JP2003282003A - 画像形成装置の製造方法 - Google Patents

画像形成装置の製造方法

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JP2003282003A
JP2003282003A JP2002083557A JP2002083557A JP2003282003A JP 2003282003 A JP2003282003 A JP 2003282003A JP 2002083557 A JP2002083557 A JP 2002083557A JP 2002083557 A JP2002083557 A JP 2002083557A JP 2003282003 A JP2003282003 A JP 2003282003A
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electron
plate
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JP2002083557A
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Ryoji Tanaka
良二 田中
Kenji Niihori
憲二 新堀
Kazuyuki Ueda
和幸 上田
宣之 ▲高▼橋
Noriyuki Takahashi
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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像形成装置の気密容器内のスペーサの、接
着剤の硬化収縮の差異に基づく張力の不均一による変形
や破損と、位置ずれとを防ぐ。 【解決手段】 気密容器を構成するリアプレート101
5上に、スペーサ1020を、画像形成領域とその周辺
領域を跨ぐように配置し、画像形成領域外で、スペーサ
1020の両側部をリアプレート1015に接着した後
に、画像形成領域内の数か所で、スペーサ1020の中
間部をリアプレート1015に接着する。その後フェー
スプレートを固定して気密容器を完成させる。画像形成
領域外でスペーサ1020の両側部をリアプレート10
15に接着する固着部には、スペーサ1020を支持し
得るように大量の接着剤1021aを用い、画像形成領
域内でスペーサ1020の中間部をリアプレート101
5に接着する固着部には、電子軌道に影響を与えないよ
うに少量の接着剤1021bを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】電子源を有する第1のプレー
トと、電子源から放出された電子が照射されて画像を形
成する画像形成領域を有する第2のプレートと、これら
の2つのプレートを互いに対向するように固定する枠状
の側壁とからなる気密容器と、気密容器の内部で2つの
プレートの間に挟まれるように配置されたスペーサとを
有する画像形成装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ブラウン管型表示装置に代わる表
示装置として、薄型かつ軽量である平面型表示装置が注
目されている。特に、電子放出素子と、電子ビームの照
射により発光する蛍光体とを組み合わせて用いる表示装
置は、従来の他の方式の表示装置よりも優れた特性が期
待されており、例えば、近年普及してきた液晶表示装置
と比較すると、自発光型であるためバックライトを必要
としない点や、視野角が広い点で優れている。
【0003】この表示装置に用いられる電子放出素子と
しては、熱陰極素子と冷陰極素子の2種類が知られてい
る。冷陰極素子は、熱陰極素子と比べて低温で電子を放
出することができるため、加熱用ヒータを必要としな
い。従って、冷陰極素子は、熱陰極素子よりも構造が単
純であり、微細に形成可能である。また、冷陰極素子
は、多数の素子を基板上に高密度で配置しても、基板の
熱溶融などの問題が発生しにくい。さらに、熱陰極素子
がヒータの加熱により動作するため応答速度が遅いのに
対して、冷陰極素子は応答速度が速いという利点も有し
ている。
【0004】冷陰極素子としては、例えば表面伝導型放
出素子や、電界放出型素子(FE型素子)や、金属/絶
縁層/金属型放出素子(MIM型素子)などが知られて
いる。そのうち、表面伝導型放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことによ
って電子が放出される現象を利用するものであり、冷陰
極素子の中でも特に構造が単純で製造が容易であるた
め、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点があ
る。表面伝導型放出素子としては、例えば、SnO 2
膜を有するもの(「Radio Eng. Electron Phys.」1
0,1290(M. I. Elinson:1965年発行)に開
示)や、Au薄膜を有するもの(「Thin Solid Films」
9,317(G. Dittmer:1972年発行)に開示)
や、In23/SnO2薄膜を有するもの(「IEEE Tran
s. ED Conf.」,519(M. Hartwell and C. G. Fonst
ad:1975年発行)に開示)や、カーボン薄膜を有す
るもの(「真空」第26巻第1号、22(荒木久 他:
1983年発行)に開示)等が報告されている。
【0005】表面伝導型放出素子の素子構成の一般的な
構成が、図21に示されている。この表面伝導型放出素
子では、基板3001上に、金属酸化物からなる導電性
薄膜3004が、平面形状がH字型になるようにスパッ
タで形成されており、導電性薄膜3004に通電フォー
ミングと呼ばれる通電処理を施すことにより、電子放出
部3005が形成されている。H字型の導電性薄膜30
04の中間部の長さEは0.5〜1[mm]で、その幅
Fは0.1[mm]である。なお、便宜上、導電性薄膜
3004の中央に矩形の電子放出部3005が形成され
ているように図示されているが、これは模式的なもので
あり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現して
いるわけではない。
【0006】このような表面伝導型放出素子が多数マト
リクス状に配列されて、例えば特開昭64−31332
号公報等に開示されているような方法により駆動され
る、画像表示装置や画像記録装置などの画像形成装置
や、荷電ビーム源等の電子線装置が構成されている。例
えば、米国特許第5,066,883号や特開平2−2
57551号公報や特開平4−28137号公報には、
表面伝導型放出素子と電子の衝突により発光する蛍光体
とを組み合わせて用いる画像表示装置が開示されてい
る。
【0007】図22は、平面型の画像表示装置をなす表
示パネル部の一例を示す斜視図であり、内部構造を示す
ためにパネルの一部を切り欠いて示している。リアプレ
ート3115と、側壁3116と、フェースプレート3
117により、表示パネルの内部を真空に維持するため
の外囲器(気密容器)が形成されている。
【0008】リアプレート3115には基板3111が
固定され、この基板3111上には、冷陰極素子311
2がN×M個マトリックス状に形成されている(N、M
は2以上の正の整数であり、所望の表示画素数に応じて
適宜設定される)。N×M個の冷陰極素子3112は、
M本の行方向配線3113とN本の列方向配線3114
に接続されている。これら基板3111、冷陰極素子3
112、行方向配線3113、および列方向配線311
4によって、マルチ電子ビーム源が構成されている。な
お、行方向配線3113と列方向配線3114の交差す
る部分には図示しない絶縁層が形成されており、電気的
な絶縁が保たれている。
【0009】フェースプレート3117の下面には、蛍
光体からなる蛍光膜3118が形成されており、赤
(R)、緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体(不図
示)が塗り分けられている。また、蛍光膜3118をな
す上記各色蛍光体の間には黒色体(不図示)が設けてあ
り、さらに蛍光膜3118のリアプレート3115側の
面には、Al等からなるメタルバック3119が形成さ
れている。
【0010】この表示パネルと不図示の電気回路とを電
気的に接続するために、気密構造の電気接続用端子Dx1
〜DxMおよびDy1〜DyNおよびHvが設けられている。
端子Dx1〜DxMはマルチ電子ビーム源の行方向配線31
13と、端子Dy1〜DyNはマルチ電子ビーム源の列方向
配線3114と、端子Hvはメタルバック3119とそ
れぞれ電気的に接続されている。
【0011】気密容器の内部は1.3×10-3[Pa]
(10-6[Torr])程度の真空に保持されており、画像
表示装置の表示面積が大きくなるに従って、気密容器内
部と外部の気圧差によりリアプレート3115やフェー
スプレート3117が変形したり破損したりするおそれ
がある。それを防止するためにリアプレート3115お
よびフェースプレート3116を厚くすると、画像表示
装置の重量を増加させるのみならず、斜め方向から見た
ときの画像のゆがみや視差の原因となる。そこで、図2
2に示す構成では、比較的薄いガラス板からなり大気圧
を支えるための、スペーサと呼ばれる構造支持体312
0が設けられている。このようにして、マルチビーム電
子源が形成された基板3111と蛍光膜3118が形成
されたフェースプレート3116との間は、通常サブミ
リないし数ミリに保たれ、気密容器内部は高真空に保持
されている。
【0012】以上説明した表示パネルからなる画像表示
装置において、容器外の端子Dx1〜DxMおよびDy1〜D
yNから各冷陰極素子3112に電圧を印加すると、各冷
陰極素子3112から電子が放出される。それと同時に
メタルバック3119に端子Hvから数百〜数千[V]
の高圧を印加して、冷陰極素子3112から放出された
電子を加速させ、フェースプレート3117の内面に衝
突させる。これにより、蛍光膜3118をなす各色の蛍
光体が励起されて発光し、画像が表示される。
【0013】表示パネル内に設置されたスペーサ312
0は、以下の問題を解決するために、フェースプレート
3117とリアプレート3115との間に印加される高
電圧に耐えるだけの高い絶縁性とともに高い帯電抑制性
が要求される。
【0014】第1に、スペーサ3120の近傍の冷陰極
素子3112から放出された電子の一部がスペーサ31
20に当たることにより、あるいは冷陰極素子3112
からフェースプレート3117に到達し反射した電子の
一部がスペーサ3120に当たることにより2次電子の
放出が起こり、スペーサ3120の帯電を引き起こすお
それがある。これまでに本出願人が得た知見では、ほと
んどの場合、スペーサ3120の表面に引き起こされる
帯電は正帯電である。このスペーサ3120の帯電によ
り、冷陰極素子3112から放出された電子はその軌道
を曲げられ、フェースプレート3117に設けられた蛍
光体上の適正な位置とは異なる場所に到達し、スペーサ
3120近傍に形成される画像がゆがんで表示されてし
まう。
【0015】第2に、冷陰極素子3112から放出され
た電子を加速させるために、マルチ電子ビーム源とフェ
ースプレート3117との間には数百[V]以上の高電
圧(すなわち、1[kV/mm]以上の高電界)が印加
されるため、スペーサ3120の表面で面に沿って放電
するおそれがある。特に、前記のようにスペーサ312
0が帯電している場合は、放電が誘発される可能性が高
い。
【0016】これらの問題点を解決するために、スペー
サ3120に微小電流が流れるようにして帯電を除去す
る提案がなされている(特開昭57−118355号公
報および特開昭61−124031号公報に開示)。す
なわち、絶縁性のスペーサ3120の表面に帯電防止膜
として高抵抗薄膜を形成することにより、スペーサ31
20表面に微小電流が流れる構成である。ここで用いら
れている帯電防止膜は、酸化スズ、あるいは酸化スズと
酸化インジウムの混晶の薄膜や、島状に形成された金属
膜である。また、高抵抗膜が被覆されたスペーサ312
0をマルチ電子ビーム源およびフェースプレート311
7と電気的に良好に接続するために、スペーサ3120
の、マルチ電子ビーム源およびフェースプレート311
7との接続部に、低抵抗膜を形成する構成も開示されて
いる。そして、このように高抵抗膜および低抵抗膜が被
覆されたスペーサ3120が、導電性を有するフリット
ガラスを用いて、マルチ電子ビーム源およびフェースプ
レート3117に電気的に接続されるとともに、機械的
に固定されている。
【0017】導電性を有するフリットガラスを用いてス
ペーサ3120を固定する時に、フリットガラスの塗布
高さが不均一になることや、フリットガラスが所定の接
着位置からはみ出してしまうことがある。その場合、電
位の乱れが発生するという問題を生じる。この問題を解
決するために、特開2000−311633号公報に
は、長尺スペーサを用いて、この長尺スペーサが画像領
域内ではマルチ電子ビーム源やフェースプレートに接着
されず、画像領域外でのみ接着される構成が開示されて
いる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来の画像形
成装置においては、画像領域外でのみ固定されている長
尺スペーサが、搬送時の振動やフェースプレートとリア
プレートの封止作業の影響で、最初に組み付けた位置か
らずれてしまう可能性がある。大画面の画像形成装置に
おいてはその傾向はより顕著である。
【0019】これに対し、特開平10−144203号
公報には、画像領域内でスペーサを部分的に固着する方
法が開示されている。この方法では、張力を加えてスペ
ーサを矯正しながら両側部と中間部を同時に接着するた
め、接着部の硬化収縮により張力が不均一になる可能性
が高い。すなわち、スペーサの両側部の接合部には多量
の接着剤を付与し、画像形成領域内のスペーサの中間部
の接合部には、電子軌道に影響を及ぼさないように少量
の接着剤を付与するため、体積が大きく硬化収縮量の大
きい両側部の接着剤の影響を多大に受けて、スペーサの
各部分における張力が不均一になり、変形や破損等が発
生するおそれがある。
【0020】そこで本発明の目的は、画像形成装置の気
密容器を形成する際の、熱に起因する接着剤の硬化収縮
によるスペーサの張力の不均一を防止し、スペーサの変
形や破損が発生せず、しかも、スペーサが固定されたプ
レートの搬送時の振動やフェースプレートとリアプレー
トの封止作業の影響でスペーサが最初に組み付けた位置
からずれてしまうことがない、画像形成装置の製造方法
を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、電子源
を有する第1のプレートと、電子源から放出された電子
が照射されて画像を形成する画像形成領域を有する第2
のプレートと、2つのプレートを互いに対向するように
固定する枠状の側壁とからなる気密容器と、気密容器の
内部で2つのプレートの間に挟まれるように配置された
スペーサとを有する画像形成装置の製造方法において、
スペーサを画像形成領域とその周辺領域を跨ぐように配
置し、画像形成領域外で、スペーサの両側部を2つのプ
レートのうちのいずれか一方に固着した後に、画像形成
領域内で、スペーサの中間部を一方のプレートに部分的
に固着するところにある。
【0022】さらに、画像形成領域内でスペーサの中間
部を一方のプレートに部分的に固着した後に、2つのプ
レートを互いに対向するように固定して気密容器を形成
する。
【0023】画像形成領域内でのスペーサの一方のプレ
ートへの固着は、無機系の接着剤を用いて行うことが好
ましい。
【0024】スペーサは薄板状であり、2つのプレート
間の間隔を規定するスペーサの高さをHとし、スペーサ
の2つのプレートに接合される面の長さをL、幅をWと
した場合に、L/W>5×102とL/H>50の少な
くともどちらか一方の関係を満たすように形成されてい
ることが好ましい。
【0025】電子源は、電子を放出するために8[k
V]より大きい直流電圧Vaが供給されることが好まし
い。
【0026】スペーサの画像形成領域内での一方のプレ
ートへの固着では、画像形成領域外での一方のプレート
への固着に比べて、固着部1個所あたりに付与される接
着剤の体積が小さいことが好ましい。
【0027】従来は、張力を加えてスペーサの形状を矯
正した後、その両側部と中間部を同時に接着させるた
め、接着部の硬化収縮の違いによる張力の不均一が発生
し易い。しかし、前記した方法によれば、まず、接着剤
の体積が大きく硬化収縮量の大きいスペーサの両側部を
先に接着して張力を安定させ、その後で、体積が小さく
硬化収縮量の小さい中間部を接着することにより、張力
不均一を防止し、スペーサの変形や破損を防ぐことがで
きる。
【0028】さらに、本発明の方法によると、画像形成
領域内でスペーサは部分的に固着されているため、スペ
ーサが固定されたプレートの搬送時の振動や、フェース
プレートとリアプレートの封止作業の影響等によって、
スペーサが最初に組み付けた位置からずれることがな
い。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0030】[表示パネル]本発明の製造方法により製
造される画像形成装置の全体構成について簡単に説明す
る。図1には、本実施形態の画像形成装置である表示パ
ネルが、内部構造を示すために一部を切り欠いた状態の
斜視図で示されている。この表示パネルにおいては、リ
アプレート(第1のプレート)1015と、枠状の側壁
1016と、フェースプレート(第2のプレート)10
17により、内部が真空に維持できる外囲器(気密容
器)が構成されており、この気密容器の内部に耐大気圧
構造体であるスペーサ1020が設けられている。リア
プレート1015には、冷陰極素子1012と行方向配
線1013と列方向配線1014とを含むマルチ電子ビ
ーム源(電子源)が設けられている。フェースプレート
1017には、メタルバック1019および蛍光膜10
18が設けられており、蛍光膜1018が設けられてい
る部分が画像形成領域になり、それ以外の部分が周辺領
域になる。スペーサ1020は、表示パネルの画像形成
領域と周辺領域とを跨いで設けられており、画像形成領
域外において両側部が接着剤1021aにより固着され
ているとともに、画像形成領域内において接着剤102
1bにより部分的に固着されている。スペーサ1020
の詳細な固着方法については後述する。
【0031】この表示パネルを図示しない電気回路に電
気的に接続するために、気密構造の電気接続用端子Dx1
〜DxMおよびDy1〜DyNおよびHvが設けられている。
端子Dx1〜DxMは行方向配線1013と、端子Dy1〜D
yNは列方向配線1014と、端子Hvはメタルバック1
019とそれぞれ電気的に接続されている。
【0032】この表示パネル(画像形成装置)におい
て、外部から端子Dx1〜Dxm,Dy1〜Dynおよび配線1
013,1014を介して冷陰極素子1012に電圧が
印加されると、各冷陰極素子1012から電子が放出さ
れる。それと同時に、外部から端子Hvを介してメタル
バック1019に数百〜数千[V]の高電圧が印加さ
れ、その電圧によって電子が加速し、フェースプレート
1017の内面に衝突する。すると、フェースプレート
1017の内面に設けられている蛍光膜1018をなす
各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示される。
なお、本実施形態では、冷陰極素子1012として表面
伝導型放出素子が用いられ、その印加電圧は12〜16
[V]程度、メタルバック1019と冷陰極素子101
2との距離dは0.1〜8[mm]程度、メタルバック
1019と冷陰極素子1012間の電圧は0.1〜10
[kV]程度である。
【0033】[リアプレート]次に、本実施形態の表示
パネルの気密容器を構成するリアプレート1015の詳
細な構成について説明する。リアプレート1015に
は、N×M個の冷陰極素子1012がマトリクス状に形
成されている基板(電子源基板)1011が固定されて
いる。なお、NとMは2以上の正の整数であり、所望の
表示画素数に応じて適宜設定される。例えば、高品位テ
レビジョンである表示装置においては、N=3000,
M=1000以上であることが望ましい。そして、N×
M個の冷陰極素子1012は、M本の行方向配線101
3とN本の列方向配線1014により単純マトリクス配
線されている。行方向配線1013と列方向配線101
4の交差する部分には、図示しない絶縁層が形成されて
おり、電気的な絶縁が保たれている。このように、基板
1011と、冷陰極素子1012と、行方向配線101
3と、列方向配線1014によって、マルチ電子ビーム
源が構成されている。図2は、図1に示す表示パネルの
マルチ電子ビーム源の平面図であり、図3は、そのA−
A線に沿った断面図である。なお、このような構造のマ
ルチ電子ビーム源は、基板1011上に、行方向配線1
013、列方向配線1014、電極間絶縁層(不図
示)、および冷陰極素子(例えば表面伝導型放出素子)
1012の素子電極1102,1103と導電性薄膜1
104(図3参照)を予め形成した後、行方向配線10
13および列方向配線1014を介して各冷陰極素子1
012に給電して、後述する通電フォーミング処理およ
び通電活性化処理を行うことにより製造されている。
【0034】本実施形態のマルチ電子ビーム源では、各
冷陰極素子1012の1対の素子電極1102,110
3が行方向配線1013と列方向配線1014に接続さ
れた単純マトリクス配線が採用されているが、冷陰極素
子1012を並列に配置して、個々の冷陰極素子101
2の両端を接続する配線が設けられているはしご型配線
を採用することもできる。はしご型配線を採用する場
合、冷陰極素子1012からの電子の飛翔を制御する制
御電極(グリッド電極)を設ける必要がある。また、冷
陰極素子1012としては、例えば、表面伝導型放出素
子、FE型素子、MIM型素子などを用いることができ
る。
【0035】[フェースプレート]次に、フェースプレ
ート1017の詳細な構成について説明する。フェース
プレート1017の下面には、蛍光膜1018が形成さ
れている。本実施形態の表示パネルはカラー表示装置で
あるため、蛍光膜1018として、CRT(陰極線管)
の3原色である赤、緑、青の蛍光体R,G,Bが塗り分
けられている。本実施形態では、各色の蛍光体R,G,
Bは図4(a)に示すようにストライプ状に塗り分けら
れ、蛍光体R,G,Bのストライプの間には黒色の導電
体1010が設けられている。黒色の導電体1010
は、電子ビームの照射位置に多少のずれがあっても表示
色にずれが生じないようにしたり、外光の反射を防止し
て表示コントラストの低下を防いだり、電子ビームによ
る蛍光膜1018のチャージアップを防止するといった
機能を有し、その主成分は、黒鉛や、前記した機能を有
するその他の様々な材料からなる。
【0036】蛍光膜1018のリアプレート1015側
の面には、公知のメタルバック1019が設けられてい
る。具体的には、メタルバック1019は、フェースプ
レート1017上に蛍光膜1018を形成した後、蛍光
膜1018の表面を平滑化処理し、その上にAlを真空
蒸着することにより形成されている。メタルバック10
19は、蛍光膜1018が発する光の一部を鏡面反射し
て光利用率を向上させ、負イオンの衝突から蛍光膜10
18を保護し、電子ビーム加速電圧を印加するための電
極として作用し、蛍光膜1018を励起した電子の導電
路として作用するなどの機能を有している。
【0037】なお、蛍光膜1018を構成する3原色の
蛍光体R,G,Bの塗り分け方は、前記した図4(a)
に示すストライプ状の配列方法に限られず、例えば図4
(b)に示すデルタ状の配列方法や、例えば図4(c)
に示すようなその他の配列方法であってもよい。一方、
モノクロームの表示パネルの場合には、単色の蛍光体材
料により蛍光膜1018が形成され、黒色の導電体10
10は必ずしも設けられなくてもよい。低電圧用の蛍光
体材料により蛍光膜1018が形成される場合には、メ
タルバック1019は形成されない。また、図示しない
が、加速電圧の印加や蛍光膜1018の導電性向上のた
めに、フェースプレート基板1017と蛍光膜1018
との間に、例えば、ITO(インジウム・ティン・オキ
サイド)からなる透明電極を設けてもよい。
【0038】[スペーサ]次に、スペーサ1020の詳
細な構成について説明する。図5は、図1のB−B線に
沿う模式的な断面図である。スペーサ1020は、絶縁
牲部材1の表面に、帯電防止のための高抵抗膜(帯電防
止膜)11が形成され、さらに、フェースプレート10
17(メタルバック1019)および基板1011(行
方向配線1013)に接する上下端面3と、その近傍部
5に、低抵抗膜21が形成されたものである。スペーサ
1020は、10-6[Torr]程度の真空に保持される気
密容器が大気圧や不意の衝撃などにより破壊されないよ
うに、必要な数だけ必要な間隔をおいて配置され、フェ
ースプレート1017および基板1011の内側に、後
述する接着剤1021a,1021bにより固定されて
いる。
【0039】高抵抗膜11は、絶縁性部材1の表面のう
ち、少なくとも気密容器内の真空中に露出している面に
成膜されており、スペーサ1020上の低抵抗膜21お
よび接着剤1021a,1021bを介して、フェース
プレート1017の内側(メタルバック1019)およ
び基板1011の表面(行方向配線1013)に電気的
に接続される。本実施形態では、スペーサ1020は薄
板状であり、行方向配線1013上に配置されて電気的
に接続されている。
【0040】スペーサ1020は、基板1011上の行
方向配線1013および列方向配線1014と、フェー
スプレート1017内面のメタルバック1019との間
に印加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有し、かつ
スペーサ1020の表面への帯電を防止する程度の導電
性を有する必要がある。
【0041】そしてこのスペーサは、高さをH、長さを
L、幅をWとすると、L/W>5×102およびL/H
>50となる寸法に形成されることが好ましい。
【0042】[スペーサの絶縁性部材]スペーサ102
0の絶縁性部材1は、例えば、石英ガラス、Na等の不
純物含有量の少ないガラス、ソーダライムガラス、アル
ミナ等のセラミックス部材等からなる。なお、絶縁性部
材1は、気密容器および基板1011を構成する材料と
近い熱膨張率を有することが好ましい。
【0043】[スペーサの高抵抗膜]高抵抗膜11に
は、高電位側のフェースプレート1017(メタルバッ
ク1019)に印加される加速電圧Vaを、帯電防止膜
である高抵抗膜11の抵抗値Rsで除した値の電流が流
される。抵抗値Rsは、帯電防止および消費電力から望
ましい範囲に設定される。帯電防止の観点から、高抵抗
膜11の表面抵抗R/□は1014[Ω]以下であること
が好ましく、より十分な帯電防止効果を得るためには1
13[Ω]以下であることがさらに好ましい。表面抵抗
の下限は、スペーサ1020の形状と印加される電圧に
より左右されるが、107[Ω]以上であることが好ま
しい。なお、加速電圧Vaは8[kV]より大きいこと
が好ましい。
【0044】この高抵抗膜11の膜厚tについて考察す
ると、材料の表面エネルギーおよび基板との密着性や基
板温度によっても異なるが、一般的に10[nm]以下
の薄膜は島状に形成され、抵抗が不安定で再現性に乏し
い。一方、膜厚tが1[μm]以上では膜応力が大きく
なって膜の剥離の危険性が高まり、かつ成膜時間が長く
なるため生産性が悪い。従って、高抵抗膜11の膜厚t
は10[nm]〜1[μm]であることが望ましく、5
0〜500[nm]であることがより望ましい。表面抵
抗R/□=ρ/tであるので、前記した表面抵抗R/□
と膜厚tの好ましい範囲から、高抵抗膜11の比抵抗ρ
は10〜1010[Ωcm]であることが好ましく、より
好ましくはρ=104〜108[Ωcm]である。
【0045】さらに、高抵抗膜11に電流が流れること
と、ディスプレイ全体が動作中に発熱することにより、
スペーサ1020の温度は上昇する。高抵抗膜11の抵
抗温度係数が、絶対値の大きな負の値であると、温度が
上昇した時に抵抗値が減少し、スペーサ1020に流れ
る電流が増加し、さらに温度上昇をもたらす。そして電
流は電源の限界を越えるまで増加し続ける。このような
電流の暴走が発生する条件は、以下に示す一般式(ξ)
で定義される抵抗温度係数TCR(Temperature Coeffi
cient of Resistance)により求められる。
【0046】 TCR=ΔR/ΔT/R×100[%/℃]………一般式(ξ) 但し、ΔTとΔRは、室温に対する実駆動状態のスペー
サ1020の温度Tおよび抵抗値Rの増加分である。
【0047】電流の暴走が発生するのは、TCRが−1
[%/℃]以下の場合であることが経験的に知られてい
る。すなわち、帯電防止膜の抵抗温度係数TCRは−1
[%/℃]より大であることが望ましい。
【0048】このような帯電防止特性を有する高抵抗膜
11の材料としては、例えば金属酸化物を用いることが
できる。金属酸化物の中でも、クロム、ニッケル、銅の
酸化物が好ましい材料である。その理由は、これらの酸
化物は二次電子放出効率が比較的小さく、冷陰極素子1
012から放出された電子がスペーサ1020に当たっ
た場合においても帯電しにくいからである。また、金属
酸化物以外であっても、炭素は二次電子放出効率が小さ
く好ましい材料である。特に、非晶質カーボンは高抵抗
であり、スペーサの抵抗を所望の値に制御しやすい。ま
た、帯電防止特性を有する高抵抗膜11のその他の材料
としては、ゲルマニウムと遷移金属合金の窒化物や、ア
ルミニウムと遷移金属合金の窒化物は、遷移金属の組成
を調整することにより良伝導体から絶縁体まで広い範囲
に抵抗値を制御でき、後述する表示装置の作製工程にお
いて抵抗値の変化が少なく安定し、さらに抵抗温度係数
が−1[%/℃]より大であるので、実用的に使いやす
い。遷移金属元素としてはW、Ti,Cr,Ta等が用
いられる。合金窒化膜は、スパッタ、窒素ガス雰囲気中
での反応性スパッタ、電子ビーム蒸着、イオンプレーテ
ィング、イオンアシスト蒸着法等の薄膜形成方法によ
り、絶縁性部材上に形成される。金属酸化膜の場合は、
前記した薄膜形成方法において窒素ガスに代えて酸素ガ
スを使用する方法や、CVD法やアルコキシド塗布法な
どにより形成できる。カーボン膜は蒸着法、スパッタ
法、CVD法、プラズマCVD法などで作製され、特に
非晶質カーボンを作製する場合には、成膜中の雰囲気に
水素が含まれるようにするか、成膜ガスに炭化水素ガス
を使用する。
【0049】[スペーサの低抵抗膜]スペーサ1020
の低抵抗膜21は、高抵抗膜11を、高電位側のフェー
スプレート1017(メタルバック1019)および低
電位側の基板1011(配線1013、1014)と電
気的に接続するために設けられたものであり、中間電極
層(中間層)とも呼ばれる。この低抵抗膜21は以下に
列挙する機能を有する。
【0050】(1)高抵抗膜11をフェースプレート1
017および基板1011に電気的に接続する。
【0051】前記したように、スペーサ1020表面で
の帯電を防止するために高抵抗膜11が設けられている
が、高抵抗膜11をフェースプレート1017(メタル
バック1019)および基板1011(配線1013、
1014)と直接あるいは接着剤1021a,1021
bを介して接続した場合、接続部界面に大きな接触抵抗
が発生し、スペーサ1020の表面に発生した電荷を速
やかに除去できなくなる可能性がある。そこで、フェー
スプレート1017、基板1011、および接着剤10
21a,1021bと接触するスペーサ1020の上下
端面3および近傍部5に、低抵抗膜(中間層)21を設
け、抵抗を小さくしてスペーサ1020の表面に発生し
た電荷を速やかに除去できるようにする。
【0052】(2)高抵抗膜11の電位分布を均一化す
る。
【0053】冷陰極素子1012より放出された電子
は、フェースプレート1017と基板1011の間の電
位分布に従う電子軌道を形成する。スペーサ1020の
近傍で電子軌道に乱れが生じないようにするためには、
高抵抗膜11の電位分布を全域にわたって制御する必要
がある。高抵抗膜11をフェースプレート1017(メ
タルバック1019)および基板1011(配線101
3、1014)と直接あるいは接着剤1021a,10
21bを介して接続した場合、接続部界面の接触抵抗の
ために、接続状態のむらが発生し、高抵抗膜11の電位
分布が所望の値からずれてしまう可能性がある。これを
避けるために、スペーサ1020がフェースプレート1
017および基板1011と当接するスペーサ端部(上
下端面3およびその近傍部5)の全長にわたって低抵抗
膜(中間層)21を設け、この低抵抗膜21に所望の電
位を印加することによって、高抵抗膜11全体の電位を
制御可能にした。
【0054】(3)放出電子の軌道を制御する。
【0055】前記の通り、冷陰極素子1012より放出
された電子は、フェースプレート1017と基板101
1の間の電位分布に従う電子軌道を通る。しかし、スペ
ーサ1020の近傍の冷陰極素子1012は、スペーサ
1020を設置することに伴う制約(配線や素子の形成
位置の変更等)を受ける場合があり、その冷陰極素子1
012から放出された電子は、所望の軌道を描かない可
能性がある。このような場合、歪みやむらの無い画像を
形成するためには、放出された電子の軌道を制御してフ
ェースプレート1017上の所望の位置に電子を導く必
要がある。そこで、スペーサ1020がフェースプレー
ト1017および基板1011と当接する近傍部5に低
抵抗膜(中間層)21を設けることにより、スペーサ1
020の周辺の電位分布を調整し、電子軌道を制御する
ことができる。
【0056】このような機能を有する低抵抗膜21は、
高抵抗膜11に比べ十分に低い抵抗値を有する材料から
なり、例えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,T
i,Al,Cu,Pd等の金属あるいは合金、Pd,A
g,Au,RuO2,Pd−Ag等の金属や金属酸化物
とガラス等から構成される印刷導体、あるいはIn23
−SnO2等の透明導体およびポリシリコン等の半導体
材料等より適宜選択される。
【0057】[接着剤]接着剤1021a,1021b
は、スペーサ1020が行方向配線1013およびメタ
ルバック1019と電気的に接続するように、導電性を
有している。その材料としては、導電性接着剤や金属粒
子や導電性フィラーを添加したフリットガラスが好適で
ある。
【0058】[スペーサの固着方法]次に本発明の主な
特徴であるスペーサの固着方法について説明する。スペ
ーサ1020は画像形成領域と周辺領域を跨いで形成さ
れており、その両側部は、画像形成領域外で、接着剤1
021aによってリアプレート1015に固着されてい
る。また、スペーサ1020の組み付け位置からのずれ
を防止する目的で、スペーサ1020の中間部は、画像
形成領域内において、接着剤1021bによってリアプ
レート1015に部分的に固着されている。
【0059】このスペーサ1020を、行方向配線10
13上に接着する方法について説明すると、まず、図6
に示すように、表示パネルの大画面化に伴い長尺化され
ているスペーサ1020の両側部または一側部を外側に
引っ張り、張力を発生させてその形状を矯正する。次
に、図7に示すように、張力を保持したまま、スペーサ
1020を行方向配線1013上の所定の位置に配置す
る。そして、スペーサ1020の両側部に接着剤102
1aを付与し、この接着剤1021aによって周辺領域
の行方向配線1013上に接着する。両側部の接着剤1
021aは、スペーサ1020を支持するのに十分な体
積を有する。スペーサ1020の両側部が接着されて張
力が安定した後で、図8に示すように、画像形成領域内
の数か所において、スペーサ1020と行方向配線10
13との接合部に接着剤1021bを付与して接着す
る。
【0060】中間部の接着位置は画像形成領域内にあ
り、冷陰極素子1012からの電子軌道にあまり影響を
及ぼさないように、接着剤1021bは少量であり、ス
ペーサ1020の両側部の接着剤1021aよりも少量
である。仮に、スペーサ1020を両側部と中間部で同
時に接着した場合、体積が大きい両側部の接着剤102
1aの硬化収縮量が、体積が小さい中間部の接着剤10
21bの硬化収縮量よりも大きいため、各接着部間にお
けるスペーサ1020の張力が不均一になり、スペーサ
1020が変形や破損を生じるおそれがあるが、本実施
形態では、接着剤1021aによりスペーサ1020の
両側部を固定して、接着剤1021aの硬化収縮が完了
し張力が安定した後で、接着剤1021bを用いてスペ
ーサ1020の中間部を固定する。すなわち、スペーサ
1020の両側部の接着剤1021aと、中間部の接着
剤1021bが同時に硬化収縮するのではないため、両
接着剤1021a,1021bの体積比に基づく硬化収
縮の差によるスペーサ1020の張力の不均一が生じ
ず、スペーサ1020の変形や破損を防止できる。
【0061】また、画像形成領域内にも接着部が設けら
れているので、スペーサ1020が固定されたリアプレ
ート1015の搬送時の振動や、フェースプレート10
17とリアプレート1015の封止作業による、スペー
サ1020の組み付け位置からのずれを防止することが
できる。特に、表示パネルの大画面化に伴いスペーサ1
020が長尺化された場合に有効である。
【0062】[気密容器の組立方法]このようにして、
スペーサ1020が固着されたリアプレート1015
に、側壁1016とフェースプレート1017が接合さ
れて、図1に示すような気密容器が組み立てられる。気
密容器を組み立てるにあたっては、各部材の接合部に十
分な強度と気密性を保持させるために封着する必要があ
る。例えば、フリットガラスを各部材の接合部に塗布
し、大気中あるいは窒素雰囲気中で摂氏400〜500
度で10分間以上焼成することにより封着を行う。こう
して気密容器を組み立てた後、図示しない排気管に真空
ポンプを接続し、気密容器内部を10-7[Torr]程度の
真空度まで排気する。その後、排気管を封止するが、気
密容器内の真空度を維持するために、排気管の封止の直
前あるいは封止の後に、気密容器内の所定の位置に図示
しないゲッター膜を形成する。ゲッター膜は、例えばB
aを主成分とするゲッター材料をヒーターによる加熱ま
たは高周波加熱を行って蒸着した膜であり、このゲッタ
ー膜の吸着作用により、気密容器内は10-5〜10
-7[Torr]の真空度に維持される。
【0063】[マルチ電子ビーム源の冷陰極素子]以
上、表示パネルの気密容器の組立方法について簡単に説
明したが、この気密容器を構成するリアプレート101
5のマルチ電子ビーム源について、改めて詳細に説明す
る。
【0064】本実施形態の画像形成装置のマルチ電子ビ
ーム源は、冷陰極素子1012を単純マトリクス配線し
た電子源であれば、冷陰極素子1012の材料や形状や
製法に制限はない。したがって、例えば、表面伝導型放
出素子やFE型素子やMIM型素子などの様々な冷陰極
素子を採用することができる。
【0065】ただし、表示画面が大きくてしかも安価な
表示装置が求められる場合には、これらの冷陰極素子1
012の中でも、表面伝導型放出素子が特に好ましい。
FE型素子では、エミッタコーンとゲート電極の相対位
置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極めて
高精度の製造技術が必要であり、このことは大面積化や
製造コストの低減の障害になる。また、MIM型素子で
は、絶縁層と上部電極の膜厚を薄く、かつ均一にする必
要があり、このことも大面積化や製造コストの低減の障
害になる。これに対し、表面伝導型放出素子は、製造方
法が比較的単純なため、大面積化や製造コストの低減が
容易である。また、本発明者らは、表面伝導型放出素子
の中でも、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜に
より形成したものが、とりわけ電子放出特性に優れ、し
かも製造が容易に行えることを見出している。したがっ
て、高輝度で大画面の画像形成装置を実現するには、電
子放出部もしくはその周辺部が微粒子膜により形成され
た表面伝導型放出素子を用いてマルチ電子ビーム源を構
成することが、最も好適である。
【0066】そこで、本実施形態の表示パネルにおいて
は、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成
した表面伝導型放出素子を冷陰極素子1012として用
いた。以下に、この表面伝導型放出素子の基本構成と製
造方法と特性を説明し、次いで多数の表面伝導型放出素
子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源の構造
について述べる。
【0067】[表面伝導型放出素子]電子放出部もしく
はその周辺部を微粒子膜から形成する表面伝導型放出素
子の代表的な構成には、平面型と垂直型の2種類があげ
られる。
【0068】[平面型の表面伝導型放出素子の構成と製
造方法]まず、平面型の表面伝導型放出素子の素子構成
と製法について説明する。図9(a),(b)に示すよ
うに、平面型の表面伝導型放出素子においては、基板1
101上に、対向する1対の素子電極1102,110
3が設けられ、素子電極1102,1103間に導電性
薄膜1104が設けられている。そして、導電性薄膜1
104に設けられたスリット状部分に、通電活性化処理
により形成された薄膜1113が被覆され、この部分
が、通電フォーミング処理により形成された電子放出部
1105になっている。
【0069】基板1101は、例えば、石英ガラスや青
板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アルミナを
はじめとする各種セラミクス基板、あるいは上述の各種
基板上に例えばSiO2を材料とする絶縁層を積層した
基板などからなる。
【0070】素子電極1102と1103は、導電性を
有する材料によって形成されている。例えば、Ni,C
r,Au,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,Ag等
の金属やこれらの金属の合金、In23−SnO2をは
じめとする金属酸化物、ポリシリコンなどからなる半導
体などの中から適宜材料を選択して用いて形成すること
ができる。この素子電極1102,1103は、例え
ば、真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィーや
エッチングなどのパターニング技術を組み合わせること
により容易に製造できる。ただし、それ以外の方法、例
えば印刷技術を用いた方法によって製造することもでき
る。素子電極1102,1103の形状は、表面伝導型
放出素子の用途に合わせて適宜設計される。一般的に
は、電極間隔Eは通常は数百[Å]から数百[μm]の
範囲内に設計され、特に画像表示装置に使用するために
好ましいのは数[μm]から数十[μm]の範囲であ
る。また、素子電極の厚さGは、通常は、数百[Å]か
ら数[μm]の範囲内に設定される。
【0071】導電性薄膜1104としては、前記した微
粒子膜が用いられる。この微粒子膜とは、構成要素とし
て多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)のこ
とをさす。微粒子膜は、微視的に見ると、通常は、個々
の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微粒子
が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに重な
り合った構造である。微粒子膜を構成する微粒子の粒径
は、数[Å]から数千[Å]の範囲に含まれるものであ
るが、なかでも好ましいのは10〜200[Å]の範囲
のものである。また、微粒子膜の膜厚は諸条件を考慮し
て、すなわち、素子電極1102,1103と電気的に
良好に接続可能であり、後述する通電フォーミングを良
好に行うことができ、後述するように微粒子膜自身の電
気抵抗が適切な値になるように設定される。具体的に
は、微粒子の粒径は数[Å]から数千[Å]の範囲内に
設定され、特に好ましくは10〜500[Å]に設定さ
れる。この微粒子膜を形成するために用いられる材料
は、例えば、Pd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,I
n,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pbな
どの金属や、PdO,SnO2,In23,PbO,S
23などの酸化物や、HfB2,ZrB2,LaB6
CeB6,YB4,GdB4などの硼化物や、TiC,Z
rC,HfC,TaC,SiC,WCなどの炭化物や、
TiN,ZrN,HfNなどの窒化物や、Si,Geな
どの半導体や、カーボンなどの中から適宜選択される。
そしてこの微粒子膜からなる導電性薄膜1104のシー
ト抵抗値は、103〜107[Ω/sq]の範囲内に設定
されている。
【0072】導電性薄膜1104と素子電極1102,
1103とは、電気的に良好に接続されるのが望ましい
ため、互いの一部が重なりあうような構造である。その
重なり方については、図9(b)の例では、下から、基
板1101、素子電極1102,1103、導電性薄膜
1104の順番に積層されているが、場合によっては、
下から、基板1101、導電性薄膜1104、素子電極
1102,1103の順番で積層されていてもよい。
【0073】電子放出部1105は、導電性薄膜110
4の一部に形成されたスリット状の部分であり、電気的
には周囲の導電性薄膜1104よりも高抵抗な性質を有
している。スリットは、導電性薄膜1104に対して、
後述する通電フォーミング処理を行うことにより形成す
る。スリット内には、数[Å]〜数百[Å]の粒径の微
粒子を配置する場合がある。なお、実際の電子放出部1
105の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困難
なため、図9(a),(b)においては模式的に示し
た。
【0074】薄膜1113は、通電フォーミング処理後
に後述する通電活性化処理を行うことにより形成され、
電子放出部1105およびその近傍を被覆している。薄
膜1113は、炭素もしくは炭素化合物からなり、具体
的には、単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非
晶質カーボンのいずれか、もしくはその混合物であり、
膜厚は500[Å]以下、より好ましくは300[Å]
以下である。なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図9(a),(b)に
おいては模式的に示した。また、表面伝導型放出素子の
平面図(図9(a))においては、薄膜1113の一部
を除去した状態が示されている。
【0075】以上、表面伝導型放出素子の好ましい構成
について説明したが、その具体例を以下に述べる。基板
1101として青板ガラスを用い、素子電極1102,
1103はNi薄膜により形成した。素子電極110
2,1103の厚さGは1000[Å]、電極間隔Eは
2[μm]とした。導電性薄膜1104となる微粒子膜
の主要材料としてPdもしくはPdOを用い、微粒子膜
の厚さは約100[Å]、幅Wは100[μm]とし
た。
【0076】この平面型の表面伝導型放出素子の製造方
法について説明する。図10(a)〜(d)は、表面伝
導型放出素子の製造工程を説明するための断面図であ
る。
【0077】(1)まず、あらかじめ洗剤、純水、有機
溶剤を用いて十分に洗浄された基板1101に素子電極
の材料を堆積させることにより、図10(a)に示すよ
うに、基板1101上に素子電極1102,1103を
形成する。材料の堆積方法としては、例えば蒸着法やス
パッタ法などの真空成膜技術が採用でき、その後、堆積
された電極材料をフォトリソグラフィー・エッチング技
術を用いてパターニングして、図10(a)に示す1対
の素子電極1102,1103が形成される。
【0078】(2)次に、図10(a)に示す基板11
01に有機金属溶液を塗布して乾燥させ、加熱焼成処理
して微粒子膜を成膜した後、フォトリソグラフィー・エ
ッチングにより所定の形状にパターニングして、図10
(b)に示す導電性薄膜1104を形成する。有機金属
溶液とは、導電性薄膜1104を構成する微粒子の材料
を主要元素とする有機金属化合物の溶液である。具体的
には、主要元素としてPdを用いディッピング法により
塗布されている。ただし、塗布方法としては、スピンナ
ー法やスプレー法も採用できる。また、微粒子膜からな
る導電性薄膜の成膜方法としては、前記した有機金属溶
液の塗布による方法以外に、例えば真空蒸着法やスパッ
タ法や化学的気相堆積法などを用いることもできる。
【0079】(3)次に、図10(c)に示すように、
フォーミング用電源1110から素子電極1102と1
103の間に適宜の電圧を印加して、通電フォーミング
処理を行い、電子放出部1105を形成する。
【0080】通電フォーミング処理は、微粒子膜からな
る導電性薄膜1104に通電を行って、その一部を適宜
に破壊、変形、もしくは変質させ、電子放出を行うのに
好適な構造に変化させる処理である。微粒子膜からなる
導電性薄膜1104のうち電子放出を行うのに好適な構
造に変化した部分(電子放出部1105)においては、
導電性薄膜1104に適当な亀裂(スリット)が形成さ
れている。なお、電子放出部1105が形成される前と
比較すると、形成された後は、素子電極1102と11
03の間で計測される電気抵抗が大幅に増加する。
【0081】この通電フォーミング方法をより詳しく説
明するために、図11に、フォーミング用電源1110
から印加する電圧波形の一例を示す。微粒子膜からなる
導電性薄膜1104をフォーミングする場合には、パル
ス状の電圧が好ましく、ここでは図11に示すようにパ
ルス幅T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印
加した。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを順次
昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニ
ターするためのモニターパルスPmを適宜の間隔で三角
波パルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1
111で計測した。例えば、10-5[Torr]程度の真空
雰囲気下において、パルス幅T1を1[ms]、パルス
間隔T2を10[ms]とし、波高値Vpfを1パルスご
とに0.1[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パ
ルス印加するたびに1回の割合で、モニターパルスPm
を挿入した。通電フォーミング処理に悪影響を及ぼすこ
とがないように、モニターパルスPmの電圧Vpmは0.
1[V]に設定した。そして、素子電極1102と11
03の間の電気抵抗が1×106[Ω]になった段階、
すなわちモニターパルスPmの印加時に電流計1111
で計測される電流が1×10-7[A]以下になった段階
で、電圧印加を停止し通電フォーミング処理を終了し
た。
【0082】なお、前記した方法は、表面伝導型放出素
子における好ましい通電フォーミング処理方法の一例で
あり、例えば微粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極
間隔Eなど、表面伝導型放出素子の設計を変更した場合
には、それに応じて通電の条件を適宜変更するのが望ま
しい。
【0083】(4)次に、図10(d)に示すように、
活性化用電源1112から素子電極1102と1103
の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、
電子放出特性の改善を行う。
【0084】通電活性化処理とは、前記した通電フォー
ミング処理により形成された電子放出部1105に適宜
の条件で通電を行って、電子放出部1105の近傍に炭
素もしくは炭素化合物を堆積させる処理のことであり、
炭素もしくは炭素化合物の堆積により薄膜1113が形
成される。なお、通電活性化処理を行うことにより、処
理前と比較して、同じ印加電圧における放出電流を10
0倍以上に増加させることができる。具体的には、10
-4〜10-5[Torr]の範囲内の真空雰囲気中で、電圧パ
ルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気中に存
在する有機化合物から炭素もしくは炭素化合物、例えば
単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カー
ボンのいずれか、もしくはその混合物を、500[Å]
以下、より好ましくは300[Å]以下の厚さに堆積す
る。
【0085】通電活性化処理方法をより詳しく説明する
ために、図12に、活性化用電源1112から印加する
電圧波形の一例を示している。この例では、一定電圧の
矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行ってお
り、具体的には、電圧Vacは14[V]、パルス幅T3
は1[ms]、パルス間隔T4は10[ms]の矩形波
を印加した。図10(d)に示すように、表面伝導型放
出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するためのア
ノード電極1114を、直流高電圧電源1115および
電流計1116に接続する。なお、基板1101を、表
示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行う場合に
は、表示パネルの蛍光面がアノード電極1114として
用いられる。活性化用電源1112から電圧を印加する
間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電活性
化処理の進行状況をモニターし、活性化用電源1112
の動作を制御する。電流計1116で計測された放出電
流Ieの一例を図13に示す。活性化電源1112から
パルス電圧を印加しはじめると、時間の経過とともに放
出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほとんど増加
しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ飽和した
時点で活性化用電源1112からの電圧印加を停止し、
通電活性化処理を終了する。なお、前記した方法は、表
面伝導型放出素子における好ましい通電活性化処理方法
の一例であり、表面伝導型放出素子の設計を変更した場
合には、それに応じて処理方法および条件を適宜変更す
るのが望ましい。
【0086】以上のようにして、図9に示す平面型の表
面伝導型放出素子を製造した。
【0087】[垂直型の表面伝導型放出素子]次に、電
子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面
伝導型放出素子のもうひとつの代表的な構成、すなわち
垂直型の表面伝導型放出素子の構成について説明する。
図14に示すように、垂直型の表面伝導型放出素子にお
いては、基板1201上に段差形成部材1206が設け
られ、基板1201上と段差形成部材1206上に、互
いに対向する1対の素子電極1202,1203が設け
られ、素子電極1202,1203にわたって導電性薄
膜1204が設けられている。そして、導電性薄膜12
04に設けられたスリット状部分に、通電活性化処理に
より形成された薄膜1213が被覆され、この部分が、
通電フォーミング処理により形成された電子放出部12
05になっている。この垂直型の表面伝導型放出素子が
先に説明した平面型の表面伝導型放出素子と異なる点
は、素子電極1202,1203の一方(図14の例で
は素子電極1202)が段差形成部材1206上に設け
られており、導電性薄膜1204が段差形成部材120
6の側面を被覆しているところである。したがって、図
9の平面型における素子電極間隔Eに相当するのは、図
14の垂直型では段差形成部材1206の段差高さEs
である。なお、基板1201と、素子電極1202,1
203と、微粒子膜からなる導電性薄膜1204につい
ては、前記した平面型の表面伝導型放出素子と実質的に
同一である。段差形成部材1206としては、例えばS
iO2のような電気的に絶縁性を有する材料が用いられ
る。
【0088】次に、この垂直型の表面伝導型放出素子の
製造方法について説明する。図15(a)〜(f)は、
その製造工程を説明するための断面図である。前記した
平面型の表面伝導型放出素子の製造方法と同一の部分に
ついては説明を省略する。
【0089】(1)まず、図15(a)に示すように、
基板1201上に素子電極1203を形成する。
【0090】(2)次に、図15(b)に示すように、
段差形成部材1206を形成するための絶縁層1206
aを積層する。絶縁層1206aは、例えばSiO2
スパッタ法で積層すればよいが、例えば真空蒸着法や印
刷法などの他の成膜方法を用いて積層してもよい。
【0091】(3)次に、図15(c)に示すように、
絶縁層1206aの上に素子電極1202を形成する。
【0092】(4)次に、図15(d)に示すように、
絶縁層1206aの一部を例えばエッチング法を用いて
除去して段差形成部材1206とし、素子電極1203
を露出させる。
【0093】(5)次に、図15(e)に示すように、
微粒子膜からなる導電性薄膜1204を形成する。その
形成方法は、前記した平面型の表面伝導型放出素子の場
合と同じく塗布法などの成膜技術を用いればよい。
【0094】(6)次に、前記したのと同様な通電フォ
ーミング処理を行い、電子放出部1205を形成する。
【0095】(7)次に、前記したのと同様な通電活性
化処理を行い、電子放出部1205の近傍に炭素もしく
は炭素化合物を堆積させ薄膜1213を形成する。
【0096】以上のようにして、図15(f)に示す垂
直型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0097】[表示装置に用いた表面伝導型放出素子の
特性]以上、平面型と垂直型の表面伝導型放出素子につ
いて素子構成と製造方法を説明したが、次にこれらの表
面伝導型放出素子を画像表示装置に用いた場合の特性に
ついて述べる。
【0098】図16に、画像表示装置に用いられた表面
伝導型放出素子の放出電流Ieと素子印加電圧Vfの関係
の一例を、図17にその素子電流Ifと素子印加電圧Vf
の関係の一例をそれぞれ示している。なお、放出電流I
eは素子電流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示
するのが困難であるうえ、これらの特性は素子の大きさ
や形状等の設計パラメータを変更することにより変化す
るものであるため、2つのグラフの軸の目盛りは異なっ
ている。
【0099】この図16,17から判るように、画像表
示装置に用いられた表面伝導型放出素子は、放出電流I
eに関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0100】第1に、ある電圧(閾値電圧Vth)以上の
大きさの電圧が印加されると急激に放出電流Ieが増加
するが、閾値電圧Vth未満の電圧では放出電流Ieはほ
とんど検出されない。すなわち、この表面伝導型放出素
子は、放出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持
った非線形素子である。
【0101】第2に、放出電流Ieは、表面伝導型放出
素子に印加される電圧Vfに依存して変化するため、電
圧Vfで放出電流Ieの大きさを制御できる。
【0102】第3に、表面伝導型放出素子に印加される
電圧Vfに対して放出電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって表面伝導型放出素
子から放出される電子の電荷量を制御できる。
【0103】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を画像表示装置に好適に用いることができ
た。例えば、図1,2に示す画像表示装置に前記した表
面伝導型放出素子(冷陰極素子)1012を表示画面の
画素に対応して多数設けることができる。この画像表示
装置では、前記した第1の特性によって、表示画面を順
次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、駆
動中の表面伝導型放出素子1012には所望の発光輝度
に応じて閾値電圧Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択
状態の表面伝導型放出素子1012には閾値電圧Vth
満の電圧を印加する。駆動する表面伝導型放出素子10
12を順次切り替えてゆくことにより、表示画面を順次
走査して表示を行うことが可能である。また、第2の特
性や第3の特性を利用して発光輝度を制御することがで
きるため、階調表示を行うことが可能である。
【0104】なお、図1,2に示す構成では、気密容器
のリアプレート1015に、表面伝導型放出素子(冷陰
極素子1012)を有するマルチ電子ビーム源の基板1
011が固定されているが、マルチ電子ビーム源の基板
1011が十分な強度を有するものである場合には、マ
ルチ電子ビーム源の基板1011自体を気密容器のリア
プレートとして用いてもよい。
【0105】
【実施例】次に、前記した画像形成装置のより具体的な
実施例について説明する。
【0106】[第1実施例]本実施例では、図1に示し
た表示パネルを作製する場合について説明する。
【0107】(電子源作製)まず、前記の通り、あらか
じめ基板1101上に行方向配線1013、列方向配線
1014、電極間絶縁層(不図示)、および表面伝導型
電子放出素子1012の素子電極1102,1103と
導電性薄膜1104を形成した。
【0108】(スペーサの絶縁性部材の作製)次に、図
5に示すように、表示パネルの耐大気圧構造体であるス
ペーサ1020の絶縁性部材1を、ソーダライムガラス
により300[mm]×2[mm]×0.2[mm]の
寸法に作製した。具体的には、加熱延伸法によって断面
が2[mm]×0.2[mm]の長いソーダライムガラ
ス板を成形し、300[mm]ごとに切断した。便宜
上、ここでは絶縁性基材1の最も広い面(300[m
m]×2[mm])を主面と呼び、フェースプレート1
017とリアプレート1015に当接する2面(2[m
m]×0.2[mm])を上下端面3と呼び、その他の
2面(300[mm]×0.2[mm])を側端面と呼
ぶ。
【0109】(スペーサの高抵抗膜と電極成膜の作製)
スペーサの絶縁性部材1のうち、気密容器の画像形成領
域内にかかる4面(側端面を除く面)に高抵抗膜11を
成膜し、上下端面3と、主面のフェースプレート101
7とリアプレート1015に接する辺から0.1[m
m]の高さまでの領域(近傍部5)に導電性の低抵抗膜
21を形成した。高抵抗膜11としては、CrおよびA
lのターゲットを同時に高周波電源でスパッタリングす
ることにより形成したCr−Al合金窒化膜(厚さ:2
00[nm]、表面抵抗:約109[Ω/□])を用い
た。低抵抗膜21は、前記した通り、スペーサ1020
に成膜された高抵抗膜11とフェースプレート1017
やリアプレート1015の電気的接続を確保するととも
に、スペーサ1020周辺の電場を抑制し表面伝導型放
出素子1012からの電子線の軌道制御を行う。
【0110】(スペーサ固定の接着部材)スペーサ10
20を固定する接着剤1021a,1021bとして
は、アルミナを母体とする無機系接着剤を用いる。スペ
ーサ1020の両側部にはアルミナの粒子径100[μ
m]の接着剤1021aが塗布され、スペーサ1020
の中間部には、少量しか塗布することができないため、
アルミナの粒子径50[μm]の接着剤1021bが塗
布された。
【0111】(スペーサの組み付け)スペーサ1020
の両側部を引っ張り、張力を保持した状態で、行方向配
線1013の所定の位置にスペーサ1020を接触させ
る。その後両側部を周辺領域に接着剤1021aにて接
着する。次に、スペーサ1020の中間部を接着剤10
21bにより行方向配線1013に固定する。接着部の
間隔がそれぞれ等間隔となるように5個所で接着した
(図8参照)。
【0112】(リアプレートとフェースプレートの封
着)その後、図1に示すように、リアプレート1015
上に側壁1016をフリットガラスを介して設置し、さ
らに側壁1016の端面にもフリットガラスを塗布し
て、列配線(Y方向)に延びるストライプ形状の各色蛍
光体からなる蛍光膜1018とメタルバック1019が
内面に付設されているフェースプレート1017を側壁
1016上に配設した。
【0113】(電子源プロセスおよび封止)以上のよう
にして完成した気密容器内を図示しない排気管を通じ真
空ポンプにて排気し、十分な真空度に達した後、容器外
から端子Dx1〜DxmおよびDy1〜D ynと行方向配線電極
1013および列方向配線電極1014を介して、各表
面伝導型電子放出素子(冷陰極素子)1012に給電し
て、前記した通電フォーミング処理と通電活性化処理を
行うことにより、マルチ電子ビーム源を製造した。次
に、10-6[Torr]程度の真空度で、不図示の排気管を
ガスバーナーで熱して溶着させ外囲器(気密容器)の封
着を行った。最後に、封止後の真空度を維持するため
に、ゲッター処理を行った。
【0114】(画像形成)以上のように完成した、図1
に示す表示パネルを含む画像形成装置において、容器外
の信号発生手段から端子Dx1〜DxmとDy1〜Dynを通
じ、各冷陰極素子(表面伝導型電子放出素子)1012
に走査信号および変調信号をそれぞれ印加することによ
り電子を放出させ、高圧端子Hvを通じてメタルバック
1019に高電圧を印加することにより放出電子ビーム
を加速させ、蛍光膜1018に電子を衝突させ、各色蛍
光体を励起させ発光させて画像を表示する。なお、高圧
端子Hvへの印加電圧Vaは3〜10[kV]、各配線
1013、1014間への印加電圧Vfは14[V]と
した。このとき、スペーサ1020に近い位置にある冷
陰極素子1012からの放出電子による発光スポットも
含め、二次元上に等間隔の発光スポット列が形成され、
鮮明で色再現性の良いカラー画像表示ができた。
【0115】[第2実施例]表示パネルの他の組み立て
例を図18〜20を参照して説明する。本実施例では、
スペーサ1020の両端に支持部材1030を設けてい
る。
【0116】(スペーサ支持部材)スペーサ1020に
固定される支持部材1030は、図18に示すように、
5[mm]×5[mm]×0.5[mm]の板状であ
り、中央部にスペーサ1020が入る、幅0.25[m
m]長さ2[mm]の溝1031が形成されている。
【0117】(スペーサと支持部材の組み立て)スペー
サ1020の両側部を、支持部材1030の溝1031
に差し込み、第1実施例と同様な接着剤により固定し、
図19に示すように支持部材1030によりスペーサ1
020が自立できる形態とする。それから、第1実施例
と同様な手順でスペーサ組み付け工程を行う(図20参
照)ことにより、張力不均一化を防止することができ
た。
【0118】なお、前記した2つの実施例では、接着剤
を加熱することによって硬化させているが、本発明の接
着剤の硬化方法は特に限定されない。
【0119】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、スペ
ーサをプレートに固着する際に、まず接着剤の体積が大
きく硬化収縮量の大きいスペーサの両側部を先に接着し
て張力を安定させ、その後に、接着剤の体積が小さく硬
化収縮量の小さいスペーサの中間部を接着することによ
り、張力不均一を防止しスペーサの変形や破損を防ぐこ
とができる。さらに、スペーサは、画像形成領域外のみ
ならず画像形成領域内にも部分的に固着されているた
め、スペーサが固定されたプレートの搬送時の振動や、
2つのプレートを互いに固定する作業などの影響によっ
てスペーサが最初に組み付けた位置からずれることがな
くなる。従って、スペーサの位置ずれが、配線近傍にお
いて電子源から放出された電子の軌道に干渉したり、ス
ペーサの近傍の電場を乱すことによって電子軌道が歪ん
で画像表示に影響を与えることを防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づいて製造された画像形成装置の一
部切欠斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の電子源の平面図であ
る。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図1に示す画像形成装置の蛍光膜を示す平面図
である。
【図5】図1のB−B線断面図である。
【図6】スペーサ固着工程において張力をかけた状態を
説明する正面図である。
【図7】スペーサ固着工程においてスペーサの両側部を
接着した状態を説明する平面図である。
【図8】スペーサ固着工程においてスペーサの中間部を
接着した状態を説明する平面図である。
【図9】平面型の表面伝導型放出素子の構成を説明する
ための図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図10】図9に示す平面型の表面伝導型放出素子の製
造工程を示す断面図である。
【図11】図10に示す製造工程中の通電フォーミング
処理における印加電圧波形を示すグラフである。
【図12】図10に示す製造工程中の通電活性化処理に
おける印加電圧波形を示すグラフである。
【図13】図10に示す製造工程中の通電活性化処理に
おける放出電流の変化を示すグラフである。
【図14】垂直型の表面伝導型放出素子の構成を説明す
る断面図である。
【図15】図14に示す垂直型の表面伝導型放出素子の
製造工程を示す断面図である。
【図16】本発明の画像形成装置に用いた表面伝導型放
出素子の放出電流と素子電圧との関係を示すグラフであ
る。
【図17】本発明の画像形成装置に用いた表面伝導型放
出素子の素子電流と素子電圧との関係を示すグラフであ
る。
【図18】スペーサ支持部材を示す斜視図である。
【図19】スペーサを支持部材に固定した状態を示す正
面図である。
【図20】スペーサを支持部材に固定してリアプレート
に接着した状態を説明する正面図である。
【図21】従来の表面伝導型放出素子の構成を説明する
平面図である。
【図22】従来の画像表示装置の一部切欠斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 絶縁性部材 3 上下端面 5 近傍部 11 高抵抗膜(帯電防止膜) 21 低抵抗膜(中間層) 1010 黒色導電体 1011 基板 1012 冷陰極素子(表面伝導型放出素子) 1013 行方向配線 1014 列方向配線 1015 リアプレート(第1のプレート) 1016 枠状の側壁 1017 フェースプレート(第2のプレート) 1018 蛍光膜 1019 メタルバック 1020 スペーサ 1020a 絶縁性部材 1020b 高抵抗膜 1020c 低抵抗膜 1021a スペーサの両側部に付与される接着剤 1021b スペーサの中間部に付与される接着剤 1030 支持部材 1031 支持部材のスペーサの入る溝 1101,1201 基板 1102,1103,1202,1203 素子電極 1104,1204 導電性薄膜 1105,1205 電子放出部 1110 フォーミング用電源 1111,1116 電流計 1112 活性化用電源 1113,1213 薄膜 1114 アノード電源 1115 直流高電圧電源 1206 段差形成部材 1206a 絶縁層 R,G,B 蛍光体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 和幸 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 ▲高▼橋 宣之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5C012 AA01 BB07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子源を有する第1のプレートと、前記
    電子源から放出された電子が照射されて画像を形成する
    画像形成領域を有する第2のプレートと、前記2つのプ
    レートを互いに対向するように固定する枠状の側壁とか
    らなる気密容器と、前記気密容器の内部で前記2つのプ
    レートの間に挟まれるように配置されたスペーサとを有
    する画像形成装置の製造方法において、 前記スペーサを前記画像形成領域とその周辺領域を跨ぐ
    ように配置し、前記画像形成領域外で、前記スペーサの
    両側部を前記2つのプレートのうちのいずれか一方に固
    着した後に、前記画像形成領域内で、前記スペーサの中
    間部を前記一方のプレートに部分的に固着することを特
    徴とする画像形成装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記画像形成領域内で前記スペーサの中
    間部を前記一方のプレートに部分的に固着した後に、前
    記2つのプレートを互いに対向するように固定して前記
    気密容器を形成する、請求項1に記載の画像形成装置の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記画像形成領域内での前記スペーサの
    前記一方のプレートへの固着は、無機系の接着剤を用い
    て行う、請求項1または2に記載の画像形成装置の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記スペーサは薄板状であり、前記2つ
    のプレート間の間隔を規定する前記スペーサの高さをH
    とし、前記スペーサの前記2つのプレートに接合される
    面の長さをL、幅をWとした場合に、L/W>5×10
    2とL/H>50の少なくともどちらか一方の関係を満
    たすように形成されている、請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の画像形成装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電子源は、電子を放出するために8
    [kV]より大きい直流電圧Vaが供給されるものであ
    る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記スペーサの前記画像形成領域内での
    前記一方のプレートへの固着では、前記画像形成領域外
    での前記一方のプレートへの固着に比べて、固着部1か
    所あたりに付与される接着剤の体積が小さい、請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7063585B2 (en) * 2002-10-30 2006-06-20 Canon Kabushiki Kaisha Method of fixing space defining members in an envelope of an electron beam apparatus

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