re590)−
(Re450)}≧20nmであることが最も好まし
い。波長450nmで測定した面内レターデーション値
(Re450)が216〜240nmであり、波長55
0nmで測定した面内レターデーション値(Re55
0)が250〜284nmであり、波長590nmで測
定した面内レターデーション値(Re590)が260
〜304nmであり、そして、{(Re590)−(R
e550)}≧4nmの関係を満足することが好まし
い。また{(Re590)−(Re550)}≧10n
mであることがさらに好ましく、{(Re590)−
(Re550)}≧20nmであることが最も好まし
い。また、{(Re550)−(Re450)}≧20
nmであることも好ましい。
【0034】なお、面内レターデーション値(Re)
は、下記式に従って算出する。 Re=(nx−ny)×d 式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率
(面内の最大屈折率)であり、nyは位相差板の面内の
遅相軸に垂直な方向の屈折率であり、dは位相差板の厚
さ(nm)である。
【0035】さらに、本発明の位相差フィルムは1枚で
下記式を満足するのが好ましい。 1≦{(nx−nz)/(nx−ny)}≦2 式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率で
あり、nyは位相差板の面内の遅相軸に垂直な方向の屈
折率であり、nzは厚み方向の屈折率である。
【0036】本発明の位相差フィルムの厚みは30〜7
00μmが好ましい。30μmより薄い場合は基材の作
製プロセスにおいてハンドリングが困難になるといった
問題がある。700μmより厚い場合は、軽量であると
いう樹脂基材の特徴が失われるのみならず、視差が大き
くなることによる表示品位の低下が生じ好ましくない。
より好ましくは50〜500μmであり、さらに好まし
くは80〜200μmである。
【0037】本発明の位相差フィルムのヘイズの値は1
%以下が好ましい。ヘイズが大きい場合には、散乱等に
より位相差フィルムとしての特性が十分発現しないこと
がある。従って、ヘイズの値はより好ましくは0.5%
以下である。
【0038】本発明の位相差フィルムには、製造工程中
で使用した溶媒が残存している場合がある。残存溶媒濃
度が多すぎると、温度による寸法安定性、光学特性安定
性が低下する傾向があるので、残存溶媒濃度は少ない程
好ましい。本発明の位相差フィルムにおいて、残存溶媒
濃度は、0.3質量%以下であるのが好ましく、0.1
質量%以下であるのがより好ましく、0.05質量%以
下であるのがさらに好ましい。なお、本明細書におい
て、「残存溶媒濃度」とは、位相差フィルムを200℃
で12時間加熱し、加熱前後の質量変化から算出される
値をいう。
【0039】上記位相差フィルムの製造方法について
は、特に制限はないが、上記ポリカーボネート樹脂を通
常の押し出し成形法、溶液キャスト法等により得る方法
を例示することができる。溶液キャスト法により製造し
たほうが、レターデーションの均一化といった点では有
利であり、以下に説明する、溶液流延を利用した本発明
の製造方法は特に好ましい。
【0040】また、ポリカーボネート系樹脂として、フ
ルオレン骨格からなるビスフェノール誘導体を含む共重
合ポリカーボネート樹脂を用いると、該樹脂は、通常の
ビスフェノールAのみからなるポリカーボネートと比較
して、塩化メチレン等の溶媒に高濃度で溶解可能であ
り、その溶液安定性も優れているので、溶液キャスト法
にてフィルム作製する場合(特にフィルム厚みが厚いも
のを作製する場合)、通常のビスフェノールAのみから
なるポリカーボネートと比較して、生産性に優れてい
る。
【0041】以下、本発明の位相差フィルムの製造方法
について説明する。本発明の位相差フィルムの製造方法
は、ポリカーボネート系樹脂の溶液を流延製膜して膜を
作製する製膜工程と、作製した膜を少なくとも一方向に
延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、前記延伸フィ
ルムを低張力条件下で熱処理する熱処理工程とを含むこ
とを特徴とする。
【0042】前記製膜工程では、前記ポリカーボネート
系樹脂の溶液を用いる。前記溶液は、一般的な方法(こ
こで、一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または
高温)で処理することを意味する)により調製すること
ができ、例えば、通常のソルベントキャスト法における
ドープの調製方法および装置を用いて実施することがで
きる。なお、前記溶液の溶媒としては、ハロゲン化炭化
水素(特にメチレンクロリド)、1,3−ジオキソラ
ン、トルエン、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の有機溶媒を
用いることが好ましい。また、二種以上の有機溶媒を含
む混合溶媒を用いてもよい。
【0043】前記溶液中の前記ポリカーボネート系樹脂
の濃度は、10〜40質量%であるのが好ましく、10
〜30質量%であることがより好ましい。有機溶媒(主
溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいて
もよい。前記溶液は、常温(0〜40℃)で前記ポリカ
ーボネート系樹脂と有機溶媒とを攪拌することにより調
製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱
条件下で攪拌してもよい。具体的には、前記ポリカーボ
ネート系樹脂と有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、
加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰
しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度
は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200
℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
【0044】各成分は予め粗混合してから、攪拌機構を
備えた容器に投入することができる。窒素ガス等の不活
性気体を注入して容器を加圧することもできる。また、
加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。ある
いは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよ
い。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ま
しい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いるこ
とができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設
け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加
熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、これ
を用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁
付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したポリマー溶液は冷却後容器から取り出すか、あ
るいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0045】また、前記ポリカーボネート系樹脂の溶液
は、冷却溶解法により調製することもできる。冷却溶解
法を利用することによって、一般的な方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にも前記ポリカーボネート系
樹脂を溶解させることができる。また、冷却溶解法によ
れば、より迅速に均一な溶液が得られるという効果もあ
る。冷却溶解法では、まず、室温で、有機溶媒中に前記
ポリカーボネート系樹脂を撹拌しながら徐々に添加す
る。溶液中のポリカーボネート系樹脂の好ましい濃度
は、上記と同様であり、10〜40質量%含まれるよう
に調製することが好ましく、10〜30質量%含まれる
ように調製することがより好ましい。さらに、混合物中
には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0046】次に、混合物を−100〜−10℃(好ま
しくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−
20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却す
る。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−
75℃)や、冷却したジエチレングリコール溶液(−3
0〜−20℃)中で実施できる。このように冷却する
と、ポリマーと有機溶媒の混合物は固化する。冷却速度
は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上
であることがさらに好ましく、12℃/分以上であるこ
とが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、
10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/
秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的
な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の
温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最
終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0047】さらに、これを0〜200℃(好ましくは
0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好
ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にポリ
マーが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよ
し、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以
上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさ
らに好ましく、12℃/分以上であることが最も好まし
い。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/
秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上
限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。
なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な
加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度
に達するまでの時間で割った値である。以上のようにし
て、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である
場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充
分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察する
だけで判断することができる。
【0048】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。
【0049】前記ポリカーボネート系樹脂の溶液には、
機械的物性の改良を目的として、または膜の乾燥速度の
向上を目的として、可塑剤を添加することができる。可
塑剤としては、特に限定はなく、また添加が必須ではな
いが、例えばリン酸エステルまたはカルボン酸エステル
が用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニル
フォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェ
ート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとして
は、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的
である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレー
ト(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチ
ルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DO
P)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチル
ヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸
エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル
(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル
(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステ
ルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルア
セチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エ
ステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DM
P、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好
ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好まし
い。可塑剤は特に添加する必要がないが、添加する場合
その量は、溶液中のポリカーボネート系樹脂の質量に対
して0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜2
0質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%
であることが最も好ましい。
【0050】その他、ポリカーボネート系樹脂の溶液中
には、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、
ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)
を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−
199201号、同5−1907073号、同5−19
4789号、同5−271471号、同6−10785
4号の各公報に記載がある。前記溶液における劣化防止
剤の含有量は、0.01〜1重量%であることが好まし
く、0.01〜0.2重量%であることがさらに好まし
い。添加量が0.01重量%未満であると、劣化防止剤
の効果がほとんど認められない。添加量が1重量%を越
えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト
(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣
化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン
(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げるこ
とができる。
【0051】前記製膜工程における流延製膜は、常法に
従って行うことができる。例えば、前記溶液を、ベルト
またはドラム上に流延する。ドラムおよびベルトの表面
温度は10℃以下であるのが好ましい。また、ドラムま
たはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好
ましい。前記溶液を流延後、膜を乾燥させる。膜の乾燥
は、送風により行うことができる。乾燥後、ベルトまた
はドラムから膜を剥ぎ取る。剥ぎ取った後、膜をさらに
乾燥して溶媒を蒸発させてもよい。乾燥は、例えば、1
00〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して
残留溶剤を蒸発させることもできる。ドラムまたはバン
ドの表面温度において、溶液がゲル化していると、流延
から剥ぎ取りまでの時間を短縮することができるので好
ましい。この方法については、特公平5−17844号
公報に記載があり、本発明にも適用することができる。
製膜工程において得られるフィルムの厚さは、40〜1
20μmであることが好ましく、70〜100μmであ
ることがさらに好ましい。
【0052】流延製膜およびそれに引き続いて実施する
乾燥については、米国特許2336310号、同236
7603号、同2492078号、同2492977
号、同2492978号、同2607704号、同27
39069号、同2739070号、英国特許6407
31号、同736892号の各明細書、特公昭45−4
554号、同49−5614号、特開昭60−1768
34号、同60−203430号、同62−11503
5号の各公報に記載があり、本発明にも適用することが
できる。
【0053】次に、延伸工程を実施する。前記延伸工程
では、作製された膜を少なくとも一方向に延伸する。延
伸により、フィルムの屈折率(面内の遅相軸方向の屈折
率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび
厚み方向の屈折率nz)を調整し、波長550nmで測
定した面内レターデーション値を40〜350nmにす
る。さらに、面内レターデーションがλ/4またはλ/
2となるように延伸することによって、各用途に供する
ことができる。延伸処理は、同時処理であっても、逐次
処理であってもよい。また、延伸処理は2以上繰り返し
行ってもよく、製膜工程時の加熱処理と同時に行っても
よい。
【0054】固有複屈折率が正であると、ポリマー鎖が
配向した方向に屈折率が高くなる。このような固有複屈
折率が正のポリマーを延伸すると、通常、屈折率は、n
x>ny≧nzとなる。これは、面内の方向に配向した
ポリマー鎖が、延伸によってx成分が多くなり、z成分
が最も小さくなるためである。これにより、1≦{(n
x−nz)/(nx−ny)}の関係を満足することが
できる。さらに、{(nx−nz)/(nx−ny)}
≦2の関係を満足するためには、一軸延伸の延伸倍率を
制御するか、あるいはアンバランスな二軸延伸を実施し
て屈折率を調整すればよい。具体的には、最大の延伸倍
率SAと、その延伸方向に垂直な方向の延伸倍率SBと
が、1<(SA/SB)≦3の関係を満足するように、
一軸延伸またはアンバランス二軸延伸を実施すればよ
い。延伸倍率は、延伸する前の長さを1とする場合の相
対的な値である。SBは、1未満の値となる(言い換え
ると収縮する)場合もある。上記式の関係を満足すれ
ば、SBは1未満の値であってもよい。
【0055】前記延伸工程の前および/または後に、得
られたフィルムを加熱して、さらに溶媒を除去する乾燥
工程を実施してもよい。乾燥温度は、70℃〜220℃
が好ましく、80℃〜200℃がより好ましく、90℃
〜190℃がさらに好ましい。上記乾燥温度の調節はニ
クロムヒーター等を組み込んだパネル状のヒーターを用
いてもよく、ハロゲンランプ、IRヒーター等の熱源を
用いてもよく、熱風を送り込むことで行ってもよい。乾
燥ゾーン中には温度センサーを設置しておき、各所の温
度をモニターし、これらの熱源の出力を調整し温度制御
する。このためこれらの熱源はいくつかに分割され、個
別に制御できる構造にしておくことが、温度の不均一を
抑制する上で好ましい。これらの乾燥処理を行うケーシ
ングはガラスウール等の断熱材で囲うことが温度ムラを
なくす上で好ましい。乾燥時間は1分〜30分が好まし
く、2分〜20分がより好ましく、3分〜15分がさら
に好ましい。下記の熱処理工程に移行する前に、延伸フ
ィルム中に残存する溶媒の含有量は、0.3質量%以下
まで低減しておくのが好ましく、0.1質量%以下まで
低減しておくのがより好ましい。
【0056】次に、作製した延伸フィルム低張力条件下
で熱処理する。なお、本発明において、張力とは、延伸
フィルム(支持体)に与えた長手方向の力を、延伸フィ
ルム(支持体)の断面積(幅×厚み)で割った値をい
う。張力の調整は、巻取りモーターおよび/または送り
出しモーターのトルクを調整することで容易に行うこと
ができる。また、ダンサーロールを設置し、これに加え
る荷重を調整することでも容易に達成できる。さらに、
低い張力を制御するには、予め支持体の熱収縮量を測定
しておき、この量に見合う分だけ、巻取り量を少なくす
る方法も好ましい。上記方法で熱収縮応力により発生す
る張力も制御し、より弱い張力での処理が可能になる。
また、幅方向はクリップ等で規制せず、支持体を自由に
収縮させるようにするのが好ましい。このような低張力
で支持体を搬送するためには、なるべくロール搬送以外
に、空気浮上搬送を用いるのが好ましい。これは低下し
たロールホールド力に伴い発生する傷の発生を防止する
ためである。
【0057】前記熱処理工程の実施形態としては、後述
する(1)搬送熱処理および(2)ロール状での熱処理
の2つの形態が挙げられる。(1)および(2)の熱処
理を組み合わせて実施することもできる。(1)搬送熱
処理では、延伸フィルムは搬送方向に低張力を受け、ま
た(2)ロール状での熱処理においても、フィルムはロ
ール状態において低張力を受ける。(1)搬送熱処理お
よび(2)ロール状での熱処理の双方において、延伸フ
ィルムを低張力で熱処理することによって、熱寸法変化
率を低減することができるが、(2)ロール状での熱処
理を実施すると、熱寸法変化率がより小さくなるという
顕著に優れた効果がある。即ち、いかなるメカニズムに
よるのかについての詳細は不明であるが、延伸フィルム
をロール状態にして低張力を与えつつ、所定の温度範囲
で熱処理によると、優れた相乗効果が奏される。また、
(1)搬送熱処理を連続して実施するには、長大な乾燥
熱処理ゾーンが必要となり、設備費が増大するが、
(2)ロール状態での熱処理は、熱処理に要する設備費
を軽減できる点でも好ましい。
【0058】(1)搬送熱処理 延伸フィルム(支持体)(場合によっては、表面処理後
あるいは下塗り等の処理を行った後)を、0.04kg
/cm2〜6kg/cm2の張力で搬送しながら熱処理す
る。張力は0.04kg/cm2〜6kg/cm2である
のが好ましく、0.2kg/cm2〜5.5kg/cm2
であるのがより好ましく、1kg/cm 2〜5kg/c
2であるのがさらに好ましい。張力が前記範囲を超え
ると寸法変化が大きくなり、前記範囲を下回ると支持体
搬送中に搬送ロールにホールドさせることができず擦り
傷が発生し易くなる。なお、延伸フィルムを、一旦、延
伸フィルムの(Tg−50)℃より低い温度まで冷却し
てから、搬送熱処理を実施するのが好ましい。
【0059】熱処理時の温度は、ポリカーボネートフィ
ルムのTgの−50℃〜+80℃が好ましく、フィルム
のTgの−40℃〜+70℃がより好ましく、フィルム
のTgの−30℃〜+50℃であるのがさらに好まし
い。熱処理時間は1分〜60分が好ましく、2分〜40
分がより好ましく、3分〜30分がさらに好ましい。こ
の熱処理に引き続き、さらに後熱処理を行ってもよい。
後熱処理は、上記熱処理に引き続いて15℃〜70℃で
行うのが好ましく、20℃〜60℃がより好ましく、2
5℃〜50℃がさらに好ましい。処理時間は1秒〜5分
が好ましく、5秒〜3分がより好ましく、10秒〜1分
がさらに好ましい。後熱処理は、前記搬送熱処理に引き
続き、搬送しながら行うのが好ましい。後熱処理工程
は、張力0.04kg/cm2〜6kg/cm2で行うの
が好ましく、0.2kg/cm2〜5.5kg/cm2
行うのがより好ましく、1kg/cm2〜5kg/cm2
で行うのがさらに好ましい。
【0060】(2)ロ−ル状での熱処理 延伸フィルム(支持体)(場合によっては表面処理後あ
るいは下塗り等の処理を行った後)を、張力0.04k
g/cm2〜20kg/cm2、好ましくは0.1kg/
cm2〜18kg/cm2、より好ましくは0.5kg/
cm2〜15kg/cm2でロ−ルに巻き取った後に、ロ
ール状態のまま熱処理を行う。なお、延伸フィルムを、
一旦、延伸フィルムの(Tg−50)℃より低い温度ま
で冷却してから、ロール状での熱処理を実施するのが好
ましい。
【0061】熱処理時の温度は、ポリカーボネートフィ
ルムのTgの−50℃〜+80℃が好ましく、フィルム
のTgの−40℃〜+70℃がより好ましく、フィルム
のTgの−30℃〜+50℃がさらに好ましい。熱処理
時間は1分〜60分が好ましく、2分〜40分がより好
ましく、3分〜30分がさらに好ましい。
【0062】前記熱処理工程により、ポリカーボネート
系延伸フィルムにおける残存溶媒濃度を、0.3質量%
以下(より好ましくは0.1質量%以下、さらに好まし
くは0.05質量%以下)まで低減することができる。
【0063】本発明のポリカーボネート系の位相差フィ
ルムは、特にλ/4板およびλ/2板として用いること
ができるが、フィルムの一方の面に直線偏光板(または
偏光膜)を順次積層してもよい。前記偏光膜については
特に限定されないが、PVAを水または有機溶媒に溶解
した液を流延製膜し、該PVAフィルムを延伸してから
ヨウ素あるいは二色性染料で染色するか、染色してから
延伸したものを用いることができる。このようにして作
製した偏光膜とポリカーボネートからなるλ/4板と
を、λ/4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸とに角度
をもたせて積層することにより楕円偏光板を得ることが
できる。また、実質的に45゜になるように積層すると
円偏光板が得られる。実質的に45゜とは、40〜50
゜であることを意味する。λ/4板の面内の遅相軸と偏
光膜の偏光軸との角度は、41〜49゜であることが好
ましく、42〜48゜であることがより好ましく、43
〜47゜であることがさらに好ましく、44〜46゜で
あることが最も好ましい。
【0064】本発明の位相差フィルムから、楕円偏光板
用フィルム、および液晶表示パネルを形成することに特
に限定はない。場合によってはガスバリア層、ハードコ
ート層、透明導電層、耐溶剤層、カラーフィルター層、
反射防止層、光散乱層等を設けることができる。
【0065】本発明に用いられる液晶表示装置のモード
は特に限定されないが、TN(twisted nem
atic)型、VA(Vertical Alingm
ent)型、HAN(Hybrid Aliged N
ematic)型、STN(Supper Twist
ed Nematic)型、または、GH(Guest
Host)型であることが好ましい。
【0066】TN型液晶セルのツイスト角は、40〜1
00゜であることが好ましく、50〜90゜であること
がさらに好ましく、60〜80゜であることが最も好ま
しい。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み
(d)との積(Δnd)の値は、0.1〜0.5μmで
あることが好ましく、0.2〜0.4μmであることが
さらに好ましい。TN型液晶セルは、駆動回路がない単
純マトリックス方式、および駆動回路があるアクティブ
マトリックス方式で使用できる。駆動回路のあるアクテ
ィブマトリックス方式の方がより好ましい。
【0067】STN型液晶セルのツイスト角は、180
〜360゜であることが好ましく、220〜270゜で
あることがさらに好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δ
n)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、
0.3〜1.2μmであることが好ましく、0.5〜
1.0μmであることがさらに好ましい。STN型液晶
セルは、駆動回路がない単純マトリックス方式、および
駆動回路があるアクティブマトリックス方式で使用でき
る。
【0068】HAN型液晶セルは、片方の基板上では液
晶が実質的に垂直に配向しており、他方の基板上のプレ
チルト角が0〜45゜であることが好ましい。液晶層の
屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δ
nd)の値は、0.1〜1.0μmであることが好まし
く、0.3〜0.8μmであることがさらに好ましい。
液晶を垂直配向させる側の基板は、反射板側の基板であ
ってもよいし、透明電極側の基板であってもよい。
【0069】GH型液晶セルは、液晶層が液晶と二色性
色素との混合物からなる。液晶、二色性色素ともに棒状
の化合物の場合、液晶のディレクタと二色性色素の長軸
方向が平行となる。電圧の印加によって液晶の配向状態
が変化すると、二色性色素も液晶と同様に長軸方向が変
化する。GH型液晶セルには、Heilmeir型や、
コレステリック液晶を用いたWhite−Taylor
型、二層型、λ/4板を用いた方式などが知られている
が、本発明においては、λ/4板を用いた方式を用いる
のが好ましい。λ/4板を備えたゲストホスト反射型液
晶表示素子については、特開平6−222350号、同
8−36174号、同10−268300号、同10−
292175号、同10−293301号、同10−3
11976号、同10−319442号、同10−32
5953号、同10−333138号、同11−384
10号の各公報に記載がある。λ/4板は、液晶層と反
射板との間に設けられる。液晶層は水平配向、垂直配向
のどちらを用いても構わないが、垂直配向を用いるのが
好ましい。液晶の誘電率異方性は負であることが好まし
い。
【0070】VA型液晶セルは、電圧無印加時に2枚の
基板間で液晶が垂直に配向している。一般的には誘電率
異方性が負の液晶が使用されており、上下電極間に電圧
を印加する事により液晶が水平配向する。一般的にはノ
ーマリーブラックモードで使用されており、非常に高い
コントラスト比が得られる。視角依存性を改善するため
に負の一軸性または負の二軸性の位相差フィルムが組合
される。また、電極上に突起、窪みを設ける事やスリッ
ト状の電極を使用することにより視角依存性が改善でき
る事が特開平11−258605号公報に開示されてい
る。液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み
(d)との積(Δnd)の値は、0.1〜1.0μmで
あることが好ましく、0.3〜0.6μmであることが
さらに好ましい。誘電率異方性が正の液晶に基板水平方
向の電界を印加して、液晶を水平配向させる方式もVA
型液晶セルの1つとして考える事が出来る。
【0071】反射型液晶表示装置は、印加電圧が低い時
に明表示、高い時に暗表示であるノーマリーホワイトモ
ードでも、印加電圧が低い時に暗表示、高い時に明表示
であるノーマリーブラックモードでも用いることができ
る。
【0072】上述の液晶表示装置は1枚または2枚のλ
/4板を含んでおり、基本的に反射型、または半透過型
として用いられる。半透過型液晶表示装置の駆動方式に
ついては単純マトリックス方式よりも、アクティブマト
リックス方式が好ましく、TFT(Thin Film
Transistor)、TFD(Thin Fil
m Diode)またはMIM(Metal Insu
rator Metal)を使うことがより好ましい。
TFTについては低温ポリシリコンまたは連続粒界シリ
コンを使うことがより好ましい。
【0073】詳細については、「液晶デバイスハンドブ
ック」日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞
社、「液晶 応用編」岡野光治他、培風館、「カラー液
晶ディスプレイ」小林俊介他、産業図書、「次世代液晶
ディスプレイ技術」内田龍男、工業調査会、「液晶ディ
スプレイの最先端」液晶若手研究会編、シグマ出版、
「液晶:LCDの基礎と新しい応用」液晶若手研究会
編、シグマ出版等に記載されている。
【0074】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す
具体例に制限されるものではない。各実施例における特
性値は、以下の方法に従って測定した。 <極限粘度>極限粘度[η]は、溶媒として塩化メチレ
ンを用い、ウベローデ型粘度計により温度20℃で測定
して、外挿して求めた。 <熱寸法変化率>熱寸法変化率を測定するためのサンプ
ルとして、5cm×25cmの長方形のフィルムを用い
た。熱処理の完了した位相差フィルムを、原反フィルム
の中央、両端の3点の各々について、縦方向(MD)用
および横方向(TD)用としてサンプリングし、合計6
枚のサンプルを用意した。MD方向の寸法変化を測定す
るときは、25cmの片をMD方向に平行に、TD方向
の寸法変化を測定するときは25cmの片をTD方向に
平行にサンプリングした。熱寸法変化率は、まず、中央
に20cm間隔に孔を2点開けたサンプルを、25℃6
0%RHの雰囲気下に12時間以上静置し、調湿した
後、ピンゲ−ジを用いて孔間の長さを測定した(この長
さをL1とする)。その後、絶対湿度を変えずに温度の
み100℃に上昇させた雰囲気下に、12時間静置し、
その後、25℃60%RHの雰囲気下に12時間以上静
置し、調湿した後、再びピンゲ−ジを用いて孔間の長さ
を測定した(この長さをL2とする)。測定した値を用
いて、下記式に基づいて熱寸法変化率を求めた。 熱寸法変化率(%)={100×(L1−L2)/L1
の絶対値 これを各測定点(原反フィルムの中央、両端の3点でM
D、TDの2方向、合計6点)ごとに平均値を求め、こ
れら6点のなかで最も大きな値を示す。
【0075】<レターデーション変化>上記<熱寸法変
化率>のサンプルについて、熱処理実施前後で日本分光
(株)製M−150型エリプソメータを用いて、450
nm、550nm、590nmのレターデーションを測
定し、その差を求めた。
【0076】<残存溶媒濃度>熱処理の完了した位相差
フィルムを温度200℃で12時間加熱し、加熱前後の
質量変化から求めた。
【0077】<厚みムラ>熱処理の完了した位相差フィ
ルムを、原反フィルムの中央、両端の3点において、縦
方向(MD)用および横方向(TD)用として、各々1
0枚ずつサンプリングした。サンプルは5cm×10c
mの長方形とした。これらのサンプルを、接触式厚み測
定器で各々10点ずつ測定し、各々の平均厚みの最大値
と最小値との差を全平均厚みで除することにより求め
た。
【0078】<遅相軸角度分布、レターデーション>熱
処理の完了した位相差フィルムを、原反フィルムの中
央、両端の3点において、縦方向(MD)に各10枚ず
つサンプリングした。サンプルは5cm×15cmの長
方形とした。これらのサンプルをエリプソメータ(KO
BRA−31PR、王子計測器(株)製)により450
nm、550nm、590nmでのレターデーション、
遅相軸MD方向からのずれを各10点ずつ測定し、レタ
ーでションは全点の平均から、遅相軸角度分布は各々の
角度のずれの最大と最小から求めた。
【0079】<ヘイズ>熱処理の完了した位相差フィル
ムをヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)
製)を用いて測定した。
【0080】[実施例1] (位相差フィルムの作製)ビスフェノールAとビスクレ
ゾールフルオレンを1:2のモル比で水酸化ナトリウム
水溶液およびイオン交換水に溶解させ、少量のハイドロ
サルファイを加えた。次に、塩化メチレンを加え、20
℃でホスゲンを65分間かけて吹き込んだ。さらに、p
―tert−ブチルフェノールを加えて乳化させた後、
トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反
応を終了させた。反応終了後、有機相を分取し、塩化メ
チレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。
ポリカーボネート共重合体をメチレンクロリドに溶解さ
せ、この溶液(濃度10質量%)を用いて製膜したフィ
ルムを表1に示す温度(60〜140℃)で2時間乾燥
し、ロール状キャストフィルムを作製した。次に、得ら
れたフィルムを、温度216℃において実倍で1.75
倍程度に縦一軸延伸し、λ/4板を得た。得られた延伸
フィルムのTgは185℃であった。また膜厚は85μ
mであった。
【0081】(熱処理)得られた延伸フィルムを、各々
下記に示す熱処理条件にて低張力搬送処理した。但し、
比較のため一部については処理を行わなかった。 (1)搬送熱処理 表1に記載の温度、張力に設定した全長200mの熱処
理ゾーンを、搬送速度20m/分で搬送して、搬送熱処
理した。 (2)ロ−ル熱処理 表1に記載の温度に設定した熱処理ゾ−ンを通過させた
後、その温度雰囲気下で表1に記載の張力で直径30c
mの巻芯に巻取った。この後0.2回転/時間で回転さ
せながら−1℃/時間で室温まで冷却した。
【0082】(耐熱性評価)作製したフィルムを上記の
方法で熱処理し、上記の方法に従って種々の特性を測定
した。条件および結果を表1および表2にまとめた。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】[実施例2]水酸化ナトリウム水溶液に、
9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)フルオレン
を37.8gおよび2,2−ビス(4―ヒドロキシフェ
ニル)プロパンを53.2g仕込み、少量のハイドロサ
ルファイトを加え、続いて塩化メチレンを加えて、20
℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ後、さらに、
p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化後、トリ
エチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応さ
せた。得られた共重合ポリカーボネートの極限粘度
[η]は、0.72dl/gであった。
【0086】ポリカーボネート共重合体をメチレンクロ
リドに溶解させ、この溶液(濃度10質量%)からロー
ル状キャストフィルムを作製した。次に、このフィルム
を、温度216℃において実倍で1.70〜2.50倍
程度に縦一軸延伸し、λ/4板およびλ/2板を各々作
製した。得られた延伸フィルムのTgは215℃であっ
た。また、膜厚は本発明1、3および比較例2のフィル
ムが95μm、本発明2、4、比較例1、3のフィルム
が83μmであった。次に、実施例1と同様に低張力熱
処理を行い、同様に種々の特性を測定した。条件および
結果を表3および表4にまとめた。
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】[実施例3] (位相差フィルムの作製)実施例1のポリカーボネート
共重合体の溶液を用いて、製膜し、140℃で2時間乾
燥し、ロール状キャストフィルムを作製した。次に、こ
のフィルムを、温度216℃において実倍で1.75倍
程度に縦一軸延伸し、λ/4板を得た。但し、一部のサ
ンプルでは延伸の際に延伸方向から捻りを加えて遅相軸
角度の分布を変化させた。得られた延伸フィルムのTg
は185℃であった。次に、実施例1と全く同様にして
低張力熱処理を行い、同様にして種々の特性を測定し
た。条件および結果を表5および表6にまとめた。
【0090】さらに、以下の方法で、光学的均一性を評
価した。 (光学的均一性の評価)得られた位相差フィルムをハイ
コントラスト対応偏光板(HLC2−5618、サンリ
ッツ製)をクロスニコルに配置したもとで観察し、目視
によるムラの判定を行った。ムラが明らかに認められ、
位相差フィルムとして許容できないものは×、許容範囲
のものは○と判定した。詳細は表6にまとめた。
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】実施例1および実施例2に示すように、本
発明のサンプルは低張力熱処理を行うことにより100
℃での熱寸法変化が極めて小さくなり、光学特性変化も
小さかった。これに対して、低張力条件から外れた熱処
理を行ったサンプル、および熱処理を行わないサンプル
は、寸法変化が大きく光学特性変化も無視できないもの
であった。また、残存溶剤が多い実施例1の比較例5お
よび6は、低張力熱処理を行っても寸法変化が大きく、
位相差フィルムとして許容できないものであった。さら
に実施例3に示す本発明のサンプルは、厚みムラおよび
遅相軸角度分布が小さく、位相差フィルムとして問題な
かったのに対し、比較例のサンプルは厚みムラおよび遅
相軸角度分布の影響で、クロスニコル下でのムラが大き
く実用に耐えないものであった。
【0094】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、光
学特性および熱安定性に優れた位相差フィルムおよびそ
の製造方法を提供することができる。また、光学的に均
一性の高い位相差フィルム、特に液晶表示パネル用の位
相差フィルムとして優れた位相差フィルムおよびその製
造方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 69:00 B29K 69:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 69:00 C08L 69:00 Fターム(参考) 2H049 BA06 BB44 BC03 BC09 BC22 2H091 FA11X FA11Z FB02 FC08 FC22 LA04 LA16 4F071 AA50 AF29 AF30 AH12 BB02 BC01 4F210 AA28 AG01 AH73 AR04 AR06 QC02 QG01 QG18 QW12 4J029 AA09 AC02 AE03 AE04 BB12A BB13A BC09 BD09A

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長550nmで測定した面内レターデ
    ーション値が40〜350nmであり、且つ100℃の
    条件下における長さ方向の熱寸法変化率が0.001%
    〜0.04%であることを特徴とするポリカーボネート
    系位相差フィルム。
  2. 【請求項2】 100℃の条件下における幅方向の熱寸
    法変化率が0%〜0.04%であることを特徴とする請
    求項1に記載のポリカーボネート系位相差フィルム。
  3. 【請求項3】 残存溶媒濃度が0.3質量%以下、遅相
    軸角度分布が±10°以下、厚みムラが±5%以内、且
    つヘイズ値が0.6%以下であることを特徴とする請求
    項1または2に記載のポリカーボネート系位相差フィル
    ム。
  4. 【請求項4】 少なくとも一種のフルオレン骨格からな
    るビスフェノール誘導体と、少なくとも一種の非フルオ
    レン骨格からなるビスフェノール誘導体を共重合させた
    ポリカーボネート系樹脂を溶液流延し、少なくとも一方
    向に延伸してなることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項に記載のポリカーボネート系位相差フィルム。
  5. 【請求項5】 下記一般式(1)で表されるフルオレン
    骨格からなるビスフェノール誘導体の繰り返し単位と、
    下記一般式(2)で表される非フルオレン骨格からなる
    ビスフェノール誘導体の繰り返し単位とからなることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカ
    ーボネート系位相差フィルム。 一般式(1) 【化1】 (一般式(1)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水
    素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基
    から選ばれるいずれかを表すが、但し、R1〜R8がすべ
    て水素原子になることはない。) 一般式(2) 【化2】 (一般式(2)において、R11〜R18はそれぞれ独立に
    水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素
    基から選ばれるいずれかを表し、Xは炭素数1〜15の
    炭化水素基を表す。)
  6. 【請求項6】 前記一般式(1)で表されるフルオレン
    骨格からなるビスフェノール誘導体の繰り返し単位が、
    9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3メチルフェニル)フ
    ルオレンより誘導されたものであることを特徴とする請
    求項5に記載のポリカーボネート系位相差フィルム。
  7. 【請求項7】 前記一般式(2)で表される非フルオレ
    ン骨格からなるビスフェノール誘導体の繰り返し単位
    が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
    より誘導されたものであることを特徴とする請求項5ま
    たは6に記載のポリカーボネート系位相差フィルム。
  8. 【請求項8】 メチレンクロリド溶液の20℃における
    極限粘度が、0.35〜1.0dl/gであるポリカー
    ボネート重合体から構成され、且つフィルムのガラス転
    移点が150℃以上であることを特徴とする請求項1〜
    7のいずれか1項に記載のポリカーボネート系位相差フ
    ィルム。
  9. 【請求項9】 波長550nmで測定した面内レターデ
    ーション値(Re550)が110〜160nmである
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の
    ポリカーボネート系位相差フィルム。
  10. 【請求項10】 波長450nmで測定した面内レター
    デーション値(Re450)が100〜125nm、波
    長590nmで測定した面内レターデーション値(Re
    590)が120〜175nmであり、且つ{(Re5
    90)−(Re450)}≧2nmの関係を満足するこ
    とを特徴とする請求項9に記載のポリカーボネート系位
    相差フィルム。
  11. 【請求項11】 波長550nmで測定した面内レター
    デーション値(Re550)が220〜320nmであ
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載
    のポリカーボネート系位相差フィルム。
  12. 【請求項12】 波長450nmで測定した面内レター
    デーション値(Re450)が200〜250nm、波
    長590nmで測定した面内レターデーション値(Re
    590)が240〜350nmであり、且つ{(Re5
    90)−(Re450)}≧4nmの関係を満足するこ
    とを特徴とする請求項11に記載のポリカーボネート系
    位相差フィルム。
  13. 【請求項13】 波長550nmで測定した面内レター
    デーション値が40〜350nmであるポリカーボネー
    ト系位相差フィルムの製造方法において、ポリカーボネ
    ート系樹脂の溶液を流延製膜して膜を作製する製膜工程
    と、作製された膜を少なくとも一方向に延伸して延伸フ
    ィルムを得る延伸工程と、前記延伸フィルムを低張力条
    件下で熱処理する熱処理工程とを含むことを特徴とする
    ポリカーボネート系位相差フィルムの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記ポリカーボネート系樹脂が、少な
    くとも一種のフルオレン骨格からなるビスフェノール誘
    導体と、少なくとも一種の非フルオレン骨格からなるビ
    スフェノール誘導体を共重合させたポリカーボネート系
    樹脂であることを特徴とする請求項13に記載のポリカ
    ーボネート系位相差フィルムの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記熱処理工程が、前記延伸フィルム
    を0.04kg/cm2〜20kg/cm2の低張力条件
    で、温度(Tg−50)℃〜(Tg+80)℃で熱処理
    する工程であることを特徴とする請求項13または14
    に記載のポリカーボネート系位相差フィルムの製造方
    法。
  16. 【請求項16】 前記熱処理工程が、前記延伸フィルム
    を0.04kg/cm2〜6kg/cm2の張力で搬送し
    つつ、温度(Tg−50)℃〜(Tg+80)℃で熱処
    理する工程であることを特徴とする請求項13〜15の
    いずれか1項に記載のポリカーボネート系位相差フィル
    ムの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記熱処理工程が、前記延伸フィルム
    を0.04kg/cm2〜20kg/cm2の張力で一旦
    ロール状に巻き取った後、温度(Tg−50)℃〜(T
    g+80)℃でロール形態のまま熱処理する工程である
    ことを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記
    載のポリカーボネート系位相差フィルムの製造方法。
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