JP2003200399A - 微小物体の操作方法 - Google Patents
微小物体の操作方法Info
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Abstract
の微小物体の捕捉や配列等の操作を効率よく行うことが
できる微小物体の操作方法を提供する。 【解決手段】 微小物体の電子系エネルギー準位に相当
する光を照射することにより、微小物体の電子系エネル
ギー準位に照射した光を共鳴させて光と微小物体との相
互作用を増加させ、微小物体に及ぼされる力を増強す
る。
Description
の操作方法に関し、特に、ナノサイズの物体の力学的操
作に有用である微小物体の操作方法に関するものであ
る。
光を照射することによって発生する光の放射圧を利用し
て、微小物体の捕捉や配列等の力学的操作を行う技術で
ある。光の放射圧とは、光が物体に衝突して吸収又は散
乱されるときに、物体に及ぼす力であり、この力が微小
物体に印加されることにより、光による微小物体の操作
を行うことが可能になっている。
ば、生物学の分野では、DNA等の生体分子の操作、細
胞及び細胞内小器官の操作、筋肉細胞内のミオシンと呼
ばれる分子が出す力の測定等に利用されている。また、
材料分野では、フォトニック結晶等の微小光学素子の作
製や新規材料の開発に用いられている。このように、光
マニピュレーション技術の応用範囲は多岐にわたり、物
質の解明、新物質の創製に対する多彩な可能性が期待さ
れている。
来の光マニピュレーション技術では、大きさがナノオー
ダーの微小物体になると、光照射による微小物体の誘起
分極が小さくなり、散乱及び吸収の効果が非常に弱くな
るという問題を有している。つまり、光照射による微小
物体での光散乱及び光吸収が小さくなると、光と微小物
体との相互作用が小さくなって光から微小物体に印加さ
れる力が極微量になり、微小物体を光マニピュレーショ
ン技術によって操作することが困難になる。特に、非金
属物質のような光散乱効果及び光吸収効果の弱いナノサ
イズの微小物体を自由に操作することは、非常に困難と
なっている。
めになされたものであって、その目的は、光マニピュレ
ーション技術によって、ナノサイズの微小物体の捕捉や
配列等の操作を行うことができる微小物体の操作方法を
提供することにある。
方法は、上記課題を解決するために、微小物体に光を照
射することにより、光から微小物体に力を及ぼして該微
小物体を操作する微小物体の操作方法において、上記微
小物体の電子系エネルギー準位に共鳴する光を照射する
ことを特徴としている。
が有する電子の量子力学的なエネルギー準位をいい、微
小物体では、このエネルギー準位が離散化されている。
また、電子系エネルギー準位に共鳴する光とは、上記電
子系エネルギー準位間のエネルギー差、すなわち、微小
物体の遷移エネルギーを中心として、電子系エネルギー
による光学応答スペクトルのピークの半値全幅の2倍の
幅を有する領域内のエネルギーを有する光のことであ
る。
ネルギー準位間のエネルギー差に一致する光を照射して
いるので、照射した光が電子系エネルギー準位に共鳴す
ることができる。これにより、光との力学的相互作用が
弱い微小物体であっても、上記の光が照射されることに
よって微小物体の電子系エネルギー準位に共鳴し、光と
微小物体との力学的相互作用を高めることができる。そ
の結果、光から微小物体に及ぼされる力が増強され、光
照射によって微小物体を容易に操作することが可能にな
る。
に働く力を増幅して操作しているので、強度の小さい光
を照射することによって、微小物体を操作することがで
きる。従って、通常用いられているレーザ光の波長によ
って、微小物体を操作することが可能になり、従来困難
とされていたナノサイズの微小物体を光照射によって操
作することができる。
は、光照射により微小物体の破壊を引き起こさない大き
さとする。
記微小物体の操作方法において、電子系エネルギー準位
の異なる複数種類の微小物体を有する集合のうちから、
特定の微小物体のみを選択して操作することを特徴とし
ている。
のエネルギーに一致する電子系エネルギー準位間のエネ
ルギー差を有する微小物体に対して共鳴する。微小物体
の電子系エネルギー準位は、微小物体の材質によって異
なるので、複数種類の微小物体のうち、照射した光のエ
ネルギーに一致する電子系エネルギー準位間のエネルギ
ー差を有する微小物体のみが光と相互作用し、光から該
微小物体に対して力が働く。これにより、特定の微小物
体のみを選択的に操作することができる。
記微小物体の操作方法において、上記集合は、材質が同
一であり、かつ、大きさ、形状、内部構造のうち少なく
とも一つが異なる複数の微小物体を有し、該集合から、
大きさ、形状、内部構造が実質的に同じである微小物体
のみを選択して操作することを特徴としている。
ズである場合、材質が同じであっても、大きさ、形状、
内部構造のうち少なくとも一つが異なることによって、
微小物体の電子系エネルギー準位が、量子効果により変
化する。そのため、微小物体の電子系エネルギー準位間
のエネルギー差が変化し、特定の微小物体の電子系エネ
ルギー準位に共鳴する光を照射することにより、大き
さ、形状、内部構造のうち少なくとも一つが異なる複数
種類の微小物体の中から、大きさ、形状、内部構造が実
質的に同じである特定の微小物体のみを選択して操作す
ることが可能になる。また、上記の方法によれば、1nm
オーダーにて、大きさや形状が異なる微小物体を選別し
て、操作することも可能である。
きさ、形状、内部構造のうち少なくとも一つが異なる複
数種類の微小物体を有する集合から、特定の微小物体だ
けを基板上に集積させることができる。従って、ナノサ
イズの大きさであり、その大きさ、形状、内部構造が実
質的に同一である微小物体を有するフォトニック結晶等
の光学素子を作製することが可能になる。また、生体分
子等の微小物体を自在に操作することが可能になる。
た光によって、微小物体の操作が可能な程度に、大き
さ、形状、内部構造が同じであることを意味するものと
する。つまり、照射した光が共鳴する電子系エネルギー
準位を有する微小物体の大きさ、形状、内部構造を実質
的に同じとみなす。
記微小物体の操作方法において、上記微小物体は、形状
が球状又は薄膜状であることを特徴としている。
位に共鳴する光を照射することにより、照射した光のエ
ネルギーに一致する電子系エネルギー準位間のエネルギ
ー差を有する球状又は薄膜状の微小物体の操作を行うこ
とができる。また、球状の微小物体の半径や、薄膜状の
微小物体の膜厚が異なる場合にも、半径や膜厚の違いに
よって微小物体を選別し、容易に操作することが可能で
ある。
記微小物体の操作方法において、微小物体の電子系エネ
ルギー準位に共鳴する光を定在波として照射し、定在波
上に球状の微小物体を配列することを特徴としている。
強度の強い方へ微小物体を移動させる力が働くので、同
一の大きさを有する球状の微小物体を定在波の山又は谷
上に集積することができる。そのため、大きさの揃った
球状の微小物体を周期的に配列させることができるの
で、構成物体が同一の大きさを有し、規則正しく配列し
たフォトニック結晶等の光学素子を作製することができ
る。
記微小物体の操作方法において、薄膜状の微小物体に光
を照射する光源と、該微小物体との間に反射薄膜を配置
し、上記微小物体と反射薄膜との膜間距離、及び、光源
から反射薄膜に入射する光の入射角の少なくとも一方を
調節して、微小物体の位置を制御することを特徴として
いる。
状の微小物体と反射薄膜との膜間に生じる電場強度が増
幅するので、微小物体と反射薄膜との間に反発力が生
じ、該反発力によって微小物体を操作することができ
る。また、膜間に生じる電場強度は、膜間距離に依存し
て変化し、電場強度は照射する光の入射角に依存して変
化する。そのため、膜間距離及び光の入射角の少なくと
も一方を調節することによって反発力を制御し、薄膜状
の微小物体を自在に操作することができる。さらに、膜
間距離及び光の入射角を調節しているので、広範囲にわ
たって微小物体を移動させることができる。
1ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。
物体の操作方法 (1.1)光の共鳴現象を利用した光マニピュレーション 光マニピュレーションでは、微小物体に光を照射するこ
とによって、光から微小物体に力を与え、微小物体を操
作する。光照射によって微小物体に印加される力は、微
小物体での照射光の散乱、照射光の吸収を通した微小物
体への運動量の移動、照射光によって生じる電場勾配に
より微小物体内の分極が感じる位置エネルギーの程度に
よって決まり、一般に光照射による微小物体の誘起分極
が大きいほど、印加される力も大きくなる。従って、光
マニピュレーションによる微小物体の操作を行うために
は、光照射による誘起分極を増大させ、微小物体に印加
される力を増加させる必要がある。
は、微小物体の大きさや誘電率に依存し、物体サイズや
誘電率が大きくなれば、微小物体における光の散乱及び
吸収の効果、電場勾配が強くなり、誘起分極も増大す
る。その結果、微小物体に印加される力が大きくなる。
場合、光の散乱及び吸収の効果や電場勾配は弱く、光照
射による微小物体の誘起分極も小さくなって、微小物体
に与えられる力が小さくなる。特に、ナノサイズの微小
物体は、光マニピュレーションにて通常用いられるレー
ザ光の波長よりも小さい大きさであるために、光と微小
物体との相互作用が弱い。そのため、光から微小物体に
及ぼされる力が非常に小さくなり、微小物体の捕捉や配
列を行うことが困難になる。
ーションにて一般的に使用されているレーザ光を用い
て、微小物体の光照射による誘起分極を増大するため
に、物質に固有の電子系エネルギー準位間のエネルギー
差に相当するエネルギーを有している光を微小物体に集
光照射する。なお、以下では、物質の電子系エネルギー
準位間のエネルギー差に合致するエネルギーを有する光
を共鳴光と記載する。
の電子系エネルギー準位間のエネルギー差に共鳴して、
微小物体の誘起分極が増大する。一般に、光と微小物体
との相互作用は、微小物体の誘電率が大きくなるほど強
くなるため、共鳴光の入射によって微小物体の誘起分極
が増大することにより、光と微小物体との力学的な相互
作用が大きくなる。従って、微小物体での強い光散乱及
び強い光吸収が起こることにより、共鳴光から微小物体
に、効率よく力が与えられる。
ルギー準位間のエネルギー差に相当するエネルギーを有
する共鳴光を微小物体に照射することによって、微小物
体と光との相互作用が強くなり、微小物体に働く力を増
大させることができる。これにより、従来全く認識され
ていなかった電子系エネルギー準位を利用した力の増強
効果を得ることができる。また、光と微小物体との相互
作用が非常に弱いナノサイズの微小物体であっても、光
マニピュレーション技術を利用して微小物体を操作する
ことができる。さらに、光の共鳴現象を利用することに
より、光マニピュレーションにて、通常用いられる1.0
〜4.0eVの低パワーのレーザ波長によって、微小物体の
操作を行うことが可能になる。
の材質が既知である場合には、文献(例えば、H.Ajiki
and K.Cho,"Longitudinal and Transverse Components
of Excitons in a Spherical Quantum Dot",Phys.Rev.
B,Vol.62,p.7402-7412(2000))の電子系エネルギー準位
に基づいて決定すればよい。また、後述するように、微
小物体の電子系エネルギー準位は、微小物体の大きさに
よっても変化し、遷移エネルギーも変化する。従って、
操作すべき微小物体の材質、大きさ、形状、内部構造等
が未知である場合は、分光分析等により微小物体が有す
る電子系エネルギー準位間のエネルギー差や微粒子の大
きさ、形状、内部構造等を決定し、これらの測定結果に
基づいて、共鳴光の波長を決定することが好ましい。
度に絞り込んでから微小物体に導入し、該共鳴光のスペ
クトル線の線幅は、操作する微小物体の電子系エネルギ
ー準位に共鳴するように設定すればよい。
ニピュレーション 次に、微小物体が球状である場合の光マニピュレーショ
ンについて説明する。なお、以下では、球状の微小物体
を微粒子と記載する。
方法は、上記のように、微粒子に固有の電子系エネルギ
ー準位に共鳴する共鳴光を照射して共鳴現象を引き起こ
し、微粒子に働く力を増幅する方法である。
系エネルギー準位に対する共鳴現象であるため、共鳴現
象を利用して微粒子を操作するためには、微粒子が有す
る電子系エネルギー準位間のエネルギー差に相当するエ
ネルギーを有する光(共鳴光)を照射すればよい。上記
の共鳴現象を利用することによって、微粒子と光との相
互作用が弱く、光から微粒子に及ぼされる力が非常に小
さいナノサイズの微粒子においても、光マニピュレーシ
ョン技術による微粒子の操作が可能になる。
ギー準位を有するものであればよく、その大きさも特に
限定されるものではないが、電子系エネルギー準位に対
する光の共鳴現象による力の増強効果が顕著に表れるも
のであることが好ましい。具体的には、微粒子の半径が
ナノオーダーであることが好ましく、より好ましくは10
0nm以下がよい。この理由は、半径が100nm以下の微粒子
では、光の共鳴現象がある場合の微粒子に作用する力の
大きさを、光の共鳴現象がない場合に微粒子に作用する
力の102〜105程度にまで増強することができるため
である。
微粒子は、微粒子の電子系エネルギー準位間のエネルギ
ー差が、照射された光の有しているエネルギーに合致し
ている微粒子(以下、共鳴微粒子と記載する)に限られ
る。つまり、照射された光が有するエネルギーに相当す
る電子系エネルギー準位間のエネルギー差を有していな
い微粒子(以下、非共鳴微粒子と記載する)は、光照射
によって光の共鳴現象が生じることはなく、この場合、
非共鳴微粒子に働く力は増強されない。このように、操
作する微粒子に固有の電子系エネルギー準位に対する光
の共鳴現象を利用しているので、共鳴微粒子だけを選択
的に操作することが可能になる。
変化した場合、微粒子の電子系エネルギー準位が量子効
果によりシフトし、共鳴光の周波数も非常に敏感に変化
する。つまり、同じ材質の微粒子であっても、微粒子の
大きさ、形状、内部構造の少なくとも一つが異なること
により共鳴光の周波数が異なる。この性質を利用すれ
ば、共鳴光の周波数を変化させることにより、同一の材
質であって、大きさ、形状、内部構造の少なくとも一つ
が異なる微粒子を1nmオーダーで選別することが可能に
なる。
は、光の共鳴が強いほど増幅される。従って、共鳴微粒
子の結晶が清浄でない場合には、光の共鳴が弱くなり、
共鳴微粒子に働く力が弱くなるので、結晶が清浄である
品質の良い共鳴微粒子だけを選択的に操作することも可
能になる。
入射光3を照射することによって、入射光3のエネルギ
ーに対応した電子系エネルギー準位を有し、特定の大き
さ、形状、内部構造を有する共鳴微粒子4にのみに力が
働く。一方、材質が異なる非共鳴微粒子1や、共鳴微粒
子4と同じ材質であって、大きさ、形状、内部構造のう
ち少なくとも一つが異なる非共鳴微粒子2には、入射光
3からの力がほとんど働かない。従って、入射光3によ
って、基板5上には、同一の大きさ、形状、内部構造を
有する共鳴微粒子4のみを集積することができる。
から共鳴光3a・3bを入射し、この2方向の共鳴光に
よって生じる定在波の山又は谷に、周期的に特定の大き
さを有する共鳴微粒子4を配列させることができる。こ
の理由は、共鳴光の照射によって生じる電磁場と共鳴微
粒子の分極との相互作用のために、位置エネルギーの低
い方へ共鳴微粒子を移動させる力が働くためである。
記共鳴光3a・3bのいずれか一方のみを入射すれば、
共鳴微粒子4とは材質の異なる非共鳴微粒子1や、材質
は同じであって、大きさ、形状、内部構造のうち少なく
とも一つが異なる非共鳴微粒子2を、この定在波領域か
ら追い出すことが可能になる。
の選別を行えば、ナノオーダーの大きさを有し、且つ、
その大きさがよく揃った微粒子を有するフォトニック結
晶を作製することができる。さらに、特定の大きさを有
する微粒子が周期的に配列したフォトニック結晶の作製
も可能になる。
マニピュレーション 次に、微小物体が薄膜状である場合の光マニピュレーシ
ョンについて説明する。なお、以下では、薄膜状の微小
物体を薄膜と記載する。
操作 光照射による薄膜の操作方法は、上記のように、薄膜に
固有の電子系エネルギー準位に共鳴する共鳴光を照射し
て共鳴現象を引き起こし、薄膜に働く力を増幅する方法
である。
膜厚が小さくなると、薄膜に働く力が急激に減少する。
一方、光の共鳴現象がある場合、薄膜に働く力は、光の
共鳴現象がない場合に比較して、10〜102程度増強
する。これは、薄膜の膜厚が100nm以下である薄膜に顕
著に見られる。また、薄膜の膜厚が10nm程度の薄膜のよ
うに、照射する光の波長に比べて十分小さい場合でも、
共鳴現象による力の増強が生じる。
作される薄膜は、電子系エネルギー準位間のエネルギー
差が照射された光の有しているエネルギーに合致してい
る薄膜(以下、共鳴薄膜と記載する)に限られる。つま
り、照射された光が有するエネルギーに相当する電子系
エネルギー準位間のエネルギー差を有していない薄膜
(以下、非共鳴薄膜と記載する)は、光照射によって光
の共鳴現象が起こらず、この場合、非共鳴薄膜に働く力
は増強されない。このように、操作する薄膜に固有の電
子系エネルギー準位に対する光の共鳴現象を利用してい
るので、共鳴薄膜だけを選択的に操作することが可能に
なる。
変化した場合、薄膜の電子系エネルギー準位に共鳴する
共鳴光の周波数が非常に敏感に変化する。従って、同じ
材質の薄膜であっても、膜厚、形状、内部構造が異なれ
ば、共鳴光の周波数が異なるため、1nmオーダーでの膜
厚、形状、内部構造の違いによる選別や薄膜の位置選択
を制御することが可能になる。
とにより、次のように特定の膜厚の薄膜を選択的に操作
することができる。エバネッセント波とは、光がプリズ
ム等の境界面にて全反射したとき、境界面を通過して向
こう側の媒質へわずかに侵入し、該媒質中を境界面に沿
って進行する平面波である。
0上に、一定の距離をおいて、エバネッセント波9に共
鳴する電子系エネルギー準位間のエネルギー差を有し、
特定の膜厚、形状、内部構造を有する共鳴薄膜7、及
び、共鳴薄膜7と同じ材質にて形成され、膜厚、形状、
内部構造の少なくとも一つが異なる非共鳴薄膜6を配置
する。続いて、透明基板10の共鳴薄膜7及び非共鳴薄
膜6を配置する側とは反対の側から、入射光8を照射
し、入射光8の照射により生じたエバネッセント波9を
共鳴薄膜7及び非共鳴薄膜6に照射する。このとき、共
鳴薄膜7には引力が働いて透明基板10上に引き寄せら
れ、非共鳴薄膜6には斥力が働いて透明基板10から遠
ざけられる。これにより、透明基板10上に、共鳴薄膜
7だけを集積させることができる。
むサンプルセル13に光照射し、共鳴薄膜7を選択的に
操作することも可能である。つまり、サンプルセル13
にプリズム(ATR)12を設け、光源から入射光14
を照射し、金属板11で反射した光をプリズム12に照
射する。これにより、サンプルセル内にエバネッセント
波9が生じ、エバネッセント波9に共鳴する電子系エネ
ルギー準位を有し、特定の膜厚を有する共鳴薄膜7に働
く力が増強され、共鳴薄膜7のみを操作することが可能
になる。
の間に薄膜に平行になるように、金属薄膜等の高反射率
を有する反射薄膜を配置し、光源から薄膜の全反射領域
に対応した周波数を有する平面波の共鳴光を照射するこ
とによって、薄膜を操作する方法もある。なお、本実施
の形態では、高反射率を有する反射薄膜として、金属薄
膜を用いた場合について説明する。金属薄膜としては、
例えば、アルミニウムのような反射率の大きい材質が好
ましいが、これに限定されるものではなく、アルミニウ
ムと同定度の反射率を有する薄膜状の物体であってもよ
い。
薄膜としての金属薄膜との膜間距離がλ/2の整数倍とな
る共振器長を満たすとき、薄膜に固有の電子系エネルギ
ー準位に共鳴し、この電子系エネルギー準位の直上にあ
る高反射率領域に対応したエネルギーを有する光を照射
することにより、薄膜と金属薄膜との間に生じる電場強
度が大きくなる。つまり、上記光が有するエネルギー領
域では、薄膜及び金属薄膜の反射率が非常に高く、膜間
距離を調節することによって、膜間の電場強度が強くな
るCavity効果が生じる。このCavity効果により、金属薄
膜に対向している薄膜の対向面と、対向面に平行なもう
一方の面との間の電場強度の差が大きくなり、薄膜に働
く力が増幅される。また、金属薄膜にも電場強度の差に
より力が働く。
の電場強度が増強することにより、薄膜と金属薄膜との
間に反発力が生じ、膜間距離が変化する。共振器長は、
共鳴光の入射角によって変化するため、入射角を変化さ
せることによって、薄膜に働く力が増幅した状態を維持
することができる。これにより、広い範囲にわたって薄
膜を移動させることが可能になり、また、特定の共鳴準
位を有する薄膜だけを選択的に操作することができる。
基板15上に金属薄膜15aを蒸着し、金属薄膜15a
に対向する側に、共振器長を有する距離を置いて共鳴薄
膜17及び非共鳴薄膜16を配置する。そして、共鳴薄
膜17の全反射領域に対応した周波数を有する平面波の
入射光14を、基板15の金属薄膜15aを蒸着した面
とは反対側の面に照射する。これにより、共鳴薄膜17
に力が生じ、共鳴薄膜17の位置を制御することが可能
になる。一方、非共鳴薄膜16には、入射光14からの
力が及ぼされないので、非共鳴薄膜16の位置を制御す
ることはできない。さらに、入射光14の入射角を変化
させることにより共振器長を調節することができるの
で、共鳴薄膜17に生じる力の増強を維持することがで
きる。
プリズム等を用いることなく、平面波によってナノオー
ダーの膜厚を有する薄膜を有効に操作することが可能に
なる。また、入射光の有するエネルギーとは異なる電子
系エネルギー準位間のエネルギー差を有する非共鳴薄膜
16には、力が働かないため、共鳴薄膜17のみを選択
的に操作し、共鳴薄膜17の位置の制御に役立てること
ができる。
力を説明するために、以下では、数式に基づいて、光マ
ニピュレーションの原理を説明する。
い場合、微小物体を1個の点状の分極とみなすと、微小
物体中の荷電粒子に加わる電磁気学的な力であるLorent
z力fは、式(1)にて近似され、Maxwellの方程式を用
いて整理すると式(2)が得られる。
光速、B(1)は磁束密度を表す。
あるので勾配力と称する。勾配力は、均一でない入射光
の電場と物質中の分極との相互作用により、微小物体を
ポテンシャルエネルギーの低い方へ移動させる力を表し
ている。つまり、微小物体の分極率が正である場合に
は、微小物体は、E(1)の大きい方へ移動する。一方、
第2項は、電場と磁場との外積ベクトルの時間微分であ
るPoyntingベクトルに比例する項である。入射光が平面
波である場合、入射光の電場は一様であるために、微小
物体に勾配力はほとんど働かない。従って、式(1)
(2)中の第1項を無視し、第2項のみを考えればよ
い。
物体を点状の分極とみなしたが、次に、微小物体が任意
の形状である場合について説明する。
をω、入射光1光子あたり、hω/2πのエネルギーと
hω/2πcの運動量とを有する光子の集まりと考え、
微小物体を取り囲む仮想的な球面に単位時間あたりdN/d
t個の光子が入射するとする。さらに、この入射光のエ
ネルギーが微小物体の運動エネルギー、微小物体への衝
突時に生じる散乱エネルギー及び吸収エネルギーに完全
に分配されるとする。このとき、プランク定数hを式
(3)にて表すと、エネルギー保存則及び入射光の進行
方向の運動量保存則から、式(4)(5)が得られる。
なお、以下では、入射光の進行方向をz軸方向とする。
光の進行方向の速度、n'(Ω)は単位立体角dΩあたりの
散乱する散乱光子の個数、dεabs/dtは単位時間当たり
に微小物体に吸収される吸収光子のエネルギーを表す。
また、θは、z軸方向と単位立体角dΩあたりの散乱光
子の進行方向とがなす散乱角の角度を示す。
に通過する平均の散乱光子の個数N’、及び散乱角の余
弦の平均は、式(6)(7)にて与えられる。さらに、
入射光の進行方向、すなわちz軸方向にて、微小物体に
働く力Fzは、式(8)で表される。
び式(8)を代入して、連立方程式を解くことにより、
式(9)を得ることができる。
取り囲む仮想的な球面の全表面AにわたるPoyntingベク
トルの積分である散乱断面積σscat、及び、吸収断面積
σab sを用いることにより、散乱光子のエネルギーの時
間変化を式(10)(11)に書き換えることができ
る。
率、|E(i)|は入射電場の大きさを表す。また、S(s)は
散乱光のPoyntingベクトルであり、nは法線ベクトルで
ある。vs<<cであるとき、1/c=(εμ)1/2より、εは
微小物体外部の誘電率ε1と近似でき、式(8)で表さ
れる力Fzは、式(12)となり、さらにCGS単位系
で書き表すと、式(13)になる。
項は光の散乱力であり、σabsに比例する項は光の吸収
力である。なお、σextは消衰断面積であり、散乱断面
積σs catと吸収断面積σabsとの和で表される。
い場合には、式(2)、(12)、(13)に示すよう
に、誘起分極、光の散乱及び吸収の効果が弱くなるの
で、光の散乱力及び吸収力が小さくなり、微小物体に働
く力Fzが小さくなる。また、入射光に電場勾配がある
場合においても、微小物体の大きさや誘電率が小さい場
合には、一般に誘起分極が小さくなるので、式(1)か
ら明らかなように、勾配力も小さくなる。
い 次に、Maxwellの応力テンソルを用いて、光が微小物体
に及ぼす力を定量的に説明する。Maxwellの応力テンソ
ルは、物体の形状や光源に近似や制限を与えることな
く、微小物体の表面の電場分布から、光が微小物体に及
ぼす力を求めることができる。なお、Maxwellの応力テ
ンソルの導出手順は、文献(J.D.Jackson,"Classical E
lectrodynamics 3rd edition",Wiley(1999)、砂川重信,
「理論電磁気学」,紀伊国屋書店(1973))に従って行え
ばよい。
わない場合のLorentz力Fは、微小物体の全体積Vにつ
いて積分をとった、式(14)にて表される。この式
(14)と、エネルギー保存則及び運動量保存則から、
Lorentz力Fは、応力テンソルの表面積分により、式
(15)で表される。ここで、応力テンソルは式(1
6)であり、Hは磁場である。
より、微小物体全体に加わる力Fを、前述した勾配力、
散乱力、吸収力に分離することなく算出することができ
る。さらに、Maxwellの応力テンソルを用いて力Fを計
算する場合には、図6に示すように、微小物体の外部領
域<1>の電場E(1)に対して表面積分を行えばよい。実際
には、微小物体の内部領域<2>の電場E(2)は、Maxwell
の境界条件を通じて外部電場に影響を及ぼすが、応力テ
ンソルの計算の中には直接現れてくることはない。
は、微小物体の外部電場E(1)及び外部領域<1>の磁場で
ある外部磁場H(1)にて表される。さらに、式(17)
に示すように、E(1)は、入射光による入射電場E(i)と
散乱光による散乱電場E(s)との重ね合わせとして記述
され、H(1)は、入射光による入射磁場H(i)と散乱光に
よる散乱磁場H(s)との重ね合わせとして記述される。
小物体の表面全体にわたって行い、微小物体に働く力
は、定常状態を仮定しているので時間平均をとればよ
い。
微小物体の光学的性質は、式(18)に示すように、古
典的なLorentz振動子モデルに基づくマクロな誘電関数
ε(ω)で表されるものとする。
誘電分極が大きいほど強くなることが知られている。つ
まり、式(18)に示す誘電関数ε(ω)を用いて、微小
物体の誘電関数ε(ω)が最大となる周波数ωを求め、そ
の周波数ωを有する光を用いることによって、微小物体
と光との力学的相互作用を高めることが可能になる。
数ωが共鳴周波数ωex近傍の周波数である場合、式(1
8)の実部・虚部がともに増大して誘電関数ε(ω)が発
散する。このとき、誘起分極が共鳴増大し、式(17)
中の散乱磁場E(s)が増幅されるために、散乱断面積σ
scat及び吸収断面積σabsの値が大きくなり、式(2)
及び式(12)に示すように、光と微小物体との力学的
相互作用、すなわち力Fzが大きくなる。
させることにより、光と微小物体との相互作用も高める
ことができる。従って、微小物体の電子系エネルギー準
位間のエネルギー差に相当する周波数を有する光を微小
物体に照射し、微小物質に印加される力Fzを増幅する
ことにより、ナノサイズの微小物体であっても、光マニ
ピュレーション技術を利用して微小物体の操作すること
が可能になる。
光マニピュレーションの原理 形状が球形である微小物体に光を照射した場合に、光が
微小物体に及ぼす力を応力テンソルに基づいて算出す
る。
行方向をz方向、電場の振幅をy方向の平面波であると
仮定する。該xyz直交座標系では、電場の偏光は、電
場の振幅方向のy成分だけであるので、y方向の入射電
場Ey (i)は、図6及び式(19)に示すように、直交座
標系(x,y,z)から球面座標系(r,θ,ψ)へ変換される。
入射電場Ey (i)は、連続であり、且つ連続導関数を有す
るので、電磁波を球面波展開するときに得られるスカラ
ーポテンシャルの一般形と同じ形に展開することがで
き、さらに、平面波はz軸に関して対称なので、式(2
0)を得る。
ば、C.F.Bohren,D.R.Huffmann,"Absorption and Scatte
ring of Light by Small Particles",Wiley Interscien
ce(1983)、中司浩正,「学生・技術者のための電磁波の
散乱」,シュプリンガー・フェアラーク東京(1999))を
参照すればよい。
Bessel関数である。式(20)の両辺にPm(cosθ)sin
θを掛け、θについて0〜πまで積分すると、Legendre
関数の公式より、rに依存しない式(21)を得る。
射電場からスカラーポテンシャルを決定し、球面座標成
分であるr,θ,ψ成分に分配することにより、式(2
2)〜(27)に示す入射電磁場を得る。なお、ここで
「'」は、微分を表し、式中の各係数は、式(28)
(29)に示すとおりである。
入射電磁場と同様に記述することができるので、式(3
0)〜(33)に示す境界条件を解くことによって、式
(34)〜(39)に示す散乱電磁場、及び、式(4
2)〜(47)に示す内部電磁場を表す式を得ることが
できる。なお、式中の各係数は、式(40)(41)、
式(48)(49)に示すとおりである。また、ε2は
微小物体の誘電率である。
力 微小物体に及ぼす力を算出するために、Maxwellの応力
テンソルを計算する。球面座標系のMaxwellの応力テン
ソルは、式(50)にて書き表される(J.P.Barton,et
al.,J.Appl.Phys.,66,p.4594-4601(1989))。なお、式
(50)の電磁場E、Hは、式(22)〜(41)を式
(17)に代入したものである。
し、球面座標系から直交座標系への座標変換を行うこと
により、光照射によって微小物体に及ぼされる力Fが得
られ(式(51)〜(53))、力Fのうちz成分だけ
が残ることがわかる。
は、次式(54)〜(59)にて表される。
(18)によって算出すれば、光が微小物体に及ぼす力
Fzを求めることができる。また、求めた力Fzから、微
小物体を効率よく操作することができる光の周波数を決
定することができる。
光マニピュレーションの原理 次に、形状が薄膜状である微小物体に光を照射した場合
に生じる現象について、数式に基づいて説明する。
デルを考える。多層膜モデルとは、平行な平面にて全空
間をn層に分け、それぞれの領域(l)に屈折率nlを与え
て、Maxwellの境界条件から各領域に分布する電場の振
幅を一意的に決定するものである。ここで、各領域
(層)のz軸方向の幅をdnにて表す。
z方向の進行方向、y方向の偏光を有する平面波(s偏
光)であると仮定すると、任意の入射角θに対して、屈
折率nl領域の領域(l)における波数ベクトルの大きさ|k
l|及び波数ベクトルのx、z成分は、式(60)で表さ
れる。
に、入射波と散乱波との重ね合わせで記述されるので、
領域(l)における電場は式(61)で表される。ここ
で、E0i=1とすると、2n個の方程式(式(62))を
解いて、式(61)の係数Eli、Elrを決定することが
できる。
ルの一領域の任意の積分領域(図8の破線領域内)につ
いて、前述した式(15)〜(17)を計算することに
よって、薄膜状の微小物体に光を照射したときに生じる
力学的相互作用である力Fを求めることができる。
電場と磁場は、式(63)〜(66)にて表される。こ
こで、Etは透過光電場の振幅を表す。
ベクトルを代入することにより、式(67)が得られ
る。前述したように、力Fのうちz成分が残る(式(5
1)〜(53))ので、z成分が0ではない単位法線ベ
クトルn1,n2を用いることにより、力Fzは式(68)
で表される。
し、式(63)〜(66)を代入して整理すると、式
(69)を得る。なお、式の整理にあたり、kz=κ1+i
κ2(κ1,κ2は実数)とし、入射光である平面波が照射
している領域の面積Sを式(70)で表して、式変形を
行っている。
光が減衰しない平面波であるとき、式(71)が得ら
れ、kz=kcosθ、反射率をR=|Er|2/|Ei|2、透過率をT=|
Et|2/|Ei|2、吸収率をAとすると、式(72)が得られ
る。
scatをRに置き換え、σabsをAに置き換え、さらにcos
θの平均を-1とした場合に対応する。つまり、式(7
2)は、薄膜形状の微小物体であるために、光の散乱が
完全な後方散乱になっていることを示している。なお、
上記式(69)及び式(72)は、入射光の平面波がp
偏光である場合にも成立する。
つまり、微小物体の誘電率の虚部がほぼ0である場合に
は、式(73)にて表される。
5に基づいて説明する。なお、本発明は、これに限定さ
れるものではない。
体としてCuClを用いた場合の共鳴効果について、上記実
施の形態中2)(2.3)にて示した式に基づいて説明す
る。
い、半径が100nm,50nm,10nmのCuClに働く力を求めた。
なお、CuClの誘電率は、式(18)の第2項で表される
共鳴項がある場合(共鳴条件下)及び第2項がない場合
(非共鳴条件下)のそれぞれについて算出し、式(1
8)中、背景誘電率εb=5.59、共鳴周波数ωe xh/2π
=3.2022(eV)、分極パラメータ(振動子強度)4πβ=
0.02、現象論的減衰パラメータγ=20(μeV)とした。上
記各半径のCuClについて、入射光の周波数(ビームエネ
ルギー(eV)に換算)に対して、式(51)〜式(5
3)により求めた力をプロットした結果を、図9(a)
(b)〜図11(a)(b)に示す。入射光の強度は、
100μm2あたり5mWである。
に示すように、力のスペクトルは、共鳴条件下にて、入
射光のエネルギーがCuClの共鳴周波数のエネルギーに相
当する3.20eV付近である場合に、非共鳴条件下では見ら
れない鋭いピークを有している。入射光のエネルギーが
3.20eV付近の力のスペクトルを詳細に見ると、図9
(b)、図10(b)、図11(b)に示すように、い
ずれの場合においても、共鳴条件下の力のスペクトル
は、3.20eV付近にて複数のピークを有している。一方、
非共鳴条件下の力のスペクトルは、いずれの場合も、3.
20eV付近にピークは見られず、ほぼ一定となっているこ
とがわかる。また、CuClの半径が小さくなるとともに、
非共鳴条件下の力のスペクトルに対する共鳴条件下の力
のスペクトルのピーク比が大きくなっている。
積、消衰断面積との比較 また、CuClの半径が100nm及び10nmについて、入射光の
エネルギーが3.20eV付近の力のスペクトルと、散乱断面
積、吸収断面積、消衰断面積とを比較した結果を図12
(a)(b)及び図13(a)(b)に示す。なお、各
断面積は、球の断面積πa2で規格化している。
により算出した力が、式(13)の結果に対応している
ことがわかる。つまり、力は、散乱断面積、吸収断面
積、消衰断面積に応じて変化していることがわかる。ま
た、図12(b)に示すように、CuClの半径が100nmの
場合に、力と消衰断面積とのスペクトルにずれが生じる
のは、光散乱の異方性(式(13)中に示すcosθの平
均)の寄与によるものである。CuClの半径が10nmの場合
には、図13(b)に示すように、光散乱がほぼ等方的
になるので、式(13)中に示すcosθの平均値がほぼ
0となり、力と消衰断面積とのスペクトルの形状がほぼ
一致する。
共鳴条件下における力のスペクトルは、3.206eV付近の
大きなピークの他に、3.2022eV付近にも小さなピークを
有している。そこで、これらのピークにおけるCuCl内部
の電場強度分布を求めた。その結果を図14(a)
(b)及び図15(a)(b)に示す。なお、図中の電
場強度分布は、図6に示すx−z平面上について表し、
入射光は、図16に示すように、CuClに対して下側から
入射し、偏光方向がy方向である場合を想定している。
なお、図中、色の濃い領域は電場強度が強く、色の淡い
領域は、電場強度が弱いことを示す。
が3.2067eVである場合の電場分布は、図14(a)に示
すように、CuCl内部に向かって、電場が減衰している。
また、CuClの半径が10nm、入射光のエネルギーが3.2063
5eVである場合の電場分布は、図14(b)に示すよう
に、中心部が盛り上がった山の形状を有している。この
山の形状は、CuClの半径が小さいために、表側及び裏側
の減衰波が重なり合った結果であると考えられる。
ルギーが3.19735eVである場合の電場分布、及び、CuCl
の半径が10nm、入射光のエネルギーが3.2021128eVであ
る場合の電場分布は、それぞれ図15(a)(b)に示
すように、図17に示すウィスパリング・ギャラリー・
モード(WGM)の電場分布に似ている。WGMは、非
共鳴条件下において、球状の物体の大きさが入射光の波
長と同程度の場合に、物体の球構造に依存するモードと
入射光とのカップリングにより生じる電場分布である。
なお、図17に示す電場分布は、CuClの半径が1μm、
入射光のエネルギーが0.5625eVである場合を想定して算
出したものである。
3.206eV付近の大きなピークからは、球の表面から内部
に向かって減衰し、表面に局在した電場分布が得られる
ことから、以下では、このピークを表面モードと称す
る。また、3.2022eV付近に見られる小さなピークから
は、物質固有の電子系エネルギー準位によって生じる分
極波と、光の連成振動であるポラリトンとが球状の微小
物体内部にて表面に沿って周回するモードのピークが得
られる。このピークは、WGMに似ていることから、以
下では、ポラリトニック・ウィスパリング・ギャラリー
・モード(PWGM)と称する。
のCuCl半径に対する依存性と、非共鳴条件下での0.0〜
4.0eVの入射光エネルギーにおける力の最大値のCuCl半
径に対する依存性とを調べた。その結果を図18に示
す。
件下及び非共鳴条件下のそれぞれにおける力のオーダー
は、ほとんど変わらない。一方、CuCl半径が10nmオーダ
ーの場合には、共鳴の効果が顕著に現れている。例え
ば、CuCl半径が10nmの場合には、共鳴条件下の表面モー
ドにおける力は、非共鳴条件下の力の10,000〜100,000
倍の力の増強効果が起こっている。このことから、共鳴
条件下では、入射光が微小物体に及ぼす力の増強効果が
得られるため、低パワーのレーザ光によっても、光マニ
ピュレーションによる微小物体の操作が可能になること
が示唆される。
場合の、共鳴条件下でのPWGMにおける力を調べた結
果を図19に示す。図19から、CuClの半径を2nmずつ
変化させると、力のピークの位置が非常に敏感にシフト
していることがわかる。さらに、共鳴条件下のPWGM
における力は、非共鳴条件下の力の100〜1000倍の力の
増強効果が起こっている。従って、低パワーのレーザ光
を用いて微小物体を操作することが可能となるととも
に、図19に示すピークに対応するような周波数を有す
るレーザを用いることにより、1nmオーダーでの微小物
体の選別が可能であることが示唆される。
て薄膜状の分子性結晶を用いた場合の共鳴効果につい
て、上記実施の形態中2)(2.4)にて示した式に基づい
て説明する。
アントラセンの(001)面に局在化した0-0励起子のパラメ
ータを用いて、薄膜に働く力を求めた。なお、薄膜の誘
電率は、式(18)の第2項で表される共鳴項がある場
合(共鳴条件下)及び第2項がない場合(非共鳴条件
下)のそれぞれについて算出し、式(18)中、背景誘
電率εb=3.0、共鳴周波数ωexh/2π=3.0(eV)、分極
パラメータ(振動子強度)4πβ=0.20、現象論的減衰
パラメータγ=0.1(meV)とした。力の単位は、任意面積
あたりに1mWの強度のレーザ光を照射した場合に生じる
力(pN)として表している。
ラスを想定する。この透明基板上に183nmの一定距離を
おいて膜厚が10nm、12nm、14nmの薄膜を配置し、薄膜に
エバネッセント波を照射したときに生じる力を調べた。
薄膜の周りの媒質は、真空(屈折率1)とし、透明基板
から真空への入射角は50度とした。その結果を図20
に示す。
つ変化させると、力のピークの位置が非常に敏感にシフ
トしていることがわかる。従って、薄膜の場合にも、図
20に示すピークに対応するような周波数を有するレー
ザを用いることにより、nmオーダーでの薄膜の選別が可
能であることが示唆される。
透明基板が存在せず、真空中に置かれた場合に生じる力
を求めた。その結果を、それぞれ図21及び図22に示
す。
うに、共鳴条件下で生じる最大の力は、非共鳴条件下で
生じる最大の力よりも1〜2桁程度増強していることが
わかる。また、膜厚が100nmの薄膜の場合、図22に示
すように、式(72)から求められる力(図中、実線)
と、式(72)中のRに比例する項(図中、破線)から
の寄与とは、ほとんど差異がない。従って、全反射領域
にて、式(72)中のAに比例する項の寄与はほとんど
なく、式(73)が成り立つので、薄膜の両面における
電場強度の差|Eright|2−|Eleft|2が大きいほど、強い
力が生じることがわかる。
る力 図23に示すように、上記薄膜と、膜厚30nmのアルミニ
ウム製の金属薄膜とを平行に配置し、薄膜と金属薄膜と
が共振器を構成するように膜間距離を設定して、薄膜及
び金属薄膜それぞれに生じる力を求めた。なお、薄膜と
金属薄膜とが共振器を構成する膜間距離は、入射光の波
長λとしたとき、λ/2の整数倍となる場合である。その
結果を図23及び図24(a)(b)に示す。図24
(a)(b)の縦軸は、力の単位は、任意面積あたりに
1mWの強度のレーザ光を照射した場合に生じる力(pN)と
して表されている。
れの両面の電場強度の差が大きくなるので、図24
(a)(b)に示すように、薄膜及び金属薄膜に強い力
が働く。その結果、図23に示すように、薄膜と金属薄
膜との間の電場強度が1000倍以上に増幅し、薄膜と金属
薄膜との間に生じる反発力が増幅される。このように、
共振器効果により光の放射圧が誘起される効果をCIR
F(Cavity Induced Radiation Force)と称する。
射角依存性を調べた。その結果を図25に示す。図25
に示すように、入射角が0度で、膜間距離が200nm付近
の力は、約1000pN/mWであることがわかる。また、図2
5に示すように、CIRFにより膜間距離が変化して
も、入射角を大きくすることにより、薄膜に働く力を維
持することができる。さらに、薄膜に働く力の大きさ
は、入射角の増大とともに減少するが、膜間距離が400n
m付近にて入射角を0度に戻せば、別の共振器のモード
に移り、約1000pN/mWの増強された力を薄膜に及ぼすこ
とができる。従って、この効果を利用することにより、
薄膜の移動を広い範囲で行うことができ、また、特定の
共鳴準位を有する薄膜だけを選択的に操作することがで
きる。
ように、微小物体の電子系エネルギー準位に共鳴する光
を照射する方法である。
小物体であっても、上記の光が照射されることによって
微小物体の電子系エネルギー準位に共鳴し、光と微小物
体との力学的相互作用を高めることができるという効果
を奏する。その結果、光から微小物体に及ぼされる力が
増強され、光照射によって微小物体を容易に操作するこ
とが可能になるという効果を奏する。
って、微小物体を操作することができるという効果を奏
する。これにより、通常用いられているレーザ光の波長
によって、微小物体を操作することが可能になり、従来
困難とされていたナノサイズの微小物体を光照射によっ
て操作することができるという効果を奏する。
記微小物体の操作方法において、電子系エネルギー準位
の異なる複数種類の微小物体を有する集合のうちから、
特定の微小物体のみを選択して操作する方法である。
位間のエネルギー差は、微小物体の材質によって異なる
ので、上記集合内の複数種類の微小物体のうち、照射し
た光のエネルギーに一致する電子系エネルギー準位間の
エネルギー差を有する微小物体のみが光と相互作用し、
特定の微小物体のみを選択的に操作することができると
いう効果を奏する。
記微小物体の操作方法において、上記集合は、材質が同
一であり、かつ、大きさ、形状、内部構造のうち少なく
とも一つが異なる複数の微小物体を有し、該集合から、
大きさ、形状、内部構造が実質的に同じである微小物体
のみを選択して操作する方法である。
ギー準位に共鳴する光を照射することにより、大きさ、
形状、内部構造のうち少なくとも一つの違いによって微
小物体を選択し、容易に操作することが可能になる。ま
た、上記の方法によれば、1nmオーダーにて、特定の大
きさ、形状、内部構造を有する微小物体を選別して操作
することも可能である。
大きさ、形状、内部構造が実質的に同じである微小物体
を有するフォトニック結晶等の光学素子を作製すること
や、生体分子等の微小物体を自在に操作することが可能
になるという効果を奏する。
記微小物体の操作方法において、上記微小物体は、形状
が球状又は薄膜状である方法である。
作を行うことができるという効果を奏する。また、球状
の微小物体の半径や、薄膜状の微小物体の膜厚が異なる
場合にも、半径や膜厚、形状、内部構造の違いによって
微小物体を選別し、容易に操作することが可能であると
いう効果を奏する。
記微小物体の操作方法において、微小物体の電子系エネ
ルギー準位に共鳴する光を定在波として照射し、定在波
上に球状の微小物体を配列する方法である。
小物体を定在波の山又は谷上に集積することができると
いう効果を奏する。これにより、構成物体が同一の大き
さを有し、規則正しく配列したフォトニック結晶等の光
学素子を作製することができるという効果を奏する。
記微小物体の操作方法において、薄膜状の微小物体に光
を照射する光源と、該微小物体との間に反射薄膜を配置
し、上記微小物体と反射薄膜との膜間距離、及び、光源
から反射薄膜に入射する光の入射角の少なくとも一方を
調節して、微小物体の位置を制御する方法である。
じる反発力によって微小物体を操作することができると
いう効果を奏する。また、膜間距離及び光の入射角の少
なくとも一方を調節することによって反発力を制御し、
薄膜状の微小物体を自在に操作することができるという
効果を奏する。さらに、膜間距離及び光の入射角を調節
しているので、広範囲にわたって微小物体を移動させる
ことができるという効果を奏する。
形態を示す概念図である。
の一形態を示す概念図である。
の実施の一形態を示す概念図である。
の実施の一形態を示す概念図である。
の実施の一形態を示す概念図である。
明する球面座標系を示す図である。
明する多層膜モデルを示す図である。
明する多層膜モデルの部分領域を示す図である。
小物体に働く力のスペクトルである。
小物体に働く力のスペクトルである。
小物体に働く力のスペクトルである。
体に働く力のスペクトルと散乱断面積及び吸収断面積の
スペクトルであり、(b)は、光から半径100nmの球状
の微小物体に働く力のスペクトルと消衰断面積のスペク
トルである。
に働く力のスペクトルと散乱断面積及び吸収断面積のス
ペクトルであり、(b)は、光から半径10nmの球状の微
小物体に働く力のスペクトルと消衰断面積のスペクトル
である。
面モードにおける電場分布を示す図であり、(b)は、
半径10nmの球状の微小物体の表面モードにおける電場分
布を示す図である。
WGMにおける電場分布を示す図であり、(b)は、半
径10nmの球状の微小物体のPWGMにおける電場分布を
示す図である。
を示す図である。
る電場分布を示す図である。
グラフである。
のシフトを示すグラフである。
クのシフトを示すグラフである。
クトルである。
ペクトルである。
電場分布を示すグラフである。
小物体に働く力のスペクトルであり、(b)は、図23
の電場分布にて金属薄膜に働く力のスペクトルである。
の膜間距離依存性及び入射角依存性を示すグラフであ
る。
Claims (6)
- 【請求項1】微小物体に光を照射することにより、光か
ら微小物体に力を及ぼして該微小物体を操作する微小物
体の操作方法において、 上記微小物体の電子系エネルギー準位に共鳴する光を照
射することを特徴とする微小物体の操作方法。 - 【請求項2】電子系エネルギー準位の異なる複数種類の
微小物体を有する集合のうちから、特定の微小物体のみ
を選択して操作することを特徴とする請求項1記載の微
小物体の操作方法。 - 【請求項3】上記集合は、材質が同一であり、かつ、大
きさ、形状、内部構造のうち少なくとも一つが異なる複
数の微小物体を有し、該集合から、大きさ、形状、内部
構造が実質的に同じである微小物体のみを選択して操作
することを特徴とする請求項2記載の微小物体の操作方
法。 - 【請求項4】上記微小物体は、形状が球状又は薄膜状で
あることを特徴とする請求項1、2又は3記載の微小物
体の操作方法。 - 【請求項5】微小物体の電子系エネルギー準位に共鳴す
る光を定在波として照射し、定在波上に球状の微小物体
を配列することを特徴とする請求項1、2又は3記載の
微小物体の操作方法。 - 【請求項6】薄膜状の微小物体に光を照射する光源と、
該微小物体との間に反射薄膜を配置し、 上記微小物体と反射薄膜との膜間距離、及び、光源から
反射薄膜に入射する光の入射角の少なくとも一方を調節
して、微小物体の位置を制御することを特徴とする請求
項1、2又は3記載の微小物体の操作方法。
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2001
- 2001-12-26 JP JP2001395480A patent/JP2003200399A/ja active Pending
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