JP2003270206A - 核酸塩基配列決定方法 - Google Patents
核酸塩基配列決定方法Info
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Abstract
形データを解釈して、A,C, G, T (U)等の塩基配列を決
定する際、解釈困難な部位の配列を精度良く決定する。 【構成】 塩基配列が既知である蛍光強度波形データと
の信号強度比較を行い、所定の比較基準に基づいて、塩
基配列の決定と塩基変異の有無の判定を行う。
Description
動して得られる蛍光強度波形データを解釈して、塩基配
列決定や塩基変異判定を行う核酸塩基配列決定方法に関
するものである。
には、500塩基〜1000塩基に一カ所位の割合で変異が存
在していると推測されており、現在280万個程度の一塩
基変異対(SNPs)が報告されている。このようなSNPs等
を指標とする遺伝子診断(DNAマーカー)法は、疾患遺
伝子の探索や疾患感受性の判断、及び医薬品の開発(テ
ーラーメイド医療)等で、その利用が期待されている。
特に最近では、ヒトDNAの解読完了(99%以上)を受け、
この膨大な解読済みデータを利用して個人毎の計測デー
タの差異(多型)を解明したいという要望が強まってい
る。
に検出する方法が多数開発されているが、何れの方法も
核酸断片の大きさを比較して間接的に変異を知る方法で
あるため、最終的な確認として、信頼度が高く変異部位
を直接検出できる塩基配列決定を行う場合が多い。従
来、この塩基配列を決定するため、核酸断片を蛍光標識
する技術、高解像度のゲル電気泳動技術、及び高感度の
蛍光検出技術を組み合わせたDNAシーケンシング法が広
く用いられてきた。
定方法では、しばしば塩基配列の決定が困難な蛍光強度
波形が得られる場合があった。その原因として、核酸断
片の量が少なく信号強度が弱い場合や、核酸断片が自分
自身で高次構造をとり余分な信号成分が発生する場合、
塩基配列を決定すべき核酸試料の精製度が低いため余分
な信号成分となる核酸断片が生成される場合、シーケン
ス反応時や電気泳動時の条件によって信号に歪みが生じ
る場合等が考えられる。また、一回の測定で決定可能な
塩基長には限界があり、この限界はゲル電気泳動におけ
るDNA断片の分離限界塩基長によって決定される。すな
わち、ゲル電気泳動においては、1塩基長だけ異なるDNA
断片どうしのピーク分離が塩基長の増大とともに困難に
なってくる。これは、塩基長の増大に伴うピーク半値幅
(サンプリング後の波形データにおけるピーク半値幅)
の増大の度合いが、ピーク間隔(サンプリング後の波形
データにおけるピーク間隔)の増大の度合いに比べて大
きくなり、隣り合ったピークどうしの分離が困難になる
ことによっている。
を決定すべき核酸試料に対して相補な塩基配列(配列順
序(前後)も反転している)を持つ核酸の塩基配列を決
定し、互いに相補な2つの塩基配列を照らし合わせるこ
とにより配列を確定したり、熟練した作業者が経験を元
に目視判別による配列決定を行ったりして、対応する場
合が多い。しかし、2つの試料を用意して塩基配列を2
回決定する場合も、熟練者による目視判別を行う場合
も、多くの時間や費用を要してしまうという新たな問題
が生じてしまい、また試料によっては互いに相補な二つ
の塩基配列自体が得られない場合もある。以上の点は、
全くの未知塩基配列を解読しようとする場合にしばしば
問題となる。しかし、実際の核酸試料の塩基配列決定で
は、ある特定部位塩基の変異を調べる場合のように、塩
基配列を決定すべき核酸試料の塩基配列の少なくとも一
部が既知である場合も多い。また、ヒトDNAの全ての
塩基配列を解読することを目標とする「ヒトゲノム計
画」がほぼ完了した現在では、既知となったヒト塩基配
列情報との違い(個人差=多型)を解明することに関心
が集まっているとも言える。
在する場合、既知の塩基配列を何らかの方法により参照
して、核酸断片検出データの解釈がなされている。即
ち、既知の蛍光強度波形とその塩基配列(A,C,G,Tとい
う塩基種の文字の並び)を用意し、新規に取得した核酸
断片の蛍光強度波形と比較検討することにより、塩基配
列を決定することができる。この比較参照には、核酸断
片の蛍光強度波形と、既知の蛍光強度波形及び塩基配列
を目視で比較参照する必要があり労力がかかるのに加
え、比較基準が明確で無い場合、判定者によって異なる
決定が下されるという問題が生じる。特に、あるピーク
に未知の塩基変異が生じている場合、その変異の有無を
高精度で判定することは非常に困難となる。
鑑み、核酸塩基配列を精度良く決定することができ、塩
基変異を高精度で判定することのできる方法を提供する
ことを目的とする。
め、本発明による核酸試料の塩基配列決定方法は、核酸
試料から得た種々の長さの核酸断片を電気泳動して得ら
れた塩基種毎の蛍光強度波形データのピーク情報を元に
前記核酸試料の塩基配列を仮決定するステップと、仮決
定した塩基配列と既知塩基配列に対してホモロジー検索
を行い、仮決定した塩基配列に相同性が高い既知塩基配
列を並置するステップと、並置した核酸試料の蛍光強度
波形データの信号強度と既知塩基配列の対応する蛍光強
度波形データの信号強度とを、横軸を揃えて比較するス
テップとを含むことを特徴とする。
の第1の塩基の蛍光強度波形データの所定のピークの信
号強度が、既知塩基配列の前記第1の塩基の蛍光強度波
形データの前記所定のピークに対応するピークの信号強
度に対して所定の割合以下である場合に、当該ピーク位
置に塩基変異が生じている可能性があると判定する。
定のピーク(第1のピーク)の前又は後に位置する、第
2の塩基の蛍光強度波形データのピーク(第2のピー
ク)の信号強度が、既知塩基配列の前記第2の塩基の蛍
光強度波形データの前記第2のピークに対応する信号強
度に対して所定の割合以上である場合に、前記第1のピ
ークと第2のピークは前記第1の塩基と第2の塩基との
混合塩基を表している可能性があると判定する。
は、また、核酸試料から得た種々の長さの核酸断片を電
気泳動して得られた4種類の塩基の蛍光強度波形データ
のピーク情報を元に前記核酸試料の塩基配列を仮決定す
るステップと、仮決定した塩基配列と既知塩基配列に対
してホモロジー検索を行い、仮決定した塩基配列に相同
性が高い既知塩基配列を並置するステップと、並置した
核酸試料の蛍光強度波形データの信号強度と既知塩基配
列の対応する蛍光強度波形データの信号強度とを、横軸
を揃えて比較するステップとを含み、核酸試料の第1の
塩基の蛍光強度波形データの所定のピーク(第1のピー
ク)の信号強度が、既知塩基配列の前記第1の塩基の蛍
光強度波形データの前記第1のピークに対応する信号強
度に対して所定の割合以上である場合に、当該ピークを
変異に伴って新たに生じた塩基のピークと判定し、核酸
試料の第2の塩基の蛍光強度波形データの前記第1のピ
ークの前又は後に位置するピーク(第2のピーク)のう
ち、ピークの信号強度が、既知塩基配列の前記第2の塩
基の蛍光強度波形データの前記第2のピークに対応する
ピークの信号強度に対して所定の割合以下のものを変異
が生じたピークと判定することを特徴とする。
は、当該既知塩基配列に同定された複数の既知蛍光強度
波形データを統計処理して作成した蛍光強度データベー
ス波形を用いることができる。
配列の対応する蛍光強度波形データを、横軸を共通軸と
して縦方向に2つ並べて表示すると、目視での確認が容
易になる。また、核酸試料の蛍光強度波形データと既知
塩基配列の対応する蛍光強度波形データとの比較に先立
ち、2つの波形データ間で、各ピーク間隔を両者で同一
とする前処理及び/又は全ピーク強度の基準を両者で同
等とする前処理を行ってもよい。
決定することができる。そして、その結果を用いて一塩
基変異対(SNPs)等を指標とする遺伝子診断(DNAマー
カー)を行うことにより、変異を容易に判定(検出)す
ることが可能となり、疾患遺伝子の探索や疾患感受性の
判断、及び医薬品の開発(テーラーメイド医療)等を、
高精度かつ迅速に行えるようになる。
施の形態を説明する。図1に、本発明が適用される核酸
塩基配列決定装置の構成例を示す。この装置は、核酸断
片泳動部11、蛍光信号計測部12、蛍光信号演算部1
3、データ表示部14、データ格納部15、各部を制御
する装置制御部16を備える。核酸断片泳動部11は、
蛍光標識した核酸断片群を電気泳動し塩基長の違いによ
り分離する。蛍光信号計測部12は、分離した核酸断片
にレーザーを照射する光学機器及び発生する蛍光を検出
する検出器等からなる。蛍光信号演算部13は、計測し
た蛍光強度波形データを信号処理し塩基配列の決定等を
行う。データ表示部14は、蛍光強度波形データ及び決
定した塩基配列に関連する情報の表示を行う。データ格
納部15は、蛍光強度波形データ及び決定した塩基配列
等の記録を行う。装置制御部16は、核酸断片泳動部1
1の電源の制御、蛍光信号計測部12の光源制御と検出
器のサンプリング条件の制御、蛍光信号演算部13とデ
ータ表示部14及びデータ格納部15間のデータ転送の
制御、蛍光信号演算部13におけるデータ処理内容の制
御等を行う。
ータや決定した塩基配列及びピーク位置等を記録する際
の形式(フォーマット)としては既に様々なものが提案
されているが、一例としてSCFフォーマットと呼ばれる
形式について、簡単に説明する。SCFフォーマット(ver
sion 3.00)では、以下の項目に対応する値が、ファイ
ルに順次、記録されている。
れた各塩基の蛍光強度波形データ、決定した塩基配列、
ピーク位置等を上記SCFフォーマットにてデータ格納部
15に記録したが、勿論他のフォーマットによって記録
しても構わない。
基配列を決定(仮決定)するためには、核酸断片泳動部
11において、サンガー法等を用いて塩基配列を決定す
べき核酸試料を元に様々な長さの核酸断片群を調製す
る。反応には、蛍光色素により標識したプライマー、ま
たは蛍光色素により標識したddNTPを用い、核酸断片群
に蛍光色素を標識する。
ンプレートDNA)を用意する。通常、未知の配列を持っ
たDNAをプラスミド(細菌等の細胞内にある核以外の細
胞質中の DNAで、主に複製開始情報のみを有する)に組
み込んだものか、ポリメラーゼ連鎖増幅反応(PCR)法
で塩基配列を直接増幅した核酸断片を用いる。次に、テ
ンプレートDNAとプライマー(テンプレートDNAの特定部
分の配列と相補的な塩基配列を有するもので、PCR法を
用いた場合は反応で利用した片側のものに相当する)を
試験管内の溶液中で混合し、温度をコントロールするこ
とでプライマーとテンプレートが相補的な二本鎖を形成
するようにする(アニーリング)。更に、このプライマ
ーを起点としてDNAを複製する過程に進み、複製はDNAポ
リメラーゼと呼ばれる酵素を触媒として行われる。そし
て、この反応液中にはDNAの合成に必要なdNTP(各種塩
基:アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン
(T)(もしくはウラシル(U))のモノマー)と、4種類のd
dNTP(A,C,G,T(U)のターミネーター)を所定の割合で混
合し所定の濃度で入れておく。すると、DNAが合成され
ていく時、ddNTPが取り込まれるとDNAの合成がそれ以上
進まなくなる(伸長反応)。ここで、ddNTPにそれぞれ
の塩基に応じて色の異なる蛍光色素を標識しておく。そ
の結果、末端にddNTPを持つ様々な長さ(塩基長)で合
成が止まった核酸断片が生成され、各断片はその末端塩
基に応じた蛍光色で標識されることになる。
泳動を行い、蛍光信号計測部12において、蛍光信号を
検出して蛍光強度波形データを作成する。具体的には、
上記のようにしてできた核酸断片を含む溶液を濃縮精製
した後、一本鎖に変性して、ゲル電気泳動装置を用いて
塩基長毎に核酸断片を分離する。以下では、ゲル電気泳
動装置の一例として、キャピラリ泳動装置を用いた場合
について説明する。まず、粘性のある高分子ポリマーを
キャピラリ(ガラス細管)に充填しておき、その両端に
電圧を印加することにより、負の電荷を有する核酸断片
をキャピラリの片側から導入・泳動させる。この時、核
酸断片は鎖状の重合体高分子であるため、ポリマー中を
分子量に反比例した速度で移動し、短い(分子量が小さ
い)核酸断片ほど速く、長い(分子量が大きい)核酸断
片ほどゆっくり移動するため、塩基長毎に核酸断片を分
離することができる。そしてキャピラリの終端付近(各
核酸断片を1塩基の長さの差異で分離可能となった位
置)で核酸断片にレーザー光を照射し、各断片末端塩基
から発生する蛍光を検出器により測定する。前記の通
り、短い核酸断片から順番に蛍光を発生していくので、
4塩基種毎の蛍光強度曲線が得られ、各ピーク位置での
4種類の蛍光強度等を比較することにより、塩基種(A,
C,G,T(U))の配列決定が可能となる。
それを解釈して決定される塩基配列の例22を示す図で
ある。実際には、1度の計測で数百塩基分のデータが得
られるが、ここでは説明のためにその一部を示してい
る。縦軸は蛍光強度を表し、横軸は泳動時間を表してい
る。蛍光強度波形データ21に現れるピークの高さは、
ある長さの核酸断片の量を反映したものである。通常、
長い核酸断片ほど泳動時間が遅いところにピークが現
れ、ピーク間隔は核酸断片が長くなるにつれて大きくな
る傾向がある。そこで、表示の時間軸が塩基長に比例す
るように、泳動電圧等の泳動条件で決まるパラメータを
用いて補正するのも有効である。図3は、未知核酸断片
の塩基配列を仮決定するために蛍光強度波形データに対
して通常行う処理を示す図である。この処理は、蛍光信
号演算部13によって行われる。
光強度波形データに対して、スムージング処理(S3
1)及びバックグラウンド補正(S32)を行う。その
後、ピークの検出(S33)及びピーク間隔の決定(S
34)を行う。また、電気泳動時の泳動むら(スマイリ
ング)によりピーク間隔は常に一定になるとは限らない
ため、得られたピーク間隔の大きさから必要に応じてピ
ーク位置の補正(スマイリング補正)を行う(S3
5)。次に、各ピーク位置での各塩基種の信号強度(あ
るいは各ピークの面積等)を比較して、所定の同定基準
に従い塩基種を順次決定する(塩基配列の仮決定)(S
36)。
置においてある塩基種(例えばA)の信号強度が一番大
きく、残る3つの塩基種の中で最も大きな塩基種(例え
ばC)の信号強度が最大塩基種(ここではA)の信号値の
T%未満であった場合(Tは閾値、例えば50%)、最大塩基
種(ここではA)として同定する。また、二番目の塩基
種(ここではC)がT%(例えば50%)以上であり、かつ三
番目の塩基種(例えばG)の強度が最大塩基種(ここで
はA)の信号値のT%(例えば50%)未満であった場合、最
大塩基種(ここではA)と二番目の塩基種(ここではC)
のヘテロ(混合塩基=同一ピーク位置に複数の塩基が含
まれていると同定された部位)として決定される(ここ
ではM(=A+C))。同様にして全ての組み合わせに応じて
混合塩基の表示方法(IUB規格の混合塩基表示法)が決
められているが、その判定基準としては明確な値は示さ
れていない。
既知であるデータベース波形と、その各ピーク位置の情
報及び塩基配列情報が格納されている。図4は、データ
ベース波形及びその付随情報を取得する処理の一例を示
す図である。データベース波形及びその付随情報は、蛍
光信号演算部13で取得してデータ格納部15に格納し
てもよいし、他の装置によって取得されたものをデータ
格納部15に格納して利用してもよい。
して得られる各塩基種(A,C,G,T(U))の蛍光強度波形の
集合である既知塩基波形データ群に対し、塩基種毎に全
波形の横軸を揃える処理(S41)及び全波形の縦軸を
揃える処理(S42)を行い、全波形を平均して平均波
形を作成する(S43)。こうして作成された塩基種毎
の波形をデータベース波形として保存する(S44)。
また、塩基種毎にピーク位置を検出してピーク位置情報
として保存する(S45)と共に、塩基配列の情報を既
知塩基配列情報として保存する(S46)。
にデータベースとして格納されている既知塩基配列と、
未知の核酸試料に対して図3の処理を経て仮決定した塩
基配列とを比較し、未知核酸断片の塩基配列決定と変異
判定を行う。
塩基配列とデータベース中の既知塩基配列に対してホモ
ロジー検索を実施し、仮決定した塩基配列の各々の部位
について既知の塩基配列との関連付けを行い、相同性が
高い既知の塩基配列を並置する(S51)。その後、塩
基配列が既知である蛍光強度波形データと電気泳動して
新規に得られた塩基配列を決定すべき蛍光強度波形デー
タの横軸を揃え(S52)、次に縦軸を揃え(S5
3)、両波形データの信号強度比較を行い(S54)、
所定の比較基準に基づいて塩基配列の決定と塩基変異の
有無の判定を行う(S55)。下記では、これらの処理
についての説明を行う。
特定部位の塩基変異を調べる場合のように、塩基配列を
決定すべき核酸試料の塩基配列の少なくとも一部が既知
である場合が多い。このような参照できる既知の塩基配
列が存在する場合、前記のようにして仮決定した塩基配
列と既知の塩基配列に対してホモロジー検索を実施し、
仮決定した塩基配列の各々の部位について既知の塩基配
列との関連付けを行い、相同性が高い既知の塩基配列を
並置して参照することにより、塩基配列の決定精度を高
めることが可能となる。ホモロジー検索による並置に際
しては、「スミス・ウォーターマンの方法(ジャーナル
オブ モレキュラー バイオロジー、第147巻、195頁
〜197頁)」や、後述する「ピーク間隔を判定基準とす
る方法」等を用いる。
変異を含む新規に計測した蛍光強度波形(一部)の塩基
配列を決定する場合について述べる。この図6は、塩基
変異が生じていない既知の塩基配列「CAAGGAC」(=デ
ータベース(DB)配列)において、ある一箇所の塩基が
変異を起こしヘテロが生じている場合の例である(5番
目の塩基Gが変異を起こしてAとGのヘテロ(R)になってい
る)。このように、ヘテロ変異が生じている場合、何ら
かの要因(例えば、核酸断片が自分自身で高次構造を持
つため等)によって、変異により生じたピークが本来の
ピーク位置からずれてしまう場合(ピークシフト)があ
る。このような波形に対してピーク検出を行うと、通
常、このヘテロ塩基部分が2つの独立したピーク(塩
基)として判定される。またピーク判定を行う際、ピー
ク間隔を基準として優先せず、信号強度の変化(微分値
の変化)を優先した場合には、このようなピークシフト
が生じていない場合にも、同一の位置に2つの独立した
ピークが存在すると判定される。
として判定されるべき配列が、5番目の塩基Gと6番目
の塩基Aが異なるピーク位置の塩基種として認識され、
配列は「CAAGGAAC」として仮決定されている。この仮決
定された配列「CAAGGAAC」と既知の塩基配列「CAAGGA
C」(=DB配列)とを、「ピーク間隔を判定基準とした
方法」により並置させると、下記のようになる。以下、
手順を追って説明する。
と既知の配列「CAAGGAC」を前記の「文字配列の情報の
みで比較を行うスミス・ウォーターマンのホモロジー検
索法」で並置させた場合、下記の配列が同スコアの最適
候補として挙げられる。 ( 仮配列 =CAAGGAAC ) 候補配列1=CAAGG:AC 候補配列2=CAAGGA:C
欠失に対して、−4n点」とするスコア方法を用いた場合
の結果であり、また前記配列文字中の「:」は、ギャッ
プ(欠損)を表す記号である。
法」を用いて、最適な候補を一つに絞り込む。まず初め
に、仮決定された配列のピーク間隔を以下のように算出
しておく。 ここで、上記数列の最初の値「9」は、1番目の塩基
「C」と2番目の塩基「A」のピーク間隔を示す点数で、
2番目の値「8」は、2番目の塩基「A」と3番目の塩
基「A」のピーク間隔を示す点数、以下同様にして、各
値が各ピークの間隔を示している。
定塩基のピーク間隔を算出したものを示す。
含む部分のピーク間隔の値を下に示す。 候補配列1=9.0 候補配列2=14.0 ここで、前記ギャップを含む部分のピーク間隔の値が最
も小さい候補配列を選択すると、候補配列1「CAAG
G:AC」が選ばれ、これが最適な候補配列となる。
て、前記の既知塩基配列に同定された或る一つの「既知
の蛍光強度波形」と前記の「新規に計測した蛍光強度波
形」とを、図7のように、両者の対応する各ピークが上
下に並ぶように配置して、下記の手順で比較を行う。
形」において同定された塩基種の各ピークの信号強度
と、前記「既知の蛍光強度波形」において同定された塩
基種の各ピークの信号強度とを比較して、「新規に計測
した蛍光強度波形」における各ピークの変化率を算出す
る。図7の例では、「新規に計測した蛍光強度波形」に
おける1番目の「C」のピーク強度(ピーク位置での信
号強度)が900で、「既知の蛍光強度波形」における1
番目の「C」のピーク強度(ピーク位置での信号強度)
が950なので、その比は900 / 950 = 0.947となり、変化
率は−5.3 %と算出される。同様にして、2番目の
「A」のピークの変化率は0 %、3番目の「A」のピー
クは+14.3 %、4番目の「G」は0 %、5番目の「G」
は−55.6 %、7番目の「A」は−11.2 %、8番目の
「C」は0 %と算出される。なお、6番目の「A」のピ
ークの変化率は、「既知の蛍光強度波形」に対応するピ
ークが存在しないため、「既知の蛍光強度波形」中の塩
基種「A」の波形における同じ位置での信号値10との比
をとり、変化率は+3900 %となる。
下、例えば−50.0 %以下のピークを抽出すると、図7の
場合には、5番目の「G」のピークがこの条件を満たす
こととなり、変異の可能性が有ると判定できる。これ
は、ホモの場合は「父由来の塩基種と母由来の塩基種が
同じ」であるのに対し、ヘテロの場合には「父由来の塩
基種と母由来の塩基種が異なる」ため、「ホモの状態に
おける信号強度」と「ヘテロの状態におけるホモと同種
の塩基種の信号強度」の比が、ほぼ2対1となるからで
ある。更に、この変異の可能性が有ると判定された5番
目の「G」のピークの前後に位置する4番目の「G」の
ピークと6番目の「A」のピークの変化率に注目する
と、0 %と+3900 %になっており、6番目の「A」のピ
ークが、5番目の「G」のピークの変異に伴って新たに
生じた塩基であると判定することができる。具体的に
は、前記の変化率が所定の値以上、例えば+100 %以上
のピークを、変異に伴って新たに生じた塩基と判定する
ことができる。
化率が所定の値以上、例えば+100%以上のピークを変異
に伴って新たに生じた塩基と判定し、その前後に位置す
るピークのうち、変化率が所定の値以下、例えば−50.0
%以下のものを変異が生じたピークと判定しても良い。
即ち図7の場合には、まず、6番目の「A」のピーク
(変化率+3900 %)が変異に伴って新たに生じた塩基と
判定でき、その前後に位置する5番目の「G」のピーク
と7番目の「A」のピークのうち、5番目の「G」のピ
ーク(変化率−55.6 %)が変異を生じていると判定する
ことができる。
ている可能性の有無を判定する際に、「変化率−50.0 %
以下」という基準を用いる場合について述べたが、これ
以外の基準を用いた場合にも、同等の効果を得ることが
できる(例:−10.0 %以下〜−100 %以下)。なお、が
ん等の疾患により少量の細胞に変化が生じる場合等(体
細胞変異や生殖細胞変異等)では、変異が生じている細
胞の占める割合に応じて、この基準の設定を行う。
って新たに生じた塩基かどうかを判定する際に、「変化
率+100 %以上」という基準を用いる場合について述べ
たが、これ以外の基準を用いた場合にも、同等の効果を
得ることができる(例:+10.0 %以上〜+200 %以
上)。なお、がん等の疾患により少量の細胞に変化が生
じる場合等(体細胞変異や生殖細胞変異等)では、変異
が生じている細胞の占める割合に応じて、この基準の設
定を行う。
際、特に前処理を行わずにそのまま比較する場合につい
て述べたが、図8(a)に示す例のように、計測毎に電気
泳動時の泳動速度及び泳動むらが異なる(ピーク間隔が
異なる)場合、図5のステップ52に示したように、両
者の対応する各ピークが正確に一直線上に並ぶように
(上下で比較しやすいように)、予め各ピーク間隔が両
者で同一となるような前処理(横軸(泳動時間軸)を揃
える為の内挿処理や間引き処理)を行っておいても良
い。前処理後、図8(a)の波形は図8(b)に示すようにな
る。なお、図8の例では、「新規に計測した蛍光強度波
形」のピーク間隔を補正して「既知の蛍光強度波形」に
合わせているが、反対に「既知の蛍光強度波形」のピー
ク間隔を補正して「新規に計測した蛍光強度波形」に合
わせても良い。
に電気泳動時の検出感度及び蛍光強度自体が異なる(信
号強度軸のスケールが異なる)場合、図5のステップ5
3に示したように、両者の対応する各ピークの強度基準
が一致するように(上下で比較しやすいように)、予
め、全ピーク強度の基準が両者で同等となるような前処
理(縦軸(信号強度軸)を揃える前処理)を行っておい
ても良い。前処理後、図9(a)の波形は図9(b)に示すよ
うになる。なお、図6の例では、「新規に計測した蛍光
強度波形」のピーク強度を補正して「既知の蛍光強度波
形」に合わせているが、反対に「既知の蛍光強度波形」
のピーク強度を補正して「新規に計測した蛍光強度波
形」に合わせても良い。
両者の全ピーク強度の平均値を算出し、その平均値の比
を一方の蛍光強度波形全体に乗じることにより、実施す
ることができる。即ち、比較を行う一方の蛍光強度波形
セット1(A、C、G、Tの4波形分で1セット)の全
ピーク位置での信号値の平均値がA1、他方の蛍光強度波
形セット2の全ピーク位置での信号値の平均値がA2であ
った場合、A1/A2を蛍光強度波形セット2の波形全体に
乗じるか、A2/A1を蛍光強度波形セット1の波形全体に
乗じれば良い。また、全ピーク位置での信号値の平均値
を用いずに、所定の(注目している)ピークを含む前後
の数ピーク(例えば、前後20ピーク)の平均信号値を用
いても良い。
ピーク強度を比較して変異の有無を判定する場合につい
て述べたが、波形表示を行わずにピーク強度比較による
変異の有無判定を自動的に行い、その判定結果を記録
(保存)するようにしても良い。
準波形として「既知塩基配列に同定された或る一つの既
知の蛍光強度波形」を用いる場合について述べたが、同
一の既知塩基配列に同定された複数の既知蛍光強度波形
を統計処理して作成した蛍光強度データベース波形を基
準波形として用いた場合にも、同等の効果を得ることが
できる。なお、蛍光強度データベース波形を作成する際
には、上述した「横軸を揃える前処理(図4のステップ
41)」及び「縦軸を揃える前処理(図4のステップ4
2)」を施した後、塩基種毎に波形の加算を行い、波形
数で除算(平均をとる)すれば良い(図4のステップ4
3)。
る前処理」及び「縦軸を揃える前処理」を施した「変異
を含まない同一の塩基配列に同定された」n個の蛍光強
度波形データセット(4塩基種分の蛍光強度波形データ
を1セットとする) を用意し、i番目(1≦i≦n)
のデータセットのA塩基の波形データをAi(t)とした
場合(tは「横軸を揃える前処理」後の泳動時刻に相当
する横軸変数)、Aのデータベース波形Ab(t)は、下
記(式1)で算出する。
ベース波形Cb(t),Gb(t),Tb(t)は、下記(式
2)〜(式4)で算出される。
の情報、及び前記既知塩基配列情報は、図4のステップ
44,45,46において前記SCFフォーマット等で保
存する。
蛍光信号計測部12を含む装置構成例が示されている
が、これらの構成部分は必ずしも必要ではなく、別の蛍
光強度波形計測装置等で測定された蛍光強度波形データ
を読み込む機能を、蛍光信号演算部13に持たせた場合
にも、同様の効果を得ることができる。なお、前記デー
タの読み込み方法には、フロッピー(登録商標)ディス
クや光ディスク等の記録媒体を用いる情報伝達方法や、
通信回線を用いる方法等がある。
られた蛍光強度波形データを解釈して、A、C、G、T
(U)等の塩基配列を決定する際に、既知塩基配列に同
定された蛍光強度波形のピーク強度を参照することが可
能となり、その結果として塩基配列の決定精度を向上さ
せることができる。
成例を示す図。
定される塩基配列の例を示す図。
光強度波形データに対して行う処理を示す図。
処理の一例を示す図。
示す図。
の説明図。
定)の一例を説明する図。
光強度波形、22…塩基配列
Claims (5)
- 【請求項1】 核酸試料から得た種々の長さの核酸断片
を電気泳動して得られた4種類の塩基の蛍光強度波形デ
ータのピーク情報を元に前記核酸試料の塩基配列を仮決
定するステップと、 前記仮決定した塩基配列と既知塩基配列に対してホモロ
ジー検索を行い、前記仮決定した塩基配列に相同性が高
い既知塩基配列を並置するステップと、 前記並置した核酸試料の蛍光強度波形データの信号強度
と既知塩基配列の対応する蛍光強度波形データの信号強
度とを、横軸を揃えて比較するステップとを含み、 前記核酸試料の第1の塩基の蛍光強度波形データの所定
のピークの信号強度が、既知塩基配列の前記第1の塩基
の蛍光強度波形データの前記所定のピークに対応するピ
ークの信号強度に対して所定の割合以下である場合に、
当該ピーク位置に塩基変異が生じている可能性があると
判定することを特徴とする核酸試料の塩基配列決定方
法。 - 【請求項2】 請求項1記載の核酸試料の塩基配列決定
方法において、前記核酸試料の前記第1の塩基の前記所
定のピーク(第1のピーク)の前又は後に位置する、第
2の塩基の蛍光強度波形データのピーク(第2のピー
ク)の信号強度が、既知塩基配列の前記第2の塩基の蛍
光強度波形データの前記第2のピークに対応する信号強
度に対して所定の割合以上である場合に、前記第1のピ
ークと第2のピークは前記第1の塩基と第2の塩基との
混合塩基を表している可能性があると判定することを特
徴とする核酸試料の塩基配列決定方法。 - 【請求項3】 核酸試料から得た種々の長さの核酸断片
を電気泳動して得られた4種類の塩基の蛍光強度波形デ
ータのピーク情報を元に前記核酸試料の塩基配列を仮決
定するステップと、 前記仮決定した塩基配列と既知塩基配列に対してホモロ
ジー検索を行い、前記仮決定した塩基配列に相同性が高
い既知塩基配列を並置するステップと、 前記並置した核酸試料の蛍光強度波形データの信号強度
と既知塩基配列の対応する蛍光強度波形データの信号強
度とを、横軸を揃えて比較するステップとを含み、 前記核酸試料の第1の塩基の蛍光強度波形データの所定
のピーク(第1のピーク)の信号強度が、既知塩基配列
の前記第1の塩基の蛍光強度波形データの前記第1のピ
ークに対応する信号強度に対して所定の割合以上である
場合に、当該ピークを変異に伴って新たに生じた塩基の
ピークと判定し、 前記核酸試料の第2の塩基の蛍光強度波形データの前記
第1のピークの前又は後に位置するピーク(第2のピー
ク)のうち、ピークの信号強度が、既知塩基配列の前記
第2の塩基の蛍光強度波形データの前記第2のピークに
対応するピークの信号強度に対して所定の割合以下のも
のを変異が生じたピークと判定することを特徴とする核
酸試料の塩基配列決定方法。 - 【請求項4】 請求項1,2又は3記載の核酸試料の塩
基配列決定方法において、前記既知塩基配列の蛍光強度
波形データとして、当該既知塩基配列に同定された複数
の既知蛍光強度波形データを統計処理して作成した蛍光
強度データベース波形を用いることを特徴とする核酸試
料の塩基配列決定方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の核酸
試料の塩基配列決定方法において、前記核酸試料の蛍光
強度波形データと既知塩基配列の対応する蛍光強度波形
データを、横軸を共通軸として縦方向に2つ並べて表示
することを特徴とする核酸試料の塩基配列決定方法。
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|---|---|---|---|
| JP2002076448A JP4209623B2 (ja) | 2002-03-19 | 2002-03-19 | 核酸塩基配列決定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=29205218
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-
2002
- 2002-03-19 JP JP2002076448A patent/JP4209623B2/ja not_active Expired - Lifetime
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