JP2003268190A - 低誘電性耐熱樹脂組成物、ならびにこれを用いた成形品およびプリント配線板用金属張り基板 - Google Patents

低誘電性耐熱樹脂組成物、ならびにこれを用いた成形品およびプリント配線板用金属張り基板

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JP2003268190A
JP2003268190A JP2002074092A JP2002074092A JP2003268190A JP 2003268190 A JP2003268190 A JP 2003268190A JP 2002074092 A JP2002074092 A JP 2002074092A JP 2002074092 A JP2002074092 A JP 2002074092A JP 2003268190 A JP2003268190 A JP 2003268190A
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Tetsuya Ito
哲哉 伊藤
Kengo Ichinomiya
謙吾 一宮
Shigeru Asami
茂 浅見
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 成形性に優れ、耐熱性が高く、熱安定性が高
く、絶縁性が高く、線膨張係数が低く、さらには金属導
体層との密着性ないし接着性が良好である物性を示す低
誘電性耐熱樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 非極性α−オレフィン系(共)重合体セ
グメントおよび/または非極性共役ジエン系(共)重合
体セグメント5〜95%(質量百分率)とビニル芳香族
系(共)重合体セグメント95〜5%(質量百分率)と
から構成されるグラフト共重合体であって、グラフト共
重合体中の炭素原子と水素原子の個数の合計が全体の原
子の個数の99%以上であり、かつ一方のセグメントに
より形成された分散相が他方のセグメントにより形成さ
れた連続相中に微細に分散している多相構造を有する低
誘電性耐熱グラフト共重合体(I)と、さらにフェノー
ル系酸化防止剤を必須とする1種以上の酸化防止剤(I
I)からなる樹脂組成物であって、その樹脂組成物を成
形した際の180℃における貯蔵弾性率が106Pa以
上である低誘電性耐熱樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に電子部品用材
料として電気的特性等に優れる低誘電性耐熱樹脂組成物
とこれを用いた成形品およびプリント配線板用金属張り
基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高度情報化社会の進展に伴い、大
量の情報を高速で処理する必要が生じ、通信・電子機器
に使用される信号の周波数帯は、メガHz帯からギガH
z帯へと、より高周波帯域に移行している。しかしなが
ら、電気信号は、周波数が高くなる程伝送損失が大きく
なる性質があり、このような高周波帯域に対応した、優
れた高周波伝送特性を有する電気絶縁材料とそれを用い
た基板の開発が強く求められている。
【0003】プリント基板での伝送損失は、配線(導
体)の形状、表皮抵抗、特性インピーダンス等で決まる
導体損と配線周りの絶縁層(誘電体)の誘電特性で決ま
る誘電体損からなり、特に高周波回路では誘電体損によ
る電力ロスの影響が大きい。このエネルギー損失は熱エ
ネルギーとして回路内に放出され、電子機器の誤作動の
原因となり、また機器のエネルギー効率を著しく損な
う。
【0004】誘電体損は、材料の比誘電率(ε)と誘電
正接(tanδ)の積に比例して大きくなる。そのため
誘電体損を少しでも小さくするためには、比誘電率と誘
電正接がいずれも小さい材料を用いる必要がある。
【0005】コンピューター等の電子情報機器では、大
量の情報を短時間で処理するためにクロック周波数が1
GHzを遙かに越える超高速CPUの開発が進んでい
る。このような高周波信号を使用する機器ではプリント
基板上での信号遅延が問題になっている。プリント基板
上での信号遅延時間は、配線周りの絶縁層の比誘電率の
平方根に比例して長くなる。そのため信号遅延時間少し
でも小さくするためには、比誘電率が小さい材料を用い
る必要がある。このような電気特性を有する電気絶縁材
料としては通常、高分子絶縁材料が用いられる。
【0006】このような高分子絶縁材料としては、ポリ
オレフィン、フッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ビス
マレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、硬化性ポリ
フェニレンオキサイド、硬化性ポリフェニレンエーテル
等の熱硬化性樹脂などが種々提案されている。
【0007】しかしながら、低誘電損失の材料として電
子部品(素子)材料に使用する場合、特公昭52−31
272号公報に記載されているようなポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィンはC−C結合等の共有
結合を有し、且つ大きな極性基を持たないため電気特性
(誘電損失など)は優れているが、耐熱性が低いという
欠点がある。このため高温下での使用では、熱変形や電
気特性が悪化するため好適とはいえない。また、線膨張
係数が大きいので特にプリント配線板に使用する場合に
は、表面実装方式で部品を搭載したときの接続信頼性や
スルーホールメッキの信頼性に欠ける。さらにポリエチ
レンやポリプロピレンは一旦フィルムとして成形し、こ
れと接着剤を用いて導電材料に接着しているが、この方
法は加工工程が複雑となるばかりでなくフィルム形成層
の厚みを薄くすることが非常に難しいなど、形成上の問
題がある。
【0008】フッ化ビニリデン樹脂、トリフルオロエチ
レン樹脂、およびパーフルオロエチレン樹脂のようなフ
ッ素原子を分子鎖中に含有している重合体は、電気特
性、耐熱性、化学安定性に優れているが、ポリオレフィ
ンと同様に線膨張係数が大きいという欠点がある。ま
た、一般的な熱可塑性樹脂とは異なる特殊な成形方法を
必要とするため、成形物、あるいはフィルム等を得る際
に成形加工性に問題があり、且つデバイス化を行う際、
かなりの生産性が劣りコスト高となる。
【0009】一方、比較的耐熱性が良好な樹脂としてエ
ポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、
不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性
樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂に関しては、特開平6
−192392号公報に開示されているように、絶縁抵
抗性、絶縁破壊強度と耐熱温度においては要求性能を満
たしている。しかし、比誘電率が3以上と高く、満足さ
れる特性が得られていない。ポリフェニレンオキサイド
樹脂(PPO)と多官能シアン酸エステル樹脂類、さら
にこれらの樹脂に他の樹脂を配合し、ラジカル重合開始
剤を添加し、予備反応させてなる硬化可能な変性PPO
樹脂組成物が知られている(特開平6−32879号公
報)。しかし、比誘電率は3以上で充分満足できるレベ
ルまで至っていない。
【0010】さらに耐熱性の乏しいエポキシ樹脂の改良
目的で、例えばフェノール樹脂やビニルトリアジン樹脂
等との組み合わせも検討されているが、フィルムとして
力学的特性が著しく低下するという欠点がある。
【0011】そこで、電気特性を維持したまま上記の問
題点、具体的には加工性の改良、銅などの金属導電体
(層)との密着性や接着性の改良を目的として、分岐シ
クロ環アモルファスフッ素ポリマー、パーフルオロエチ
レンモノマーと他のモノマーとの共重合体等が提案され
ているが、電気特性は満たすものの、高分子主鎖に存在
するメチレン鎖の影響のため耐熱性が低下している。
【0012】また電気特性に優れた電気絶縁材料に求め
られる性能としてはんだ耐熱性がある。これはデバイス
化の過程に必ずはんだ付け工程が入るためである。さら
に耐アルカリ性等の化学的安定性、および耐湿性や機械
的特性も優れていなければならない。これらの要求を満
足する高分子素材は更に限られ、例えば、ポリイミド、
ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポ
リスルフォン、熱硬化性ポリフェニレンエーテル(PP
E)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が知ら
れているにすぎない。これらの高分子は薄帯形成能を有
し、金属あるいはデバイス基板等に対する密着性はある
が、比誘電率と誘電正接がいずれも大きく、高周波伝送
特性は満足できるものではない。
【0013】このような現状に鑑みて、発明者等は国際
公開第WO99/10435号公報において、低誘電特
性、耐熱性、成形性および金属との密着性等に優れる材
料として、炭素原子と水素原子の原子数の和が99%以
上であり、かつ樹脂分子間の一部または全てが相互に架
橋、ブロック重合およびグラフト重合から選ばれる1種
以上の化学的結合を有する耐熱性低誘電性樹脂を提案し
ている。また、上記の材料を低線膨張率化し、広範囲に
比誘電率を変化させ得る技術として、国際公開WO99
/54888号公報において、耐熱性低誘電性樹脂と充
填材からなる複合誘電体樹脂組成物を提案した。
【0014】前記の材料は、高周波領域での使用に好適
な電気特性を有し、耐熱性が高く、絶縁性が高く、線膨
張係数が低く、さらには金属導体層との密着性ないし接
着性が良好であり基板用絶縁材料として優れた特性を有
しているが、一方で熱安定性とフィルムまたはシート成
形性にやや難があった。特に厚さ0.1mm以下のフィ
ルムへの成形が困難であり、そのため薄肉基板等に加工
するためには特殊な成形技術を必要とする等の問題があ
った。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、高周波領域での使用に好適な電気特性を有し、シー
トあるいはフィルムの成形性に優れ、耐熱性が高く、熱
安定性が高く、絶縁性が高く、線膨張係数が低く、さら
には金属導体層との密着性ないし接着性が良好である低
誘電性耐熱樹脂組成物を提供することである。本発明の
第2の目的は、前記の低誘電性耐熱樹脂組成物を用いた
特定の成形品を提供することにある。本発明の第3の目
的は、プリント配線板用金属張り基板を提供することに
ある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記の背
景を鑑みて鋭意検討した結果、低誘電性耐熱グラフト共
重合体に対して特定の酸化防止剤を配合することによ
り、目的とする特性を有する樹脂組成物が得られ、さら
に簡便な成形方法により、前記材料を用いた特定の成形
品とプリント配線板用金属張り基板が得られることを見
いだし、本発明を完成するに至った。
【0017】このような目的は、下記の本発明により達
成される。 (1) 非極性α−オレフィン系(共)重合体セグメン
トおよび/または非極性共役ジエン系(共)重合体セグ
メント5〜95%(質量百分率)とビニル芳香族系
(共)重合体セグメント95〜5%(質量百分率)とか
ら構成されるグラフト共重合体であって、グラフト共重
合体中の炭素原子と水素原子の個数の合計が全体の原子
の個数の99%以上であり、かつ一方のセグメントによ
り形成された分散相が他方のセグメントにより形成され
た連続相中に微細に分散している多相構造を有する低誘
電性耐熱グラフト共重合体(I)と、さらにフェノール
系酸化防止剤を必須とする1種以上の酸化防止剤(II)
からなる樹脂組成物であって、その樹脂組成物を成形し
た際の180℃における貯蔵弾性率が106Pa以上で
ある低誘電性耐熱樹脂組成物。 (2) 低誘電性耐熱グラフト共重合体(I)が100
部(質量)に対して、酸化防止剤(II)を0.01〜1
0部(質量)の割合で含む上記(1)に記載の低誘電性
耐熱樹脂組成物。 (3) 2GHzにおける比誘電率が3.0以下で、誘
電正接が0.003以下である上記(1)または(2)
に記載の低誘電性耐熱樹脂組成物。 (4) 酸化防止剤(II)がペンタエリスリトールの誘
導体である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の低誘
電性耐熱樹脂組成物。 (5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の低誘電
性耐熱樹脂組成物を用いた成形品。 (6) フィルムまたはシートである上記(5)に記載
の成形品。 (7) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の低誘電
性耐熱樹脂組成物と補強基材を複合させてなる強化フィ
ルムまたは強化シートである成形品。 (8) 上記(6)に記載のフィルムもしくはシート、
または上記(7)に記載の強化フィルムもしくは強化シ
ートの片面または両面に金属層を設けてなるプリント配
線板用金属張り基板。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。まず、本発明において使用される低誘電性耐熱グ
ラフト共重合体(I)に関して低誘電性耐熱の定義につ
いて説明する。本発明において低誘電性とは、材料の電
気的性質のことで、比誘電率と誘電正接が共に低いこと
を指す。特に本発明における好ましい低誘電特性とは、
2GHzにおける比誘電率が3.0以下で誘電正接が
0.003以下である。また本発明において耐熱とは、
180℃における貯蔵弾性率が106Pa以上であるこ
とを指す。こうすることにより、溶融したはんだと材料
を接触させても変形や樹脂を溶融させることのない材料
とすることができる。
【0019】次に本発明において使用される低誘電性耐
熱グラフト共重合体(I)とは、非極性α−オレフィン
系(共)重合体セグメントおよび/または非極性共役ジ
エン系(共)重合体セグメントとビニル芳香族系(共)
重合体セグメントとからなり、グラフト共重合体の構成
セグメントである非極性α−オレフィン系(共)重合体
とは、高圧ラジカル重合、中低圧イオン重合等従来公知
の方法で得られる非極性α−オレフィン単量体の単独重
合体または2種類以上の非極性α−オレフィン単量体の
共重合体、および1種以上の非極性α−オレフィン単量
体と芳香族ビニル等の非極性ビニル系単量体との共重合
体である。極性ビニル単量体との共重合体は誘電正接が
高くなるため不適である。上記重合体の非極性α−オレ
フィン単量体としては、エチレン、プロピレン、ブテン
−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテ
ン−1類が挙げられ、なかでもエチレン、プロピレン、
ブテン−1、4−メチルペンテン−1が好ましい。また
非極性ビニル系単量体としては、スチレン、核置換スチ
レン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、エチ
ルスチレン、イソプロピルスチレン、α−置換スチレ
ン、例えばα−メチルスチレン、α−エチルスチレン、
o−、m−、p−ジビニルベンゼン(好ましくはm−、
p−ジビニルベンゼン、特に好ましくはp−ジビニルベ
ンゼン)等が挙げられる。
【0020】前記非極性α−オレフィン系(共)重合体
の具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリ
エチレン、超超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、低分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、スチ
レン−エチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピ
レン共重合体、ポリブテン、ポリ4−メチルペンテン−
1等が挙げられる。また、これらの非極性α−オレフィ
ン(共)重合体は、単独で使用することも、2種類以上
併用することもできる。
【0021】本発明において使用される低誘電性耐熱グ
ラフト共重合体(I)の構成セグメントである非極性共
役ジエン系(共)重合体とは、従来公知の方法によって
得られる非極性共役ジエン単量体の単独重合体または2
種類以上の非極性共役ジエン単量体の共重合体、および
1種以上の非極性共役ジエン単量体と芳香族ビニル等の
非極性ビニル系単量体との共重合体である。前記重合体
の非極性共役ジエン単量体としては、ブタジエン、イソ
プレン、1,3−ペンタジエン、シクロペンタジエン、
シクロヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジ
エン、ピペリレン、3−ブチル−1,3−オクタジエ
ン、フェニル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。ま
た、非極性ビニル単量体としては、前記の単量体類が挙
げられる。
【0022】前記非極性共役ジエン系(共)重合体の具
体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチ
レン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−ス
チレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重
合体等が挙げられる。これらの(共)重合体は単独で使
用することも、2種類以上併用することもできる。
【0023】このような非極性α−オレフィン系(共)
重合体あるいは非極性共役ジエン系(共)重合体の好ま
しい分子量は重量平均絶対分子量で1000以上であ
る。この上限には特に制限はないが、成形性の観点から
10000000程度である。
【0024】本発明において使用される低誘電性耐熱グ
ラフト共重合体(I)の構成セグメントであるビニル芳
香族系(共)重合体とは、基本的に非極性の重合体であ
り、具体的には、スチレン、核置換スチレン、例えばメ
チルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イ
ソプロピルスチレン、α−置換スチレン、例えばα−メ
チルスチレン、α−エチルスチレン、o−、m−、p−
ジビニルベンゼン(好ましくはm−、p−ジビニルベン
ゼン、特に好ましくはp−ジビニルベンゼン)等の各単
量体の(共)重合体等が挙げられる。このように非極性
のものが良い理由は、極性官能基を持った単量体を共重
合で導入すると、誘電正接が高くなる傾向があるからで
ある。このようなビニル芳香族系(共)重合体は単独で
使用することも、2種類以上併用することもできる。
【0025】なかでもビニル芳香族系共重合体として
は、ジビニルベンゼンの単量体を含むビニル芳香族系共
重合体が耐熱性を向上させる上で好ましい。ジビニルベ
ンゼンを含むビニル芳香族系共重合体とは、具体的に
は、スチレン、核置換スチレン、例えば、メチルスチレ
ン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピル
スチレン、α−置換スチレン、例えば、α−メチルスチ
レン、α−エチルスチレン等の各単量体とジビニルベン
ゼンの単量体の共重合体である。
【0026】ビニル芳香族系(共)重合体セグメント中
のジビニルベンゼンの単量体と、これ以外の前記のよう
なビニル芳香族の単量体との割合は特に限定はないが、
はんだ耐熱性を満足するために、ジビニルベンゼンの単
量体の割合が1%(質量百分率)以上、好ましくは5%
(質量百分率)以上、さらに好ましくは10%(質量百
分率)以上含まれていることが好ましい。ジビニルベン
ゼンの単量体は100%(質量百分率)でも構わない
が、合成上の問題から上限は90%(質量百分率)が好
ましい。
【0027】このような一方のセグメントであるビニル
芳香族系(共)重合体の分子量は、重量平均絶対分子量
で1000以上であることが好ましい。この上限には特
に制限はないが、10000000程度である。
【0028】本発明において使用される低誘電性耐熱グ
ラフト共重合体(I)は、オレフィン系(共)重合体セ
グメントおよび/または非極性共役ジエン系(共)重合
体セグメントが5〜95%(質量百分率)、好ましくは
40〜90%(質量百分率)、最も好ましくは50〜8
0%(質量百分率)からなるものである。したがって、
ビニル系(共)重合体セグメントは95〜5%(質量百
分率)、好ましくは60〜10%(質量百分率)、最も
好ましくは50〜20%(質量百分率)である。
【0029】オレフィン系(共)重合体セグメントある
いは非極性共役ジエン系(共)重合体セグメントが少な
くなると、成形物が脆くなるため好ましくない。また、
オレフィン系(共)重合体セグメントあるいは非極性共
役ジエン系(共)重合体セグメントが多くなると、金属
との密着性やはんだ耐熱性が低くなるため好ましくな
い。
【0030】本発明において使用される低誘電性耐熱グ
ラフト共重合体(I)は、共重合体中の炭素原子と水素
原子の個数の合計が全体の原子の個数の99%以上のも
のである。炭素原子と水素原子の個数の合計を99%以
上とするのは、共重合体中に存在する化学的結合を非極
性結合とするためであり、これにより低誘電正接が得ら
れる。炭素原子と水素原子の個数の合計が99%より少
ない場合、特に酸素原子や、窒素原子などの極性分子を
形成する原子の個数が1%より多く含まれる場合、誘電
正接が高くなるため不適である。
【0031】また、本発明でいう低誘電性耐熱グラフト
共重合体(I)とは、非極性α−オレフィン系(共)重
合体セグメントおよび/または非極性共役ジエン系
(共)重合体セグメントとビニル芳香族系(共)重合体
セグメントとから構成され、一方のセグメントにより形
成された分散相が他方のセグメントにより形成された連
続相中に微細に分散している多相構造を有するものをい
う。
【0032】分散している重合体の粒子径は0.001
μm〜10μm、好ましくは0.001μm〜5μmで
ある。分散樹脂粒子径が10μmを越える場合は、例え
ば機械的物性が低下したり、外観が悪化したりするため
好ましくない。
【0033】本発明の低誘電性耐熱グラフト共重合体
(I)を製造する際のグラフト化法は、一般によく知ら
れている連鎖移動法、電離性放射線照射法等いずれの方
法によっても良いが、最も好ましいのは、下記に示す方
法によるものである。なぜならグラフト効率が高く、熱
による二次的凝集が起こらないため、性能の発現がより
効果的であり、また製造方法が簡便であるためである。
【0034】以下、本発明の低誘電性耐熱グラフト共重
合体(I)の製造方法を具体的に記述する。すなわち、
非極性α−オレフィン系(共)重合体の合計100部
(質量)を水に懸濁させて、別にビニル芳香族系単量体
5〜400部(質量)に、下記式(1)または(2)で
表されるラジカル共重合性有機過酸化物の1種または2
種以上の混合物を前記ビニル芳香族系単量体100部
(質量)に対して0.1〜10部(質量)と、10時間
の半減期を得るための分解温度が40〜90℃であるラ
ジカル重合開始剤をビニル芳香族系単量体およびラジカ
ル共重合性有機過酸化物との合計100部(質量)に対
して0.01〜5部(質量)とを溶解させた溶液を加
え、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こらない条
件で加熱し、ビニル芳香族系単量体、ラジカル共重合性
有機過酸化物およびラジカル重合開始剤を非極性α−オ
レフィン系(共)重合体に含浸させて、ついでこの水性
懸濁液の温度を上昇させ、ビニル芳香族系単量体および
ラジカル共重合性有機過酸化物を非極性α−オレフィン
系(共)重合体中で共重合させて、グラフト化前駆体を
得る。
【0035】ついでこのグラフト化前駆体を100〜3
00℃の溶融下、混練することにより、本発明のグラフ
ト共重合体を得ることができる。このときグラフト化前
駆体に、別にオレフィン系(共)重合体および/または
非極性共役ジエン系(共)重合体あるいはビニル系
(共)重合体を混合し、100〜300℃の溶融下に混
練してもグラフト共重合体を得ることができる。このう
ち最も好ましいのはグラフト化前駆体を100〜300
℃の溶融下混練して得られたグラフト共重合体である。
【0036】前記式(1)で表されるラジカル共重合性
有機過酸化物とは、次式
【0037】
【化1】
【0038】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜
2のアルキル基、R2は水素原子またはメチル基、R3
よびR4はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R5は炭
素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のフェニル
基もしくはアルキル置換フェニル基、または炭素数3〜
12のシクロアルキル基を示す。mは1または2であ
る。)で表される化合物である。
【0039】また、前記式(2)で表されるラジカル共
重合性有機過酸化物とは、次式
【0040】
【化2】
【0041】(式中、R6は水素原子または炭素数1〜
4のアルキル基、R7は水素原子またはメチル基、R8
よびR9はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R10
炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のフェニ
ル基もしくはアルキル置換フェニル基または炭素数3〜
12のシクロアルキル基を示す。nは0、1または2で
ある。)で表される化合物である。
【0042】式(1)で表されるラジカル共重合性有機
過酸化物として、具体的には、t−ブチルペルオキシア
クリロイロキシエチルカーボネート;t−アミルペルオ
キシアクリロイロキシエチルカーボネート;t−ヘキシ
ルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシアクリ
ロイロキシエチルカーボネート;クミルペルオキシアク
リロイロキシエチルカーボネート;p−イソプロピルク
ミルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;
t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボ
ネート;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシエチ
ルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタクリロイ
ロキシエチルカーボネート;1,1,3,3−テトラメ
チルブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボ
ネート;クミルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ
ーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシメタク
リロイロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキ
シアクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;t−
アミルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカー
ボネート;t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシエ
トキシエチルカーボネート;1,1,3,3−テトラメ
チルブチルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチル
カーボネート;クミルペルオキシアクリロイロキシエト
キシエチルカーボネート;p−イソプロピルクミルペル
オキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;
t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチ
ルカーボネート;t−アミルペルオキシメタクリロイロ
キシエトキシエチルカーボネート;t−ヘキシルペルオ
キシメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタク
リロイロキシエトキシエチルカーボネート;クミルペル
オキシメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネー
ト;p−イソプロピルクミルペルオキシメタクリロイロ
キシエトキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキ
シアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;t−ア
ミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネ
ート;t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシイソプ
ロピルカーボネート;1,1,3,3−テトラメチルブ
チルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネ
ート;クミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピル
カーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシアク
リロイロキシイソプロピルカーボネート;t−ブチルペ
ルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネー
ト;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシイソプロ
ピルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタクリロ
イロキシイソプロピルカーボネート;1,1,3,3−
テトラメチルブチルペルオキシメタクリロイロキシイソ
プロピルカーボネート;クミルペルオキシメタクリロイ
ロキシイソプロピルカーボネート;p−イソプロピルク
ミルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボ
ネート等を例示することができる。
【0043】さらに、式(2)で表される化合物として
は、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート;t−ア
ミルペルオキシアリルカーボネート;t−ヘキシルペル
オキシアリルカーボネート;1,1,3,3−テトラメ
チルブチルペルオキシアリルカーボネート;p−メンタ
ンペルオキシアリルカーボネート;クミルペルオキシア
リルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタリルカー
ボネート;t−アミルペルオキシメタリルカーボネー
ト;t−ヘキシルペルオキシメタリルカーボネート;
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタリ
ルカーボネート;p−メンタンペルオキシメタリルカー
ボネート;クミルペルオキシメタリルカーボネート;t
−ブチルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;t
−アミルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;t
−ヘキシルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;
t−ブチルペルオキシメタリロキシエチルカーボネー
ト;t−アミルペルキシメタリロキシエチルカーボネー
ト;t−ヘキシルペルオキシメタリロキシエチルカーボ
ネート;t−ブチルペルオキシアリロキシイソプロピル
カーボネート;t−アミルペルオキシアリロキシイソプ
ロピルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシアリロキ
シイソプロピルカーボネート;t−ブチルペルオキシメ
タリロキシイソプロピルカーボネート;t−アミルペル
オキシメタリロキシイソプロピルカーボネート;t−ヘ
キシルペルオキシメタリロキシイソプロピルカーボネー
ト等を例示することができる。
【0044】これらの中でも好ましくは、t−ブチルペ
ルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;t−ブ
チルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネー
ト;t−ブチルペルオキシアリルカーボネート;t−ブ
チルペルオキシメタリルカーボネートである。
【0045】このようにして得られる低誘電性耐熱グラ
フト共重合体(I)のグラフト効率は、20〜100%
(質量百分率)である。グラフト効率はグラフト化して
いない重合体の溶媒抽出を行い、その割合から求めるこ
とができる。
【0046】本発明としては、上記の非極性α−オレフ
ィン系(共)重合体セグメントとビニル系(共)重合体
セグメントとからなる低誘電性耐熱グラフト共重合体
(I)が好ましいが、このようなグラフト共重合体にお
いて、非極性α−オレフィン系(共)重合体セグメント
の代わりに、あるいはこれに加えて非極性共役ジエン系
(共)重合体セグメントを用いたものであってもよい。
【0047】なお、以上の低誘電性耐熱グラフト共重合
体(I)における非極性α−オレフィン系(共)重合体
には共役ジエン単量体が含まれていても良く、非極性共
役ジエン系(共)重合体にはα−オレフィンの単量体が
含まれていてもよい。
【0048】また、本発明では、得られた低誘電性耐熱
グラフト共重合体(I)に有機過酸化物と架橋助剤を混
合し、100〜300℃の溶融下に混練して架橋するこ
ともできる。使用する有機過酸化物としては、例えば、
ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシ
ド、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)2,5−ジ
メチルヘキサン、2,5−ビス(t−ブチルペルオキ
シ)2,5−ジメチルヘキシン−3、ジ−t−ブチルペ
ルオキシド、イソプロピルクミル−t−ブチルペルオキ
シド、ビス(α−t−ブチルペルオキシイソプロピル)
ベンゼン等のジアルキルペルオキシド類あるいは1,1
−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,
1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオ
キシ)シクロドデカン、n−ブチル−4,4−ビス(t
−ブチルペルオキシ)バレレート、エチル−3,3−ビ
ス(t−ブチルペルオキシ)ブチレート、3,3,6,
6,9,9−ヘキサメチル−1,2,4,5,−テトラ
オキシシクロノナン等のペルオキシケタール類、ビス
(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、t−ブチル
ペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシアセテ
ート等のペルオキシエステル類が挙げられる。
【0049】また架橋助剤としては、例えば、p−キノ
ンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシ
ム等のオキシム類;エチレンジメタクリレート、ポリエ
チレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプ
ロパントリメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレ
ート、アクリル酸/酸化亜鉛混合物、アリルメタクリレ
ート等のアクリレートもしくはメタクリレート類;ジビ
ニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルピリジン等のビ
ニルモノマー類;ヘキサメチレンジアリルナジイミド、
ジアリルイタコネート、ジアリルフタレート、ジアリル
イソフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリル
イソシアヌレート等のアリル化合物類;N,N’−m−
フェニレンビスマレイミド、N,N’−(4,4’−メ
チレンジフェニレン)ジマレイミド等のマレイミド化合
物類等が挙げられる。特に、ジビニルベンゼンの単量体
を含まないグラフト共重合体において、耐熱性向上の観
点から好ましい。
【0050】本発明において使用される酸化防止剤(I
I)とは、フェノール系酸化防止剤を必須とする1種以
上の酸化防止剤である。フェノール系酸化防止剤のみを
使用しても良いが、他の酸化防止剤を併用してもかまわ
ない。フェノール系と併用可能な酸化防止剤としてはリ
ン系、硫黄系、アミン系等を挙げることができる。
【0051】フェノール系酸化防止剤の具体的な例とし
ては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、
2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブ
チル−4−メトキシフェノール、n−オクタデシル−3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート等のモノフェノール系酸化防止剤、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−
6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブ
チリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−〔β−
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10−
テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等のビスフェ
ノール系酸化防止剤、1,1,3−トリス(2−メチル
−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−
t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタン、ビス〔3,3’−ビス−(4’−ヒドロキ
シ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕
グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’
−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−se
c−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)ト
リオン、d−α−トコフェノール等の高分子型フェノー
ル系酸化防止剤を挙げることができる。
【0052】また、リン系酸化防止剤の具体的な例とし
ては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシ
ルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、
4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブ
チルフェニルジトリデシル)ホスファイト、オクタデシ
ルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイ
ト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイ
ト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ
フェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10
−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレ
ン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−
ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレ
ン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サ
イクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−
t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,
2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニ
ル)オクチルホスファイト等を挙げることができる。
【0053】また、硫黄系酸化防止剤の具体的な例とし
ては、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジ
ミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステア
リル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリ
トールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネー
ト)、2−メルカプトベンズイミダゾール等を挙げるこ
とができる。
【0054】さらにアミン系酸化防止剤の具体的な例と
しては、アルキル置換ジフェニルアミン等を挙げること
ができる。
【0055】これらの酸化防止剤(II)は、少なくとも
1種類のフェノール系酸化防止剤が含まれていれば、複
数併用することができる。
【0056】本発明の低誘電性耐熱樹脂組成物(I)
は、動的粘弾性の測定によって得られる180℃におけ
る貯蔵弾性率が106Pa以上、好ましくは5×106
a以上、さらに好ましくは107Pa以上である。この
ような貯蔵弾性率を有する組成物とすることで、充分な
はんだ耐熱性が得られる。貯蔵弾性率が106Pa未満
の場合は、成形物の変形・流動等が発生し、目的とする
はんだ耐熱性を得ることができないため不適である。貯
蔵弾性率の上限に特に制限はないが、1.0×1011Pa
程度である。
【0057】本発明の低誘電性耐熱樹脂組成物中の好ま
しい酸化防止剤の含有量は、低誘電性耐熱グラフト共重
合体(I)100部(質量)に対して0.01〜10部
(質量)の範囲である。より好ましくは0.05〜5部
(質量)、最も好ましくは0.1〜3部(質量)であ
る。このような含有量とすることで低誘電性耐熱グラフ
ト共重合体(I)の電気的特性や機械的特性を低下させ
ることなく、熱安定性と成形性が改良された樹脂組成物
が得られやすくなる。これに対し、酸化防止剤の含有量
が少なくなると熱安定性と成形性が悪くなる傾向にあ
る。また、酸化防止剤の含有量が多くなると、比誘電率
と誘電正接が高くなりやすくなり、さらに機械的物性と
金属導体層との密着性ないし接着性が低下する傾向にあ
る。
【0058】本発明の低誘電性耐熱樹脂組成物の好まし
い電気的特性は、周波数2GHzにおける空洞共振器摂
動法による測定値が、比誘電率(ε)が3.0以下で誘
電正接(tanδ)が0.003以下、好ましくは比誘
電率(ε)が2.7以下で誘電正接(tanδ)0.0
02以下、もっと好ましくは比誘電率(ε)が2.5以
下で誘電正接(tanδ)0.001以下である。この
ような電気的特性の組成物とすることで、電子部品や基
板とした時に優れた高周波伝送特性が得られる。この場
合の比誘電率(ε)、誘電正接(tanδ)の下限に特に
制限はないが、比誘電率(ε)は1.5程度、誘電正接
(tanδ)は0.0001程度である。
【0059】本発明において使用される酸化防止剤の好
ましい配合処方は、熱安定性と成形性のバランスの観点
からフェノール系とリン系酸化防止剤を併用して使用
し、全酸化防止剤使用量の少なくとも50%(質量百分
率)以上にフェノール系酸化防止剤を用いた場合であ
る。さらに好ましいのは、前記の条件を満たし、かつ使
用する酸化防止剤の内、少なくとも1種類以上にペンタ
エリスリトールの誘導体を使用した場合である。このよ
うな好ましい酸化防止剤の具体例としては、3,9−ビ
ス〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオ
キシ〕エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ
〔5.5〕ウンデカン、テトラキス−〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン、サイクリックネオペン
タンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライ
ルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ホスファイト等を挙げることができる。
【0060】前記の処方で酸化防止剤を使用することに
より、熱安定性とシート成形性のバランスに優れ、かつ
高周波領域での使用に好適な電気特性を有し、はんだ耐
熱性が良好で、絶縁性が高く、さらには金属導体層との
密着性ないし接着性が良好な低誘電性耐熱樹脂組成物が
得られやすくなる。特に140℃における熱安定性で
は、わずか0.01部(質量)(以下、「質量部」とも
いう。)の含有量で曲げ強度が初期値の1/2になる時
間を20%以上延ばすことが可能となる。
【0061】本発明において低誘電性耐熱グラフト共重
合体(I)と酸化防止剤(II)の混合方法は、特に制限
はないが、加熱機能と混練機能を備えたバンバリーミキ
サー、加圧ニーダー、ロール、一軸もしくは二軸スクリ
ュー押出機等を使用して、混合することができる。中で
も、二軸スクリュー押出機を用いて、メインホッパーよ
り低誘電性耐熱グラフト共重合体(I)と酸化防止剤
(II)を供給して、溶融混練した後、ダイスより吐出さ
れる棒状成形物をペレタイザーに通し造粒物(ペレッ
ト)として得る方法が簡便かつ安価であり好ましい。そ
の際の温度は、用いた低誘電性耐熱グラフト共重合体が
充分に軟化する温度で行えば良く、通常100〜300
℃の範囲である。
【0062】本発明の低誘電性耐熱樹脂組成物から、使
用形態の低誘電性耐熱樹脂組成物の成形品を得る方法に
特に制限はないが、具体的にはプレス成形、射出成形、
ブロー成形、ロール成形、押出成形等が挙げられ、この
ような公知の方法に準じ、本発明の樹脂組成物の使用目
的に応じ安価に成形できる方法を選択すれば良い。
【0063】また本発明において低誘電性耐熱樹脂組成
物の成形品の具体例であるシートあるいはフィルムを得
る方法にも特に制限はないが、射出成形、Tダイ押出成
形、カレンダーロール成形、プレス成形等、従来公知の
成形方法により、フィルムを得ることができるが、特に
得られるフィルムの厚み精度および外観の観点から、カ
レンダーロール成形法が好ましい。その際の温度は、用
いた低誘電性耐熱樹脂組成物が充分に軟化する温度で行
えば良く、通常160〜300℃の範囲で、ロールの線
圧は、通常50〜200Kg/cm(490〜1960
N/cm)の範囲である。このようにして得られるシー
トあるいはフィルムの厚みに特に制限はなく、使用目的
に応じて便宜選択すればよいが、通常5〜250μmの
範囲である。
【0064】また本発明において低誘電性耐熱樹脂組成
物の成形品の具体例である強化フィルムまたは強化シー
トを得る方法にも特に制限はないが、具体的方法として
下記(1)〜(3)の方法が挙げられる。
【0065】(1)射出成形、Tダイ押出成形、カレン
ダーロール成形、プレス成形等によって得た低誘電性耐
熱樹脂組成物のシートあるいはフィルムで基材を挟んだ
積層物を熱プレスにより加圧下に加熱して強化フィルム
または強化シートを得る方法。 (2)基材に低誘電性耐熱樹脂組成物の粉末を所定量均
一に散布したものを熱プレスし、加圧下に加熱して強化
フィルムまたは強化シートを得る方法。 (3)低誘電性耐熱樹脂組成物のシートと基材の積層物
を一対の金属ロールあるいはベルト間に導き、加圧しな
がら連続的に加熱して強化フィルムまたは強化シートを
得る方法。
【0066】その際の温度は、用いた低誘電性耐熱樹脂
組成物が充分に軟化し互いに熱融着する温度で行えばよ
く、通常160〜300℃の範囲である。また、圧力は
通常2〜10MPaの範囲である。使用する基材として
は、特に制限はなく、ガラスクロス、アラミドクロス、
ポリエステルクロス、ナイロンクロス等のクロス基材、
これらと同じ材質のマット状基材、不織布、クラフト
紙、リンター紙等一般的な印刷回路基板用プリプレグに
使用される基材を用いればよい。
【0067】さらに本発明の低誘電性耐熱樹脂組成物か
ら、成形品の具体例である基板を得る方法にも、特に制
限はないが、具体的方法として例えば、前記、低誘電性
耐熱樹脂組成物の成形品の具体例であるシート、フィル
ムあるいはプリプレグを得る方法(1)〜(3)で得ら
れたプリプレグを少なくとも1枚以上積層する。次に積
層体の最外層の片面あるいは両面に金属層を配置しプレ
ス、金属ロール、金属ベルト等により加熱下に加圧する
方法が挙げられる。
【0068】その際の温度は、用いた低誘電性耐熱樹脂
組成物が充分に軟化し互いに熱融着する温度で行えばよ
く、通常160〜300℃の範囲である。また、圧力は
通常2〜10MPaの範囲である。
【0069】本発明の成形品の具体例である基板に使用
する金属層とは、例えば銅、アルミニウム、鉄、ニッケ
ル、亜鉛等の単体または合金の板あるいは箔のことであ
り、必要に応じて防錆のためにクロム、モリブデン等の
金属で表面処理が施されたものでもよい。これらの金属
層については電解法、圧延法等従来公知の技術によって
製造されたものを用いることができ、それらの厚さは通
常0.003〜1.5mm程度である。また、金属層は
真空蒸着法、スパッタリング法、イオンビーム法および
CVD法等によって低誘電性耐熱樹脂組成物の最外層に
形成してあってもよい。
【0070】本発明において使用される低誘電性耐熱樹
脂組成物には、はんだ耐熱性をさらに向上させるため
に、4−メチルペンテン−1系(共)重合体や環状オレ
フィン系(共)重合体を加えることができる。
【0071】ポリ4−メチルペンテン−1系(共)重合
体とは、プロピレンの2量体である4−メチルペンテン
−1単独重合体あるいは4−メチルペンテン−1と共重
合可能な他の非極性α−オレフィン系単量体との共重合
体のことで、チーグラー・ナッタ系触媒等を用いて従来
公知の方法により重合されるものが好ましい。
【0072】4−メチルペンテン−1系(共)重合体に
おける4−メチルペンテン−1の単量体の割合は50%
(質量百分率)以上であることが好ましい。
【0073】環状オレフィン系(共)重合体とは、特開
平1−168725号公報、特開平1−190726号
公報、特開平3−14882号公報、特開平4−638
07号公報、特開平6−298956号公報等で公知の
樹脂のことで、具体的にはノルボルネンやジシクロペン
タジエン等の環状オレフィン単量体の単独開環重合体、
環状オレフィン単量体と共重合可能な他の非極性α−オ
レフィン系単量体との開環共重合体、およびそれらの水
素添加物、環状オレフィン単量体の単独付加型重合体、
環状オレフィン単量体と共重合可能な他の非極性α−オ
レフィン系単量体との付加型共重合体等が挙げられる。
【0074】このような4−メチルペンテン−1系
(共)重合体や環状オレフィン系(共)重合体の配合量
は、低誘電性耐熱樹脂組成物100部(質量)に対して
100部(質量)以下であることが好ましい。非極性α
−オレフィン系(共)重合体の割合が多くなると金属と
の密着性が不足する傾向にある。
【0075】なお、本発明の低誘電性耐熱樹脂組成物の
絶縁抵抗率は常態における体積抵抗率で2×1014Ωc
mである。その上限に特に制限はないが、1.0×10
18Ωcm程度である。また、絶縁破壊強度も強く、15k
V/mm以上、特に18〜30kV/mmと優れた特性
を示す。また熱安定性が高く、耐熱性が高く、成形性に
優れ、線膨張係数が低く、さらには金属導体層との密着
性ないし接着性が良好である。
【0076】本発明の低誘電性耐熱樹脂組成物には、本
発明の効果を損なわない範囲において、滑剤、可塑剤、
結晶核剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などの通常の
添加剤を添加することができる。また、繊維状あるいは
非繊維状の充填材を添加することができる。そのような
充填材の具体例としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、
硼酸アルミニウム繊維、セラミック繊維、炭化珪素繊
維、ホウ酸マグネシウムウィスカまたはその繊維;チタ
ン酸カリウムウィスカまたはその繊維;酸化亜鉛ウイス
カ、ボロンウイスカ繊維等の無機繊維および炭素繊維;
芳香族ポリアミド繊維などの繊維状充填材が挙げられ
る。また、非繊維状としては、ワラステナイト、セリサ
イト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、タル
ク、アルミナシリケート、パイロフイライト、モンモリ
ロナイト等の珪酸塩、二硫化モリブデン、アルミナ、塩
化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化
鉄、酸化チタンなどの金属化合物;炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩;ポリリン酸
カルシウム、グラファイト、ガラスビーズ、ガラスマイ
クロバルーン、ガラスフレーク、窒化ホウ素、炭化珪素
およびシリカなどの粉状、板状、あるいは粒状の充填剤
などが挙げられる。これらの材料は中空であってもよ
い。さらに、四フッ化ポリエチレン、ポリアミド、ポリ
エーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリ
カーボネート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエー
テルケトン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ABS樹
脂、ポリエステル、ポリアミドエラストマー、ポリエス
テルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等の樹脂
を含んでもよい。
【0077】
【実施例】以下に、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明する。比較例を併記する。まず、実施例および比
較例に用いた高分子材料の製造方法を合成例として示
す。
【0078】合成例1(グラフト共重合体Aの製造) 内容積5リットルのステンレス製オートクレーブに、純
水2500gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルア
ルコール2.5gを溶解させた。この中にオレフィン系
重合体としてポリ4−メチルペンテン(三井化学(株)
製、商品名、「TPX RT−18」)700gを入
れ、攪拌・分散した。別にラジカル重合開始剤としての
ベンゾイルペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名、
「ナイパーBW」、純度75%含水品)2.0g、ラジ
カル共重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシ
メタクリロイロキシエチルカーボネート9.0gを、ビ
ニル芳香族単量体としてジビニルベンゼン50gとスチ
レン250g中に溶解させ、この溶液を前記オートクレ
ーブ中に投入・攪拌した。次いでオートクレーブの温度
を60〜65℃に昇温して、2時間攪拌することにより
ラジカル共重合開始剤およびラジカル重合性有機過酸化
物を含むビニル芳香族単量体をポリ4−メチルペンテン
中に含浸させた。次いで、温度を80〜85℃に上げ、
その温度で7時間維持して重合を完結させ、濾過後、水
洗および乾燥してグラフト化前駆体(a)を得た。
【0079】次いで、このグラフト化前駆体(a)をラ
ボプラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作所製)
で260℃にて押出し、グラフト化反応させ、その後ペ
レタイザーにより造粒することによりグラフト共重合体
(A)を得た。
【0080】このグラフト共重合体(A)を熱分解ガス
クロマトグラフィーによって分析したところ、ポリ4−
メチルペンテン(PMP):ジビニルベンゼン(DV
B):スチレン(St)の質量による割合は70:5:
25であった。
【0081】なおこのときの、ジビニルベンゼン−スチ
レン重合体セグメントのグラフト効率は50.1%(質
量百分率)であった。グラフト効率は、ソックスレー抽
出器で酢酸エチルにより、グラフト化していないジビニ
ルベンゼン−スチレン重合体を抽出し、この割合を求め
ることによって算出した。この樹脂の炭素と水素の含有
量は元素分析法で定量した。各評価の結果を表1に示
す。
【0082】合成例2(グラフト共重合体Bの製造) 内容積5リットルのステンレス製オートクレーブに、純
水2500gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルア
ルコール2.5gを溶解させた。この中にオレフィン系
重合体としてポリプロピレン(モンテル・エスディーケ
イ・サンライズ(株)製、商品名、「サンアロマーPM
600A」)700gを入れ 、攪拌・分散した。別に
ラジカル重合開始剤としてのベンゾイルペルオキシド
(日本油脂(株)製、商品名、「ナイパーBW」純度7
5%含水品)2g、ラジカル共重合性有機過酸化物とし
てのt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ
ーボネート6gを、ビニル芳香族単量体としてジビニル
ベンゼン100g、スチレン200gの混合液に溶解さ
せ、この溶液を前記オートクレーブ中に投入・攪拌し
た。次いでオートクレーブの温度を60〜65℃に昇温
して、2時間攪拌することによりラジカル重合開始剤お
よびラジカル共重合性有機過酸化物を含むビニル芳香族
単量体をポリプロピレン中に含浸させた。次いで、温度
を80〜85℃に昇温して、その温度で7時間維持して
重合を完結させ、水洗および乾燥してグラフト化前駆体
(b)を得た。
【0083】次いでこのグラフト化前駆体(b)をラボ
プラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作所製)で
210℃にて押し出し、グラフト化反応させることによ
りグラフト共重合体(B)を得た。
【0084】このグラフト共重合体(B)を熱分解ガス
クロマトグラフィーによって分析したところ、ポリプロ
ピレン(PP):ジビニルベンゼン(DVB):スチレ
ン(St)の質量による割合は70:10:20であっ
た。
【0085】なおこのとき、ジビニルベンゼン−スチレ
ン共重合体のグラフト効率は53.2%(質量百分率)
であった。
【0086】この樹脂の炭素と水素の含有量は元素分析
法で定量した。各評価の結果を表1に示す。
【0087】合成参考例1(グラフト共重合体Cの製
造) 内容積5リットルのステンレス製オートクレーブに、純
水2500gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルア
ルコール2.5gを溶解させた。この中にオレフィン系
重合体として低密度ポリエチレン(住友化学工業(株)
製、商品名、「スミカセンG401」)700gを入れ
、攪拌・分散した。別にラジカル重合開始剤としての
ベンゾイルペルオキシド」(日本油脂(株)製、商品
名、「ナイパーBW、純度75%含水品」2g、ラジカ
ル共重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメ
タクリロイロキシエチルカーボネート6gを、ビニル芳
香族単量体としてスチレン300gの混合液に溶解さ
せ、この溶液を前記オートクレーブ中に投入・攪拌し
た。次いでオートクレーブの温度を60〜65℃に昇温
して、2時間攪拌することによりラジカル重合開始剤お
よびラジカル共重合性有機過酸化物を含むビニル芳香族
単量体をポリプロピレン中に含浸させた。次いで、温度
を80〜85℃に昇温して、その温度で7時間維持して
重合を完結させ、水洗および乾燥してグラフト化前駆体
(c)を得た。
【0088】次いでこのグラフト化前駆体(c)をラボ
プラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作所製)で
190℃にて押し出し、グラフト化反応させることによ
りグラフト共重合体(C)を得た。
【0089】このグラフト共重合体(C)を熱分解ガス
クロマトグラフィーによって分析したところ、低密度ポ
リエチレン(PE):スチレン(St)の質量による割
合は70:30であった。
【0090】なおこのとき、スチレン重合体のグラフト
効率は64.1%(質量百分率)であった。
【0091】この樹脂の炭素と水素の含有量は元素分析
法で定量した。各評価の結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】なお、表中の略号は次のものを示す。
【0094】PMP:ポリ4−メチルペンテン(三井化
学(株)製、商品名、「TPXRT−18」)、 PP:ポリプロピレン(モンテル・エスディーケイ・サ
ンライズ(株)製、商品名、「ジェイアロマーPM60
0A」)、 PE:低密度ポリエチレン(住友化学工業(株)製、商
品名「スミカセンG401」)、 St:スチレン、 DVB:ジビニルベンゼン。
【0095】実施例1〜8 合成例1で得られたグラフト共重合体(A)と酸化防止
剤(AO−1および3)を表2に示す割合でドライブレ
ンドした後、シリンダー温度260℃に設定されたスク
リュー径30mmの同軸方向二軸押出機((株)池貝
製、PCM−30)に供給し、押出後造粒した。得られ
た樹脂ペレットを真空プレス成形機((株)名機製作所
製)により温度260℃、面圧5MPaの条件で10分
間、真空下で熱プレス成形し200×200×1mmの
板を作製した。この板を155℃で12時間真空乾燥し
た後、板の両面に厚さ18μmの圧延銅箔を配し、再度
温度260℃、面圧5MPaで10分間、真空下で熱プ
レス成形し銅張り基板を得た。得られた銅張り基板を用
いて以下に示す測定方法に準じ、比誘電率、誘電正接、
はんだ耐熱性、180℃における貯蔵弾性率の測定を行
った。また、140℃に設定した送風乾燥機に曲げ強さ
測定用試験片を投入し一定時間経過毎に測定を行い、値
が初期値の1/2になる時間を熱安定性として評価し
た。さらに、樹脂ペレットをシリンダー温度260℃に
設定したラボプラストミルTダイ押出機((株)東洋精
機製作所製)に供給してから、ロール温度200℃に設
定した3本ロール圧延シート成形装置((株)日本製鋼
所製)で圧延し、シート成形性を評価した。評価方法を
以下に示す。
【0096】1.比誘電率:空洞共振器摂動法(測定周
波数は2GHz)、試験片サイズ100×1×1mm、
表中、比誘電率は「誘電体としての試験片の静電容量/
真空の場合の静電容量」を表す。 2.誘電正接:空洞共振器摂動法(測定周波数は2GH
z)、試験片サイズ100×1×1mm、 3.はんだ耐熱性:JIS C 6481に準拠、 4.180℃貯蔵弾性率:JIS C 6481に準拠
(DMA法)、 5.140℃熱安定性:JIS C 6481の曲げ強
さ測定方法に準拠、 6.シート成形性:シート成形機にて厚さ100μmの
シートを作製したときの外観を目視で評価した。シート
成形性の外観は「◎は表面がなめらかで光沢有り」、
「○は表面がなめらかだが光沢無し」「△は表面にざら
つきが有り」、「×はシート成形性無し」を表す。各試
験の結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】なお、表中の略号は次のものを示す。
【0099】AO−1:2,6−ジ−t−ブチル−4−
メチルフェノール(住友化学工業(株)製、商品名、
「スミライザー BHT」)、 AO−3:サイクリックネオペンタンテトライルビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホス
ファイト(旭電化工業(株)、製商品名、「アデカスタ
ブ PEP−36」)。
【0100】実施例9〜16 酸化防止剤をAO−2および3に変更した以外は、実施
例1と同様の方法で成形し、各評価を行った。結果を表
3に示す。
【0101】
【表3】
【0102】なお、表中の略号は次のものを示す。
【0103】AO−2:テトラキス−〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン(チバガイギー(社)
製、商品名、「イルガノックス 1010」)。
【0104】実施例17〜24 合成例2で得られたグラフト共重合体(B)と酸化防止
剤(AO−2および3)を表4に示す割合でドライブレ
ンドした後、シリンダー温度210℃に設定されたスク
リュー径30mmの同軸方向二軸押出機((株)池貝
製、PCM−30)に供給し、押出後造粒した。得られ
たペレットについて、真空プレス成形機の温度を200
℃に、ラボプラストミルTダイ押出機((株)東洋精機
製作所製)のシリンダー温度を210℃に、3本ロール
圧延シート成形装置((株)日本製鋼所製)のロール温
度を130℃に変更した以外は実施例1と同様の方法で
成形し、各評価を行った。結果を表4に示す。
【0105】
【表4】
【0106】実施例25および26 合成例2で得られたグラフト共重合体(B)、酸化防止
剤(AO−2および3)およびポリ4−メチルペンテン
系重合体(PMP)あるいは環状オレフィン系重合体
(CO)を表5に示す割合でドライブレンドした後、シ
リンダー温度230℃に設定されたスクリュー径30m
mの同軸方向二軸押出機((株)池貝製、PCM−3
0)に供給し、押出後造粒した。得られたペレットを実
施例1と同様の方法で成形し、各評価を行った。結果を
表5に示す。
【0107】
【表5】
【0108】なお、表中の略号は次のものを示す。 PMP:ポリ4−メチルペンテン系重合体(三井化学
(株)製、商品名、「TPX RT−18」)、 CO:環状オレフィン系重合体」(Ticona社製、
商品名、「TOPAS6017」。
【0109】実施例27 実施例12で得られた厚さ100μmの低誘電性耐熱樹
脂組成物のシート8枚と厚さ60μmのガラスクロス
(旭シュエーベル(株)製)7枚を交互に積層し、その
両表面に厚み18μmの銅箔(福田金属箔粉工業(株)
製)を配置して、真空プレス機((株)名機製作所製)
により、温度260℃、圧力5MPaで10分間、高真
空下で熱プレスし、厚み1.0mmの本発明において低
誘電性耐熱樹脂組成物の成形品の具体例である銅張り基
板を得た。ここで得られた基板について体積抵抗率、絶
縁破壊強さ、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性、線膨
張係数、吸水率、曲げ強さ、銅箔引き剥がし強さの測定
を行った。各試験の結果を表6に示す。なお試験方法を
以下に示す。
【0110】 7.体積抵抗率:JIS C 6481に準拠、 8.絶縁破壊強さ:JIS C 6481に準拠、 9.線膨張係数:JIS C 6481に準拠(TMA
法、表中は20℃〜Tg迄の値)、 10.吸水率:JIS C 6481に準拠、 11.曲げ強さ:JIS C 6481に準拠(DMA
法)、 12.銅箔引き剥がし強さ:JIS C 6481に準
拠。
【0111】実施例28 実施例20で得られた厚さ100μmの低誘電性耐熱樹
脂組成物のシート8枚と厚さ60μmのガラスクロス
(旭シュエーベル(株)製)7枚を交互に積層し、その
両表面に厚み18μmの銅箔(福田金属箔粉工業(株)
製)を配置して、真空プレス機((株)名機製作所製)
により、温度200℃、圧力5MPaで10分間、高真
空下で熱プレスし、厚み1.0mmの本発明において低
誘電性耐熱樹脂組成物の成形品の具体例である銅張り基
板を得た。ここで得られた基板について体積抵抗率、絶
縁破壊強さ、比誘電率、誘電正接、はんだ耐熱性、線膨
張係数、吸水率、曲げ強さ、銅箔引き剥がし強さの測定
を行った。各試験の結果を表6に示す。
【0112】
【表6】
【0113】比較例1および2 合成例1で得られたグラフト共重合体(A)単独あるい
は酸化防止剤AO−3だけを表7に示す割合でドライブ
レンドした後、シリンダー温度260℃に設定されたス
クリュー径30mmの同軸方向二軸押出機に供給し、押
出後造粒した。得られたペレットを実施例1と同様の方
法で成形し、各評価を行った。結果を表7に示す。
【0114】比較例3 合成例2で得られたグラフト共重合体(B)単独を実施
例17と同様の方法で成形し、各評価を行った。結果を
表7に示す。
【0115】比較例4および5 合成参考例1で得られたグラフト共重合体(C)単独あ
るいは酸化防止剤(AO−2および3)を表7に示す割
合でドライブレンドした後、シリンダー温度190℃に
設定されたスクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機
に供給し、押出後造粒した。得られたペレットについ
て、真空プレス機((株)名機製作所製)の温度を19
0℃、ラボプラストミルTダイ押出機((株)東洋精機
製作所製)のシリンダー温度を190℃、3本ロール圧
延シート成形装置((株)日本製鋼所製)のロール温度
を90℃に変更した以外は実施例1と同様の方法で成形
し、各評価を行った。結果を表7に示す。
【0116】
【表7】
【0117】比較例6および8 ポリプロピレン(PP)あるいはスチレン−エチレン−
ブテン−スチレン共重合体(SEBS)に対して酸化防
止剤(AO−2および3)を表8に示す割合でドライブ
レンドした後、シリンダー温度200℃に設定されたス
クリュー径30mmの同軸方向二軸押出機に供給し、押
出後造粒した。得られたペレットを実施例17と同様の
方法で成形し、各評価を行った。結果を表8に示す。
【0118】比較例7 ポリ4−メチルペンテン−1系重合体(PMP)に対し
て酸化防止剤(AO−2および3)を表7に示す割合で
ドライブレンドした後、シリンダー温度260℃に設定
されたスクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機に供
給し、押出後造粒した。得られたペレットを実施例1と
同様の方法で成形し、各評価を行った。結果を表8に示
す。
【0119】
【表8】
【0120】なお、表中の略号は次のものを示す。 SEBS:スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重
合体(三菱化学(株)製、商品名、「ラバロン SE5
400」)。
【0121】表2〜4の結果から本発明の効果は明らか
である。低誘電性耐熱グラフト共重合体(I)に酸化防
止剤(II)を特定の割合で配合することにより、低誘電
特性、はんだ耐熱性等の特徴を維持したまま、熱安定性
とシート成形性がバランスよく改良されていることがわ
かる。
【0122】また、表2と3の比較から酸化防止剤(I
I)としてペンタエリスリトールの誘導体を使用するこ
とで、より優れた熱安定性とシート成形性が得られてい
ることがわかる。
【0123】さらに表4と5の比較から、低誘電性耐熱
樹脂組成物に4−メチルペンテン−1系(共)重合体や
環状オレフィン系(共)重合体を加えることにより、低
誘電性耐熱樹脂組成物のはんだ耐熱性が向上しているこ
とがわかる。
【0124】一方、表7および8から、酸化防止剤を配
合しなかった例、低誘電性耐熱グラフト共重合体以外の
樹脂に酸化防止剤を配合した例では、はんだ耐熱性、熱
安定性、シート成形性のいずれかが悪化し、実用レベル
から判断して不適当となることがわかる。
【0125】また表6から本発明の低誘電性耐熱樹脂組
成物を基板に用いると、優れた低誘電特性と機械的特性
等を有するプリント配線板用金属張り基板が得られるこ
とがわかる。
【0126】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の低誘電性
耐熱樹脂組成物は、その樹脂組成物を成形すると、比誘
電率、誘電正接が低く、絶縁性が高く、成形性が高く、
はんだ耐熱性と熱安定性に優れ、金属との密着性ないし
接着性に優れるという効果を奏する樹脂となる。したが
って、本発明の樹脂組成物を硬化成形したものは、通信
機器部品、プリント基板やコンピューター部品等の特
に、低誘電特性、熱安定性、はんだ耐熱性が要求される
用途に有効であり、優れた性能の電子部品や基板等が得
られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 3/44 H01B 3/44 Z H05K 1/03 610 H05K 1/03 610J (72)発明者 浅見 茂 東京都中央区日本橋1−13−1 ティーデ イーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA77 AC05 AE05 AF40 BA01 BB03 BB04 BB05 BB06 BC01 4F100 AB01B AB01C AB17 AB33 AH02A AK03A AK06 AK07 AK08 AK11 AK11A AK12 AK28A AK73A AK80 AL04A AL05A AT00A BA01 BA02 BA03 BA06 BA10B BA10C BA13 CA06A EH17 EJ17 EJ38 EJ42 GB43 JA02 JG04 JG05A JJ03 JJ03A JK06 JK07A JL11 YY00A 4J002 BN061 BN141 EJ026 EJ066 FD076 GF00 GQ00 4J026 AA11 AA12 AA13 AA14 AA17 AA67 AA68 AA69 AA70 AC10 AC11 AC16 AC33 BA05 BA06 BA07 BA23 BB02 DB02 DB15 EA06 5G305 AA06 AB10 AB24 AB34 BA12 BA18 BA26 CA01 CA02 CA08 CB11 CD09

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非極性α−オレフィン系(共)重合体セ
    グメントおよび/または非極性共役ジエン系(共)重合
    体セグメント5〜95%(質量百分率)とビニル芳香族
    系(共)重合体セグメント95〜5%(質量百分率)と
    から構成されるグラフト共重合体であって、グラフト共
    重合体中の炭素原子と水素原子の個数の合計が全体の原
    子の個数の99%以上であり、かつ一方のセグメントに
    より形成された分散相が他方のセグメントにより形成さ
    れた連続相中に微細に分散している多相構造を有する低
    誘電性耐熱グラフト共重合体(I)と、さらにフェノー
    ル系酸化防止剤を必須とする1種以上の酸化防止剤(I
    I)からなる樹脂組成物であって、その樹脂組成物を成
    形した際の180℃における貯蔵弾性率が106Pa以
    上である低誘電性耐熱樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 低誘電性耐熱グラフト共重合体(I)が
    100部(質量)に対して、酸化防止剤(II)を0.0
    1〜10部(質量)の割合で含む請求項1に記載の低誘
    電性耐熱樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 2GHzにおける比誘電率が3.0以下
    で、誘電正接が0.003以下である請求項1または2
    に記載の低誘電性耐熱樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 酸化防止剤(II)がペンタエリスリトー
    ルの誘導体である請求項1〜3のいずれかに記載の低誘
    電性耐熱樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の低誘電
    性耐熱樹脂組成物を用いた成形品。
  6. 【請求項6】 フィルムまたはシートである請求項5に
    記載の成形品。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載の低誘電
    性耐熱樹脂組成物と補強基材を複合させてなる強化フィ
    ルムまたは強化シートである成形品。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載のフィルムもしくはシー
    ト、または請求項7に記載の強化フィルムもしくは強化
    シートの片面または両面に金属層を設けてなるプリント
    配線板用金属張り基板。
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