JP2003242623A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2003242623A
JP2003242623A JP2002360375A JP2002360375A JP2003242623A JP 2003242623 A JP2003242623 A JP 2003242623A JP 2002360375 A JP2002360375 A JP 2002360375A JP 2002360375 A JP2002360375 A JP 2002360375A JP 2003242623 A JP2003242623 A JP 2003242623A
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JP2002360375A
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English (en)
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Masa Nakamura
雅 中村
Takahiro Shimizu
貴宏 清水
Hiroyuki Uwazumi
洋之 上住
Naoki Takizawa
直樹 滝澤
Tadaaki Oikawa
忠昭 及川
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 低ノイズで、充分に高い保磁力を有する磁気
記録媒体を提供する。 【解決手段】 磁性層4が、六方最密充填構造を有する
強磁性結晶粒子と、強磁性結晶粒子間に介在する酸化物
等の非磁性粒界とから構成されるグラニュラ構造を有
し、下地層2が、体心立方格子構造を有し、磁性層と下
地層との間に、Ru、Os、Reの少なくとも1つの元
素を主成分とする六方最密充填構造を有する非磁性中間
層3を備え、磁性層を構成する結晶粒子の結晶面間隔
(d)と非磁性中間層を構成する結晶粒子の結晶面間
隔(d)の不整合度(Δ=|d−d|/d)が
10%以内とし、非磁性中間層を構成する結晶粒子のう
ち、粒径8nm以上の結晶粒子が10%以下であり、か
つ、粒径の標準偏差値が1.4nm以下である構成と
し、これらの成膜前に基板1を事前加熱することなく成
膜することとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に関
し、より詳細には、パソコンなどの外部記憶装置をはじ
めとする各種磁気記録装置に搭載する、低ノイズで、か
つ、充分に高い保磁力を有する高性能かつ高信頼性の磁
気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会を支える情報の記
録装置の一つに磁気記憶装置があり、情報の大量化に伴
って、磁気記憶装置に用いられる磁気記録媒体には記録
密度の向上と低ノイズ化が要求されている。高記録密度
を実現するためには、磁化反転が生じる単位を小さくし
なければならず、そのためには、磁性粒子のサイズを微
細化することが必要である。また、ノイズを低減するた
めには、磁性粒子のサイズの微細化と同時に、磁気的な
粒子間相互作用による磁化の揺らぎを低減することが重
要である。従来の、磁性層にCoCrPt合金を用いた
媒体では、低ノイズ化において、粒界へ充分なCrを偏
析させるために、多量のCrを添加するが、そうした場
合、磁性粒子自体の磁気異方性Ku値の低下を招き、媒
体としての熱安定性が劣化してしまう。また、この磁気
異方性Ku値を向上させるために、Pt添加量を増大さ
せると、逆にCrの粒界への偏析を阻害させその結果、
媒体ノイズが増大してしまうというトレードオフの関係
がある。
【0003】これらの課題を解決するために、様々な磁
性層組成や構造、及び、種々の非磁性下地層やシード層
の材料等が提案されており、特に、一般にグラニュラ磁
性層と呼ばれる、酸化物や窒化物等の非磁性マトリクス
に囲まれた磁性結晶粒子構造を有する媒体が提案されて
いる。グラニュラ媒体は、磁性粒子間が非磁性物質の介
在によりほぼ完全に磁気的に絶縁されており、個々の粒
子(4〜10nm程度)が最小の磁化単位となり、少な
くともこの程度のサイズまでの微小な高密度記録が可能
となるのみならず、非磁性マトリクスの包囲による粒子
間交換相互作用の抑制も期待できる。更に、このグラニ
ュラ磁性層の特徴として、従来のCoCrPt系磁性層
とは違い、粒界への偏析を担うのは主にSi酸化物であ
ることから、Crを多量に添加する必要がなくなること
である。このことは、グラニュラ磁性層においては、粒
界へは強制的にSi酸化物が析出されるために、磁気異
方性Ku値の低下を招くことなく偏析を促進させ、低ノ
イズ化との両立がきることを意味している。また今後
は、より高記録密度化が求められるが、その為には磁性
層膜厚の薄膜化が必要不可欠である。この磁性層の薄膜
化は磁気エネルギーKuV(Ku:磁気異方性、V:活性
化体積)の低下を招く。そこで、この磁気エネルギーの
低下を抑制するために、磁気異方性Ku値を増大させる
ことが必要不可欠となることから、磁性層組成により多
くのPtを添加する必要がある。しかしながら、従来の
CoCrPt系磁性層では、多量のPt添加は、Crの
粒界への偏析を阻害させ、ノイズ増大を招くが、グラニ
ュラ磁性層では、多量のPtを添加しても、Si酸化物
が容易に粒界へ偏析されるために、粒の孤立化を維持し
ながら、Pt量を増やせるというメリットがある。
【0004】例えば、SiO等の酸化物が添加された
CoNiPtターゲットを用いてRFスパッタリング成
膜を行なうことで、各々の磁性結晶粒が非磁性の酸化物
で囲まれて個々に分離した構造を持つグラニュラ記録膜
が形成でき、低ノイズ化が実現されることが報告されて
いる(特許文献1参照)。このようなグラニュラ磁性膜
は、非磁性非金属の粒界相が磁性粒子を物理的に分離す
るため、磁性粒子間の磁気的な相互作用が低下し、記録
ビットの遷移領域に生じるジグザグ磁壁の形成を抑制す
ることにより、低ノイズ特性が得られると考えられてい
る。また、六方最密充填構造を有する磁性層を成膜する
下地として、体心立方構造を有する下地層を予め成膜し
ておくことが報告されており(特許文献2および3参
照)、また、磁性層と下地層との間に非磁性の体心立方
構造を有する中間層を設ける構成の磁気記録媒体につい
ても報告がなされている(特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,679,473号明細書
【特許文献2】特開平11−213371号公報
【特許文献3】特開2000−123445号公報
【特許文献4】特開2000−82210号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】グラニュラ磁性層を用
いて優れた電磁変換特性を有する媒体を実現するために
は、ターゲット中に含まれるSiOのような酸化物等
とCo系合金とを膜中で良好に分離させる必要があり、
かつ、磁性粒子のサイズを均一化してノイズを低減させ
ることが重要である。また、更なる高記録密度化に伴っ
て、グラニュラ磁性層中のPt量を増加させると、磁性
層のCoCrPt合金の格子定数がPt量にのみ比例し
て増大するために、従来のCoCr系中間層では、磁性
層間との格子定数の不整合が増大していき、格子整合性
が劣化することが予想される。
【0007】しかしながら、非磁性非金属の粒界相が磁
性粒子を物理的に分離する構造により低ノイズ化が実現
できたとしても、六方最密構造や体心立方構造を有し、
かつ、磁性層結晶との結晶面間隔の差が比で15%以上
の材料を用いて非磁性の中間層を成膜した場合には、こ
の非磁性中間層と磁性層結晶との間の格子整合性が劣る
ため、非磁性中間層の上に磁性層を成膜することによっ
て磁性層を構成する磁性粒子の粒径サイズを簡易に制御
することには限界がある。すなわち、更なる低ノイズの
磁気記録媒体を実現するためには、結晶サイズの微細化
と磁性粒子サイズの均一化とをより高度に制御すること
が求められることとなる。
【0008】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、非磁性中間層の構
造と粒径分布とを制御することにより、その上に設けた
磁性層の構造と結晶粒子の粒径とを制御して低ノイズ化
を実現するとともに、磁性膜の結晶粒子間の距離を制御
することにより、磁性結晶粒子間の相互作用を低減さ
せ、磁性結晶粒子を小さくした場合でも充分に高い保磁
力を有する磁気記録媒体を提供することにある。本発明
者らが、グラニュラ磁性層の粒径制御による低ノイズ化
について詳細に検討した結果、磁性層を成膜させるに際
しては、結晶構造が磁性層の強磁性結晶粒のそれと同じ
六方最密充填構造を有する結晶質の非磁性中間層を設け
ると、この上に成長する磁性層中のCo粒子が、非磁性
中間層の結晶質(結晶粒子)に対応して成長し、非磁性
中間層の結晶粒子粒界多孔質領域或いは非晶質に対応し
て磁性層中酸化物が析出・成長することが判明した。す
なわち、非磁性中間層の結晶粒子サイズを制御すること
により、その上に成長する磁性層の結晶粒子サイズの制
御が可能となり、優れた諸磁気特性が実現できることが
明らかとなった。換言すれば、スパッタ法により作製し
た非磁性中間層の結晶粒子の上に磁性層結晶粒子をエピ
タキシャルに成長させ、その結果、非磁性中間層の結晶
配向性を磁性層に引き継がせることで磁性層の結晶配向
性を制御でき、かつ、磁性層を構成する結晶粒子の周囲
に介在する非晶質相の結晶粒界を形成せしめ、グラニュ
ラ構造の磁性層の結晶状態を制御することが可能となる
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような目的
を達成するために、請求項1に記載の発明は、基板上
に、非磁性の下地層と、磁性層と、保護層と、潤滑剤膜
とを順次成膜して積層された構成の磁気記録媒体におい
て、前記磁性層が、六方最密充填構造を有する強磁性結
晶粒子と、該強磁性結晶粒子間に介在する酸化物等の非
磁性粒界とから構成されるグラニュラ構造を有し、前記
下地層が、体心立方格子構造を有することを特徴とす
る。また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の
磁気記録媒体において、前記磁性層の組成において、含
有されるPt量が12at%以上20at%以下である
ことを特徴とする。
【0010】また、請求項3ないし4に記載の発明は、
請求項1に記載の磁気記録媒体において、前記磁性層と
前記下地層との間に、六方最密充填構造を有する非磁性
中間層を備え、該非磁性中間層が、Ru、Os、Reの
少なくとも1つの元素を主成分とする非磁性金属であ
り、前記磁性層を構成する結晶粒子の結晶面間隔
(d)と前記非磁性中間層を構成する結晶粒子の結晶
面間隔(d)の不整合度(Δ=|d−d|/
)が、10%以内であることを特徴とし、更に好ま
しくは前記不整合度が2.5%以上7.0%以下である
ことを特徴とする。また、請求項5に記載の発明は、請
求項4に記載の磁気記録媒体において、前記非磁性中間
層を構成する結晶粒子のうち、粒径8nm以上の結晶粒
子が10%以下であり、かつ、粒径の標準偏差値が1.
4nm以下であることを特徴とする。ただし、本明細書
における「標準偏差」は不偏分散の平方根である。
【0011】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
乃至5のいずれかに記載の磁気記録媒体において、前記
基板が、成膜前の加熱がなされていないものであること
を特徴とする。更に、請求項7に記載の発明は、請求項
1乃至6のいずれかに記載の磁気記録媒体において、前
記基板は樹脂基板であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の
実施の形態について説明する。 (実施例1)図1は、本発明の磁気記録媒体の構成例を
説明するための図で、基板1の上に、下地層2と、非磁
性中間層3と、磁性層4と、保護層5と、潤滑剤膜6と
が順次積層されて構成されている。ここでは、基板1と
して、3.5″直径の表面が平滑なポリオレフィン樹脂
ディスクを用い、これを洗浄後、スパッタ装置内に導入
してDCスパッタ法により下地層2を成膜させた。この
下地層2は、体心立方格子構造を有する。
【0013】下地層2の上に非磁性中間層3を成膜速度
2.3nm/sec、放電Arガス圧30mTorrの
条件下でDCスパッタ法により20nm形成した。これ
に続いて、SiOを10mol%添加したCoCrP
tターゲットを用い、RFスパッタ法により放電Arガ
ス圧15mTorrの条件下でグラニュラの磁性層4を
層厚10nmで形成した。Co,Cr,Ptの組成比は
表1に示す各種組成比を用いている。次いで、カーボン
の保護層5を8nm積層した後、スパッタ装置内の真空
中から取り出し、液体潤滑剤を塗布して潤滑剤膜6を
1.5nm形成した。ここで、非磁性中間層3の組成
は、Ti・30at%Cr、Co・35at%Cr、O
s、Re、又はRuとした。なお、非磁性中間層3の成
膜に先立つ基板1の加熱は行っていない。
【0014】このようにして作製した磁気記録媒体の保
磁力Hcを振動試料型磁力計VSMにより測定し、記録
再生特性をGMRヘッドを用いてスピンスタンドテスタ
ーで測定した。線記録密度270kFCIにおける対信
号雑音比SNRを評価した。いくつかの測定結果を表1
に示す。
【0015】
【表1】 中間層がTiCrの場合は、不整合度は12%以上と非
常に大きく、そのため磁性層と中間層間のエピタキシャ
ル成長が阻害されており、粒径とそのバラツキが大きい
ので、Hc及びSNRの特性はRu及びRe中間層の場
合と比べて劣る。またCoCr合金の場合は、不整合度
はRu及びRe中間層よりも小さいが、成膜プロセスに
よる粒径の微細化が困難であることから、結果として磁
性結晶粒が大きく、その結果SNRはRu及びRe中間
層の場合に比べて大きく劣る。非磁性中間層3を構成す
る結晶粒子の結晶面間隔(d)と磁性層4を構成する
結晶粒子の結晶面間隔(d)の不整合度(Δ=|d
−d|/d)が、10%以内、さらに好ましくは
2.5%以上7.0%以内であるRe、Os、Ruから
なる六方最密充填構造を有する非磁性中間層において、
HcやSNRが大きく向上することが確認された。 (実施例2)本実施例では、図1に示した非磁性中間層
の結晶粒径制御のための下地層をスパッタ法で成膜し、
その上に非磁性中間層を成膜した。中間層材料はRuに
限定した。成膜速度は2.3nm/secと1.1nm
/secの2種類実施した。その他の成膜条件等は、実
施例1で説明した条件と同様である。
【0016】非磁性中間層の材料としてはRuを用い、
DCスパッタ法により成膜速度2.3nm/sec、放
電Arガス圧70mTorrの条件下で20nm成膜し
た非磁性中間層の断面をTEMにより観察した結果、基
板に対して垂直方向に柱状結晶で多孔質な構造が観察さ
れ、この柱状結晶は、成長途中で結晶粒子が大きくなる
などの異常成長することなく結晶成長していることが確
認できた。更に、下地層と非磁性中間層との界面近傍
に、いわゆる「初期成長層」も観察されなかった。ま
た、TEMによる平面観察を行なって結晶粒子サイズを
求めたところ、平均粒径はおよそ6nmであり、結晶粒
子サイズの分布は正規分布をしており、標準偏差は1.
8nmであった。
【0017】また、非磁性中間層を構成する結晶粒子の
微細化を目的に、成膜速度を1.1nm/secに設定
し、放電Arガス圧70mTorrの条件下で層厚20
nmとなるように形成した。このようにして得られた非
磁性中間層を断面TEMにより観察した結果、基板に対
して垂直方向に柱状結晶で多孔質な構造が観察された。
この柱状結晶は、結晶成長途中で結晶粒子が大きくなる
などの異常成長をすることなく成長していることが確認
できた。更に、下地層と非磁性中間層との界面近傍に、
初期成長層も観察されなかった。また、TEMによる平
面観察を行なって結晶粒子サイズを求めたところ、平均
粒径はおよそ5nmであり、結晶粒子サイズの分布は正
規分布をしており、標準偏差は1.4nmであった。
【0018】成膜速度以外の成膜条件を一定にして成膜
した非磁性中間層の結晶構造を面内X線回折法により解
析して、結晶配向性の成膜速度依存性を調べた。その結
果、2θ=18°付近に現れるRuの(002)の強い
ピークに加え、2θ=17°、19°付近にRu(10
0)、Ru(101)の弱いピークが観測された。この
結果を上述のTEM観察の結果と合わせて解析すること
により、RuのC軸が面内に優先的に配向していること
が確認され、成膜速度を制御することにより、結晶配向
性を維持したまま粒径サイズとその分布の制御が可能で
あることが確認できた。 (実施例3)本実施例では、図1に示した非磁性中間層
の結晶粒径制御のための下地層をスパッタ法で成膜し、
その上に非磁性中間層を成膜した。非磁性中間層の材料
にはRuを用い、DCスパッタ法により成膜速度2.3
nm/sec、放電Arガス圧70mTorrの条件下
で層厚が異なる非磁性中間層を形成した。その他の成膜
条件等は、実施例1で説明した条件と同様である。
【0019】膜厚が比較的薄い10nmの非磁性中間層
及び比較的厚い50nmの非磁性中間層とを平面TEM
観察し、その結果を基に画像解析により結晶粒子サイズ
を求めたところ、平均粒径は各々6nmと8nmであっ
た。また、粒子サイズ分布は正規分布をしており、標準
偏差は各々1.4nmと2.2nmであった。なお、こ
れらの非磁性中間層を断面TEM観察したところ、何れ
の膜も柱状構造を有していることが確認され、下地層と
非磁性中間層との界面近傍には初期成長層は観察されな
かった。本実施例では、更に、図1に示した非磁性中間
層の結晶粒径制御のための下地層をスパッタ法で成膜
し、その上に非磁性中間層を成膜した。その他の成膜条
件等は、実施例1で説明した条件と同様である。非磁性
中間層の材料にはRuを用い、DCスパッタ法により成
膜速度2.3nm/sec、膜厚を20nmと固定し、
Arガス圧を上述の70mTorrの0.7倍(49m
Torr)及び1.2倍(84mTorr)に設定して
成膜した。
【0020】このようにして成膜した非磁性中間層を平
面TEM観察し、その結果を基に画像解析により結晶粒
子サイズを求めたところ、平均粒径は各々8nmと5n
mであった。また、粒子サイズ分布は正規分布をしてお
り、標準偏差は各々2.4nmと1.9nmであった。
なお、これらの非磁性中間層を断面TEM観察したとこ
ろ、何れの膜も柱状構造を有していることが確認され、
下地層と非磁性中間層との界面近傍には初期成長層等は
観察されなかった。これらの非磁性中間層の結晶配向性
を面内X線回折法及びTEM観察により解析した結果、
RuのC軸が面内に優先的に配向していることが確認さ
れた。成膜条件による結晶配向性に顕著な差異は認めら
れないものの、非磁性中間層の層厚を厚くすると、結晶
欠陥や結晶成長に起因して結晶粒径のばらつきが増大す
る。また、Arガス圧を低下させると結晶粒径が大きく
なり、かつ、膜も緻密になるために結晶粒間の結晶粒界
領域が狭くなることが確認された。
【0021】このように、非磁性中間層の層厚や成膜時
のArガス圧によって、非磁性中間層を構成する結晶粒
の粒径と構造の制御が可能であることが確認された。な
お、非磁性中間層の層厚が5nm以下の場合には、成膜
装置の構成上安定して成膜することが困難であり、ま
た、100nm以上では成膜に長時間を要することとな
るので製造上の制限がある。 (実施例4)本実施例では、実施例2で説明した条件下
で成膜した非磁性中間層の上に、Co系合金の磁性層を
成膜して磁気記録媒体を作製した。すなわち、非磁性中
間層のRuを成膜速度2.3nm/sec、放電Arガ
ス圧70mTorrの条件下で20nmを形成し、この
上に、SiOを10mol%添加したCo76Cr
12Pt12ターゲットを用い、RFスパッタ法により
放電Arガス圧15mTorr下でグラニュラ磁性層を
10nm成膜した。これに次いで、カーボンの保護膜を
8nm積層した後、真空中から取り出し、その後、液体
潤滑剤を1.5nm塗布して潤滑剤膜を形成し、図1に
示した構成の磁気記録媒体を作製した。なお、これらの
成膜に先立つ基板加熱は行っていない。
【0022】図2は、このようにして得られた磁気記録
媒体の磁性層の構造を平面TEM観察した結果で、磁性
層を構成する磁性結晶粒子は、非磁性相の領域で囲まれ
たグラニュラ構造をしていることが確認できた。また、
粒界近傍を高分解能観察条件で格子像観察した結果か
ら、Co合金結晶粒子は結晶質であり、粒界は非晶質で
あることがわかった。なお、結晶粒子間の平均距離は、
1.1nmであり、その標準偏差は2.0nmであっ
た。更に、結晶粒子サイズを求めたところ、平均粒径で
4.9nmであった。図3は、本実施例の磁気記録媒体
のRu非磁性中間層及び磁性層を構成する結晶粒径分布
を説明するための図で、磁性層を構成する結晶粒径分布
は、粒径4nm付近と8nm付近とにピークがあり、そ
のばらつきを求めると標準偏差÷平均粒径で0.4であ
った。
【0023】図4は、この磁性膜を断面TEM観察した
結果で、非磁性中間層と磁性層との間には結晶格子のつ
ながりが見られ、磁性層を構成する結晶粒子は非磁性中
間層との界面からエピタキシャル成長していることがわ
かる。また、Co合金の結晶質相と粒界の非晶質相とで
は磁性膜の成長機構が異なり、異なる金属組織を有して
いることがわかった。面内X線回折結果より、2θ=1
9°付近にCo(002)の強いピークが観測され、θ
−2θ法によるX線回折結果とTEM観察結果と合わせ
て考えると、Coの(100)が優先的に配向している
ことがわかる。この磁性層の磁気特性を振動試料型磁力
計(VSM)により測定した結果、保磁力が2.9kO
e、M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標
である角形比Sが0.8、保持力角形比Sが0.8で
あり、良好な磁気特性を有していた。このように、角型
に近いヒステリシスを示すのは、非磁性相の粒界領域が
形成されることに起因して磁性層の成長機構が今までと
異なったために、磁性層を構成する磁性結晶粒子間の相
互作用が低減された結果である。 (実施例5)本実施例では、図1に示した非磁性中間層
の結晶粒径制御のための下地層をスパッタ法で成膜し、
その上に非磁性中間層を成膜した。非磁性中間層の材料
にはRuを用い、DCスパッタ法により成膜速度1.1
nm/sec、放電Arガス圧70mTorrの条件下
で層厚が異なる非磁性中間層を成膜した。その他の成膜
条件等は、実施例1で説明したのと同様の条件で磁気記
録媒体を作製している。なお、成膜に先立つ基板加熱は
行っていない。
【0024】このようにして得られた磁性層を平面TE
M観察した結果、磁性層を構成する結晶粒子は非磁性相
の領域で囲まれたグラニュラ構造をしていることが確認
できた。また、高分解能条件下で格子像観察した結果か
ら、Co合金結晶粒子は結晶質であり、粒界は非晶質で
あることがわかった。なお、結晶粒子間の平均距離は
1.5nmで、その標準偏差は1.4nmであった。更
に、結晶粒径を求めたところ、平均粒径で4.0nmで
あった。図5は、本実施例の磁気記録媒体のRu非磁性
中間層及び磁性層を構成する結晶粒径分布を説明するた
めの図で、磁性層を構成する結晶粒径分布は、粒径6n
m付近にピークがあり、そのばらつきを求めると標準偏
差÷平均粒径で0.2であった。
【0025】この膜の断面構造をTEMにより観察した
ところ、非磁性中間層と磁性層との間には、格子のつな
がりが見られ、磁性層を構成する結晶粒子は非磁性中間
層との界面からエピタキシャル成長していることがわか
った。また、磁性層中の結晶相と粒界相とでは、その成
長機構の相違に起因して異なる金属組織を有しているこ
とがわかった。面内X線回折結果より、2θ=19°付
近にCo(002)の強いピークが観測され、θ−2θ
法によるX線回折結果とTEM観察結果と合わせて考え
ると、Coの(100)が優先的に配向していることが
わかる。この磁性層の磁気特性をVSMにより測定した
結果、保磁力が3.5kOe、M−Hループにおけるヒ
ステリシスの角型性の指標である角形比Sが0.9、保
持力角形比Sが0.8であり、良好な磁気特性を有し
ていた。このように、角型に近いヒステリシスを示すの
は、粒径分布が正規分布となったこと、及び、非磁性中
間層の粒界の存在に起因して磁性層の成長機構が今まで
と異なったために、磁性結晶粒子間の相互作用が低減さ
れたことの結果である。 (実施例6)表2は、実施例4と実施例5に示した磁気
特性を有する磁性膜を用いた磁気ディスクの記録再生特
性評価結果を纏めたものである。ここで、記録再生特性
はGMRヘッドを用いてスピンスタンドテスターで測定
した孤立再生波形の再生出力を線記録密度160kFC
Iにて評価したものである。
【0026】
【表2】 実施例5の磁気記録媒体は、実施例4の磁気記録媒体と
比較してノイズが35%小さくなり、SNRは16%向
上した。これは、磁性層の粒径解析結果にあるように、
非磁性中間層の8nm以上の結晶粒径を40%(図3に示
した実施例4のデータ)から10%(図5に示した実施
例5のデータ)に制御させたことにより、磁性層の結晶
粒径4nm以下の粒子を15%から5%に低減でき、更
に、粒径のばらつき(標準偏差÷平均粒径)を0.2に
抑制できたことに起因して、ノイズを大きく低減できS
NR値も大きく向上することが分かった。粒径の標準偏
差が1.4nmである中間層の上に磁性層を積層した実
施例5が優れたノイズ特性を示し、中間層の粒径の標準
偏差は1.4nm以下が好ましいことが示された。
【0027】これは、非磁性中間層に存在する結晶粒径
8nm以上の粒子は、その上に成長する磁性粒子を分離
する特性があり、磁性層の結晶粒径、ばらつき、及び、
金属元素の粒界偏析の制御を困難にする作用があるた
め、非磁性中間層の結晶粒子の粒径8nm以上の割合を
10%以下に低減すると、非磁性中間層の結晶粒子に1
対1に対応した磁性層結晶粒子の割合が増加するためで
ある。更に、この結晶成長では、より緻密な格子整合を
助長し、磁性層と非磁性中間層における上下層界面との
格子整合性が良くなり、また、非磁性中間層の柱状多孔
質構造により偏析構造が促進されるため、良好な電磁変
換特性を得ることができることによる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
磁性層と下地層との間に、Ru、Os、Reの少なくと
も1つの元素を主成分とする六方最密充填構造を有する
非磁性中間層を備え、磁性層を構成する結晶粒子の結晶
面間隔(d)と非磁性中間層を構成する結晶粒子の結
晶面間隔(d)の不整合度(Δ=|d−d|/d
)が、10%以内であるように構成したので、ノイズ
の低減を実現でき、優れた磁気特性と電磁変換特性を有
する磁気記録媒体を提供することが実現できる。さら
に、磁性層の結晶粒子間の距離を制御することにより、
磁性結晶粒子間の相互作用の低減が可能となり、磁性結
晶粒子サイズを小さくした場合においても、室温におい
て充分に高い保磁力を有するため、熱擾乱の影響が少な
く、安定な高密度記録化の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の断面構造を示す模式図
である。
【図2】実施例4の磁気記録媒体の磁性層構造を示す平
面TEM像である。
【図3】実施例4の磁気記録媒体の非磁性中間層と磁性
層の結晶粒径分布を説明するための図である。
【図4】実施例4の磁気記録媒体の非磁性中間層及び磁
性層領域の断面TEM像である。
【図5】実施例5の磁気記録媒体の非磁性中間層と磁性
層の結晶粒径分布を説明するための図である。
【符号の説明】
1 基板 2 下地層 3 非磁性中間層 4 磁性層 5 保護層 6 潤滑剤膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上住 洋之 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 滝澤 直樹 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 及川 忠昭 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BB01 BB02 BB07 BB09 CA01 CA05 CA06 CB01 5D112 AA03 FA04 GA02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、非磁性の下地層と、磁性層
    と、保護層と、潤滑剤膜とを順次成膜して積層された構
    成の磁気記録媒体において、 前記磁性層が、六方最密充填構造を有する強磁性結晶粒
    子と、該強磁性結晶粒子間に介在する酸化物を主とする
    非磁性粒界とから構成されるグラニュラ構造を有し、
    前記下地層が、体心立方格子構造を有することを特徴と
    する磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁性層の組成において、含有される
    Pt量が12at%以上20at%以下であることを特
    徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記磁性層と前記下地層との間に、六方
    最密充填構造を有する非磁性中間層を備え、 該非磁性中間層が、Ru、Os、Reの少なくとも1つ
    の元素を主成分とする非磁性金属であり、 前記磁性層を構成する結晶粒子の結晶面間隔(d)と
    前記非磁性中間層を構成する結晶粒子の結晶面間隔(d
    )の不整合度(Δ=|d−d|/d)が、10
    %以内であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記
    録媒体。
  4. 【請求項4】 前記不整合度が、2.5%以上7.0%
    以下であることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録
    媒体。
  5. 【請求項5】 前記非磁性中間層を構成する結晶粒子の
    うち、粒径8nm以上の結晶粒子が10%以下であり、
    かつ、粒径の標準偏差値が1.4nm以下であることを
    特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記基板が、成膜前の加熱がなされてい
    ないものであることを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れかに記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記基板は樹脂基板であることを特徴と
    する請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気記録媒体。
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