JP2003268523A - ガスワイピングノズル - Google Patents

ガスワイピングノズル

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俊彦 梅景
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 さざ波を効果的かつ安価に抑制することが可
能なガスワイピングノズルを提供する。 【解決手段】 ワイピングガスが噴出されるスリットを
有するガスワイピングノズルであって、スリット開口部
に、スリット長手方向に沿って一定ピッチで配置された
複数の噴流遮蔽用構造体を有することを特徴とするガス
ワイピングノズル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続的にめっき浴
から引き上げられる鋼帯に気体を噴き付けて、余剰な溶
融金属を払拭してめっき付着量を制御するためのガスワ
イピングノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】鋼帯に連続的に溶融めっきを施す際の溶
融金属の付着量を制御する方法として一般的に、鋼帯表
面にスリットノズルから気体を噴き付けて余剰な溶融金
属を払拭するガスワイピング法が行なわれている。しか
しこの方法では、めっき表面に凹凸の付着量ムラ(以
下、さざ波と称す)が発生し、鋼帯表面の美観を損なう
ばかりでなく、塗装ムラの原因ともなっている。
【0003】図5に、従来のガスワイピングノズルおよ
び噴出されたガスの模様を示す概略図を示す。図5
(a)に示すように、ワイピングガスは、ガスワイピン
グノズル1の均圧室2を通過した後、幅がほぼ一定に保
たれたスリット3からスリット長手方向に沿ってほぼ均
一な流速で噴出される。そして図5(b)に示すよう
に、スリット3から噴出されたガスと周辺流体との粘性
作用により、当初の噴出流速が維持される領域(ポテン
シャルコア領域)が徐々に消滅した後、速度は徐々に減
衰して速度分布が相似に保たれる発達領域へと移行して
いく。そして、スリット3から噴出されたガスと周囲流
体との速度差により、噴流境界域において、スリット長
手方向に回転軸を持つせん断渦(横渦)20が発生す
る。この渦20は、スリット長手方向に揺らぎ、スリッ
ト長手方向に均一に保持されない。そのため、ガスと鋼
帯との衝突圧が、スリット長手方向すなわち鋼帯幅方向
に沿って変化し、また時間的に変化する。その結果、鋼
帯表面にさざ波が発生するものと考えられる。
【0004】このせん断渦20は、スリット出口から離
れて下流側に行くにつれて、また噴出流速が増加するに
つれて大きくなる。従って、さざ波を抑制するために
は、ノズル1と鋼帯との距離を小さくして、出来るだけ
ポテンシャルコア領域であるいはポテンシャル領域に近
いところでワイピングを行ない、および/またはノズル
圧力を低くして噴流流速を小さくする必要がある。ま
た、一旦発生したさざ波をレベリング促進により平坦化
させる方法も考えられる。
【0005】特開平5−239611号公報には、アル
ミニウムを3から7wt%の範囲で含有する溶融金属め
っきにおいて、ノズルと鋼帯との間隔をある値以下にす
る(近接化する)ことが記載されている。
【0006】特開平1−230758号公報、特開平1
0−24599号公報には、噴流の広がり角を抑制して
ポテンシャルコア領域を長くする方法が記載されてい
る。これらの文献には、主噴流を噴射する主ノズルの上
下面に、副噴流を噴射する副ノズルを設けたことを特徴
とするガスワイピングノズルが開示されている。
【0007】またレベリング促進により平坦化させる方
法も、文献に記載されている。たとえば、特開平1−1
77350号公報、特開平3−158450号公報に
は、非酸化性ガスをワイピングガスとして使用して溶融
金属の表面酸化を抑制する方法が記載されている。特
に、特開平3−158450号公報には、加熱したガス
を利用する方法が記載されている。また特開平6−27
2010号公報には、鋼板を加熱してめっき金属を再溶
融状態にする方法が開示されている。
【0008】溶融金属浴から鋼帯によって持ち上げられ
る溶融金属量は、鋼帯の通板速度が増加すると多くな
る。近年は、通板の高速化とともに薄目付化の傾向にあ
り、所定の付着量を実現するためには、従来以上にワイ
ピング力が高められる方向にある。言い換えれば、さざ
波が発生し易くなるような条件でのワイピングが必要と
なっている。
【0009】前述のように種々のさざ波抑制方法が提案
されているが、以下に示すような問題がある。例えば、
ノズルと鋼帯とを近接化するためには、鋼帯幅方向の反
り変形(C反り)を抑制しなければならない。C反り抑
制方法としてはロール押込みによる方法が一般的であ
る。しかしロール配置やロール径との関係で、どの鋼帯
サイズや鋼種に対しても平坦にすることが困難であり、
また近接化にも限界がある。
【0010】副ノズルを用いる方法では、主ノズルと副
ノズルとを分ける仕切り板を取り付ける必要があるた
め、構造が複雑で製作が困難となる。また噴出流量が多
くなるため、溶融金属が飛散し易くなるという問題もあ
る。さらにコンパクトなノズルにするためには仕切り板
を薄くしなければならないが、主噴流と副噴流との間の
圧力が異なると、薄い仕切り板が変形する。その結果、
ノズル長手方向(鋼帯幅方向)に沿って主ノズルのスリ
ット幅が変化するため、付着量が長手方向において均一
にならないという問題がある。
【0011】レベリング促進により平坦化させる方法に
おいても、種々の問題がある。例えば、非酸化性ガスを
利用する方法では、運転費がかかる以外に周辺の作業環
境(酸素欠乏)に対する対策が必要となる。加熱ガスを
用いる方法では、設備費や運転費がかかるだけでなく、
熱によるノズルの歪や変形と言った問題も発生する。鋼
板を加熱してめっき金属を再溶融状態にする方法では、
例えば亜鉛めっきの場合、溶融状態まで加熱すると、合
金化が進行して所定の特性が得られない可能性があるた
め、高精度の温度制御が必要となる。このように従来技
術では、さざ波を効果的かつ安価に抑制する方法が確立
されていなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、さざ
波を効果的かつ安価に抑制することが可能なガスワイピ
ングノズルを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ワイピ
ングガスが噴出されるスリットを有するガスワイピング
ノズルであって、スリット開口部に、スリット長手方向
に沿って一定ピッチで配置された複数の噴流遮蔽用構造
体を有することを特徴とするガスワイピングノズルが提
供される。
【0014】本発明においては、構造体のスリット長手
方向の長さがスリット幅以下であり、(構造体間の間隔
/構造体のスリット長手方向長さ)の比が30以下であ
ることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】図1に、本発明に係るガスワイピ
ングノズルの概略図を示す。本発明のガスワイピングノ
ズル1は、ワイピングガスが噴出されるスリット開口部
3(スリット幅B)に、噴流を遮るための噴流遮蔽用構
造体10が、スリット長手方向に沿って一定ピッチPで
配置されていることを特徴としている。さざ波防止に向
けて、鋼板でのワイピングガスの衝突圧力の変動を小さ
くするためには、スリット長さ方向に回転軸を持つせん
断渦の揺らぎを抑制する必要がある。噴流遮蔽用構造体
10を設置することで、せん断渦は細かく分断されて短
い安定した渦となる。その結果、鋼帯にガスが衝突した
ときの衝突圧の変動が抑えられて、めっき表面の凹凸の
付着量ムラであるさざ波を抑制することができる。この
ように本発明においては、スリット開口部3に構造体1
0を設置するだけで、さざ波が効果的に、そして安価に
抑制される。
【0016】構造体10は、たとえば柱状物体であり、
スリット長手方向の長さはDであり、スリット幅Bと同
じ長さの高さを有する。構造体10の高さ方向に垂直な
断面形状は、特に限定されないが、たとえば図2に示す
ような(a)円形、(b)楕円形、(c)長方形、
(d)正方形、(e)三角形である。なお図2に示すよ
うに、構造体10のスリット長手方向の長さDとは、ガ
ス流動の方向に垂直な最大長さであり、実質的に噴流を
遮る構造体10の長さである。
【0017】本発明においては、構造体10のスリット
長手方向の長さDはスリット3の幅B以下であることが
好ましい。それは以下の理由による。スリット3から噴
出されるワイピングガスの流速は、構造体10の場所で
は当然零である。しかし下流に行くに従って、スリット
長手方向の速度分布は緩和されてほぼ均一な流速分布と
なる。構造体10のスリット長手方向の長さDが大きく
なるほど、スリット先端からかなり離れた位置でないと
均一な流速分布を得ることは難しい。そのため、構造体
10のスリット長手方向の長さDが大きすぎる場合に
は、流速分布が均一となる下流位置に鋼帯が来るように
ノズル1を設置しても、このような下流位置ではせん断
渦も大きくなってしまう。その結果、鋼帯へのガスの衝
突圧の変動が大きくなり、構造体10を設置した効果が
認められなくなる。
【0018】発明者による種々の検討の結果、構造体1
0のスリット長手方向の長さDがスリット3の幅B以下
の場合に、構造体10を配置した顕著な効果が認められ
ることが判明した。
【0019】また本発明においては、(構造体10間の
間隔/構造体10のスリット長手方向の長さD)の比が
30以下であることが好ましい。それは以下の理由によ
る。せん断渦の揺らぎを抑制するためには、せん断渦の
長さを出来るだけ短くして、せん断渦を安定に存在させ
ることが好ましい。発明者による種々の検討の結果、構
造体10の設置間隔が、(ガスが噴出されるスリット長
手方向の長さ/構造体のスリット長手方向長さD)が3
0以下となる場合において、構造体10を設置した顕著
な効果が認められることが判明した。ここで、(ガスが
噴出されるスリット長手方向の長さ)とは、構造体10
間の間隔(隙間距離)のことであり、言い換えれば(構
造体10のピッチ間隔P−構造体10のスリット長手方
向の長さD)である。
【0020】また本発明においては、図3に示したよう
に、スリット開口部3に配置する構造体10は、スリッ
ト出口に配置しても良いし(図3(a))、スリット出
口近傍内部に配置しても良い(図3(b))。スリット
出口に配置するとは、構造体10の表面(側面)12と
スリット出口面(ノズル先端面)14とが一致するよう
に配置することである。また構造体10をスリット出口
内部に配置するとは、構造体10の表面12がスリット
出口面14よりも内部に位置するように配置することで
ある。
【0021】
【実施例】(実施例1)LES(ラージエディシミュレ
ーション)法を用いた数値解析によって、ガスワイピン
グノズル1のスリット開口部3に設けた噴流遮蔽用構造
体10の効果を確認した。具体的には、鋼板上でのガス
の衝突圧の時間変化を求めた。解析に用いた条件は以下
の通りである。スリット幅Bは1mm、スリット長さ2
5mm、ガス吐出噴流流速200m/s、ノズル1と鋼
板との間隔10mm、鋼板通板速度1.5m/sであ
る。また構造体10は、スリット長手方向長さDが0.
33mmの図2(c)に示すような長方形であり、1.
67mmピッチで、構造体表面12とスリット出口面1
4とが一致するように配置した。
【0022】(実施例2)構造体表面12をスリット出
口面14より1mm内側に入れて配置した以外は、実施
例1と同様の条件で数値解析を行なった。
【0023】(比較例1)構造体10を配置しなかった
以外は、実施例1と同様の条件で数値解析を行なった。
【0024】以上の実施例1〜2、および比較例1の計
算結果を、図4(a)〜(c)に示す。図の横軸は鋼板
の幅方向(スリット長手方向)の長さZ(mm)、縦軸
は鋼板の縦方向(通板方向)の長さYm(mm)であ
る。図4の結果より、噴流遮蔽用構造体10を配置した
実施例1、2と構造体10を配置しなかった比較例1と
を比べると、明らかに実施例1、2の方がガス衝突圧の
変動が小さくなっている。こうして構造体10を設ける
本発明の効果が確認された。
【0025】(実施例3〜9)鋼板への溶融亜鉛めっき
を、噴流遮蔽構造体10を有するガスワイピングノズル
1を用いてガスを噴き付けながら行なった。動作条件は
以下の通りである。スリット幅Bは1.0mm、スリッ
ト長さ300mm、ガス吐出噴流流速180m/s、ラ
イン(鋼板通板)速度1m/s、目標付着量80g/m
2であった。またワイピングガスを遮る構造体10の断
面は、図2(a)に示す円形であった。
【0026】以上の条件の下で、構造体10のスリット
長手方向長さD、ピッチ間隔P、ノズルと鋼板との距離
Xを種々変更した。下表1に各実施例でのD、P、Xを
載せる。
【0027】
【表1】
【0028】上表1に示すように、実施例3〜7では、
構造体長さD≦スリット幅Bとし、かつ(ピッチP−構
造体長さD)/構造体長さD≦30、すなわち(構造体
間の間隔/構造体長さD)≦30とした。また実施例8
では、(P−D)/D>30とした。実施例9では、D
>Bとなるようにした。
【0029】以上の条件でめっきした後に、粗さ計測に
よって付着量ムラを測定した。また伸張率1%で調質圧
延を施した後の表面外観の観察から、さざ波発生の評価
(○:さざ波が目立たない、△:さざ波が若干認められ
る、×:さざ波がはっきりと認められる)を行なった。
【0030】(比較例2)噴流遮蔽構造体10を有さな
いガスワイピングノズル1を用いた以外は、実施例3と
同様の条件で溶融亜鉛めっきを行ない、めっき後に粗さ
計測・表面観察を行なった。
【0031】以上の実施例3〜9、および比較例2にお
ける付着量ムラ計測と表面観察との結果を上表1に示
す。
【0032】上表1から明らかなように、ガスワイピン
グノズル1に噴流遮蔽構造体10を設けた実施例3〜9
の方が、構造体10を設けない比較例2よりも、明らか
に表面粗さが小さく表面外観も良好であった。すなわち
構造体10を設けることによって、従来さざ波が発生し
ていたようなノズル1と鋼板との距離であっても良好な
外観が得られることが明らかとなった。これは実施例1
および2で行なった数値解析の結果を支持するものであ
り、構造体10を設ける本発明の効果が改めて確認され
た。
【0033】また実施例3〜7と実施例8とを比べる
と、実施例3〜7のように(ピッチP−構造体長さD)
/構造体長さD≦30である方が、表面粗さ、外観がよ
り良好であった。これは実施例8では、(P−D)すな
わち構造体10間の間隔が大きすぎるために、構造体1
0を設けてせん断渦を分断して渦を安定化する効果が薄
れたためであると考えられる。この結果から、実施例3
〜7のように(P−D)/D≦30が望ましいことが分
かる。
【0034】また実施例3〜7と実施例9とを比べる
と、実施例3〜7のように構造体長さD≦スリット幅B
である方が、表面粗さ、外観がより良好であった。これ
は実施例9では、構造体長さDが大きすぎて鋼板幅方向
に沿って噴流が均一化するのに時間を要したために、せ
ん断渦に起因する衝突圧の変動以外に、噴流を構造体1
0で分断したことによる不均一化の弊害が現われたため
であると考えられる。この結果から、実施例3〜7のよ
うにD≦Bが望ましいことが分かる。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
さざ波が効果的に抑制された良好な外観を安価なノズル
改造で達成することができ、更なる高速操業への展開も
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスワイピングノズルの一例を示す概
略図。
【図2】本発明の噴流を遮る構造体の一例を示す概略断
面図。
【図3】本発明の噴流を遮る構造体の設置位置の一例を
示す概略断面図。
【図4】本発明の実施例において数値解析により得られ
た鋼板衝突圧の時間変化の一例を示す画像出力。
【図5】従来のガスワイピングノズルを示す図。
【符号の説明】
1…ガスワイピングノズル 2…均圧室 3…スリット 10…噴流遮蔽用構造体 12…表面 14…スリット出口面 20…せん断渦 B…スリット幅 D…構造体のスリット長手方向長さ P…構造体のピッチ間隔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅景 俊彦 福岡県北九州市戸畑区沢見一丁目7番38号 (72)発明者 石岡 宗浩 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K027 AA05 AA22 AB09 AB14 AC52 AD21

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイピングガスが噴出されるスリットを
    有するガスワイピングノズルであって、 スリット開口部に、スリット長手方向に沿って一定ピッ
    チで配置された複数の噴流遮蔽用構造体を有することを
    特徴とするガスワイピングノズル。
  2. 【請求項2】 前記構造体のスリット長手方向の長さが
    スリット幅以下であり、(構造体間の間隔/構造体のス
    リット長手方向の長さ)の比が30以下であることを特
    徴とする請求項1記載のガスワイピングノズル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2006314965A (ja) * 2005-05-16 2006-11-24 Mitsubishi Rayon Co Ltd エアナイフ、塗工方法および装置、ならびに硬化層付き板状重合物の製造方法

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