JP2003183577A - 有機−無機ハイブリッドハードコート塗料 - Google Patents

有機−無機ハイブリッドハードコート塗料

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JP2003183577A
JP2003183577A JP2001383696A JP2001383696A JP2003183577A JP 2003183577 A JP2003183577 A JP 2003183577A JP 2001383696 A JP2001383696 A JP 2001383696A JP 2001383696 A JP2001383696 A JP 2001383696A JP 2003183577 A JP2003183577 A JP 2003183577A
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hard coat
inorganic hybrid
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JP2001383696A
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English (en)
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Hidekazu Nakatani
秀和 中谷
Koji Kuraoka
孝治 藏岡
Toshikazu Hirota
俊積 広田
Tetsuo Yazawa
哲夫 矢澤
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面硬度、柔軟性、耐水性を兼ね備えた有機−
無機ハイブリッドハードコート塗料を提供する。 【解決手段】ポリシロキサンオリゴマーとフェニル基を
含む有機官能基を有するアルコキシシランとからゾル−
ゲル法により合成されるシロキサン重合体及びそのマト
リックス中に均一に分散されたフェニル基含有有機重合
体を含むことを特徴とする有機−無機ハイブリッドハー
ドコート塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種プラスチック
材料に有用な、表面硬度、柔軟性、耐水性を兼ね備えた
有機−無機ハイブリッドハードコート及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多種多様な熱可塑性プラスチック基材が
市販されており、どの材料を選ぶかはその材料のもって
いる性質によるところが大きい。例えば、ポリカーボネ
ートは、透明性、高い延性及び高い加熱撓み温度のみな
らず、寸法安定性という非常に魅力的な性質を有してい
ることが知られている。これらの材料の中で透明なもの
は、多種多様な用途でガラス代替物として使われてい
る。ポリカーボネート、アクリル樹脂等の熱可塑性プラ
スチックの多くは、ガラスに比べると相対的に軽量で破
砕し難いという利点をもつ。
【0003】しかし、プラスチック材料の多くは引掻傷
や摩耗を生じ易く、そのため透明度が減少してしまう傾
向にある。
【0004】熱可塑性プラスチック基材が損傷するのを
保護するための、一般的な方法としては保護コーティン
グを使用する。かかるコーティングは、往々にして耐摩
耗性を改良するためのケイ素化合物を含んでおり、通常
は熱硬化又はUV線で硬化される。コーティング材料は
UV吸収剤を含んでいてもよく、黄変の発生率を減少さ
せる。
【0005】最も一般的な保護コーティング系として
は、シラノール部分縮合物の低級脂肪族アルコール−水
混合溶液中のコロイダルシリカ分散液をベースとするも
のがある。シリカ分散液と各種シランを成分とする組成
物は、その他にも多数開発されている。それらの大半
は、保護コーティングの付着性を増すために、基材にプ
ライマー塗料を使う必要があった。そうしたプライマー
塗料は、一般に溶剤ブレンド中のポリアクリル樹脂等、
アクリル系のものであった。
【0006】例えば、特開平11−43646号公報に
は、ポリエステルポリオールやアクリルポリオールを、
コロイダルシリカ充填オルガノポリシロキサンハードコ
ート組成物用の付着性向上剤として使用する方法が記載
されており、アクリレート又はメタクリレートエステル
を含んだプライマーレスシリコーン系ハードコート組成
物等が提案されているものの、その表面硬度、柔軟性を
はじめとする諸物性はいまだ満足なものではなく、工業
的に普及するまでには至っていない。
【0007】シリコーンハードコート組成物は、その下
の基材を傷や分解から保護するものの、特に基材が建
材、自動車等幾多のより商業性の高い用途に使われるよ
うになったことで、さらに一段と優れた機能が要求され
ている。
【0008】シリコーンハードコートには、その他数多
くの要求性能が存在する。例えば、透明基材に対して用
いるときは、ハードコートは摩耗を受けた後も実質的に
透明のままでなければならない。さらに、ハードコート
は柔軟でなければならない。また、良好な歪−微小亀裂
特性を有していなければならないことも多々ある。さら
に、コーティングはプライマー層なしで良好な密着性を
示すことが望ましく、塗布及び硬化が比較的簡単である
方が好ましい。
【0009】これらの現状に鑑み、数多くのハードコー
ト材料が開発されてきた。例えば特開平3−28763
4号公報には、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸
エステル共重合体の被膜を介して、シリコーン系界面活
性剤を含むラダー型シリコーンオリゴマーの硬化被膜
を、ポリカーボネート成形品にコートしたものが開示さ
れている。このラダー型シリコーンオリゴマーは分子量
が高く、硬化時の体積減少が少ないことから、クラック
等の欠点は改良することができるが、ポリシロキサンの
重合度が高すぎるため、ポリカーボネートへの密着性に
乏しく、曲げに対する柔軟性も満足できるものではな
い。
【0010】このような欠点を改良したハードコート材
料として、有機−無機ハイブリッド高分子材料が挙げら
れる。その各成分の分散粒子径はサブミクロンからナノ
メーターオーダー以下であり、分子レベルでの分散も可
能である。その調製方法としては、有機単量体や有機重
合体と、アルキルシロキサンのような無機骨格含有化合
物とを、ラジカル共重合させる方法及び有機重合体に側
鎖としてアルコキシシランのような無機官能基を結合さ
せて、その後これを架橋させる方法等が知られている。
【0011】例えば、特開平8−104710号公報及
び特開平8−104711号公報には、アルコキシシリ
ル基末端アゾ系開始剤を用いてビニル単量体をラジカル
重合させ、得られるアルコキシシリル基末端ビニル重合
体を加水分解、縮合して有機−無機ハイブリッド高分子
材料を得る方法が記載されている。
【0012】これらには、ビニル重合体としてポリスチ
レン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂等が記載されてい
る。しかしながら、ビニル重合体はその含有量が多くな
ると耐熱性及び機械的強度が低下する。そのため、高性
能のハードコートを作るには成分のほとんどをシロキサ
ン結合にする方が望ましい。
【0013】Macromolecules、第25
巻、第4309頁、1992年には、ポリアルキレンオ
キサイドの主鎖にアルコキシシリル基を結合させ、次い
で加水分解、縮合する方法が記載されている。更に、M
acromol.Chem.Macromol.Sym
p.第42/43巻、第303頁、1991年には、上
記主鎖としてポリオキサゾリンが、そしてJ.App
l.Polym.Sci.第58巻、第1263頁、1
995年には、セルロース重合体が記載されている。し
かしながら、これら先行技術で主鎖として開示されてい
る重合体は全て親水性である。親水性重合体は、吸湿性
であり、耐水性に乏しいので、プラスチック成形品、シ
ーリング材、塗料の原料、構造材料及びハードコート材
等に用いるには不適切である。
【0014】重付加・重縮合等の共有結合を反応過程に
多く含む有機−無機ハイブリッド材料は、強固な結合力
が得られる反面、ラジカルによる反応制御の難しさや諸
物性の再現性が乏しいといった問題や、有機成分の縮合
に伴う体積変化が残留応力やひび割れの原因になるとい
った問題があった。
【0015】さらに、特開平11−302528号公報
には、ビスフェノールA類とエピハロヒドリン及びアル
コキシシラン類から、フェノキシ樹脂−ケイ素系ハイブ
リッド材料用溶液組成物を得る方法が記載されている。
【0016】これについては優れた硬度を有するもの
の、透明プラスチックに用いるのに非常に重要な要素で
ある柔軟性にはなお改良の余地があり、組成を変えるこ
とで硬度と柔軟性のバランスを広い範囲で調整するとい
う点でも十分とはいえない。
【0017】上記の問題を解決するために、優れた表面
硬度、曲げ柔軟性等の物性を備えた工業的に普及しうる
ハードコート膜及びその簡便かつ実用的な製造方法が切
望されていた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題を解決するものであり、その目的とするところは、
シリカマトリックス中に少量の有機高分子を均一に分散
させることで、表面硬度、曲げ柔軟性及び耐水性に優れ
た有機−無機ハイブリッドハードコート塗料及びその簡
便かつ実用的な製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、シリカマトリック
ス中に均一に分散させる有機高分子として、フェニル基
含有有機重合体を選択した場合、均一分散を確保するた
めには、ポリシロキサンオリゴマーからのゾル−ゲル法
によるシロキサン重合体マトリックスの形成に際し、フ
ェニル基を含む有機官能基を有するアルコキシシランの
使用が有効であることを見出し、本発明を完成した。本
発明の要旨は、ポリシロキサンオリゴマーとフェニル基
を含む有機官能基を有するアルコキシシランとからゾル
−ゲル法により合成されるシロキサン重合体及びそのマ
トリックス中に均一に分散されたフェニル基含有有機重
合体を含むことを特徴とする有機−無機ハイブリッドハ
ードコート塗料に存する。
【0020】本発明の有機−無機複合材料は、ポリシロ
キサンオリゴマーとフェニル基を含む有機官能基を有す
るアルコキシシランを、ゾル−ゲル法により加水分解、
重縮合することにより該フェニル基を含む有機官能基が
均一に分散したシロキサン重合体を得る工程及びフェニ
ル基含有有機重合体を該シロキサン重合体にπ−π電子
相互作用により均一に分散させる工程を包含する方法に
より製造されることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のハードコートの基本構造 本発明の有機−無機ハイブリッドハードコート塗料を製
造する好ましい態様においては、まず、ポリシロキサン
オリゴマーとフェニル基を含む有機官能基を分子内に少
なくとも1個有するアルコキシシランを有機溶剤中に溶
解させ、その状態でゾル−ゲル法によって加水分解、重
縮合する工程によりフェニル基を含む有機官能基で改質
されたシロキサン重合体を作製する。次に、この分散液
中にフェニル基含有有機重合体を投入し、よく混合する
工程により、π−π電子相互作用による均一分散した有
機−無機ハイブリッドハードコート塗料が得られる。
【0022】本発明において、π電子を含む有機官能基
を有するアルコキシシランは、ポリシロキサンオリゴマ
ーとフェニル基含有有機重合体とを、π−π電子相互作
用によりなじませる目的、すなわち界面改質剤として用
いるものである。
【0023】従って、フェニル基を含む有機官能基を有
するアルコキシシランは、一般には非相溶なポリシロキ
サンオリゴマーとフェニル基含有有機重合体の両者に親
和性を示す必要がある。また、本発明のハードコートで
は、シロキサン重合体の架橋密度を上げて表面硬度を上
げ、該フェニル基含有有機重合体の分散により柔軟性を
付与するという基本構造上、柔軟性に優れた高分子化合
物を用いることが好ましい。
【0024】フェニル基含有有機重合体 フェニル基含有有機重合体の主骨格としては、具体的に
は、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポ
リエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、
ポリエーテルサルホン、ポリフタルアミド、ポリフェニ
レンサルファイド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリ
エーテルイミド等の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマ
ー前駆体、又は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アク
リル樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂、
シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂前駆体等が挙げられ
る。
【0025】この中でも熱可塑性樹脂が好ましく、π−
π電子相互作用による親和性という点で、ポリスチレ
ン、ポリフェニレンエーテルがより好ましい。
【0026】フェニル基含有有機重合体は、上述したよ
うな重合体や前駆体の1成分を主骨格としたものでもよ
く、これら多成分の共重合体骨格でもよい。また、複数
種を混合したものでもよく、分岐状、線状いずれの形状
でもよい。フェニル基含有有機重合体はいかなる方法で
合成されたものであってもよい。
【0027】フェニル基含有有機重合体の分子量は、フ
ェニル基を含む有機官能基で改質されたシロキサン重合
体に良好な相溶性を示す程度とすることが好ましい。シ
リカマトリックスの網目に入ることが望ましいため、分
子量が大きすぎるのは好ましくない。すなわち、分子量
が大きすぎると相分離が起こりやすくなる。一方、分子
量が小さすぎると該フェニル基含有有機重合体成分の安
定性が低下し、揮散又は表面にブリードアウトしてくる
といった問題が出てくる。このため、一般にポリスチレ
ン換算のGPC重量平均分子量で約1000〜1000
00、好ましくは約1000〜10000の範囲である
のが望ましい。
【0028】ポリシロキサンオリゴマー フェニル基を含む有機官能基で改質されたシロキサン重
合体の原料となるポリシロキサンオリゴマーは、アルコ
キシシラン化合物を加水分解、重縮合して調製されたも
のでも、市販されているポリシロキサンオリゴマーを用
いても構わない。工程や合成に要する時間を大幅に削減
できるという点で市販されているポリシロキサンオリゴ
マーを用いることがより好ましい。
【0029】該ポリシロキサンオリゴマーは、ポリプロ
ピレングリコール換算のGPC重量平均分子量で約20
0〜5000、好ましくは約500〜2000の範囲で
あるのが望ましい。分子量が高すぎると、フェニル基を
含む有機官能基を有するアルコキシシラン成分がシロキ
サン重合体の中に均一に分散することを妨げ、表面及び
内部に存在する水酸基等が少なすぎるため、ポリカーボ
ネート等の基材への密着性に乏しく、好ましくない。さ
らに、曲げ柔軟性も低下してしまう。逆に分子量が低い
とゾル液の合成に時間がかかり、工業上望ましくない。
【0030】フェニル基を含む有機官能基を有するアル
コキシシラン フェニル基を含む有機官能基を有するアルコキシシラン
は、π−π電子相互作用によりフェニル基含有有機重合
体をシロキサン重合体中に均一に分散させるため、共役
・非共役を問わず少なくとも1つのπ電子を分子中に有
する必要がある。該アルコキシシランはいかなる方法で
合成されたものであってもよい。
【0031】また、該アルコキシシランは、フェニル基
含有有機重合体の主骨格と少なくともπ−π電子相互作
用を有するものであれば良く、必ずしも該有機高分子と
同一の骨格である必要はない。コスト面を考慮すると市
販されていることが望ましい。
【0032】該アルコキシシランとしては、π電子を含
む有機官能基さえ持っていればあらゆるタイプのもの
を、単独又は組み合わせて用いることができる。第1の
タイプは、フェニル基含有アルコキシシランであり、下
記式(1)で表される化合物である。 式(1): XaYbSi(OR)c [式中、Xは、フェニル基含有基、好ましくはフェニル
基、フェネチル基、フェノキシ基、フェノキシアルキル
基及びN−フェニルアミノアルキル基から選ばれる少な
くとも1種であり、Yは、炭素数1〜5のアルコキシ基
又は水酸基であり、Rは、1〜5のアルキル基であり、
複数個のX及びRは同一でも異なってもよい。aは、1
又は2であり、cは、2又は3であり、a+b+cは、
4である。]
【0033】フェニル基含有アルコキシシランについ
て、最も好ましいものを具体的に例示すれば、フェニル
トリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フ
ェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシ
シラン、フェノキシトリメトキシシラン、フェノキシト
リエトキシシラン、3−フェノキシプロピルトリメトキ
シシラン、3−フェノキシプロピルトリエトキシシラ
ン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、
N−フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン等のト
リアルコキシシラン類が挙げられる。
【0034】第2のタイプは、シランカップリング剤で
あり、ポリカーボネート等の基板にプライマーを用いる
ことなくコーティングする場合には、公知のシランカッ
プリング剤を目的に応じて用いることができる。それに
より密着性その他物性の調節が可能である。該シランカ
ップリング剤はコスト面を考慮すると市販されているこ
とが望ましい。例示すると、下記式(2)で表される化
合物である。 式(2): ZSi(OR)3 [Zは、カップリング性官能基、好ましくは(メタ)ア
クリル基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、
チオール基、ビニル基、カルボキシル基、酸ハロゲン化
物基、酸無水物基及びハロゲン基から選ばれる基であ
り、Rは、炭素数1〜5のアルキル基であり、複数個の
Rは同一でも異なってもよい。]
【0035】シランカップリング剤について、さらに具
体的に例示すれば、3−イソシアネートプロピルトリエ
トキシシラン、2−イソシアネートエチルトリn−プロ
ポキシシラン等のイソシアネート基を有する(アルキ
ル)アルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリ
エトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシブチ
ルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有する(アルキ
ル)アルコキシシラン、カルボキシメチルトリエトキシ
シラン等のカルボキシル基を有する(アルキル)アルコ
キシシラン、3−(トリエトキシシリル)−2−メチル
プロピルコハク酸無水物等の酸無水物基を有するアルコ
キシシラン、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)
エチルトリエトキシシラン等の酸ハロゲン化物基を有す
るアルコキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキ
シシランN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン等のアミノ基を有する(アルキル)アルコキシ
シラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等のチオール
基を有する(アルキル)アルコキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル
基を有する(アルキル)アルコキシシラン、3−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロ
キシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリル基を有
する(アルキル)アルコキシシラン、トリエトキシフル
オロシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、
3−ブロモプロピルトリエトキシシラン等のハロゲン基
を有する(アルキル)アルコキシシランを挙げることが
できる。
【0036】ゾル−ゲル法 ゾル−ゲル法による加水分解、重縮合とは、金属アルコ
キシド化合物又は金属アルコキシ基を有する重合体を水
と反応させることでアルコキシ基を水酸基に変換し、次
いでこの水酸基を同時進行的に重縮合させることにより
シラノール基(金属水酸化物基、例えば−SiOH)を
有する化合物又は重合体が脱水反応又は隣接した分子と
脱アルコール反応を生じ、無機的な共有結合を介して3
次元的に架橋する反応を言う。この際、重縮合反応は二
つのヒドロキシ金属基の脱水反応が最も起こりやすい
が、それだけではなく、他の水酸基やアミノ基、カルボ
キシル基等の活性水素を有する官能基とも起こりうる。
【0037】加水分解反応に用いられる水は、全てのア
ルコキシ基を水酸基に変換するために必要な量を添加し
てもよいし、反応系中の水分を利用したり、大気中の水
分を吸湿させて行ってもよい。反応条件としては、室温
〜80℃で1〜96時間程度が望ましい。またその際、
塩酸、硫酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエン
スルホン酸等の酸性触媒や水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、アンモニア、アンモニウム塩類、トリエチルア
ミン、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,
0]−7−ウンデセン(DBU)等の塩基性触媒、金属
系キレート触媒等を用いてもよい。
【0038】ゾル−ゲル反応に用いられる溶媒は、原料
であるポリシロキサンオリゴマー及びπ電子を含む有機
官能基を有するアルコキシシラン並びに合成されるシロ
キサン重合体及びフェニル基含有有機重合体を溶解しう
るものであれば、特に制限はない。具体的に例示すれ
ば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3
−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等
のエーテル系溶剤、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン
等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、
ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水
素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等の
エステル系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパ
ノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤及び上
記した溶剤の混合溶剤が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。一般的にはアルコール系溶剤のよう
な極性溶剤が用いられることが多いが、本発明のコート
液の合成では、フェニル基含有有機重合体とポリオルガ
ノシロキサンオリゴマーの溶解性の理由から、テトラヒ
ドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン
又はそれらを用いた混合溶媒を用いることが好ましい。
【0039】本発明における加水分解、重縮合過程で
は、ポリシロキサンオリゴマーとフェニル基を含む有機
官能基を有するアルコキシシランとを溶媒中であらかじ
め混合溶解した後、ゾル−ゲル反応を行ってもよいし、
先にどちらか一方の成分を加水分解した後、他方を添加
し、続けて加水分解を行ってもよい。いずれの場合にお
いても、添加水量はアルコキシ基が全てシロキサン結合
に変わるために要する最少の量(以下、化学量論比とい
う)に対し80から150%の範囲内にあることが望ま
しい。この範囲より小さいと加水分解が不十分になり、
逆に大きいとフェニル基含有有機重合体と比較的多量の
水を溶媒中に共存させることになるため、均一分散が難
しくなる。
【0040】さらに、先にフェニル基含有有機重合体を
溶媒中であらかじめ溶解した後、ポリシロキサンオリゴ
マーとフェニル基を含む有機官能基を有するアルコキシ
シランでゾル−ゲル反応を行ってもよい。この場合は、
まだゾル−ゲル反応に水が十分消費されていないため、
該有機高分子と比較的多量の水を溶媒中に共存させるこ
とになる。そのため、添加水量を少な目に抑える必要が
あり、シロキサン結合の高密度化及び該有機高分子の均
一分散には一般にやや不利となる。以上のような方法に
よって得られた液をコート液という。
【0041】各成分の重量組成 ポリシロキサンオリゴマーの重量:π電子を含む有機官
能基を有するアルコキシシラン(フェニル基含有アルコ
キシシラン及びシランカップリング剤を含む)の全重量
の比率は、要求物性に応じて変化するが、一般に好まし
くは95:5〜20:80、より好ましくは90:10
〜25:75である。ポリシロキサンオリゴマーの使用
量が少なすぎると表面硬度が不十分となるために材料の
特性が低下する。また、ポリシロキサンオリゴマーの使
用量が多すぎるとひび割れが発生し易くなり、フェニル
基含有有機重合体の均一分散が難しくなる上、密着性・
柔軟性といった特性付与が難しくなる。
【0042】シランカップリング剤に対するフェニル基
含有アルコキシシランの重量比については特に制限が無
く、これも要求物性に応じて変化する。材料への特性付
与という点を考慮するとフェニル基含有アルコキシシラ
ン成分の含有率は、ゾル−ゲル法によるシロキサン重合
体合成時に添加するπ電子を含む有機官能基を有するア
ルコキシシランの全重量に対し5%以上であることが望
ましい。
【0043】フェニル基含有有機重合体の添加量は特に
制限はなく、最も好ましい範囲は濃度・添加水量等によ
っても変化するが、硬度・透明性・均一性を考慮すると
コート液の総重量に対し10%未満であることが好まし
い。また、有機高分子の添加は比較的微量でも効果が得
られるが、材料への特性付与という点を考慮すると0.
1%以上であることが好ましい。
【0044】硬化塗膜 本発明におけるハードコート液を基材に塗布する方法に
は特に制限は無く、当業者にとって一般的な方法で良好
な製膜が可能である。例示的な技術としては、スプレー
塗、浸漬塗、ローラー塗、流し塗り等がある。更に縮合
反応を進め、架橋をより強固なものとしたい場合には、
様々な方法で硬化し得る。例えば、熱硬化又は赤外若し
くはマイクロ波エネルギーを利用した硬化等である。熱
硬化を例にとると、80〜200℃で10分〜4時間程
度の熱処理を行うことが好ましい。熱硬化段階中に、重
合、縮合及び部分縮合物の架橋が起こって塗膜を形成す
る。塗膜の厚さは、物品の最終用途によるところが大き
い。硬化後の厚さは、普通約1μm〜約15μmの範囲
内であり、好ましくは約2μm〜約10μmである。基
材としては、各種素材、形態のものに適用可能である
が、硬化塗膜が透明であることを考慮すると、プラスチ
ック基材、中でも透明プラスチック基材に好適である。
具体的には、ポリカーボネート樹脂シート、ポリ(メ
タ)アクリル樹脂シート又はポリカーボネート樹脂層の
片面若しくは両面に(メタ)アクリル樹脂層を設けた複
合シートの表面に硬化被膜を形成したプラスチック積層
体とするのに適している。
【0045】本発明における塗布に到るまでの全ての工
程において、硬化塗膜に強度、表面硬度、耐候性、耐薬
品性、難燃性、帯電防止性等の機能を向上又は新たに付
与する目的で、ヒドロキシベンゾフェノン類、ベンゾト
リアゾール類、シアノアクリレート類、ベンジリデンマ
ロネート類及びトリアジン類等の紫外線吸収剤を、ま
た、無機物含有量や重合体間の架橋密度を調整するため
に、Si、Ti、Zr、Fe、Cu、Sn、B、Al、
Ge、Ce、Ta、W等の金属、金属酸化物、金属錯
体、無機塩、シラザン類等を共存させてもよい。また、
ゲル化、乾燥、熱処理の際に生じる可能性があるクラッ
クを抑制するために、ホルムアミドやジメチルホルムア
ミド、ジオキサン、シュウ酸等を乾燥抑制剤として加え
てもよいし、添加物としてアセチルアセトン等を加えて
もよい。
【0046】本発明の有機−無機ハイブリッドハードコ
ート(硬化塗膜)には、無機材料が有する表面硬度、耐
水性、機械的強度、耐熱性、耐候性、剛性、耐薬品性、
耐汚染性、難燃性等の特性を維持したまま、有機重合体
が有する柔軟性、耐衝撃性等の特性が良好に付与されて
おり、しかも構成成分の割合を変えることで硬度と柔軟
性のバランスを比較的広い範囲で調節が可能である。
【0047】このようにして得た有機−無機ハイブリッ
ドハードコート(硬化塗膜)は、シリカマトリックスの
表面に有機重合体が共有結合したものに比べて、重付加
・重縮合等の反応過程を含まないため、ラジカル反応に
よる制御の難しいことや諸物性の再現性が乏しいといっ
た問題ならびに有機成分の縮合に伴う体積変化が残留応
力やひび割れの原因になるといった問題を克服するもの
であり、フェニル基含有有機重合体がπ電子を含む有機
官能基が均一に分散したシロキサン重合体にπ−π電子
相互作用により均一に分散した高性能、高機能な材料と
なる。
【0048】また、π−π電子相互作用を用いることで
水素結合を用いる系で問題となる耐水性の不足を解決で
きるため、ハードコート塗料として用いるのに好適であ
る。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。
【0050】[コーティング用基板]ポリカーボネート
板は、厚さ0.5mmの市販品(三菱エンジニアリング
プラスチックス製、ユーピロンシート NF−200
0)を用いた。また、ポリカーボネート/アクリル共押
出板については、PMMA(アトフィナ製、アトグラス
V−020)とポリカーボネート(三菱エンジニアリン
グプラスチックス製、ユーピロンE−2000U)を原
料として、フィードブロック式ダイを用いて共押出シー
トとしたものを用いた。該基板の表層アクリル厚さは約
20μm、全体の厚さは約0.5mmであった。また、
共押出板についてはすべてアクリル面に塗装を行ってい
る。
【0051】[塗料の組成設計]本明細書では、ポリカ
ーボネート/アクリル共押出板に塗布する塗料について
のみ、組成を変えて高硬度型(合成例2及び3)と柔軟
型(それ以外全部)の2種類を例示している。ただし、
これらの硬度及び柔軟性といった物性は最高限度ではな
く、透明プラスチック基板にコートすることを考慮した
範囲でバランスをとって組成設計したものである。した
がって、組成の変更によりもっと極端に硬く又は柔らか
く物性を偏らせることは可能である。また、ポリカーボ
ネート板に塗布するコート液についても同様である。
【0052】[物性評価試験片の作製]ポリカーボネー
ト板及びポリカーボネート/アクリル共押出板は、とも
に50×40mmの大きさに切断後、片面のみマスキン
グフィルムを剥がして塗料に含浸し、引き上げ速度5m
m/sで引き上げてコーティングを行った。その後、1
30℃で2時間加熱硬化して塗膜を作り、これを試験片
とした。塗膜の膜厚は研磨により塗装面に垂直に切り出
した断面の走査型電子顕微鏡写真により測定した。
【0053】[碁盤目剥離試験]密着性を評価するため
の碁盤目剥離試験は、JIS K 5400を参考にし
て煮沸試験の前後に行った。まず、試験片にカッターナ
イフを用いて直交する縦横6本ずつの平行線を2mm間
隔で引き、碁盤目状に25個のマス目を作製した。次
に、これらのます目の上に粘着テープ(ニチバン社製
「セロハンテープ」)を貼り付け密着させた後、粘着テ
ープを瞬時に引き剥がし、試験片のコート層の剥離状態
を観察した。結果は剥がれずに残ったマス目の数で表示
した。
【0054】[煮沸試験]煮沸試験はJIS K 54
00により95℃で2時間の煮沸前述の条件で熱衝撃試
験を行い、外観の変化を確認した。その後、再び碁盤目
剥離試験を行い、試験片のコート層の剥離状態を観察し
た。
【0055】[鉛筆硬度試験]鉛筆硬度の測定は鉛筆引
掻試験JIS K 5400を参考にして行い、装置は
テスター産業製クレメンス引掻硬度試験機、鉛筆は三菱
鉛筆製のuni鉛筆を用いた。測定条件は試料台の移動
速度30mm/分、荷重1.00kgとした。
【0056】[光学特性]光学特性については、コート
層の付いた試験片に対し、色差・濁度測定器(日本電色
工業製COH−300A)を用いて全光線透過率(以下
T)、濁度(以下H)、黄変度(以下YI)を測定し
た。
【0057】[曲げ柔軟性]曲げ柔軟性は、SUS30
4丸棒で180°曲げ加工してクラックの発生が生じな
い丸棒の最低半径として表示した。
【0058】[ポリカーボネート/アクリル共押出板−
実施例] 合成例1 ポリシロキサンオリゴマー(三菱化学製、MKCオリゴ
マーMS56S)15g、フェニルトリメトキシシラン
(信越化学製、品番LS−2750)5g、3−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ製、サイラ
エース S710)28gをテトラヒドロフラン44g
に溶解した後、水8.11g、60%硝酸0.39gを
入れ、60℃に加熱しながら1日反応させる。その後、
ポリスチレン(三洋化成製、ハイマーSB75:重量平
均分子量約2000)0.5gを加えて1日撹拌するこ
とにより、有機−無機ハイブリッドハードコート塗料を
得た。該コート液は無色透明で外観の良好な均一溶液で
あった。
【0059】実施例1 上述のポリカーボネート/アクリル共押出板に、合成例
1で得られた塗料により塗膜を得た。その膜厚は3.4
μm、光学特性(T=91.3%、H=0.1%、YI
=2.1)、密着性25、鉛筆硬度H、曲げ柔軟性10
Rであった。さらに、95℃の熱水に2時間浸漬しても
密着性、外観ともに良好であった。
【0060】合成例2 ポリシロキサンオリゴマー(三菱化学製、MKCオリゴ
マーMS56S)25g、フェネチルトリメトキシシラ
ン(チッソ製、品番SIP6722.6)7g、3−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ製、サ
イラエース S710)15gを1,4−ジオキサン4
4gに溶解した後、水8.11g、60%硝酸0.39
gを入れ、60℃に加熱しながら1日反応させる。その
後、ポリスチレン(三洋化成製、ハイマーSB75:重
量平均分子量約2000)0.5gを加えて1日撹拌す
ることにより、有機−無機ハイブリッドハードコート塗
料を得た。該コート液は無色透明で外観の良好な均一溶
液であった。
【0061】実施例2 上述のポリカーボネート/アクリル共押出板に、合成例
2で得られた塗料により塗膜を得た。その膜厚は3.8
μm、光学特性(T=91.0%、H=0.2%、YI
=2.3)、密着性25、鉛筆硬度2H、曲げ柔軟性1
2.5Rであった。さらに、95℃の熱水に2時間浸漬
しても密着性、外観ともに良好であった。
【0062】合成例3 合成例1で用いたポリスチレンの代わりに、同量のポリ
2,6−ジメチルポリフェニレンエーテル(三菱ガス化
学製試作品:重量平均分子量約2600)を用いた以外
は合成例1と全く同じ条件でコート液の合成を行ったと
ころ、無色透明で外観の良好な均一分散した溶液が得ら
れた。なお、上記ポリフェニレンエーテルは、通常の
2,6−キシレノールの酸化カップリング反応により合
成されたものである。
【0063】実施例3 上述のポリカーボネート/アクリル共押出板に、合成例
3で得られた塗料により塗膜を得た。その膜厚は3.5
μm、光学特性(T=89.9%、H=0.9%、YI
=2.9)、密着性25、鉛筆硬度H、曲げ柔軟性10
Rであった。さらに、95℃の熱水に2時間浸漬しても
密着性、外観ともに良好であった。すなわち、実施例1
と比較して目視では分からない程度のわずかな透明度の
低下が確認されたが、その他全ての評価物性に差は見ら
れず、良好な塗膜が得られた。
【0064】[ポリカーボネート/アクリル共押出板−
比較例] 合成例4 合成例1で用いたポリスチレンを添加しなかった以外は
合成例1と全く同じ条件でコート液の合成を行ったとこ
ろ、無色透明で外観の良好な均一分散した溶液が得られ
た。
【0065】比較例1 上述のポリカーボネート/アクリル共押出板に合成例4
で得られた塗料により塗膜を得た。その膜厚は3.2μ
m、光学特性(T=91.1%、H=0.2%、YI=
2.3)、密着性25、鉛筆硬度H、曲げ柔軟性15R
であった。さらに、95℃の熱水に2時間浸漬しても密
着性、外観ともに良好であった。すなわち、実施例1に
比べて曲げ柔軟性の低下が確認された。
【0066】合成例5 合成例1で用いたフェニルトリメトキシシランの代わり
に同量のメチルトリメトキシシラン(チッソ製、D03
1A)を添加した以外は合成例1と全く同じ条件でコー
ト液の合成を行った。この場合も無色透明で外観の良好
な均一分散した溶液が得られた。
【0067】比較例2 ポリカーボネート/アクリル共押出板(三菱エンジニア
リングプラスチックス製、ユーピロンシート 厚さ0.
5mm)に、合成例5で得られた塗料により塗膜を得
た。その膜厚は3.3μm、光学特性(T=89.9
%、H=0.6%、YI=2.4)、密着性25、鉛筆
硬度H、曲げ柔軟性15Rであった。さらに、95℃の
熱水に2時間浸漬しても密着性、外観ともに良好であっ
た。すなわち、実施例1に比べて柔軟性の低下が確認さ
れたものの、比較例1とは差が見られなかった。この結
果はπ電子を有する有機官能基により置換されたアルコ
キシシランとフェニル基含有有機重合体が共存すること
によってはじめて均一な分散による柔軟性の付与効果が
みられることを示している。
【0068】合成例6 合成例2で用いたポリスチレンを添加しなかった以外は
合成例2と全く同じ条件でコート液の合成を行ったとこ
ろ、無色透明で外観の良好な均一分散した溶液が得られ
た。
【0069】比較例3 上述のポリカーボネート/アクリル共押出板に、合成例
6で得られた塗料により塗膜を得た。その膜厚は3.6
μm、光学特性(T=91.2%、H=0.2%、YI
=2.2)、密着性25、鉛筆硬度2H、曲げ柔軟性2
0Rであった。さらに、95℃の熱水に2時間浸漬して
も密着性、外観ともに良好であった。すなわち、実施例
2に比べて曲げ柔軟性の低下が確認された。
【0070】[ポリカーボネート板−実施例] 合成例7 ポリシロキサンオリゴマー(三菱化学製、MKCオリゴ
マーMS56S)19g、N−フェニルアミノトリメト
キシシラン(チッソ製、品番SIP6724.0)7g、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ
製、サイラエースS510)21gをテトラヒドロフラ
ン44gに溶解した後、水7.78g、60%硝酸0.
39gを入れ、60℃に加熱しながら1日反応させる。
その後、ポリスチレン(三洋化成製、ハイマーSB7
5:重量平均分子量約2000)0.5gを加えて1日
撹拌することにより、有機−無機ハイブリッドハードコ
ート塗料を得た。該コート液は無色透明で外観の良好な
均一溶液であった。
【0071】実施例4 上述のポリカーボネート板を、合成例7で得られた塗料
により塗膜を得た。その膜厚は3.4μm、光学特性
(T=90.5%、H=0.3%、YI=2.1)、密
着性25、鉛筆硬度H、曲げ柔軟性12.5Rであっ
た。さらに、95℃の熱水に2時間浸漬しても密着性、
外観ともに良好であった。
【0072】合成例8 合成例7で用いたポリスチレンをより高分子量のポリス
チレン(三洋化成製、ハイマーST95:重量平均分子
量約4000)とした以外は合成例7と全く同じ条件で
コート液の合成を行ったところ、無色透明で外観の良好
な均一分散した溶液が得られた。
【0073】実施例5 上述のポリカーボネート板を、合成例8で得られた塗料
により塗膜を得た。その膜厚は3.6μm、光学特性
(T=90.3%、H=0.2%、YI=2.5)、密
着性25、鉛筆硬度H、曲げ柔軟性12.5Rであっ
た。さらに、95℃の熱水に2時間浸漬しても密着性、
外観ともに良好であった。すなわち、実施例4と全評価
物性に差は見られなかった。
【0074】[ポリカーボネート板−比較例] 合成例9 合成例7で用いたポリスチレンを大幅に高分子量のポリ
スチレン(ナカライテスク製、GPC用標準試薬:重量
平均分子量約170000)とした以外は合成例7と全
く同じ条件でコート液の合成を行った。しかし、樹脂の
溶解性・分散性が低く、均一分散した溶液が得られなか
った。
【0075】比較例4 上述のポリカーボネート板を、合成例9で得られた塗料
により塗膜を得た。その塗膜は均一ではなく、微量では
あるがポリスチレンが分離して存在していた。相分離に
よる外観不良のためそれ以上の評価は行わなかった。参
考までに光学特性を測定したところ(T=88.3%、
H=1.2%、YI=2.8)であった。
【0076】合成例10 合成例7と同じポリスチレンの添加量を10gとした以
外は合成例7と全く同じ条件でコート液の合成を行っ
た。しかし、樹脂の溶解性・分散性が低く、均一分散し
た溶液が得られなかった。
【0077】比較例5 上述のポリカーボネート板を合成例10で得られた塗料
により塗膜を得た。その塗膜は均一ではなく、白化が見
られた。外観不良によりそれ以上の評価は行わなかっ
た。参考までに光学特性を測定したところ(T=82.
2%、H=44.5%、YI=3.3)であった。
【0078】合成例11 合成例7で用いたポリスチレンの代わりにポリエチレン
グリコール(純正化学製:分子量4000)を用いた以
外は合成例7と全く同じ条件でコート液の合成を行った
ところ無色透明で外観の良好な均一分散した溶液が得ら
れた。
【0079】比較例6 上述のポリカーボネート板を、合成例11で得られた塗
料により塗膜を得た。その膜厚は3.5μm、光学特性
(T=90.2%、H=0.1%、YI=2.0)、密
着性25、鉛筆硬度H、曲げ柔軟性12.5Rであっ
た。しかし、95℃の熱水に2時間浸漬した結果、自然
剥離し、外観も白化していた。親水性重合体のもつ吸水
性のために耐水性に乏しい塗膜になったものと考えられ
る。
【0080】合成例12 合成例7で用いたポリスチレンの代わりにスチレン(純
正化学製)とした以外は合成例7と全く同じ条件でコー
ト液の合成を行ったところ、無色透明で外観の良好な均
一分散した溶液が得られた。
【0081】比較例7 上述のポリカーボネート板を、合成例12で得られた塗
料により塗膜を得た。その膜厚は3.4μm、光学特性
(T=88.6%、H=0.2%、YI=2.0)、密
着性25、鉛筆硬度H、曲げ柔軟性15Rであった。こ
の柔軟性の低下は加熱硬化時にスチレンがブリードアウ
ト及び揮散により失われたためと考えられる。さらに、
95℃の熱水に2時間浸漬しても密着性が損なわれるこ
とはなかったが、外観は白化していた。この現象はスチ
レンが抜けた微細な孔に水分が入り込んだためと考えら
れる。このように分子量が小さすぎるとフェニル基含有
高分子成分の安定性が低下する。
【0082】合成例13 合成例7で用いた3−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン(チッソ製、サイラエース S510)の代わり
にメチルトリメトキシシラン(チッソ製、D031A)を
添加した以外は合成例7と全く同じ条件でコート液の合
成を行った。この場合も無色透明で外観の良好な均一分
散した溶液が得られた。
【0083】比較例8 上述のポリカーボネート板を、合成例13で得られた塗
料により塗膜を得た。その膜厚は3.4μm、光学特性
(T=90.3%、H=0.3%、YI=2.2)、密
着性0であった。密着性が不十分であるため、鉛筆硬
度、曲げ柔軟性については評価を行わなかった。この密
着性の低下はコート液中に十分なシランカップリング剤
が無いため、塗膜とポリカーボネートとの間にテープ剥
離に耐える密着性が得られなかったことを示している。
【0084】理解を助けるため、上述のポリカーボネー
ト/アクリル共押出板のアクリル表面に塗装した塗料組
成を表1、ポリカーボネート/アクリル共押出板のアク
リル表面に塗装した場合の実施例及び比較例を表2に示
した。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】さらに、上述のポリカーボネート板の表面
に塗装した塗料組成を表3、ポリカーボネート表面に塗
装した場合の実施例及び比較例を表4に示した。
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【発明の効果】本発明の有機−無機ハイブリッドハード
コート塗料は、π電子を含む有機官能基を有するアルコ
キシシランと共存させることにより、少量のフェニル基
含有有機重合体の添加で外観・硬度を損なうことなく、
柔軟性・耐水性の付与を可能にした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 125/06 C09D 125/06 171/12 171/12 201/02 201/02 // C08L 33:10 C08L 33:10 (72)発明者 藏岡 孝治 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 独立行 政法人産業技術総合研究所 関西センター 内 (72)発明者 広田 俊積 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱瓦斯化学株式会社平塚研究所内 (72)発明者 矢澤 哲夫 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 独立行 政法人産業技術総合研究所 関西センター 内 Fターム(参考) 4D075 BB26Z CA02 CA03 CA13 CA38 DA06 DB43 DB48 DC01 DC13 DC24 EB14 EB22 EB32 EB33 EB35 EB39 EB43 EB44 EB52 EB56 EC45 EC54 4F006 AA22 AA36 AB39 BA02 CA00 DA04 4F100 AK12A AK25B AK45C AK52A AK54A BA03 BA07 BA10A BA10C CA30A EH46A EJ05A GB07 GB32 JB07 JK12 JK17 JM01A JM10A JN01 YY00A 4J038 CC032 DF062 DL031 DL032 EA012 GA05 GA09 GA15 JC32 JC34 JC35 JC36 KA03 KA09 MA14 NA04 NA11 PC08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリシロキサンオリゴマーとフェニル基を
    含む有機官能基を有するアルコキシシランとからゾル−
    ゲル法により合成されるシロキサン重合体及びそのマト
    リックス中に均一に分散されたフェニル基含有有機重合
    体を含むことを特徴とする有機−無機ハイブリッドハー
    ドコート塗料。
  2. 【請求項2】前記フェニル基を含む有機官能基を有する
    アルコキシシランが、フェニル基含有アルコキシシラン
    である請求項1に記載の有機−無機ハイブリッドハード
    コート塗料。
  3. 【請求項3】前記フェニル基を含む有機官能基を有する
    アルコキシシランが、フェニル基含有アルコキシシラン
    及びシランカップリング剤であることを特徴とする請求
    項2に記載のプライマーレス有機−無機ハイブリッドハ
    ードコート塗料。
  4. 【請求項4】前記アルコキシシランの有するフェニル基
    を含む有機官能基が、フェニル基、フェネチル基、フェ
    ノキシ基、フェノキシアルキル基又はN−フェニルアミ
    ノアルキル基から選ばれることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の有機−無機ハイブリッドハー
    ドコート塗料。
  5. 【請求項5】前記フェニル基含有有機重合体の主骨格
    が、ポリスチレン又はポリフェニレンエーテルであるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有
    機−無機ハイブリッドハードコート塗料。
  6. 【請求項6】前記フェニル基含有有機重合体の添加量
    が、コート液の総重量に対し0.1%以上10%未満の
    範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1
    項に記載の有機−無機ハイブリッドハードコート塗料。
  7. 【請求項7】前記フェニル基含有有機重合体の重量平均
    分子量が、1000〜100000であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機−無機ハ
    イブリッドハードコート塗料。
  8. 【請求項8】プラスチック基材表面に、請求項1〜7の
    いずれか1項に記載の有機−無機ハイブリッドハードコ
    ート塗料を塗布し、硬化してなるプラスチック積層体。
  9. 【請求項9】プラスチック基材が、ポリカーボネート樹
    脂シート、ポリ(メタ)アクリル樹脂シート又はポリカ
    ーボネート樹脂層の片面若しくは両面に(メタ)アクリ
    ル樹脂層を設けた複合シートであることを特徴とする請
    求項8に記載のプラスチック積層体。
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