JP2003222676A - 放射線検査装置 - Google Patents

放射線検査装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】検査範囲がより広い3D−PET検査、及び被
検体の局所部位を対象とする局所−PET検査の両方を
実施する。 【解決手段】放射線検査装置1は撮像装置2及び被検体
保持装置10を備える。撮像装置2は、多数の放射線検
出器3を円筒状に配置したガントリー13、及びコリメ
ータ集合体5を備える。コリメータ集合体5は、円筒部
7及び複数の環状コリメータ6を有し、ガントリー13
内に出し入れ可能である。コリメータ集合体5は共通の
焦点領域30を形成するように6個の環状コリメータ6
を軸方向に配置する。ガントリー13内からコリメータ
集合体5を引抜いて被検者19の全身に対する3D−P
ET検査を実施する。癌が見つかった場合には、コリメ
ータ集合体5をガントリー13内に挿入する。癌の患部
を焦点領域30に合わせて局所−PET検査を実施す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線検査装置に
係り、特にポジトロン放出核種を利用した、陽電子放出
型CT(ポジトロン・エミッション・コンピューテッド
・トモグラフィ(Positron Emission Computed Tomograp
hy)、以下、PETという)装置に適用するのに好適な
放射線検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】放射線を利用した検査技術は、被検体内
部を非破壊で検査することができる。特に、人体に対す
る放射線検査技術にはX線CT装置,PET装置,SP
ECT(単光子放出型CT)装置等がある。これらの技
術はいずれも、検出対象の物理量を放射線飛翔方向の積
分値として計測し、その積分値を逆投影することによっ
て被検体内の各ボクセルの物理量を計算し断層像として
画像化する技術である。これらの技術は、膨大なデータ
を処理する必要があり、近年のコンピュータ技術の急速
な発達に伴い、高速・高精細画像を提供できるようにな
ってきた。
【0003】特に、PET装置は、X線CTではできな
い分子生物学レベルでの機能や代謝の検出が可能な手法
であり、身体の機能画像を提供することが可能である。
PETは、18F,15O,11Cといった陽電子(ポジトロ
ン)放出核種で標識した放射性薬剤(PET用薬剤とい
う)を体内に投与し、その分布を計測して画像化する手
法である。PET用薬剤の一例として、フルオロデオキ
シグルコース(2−[F−18]fluoro−2−deoxy−
D−glucose;18FDG)がある。18FDGは、糖代謝
により腫瘍組織に高集積することを利用し、腫瘍部位の
特定に使用される。体内に取りこまれた放射線核種が崩
壊してポジトロン(β+)を放出する。放出された陽電子
は電子と結合し消滅する際に511keVのエネルギー
を持つ一対のγ線(γ線対)を放出する。このγ線対は
ほぼ反対方向(180±0.6°)に放射されるので、被
検体の周りを取り囲むように配置した放射線検出器によ
ってγ線対の両方のγ線を同時検出し、その放射方向デ
ータを蓄積して投影データを得ることができる。この投
影データをアイ・イー・イー・イー トランザクション
オン ニュークリア サイエンス(IEEE Transaction on
Nuclear Science)NS−21巻 の21ページに記載
されているフィルタード バック プロジェクション法
(Filtered Back Projection Method)(以下FBP法)
などを用いて逆投影することによりγ線対発生密度を求
めることが出来る。γ線対発生密度分布は放射線核種の
集積位置を示しており、画像化することにより腫瘍等の
位置同定が可能となる。
【0004】近年、PET装置の高性能化に伴い全身の
PET検査が実施されるようになってきた。全身のPE
T検査を実施するためには、検査の高速化が必須であ
り、PET装置は二次元PET(2D−PETという)
装置から三次元PET(3D−PETという)装置へと
進化してきた。複数の放射線検出器が一列で被検体の周
りを取り囲むように環状に配置された構成を、1放射線
検出器リングと称する。2D−PET装置は、1放射線
検出器が作る2次元断面でPET検査を行う。3D−P
ET装置は、体軸方向に複数の放射線検出器リングを並
べて円筒形状の放射線検出器群を形成し、この円筒形状
の放射線検出器群により囲まれる被検体の体積分を一度
に検査する。
【0005】2D−PET装置は、1放射線検出器リン
グの両側で被検体側にコリメータ(放射線遮へい材で構
成)を備えている。このコリメータが散乱事象及び偶発
事象におけるγ線の計測を防止しているため、2D−P
ET装置はノイズの少ない高画質の2次元画像を得るこ
とができる。散乱事象及び偶発事象におけるγ線は、コ
リメータで遮られる。しかし、2D−PET装置は、被
検体を見込む放射線検出器環状列の立体角が小さいた
め、得られるデータ量が少なく検査時間が長くなる。こ
れに対して、3D−PET装置は、大きな体積を高速で
測定できる反面、γ線の散乱事象及び偶発事象のγ線を
検出するため、得られる断層像の画質が2D−PET装
置よりも低下する。偶発事象は体内の異なる放射線発生
源から放射されたγ線が偶発的に放射線検出器に計測さ
れる事象であり、散乱事象は体内で散乱されたγ線が計
測される事象であって、どちらの事象の角度情報が不正
確となる。
【0006】3D−PETは、全身のPET検査を実施
し腫瘍等の病巣の候補を発見することはできるが、得ら
れる画像が少し低画質であるため特定部位の診断には熟
練が必要である。
【0007】特開平5−264736号公報の図2に示
されたPET装置は、4つの放射線検出器リングを体軸
方向に並べた円筒形状の放射線検出器群を有する。この
PET装置は、リング状のスライスコリメータを各放射線
検出器リングの間に配置し、両端部の放射線検出器リン
グのそれぞれの外側にもリング状のスライスコリメータ
を配置する。この構造では散乱事象におけるγ線をスラ
イスコリメータで排除できる。しかしながら、体軸方向
の分解能が低減するため、特開平5−264736号公報の図
1において、2つの放射線検出器リング毎に1つのスラ
イスコリメータを配置することを提案し、画像分解能を
低下させずに感度向上を図っている。
【0008】特表平11−508048号公報に示され
たPET装置は、規則的な二十面対を被検体の周りに形
成し、各面内に放射線検出器及びコリメータを設置して
いる。各コリメータは被検体の一点に焦点を結ぶように
形成されており、本焦点からの情報のみを選択的に検出
することにより、画像分解能の向上を図っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−26473
6号公報では、一見すると画像分解能を低下させずに感
度向上(測定の高速化)を図っているが、リング状のス
ライスコリメータを使用する従来技術(2D−PET)
に対して1.5倍の感度向上しか図れない。
【0010】また、特表平11−508048号公報で
は、コリメータの焦点部分が画像の各ピクセルに対応す
る微小領域であり画像分解能及び画質を向上することが
できるので、小動物のような微小領域を長時間かけて測
定する場合には有効である。しかし、本構成では、被検
体の体積が制限されるために、人体の検査には適応でき
ない。また、人体の検査時に要求される高速性も実現で
きない。
【0011】本発明の目的は、検査範囲がより広い3D
−PET検査、及び被検体の局所部位を対象とする局所
−PET検査の両方を実施できる放射線検査装置を提供
することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の特徴は、撮像装置が、筒状のガントリーと、出し
入れ可能に前記ガントリー内に設置されて複数のコリメ
ータ部材で構成される環状のコリメータとを有し、前記
ガントリーは、前記被検体からの放射線を検出する複数
の放射線検出器が環状に配置された環状放射線検出器配
列を、軸方向に複数列有し、前記コリメータは、共通の
焦点領域を臨む複数の放射線通過通路を形成する前記複
数のコリメータ部材を軸方向に配置して構成されること
にある。
【0013】複数のコリメータ部材によって共通の焦点
領域を臨む複数の放射線通過通路が形成されたコリメー
タをガントリー内に出し入れできるように設けているの
で、1つの放射線検査装置で、被検体のより広い範囲を
対象とする3D−PET検査、及び3D−PET検査の
対象範囲よりも狭い被検体の局所部位を対象とする局所
−PET検査の両方を実施することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】前述の偶発事象及び散乱事象につ
いて、図5を用いてもう少し説明する。γ線対の検出事
象(C)は、γ線対の真の放射方向を示す真事象
(T)、及び偽事象である偶発事象(R)及び散乱事象
(S)が含まれる場合がある((1)式参照)。偶発事象
(R)及び散乱事象(S)とも、偽事象つまりノイズ成
分である。こ C=T+R+S …(1) れらの事象におけるγ線の計測値をいかに低く抑えるか
が断層像の画質向上のポイントとなる。また、真事象の
計測レートを高めることによって、計測時間の短縮(高
速計測)が可能となる。つまり、PET装置の高性能化
(高速,高精細検査)に重要なことは、偽事象を抑え真
事象のみを高レートで計測することである。以上の事項
も考慮した本発明の実施例を以下に説明する。
【0015】(実施例1)本発明の好適な一実施例であ
る実施例1の放射線検査装置を、図1及び図2に基づい
て説明する。本実施例の放射線検査装置は、PET装置
である。
【0016】本実施例の放射線検査装置1は、撮像装置
2及び被検体保持装置10を備える。被検体保持装置1
0は、支持部材11,支持部材11の上端部に設けられ
たベッド12、及びベッド12をベッド12の長手方向
に移動させる駆動装置(図示せず)を有する。被検体保
持装置10は、ベッド12を高さ方向、及び上記長手方
向と直交する水平方向にもベッド12を移動させる他の
駆動装置(図示せず)を有する。
【0017】撮像装置2は、ケーシング(図示せず)、
環状の放射線検出器保持部4の内側に設置された複数の
放射線検出器3、及びコリメータ集合体5を備える。放
射線検出器保持部4は、床面に設置される支持部材8上
に設置される。放射線検出器3,放射線検出器保持部4
及び支持部材8は、ケーシング内に設けられる。支持部
材8は支持部材11と連結している。複数の放射線検出
器3及び放射線検出器保持部4は、ケーシングに設けら
れた孔部9を取り囲んでいる。これらの放射線検出器3
は放射線検出器保持部4の内側に設置される。孔部9を
取り囲む環状の放射線検出器配列の一列を放射線検出器
リングという。放射線検出器3は、孔部9の軸方向にも
複数設置される。すなわち、複数の放射線検出器リング
が孔部9の軸方向に配置される。放射線検出器3は、5
mm立方体の半導体放射線検出器を使用し、半導体素子部
をガドミウムテルル(CdTe)で構成する。複数の放
射線検出器3が円筒状に配置された部分をガントリーと
称する。コリメータ集合体5は、筒状体である円筒部
7、及び複数の環状コリメータ6を有する。円筒部7
は、γ線に対して透明な(ほぼ無反応で通過する)プラ
スチック部材(アクリル,塩化ビニール等)で構成さ
れ、ガントリー13の内側に位置する。環状コリメータ
6としては、図2に示すように6個の環状コリメータ6
A〜6Fが用いられる。コリメータ部材である環状コリ
メータ6A〜6Fはネジ等によって円筒部7の内面に取
り付けられる。環状コリメータ6A〜6Fはタングステ
ン製でありγ線を遮へいする。コリメータ集合体5は、
環状コリメータ6A〜6Fのうち隣接する2つの環状コ
リメータを用いて形成された5つの環状γ線通過通路3
7A〜37Eを有する。環状γ線通過通路37Cはコリ
メータ集合体5の中心軸と直交する方向を向いている。
焦点領域30が環状γ線通過通路37Cの延長線とコリ
メータ集合体5の中心軸と交差する位置に形成される。
他の環状γ線通過通路37A,37B,37D及び37
Eは、焦点領域30を向くように傾斜して形成される。
コリメータ集合体5がガントリー13内に挿入された状
態において、環状コリメータ6A〜6Fはガントリー1
3を軸方向において5つの放射線検出領域14〜18に
分割する。放射線検出領域14〜18は、それぞれ環状
の独立した領域である。1つの放射線検出領域内には、
ガントリー13の軸方向において複数の放射線検出器3
(例えば4個)を含んでいる。
【0018】環状コリメータ6A〜6Fは共通の焦点領
域30を形成する。このため、環状コリメータ6A,6
B,6E及び6Fは、ガントリー13の軸方向における
両面を、ガントリー13の中心軸(孔部9の中心軸)に
対して傾斜させている。環状コリメータ6C及び環状コ
リメータ6Dは、互いに対向する垂直面23,24を有
し、ガントリー13の中心軸に対して傾斜する傾斜面2
2,25を有する。環状コリメータ6Aの傾斜面19及
び環状コリメータ6Eの傾斜面27の傾斜角は等しく、
傾斜面19は傾斜面27の延長線上に位置する。環状コ
リメータ6Bの傾斜面20及び環状コリメータ6Fの傾
斜面28の傾斜角は等しく、傾斜面20は傾斜面28の
延長線上に位置する。環状コリメータ6Bの傾斜面21
及び環状コリメータ6Dの傾斜面25の傾斜角は等し
く、傾斜面21は傾斜面25の延長線上に位置する。環
状コリメータ6Cの傾斜面22及び環状コリメータ6E
の傾斜面26の傾斜角は等しく、傾斜面22は傾斜面2
6の延長線上に位置する。焦点領域30は、被検体の局
所的な検査領域であり、例えば直径15cmの球状の領域
である。
【0019】コリメータ集合体5は、孔部9、すなわち
ガントリー13内に出し入れ可能な構造になっている。
円筒部7の外面には、軸方向の全長にわたって、ラック
(図示せず)が、コリメータ集合体5のガントリー13
内への出し入れに支障をきたさないように設けられる。
ラックは図1に示すピニオン29と噛合っている。ピニ
オン29は減速機構(図示せず)を介してモーター(図
示せず)に連結される。減速機構及びモーターは放射線
検出器保持部4に取り付けられている。ピニオン29,
減速機構及びモーターはコリメータ集合体移動装置を構
成する。コリメータ集合体5がガントリー13から引き
抜かれたときに落下しないようにコリメータ集合体5を
支えるために、放射線検出器保持部4のピニオン29側
の端部が、コリメータ支持装置であるコリメータ支持部
44となる。コリメータ支持部44はガントリー13の
端面よりもピニオン29側に張り出しており、コリメー
タ支持部44の内径はガントリー13の内径に等しくな
っている。
【0020】各放射線検出器3は配線31によって対応
するγ線信号弁別装置32に接続される。γ線弁別装置
32は放射線検出器3毎に設けられる。全てのγ線弁別
装置32は同時計数装置33に接続される。同時計数装
置33はコンピュータ34に接続される。記憶装置35
及び表示装置36がコンピュータ34に接続される。コ
ンピュータ34は断層像作成装置である。
【0021】本実施例に用いられるコリメータ集合体
は、発明者らの以下に示す同時計数レートの検討結果か
ら考案されたものである。この検討結果を以下に説明す
る。簡単のために、放射線源(体内でPET用薬剤が集
まった部分)はガントリーの中心軸上に位置する点源で
あると仮定する。また、その放射線源の放射能をN(B
q)とする。放射線源から放射されたγ線は一部が体内
で吸収されるために、実際に放射線検出器に到達するγ
線の量が減少する。このγ線の体内通過率をAで表す。
また、γ線は、4πラジアンの立体角で照射されるが、
ガントリーの立体角(Ω)の範囲内で放射線検出器によ
って計測される。その範囲内で計測されるγ線の割合
を、幾何学的入射率B(=Ω/(4π))で表す。また、
放射線検出器に入射したγ線も、その放射線検出器の特
性により決まる感度Sの割合だけ検出されるとする。以
上のパラメータを使用すると、放射線検出器が計測する
シングルのγ線の計数レートα(Count/sec以下CP
S)は(2)で与えられる。
【0022】 α=2NABS …(2) (2)式の係数の「2」はN個のポジトロンの放出に対
して2N個のγ線(シングル)が放出されることを意味
する。また、γ線対の同時係数レート(CPS)は(3)
式で与えられる。
【0023】 C=NB(AS)2 …(3) (3)式において、幾何学的入射率Bはγ線対により決
まるので1乗で寄与し、体内通過率Aと放射線検出器感
度Sはシングルγ線(2本分)の寄与があるので2乗で
積算されている。
【0024】同時計数時間窓長h(s)内にシングルγ
線の計数される率Rはランダム事象がPoisson分布をす
ることより(4)式で与えられる。
【0025】 R=1−exp(−αh) …(4) γ線対の検出と同時に(同時計数時間窓長h内)にシン
グルγ線が検出(1個以上)された場合、このγ線対は
無効となる。従って、ランダム事象を考慮した同時計数
レートC(Count/Sec(以下CPS))は、この無効成分
を(3)式より差し引いたものであり、(5)式で与え
られる。
【0026】
【数5】 (5)式より、放射能レベルN(ポジトロンの発生レー
ト)に対する同時計数レートCの関係を図3に示す。図
3に記載されたNmax及びCmaxはそれぞれ(6)
式及び(7)式で与えられる。
【0027】
【数6】
【数7】 ガントリーのサイズによって影響を受ける状態量は幾何
学的入射率Bのみであり、変数A,S,hはその影響を
受けない。例えば、2D−PETの幾何学的入射率B0
に対して3D−PETの幾何学的入射率Bが5倍(B=
5B0)になったとすると、(6)式より3D−PET
のNmaxは5分の1となる。しかし(7)式よりCma
xの値は変化しない。つまり、ガントリーサイズを大き
くしても、同時計数レートの最大値を与える放射能レベ
ルは小さくなるがその最大値は変化しない。検査時間は
同時計数レートに反比例するので、上記考察によって、
ただ単にガントリーを大きくしても計測時間を短縮する
ことが出来ないことが分かる。放射能レベルを増加して
いくと同時計数レートが飽和し最大値を持つ原因は、
(5)式の考察よりシングルのγ線が増加し数え落とし
が発生するためである。
【0028】そこで、図4の特性に基づいて、本実施例
のコリメータ集合体5の効果を考察する。コリメータ集
合体がガントリー13内に挿入されることによって、γ
線の検出が可能な5つの放射線検出領域14〜18が形
成される。各放射線検出領域はガントリー13全体の立
体角の6分の1である。図4に記載された3D−PETの
曲線は、コリメータ集合体5をガントリー13内に挿入
していない状態でのガントリー13全体における同時計
数レートを示している。2D−PETの曲線は、コリメ
ータ集合体5をガントリー13内に挿入した状態での一
つの放射線検出領域(放射線検出領域16)の同時計数
レートを示している。上記考察より両曲線の同時計数レ
ートの最大値及び最大値を与える放射能レベルは、それ
ぞれ式(8)式及び(9)式で与えられる。
【0029】 Cmax(3D)=Cmax(2D) …(8) Nmax(2D)=6×Nmax(3D) …(9) また、コリメータ集合体5挿入時の焦点領域30の検査
は、コリメータ集合体5によって分割された各放射線検
出領域による検査を足し合わせた効果がある。同時計数
レートの最大レートCmax(colli)及びその時の放射
能レベルNmax(colli)はそれぞれ(10)式及び
(11)式で与えられる。
【0030】 Cmax(colli)=5×Cmax(3D) …(10) Nmax(colli)=6×Nmax(3D) …(11) つまり、コリメータ集合体5を用いる局所−PET検査
では、コリメータ集合体5を用いない3D−PET検査
時と比較して6倍の放射能レベルで5倍の同時計数レー
トを得ることができる。しかし、実際には被曝の観点か
ら6倍の放射能を体内に投入することはできない場合が
ある。例えば、2倍(2×Nmax(3D))のPET用薬剤
を投入可能とすれば、本実施例は、同時計数レートが約
2.5 倍(2.5×Cmax(3D))となってγ線の計測
時間を2.5 分の1に短縮することができる。つまり、
本実施例は、シングルγ線をコリメータ集合体5で除去
することにより、3D−PETにおいて飽和していた同
時計数レートを増大させている。
【0031】次に、本実施例の放射線検査装置1を用い
たPET検査及び放射線検出器3で検出した計測値の処
理について説明する。PET検査を実施する前に、ま
ず、被検体である被検者19の体内に、予め注射などの
方法により所定量のPET用薬剤を投与する。更に、被
検者19は、投与されたPET用薬剤が撮像可能な状態
に拡散するまで待機する。PET用薬剤が体内に十分拡
散した後、被検者19は、ベッド12上に横たわった状
態で孔部9内に挿入される。被検者19に対して3D−
PET検査が必要な場合(例えば全身検査が必要な場
合)には、上記のようにベッド12を孔部9に挿入する
前に、コリメータ集合体5をガントリー13内から引き
抜いておく。すなわち、モーターを駆動させてピニオン
29を回転させてコリメータ集合体5を、ガントリー1
3の軸方向において、被検体保持装置10とは反対側に
移動させ、ガントリー13から引き抜く。ガントリー1
3から引き抜かれたコリメータ集合体5の端部はコリメ
ータ支持部44によって支えられる。必要に応じて、棒
状の2本のサポート部材を、引き抜かれたコリメータ集
合体5の下側を支持できるように、放射線検出器保持部
4(または支持部材8)に取り付けてもよい。
【0032】3D−PET検査においては、PET用薬
剤に起因して体内から放出されるγ線対は、ほぼ180
°反対方向に位置する2つの放射線検出器3で計測され
る。これらのγ線のエネルギーは、511keVであ
る。被検者19の全身に対する3D−PET検査は、ベ
ッド12をその長手方向に移動させて行われる。それぞ
れの放射線検出器3から出力された、γ線の計測信号
は、該当するγ線信号弁別装置32にそれぞれ入力され
る。入力されるその計測信号は、最初に急激に立下っ
て、その後、指数関数的に0に近づくような形になって
いる。信号弁別装置32は、上記の波形を有する計測信
号を、まず、時間的なガウス分布の波形に整形する。そ
して、信号弁別装置32は、エネルギー設定値(例えば
450keV)以上のエネルギーを有する計測信号を弁
別し、弁別された計測信号に基づいてパルス信号を発生
させる。
【0033】同時計数装置33は、各信号弁別装置32
から出力されたパルス信号を入力しこれらのパルス信号
を用いて同時計数を行い、γ線の計測信号に対する計数
値を求める。同時計数とは、時間的に同時という意味で
はなく、PET用薬剤から放出される1つの陽子が消滅
する際に体内の同じ位置で発生するγ線対のそれぞれの
γ線の計測信号に基づいて得られたパルス信号を、計数
することを意味する。PET用薬剤から放出される1つ
の陽子が消滅する際に体内の同じ位置で発生したγ線対
のそれぞれのパルス信号の同時計数は、同時計数時間窓
長を例えば10nsとして、その時間内に2つのγ線弁
別装置32のそれぞれからパルス信号が同時計数装置3
3に入力されたとき、同時計数装置33がそれらのパル
ス信号を有効であると判断してそれらのパルス信号を計
数することである。更に、同時計数装置26は、前述の
一対のγ線に対する一対のパルス信号によりその一対の
γ線を検出した2つの検出点(ほぼ180°(厳密には
180°±0.6°)方向が異なっている一対の放射線検
出器3の位置)をγ線検出の位置情報としてデータ化す
る。
【0034】同時計数は、上記のように同時計数装置2
6内でリアルタイムで実施してもよいが、同時計数装置
26ではなくコンピュータ34で行ってもよい。この場
合は、全ての計測されたγ線に対してその計測した位置
情報と時間情報をともに計測してコンピュータ34に転
送し、データのリスト(位置情報及び時間情報を検出し
た順番で保存しておく)を作成しておき、γ線の計測後
または計測中にコンピュータ34においてデータ処理に
より同時計数を実施する。この場合、同時計数とはデー
タリストの時間情報から同時計数時間窓長内のγ線対を
有効とし、そのγ線対を計数する方法である。
【0035】計数値、及びγ線検出の位置情報はコンピ
ュータ34に入力されて、記憶装置35に記憶される。
コンピュータ34は計数値及びγ線検出の位置情報を用
いて被検者19に対する断層像を作成する。この断層像
の作成は、具体的には以下のように行われる。すなわ
ち、計数値及びγ線検出の位置情報を用いて、該当する
2つの放射線検出器3(180°反対方向に位置する)
間における体内でのγ線対発生数を求める。このγ線対
発生数を用いて、FBP法(または逐次近似法)の手法
により逆投影して各ボクセルのγ線対発生密度を求め
る。この各ボクセルのγ線対発生密度により断層像を作
成する。断層像は、被検者19の全身に対して多数作成
される。医者は表示装置36に表示されたそれらの断層
像を見て癌の有無を診断する。
【0036】癌、例えば肝臓癌が発見された場合には、
肝臓付近に対して局所−PET検査による精密検査を実
施する。局所−PET検査の対象範囲は3D−PET検
査の検査対象範囲よりも狭い局所部位である。局所−P
ET検査を行う前に、モーターを駆動してピニオン29
を回転させてコリメータ集合体5を、ガントリー13の
軸方向に移動させて図1の状態になるまでガントリー1
3内に挿入する。被検者9が横たわっているベッド12
が長手方向,高さ方向、及び長手方向と直交する水平方
向に移動されて、患部、すなわち癌が存在する肝臓が焦
点領域30に位置合せされる。被検者19にはPET用
薬剤が投与されている。
【0037】焦点領域30内に位置する肝臓癌において
PET用薬剤に起因して発生した多数のγ線は、肝臓癌
を中心に四方八方に放出され、放射線検出領域14〜1
8内の各放射線検出器3によって計測される。例えば、
γ線対の一方のγ線が放射線検出領域14内の1つの放
射線検出器3で検出された場合には、他方のγ線は、そ
の放射線検出器3とほぼ180°反対方向に位置する、
放射線検出領域18内の他の1つの放射線検出器3で検
出される。同様に、γ線対の一方のγ線が放射線検出領
域15内の1つの放射線検出器3で検出された場合に
は、他方のγ線は、その放射線検出器3とほぼ180°
反対方向に位置する、放射線検出領域17内の他の1つ
の放射線検出器3で検出される。γ線対の一方のγ線が
放射線検出領域16内の1つの放射線検出器3で検出さ
れた場合には、他方のγ線は、その放射線検出器3とほ
ぼ180°反対方向に位置する、同じ放射線検出領域1
6内の他の1つの放射線検出器3で検出される。
【0038】放射線検出領域14〜18内の各放射線検
出器3から出力された各計測信号は該当する各γ線弁別
装置32に入力され、それぞれのγ線弁別装置32は前
述のようにパルス信号を出力する。同時計数装置33
は、それらのγ線弁別装置32から出力された全パルス
信号を入力してパルス信号の計数値、及びγ線検出の位
置情報を出力する。コンピュータ34は、局所−PET
検査における計数値、及びγ線検出の位置情報に基づい
て被検者19の肝臓付近での断層像を作成する。これら
の断層像は表示装置36に表示される。
【0039】本実施例は以下に示すそれぞれの効果を得
ることができる。 (1)複数の環状コリメータ(コリメータ集合体5の軸
方向に配置)によって焦点領域30を臨む複数の環状γ
線通過通路が形成されたコリメータ集合体5をガントリ
ー13内に出し入れできるように設けているので、1つ
の放射線検査装置で、被検者19の広い範囲(2D−P
ET検査の検査範囲よりも広い範囲)を対象とする3D
−PET検査、及び被検者19の局所部位を対象とする
局所−PET検査の両方を実施することができる。 (2)3D−PET検査及び局所−PET検査におい
て、ガントリー13を兼用できるので、放射線検査装置
がコンパクトになる。 (3)複数の環状コリメータによって焦点領域30を臨
む複数の環状γ線通過通路が形成されたコリメータ集合
体5を使用しているため、偽事象であるγ線を除去で
き、被検者19の局所部位の高精細PET検査が可能と
なる。 (4)上記のコリメータ集合体5を使用しているため、
偽事象うち、特に偶発事象を除去でき、同時計数レート
の飽和を抑制できる。このため、同時計数レートを高め
た計測が可能となり、PET検査時間の著しい短縮、す
なわちPET検査の高速化が図れる。 (5)1つの環状γ線通過通路に複数の放射線検出器3
が面しているため、ガントリー13の軸方向における空
間分解能をほどんど劣化させることなく感度を向上させ
ることができる。 (6)ベッド12を3方向に移動可能とする被検体保持
装置10を備えているので、局所−PET検査で被検者
19の特定局所部位(例えば患部)を簡単にコリメータ
集合体5の焦点領域30に合せることができる。このた
め、その特定局所部位に対する高精細検査が可能にな
る。 (7)被検者19の特定局所部位が焦点領域30よりも
大きい場合でも、ベッド12を3方向に移動可能とする
被検体保持装置10を備えているため、その特定局所領
域に対する局所−PET検査が実施できる。すなわち、
特定局所部位を分轄し、その分轄した部位を時間的にず
らして被検体保持装置10によって焦点領域30内に移
動させることにより、特定局所部位全体に対する局所−
PET検査を実施できる。 (8)コリメータ集合体5を上記のようにガントリー1
3内に出し入れできる構造とすることによって、コリメ
ータ集合体5をガントリー13から取り出した状態での
3D−PET検査により、詳細に検査したい特定局所部
位の位置を確認することができる。このため、2D−P
ET検査の位置を簡単に設定できる。 (9)放射線検出器3として半導体放射線検出器を用い
ているため、ガントリー13を小型化できる。このた
め、撮像装置2もコンパクトになる。
【0040】本実施例は、被検者19の移動を被検体保
持装置10を用いて行っている。被検者19を移動させ
ず、ガントリー13を軸方向,高さ方向、及び軸方向と
直交する水平方向に移動できるように構成してもよい。
放射線検出器としては、半導体放射線検出器以外に、例
えばBGOなどのシンチレータ及び光電子増倍管を使用
してもよい。
【0041】(実施例2)以下、本発明の他の実施例で
ある実施例2の放射線検査装置、図6及び図7に基づい
て説明する。本実施例の放射線検査装置も、PET検査
に用いられる。
【0042】本実施例の放射線検査装置1Aは、放射線
検出器3を孔部9を取り囲むように六角形状に配置し、
コリメータ集合体5Aを複数の可動コリメータにて構成
している点で放射線検査装置1と異なっている。放射線
検査装置1Aの他の構成は放射線検査装置1と同じであ
る。
【0043】本実施例における撮像装置2Aに設けられ
た放射線検出器リングは、孔部9を取り囲むように六角
形をしている。このような複数の放射線検出器リングを
孔部9の軸方向に配置して構成されるガントリー13A
は、縦断面が六角形の筒である。ガントリー13A内に
出し入れ可能なコリメータ集合体5Aも、縦断面が六角
形をしている。コリメータ集合体5Aは、筒状体である
六角形筒部38、及びコリメータ部材である可動コリメ
ータ部40を有する。複数の可動コリメータ部40が所
定の間隔で配置される。1つの可動コリメータ部40
は、6つのコリメータ板39A1 〜39A6 、これらに
対向する6つのコリメータ板39B1 〜39B6(コリメ
ータ板39B1 のみ図示)及び支持板41を有し、別の
見方をすれば、6つの可動コリメータ部エレメント42
を有する。コリメータ板39A1〜39A6 ,コリメー
タ板39B1〜39B6及び支持板41は、γ線遮へい材
であるタングステンで作られている。
【0044】可動コリメータ部エレメント42の一部の
詳細構造を図7を用いて説明する。対向しているコリメ
ータ板39A1 とコリメータ板39B1 とは、支持板4
1に回転可能に設置された回転軸42A及び42Bに取
り付けられる。支持板41は、六角形筒部38の内面で
1つの面に設置される。回転軸42Aに設けられた歯車
(図示せず)が支持板41に設置されるモーター43A
に連結された他の歯車と噛合っている。回転軸42Bに
設けられた歯車(図示せず)が支持板41に設置される
モーター43Bに連結された他の歯車と噛合っている。
モーター43Aの駆動によって回転軸42Aが回転する
ため、コリメータ板39A1 の六角形筒部38に対する
傾き角が変えられる。コリメータ板39B1 の六角形筒
部38に対する傾き角も、モーター43Bの駆動による
回転軸42Bの回転によって変更できる。コリメータ板
39A2〜39A6をそれぞれ有する他の可動コリメータ
部エレメント42も同じ構成を有する。1つの可動コリ
メータ部40は、それらの可動コリメータ部エレメント
42が一列になって孔部9を取り囲むように六角形筒部
38の内面に設置されて構成される。1つの可動コリメ
ータ部40内で隣接する可動コリメータ部エレメント4
2のコリメータ板(例えば、コリメータ板39A1 とコ
リメータ板39A2 )は、カメラの絞りのように、互い
に一部が重なり合っている。このような構造によって、
コリメータ板39A1 及び39A2の傾き角を変更する
場合における、コリメータ板39A1とコリメータ板3
9A2との干渉を避けることができる。
【0045】コリメータ集合体5Aは、ピニオン29の
回転によって実施例1と同様にガントリー13A内に出
し入れできる。コリメータ集合体5Aに設けられた6つ
の可動コリメータ部40によって、実施例1と同様に、
ガントリー13Aに分轄された放射線検出領域14〜1
8が形成される。
【0046】放射線検査装置1Aも、コリメータ集合体
5Aをガントリー13Aから引き抜いた状態で3D−P
ET検査を実施し、そのPET検査で特定された局所部
位(癌の患部)を対象にコリメータ集合体5Aをガント
リー13A内に挿入された状態で局所−PET検査を実
施する。局所−PET検査は、各可動コリメータ部40
において各可動コリメータ部エレメント42のコリメー
タ板(例えば、コリメータ板39A1 及びコリメータ板
39A2 )の傾き角をモーターの駆動によって調節し、
各可動コリメータ部40の相互間に形成される各γ線通
過通路が臨む焦点領域30を患部の位置に合せるように
変更してから行われる。
【0047】本実施例においても、実施例1で生じる
(1)〜(6),(8)及び(9)の効果を得ることが
できる。更に、以下に示す(10)〜(12)の効果も
得ることができる。 (10)可動コリメータ部40の設置によって焦点領域
30の位置が変えられるので、被検者19を移動する必
要がなくなる。従って、被検者19の移動による被検体
保持装置10に対する相対的な被検者19の位置ずれが
予防でき、局所検査部位の高速,高精細PET検査が可
能となる。 (11)可動コリメータ部40により患部の大きさに合
せて焦点領域30の大きさが変えられるので、実施例1
の(6)で述べたような被検体保持装置10による被検
者19の移動が不要になり、大きな患部でも一回の2D
−PET検査で検査できる。このため、2D−PET検
査に要する時間を更に低減できる。 (12)一つの可動コリメータ部40を対向して配置さ
れたコリメータ板及び支持板41で中空状に構成してい
るため、コリメータ集合体5Aの重量を低減できる。こ
のため、コリメータ集合体移動装置のモーターの容量を
低減できる。
【0048】(実施例3)本発明の他の実施例である実
施例3の放射線検査装置を説明する。本実施例の放射線
検査装置は、ハード構成が放射線検査装置1と同じであ
る。本実施例の放射線検査装置は、断層像作成装置であ
るコンピュータ34におけるデータ処理が、放射線検査
装置1のコンピュータ34で行われるデータ処理と異な
っている。本実施例のコンピュータ34で行われるデー
タ処理のうち、放射線検査装置1のコンピュータ34で
行われるデータ処理と異なる部分について説明する。
【0049】本実施例におけるコンピュータ34(実施
例1におけるコンピュータ34と区別するために、以
下、本コンピュータ34という)は、3D−PET検査
における各放射線検出器3の計測値をもとにして得られ
たパルス信号の計数値、及びγ線検出の位置情報を用い
て、被検者19の断層像を作成する。本コンピュータ3
4は、その断層像作成に際して求めらた各ボクセルのγ
線対発生密度(第1γ線対発生密度という)を記憶装置
35に記憶する。本コンピュータ34は、実施例1で説
明した局所−PET検査で得られた各放射線検出器3の
計測値をもとにして得られたパルス信号の計数値、及び
γ線検出の位置情報を用いて、被検者19の特定の局所
部位が含まれる部分の断層像(局所部位断層像という)
を作成する。
【0050】本実施例における局所部位断層像の作成に
ついて、具体的に説明する。本コンピュータ34は、局
所部位断層像の作成過程において、番号iの放射線検出
器3とこれと180°反対方向に位置する番号jの放射
線検出器3で同時計数された計数値に基づいて算出され
たγ線対発生数の補正係数Kijを、記憶装置35に記憶
している第1γ線対発生密度を用いて、(12)式によ
り算出する。αijは、図8に示すように、番号iの放射
線検出器3と番号jの放射線検出器3を結んで Kij=αij/βij …(12) 形成される被検者19の体内の体積Vのうちで焦点領域
30の体積内でのγ線発生数である。βijはその体積V
内でのγ線対発生数である。それらのγ線対発生数は、
第1γ線対発生密度の分布に基づいて算出される。本コ
ンピュータ34は、局所−PET検査で得られた各放射
線検出器3の計測値をもとにして得られたパルス信号の
計数値、及びγ線検出の位置情報を用いて、γ線対を検
出した一対の放射線検出器3間における体内のγ線対発
生数を求める。本コンピュータ34は、求めたγ線対発
生数を補正係数Kijで補正して補正γ線対発生数を算出
する。本コンピュータ34は、補正γ線対発生数を用い
て、FBP法(または逐次近似法)の手法により逆投影
して各ボクセルのγ線対発生密度を求める。この各ボク
セルのγ線対発生密度により局所部位断層像を作成す
る。局所部位断層像は表示装置36に表示される。
【0051】本実施例は、実施例1で生じる(1)〜
(9)の効果を得ることができる。更に、本実施例は、
補正係数Kijを用いて算出された補正γ線対発生数を用
いて局所部位断層像を作成するため、局所部位断層像の
画質を向上できる。これは、補正係数Kijの利用によっ
て焦点領域30以外の体内から放出されて放射線検出器
3で検出されてしまうγ線(ノイズ)を除去されるから
である。
【0052】補正係数Kijを用いて補正された補正γ線
対発生数を用いて、各ボクセルのγ線対発生密度を求
め、局所部位断層像を作成することは、実施例2に対し
ても適用できる。
【0053】(実施例4)本発明の他の実施例である実
施例4の放射線検査装置1Bを、図9を用いて説明す
る。放射線検査装置1Bは、撮像装置2B以外の構成が
放射線検査装置1と同じである。撮像装置2Bは、コリ
メータ集合体移動装置を設けていない点で撮像装置2と
異なっている。撮像装置2Bの他の構成は撮像装置2と
同じである。放射線検査装置1Bは、放射線検査装置1
と同様に、3D−PET検査及び局所−PET検査を実
施できる。放射線検査装置1Bにおけるコリメータ集合
体5のガントリー13内への出し入れは、コリメータ集
合体移動装置ではなく、コリメータ着脱装置45を用い
て行う。
【0054】コリメータ着脱装置45は、床面上を移動
できる本体46、本体46に設けられたガイド溝49内
に挿入されたアーム47、及びコリメータ保持部48を
備える。アーム47は、ガイド溝49内を上下動する。
アーム47の上端部に設けられたコリメータ保持部48
は、コリメータ集合体5の6つの環状コリメータ6A〜
6Fを受ける6つの切り欠き部50を有する。
【0055】3D−PET検査のために、コリメータ集
合体5をガントリー13から引き出す作業について説明
する。本体46を床面上で移動させてコリメータ保持部
48を、孔部9内に挿入する。各切り欠き部50と環状
コリメータ6A〜6Fとの位置合せをした後、本体46
にもうけられたアーム駆動装置(図示せず)を駆動させ
てアーム47をガイド溝49に沿って上昇させ、各切り
欠き部50の底面と環状コリメータ6A〜6Fに接触さ
せる。接触した時点で、アーム47の上昇を停止し、本
体46をガントリー13から離れる方向に移動させる。
本体46の移動に伴って、コリメータ集合体5の環状コ
リメータ6A〜6Fがコリメータ保持部48に引っかか
り、コリメータ集合体5がガントリー13より引き出さ
れる。引き出されたコリメータ集合体5は、コリメータ
保持部48に保持される。3D−PET検査終了後で2
D−PET検査前にコリメータ集合体5をガントリー1
3内に挿入するときは、コリメータ着脱装置45を用い
て上記の操作と逆の操作を行えばよい。
【0056】本実施例は実施例1で得られる効果を得る
ことができる。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、1つの放射線検査装置
を用いて、被検体の広い範囲を対象とする3D−PET
検査、及び被検体の局所部位を対象とする局所−PET
検査の両方を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である放射線検査装置
の構成図である。
【図2】図1のガントリー部の詳細縦断面図である。
【図3】放射能レベルと同時計数レートとの関係を示す
特性図である。
【図4】2D−PET検査,3D−PET検査及び図1
の実施例における放射能レベルと同時計数レートとの関
係を示す特性図である。
【図5】PET検査において放射線検出器が検出するγ
線の各事象を示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施例である放射線検査装置の構
成図である。
【図7】図6のVII−VII断面図である。
【図8】本発明の他の実施例である放射線検査装置にお
ける補正方法の概念を示す説明図である。
【図9】本発明の他の実施例である放射線検査装置の構
成図である。
【符号の説明】
1,1A,1B…放射線検査装置、2,2A,2B…撮
像装置、3…放射線検出器、4…放射線検出器保持部、
5,5A…コリメータ集合体、6,6A,6B,6C,
6D,6E,6F…環状コリメータ、7…円筒部、10
…被検体保持装置、12…ベッド、13…ガントリー、
14,15,16,17,18…放射線検出領域、29
…ピニオン、30…焦点領域、32…γ線弁別装置、3
3…同時計数装置、34…コンピュータ、37A,37
B,37C,37D,37E…環状γ線通過通路、38
…六角筒部、40…可動コリメータ部、42…可動コリ
メータ部エレメント、44…コリメータ支持部、45…
コリメータ着脱装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 雨宮 健介 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内 (72)発明者 小嶋 進一 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内 (72)発明者 北口 博司 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内 (72)発明者 岡崎 隆司 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内 (72)発明者 横井 一磨 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発研究所内 Fターム(参考) 2G088 EE01 FF07 JJ17

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検体を保持する被検体保持装置と、撮像
    装置とを備え、 前記撮像装置は、筒状のガントリーと、出し入れ可能に
    前記ガントリー内に設置されて複数のコリメータ部材で
    構成される環状のコリメータとを有し、 前記ガントリーは、前記被検体からの放射線を検出する
    複数の放射線検出器が環状に配置された環状放射線検出
    器配列を、軸方向に複数列有し、 前記コリメータは、共通の焦点領域を臨む複数の放射線
    通過通路を形成する前記複数のコリメータ部材を軸方向
    に配置して構成されることを特徴とする放射線検査装
    置。
  2. 【請求項2】隣接するそれぞれの前記コリメータ部材間
    に形成される各々の前記放射線通過通路が、複数の前記
    環状放射線検出器配列に面している請求項1に記載の放
    射線検査装置。
  3. 【請求項3】前記撮像装置は、前記ガントリー内への前
    記コリメータの出し入れを行うコリメータ移動装置を備
    えた請求項1または請求項2に記載の放射線検査装置。
  4. 【請求項4】前記撮像装置は、前記ガントリーから引き
    抜かれた前記コリメータを支持するコリメータ支持装置
    を、前記コリメータの引き抜き側に設けている請求項1
    ないし請求項3のいずれかに記載の放射線検査装置。
  5. 【請求項5】前記コリメータ部材は環状のコリメータ部
    材である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放
    射線検査装置。
  6. 【請求項6】前記放射線検出器は半導体放射線検出器で
    ある請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の放射線
    検査装置。
  7. 【請求項7】前記放射線検出器の出力信号に基づいて前
    記被検体の断層像を作成する断層像作成装置を備えた請
    求項1ないし請求項6のいずれかに記載の放射線検査装
    置。
  8. 【請求項8】断層像作成装置は、前記コリメータが前記
    ガントリーから引き抜かれているときに前記放射線検出
    器の前記出力信号に基づいて得られたγ線対発生情報を
    用いて、前記コリメータが前記ガントリー内に挿入され
    ているときに前記放射線検出器の出力信号に基づいて得
    られたγ線対発生情報を補正し、補正された前記γ線対
    発生情報を用いて前記断層像を作成する請求項7記載の
    放射線検査装置。
  9. 【請求項9】被検体を保持する被検体保持装置と、撮像
    装置とを備え、 前記撮像装置は、筒状のガントリーと、出し入れ可能に
    前記ガントリー内に設置されて複数のコリメータ部材で
    構成される環状のコリメータとを有し、 前記ガントリーは、前記被検体からの放射線を検出する
    複数の放射線検出器が環状に配置された環状放射線検出
    器配列を、軸方向に複数列有し、 前記コリメータは、共通の焦点領域を臨む複数の放射線
    通過通路を形成する前記複数のコリメータ部材を軸方向
    に配置して構成され、 前記コリメータ部材は前記ガントリーに対する傾き角を
    変更できる可動コリメータであることを特徴とする放射
    線検査装置。
  10. 【請求項10】隣接するそれぞれの前記コリメータ部材
    間に形成される各々の前記放射線通過通路が、複数の前
    記環状放射線検出器配列に面している請求項9記載の放
    射線検査装置。
  11. 【請求項11】前記撮像装置は、前記ガントリー内への
    前記コリメータの出し入れを行うコリメータ移動装置を
    備えた請求項9または10に記載の放射線検査装置。
  12. 【請求項12】前記撮像装置は、前記ガントリーから引
    き抜かれた前記コリメータを支持するコリメータ支持装
    置を、前記コリメータの引き抜き側に設けている請求項
    9ないし請求項11のいずれかに記載の放射線検査装
    置。
  13. 【請求項13】前記放射線検出器は半導体放射線検出器
    である請求項9ないし請求項12のいずれかに記載の放
    射線検査装置。
  14. 【請求項14】前記ガントリーは多角形であり、前記コ
    リメータ部材は、前記多角形状に配置された複数のコリ
    メータ要素を有し、 前記コリメータ要素は、支持部材と、前記支持部材に回
    転可能に取り付けられて前記傾き角を変えられる一対の
    コリメータ板と、それぞれの前記コリメータ板を回転さ
    せる駆動装置とを備えている請求項9に記載の放射線検
    査装置。
  15. 【請求項15】前記放射線検出器の出力信号に基づいて
    前記被検体の断層像を作成する断層像作成装置を備えた
    請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の放射線検
    査装置。
  16. 【請求項16】前記コリメータは、筒状体、及びこの筒
    状体の内面に設置された前記複数のコリメータ部材を有
    する請求項1または請求項9に記載の放射線検査装置。
  17. 【請求項17】前記筒状体はプラスチックで構成される
    請求項16に記載の放射線検査装置。
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