JP2003169844A - 医療用高分子ゲル化剤および局所に治療用物質を徐放する方法 - Google Patents

医療用高分子ゲル化剤および局所に治療用物質を徐放する方法

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JP2003169844A
JP2003169844A JP2001374868A JP2001374868A JP2003169844A JP 2003169844 A JP2003169844 A JP 2003169844A JP 2001374868 A JP2001374868 A JP 2001374868A JP 2001374868 A JP2001374868 A JP 2001374868A JP 2003169844 A JP2003169844 A JP 2003169844A
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gelatin
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gelling agent
photocurable
tissue
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Takehisa Matsuda
武久 松田
Masao Tanaka
雅夫 田中
Hidenori Okino
秀宣 沖野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬剤などの治療用物質を直接病巣部位に作用
させ、しかも薬剤などが治療に有効な濃度を保持しなが
ら長期にわたって病巣部位に留まって治療効果を最大限
発揮すると共に副作用を最小限とすることができる医療
用高分子ゲル化剤を提供する。 【解決手段】光硬化性ゼラチンと、光反応性ラジカル発
生剤との2種からなり、前記光硬化性ゼラチンに治療用
物質を包埋させてあり、病変組織に塗布された光硬化性
ゼラチンが光反応性ラジカル発生剤であるカルボキシル
化カンファキノンまたはカンファキノンの存在下で可視
光を照射されて前記病変組織に接着しゲル化した状態で
治療用物質を徐放する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光硬化性を有する
医療用高分子ゲル化剤および局所に治療用物質を徐放す
る方法に関し、詳しくは病変組織に速やかに接着して生
理活性物質、その遺伝子を有するアデノウイルスあるい
はプラスミドなどの治療用物質を長期にわたって徐放し
病変組織を正常に回復させることができ、また、生態組
織接着剤あるいは止血剤としても有用な医療用高分子ゲ
ル化剤および局所に治療用物質を徐放する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】病変した生態組織を治療するため、従来
の薬剤などを全身投与する方法では、その病巣まで到達
した薬剤などのみが治療に役立つものであって、病巣到
達時点では希釈されて治療効果も薄い上、短期間の作用
しか期待できず非効率的であるばかりでなく、全身投与
のため、全身の副作用を来す可能性がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの欠
点を克服し、薬剤などの治療用物質を直接病巣部位に作
用させ、しかも薬剤などが治療に有効な濃度を保持しな
がら長期にわたって病巣部位に留まって治療効果を最大
限発揮すると共に副作用を最小限とすることができる医
療用高分子ゲル化剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の医療用高分子ゲ
ル化剤は、光硬化性ゼラチンと、光反応性ラジカル発生
剤との2種からなり、前記光硬化性ゼラチンに治療用物
質を包埋させてなる。以下、具体的構成について説明す
る。 光硬化性ゼラチンの合成:原料のゼラチンは一般的に知
られているものを適用することができる。ゼラチンのリ
ジン残基のアミノ基(1分子当り36.8個)に縮合剤
として、1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiim
ide hydrochloride を用い、4−ビニル安息香酸を縮合
させることにより、アミノ基にスチレン基が導入された
スチレン化ゼラチンが合成できる(図1参照)。 光硬化性ゼラチンのゲル化の機序:前記光硬化性ゼラチ
ンにおいて、光反応性ラジカル発生剤であるカルボキシ
ル化カンファキノン、あるいはカンファキノン存在下に
可視光を照射すると、ラジカル反応によってスチレン基
同士が重合し、ゼラチン鎖の網目構造が形成されること
により、ゼラチンのゲル化が進行する(図2参照)。 治療作用:光硬化性ゼラチンには予め治療用物質を包埋
させている。この光硬化性ゼラチンは前記治療用物質、
つまり、生理活性物質、または生理活性物質の遺伝子を
有するアデノウイルス、あるいはプラスミドを担持した
状態で病変組織に塗布された後、カルボキシル化カンフ
ァキノン、あるいはカンファキノンの存在下で可視光を
照射されゲル化して病変組織に接着状態となることか
ら、この病変組織のみ、つまり人体の治療の必要な局所
のみに治療用物質を長期にわたって徐放し、集中して効
果的に治療することになる。
【0005】
【実施例1】以下、実施例、比較例、および試験例によ
り本発明を具体的に説明する。まず、光硬化ゼラチンの
合成方法を説明する。ビニル安息香酸(東京化成より入
手)5.7gを0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液40
0mlに溶解させる((A)液とする)。また、ゼラチ
ン(和光純薬工業より入手)10gをリン酸緩衝食塩水
(PBS)溶液500mlに入れ、60℃に加温し完全
溶解させる((B)液とする)。次に、前記(A)液と
(B)液を混合しpH7.5となるまで中和してから、
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カル
ボジイミドヒドロ塩化物(1-ethyl-3-(3-dimethylamino
propyl)carbodiimide hydrochloride )(同人化学研究
所より入手)14.8gを添加し、24時間攪拌する。
反応終了後、この反応液を3日間透析し、凍結乾燥して
綿花様の光硬化性ゼラチン(スチレン化ゼラチン)を得
ることができる(図1の写真部参照)。
【0006】
【実施例2】図3に示すように、スチレン基の導入率は
1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide hydr
ochloride の濃度を一定とし、加える4−ビニル安息香
酸の濃度と比例関係にあり、制御可能であった。
【0007】
【実施例3】図4は得られた光硬化性ゼラチンの光照射
時間に対するゲル化率、および膨潤率を示しており、光
照射時間とゲル化率は(Wg/Ws)×100、光照射
時間と膨潤率は(Ww−Wg)/Wg とする。ここ
で、Wsは光照射前の光硬化性ゼラチンの乾燥重量、W
wは生成したゲルの平衡吸水時における重量、Wgは同
乾燥時における重量である。また、ゼラチン濃度は30
%とし、スチレン基導入率を24%、49%、82%の
場合において調べた。図に示すように、ゲル化は3分の
照射で完了し、それ以上の照射はゲル化率に影響を与え
なかった。膨潤率も光照射時間が3分以上では一定とな
った。
【0008】
【実施例4】光硬化性ゼラチンを硬化させるのに加える
カルボキシル化カンファキノンとゲル化率の関係を調べ
た。図5はゼラチン濃度30wt%、スチレン基導入率
82%の場合を示しており、図に示すように、カンファ
キノン濃度が0.05%以上では一定のゲル化率が得ら
れた。
【0009】
【実施例5】スチレン基導入率とスチレン化ゼラチン濃
度を変化させた際のゲル化率に与える影響を調べた。図
6はスチレン基導入率11%、24%、49%、82%
の場合を示しており、図に示すように、ゲル化率はスチ
レン基導入率が高い程、またスチレン化ゼラチン濃度が
高い程、高い値が得られた。
【0010】
【実施例6】薬物を包埋させた光硬化性ゼラチンにおい
て、スチレン基導入率とスチレン化ゼラチン濃度を変化
させた際の溶液への薬物の徐放量を観察した。徐放動態
はフィック(Fick)の拡散第2則に従った。図7は
モデル薬剤としてアルブミン(分子量66、000)を
用い、ゼラチン濃度10wt%、20wt%、30wt
%、50wt%とし、Aはスチレン基導入率10%、B
は20%、Cは30%、Dは50%の場合を示す。ま
た、図8はスチレン基導入率83%の場合を示す。アル
ブミンはスチレン基導入率とゼラチン濃度に関わらず徐
放されたが、薬剤の徐放量はスチレン基導入率が低い
程、またスチレン化ゼラチン濃度が低い程、高い値が得
られた。
【0011】
【実施例7】アデノウイルスを包埋させた光硬化性ゼラ
チンにおいて、スチレン化ゼラチン濃度とカルボキシル
化カンファキノンを変化させた際の溶液へのアデノウイ
ルスの徐放量を観察した。図9はモデルウイルスとして
β−ガラクトシダーゼ(β-galactosidase) の遺伝子を
コードしたアデノウイルスベクター(Ad−LacZ)
を用い観測したものであって、Aはゼラチン濃度20w
t%、Bは30wt%であり、夫々カルボキシル化カン
ファキノン濃度0.05wt%、0.5wt%、1wt
%、2wt%に付いて示している。アデノウイルスベク
ターはゼラチン濃度、カンファキノン濃度に関わらず徐
放されたが、アデノウイルスベクターの徐放量はスチレ
ン化ゼラチン濃度には依存せず、カルボキシル化カンフ
ァキノンの濃度に依存した。
【0012】
【実施例8】薬物を包埋させた光硬化性ゼラチンにおい
て、スチレン基導入率とスチレン化ゼラチン濃度を一定
とし溶液への薬物の徐放量をモデル薬剤の分子量を変え
て観察した。図10はモデル薬剤としてアルファラクト
アルブミン(分子量14、000)、アルブミン(分子
量66、000)、IgG(分子量160、000)を
用いて観察した。スチレン化ゼラチン濃度20wt%、
スチレン基導入率24%の場合を示す。徐放量は分子量
には依存せず、ほぼ一定であった。
【0013】
【実施例9】スチレン化ゼラチン水溶液を組織上に塗布
する際の水溶液の粘性を調べた。図11はスチレン基導
入率82%において、温度を25℃、37℃とした2例
を示す。粘性はスチレン化ゼラチンの濃度の増加と共に
指数関数的に増加した。また、25℃の場合より37℃
に加温すると粘性が低下した。
【0014】
【比較試験】生体を模したコラーゲンフィルム上でスチ
レン化ゼラチンをゲル化させ、組織接着性をフィブリン
糊と比較検討した。フィブリン糊の組織接着性は45.
2±7.1g/cm2 である。図12はスチレン基導入
率28%、50%、82%の場合でゼラチン濃度20w
t%、30wt%、40wt%、50wt%の例を示
す。フィブリン糊の組織接着性が45.2±7.1g/
cm2 であるのに対し、スチレン化ゼラチン濃度とスチ
レン基導入率を高くした場合、フィブリン糊と比較し良
好な結果が得られ、両条件を最適化した場合、約4倍の
接着強度を有するゲルが得られた。
【0015】
【試験例1】図13参照。蛍光試薬であるローダミンが
付加したアルブミンをスチレン化ゼラチン水溶液内に包
埋しラットの肝臓上で局所にゲル化させ(A、B)、ア
ルブミンの組織浸透性を調べた。その3日目に肝臓を取
り出し調べたところ、ゲルは肝臓に接着しており
(C)、HE染色でも組織と密に接着している様子が観
察された(D)。その肝臓の切片を作製し蛍光顕微鏡で
観察したところ、アルブミンが組織内に浸透していく様
子が観察された(E)。
【0016】
【試験例2】図14の(A)および図15、図14の
(B)および図16参照。コラーゲンと線維芽細胞から
なるハイブリッド組織(コラーゲンと線維芽細胞よりな
る生体外で人工的に作製されかなり緻密な組織)を作製
し、遺伝子の発現期間の比較を行なった。β−ガラクト
シダーゼ(β-galactosidase) の遺伝子をコードしたア
デノウイルスベクター(Ad−LacZ)をモデルウイ
ルスとして用い、そのアデノウイルスベクターをスチレ
ン化ゼラチン水溶液内に包埋し、それをハイブリッド組
織上で局所にゲル化させ、ウイルスベクターの組織浸透
性並びにLacZ遺伝子の発現期間を調べた(B)。対
照実験として予めウイルスベクターに感染させた細胞を
用いて同様にハイブリッド組織を作製した(A)。対照
実験では14日目以降、X−gal染色陽性の細胞が見
られなかったのに対し、ゲルを用いた実験ではウイルス
ベクターがハイブリッド組織に浸透し、LacZ遺伝子
の発現が1か月と長期にわたり観察された。これはアデ
ノウイルスベクターの有する遺伝子発現期間が短期間で
あるという欠点を補う意味で重要な結果であった。
【0017】
【試験例3】図17参照。アデノウイルスベクター(A
d−LacXZ)をスチレン化ゼラチン水溶液内に包埋
し、それをラットの大腿筋上で局所にゲル化させ、ウイ
ルスベクターの組織浸透性並びにLacZ遺伝子の発現
を調べた。大腿筋の切片を作製しX−gal染色を行な
い観察したところ、ウイルスベクターが組織内に浸透し
LacZ遺伝子の発現が観察された。
【0018】
【発明の効果】本発明の医療用高分子ゲル化剤は、光硬
化性ゼラチンと、光反応性ラジカル発生剤との2種から
なり、前記光硬化性ゼラチンに治療用物質を包埋させて
なるので、病変組織に速やかに接着して治療用物質を直
接病巣部位に作用させ、しかも薬剤などが治療に有効な
濃度を保持しながら長期にわたって病巣部位に留まって
治療効果を最大限発揮すると共に副作用を最小限とする
ことができる。特に体内半減期が短くかつ長期間の投与
を必要とする薬剤に対して有効である。また、生態組織
接着剤あるいは止血剤としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスチレン化ゼラチンの形成過程を示す
説明図である。
【図2】ゲル化の機序を示す説明図である。
【図3】スチレン基の導入率を示すグラフ図である。
【図4】光硬化性ゼラチンのゲル化率、膨潤率を示すグ
ラフ図である。
【図5】カルボキシル基カンファキノン量とゲル化率を
示すグラフ図である。
【図6】スチレン基導入率に対するゲル化率を示すグラ
フ図である。
【図7】スチレン基導入率に対する薬物の徐放量を示す
グラフ図である。
【図8】スチレン基導入率に対する薬物の徐放量を示す
グラフ図である。
【図9】アデノウイルスの徐放量を示すグラフ図であ
る。
【図10】薬物の徐放量を各種分子量のもので示すグラ
フ図である。
【図11】スチレン化ゼラチン水溶液の粘性を示すグラ
フ図である。
【図12】ゲルの組織接着性を示すグラフ図である。
【図13】包埋したアルブミンの組織浸透性をA〜Eの
順に示す説明図である。
【図14】ハイブリッド組織に対する遺伝子の発現期間
を比較した説明図である。
【図15】図14の(A)の続きを示す組織の拡大写真
図である。
【図16】図14の(B)の続きを示す組織の拡大写真
図である。
【図17】包埋したウイルスベクターの組織浸透性と遺
伝子発現を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 301059824 株式会社新産業技術研究所 福岡県福岡市西区今宿1丁目11−4−504 (72)発明者 松田 武久 福岡市東区千早6−1 13−36 (72)発明者 田中 雅夫 福岡市西区大字千里276 (72)発明者 沖野 秀宣 福岡市早良区室見4−24−25 Fターム(参考) 4C081 AA07 AA14 BA11 BB03 BB04 BB06 BB08 CB031 CB041 CC05 CD151 CE02 CE08 DA12 EA11 4C084 AA02 AA03 AA13 BA35 CA01 MA05 MA28 MA67 NA05 NA10 NA12 4C086 AA01 AA02 EA16 MA03 MA05 MA28 MA67 NA05 NA10 NA12 4C087 AA01 AA02 BC83 CA09 CA12 CA20 MA05 MA28 MA67 NA05 NA10 NA12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光硬化性ゼラチンと、光反応性ラジカル
    発生剤との2種からなり、前記光硬化性ゼラチンに治療
    用物質を包埋させてなる医療用高分子ゲル化剤。
  2. 【請求項2】 病変組織に塗布された光硬化性ゼラチン
    が光反応性ラジカル発生剤であるカルボキシル化カンフ
    ァキノンまたはカンファキノンの存在下で可視光を照射
    されて前記病変組織に接着しゲル化した状態で治療用物
    質を徐放する請求項1に記載の医療用高分子ゲル化剤。
  3. 【請求項3】 治療用物質が生理活性物質である請求項
    1または請求項2に記載の医療用高分子ゲル化剤。
  4. 【請求項4】 治療用物質が生理活性物質の遺伝子を有
    するアデノウイルスである請求項1または請求項2に記
    載の医療用高分子ゲル化剤。
  5. 【請求項5】 治療用物質が生理活性物質の遺伝子を有
    するプラスミドである請求項1または請求項2に記載の
    医療用高分子ゲル化剤。
  6. 【請求項6】 光反応性ラジカル発生剤の存在下で局所
    に接着状態で硬化させた光硬化性ゼラチンゲルから予め
    該光硬化性ゼラチンゲルに包埋させた治療用物質を徐放
    させることを特徴とする局所に治療用物質を徐放する方
    法。
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