JP2003282576A - シリコン基板の熱処理条件を設定する方法、およびシリコン基板を熱処理する方法、並びにシリコン基板の製造方法 - Google Patents

シリコン基板の熱処理条件を設定する方法、およびシリコン基板を熱処理する方法、並びにシリコン基板の製造方法

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JP2003282576A JP2002084712A JP2002084712A JP2003282576A JP 2003282576 A JP2003282576 A JP 2003282576A JP 2002084712 A JP2002084712 A JP 2002084712A JP 2002084712 A JP2002084712 A JP 2002084712A JP 2003282576 A JP2003282576 A JP 2003282576A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコン基板の初期重金属汚染量、酸素析出
物密度に応じて、より効果的にIG能力を発揮できる冷
却条件を見出す方法を提供する。 【解決手段】 初期重金属汚染濃度C0と、酸素析出物密
度nと、所望の不純物濃度CEとから、下記(1)式、
(2)式および(3)式より連続冷却の場合の熱処理温
度Tと熱処理時間tの関係を算出し、算出された熱処理温
度Tと熱処理時間tの関係を示すC−C−T線図を作成
し、前記作成されたC−C−T線図の温度軸上で前記初
期重金属汚染濃度C0が重金属の固溶度Ceqとなる温度T0
の点を通りC−C−T線図の曲線と最大の傾きになるよ
うに接する接線を引き、該接線の傾きにより最適冷却速
度を決定するシリコン基板の熱処理条件を設定する方
法。1/τ=3D[(C0-Ceq)/(Cp-Ceq)]1/3[4πn/3]2/3
…(1) t=-τln[(CE-Ceq)/(C0-Ceq)]
…(2) T=T0-Rct
…(3)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンウエーハ
中の不純物をシリコン基板中の欠陥にゲッタリングす
る、いわゆるインターナルゲッタリングで不純物を除去
する際に効果的な冷却速度を設定することにより、表面
が清浄なシリコン基板でデバイスを作製する技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、一般にICやLSI等の半導体装置を
作製する半導体ウエーハとしては、チョクラルスキー法
(CZ法)や浮遊帯溶融法(FZ法)によって成長させたシリコ
ン単結晶を用いるが、デバイス作製のための熱処理中
に、何らかの重金属汚染が発生した場合、完成したデバ
イス動作に多大な悪影響が及ぶ。そこで、重金属不純物
がウエーハ中に混入した際、デバイス動作領域である表
面から重金属不純物を除去し、ウエーハ内部や裏面に閉
じ込める手法が発達した。
【0003】これをゲッタリング技術という。このゲッ
タリング法は、重金属不純物を閉じ込めるウエーハの位
置によって区別されており、ウエーハの内部に閉じ込め
る方法をインターナルゲッタリング(Internal Getterin
g:IG)、裏面に閉じ込める方法をエクスターナルゲッタ
リング(External Gettering:EG)と呼ぶ。
【0004】前者の代表例はウエーハ内部に酸素析出物
を形成し、それに重金属不純物を捕獲する方法で、後者
では、裏面に機械的歪み層を形成するサンドブラスト法
や多結晶シリコン膜を堆積するポリバックシール法(Pol
y-Si Back Seal:PBS)がある。従来、これらのゲッタリ
ング手法を単独または複合させ、シリコン単結晶ウエー
ハに付加し、重金属不純物をデバイス動作領域から除去
できる特性を持つ、優れたシリコン単結晶ウエーハが作
製されている。
【0005】ところでIGで不純物を除去する場合、C
Zシリコン基板中に形成された酸素析出物を不純物の析
出核とし、デバイス作製熱処理中に不純物を酸素析出物
に拡散し、析出させることになる。その不純物が実際に
捕獲される速度をゲッタリング速度と定義した場合、そ
のゲッタリング速度には温度依存性があることが知られ
ている。
【0006】つまり、高温ではシリコン基板中の不純物
の拡散は速いが、不純物の固溶度も高いため、酸素析出
物に捕獲できる量が少なくなり、また不純物の捕獲速度
も比較的低く、低温では固溶度が低いため不純物析出の
駆動力は高いが、拡散が遅いので、ゲッタリング速度と
しては低くなる。
【0007】従って、適当な温度において最適なゲッタ
リングが行われるはずであるが、従来、適当な熱処理条
件を設定する方法が存在しなかったため、熱処理条件
は、経験的に得られた条件を用いるか、あるいはデバイ
ス工程のデバイス作製上の都合により決められていた。
そのため、所望の不純物濃度のシリコン基板(ゲッタリ
ングにより所望不純物濃度となったシリコン基板)を得
るのに不要な時間を費やす場合が多かった。
【0008】このような問題を解決するために本願発明
者によってなされた発明(特開平11−283986号
公報参照)は、最適な熱処理温度と時間を設定できる画
期的な方法である。シリコン基板中の初期重金属汚染濃
度と、酸素析出物密度と、所望の不純物濃度から、図3
に示すT−T−T線図(Time-Temperature-Transformat
ion Diagram)と呼ばれる図面を作成することにより、
容易にその最適熱処理条件を設定できる。この図は目的
の濃度まで重金属不純物濃度を低減させる際の熱処理温
度と時間の関係を示したもので、最適な熱処理条件はノ
ーズと呼ばれる熱処理時間の最短部にて決定できる。ま
たこの図から、他の事情により最適条件にて熱処理が実
施できない場合にも、ある温度でどの程度の時間が必要
かが一目瞭然でわかる。
【0009】しかし実際のデバイス作製プロセスにおい
て、重金属汚染低減のために等温保持の低温熱処理工程
を施すことはコスト的に不利であり、あまり行われてい
ない。従って、実際には高温熱処理からウエーハを取り
出す際の連続冷却工程において重金属除去の効果を得て
いるのが現状である。しかるにT−T−T線図は本来、
等温保持による重金属濃度の減少の様子を表したもの
で、定性的な概算としては冷却時に応用できるものの、
厳密な取り扱いはできない。そのため冷却工程をゲッタ
リングプロセスととらえた場合には、厳密な意味での最
適冷却時間設定法が存在していなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法は前記のご
とく、連続冷却工程にて不純物を除去するという観点か
ら見た場合、定性的な条件設定法であり、必ずしも最適
条件ではない場合があった。本発明はこのような問題点
に鑑みなされたもので、シリコン基板の初期重金属汚染
量、酸素析出物密度に応じて、より効果的にIG能力を
発揮できる冷却条件を見出す方法を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、シリコン基板にインターナルゲッタリング
を行う場合のシリコン基板の熱処理条件を設定する方法
において、シリコン基板中の初期重金属汚染濃度C0と、
酸素析出物密度nと、所望の不純物濃度CEとから、下記
(1)式、(2)式および(3)式より連続冷却の場合
の熱処理温度Tと熱処理時間tの関係を算出し、算出され
た熱処理温度Tと熱処理時間tの関係を示すC−C−T線
図を作成し、前記作成されたC−C−T線図の温度軸上
で前記初期重金属汚染濃度C0がシリコン中の重金属の固
溶度Ceqとなる温度T0の点を通りC−C−T線図の曲線
と最大の傾きになるように接する接線を引き、該接線の
傾きにより最適冷却速度を決定することを特徴とするシ
リコン基板の熱処理条件を設定する方法である(請求項
1)。 1/τ=3D[(C0-Ceq)/(Cp-Ceq)]1/3[4πn/3]2/3 …(1) t=-τln[(CE-Ceq)/(C0-Ceq)] …(2) T=T0-Rct …(3) (ここで、C0:初期重金属汚染濃度(原子/cm3)、 CE:所望の不純物濃度(原子/cm3)、 Ceq:シリコン中の重金属の固溶度(原子/cm3)、 k:ボルツマン定数、T:熱処理温度(K)、t:熱処理時間
(s)、 1/τ:ゲッタリング速度(s-1)、 D:重金属の拡散係数(cm2/s)、 Cp:析出物中の重金属濃度、n:酸素析出物密度(内部微
小欠陥密度,個/cm3) T0:初期重金属汚染濃度が固溶度となる温度、Rc:冷却速
度。)
【0012】このように、シリコン基板中の初期重金属
汚染濃度と、酸素析出物密度と、所望の不純物濃度とか
ら、前記(1)式、(2)式および(3)式より算出さ
れた連続冷却中の熱処理温度Tと熱処理時間tの関係か
ら、C−C−T(Continuas-Cooling-Transformation D
iagram)線図を作成し、前記作成されたC−C−T線図
の温度軸上で前記初期重金属汚染濃度C0がシリコン中の
重金属の固溶度Ceqとなる温度T0の点を通りC−C−T
線図の曲線と最大の傾きになるように接する接線を引
き、該接線の傾きにより最適冷却速度を決定することに
よって、熱処理条件を設定すれば、実際に熱処理をした
場合との誤差が少なく、きわめて精度よく冷却中にゲッ
タリングが起こり、所望重金属濃度に低減できる冷却条
件を設定することができる。
【0013】この場合、前記(1)式、(2)式および
(3)式による連続冷却の場合の熱処理温度と熱処理時
間の関係の算出は、差分法により行なうことが好ましい
(請求項2)。このように、上記式の解析を差分法を用
いて行なうことにより、比較的簡便に解析を行ない、C
−C−T線図を作成することができる。
【0014】また本発明は、本発明の方法により設定さ
れた熱処理条件によってシリコン基板の熱処理を行なう
ことを特徴とするシリコン基板を熱処理する方法である
(請求項3)。この方法によって熱処理を行えば、不純
物を除去するのに適した冷却条件によって熱処理を行う
ことができるため、効率よくシリコン基板から不純物を
除去することができる。
【0015】また本発明は、少なくとも本発明の熱処理
する工程を有することを特徴とするシリコン基板の製造
方法である(請求項4)。このようなシリコン基板の製
造方法は、ゲッタリングにより所望の不純物濃度となっ
たシリコン基板を確実に製造することができる製造方法
である。そのためデバイス歩留りの向上を確実に図るこ
とができる。
【0016】また、本発明はコンピュータにシリコン基
板の熱処理条件を設定させるためのプログラムであっ
て、該プログラムはコンピュータに、前記本発明の熱処
理条件を設定する方法によって前記熱処理条件を設定さ
せるものであることを特徴とするコンピュータにシリコ
ン基板の熱処理条件を設定させるためのプログラムであ
る(請求項5)。
【0017】このように、本発明を実行するためのプロ
グラムは、コンピュータに本発明の方法によって前記熱
処理条件を算出させるものであるから、これによりコン
ピュータに熱処理条件を設定させれば、きわめて精度よ
く冷却中にゲッタリングが起こり、所望重金属濃度に低
減することができるウエーハの熱処理条件を簡単かつ容
易に設定することができる。
【0018】さらに本発明は、本発明のプログラムを記
録したことを特徴とする記録媒体である(請求項6)。
このように、本発明のプログラムを記録媒体に記録して
おけば、必要時に必要な場所において、各コンピュータ
に入力して使用することができるので、極めて便利であ
る。
【0019】以下、本発明につき更に詳細に説明する。
本発明者は、従来は、種々の初期重金属汚染濃度、酸素
析出物密度をもったシリコン基板を、種々の熱処理条件
で実際に多量のシリコン基板に長時間の熱処理を施すこ
とによって適正な熱処理条件を経験的に模索していたの
を、もっと簡単に数値計算により割り出すことができな
いか、種々検討した結果、既出の発明(特開平11−2
83986号公報参照)を開発した。しかしこの既出の
方法で有効なのは等温保持の場合であり、定性的に連続
冷却の場合の傾向をつかむことはできても、実際の厳密
な場合における連続冷却時の不純物減少の様子を把握す
ることはできなかった。
【0020】そこで本発明者は厳密な冷却時の取り扱い
をするために、この既出の方法に、冷却中に刻々と変わ
る温度変化を考慮に入れた方法を開発した。これによ
り、連続冷却時を不純物低減工程(ゲッタリングプロセ
ス)とした場合において、初期重金属汚染濃度、酸素析
出物密度および所望の不純物濃度を決定するだけで、数
値計算によって、短時間にかつ高精度でより効果的な冷
却速度を知ることを可能とした。
【0021】特に、本発明では、前記(1)式、(2)
式および(3)式よりC−C−T線図を作成し、作成し
たC−C−T線図上で、冷却速度を決定することによ
り、熱処理条件設定の精度を格段に向上させている点に
特徴を有する。
【0022】そして、上記のような方法によって設定さ
れた熱処理条件により、シリコン基板の熱処理を行い、
シリコン基板を製造すれば、従来のような場当たり的
で、経験的に決定されたものではなく、精度が良い熱処
理条件を設定できるため、簡単かつ確実に所望の不純物
濃度のシリコン基板を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的な計算をするモデルの内容を例示して説明するが、発
明はこれらに限定されるものではない。図2は熱処理温
度280℃における酸素析出物密度が8×109個/cm3で、初
期汚染量が8×1012原子/cm3ないし2×1014原子/cm3であ
る場合のFeのゲッタリング速度、すなわち酸素析出物
へFeが析出することによる固溶Fe濃度減衰の様子を
示したものである。このように、シリコン基板中に過飽
和に固溶した不純物のFe原子の濃度は、時間の指数関
数に従い減少する(戸部他;応用物理学会研究会、シリ
コンテクノロジーNo. 5, 9th November 1998, p.44-49
参照)。その様子は以下の(4)式で示されている。 C=C0+(C0-Ceq)exp(-t/τ) 1/τ=4πDnr …(4) (ここで、C:固溶Fe濃度(原子/cm3)、C0:初期汚染濃
度(原子/cm3)、 Ceq:シリコン中のFeの固溶度(=4.3×1022exp(-2.1eV/
kT),原子/cm3) (M.Aoki et al;J.Appl.Phys. 72(3)(1992)895-898参
照)、 k:ボルツマン定数、T:絶対温度(K)、t:熱処理時間(s)、 1/τ:ゲッタリング速度(s-1)、 D:Feの拡散係数(=1.3×10-3exp(-0.68eV/kT), cm2/
s) (E.R.Weber; Appl.Phys.A30(1983)1.参照) n:酸素析出物密度(内部微小欠陥(BMD)密度,個/c
m3))。
【0024】以下、この1/τをゲッタリング速度と呼
ぶ。ゲッタリング進行の様子は図2からこの(4)式で
的確に表現できることがよくわかる。しかし、実際の不
純物析出過程ではFe等の不純物の半径は一定ではな
く、不純物が析出するにつれて大きくなるため、この
(4)式よりゲッタリング速度を導出すると実際の場合
と合わないことがある。そこで本願発明者は、前述の特
開平11−283986号において、不純物半径の変化
も考慮に入れた下記の(1)式を提案した。この(1)
式によると、実際の場合にあったゲッタリング速度を数
値計算により導出することができる。 1/τ=3D[(C0-Ceq)/(Cp-Ceq)]1/3[4πn/3]2/3 …(1) (ここで、Cp:Fe析出物中(FeSiを仮定)のF
e濃度(=25.6×1021原子/cm3))。
【0025】次に、上記の(1)式を用いて、T−T−
T線図を求める方法を示す。例えば、(1)式で各温度
におけるゲッタリング速度1/τが計算できるが、ゲッタ
リング終了後、ウエーハ内に残存していても構わないと
する所望の不純物濃度をCEとする。この場合、(4)式
におけるCがCEに等しいとして、(4)式からその時の
時間を計算する。その時間tは以下の(2)式で示され
る。 t=-τln[(CE-Ceq)/(C0-Ceq)] …(2)
【0026】この(2)式でτとCeqは温度の関数であ
る。従って、(2)式で表される残存Fe濃度がCEにな
る時間tも温度の関数となる。ある温度に対して(1)
式を用いて得られたτを(2)式に代入し、時間tを得
た後、温度に対して時間tをプロットしたものが、T−
T−T線図であり、その例は既に示した図3である。こ
の例では、酸素析出物密度が1×109個/cm3、初期汚染濃
度が1×1013原子/cm3、および所望の不純物濃度CE原子/
cm3の場合を計算している。図3において残留Fe濃度
が到達目標濃度CEになる最短の温度と時間は図3中の曲
線Aのノーズ(鼻)を形成しているa点であることがわか
る。つまりゲッタリングのための最適熱処理は610℃、1
10minの等温熱処理であり、その後任意に冷却しても所
望の残留Fe濃度のシリコンウエーハを得ることができ
る。
【0027】上記のような等温熱処理でなく、ある速度
での冷却で所望の濃度までゲッタリングを進行させたい
場合は、図3の時間0における初期汚染濃度が固溶度に
一致する温度であるb点からa点を結ぶ直線を引く。この
直線の傾きが最適冷却速度であり、図3の例では-2.4℃
/分である。
【0028】あるいは図3の曲線Bに示すように、
(2)式のCE=1×1012原子/cm3までゲッタリングを進行
させたい場合も示してある。このようにして、各条件の
T−T−T線図を作成し、ゲッタリングに最適な等温熱
処理温度とそれに必要な最低時間が得られ、または最適
冷却温度を求めることができる。
【0029】しかし、上記のT−T−T線図の作成手順
を見ればわかるように、T−T−T線図は基本的に等温
保持を想定した熱処理温度と時間の関係図である。従っ
て、これを冷却過程に応用する場合は一定の目安にしか
ならない。そこで、本発明では厳密な冷却時の取り扱い
をするため、(1)式中の因子のうち、温度に依存する
因子であるCeq:シリコン中の重金属の固溶度とD:重金属
の拡散係数を一定値とせず、冷却中に刻々と変わる温度
を時間の関数としてとらえ直した。すなわち現在の温度
Tは下記の(3)式のように表わせる。 T=T0-Rct …(3)
【0030】ここでT0は初期汚染濃度と固溶度が一致す
る温度であり、冷却の開始温度に相当する。Rcは冷却速
度、tは時間である。こう考えると(2)式の左辺であ
る時間は単純な温度の関数とはならず、いわゆる陰伏し
た方程式になるため、解析的に解くことは不可能とな
る。
【0031】そこで数値解法が必要となる。本発明の実
施態様としては、例えば、比較的簡便で扱いやすい差分
法を用いることが好ましい。この差分法による解法で、
連続冷却中におけるFe濃度が目的濃度まで減衰する温
度と時間を示したものをC−C−T線図として図1に示
す。図3のT−T−T線図と同様な図になるが、目的濃
度までの低減達成曲線が長時間側に後退している様子が
わかる。これは連続冷却であるので冷却開始時点では、
Feの過飽和度が十分でないため、ある程度低温まで冷
却が進まないとゲッタリング挙動が進行しないことに起
因する。つまり等温保持の場合より、時間は必要な方向
にシフトする。この図はその様子をよく示している。
【0032】このC−C−T線図から、最適冷却速度を
得るには、温度軸上の初期汚染濃度が固溶度と一致する
温度とC−C−T線図の曲線に向けて最大の傾きになる
よう接線を引き、その傾きが最適冷却速度となる。図1
の例では1013原子/cm3の初期汚染、BMD密度が109個/cm3
の条件で、低減目標濃度が1012原子/cm3であれば-6℃/
分、低減目標濃度が1011原子/cm3であれば-1℃/分が最
大の冷却速度と定まる。こうして定まった最適冷却速度
より徐冷であれば、任意の冷却速度を用いても低減目標
値までFe濃度を減衰させることが可能となる。
【0033】C−C−T線図は連続冷却時におけるゲッ
タリングの目標濃度までの低減時間を温度に対して示し
たものである。したがって、このC−C−T線図を用い
て、等温保持の場合を考えることはできない。等温保持
の場合は先に示したT−T−T線図の方が厳密である。
しかし、前述したように実際のデバイス作製工程におい
ては、等温保持の低温熱処理はあまり行われないため、
ほとんどの場合において本願発明のC−C−T線図を用
いた方法が有利である。
【0034】なお、本発明における最適冷却速度という
熱処理条件は、あくまでも所定の濃度までFeをIGで
除去するのに最適、最短である条件という意味であり、
実際にシリコン基板を製造するにあたっては、デバイス
工程等の都合により、上記最適熱処理条件以外の条件で
実施してもかまわない。
【0035】すなわち、例えば冷却速度を設定するにあ
たっては、必ずしも最大の傾きである接線の条件に限定
されるわけでなく、最大の傾きをとる接線より徐冷条件
で実施すれば、十分に本発明の効果を得ることができ、
本発明が実施される条件に応じて適当に熱処理条件を変
更、修正して実施することが可能である。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例を挙げて
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 (実施例)本発明によるシリコン基板の熱処理条件を設
定する方法により、シリコン基板中の初期重金属汚染濃
度と、酸素析出物密度と、所望の不純物濃度とから、連
続冷却の場合の熱処理温度および熱処理時間の関係を算
出することによって、C−C−T線図を作成し、該C−
C−T線図より最適冷却速度を決定した。次に、上記の
計算により求めた結果を検証するために、実際にシリコ
ン基板に熱処理を行う実験を行い、上記計算予測と比較
した。
【0037】まず、本実施例において実際に熱処理を行
うシリコン基板の初期重金属汚染濃度と酸素析出物密度
を測定した。測定の結果は、初期重金属汚染濃度が1×1
013原子/cm3、酸素析出物密度が1×109個/cm3であっ
た。それらに従って、上記熱処理条件の設定においても
初期重金属汚染濃度C0=1×1013原子/cm3、酸素析出物密
度n=1×109個/cm3として熱処理条件を設定した。また所
望の不純物濃度CEは、CE=1011原子/cm3とし、この場合
についての最適冷却速度を設定した。
【0038】前記(1)式、(2)式および(3)式よ
り連続冷却の場合の熱処理温度と熱処理時間の関係を算
出し、図1に示すようなC−C−T線図を作成した。な
お、この場合における熱処理温度と熱処理時間の関係の
算出は差分法を用いて行なった。そして図1に示すよう
に、作成されたC−C−T線図の温度軸上で初期重金属
汚染濃度がシリコン中の重金属の固溶度となる温度(こ
の場合では824℃)の点を通り、所望の不純物濃度CE
=1011原子/cm3についての曲線と最大の傾きになるよう
に接する接線を引いた。この結果、最適冷却速度-1℃/
分を得た。
【0039】次に、上記の計算により求めた結果を検証
するために、前述のシリコン基板に、初期汚染濃度が固
溶度となる温度824℃から、計算で求めた冷却速度-1
℃/分で冷却する熱処理を行ない重金属不純物を除去す
る実験を行った。その結果、冷却後のシリコン基板の不
純物濃度は、CE=0.9×1011原子/cm3となっており、目
標値を達成できるものであった。したがって、本発明に
よる計算の正しさが実証されていることがわかる。
【0040】(比較例)シリコン基板中の初期重金属汚
染濃度と、酸素析出物密度と、所望の不純物濃度とか
ら、熱処理温度および熱処理時間の関係を算出すること
によって、T−T−T線図を作成し、該T−T−T線図
より最適冷却速度を決定した。次に、上記の計算により
求めた結果を検証するために、実際にシリコン基板に熱
処理を行う実験を行い、上記計算予測と比較した。
【0041】実施例と同様に、初期重金属汚染濃度C0=1
×1013原子/cm3、酸素析出物密度n=1×109個/cm3、所望
の不純物濃度CE=1011原子/cm3とし、この場合について
の最適冷却速度を設定した。ただし、この比較例では、
上記値から(1)式および(2)式より、図3に示すよ
うなT−T−T線図を作成した。そして、作成されたT
−T−T線図の温度軸上で初期重金属汚染濃度がシリコ
ン中の重金属の固溶度となる温度(この場合では824
℃)のb点と、所望の不純物濃度CE=1011原子/cm3につ
いての曲線Aのノーズの点であるa点とを結ぶ線を引い
た。そして、この線の傾きから最適冷却速度-2.4℃/分
を得た。
【0042】次に、上記の計算により求めた結果を検証
するために、実施例と同じ初期重金属汚染濃度及び酸素
析出物密度のシリコン基板に、初期汚染濃度が固溶度と
なる温度824℃から、計算で求めた冷却速度-2.4℃/
分で冷却する熱処理を行ない重金属不純物を除去する実
験を行った。その結果、冷却後のシリコン基板の不純物
濃度は、CE=4.9×1011原子/cm3となっており、目標値
を達成できないものであった。
【0043】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の
特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一
な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかな
るものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0044】例えば、本発明で言う熱処理条件とは、シ
リコン単結晶インゴットをウエーハに加工する工程、デ
バイス作製工程等で加わる全ての熱処理のことを示して
おり、従って設定されるシリコン基板の熱処理条件と
は、単に特定デバイス工程後の場合に限られるものでは
なく、ウエーハ加工後、デバイス工程中、デバイス工程
後等いずれの場合であっても、シリコン基板に熱処理を
加える場合であれば、本発明を適用して熱処理条件を設
定することができる。
【0045】また上記では、重金属不純物として、Fe
をゲッタリング除去する場合につき例を挙げて説明した
が、本発明は、これには限定されず、Cu、Ni、Co
等他の重金属汚染の除去においても、当然適用でき、効
果を奏するものである。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
シリコン基板にインターナルゲッタリングを行う場合の
シリコン基板の熱処理条件を設定する方法において、シ
リコン基板中の初期重金属汚染濃度と、酸素析出物密度
と、所望の不純物濃度とから、きわめて短時間で、簡単
かつ正確に、熱処理の冷却速度を算出することができ、
それによって適正な熱処理条件を設定することができ
る。特に本発明は、実際のデバイス作製プロセスにおけ
る連続冷却工程をゲッタリングプロセスとしてとらえた
場合の冷却条件を正確に設定できるものであり、従来の
方法よりも実際の製造工程に適用しやすいものである。
【0047】従って、初期重金属汚染濃度や酸素析出物
密度の異なる多量のウエーハを用いて、実際に長時間の
熱処理をして条件を見出すというようなことが必要なく
なり、きわめて迅速かつ低コストで適正な熱処理条件を
決定することができる。そして、従来のように場当たり
的で、経験的に決定されたものではなく、精度が良い熱
処理条件なため、実際にシリコン基板の製造工程に基板
を流してみた場合に、デバイス歩留まりの向上を確実に
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】C−C−T線図の一例を示した図である。
【図2】固溶Fe濃度と熱処理時間の関係を示した図で
ある。
【図3】T−T−T線図の一例を示した図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板にインターナルゲッタリン
    グを行う場合のシリコン基板の熱処理条件を設定する方
    法において、シリコン基板中の初期重金属汚染濃度C
    0と、酸素析出物密度nと、所望の不純物濃度CEとから、
    下記(1)式、(2)式および(3)式より連続冷却の
    場合の熱処理温度Tと熱処理時間tの関係を算出し、算出
    された熱処理温度Tと熱処理時間tの関係を示すC−C−
    T線図を作成し、前記作成されたC−C−T線図の温度
    軸上で前記初期重金属汚染濃度C0がシリコン中の重金属
    の固溶度Ceqとなる温度T0の点を通りC−C−T線図の
    曲線と最大の傾きになるように接する接線を引き、該接
    線の傾きにより最適冷却速度を決定することを特徴とす
    るシリコン基板の熱処理条件を設定する方法。 1/τ=3D[(C0-Ceq)/(Cp-Ceq)]1/3[4πn/3]2/3 …(1) t=-τln[(CE-Ceq)/(C0-Ceq)] …(2) T=T0-Rct …(3) (ここで、C0:初期重金属汚染濃度(原子/cm3)、 CE:所望の不純物濃度(原子/cm3)、 Ceq:シリコン中の重金属の固溶度(原子/cm3)、 k:ボルツマン定数、T:熱処理温度(K)、t:熱処理時間
    (s)、 1/τ:ゲッタリング速度(s-1)、 D:重金属の拡散係数(cm2/s)、 Cp:析出物中の重金属濃度、n:酸素析出物密度(内部微
    小欠陥密度,個/cm3) T0:初期重金属汚染濃度が固溶度となる温度、Rc:冷却速
    度。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のシリコン基板の熱処理
    条件を設定する方法において、前記(1)式、(2)式
    および(3)式による連続冷却の場合の熱処理温度と熱
    処理時間の関係の算出は、差分法により行なうことを特
    徴とするシリコン基板の熱処理条件を設定する方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の方法に
    より設定された熱処理条件によってシリコン基板の熱処
    理を行なうことを特徴とするシリコン基板を熱処理する
    方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも請求項3に記載の熱処理する
    工程を有することを特徴とするシリコン基板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 コンピュータにシリコン基板の熱処理条
    件を設定させるためのプログラムであって、該プログラ
    ムはコンピュータに、請求項1または請求項2に記載の
    方法によって前記熱処理条件を設定させるものであるこ
    とを特徴とするコンピュータにシリコン基板の熱処理条
    件を設定させるためのプログラム。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のプログラムを記録した
    ことを特徴とする記録媒体。
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