JP2003277143A - 圧電セラミックス - Google Patents

圧電セラミックス

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JP2003277143A
JP2003277143A JP2002083469A JP2002083469A JP2003277143A JP 2003277143 A JP2003277143 A JP 2003277143A JP 2002083469 A JP2002083469 A JP 2002083469A JP 2002083469 A JP2002083469 A JP 2002083469A JP 2003277143 A JP2003277143 A JP 2003277143A
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temperature
layer
pbtio
solid solution
mpb
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Application number
JP2002083469A
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English (en)
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Fuyutoshi Sato
冬季 佐藤
Shinichi Hirano
眞一 平野
Toshinobu Yogo
利信 余語
Wataru Sakamoto
渉 坂本
Masaharu Matsubara
賢東 松原
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Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電気機械結合係数が高く且つ周波数定数および
電気機械結合係数の温度安定性の高い圧電セラミックス
を提供する。 【解決手段】第1層16は120(℃)程度の第1温度付近
で電気機械結合係数の極大値および周波数定数の極小値
を有する一方、第2層18は25(℃)程度の第2温度付近
で電気機械結合係数の極大値を50(℃)程度の温度付近で
周波数定数の極小値を有するので、素子10の温度が第
1温度から第2温度に向かって変化する際には、温度が
変化するに従って第1層16の特性値が極値から外れる
と共に、第2層18の特性値が極値に近づくこととな
る。そのため、これらの変化が互いに緩和されることに
基づき、第1温度前後から第2温度前後までの広範囲に
亘って、特性値の温度安定性が高められる。また、第1
層16および第2層18はそれぞれ第1温度および第2
温度においてMPB上の組成とされるので、電気機械結
合係数が高い値で安定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電セラミックス
の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、フィルタ素子やアクチュエータ
素子等として利用される圧電材料として、チタン酸バリ
ウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)等の一成分系のペロ
ブスカイト化合物、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)
O3:PZT)、PbZn1/3Nb2/3O3-PbTiO3等の鉛系ペロブス
カイト化合物二成分系、PbMn1/3Nb2/3O3-PbTiO3-PbZrO3
等の鉛系ペロブスカイト化合物三成分系、(Bi1/2Na1/2)
TiO3-BaTiO3等のビスマス系ペロブスカイト化合物等の
セラミック材料が知られている。この中でも、PZT等
の二成分系或いは三成分系等のペロブスカイト化合物は
特に優れた圧電特性を有しているため広く利用されてい
る。この種の圧電材料は、専ら組成に依存する相境界で
あるMPB(Morphotropic Phase Boundary:モルフォト
ロピック相境界)を有しており、そのMPB付近で例え
ば電気機械結合係数および圧電定数の極大値を示すと共
に周波数定数の極小値を示す特徴がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な二成分系或いは三成分系等のペロブスカイト化合物
は、横軸に組成を縦軸に温度を採った相平衡図におい
て、そのMPBが温度軸に対して傾斜している。そのた
め、要求特性に応じて特定の温度例えば室温でMPB上
に位置する組成を選んでも、温度が変化すれば組成−温
度状態図上でMPBから離れることから、使用環境温度
の変化や使用中の発熱等に起因して素子の温度が上昇す
るとその特性が変化する。例えば、フィルタ素子として
用いる場合には温度変化に対する周波数定数の安定化す
なわち温度係数を小さくすることが望まれるが、MPB
から離れるに従い相転移に伴って周波数定数が増大する
ので、温度上昇に伴って周波数定数が変化するのであ
る。
【0004】そこで、周波数定数の温度安定性を高める
目的で、従来から圧電材料の構成元素の一部を他の元素
に置換することが行われてきた。例えば、PZTにおい
てはその鉛サイトの一部がリチウム等で置換される。一
般に、MPB近傍における相転移は急激であることから
周波数定数の温度係数を零にするのは困難であるが、相
転移が生じなければ温度上昇に伴ってヤング率が増大す
るため周波数定数が減小するので、構成元素を置換して
相転移の速度を緩やかにすれば、それに起因する増大と
温度上昇に起因する減小とが相殺されて温度係数を小さ
くできるのである。
【0005】しかしながら、構成元素の一部を置換して
も、上記のような相殺作用の働かない電気機械結合係数
は温度変化に伴ってMPBから離れるに従い値が小さく
なるので、温度安定性を高めることができない。なお、
電気機械結合係数の値はMPBの近傍で著しく変化する
ので、MPBから外れた固溶割合とすれば周波数定数お
よび電気機械結合係数を共に安定化させ得るが、電気機
械結合係数が小さくなる不都合がある。したがって、例
えば超音波モータのような共振駆動型の高性能デバイス
等の周波数定数および電気機械結合係数の温度係数を共
に小さくする必要のある用途では、その電気機械結合係
数の高い圧電材料を用いることができない問題があっ
た。
【0006】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、電気機械結合係数が高く
且つ周波数定数および電気機械結合係数の温度安定性の
高い圧電セラミックスを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の圧電セラミックスの要旨とするところは、
(a)組成および温度の二次元相平衡図において温度軸に
対して傾斜したMPBを有し且つ所定の第1温度でその
MPB上に位置することとなる固溶割合の第1固溶体か
ら成る第1層と、(b)組成および温度の二次元相平衡図
において温度軸に対して傾斜したMPBを有し且つ前記
第1温度とは異なる所定の第2温度でそのMPB上に位
置することとなる固溶割合の第2固溶体から成り、前記
第1層に積層された第2層とを、含むことにある。
【0008】
【発明の効果】このようにすれば、第1層は第1温度付
近で特性値の極値を有する一方、第2層は第2温度付近
で特性値の極値を有するので、圧電セラミックスの温度
が第1温度から第2温度に向かって変化する際には、温
度が変化するに従って第1層の特性値が極値から外れる
と共に、第2層の特性値が極値に近づくこととなる。そ
のため、これらの変化が互いに緩和されることに基づ
き、第1温度前後から第2温度前後までの広範囲に亘っ
て、電気機械結合係数や周波数定数等の特性値の温度安
定性が高められる。また、第1層および第2層はそれぞ
れ第1温度および第2温度において電気機械結合係数の
大きいMPB上の組成とされるので、電気機械結合係数
が高い値で安定することとなる。したがって、電気機械
結合係数が高く且つ周波数定数および電気機械結合係数
の温度安定性の高い圧電セラミックスが得られる。な
お、特性値の温度安定性が高められる温度範囲は、第1
温度前後から第2温度前後に亘る範囲であるが、上限お
よび下限は特性値変化の許容範囲に応じて適宜定められ
る。
【0009】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記圧電セラミ
ックスは、前記第1温度および前記第2温度の何れとも
相違する第3温度でMPB上に位置することとなる固溶
割合の第3固溶体から成り且つ前記第1層および前記第
2層の何れかに積層された第3層を含むものである。こ
のようにすれば、第3温度を第1温度と第2温度との中
間の温度に定めた場合には、それらの中間における特性
の低下が第3層の特性が極値に近づくことで緩和される
ため、第1温度および第2温度間における温度安定性が
一層高められる。また、第3温度を第1温度と第2温度
との中間から外れた温度に定めた場合には、第1温度前
後または第2温度前後から第3温度前後の範囲において
も特性変化が抑制されるため、温度安定性の高められる
温度範囲が広くなる。このため、2種類の固溶体で構成
する場合に比較して、上記3つの温度のうちの中間の温
度を通常の使用温度に設定すれば、通常の使用温度にお
いて高い特性が得られると共に、使用温度がその温度か
ら上下何れに変化した場合にも特性変化を一層小さくで
きる利点がある。なお、特性の安定する温度範囲を一層
広くし、或いは温度安定性を一層高めようとする場合に
は、更に他の温度でMPB上に位置する他の固溶体を必
要な数だけ積層すればよい。
【0010】また、好適には、前記圧電セラミックス
は、前記第1層および前記第2層の積層方向において固
溶割合が連続的に変化するものである。このようにすれ
ば、固溶割合の相違する層相互の界面においてその組成
の相違に起因する伸縮量の差に応じた応力が生ずること
が抑制されるので、その応力に起因する破断が好適に抑
制される利点がある。なお、連続的に固溶割合すなわち
組成が変化する場合には、その変化方向すなわち前記積
層方向の一部に、第1層および第2層が実質的に含まれ
ることとなる。
【0011】また、好適には、前記第1固溶体および前
記第2固溶体は、前記第1温度および前記第2温度の中
間温度において菱面体晶相および正方晶相の一方および
他方の領域内の組成を備えたものである。すなわち、M
PBはこれら2相の境界である。例えば、鉛系ペロブス
カイト化合物ではこのようなMPBを備えているため、
このような化合物を積層構造にすることによって、特に
高い特性を有する圧電セラミックスを得ることができ
る。
【0012】また、好適には、前記固溶体は、鉛系ペロ
ブスカイト化合物およびビスマス系ペロブスカイト化合
物の何れかである。
【0013】また、好適には、前記第1固溶体および前
記第2固溶体は、それぞれ[PbTiO3,PbZrO3]、[PbZn1/3N
b2/3O3,PbTiO3]、[PbMg1/3Nb2/3O3,PbTiO3]、[PbNi1/3N
b2/3O3,PbTiO3]、[PbCd1/3Nb2/3O3,PbTiO3]、[PbMn1/3N
b2/3O3,PbTiO3]、[PbCo1/3Nb 2/3O3,PbTiO3]、[PbMg1/3T
a2/3O3,PbTiO3]、[PbSc1/2Nb1/2O3,PbTiO3]、[PbYb1/ 2N
b1/2O3,PbTiO3]、[PbHo1/2Nb1/2O3,PbTiO3]、[PbLu1/2N
b1/2O3,PbTiO3]、[PbIn1/2Nb1/2O3,PbTiO3]、[PbFe1/2N
b1/2O3,PbTiO3]、[PbSc1/2Ta1/2O3,PbTiO3]、[PbMg1/2W
1/2O3,PbTiO3]、[PbCo1/2W1/2O3,PbTiO3]、[PbMn1/3Nb
2/3O3,PbTiO3,PbZrO3]、[PbNi1/3Nb2/3O3,PbTiO3,PbZrO
3]、[(Bi1/2Na1/2)TiO3,BaTiO3]、[(Bi1/ 2Na1/2)TiO3,N
aNbO3]、[(Bi1/2Na1/2)TiO3,KNbO3]、[(Bi1/2Na1/2)TiO
3,BaTiO3,BiFeO3]のうちの一組のセラミック材料が所定
の割合で固溶したものである。これらのセラミック材料
は、所望の固溶割合とすることによって高特性の圧電体
となるので、固溶割合の組合せを適宜選択することによ
って所望の温度範囲で特性が高く且つ温度安定性の高い
圧電セラミックスを得ることができる。例えば、PZT
では、チタン酸鉛およびジルコン酸鉛の固溶割合すなわ
ちチタニウムとジルコニウムの割合を25(℃)におけるM
PB組成(Zr/Ti=52/48)を中心とした2〜3種類の固溶
体で第1層乃至第3層を構成することにより、25(℃)を
通常の使用温度としてそれよりも低温および高温の何れ
に温度が変化しても安定して高い特性を得ることができ
る。
【0014】また、好適には、前記圧電セラミックス
は、前記第1層および第2層に加えて、前記MPBの存
在する固溶割合から所定値だけ外れた他の層が積層され
たものである。このようにすれば、特定の温度でMPB
に一致することとなる固溶割合の層だけを積層した場合
に比較して、周波数定数等の特性を高めることができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して詳細に説明する。
【0016】図1は、本発明の一実施例の圧電セラミッ
ク素子(以下、素子という)10の全体を示す斜視図であ
る。素子10は、例えば15(mm)程度の略一様な直径寸法
と1(mm)程度の略一様な厚さ寸法とを有して円板状を成
すPZTすなわち鉛系ペロブスカイト化合物から成るも
のであって、例えば、超音波アクチュエータ等に用いら
れる。
【0017】図2は、上記素子10の断面の要部を示す
図である。素子10は、その裏面12から表面14に向
かう厚み方向において第1層16,第2層18,および
第3層20が積層された三層構造に構成されている。各
層16,18,20の厚さ寸法は、例えば、0.3(mm)程
度の一様な値である。また、これら三層におけるZrとTi
の固溶割合は、それぞれ第1層16が53:47,第2
層18が52:48,第3層20が51:49である。
すなわち、素子10は、その厚み方向において組成が傾
斜させられているが、第1層16の構成材料はPb(Zr
0.53Ti0.47)O3であり、第2層18の構成材料はPb(Zr
0.52Ti0.48)O3であり、第3層20の構成材料はPb(Zr
0.51Ti0.49)O3である。第2層18は添加物を含まない
真性PZTの25(℃)におけるMPB上の固溶割合に一致
しており、第1層16および第3層18は、それよりも
僅かにZrリッチ或いはTiリッチの組成のものが選ばれて
いる。そのため、素子10は、MPB組成の層(第2層
18)を中心として傾斜した組成を備えている。本実施
例においては、例えば第1層16,第2層18が請求の
範囲にいう第1層および第2層に相当する。
【0018】上記の三層の組成は、例えば図3に示され
るような相平衡図に基づいて決定されたものである。図
において、横軸はジルコン酸鉛とチタン酸鉛の固溶割合
を表しており、左端がジルコン酸鉛100(%)、右端がチ
タン酸鉛100(%)に相当する。また、縦軸は温度を表
す。図の左端における230(℃)と右端における490(℃)の
点を相互に結ぶ曲線より上側の温度では全ての固溶割合
(組成)において立方晶相となるが、それよりも下側の温
度では領域の大部分が菱面体晶相と正方晶相に二分され
ており、それら2相の境界にMPB22が存在する。P
ZTではこのMPB22上の組成で電気機械結合係数が
極大となり且つ周波数定数が極小となることが知られて
いるが、MPB22は図に見られる通り温度軸に対して
僅かに傾斜した右下がりの略直線になっている。ジルコ
ン酸鉛の固溶割合の上限を示す直線24は、立方晶相と
菱面体晶相および正方晶相との境界線とMPB22との
交点すなわちMPB22の上端を通る位置にあり、下限
を示す直線26は零度よりも十分に低い温度においてM
PB22と交わるような位置にある。なお、MPB22
の零度以下におけるデータは知られていないが、図に仮
想線で示されるように零度以下においても略一定の傾き
を有するものと推測される。
【0019】そして、前記の第1層16の固溶割合は、
第2層18の固溶割合がMPB22上に位置する25(℃)
の温度において(すなわち25(℃)を示す横線上におい
て)、上記のMPB22と上限直線24との間に位置す
る値、例えば120(℃)程度でMPB22上に位置する値
に設定されており、第3層20の固溶割合は、その25
(℃)の横線上において、MPB22と下限直線26との
間に位置する値、例えば−70(℃)程度でMPB22上に
位置する値に設定されている。このため、25(℃)よりも
低温になると、第1層16および第2層18の固溶割合
が相対的にMPB22から遠ざかる一方、第3層20の
固溶割合が相対的にMPB22に近づく。反対に、25
(℃)よりも高温になると、第2層18および第3層20
の固溶割合が相対的にMPB22から遠ざかる一方、第
1層16の固溶割合が相対的にMPB22に近づく。前
述したようにPZTはMPB22上で電気機械結合係数
の極大値および周波数定数の極小値を有するので、低温
側では第1層16及び第2層18の電気機械結合係数が
小さくなると共に周波数定数が大きくなるが、第3層2
0の電気機械結合係数は大きくなると共に周波数定数が
小さくなる。また、高温側では第2層18および第3層
20の電気機械結合係数が小さくなると共に周波数定数
が大きくなるが、第1層16の電気機械結合係数が大き
くなると共に周波数定数は小さくなる。したがって、何
れの場合にも各層の特性の変化が他の層の特性の変化に
よって緩和或いは相殺される。本実施例においては、第
1層16の固溶割合がMPB22上に位置する120(℃)
が第1温度に、第2層18の固溶割合がMPB22上に
位置する25(℃)が第2温度にそれぞれ相当する。
【0020】上記のように素子10を構成する三層1
6,18,20の固溶割合が選定されていることから、
素子10は、少なくとも25(℃)を中心として第3層20
の電気機械結合係数が極大値を採る−70(℃)程度から第
1層16の電気機械結合係数が極大値を採る120(℃)程
度までの広い範囲に亘ってその特性(電気機械結合係数
および周波数定数)の変化が極めて小さいという特徴が
ある。実際には、電気機械結合係数の極大値および周波
数定数の極小値を超えた更に低温側或いは高温側の温度
においても、三層相互の特性変化の相殺或いは緩和効果
は見られるため、温度安定性の認められる温度範囲は、
例えば−100〜+150(℃)程度である。また、その温度範
囲では、三層16,18,20の電気機械結合係数が極
大値近傍で推移するため、高い値で安定する特徴もあ
る。そのため、前記の超音波アクチュエータの他、セン
サやフィルタ、振動子等にも好適に用いることができ
る。
【0021】ところで、上記の素子10は、例えば以下
のようにして製造される。先ず、前記第1層16乃至第
3層20をそれぞれ構成するためのPZT材料の仮焼粉
末を用意し、焼成収縮を考慮した所定の大きさの金型内
に、第1層16の構成材料から順に充填して仮成形する
工程を繰り返した後、例えば10(MPa)程度の圧力で一軸
加圧成形を施す。このとき、仮成形時の加圧力は、仮焼
粉末の充填時や10(MPa)で加圧する際に各層を構成する
ための粉末が相互に混ざり合うことが無く且つ各層1
6,18,20相互の境界面が十分に平坦になるように
定められる。
【0022】次いで、このように一軸加圧成形を施した
成形体に冷間静水圧加圧成形(CIP)を施し、例えば、
1150(℃)程度の最高保持温度で焼成処理を施す。焼成処
理に際しては、二重坩堝中に成形体を入れて加熱中にジ
ルコン酸鉛雰囲気が得られるようにすると共に、昇温速
度を5(℃/min)程度、最高温度での保持時間を2(h)程度
とした。このようにして得られた焼結体に、その上下面
が互いに平衡となるように研磨加工を程し、全体の厚さ
寸法を1(mm)程度にする。一軸加圧成型時の各粉末の充
填重量延いては各層の厚さ寸法は、このように研磨加工
を施した後に前述したような各層とも0.3(mm)程度の厚
さ寸法が得られるように、研磨除去量や焼成収縮等を考
慮して定められる。このように、本実施例の素子10
は、その三層をそれぞれ構成する原料粉末を用意して、
層構造が得られるように加圧成形するだけの簡単な工程
で製造することができる。
【0023】図4および図5は、素子10と同様な上記
の製造工程を経て作製した試験片の特性を評価した結果
を示したものであり、横軸が試験温度を、縦軸が電気機
械結合係数或いは周波数定数を表している。何れの特性
も、素子10と同様な寸法および形状の試験片を用い、
その両面の略全面に電極を設けて測定した。電極の形成
は、試験片の両面に銀ペーストを塗布して、100(℃)程
度の温度で30分程度乾燥機中で乾燥させ、電気炉中に投
入して550(℃)の最高保持温度で15分程度加熱すること
で行った。そして、電極形成後、シリコーン・オイル中
120(℃)で3.0(kV/mm)の電界を30分程度印加し、室温ま
で徐冷して分極処理を行い試験片を得た。また、測定方
法は日本電子材料工業界標準規格圧電セラミックス振動
子の電気的試験法(EMAS-6100)に従い、真空チャンバー
内に入れて−190〜+190(℃)の温度範囲において径方向
の周波数定数と電気機械結合係数とを共振反共振法によ
り測定した。
【0024】また、図において、●は、本実施例すなわ
ち素子10と同様な三層構造の試験片の測定データを表
しており、△、◇、○は、それぞれ単層構造の素子すな
わち比較例であって、△は第1層16と同じ組成のPZ
Tのみから成る試験片の測定データを、◇は第2層18
と同じ組成のPZTのみから成る試験片の測定データ
を、○は第3層20と同じ組成のPZTのみから成る試
験片の測定データをそれぞれ表している。なお、これら
3つの比較例は、原料を1種類とする他は上記試験片と
同様な工程によって製造した試験片で測定したものであ
る。
【0025】上記の図4、図5から明らかなように、本
実施例の試験片(●印)によれば、測定した−190〜+190
(℃)の温度範囲内において、電気機械結合係数について
は25(℃)程度に最大値(極大値)が見られ、周波数定数に
ついては70(℃)程度に最小値が見られるものの、何れも
変動幅が小さく比較的一様な特性値を示している。−10
0〜+150(℃)程度の温度範囲内では、変動幅が特に小さ
い。これに対して、単層構造の比較例(△、◇、○)で
は、同じ温度範囲内で変動幅が2〜3倍程度大きく、且
つ電気機械結合係数の極大(最大)値(それぞれ120(℃)、
25(℃)、−70(℃)程度)や周波数定数の極小(最小)値(そ
れぞれ130(℃)、50(℃)、−30(℃)程度)が顕著である。
このように、単層構造の場合の特性曲線は、Zrの固溶割
合(図にZr/Tiを示した)が多くなると電気機械結合係数
の極大点が高温側に移動すると共に、周波数定数の極小
点が低温側に移動する傾向があるが、本実施例の三層構
造の試験片によれば、これらの変化が三層相互に相殺さ
れるので、各層の極大値或いは極小値の温度の近傍で全
体として特性変化が抑制されていることが判る。また、
電気機械結合係数も単層構成の場合と遜色なく、極大値
で54(%)程度の高い値を示している。
【0026】なお、図6、図7は、PZTの鉛サイトを
LiおよびLaで置換した変性PZT(PLLZT)の特性を
前記試験片の場合と同様に測定した結果を示したもので
ある。なお、測定温度範囲は−50〜+190(℃)とした。
なお、この圧電材料において、Liは温度特性を改善する
ために添加され、LaはLi置換に伴う電荷補償のために添
加されている。グラフ中において、「52/48」等の数値
は「Zr/Ti」比すなわち2種類のペロブスカイト化合物
の固溶割合を表す。MPB上に位置する固溶割合52/48
の組成では、最も高い電気機械結合係数を有するものの
測定温度範囲における変動幅が大きい。固溶割合をここ
から変化させると、電気機械結合係数および周波数定数
の温度特性が変化し、50/50の組成では温度安定性が著
しく高められるが、それに伴って電気機械結合係数の値
は41(%)程度まで低下する。このため、このような変性
PZTでは、高い電気機械結合係数と特性の温度安定性
とを両立させることが困難であることが判る。
【0027】要するに、本実施例においては、第1層1
6は120(℃)程度の第1温度付近で電気機械結合係数の
極大値および周波数定数の極小値を有する一方、第2層
18は25(℃)程度の第2温度付近で電気機械結合係数の
極大値を50(℃)程度の温度付近で周波数定数の極小値を
有するので、素子10の温度が第1温度から第2温度に
向かって変化する際には、温度が変化するに従って第1
層16の電気機械結合係数および周波数定数が極値から
外れると共に、第2層18の電気機械結合係数および周
波数定数が極値に近づくこととなる。そのため、これら
の変化が互いに緩和されることに基づき、第1温度前後
から第2温度前後までの広範囲に亘って、電気機械結合
係数や周波数定数等の特性値の温度安定性が高められ
る。また、第1層16および第2層18はそれぞれ第1
温度および第2温度において電気機械結合係数の大きい
MPB上の組成とされるので、電気機械結合係数が高い
値で安定することとなる。したがって、電気機械結合係
数が高く且つ周波数定数および電気機械結合係数の温度
安定性の高い圧電セラミックス素子10が得られる。
【0028】また、本実施例においては、素子10は、
第1層16および第2層18に加えて、MPB上に位置
する温度が−70(℃)程度の第3温度であってそれらと相
違する第3層20を含むものであることから、一層広い
温度範囲で安定性が高められる利点がある。
【0029】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の実施例において前述した実施例と共通する部
分については説明を省略する。
【0030】図8に示される圧電セラミック素子28
は、第1層30および第2層32の二層で構成されてい
る。第1層30は、例えば前記の第1層16と同様なPb
(Zr0.5 3Ti0.47)O3から成るものであり、第2層32は、
例えば第2層18と同様なPb(Zr0.52Ti0.48)O3から成る
ものである。このため、本実施例では、素子10よりは
狭い範囲であるが、これら第1層30と第2層32の特
性の極値からの変化が相互に緩和される範囲で特性値の
温度安定性が高められる利点がある。すなわち、素子1
0に要求される程の広い温度範囲における温度安定性を
要求されない場合には、このように二層構成としても差
し支えないのである。
【0031】すなわち、本発明において、積層する複数
の層の固溶割合の範囲は温度安定性を高めようとする温
度範囲に応じて定められるものであり、積層する層数
は、その温度範囲内において可及的に高い安定性を得る
ために要求される層相互の特性変化の緩和の程度に応
じ、各層の特性の極値が得られる温度の中間の温度で要
求される特性や温度安定性が確保できるように、二層以
上の適宜の数に定めれば良いのである。したがって、素
子10に比較して前記の温度範囲における特性値の変動
幅を一層小さくし、或いは変動幅が一定値以下に留めら
れる温度範囲を一層広くするためには、積層する層数を
4以上の適宜の数に定め、それらの固溶割合を、温度安
定性を要求される温度範囲の上下限に対応する固溶割合
の範囲内で適宜に定めればよいのである。
【0032】図9に示す圧電セラミック素子34は、三
層構造ではあるが2つの第1層36に第2層38が挟ま
れた構造になっている。このようにすれば、素子34
は、厚さ方向において対称的に構成されているので、通
電時や温度変化の生じたときに生じる歪みの大きさがそ
の上面側および下面側において略同様になる。したがっ
て、本実施例によれば、その歪みに起因する破損が生じ
難くなる利点がある。なお、このような対称構造を採る
本実施例において、例えば素子10と同様な温度範囲で
特性を安定させようとする場合には、各固溶割合の層を
一層ずつ積層する場合に比較して、積層数が増大する不
利益がある。したがって、素子10のような構造を採る
か、素子34のような構造を採るかは、要求される工数
の増大の程度と、許容される歪みの大きさ等を比較考量
して定めればよい。
【0033】以上、本発明を図面を参照して詳細に説明
したが、本発明は更に別の態様でも実施できる。
【0034】例えば、実施例においては、鉛系ペロブス
カイト化合物である真性PZTから成る圧電セラミック
素子に本発明が適用された場合について説明したが、図
6に示されるような種々の変性PZTにおいても、固溶
割合を相互に異なるものとした二層以上を積層すること
によって本発明の効果を享受できる。また、PZTに限
られず、ビスマス系ペロブスカイト化合物や、その他、
温度軸に対して傾斜したMPBを有する固溶体であれ
ば、本発明を同様に適用することができる。
【0035】また、実施例においては、MPBが菱面体
晶相と正方晶相との間に存在する化合物固溶体に本発明
が適用された場合について説明したが、他の結晶相の間
にMPBが存在する固溶体にも本発明は同様に適用され
る。
【0036】また、実施例においては、厚さ寸法が1(m
m)程度、直径が15(mm)程度の円板状の素子10等に本発
明が適用されていたが、素子10等の寸法および形状は
用途に応じて適宜定められるものである。例えば、角柱
状や矩形板状等の素子にも本発明は適用される。この場
合、積層方向は用途に応じて厚み方向としても良く、角
柱等の長さ方向としても良い。
【0037】また、実施例においては、超音波アクチュ
エータ用の素子10に本発明が適用されていたが、その
他にも圧電セラミック素子が用いられる用途であれば、
センサ、フィルタ、振動子、超音波モータ等にも本発明
の圧電セラミックスを用いることができる。
【0038】また、実施例においては、第1層16乃至
第3層20の厚さ寸法が一様とされていたが、積層され
る各層の圧電特性や機械的特性、熱的特性等に応じて個
々の厚さ寸法を異なるものとしても良い。
【0039】また、実施例においては、固溶割合だけを
相互に異なるものとした化合物を積層して素子10等を
構成していたが、本発明は、温度変化に伴って傾斜した
MPBに関連して特性が変化する化合物において、その
特性変化を相互に緩和することにより温度安定性を高め
るものであるので、積層される各層は、固溶体を構成す
る化合物が相互に異なるものであっても差し支えない。
【0040】また、実施例においては、素子10が粉末
プレス成形を利用して積層構造に構成されていたが、ド
クターブレード法等のテープ成形法により得られたグリ
ーンシートを熱或いは加圧により圧着して積層構造を構
成することもできる。すなわち、積層体を構成する各層
が相互に化学的に結合したものであれば、積層構造の形
成方法は特に問わない。
【0041】また、実施例においては、本発明が適用さ
れることにより、−100〜+150(℃)程度の温度範囲、好
適には−70〜+120(℃)程度の温度範囲で特性が安定化
させられた圧電セラミックスを得る場合について説明し
たが、特性が安定する温度範囲は積層された各層の固溶
割合に応じて定まるものであるので、温度軸に対して傾
斜したMPBの認められる温度範囲内であれば、用途に
応じて固溶割合を適宜選択することにより、所望の温度
範囲で特性の安定した圧電セラミックスを得ることがで
きる。
【0042】その他、一々例示はしないが、本発明は、
その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の圧電体を示す斜視図であ
る。
【図2】図1の圧電体の構成を説明するための要部断面
図である。
【図3】図1の圧電体を構成する固溶体の相平衡図であ
る。
【図4】図1の圧電体の電気機械結合係数の温度依存性
を説明するための図である。
【図5】図1の圧電体の周波数定数の温度依存性を説明
するための図である。
【図6】従来の圧電体の電気機械結合係数の温度依存性
を説明するための図である。
【図7】従来の圧電体の周波数定数の温度依存性を説明
するための図である。
【図8】本発明の他の実施例を説明するための層構成図
である。
【図9】本発明の更に他の実施例を説明するための層構
成図である。
【符号の説明】
10:圧電セラミック素子 16:第1層 18:第2層 20:第3層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 冬季 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 平野 眞一 愛知県知多郡東浦町緒川丸池台3−2 (72)発明者 余語 利信 愛知県名古屋市天白区平針1−1406−102 (72)発明者 坂本 渉 愛知県名古屋市北区山田町1−31 (72)発明者 松原 賢東 愛知県名古屋市緑区鳴海町亀ヶ洞32−115 Fターム(参考) 4G031 AA01 AA03 AA06 AA07 AA11 AA12 AA14 AA15 AA18 AA19 AA21 AA22 AA24 AA26 AA27 AA32 AA35 BA10 CA01 CA03 CA08 GA01 GA06 GA11 GA14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成および温度の二次元相平衡図におい
    て温度軸に対して傾斜したモルフォトロピック相境界
    (MPB)を有し且つ所定の第1温度でそのMPB上に位
    置することとなる固溶割合の第1固溶体から成る第1層
    と、 組成および温度の二次元相平衡図において温度軸に対し
    て傾斜したMPBを有し且つ前記第1温度とは異なる所
    定の第2温度でそのMPB上に位置することとなる固溶
    割合の第2固溶体から成り、前記第1層に積層された第
    2層とを、含むことを特徴とする圧電セラミックス。
  2. 【請求項2】 前記第1固溶体および前記第2固溶体
    は、前記第1温度および前記第2温度の中間温度におい
    て菱面体晶相および正方晶相の一方および他方の領域内
    の組成を備えたものである請求項1の圧電セラミック
    ス。
  3. 【請求項3】 前記固溶体は、鉛系ペロブスカイト化合
    物およびビスマス系ペロブスカイト化合物の何れかであ
    る請求項1の圧電セラミックス。
  4. 【請求項4】 前記第1固溶体および前記第2固溶体
    は、それぞれ[PbTiO3,PbZrO3]、[PbZn1/3Nb2/3O3,PbTiO
    3]、[PbMg1/3Nb2/3O3,PbTiO3]、[PbNi1/3Nb2/3O3,PbTiO
    3]、[PbCd1/3Nb2/3O3,PbTiO3]、[PbMn1/3Nb2/3O3,PbTiO
    3]、[PbCo1/3Nb2/3O 3,PbTiO3]、[PbMg1/3Ta2/3O3,PbTiO
    3]、[PbSc1/2Nb1/2O3,PbTiO3]、[PbYb1/2Nb1 /2O3,PbTiO
    3]、[PbHo1/2Nb1/2O3,PbTiO3]、[PbLu1/2Nb1/2O3,PbTiO
    3]、[PbIn1/2Nb1/2O3,PbTiO3]、[PbFe1/2Nb1/2O3,PbTiO
    3]、[PbSc1/2Ta1/2O3,PbTiO3]、[PbMg 1/2W1/2O3,PbTi
    O3]、[PbCo1/2W1/2O3,PbTiO3]、[PbMn1/3Nb2/3O3,PbTiO
    3,PbZrO3]、[PbNi1/3Nb2/3O3,PbTiO3,PbZrO3]、[(Bi1/2
    Na1/2)TiO3,BaTiO3]、[(Bi1/2Na1 /2)TiO3,NaNbO3]、[(B
    i1/2Na1/2)TiO3,KNbO3]、[(Bi1/2Na1/2)TiO3,BaTiO3,Bi
    FeO3]のうちの一組のセラミック材料が所定の割合で固
    溶したものである請求項1の圧電セラミックス。
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