JP2003239170A - 不織布及びこれを用いた電池 - Google Patents

不織布及びこれを用いた電池

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JP2003239170A JP2002033253A JP2002033253A JP2003239170A JP 2003239170 A JP2003239170 A JP 2003239170A JP 2002033253 A JP2002033253 A JP 2002033253A JP 2002033253 A JP2002033253 A JP 2002033253A JP 2003239170 A JP2003239170 A JP 2003239170A
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康博 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期にわたって液体の保持性に優れ、液体の
吸液速度が速く、しかも機械的強度の優れる不織布、及
びこれを用いた電池を提供すること。 【解決手段】 本発明の不織布は、引張り強さが6cN
/dtex以上の高強度繊維と、繊維径が4μm以下の
極細繊維とを含む不織布であり、この不織布の70ma
ss%を超える量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹
脂を備えており、しかも不織布表面よりも不織布内部に
より多くの酸素含有官能基が存在している。この不織布
の高強度繊維は繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えて
いるのが好ましい。また、不織布の極細繊維は海島型繊
維の海成分を除去して残留した島成分からなるのが好ま
しい。この不織布は電池用のセパレータ又は電気二重層
キャパシタ用のセパレータとして好適に使用できる。本
発明の電池は上記不織布をセパレータとして使用したも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不織布及びこれを用
いた電池に関し、特に電池用セパレータ又は電気二重層
キャパシタ用セパレータとして好適に使用できる不織
布、及びこれを用いた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から不織布は各種用途に適用されて
いる。その用途の1つとして、不織布の分離性を利用し
た電池用セパレータ又は電気二重層キャパシタ用セパレ
ータ(以下、両方を総称して「セパレータ」と表記す
る)の用途が知られている。このセパレータは電池又は
キャパシタの正極と負極との間に配置され、正極と負極
とを分離して短絡を防止すると共に、電解液を保持して
起電反応を円滑に行なわせるという作用を奏する。
【0003】従来から電池やキャパシタを構成する電解
液として、水酸化カリウムなどのアルカリ溶液、硫酸な
どの酸溶液、或いは有機溶媒などが使用されていたた
め、これら電解液によって侵されることなく、前記作用
を奏することができるように、セパレータを構成する繊
維として、ポリオレフィン系繊維が好適に使用されてい
る。このポリオレフィン系繊維は前記のように耐電解液
性に優れているものの、電解液との親和性が悪く、電解
液の保持性が悪いため、電解液の保持性を高めるため
に、不織布に各種表面処理が施されている。例えば、コ
ロナ放電処理やプラズマ処理により不織布を表面処理し
ている。これらの方法により表面処理が施された不織布
はある程度電解液との親和性が改善されたものである
が、未だ不十分であったり、初期における親和性には優
れているものの、経時的に親和性が低下するため、この
表面処理した不織布をセパレータとして使用した電池又
はキャパシタは寿命の短いものであった。
【0004】また、近年の電子機器の小型軽量化に伴っ
て、電池又はキャパシタの占めるスペースも狭くなって
いるにもかかわらず、電池又はキャパシタには従来と同
程度以上の性能が必要とされるため、電池又はキャパシ
タの高容量化が要求され、そのためには、電極の活物質
量を増やす必要がある。そのため、必然的にセパレータ
の占める体積が小さくならざるを得ず、最近では厚さ
0.1mm以下のセパレータが市場で要求されている。
【0005】このような厚さのセパレータとするため
に、単純に目付を小さくすると、繊維量が少なくなるこ
とになるため、電解液の保持性が低下し、セパレータ本
来の働きである電解液の保持性が悪く、結果として電池
又はキャパシタの寿命が短くなるという問題があった。
また、電池又はキャパシタ製造時における電解液の吸液
速度が遅く、電池又はキャパシタの製造効率が悪いとい
う問題もあった。更には、電池又はキャパシタ製造時に
セパレータにかかる力によって、セパレータが破断した
り、電極の活物質がセパレータを突き抜けて、セパレー
タとしての作用をなさない場合があるという問題もあっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題点を解決するためになされたものであり、長期にわ
たって液体の保持性に優れ、液体の吸液速度が速く、し
かも機械的強度の優れる不織布、及びこれを用いた電池
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の不織布は、引張
り強さが6cN/dtex以上の高強度繊維と、繊維径
が4μm以下の極細繊維とを含む不織布であり、この不
織布の70mass%を超える量の繊維が繊維表面にポ
リエチレン系樹脂を備えており、しかも不織布表面より
も不織布内部により多くの酸素含有官能基が存在してい
ることを特徴としている。この不織布は繊維表面にポリ
エチレン系樹脂を備えたポリエチレン系繊維を多く含ん
でおり、酸素含有官能基が存在していることによって、
液体の保持性が長期間にわたって低下しにくいことを見
出した。また、前記液体の保持性に加えて極細繊維を含
んでいて地合いが均一であること、及び不織布内部に多
くの酸素含有官能基が存在していることによって、液体
の吸液速度が速くなることを見出した。更には、高強度
繊維を含んでいることによって機械的強度が優れている
ことも見出した。
【0008】本発明の不織布を構成する高強度繊維が繊
維表面にポリエチレン系樹脂を備えていると、高強度繊
維の含有量を多くすることができるため、不織布の機械
的強度が更に向上する。
【0009】本発明の不織布を構成する極細繊維が海島
型繊維の海成分を除去して残留した島成分からなる極細
繊維であると、不織布の地合いが更に均一であるため、
液体の吸液速度を更に速くすることができ、しかも分離
作用を高めることができる。
【0010】本発明の不織布の75mass%以上の繊
維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えていると、液
体の保持性が更に長期間にわたって低下しにくいもので
ある。
【0011】本発明の不織布は電池用のセパレータとし
て好適である。
【0012】本発明の電池は上述の不織布をセパレータ
として用いたものであるため、電池寿命が長く、生産性
に優れている。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の不織布は、不織布にかか
る力によって不織布が破断したりすることがない機械的
強度を有するように、引張り強さが6cN/dtex以
上の高強度繊維を含んでいる。高強度繊維の引張り強さ
が高ければ高い程、前記効果を発揮しやすいため、6.
5cn/dtex以上であるのが好ましく、6.8cn
/dtex以上であるのがより好ましい。なお、高強度
繊維の引張り強さの上限は不織布を形成できる限り特に
限定するものではないが、50cn/dtex程度が適
当である。この「引張り強さ」はJIS L 101
5:1999、8.7.1項に規定されている方法によ
り測定した引張り強さをいう。なお、引張り強さは定速
緊張形試験機によって測定した値をいう。
【0014】この高強度繊維は前記のような引張り強さ
を有するのであればどのような樹脂から構成されていて
も良いが、液体によって侵されないように、繊維表面
(繊維両端部を除く)にポリオレフィン系樹脂が存在し
ているのが好ましく、繊維表面(繊維両端部を除く)が
ポリオレフィン系樹脂のみから構成されているのがより
好ましい。このようなポリオレフィン系樹脂として、例
えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエ
チレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低
密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレ
ン系共重合樹脂(例えば、エチレン−ビニルアルコール
共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−
メタクリル酸など))、ポリプロピレン系樹脂(例え
ば、ポリプロピレン、プロピレン系共重合体(例えば、
エチレン−ブテン−プロピレン共重合体、エチレン−ブ
タジエン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン
共重合体など))、ポリメチルペンテン系樹脂(例え
ば、ポリメチルペンテン、メチルペンテン系共重合体)
などを挙げることができる。これらの中でも、後述のよ
うに酸素含有官能基が存在するポリエチレン系樹脂は液
体との親和性が持続するため好適であり、高密度ポリエ
チレンは液体との親和性が特に持続するため特に好適で
ある。このようなポリオレフィン系樹脂以外の高強度繊
維を構成する樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂などを挙げることができる。
【0015】本発明の高強度繊維は上記のような樹脂単
独から構成されていても良いし、2種類以上の樹脂が混
合又は複合していても良い。繊維表面に融着可能な樹脂
を備えた高強度繊維であると、高強度繊維を融着繊維と
しても使用することができ、高強度繊維量を多くするこ
とができるため、不織布の機械的強度を更に向上させる
ことができる。前記融着可能な樹脂がポリエチレン系樹
脂であると、酸素含有官能基が存在するポリエチレン系
樹脂は液体との親和性が持続するため特に好適である。
この融着可能な樹脂(特にポリエチレン系樹脂)が多け
れば多い程、融着性に優れているため、高強度繊維の横
断面形状は、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型であるの
が好ましい。
【0016】この高強度繊維は不織布の機械的強度が高
くなるように、高強度繊維の繊維径は5〜35μmであ
るのが好ましく、7〜30μmであるのがより好まし
く、8〜25μmであるのが更に好ましい。なお、本発
明における「繊維径」は、繊維の横断面形状が円形であ
る場合にはその直径をいい、繊維の横断面形状が非円形
である場合には、同じ断面積を有する円の直径を繊維径
をいう。
【0017】なお、高強度繊維の繊維径が後述のような
極細繊維の繊維径の2.5倍以上(好ましくは3倍以
上、更に好ましくは3.5倍以上、最も好ましくは4倍
以上)であると、不織布に力が加わっても、不織布の空
隙を保持でき、しかも後述の極細繊維によって表面積が
広くなる、つまり、高強度繊維が骨格を形成し、この骨
格間に極細繊維が充填されているような状態となりやす
いため、圧力下における液体の保持性が向上する。
【0018】このような高強度繊維は、不織布構成繊維
中、5mass%以上含まれていれば前述のような効果
を発揮しやすく、15mass%以上含まれているのが
より好ましい。他方、後述のように極細繊維を含んでい
るのが好ましいため、95mass%以下であるのが好
ましい。
【0019】本発明の不織布は上述のような高強度繊維
に加えて繊維径が4μm以下の極細繊維を含んでいる。
このような極細繊維を含んでいることによって、地合い
が均一となり、液体の吸液速度の向上、及び分離性に寄
与することができる。また、不織布の単位体積における
繊維表面積を広くすることができるため、液体の保持性
を更に高めることができる。極細繊維の繊維径が4μm
を超えると、前記効果への寄与度が低下する傾向がある
ためで、より好ましい繊維径は3μm以下であり、更に
好ましい繊維径は2μm以下である。極細繊維の繊維径
の下限は特に限定するものではないが、0.01μm程
度が適当である。
【0020】この極細繊維は、極細繊維によって均一な
孔径を形成し、液体の分布が均一であるように、極細繊
維間の繊維径はほぼ同じであるのが好ましい。つまり、
極細繊維の繊維径分布の標準偏差値(σ)を、極細繊維
の平均繊維径(d)で除した値(σ/d)が0.2以下
(好ましくは0.18以下)であるのが好ましい。な
お、全ての極細繊維の繊維径が同じである場合には標準
偏差値(σ)が0になるため、前記値(σ/d)の下限
値は0である。
【0021】本発明の「平均繊維径(d)」は、不織布
の電子顕微鏡写真を撮影し、この電子顕微鏡写真におけ
る100本以上(n本)の極細繊維の繊維径を計測し、
その計測した繊維径を平均した値をいう。また、極細繊
維の「標準偏差値(σ)」は、計測した繊維径(χ)を
もとに次の式から算出した値をいう。 標準偏差={(nΣχ2−(Σχ)2)/n(n−1)}
1/2 ここでnは測定した極細繊維の本数を意味し、χはそれ
ぞれの極細繊維の繊維径を意味する。
【0022】なお、極細繊維群が2つ以上存在する場合
には、各々の極細繊維群について、上記関係が成立する
のが好ましい。
【0023】また、極細繊維は均一な孔径を有する不織
布を形成できるように、個々の極細繊維は繊維軸方向に
おいて、実質的に同じ直径を有しているのが好ましい。
このような極細繊維間の繊維径がほぼ同じである極細繊
維、或いは繊維軸方向において実質的に同じ直径を有し
ている個々の極細繊維は、例えば、紡糸口金部で海成分
中に口金規制して島成分を押し出して複合する複合紡糸
法で得た海島型繊維の海成分を除去して島成分を残留さ
せて形成することができる。なお、一般的に混合紡糸法
といわれる、島成分を構成する樹脂と海成分を構成する
樹脂とを混合した後に紡糸する方法によって得た海島型
繊維の海成分を除去する方法や、メルトブロー法によっ
ては、極細繊維間の繊維径がほぼ同じ繊維径を有する極
細繊維や繊維軸方向において実質的に同じ直径を有して
いる個々の極細繊維を得ることは困難である。しかしな
がら、これら極細繊維であっても本発明において使用す
ることができる。
【0024】この極細繊維は前記のような繊維径を有す
る限り、どのような樹脂から構成されていても良く、例
えば、前述の高強度繊維を構成する樹脂と同様の樹脂、
つまり、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂或い
はポリエステル系樹脂から構成することができる。これ
らの中でも、酸素含有官能基が存在するポリエチレン系
樹脂は液体との親和性が持続するため、極細繊維表面に
ポリエチレン系樹脂が存在しているのが好ましく、極細
繊維表面全て(繊維両端部を除く)がポリエチレン系樹
脂から構成されているのが更に好ましい。
【0025】なお、極細繊維が融着に関与できる樹脂成
分(以下、「融着成分」ということがある)を含んでい
ると、この融着成分により融着でき、確実に極細繊維が
固定されるため、極細繊維が脱落したり、毛羽立つこと
がないため好適な実施態様である。
【0026】この極細繊維を融着させる場合、極細繊維
は融着成分のみから構成していても良いし、融着成分と
この融着成分の融点よりも高い融点を有する成分(以
下、「非融着成分」ということがある)の2種類以上の
成分から構成していても良い。後者のように極細繊維が
融着成分と非融着成分を含む2種類以上の成分から構成
されていると、融着成分を融着させても繊維形態を維持
できるためより好適である。
【0027】極細繊維が2種類以上の成分から構成され
ている場合、融着成分が極細繊維表面の一部又は全部を
占めて、融着できるのが好ましい。この極細繊維が2種
類以上の成分から構成されている場合、その横断面形状
は、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型であるのが好まし
い。なお、非融着成分は繊維形状を維持できるように、
融着成分の融点よりも10℃以上高い融点を有するのが
好ましく、20℃以上高いのがより好ましい。
【0028】この融着成分と非融着成分とを含む2種類
以上の樹脂成分からなる極細繊維は、常法の複合紡糸法
により海島型繊維を紡糸する際に、島成分を押し出す口
金として、前述のような横断面形状(例えば、芯鞘型、
偏芯型、海島型)を形成できるものを使用したり、常法
の複合紡糸法により海島型繊維を紡糸する際に、2種類
以上の樹脂成分を混合した樹脂を島成分を押し出す口金
に供給して海島型繊維を紡糸し、海成分を除去すること
により得ることができる。
【0029】本発明における「融点」は示差走査熱量計
を用い、昇温温度10℃/分で、室温から昇温して得ら
れる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。なお、
極大値が2つ以上ある場合には、最も高温の極大値を融
点とする。
【0030】本発明の極細繊維の横断面形状は、不織布
の地合いを向上させることができるように、円形である
のが好ましい。また、極細繊維は不織布の地合いが優れ
ているように、束の状態にはなく、分散した状態にある
のが好ましい。
【0031】なお、極細繊維は均一分散しやすいよう
に、自由度の高い短繊維(繊維長が30mm以下)であ
るのが好ましいが、極細繊維又は海島型繊維を裁断する
際に極細繊維同士又は島成分同士が圧着してしまうと、
フィブリル化した繊維のような状態となり、分散性が低
下するため、裁断する際に極細繊維同士又は島成分同士
が圧着しにくい極細繊維又は海島型繊維を使用するのが
好ましい。このような圧着しにくい極細繊維又は海島型
繊維としては、例えば、結晶性の高い極細繊維(海島型
繊維の場合には島成分)を挙げることができる。より具
体的には、極細繊維(海島型繊維の場合には島成分)が
ポリメチルペンテンを含んでいたり、ポリプロピレンを
含んでいる場合には、そのポリプロピレンの融点が16
6℃以上(好ましくは168℃以上)であるのが好まし
い。
【0032】このような極細繊維は、不織布構成繊維
中、5mass%以上含まれていれば前述のような効果
を発揮しやすく、10mass%以上含まれているのが
より好ましく、12mass%以上含まれているのが更
に好ましい。他方、機械的強度の優れる不織布であるよ
うに、高強度繊維を含んでいる必要があるため、95m
ass%以下であるのが好ましい。
【0033】本発明の不織布を構成する繊維として、前
記高強度繊維及び極細繊維に加えて、熱融着性繊維を含
んでいるのが好ましい。熱融着性繊維を含んでいること
によって、不織布の機械的強度を更に向上させることが
できる。
【0034】この熱融着性繊維の融着成分は熱融着性繊
維以外の繊維(例えば、高強度繊維、極細繊維など)へ
悪影響を及ぼさないような融点を有するのが好ましい。
例えば、液体の保持性に優れているように熱融着性繊維
以外の繊維として、繊維表面にポリエチレン系樹脂を備
えている繊維(例えば、高強度繊維、極細繊維など)が
好ましいため、熱融着性繊維の融着成分はポリエチレン
系樹脂からなるのが好ましい。この場合、ポリエチレン
系樹脂量が多くなるため、液体の保持性が向上するとい
う効果も奏する。
【0035】この熱融着性繊維は融着成分のみから構成
されていても良いし、融着成分に加えて融着成分よりも
融点の高い非融着成分を含んでいても良い。後者のよう
に融着成分と非融着成分とから構成されていると、不織
布の機械的強度を更に向上させることができる。この場
合の熱融着性繊維の横断面形状としては、例えば、芯鞘
型、偏芯型、海島型であることができる。また、非融着
成分は融着成分の融点よりも10℃以上高い樹脂からな
るのが好ましく、20℃以上高い樹脂からなるのが好ま
しい。
【0036】このような熱融着性繊維は不織布の機械的
強度を向上させることができるように、不織布構成繊維
中、10mass%以上含まれているのが好ましく、1
5mass%以上含まれているのがより好ましい。他
方、前述のような高強度繊維や極細繊維との兼ね合いか
ら、90mass%以下であるのが好ましい。
【0037】本発明の不織布は基本的に、上述のような
高強度繊維及び極細繊維を含み、好ましくは熱融着性繊
維を含んでいるが、本発明の不織布の作用を損なわない
範囲内でこれら繊維以外の繊維を含んでいても良い。な
お、本発明の不織布の好適な繊維配合として、(1)極
細繊維と高強度繊維、(2)極細繊維、高強度繊維及び
熱融着性繊維、がある。前記(1)の場合、(極細繊
維):(高強度繊維)が5〜95:95〜5、10〜8
5:90〜15、12〜80:20〜88の配合質量比
率であるのが順に好ましく、(2)の組み合わせの場
合、(極細繊維):(高強度繊維):(熱融着性繊維)
が5〜80:5〜80:10〜90、10〜70:15
〜75:15〜75、12〜60:20〜68:20〜
68の配合質量比率が順に好ましい。
【0038】なお、高強度繊維の質量比率が極細繊維の
質量比率の1倍以上であると、高強度繊維が骨格を形成
し、この骨格間に極細繊維が充填されているような状態
となり、液体の保持性が向上するため好適である。
【0039】本発明の不織布は上述のような繊維(例え
ば、高強度繊維、極細繊維、熱融着性繊維など)から構
成されているが、不織布の70mass%を超える量の
繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている。繊
維表面にポリエチレン系樹脂を備えている繊維が多い
と、酸素含有基が存在している場合に液体の保持性の経
時劣化が小さいことを見出したのである。つまり、不織
布の70mass%以下の量の繊維が繊維表面にポリエ
チレン系樹脂を備えていても、液体の保持性の経時劣化
が著しいためで、好ましくは不織布の75mass%以
上の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えてお
り、より好ましくは不織布の80mass%以上の繊維
が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている。なお、
ポリエチレン系樹脂を繊維表面に備えている繊維のポリ
エチレン系樹脂は同じである必要はないが、高密度ポリ
エチレンを繊維表面に備えている繊維を40mass%
以上含んでいるのが好ましく、高密度ポリエチレンを繊
維表面に備えている繊維を50mass%以上含んでい
るのがより好ましい。
【0040】本発明の不織布構成繊維(例えば、高強度
繊維、極細繊維、熱融着性繊維など)は未延伸状態であ
っても良いが、機械的強度に優れているように、延伸状
態にあるのが好ましい。
【0041】また、不織布構成繊維(例えば、高強度繊
維、極細繊維、熱融着性繊維など)の繊維長は特に限定
されるものではないが、繊維長が短いほど繊維の自由度
が高く、均一に分散することができるため、繊維長は
0.5〜30mmであるのが好ましく、1〜20mmで
あるのがより好ましい。また、切断された繊維であるの
が好ましい。「繊維長」はJIS L 1015(化学
繊維ステープル試験法)B法(補正ステープルダイヤグ
ラム法)により得られる長さをいう。
【0042】なお、高強度繊維の繊維長は極細繊維の繊
維長の2.5倍以上(好ましくは3倍以上、より好まし
くは4倍以上、更に好ましくは5倍以上)であるのが好
ましい。この場合、高強度繊維が骨格を形成し、この骨
格間に極細繊維が充填された状態となりやすく、液体の
保持性が向上するためである。
【0043】本発明の不織布は実質的にフィブリル化し
ていない繊維のみから構成されているのが好ましい。実
質的にフィブリル化していない繊維のみから構成されて
いると、地合いが均一で、不織布全体でバランス良く液
体を保持できるためである。なお、機械的に分割可能な
分割性繊維をビーターなどによって叩解した繊維、パル
プ、フラッシュ紡糸法により得られる繊維などはフィブ
リル化した繊維であるため、本発明においては使用しな
いのが好ましい。
【0044】本発明の不織布は実質的に上述のような繊
維から構成されているが、不織布は液体の偏在が生じな
いように、実質的に一層構造からなるのが好ましい。こ
の「実質的に一層構造」とは、不織布の厚さ方向におい
て、不織布全体の平均繊維径に対して、不織布の繊維組
成及び繊維配合の異なる部分の平均繊維径が、全体の平
均繊維径の±20%の範囲内に含まれることを意味す
る。そのため、平均繊維径が上記範囲内にある限り、複
数の繊維ウエブを積層して形成することもできる。最も
簡単な形成方法としては、同じ繊維配合から1つの繊維
ウエブを形成する方法である。前記「厚さ方向」とは、
不織布平面(不織布表面は平滑ではないため、不織布表
面に平板を載せた際の平板の不織布側面)に対して直角
方向をいう。
【0045】本発明の不織布は目付あたりにおける繊維
の見掛総表面積が20m以上であるのが好ましい。こ
のような見掛総表面積であると、繊維表面が広いため液
体の保持性に優れている。そのため、不織布の厚さが
0.1mm以下という薄いものであったとしても、長期
間にわたって液体を保持することができる。より好まし
い見掛総表面積は22m以上であり、25m以上で
あるのが更に好ましい。このような見掛総表面積とする
には、例えば、前述のような極細繊維の配合量を多くし
たり、前述のような高強度繊維及び/又は熱融着性繊維
として繊維径の小さいものを使用したり、これらを併用
して達成できる。
【0046】この「目付」とはJIS P 8124
(紙及び板紙−坪量測定法)に規定されている方法に基
いて得られる坪量を意味し、「目付あたりにおける繊維
の見掛総表面積」とは、前記目付中に存在している繊維
の繊維同士が固定する前の状態における繊維の表面積
(繊維の横断面積を除く)の和をいう。例えば、目付が
40g/mで、極細繊維20mass%と高強度繊維
80mass%とからなる場合、極細繊維8g(=40
×0.2)分の表面積(繊維の横断面積を除く)と、高
強度繊維32g(=40×0.8)分の表面積(繊維の
横断面積を除く)の総和をいう。なお、不織布構成繊維
が融着している場合には、融着する前の熱融着性繊維の
表面積(繊維の横断面積を除く)をもとに見掛総表面積
を算出する。また、繊維の表面積は繊維径、目付、構成
比、及び繊度から算出することができ、融着する前の熱
融着性繊維の表面積は、繊維径として、熱融着していな
い箇所の繊維径を利用して算出することができる。
【0047】本発明の不織布は、繊維同士が実質的に繊
維の融着のみによって固定されているのが好ましい。こ
のように繊維の融着のみによって固定されていることに
よって、地合いが優れているためである。例えば、融着
以外に絡合によっても繊維同士が固定されていると、繊
維同士を絡合させるための作用(例えば、水流などの流
体流、ニードルなど)によって、不織布の表面から裏面
への貫通孔が形成されて地合いが悪化する傾向がある
が、融着のみによって固定されていると、繊維の配置が
乱れないため地合いが優れている。
【0048】なお、不織布を製造する際に繊維同士が絡
むことがある。例えば、カード機により繊維ウエブを形
成したり、湿式法により繊維ウエブを形成した場合に
は、繊維ウエブの形態をある程度保つことができるた
め、多かれ少なかれ繊維同士が絡合した状態にある。し
かしながら、この絡合は不織布の地合いを乱すものでは
ないため、実質的に絡合していないとみなすことができ
る。このように、「実質的に繊維の融着のみ」とは、繊
維ウエブを形成した後における繊維同士の固定が融着の
みによってなされていることをいう。この状態は別の見
方をすれば、不織布を構成する繊維が、実質的に二次元
的に配置した状態にある。
【0049】本発明の不織布は上述のような繊維から構
成されており、しかも不織布表面よりも不織布内部によ
り多くの酸素含有官能基が存在しているため、液体の吸
液速度が速く、しかも液体の保持性にも優れている。ま
た、繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えた繊維量が多
く、これらポリエチレン系樹脂に酸素含有官能基が存在
していると液体の保持性が長期にわたって持続できるこ
とを見出した。
【0050】この酸素含有官能基としては、例えば、カ
ルボキシル基、カルボニル基、水酸基などを挙げること
ができる。このような酸素含有官能基量は不織布内部の
方が不織布表面よりも多いが、不織布内部における酸素
含有官能基量が不織布表面の酸素含有官能基量の2倍以
上であるのが好ましく、4倍以上であるのがより好まし
い。
【0051】なお、酸素含有官能基は液体の保持性及び
吸液速度が速いように、不織布内部においてX線光電子
分光計により測定された酸素含有官能基(カルボキシル
基、カルボニル基、及び水酸基)(Oi)の炭素原子の
数(C)に対する比(Oi/C)が0.1以上であるの
が好ましく、0.14以上であるのがより好ましく、
0.2以上であるのが更に好ましい。また、不織布表面
においてX線光電子分光計により測定された酸素含有官
能基(カルボキシル基、カルボニル基、及び水酸基)
(Oo)の炭素原子の数(C)に対する比(Oo/C)
が0.01以上であるのが好ましく、0.02以上であ
るのがより好ましく、0.03以上であるのが更に好ま
しい。
【0052】この比(Oi/C)の測定は、不織布をL
1076−1992(織物及び編物のピリング試験方
法)C法(試料ホルダの底面積:約20cm、押圧荷
重:約3.90N、回転数:100回転)により不織布
表面における繊維を除去した後、X線光電子分光計を用
いて次の条件で測定することができる。つまり、X線源
として加速電圧10kV、エミッション電流10mAを
用いて、分析面積6mm(直径)で炭素元素のナロース
キャンを行った後、波形分離を行い、カルボキシル基、
カルボニル基及び水酸基の波形分離を行う。次いで、各
官能基のX線強度を計算し、カルボキシル基の数とカル
ボニル基の数と水酸基の数の総数(Oi)の炭素原子の
数(C)に対する比(Oi/C)を算出する。
【0053】また、比(Oo/C)の測定は次のように
して得られる値をいう。まず、X線光電子分光計を用い
て次の条件で、不織布の比(Ot/C)を測定する。つ
まり、X線源として加速電圧10kV、エミッション電
流10mAを用いて、分析面積6mm(直径)で炭素元
素のナロースキャンを行った後、波形分離を行い、カル
ボキシル基、カルボニル基及び水酸基の波形分離を行
う。次いで、各官能基のX線強度を計算し、カルボキシ
ル基の数とカルボニル基の数と水酸基の数の総数(O
t)の炭素原子の数(C)に対する比(Ot/C)を算
出する。次いで、この比(Ot/C)から前記と同様に
して測定した比(Oi/C)を引いて、比(Oo/C)
を算出することができる。つまり、次の式により得られ
る値をいう。 比(Oo/C)={比(Ot/C)}−{比(Oi/
C)}
【0054】本発明の不織布は地合いが優れているが、
不織布の地合いの指標として、「地合指数」を挙げるこ
とができる。この地合指数の値が0.15以内である
と、地合いが優れており、分離性に優れ、しかも液体を
均一に保持することができる。より好ましい地合指数は
0.10以下である。
【0055】この「地合指数」は特開2001−509
02号公報に開示されている方法により得られる値をい
う。つまり、次のようにして得られる値をいう。 (1)光源から不織布に対して光を照射し、照射された
光のうち、不織布の所定領域において反射された反射光
を受光素子によって受光して輝度情報を取得する。 (2)不織布の所定領域を画像サイズ3mm角、6mm
角、12mm角、24mm角に等分割して、4つの分割
パターンを取得する。 (3)得られた各分割パターン毎に等分割された各区画
の輝度値を輝度情報に基づいて算出する。 (4)各区画の輝度値に基づいて、各分割パターン毎の
輝度平均(X)を算出する。 (5)各分割パターン毎の標準偏差(σ)を求める。 (6)各分割パターン毎の変動係数(CV)を次の式に
より算出する。 変動係数(CV)=(σ/X)×100 ここで、σは各分割パターン毎の標準偏差を示し、Xは
各分割パターン毎の輝度平均を示す。 (7)各画像サイズの対数をX座標、当該画像サイズに
対応する変動係数をY座標とした結果得られる座標群
を、最小二乗法により一次直線に回帰させ、その傾きを
算出し、この傾きの絶対値を地合指数とする。
【0056】本発明の不織布の最大孔径が40μm以下
であるのが好ましく、35μm以下であるのがより好ま
しく、30μm以下であるのが更に好ましい。このよう
な最大孔径であると、地合いが優れており、しかも分離
性に優れている。この「最大孔径」は、ポロメータ(コ
ールター社製)を用いてバブルポイント法により測定し
た値をいう。
【0057】本発明の不織布は最大孔径が平均流量孔径
の2倍以下(より好ましくは1.9倍以下)であるのが
好ましい。このような範囲内にあると、孔径分布が狭
く、液体を均一に保持できる。なお、理想的には最大孔
径が平均流量孔径の1倍、つまり全孔径が同じ大きさで
ある。本発明における「平均流量孔径」はASTM−F
316に規定されている方法により得られる値をいい、
例えば、ポロメータ(Polometer、コールター
(Coulter)社製)を用いてミーンフローポイン
ト法により測定される値である。
【0058】本発明の不織布の空隙率は液体の保持量が
多くなるように、45〜65%であるのが好ましく、5
0〜60%であるのがより好ましい。この「空隙率
(P)」は次の式によって得られる値をいう。 空隙率(P)={1−W/(T×d)}×100 ここで、Wは目付(g/m)を意味し、Tは不織布の
厚さ(μm)を意味し、dは不織布を構成する樹脂(例
えば、繊維)の密度(g/cm)を意味する。なお、
不織布構成樹脂が2種類以上存在している場合、不織布
構成樹脂の密度は各構成樹脂の質量平均をいう。例え
ば、密度dの樹脂Aがa(mass%)と、密度d
の樹脂Bがb(mass%)存在している場合、不織布
構成樹脂の密度は次の式により得られる値をいう。 d=d×a/100+d×b/100
【0059】本発明の不織布は機械的強度が優れている
ように、少なくとも一方向における引張り強さが20N
/5cm幅以上であるのが好ましく、30N/5cm幅
以上であるのがより好ましく、40N/5cm幅以上で
あるのが更に好ましい。この「引張り強さ」は、幅5c
mに裁断した不織布を引張り強さ試験機(オリエンテッ
ク製、テンシロンUTM−III−100)のチャック間
(チャック間距離:10cm)に固定し、引張り速度3
00mm/minで不織布を引張り、不織布を破断する
ために要する力をいう。
【0060】本発明の不織布は分離性に優れているよう
に、ニードル式耐貫通力が500gf以上であるのが好
ましく、600gf以上であるのがより好ましく、70
0gf以上であるのが更に好ましい。
【0061】このニードル式耐貫通力は次のようにして
得られる値をいう。円筒状貫通孔(内径:11mm)を
有する支持台の円筒状貫通孔を覆うように不織布を1枚
載置し、更に不織布上に、円筒状貫通孔(内径:11m
m)を有する固定材を、前記支持台の円筒状貫通孔の中
心と一致するように載置して不織布を固定した後、この
不織布に対して、ハンディー圧縮試験機(カトーテック
製、KES−G5)に取り付けられたニードル(先端部
における曲率半径:0.5mm、直径:1mm、治具か
らの突出長さ:2cm)を、0.01cm/sの速度で
垂直に突き刺し、ニードルが突き抜けるのに要する力を
測定し、この力をニードル式耐貫通力とする。
【0062】本発明の不織布は単位目付あたりの平均ニ
ードル式耐貫通力が14gf以上であるのが好ましく、
15gf以上であるのがより好ましく、16gf以上で
あるのが更に好ましく、18gf以上であるのが最も好
ましい。この値が高いということは、貫通孔がなく、繊
維が均一に分散しており、地合いが優れていることを意
味するためである。なお、「平均ニードル式耐貫通力」
は上述のニードル式耐貫通力の測定を不織布の30箇所
について行って得た値を平均した値を意味し、「単位目
付あたりの平均ニードル式耐貫通力」は上記平均ニード
ル式耐貫通力を目付(g/m)で除した値を意味す
る。
【0063】本発明の不織布の目付は5〜75g/m
であるのが好ましく、より好ましくは10〜60g/m
2である。本発明の不織布の厚さは0.15mm以下であ
るのが好ましく、0.12mm以下であるのがより好ま
しく、0.10mm以下であるのが更に好ましい。本発
明における「厚さ」は、JIS B 7502:199
4に規定されている外側マイクロメーター(0〜25m
m)により測定した厚さをいう。
【0064】本発明の不織布は、例えば、次のようにし
て製造することができる。
【0065】まず、前述のような高強度繊維及び極細繊
維、好ましくは熱融着性繊維を用意する。この際に、不
織布の70mass%を超える量の繊維が繊維表面にポ
リエチレン系樹脂を備えているように用意する。
【0066】次いで、用意した繊維から繊維ウエブを形
成する。この繊維ウエブの形成方法は特に限定するもの
ではないが、乾式法(例えば、カード法、エアレイ法、
スパンボンド法、メルトブロー法など)や湿式法により
形成することができる。これらの中でも緻密な構造を採
ることができ、液体の保持性及び吸液速度の優れる不織
布を製造することのできる、湿式法により形成するのが
好ましい。この湿式法としては、従来公知の方法、例え
ば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方
式、又は長網・円網コンビネーション方式により形成で
きる。
【0067】次いで、この繊維ウエブを構成する繊維を
固定して不織布を製造する。この繊維の固定は熱融着の
みによって実施するのが好ましい。このように熱融着の
みによって固定すると、繊維の配置が乱れないため、地
合いが優れ、分離性に優れ、しかも液体が均一に分布す
ることができる不織布を製造しやすいためである。その
ため、繊維ウエブを構成する繊維(例えば、高強度繊
維、極細繊維、熱融着性繊維)が融着成分を有するのが
好ましい。
【0068】この繊維ウエブの熱融着は、無圧下で行な
っても良いし、加圧下で行なっても良いし、或は無圧下
で融着成分を溶融させた後に加圧(直ちに加圧するのが
好ましい)しても良い。なお、加熱温度はいずれの場合
も、融着成分の軟化温度から融点よりも30℃高い温度
までの範囲内で行なうのが好ましく、加圧する場合の圧
力は必要な機械的強度を有する不織布を形成できる圧力
であれば良く、特に限定するものではない。この圧力は
実験を繰り返すことによって、適宜設定することができ
る。本発明における「軟化温度」は、示差熱量計を用
い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融
解吸熱曲線の開始点を与える温度をいう。
【0069】次いで、不織布表面よりも不織布内部によ
り多くの酸素含有官能基が存在するように、不織布に酸
素含有官能基を導入する。この酸素含有官能基の導入方
法としては、例えば、それぞれが誘電体を担持する一対
の電極で上述のような不織布を挟み込んだ状態で、酸素
含有気体の存在下、大気圧において前記両電極間に交流
電圧を印加して、不織布内部空隙で放電を発生させるこ
とにより導入する方法、を挙げることができる。この放
電を作用させる際に、例えば、印加電圧、誘電体の種
類、放電処理時間、雰囲気湿度、酸素含有気体の種類を
適宜調節することによって、不織布表面及び不織布内部
における酸素含有官能基の存在量を調節することができ
る。
【0070】前記誘電体としては、酸素含有官能基量を
多くできるように、例えば、ガラス、セラミック(例え
ば、アルミナ等)、ゴム(例えば、合成ゴム、例えば、
シリコーンゴム、クロロプレンゴム、若しくはブタジエ
ンゴム、又は天然ゴム等)、又は熱可塑性樹脂(例え
ば、ポリテトラフルオロエチレン若しくはポリエステル
等)などを使用することができる。また、誘電体の厚さ
は、特に限定されるものではないが、0.05〜5mm
程度であることが好ましい。
【0071】酸素含有気体は酸素を含有していれば良
く、特に限定されるものではないが、例えば、空気、酸
素ガス、二酸化炭素ガス、又は一酸化炭素ガスなどを挙
げることができる。これらの中でも、空気は取り扱い易
いため特に好適である。
【0072】放電を発生させるために印加する交流電圧
は、特に限定されるものではないが、酸素含有官能基の
量を多くできるように、0.25KVp以上、好ましく
は0.5KVp以上である(KVpは、交流電圧の最大
値ピークから0までの電圧差を示す)。なお、交流電圧
の上限は不織布を損傷しない電圧であれば良く、特に限
定するものではない。
【0073】また、交流電圧の周波数は酸素含有官能基
量を多くできるように、0.1KHz以上であるのが好
ましく、0.5KHz以上であるのがより好ましく、1
KHz以上であるのが更に好ましい。他方、周波数の上
限は不織布を損傷しない周波数であれば良く、特に限定
するものではないが、100KHz以下であるのが好ま
しく、50KHz以下であるのがより好ましい。
【0074】前記交流の出力は酸素含有官能基の量を多
くできるように、0.1W/cm以上であるのが好ま
しく、0.5W/cm以上であるのがより好ましい。
なお、上限は不織布が損傷しない出力であれば良く、特
に限定するものではない。
【0075】更に印加電圧の波形は、特に限定されるも
のではなく、例えば、正弦波、三角波、矩形波、パルス
波などを挙げることができる。
【0076】なお、放電処理時間は酸素含有官能基量を
多くできるように、2秒以上であるのが好ましく、3秒
以上であるのがより好ましい。また、雰囲気湿度は酸素
含有官能基量を多くできるように、80RH%以下であ
るのが好ましく、70RH%以下であるのがより好まし
い。
【0077】また、不織布の表面における酸素含有官能
基量が不織布内部における酸素含有官能基量よりも多く
ならない範囲内で、上述のような放電処理に加えて、ス
ルホン化処理、フッ素ガス処理、界面活性剤付与、親水
性樹脂付与、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放
電処理、沿面放電処理、或いは電子線照射処理を実施す
ることができる。
【0078】本発明の不織布は例えば上述のようにして
製造することができるが、地合指数が0.15以下であ
る不織布、最大孔径が40μm以下である不織布、或い
は最大孔径が平均流量孔径の2倍以下である不織布は、
不織布を構成する繊維としてフィブリル化していない繊
維を使用したり、繊維長が1〜20mm程度の短い繊維
を使用したり、湿式法により繊維ウエブを形成したり、
融着のみによって繊維同士を固定(絡合処理を施さな
い)するなど、これらを併用することによって製造する
ことができる。
【0079】本発明の空隙率が45〜65%である不織
布は、極細繊維の量を少なくしたり、使用する繊維量を
少なくしたり、融着する場合の圧力を調整して厚さを調
整するなど、これらを併用することによって製造するこ
とができる。
【0080】本発明の少なくとも一方向における引張り
強さが20N/5cm幅以上である不織布は、繊維を抄
き上げるネットの移動速度とスラリー流量とを調節して
繊維の配向が一方向に近い状態としたり、融着の程度を
高くしたり、繊維長を長くするなど、これらを併用する
ことによって製造することができる。
【0081】本発明のニードル式耐貫通力が500gf
以上の不織布、又は単位目付あたりの平均ニードル式耐
貫通力が14gf以上の不織布は、引張り強さの高い高
強度繊維を使用したり、高強度繊維量を多くしたり、高
強度繊維を均一に分散させたり、熱融着性繊維によって
強固に融着したり、熱融着性繊維を溶融させた後直ちに
加圧して融着するなどの諸条件を調節することによって
製造することができる。
【0082】本発明の不織布内部における酸素含有官能
基量が不織布表面における酸素含有官能基量の2倍以上
である不織布、不織布内部における比(Oi/C)が
0.1以上である不織布、不織布表面における比(Oo
/C)が0.01以上である不織布は、例えば、それぞ
れが誘電体を担持する一対の電極で上述のような不織布
を挟み込んだ状態で、酸素含有気体の存在下、大気圧に
おいて前記両電極間に交流電圧を印加して、不織布内部
空隙で放電を発生させることにより導入する際に、印加
電圧、誘電体の種類、放電処理時間、雰囲気湿度、酸素
含有気体の種類を適宜調整したり、前記放電処理とは異
なる放電処理やフッ素ガス処理などを併用することによ
り製造できる。
【0083】本発明の不織布は前述の通り、長期間にわ
たって液体の保持性に優れ、液体の吸液速度が速く、し
かも機械的強度の優れるものであるため、これら物性を
必要とする用途に好適に使用することができる。例え
ば、電池用セパレータ、電気二重層キャパシタ用セパレ
ータ、ワイピング材、印刷用基材などの用途に好適に使
用することができる。
【0084】これらの中でも電池用セパレータとして本
発明の不織布を使用すると顕著な効果を奏する。つま
り、電解液の保持性が長期にわたって優れているため、
電池の寿命を長くすることができる。また、電解液の吸
液速度が速いため、効率よく電池を製造することができ
る。更には、電池製造時に不織布(電池用セパレータ)
にかかる力によって、不織布(セパレータ)が破断しに
くく、また電極の活物質が不織布(セパレータ)を突き
抜けにくいため、安定して電池を製造することができ
る。また、不織布の厚さが薄くても上記作用を奏するた
め、電池の高容量化に寄与できるものである。本発明の
不織布はどのような電池のセパレータとしても使用する
ことができ、例えば、アルカリマンガン電池、水銀電
池、酸化銀電池、空気電池などの一次電池、ニッケル−
カドミウム電池、銀−亜鉛電池、銀−カドミウム電池、
ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池などの二次電
池のセパレータとして使用でき、特に、ニッケル−カド
ミウム電池又はニッケル−水素電池のセパレータとして
好適に使用できる。
【0085】本発明の電池は前述のような不織布をセパ
レータとして使用したものであるため、電池寿命が長
く、しかも効率よく安定して製造できる。なお、本発明
の電池は前述のような不織布をセパレータとして使用し
たこと以外は、従来の電池と全く同様の構造であること
ができる。
【0086】例えば、円筒型ニッケル−水素電池は、ニ
ッケル正極板と水素吸蔵合金負極板とを、前述のような
不織布(セパレータ)を介して渦巻き状に巻回した電極
群を、金属のケースに挿入した構造を有する。前記ニッ
ケル正極板としては、例えば、スポンジ状ニッケル多孔
体に水酸化ニッケル固溶体粉末からなる活物質を充填し
たものを使用することができ、水素吸蔵合金負極板とし
ては、例えば、ニッケルメッキ穿孔鋼板、発泡ニッケ
ル、或いはニッケルネットに、AB系(希土類系)合
金、AB/AB系(Ti/Zr系)合金、或いはAB
(Laves相)系合金を充填したものを使用するこ
とができる。なお、電解液として、例えば、水酸化カリ
ウム/水酸化リチウムの二成分系のもの、或いは水酸化
カリウム/水酸化ナトリウム/水酸化リチウムの三成分
系のものを使用することができる。また、前記ケースは
安全弁を備えた封口板により、絶縁ガスケットを介して
封口されている。更に、正極集電体や絶縁板を備えてお
り、必要であれば負極集電体を備えている。
【0087】本発明の電池としては、例えば、アルカリ
マンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、空気電池などの
一次電池、ニッケル−カドミウム電池、銀−亜鉛電池、
銀−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−
水素電池などの二次電池を挙げることができ、ニッケル
−カドミウム電池又はニッケル−水素電池であるのが好
ましく、密閉型のニッケル−カドミウム電池又はニッケ
ル−水素電池であるのが特に好ましい。なお、電池は円
筒形である必要はなく、角型、ボタン型などであっても
良い。角型又はボタン型の場合には、正極板と負極板と
の間に不織布(セパレータ)が配置された積層構造を有
する。
【0088】以下に、本発明のセパレータの実施例を記
載するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、酸素含有官能基量の測定は前述の方法に
より測定した。
【0089】
【実施例】(実施例1)海島型繊維として、ポリ−L−
乳酸からなる海成分中に、ポリプロピレンからなる島成
分が25個存在する、複合紡糸法により得た繊維(繊
度:1.65dtex、切断繊維長:2mm)を用意し
た。次いで、この海島型繊維を、温度80℃、10ma
ss%水酸化ナトリウム水溶液からなる浴中に30分間
浸漬し、海島型繊維の海成分であるポリ−L−乳酸を除
去して、ポリプロピレン極細繊維(繊維径:2μm、ρ
/d:0.083、融点:172℃、切断繊維長2m
m、密度:0.91g/cm、フィブリル化していな
い、延伸されている、横断面形状:円形、繊維軸方向に
おいて実質的に同じ直径を有する)を得た。
【0090】また、高強度繊維として、ポリプロピレン
を高密度ポリエチレン(融着成分、融点:135℃)で
被覆した、横断面形状が芯鞘型の複合繊維(引張り強
さ:6.8cN/dtex、繊維径:11.0μm、繊
維長:5mm、密度:0.94g/cm、フィブリル
化していない、延伸されている)を用意した。
【0091】次いで、前記ポリプロピレン極細繊維20
mass%と、芯鞘型複合繊維(高強度繊維)80ma
ss%とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法
(水平長網方式)により繊維ウエブを形成した。この繊
維ウエブにおいてポリプロピレン極細繊維は束の状態に
はなく、分散した状態にあった。
【0092】次いで、この繊維ウエブを温度135℃に
設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、
繊維ウエブの乾燥及び前記芯鞘型複合繊維(高強度繊
維)の鞘成分(高密度ポリエチレン)による熱融着を実
施して、実質的に一層構造からなる融着不織布を形成し
た。
【0093】次いで、この融着不織布を図1に示すよう
な放電処理装置のベルト状誘電体2a、2b間に前記融
着不織布5を6m/min.の速度で供給(放電処理時
間:5秒)し、前記ベルト状誘電体2a、2bにより融
着不織布5を挟持した状態で、大気圧下、空気(湿度:
60RH%)の存在下で、両電極1a、1b間に交流電
圧を印加(電圧:24kVp、出力:2.8kW(1.
83W/cm)、周波数:25KHz、波形:正弦
波)し、融着不織布内部で放電を発生させた。
【0094】なお、放電処理装置の具体的な構成は次の
通りであった。 (1)平板状電極1a、1b:流れ方向長さ500m
m、幅1020mm、厚さ35mm、対向表面に厚さ1
00μmのアルミナを溶射したステンレス板を対向して
配置 (2)対向するベルト状誘電体2a、2b:幅1200
mm、厚さ3mmのシリコーンベルト (3)側壁誘電体3a、3b:厚さ5mmのエポキシ樹
脂により、各平板状電極1a、1bの各側壁を完全に被
覆 (4)印加手段:平板状電極1aを高周波電源4と接続
し、平板状電極1bをアース
【0095】次いで、この放電処理した融着不織布にカ
レンダー処理を実施して、一層構造の不織布(目付:4
0g/m、厚さ:0.10mm、見掛総表面積:39
、繊維が実質的に二次元的に配置、不織布の80m
ass%の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を
備えている)を製造した。この不織布内部における比
(Oi/C)は0.20であり、不織布表面における比
(Oo/C)は0.03であった。
【0096】(実施例2)海島型繊維として、ポリ−L
−乳酸からなる海成分中に、高密度ポリエチレンからな
る島成分が25個存在する、複合紡糸法により得た繊維
(繊度:1.68dtex、切断繊維長:2mm)を用
意した。次いで、この海島型繊維を、温度80℃、10
mass%水酸化ナトリウム水溶液からなる浴中に30
分間浸漬し、海島型繊維の海成分であるポリ−L−乳酸
を除去して、高密度ポリエチレン極細繊維(繊維径:2
μm、ρ/d:0.084、融点:135℃、切断繊維
長2mm、密度:0.95g/cm、フィブリル化し
ていない、延伸されている、横断面形状:円形、繊維軸
方向において実質的に同じ直径を有する)を得た。
【0097】また、高強度繊維として、実施例1と同じ
芯鞘型複合繊維を用意した。
【0098】更に、熱融着性繊維として、芯成分(非融
着成分)がポリプロピレン(融点:168℃、密度:
0.91g/cm)からなり、鞘成分(融着成分)が
低密度ポリエチレン(融点:124℃、密度:0.92
g/cm)からなる芯鞘型複合熱融着性繊維(繊度:
1.2dtex、繊維長:5mm、芯成分と鞘成分との
質量比率は1:1、フィブリル化していない、延伸され
ている)を用意した。
【0099】次いで、前記高密度ポリエチレン極細繊維
20mass%と、芯鞘型複合繊維(高強度繊維)30
mass%と、芯鞘型複合熱融着性繊維50mass%
とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長
網方式)により繊維ウエブを形成した。この繊維ウエブ
において高密度ポリエチレン極細繊維は束の状態にはな
く、分散した状態にあった。
【0100】次いで、この繊維ウエブを温度124℃に
設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、
繊維ウエブの乾燥及び前記芯鞘型複合熱融着性繊維の鞘
成分(低密度ポリエチレン)による熱融着を実施して、
実質的に一層構造からなる融着不織布を形成した。
【0101】次いで、実施例1と同様に放電処理及びカ
レンダー処理を実施して、一層構造の不織布(目付:4
0g/m、厚さ:0.10mm、見掛総表面積:35
、繊維が実質的に二次元的に配置、不織布の100
mass%の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂
を備えている)を製造した。この不織布内部における比
(Oi/C)は0.23であり、不織布表面における比
(Oo/C)は0.05であった。
【0102】(実施例3)海島型繊維として、ポリ−L
−乳酸からなる海成分中に、高密度ポリエチレンとポリ
プロピレンとからなる島成分が25個存在する、複合紡
糸法により得た繊維(繊度:1.66dtex、切断繊
維長:2mm)を用意した。次いで、この海島型繊維
を、温度80℃、10mass%水酸化ナトリウム水溶
液からなる浴中に30分間浸漬し、海島型繊維の海成分
であるポリ−L−乳酸を除去して、高密度ポリエチレン
−ポリプロピレン複合極細繊維(繊維径:2μm、横断
面形状:海島状、ρ/d:0.083、高密度ポリエチ
レンの融点:135℃、切断繊維長2mm、密度:0.
94g/cm、フィブリル化していない、延伸されて
いる、横断面形状:円形、繊維軸方向において実質的に
同じ直径を有する)を得た。
【0103】また、高強度繊維として、ポリプロピレン
からなる繊維(引張り強さ:10.7cN/dtex、
繊維径:13.7μm、繊維長:10mm、密度:0.
91g/cm、フィブリル化していない、延伸されて
いる)を用意した。
【0104】更に、熱融着性繊維として、芯成分(非融
着成分)がポリプロピレン(融点:168℃、密度:
0.91g/cm)からなり、鞘成分(融着成分)が
高密度ポリエチレン(融点:135℃、密度:0.95
g/cm)からなる芯鞘型複合熱融着性繊維(繊度:
1.2dtex、繊維長:5mm、芯成分と鞘成分との
質量比率は1:1、フィブリル化していない、延伸され
ている)を用意した。
【0105】次いで、前記高密度ポリエチレン−ポリプ
ロピレン複合極細繊維20mass%と、ポリプロピレ
ン繊維(高強度繊維)20mass%と、芯鞘型複合熱
融着性繊維60mass%とを混合し、分散させたスラ
リーから、湿式法(水平長網方式)により繊維ウエブを
形成した。この繊維ウエブにおいて高密度ポリエチレン
−ポリプロピレン複合極細繊維は束の状態にはなく、分
散した状態にあった。
【0106】次いで、この繊維ウエブを温度135℃に
設定された熱風循環式ドライヤー中に3分間放置して、
繊維ウエブの乾燥及び前記高密度ポリエチレン−ポリプ
ロピレン複合極細繊維及び芯鞘型複合熱融着性繊維の高
密度ポリエチレンを熱融着させて、実質的に一層構造か
らなる融着不織布を形成した。
【0107】次いで、実施例1と同様に放電処理及びカ
レンダー処理を実施して、一層構造の不織布(目付:4
0g/m、厚さ:0.10mm、見掛総表面積:36
、繊維が実質的に二次元的に配置、不織布の80m
ass%の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を
備えている)を製造した。この不織布内部における比
(Oi/C)は0.22であり、不織布表面における比
(Oo/C)は0.04であった。
【0108】(比較例1)極細繊維として、実施例1と
同じポリプロピレン極細繊維を20mass%使用した
こと以外は、実施例3と全く同様にして、一層構造の不
織布(目付:40g/m、厚さ:0.10mm、見掛
総表面積:37m、繊維が実質的に二次元的に配置、
不織布の60mass%の量の繊維が繊維表面にポリエ
チレン系樹脂を備えている)を製造した。この不織布内
部における比(Oi/C)は0.14であり、不織布表
面における比(Oo/C)は0.01であった。
【0109】(比較例2)極細繊維として、実施例1と
同じポリプロピレン極細繊維を用意し、熱融着性繊維と
して、実施例3と同じ芯鞘型複合熱融着性繊維を用意し
た。
【0110】次いで、前記ポリプロピレン極細繊維20
mass%と、芯鞘型複合熱融着性繊維80mass%
とを混合し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長
網方式)により繊維ウエブを形成した。この繊維ウエブ
においてポリプロピレン極細繊維は束の状態にはなく、
分散した状態にあった。
【0111】次いで、実施例3と同様に融着不織布を形
成し、放電処理を実施した後、カレンダー処理を実施し
て、一層構造の不織布(目付:40g/m、厚さ:
0.10mm、見掛総表面積:37m、繊維が実質的
に二次元的に配置、不織布の80mass%の量の繊維
が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えている)を製造
した。この不織布内部における比(Oi/C)は0.1
7であり、不織布表面における比(Oo/C)は0.0
2であった。
【0112】(比較例3)高強度繊維として、実施例1
と同じ芯鞘型複合繊維を用意し、熱融着性繊維として、
実施例3と同じ芯鞘型複合熱融着性繊維を用意した。
【0113】次いで、前記芯鞘型複合繊維40mass
%と、芯鞘型複合熱融着性繊維60mass%とを混合
し、分散させたスラリーから、湿式法(水平長網方式)
により繊維ウエブを形成した後、実施例3と同様に融着
不織布を形成し、放電処理を実施した後、カレンダー処
理を実施して、一層構造の不織布(目付:40g/
、厚さ:0.10mm、見掛総表面積:25m
繊維が実質的に二次元的に配置、不織布の100mas
s%の量の繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備え
ている)を製造した。この不織布内部における比(Oi
/C)は0.19であり、不織布表面における比(Oo
/C)は0.03であった。
【0114】(比較例4)実施例1と全く同様にして製
造した、実質的に一層構造からなる融着不織布に対して
放電処理を実施した後、カレンダー処理を実施して、一
層構造の不織布(目付:40g/m、厚さ:0.10
mm、見掛総表面積:39m、繊維が実質的に二次元
的に配置、不織布の80mass%の量の繊維が繊維表
面にポリエチレン系樹脂を備えている)を製造した。こ
の不織布内部における比(Oi/C)は0.01であ
り、不織布表面における比(Oo/C)は0.16であ
った。なお、放電処理は次の条件で実施した。 出力:1000W 電極:幅110cm×2cmの電極を電極間のギャップ
が2mmとなるように、融着不織布の上下に2本配置 放電処理テンポ:4m/min. 湿度:60RH%
【0115】(地合指数の測定)各不織布の地合指数を
次のようにして測定した。 (1)光源から不織布に対して光を照射し、照射された
光のうち、不織布の所定領域において反射された反射光
を受光素子によって受光して輝度情報を取得した。 (2)不織布の所定領域を画像サイズ3mm角、6mm
角、12mm角、24mm角に等分割して、4つの分割
パターンを取得した。 (3)得られた各分割パターン毎に等分割された各区画
の輝度値を輝度情報に基づいて算出した。 (4)各区画の輝度値に基づいて、各分割パターン毎の
輝度平均(X)を算出した。 (5)各分割パターン毎の標準偏差(σ)を求めた。 (6)各分割パターン毎の変動係数(CV)を次の式に
より算出した。 変動係数(CV)=(σ/X)×100 ここで、σは各分割パターン毎の標準偏差を示し、Xは
各分割パターン毎の輝度平均を示す。 (7)各画像サイズの対数をX座標、当該画像サイズに
対応する変動係数をY座標とした結果得られる座標群
を、最小二乗法により一次直線に回帰させ、その傾きを
算出し、この傾きの絶対値を地合指数とした。なお、地
合指数は数字が小さいほど、繊維が均一に分散している
ことを意味する。
【0116】この結果は表1に示す通りであった。この
表1から明らかなように、本発明の不織布は地合が非常
に優れるものであった。
【0117】
【表1】 #1:A・・ポリプロピレン極細繊維 B・・高密度ポリエチレン極細繊維 C・・高密度ポリエチレン−ポリプロピレン複合極細繊
維 #2:D・・高密度ポリエチレン−ポリプロピレン芯鞘
型高強度繊維 E・・ポリプロピレン高強度繊維 #3:F・・高密度ポリエチレン−ポリプロピレン芯鞘
型複合熱融着性繊維 G・・低密度ポリエチレン−ポリプロピレン芯鞘型複合
熱融着性繊維 #4:比(最大孔径/平均流量孔径) #5:括弧内の値は単位目付あたりの平均ニードル式耐
貫通力 #6:不織布内部における酸素含有官能基の炭素に対す
る比 #7:不織布表面における酸素含有官能基の炭素に対す
る比
【0118】(最大孔径の測定)各不織布の最大孔径
を、ポロメータ(コールター社製)を用いてバブルポイ
ント法により測定した。この値は表1に示す通りであっ
た。この表1から明らかなように、最大孔径が小さく地
合いが均一であるため、分離性の優れる不織布であるこ
とが予測された。
【0119】(比(最大孔径/平均流量孔径)の測定)
各不織布の平均流量孔径を、ポロメータ(Polome
ter、コールター(Coulter)社製)を用いて
ミーンフローポイント法により測定した。
【0120】次いで、前述のようにして得られた最大孔
径を平均流量孔径で除して、比(最大孔径/平均流量孔
径)を算出した。この結果は表1に示す通りであった。
表1から明らかなように、本発明の不織布はこの比が小
さく、液体を均一に分散した状態で保持できるものであ
った。
【0121】(空隙率の測定)まず、各不織布の目付
(W)及び厚さ(T)を測定した。
【0122】次いで、不織布構成繊維の密度(d)を各
構成繊維の密度及び質量比率から算出した。
【0123】次いで、次の式から「空隙率(P)」を算
出した。 空隙率(P)={1−W/(T×d)}×100
【0124】この結果は表1に示す通りであった。この
表1から明らかなように、本発明の不織布は液体の保持
量の多いものであることが予測された。
【0125】(長手方向における引張り強さの測定)幅
5cmに裁断した各不織布を、引張り強さ試験機(オリ
エンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチ
ャック間(チャック間距離:10cm)に固定し、引張
り速度300mm/minで各不織布を長手方向に引張
り、各不織布を破断するために要する力を測定し、この
力を長手方向における引張り強さとした。この結果は表
1に示す通りであった。この表1から明らかであるよう
に、本発明の不織布は機械的強度の優れるものであっ
た。
【0126】(ニードル式耐貫通力)円筒状貫通孔(内
径:11mm)を有する支持台の円筒状貫通孔を覆うよ
うに各不織布を1枚載置し、更に各不織布上に、円筒状
貫通孔(内径:11mm)を有する固定材を、前記支持
台の円筒状貫通孔の中心と一致するように載置して各不
織布を固定した後、この不織布に対して、ハンディー圧
縮試験機(カトーテック製、KES−G5)に取り付け
られたニードル(先端部における曲率半径:0.5m
m、直径:1mm、治具からの突出長さ:2cm)を、
0.01cm/sの速度で垂直に突き刺し、ニードルが
突き抜けるのに要する力を測定し、この力をニードル式
耐貫通力とした。この結果は表1に示す通りであった。
この表1から明らかなように、本発明の不織布は針状の
ものが当接しても繊維がより分けられにくい、分離性の
高いものであった。
【0127】(単位目付あたりの平均ニードル式耐貫通
力)上記ニードル式耐貫通力の測定を各不織布の30箇
所について行って得た値を平均して平均ニードル式耐貫
通力を求めた後、この平均ニードル式耐貫通力を目付
(g/m)で除して、単位目付あたりの平均ニードル
式耐貫通力を算出した。この結果は表1に示す通りであ
った。この表1からも明らかなように、本発明の不織布
は針状のものが当接しても繊維がより分けられにくい、
分離性の高いものであった。
【0128】(加圧保液率の測定)直径30mmに裁断
した各不織布をそれぞれ、温度20℃、相対湿度65%
の状態下で、水分平衡に至らせた後、質量(M)を測
定した。
【0129】次に、不織布中の空気を水酸化カリウム水
溶液で置換するように、比重1.3(20℃)の水酸化
カリウム水溶液中に1時間浸漬し、水酸化カリウム水溶
液を保持させた。
【0130】次に、この不織布を上下3枚づつのろ紙
(直径:30mm)で挟み、加圧ポンプにより、5.7
MPaの圧力を30秒間作用させた後、不織布の質量
(M)を測定した。
【0131】次いで、次の式により加圧保液率を求め
た。なお、この測定は1つの不織布に対して4回行な
い、その平均を加圧保液率とした。この結果は表1に示
す通りであった。この加圧保液率が10%以上である
と、電解液の保持性に優れていると判断することができ
る。 加圧保液率(%)={(M−M)/M}×100
【0132】この表1から明らかなように、本発明の不
織布は液体の保持性に優れるものであった。
【0133】(吸液高さの測定)各不織布を長手方向に
180mm、幅方向に25mmの長方形状に裁断して試
験片を作成した。次いで、各試験片の長手方向における
一方の端部から5mm上方までの領域を水酸化カリウム
溶液(1.3d)に浸漬すると共に、各試験片を水酸化
カリウム溶液の液面に対して直角方向に配置した。そし
て、30分間経過後における水酸化カリウム溶液の上昇
した高さを測定した。この測定は温度40℃、湿度80
%の条件下に14日間放置する前後において行なった。
この結果は表1に示す通りであった。この高さが100
mm/30min.以上であれば、吸液速度が速く、吸
液性に優れていると判断することができる。この表1か
ら明らかなように、本発明の不織布は液体の吸液速度が
速く、しかもその能力を長期間にわたって維持できるも
のであることがわかった。
【0134】(電池寿命の測定)各不織布をセパレータ
として用いて、Sub−Cサイズのニッケル水素電池
(電池容量:2000Ah)を作成した。各電池を活性
化させた後、室温で0.2Cで6時間充電し、0.2C
で終止電圧0.8Vまで放電することを1サイクルとし
て繰り返し、初期容量の80%まで容量が低下した時点
に至るまでのサイクル数を求めた。この結果は表1に示
す通りであった。この表1から明らかなように、本発明
の不織布は電池用セパレータとして用いると、電池寿命
を長くできるものであることがわかった。
【0135】
【発明の効果】本発明の不織布は液体の保持性が長期間
にわたって低下しにくいものである。また、液体の吸液
速度が速いものである。更には、機械的強度が優れてい
る。
【0136】本発明の電池は電池寿命の長く、効率的に
安定して製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた放電処理装置の模式的断面図
【符号の説明】
1a、1b 平板状電極 2a、2b ベルト状誘電体 3a、3b 側壁誘電体 4 高周波電源 5 融着不織布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 25/04 H01M 2/16 P 5H028 H01M 2/16 6/04 // H01M 6/04 10/02 10/02 D06M 101:20 D06M 101:20 7/02 A (72)発明者 阿南 厳也 茨城県猿島郡総和町大字北利根7番地 日 本バイリーン株式会社内 Fターム(参考) 4L031 AA14 AB34 BA11 CA01 DA00 4L047 AA14 AA27 AB08 BA21 CB07 CC12 DA00 4L055 AF16 AF17 AF33 AF44 AF47 BE20 EA01 EA04 EA29 FA13 FA30 GA01 GA39 GA50 5H021 CC02 EE04 HH01 HH03 HH06 5H024 AA03 AA04 AA14 DD09 EE09 HH01 HH13 5H028 AA05 EE06 HH01 HH05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張り強さが6cN/dtex以上の高
    強度繊維と、繊維径が4μm以下の極細繊維とを含む不
    織布であり、この不織布の70mass%を超える量の
    繊維が繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えており、し
    かも不織布表面よりも不織布内部により多くの酸素含有
    官能基が存在していることを特徴とする不織布。
  2. 【請求項2】 繊維表面にポリエチレン系樹脂を備えた
    高強度繊維であることを特徴とする、請求項1記載の不
    織布。
  3. 【請求項3】 海島型繊維の海成分を除去して残留した
    島成分からなる極細繊維であることを特徴とする、請求
    項1又は請求項2に記載の不織布。
  4. 【請求項4】 不織布の75mass%以上の繊維が繊
    維表面にポリエチレン系樹脂を備えていることを特徴と
    する、請求項1〜3のいずれかに記載の不織布。
  5. 【請求項5】 電池用のセパレータとして使用すること
    を特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の不織
    布。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の不織布
    をセパレータとして用いていることを特徴とする電池。
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