JP2003262629A - カルシウム定量方法及びこれに使用する定量用キット - Google Patents

カルシウム定量方法及びこれに使用する定量用キット

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JP2003262629A
JP2003262629A JP2002063461A JP2002063461A JP2003262629A JP 2003262629 A JP2003262629 A JP 2003262629A JP 2002063461 A JP2002063461 A JP 2002063461A JP 2002063461 A JP2002063461 A JP 2002063461A JP 2003262629 A JP2003262629 A JP 2003262629A
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chloranilic acid
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Hiroyuki Yamaguchi
宏之 山口
Nobuyuki Otaki
伸之 大瀧
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Kanto Chemical Co Inc
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Japan Agriculture Forestry and Fisheries Ministry of
Kanto Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定に際して特別な知識や技術、特殊な分析
機器等を必要とせず、正確な定量が可能であり、かつ、
廃液の廃棄が容易である、カルシウムの定量法の提供。 【解決手段】 試料中のカルシウムを定量するための方
法であって、クロラニル酸及び凝集剤を該試料に混合し
た後、前記試料の呈色状態を評価することによって、前
記試料中のカルシウム含量を測定することを含む、前記
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は試料中のカルシウム
定量方法及びこれに使用するためのキットに関する。
【0002】
【従来技術】カルシウムは体液や原形質に溶存する二価
陽イオン成分として、あらゆる生物に重要な物質であ
る。例えば、植物においては、カルシウムは、ペクチン
と結合して細胞壁の構成成分となるほか、一種の解毒剤
として作用する重要な栄養源の一つである。そのため、
農業分野では、土壌、水及び作物体に含まれるカルシウ
ムの量が、作物の生育に影響を与えるものとして重要視
されている。近年では土壌や作物体の抽出液等を測定試
料として、それに含まれるカルシウム含量を測定するこ
とによって作物の栽培条件の良不良を判断する、いわゆ
る土壌診断が行われている。
【0003】このような分野では、分析に関する専門の
知識や技術を持たない者が測定を行わなければならない
場合もある。したがって特別な知識や技術がなくても、
簡便かつ高精度に、カルシウム含量を測定できる方法が
必要である。また測定を行う場所は、圃場等のような、
分析のための特別な施設が無い場所が大部分である。し
たがって、特別な分析機器を使用せず、かつ測定後の廃
液を安全に廃棄できるように、測定に使用する試薬に毒
物や劇物が含まれない測定法が必要である。
【0004】溶液中のカルシウムの定量には、原子吸光
法、ICP発光分析法、イオン電極法、EDTA又はE
GTAによるキレート滴定法、発色剤を用いた比色法、
発色剤を染み込ませたろ紙等による試験紙法が従来から
用いられている。日本工業規格JIS‐K0102:1
998では、溶液中のカルシウム定量法として原子吸光
法、ICP発光分析法及びキレート滴定法が採用されて
おり、農業分野でも最もよく用いられている。
【0005】しかし、原子吸光法及びICP発光分析法
は専用の分析機器を備えた施設が必要であり、かつ測定
者には専門の知識と技術が求められる。また、本発明の
主な利用分野である農業分野では、測定試料中に、カル
シウム以外の物質が大量に含まれている場合がほとんど
であるが、これらの物質は、原子吸光法及びICP発光
分析法において、正確な測定の妨げの原因となる。特に
マグネシウムは、カルシウムと同程度の濃度で含まれて
いることが多く、しかもその性質がカルシウムに類似し
ているため問題になりやすい。マグネシウム以外にも、
カリウム、鉄、アルミニウム、リン酸、硝酸等のイオン
が含有されることが多く、カルシウム定量の妨げとな
る。
【0006】キレート滴定法も、正確な測定を行うには
専門の知識と技術が必要であり、また、測定試料の温
度、pHによって測定値に影響を受けるので、それらを
厳密に制御できる環境でなければ、実質的に正確な測定
は困難である。更に、キレート滴定法においても、原子
吸光法及びICP発光分析法と同様に、測定試料中に含
まれるカルシウム以外の金属イオンによって測定値は影
響を受ける。これを抑制するためには毒物であるシアン
化カリウムを使用しなくてはならず、測定操作には危険
が伴うという問題がある。
【0007】また、従来から用いられているカルシウム
の簡易定量法としては、発色剤を用いた比色法がある。
比色法とは、試料と発色剤とを反応せしめた際の発色度
合によって、カルシウム含量を測定する、比較的簡便な
方法である。例えば、発色剤としてキレート指示薬を用
いて溶液中のカルシウムと錯体を形成させ、その錯体形
成反応前後の吸光度の変化を測定する方法がよく知られ
ている。
【0008】比色法に用いられる発色剤としては、オル
トクレゾールフタレインコンプレクソン(OCPC)、
アルセナゾ−III、クロロホスホナゾ−III、エリ
オクロムブラックT、グリオキサール−ビス(2−ヒド
ロキシアニル)、NN(2−ヒドロキシ−1−(2−ヒ
ドロキシ−4’−スルホ−1’−ナフチルアゾ)−3−
ナフトエ酸)及びヒドロキシナフトールブルー等が知ら
れている。
【0009】しかしながら、これら発色試薬は、いずれ
も2価金属と錯体を形成するものである。したがって、
試料溶液中にカルシウム以外の2価金属イオンが含まれ
る場合、測定値は前記2価金属イオンによって影響を受
ける。ところが、農業分野での測定試料には、カルシウ
ム以外にも、前記マグネシウムを初めとする2価金属イ
オンが大量に含まれているため、何らかの方法でその影
響を除去する必要がある。
【0010】そのための試みとして、例えば、特開昭5
7−199957では発色剤としてオルトクレゾールフ
タレインコンプレクソン(以下OCPCとする)を使っ
たカルシウム定量法が示されている。この方法はpH調
整剤でpHを10から11とした溶液中で、OCPCと
カルシウムが錯体を形成することによる波長570nm
付近の吸光度の変化を測定することで試料中のカルシウ
ムを定量するものである。測定試料に含まれるマグネシ
ウムが測定値に与える影響は8‐オキシキノリンを添加
することで抑制している。しかしこの方法にはつぎに示
すような多くの欠点がある。
【0011】1.農業分野における試料のような、カル
シウムを比較的多く含有する試料の場合、測定されるカ
ルシウムの濃度範囲は0〜700mg/lである。しか
し、OCPC法でこのような高濃度のカルシウムを含む
試料を測定しようとすると、反応系中にカルシウムと反
応するのに必要十分量のOCPCを添加する必要があ
り、その場合OCPC自体の着色によって吸光度のバッ
クグラウンドが高くなり測定が不可能となる。すなわ
ち、測定可能範囲が不十分な場合があり、用途が限定さ
れる。 2.反応後の吸光度が経時的に減少するため、正確な測
定が困難である。 3.溶液中において、OCPC及び8‐オキシキノリン
は不安定であるため、測定毎に試薬溶液を調製する必要
があり、手間がかかる。
【0012】一方、これらの欠点についての改良も試み
られている。例えば、特開昭62−175668では、
pH調整剤として2−(シクロヘキシルアミノ)エタン
スルホン酸等を使用することによって反応後の吸光度の
前記経時変化を抑制している。しかしこの改良は、前述
したOCPC法の欠点の一部(2.)を解決したにすぎ
ず、他の欠点は解消されていない。
【0013】これらの欠点は発色剤として用いる物質の
性質に普遍的なものであるため、発色剤を用いた方法に
おいて、これらの欠点の全てを解消することは極めて困
難であると考えられる。特に1.は発色剤のモル吸光係
数が高いために生じる、これらの発色剤を用いる限り解
決することはできない根本的な問題であり、当該発色剤
を用いる方法の汎用性における大きな障壁である。
【0014】他のカルシウムの簡易定量法として、発色
剤をろ紙等に染み込ませた試験紙を使った方法がある。
この方法は、前記比色法と同様に、試料と発色剤とを反
応せしめて発色させ、その発色度合を目視によって直接
評価することによってカルシウム含量を測定する方法で
ある。比色法とは異なり、発色度合を目視によって直接
評価する点において、当該方法はより簡便である。
【0015】当該方法においても、発色剤としては比色
法で用いられるものと同様なものを使用することができ
る。例えば、特開平8‐338834には、ろ紙等にO
CPC等の発色剤を染み込ませたカルシウム試験紙が示
されている。しかし、試験紙を使ったカルシウム定量法
は、以下に示すような欠点を有する。 1.半定量法であり、試料中のカルシウム濃度を正確に
測定できない。 2.試験紙を試料溶液に浸す時間の違いによって測定値
が変動する。 3.試験紙の乾燥状態の違いによって測定値が変動す
る。
【0016】カルシウム定量法の他の例としては、クロ
ラニル酸を用いる方法も知られている。例えば、当該方
法は、無機応用比色分析1(共立出版株式会社、197
3年発行)413〜414頁に記載されている。
【0017】この方法は、クロラニル酸とカルシウムが
結合して不溶体を形成することを利用し、該不溶体が沈
殿した後の、溶液のクロラニル酸による着色量の減少度
合を測定するものであり、先に挙げた比色法と相対する
原理による方法である。また、クロラニル酸を用いる方
法は、溶液の呈色度合の減少を測定することによってカ
ルシウム含量を定量する方法であるため、カルシウム含
量の測定可能範囲が広く、農業分野のように10〜1,
000mg/lの高濃度のカルシウムを含む試料の測定
にも対応できる優れた方法である。
【0018】しかし、従来のクロラニル酸とカルシウム
とを用いる方法には以下に示す欠点があるため、該方法
を実用的なカルシウム定量法として用いることは困難で
ある。すなわち、従来法においては、溶液中におけるク
ロラニル酸とカルシウムとの不溶体形成反応後、数時間
の静置によって前記不溶性沈殿を形成せしめ、さらに該
溶液を水によって希釈した後にろ別などの方法によって
前記沈殿を溶液中から除去する必要があるため、操作に
余分な時間を要し、しかも操作が煩雑である。上記欠点
は、前記方法の簡便かつ実用的なカルシウム定量法とし
ての利用に対する、大きな阻害要因となっている。
【0019】従来の各種カルシウム定量法の持つ上記欠
点は、前述した農業分野等での利用においては、その簡
便性及び安全性ならびに正確な測定の妨げになるため、
上記従来法はいずれも汎用性に乏しいものである。すな
わち、全ての要求を満足するようなカルシウム定量法は
現在まで見出されていない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、上記問題を解決し、試料中のカルシウムを簡
便、正確かつ安全に定量する方法を提供することにあ
る。さらに詳細には、測定に際して特別な知識や技術、
特殊な分析機器等を必要とせず、正確な定量が可能であ
り、かつ、廃液の廃棄が容易である、カルシウムの定量
法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、上
記課題を解決すべく鋭意研究を進める中で、前記クロラ
ニル酸を用いたカルシウム定量法(以下クロラニル酸
法)において、カルシウムを含む試料に、クロラニル酸
及び凝集剤を混合することにより上記課題を解決できる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0022】すなわち、本発明は、試料中のカルシウム
を定量するための方法であって、クロラニル酸及び凝集
剤を該試料に混合した後、前記試料の呈色状態を評価す
ることによって、前記試料中のカルシウム含量を測定す
ることを含むことを特徴とする、前記方法に関する。
【0023】また、本発明は、凝集剤が、ポリアクリル
アミドであることを特徴とする、前記方法に関する。さ
らに、本発明は、pH調整剤を試料にさらに混合するこ
とを特徴とする、前記方法に関する。また、本発明は、
pH調整剤が、アルカリ性物質であることを特徴とす
る、前記方法に関する。
【0024】またさらに、本発明は、クロラニル酸及び
凝集剤を含むことを特徴とする、試料中のカルシウムを
定量するためのキットに関する。さらにまた、本発明
は、pH調整剤をさらに含むことを特徴とする、前記キ
ットに関する。そして、本発明は、pH調整剤、クロラ
ニル酸及び凝集剤のうちの1又は2以上が、同一の容器
に収納されていることを特徴とする、前記キットに関す
る。
【0025】本発明においては、クロラニル酸・カルシ
ウム不溶体を凝集剤の作用によって速やかに沈殿させる
ことができるため、該不溶体をろ別する操作が不要にな
り、簡便かつより短時間でのカルシウム定量が可能にな
る。また、本発明による方法は、クロラニル酸とカルシ
ウムとの反応を利用するものであるため、前記したよう
に、例えば農業分野における試料のような、比較的多量
のカルシウムを含む試料への適用が可能である。
【0026】また、本発明のpH調製剤を用いる態様に
おいては、試料の温度やpHの変化、及びカルシウム以
外の共存物質による測定値への影響がないため、様々な
条件の測定試料について正確な測定を行うことができ
る。また、pH調整剤の作用によって、クロラニル酸と
カルシウムが反応できる2.72以上に試料のpHが調
整できるため、クロラニル酸とカルシウムとの反応が促
進される。さらに、本発明においては、定量試薬に毒物
又は劇物を一切使用していないため、安全性及び廃液処
理の面で優れている。すなわち、本発明による方法は、
従来法と比較して、より簡便な操作によって、正確かつ
安全なカルシウムの定量を可能にするものであり、農業
分野で使用されるような簡易分析法に最適である。
【0027】また、本発明の方法においては、個々のカ
ルシウム定量に用いられるクロラニル酸及び凝集剤を含
んだ定量試薬の量は、それぞれ数ml及びその1/10
程度で十分であるため、それらを別個又は同一の小型容
器に収納したキットにすることによって、カルシウムを
定量する試料が存在する、例えば圃場などへの運搬の便
を図ることもできる。
【0028】なお、マグネシウム、鉄又はアルミニウム
等が測定試料中の共存する場合には、クロラニル酸とカ
ルシウムとの結合が阻害され、正確な測定ができないこ
とも、従来のクロラニル酸を用いるカルシウムの定量方
法の欠点であった。しかし、本発明の方法においては、
マグネシウムを除去するために、後述するように、必要
に応じてpH調製剤を試料中に添加することも可能であ
る。該pH調製剤の必要量も数mlで足りるため、これ
も前記キットの一部として組み込むことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明によるカルシウムの定量方
法は、以下に示すような手順によって行うことができ
る。まず、一定量のクロラニル酸及び凝集剤、並びに必
要な場合にはpH調整剤を含有した定量試薬にカルシウ
ムを含む測定試料を混合するか、又は測定試料に定量試
薬を混合し、カルシウムとクロラニル酸を反応させ沈殿
させる。クロラニル酸は溶液中でカルシウムと化学量論
的に反応し不溶性の塩を形成し、凝集剤の作用によって
沈殿する。クロラニル酸溶液は波長530nmに極大を
持つ紫色の呈色を示すが、カルシウムとの沈殿の形成に
伴って溶液中のクロラニル酸濃度が減少するため呈色も
弱くなる。したがって前記沈殿後の、溶液中のクロラニ
ル酸の呈色の減少量を測定することによって、測定試料
中のカルシウム濃度を定量することができる。
【0030】なお、クロラニル酸及び凝集剤の混合順は
いずれであってもよい。また、pH調整剤を用いる場合
には、pH調整剤はクロラニル酸及び凝集剤と同時又は
これらより先に試料と混合する。したがって、本発明に
おいて用いられる定量試薬は、それぞれ単独のものを用
いることもできるが、前記3種類を混合したもの又は2
種類を混合したものも好適に用いられる。
【0031】本発明で呈色試薬として用いるクロラニル
酸とは、クロラニル酸の遊離酸及びクロラニル酸塩のこ
とをいう。クロラニル酸塩としては、測定の容易さの面
において水溶性の塩が好ましく、より好ましくは、ナト
リウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩等である。ま
た、遊離酸は水和水を含まないため、発色試薬の調製時
の組成がより正確に得られるため、より精度の高い測定
においては好適に用いられる。
【0032】本発明で使用するクロラニル酸の量は、測
定試料に含まれるカルシウムに対して当量以上あれば特
に限定されない。例えば、本発明の主な利用分野である
農業分野において測定試料に含まれるカルシウムの濃度
範囲は典型的には0〜700mg/lである。この範囲
のカルシウム含量を測定するためには、例えば測定試料
2.00mlに対して、クロラニル酸を5.00mg/
mlの濃度で含んだ定量試薬を3.00ml混合すれば
よい。
【0033】従来から知られているクロラニル酸を使っ
たカルシウム定量法では、カルシウムとクロラニル酸を
反応させた後の沈殿を除去する方法として、ろ紙等のフ
ィルターによるろ過を行い、そのろ液を測定していた。
一方、本発明においてはカルシウムとクロラニル酸を反
応させた後の沈殿を除去する方法として、前記のとお
り、定量試薬に凝集剤を添加し沈殿を凝集・沈降させた
後の上澄み液を測定する方法を用いている。この方法に
よれば、従来のろ過による方法と比べ沈殿除去操作を簡
便にすることができるため、本発明の方法は、農業分野
でのカルシウム定量方法として好適である。
【0034】本発明の方法においては、凝集剤を用いる
ため、測定試料と定量試薬を混合後、短時間でクロラニ
ル酸・カルシウムの不溶体が沈降し上澄み液の呈色を測
定できる状態になる。例えば、凝集剤として分子量5、
000、000のポリアクリルアミドを反応系中の濃度
が300mg/lとなるように添加した場合、1分以内
に沈殿が沈降し溶液の呈色を測定できるようになる。ま
たろ別等によって溶液を別の容器に移すことなく測定で
きるため、操作が簡便かつ短時間で行えるようになる。
【0035】本発明で使用できる凝集剤としては、先に
挙げたポリアクリルアミドのほか、硫酸アルミニウム、
硫酸第一鉄、日本工業規格JIS−K1475:199
6に示された水道用ポリ塩化アルミニウム等の無機塩、
ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の非
イオン性高分子、ポリアミノアルキル(メタ)アクリレ
ート、ポリビニルピリジニウムハライド、ポリアミノメ
チルアクリルアミド、ポリビニルイミダゾリン、キトサ
ン等のカチオン性高分子、ポリアクリル酸ソーダ、ポリ
スルホメチル化ポリアクリルアミド等のアニオン性高分
子等が挙げられる。
【0036】なかでも沈殿の凝集作用が大きく沈殿が沈
降しやすい点において非イオン性高分子が好適であり、
ポリアクリルアミドが特に好適である。これらの凝集剤
はそれぞれ単独で使用してもよいし、2種類以上を混合
して使用してもよい。定量試薬に加える凝集剤の好適な
濃度は凝集剤の種類によって異なるが、例えば硫酸アル
ミニウムにおいては、反応系中の濃度が50.0mg/
l〜10,000mg/lとなるように添加するのが好
ましく、より好ましくは、200mg/l〜2,000
mg/lである。また、ポリアクリルアミドの場合に
は、平均分子量が10,000〜10,000,000
が好ましく、より好ましくは、5,000,000〜
6,000,000であり、その濃度は、反応系中の濃
度が10.0mg/l〜1,000mg/lとなるよう
に添加するのが好ましく、より好ましくは50.0mg
/l〜300mg/lである。
【0037】次に、pH調製剤を用いた、本発明の態様
について説明する。カルシウムとクロラニル酸との反応
は、一定範囲のpH域において好適に行われる。したが
って、本発明の方法においては、測定試料のpHを前記
pHに維持することが好ましい。かかる目的のために、
本発明の方法においては、pH調製剤を用いることも可
能である。本発明で使用するpH調整剤は、カルシウム
とクロラニル酸が反応できるpHを維持するためのもの
であれば特に制限はない。すなわち、クロラニル酸の2
価の酸解離定数は2.72であり反応系のpHが2.7
2以上であるときカルシウムなどの2価の金属イオンと
反応することから、クロラニル酸とカルシウムが反応で
きるpHを維持するためのpH調整剤としては、反応系
のpHを2.72以上に調整でき、かつカルシウムと不
溶性の塩を生じないものであればよい。
【0038】このようなpH調整剤としては、公知のも
ののいずれも用いることができる。例えば、フタル酸ナ
トリウム、フタル酸カリウム、フタル酸水素カリウム、
フタル酸アンモニウム等のフタル酸塩、酢酸ナトリウ
ム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム等の酢酸塩、ホウ
酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸水素カリウム等
のホウ酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水
酸化アルカリ、アルカノールアミン及びプロピオン酸な
どの水溶性カルボン酸塩並びにトリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタン、いわゆるグッドの緩衝液と呼ばれ
る、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、N−2
−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスル
ホン酸等の両イオン性アミノ酸類等を用いることができ
る。
【0039】なお、本発明の方法における前記pH調製
剤は、カルシウムとクロラニル酸との反応を促進するの
みならず、以下のような機能も有するものである。
【0040】測定試料中のマグネシウム、鉄、アルミニ
ウム、マンガン、ストロンチウム、バリウム等は、クロ
ラニル酸と反応してクロラニル酸とカルシウムとの結合
を阻害し得る物質であり、クロラニル酸法によるカルシ
ウムの定量を不正確にするものである。例えば、農業分
野における試料には、多くの場合10.0〜100mg
/lのマグネシウムが共存しているが、マグネシウムは
カルシウムと同様にクロラニル酸と不溶体を形成するた
め、該分野における試料中のカルシウム含量を定量する
際の主要な妨害成分である。したがって、マグネシウム
の測定値に対する影響を排除することが、クロラニル酸
法による正確なカルシウム含量測定のためには必須であ
る。
【0041】マグネシウムを含む試料を測定対象する際
には、pH調整剤として反応系のpHをアルカリ性に維
持するものを用いることによってマグネシウムが水酸化
物となることを利用して、マグネシウムの測定値への影
響を回避することができる。すなわち、クロラニル酸法
においては、前記pH調製剤によって、マグネシウム等
の共存妨害物質の測定値に対する影響を排除することが
できる。したがって、本発明の方法においては、pH調
整剤の添加によって、カルシウムとクロラニル酸との反
応が促進されるとともに、マグネシウムのクロラニル酸
との反応が阻害され、より正確な測定が可能になる。
【0042】すなわち、本発明で使用されるpH調整剤
は、カルシウムとクロラニル酸が反応できるpHを維持
するためのものであるとともに、測定試料中に含まれる
カルシウム以外の物質による測定値への影響を排除する
機能も有するものである。
【0043】図1に一定量のカルシウムおよび異なる濃
度のマグネシウムを含んだ試料を本発明の方法で測定し
た結果を示す。測定試料中のマグネシウム濃度が異なる
測定試料間で、測定値である吸光度は変化しなかった。
すなわち、本発明の方法によって、測定試料中のカルシ
ウムを正確に定量できることが明らかになった。
【0044】このような性質を有するpH調整剤とし
て、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等
の、水酸化アルカリ等の強アルカリを用いることができ
る。反応系中のpH調整剤の濃度は特に限定されない
が、水酸化アルカリが多量に存在すると測定試料中のカ
ルシウムが水酸化物として沈殿し測定値に誤差を生じる
ため好ましくない。したがってpH調整剤として水酸化
アルカリを使用する場合、反応系中の濃度が0.001
00〜0.250mol/lが好ましく、より好ましく
は、0.100〜0.250mol/lである。
【0045】クロラニル酸の呈色を測定する方法として
は、呈色状態を肉眼で観察しこれを標準溶液の呈色状態
又は呈色表のような呈色状態を標準色に置き換え指標と
したものと比較する方法を用いることができる。また、
分光光度計又は比色計を使用して標準溶液の吸光度を測
定し、標準溶液のカルシウム濃度を第1軸にとりその吸
光度を第2軸にとったグラフを検量線として、測定試料
を測定したときの吸光度から測定試料中のカルシウム濃
度を求めれば、より正確な定量値をえることができる。
【0046】なお、この検量線は一度作成すればよく、
その後同じ検量線を、如何なる試料に対しても同様に使
用できる。より高い精度で測定するためには、分光光度
計を使用することが好ましい。
【0047】本発明で測定できる試料としては、例え
ば、黒ボク土、褐色森林土、灰色低地土、細粒グライ
土、黄色土、砂丘未熟土などの土壌、シクラメン、ホウ
レンソウ、ミカン、キュウリ、セルリーなどの花卉及び
作物体、牛乳、清涼飲料水、栄養補助食品等の食料品及
び飲料水、血液、尿等の体液、環境中の水などが挙げら
れるがこれらに限定されるものではない。特に、カルシ
ウム含量が高い試料、例えば土壌及び作物体などの農業
分野における試料中のカルシウムの定量に、本発明の方
法は好適である。
【0048】本発明における定量用キットは、クロラニ
ル酸、凝集剤、及び必要に応じてpH調整剤を含む、カ
ルシウムの定量に必要な試薬を含む一式であり、それら
を別個に含むか、あるいは2種類または全てを混合させ
たものでもでもよい。さらに、これらの試薬の他、測定
に用いられる器材を携帯可能なキットにしておくことは
利便性の面で好ましい。さらに、このキットに、クロラ
ニル酸、pH調整剤及び凝集剤のほか、試料の測定に必
要なピペット、マイクロチューブ、フィルター付き注射
器、反応容器、光度計等を持ち運び可能な容器に収納し
たものは、作業の簡便化、効率化の面において更に好ま
しい。
【0049】例えば、前記農業分野においては、カルシ
ウムの定量を農場などの屋外で行うことが多い。そのた
め、そのような場所において用いる測定方法には、測定
試料の温度によって測定値に誤差を生じないことが好ま
しい。本発明によるカルシウム定量法では、測定試料の
温度が変化しても測定値に誤差を生じない。図2に温度
の異なる測定試料について本発明の方法で測定した結果
を示す。測定試料の温度が変化しても測定値である吸光
度は変化しなかった。したがって、本発明によるカルシ
ウム定量法は温度安定性に優れ、屋外での測定にも極め
て好適である。
【0050】また、農業分野において測定試料として土
壌や作物体の抽出液を調製する場合、水や酢酸アンモニ
ウム等の塩類を含む溶液で抽出する場合や、作物などを
搾った液体を測定試料とする場合等があり、この場合に
は測定試料のpHが大きく変化する。したがって、そこ
で用いられる測定方法には、反応系のpHが変化しても
測定値が変動しないものであることが要求される。
【0051】図3に、本発明によるカルシウム定量法で
反応系のpHを変えたときの、測定試料中のカルシウム
濃度と測定値である吸光度との関係を示す。反応系のp
Hが変化しても測定値は変化せず、pHが異なる測定試
料についても正確にカルシウムを定量できることが明ら
かになった。
【0052】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。また比較例として、従来、溶液中のカルシウムの定
量に多く用いられている方法で実施例と同一の測定試料
を測定した結果を示す。なお、各実施例中において、ク
ロラニル酸として遊離クロラニル酸を用いた。
【0053】〔実施例1〕 (方法)2種類の土壌抽出液を測定試料として本発明方
法を用いてカルシウムの定量を行った。まず、検量線を
作成した。クロラニル酸2.50g、水酸カリウム5.
60gを水に溶解しメスフラスコで全量を500mlと
した(以下これを「試薬A」とする)。ポリアクリルア
ミド0.150gを水に溶解しメスフラスコで全量を5
00mlとした(以下これを「試薬B」とする)。1
0.0ml容のガラス容器に測定試料としてカルシウム
標準液(0、50、100、200、300、500、
700mg/l)を2.00ml入れ、そこに試薬Aを
2.00ml及び試薬Bを2.00mlそれぞれ加えて
よく混合した後、2分間静置した。沈殿が沈降した上澄
み液を分光光度計用石英セル(光路長1.00cm)に
移し、分光光度計で波長530nmにおける吸光度を測
定した。
【0054】その結果を図4に示す。図4に示すよう
に、作物体中のカルシウム含量を測定するために必要
な、カルシウム濃度0〜700mg/lの範囲で試料中
のカルシウム濃度と吸光度が良好な相関を示した。これ
を土壌抽出液中のカルシウムを定量する際の検量線とし
た。検量線の作成は一度限りでよく、ここで作成した検
量線をこれ以降の全ての実施例において使用した。
【0055】次に、実際の試料におけるカルシウム含量
の測定を行った。検量線の場合と同様にして2種類の土
壌抽出液中のカルシウムを定量した。土壌抽出液とは、
耕作地より採取した土壌を日陰で風乾した後、その土壌
と土壌の5倍量の水とをポリエチレン製広口瓶に密封し
て振とう混合し、その混合物を濾紙でろ過した後のろ液
である。
【0056】土壌抽出液2.00mlをガラス容器に入
れ、試薬A及び試薬Bをそれぞれ2.00mlずつ加え
よく混合した後2分間静置した。沈殿が沈降した上澄み
を分光光度計用セルに移し波長530nmにおける吸光
度を測定した。この吸光度を検量線と比較することで土
壌抽出液中のカルシウムを定量した。結果を表1に示
す。表1に示すとおり、2種類の土壌抽出液中のカルシ
ウムは、それぞれ670mg/lと1.00mg/lで
あった。
【0057】
【表1】
【0058】〔実施例2〕本発明方法を用いてシクラメ
ン抽出液中のカルシウムを定量した。シクラメン抽出液
とはシクラメンの茎及び葉柄2.00gを厚さ2mmに
切断したものを三角フラスコに入れ、そこに水20.0
ml加え30分間振とうしたのち、その上澄み液を採取
したものである。シクラメン抽出液2.00mlをガラ
ス容器に入れ前記試薬Aおよび前記試薬Bとを2.00
mlずつ加えて混合し、沈殿が沈降した後、波長530
nmにおける上澄み液の吸光度を測定した。検量線とし
て図1に示したもの用い、シクラメン抽出液中のカルシ
ウムを算出した。
【0059】結果を表2に示す。表2に示すとおり、シ
クラメン抽出液中のカルシウム濃度は11.0mg/l
であった。
【表2】
【0060】〔実施例3〕本発明の方法を用いて牛乳中
のカルシウムを定量した。測定試料として、牛乳5.0
0mlに25.0%トリクロロ酢酸20.0mlを加え
て30分間混合した後、水を加え全量を250mlとし
たものをろ紙でろ過したろ液を用いた。測定試料2.0
0mlをガラス容器に入れ試薬Aと試薬Bとを2.00
mlずつ加え混合し、沈殿が沈降した後、上澄み液の波
長530nmにおける吸光度を測定した。検量線として
図1に示したもの用い、測定試料中のカルシウムを算出
した。
【0061】結果を表3に示す。表3に示すとおり、牛
乳中のカルシウム濃度は1455mg/lであった。
【表3】
【0062】〔比較例1〕実施例1と同じ2種類の土壌
抽出液を測定試料としてICP発光分析法を用いてカル
シウムを定量した。土壌抽出液1.00mlに1.00
%硝酸を加え全量を100mlとした溶液をICP発光
分析装置で測定した。測定波長には317.933nm
を用いた。これとは別にカルシウム標準液を同様に測定
して得られた検量線から土壌抽出液中のカルシウム濃度
を求めた。
【0063】結果を表4に示す。表4に示すとおり、2
種類の土壌抽出液中のカルシウムはそれぞれ640mg
/lおよび2.00mg/lであった。
【表4】
【0064】〔比較例2〕実施例3と同じ牛乳に含まれ
るカルシウムをキレート滴定法で定量した。測定試料と
して、牛乳5.00mlに25.0%トリクロロ酢酸2
0.0mlを加え30分間混合した後、水を加え全量を
100mlとしたものをろ紙でろ過したろ液を用いた。
2−ヒドロキシ−1−(2’−ヒドロキシ−4’−スル
ホ−1’−ナフチルアゾ)−3−ナフトエ酸0.100
gと無水硫酸カリウム10.0gを乳鉢ですりつぶし混
合した(以下これを「NN指示薬」とする)。
【0065】100ml三角フラスコに測定試料50.
0mlをとり、0.100g/ml塩化ヒドロキシルア
ンモニウム水溶液1.00mlと0.100g/mlシ
アン化カリウム水溶液0.500ml加えた。更に8.
00mol/l水酸化カリウム水溶液を4.00ml加
えよく振り混ぜた後5分間放置した。NN指示薬を0.
100g加え、0.0100mol/l EDTA水溶
液によって、溶液の色が赤色が青色となった点を終点と
して滴定した。EDTA水溶液の滴下量から試料中のカ
ルシウム量を算出した。結果を表5に示す。表5に示す
とおり、牛乳中のカルシウム濃度は1445mg/lで
あった。
【表5】
【0066】本発明の方法によって測定した実施例1〜
3におけるカルシウムの定量値は、公知の方法による測
定値と一致した。したがって、本発明の方法によって、
試料中のカルシウム含量を、従来法と同等の精度によっ
て、簡便・迅速かつ安全に測定できることが明らかにな
った。
【0067】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の方法は、
従来法と比較して操作が簡便で、かつ高価な大型分析装
置を用いないにも拘わらず、従来法と同等の精度で試料
中のカルシウムを定量することができる。更に従来法の
欠点であった、試料の温度やpHの変化、カルシウム以
外の共存物質による測定値の誤差が無いため、様々な条
件の測定試料について正確な測定を行うことができる。
また、定量試薬に毒物及び劇物を一切使用していないた
め、安全に測定することができ、かつ測定によって生じ
る廃液の廃棄が容易である。したがって本発明の方法
は、例えば農業分野で使用されるような簡易分析法とし
て最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 同一濃度のカルシウム標準液に異なる濃度の
マグネシウムを添加した溶液を本発明のカルシウム定量
方法で測定したときの吸光度を比較したものである。
【図2】 温度の異なる同一濃度のカルシウム標準液を
本発明のカルシウム定量方法で測定したときの吸光度を
比較したものである。
【図3】 本発明のカルシウム定量方法において、反応
系のpHを変えた条件での測定試料中のカルシウム濃度
と吸光度との関係を比較したものである。
【図4】 本発明のカルシウム定量方法における測定試
料中のカルシウム濃度と分光光度計による吸光度との関
係を示したものである。
フロントページの続き (72)発明者 大瀧 伸之 埼玉県草加市稲荷1−7−1 関東化学株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 2G042 AA01 BC02 CA02 CA05 DA08 EA06 FA11 FB02 2G054 AA10 AB10 BB20 CA10 CE01 GA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中のカルシウムを定量するための方
    法であって、クロラニル酸及び凝集剤を該試料に混合し
    た後、前記試料の呈色状態を評価することによって、前
    記試料中のカルシウム含量を測定することを含む、前記
    方法。
  2. 【請求項2】 凝集剤が、ポリアクリルアミドであるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 pH調整剤を試料にさらに混合すること
    を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 pH調整剤が、アルカリ性物質であるこ
    とを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 クロラニル酸及び凝集剤を含むことを特
    徴とする、試料中のカルシウムを定量するためのキッ
    ト。
  6. 【請求項6】 pH調整剤をさらに含むことを特徴とす
    る、請求項5に記載のキット。
  7. 【請求項7】 pH調整剤、クロラニル酸及び凝集剤の
    うちの1又は2以上が、同一の容器に収納されているこ
    とを特徴とする、請求項6に記載のキット。
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