JP2003248002A - マイコバクテリアおよび抗原を検出するための標本の採取および調製の方法および装置 - Google Patents

マイコバクテリアおよび抗原を検出するための標本の採取および調製の方法および装置

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JP2003248002A JP2003005018A JP2003005018A JP2003248002A JP 2003248002 A JP2003248002 A JP 2003248002A JP 2003005018 A JP2003005018 A JP 2003005018A JP 2003005018 A JP2003005018 A JP 2003005018A JP 2003248002 A JP2003248002 A JP 2003248002A
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Becton Dickinson and Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 検体中のマイコバクテリア細胞を実質的に増
殖させずに哺乳動物被験体から採取した生物学的検体中
のマイコバクテリア分泌抗原を直接検出するための方法
および製品を提供すること。 【解決手段】 この方法は、マイコバクテリア分泌抗原
に特異的に結合する抗体を検体またはその一部と、その
抗体が標本中にマイコバクテリア分泌抗原と特異的に結
合するような条件下で接触させ、それによりマイコバク
テリア分泌抗原と抗体との特異的複合体を形成すること
を含む。この方法は、さらに、検体中のマイコバクテリ
ア分泌抗原と抗体との特異的複合体の有無または量を検
出することを含む。この方法では、この特異的複合体の
存在は、検体中のマイコバクテリア分泌抗原の存在を示
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的に、マイコ
バクテリアおよびマイコバクテリア分泌抗原、特にマイ
コバクテリウムボビス(Mycobacterium
bovis)のMPB64抗原またはヒトマイコバクテ
リウムツベルクローシス(M.tuberculosi
s)のMPT64抗原を迅速かつ容易な検出のための、
生物学的検体を処理するための方法と製品に関係する。
【0002】
【従来の技術】マイコバクテリウム属の細菌は、ヒトに
おける相当な死亡率と羅病率の原因である。この属に
は、限定はされないが、マイコバクテリウムアフリカヌ
ム(M.africanum)、マイコバクテリウムア
ビウム(M.avium)、マイコバクテリウムボビ
ス、マイコバクテリウムボビス−BCG(M.bovi
s−BCG)、マイコバクテリウムチェロナエ(M.c
helonae)、マイコバクテリウムフォルツイツム
(M.fortuitum)、マイコバクテリウムゴル
ドナエ(M.gordonae)、マイコバクテリウム
イントラセルラアエ(M.intracellular
e)、マイコバクテリウムカンサイ(M.kansai
i)、マイコバクテリウムミクロチ(M.microt
i)、マイコバクテリウムスクロフラセウム(M.sc
rofulaceum)、マイコバクテリウムパラツベ
ルクローシス(M.paratuberculosi
s)およびマイコバクテリウムツベルクローシスを包含
するいくつかの種が含まれる。これら細菌のあるものは
病気を起こす病原菌である。近年の、マイコバクテリウ
ムツベルクローシスを原因とする結核(TB)の発生率
の増加が特に懸念されている。しかし、結核菌以外のマ
イコバクテリア(MOTT)に起因する感染症も増加し
ている。これらの新しい症例の多くはAIDSの蔓延と
関連し、この蔓延はマイコバクテリアによる感染を特に
受けやすい、免疫作用が上手く働かない集団を形成して
いる。マイコバクテリウムアビウム、マイコバクテリウ
ムカンサイおよび他の非結核性マイコバクテリアは、H
IV感染患者または他の免疫作用が上手く働かない患者
から日和見の病原体として検出されている。結核感染症
は急速に伝染し短期間で死に至る可能性があるので、結
核感染の迅速な鑑別診断の必要性が増している。
【0003】マイコバクテリア種の検出、単離および識
別の従来の方法には、抗酸性染色法、培養法および生化
学的確認法がある。第1に、適切な抗酸性染色で処理さ
れた検体の顕微鏡検査によりマイコバクテリアの存在す
る可能性を決定する。抗酸性桿菌(AFB)の存在は、
マイコバクテリアの存在を示唆する。例えば、痰または
他の適当な臨床検査標本での抗酸性桿菌の発見は、治療
を始めるのに十分な活動性結核症の推定証拠と考えられ
る。
【0004】目視によるマイコバクテリアの初期の検出
の後、標本はさらに処理され、培養されることもある。
増殖した後、マイコバクテリア種存在の同定のために更
なる鑑別検査が適用されるかもしれない。疾病対策セン
ターは、ほぼ90%のマイコバクテリア種の明確な同定
を可能にする一連の18の検査を推奨している。(例え
ば、非特許文献1参照)。
【0005】微生物の培養によるマイコバクテリア感染
症の診断とそれに続く生化学検定による同定は時間がか
かり、従来の培養手段を用いた典型的診断は6週から8
週を要し得る。BACTEC(登録商標)(Becto
n Dickinson Microbiology
Systems,Sparks,Md.)システムのよ
うな自動培養システムは、診断に要する時間を1〜2週
間に減少させ得る。それでもまだ、マイコバクテリア感
染症の診断に要する時間を1週間以内、好ましくは約1
日以内に短縮する必要がある。サザンハイブリダイゼー
ションやドットブロット法などのオリゴヌクレオチドプ
ローブによる検定は、迅速な(すなわち、1日以内)結
果を得ることができる。核酸増幅による臨床検体の直接
検定では、属および種特異的プライマーも使われるかも
しれない。このように、BACTEC(登録商標)、ポ
リメラーゼ連鎖反応(PCR)およびDNAハイブリダ
イゼーションなどの現代技術は結核症の迅速な診断の強
力な手段であるが、結核がいまだに致命的な問題である
国々ではそれらに要する費用を負担するのは容易ではな
い。
【0006】マイコバクテリア疾患を予防し、診断する
ため、各種マイコバクテリア菌の遺伝的関係が鋭意研究
されている。例えば、カルメットゲランワクチン(BC
G)はマイコバクテリウムボビスの試験管内弱毒化によ
り1921年に得られた結核ワクチンの一群に与えられ
た名前である。その後、BCGシードロットは世界的に
配布され、菌株間の表現型および遺伝子型の差異が記述
されている(例えば、非特許文献2参照)。これらの著
者は13菌株に関するイギリスとフランスの履歴録を詳
細に調べ、これらの菌株からDNAを抽出して制限酵素
断片長多型を研究した。IS6110挿入配列型別にお
ける変動性と特定のmpt64遺伝子の存在に基づき、
分子型別により3つの分岐群に決定した。2つの例外を
除き、これらの分岐は1924−26年(IS6110
−2/mpt64+)、1926−31年(IS611
0−1/mpt64+)および1931年以降(IS6
110−1/mpt64)にパスツール研究所から得ら
れた菌株と一致する。
【0007】マイコバクテリア特にマイコバクテリウム
ツベルクローシス検出のための免疫学的手法が知られて
いる。例えば、マイコバクテリウムツベルクローシスの
同定のために用いられた粒子計数免疫検定法(PACI
A)が短期培養の後にマイコバクテリアの生育を検出す
るBACTEC(登録商標)システムと比較されて開示
されている(例えば、非特許文献3参照)。ラテックス
粒子を、ポリクローナル抗BCGまたは37−38kD
aの培養濾液タンパクを特異的に認識すると言われてい
る特異的2A1−2モノクローナル抗体で被覆した。非
放射性ミドルブルック7H9液体培地の入ったボトルと
BACTEC(登録商標)12Bバイアルに、4種の標
準菌株(マイコバクテリウムツベルクローシス、マイコ
バクテリウムカンサイ、マイコバクテリウムアビウムお
よびマイコバクテリウムキセノピ(M.xenop
i))のマイコバクテリアを等量接種した。抗BCGを
用いてPACIA法により、BACTEC(登録商標)
システムより3−6日早くマイコバクテリア抗原を検出
した。マイコバクテリウムツベルクローシスは、2A1
−2を用いて他のマイコバクテリアと区別された。ま
た、17個の臨床検体を研究した。同じ検体10個にお
いて2つの手法でマイコバクテリアが検出され、抗BC
GによるPACIA法では9日後に、BACTEC(登
録商標)システムではその1−5日後に検出された。上
記10個の内9個の検体では2A1−2によるPACI
A法で20日後にマイコバクテリウムツベルクローシス
を検出し、この結果はAccuProbe(登録商標)
(GenProbe、サンディエゴ、カリフォルニア
州)システムで確認された。著者らは、PACIA法が
BACTEC(登録商標)システムより早くマイコバク
テリアの生育を検出し、またマイコバクテリウムツベル
クローシスが特異的モノクローナル抗体によるPACI
A法で他のマイコバクテリアと区別できると結論した。
【0008】免疫学的に特徴付けられているマイコバク
テリアのもう1つの培養濾液タンパクは、マイコバクテ
リウムボビスまたはマイコバクテリウムツベルクローシ
スにおいてそれぞれMPB64またはMPT64と称さ
れている。しかるに、マイコバクテリウムツベルクロー
シスとマイコバクテリウムボビスBCGの一部の菌株の
培養濾液にのみ検出されるMPB64タンパクの遺伝子
のクローニングおよび配列決定が開示されている(例え
ば、非特許文献4参照)。上記遺伝子はエシェリキアコ
リ(Escherichia coli)で発現し、そ
の産物は電気泳動で本来(真)のMPB64タンパクと
類似した移動を示し、また真のタンパクに対して作られ
たポリクローナルおよびモノクローナル抗体に反応し
た。
【0009】MPB64タンパクの免疫学的性質は、追
加の組み換え体作製システムを用いてさらに研究され
た。例えば、マイコバクテリウムツベルクローシスH3
7Rvの非加熱培養濾液に検出される免疫抗原生タンパ
クMPT64の遺伝子(mpt64)のクローニングお
よび配列決定が開示されている(例えば、非特許文献5
参照)。比較により、mpt64とマイコバクテリウム
ボビスBCGトーキョーから分泌された23kDのMP
B64タンパクをコードする遺伝子が、1つのサイレン
ト突然変異を除いて同一であることが示された。ゲノム
マイコバクテリアDNAに関するサザンブロット法によ
る実験は、MPT64がマイコバクテリウムツベルクロ
ーシスの亜種H37Rv、H37Raおよびエルドマン
(Erdman)に存在し、MPB64がマイコバクテ
リウムボビスBCGの亜種トーキョー(Tokyo)、
モレアウ(Moreau)およびルシアン(Russi
an)に存在するが、マイコバクテリウムボビスBCG
の亜種グラクソ(Glaxo)、パスツリア(Past
eur)、カナディアン(Canadian)、チセ
(Tice)とダニッシュ(Danish)1331お
よびマイコバクテリウムレプレ(Mycobacter
ium leprae)はこの遺伝子を欠いていること
を示した。MPT64上のB細胞エピトープをモノクロ
ーナル抗体C24b1、C24b2、C24b3、L2
4b4およびL24b5でマッピングするために、N末
端およびC末端欠失突然変異体を構築した。ウェスタン
ブロット(イムノブロット)分析は、マウス抗体が1個
の一次エピトープと3個の立体エピトープに結合するこ
とを明らかにした。
【0010】マイコバクテリウムツベルクローシスH3
7RvのMPT64をコードする遺伝子がエシェリキア
コリK−12において発現したこと、組み換えタンパク
として精製されたことが開示されている(例えば、非特
許文献6参照)。精製された組み換えMPT64は、マ
イコバクテリウムボビスBCGトーキョーで感作した異
系交配モルモットにおいて遅延型過敏症(DTH)を誘
導した。組み換え体および未変性のMPT64をマイコ
バクテリウムボビスBCG ダニッシュ(Danis
h)1331で感作したモルモットに用いたときは皮膚
反応は認められなかった。重複する合成ペプチドを用い
た研究で、Gly−173とAla−187の間の15
個のアミノ酸残基からなる単独のDTH誘導エピトープ
において生物活性の位置を正確に特定した。デンマーク
およびタンザニアの患者から分離したマイコバクテリウ
ムツベルクローシスの臨床分離株56個のPCRによる
スクリーニングで、すべての菌株にmpt64が存在す
ることが明らかにされた。こうした結果はMPT64が
ヒト結核症の診断に特異的な皮膚試験反応物の候補の可
能性があることを示していると、著者らは述べている。
【0011】新規ベクターを用いてMPB64の構造遺
伝子が挿入されたマイコバクテリウムスメグマチス
(M.smegmatis)MPB64のクローンによ
り、MPB64が生成ならびに分泌されたことが開示さ
れている(例えば、非特許文献7参照)。組み換えMP
B64(rMPB64)に対する抗体を逆粒子ラテック
ス凝集反応(RPLA)試験に用いて、MPB64抗原
を迅速に検出した。RPLA試験を保存培養およびマイ
コバクテリアの臨床的な単離株に適用してTB複合体を
同定した。特に、痰からマイコバクテリアが小川卵培地
で分離され、ミドルブルック7H9培地で1週間継代培
養され、その後RPLA試験で使用された。抗MPB6
4抗体被覆ラテックスビードによるRPLAで、TB複
合体は他のマイコバクテリアから完全に区別された。ポ
リクローナルウサギ抗rMPB64抗体被覆ラテックス
ビードを用いて、RPLAで、1ng/mlのMPB6
4、つまり培地25μl中マイコバクテリウムツベルク
ローシス菌が10個分検出された。著者らは、抗MP
B64抗体を用いるRPLAが結核症を迅速に診断する
新規の簡単で安上がりな方法になろうと示唆した。
【0012】組み換えマイコバクテリアのベクターの開
発が開示されており(例えば、非特許文献8参照)、こ
のベクターは培養濾液に高濃度のコードされたマイコバ
クテリウムツベルクローシスタンパクMPT64を分泌
し、このタンパクは培養濾液から1段工程のアフィニテ
ィークロマトグラフィ手法で単離された。精製されたタ
ンパクはポリクローナルおよびモノクローナルの両方の
抗MPT64抗体で認識された。タンパクのT細胞反応
性はヒト抗rMPB64のT細胞系を刺激する能力で確
認された。マイコバクテリウムスメグマチスの組み換え
MPT64タンパクは、同じアミノ酸配列を持つエシェ
リキアコリrMPB64タンパクよりもマイコバクテリ
ウムツベルクローシスで感作したモルモットに皮膚DT
H反応を引き起こす点で勝っていた。この形のマイコバ
クテリウムツベルクローシス MPT64タンパクの結
核用の皮膚試験試薬としての可能性が議論されている。
【0013】TB患者の抹消血単核細胞(PBMC)な
らびにタンパクの完全配列を含む一群のオーバーラッピ
ングペプチドを用いたマイコバクテリウムツベルクロー
シスのMPT64タンパクの免疫抗原生領域のマッピン
グ方法が開示されている(例えば、非特許文献9参
照)。TB患者の少数(6/32)がMPT64に対し
て抗体反応を示した。このうち半数(3/6)の血清で
一次抗体結合部位が2箇所確認された。
【0014】MPB64抗原をコードする遺伝子は、核
酸解析による臨床検体中のマイコバクテリアの検出にさ
らに用いられた。例えば、臨床上肺結核と診断された患
者からの182個の臨床検体(痰、気管支肺胞洗浄液お
よび胸膜液)および非結核性の肺病変患者および健常者
から採取した72検体が含まれた、mpb64遺伝子の
PCR評価が開示されている(例えば、非特許文献10
参照)。臨床診断された肺結核からの個々の痰検体の5
9%がPCRで陽性であり、一方検体の18%において
マイコバクテリウムツベルクローシスの生育が認められ
た。培養で陽性の痰検体の81.8%においてPCRに
よるマイコバクテリウムツベルクローシスの同定ができ
た。さらに培養ではほとんど陰性であった臨床上疑わし
い患者からの気管支肺胞洗浄(BAL)液の71.4
%、および胸膜液の60.7%でもPCRで陽性であっ
た。著者らは、「MPB64遺伝子のPCRは、特にそ
の領域由来の菌株がIS6110挿入配列のような他の
PCR標的のコピー数が少ない領域において、従来の方
法では感度が低い痰およびBALや胸膜液のような細菌
の少ない検体から肺結核を診断する有用な代替法であ
る」(要約)と述べている。
【0015】Nanba他は、抗MPB64抗体を用い
る培地中のマイコバクテリウムツベルクローシスの同定
方法を開示している(例えば、特許文献1参照)。より
最近では、マイコバクテリウムツベルクローシス複合体
を同定する免疫クロマトグラフィー検定(MPB64−
ICA)が、マイコバクテリア種の20個の基準株と1
11個の臨床単離株により評価されたことが開示されて
いる(例えば、非特許文献11参照)。MPB64−I
CAはマイコバクテリウムツベルクローシス複合体に属
する微生物とは非常に強い反応バンドを示したが、非常
に弱い信号を示したマイコバクテリウムマリナム(M.
marinum)4試験株中の1株およびマイコバクテ
リウムフラベシェンス(M.flavescens)1
株を除いて、マイコバクテリウムツベルクローシス以外
のマイコバクテリア(MOTT桿菌)とは反応バンドを
示さなかった。MPB64−ICAの効果は、2つの液
体培地システム(MB−REDOX,Biotest
AG,Dreieich,GermanyおよびMyc
obacteria Growth Indicato
r Tube(MGIT(登録商標))システム、BB
L BectonDickinson Microbi
ology Systems,Cockeysvill
e,Md.)と組み合わせて試験された。処理した36
2個の痰標本の内合計108個が抗酸性桿菌陽性であっ
た。2つの培養系の1つがマイコバクテリア陽性を示し
た同じ日に培養物から採取した検体を、MPB64−I
CAで検定した。マイコバクテリアを含む108個の培
養物の内、51個はこの検定で陽性シグナルを示し、マ
イコバクテリウムツベルクローシス複合体の存在は後に
マイコバクテリウムツベルクローシス複合体用Accu
Probe(登録商標)核酸検定で実証された。さら
に、MPB64−ICAは、マイコバクテリウムツベル
クローシス複合体とMOTT桿菌の混合培養物中のマイ
コバクテリウムツベルクローシス複合体を正確に検出し
た。著者らによると、これらの結果は、MPB64−I
CAは液体培地に基づく培養系と組み合わせて、臨床検
査室において複雑な実験操作を必要とせずにマイコバク
テリウムツベルクローシス複合体の迅速な同定に容易に
用いることができることを示している。しかし、著者ら
は、「液体培地で生育した新鮮なマイコバクテリウムボ
ビスBCGが評価に用いられる場合は、MPB64−I
CAの解析感度は10CFU/ml(表3)と計算さ
れ、この値はAccuProbe検定(引用せず)と同
定である。したがって、この検査は新鮮な臨床標本に直
接用いるべきではない」(p.3996,c.1)と述
べている。
【0016】Laal他は、マイコバクテリウムツベル
クローシスが分泌した多くのタンパクおよび糖タンパク
抗原が、Mtに感染した患者に臨床症状が現れる前に早
くから抗体が存在することから「早期」Mt抗原として
識別されていることを開示している(例えば、特許文献
2参照)。こうした早期Mt抗原類、Mtのリポアラビ
ノマンナン非含有培養濾液に存在するpIが約5.2の
88kDaの分泌タンパク、特にMt抗原85Cと呼ば
れるタンパクや、Mt抗原MPT51と呼ばれるタンパ
ク、Mt抗原MPT32と呼ばれる糖タンパク、および
pIが約5.1の49kDaタンパクは患者のTBを早
期に迅速に検出する免疫検定法において有用である。
【0017】マイコバクテリアを検出するための生体材
料(痰など)の処理は、マイコバクテリアそのものの精
製よりも、一般的に最初に液状にして細胞性または他の
破片を取り除き、混入微生物を減らすものである。この
ように、マイコバクテリアの検出のためにマイコバクテ
リアを1または複数含んでいることが疑われる生体検体
および無機検体を処理する方法は、こうした検体に必然
的に存在する他の好ましくない微生物の存在により制約
される。しかし、生育の遅いマイコバクテリアを処理し
た検体から培養しようとするときは、処理した検体に存
在する生育の早い他の微生物が急激に成長してマイコバ
クテリアの成長をしのぎ、偽陽性の結果となる可能性が
ある。このような急激な成長は検体中の成長の遅い細
菌、特にマイコバクテリアの検出を遅らせ、または妨害
し得るので問題である。疑われた微生物が患者の検体か
ら培養できない場合に誤診断される可能性があるので、
この問題は、成長の遅いマイコバクテリアの病原菌の培
養において特に懸念される。したがって、他の成長の早
い微生物が多く含まれているかもしれない検体から所望
の微生物、特に病原性マイコバクテリアの選択的回収を
促進する改良された方法が必要である。
【0018】さらに、マイコバクテリウムツベルクロー
シスの培養物を調製するために、約40年間使用されて
きた方法でいまだに痰の検体を処理していることが多い
(例えば、非特許文献12参照)。このような方法およ
び他のマイコバクテリウムツベルクローシス培養物の検
体処理方法は、1)痰検体の粘着性を低下させて扱い易
くし、2)混入微生物(カビおよびマイコバクテリア以
外の菌)を殺してマイコバクテリウムツベルクローシス
との共培養ならびに診断の混乱を防止し、3)種培養用
に検体を濃縮して少量にすることを目的に開発されてき
た。こうした目標を達成するために、マイコバクテリア
菌種の従来の検体調製法は伝統的に過酷な条件および腐
食性、毒性または反応性のある試薬を使用してきた。従
来のマイコバクテリア培養物に関する検体処理手順が再
検討されている(例えば、非特許文献13参照)。
【0019】Kacianは、ジスルフィド結合還元剤
およびDNA消化剤処理による粘液状分泌物の液状化の
改良された方法および組成、ならびに選択された細菌種
をこのような検体から濃縮する改良された方法および組
成を開示している(例えば、特許文献3参照)。さら
に、以下に示すように、Kacianは臨床検体の種々
の微生物検査、特にマイコバクテリアの検査のための各
種処理法の開発史を要約している。Kacianによる
と、1950年代から1960年代初期の研究者は、痰
を含む各種粘液様分泌物の組成が発生源および疾患の過
程の性格によって異なることを認識していた。特に、ム
コイドと分類され感染過程に関連してよく観察されるよ
うな炎症性細胞を欠く痰、ならびにそのような細胞を含
む痰(膿と分類される)の存在が評価された。タンパク
成分とDNAが共に痰の粘の一因となりそうであるとい
うことが示唆され、これを裏付ける証拠が収集された。
特に、DNアーゼおよびプロテアーゼが痰および膿をあ
る程度液状化する活性を持つことが示された。DNアー
ゼは、膿様痰に用いた場合により強い活性を示すよう
で、プロテアーゼはムコイド様に関してより活性が高か
った。
【0020】さらにKacianによると、酵素に加え
て洗剤、塩類、酸化剤および還元剤などの様々な剤が液
状化剤として検討され、多くのもので多かれ少なかれ活
性がみられた。1960年代初期、スルフヒドリル試薬
N−アセチル−L−システイン(「NALC」)の使用
が、現実に膿様およびムコイド様粘液性分泌物の液状化
に対する効果が報告されている(例えば、非特許文献1
4参照)。この試薬は、粘液(ムコイド様標本の粘性の
大半の原因と考えられているタンパク成分)と膿様標本
の粘性に大きく関与するとされていたDNAの両方を液
状化すると主張されていた。この試薬および関連化合物
のジチオトレイトール(Dyeほかによる米国特許
(「‘779特許」、1974年)に開示されている)
(例えば、特許文献4参照)は、従来の手法と比較して
判断されるように各種目的のための多くの粘液様標本の
液状化に優れた効果を発揮した。
【0021】さらに、Dye他は、2%の水酸化ナトリ
ウムと0.1Mのクエン酸ナトリウムの入った0.5%
ジチオトレイトール溶液および対照として0.5%のN
−アセチル−L−システインの入った同液を用いて、臨
床標本中の粘液の液状化のためのジチオトレイトールお
よび関連化合物の使用例を示している(c.2,11.
31−65)。一部の試験で、ジチオトレイトールの濃
度は0.15%に下げられたが、痰の液状化は0.5%
のN−アセチル−L−システインと同等の活性を示し
た。本発明に従い、ジチオトレイトール試薬を使用して
より多くの陽性塗抹標本が得られたが、コロニーの数と
サイズは一般的に大きかった。分離されたマイコバクテ
リアには、薬剤感受性および多薬剤耐性の結核桿菌、マ
イコバクテリウムカンサイおよびバッテー(Batte
y)型の桿菌などが含まれた。Dye他は、ジチオトレ
イトールは希釈水溶液中ではかなり速い酸化作用に感受
性で、そのような使い方をするときは溶液をその都度調
製するか、または酸素の影響を防止するための通常の注
意事項を守りながら、脱気した水で調製して直ちに密封
容器に入れるべきであると指摘している。
【0022】Down他は、従来の培養手法および核酸
分析に適合するマイコバクテリアが含まれている可能性
のある検体の処理方法を開示している(例えば、特許文
献5参照)。Down他の手法によると、通常痰などの
臨床検体を、最初は前記NALC法などの従来の液状化
および除菌(つまりマイコバクテリア以外の菌を殺滅す
る)方法で処理する。従来の培養方法では、NALCペ
レットを固体もしくは液体増殖培地に植菌するために、
1.5−2mlの適当な緩衝液または水に再懸濁する。
核酸分析用に検体を調製するため、ペレットを洗浄して
後の核酸分析を妨害する恐れのある阻害性、腐食性およ
び毒性のある試薬を取り除き、その後熱処理をして核酸
を放出させる。
【0023】痰および他の粘液様または粘着性標本の液
状化に関する困難に加え、このような標本からの細菌の
単離および濃縮が問題となる場合がある。特に、十分な
量のマイコバクテリウム属の細菌を痰標本から単離する
ことは困難である。それは細菌密度が水のそれに近く、
遠心分離が非効率であるからである。Kacian(例
えば、特許文献3参照)は、このような存在の菌に関す
る分析を目的として選択した細菌を粘液標本または他の
生体検体から濃縮する改良された方法をさらに開示して
いる。特に、細菌に関連する白血球を好ましくは遠心分
離で濃縮し、その後細菌が実質的に元の細胞状態を維持
するように選択的に溶解させる。次いで、濃縮された細
菌、例えばマイコバクテリアを、開示されている方法お
よび組成物を用いて濃縮標本中で分析してよい。より最
近では、Kreader他は、粘着性生物学的検体から
細菌を濃縮する方法を開示している(例えば、特許文献
6参照)。この方法では、標本に密度が0.7−0.9
g/mlで沸点が50℃を越える水溶性低密度試薬を添
加することを包含する。
【0024】臨床標本に対するマイコバクテリア以外の
微生物による汚染を抑制するために、培養液に抗細菌お
よび抗真菌の抗生物質混合剤を混入することが知られて
いる。このような抗生剤として、Becton Dic
kinson社製の商品名「PANTA」の名で販売さ
れているものがある。この商品は緑膿菌(Pseudo
monas aeruginosa)およびカンジダト
ロピカリス(Candida tropicalis)
などの細菌による汚染の可能性を減らす。例えば、0.
25%N−アセチル−L−システインおよび1%水酸化
ナトリウム(NALC−NaOH)による呼吸器標本
(n=121)の除菌は、Lowenstein−Je
nsen斜面培地(74%)およびPANTA(ポリミ
キシンB[50U/ml]、アンホテリシンB[5μg
/ml]、ナリジクス酸[20μg/ml]、トリメト
プリム[5μg/ml]、アズロシリン[10μg/m
l])で満たされたBACTEC(登録商標)12Bバ
イアル(36%)のいずれにも高率で起こるシュードモ
ナス菌の過増殖に関することが開示されている(例え
ば、非特許文献15参照)。この過増殖により、マイコ
バクテリアの回収が抗酸性桿菌(AFB)の塗抹検査で
陽性を示す標本の64%(14中9)に制限された。N
ALC−NaOHとそれに続く5%シュウ酸処理による
標本(n=441)の除菌の結果、汚染が起きたのはL
owenstein−Jensen斜面の5%およびB
ACTEC(登録商標)バイアルの3%に過ぎなかっ
た。この除菌手法を使用した場合、AFBは90個のA
FB塗抹試験陽性標本のすべてから回収された。
【0025】Thornton他は、微生物分析のため
に処理された標本の非グラム陰性雑菌を除去する上で特
に有用といわれている、標本の酵素的除菌方法を開示し
ている(例えば、特許文献7参照)。この特許は、所望
であれば、標本または検体を例えば野外またはその標本
または検体を最初に採取した場所において取り扱う前に
溶解酵素による処理が可能で、その後その標本または検
体はさらに処理が必要とされるか可能になるまでの間、
冷凍されるかまたは他の分解防止手段が講じられること
を開示している。この特許は、また、別法として検体を
入れた容器を所望の溶解酵素組成物で被覆するかまたは
容器にその酵素を含めることができることを開示してい
る。検体、特に固体検体をこの発明の溶解酵素組成物の
入った溶液に入れて輸送することは、その後の標本の汚
染または既に標本に付着している外来菌の増殖を防止す
る上で特に有用であるといわれている。例えば、この発
明は、溶解酵素と臨床標本の処理のためのNALCによ
る液状化工程で用いられるNALC溶液とをあらかじめ
混合することが可能であることを示唆している。
【0026】
【特許文献1】特許第11108931号公報
【0027】
【特許文献2】米国特許6,245,331号明細書
【0028】
【特許文献3】米国特許5,364,763号明細書
【0029】
【特許文献4】米国特許3,502,779号明細書
【0030】
【特許文献5】米国特許5,554,503号明細書
【0031】
【特許文献6】米国特許6,126,839号明細書
【0032】
【特許文献7】米国特許5,985,593号明細書
【0033】
【特許文献8】米国特許3,502,779号明細書
【0034】
【非特許文献1】Kubica, G. P., in
The Mycobacteria: A Sour
cebook, Part A (Kubica &W
aync, cds.), pp.133−175,
Marcel Dekkar (New York:
1984)
【0035】
【非特許文献2】Behr, M. A. et a
l., A historical and mole
cular phylogeny of BCG st
rains, Vaccine 17:915−922
(1999)
【0036】
【非特許文献3】Drowart A. et a
l., Detection ofmycobacte
rial antigens present in
short−term culture media
using particle counting i
mmunoassay, Am Rev Respir
Dis 147: 1401−1406 (l99
3)
【0037】
【非特許文献4】Yamaguchi, R. et
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mmunogenic protein MPB64
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【0038】
【非特許文献5】Oettinger, T. et
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pitope mapping of MPT64 f
rom Mycobacterium tubercu
losis H37Rv., Infect. Imm
un. 62:2058−64 (1994)
【0039】
【非特許文献6】Oettinger, T. et
al., Mapping of the delay
ed−type hypersensitivity−
induced epitope of secret
ed proteinMPT64 from Myco
bacterium tuberculosis, I
nfect. Immun. 63:4613−8
(1995)
【0040】
【非特許文献7】Tasaka, H. et a
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92 (1995)
【0041】
【非特許文献8】Roche, P. W. et a
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【0042】
【非特許文献9】Roche, P. W. et a
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s on the Mycobaterium tub
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n MPT64,” Scand. J. Immun
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【0043】
【非特許文献10】Dar, L. et al.,
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【0045】
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【0046】
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nd Wayne, L. eds) Marcel
Dekker, N.Y. (1984), pp.3
15−344
【0047】
【非特許文献14】Webb, J., Thorac
ic & Cardiovascular Sur
g., 44:330−343 (1962)
【0048】
【非特許文献15】Whittier, S. et
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【0049】
【非特許文献16】Wiker, H.G. et a
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6:307−319 (1992)
【0050】
【非特許文献17】Wiker, H.G. et a
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【0051】
【非特許文献18】Wiker, H.G. et a
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【0052】
【非特許文献19】Content, J. et a
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5−3212 (1991)
【0053】
【非特許文献20】Laqueyrerie, A.
et al., Infec.Immun. 63:4
003−4010 (1995)
【0054】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生物
学的検体中のマイコバクテリアおよびマイコバクテリア
分泌抗原、特にマイコバクテリウムボビスのMPB64
抗原またはマイコバクテリウムツベルクローシスのMP
T64抗原を容易に迅速に検出する方法を提供すること
である。
【0055】本発明の他の目的は、マイコバクテリア分
泌抗原、特にMPB64抗原またはMPT64抗原を生
産するマイコバクテリア種による哺乳動物の感染を検出
する方法を提供することであり、この方法では検体中の
マイコバクテリア細胞を実質的に増殖させることなく、
特に時間のかかる従来のマイコバクテリア培養法による
増殖をせずに、被験者の生物学的検体におけるこれらの
抗原のどちらかの存在を検査する。
【0056】本発明のさらに他の目的は、検体中のマイ
コバクテリア細胞を実質的に増殖させることなく被験者
の生物学的検体におけるMPB64抗原またはMPT6
4抗原に関して検査することにより、これらの抗原を生
産するマイコバクテリア種による哺乳動物の感染の検出
を容易にするために、検体採取および処理用の容器およ
び関連試薬からなるキットなどの製品を提供することで
ある。
【0057】本発明のさらに他の目的は、検体の採取、
輸送、処理および検査用の自給式装置を提供することで
あり、これには痰標本などの生物学的検体の液状化およ
び除菌に必要な試薬、ならびにそのような標本に含まれ
るMPB64抗原またはMPT64抗原を、例えば変色
指示薬を用いることにより、例えば単に生物学的検体を
容器に入れることにより、例えば容器に簡単な操作を
二、三加えることにより、容易に検出するために必要な
試薬類がすべて入った容器などがある。
【0058】
【課題を解決するための手段】これらの目的および他の
目的が本発明により示されており、本発明は一部、マイ
コバクテリア分泌抗原、特にMPB64抗原またはMP
T64抗原を、こうした抗原を分泌するマイコバクテリ
ア種に感染した哺乳動物の生物学的検体、特にマイコバ
クテリウムツベルクローシスに感染したヒトの痰などの
臨床標本から、抗原検出前に検体中のマイコバクテリア
細胞を実質的に増殖させずに検出できるという知見に基
づいている。本発明は、また、生物学的検体中のマイコ
バクテリアおよびマイコバクテリア分泌抗原、特にMP
B64抗原またはMPT64抗原の回収と検出感度を向
上させる方法および製品を提供する。
【0059】したがって本発明の一態様は、標本中のマ
イコバクテリア細胞を実質的に増殖させずに哺乳動物か
ら得られた生物学的検体中にマイコバクテリア分泌抗原
を検出する方法に関する。この方法は、マイコバクテリ
ア分泌抗原に特異的に結合する抗体を標本またはその一
部と、その抗体が標本中にマイコバクテリア分泌抗原と
特異的に結合するような条件下で接触させ、それにより
マイコバクテリア分泌抗原と抗体との特異的複合体を形
成することを含む。この方法は、さらに、標本中にマイ
コバクテリア分泌抗原と抗体との特異的複合体の有無ま
たは量を検出することを含む。この方法では、この特異
的複合体の存在は検体中にマイコバクテリア分泌抗原の
存在を示す。
【0060】生物学的検体にマイコバクテリア分泌抗原
が含まれるかを測定するために抗原検定の前に検体中で
1週間以上のマイコバクテリア細胞の培養を必要とする
従来の手法と対照的に、本発明は、生物学的検体が被験
者から得られた後抗原検定までの間に、検体中のマイコ
バクテリア細胞が実質的に増殖を示さない場合において
も、生物学的検体にマイコバクテリア分泌抗原を検出す
る方法を提供する。換言すると、検体採取後抗原検定
前、例えば標本の輸送または保存中、検体中のマイコバ
クテリア細胞が非実質的な増殖を示す場合があるが、本
発明にしたがった生物学的検体中にマイコバクテリア分
泌抗原の検出のためには、マイコバクテリア培地中のマ
イコバクテリア細胞の恣意的培養などによる細胞の実質
的な増殖は必要ない。
【0061】本発明の方法は、結核が疑われるヒトの生
物学的検体、特にそのような被験者の痰検体からMPB
64抗原またはMPT64抗原を検出するために特に有
用である。しかし、本発明の方法は他の粘液様分泌標本
または他の体液その他の検査材料にも適用できる。
【0062】この方法の一実施形態では、検体をMPB
64抗原またはMPT64抗原に特異的に結合する抗体
と接触させる前に、粘液溶解剤または液状化剤、好まし
くはジスルフィド結合還元剤を含む液状化剤を検体に添
加する。好ましいジスルフィド結合還元剤の1つは、N
−アセチル−L−システイン(NALC)および十分な
N−アセチル−L−システイン(NALC)であり、実
質的に従来の痰処理法に用いられる検体中濃度0.25
%(w/v)より高くなるように検体に添加するのが有
利である(例えば、非特許文献13参照)。好ましく
は、検体中濃度が約2.5%(w/v)になるようにN
−アセチル−L−システインを添加する。
【0063】マイコバクテリア分泌抗原を検出する方法
では、マイコバクテリア分泌抗原と特異的に結合する抗
体を固体の基質に固定するのが有利である。好ましく
は、マイコバクテリア分泌抗原と抗体との特異的複合体
の有無または量の検出には、固体基質上の特異的複合体
の存在を示す色を呈する試薬の使用が含まれる。固体基
質に固定された抗体を使用する一実施形態では、検体を
抗体と接触させる前に、マイコバクテリア細胞を検体の
残部から分離するために処理し、その結果マイコバクテ
リア細胞画分とその他の画分が得られる。その後、目視
検査または従来の培養法によりマイコバクテリア細胞の
存在に関してマイコバクテリア細胞画分を検査する。そ
の後、マイコバクテリア分泌抗原に特異的に結合する抗
体を検体の残りの画分と接触させる。
【0064】固体基質に固定した抗体と標本の分画とを
用いた好ましい実施形態では、マイコバクテリア細胞画
分は、標本をマイコバクテリア細胞を保持するがMPB
64抗原またはMPT64抗原などの分泌抗原は保持し
ないフィルタでろ過して調製し、その結果フィルタ上に
保持されたものがマイコバクテリア細胞画分、濾液が残
りの画分となる。その後さらに、抗体を保持する固体基
質は、マイコバクテリア細胞を保持するフィルタを備え
たフィルタスタック中に、メンブランフィルタなどのフ
ィルタを同じ水系に連続して備えることもできる。フィ
ルタスタックは、容器に入れた検体が最初マイコバクテ
リア細胞を保持するフィルタを通過し、次に抗体を保持
するメンブランフィルタを通過するように容器内に設置
してもよい。
【0065】本発明の他の態様は、マイコバクテリア分
泌抗原を生産するマイコバクテリア種による哺乳動物の
感染を、標本内でマイコバクテリア細胞を実質的に増殖
させずにその被験体から採取した生物学的検体にマイコ
バクテリア分泌抗原を検査することにより検出する方法
に関する。この方法は、抗体が検体またはその分画中に
おけるマイコバクテリア分泌抗原と特異的に結合する条
件下で、マイコバクテリア分泌抗原に特異的に結合する
抗体を、検体または分画と接触させることにより、マイ
コバクテリア分泌抗原と抗体との特異的複合体を形成す
ることを含む。この方法はさらに、標本またはその一部
に含まれるマイコバクテリア分泌抗原と抗体との特異的
複合体の有無または量を検出することを含み、この場
合、特異的複合体の存在は被験体のマイコバクテリウム
属菌による感染を示している。この方法では、検体を被
験体から採取した後、抗原抗体複合体の検出が終了する
までの間、検体中のマイコバクテリア細胞は実質的に増
殖しない。この方法による好ましい実施形態において、
マイコバクテリア分泌抗原はMPB64抗原またはMP
T64抗原である。
【0066】他の態様において、本発明は、哺乳動物か
ら採取した生物学的検体において、標本中のMPB64
抗原またはMPT64抗原などのマイコバクテリア分泌
抗原を検出するため被検体を処理する方法に関する。こ
の方法は、抗原を検出する前に液状化剤および任意で除
菌剤を検体に添加し、検体を被験体から採取した後、抗
原の検出が終了するまでの間、検体に存在するマイコバ
クテリア細胞が実質的に増殖しない条件下に検体を保つ
ことが含まれる。好ましくは、除菌剤の添加などにより
汚染細菌細胞も実質的に増殖しない条件下に検体を保
つ。この方法では、液状化剤が十分な量のN−アセチル
−L−システインを含み、検体中の濃度が実質的に0.
25%(w/v)より高くなるようにすることが有利で
ある。実質的に0.25%(w/v)より高い濃度と
は、少なくとも約2倍、好ましくは約4倍、より好まし
くは約8倍の濃度を意味する。さらにより好ましくは、
液状化剤は検体中の濃度が約2.5%(w/v)になる
のに十分な量のN−アセチル−L−システインを含有す
る。液状化剤は、ヌクレアーゼ、特に生物学的検体中の
DNAを切断するDNアーゼを含有することも有利であ
る(例えば、特許文献3参照)。
【0067】本発明によるこの検体処理方法では、検体
標本採取後、検体中のMPB64抗原またはMPT64
抗原などのマイコバクテリア分泌抗原と特異的に結合す
る抗体の有無または量の検出が終了するまでの間、好ま
しくは、検体が実質的に中性に保たれる。このように、
本発明者は、痰標本への例えば従来の「NaOH−NA
LC」液状化手法におけるように1−2%(w/v)の
NaOHの添加は、MPB64抗原またはMPT64抗
原とこれらの抗原と特異的に結合する抗体との反応性を
かなり低下することを発見した。このような従来用いら
れたNaOH濃度による処理は、生物学的検体中のマイ
コバクテリアの生存力も低下させ、それゆえ、続くマイ
コバクテリア抗原または培養で検出される生細胞の試験
の感度を低下させる。「実質的に中性」とは、例えば約
pH4−10の間、好ましくは約pH5−9の間、より
好ましくは約pH6−8の間、さらに好ましくは約pH
6.5−7.5の範囲を意味する。
【0068】本発明による、マイコバクテリア分泌抗原
の検出のための生物学的検体の処理方法には、さらに任
意選択的に、分泌抗原の検出の前に標本に除菌剤を添加
することが含まれる。例えば、除菌剤は、ポリミキシン
B、アンホテリシンB、ナリジクス酸、トリメトプリム
およびアズロシリンをそれぞれ検体中濃度が少なくとも
約50U/ml、5μg/ml、20μg/ml、5μ
g/mlおよび10μg/mlとなるのに十分な量を含
んだ「PANTA」として知られる混合剤などの抗生物
質混合剤を有してもよい。より好ましくは、除菌剤は、
ポリミキシンB、アンホテリシンB、ナリジクス酸、ト
リメトプリムおよびアズロシリンをそれぞれ検体中濃度
が約500U/ml、50μg/ml、200μg/m
l、50μg/mlおよび100μg/mlとなるのに
十分な量を有する。除菌剤は、マイコバクテリア以外の
細胞を選択的に殺すか増殖を阻止する他の抗生物質また
は酵素を有してもよい。
【0069】本発明のさらに他の態様は、容器、液状化
剤および容器と液状化剤を入れる包装材を含む製品に関
する。包装材は、哺乳動物の生物学的検体中でマイコバ
クテリア細胞を実質的に増殖させずに、検体またはその
一部中のMPB64抗原またはMPT64抗原などのマ
イコバクテリア分泌抗原を検出するために、液状化剤と
該検体とを結合するために容器を使用することを記した
ラベルを含む。有利には、この製品中の液状化剤は、固
体形状のN−アセチル−L−システインである。この固
体はさらに任意選択的に除菌剤(例えば、PANTA)
を含む。好ましくは、液状化剤および任意の除菌剤は、
この製品の容器に固体の形で含まれており、容器に入れ
た生物学的検体はこの液状化剤と接触する。例えば、固
体の液状化剤は容器内部表面に塗布する形態でよい。
【0070】好ましくは、本発明の容器は、さらに第1
の固体支持体と第2の固体支持体とを備え、第1の固体
支持体はマイコバクテリア細胞を保持するがMPB64
抗原またはMPT64抗原などのマイコバクテリア分泌
抗原は保持せず、第2の固体支持体にはこの分泌抗原に
特異的に結合する捕獲抗体が固定されている。この実施
形態においては、第1および第2の固体支持体は、容器
に入れた生物学的検体が第1の固体支持体および第2の
支持体に接触するように容器内部に収納されている。第
1の固体支持体は、第1の多孔性基質を備え、第2の固
体支持体は第2の多孔性基質を備えており、第1および
第2の多孔性基質が配置されたところでは、生物学的検
体が容器に入れられると、生物学的検体が第1の多孔性
基質を通過することによって、検体中のマイコバクテリ
ア細胞が第1の多孔性基質に保持され、その後生物学的
検体が第2の多孔性基質を通過することによって、MP
B64抗原またはMPT64抗原など検体中のマイコバ
クテリア分泌抗原が第2の多孔性基質上の捕獲抗体に特
異的に結合する。
【0071】本発明による製品の本実施形態において、
生物学的検体が第1の多孔性基質を通過した後に該基質
を容器から取り外すことによって、第1の多孔性基質に
保持されたマイコバクテリア細胞を基質に付いたまま容
器から取り出せるので有利である。したがって、この取
り外し可能な第1の多孔性基質は、染色および目視検査
または従来の培養検査などの更なる検査のために検体中
のマイコバクテリア細胞を濃縮するのに好都合な方法で
ある。
【0072】本発明によるこの製品には、有利には、さ
らに捕獲抗体に特異的に結合するMPB64抗原または
MPT64抗原などのマイコバクテリア分泌抗原を特異
的に検出する検出試薬が含まれ、その結果第2の多孔性
基質上で検出可能なシグナルを生じる。
【0073】本発明の製品の好ましい実施形態におい
て、容器には、生物学的検体中のMPB64抗原または
MPT64抗原などのマイコバクテリア分泌抗原の検出
に必要なすべての試薬が含まれる。これらの試薬には、
第2の多孔性基質上の捕獲抗体と特異的に結合する抗原
の存在を示す色を生じる試薬が含まれる。この実施形態
において、容器には、容器に入れた生物学的検体中のマ
イコバクテリア分泌抗原の検出に必要なすべての試薬が
含まれていることが上述のラベルによって表示されてい
る。
【0074】
【発明の実施の形態】本発明は、部分的に、マイコバク
テリア分泌抗原、特にMPB64抗原またはMPT64
抗原が、このような抗原を分泌するマイコバクテリア種
に感染した哺乳動物の生物学的検体、特にマイコバクテ
リウムツベルクローシスに感染したヒトの痰などの臨床
検体から、抗原の検出の前に標本中のマイコバクテリア
細胞を実質的に増殖させずに検出できるという知見に基
づいている。
【0075】特記されていない場合は、以下の用語の定
義および説明が本開示を通して適用される。
【0076】マイコバクテリアタンパクの命名法の一慣
例では、MPBおよびMPTナンバーが使用される。M
PBはマイコバクテリウムボビスBCGから精製された
タンパクを示し、それに続く数字はpH9.5での7.
7%ポリアクリルアミドゲルにおける相対的移動性を示
す。MPTはマイコバクテリウムツベルクローシスから
単離されたタンパクを表す。(例えば、Laal他(例
えば、特許文献2参照)を参照)
【0077】本明細書で使用される「マイコバクテリア
分泌抗原」とは、マイコバクテリアが生産して分泌し、
細胞周囲の液体に見出すことができる、共通の構造を有
する少なくとも4つの分泌タンパクのファミリーのいず
れかを含み、以下、本明細書において記載されているよ
うにこれには85A、85B、85C、MPT51、ま
たはMPT64またはMPB64分泌タンパクのエピト
ープを提示する抗原が含まれる。
【0078】Wikerと同僚は、抗原85A、85B
および85Cと呼ばれる3個のタンパク複合体(「85
複合体」または「85cx」としても知られる)を含む
Mt分泌タンパクファミリーの研究を行っている(例え
ば、非特許文献16および17を参照)。この複合体
は、3つの近縁成分である抗原85A、85Bおよび8
5Cの複合体を含む分泌抗原を生産していたマイコバク
テリウムボビスBCG調製物から最初に検出された(例
えば、非特許文献18参照)。Mtの類似成分も活発に
分泌される。この85複合体はマイコバクテリア培養液
の主要な分泌タンパク構成物質と考えられているが、細
菌表面に結合した状態でも確認されている。SDSポリ
アクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で
は、85Aと85Cが分離されることはほとんどない
が、等電点集束法では3つの異なるバンドに分離され
る。
【0079】6種類の分泌タンパク、85A、85B、
85C、「抗原78」(通常、38kDaタンパクと呼
ばれる)、MPB64およびMPB70をエンコードす
る遺伝子をクローニングした。マイコバクテリアゲノム
の別々の部位に位置する3種類の異なる遺伝子が85
A、85Bおよび85Cをエンコードしている(例え
ば、非特許文献19参照)。MPT−32として知られ
ている抗原(45/47kDa分泌抗原複合体と報告さ
れている)をエンコードする遺伝子がクローン化、配列
決定および発現され(例えば、非特許文献20参照)、
apa遺伝子と名付けられた。わずかに異なる分子量が
報告されているが、抗原85複合体はしばしば「30/
31kDaダブレット」と称される。
【0080】以下のリストは、Wikerと同僚らが記
載した抗原85複合体の各成分ならびに他の抗原2個の
分子量(SDS−PAGEによる)を別名と共に示す。 Ag85A =MPT44=31kDa Ag85B=MPT59=30kDa Ag85C=MPT45=31.5kDa MPT64=約26kDa MPT51=約27kDa Ag78 − =38kDa MPT32=45/47kDa(38/42kDa、L
aal他(例えば、特許文献2参照))
【0081】Wikerのグループは盛んに分泌される
Mtタンパク5種間の交差反応を、(1)精製タンパク
に対するウサギのポリクローナル抗血清および(2)マ
ウスモノクローナル抗体(「mAb」)を用いて、交差
免疫電気泳動法、イムノブロッティングによるSDS−
PAGEおよび酵素免疫検定法(EIA)で研究した。
mAb HBT4はMPT51タンパクと反応した。8
5A、85Bおよび85C構成物質は、それぞれ成分特
異的エピトープを交差反応エピトープの他に有していた
が広範に交差反応を示した。これらの成分はMPT51
およびMPT64とも交差反応を示した。85A、85
B、85CおよびMPT51の間にアミノ酸配列の相同
性が認められた。MPT64はより低い相同性を示し
た。さらに85B配列内の異なる2個の構造間で驚異的
な相同性が認められた。このように、共通構造を持つ少
なくとも4つの分泌タンパクで構成されるファミリーが
マイコバクテリアで証明された。
【0082】検体中のマイコバクテリア細胞を実質的に
増殖させずに哺乳動物から得られた生物学的検体中のマ
イコバクテリア分泌抗原を検出する方法を記載する場合
などに使用されている「実質的に増殖させずに」という
句は、被験細胞が従来のマイコバクテリア培養条件下な
どの著しい増殖を助長する条件下に置かれなかったこと
を示す。生物学的検体がマイコバクテリア分泌抗原を含
むか否かを測定する従来の手法、特に抗原検定に先立ち
検体中のマイコバクテリア細胞の培養を1週間以上必要
とするAbe他(例えば、非特許文献11参照)が開示
したMPT64の検出方法と比較して、本発明の方法
は、生物学的検体を被験体から採取してから抗原検定ま
での間に標本中のマイコバクテリア細胞が実質的に増殖
しない場合でも、生物学的検体中のマイコバクテリア分
泌抗原を検出する方法を提供する。
【0083】換言すると、検体採取後抗原検定までの間
に、例えば検体の輸送または保存中、検体中のマイコバ
クテリア細胞が非実質的な増殖を付随的に示す場合があ
るが、本発明による生物学的検体中のマイコバクテリア
分泌抗原の検出のためには、マイコバクテリア培地にお
けるマイコバクテリア細胞の恣意的培養などによる検定
検体中の細胞の実質的な増殖は必要ない。したがって、
「実質的な増殖をさせずに」は、本文脈では、標本中の
マイコバクテリア細胞が元の細胞数の少なくとも100
倍以上、好ましくは10倍以上、より好ましくは3倍以
上増加しない条件下で維持されることを意味する。
【0084】「抗体」は、抗原に対して免疫学的に特異
的な方法で結合するペプチドまたはペプチド様物質を意
味する。典型的には、限定的ではないがこれには未変性
のポリクローナルおよびモノクローナル抗体および誘導
体があり、Fab、F(ab’)、Fab’、scF
v(モノマーおよびポリマー体)および単離されたH鎖
およびL鎖のような免疫グロブリン断片などを含む抗原
結合断片が含まれる。抗原結合断片は、例えば関連抗体
と比較して抗原抗体の結びつき強度および/または親和
性が変化しているかもしれないが、抗原と特異的に結合
する能力を保持している。
【0085】「抗生物質」は、当技術分野で理解されて
いるように、汚染菌の生存性、完全性または能力に悪影
響を及ぼす化合物を指す。分類が異なる抗生物質の例と
して、β‐ラクタム抗生物質、β‐ラクタマーゼ阻害
剤、アミノグリコシドおよびアミノサイクリトール系抗
生物質、キノロン類、テトラサイクリン系抗生物質、マ
クロライド系抗生物質およびリンコサミド、ならびに糖
ペプチド、リポペプチドおよびポリペプチド、スルホン
アミドおよびトリメトプリム、クロラムフェニコール、
イソニアジド、ニトロイミダゾール、リファンピン、ニ
トロフラン、メテナミンおよびムピロシンなどがある。
他の抗真菌化合物には、ポリエン類、アゾール類、およ
びピリミジン合成阻害剤などがある。これらの抗生物質
のあるものまたはすべては、本発明の方法と併用すると
有用である。抗生物質という用語は本明細書で使用され
ている「抗微生物剤」と同義である。
【0086】「生物学的検体」は、動物(ヒトを含む)
または植物から採取された標本などの生物起源の標本に
由来するまたはそこから採取された標本を意味する。生
物学的検体は、これに限定されないが、吐出物(痰、唾
液、粘液など)、気管支洗浄および類似の呼吸器洗浄
液、糞、皮膚を含む組織検体、胃吸引物、尿、涙液、
汗、血液および脳脊髄液(CFS)を含む任意の生物学
的有機体の部分に由来するかそこから採取したものを意
味するようなものでもよい。このような標本は、これに
限定されないが、反芻動物(例えばウシ科動物(畜牛、
乳牛など)や羊の仲間(羊など))、豚、魚および鳥類
など、どのような動物から採取されたものでもよい。
【0087】「無機検体」は、非生物標本、例えば環境
に存在する土壌、泥、汚泥、水、鋸屑および空気などに
由来するかそこから採取された検体を意味する。
【0088】本発明の1つの態様は、検体内でマイコバ
クテリア細胞を実質的に増殖させずに哺乳動物被験体か
ら採取した生物学的検体中のマイコバクテリア分泌抗原
を検出する方法に関する。この方法には、マイコバクテ
リア分泌抗原に特異的に結合する抗体を、抗体が検体中
のマイコバクテリア分泌抗原と特異的に結合する条件下
で、検体またはその一部と接触させることにより、マイ
コバクテリア分泌抗原と抗体との特異的複合体を形成す
る方法が含まれる。この方法にはさらに、検体に含まれ
るマイコバクテリア分泌抗原と抗体との特異的複合体の
有無または量を検出する方法が含まれる。この方法で
は、特異的複合体の存在は検体中のマイコバクテリア分
泌抗原の存在を示している。
【0089】抗体とマイコバクテリア分泌抗原との特異
的複合体の検出は、その多くが当技術分野で公知のどの
免疫検定法を用いて行ってもよい。したがって、ポリク
ローナルまたはモノクローナル抗体を数種の免疫検定プ
ロトコルで用いてよい。こうした抗体はそのまま使用し
てもよいし、標的抗原に結合することができる断片にし
て使用してもよい。免疫検定法はポリクローナル抗体試
薬のみを使用して行うことができるが、多くの場合、モ
ノクローナル抗体単独またはポリクローナル抗体とモノ
クローナル抗体の組み合わせが好ましい。
【0090】一般的に、免疫検定で使用する抗体または
抗原は、検出可能な標識へ結合することにより標識され
ており、形成された結合複合体中にその標識が含まれる
ことにより抗原/抗体結合の検出が容易になる。本明細
書で使用されるように、「検出可能な標識」とその関連
用語は、検出可能な標識それのみと、以下に記すように
粒子と結合した検出可能な標識の両方を含むものとして
使用される。適切な検出可能な標識およびこれらを抗体
などのタンパクに結合する方法は既知である。追加の試
薬または検出される反応を必要としない直接検出が可能
な標識としては、放射性同位体、蛍光染料および可視吸
収染料がある。反応により色を生成できる酵素は適した
間接検出標識であり、特異的結合検定において抗体に結
合させるために一般的に使用される。前記検出可能な標
識の全ては、本発明による方法の抗原検出段階で使用さ
れるポリクローナルおよびモノクローナル抗体との結合
に適している。
【0091】本発明のマイコバクテリア分泌抗原を検出
する方法では、マイコバクテリア分泌抗原と特異的に結
合する抗体を固体の基質に固定するのが有利である。好
ましくは、マイコバクテリア分泌抗原と抗体との特異的
複合体の有無または量を検出する方法には、固体基質上
の特異的複合体の存在を示す検出可能な標識を含む試薬
の使用が含まれる。例えば、マイコバクテリア分泌抗原
と抗体との特異的複合体は、固体支持体に固定されてい
る最初の抗体の場合と同じ抗原の別の部位(エピトー
プ)に特異的に結合する検出可能に標識された第2の抗
体ハットで検出できる。好ましくは、この第2の抗体上
の検出可能な標識は肉眼で容易に検出できる色を呈する
試薬を含む。
【0092】免疫検定プロトコルは当該分野で既知であ
る。例えば、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体
またはそれらの抗原結合断片を、マイコバクテリア分泌
抗原を検出するサンドイッチ検定またはサンドイッチ検
定の既知の改良法および変法で使用してもよい。代わり
に、抗体およびそれらの抗原結合断片を当技術分野で既
知の各種競合アッセイで使用してもよい。MPB64ま
たはMPT64抗原の検出のため、特に好ましい免疫検
定法は、Abe,C.他(例えば、非特許文献11参
照)が記載したように抗MPB64モノクローナル抗体
を用いたイムノクロマトグラフ検定である。この免疫検
定法は市販されているものがあり、ラテラルフローイム
ノクロマトグラフ検定である「Capilia TBス
ライドテスト」がTauns(Namazo Cit
y、日本)から入手できる。MPB64およびMPT6
4抗原は少なくとも1個の一次エピトープを提示するこ
とが知られているので、ウェスタンブロット(イムノブ
ロット)法もこれらの検出に使用できる。(例えば、O
ettinger,T.et al.、1994(例え
ば、非特許文献5参照)を参照)
【0093】本発明の方法は、MPB64抗原またはM
PT64抗原を結核が疑われるヒトの生物学的検体、特
にこのような被検体からの痰検体から検出するために特
に有用である。しかし、本発明の方法はヒトまたは他の
動物から採取された頸管粘液、気管支粘液、子宮粘液あ
るいはその他の粘液などの粘液様分泌検体にも適用でき
る。本発明は、尿、脳脊髄液、全血または他の体液や分
泌液などの生物学的検体または標本にも適用できる。
【0094】本発明の方法の1つの実施形態では、生物
学的検体をMPB64抗原またはMPT64抗原に特異
的に結合する抗体と接触させる前に、ムコイド溶解性ま
たは液状化試薬、好ましくはジスルフィド結合還元剤を
含む液状化剤を標本に添加する。好ましいジスルフィド
結合還元剤の1つは、N−アセチル−L−システイン
(NALC)および十分なN−アセチル−L−システイ
ン(NALC)であり、従来の痰処理法に用いられる検
体中濃度、実質的に0.25%(w/v)より高くなる
ように標本に添加するのが有利である(例えば、非特許
文献13参照)。好ましくは、N−アセチル−L−シス
テインは検体中濃度が約2.5%(w/v)になるよう
に添加する。NALCが好ましいのは、培養試験と相性
がよいからで、このような培養試験としてBecto
n,Dickinson Diagnostic In
strument Systems,Sparks,M
dから入手可能なBACTEC(登録商標)装置などの
自動培養装置がある。
【0095】NALCと同じような方法で作用するので
あれば、他のジスルフィド結合還元剤も本発明の方法と
の併用は有用である。このような還元剤の例として、そ
れに限定されないが、Dye他による米国特許(例え
ば、特許文献8参照)に開示されているジチオトレイト
ール(DTT)および関連化合物、ならびにβ‐メルカ
プトエタノール(β‐ME)がある。
【0096】マイコバクテリア抗原検出方法の1つの実
施形態において、マイコバクテリア細胞と検体の残余物
とに分離するために検体を処理し、その結果マイコバク
テリア細胞画分と抗原を含む残余画分が得られる。その
後、マイコバクテリア細胞の存在に関し、マイコバクテ
リア細胞画分を、例えば目視検査(抗酸性染色)または
従来の培養法により検査する。その後、マイコバクテリ
ア分泌抗原に特異的に結合する抗体を検体の残余画分と
接触させる。
【0097】このような標本分画とさらには固体基質に
固定した抗体を利用した好ましい実施形態では、マイコ
バクテリア細胞画分は、検体をマイコバクテリア細胞は
保持するがMPB64抗原またはMPT64抗原などの
分泌抗原は保持しないフィルタでろ過して調製し、その
結果フィルタ上に保持されたものがマイコバクテリア細
胞画分となり、濾液が抗原を含む残りの画分となる。特
定の抗体を保持する固体基質は、マイコバクテリア細胞
を保持するフィルタを備えたフィルタスタック中に、メ
ンブランフィルタなどのフィルタを同じ水系に連続して
備えることもできる。フィルタスタックは、容器に入れ
た標本が最初マイコバクテリア細胞を保持するフィルタ
を通過し、次に抗体が固定されたメンブランフィルタを
通過するように容器内に設置してもよい。
【0098】本発明の他の1つの態様は、検体内でマイ
コバクテリア細胞を実質的に増殖させずにその被験体か
ら採取した生物学的検体をマイコバクテリア分泌抗原に
関して検査することにより、マイコバクテリア分泌抗原
を生産するマイコバクテリア種による哺乳動物の感染
を、検出する方法に関する。この方法には、マイコバク
テリア分泌抗原に特異的に結合する抗体を、抗体が検体
またはその分画中のマイコバクテリア分泌抗原と特異的
に結合する条件下で、検体またはその分画と接触させる
方法、および前記したように抗原と結合した抗体の有無
または量を検出する方法が含まれる。
【0099】他の1つの態様において、本発明は、検体
中の抗原、特にMPB64抗原またはMPT64抗原な
どのマイコバクテリア分泌抗原ならびに細菌細胞、特に
マイコバクテリア細胞を検出するための哺乳動物被験体
から採取した生物学的検体の処理方法に関する。この方
法には、標本採取時またはまたは抗原を検出する前に、
液状化剤を検体に添加し、標本を被験体から採取した
後、抗原の検出が終了するまでの間、検体中の細菌細胞
が実質的に増殖しない条件下に標本を維持することが含
まれる。この方法では、液状化剤は、検体中の濃度が従
来の濃度である0.25%(w/v)より実質的に高く
なるように十分な量のN−アセチル−L−システインを
含有することが有利である。好ましくは、液状化剤は検
体中の濃度が約2.5%(w/v)になるのに十分な量
のN−アセチル−L−システインを含有する。液状化剤
はさらに、例えばKacianによる米国特許(例え
ば、特許文献3参照)に開示されているように、ヌクレ
アーゼ、特に生物学的検体中のDNAを切断するDNア
ーゼを含有するのが有利である。本発明によるこの検体
処理方法では、標本採取から標的抗原の検出が終了する
まで、より好ましくは細菌細胞の検出が終了するまで、
検体は実質的に中性に好ましくは保たれる。換言する
と、強塩基、例えば1−2%のNaOHによる従来の除
菌処理は、それに伴う生物学的検体中のマイコバクテリ
アの生存性の低下、それにともなうマイコバクテリア抗
原または生菌に対するその後の検査感度の低下を避ける
ために、標本処理の全期間を通して好ましくは避けられ
ている。
【0100】本発明にしたがって調製された標本から抽
出でき、かつ検査の重要性が高まっている疾患および病
態を起こすことのできる病原菌の例として、特に、結核
(マイコバクテリウムツベルクローシス複合体)および
ハンセン病(マイコバクテリウムレプレ(ヒトのハンセ
ン病)の病原菌およびマイコバクテリウムレプレムリア
ム(M.lepraemurium)(ネズミのハンセ
ン病))、マイコバクテリウムアビウム複合体細菌(鳥
類の重要病原菌)、マイコバクテリウムアビウム(マイ
コバクテリアに重感染したAIDS患者からしばしば単
離される)、マイコバクテリウムボビス(獣医学におい
て重要)、マイコバクテリウムフォルツイツム(M.f
ortuitum)(動物およびヒトの病変部から単離
された土壌細菌)、マイコバクテリウムイントラセルラ
アエ(日和見感染菌でAIDSウイルスに感染した患者
に特にみられる)、マイコバクテリウムパラツベルクロ
ーシス(ヒトクローン病(局部性腸炎)の診断で関心が
持たれる)、マイコバクテリウムカンサイ(希少だが恐
ろしい病原菌、一般的に肺疾患と関連する)、マイコバ
クテリウムマリナム(冷血動物および魚類に感染し、ヒ
ト四肢の表在性肉芽腫からも分離された)、マイコバク
テリウムパラツベルクローシス(ウシジョーンズ病の病
原菌;生長が極めて遅く、陰性と確認するには16週間
の培養を必要とする)およびマイコバクテリウムウルセ
ランス(M.ulcerans)(ヒト医学でも関心が
持たれる)が含まれる。
【0101】本発明の方法で調製された検体における外
膜にミコール酸構造をもつ微生物の検出は、培養や核酸
増幅および免疫診断法などの手法で行うことができる。
【0102】検体からマイコバクテリアを培養したい場
合は、当分野で既知の方法を使用できる。マイコバクテ
リアの培養に有用な液体培地として、BACTEC(登
録商標)12B(「12B」とも呼ばれる)(Bect
on−Dickinson,Cockeysvill
e,MD)、ESP(登録商標)MYCO Syste
m II(DIFCO Laboratories,D
etroit,MI)またはMB/BacT(登録商
標)(Organon Teknika,Durha
m,NC)などがある。マイコバクテリアの培養に有用
な非選択性固体培地には、Lowenstein−Je
nsen(L−J)、7H10または7H11が含まれ
る。マイコバクテリアの培養に有用な選択性固体培地と
しては、L−JGruft、Mycobactosel
または7H11 1−セレクティブがある。非選択性固
体培地と比べると選択性固体培地が一般的に好ましい
が、本発明の方法では一般的により感度の高い液体培地
が好ましい。前記液体培地システムと共に使用する市販
の抗生物質添加製剤としては、それぞれ、PANTA
(Becton−Dickinson,Cockeys
ville,MD)、PVNA(DIFCO Labo
ratories,Detroit,MI)およびMA
S(Organon Teknika,Durham,
NC)がある。これらの各培養システムを変更し、本発
明の方法と併用した場合の診断性能を最適化するために
別のあるいは追加の抗生物質を取り込んでもよい。例え
ば、変更によりバンコマイシンおよび/またはセフタジ
ディムが含まれたPANTAは当技術分野で既知であ
る。
【0103】本発明による、マイコバクテリア分泌抗原
の検出のための生物学的検体の処理方法には、さらに任
意選択的に、分泌抗原の検出の前に標本に除菌剤を添加
する方法が含まれる。除菌剤は、後の検査特にマイコバ
クテリアの培養試験を別の方法で妨害する可能性のある
マイコバクテリア以外の菌細胞を選択的に殺すか阻害す
る働きをする。特に暖かい季節に冷凍せずに長時間標本
を保存するか輸送する場合は、検体採取直後の除菌剤の
添加が有利である。除菌剤には、ポリミキシンB、アン
ホテリシンB、ナリジクス酸、トリメトプリムおよびア
ズロシリンをそれぞれ検体中濃度が少なくとも約50U
/ml、5μg/ml、20μg/ml、5μg/ml
および10μg/mlとなるのに十分な量を含んだ「P
ANTA」として知られる混合剤などの抗生物質混合剤
が含まれてもよい。より好ましくは、除菌剤にはPAN
TAの抗生物質中に上記濃度の5倍から10倍の濃度で
含まれ、例えば、ポリミキシンB、アンホテリシンB、
ナリジクス酸、トリメトプリムおよびアズロシリンがそ
れぞれ、検体中濃度が約500U/ml、50μg/m
l、200μg/ml、50μg/mlおよび100μ
g/mlとなるのに十分な量が含まれる。このように、
本発明者は、こうした後者の濃度(従来のPANTAの
使用より約10倍高い濃度)でPANTAを生物学的検
体に添加すると、マイコバクテリアの生菌、特にマイコ
バクテリウムツベルクローシスの細胞の回収を許容でき
ないレベルまで低下させることなく、マイコバクテリア
以外の汚染菌をより減少させることができることを発見
した。PANTAに含まれているような抗微生物剤をよ
り高濃度で増殖培地に添加すると、多くのマイコバクテ
リアの成長が阻害されることを示すことができる。
【0104】除菌剤には、マイコバクテリア以外の菌を
選択的に殺すか増殖を阻止する他の抗生物質または酵素
が含まれてもよい。例えば、Whittier他、同上
は、NALC−NaOHとそれに続く5%シュウ酸処理
による呼吸器標本の除菌法を開示している。しかし、従
来のNALC−NaOH処理に代えて、本発明者はNa
OHを一切使用せずにより高濃度のNALCによる処理
が、マイコバクテリア生菌の回収性に優れていることを
発見した。あるいは、従来の濃度のNaOH(最大1−
2%(w/v))をNALCの添加と同時に生物学的検
体に添加する代わりに、本発明者は従来のNALC−N
aOH液状化−除菌方法よりも短い時間および/または
低い濃度(例えば、10倍短い時間または約0.1%
(w/v))でNaOHを添加するのが有利であること
を発見した。好ましくは、所望であれば、抗原の検出が
終了した後、もしそのような検出が所望であれば例えば
10−20分間程度の比較的短い時間後、中和処理の
前、任意には中和されたNaOHを除くために細胞を洗
浄する前にのみNaOHを添加する。
【0105】別法として、または追加で、本発明にした
がって処理された生物学的検体の除菌には、例えば標本
中の非グラム陰性汚染菌を除去する酵素的除菌方法を開
示しているThornton他による米国特許(例え
ば、特許文献7参照)に開示されているように、除菌剤
として溶解性酵素の使用が含まれてもよい。
【0106】本発明の他の1つの態様は、マイコバクテ
リア分泌抗原を検出するために生物学的検体を処理する
製品に関する。この製品、例えば、キットは、容器、液
状化剤および容器と液状化剤を入れる包装材を含む。包
装材には、検体中でマイコバクテリア細胞を実質的に増
殖させずに検体またはその分画に含まれるMPB64抗
原またはMPT64抗原などのマイコバクテリア分泌抗
原を検出するために液状化剤と哺乳動物から採取された
生物学的検体とを結合するために容器を使用することを
記したラベルが含まれる。
【0107】有利には、この製品の液状化剤にはジスル
フィド結合還元剤、好ましくはN−アセチル−L−シス
テインを固体の形状で、例えば粉または微粒子、任意に
は錠剤などのペレット、またはカプセルなどの形状で含
む。この固体形状はさらに任意選択的に、抗生物質もし
くは抗生物質混合剤または溶解性酵素もしくはその混合
物などの除菌剤を含む。好ましくは、液状化剤はこの製
品の容器に含まれており、容器に入れた生物学的検体は
この液状化剤と接触する。例えば、固体の液状化剤は容
器内部表面に塗布されたものでもよいし、または標本採
取時に採取管に入れられる錠剤でもよい。
【0108】好ましくは、本発明の容器は、さらに、第
1の固体支持体と第2の固体支持体を備え、第1の固体
支持体はマイコバクテリア細胞を保持するがMPB64
抗原またはMPT64抗原などのマイコバクテリア分泌
抗原は保持せず、第2の固体支持体にはこの分泌抗原に
特異的に結合する捕獲抗体が固定されている。この実施
形態において、第1および第2の固体支持体は容器に入
れた生物学的検体が第1の固体支持体その後第2の支持
体に接触するように容器内部に収納されている。第1お
よび第2の固体支持体は、フィルタスタックに入れた適
切なフィルタまたはメンブレンなどの第1および第2の
多孔性基質を備え、第1および第2のフィルタまたはメ
ンブレンは生物学的検体が容器に入れられたときに第1
のフィルタを通過し、この時検体中のマイコバクテリア
細胞はこのフィルタに保持され、その後生物学的検体は
第2のフィルタを通過し、MPB64抗原またはMPT
64抗原など検体中のマイコバクテリア分泌抗原は第2
のフィルタ上の捕獲抗体に特異的に結合する。
【0109】例えばKacianによる米国特許(例え
ば、特許文献3参照)に開示されているように、ろ過の
前に、検体を、白血球を選択的に溶解する薬剤により、
マイコバクテリアの内部またはこうした細胞と関連する
マイコバクテリアが実質的に元の状態を維持する条件下
で任意選択的に処理してもよい。
【0110】マイコバクテリア細胞を含む細菌細胞を選
択的に保持する一方、MPB64およびMPT64抗原
を含むマイコバクテリア分泌抗原などのタンパク質を通
過させるフィルタは、当該分野で既知である。所望であ
れば、例えば試薬(例えば、液状化剤)を流れの中に分
配するために、または細菌細胞を回収する前にそれらよ
りも大きい物質を取り除くために、プレフィルタまたは
ポストフィルタをフィルタスタック中に追加してもよ
い。代わりにまたは追加で、ろ過の前に、フィルタスタ
ックの除去能力を超える可能性のあるマイコバクテリア
細胞よりも大きい不溶性物質を他の方法、例えば遠心分
離または混合液を20−60ミクロンのフリット(Co
rning Costar,Boston,Mas
s.)を付けたSpin−X IIカラムを通すことで
取り除いてもよい。こうしたカラムは、精製を高めるた
めにSephadex(登録商標)(G−50:Pha
rmacia,Piscataway,NJ)または同
等の樹脂などの基質を含んでもよい。必要に応じて、液
体標本のろ過を容易にするために真空または圧力を加え
るのに適した開口部を容器に設けてもよく、または液体
標本のろ過を容易にするために遠心分離(電気式または
手動式遠心分離)できるように容器は遠心管の構造また
はそうした管に据え付けるか挿入できる形になっていて
もよい。
【0111】本発明による標本処理容器において、第1
の多孔性基質(フィルタ)は生物学的検体が通過した後
に容器から取り外すことができ、第1の多孔性基質に保
持されたマイコバクテリア細胞は基質に付いたまま容器
から取り出せるので有利である。したがって、この取り
外し可能な第1の多孔性基質は、染色、目視検査または
従来の培養検査などの更なる検査のために検体中のマイ
コバクテリア細胞を濃縮する便利な方法である。
【0112】キットなどの本製品には、さらに捕獲抗体
に特異的に結合するMPB64抗原またはMPT64抗
原などのマイコバクテリア分泌抗原が第2の多孔性基質
(フィルタ)上の捕獲抗体と特異的に結合して第2の多
孔性基質上に検出可能なシグナルを生じる場合に、その
ような抗原を特異的に検出する検出試薬が含まれるのが
有利である。
【0113】好ましい実施形態において、容器には、生
物学的検体中のMPB64抗原またはMPT64抗原な
どのマイコバクテリア分泌抗原の検出に必要なすべての
試薬が含まれる。これらの試薬には、第2の多孔性基質
上の捕獲抗体と特異的に結合する標的抗原の存在を示す
色を呈する検出試薬が含まれる。第2のフィルタの構造
は、目視により着色検出試薬の最低限の呈色を検出する
ために最適化してもよい。例えば、捕獲抗体を保持する
フィルタの表面積は、関連する色を濃縮するために最小
化することができ、またフィルタはその縁が容器からフ
ィルタを取り出さずに検査できるように容器に設置して
もよく、そうすることでより広いフィルタ表面を検査す
るよりも、光が関連する色を透過する経路が長くなり、
その結果免疫複合体の検出感度を向上することができ
る。
【0114】この製品の実施形態において、包装材のラ
ベルには、容器に入れた生物学的検体中のマイコバクテ
リア分泌抗原の検出に必要なすべての試薬が容器に含ま
れていることが表示されている。この容器による検体処
理法では、必要な液状化剤および所望により除菌剤の入
った容器に生物学的検体を入れ、容器を攪拌して検体と
これらの薬剤を混合するだけである。例えば、痰の検体
を直接この容器に入れてもよい。検体はその後抗原また
は細胞の試験が必要になるまで容器に入れて保存および
/輸送されてよい。容器およびフィルタは、検体を加え
た直後またはその後にのみ、例えば抗原または細胞の検
査の直前に、容器をさらに操作(例えば、真空もしくは
加圧処理または遠心分離)することにより、液状化検体
のろ過がおこるように設計および操作できる。抗原検査
が陽性の場合、開封せずに容器全体を更なる試験に供す
ことができ、それにより生きた病原菌の人々が曝露する
のを最小化できる。
【0115】代わりに、前記したようにマイコバクテリ
ア細胞を回収した第1フィルタを容器から取り外しでき
ることは、検体からそのような細胞のほとんどまたはす
べてを扱いが容易な固体の形に濃縮する便利な方法を提
供することにより、後の細胞検査を容易にする。マイコ
バクテリア細胞の濃縮のためにろ過を使用することは、
その密度が水のそれと近く、遠心分離が非効率なため、
痰標本から十分な量のマイコバクテリウム属細菌を分離
することが困難であるという既知の問題の解決にもな
る。
【0116】実験 MPT64検出のためのスメア陽性痰標本の直接検定。
Tauns(Namazo City、日本)から市販
されているラテラルフロー免疫クロマトグラフ検定法で
ある「Capilia TBスライドテスト」を本検定
で使用した。
【0117】a.NaOHおよびNALCの検査への影
響。予備的実験は、従来のNALC−NaOHによる検
体調製で典型的に使用される濃度のNaOHは、抗原−
抗体反応を破壊することを示した。中和後、検査の有効
性を示す検定器具調整反応(assay device
control reaction)は復元するが、
検査反応はまだ影響される。対照的に、NALCは従来
の濃度の10倍でも検査に影響しなかった。したがっ
て、MPT64抗原検出のための免疫検定においてNa
OHを使用せずに、少なくとも約2.5%のNALC
(w/v)を臨床標本の消化に使用できると結論され
た。
【0118】b.痰標本の直接検査。抗酸性桿菌(AF
B)陽性の8個のスメア陽性標本(冷凍)を検査した。
各検体のスメア陽性程度を1+(つまり、1−10AF
B/顕微鏡視野)から3+(≧100AFB/顕微鏡視
野)に段階付けした。結果および考察:MPT64抗原
検査にはTauns装置を使用した。以下の結果が示す
ように、消化した標本を遠心分離せずに装置にかけた場
合、標本の多くはメンブレンを通過しなかった。しか
し、標本をNALCによる消化後遠心分離すると、検体
の流れは改善された。Tauns検査を使用したMPT
64抗原の直接抗原検査結果を以下に示す。
【0119】 標本番号 AFB値 試験結果 対照結果 8310 >10/視野 + + 45871 >10/視野 + + 8182 >10/視野 流れなし 流れなし 8182遠心分離 + + 2751 >10/視野 + + 2751遠心分離 + + 7531 1−10/視野 流れなし 流れなし 7531遠心分離 + + 5257 1−10/視野 流れなし 流れなし 5257遠心分離 + + 8308 1−10/視野 +/− + 7658 <1/視野 流れなし 流れなし 7658遠心分離 + + +/−=ピンク色、対照よりかなり薄い
【0120】c.培養結果。2個の標本をPANTAを
添加した培地と添加しな培地で培養した。
【0121】 増殖の検出(日数) 12B MGIT(登録商標)960 (n=2、GI50) (n=2) 8182、PANTA添加 7 8.6 8182、PANTA無添加 7 8.4 7658、PANTA添加 11 11.9 7658、PANTA無添加 11 11.3 *=1本の試験管が汚染
【0122】1.放射計BACTEC(登録商標)12
B培地(Becton Dickinson)。培地中
の放射標識基質の代謝中に、COが放出されるが、放
出されたCOのC14がBACTEC(登録商標)4
60器具で検出される。
【0123】2.非放射計BACTEC(登録商標)M
GIT(登録商標)960培地(Becton Dic
kinson)。増殖は、増殖中の最近による酸素消費
によって変化する、管底のセンサーの蛍光により検出さ
れる。
【0124】3.市販製品の使用はすべて製造業社(B
ecton Dickinson)の指示に従った。
【0125】上記結果に基づき、従来のNALC−Na
OH手法に代えて、図1に示すように以下の検体処理手
法が日常使用のために開発された。MPT64抗原を検
査する検体を凍結乾燥したNALC(検体を添加した後
の濃度が2.5%(w/v)になるのに十分な量)およ
びPANTAを含む管に採取するか、または凍結乾燥し
たNALCおよびPANTAを錠剤の形状で管に添加す
るが、このときの濃度は、好ましくは、一般的に推奨さ
れている濃度の5倍から10倍である。その後標本を抗
原検定まで環境温度で輸送および/または保存する。そ
の後、液状化標本の少量(例えば、0.1−0.5m
l)を例えば微量遠心分離機などで遠心分離し、上清を
MPT64抗原に関して免疫検定で検査する。残りの液
状化検体に等量の0.5−1%(w/v)NaOHを添
加し、標本を室温で5−10分間インキュベートする。
その後中和溶液(0.068Mリン酸ナトリウムカリウ
ム)を加え、検体を遠心分離し、沈降物を再懸濁してス
メアを作製し、標準の培地(任意にPANTA無添加
で)に接種する。
【0126】代表的な実施形態および詳細により本発明
の説明は完全に終了し、本明細書に記載した発明の精神
または範囲を逸脱せずに本発明に変更および修正を加え
ることができることは、当業者にとっては明らかにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】検体中のマイコバクテリア細胞を実質的に増殖
させずに、哺乳動物被験体から採取した生物学的検体中
のマイコバクテリア分泌抗原を検出するための、本発明
による方法の好ましい実施形態のフローチャートであ
る。この方法では、凍結乾燥した液状化剤(NALC)
および除菌剤(PANTA)を含む錠剤を標本(痰な
ど)採取前に検体採取管に入れ、検体を周囲温度でマイ
コバクテリア抗原検定場所へ輸送する。そこで標本を遠
心分離で分画し、上清を抗原に関して直接検査し、ペレ
ットは任意にNaOHで処理して従来の培養法により抗
酸性桿菌(AFB)およびマイコバクテリア生菌を検査
する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 595117091 1 BECTON DRIVE, FRA NKLIN LAKES, NEW JE RSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA (72)発明者 サルマン エイチ.シディッキ アメリカ合衆国 21152 メリーランド州 スパークス グレンコー マナー コー ト 15

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物被験体から得られた生物学的検
    体中のマイコバクテリア細胞を実質的に増殖させずに、
    前記標本中にマイコバクテリア分泌抗原を検出する方法
    であって、 前記マイコバクテリア分泌抗原に特異的に結合する抗体
    を、前記標本またはその一部と、前記抗体が前記標本中
    またはその一部中の前記マイコバクテリア分泌抗原と特
    異的に結合するような条件下で接触させ、それにより前
    記マイコバクテリア分泌抗原と前記抗体との特異的複合
    体を形成する段階と、 前記標本中またはその一部中の前記マイコバクテリア分
    泌抗原と前記抗体との前記特異的複合体の有無または量
    を検出する段階であって、前記特異的複合体の存在が前
    記標本中の前記マイコバクテリア分泌抗原の存在を示す
    段階とを含み、 前記検体が前記被験体から採取されてから前記検出が終
    了するまでの間、前記検体中のマイコバクテリア細胞が
    実質的に増殖しないことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記マイコバクテリア分泌抗原がMPB
    64抗原またはMPT64抗原であることを特徴とする
    請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記接触の前に前記検体を処理すること
    によって、マイコバクテリア細胞を前記検体の残りから
    分離し、それにより前記検体のマイコバクテリア細胞画
    分と残りの画分を提供し、 前記マイコバクテリア細胞画分がマイコバクテリア細胞
    の存在に関して検定され、かつ前記マイコバクテリア分
    泌抗原と特異的に結合する前記抗体が固体基質に固定さ
    れ、前記検体の前記残りの画分と接触させられることを
    特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 マイコバクテリア分泌抗原を生産するマ
    イコバクテリア細菌種による哺乳動物被検体の感染を検
    出するために、生物学的検体中のマイコバクテリア細胞
    を実質的に増殖させずに、前記被験体から得られた前記
    検体を前記マイコバクテリア分泌抗原に関して検査する
    方法であって、 前記抗体が前記検体中またはその一部中の前記マイコバ
    クテリア分泌抗原と特異的に結合するような条件下で、
    前記マイコバクテリア分泌抗原に特異的に結合する抗体
    を前記検体またはその一部と接触させ、それにより前記
    マイコバクテリア分泌抗原と前記抗体との特異的複合体
    を形成する段階と、 前記検体中またはその一部中の前記マイコバクテリア分
    泌抗原と前記抗体との前記特異的複合体の有無または量
    を検出する段階であって、前記特異的複合体の存在が前
    記マイコバクテリア細菌種による前記被験体の感染を示
    す段階とを含み、 前記検体が前記被験体から採取されてから前記検出が終
    了するまでの間、前記検体中のマイコバクテリア細胞が
    実質的に増殖しないことを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】 前記マイコバクテリア分泌抗原がMPB
    64抗原またはMPT64抗原であることを特徴とする
    請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 哺乳動物被験体から得られた生物学的検
    体中のMPB64抗原またはMPT64抗原を検出する
    ために、前記検体を処理する方法であって、 前記検出の前に液状化剤を前記検体に添加する段階と、 前記検体を前記被験体から採取してから前記検出が終了
    するまでの間、実質的に中性でかつ、前記検体中のマイ
    コバクテリア細胞が実質的に増殖しないような条件下
    で、前記検体を維持する段階を含むことを特徴とする方
    法。
  7. 【請求項7】 前記液状化剤が、N−アセチル−L−シ
    ステインを前記検体中で約0.25%(w/v)または
    実質的にそれよりも高い濃度になるのに充分な量で含む
    ことを特徴とするか、または前記液状化剤が前記生物学
    的検体中のDNAを切断できるDNアーゼを含むことを
    特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 容器、液状化剤および前記容器と前記液
    状化剤を入れる包装材を含む製品であって、前記包装材
    には、哺乳動物被験体から得られた生物学的検体中でマ
    イコバクテリア細胞を実質的に増殖させずに、前記検体
    中またはその一部中のMPB64抗原またはMPT64
    抗原を検出するために、前記液状化剤と前記検体とを混
    合するために前記容器を使用するように指示するラベル
    が含まれることを特徴とする製品。
  9. 【請求項9】 前記容器がさらに第1の固体支持体およ
    び第2の固体支持体を含み、 前記第1の固体支持体がマイコバクテリア細胞を保持し
    て、MPB64抗原またはMPT64抗原を保持せず、 前記第2の固体支持体にMPB64抗原またはMPT6
    4抗原と特異的に結合する捕獲抗体が固定され、かつ前
    記容器に入れた生物学的検体が前記第1の固体支持体お
    よび前記第2の固体支持体と接触するように、前記第1
    の固体支持体および前記第2の固体支持体が前記容器内
    に設置されていることを特徴とする請求項8に記載の製
    品。
  10. 【請求項10】 前記第1の固体支持体が第1の多孔性
    基質を備え、前記第2の固体支持体が第2の多孔性基質
    を備え、 前記第1の多孔性基質および前記第2の多孔性基質が設
    置され、生物学的検体を前記容器中に入れたときに、 前記生物学的検体が前記第1の多孔性基質を通過し、そ
    れにより前記検体中のマイコバクテリア細胞が前記第1
    の多孔性基質によって保持され、その後前記生物学的検
    体が前記第2の多孔性基質を通過し、それにより前記検
    体中のMPB64抗原またはMPT64抗原が前記第2
    の多孔性基質上の前記捕獲抗体と特異的に結合し、さら
    に、前記第1の多孔性基質に保持されたマイコバクテリ
    ア細胞が前記第1の多孔性基質に付いた状態で前記容器
    から取り出されるように、前記生物学的検体が前記第1
    の多孔性基質を通過した後に、前記第1の固体基質が前
    記容器から取り外し可能であり、さらに、前記捕獲抗体
    と特異的に結合する前記MPB64抗原またはMPT6
    4抗原と特異的に結合し、それにより前記第2の多孔性
    基質上に検出可能なシグナルを生じる検出試薬を含み、
    さらに、前記第2の多孔性基質上の前記捕獲抗体と特異
    的に結合するMPB64抗原またはMPT64抗原の存
    在を示す色を生じる試薬を含む生物学的検体中のMPB
    64抗原またはMPT64抗原の検出に必要なすべての
    試薬を前記容器がさらに含み、かつ前記表示に、前記容
    器に入れた生物学的検体中のMPB64抗原またはMP
    T64抗原の検出に必要なすべての試薬が前記容器に含
    まれていることが記されていることを特徴とする請求項
    9に記載の製品。
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