JP2003189846A - 新規な微生物及びそれを用いた天然カロチノイドの製造方法 - Google Patents
新規な微生物及びそれを用いた天然カロチノイドの製造方法Info
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Abstract
タキサンチン及びカンサキサンチンを大量生産しうる方
法を提供する。 【解決手段】 ラビリンチュラ属スラウストキトリウム
種に属するアスタキサンチン及びカンサキサンチン生産
菌スラウストキトリウムエスピーCHN−3(FERM
P−18556)を培養し、菌体中にアスタキサンチ
ン及びカンサキサンチンを蓄積させたのち、菌体を分離
し、分離した菌体から溶媒抽出処理によりアスタキサン
チン及びカンサキサンチンを回収することにより製造す
る。
Description
(Labyrinthula)属スラウストキトリウム
(Thraustochytrium)種に属する新規
な微生物及びそれを用いて天然カロチノイドのアスタキ
サンチン及びカンサキサンチンを製造する方法に関する
ものである。
は、微生物の菌体、藻類、微細藻類などの植物や動物に
天然カロチノイドとして広く存在する色素であり、老化
防止剤、解毒剤、ガン予防剤、養殖魚類の色調改善剤と
して利用されている。これらの天然カロチノイド中のア
スタキサンチンは、オキアミやズワイガニの殻から抽出
されているが、これらにおける含有量が極めて低い上
に、抽出条件がむずかしく、しかも海洋の限られたとこ
ろにのみ生息する生物資源であることから、安定した原
料供給を確保することが困難であるため、工業的生産に
は不向きである。
affia rhodozyma)により生産される
が、この赤色酵母は増殖速度が遅く、生産量が少ない上
に、強固な細胞壁を有するため、生産されたアスタキサ
ンチンの抽出が困難な上に、(3R,3R´)体の含有
率が高く、化学構造が天然のアスタキサンチンとは反対
の配置をとる化合物を副生するため、生産効率が低くな
るのを免れない。
藻類(Haematococcuspluviali
s)も知られているが、これは増殖速度が遅く、細胞壁
が強固であるため、生産効率が低い上に、雑菌の汚染を
起しやすく、しかも特殊な培養装置を用いて強い光を照
射しながら培養する必要があるなど、製造上種々の制約
を伴うため、工業的に実施するには多くの問題がある。
種のキノコ、魚類、甲殻類中に存在し、またプレビバク
テリウム属、ロドコッカス属に属する微生物により生産
されることが知られており、化学合成により人工的に得
る方法も開発されているが、いずれも生産効率が低いた
め、工業的な生産は行われていない。
事情のもとで、従来方法のもつ欠点を克服し、入手容易
な原料から、簡単かつ効率よくアスタキサンチン及びカ
ンサキサンチンを大量生産しうる方法を提供することを
目的としてなされたものである。
採取された海洋性微生物の生態について種々研究を重ね
た結果、その中にアスタキサンチン及びカンサキサンチ
ンの生産能力の高い新規な微生物が存在すること、した
がってこの微生物を培養することにより、アスタキサン
チン及びカンサキサンチンを効率よく製造しうることを
見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
ラウストキトリウム種に属するアスタキサンチン及びカ
ンサキサンチン生産菌スラウストキトリウムエスピーC
HN−3(FERM P−18556)、及びこの微生
物を培養し、菌体中にアスタキサンチン及びカンサキサ
ンチンを蓄積させたのち、菌体を分離し、分離した菌体
から溶媒抽出処理によりアスタキサンチン及びカンサキ
サンチンを回収することを特徴とするアスタキサンチン
及びカンサキサンチンの製造方法を提供するものであ
る。
示す顕微鏡写真である。この図から分るように、本発明
の微生物は、ヤブレツボカビ類のスラウストキトリウム
(Thraustochytrium)の特徴である球
形ないし長円球状の外質ネットをもつ細胞からなってお
り、かつサゲノジェネートソームが細胞体の1か所のみ
に存在し、そこから外質ネットを伸長させて基質に進入
又は付着する性質を有している。これらの点を参考にし
て、このものがヤブレツボカビ類に属すると判断され
た。
コースやフルクトースのような糖、酵母エキス、コーン
ステーリカーのようなタンパク質などの有機物に富んだ
培地では、アメーバ状細胞が現れるが、この点はウルケ
ニア(Ulkenia)属とは大きく異なっているこ
と、及び2種類のべん毛を有する遊走子を形成する点で
スキゾキトリウム(Schizochytrium)種
と異なっていることから、スラウストキトリウムと同定
される[生物研究社発行,「海洋と生物132」,第2
3巻,第1号,第15ページ(2001)]。また18
SrDNAに基づく分子系統樹においてもスラウストキ
トリウムであることの裏付けが得られた。
が卵形ないしは球形である点で、紡錘形のラビリンチュ
ラ種とは容易に区別されることから、ラビリンチュラ属
のスラウストキトリウム種に分類されるものである。こ
の種の菌は、海洋環境に広く存在し、従属栄養で増殖す
る、いわゆる海生菌として知られる。
から、容易に公知の微生物と区別することができる。 I.形態学的性質 (1)細胞の大きさは、10μmで卵形である。 (2)10μmの卵形の遊走子にヘテロコントな鞭毛を
有し、運動をする。 II.培養的性質 (1)糖質寒天培地で色はピンク、表面はツルツルで生
育は早い。 (2)液体培養では、24時間で混濁し、ピンクの色を
呈する。1リットル当り30g以上のバイオマスが得ら
れる。 III.生理的性質 (1)アスタキサンチンとカンサキサンチンを有して、
ピンク色である。 (2)有機無機の窒素利用して増殖する。 (3)pHは5〜9、温度は15〜35℃が最適生育条
件である。 (4)グルコースやフルクトースを利用してDHA,E
PAを多量につくる。これまでのラビリンチュラ属スラ
ウストキトリウム種は、DHAを高含量有し色素を有し
ていなかった。また、細菌に関しての試験においては、
いずれもマイナスであり、細菌の分類には該当しないこ
とが確認された。
れた本発明の微生物、すなわちスラウストキトリウムエ
スピーCHN−3は、受託番号CHN−3(FERM
P−18556)として産業技術総合研究所特許寄託セ
ンターに寄託されている。
m程度の単細胞であり、例えば瀬戸内海の海水中から容
易に採取される。原体の採取は、海水中に黒松の花粉を
懸濁させ、数日放置したのち、松の花粉を分別し、花粉
表面に付着した微生物体を集めることにより行うことが
できる。
類培地、すなわち糖類とペプトンを豊富に含む培養液
(例えば海水1リットル中にグルコース50gとペプト
ン1gを含む培地)中で純粋培養する。本純粋培養は、
一定温度において光を連続照射しながら、通気撹拌条件
で行うのが好ましい。
トキトリウムの細胞を乳鉢で破砕し100%アセトンで
抽出し、ODSC18のカラムを装着した高速液体クロ
マトグラフィー及び高速液体クロマトグラフィー質量分
析計で分離、同定した。このようにして得た液体クロマ
トグラムを図3に示した。その結果、色素はα‐、β‐
カロテン、エキネノン、カンサキサチン、フェノコキサ
ンチン、アスタキサンチンからなっていることが分っ
た。
HN−3は、このようなα‐、β‐カロテン、エキネノ
ン、フェノコキサンチン、アスタキサンチンを生産し、
特にアスタキサンチン及びカンサキサチンを大量に細胞
内に保有することにより赤色に着色するが、これまで知
られているスラウストキトリウムが属するラビリンチュ
ラ属の微生物では、このような能力を有していることは
知られていなかった。
ウム種に分類される微生物スラウストキトリウムエスピ
ーCHN−3は、糖類、有機窒素、無機塩からなる培地
(培養液)中で培養することができる。この際の糖類の
例としては、グルコース、ショ糖、フルクトースやそれ
らを含むもの、例えば水飴などを、有機窒素の例として
は、ペプトン、酵母エキスなどを、無機塩の例として
は、塩化ナトリウムや塩化カリ、無機リンなどを挙げる
ことができる。
機のリンで生育する微生物であるが、その生産機能を最
大限に発揮させるためには光エネルギーとしての照度、
温度、培地中の元素組成及び酸素供給量を適切に調整す
ることが必要である。
拌、光照射は1,000ルックス以上、温度は20〜3
0℃、好ましくは28℃前後である。培地中のリンの供
給源は、KH2PO4が好ましく、その量としては0.1
〜3g/リットルの範囲が好ましい。また、ラビリンチ
ュラが生育できる範囲(海水1リットルにグルコース6
0g、ペプトン1g、KH2PO41g)の中で、生育が
止まると、培地中の栄養元素が一定になるように調整す
ることにより、アスタキサンチン及びカンサキサンチン
のそれぞれの生産量を選択的に高めることができる。こ
の培養は、pH4〜12、好ましくはpH6〜10の範
囲で行われ、pHが高くなるほど生産量は向上する。
地中の窒素源組成を変化させることにより、スラウスト
キトリウムへの刺激を強くすると、アスタキサンチン及
びカンサキサンチンの生産をさらに増加させることがで
きる。
キサンチンを高収率で製造するには、スラウストキトリ
ウムの生育環境条件を極限条件に保持して、アスタキサ
ンチン及びカンサキサンチンの生産機能を最大限に引き
出すのが有利である。それには、例えば酵母エキスを最
初の培地から減少させるのが効果的である。
スを少なくすると、アスタキサンチンの含量が微生物体
(乾物)1g中に1、537mgという高い値に増大す
る。その時点で酵母エキスを含有しない培養液に変える
と、スラウストキトリウムの細胞に取り込まれる窒素が
存在しないので、アスタキサンチン含量が微生物体(乾
物)1g中約2mgに増大する。
ンを製造する場合には、最初酵母エキスを添加した培地
を用いて培養し、酵母エキスが消費された後は、窒素源
を補給せずに、窒素源無添加条件下で培養するのがよ
い。このようにして窒素源無添加培地で培養することに
より、通常のように窒素添加して行う場合に比べ、アス
タキサンチンの収量はそれぞれ5倍以上になる。また、
この際、酸素リッチの条件下で培養すると、アスタキサ
ンチンの収量を上げることができる。
初酵母エキスを添加した培地を用いて培養し、酵母エキ
スが消費された後は、窒素源を補給し、絶えず窒素源添
加条件下で培養するのがよい。このようにして窒素源添
加培地で培養することにより、窒素無添加して行う場合
に比べ、カンサキサンチンの収量はそれぞれ4〜5倍以
上になる。
ンチン及びカンサキサンチンを多量に含む微生物から効
率的にアスタキサンチン及びカンサキサンチンを抽出す
るには、クロロホルム−メチルアルコール溶液を用いる
のが好ましい。
ン及びカンサキサンチンが微生物体から分離される。そ
して、次にその溶液をシリカゲル充填カラムを通し、メ
チルアルコール混合溶液で展開することにより、100
%の収率でアスタキサンチン及びカンサキサンチンを回
収することができる。通常、メチルアルコール混合溶媒
としては、メチルアルコール90〜95体積%で残りが
クロロホルムのものが用いられる。
するが、本発明はこれらによってなんら限定されるもの
ではない。
取したスラウストキトリウムエスピーCHN−1を純化
したスラウストキトリウムエスピーCHN−3を、海水
中に、グルコース60g/リットル、ペプトン1g/リ
ットル、リン酸二水素カリウム1g/リットル及びリン
1g/リットルを含む糖類に富んだ培地(pH5.0)
に接種し、温度28℃、1000ルックスの光照射下、
換気し、かき混ぜながら6日間培養した。次いで培養液
を遠心分離して、微生物体を捕集した。このようにして
得た顕微鏡写真を図1に示す。
ルム、メチルアルコールで抽出し、この抽出液をシリカ
ゲル(和光純薬社製,商品名「ワコーゲル」)を充填し
たカラムに通し、吸着させたのち、ヘキサン−クロロホ
ルム−メチルアルコールで展開することにより、海水1
リットル当りアスタキサンチン及びカンサキサンチンを
それぞれ8.8mg、6.5mg得た。微生物の含有量
(アスタキサンチン及びカンサキサンチンは微生物乾燥
体中での濃度)は、乾燥微生物体1g中にアスタキサン
チン2.8mg、カンサキサンチン2.0mgであっ
た。実施例1で得られるカロチノイドの高速液体クロマ
トグラムを図3に示す。図中の符号は以下の化合物に対
応するものである。1:アスタキサンチン、2:フェノ
コキサンチン、3:カンサキサンチン、4:エキネノ
ン、5:α‐カロチン、6:β‐カロチン。
/リットル及びリン酸二水素カリウム1g/リットルを
含む培地を用い、温度23℃において、(イ)照度10
00ルックスで培地を100rpmで浸とう回転する培
養、(ロ)暗所で培地を100rpmで浸とう回転する
培養、(ハ)照度1000ルックスで静置する培養、及
び(ニ)照度1000ルックスで空気を供給して撹拌す
る培養により、スラウストキトリウムエスピーCHN−
3を6日間培養した。その結果を表1に示す。
んどアスタキサンチンを生産しない。また振とう回転培
養では光を照射した方が多くのアスタキサンチンを得る
ことができる。さらに酸素供給を高めるために空気を供
給する方法を用いることにより、アスタキサンチンの収
量を1.8倍向上させることができた。このように培養
における好気条件を変えることにより、アスタキサンチ
ンの生成比を変えることができるし、培養液中の酸素濃
度を高めることによりアスタキサンチンの生成比率を高
めることができる。
4日間継続し、アスタキサンチンの生産量を求め、グラ
フとして図4に示す。この図から明らかなように、pH
の上昇とともにアスタキサンチンの生産量は増大する。
ン、カンサキサンチンを高含量で含むスラウストキトリ
ウムそのものを純粋に大量培養でき、かつこれからアス
タキサンチン及びカンサキサンチンを簡単に抽出分離す
ることができ、高収率で高純度のアスタキサンチン、カ
ンサキサンチン又は所望に応じアスタキサンチン及びカ
ンサキサンチンの組成の細胞を得ることができる。
図。
ラム。
すグラフ。
Claims (6)
- 【請求項1】 ラビリンチュラ属スラウストキトリウム
種に属するアスタキサンチン及びカンサキサンチン生産
菌スラウストキトリウムエスピーCHN−3(FERM
P−18556)。 - 【請求項2】 請求項1記載の微生物を培養し、菌体中
にアスタキサンチン及びカンサキサンチンを蓄積させた
のち、菌体を分離し、分離した菌体から溶媒抽出処理に
よりアスタキサンチン及びカンサキサンチンを回収する
ことを特徴とするアスタキサンチン及びカンサキサンチ
ンの製造方法。 - 【請求項3】 培養をpH4〜12、酸素リッチの条件
下で行う請求項2記載の製造方法。 - 【請求項4】 培養を、栄養源として、ショ糖、グルコ
ース及びフルクトースの中から選ばれる少なくとも1種
の糖類を用いて行う請求項2又は3記載の製造方法。 - 【請求項5】 培養を光照射下で行う請求項2、3又は
4記載の製造方法。 - 【請求項6】 ラビリンチュラ属スラウストキトリウム
種に属するアスタキサンチン及びカンサキサンチン生産
菌スラウストキトリウムエスピーCHN−3(FERM
P−18556)の培養物、菌体又は菌体処理物。
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Cited By (3)
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|---|---|---|---|---|
| WO2005085465A1 (ja) * | 2004-03-04 | 2005-09-15 | Suntory Limited | アスタキサンチン含有脂質の製造方法 |
| US7888123B2 (en) | 2005-04-28 | 2011-02-15 | Fujifilm Corporation | Method for introducing a gene into labyrinthulomycota |
| CN114315677A (zh) * | 2021-12-31 | 2022-04-12 | 万华化学集团股份有限公司 | 一种光催化氧化制备角黄素的方法 |
-
2002
- 2002-08-08 JP JP2002231126A patent/JP3834626B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| CN114315677A (zh) * | 2021-12-31 | 2022-04-12 | 万华化学集团股份有限公司 | 一种光催化氧化制备角黄素的方法 |
| CN114315677B (zh) * | 2021-12-31 | 2022-11-08 | 万华化学集团股份有限公司 | 一种光催化氧化制备角黄素的方法 |
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