JP2003193128A - 浸炭焼入れ部材の製造方法及び浸炭焼入れ部材 - Google Patents
浸炭焼入れ部材の製造方法及び浸炭焼入れ部材Info
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- JP2003193128A JP2003193128A JP2001391133A JP2001391133A JP2003193128A JP 2003193128 A JP2003193128 A JP 2003193128A JP 2001391133 A JP2001391133 A JP 2001391133A JP 2001391133 A JP2001391133 A JP 2001391133A JP 2003193128 A JP2003193128 A JP 2003193128A
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Abstract
とその製造方法を提供する。 【解決手段】Feを主成分とし、重量%でC:0.12
〜0.22%、Si:0.4〜1.5%、Mn:0.2
5〜0.45%、Ni:0.5〜1.5%、Cr:1.
3〜2.3%、B:0.001〜0.003%、Ti:
0.02〜0.06%、Nb:0.02〜0.12%、
Al:0.005〜0.05%を含有するとともに、9
00℃から室温まで一定速度にて冷却したとき、冷却速
度が少なくとも0.1℃/秒以下においてはベイナイト
が生成せず、かつ、冷却速度が少なくとも12℃/秒以
上においてはフェライトが生成しなくなるよう、成分含
有量が調整された鋼にて部材を構成する。これを、減圧
浸炭雰囲気又は常圧までの不活性ガスを主体とする浸炭
雰囲気にて浸炭処理することにより、表面炭素濃度が
0.6〜1.5質量%となる浸炭層を該部材に形成し、
ガス焼入をする。
Description
精度に優れた浸炭焼入れ部材の製造方法、ならびに浸炭
焼入れ部材に関する。
めた上で焼入れを行なう熱処理である。浸炭焼入れされ
た鋼部品は表層硬さが高く、かつ内部の靭性が高いの
で、疲労強度や靭性を要求される動力伝達機構部品など
に適用されている。また、浸炭焼入れ前の素材の炭素量
が比較的少ないため、切削や研磨といった機械除去加工
や、圧延あるいは鍛造といった塑性加工が比較的容易で
あり、部品製造性にも優れているので、大量生産される
自動車などの部品に多用されている。従って、浸炭焼入
れ用鋼は、強度とともに部品の製造コストの低いことが
前提として要求される。
は最も高い硬度を示すため、表面近傍に微細な欠陥や脆
弱部が存在すると、これらが疲労破壊や衝撃破壊の起点
として作用するため、部材の強度が低下することにつな
がる。また、一般的な浸炭処理は、酸化性の変成ガス雰
囲気中にて高温で行われるため、被処理部材の表面が酸
化されやすい。このような表面酸化は、合金元素の枯渇
による表層部の焼入性の低下を引き起こし、部材強度を
劣化させることが知られている。これを改善する方法と
して、真空浸炭処理や、酸化を助長する元素を低減する
一方非酸化性元素を添加した高強度鋼を適用することが
行われている。また、耐摩耗性や耐ピッティング性が要
求される場合には、高温強度や軟化抵抗を向上する元素
の添加が有効であることが、特公平7−116551な
どに記載されている。
に要求される強度とコストの両立は必ずしも十分ではな
い。特に、強度における疲労強度や衝撃強度と耐摩耗性
や耐ピッティング性の両立、さらには、これらの強度と
機械加工性や形状精度などの製造コストの両立は浸炭焼
入れ部材における最も重要な課題であるが、従来の技術
は今日の軽量化及び低廉化を追求する市場要求に十分応
えていない。以下にその理由を説明する。
を占めるのは機械加工である。浸炭焼入れ前の切削加工
性に対しては、素材硬度の影響が最も大きい。例えば前
記した特公平7−116551などに記載されている高
強度鋼は、一般的には高合金鋼となるため機械加工性に
劣る。
らを総称する場合は「破断強度」という)と、耐摩耗性
や耐ピッティング性(以下、これらを総称する場合は
「面疲労強度」という)に関しては、それぞれ単独であ
れば、鋼材化学成分の調整により向上させることが可能
である。たとえば、破断強度に対してはSi、Mn及び
Crの低減とNi及びMoの添加が有効であり、面疲労
強度に対してはSi、Cr及びMoの添加が有効である
ことが知られている。しかしながら、このような高合金
化は、鋼材コストの上昇に加え、素材硬さの上昇により
機械加工のコストを増大させたり、浸炭焼入れ時の浸炭
性の劣化や残留オーステナイト組織の増大を招くため、
限界がある。
学成分のうち、特にSiは破断強度に対しては最も有害
である半面、面疲労強度には最も有益な元素である。従
って、歯車などで要求されているような、破断強度と面
疲労強度の両立を鋼材の化学成分のみで達成するには、
NiやMoなどの、Si以外の比較的高価な強化元素を
大量に添加することが必要になり、前述のように高合金
化の弊害が大きくなるため、強度と製造性の両立ができ
ない。
が厳しい場合は、浸炭焼入れ時に生ずる熱処理歪が大き
いと、浸炭焼入れ後の状態では必要な寸法精度を確保で
きず、研削仕上げが必要となることがある。特に歯車な
どでは、形状精度が騒音や損傷の原因となるため、専用
加工機による歯面研削を行なう場合がある。このような
研削加工は一般的に切削加工よりもコストが高く、時
に、浸炭焼入れ部材の全体製造コストの50%以上を占
める場合もある。したがって、浸炭焼入れ時において
は、発生する歪がなるべく小さくなることが求められ、
従来、主として焼入れ技術による改善が図られている
が、十分な改善には至っていない。
はほとんどの場合、油やソルトが用いられているが、ガ
ス冷却による焼入れ(以下、「ガス焼入れ」と称する)
も行われることもある。ガス焼入れは熱処理歪が小さい
ため、寸法や形状の精度を確保して加工コストを削減す
る観点において好都合である。しかしながら、ガスは冷
却能が低いため、焼入組織が十分に形成されず不完全焼
入れとなる場合がある。このような不完全焼入状態で
は、十分な強度や機械的特性が得られないので、結果的
にガス冷却は小物部品にしか適用できなかった。
るには、冷却室のガス圧力を高くすることが有効である
が、設備の大型化や処理コストの増大を招く。このよう
な冷却能の不足に対しては、鋼材の焼入性を高めること
が有効であるが、鋼の焼入性を高める元素として代表的
なSi、Mn、Cr、Ni、Moなどは浸炭焼入れ前の
素材の硬さを高める元素でもあり、機械加工性や冷間加
工性に有害であり、部品の製造性を劣化させる。また、
JIS(日本工業規格)には、焼入性の高い肌焼鋼とし
てSNCM616やSNCM815などが規定されてい
るが、これらは、最も一般的な肌焼鋼であるSCr42
0やSCM420に比べると、合金含有量が多いため焼
ならしや焼なまし状態の硬さが非常に高く、切削加工や
冷間加工が困難である。すなわち、ガス焼入れに適合す
る焼入性と、大量生産に適した部品の製造性を両立する
ことは、本質的に困難だったのである。
であって、部材寸法に関係なくガス冷却による低歪で高
精度の浸炭焼入が可能であり、しかも浸炭焼入れ後の破
断強度や面疲労強度に優れ、部材全体の製造コストを大
幅に削減できる浸炭焼入部材の製造方法と、それにより
得られる浸炭焼入れ部材とを提供することにある。
を解決するために、本発明の浸炭焼入れ部材の製造方法
は、Feを主成分とし、副成分としてC、Si、Mn、
Ni、Cr、B、Ti、Nb及びAlを含有するととも
に、各副成分の含有可能範囲が、C:0.12〜0.2
2質量%、Si:0.4〜1.5質量%、Mn:0.2
5〜0.45質量%、Ni:0.5〜1.5質量%、C
r:1.3〜2.3質量%、B:0.001〜0.00
3質量%、Ti:0.02〜0.06質量%、Nb:
0.02〜0.12質量%、Al:0.005〜0.0
5質量%に設定され、かつ、900℃から室温まで一定
速度にて冷却したとき、冷却速度が少なくとも0.1℃
/秒以下の範囲においてはベイナイトが生成せず、か
つ、冷却速度が少なくとも12℃/秒以上の領域ではフ
ェライトが生成しなくなるように、各副成分の含有量が
調整されてなる鋼により部材を構成し、減圧浸炭雰囲気
又は常圧までの不活性ガス又は窒素を主体とする浸炭雰
囲気にて部材を浸炭処理することにより、表面炭素濃度
が0.6〜1.5質量%となる浸炭層を該部材に形成
し、その浸炭処理後に部材をガス焼入することを特徴と
する。
加工が容易であって、部材寸法に関係なくガス冷却によ
る低歪で高精度の浸炭焼入が可能であり、しかも浸炭焼
入れ後の破断強度や面疲労強度に優れ、部材全体の製造
コストを大幅に削減できる。以下に、その理由を詳しく
説明する。
面疲労強度、素材硬度及び熱処理歪のすべてを同時に改
善することを目的として、鋼材の化学成分及び熱処理に
つき、それらの相互作用も含めて研究した結果、以下の
ようなことを見出した。まず、面疲労強度の向上にはS
iの活用が不可欠であるが、過剰な添加は破断強度に極
めて有害に作用する。他方、浸炭焼入部材においては、
被処理部材の表面が酸化されると、合金元素の枯渇によ
る表層部の焼入性の低下を引き起こし、同様に破断強度
の劣化を招く。そこで、減圧浸炭雰囲気又は不活性ガス
を主体とする浸炭雰囲気にて部材を浸炭処理することに
より、表面酸化の影響が大幅に軽減され、Si添加によ
り多かれ少なかれ生ずる破断強度低下のマージンを確保
することができる。
を、広範囲な形状ないし寸法の部材に適用するには、鋼
材の焼入性を高めることが有効である。本発明において
は、減圧浸炭雰囲気又は不活性ガスを主体とする浸炭雰
囲気を採用することを考慮して、900℃から室温まで
一定速度にて冷却したとき、冷却速度が少なくとも0.
1℃/秒以下の範囲においてはベイナイトが生成せず、
かつ、冷却速度が少なくとも12℃/秒以上の領域では
フェライトが生成しなくなる鋼を採用する。
的には以下の順に変化することが知られている: F+P →(F+P+B →F+B →B →B+M)
→M ここで、Fはフェライト、Pはパーライト、Bはベイナ
イト、Mはマルテンサイトを表す。なお、合金組成によ
っては単独ベイナイトとなる条件が存在しないこともあ
りえる。また、パーライトはフェライトとセメンタイト
との共析組織であり、パーライトが生成することは、フ
ェライトが生成するということでもある。そして、F+
P、あるいはF+B等とあるのは、パーライト以外の形
態で単独形成されるフェライトが存在することを意味す
る。上記冷却速度の範囲は、鋼の連続冷却変態線図(Co
ntinuous Cooling Transformation diagram:CCT線
図)を種々の冷却速度により測定することにより特定で
きる。
の通りマルテンサイトである。マルテンサイト変態は、
よく知られている通り、原子の大きな拡散を伴うことな
く結晶格子が擬剪断変形的に連携運動して生ずる。鋼の
マルテンサイト変態は体積膨張が大きいことから、周囲
の残留オーステナイトを大きく歪ませる形で進行する。
これが鋼の焼入れ硬化の一因ともなる。しかし、変態に
伴う歪みが大きいということは、硬さは向上する反面、
焼入れ後に部材に寸法等の狂いを生じすいことも意味す
る。
し、その浸炭層に優先的にマルテンサイトを生成させる
ことにより、表層部の硬度を増し、耐摩耗性を向上させ
るようにする。本発明では冷却による歪の増大を抑制す
るため、水や油よりも冷却速度が小さいガス冷却を採用
している。従って、ガス冷却でも浸炭層に十分焼きが入
るように、鋼の組成を、冷却速度が少なくとも12℃/
秒以上(以下、これを上限冷却速度という)の領域では
フェライトが生成しなくなるように設定する。12℃/
秒以上に冷却速度を大きくしてもフェライトが生成する
ようでは、ガス冷却によって浸炭層に十分にマルテンサ
イトが形成されず、硬さが不足することにつながる。
も、本発明においては却って不利に作用する。すなわ
ち、浸炭の影響が及ばない内層部においてもマルテンサ
イトが過剰に生成するようであれば、部材全体としての
マルテンサイト生成量が大きくなって寸法精度の低下に
つながる。そこで、ガス焼入時に、浸炭層においては十
分にマルテンサイトが生成するが、内層部では過度のマ
ルテンサイトが形成されないように、組成を選定するこ
とが重要である。具体的には、冷却速度が少なくとも
0.1℃/秒以下(以下、下限冷却速度という)の範囲
においてはベイナイトが生成しないようにする。0.1
℃/秒以下の冷却速度でもベイナイトが生成するようで
あれば、浸炭層の影響が及ばない内層部にまで深く焼き
が入って歪みが増大し、本発明の目的を達成できなくな
る。
入前の加工を容易にできるようにすることであり、その
ためには、焼きなまし状態、すなわちオーステナイトか
らの冷却速度が放冷または空冷に相当する範囲(以下、
焼き鈍し冷却速度範囲という)において、加工性を向上
させるのに十分低い素材硬度が得られなければならな
い。そこで、これを想定して0.1℃/秒未満の冷却速
度に設定したとき、ベイナイトが生成しないように、非
浸炭状態の鋼の組成を選定するのである。そこで、上記
のように0.1℃/秒未満の冷却速度でベイナイトが生
成しないようにすれば、実際の焼き鈍し冷却速度範囲に
てベイナイトの生成が十分抑制され、フェライト+パー
ライトの多い加工性に富んだ組織を得ることができる。
イト生成の限界冷却速度を実験的に決定する方法として
は、鋼を焼きならし後、図4に示す形状及び寸法を有し
た試験片に加工する。この試験片には、片端から長手方
向中央部まで有底孔が形成され、孔底に熱電対を溶接に
より固定する。この状態で、試験片を予め定められた一
定流量の冷却ガス中に置き、さらに高周波誘導加熱によ
りオーステナイト化温度である900℃に昇温する。温
度が900℃にほぼ一定に保持されれば、熱電対にて試
験片中央位置の温度をモニタしながら高周波誘導加熱の
パワーを制御しつつ減少させ、一定の冷却速度にて冷却
する。冷却中、試験片は一端を固定し、他端位置に取り
付けた支持棒の位置を差動トランスを用いてモニタする
ことにより、試験片寸法の温度変化をリアルタイム測定
し、その寸法変化に現れる変曲点からフェライトあるい
はベイナイト生成の温度を読み取る。また、冷却終了
後、熱電対に対応する位置にて試験片を軸直交面にて切
断し、光学顕微鏡観察によりフェライトあるいはベイナ
イトの有無を目視確認する。この測定を、冷却速度を種
々に変化させて行い、フェライト及びベイナイトの有無
をそれぞれ確認することにより、限界冷却速度を決定す
る。なお、この測定法では、フェライト及びベイナイト
の生成を試験片寸法変化の変曲点と光学顕微鏡組織の両
方にて確認するが、前者においては周知の微分解析によ
る変曲点の決定には一定の誤差があり、その誤差の範囲
で変態に対応する変曲点が認められなければ、フェライ
トあるいはベイナイト生成なしと判定する。他方、光学
顕微鏡組織による観察では、断面上に0.1mm四方の
観察視野をランダムに抜き出す形で9視野設定し、各視
野にてフェライトあるいはベイナイトが目視にて観察さ
れなければフェライトあるいはベイナイト生成なしと判
定する。いずれの場合も、面積率にて1〜2%程度のフ
ェライトあるいはベイナイトが生成していても、測定限
界の問題から実質的にフェライトあるいはベイナイト生
成なしとそれぞれ判定するものとする。
観点からガス焼入れに適した焼入性を得るには、合金元
素の増量が有効であるが、高合金化による弊害は最小限
に留める必要がある。一方、低い素材硬度を得るには、
オーステナイトからの冷却速度が放冷または空冷に相当
する範囲において、ベイナイトの生成を抑制し、フェラ
イト・パーライトの多い組織とすることが必要である。
焼入れ後の高い硬さと素材の低い硬さの両立は一般的に
は困難とされていたが、本発明においては、特有の合金
元素の組み合わせにより、好ましい範囲で両立させるこ
とが可能となった。以下に詳細に説明する。
分として、最も有効な元素はホウ素(B)である。Bは
オーステナイトに固溶状態で存在する場合、冷却速度が
2℃/秒以上の冷却において、フェライトやベイナイト
の生成を抑制し焼入性を高めるが、冷却速度が1℃/秒
以下においては、Bを添加しない場合と同じ組織及び硬
さが得られる。
i、Mn、Cr、Ni及びMo等の添加によりなされ
る。ここで、一般的な肌焼鋼等においては、これら含有
量の影響については、挙動は従来より十分に解析されて
おり、ある程度の予測も可能であった。しかし、本発明
では、低い素材硬度を得るためにBの添加を必須とし、
鋼材中には固溶Bが必ず存在する。このような固溶Bを
有する鋼に関しては、上記合金元素の影響すなわちBと
の相互作用について、従来十分に明らかにされておら
ず、当然にそれらの適正な組成範囲についても何ら提案
はなかった。
した結果、Ni及びSiが、固溶Bと共存する場合に焼
入性の向上に対する寄与が特に大きく、反対に素材硬度
に対する影響は少ないということを見出した。また、逆
に、Mn及びMoは、固溶Bと共存する場合に、素材硬
度を上昇させる影響が特に大きいことも判明した。本発
明にて採用する鋼材組成は、B、Ni、Siの添加ある
いは増量、及びMn、Moの低減を基本として合金元素
含有量を調整することにより、高い焼入性と低い素材硬
度の両立を可能とした、特有のものである。
由について説明する。 (1)C:0.12〜0.22質量% Cは浸炭焼入れ材の非浸炭部の強度を向上する元素であ
る。しかし、含有量が0.12質量%未満ではその効果
が小さく、0.22質量%を超えると素材硬度が高くな
る。よって、Cの含有量は0.12〜0.22質量%と
する。
固溶Bと共存する場合に特に焼入性を向上し、素材硬度
に対する影響が比較的小さい元素であるので、本発明に
おいて積極的に添加される元素である。その含有量が
0.40質量%未満では面疲労強度及び焼入性改善効果
が小さく、1.50質量%を超えるとA3変態点の上昇
により、焼入れ前の均一オーステナイト化が困難にな
る。よって、Siの含有量は0.40〜1.50質量%
とする。
未満では効果が小さく、0.45質量%を超えると固溶
Bと共存する場合に素材硬度を上昇させる効果が特に大
きく、部品製造性を著しく劣化させる。よって、Mnの
含有量は0.25〜0.45質量%とする。
溶Bと共存すると特にその効果が大きい。しかし、含有
量が0.50質量%未満ではその効果が顕著でなく、
1.50質量%を超えるとベイナイト組織が生成しやす
くなり、機械加工性を著しく劣化させる。よって、Ni
の含有量は0.50〜1.50質量%とする。
による浸炭性の劣化を防止する効果を有する元素であ
る。しかし、含有量が1.30質量%未満では効果が不
足し、また、2.30質量%を超えて添加すると、素材
においてベイナイト組織が生成しやすくなり機械加工性
を著しく劣化させる。よって、Crの含有量は1.30
〜2.30質量%とする。
量% Bは焼入性を著しく向上する元素であるが、0.001
0質量%未満では安定した効果が得られず、また、0.
0030質量%を超えて添加しても効果が飽和するので
経済的でない。よって、Bの含有量は0.0010〜
0.0030質量%とする。
ことを防止し、Bによる焼入性向上効果を安定させる元
素である。しかし、その含有量が0.02質量%未満で
は効果が小さく、0.06質量%を超えて添加しても効
果が飽和するので経済的でない。よって、Tiの含有量
は0.02〜0.06質量%とする。
な元素である。その含有量が0.02質量%未満では効
果が小さく、0.12質量%を超えると凝固時に粗大な
炭窒化物を形成して結晶粒成長抑制効果が減退する。よ
って、Nbの含有量は0.02〜0.12質量%とす
る。
% Alは溶製過程における脱酸を促進し酸化物系介在物量
の低減に有効であるが、0.005質量%未満では脱酸
効果がなく、また、0.050質量%を超えて添加して
も効果が飽和するので経済的でない。よって、Alの含
有量は0.005〜0.050質量%とする。
多いMoは、Bと共存する場合に焼入性を向上する効果
が特に大きい元素である。しかし、熱間加工上がりの状
態や、焼ならし状態の素材硬度を著しく上昇させるの
で、製造性と強度の両立を目的とする本発明において
は、積極的に添加する元素ではなく、好ましくは、採用
する鋼のMoの含有量を0.05質量%以下に制限する
のがよい。
素濃度は0.6〜1.5質量%とする。浸炭層の表面炭
素濃度は浸炭焼入れ材の表面硬さに影響するが、0.6
質量%未満では表面硬さが不足し、1.5質量%を超え
ると炭化物の析出量が多くなって、基地の焼入性が顕著
に低下し、表面硬さが不足することにつながる。
り、本発明に好適に使用できるが、窒素ガスに代えてア
ルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
おいて、さらに付加可能な要件について説明する。本発
明者らにおいては1.5質量%までのSiを含有する鋼
を採用するが、シリコン添加に伴う破断強度低下を補償
する観点においては、前述のとおり、一定の減圧雰囲気
での浸炭処理が好ましく、具体的には、該浸炭処理を、
雰囲気圧力が30hPa以下に調整された減圧浸炭雰囲
気にて行なうことが望ましい。しかし、むやみに圧力を
低下させると浸炭に要する時間が長くなり、製造コスト
の上昇を招くとともに、浸炭むらが発生しやすくなる。
また、鋼中のSiは炭化物析出を抑制する作用と、酸化
物膜の形成により浸炭を阻害する傾向とが強い元素であ
る。この観点から、上記減圧浸炭雰囲気は、1hPa以
上の圧力とすることが望ましい(特に、Siは浸炭阻害
元素なので、その含有率が上限値である1.5質量%に
近いものは、浸炭性を低下させないよう、上記以上の圧
力で浸炭処理を行なうことが不可欠である)。このよう
な範囲に浸炭処理時の雰囲気圧力を調整することで、浸
炭処理における表面酸化や浸炭濃度むらや、浸炭深さ不
足が生じにくくなり、かつ、面疲労強度に優れた浸炭焼
入れ部材を実現することができる。
入れ組織が十分に形成されることが重要である。焼入組
織の主体をなすマルテンサイトが十分に生成するには、
焼入冷却時において、Ms点近傍の温度を、一定の冷却
速度(臨界冷却速度)以上で通過させなければならな
い。従って、焼入後の部材表面硬さを十分に高めるに
は、ガス冷却媒体の圧力を一定以上に高め、焼入れ組織
を十分に形成するための冷却能を確保する必要がある。
他方、冷却速度が過度に大きくなりすぎると(つまり、
ガス冷却媒体の冷却能が高くなりすぎると)、焼入歪が
大きくなり、良好な寸法及び形状精度が得られなくな
る。従って、冷却能を決定するガス圧力には、ある適正
な範囲が存在する。しかしながら、同じ冷却雰囲気であ
っても、部材の材質や寸法が異なる場合には、部材内部
の冷却速度分布も変化し、必ずしも同じ焼入状態が得ら
れるとは限らない。
を用いると便利である。すなわち、部材を構成する鋼の
熱伝導率をλ(単位:kcal/mh℃)、該ガス冷却
雰囲気における部材の表面熱伝達係数をα(単位:kc
al/mh2℃)として、焼入急冷度Hは、H≡0.5
×(α/λ)にて定義される。このうち熱伝導率λは、
鋼の材質により固有に決定される物性値であり、熱伝達
係数αは、部材の比熱、熱伝導率、重量、形状及び寸
法、さらに、ガス冷却媒体の種類(比熱)、圧力、流速
等により決定され、冷却雰囲気と部材の形状、材質及び
寸法が決まれば、周知の伝熱解析の主法により一義的に
定まるパラメータである。そして、前記組成の鋼を採用
する本発明にておいては、ガス焼入れを行なう際のガス
冷却雰囲気を、部材の材質及び形状/寸法に応じて、ガ
ス種、圧力及び流速等を調整し、上記焼入急冷度Hが
0.01〜0.08となるように設定することが望まし
い。Hが0.01未満の冷却雰囲気では、焼入組織が十
分に形成されず、部材の硬さが不足する。逆にHが0.
08を超えると、焼入歪が大きくなり、良好な寸法及び
形状精度が得られなくなる。
ては、部材酸化抑制の観点から不活性ガス(例えばアル
ゴンガスなど)あるいは窒素ガスを用いて行なうことが
望ましい。特に窒素ガスは、比熱が比較的大きく冷却能
に優れ(1.03J・K−1・g−1、アルゴンは0.
52J・K−1・g−1)、また、量産操業時における
入手容易性とコスト及び取り扱い容易性などの点から本
発明に好適に使用できる。
+19.9×Mn(質量%)+16.7×Ni(質量
%)+8.55×Cr(質量%)+45.5×Mo(質
量%)+28 により表される成分パラメータNが95以下となるよう
に組成調整された浸炭用鋼を使用するのがよい。Nが9
5を超えると、鋼の圧延状態の硬さや焼ならし状態の硬
さが著しく上昇し、機械加工性及び冷間加工性が得られ
なくなるからである。したがって、製造性を重視する場
合にはこの成分パラメータNが95以下となるように鋼
の成分組成を制御する必要がある。
層の表面にて測定したビッカース硬度は700Hv以上
となるのがよい。浸炭焼入れ後の表面硬度は部材強度
(特に疲労強度)に影響し、表面硬度は700Hv未満
では部材強度を十分に確保できなくなる場合がある。従
って、特に疲労強度を重視する場合は、表面硬度を70
0Hv以上とすることが望ましい。なお、浸炭層の表面
にて測定したビッカース硬度の上限値に制限はなく、例
えば900Hv程度までならば少なくとも、炭化物析出
等を抑制しつつ問題なく浸炭を行なうことができる。な
お、表層におけるセメンタイト等の炭化物の生成が過剰
となって表面硬度が900Hvを超える場合、かえって
強度不足、特に靱性の低下が生ずる場合がある。
硬度は250Hv以上以下となるのがよい。浸炭層内側
の非浸炭部のビッカース硬度が250Hv未満になる
と、内部起点の疲労破壊が起きやすくなり、疲労強度が
低下する。したがって、特に疲労強度を重視する場合に
は、該非浸炭部のビッカース硬度を250Hv以上とす
るのがよく、これによって強度と靱性を合わせ持った部
品が得られる。なお、本発明においてビッカース硬さ
は、JIS:Z2244(1998)に規定された試験
方法により、試験荷重2.94Nにて測定されたものを
いう。
確保するには、ベイナイトが十分な量にて形成されてい
る必要があり、望ましくは非浸炭部の組織がベイナイト
を主体とするものになっているのがよい。なお、本明細
書にて「ベイナイトが主体になる」とは、断面組織にお
けるベイナイトの面積率が50%以上であることをい
う。ベイナイトはマルテンサイトと異なり、格子をなす
鉄原子が部分的に拡散しながら変態が進行する。従っ
て、マルテンサイトと比較して変態に伴う歪みの発生が
小さく、しかも、さらに冷却速度が小さくなったときに
生成するパーライトよりは硬さが大きいので、内側の非
浸炭部の強度を適度に高めることができる。内層部をベ
イナイトを主体に構成するには、部材寸法によっても異
なるが、前述の限界冷却速度の測定において、ベイナイ
トが主体となる組織が得られる冷却速度が0.5℃/秒
〜10℃/秒の範囲に存在するように(より望ましく
は、3℃/秒の冷却速度としたとき、ベイナイトが主体
となる組織が得られるように)、組成選定することが望
ましい。
前記した加工性改善の観点から、ロックウェルBスケー
ル硬さが95HRB以下であることが望ましい。なお、
本発明においてロックウェルBスケールは、JIS:Z
2245(1998)に規定された試験方法により測定
されたものをいう。
5%以下となっていることが望ましい。残留オーステナ
イト量が25%を超えると硬さが低下し、特に重荷重あ
るいは衝撃等の加わりやすい歯車部材(例えば動力用や
自動車用の歯車(例えば変速機用歯車)など)等への適
用を図る場合、歯車の変形や歯面の波打ち(リップリン
グ)といった初期損傷が発生しやすくなる問題がある。
なお、浸炭層表面の残留オーステナイト量は、より望ま
しくは20%以下であるのがよい。
に特に制限はなく、例えばショットピーニング等によ
り、残留オーステナイトを強制的にマルテンサイト化し
て量を減らすこともできる。この場合、最終的な残留オ
ーステナイト量を、例えば面積率にて、最大で1%(こ
れは事実上、測定限界以下の値である)程度にまで減少
させることもできる。なお、鋼のマルテンサイト変態は
体積膨張が大きいので、その後背応力の影響を受けて残
留するオーステナイトは、完全にはゼロにできない場合
がある。
れ層表面においてディフラクトメータ法によりX線回折
プロファイルを測定したとき、体心立方晶系(フェライ
ト)あるいは体心正方晶系(マルテンサイト)の相の主
回折ピークの積分面積をIf({200}及び{21
1};正方晶系ではピークスプリットするので、グルー
プに属する全てのピーク面積を合計する)と、面心立方
晶系、すなわちオーステナイト相の回折ピークの積分面
積をIa({200}、{220}、{311}}とし
て、 {Ia/(Ia+If)}×100(%) にて表すものとする。
の面積率は、10%以下であることが望ましい。トルー
スタイトは、浸炭焼入れ後の浸炭層に生成する不完全焼
入組織であり硬さも小さい。従って、この浸炭層表面の
面積率が10%を超えると、面疲労強度が顕著に劣化す
る。そこで、特に面疲労強度を重視する場合には上記ト
ルースタイトの面積率を10%以下に規制することが望
ましい。
る深さは、3μm以内であることが望ましい。浸炭中に
雰囲気から部材(鋼)に侵入する酸素は、粒界拡散が支
配的となることが多く、粒界に酸化物相を形成する。粒
界酸化物相が形成されると粒界強度が低下し、浸炭層の
強度不足や脱粒等による耐摩耗性の低下を招く場合があ
る。また、粒界酸化物相の生成時に、周囲の鋼添加元素
(副成分)の一部が粒界酸化物相に取り込まれる結果、
粒界酸化物相周囲に添加元素の枯渇領域が生じ、浸炭焼
入層の焼入性不足ひいては硬度や強度の不足を引き起こ
すおそれがある。従って、鋼材の組成調整、浸炭時の雰
囲気(特に酸素分圧)、浸炭温度及び時間等を調整する
ことにより、上記粒界酸化深さを3μm以下に抑制する
ようにする。
とにより、非酸化領域と目視により簡単に判別できるの
で、その断面光学顕微鏡写真から上記の粒界酸化深さを
測定することができる。
800MPaとなっていることが望ましい。圧縮残留応
力を部材表面に残留させることにより、表層部に亀裂が
形成されたときに、その亀裂の拡大・伝播が抑制され
る。従って、部材の強度、特に動的強度(面疲労強度、
曲げ疲労強度、ねじり疲労強度等)を大幅に向上させる
ことができる。前記した通り、浸炭層に焼入れ処理して
マルテンサイトを生成させると、変態に伴う体積膨張に
より圧縮応力場を生じ、上記のような表面圧縮残留応力
を付与するのに好都合である。しかし、マルテンサイト
の生成量が少ない場合、すなわち残留オーステナイトが
多い場合は、十分な圧縮残留応力場を形成できない。従
って、残留オーステナイトを減少させること(具体的に
は25%以下とすること)は、このような圧縮残留応力
効果を高める観点においても有利に作用するといえる。
なお、マルテンサイト変態時の体積膨張の吸収は、マル
テンサイト量が少ない場合は周囲のオーステナイトを塑
性変形させて進行するため応力緩和し、表面圧縮残留応
力の増大にはそれほど寄与しない。しかし、マルテンサ
イト量が増え残留オーステナイトが上記のように減少す
ると、塑性変形により導入された転位の密度が増加し、
すべり変形が拘束されるため、表面圧縮残留応力は急速
に増加する。また、焼入れ後にショットピーニング等の
表層加工を施して圧縮残留応力を増加させる方法もあ
る。後者の場合、ショットピーニング処理により残留オ
ーステナイトをマルテンサイト化させると、圧縮残留応
力を向上させる上でより有利となる。圧縮残留応力が3
00MPa未満になると、亀裂伝播抑制による強度向上
効果が十分得られなくなり、また、800MPaを超え
る圧縮残留応力を付与することは、マルテンサイト量を
過度に多くするか、後加工による歪付与を過剰に大きく
するかのいずれかを選択しなければならないが、前者は
焼入れ時の冷却速度を、限度を超えて大きくしなければ
ならず、後者は加工歪を過度に大きくしなければならな
くなる。いずれも、部材の寸法精度確保という本発明の
課題に照らし合わせれば、本末転倒の結果を招く。
面においてディフラクトメータ法によりX線回折プロフ
ァイルを測定したとき、体心立方晶系(フェライト)あ
るいは体心正方晶系(マルテンサイト)の相の(21
1)ピークの半値幅とピーク中心位置との関係に基づい
て行なうことができる。この方法により応力分析を行な
う装置は、Fastress(登録商標名)応力分析器
として周知であり(例えば「新版X線回折要論」(カリ
ティ著、アグネ(1979)、431〜433頁)、詳
細な説明は省略する。
製造方法により実現可能なものであり、部材非浸炭部を
構成する鋼が:Feを主成分とし、副成分としてC、S
i、Mn、Ni、Cr、B、Ti、Nb及びAlを含有
するとともに、各副成分の含有可能範囲が、C:0.1
2〜0.22質量%、Si:0.4〜1.5質量%、M
n:0.25〜0.45質量%、Ni:0.5〜1.5
質量%、Cr:1.3〜2.3質量%、B:0.001
〜0.003質量%、Ti:0.02〜0.06質量
%、Nb:0.02〜0.12質量%、Al:0.00
5〜0.05質量%に設定され; N≡106×C(質量%)+10.8×Si(質量%)
+19.9×Mn(質量%)+16.7×Ni(質量
%)+8.55×Cr(質量%)+45.5×Mo(質
量%)+28 により表される成分パラメータNが95以下となり;ま
た、900℃から室温まで一定速度にて冷却したとき、
冷却速度が少なくとも0.1℃/秒以下の範囲において
はベイナイトが生成せず、かつ、冷却速度が少なくとも
12℃/秒以上の範囲においてはフェライトが生成しな
くなるように;副成分含有量が調整された鋼であり、部
材表面に浸炭層が形成されるとともに、該浸炭層の表面
にて測定したビッカース硬度が700Hv以上であり、
また、浸炭層内側の非浸炭部のビッカース硬度が250
Hv以上であることを特徴とする。
の鋼の採用により、浸炭焼入前の加工が容易であり、ま
た、部材寸法に関係なくガス冷却により十分な焼入組織
が形成可能であるから、低歪で高精度の部材が実現でき
る。また、浸炭焼入れ後の破断強度や面疲労強度に優
れ、さらに部材全体の製造コストを大幅に削減できる。
各数値の臨界的意味は、すでに説明済みであるから省略
する。なお、浸炭層の組成は、非浸炭部の組成をベース
として、浸炭により炭素含有量を増加させたものに相当
する。
た実験結果について説明する。まず、表1に示す化学組
成の鋼をアーク炉で溶製後、熱間圧延により直径150
mm及び直径32mmの丸棒とし、925℃に1時間保
持後空冷の焼ならしを行った。鋼種A1、A2、A3は
本発明の請求項に記載されている鋼材組成に該当する鋼
種であり、鋼種B及び鋼種CはそれぞれJISの肌焼鋼
SCM420及びSNCM815に相当する鋼種である
(成分パラメータNの計算値も合わせて示している)。
ならし材の、横断面の中心部についてロックウェル硬さ
を測定した。そして、各鋼材のベイナイト生成の下限臨
界冷却速度βLC及びフェライト生成の上限臨界冷却速度
βUCを、図4の試験片を別途作成することにより、すで
に説明した方法にて測定した。また、直径25mm、長
さ50mmの丸棒試験片及び図1に示す形状の回転曲げ
疲れ試験片を加工した。また、直径32mm及び直径1
50mmの焼ならし材から、図2に示すピッティング試
験用ローラー及びその相手ローラーを加工した。他方、
直径150mmの焼ならし材は、軸直交断面により切断
し、さらに鍛造及び切削により、図3に示す形状の歯車
を加工した。
試験片については、鋼種A1、A2、A3、B、Cと
も、表2に示す条件で低圧浸炭及びガス焼入れを行った
(それぞれ発明例A、比較例B、比較例Cとする)。そ
して、歯車、回転曲げ疲れ試験片、ピッティング試験ロ
ーラー及び相手ローラーについては、鋼種A1、A2、
A3及び鋼種Cは表2に示した条件で低圧浸炭及びガス
焼入れを行い(発明例A1、A2、A3、比較例C)、
鋼種Bは表3に示す条件でガス浸炭及び油焼入れを行っ
た。
部のXMA(X-ray Micro Analysis)分析を行なうこと
により、浸炭後の表層部の炭素濃度を、表面から50μ
mの位置にて調べた(結果を表1に示している)。他
方、直径25mmの丸棒試験片について、ビッカース硬
度計により横断面の硬さ分布を調べた。なお、浸炭焼入
材の表層硬さは、表面から0.02mmの位置において
測定した。さらに、これと同等の位置においてトルース
タイトの面積率を、走査型電子顕微鏡写真を画像解析す
ることにより測定した。また、すでに説明した方法によ
り、表層部の残留オーステナイト量、圧縮残留応力を測
定した。これらの結果を表4に示す。
RB以下の焼ならし硬さを示し、浸炭焼入れ材の中心部
の硬さは350Hv以上である。表層(浸炭層)の組織
はいずれもマルテンサイトであり、中心部(非浸炭部)
の組織はいずれもベイナイトあるいはベイナイト+マル
テンサイト(ただし、ベイナイトが50%以上)であ
り、顕著な不完全焼入組織は存在していなかった。これ
に対し、比較例Bは焼ならし硬さは低いものの、浸炭焼
入れ材の表層硬さ及び中心部硬さが発明例に対して低
い。また、比較例Cは浸炭焼入れ材の表層硬さ及び中心
部硬さは発明例Aとほぼ同等であるが、焼ならし硬さが
極めて高い。
試験機を用い、繰り返し数1千万回を基準とする疲労強
度を求めた。また、ピッティング試験は潤滑油中で試験
ローラーと相手ローラーを荷重とすべり速度を制御しつ
つ回転接触させ、試験ローラーの表面に発生するピッテ
ィング損傷を振動により検出し、繰り返し数1千万回を
基準とする面圧強度を求めた。なお、相対すべり速度は
800mm/sとした。表4にこれらの強度試験の結果
を示す(ただし、各強度はいずれも比較例Bを基準とす
る相対値にて表している)。この結果からわかるよう
に、発明例では回転曲げ疲労強度及び耐ピッティング強
度において比較例を大きく上回る特性が得られている。
度を、以下の方法により評価した。まず、歯車精度につ
いては、専用の精密ギヤ精度測定機に歯車をセットし、
左右歯面それぞれにおいて、歯車の圧力角方向の誤差量
とネジレ角方向の誤差量を測定した。また、歯溝の高さ
を全周測定し最大値から最小値を差し引いた値を歯溝の
振れとして算出した。他方、歯車の寸法精度について
は、以下のようにして測定を行った。すなわち、歯車の
互いにむかいあった2つの歯溝にボールを入れ、その外
周寸法を専用のO.B.D(Over Ball Diaphragm)測
定器にて測定した。O.B.Dの測定位置は図3に示す
ように、円周方向は直角2方向(X,Y)であり、歯幅
方向は上・中・下の3個所(A,B,C)とした。表中
「O.B.D楕円」とあるのは直角2方向でのO.B.
Dの差の絶対値であり、「O.B.Dテーパー」は歯幅
方向での上部O.B.Dと下部O.B.Dの差である。
以上の結果を表5に示す。
して構成した歯車は、熱処理歪が極めて小さいため、歯
車精度及び寸法精度の全てにわたって非常に良好な特性
が得られていることがわかる。
を示す図。
図。
Claims (17)
- 【請求項1】 Feを主成分とし、副成分としてC、S
i、Mn、Ni、Cr、B、Ti、Nb及びAlを含有
するとともに、各副成分の含有可能範囲が、C:0.1
2〜0.22質量%、Si:0.4〜1.5質量%、M
n:0.25〜0.45質量%、Ni:0.5〜1.5
質量%、Cr:1.3〜2.3質量%、B:0.001
〜0.003質量%、Ti:0.02〜0.06質量
%、Nb:0.02〜0.12質量%、Al:0.00
5〜0.05質量%に設定され、また、900℃から室
温まで一定速度にて冷却したとき、冷却速度が少なくと
も0.1℃/秒以下の範囲においてはベイナイトが生成
せず、かつ、冷却速度が少なくとも12℃/秒以上の範
囲においてはフェライトが生成しなくなるように、前記
各副成分の非浸炭状態における含有量が調整されてなる
鋼により部材を構成し、 減圧浸炭雰囲気又は常圧までの不活性ガス又は窒素を主
体とする浸炭雰囲気にて前記部材を浸炭処理することに
より、表面炭素濃度が0.6〜1.5質量%となる浸炭
層を該部材に形成し、その浸炭処理後に前記部材を、ガ
ス焼入することを特徴とする浸炭焼入れ部材の製造方
法。 - 【請求項2】 前記浸炭処理を、雰囲気圧力が1〜30
hPaに調整された減圧浸炭雰囲気にて行なう請求項1
記載の浸炭焼入れ部材の製造方法。 - 【請求項3】 前記ガス焼入れを行なう際のガス冷却雰
囲気は、前記部材を構成する鋼の熱伝導率をλ(単位:
kcal/mh℃)、該ガス冷却雰囲気における前記部
材の表面熱伝達係数をα(単位:kcal/mh2℃)
として、H≡0.5×(α/λ)にて定義される焼入急
冷度Hが0.01〜0.08となる雰囲気が使用される
請求項1又は2に記載の浸炭焼入れ部材の製造方法。 - 【請求項4】 前記ガス冷却雰囲気は不活性ガス雰囲気
又は窒素ガス雰囲気である請求項1ないし3のいずれか
1項に記載の浸炭焼入部材の製造方法。 - 【請求項5】 前記部材を構成する前記鋼として、 N≡106×C(質量%)+10.8×Si(質量%)
+19.9×Mn(質量%)+16.7×Ni(質量
%)+8.55×Cr(質量%)+45.5×Mo(質
量%)+28 により表される成分パラメータNが95以下となるよう
に組成調整された浸炭用鋼が使用される請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の浸炭焼入れ部材の製造方法。 - 【請求項6】 前記浸炭処理後のガス焼入により、前記
浸炭層の表面にて測定したビッカース硬度を700Hv
以上とし、また、浸炭層内側の非浸炭部のビッカース硬
度を250Hv以上とする請求項1ないし5のいずれか
1項に記載の浸炭焼入れ部材の製造方法。 - 【請求項7】 前記浸炭層表面のトルースタイトの面積
率を10%以下とする請求項6記載の浸炭焼入れ部材の
製造方法。 - 【請求項8】 前記浸炭層表面の残留オーステナイト量
を25%以下とする請求項6又は7に記載の浸炭焼入部
材の製造方法。 - 【請求項9】 前記非浸炭部の組織をベイナイトからな
るものとする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の
浸炭焼入部材の製造方法。 - 【請求項10】 部材表面からの粒界酸化が生じている
深さを3μm以内とする請求項1ないし9のいずれか1
項に記載の浸炭焼入部材の製造方法。 - 【請求項11】 部材表面の圧縮残留応力を300〜8
00MPaとする請求項1ないし10のいずれか1項に
記載の浸炭焼入部材の製造方法。 - 【請求項12】 部材非浸炭部を構成する鋼が:Feを
主成分とし、副成分としてC、Si、Mn、Ni、C
r、B、Ti、Nb及びAlを含有するとともに、各副
成分の含有可能範囲が、C:0.12〜0.22質量
%、Si:0.4〜1.5質量%、Mn:0.25〜
0.45質量%、Ni:0.5〜1.5質量%、Cr:
1.3〜2.3質量%、B:0.001〜0.003質
量%、Ti:0.02〜0.06質量%、Nb:0.0
2〜0.12質量%、Al:0.005〜0.05質量
%に設定され; N≡106×C(質量%)+10.8×Si(質量%)
+19.9×Mn(質量%)+16.7×Ni(質量
%)+8.55×Cr(質量%)+45.5×Mo(質
量%)+28 により表される成分パラメータNが95以下となり;ま
た、900℃から室温まで一定速度にて冷却したとき、
冷却速度が少なくとも0.1℃/秒以下の範囲において
はベイナイトが生成せず、かつ、冷却速度が少なくとも
12℃/秒以上の範囲においてはフェライトが生成しな
くなるように;前記副成分含有量が調整された鋼であ
り、 前記部材表面に浸炭層が形成されるとともに、該浸炭層
の表面にて測定したビッカース硬度が700Hv以上で
あり、また、浸炭層内側の非浸炭部のビッカース硬度が
250Hv以上であることを特徴とする浸炭焼入れ部
材。 - 【請求項13】 前記浸炭層表面のトルースタイト組織
の面積率が10%以下である請求項12記載の浸炭焼入
れ部材。 - 【請求項14】 前記浸炭層表面の残留オーステナイト
量が25%以下である請求項12又は13に浸炭焼入部
材。 - 【請求項15】 前記非浸炭部の組織が主としてベイナ
イトからなる請求項12ないし14のいずれか1項に記
載の浸炭焼入部材。 - 【請求項16】 部材表面からの粒界酸化が生じている
深さが3μm以内である請求項12ないし15のいずれ
か1項に記載の浸炭焼入部材。 - 【請求項17】 部材表面の圧縮残留応力が300〜8
00MPaとなっている請求項12ないし16のいずれ
か1項に記載の浸炭焼入部材。
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