JP2003277887A - 窒化処理用薄鋼板 - Google Patents
窒化処理用薄鋼板Info
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Abstract
深さが得られる窒化処理用薄鋼板を提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.01%超、0.09%以下、
Si:0.005 〜0.5 %、Mn:0.01〜3.0 %、Al:0.005 〜
2.0 %、Cr:0.50〜4.0 %、P:0.10%以下、S:0.01
%以下およびN:0.010 %以下を含有し、残部はFeおよ
び不可避的不純物の組成とし、かつ単位体積当たりの粒
界面積Sv を80mm-1以上、1300mm-1以下の範囲に制御す
る。
Description
用部品および自動車の部品など、耐摩耗性、耐疲労強度
および耐焼付性が必要とされる部品、特に窒化処理によ
ってこれらの諸特性を付加する部品に供して好適な窒化
処理用鋼板に関するものである。
品などは、耐摩耗性、耐疲労強度および耐焼付性が必要
とされるため、表面硬化処理を施すことが通例であり、
かような表面硬化処理の典型例として窒化処理がある。
これは、鋼中に窒素を侵入させる処理であり、表面硬化
能に優れるため、従来から広く利用されてきた。
例えば特開昭59−31850 号および同59−50168 号各公報
に記載されているように、窒化促進元素を多量に含有し
ているため、窒化処理前の鋼板は高強度である反面、加
工性に乏しいものであった。従って、複雑な部品形状の
製品を製造する場合は、バルクから研削加工によって所
定形状に形成し、その後窒化処理を施すことが一般的で
あった。
品形状に仕上げるには、研削に要するコストが嵩むこと
から、深絞り成形や張り出し成形などのプレス成形によ
って部品を作製することが検討されている。すなわち、
プレス成形性に優れた鋼板を用いて成形加工を行えば、
複雑な部品形状でも成形が可能であり、部品形成に要す
る時間およびコストを大幅に削減できる。
が強く要求される場合には、従来から知られている低炭
素鋼や極低炭素鋼などの鋼板を適用しても、十分な表面
硬さが得られないという問題があった。
工や曲げ加工などの塑性加工によって成形体を得ること
は、従来の薄鋼板を用いても可能であるが、従来鋼板で
は窒化処理後の表面硬さおよびその硬化深さ分布が十分
とはいえず、所望の耐磨耗性および耐疲労強度などの必
要特性を満足させることはできなかった。そのため、プ
レス加工や曲げ加工などの簡便な成形法で成形すること
ができ、しかも窒化処理後に十分な表面硬さや硬化深さ
を得ることができる窒化処理用薄鋼板の開発が切望され
ていた。
で、窒化処理によって十分な表面硬化能と硬化深さを得
ることができる窒化処理用薄鋼板を提案することを目的
とする。
成および鋼組織が窒化処理後の硬度に及ばす影響につい
て鋭意検討を行った結果、鋼中に、Cr,Al,V,Ti,Nb
といった窒化物形成元素を鋼板の成形性を阻害しない範
囲で含有させた上で、単位体積当たりの粒界面積を所定
の範囲に制御することにより、窒化処理後に高い表面硬
さと十分な硬化深さの両者が併せて得られるという新規
知見を得た。
る。すなわち、本発明は、質量%で、C:0.01%超、0.
09%以下、Si:0.005 〜0.5 %、Mn:0.01〜3.0 %、A
l:0.005 〜2.0 %、Cr:0.50〜4.0 %、P:0.10%以
下、S:0.01%以下およびN:0.010 %以下を含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、単位体積
当たりの粒界面積Sv が80mm-1以上、1300mm-1以下であ
ることを特徴とする窒化処理用薄鋼板である。
らに、V:0.01〜1.0 %Ti:0.01〜1.0 %およびNb:0.
01〜1.0 %のうちから選んだ1種または2種以上を含有
させることができる。
る。まず、本発明において、鋼板の成分組成を上記の範
囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関す
る「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するもの
とする。 C:0.01%超、0.09%以下 Cは、成形性に影響を及ぼす元素であり、含有量が多く
なると成形性が低下する。従って、C量の上限値は0.09
%とした。一方、C量が0.01%以下では機械構造用鋼と
しての強度不足を招くので、強度確保の観点からC量の
下限は0.01%超とした。
添加は加工性低下の原因になるだけでなく、表面酸化が
大きくなって窒化反応が阻害されるので、Siの上限値は
0.5%とした。一方、Si量を 0.005%未満とすること
は、製鋼コストの増大を招くので、下限値は 0.005%と
した。
であるが、過度の添加は加工性を低下させるだけでな
く、表面酸化による窒化反応の阻害を招くので、Mnの上
限値は 3.0%とした。一方、Mn量を0.01%未満とするこ
とは、製鋼コストの増大を招くので、下限値は0.01%と
した。
等の欠陥の発生を防止するには、0.005 %以上添加する
必要がある。一方、2.0 %を超える過度の添加は加工性
を低下させるので、上限値は 2.0%とした。なお、Alは
窒素との親和力が強く、窒化処理後に生じる表層の化合
物層の硬度を高める作用も有しているが、この効果を有
効に発揮させるためには0.10%以上添加することが好ま
しい。
満では窒化処理後に十分な硬度上昇および硬化深さが得
られない。一方、4.0 %を超えて含有されると成形性が
低下する。よって、Cr量は0.50〜4.0 %の範囲に限定し
た。
素であるが、含有量が0.10%を超えると鋼板の成形性お
よび2次加工脆性の観点から好ましくない。よって、P
は0.10%以下で含有させるものとした。なお、Pを 0.0
01%未満にすることは、製鋼コストが飛躍的に増大し、
経済的に不利となるので、Pは0.001 %以上含有させる
ことが好ましいが、製鋼コストの問題がなければ 0.001
%未満であってもよい。
下を招くので、S量は0.01%以下に抑制するものとす
る。
010 %を超えると深絞り性が劣化する。よって、Nは
0.010%以下に制限するものとした。
明ではその他にも、以下に述べる元素を適宜含有させる
ことができる。 V:0.01〜1.0 % Vは、窒化物形成元素であり、窒化処理後の硬化量を高
める作用を有する。さらに、Vは窒素の拡散を促進させ
る作用を有し、窒化処理後の硬化深さを深める上でも有
用な元素でもある。これらの作用を発揮させるために
は、0.01%以上含有させることが好ましい。但し、V量
が 1.0%を超えると成形性が劣化するので上限は 1.0%
とした。また、Vは炭化物形成元素でもあるので、C量
に対して過剰に含有させると、結晶粒界に固溶するCを
減少させて粒界強度の低下を招き、熱間圧延時のスラブ
割れや窒化処理品の靱性低下を招くおそれがある。従っ
て、Vは、次式 V<51/12C 但し、V, Cは各元素の含有量(質量%)の範囲で含有
させることがさらに好ましい。
める作用を有し、鋼がTiを含有していると、短時間の窒
化処理で表面硬さを高めることができる。この効果を得
るためには、0.01%以上添加することが好ましいが、Ti
量が 1.0%を超えると成形性が劣化するので、Tiは0.01
〜1.0 %の範囲で含有させることが好ましい。また、Ti
は、Vと同様、炭化物形成元素であり、C量に対して過
剰に含有させると、結晶粒界に固溶するC量を減少させ
て粒界強度の低下を招き、熱間圧延時のスラブ割れや窒
化処理品の靱性低下を招くおそれがある。従って、Ti
は、次式 Ti<48/12C 但し、Ti, Cは各元素の含有量(質量%)の範囲で含有
させることがさらに好ましい。
める作用を有し、鋼がNbを含有していると、短時間の窒
化処理で表面硬さを高めることができる。この効果を得
るためには、0.01%以上添加することが好ましいが、Nb
量が 1.0%を超えると成形性が劣化するので、Nbは0.01
〜1.0 %の範囲で含有させることが好ましい。また、Nb
も、VやTiと同様、炭化物形成元素であり、C量に対し
て過剰に含有させると、結晶粒界に固溶するC量を減少
させて粒界強度の低下を招き、熱間圧延時のスラブ割れ
や窒化処理品の靱性低下を招くおそれがある。従って、
Nbは、次式 Nb<93/12C 但し、Nb、Cは各元素の含有量(質量%)の範囲で含有
させることがさらに好ましい。
的不純物であるが、その他にも、Cu,Ni,Moなどの強度
上昇能を有する元素を、加工性を害さない範囲で添加し
てもよい。
-1)の限定理由について述べる。さて、発明者らは、窒
化処理後に所望の表面硬さと硬化深さを得ることができ
る条件について鋭意検討を重ねた結果、単位体積当たり
の粒界面積を制御することが重要であることを見出し
た。図1は、単位体積当たりの粒界面積が、窒化処理後
の表面硬さと硬化深さに及ぼす影響を示す図である。図
1に示す実験結果は、C:0.055 %, Si:0.02%, Mn:
0.3 %, P:0.02%, S:0.004 %, N:0.0035%, A
l:0.13%およびCr:1.3 %を含有し、残部はFeおよび
不可避的不純物の組成になる鋼塊を用い、熱間圧延処理
あるいは熱間圧延処理に引き続き冷間圧延処理を施して
再結晶処理を行うことにより、種々の単位体積当りの粒
界面積を持つ板厚:1.6 mmの薄鋼板を製造し、この薄鋼
板に対して、RXとNH3 ガスを含む雰囲気ガス中にて 5
70℃, 3時間のガス窒化処理を施したのち、油冷したも
のをサンプルとして、表面硬さと硬化深さを調査した結
果に基づくものである。
ス硬度計を用いて、最表層より板厚方向へ 0.030mmの深
さ位置を測定することにより求められる硬度(Hv)のこ
とをいう。また、硬化深さは、板厚中央部のビッカース
硬度値に対して+50Hvとなる位置の最表層からの距離
(mm)で定義する。単位体積当たりの粒界面積Sv (mm
-1)は、薄鋼板の製造時に、熱間圧延時の圧下率や圧延
温度、冷間圧延時の圧下率や再結晶焼鈍温度を調整する
ことによって変化させた。
定は、光学顕微鏡によって観察した金属組織から、切断
法により平均粒切片長さL(mm)を求めることにより行
った。この方法は、光学顕微鏡写真の上に既知の長さの
直線を引き、これと交わるフェライト粒の数を計算する
方法である。そして、単位体積当たりの粒界面積Sv(m
m-1)は平均切片長さL(mm)より、次式 Sv =2/L により求めることができる。この式は、単位体積当たり
の粒界面積を算出する式としてよく知られており、結晶
粒の形や分布には全く影響されないことも知られてい
る。
が大きくなるほど、表面硬さは増大し、一方硬化深さは
小さくなる傾向があることが分かる。そして、表面硬さ
と硬化深さとを両立させるためには、単位体積当たりの
粒界面積Sv を80mm-1以上、1300mm-1以下とする必要が
あることが分かる。単位体積当りの粒界面積Sv が80mm
-1未満では、硬化深さは深いものの、表面硬さが低くな
る。一方、単位体積当りの粒界面積Sv が1300mm-1超で
は、表面硬さは著しく高いけれども硬化深さが浅くな
る。
かう拡散は、主に結晶粒界に沿って起っており、結晶粒
界に沿って析出する微細な炭窒物が硬さの上昇に寄与
し、単位体積当たりの粒界面積が大きくなるほど、微細
な炭窒化物が多数析出して表面硬さが大きくなるものと
考えられる。このことは、反面、NおよびCの板厚方向
中心部へ向けての拡散が遅くなることになり、単位体積
当たりの粒界面積が大きくなると硬化深さが浅くなるも
のと考えられる。
厚方向へ 0.030mmの深さ位置における結晶粒界を透過電
子顕微鏡(TEM)で観察した結果を示す。結晶粒界の
近傍には析出物が多数認められ、またこれら析出物はCr
やAlの窒化物、複合窒化物、炭窒化物、複合炭窒化物で
あることがEELS、EDXによる分析結果から確認で
きた。上記の観察結果から、窒化処理時の窒素および炭
素の板厚方向に向かう拡散は、主に結晶粒界に沿って起
っていることが分かる。発明者らの調査では、これらの
析出物が微細であると、硬度が大きくなり、特に 300nm
以下にまで微細化していると、硬度上昇が十分となるこ
とが確認できた。
板の製造時に、熱間圧延時の圧下率や圧延温度、冷間圧
延時の圧下率や再結晶焼鈍温度を調整することによっ
て、80mm-1以上、1300mm-1の範囲で調整可能である。
スラブとしたのち、熱間圧延、酸洗を施して熱延鋼板と
した。この時、スラブ加熱温度は1180℃、熱延仕上温度
は 870℃以上、巻取温度は 590℃とした。得られた熱延
鋼板について、プレスによる塑性加工を実施したのち、
ガス軟窒化処理法により窒化処理を施した。窒化処理
は、RXとNH3 を含む混合ガス雰囲気中で 580℃, 3時
間の処理を行ったのち、油冷することにより行った。窒
化処理後に、板厚方向位置でのビッカース硬さ(試験
力:0.9807N)を測定して表面硬さと硬化深さを調査し
た。表面硬さは、最表層から板厚方向に 0.030mmの深さ
位置でのビッカース硬さで評価し、一方硬化深さは、板
厚中央部の硬さに対して50Hvだけ硬さが高くなる位置の
表層からの距離で評価した。
位体積当たりの粒界面積Sv (mm-1)、降伏点YP(MP
a)、引張強さTS(MPa)、伸びEl(%)を求めた。単
位体積当たりの粒界面積Sv (mm-1)は、光学顕微鏡観
察結果から前述した方法により求めた。降伏点YP(MP
a)、引張強さTS(MPa)および伸びEl(%)は、熱延
鋼板よりJIS 5号試験片を採取し、JIS Z 2241に記載の
金属材料引張試験方法に準拠して引張試験を行った結果
から求めた。窒化処理前の熱延鋼板についての粒界面積
Sv 、降伏点YP、引張強さTS、伸びElの調査結果
および窒化処理後の表面硬さ、硬化深さの測定結果を表
2に示す。
7はいずれも、成分組成、単位体積当たりの粒界面積S
v ともに本発明の範囲内であり、表面硬さは650 Hv以上
の高い硬度を示し、硬化深さは0.30mm以上を確保するこ
とができた。これに対し、No.8は、C量が少ないためT
Sが低い値を示しているだけでなく、単位体積当たりの
粒界面積Sv が80mm-1に満たず、そのため表面硬さが低
い。また、No.9は、Ti量が多すぎるため、硬化深さが浅
い。これは、窒化処理時にはTiNを形成しながらNの拡
散が進行するが、TiN形成に時間を要することと、析出
したTiNが拡散を阻害するために硬化深さが浅くなった
ものと考えられる。さらに、No.10 は、Crの含有量が少
ないため、表面硬さが小さく、また硬化深さも浅く、窒
化処理による硬化の程度が小さい。
スラブとしたのち、スラブ加熱温度を1200℃として、仕
上圧延温度:870 ℃以上で熱間圧延を行い、板厚:3.5
mmの熱延鋼板とした。この熱延鋼板を酸洗後、圧下率:
60%の冷間圧延を施したのち、 800〜950 ℃の温度域で
再結晶焼鈍を施して、単位体積当たりの粒界面積Sv を
種々に変化させた冷延鋼板を得た。得られた冷延鋼板に
ついて、プレスによる塑性加工を実施したのち、ガス軟
窒化処理法により窒化処理を施した。窒化処理は、RX
とNH3 を含む混合ガス雰囲気中で 570℃, 4時間の処理
を行ったのち、油冷することにより行った。窒化処理後
に、板厚方向位置でのビッカース硬さ(試験力:0.9807
N)を測定して表面硬さと硬化深さを調査した。表面硬
さおよび硬化深さは、上述の実施例1にて説明した方法
と同様にして求めた。また、窒化処理前の冷延鋼板につ
いて、単位体積当たりの粒界面積Sv (mm-1)を、上述
の実施例1の場合と同様にして求めた。冷延鋼板製造の
際の焼鈍温度、窒化処理前の冷延鋼板についての粒界面
積Svおよび窒化処理後の表面硬さ、硬化深さの測定結
果を表4に示す。
はいずれも、焼鈍温度が適正であるため、単位体積当た
りの粒界面積が本発明の範囲内となっており、表面硬
さ、硬化深さともに満足できる値を示している。これに
対し、No.13 は、焼鈍温度が高すぎて結晶粒が粗大化
し、単位体積当たりの粒界面積が小さくなっている。そ
のため窒化処理後の表面硬さが小さい。またNo.14 は、
焼鈍温度が低かったため、単位体積当たりの粒界面積が
大きくなってしまい、結果として硬化深さが浅くなって
いる。
によって部品形状に容易に加工することができ、またそ
の後の窒化処理によって高い表面硬さと十分な硬化深さ
を併せて得ることができる窒化処理用薄鋼板を安定して
提供することができる。従って、本発明によれば、寸法
精度、強度および耐久性に優れた高強度一般構造用部品
や自動車部品等を低コストで製造することが可能とな
る。
よび硬化深さに及ぼす影響を示すグラフである。
の深さ位置における結晶粒界の透過電子顕微鏡(TE
M)写真である。
Claims (2)
- 【請求項1】 質量%で、 C:0.01%超、0.09%以下、 Si:0.005 〜0.5 %、 Mn:0.01〜3.0 %、 Al:0.005 〜2.0 %、 Cr:0.50〜4.0 %、 P:0.10%以下、 S:0.01%以下および N:0.010 %以下 を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成にな
り、単位体積当たりの粒界面積Sv が80mm-1以上、1300
mm-1以下であることを特徴とする窒化処理用薄鋼板。 - 【請求項2】 請求項1において、鋼板が、質量%でさ
らに、 V:0.01〜1.0 % Ti:0.01〜1.0 %および Nb:0.01〜1.0 % のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成に
なることを特徴とする窒化処理用薄鋼板。
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| JP2002085678A JP3928454B2 (ja) | 2002-03-26 | 2002-03-26 | 窒化処理用薄鋼板 |
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