JP2003243732A - 熱電材料、及び、熱電材料の製造方法並びに製造装置 - Google Patents

熱電材料、及び、熱電材料の製造方法並びに製造装置

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JP2003243732A
JP2003243732A JP2002034965A JP2002034965A JP2003243732A JP 2003243732 A JP2003243732 A JP 2003243732A JP 2002034965 A JP2002034965 A JP 2002034965A JP 2002034965 A JP2002034965 A JP 2002034965A JP 2003243732 A JP2003243732 A JP 2003243732A
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temperature
region
thermoelectric material
heater
furnace
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JP2002034965A
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Seijiro Sano
精二郎 佐野
Hiroyuki Mizukami
裕之 水上
Takeshi Kajiwara
健 梶原
Makio Kurisu
牧生 栗栖
Takeshi Nakamoto
剛 中本
Fun Tsuu Gou
フン ツー ゴウ
Yusuke Sedo
佑介 瀬藤
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Komatsu Ltd
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Komatsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温域、特に、300K以下の温度領域にお
いて優れた特性を有する熱電材料及びその製造装置等を
提供する。 【解決手段】 この熱電材料は、(BiXSb1-X2.0
Te3.0+δで表される組成を有し、0.75≦X≦1.
0、且つ、−0.5<δ<0.5、望ましくは、0.2
≦δ≦0.3を満たす。また、この製造装置は、炉と、
炉内の第1の領域を加熱する第1のヒータと、炉内の第
2の領域を加熱する第2のヒータと、第1の領域の温度
を測定する第1の温度測定手段と、第2の領域の温度を
測定する第2の温度測定手段と、第1の領域と第2の領
域との境界部に保持され、原材料が封入される容器と、
第1の領域と第2の領域との境界部における温度勾配及
び降温速度を設定するために、第1及び第2の温度測定
手段の測定値に基づいて第1及び第2のヒータの温度を
制御する制御手段とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱電モジュールに
用いられる熱電材料に関し、さらに、そのような熱電材
料の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】熱エネルギーと電気エネルギーを相互に
変換する熱電モジュールは、トムソン効果、ペルチェ効
果、ゼーベック効果等と呼ばれる熱電効果を利用したP
型及びN型の熱電素子を組み合わせて構成され、熱電対
や電子冷却素子等もこれに該当する。熱電モジュール
は、構造が簡単かつ取扱いが容易で安定な特性を維持で
きることから、広範囲にわたる利用が注目されている。
特に、電子冷却素子としては、局所冷却や室温付近の精
密な温度制御が可能であることから、オプトエレクトロ
ニクス用デバイスや半導体レーザ等の温度調節、並び
に、小型冷蔵庫等への適用に向けて、広く研究開発が進
められている。
【0003】熱電素子の性能を表す性能指数Zは、比抵
抗(抵抗率)ρ、熱伝導率κ、ゼーベック係数(熱電
能)αを用いて、次式で表される。 Z=α2/ρκ ・・・ (1) ここで、ゼーベック係数αは、P型素子においては正の
値をとり、N型素子においては負の値をとる。熱電素子
としては、性能指数Zの大きなものが望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、熱電材料の
性能は温度によって変化し、その製造方法や組成によ
り、性能指数が高くなる温度領域が異なることが知られ
ている。このため、使用環境や使用目的に合わせて材料
の開発が行われている。従来は、工場等からの廃熱を利
用した発電や、小型冷蔵庫等への応用のため、高温域
(500〜800℃)や中温域(50℃付近)につい
て、主に開発が行われてきた。しかしながら、近年、熱
電材料の応用分野が拡がり、中温域よりも低い温度領域
(低温域)において優れた特性を有する熱電材料の開発
が望まれている。
【0005】また、従来、熱電材料等の半導体化合物の
結晶を作製する方法としては、VGF(垂直傾斜凝固)
法等が用いられていた。これらは、アンプル等の容器に
封入された所定の組成を有する原材料を炉内で溶融し、
アンプル又はヒータを垂直方向に移動させることによ
り、アンプルとヒータとの相対的位置を変化させてアン
プルに温度傾斜を生じさせ、溶融した材料を端から徐々
に凝固させる方法である。このように溶融した材料を端
からゆっくり凝固させることにより、不純物濃度が低く
粒径の大きな結晶を成長させることができる。
【0006】同じ組成を有する熱電材料であれば、組織
が多結晶であるよりも単結晶である方が、高い性能指数
を得ることができる。単結晶は比抵抗が小さいため、
(1)式より性能指数が向上するからである。しかしな
がら、従来用いられているVGF方法等によると、良質
な単結晶試料を得ることは困難であった。なぜなら、ア
ンプルに生じている温度傾斜や降温速度を正確に制御す
ることができず、また、アンプル又はヒータを機械的に
移動させるので、微少な振動が生じ易いからである。
【0007】そこで、上記の点に鑑み、本発明は、低温
域において優れた特性を有する熱電材料を提供すること
を目的とする。また、本発明は、そのような熱電材料の
製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用効果】以上の課題
を解決するため、本発明に係る熱電材料は、(BiX
1-X2. 0Te3.0+δで表される組成を有し、0.75
≦X≦1.0、且つ、−0.5<δ<0.5を満たすP
型又はN型の熱電材料である。
【0009】本発明に係る熱電材料によれば、このよう
な組成を有することにより、低温域において高い性能指
数を有する熱電材料が実現できる。
【0010】また、本発明に係る熱電材料の製造方法
は、所定の組成を有する原材料を秤量する工程(a)
と、原材料を溶融する工程(b)と、溶融された原材料
を、温度勾配及び降温速度を制御することにより、一定
の位置において降温して凝固させる工程(c)とを具備
する。
【0011】本発明に係る熱電材料の製造方法によれ
ば、温度勾配及び降温速度を制御しながら降温すること
によって熱電材料の結晶を成長させるので、良質な単結
晶の熱電材料を作製することができる。この際に、不純
物相が生成しても、アンプルの上部に集積するので、純
良な単相の熱電材料となる。
【0012】また、工程(a)が、ビスマス(Bi)、
アンチモン(Sb)、テルル(Te)を、(BiXSb
1-X2.0Te3.0+δで表される組成を有し、0.75≦
X≦1.0、且つ、−0.5<δ<0.5となるように
原材料を秤量することを含んでも良い。このような組成
を有する熱電材料は、低温域において優れた特性を示
す。
【0013】ここで、望ましくは、δは、0.2≦δ≦
0.3とする。これにより、低温域における熱電材料の
性能指数を向上させることができる。
【0014】また、工程(c)が、温度勾配を10〜1
00K/cmの範囲で制御し、降温速度を1〜50K/
hの範囲で制御することを含んでも良い。このように、
温度勾配を急峻に、且つ、降温速度を遅く設定すること
により、良質な単結晶の熱電材料を得ることができる。
【0015】さらに、工程(b)に先立って、工程
(a)において秤量された原材料を溶融し、さらに凝固
させて原材料のインゴットを作製する工程をさらに具備
しても良い。このような工程を付加することにより、固
溶体を形成し、原材料が均一化されると共に、ある程度
不純物を除去することができる。
【0016】本発明に係る熱電材料の製造装置は、炉
と、炉内の第1の領域を加熱する第1のヒータと、炉内
の第2の領域を加熱する第2のヒータと、第1の領域の
温度を測定する第1の温度測定手段と、第2の領域の温
度を測定する第2の温度測定手段と、第1の領域と第2
の領域との境界部に保持され、原材料が封入される容器
と、第1の領域と第2の領域との境界部における温度勾
配及び降温速度を設定するために、第1及び第2の温度
測定手段の測定値に基づいて、第1及び第2のヒータの
温度を制御する制御手段とを具備する。
【0017】本発明に係る熱電材料の製造装置よれば、
第1及び第2のヒータを制御することによって第1の領
域と第2の領域との境界部における温度勾配や降温速度
を設定するので、原材料が封入された容器やヒータを機
械的に移動させることなく結晶を成長させることができ
る。従って、微少な機械的な振動による影響を受けず
に、高い温度勾配や遅い降温速度を実現できるので、純
度の高い良質な単結晶の熱電材料を作製することができ
る。
【0018】上記熱電材料の製造装置は、前記第1のヒ
ータ及び前記第2のヒータから発生する熱を、前記第1
の領域及び前記第2の領域にそれぞれ反射するバッフル
をさらに具備しても良い。これにより、上記第1の領域
と上記第2の領域における熱の相互作用を減らすことが
でき、上記第3の領域における温度勾配や降温速度の制
御性を高めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面に基いて本発明の実施
の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態
に係る熱電材料を使用して作成された熱電モジュールを
示す斜視図である。熱電モジュール1は、低温域(特
に、300Kより低い温度領域)において性能指数が高
くなるP型素子(P型半導体)11及びN型素子(N型
半導体)12を含んでいる。P型素子11及びN型素子
12としては、共に、ビスマス(Bi)−テルル(T
e)系の化合物を用いている。これらの化合物の組成に
ついては、後で詳しく説明する。
【0020】また、熱電モジュール1は、電極13と、
端子14、15と、熱交換基板10、20とを含んでい
る。熱電モジュール1において、P型素子11とN型素
子12とを、電極13を介して接合することにより、P
N素子対が形成されている。本実施形態においては、電
極13として、銅板の電極を用いており、さらに、接合
層や拡散防止層を設けても良い。熱交換基板10、20
は、例えば、セラミック基板やアルミナ基板等の絶縁板
である。熱交換基板10、20は、PN素子対を保持す
ると共に、外部との間で熱交換を行っている。
【0021】このようなPN素子対の一方の端のN型素
子と、他方の端のP型素子には、端子14、15が接続
されている。端子14、15の間に電流を流すことによ
り熱交換基板10及び20に温度差を生じさせることが
できる。また、熱交換基板10及び20に温度差を与え
ると、起電力が発生する。
【0022】P型素子11及びN型素子12は、Bi−
Te系の化合物、即ち、V族元素としてアンチモンやビ
スマスを、VI族元素としてテルルを用いた固溶体によ
って形成されている。V族とVI族の固溶体は、六方晶
構造を有する。
【0023】Bi−Te系の熱電材料は、一般的には次
のように表される。 (BiXSb1-X2Te3.0 ただし、0≦X≦1.
0 本実施形態においては、0.75≦X≦1.0とするこ
とにより、低温域において熱電材料に優れた特性を持た
せている。さらにテルルを過剰に添加することにより、
低温域において優れた特性を有するようになる。正確に
表すと、本実施形態に係る熱電材料は、次のような組成
を有している。 (BiXSb1-X2Te3.0+δ ここで、0.75≦X≦1.0、且つ、−0.5<δ<
0.5である。後で詳しく説明するように、原材料の組
成としては0<δ<0.5の範囲が適しているが、実際
に作製された熱電材料におけるテルルの割合は、秤量さ
れた原材料におけるテルルの割合よりも減少してしまう
場合があるため、このような場合も考慮すると−0.5
<δ<0.5の範囲が好適であるといえる。
【0024】このような組成を有する熱電材料は、単結
晶であることが望ましい。単結晶化することにより、熱
電材料の比抵抗ρが低下し、次式によって決定される性
能指数Zが向上するからである。 Z=α2/ρκ ここで、αはゼーベック係数、κは熱伝導率である。
【0025】次に、本実施形態に係る熱電材料の製造方
法について説明する。図2は、本実施形態に係る熱電材
料の製造方法を示すフローチャートである。ステップS
1において、所定の組成を有する熱電材料の原材料を秤
量して、アンプル内に封入する。
【0026】ステップS2において、ステップS1にお
いて封入された原材料を加熱し、溶融する。次に、ステ
ップS3において、溶融した原材料を凝固させる。この
際、凝固してできたインゴットは、多結晶となってい
る。なお、ステップS2〜S3は、固溶体を形成し、あ
る程度不純物を除去するために行うので、省略すること
も可能である。
【0027】次に、ステップS4〜S5において、GF
(Gradient Freeze:傾斜凝固)法によって単結晶のイ
ンゴットを作製する。GF法とは、位置に応じて温度傾
斜が生じている炉(GF炉)の中で、温度傾斜及び降温
速度を制御しながら溶融された原材料を結晶化する材料
製造方法である。
【0028】ここで、本実施形態において用いられる熱
電材料の製造装置について、図3を参照しながら説明す
る。図3は、本実施形態に係る熱電材料の製造装置を示
す断面図である。この熱電材料の製造装置2は、GF法
によって結晶を成長させるGF炉31を有している。
【0029】図3において、本体30の中央部に位置す
るGF炉31の周囲には、高温側ヒータ32及び低温側
ヒータ33が設けられている。高温側ヒータ32は、G
F炉内の上部(一点鎖線より上の領域)を加熱し、低温
側ヒータ33は、GF炉内の下部(一点鎖線より下の領
域)を加熱している。高温側ヒータ32及び低温側ヒー
タ33がそれぞれ加熱している領域の境界部、即ち、図
3に示す領域Dには、2つのヒータの温度差により、温
度勾配が生じる。
【0030】GF炉31内には、温度測定手段として、
高温側熱電対34及び低温側熱電対35が設けられてい
る。高温側熱電対34は、高温側ヒータ32付近の温度
を測定し、低温側熱電対35は、低温側ヒータ33付近
の温度を測定する。制御部40は、高温側熱電対34及
び低温側熱電対35の測定値に基づいて、高温側ヒータ
32及び低温側ヒータ33を制御する。これにより、領
域Dにおいて10〜100K/cmという急峻な温度勾
配を保つことが可能となり、また、1〜50K/hとい
うゆっくりとした速度で降温することが可能となる。
【0031】アンプルホルダ36は、原材料が封入され
ている容器(アンプル)3を保持する。また、アンプル
ホルダ36にはバッフル37が設けられている。バッフ
ル37は、高温側ヒータ32及び低温側ヒータ33から
発生した熱をそれぞれ反射し、バッフル37の上下にお
ける温度差を保つ。
【0032】アンプルホルダ36の下部には、昇降ジャ
ッキ38が設けられている。昇降ジャッキ38は、アン
プルをGF炉31から出し入れする際にアンプルホルダ
を上下に移動するために用いられる。
【0033】再び、図2を参照すると、ステップS4に
おいて、原材料が封入されているアンプル3を、GF炉
31内の所定の位置に設置する。即ち、アンプル3をア
ンプルホルダ36に取り付け、GF炉31内に、下部か
らアンプル3及びアンプルホルダ36を挿入し、昇降ジ
ャッキ38を駆動してアンプルホルダ36を上昇させ
る。アンプルを所定の位置に固定した後に、高温側ヒー
タ32及び低温側ヒータ33によってGF炉31内の温
度を上昇させ、アンプル内の材料を溶融する。
【0034】次に、ステップS5において、GF炉内の
温度を、所定の温度勾配を保ちながら、所定の速度で降
温することにより、溶融されたアンプル内の材料を凝固
させる。今、高温側ヒータ32を温度TH1に保ち、低
温側ヒータ33を温度TL1に保つと、GF炉31内の
領域Dには、図4の(b)の曲線(1)に示す温度勾配
が生じる。ここで、TMはアンプルに封入されている材
料の融点を示す。このとき、アンプルの内部では、アン
プルの最下部d0から距離d1までの材料が凝固する。次
に、高温側ヒータ32の温度をTH2に、低温側ヒータ
33の温度をTL2にそれぞれ下げると、GF炉31内
の領域Dにおける温度分布は、曲線(1)における温度
勾配を保ちながら、曲線(2)までシフトする。従っ
て、アンプルの内部では、アンプルの最下部d0から距
離d2までの材料が凝固する。このように、炉内の温度
勾配を一定に保ちながら(例えば、40K/cm)、ゆ
っくり(例えば、20K/h)降温する。これにより、
アンプル内の材料は単結晶化される。
【0035】次に、ステップS6において、単結晶のイ
ンゴットを所望の形状にダイシングして熱電材料を作製
する。このようにして作製された熱電材料について、粉
末X線回折によって結晶構造を解析したところ、全て単
相であることが判明した。また、これらの熱電材料は、
劈開性によって単結晶であることが確認された。
【0036】本実施形態によれば、アンプル及びヒータ
の双方を機械的に移動させることなく温度傾斜を制御す
る。従って、アンプル又はヒータを機械的に移動させる
ことによる振動等の影響をなくすことができると共に、
所望の温度勾配及び降温速度を細かく且つ正確に制御す
ることができる。これにより、共晶反応や包晶反応によ
って結晶を成長させることができ、特に、良質の単結晶
を成長させるのに適している。また、溶融された材料中
に生成された不純物相はアンプルの上部に集積するの
で、純度が高い単結晶インゴットを作製することができ
る。特に、包晶反応の場合、成長した結晶と溶液とが完
全に分離されるため、所定の融点を有する単相試料を作
製することができる。
【0037】本実施形態に係る熱電材料について、次の
ように、熱電性能を測定する実験を行った。 (1)基本的な組成を(BiXSb1-X2Te3.0+δ
おいてX=0.9とし、δを0〜0.5の範囲で変化さ
せた。 (2)上記の組成を有する原材料を用い、GF法によっ
て作製した。 (3)作製された熱電材料について、粉末X線回折によ
り単相であることと、劈開性により単結晶であることを
確認した。 (4)作製された熱電材料に対し、比抵抗ρ、ゼーベッ
ク係数(熱電能)Sを4K〜300Kの範囲で測定し
た。熱電特性の評価は、a軸方向について行った。
【0038】この実験の結果を図5に示す。図5の
(a)は、ゼーベック係数Sの温度依存を示している。
横軸は、温度T(K)を示し、縦軸はゼーベック係数S
(μV/K)を示している。なお、ゼーベック係数は、
P型熱電材料においては正の値を取り、N型熱電材料に
おいては負の値を取る。
【0039】曲線A〜Hは、Bi1.8Sb0.2Te3.0+δ
で表される組成において、δを0.0〜0.5の範囲で
変化させた場合における測定結果を表している。ここ
で、この組成によって表される半導体は、添加するテル
ルの増加と共に伝導型がP型からN型に変化する。この
ため、半導体の極性が反転するδ=0.276につい
て、P型及びN型の測定結果が得られた。
【0040】曲線Aに示すδ=0のとき、即ち、テルル
を過剰に添加しないとき、ゼーベック係数は、低温域か
ら室温域に向かって大きくなる傾向を示した。これは、
この組成を有する熱電材料が、低温域におけるよりも室
温域において優れた特性を有することを表している。
【0041】曲線B〜Gに示すように、0<δ<0.5
となる範囲でテルルを過剰に添加した場合に、ゼーベッ
ク係数のピークが低温域に現れた。これは、テルルを過
剰に添加した試料は、低温域において優れた特性を有す
るようになることを表している。さらに望ましくは、
0.2≦δ≦0.3とすることにより、低温域において
高い性能指数を有する熱電材料を得ることができる。
【0042】曲線B〜Dに示すように、伝導型がP型で
ある範囲において、過剰に添加するテルルの量を順に増
やすと、ゼーベック係数のピーク値もそれに従って大き
くなった。そして、半導体の極性が反転するδ=0.2
76の手前で、ゼーベック係数のピーク値は最大となっ
た(図5の(a)において、曲線Cによって表されてい
る)。この実験においては、δ=0.259のときに、
200Kにおいて、ゼーベック係数の測定値+500μ
V/Kが得られた。
【0043】曲線E〜Gに示すように、さらに過剰に添
加するテルルの量を増やすと、半導体の極性がN型に反
転(δ=0.276)した後に、ゼーベック係数(絶対
値)のピークの最大値が得られた(図5の(a)におい
て、曲線Fによって表されている)。この実験において
は、δ=0.3のときに、200Kにおいて、ゼーベッ
ク係数の測定値−400μV/Kが得られた。
【0044】さらにテルルの量を増やすと、ゼーベック
係数(絶対値)のピーク値は小さくなった。そして、曲
線Hに示すように、δ=0.5になると、低温域におけ
るゼーベック係数のピークはなくなり、再び室温域に向
かって大きくなる傾向を示した。これは、添加するテル
ルが多すぎると、低温域におけるよりも室温域において
優れた特性を有するようになることを表している。
【0045】図5の(b)は、出力因子S2/ρの温度
依存を示している。ここで、ρは比抵抗である。横軸
は、温度(K)を表し、縦軸は出力因子S2/ρ(10
-6W/cmK2)を表している。
【0046】ゼーベック係数のピークが最も大きいδ=
0.259(図5の(a)の曲線C)の場合に、図5の
(b)の曲線Cに示すように、出力因子も大きくなって
いる。特に、200Kにおいて、出力因子はピーク値1
00×10-6W/cmK2となっており、これは、従来
報告されている値の約1.5倍である。この値に、Bi
2Te3系の化合物の熱伝導率κ=1.5W/cmKを用
いて性能指数Zを見積もると、200KにおいてZ=
6.6×10-3/Kとなる。即ち、ZT=1.3であ
り、これは、実用される熱電材料として十分な値であ
る。
【0047】以上の実験結果から、(BiXSb1-X
2.0Te3.0+δで表される組成を有する熱電材料につい
て、0<δ<0.5の範囲でテルルを過剰に添加する
と、低温域において優れた特性を有する熱電材料を実現
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る熱電材料を適用した
熱電モジュールを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る熱電材料の製造方法
を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る熱電材料の製造装置
を示す断面図である。
【図4】GF炉内の温度勾配と、アンプル内の熱電材料
との関係を説明するための図である。
【図5】過剰に添加するテルルの量を変えて作製した熱
電材料について、性能指数及び出力因子の温度依存を測
定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 熱電モジュール 2 熱電材料製造装置 3 アンプル 10、20 熱交換基板 11 P型素子 12 N型素子 13 電極 14、15 端子 30 本体 31 GF炉 32 高温側ヒータ 33 低温側ヒータ 34 高温側熱電対 35 低温側熱電対 36 アンプルホルダ 37 バッフル 38 昇降ジャッキ 40 制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 35/32 H01L 35/32 A (72)発明者 梶原 健 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究本部内 (72)発明者 栗栖 牧生 石川県能美郡辰口町字旭台1−50−A14 (72)発明者 中本 剛 石川県能美郡辰口町字旭台1−50−D51 (72)発明者 ゴウ フン ツー 石川県能美郡辰口町字旭台1−8 JAI ST寮7−405 (72)発明者 瀬藤 佑介 石川県能美郡辰口町字倉重34−1 エポッ ク21、703号

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱電材料であって、 (BiXSb1-X2.0Te3.0+δで表される組成を有
    し、0.75≦X≦1.0、且つ、−0.5<δ<0.
    5を満たす、P型又はN型の熱電材料。
  2. 【請求項2】 熱電材料の製造方法であって、 所定の組成を有する原材料を秤量する工程(a)と、 原材料を溶融する工程(b)と、 溶融された原材料を、温度勾配及び降温速度を制御する
    ことにより、一定の位置において降温して凝固させる工
    程(c)と、を具備する製造方法。
  3. 【請求項3】 工程(a)が、ビスマス(Bi)、アン
    チモン(Sb)、テルル(Te)を、(BiXSb1-X
    2.0Te3.0+δで表される組成を有し、0.75≦X≦
    1.0、且つ、−0.5<δ<0.5となるように原材
    料を秤量することを含む、請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 工程(a)が、δが、0.2≦δ≦0.
    3となるように前記原材料を秤量することを含む、請求
    項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 工程(c)が、温度勾配を10〜100
    K/cmの範囲で制御し、降温速度を1〜50K/hの
    範囲で制御することを含む、請求項2〜4のいずれか1
    項記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 工程(b)に先立って、工程(a)にお
    いて秤量された原材料を溶融し、さらに凝固させて原材
    料のインゴットを作製する工程をさらに具備する請求項
    2〜5のいずれか1項記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱電材料の製造装置であって、 炉と、 前記炉内の第1の領域を加熱する第1のヒータと、 前記炉内の第2の領域を加熱する第2のヒータと、 前記第1の領域の温度を測定する第1の温度測定手段
    と、 前記第2の領域の温度を測定する第2の温度測定手段
    と、 前記第1の領域と前記第2の領域との境界部に保持さ
    れ、原材料が封入される容器と、 前記第1の領域と前記第2の領域との境界部における温
    度勾配及び降温速度を設定するために、前記第1及び第
    2の温度測定手段の測定値に基づいて、前記第1及び第
    2のヒータの温度を制御する制御手段と、を具備する製
    造装置。
  8. 【請求項8】 前記第1のヒータ及び前記第2のヒータ
    から発生する熱を、前記第1の領域及び前記第2の領域
    にそれぞれ反射するバッフルをさらに具備する、請求項
    7記載の製造装置。
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