JP2003188006A - 希土類磁石用合金薄片、その製造方法、希土類焼結磁石用合金粉末、希土類焼結磁石、ボンド磁石用合金粉末およびボンド磁石 - Google Patents

希土類磁石用合金薄片、その製造方法、希土類焼結磁石用合金粉末、希土類焼結磁石、ボンド磁石用合金粉末およびボンド磁石

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】鋳造されたR−T−B系合金塊中での微細Rリ
ッチ相領域の生成を抑制し、均質性に優れた組織を有す
る合金塊を製造することにより、磁石中のRリッチ相の
分布を均質とし、磁石特性の優れた希土類磁石を提供す
る。 【解決手段】鋳造用回転ロール3の表面に細かな凸凹を
形成し、合金の溶湯1の粘性により、溶湯が鋳造用回転
ロール表面の細かな凸凹に完全には入り込まないように
する。その結果、合金4の鋳型面側が過度に急冷される
ことがなくなり、微細Rリッチ相領域の生成が抑制でき

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はR−T−B系合金
(但し、RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1
種、TはFeを必須とする遷移金属、Bは硼素であ
る。)からなる希土類磁石用合金薄片、その製造方法、
希土類焼結磁石用合金粉末、希土類焼結磁石、ボンド磁
石用合金粉末およびボンド磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、希土類磁石用合金としてNd−F
e−B系合金がその高特性から急激に生産量を伸ばして
おり、HD(ハードディスク)用、MRI(磁気共鳴映
像法)用あるいは、各種モーター用等に使用されてい
る。通常は、Ndの一部をPr、Dy等の他の希土類元
素で置換したものや、Feの一部をCo、Ni等の他の
遷移金属で置換したものが一般的であり、Nd−Fe−
B系合金を含め、R−T−B系合金と総称されている。
ここで、RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種
である。また、TはFeを必須とする遷移金属であり、
Feの一部をCoあるいはNiで置換することができ、
添加元素としてCu、Al、Ti、V、Cr、Mn、N
b、Ta、Mo、W、Ca、Sn、Zr、Hfなどを1
種または複数組み合わせて添加してもよい。Bは硼素で
あり、一部をCまたはNで置換できる。
【0003】R−T−B系合金は、磁化作用に寄与する
強磁性相であるR214B相からなる結晶を主相とし、
非磁性で希土類元素の濃縮した低融点のR−リッチ相が
共存する合金で、活性な金属であることから一般に真空
又は不活性ガス中で溶解や鋳造が行われる。また、鋳造
されたR−T−B系合金塊から粉末冶金法によって焼結
磁石を作製するには、合金塊を3μm(FSSS:フィ
ッシャーサブシーブサイザーでの測定)程度に粉砕して
合金粉末にした後、磁場中でプレス成形し、焼結炉で約
1000〜1100℃の高温にて焼結し、その後必要に
応じ熱処理、機械加工し、さらに耐食性を向上するため
にメッキを施し、焼結磁石とするのが普通である。
【0004】R−T−B系合金からなる焼結磁石におい
て、R−リッチ相は、以下のような重要な役割を担って
いる。 1)融点が低く、焼結時に液相となり、磁石の高密度
化、従って磁化の向上に寄与する。 2)粒界の凹凸を無くし、逆磁区のニュークリエーショ
ンサイトを減少させ保磁力を高める。 3)主相を磁気的に絶縁し保磁力を増加する。 従って、成形した磁石中のR−リッチ相の分散状態が悪
いと局部的な焼結不良、磁性の低下をまねくため、成形
した磁石中にR−リッチ相が均一に分散していることが
重要となる。ここでR―リッチ相の分布は、鋳造された
際のR−T−B系合金塊の組織に大きく影響される。
【0005】また、R−T−B系合金の鋳造において生
じるもう一つの問題は、鋳造された合金塊中にα―Fe
が生成することである。α―Feは、合金塊を粉砕する
際の粉砕効率の悪化をもたらし、また焼結後も磁石中に
残存すれば、磁石の磁気特性の低下をもたらす。そこで
従来の合金塊では、必要に応じ高温で長時間にわたる均
質化処理を行い、α―Feの消去を行っていた。
【0006】この鋳造されたR−T−B系合金塊中にα
−Feが生成する問題を解決するため、より速い冷却速
度で合金塊を鋳造する方法として、ストリップキャスト
法(SC法と略す。)が開発され実際の工程に使用され
ている。SC法は内部が水冷された銅ロール上に溶湯を
流し、0.1〜1mm程度の薄片を鋳造することによ
り、合金を急冷凝固させるものであり、α‐Feの析出
を抑制することができる。さらに合金塊の結晶組織が微
細化するため、R−リッチ相が微細に分散した組織を有
する合金を生成することが可能となる。このように、S
C法で鋳造された合金は、内部のR−リッチ相が微細に
分散しているため、粉砕、焼結後の磁石中のR−リッチ
相の分散性も良好となり、磁石の磁気特性の向上に成功
している。(特開平5−222488号公報、特開平5
−295490号公報)
【0007】またSC法により鋳造された合金塊は、組
織の均質性も優れている。組織の均質性は、結晶粒径や
Rリッチ相の分散状態で比較することが出来る。SC法
で作製した合金薄片では、合金薄片の鋳造用ロール側
(以降、鋳型面側とする)にチル晶が発生することもあ
るが、全体として急冷凝固でもたらされる適度に微細で
均質な組織を得ることが出来る。
【0008】以上のように、SC法で鋳造したR−T−
B系合金は、Rリッチ相が微細に分散し、α−Feの生
成も抑制されているため、焼結磁石を作製する場合に
は、最終的な磁石中のRリッチ相の均質性が高まり、ま
たα−Feに起因する粉砕、磁性への弊害を防止するこ
とができる。このように、SC法で鋳造したR−T−B
系合金塊は、焼結磁石を作製するため優れた組織を有し
ている。しかし、磁石の特性が向上するにつれて、ます
ます原料合金塊の組織に均質性の向上が求められるよう
になってきている。
【0009】そのため、例えば特開平10−31711
0号公報には、鋳造されたR−T−B系合金の鋳型面側
のチル晶の面積比率を5%以下にすることで、磁石特性
の良好な焼結磁石を作製している技術が開示されてい
る。チル晶部は粉砕工程で粒径1μm以下の微細粉末と
なるため、合金粉末の粒度分布を乱し、磁性を悪化させ
ると考えられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、鋳造さ
れたR−T−B系合金塊の組織と、水素解砕や微粉砕の
際の挙動との関係を研究した結果、焼結磁石用の合金粉
末の粒度を均一に制御するためには、合金塊の結晶粒径
よりもRリッチ相の分散状態を制御することが重要であ
ることを見出した。そして、合金塊中のチル晶の体積率
は現実には数%以下であり、チル晶による弊害よりも、
合金塊中の鋳型面側に生成されるRリッチ相の分散状態
が極端に細かな領域(微細Rリッチ相領域)の方が、磁
石用粉末の粒度を制御するためには影響が大きいことを
見出した。すなわち、合金塊の組成や製造条件によりR
−T−B系合金塊中のチル晶を少なくした場合でも、微
細Rリッチ相領域の体積率が50%を超える場合もある
こと、そしてこの微細Rリッチ相領域が磁石用合金粉末
の粒度分布を乱すことを確認し、微細Rリッチ相領域を
減少させることが磁石特性を向上させるために必要であ
ることを確認した。
【0011】そこで本発明は、鋳造されたR−T−B系
合金塊中での微細Rリッチ相領域の生成を抑制し、均質
性に優れた組織を有する合金塊を製造することにより、
磁石中のRリッチ相の分布を均質とし、磁石特性の優れ
た希土類磁石を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、SC法に
おける鋳造条件、特に鋳造用回転ロールの表面状態を変
更し、R−T−B系合金薄片中の微細Rリッチ相領域が
生成する体積率を比較した。すると合金薄片の鋳型面側
表面の表面粗さと微細Rリッチ相領域が生成する体積率
に関係があることを見出した。本発明は、本発明者らが
上記の知見に基づき為したものである。
【0013】すなわち本発明は、 (1)R−T−B系合金(但し、RはYを含む希土類元
素のうち少なくとも1種、TはFeを必須とする遷移金
属、Bは硼素。)からなる希土類磁石用合金薄片におい
て、厚さが0.1mm以上0.5mm以下であり、該合
金薄片の少なくとも片面の表面粗さが十点平均粗さ(R
z)で5μm以上50μm以下であることを特徴とする
希土類磁石用合金薄片。 (2)該合金薄片の少なくとも片面の表面粗さが十点平
均粗さ(Rz)で7μm以上25μm以下であることを特
徴とする上記(1)に記載の希土類磁石用合金薄片。 (3)合金中の微細Rリッチ相領域の体積率が20%以
下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載
の希土類磁石用合金薄片。 (4)ストリップキャスト法によるR−T−B系合金か
らなる希土類磁石用合金薄片の製造方法において、鋳造
用回転ロールの鋳造面の表面粗さを十点平均粗さ(Rz)
で5μm以上100μm以下とすることを特徴とする希
土類磁石用合金薄片の製造方法。 (5)ストリップキャスト法によるR−T−B系合金か
らなる希土類磁石用合金薄片の製造方法において、鋳造
用回転ロールの鋳造面の表面粗さを十点平均粗さ(Rz)
で5μm以上100μm以下とすることを特徴とする上
記(1)ないし(3)に記載の希土類磁石用合金薄片の
製造方法。 (6)鋳造用回転ロールの鋳造面の表面粗さを十点平均
粗さ(Rz)で10μm以上50μm以下とすることを特
徴とする上記(4)または(5)に記載の希土類磁石用
合金薄片の製造方法。 (7)上記(1)ないし(3)に記載の希土類磁石用合
金薄片に水素解砕工程を施した後にジェットミル粉砕す
ることで作製される希土類焼結磁石用合金粉末。 (8)上記(7)に記載の希土類磁石用合金粉末から粉
末冶金法で製造される希土類焼結磁石。 (9)上記(1)ないし(3)に記載の希土類磁石用合
金薄片を用いて、HDDR法で製造したボンド磁石用合
金粉末。 (10)上記(9)に記載のボンド磁石用合金粉末を用
いて作製されるボンド磁石。 である。
【0014】
【発明の実施の形態】従来のSC法により鋳造されたN
d−Fe−B系合金(Nd31.5質量%)の薄片の断
面をSEM(走査電子顕微鏡)にて観察した時の反射電
子像を図1に示す。図1で左側が鋳型面側、右側が自由
面側である。なお、この合金薄片の鋳型面側表面の表面
粗さは十点平均粗さ(Rz)で3.4μmである。図1で
白い部分が、Nd−リッチ相(RがNdになっているた
めR−リッチ相をNd−リッチ相と呼ぶ。)で、合金薄
片の中央部から自由面側(鋳造面側と反対側の表面)で
は、厚さ方向にラメラー状に伸びるか、ラメラーが分断
したような方向性を持った形の小さなプールを形成して
いる。しかし、鋳型面側にはNd−リッチ相が他の部位
よりも極端に微細な粒状で、かつランダムに存在する領
域が生成しており、これを本発明者らは微細Rリッチ相
領域(Rの主成分がNdの際は微細Ndリッチ相領域と
も呼ぶ)と名づけ、特に区別することとした。この微細
Rリッチ相領域は通常鋳型面側から始まり、中央方向へ
広がっている。これに対し中央部から自由面側にかけて
の微細Rリッチ相領域が存在しない部分を、ここでは正
常部と呼ぶこととする。
【0015】焼結磁石作製時のR−T−B系合金薄片の
水素解砕工程において、水素はRリッチ相から吸収さ
れ、膨張し脆い水素化物となる。したがって、水素解砕
では、合金中にRリッチ相に沿った、或いはRリッチ相
を起点とした微細なクラックが導入される。その後の微
粉砕工程で、水素解砕で生成した多量の微細クラックを
きっかけに合金が壊れるため、合金中のRリッチ相の分
散が細かいほど微粉砕後の粒度は細かくなる傾向があ
る。したがって、微細Rリッチ相領域は、正常部よりも
細かく割れる傾向が強く、例えば正常部から製造された
合金粉末では、平均粒度がFSSS(フィッシャー サ
ブ シーブ サイザー)での測定で3μm程度であるの
に対して、微細Rリッチ相領域から製造された合金粉末
では、1μm以下の微粉を含む割合が高いため、微粉砕
後の粒度分布が広くなることになる。
【0016】R−T−B系合金中のRリッチ相の分散状
態は、鋳造時における溶湯が凝固した後の冷却速度の制
御、或いは熱処理によって制御可能であることは特開平
09−170055号公報、或いは特開平10−369
49号公報に記載されている。しかし、凝固後の冷却速
度、或いは熱処理による微細Rリッチ相領域内部のRリ
ッチ相の変化の挙動は、正常部と異なり制御が困難であ
り、Rリッチ相の分散が粗くなりにくく、微細なままで
ある。
【0017】微細Rリッチ相領域の体積率は次のような
方法で測定可能である。図3は図1と同じ視野の反射電
子線像であるが、微細Rリッチ相領域と正常部の境界に
線を引いたものである。両領域の境界は、Rリッチ相の
分散状態から容易に判断できるため、画像解析装置を用
いてその視野の微細Rリッチ相領域の面積率を計算する
ことが出来る。断面での面積率は、合金中での体積率に
対応する。なお、微細Rリッチ相領域の体積率の測定に
おいて、同時に鋳造された合金薄片であっても、微細R
リッチ相領域の量の変化は、薄片間同士、また同じ薄片
内でも大きい。そのため、50〜100倍程度の低倍率
で観察視野を広げた上で、5〜10枚程度の薄片を測定
しその平均を取ることで、その合金全体の微細Rリッチ
相領域の体積率を計算することが出来る。
【0018】本発明のR−T−B系合金薄片(Nd3
1.5質量%)の断面の反射電子線像を図2に示す。図
2で左側が鋳型面側、右側が自由面側である。本発明の
合金薄片の特徴は、ストリップキャスト法で製造された
薄片において、鋳型面側の表面粗さを制御することによ
って、微細Rリッチ相領域の生成が抑制されていること
である。図2に示すように、本発明の合金薄片では、鋳
型面側に微細Rリッチ相領域は存在せず、鋳型面から自
由面に渡ってRリッチ相の分散状態が極めて均質であ
る。
【0019】ストリップキャスト法で製造された合金薄
片の鋳型面側表面の表面粗さと微細Rリッチ相領域の関
係は以下のように説明できる。合金薄片の鋳型面側表面
が平滑であるためには、鋳造用回転ロール表面が平滑
で、合金溶湯との濡れ性が良好である必要がある。この
ような状態では、溶湯から鋳型への熱伝達が極めて良好
(熱伝達係数が大きい)であり、合金の鋳型面側が過度
に急冷される。微細Rリッチ相領域は、鋳型と溶湯の熱
伝達係数が大きく合金の鋳型面側が過度に急冷される場
合に生成される傾向が強いと考えられる。
【0020】一方、鋳造用回転ロールの表面に細かな凸
凹を形成すると、合金の溶湯の粘性のため、溶湯は鋳造
用回転ロール表面の細かな凸凹に完全には入り込めず、
未接触の部分を生じ、熱伝達係数が低下する。その結
果、合金の鋳型面側が過度に急冷されることがなくな
り、微細Rリッチ相領域の生成が抑制できると考えられ
る。ここで鋳造用回転ロール表面の表面粗さを大きくす
ると、合金薄片の鋳型面側に多少なりともその凸凹が転
写されるため、合金薄片の鋳型面側表面の表面粗さも当
然大きくなる。鋳型面側表面が適当な表面粗さを有する
合金薄片で、Rリッチ相の生成が抑制される原因は、上
記のように溶湯が凝固する時の過度の熱伝達が抑制され
ているためと推定される。
【0021】しかし、鋳造用回転ロール表面の表面粗さ
が過度に大きくなると、溶湯が表面の凸凹に入り込める
ようになり、熱伝達係数が再び大きくなると同時に、生
成した合金薄片の鋳型面側の表面粗さがさらに大きくな
る。この場合には、微細Rリッチ相領域の体積率も再び
増加するようになる。
【0022】従来のSC法でも図2に示すような均質な
組織を有する合金薄片はある程度含まれていたが、図1
に示すような微細Rリッチ相領域を多量に含んだ薄片も
同時に生成されてしまうため、結果として合金全体での
組織の均質性に問題を生じていた。このような従来のS
C法で作製した合金組織のばらつきは、微妙な鋳造用回
転ロールの表面状態、溶湯の供給状態、雰囲気など、ロ
ール表面と溶湯との接触状態の違いに起因するものと考
えられる。これに対して本発明では、鋳造用回転ロール
の表面に適当な大きさの凸凹を形成したため、溶湯が凝
固する時の過度の熱伝達が無くなり、微細Rリッチ相領
域の生成を再現良く抑制することができる。その結果、
図2に示すような均質な組織を有する合金薄片を高い収
率で製造することができるようになった。
【0023】さらに本発明の詳細を説明する。 (1)ストリップキャスト法 本発明はストリップキャスト法で鋳造された希土類磁石
用のR−T−B系合金薄片に関するものである。ここで
は、R−T−B系合金のストリップキャスト法による鋳
造について説明する。図4にストリップキャスト法によ
る鋳造のための装置の模式図を示す。通常、R−T−B
系合金は、その活性な性質のため真空または不活性ガス
雰囲気中で、耐火物ルツボ1を用いて溶解される。溶解
された合金の溶湯は1350〜1500℃で所定の時間
保持された後、必要に応じて整流機構、スラグ除去機構
を設けたタンディッシュ2を介して、内部を水冷された
鋳造用回転ロール3に供給される。溶湯の供給速度と回
転ロールの回転数は、求める合金の厚さに応じて適当に
制御させる。一般に回転ロールの回転数は、周速度にし
て1〜3m/s程度である。鋳造用回転ロールの材質
は、熱伝導性がよく入手が容易である点から銅、或いは
銅合金が適当である。回転ロールの材質やロールの表面
状態によっては、鋳造用回転ロールの表面にメタルが付
着しやすいため、必要に応じて清掃装置を設置すると、
鋳造されるR−T−B系合金の品質が安定する。回転ロ
ール上で凝固した合金4はタンディッシュの反対側でロ
ールから離脱し、捕集コンテナ5で回収される。この捕
集コンテナに加熱、冷却機構を設けることで正常部のR
リッチ相の組織の状態を制御できる。
【0024】本発明の合金薄片の厚さは、0.1mm以
上0.5mm以下とするのが好ましい。合金薄片の厚さ
が0.1mmより薄いと凝固速度が過度に増加し、結晶
粒径が細かくなりすぎ、磁石化工程での微粉砕粒度近く
になるため、磁石の配向率、磁化の低下を招くという問
題がある。また合金薄片の厚さが0.5mmより厚いと
凝固速度低下によるNd−rich相の分散性の低下、
α‐Feの析出などの問題を招く。
【0025】(2)鋳造用回転ロールの鋳造面の表面粗
さ 本発明においては、ストリップキャスト法でR−T−B
系磁石合金を鋳造する場合、鋳造用回転ロールの鋳造面
の表面粗さを、十点平均粗さ(Rz)で5μm以上10
0μm以下とする。ここで表面粗さとは、JIS B
0601「表面粗さの定義と表示」に示される条件で測定
したもので、十点平均粗さ(Rz)もその中に定義され
ている。具体的にはまず、測定面に直角な平面で切断し
たときの切り口(断面曲線)から、所定の波長より長い
表面うねり成分を位相補償型高域フィルタ等で除去した
曲線(粗さ曲線)を求める。その粗さ曲線から、その平
均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分
の平均線から、最も高い山頂から5番目までの山頂の標
高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番
目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和を
十点平均粗さ(Rz)と呼ぶ。基準長さ等の測定パラメ
ータは、表面粗さに対して標準値が上記JISで指定さ
れている。合金薄片の鋳型面側の表面粗さは、変動が大
きい場合もあり、少なくとも5枚の薄片について測定
し、その平均値を使用すべきである。表面粗さが5μm
以下では鋳造用回転ロール表面の凸凹の効果が得られ
ず、溶湯との接触が良好なため熱伝達係数が大きい。そ
の結果、合金中に微細Rリッチ相領域を生成しやすくな
る。一方、鋳造用回転ロールの表面粗さが5μm以上で
あると、合金溶湯の粘性のため、溶湯は回転ロールの表
面の細かな凸凹に完全には入り込めず、未接触の部分を
生じ、熱伝達係数が低下する。その結果、合金中での微
細Rリッチ相の生成を抑制することができる。表面粗さ
は、十点平均粗さ(Rz)で10μm以上であるとさら
に好ましい。
【0026】鋳造用回転ロールの表面粗さが100μm
を超えると、回転ロール表面の凸凹の深さが増すと共
に、一般に凸凹間の間隔も大きくなるため、溶湯が回転
ロールの表面に沿って隙間無く入り込めるようになる。
そのため、熱伝達係数が再び過度に大きくなり易く、合
金中に微細Rリッチ相領域を生成し易くなる。そのため
鋳造用回転ロールの表面粗さは、100μm以下、好ま
しくは50μm以下とする。
【0027】R−T−B系合金薄片の表面粗さ 本発明においては、希土類磁石用のR−T−B系合金薄
片の少なくとも片面の表面粗さが、十点平均粗さ(R
z)で5μm以上50μm以下であることを特徴とす
る。表面に上記の粗さの凸凹が形成される面は、ストリ
ップキャスト法で鋳造する際に凝固が始まる鋳型面側表
面であり、回転ロールの表面の凸凹が反映された表面と
なる。上記した通り、この表面の表面粗さが5μm以下
或いは50μm以上では、微細Rリッチ相領域が生成す
る体積率が大きくなり、合金中のRリッチ相の分散状態
の不均一をもたらす。その結果、焼結磁石の製造工程で
微粉砕後の合金粉末の粒度分布を広くし、磁石の特性を
悪化するため好ましくない。本発明において合金薄片の
片面の表面粗さは、5μm以上50μm以下、さらに好
ましくは7μm以上25μm以下とする。
【0028】合金中の微細Rリッチ相領域の体積率 本発明では、R−T−B系合金中の微細Rリッチ相領域
の体積率は20%以下となる。その結果、焼結磁石の工
程で微粉砕後の合金粉末の粒度分布が狭く揃ったものに
なるため、特性にバラツキのない均質な焼結磁石を得る
ことができる。
【0029】希土類焼結磁石用合金粉末、希土類焼結磁
石の製造方法 本発明により鋳造したR−T−B系合金からなる希土類
磁石用合金薄片からは、粉砕、成型、焼結の工程を経
て、高特性の異方性焼結磁石を製造することができる。
【0030】合金薄片の粉砕は、通常、水素解砕、微粉
砕の順で行なわれ、3μm(FSSS)程度の合金粉末
が作製される。ここで、水素解砕は、前工程の水素吸蔵
工程と後工程の脱水素工程に分けられる。水素吸蔵工程
では、266hPa〜0.3MPa・Gの圧力の水素ガ
ス雰囲気で、主に合金薄片のR−リッチ相に水素を吸蔵
させ、この時に生成されるR−水素化物によりR−リッ
チ相が体積膨張することを利用して、合金薄片自体を微
細に割るかあるいは無数の微細な割れ目を生じさせる。
この水素吸蔵は常温〜600℃程度の範囲で実施される
が、R−リッチ相の体積膨張を大きくして効率良く割る
ためには、水素ガス雰囲気の圧力を高くすると共に、常
温〜100℃程度の範囲で実施することが好ましい。好
ましい処理時間は1時間以上である。この水素吸蔵工程
により生成したR−水素化物は大気中では不安定であり
酸化され易いため、水素吸蔵処理の後、200〜600
℃程度で1.33hPa以下の真空中に合金薄片を保持
する脱水素処理を行なうことが好ましい。この処理によ
り、大気中で安定なR-水素化物に変化させることがで
きる。脱水素処理の好ましい処理時間は30分以上であ
る。水素吸蔵後から焼結までの各工程で酸化防止のため
の雰囲気管理がなされている場合は、脱水素処理を省く
こともできる。
【0031】本発明のストリップキャスト法により製造
されたR−T−B系合金薄片は、Rリッチ相が均一分散
していることが特徴である。好ましいRリッチ相の間隔
の平均値は、磁石の製造工程での粉砕粒度に依存する
が、一般に3μmから8μmである。水素解砕では、R
リッチ相に沿って、或いはRリッチ相を起点にしてクラ
ックが導入される。したがって、水素解砕してから微粉
砕することで、合金中に均一かつ微細に分散したRリッ
チ相の効果を最大限に引き出すことが可能であり、非常
に粒度分布の狭い合金粉末を効率良く生産することが可
能である。この水素解砕の工程を行わずに焼結磁石を作
製した場合、作製された焼結磁石の特性は劣ったものと
なる。(M.Sagawa et al. Proce
edingof the 5th internati
onal conferenceon Advance
d materials,Beijing China
(1999))
【0032】微粉砕とは、R−T−B系合金薄片を3μ
m(FSSS)程度まで粉砕することである。微粉砕の
ための粉砕装置としては、生産性が良く、狭い粒度分布
を得られることから、ジェットミル装置が最適である。
本発明の微細Rリッチ相領域の少ない合金薄片を利用す
れば、粒度分布が狭い合金粉末を高効率で、安定性良く
作製することができる。微粉砕を行う際の雰囲気は、ア
ルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気とする。
これらの不活性ガス中に2質量%以下、好ましくは1質
量%以下の酸素を混入させてもよい。このことにより粉
砕効率が向上するとともに、粉砕後の合金粉末の酸素濃
度を1000〜10000ppmとすることができ、合
金粉末を適度に安定化させることができる。また同時
に、磁石を燒結する際の結晶粒の異常成長を抑制するこ
ともできる。
【0033】上記の合金粉末を磁場中で成型する場合、
合金粉末と金型内壁との摩擦を低減し、また粉末どうし
の摩擦も低減させて配向性を向上させるため、粉末には
ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を添加することが好まし
い。好ましい添加量は0.01〜1質量%である。潤滑
材の添加は微粉砕前でも後でもよいが、磁場中成形前
に、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中
でV型ブレンダー等を用いて十分に混合することが好ま
しい。
【0034】3μm(FSSS)程度まで粉砕された合
金粉末は、磁場中成型機でプレス成型される。金型は、
キャビティ内の磁界方向を考慮して、磁性材と非磁性材
を組み合わせて作製される。成型圧力は0.5〜2t/
cm2が好ましい。成型時のキャビティ内の磁界は5〜
20kOeが好ましい。また、成型時の雰囲気はアルゴ
ンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気が好ましい
が、上述の耐酸化処理した粉体の場合、大気中でも可能
である。また成形は、冷間静水圧成形(CIP:Col
d Isostatic Press)或いはゴム型を
利用した擬似静水圧プレス(RIP:Rubber I
sostatic Press)でも可能である。CI
PやRIPでは、静水圧的に圧縮されるため、成形時の
配向の乱れが少なく、金型成形よりも配向率の増加が可
能であり、最大磁気エネルギー積を増加することができ
る。
【0035】成型体の焼結は、1000〜1100℃で
行なわれる。焼結の雰囲気としては、アルゴンガス雰囲
気または1.33×10-2hPa以下の真空雰囲気が好
ましい。焼結温度での保持時間は1時間以上が好まし
い。また焼結の際には、焼結温度に到達する前に、成型
体中の潤滑剤と合金粉末に含まれる水素はできるだけ除
去しておく必要がある。潤滑剤の好ましい除去条件は、
1.33×10-2hPa以下の真空中または減圧したA
rフロー雰囲気中で、300〜500℃で30分以上保
持することである。また、水素の好ましい除去条件は、
1.33×10-2hPa以下の真空中で、700〜90
0℃で30分以上保持することである。
【0036】焼結が終了した後、焼結磁石の保磁力向上
のため、必要に応じて500〜650℃で熱処理するこ
とができる。この場合の好ましい雰囲気は、アルゴンガ
ス雰囲気または真空雰囲気であり、好ましい保持時間は
30分以上である。
【0037】また、本発明で作製した微細Rリッチ領域
の生成を抑制した希土類磁石用R−T−B系合金薄片
は、焼結磁石以外に、ボンド磁石の作製のためにも好適
に用いることができる。以下に、本発明の希土類磁石用
合金薄片からボンド磁石を作製する場合について説明す
る。
【0038】本発明のR−T−B系合金薄片は、まず必
要に応じて熱処理される。熱処理の目的は、合金中のα
‐Feの除去と結晶粒の粗大化である。ボンド磁石作製
のための合金粉末の作製には、HDDR(Hydrog
enation Disproportionatio
n Desorption Recombinatio
n)処理を行うが、合金中に存在するα‐FeはHDD
R処理工程では消去させることができず、磁性を低下さ
せる原因となる。そのため、α−FeはHDDR処理を
行う前に消去しておく必要がある。
【0039】また、ボンド磁石用の合金粉末の平均粒径
は50〜300μmと焼結磁石用の合金粉末と比較する
と非常に大きい。HDDR法では、元の合金の結晶方位
と、再結合したサブミクロンの結晶粒の方位がある一定
の分布を持って一致する。そのため、原料の合金薄片中
にある二つ以上の結晶方位の異なる結晶粒が、一つのボ
ンド磁石用合金粉末に含まれてしまうと、合金粉末中に
結晶方位が大きく異なる領域を含むこととなり、磁石の
配向率が低下し、最大磁気エネルギー積が低下する。こ
れを避けるためには、合金薄片中の結晶粒径は、大きい
方が都合が良い。ストリップキャスト法のような急冷凝
固法で鋳造した合金では、結晶粒径が比較的小さくなる
傾向があるため、熱処理による結晶粒の粗大化は磁石特
性の向上に有効である。
【0040】HDDR法によるボンド磁石用合金粉末の
製造方法については、多くの報告がある(例えば、T.
Takeshita et al,Proc.10th
Int. Workshop on RE magn
ets and theirapplication,
Kyoto, Vol.1 p551(198
9))。HDDR法による合金粉末の作製は、以下のよ
うに行われる。
【0041】原料のR−T−B系合金薄片を水素雰囲気
中で加熱すると、700℃から850℃程度で磁性相の
214B相がα‐Fe、RH2、Fe2Bの3相に分解
する。次いで同程度の温度で、不活性ガス雰囲気、或い
は真空雰囲気に切り替えて水素を除去すると、分解して
いた相がサブミクロン程度の結晶粒径を有するR214
B相に再結合する。この際、合金の組成や処理条件を適
当に制御すると、再結合した各R214B相の磁化容易
軸(R214B相C軸)は、分解前の原料合金中のR2
14B相のC軸とほぼ平行となり、各微細結晶粒の磁化容
易軸方向が揃った異方性磁石粉とすることができる。
【0042】HDDR処理を施した合金は、50〜30
0μm程度に粉砕し合金粉末とした後、樹脂と混合して
圧縮成形、射出成形などを施しボンド磁石とすることで
きる。
【0043】微細Rリッチ相領域は上記した水素解砕処
理同様に、HDDR処理の際にも微粉化する傾向が強
い。HDDR法による磁粉の特性は、粒度が小さくなる
とともに低下する。そのため、本発明の微細Rリッチ相
の生成を抑制したR−T−B系合金は、HDDR処理で
のボンド磁石用磁粉の作製に好適に用いることができ
る。
【0044】
【実施例】(実施例1)合金組成が、Nd:31.5質
量%、B:1.00質量%、Co:1.0質量%、A
l:0.30質量%、Cu:0.10質量%、残部鉄に
なるように、金属ネオジウム、フェロボロン、コバル
ト、アルミニウム、銅、鉄を配合した原料を、アルミナ
坩堝を使用して、アルゴンガスで1気圧の雰囲気中で、
高周波溶解炉で溶解し、溶湯をストリップキャスト法に
て鋳造して、合金薄片を作製した。鋳造用回転ロールの
直径は300mm、材質は純銅で、内部は水冷されてお
り、鋳造面の表面粗さは十点平均粗さ(Rz)で20μ
mに調整した。鋳造時のロールの周速度は0.9m/s
で、平均厚さ0.30mmの合金薄片を生成した。
【0045】得られた合金薄片の鋳型面側表面の表面粗
さは、十点平均粗さ(Rz)で10μmであった。合金
薄片を10枚埋め込み、研摩した後、走査型電子顕微鏡
(SEM)で各合金薄片について反射電子線像(BE
I)を倍率100倍で撮影した。撮影した写真を画像解
析装置に取り込み測定したところ、微細Rリッチ相領域
の体積率は、3%以下であった。
【0046】(実施例2)合金組成が、Nd28.5
%、B:1.00質量%、Co:1.0質量%、Al:
0.30質量%、Cu:0.10質量%、残部鉄になる
ように配合した原料を使用して、実施例1と同様の条件
でSC法で鋳造を行い、合金薄片を作製した。
【0047】得られた合金薄片を実施例1と同様に評価
した結果、鋳型面側表面の表面粗さは十点平均粗さ(R
z)で9μmであり、微細Rリッチ相領域の体積率は、
3%以下であった。
【0048】(比較例1)実施例1と同様の組成に原料
を配合し、実施例1と同様にして溶解およびSC法によ
る鋳造を実施した。但し、鋳造用回転ロール表面の表面
粗さは十点平均粗さ(Rz)で3.0μmであった。得
られた合金薄片を実施例1と同様に評価した結果、鋳型
面側表面の表面粗さは十点平均粗さ(Rz)で3.3μ
mであり、微細Rリッチ相領域の体積率は、41%であ
った。
【0049】(比較例2)実施例1と同様の組成に原料
を配合し、実施例1と同様にして溶解およびSC法によ
る鋳造を実施した。但し、鋳造用回転ロール表面の表面
粗さは十点平均粗さ(Rz)で120μmであった。得
られた合金薄片を実施例1と同様に評価した結果、鋳型
面側表面の表面粗さは十点平均粗さ(Rz)で86μm
であり、微細Rリッチ相領域の体積率は、29%であっ
た。
【0050】次に焼結磁石を作製した実施例を説明す
る。 (実施例3)実施例1で得られた合金薄片を水素解砕
し、ジェットミルで微粉砕した。水素解砕工程の前工程
である水素吸蔵工程の条件は、100%水素雰囲気、2
気圧で1時間保持とした。水素吸蔵反応開始時の金属片
の温度は25℃であった。また後工程である脱水素工程
の条件は、0.133hPaの真空中で、500℃で1
時間保持とした。この粉末に、ステアリン酸亜鉛粉末を
0.07質量%添加し、100%窒素雰囲気中でV型ブ
レンダーで十分混合した後、ジェットミル装置で微粉砕
した。粉砕時の雰囲気は、4000ppmの酸素を混合
した窒素雰囲気中とした。その後、再度、100%窒素
雰囲気中でV型ブレンダーで十分混合した。得られた粉
体の酸素濃度は2500ppmで、粉体の炭素濃度の分
析から、粉体に混合されているステアリン酸亜鉛粉末は
0.05質量%であると計算された。また、レーザー回
折式粒度分布測定機で測定した結果、平均粒度D50は
5.10μm、D10は2.10μm、D90は8.6
2μmであった。
【0051】次に、得られた粉体を100%窒素雰囲気
中で横磁場中成型機でプレス成型した。成型圧は1.2
t/cm2であり、金型のキャビティ内の磁界は15kO
eとした。得られた成型体を、1.33×10-5hPa
の真空中、500℃で1時間保持し、次いで1.33×
10-5hPaの真空中、800℃で2時間保持した後、
さらに1.33×10-5hPaの真空中、1050℃で
2時間保持して焼結させた。焼結密度は7.5g/cm
3以上であり十分な大きさの密度となった。さらに、こ
の焼結体をアルゴン雰囲気中、560℃で1時間熱処理
し、焼結磁石を作製した。
【0052】直流BHカーブトレーサーでこの焼結磁石
の磁気特性を測定した結果を表1に示す。また、焼結磁
石の原料の微粉の酸素濃度と粒度も表1に示す。
【0053】(比較例3、4)比較例1および2で得ら
れた合金薄片を、実施例3と同様の方法で粉砕して微粉
を得た。さらに実施例3と同様の成型、焼結の工程を経
て、焼結磁石を作製した。ただし、比較例1および2の
合金薄片から得られた微粉は焼結しにくくなったため、
焼結温度を20℃上昇させた。比較例1および2の合金
薄片をそれぞれ用いた焼結磁石の結果を比較例3、4と
する。
【0054】直流BHカーブトレーサーでこれらの焼結
磁石の磁気特性を測定した結果を表1に示す。また、そ
れぞれの焼結磁石の原料の微粉の酸素濃度と粒度も表1
に示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1に示すように、比較例3、4では実施
例3と比較してD10が小さいことから、1μm程度よ
り小さい非常に細かい粉末の割合が大きい事がわかる。
このような非常に細かい粒は酸化しやすく、比較例3、
4では実施例3よりも微粉の酸素濃度が若干高くなって
いる。比較例3、4の磁石の磁気特性が実施例3と比較
して低い原因は、酸素濃度増加によって焼結しにくくな
り、焼結温度を20℃上昇させたことによる結晶粒の粗
大化が主因と考えられる。
【0057】次にボンド磁石を作製した実施例を説明す
る。 (実施例4)合金組成が、Nd28.5%、B:1.0
0質量%、Co:10.0質量%、Ga:0.5質量
%、残部鉄になるように原料を配合し、実施例1と同様
の条件でSC法により合金薄片を鋳造した。得られた合
金薄片を実施例1と同様に評価した結果、鋳型面側表面
の表面粗さは十点平均粗さ(Rz)で9μm、微細Rリ
ッチ相領域の体積率は3%以下であり、α‐Feは含ん
でいなかった。
【0058】上記の合金薄片を1気圧の水素中、820
℃で1時間保持した後、同温度で真空で1時間保持する
HDDR処理を実施した。得られた合金粉を150μm
以下にブラウンミルで粉砕し、2.5質量%のエポキシ
樹脂を加えて1.5Tの磁場を加えて圧縮成形してボン
ド磁石を得た。得られたボンド磁石の磁気特性を表1に
示す。
【0059】(比較例5)実施例4と同様の組成に原料
を配合し、比較例1と同様にして溶解およびSC法によ
る鋳造を実施した。得られた合金薄片を実施例1と同様
に評価した結果、鋳型面側表面の表面粗さは十点平均粗
さ(Rz)で3.1μm、微細Rリッチ相領域の体積率
は、40%であった。
【0060】次いで、実施例4と同様の方法でボンド磁
石を作製した。得られたボンド磁石の磁気特性を表1に
示す。
【0061】表1から本実施例4と比較例5のボンド磁
石では、本実施例4の磁気特性が優れていることがわか
る。比較例5では、微細Rリッチ領域の体積率が高く、
HDDR処理、または粉砕後に50μm以下の比較的細
かい粒の量が多いために、磁性が低いものと推定でき
る。
【0062】
【発明の効果】本発明の合金薄片は、微細Rリッチ領域
の体積率が少なく、合金中のRリッチ相の分散状態の均
質性が、従来のSC材よりもさらに良好である。そのた
め、本合金薄片から製造した焼結磁石やHDDR法によ
るボンド磁石は、従来のものよりも優れた磁石特性を発
現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のSC法で製造した微細Rリッチ相を含む
希土類磁石用合金薄片の断面組織を示す図である。
【図2】本発明に係る希土類磁石用合金薄片の断面組織
を示す図である。
【図3】図1の断面組織における微細Rリッチ領域と正
常部との境界に線を引いた図である。
【図4】ストリップキャスト法の鋳造装置の模式図であ
る。
【符号の説明】
1 耐火物ルツボ 2 タンディッシュ 3 鋳造用回転ロール 4 合金 5 捕集コンテナ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22F 9/08 B22F 9/08 M H01F 1/053 H01F 1/04 H Fターム(参考) 4E004 DB02 DB14 LC01 TA03 4K017 AA04 BA06 BB01 BB05 BB06 BB12 CA03 CA07 DA04 EA03 EA08 EC02 4K018 BA18 BB01 BB04 BB06 BD01 KA45 5E040 AA04 BB03 BD01 CA01 NN06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】R−T−B系合金(但し、RはYを含む希
    土類元素のうち少なくとも1種、TはFeを必須とする
    遷移金属、Bは硼素である。)からなる希土類磁石用合
    金薄片において、厚さが0.1mm以上0.5mm以下
    であり、該合金薄片の少なくとも片面の表面粗さが十点
    平均粗さ(Rz)で5μm以上50μm以下であることを
    特徴とする希土類磁石用合金薄片。
  2. 【請求項2】該合金薄片の少なくとも片面の表面粗さが
    十点平均粗さ(Rz)で7μm以上25μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の希土類磁石用合金薄
    片。
  3. 【請求項3】合金中の微細Rリッチ相領域の体積率が2
    0%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の希土類磁石用合金薄片。
  4. 【請求項4】ストリップキャスト法によるR−T−B系
    合金からなる希土類磁石用合金薄片の製造方法におい
    て、鋳造用回転ロールの鋳造面の表面粗さを十点平均粗
    さ(Rz)で5μm以上100μm以下とすることを特徴
    とする希土類磁石用合金薄片の製造方法。
  5. 【請求項5】ストリップキャスト法によるR−T−B系
    合金からなる希土類磁石用合金薄片の製造方法におい
    て、鋳造用回転ロールの鋳造面の表面粗さを十点平均粗
    さ(Rz)で5μm以上100μm以下とすることを特徴
    とする請求項1ないし3に記載の希土類磁石用合金薄片
    の製造方法。
  6. 【請求項6】鋳造用回転ロールの鋳造面の表面粗さを十
    点平均粗さ(Rz)で10μm以上50μm以下とするこ
    とを特徴とする請求項4または5に記載の希土類磁石用
    合金薄片の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1ないし3に記載の希土類磁石用合
    金薄片に水素解砕工程を施した後にジェットミル粉砕す
    ることで作製される希土類焼結磁石用合金粉末。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の希土類磁石用合金粉末か
    ら粉末冶金法で製造される希土類焼結磁石。
  9. 【請求項9】請求項1ないし3に記載の希土類磁石用合
    金薄片を用いて、HDDR法で製造したボンド磁石用合
    金粉末。
  10. 【請求項10】請求項9に記載のボンド磁石用合金粉末
    を用いて作製されるボンド磁石。
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