JP2003284525A - ポリフェノールの水に対する溶解性の改善方法ならびにポリフェノール高含有水溶液 - Google Patents

ポリフェノールの水に対する溶解性の改善方法ならびにポリフェノール高含有水溶液

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JP2003284525A JP2002360486A JP2002360486A JP2003284525A JP 2003284525 A JP2003284525 A JP 2003284525A JP 2002360486 A JP2002360486 A JP 2002360486A JP 2002360486 A JP2002360486 A JP 2002360486A JP 2003284525 A JP2003284525 A JP 2003284525A
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Noriyuki Saito
典行 齋藤
Fujimi Tanabe
富士美 田邉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリフェノールの水に対する溶解性を向上さ
せる方法を提供することを第一の課題とし、得られるポ
リフェノールを高濃度に含有する水溶液を提供すること
を第二の課題とするものである。 【解決手段】 ポリフェノールとともに糖質を所定量含
有させることにより、ポリフェノールの水に対する溶解
性を向上し、改善する方法を提供し、ポリフェノールを
従来よりも高濃度に含有する水溶液を提供することによ
り、上記の課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリフェノールの
水に対する溶解性を向上させる方法ならびにポリフェノ
ールを高濃度に含有する水溶液、更に詳細には、糖質を
ポリフェノールに対して所定割合以上を用いることによ
るポリフェノールの水に対する溶解性を向上させる方
法、ならびにポリフェノールを高濃度に含有する水溶液
に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】 特開平7−107972号公報
【特許文献2】 特開平10−101705号公報
【0003】近年、健康の維持増進、老化防止、成人病
の予防、発癌抑制等に深く関係している活性酸素消去能
を有する物質として、例えば、ヘスペリジン、ルチン、
ナリンジン、ネオヘスペリジン、ジオスミン、プロアン
トシアニジン、アントシアニン等のポリフェノールが注
目されている。一般に、これらポリフェノールは、酸性
乃至中性領域では難溶性であるため、様々な生理活性の
研究が進みながらも、溶液状で添加することを要する食
品、飲料及び医薬品などの工業製品に利用されることは
稀であった。そこで溶解性を改良するために、このよう
なポリフェノールに糖を転移させたポリフェノール糖転
移物が開発されている。これらポリフェノール糖転移物
は溶解性が改良されたばかりでなく、小腸でもとのポリ
フェノールにまで分解されて吸収される。更に、得られ
たポリフェノール糖転移物にもポリフェノールと同様に
様々な生理活性があることが分かっている。しかし、糖
転移物を調製するには、多くの時間とコストがかかるた
めに、手軽に実施できるまでには至っていない。しか
も、ポリフェノール糖転移物はα−グルコシダーゼ、グ
ルコアミラーゼなどの酵素が共存すると分解されること
から、用途も限られてくる。
【0004】ポリフェノールの糖転移物としては、例え
ば、特許文献1では、pH8〜10のβ−サイクロデキ
ストリン溶液にヘスペリジンを溶解して、ヘスペリジン
の溶解度を最大に高めた上で、合成酵素を作用させる方
法が提示されている。へスぺリジンの溶解度はpHが上
がると飛躍的に上がることが示されている。更に、特許
文献2では、強アルカリに溶解したフラボノイドを増粘
多糖類溶液に添加しさらにpHを3〜10に調整する、
若しくは、フラボノイドをpH8〜10に調整した増粘
多糖類溶液に溶解する方法により、高濃度フラボノイド
溶液を調製できることが提案されている。
【0005】しかし、フラボノイドはアルカリ側のpH
では光や酸素に対して極めて不安定であることが知られ
ており、一方、pHを中性に戻すとフラボノイドの溶解
性が低下し、濁りや結晶の析出が発生することも知られ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリフェノ
ールまたはポリフェノールを主成分とする植物抽出物が
水に対して難溶であり、これを食品、飲料、化粧品、医
薬品などに利用する場合にいろいろ不都合が発生するの
で、これを改善するために、ポリフェノールの水に対す
る溶解性を向上させる方法を提供することを第一の課題
とし、単にポリフェノールのみを溶解する場合よりも高
濃度にポリフェノールを溶解含有する水溶液を提供する
ことを第二の課題とし、ポリフェノールと糖質又は糖ア
ルコールの混合粉末を提供することを第三の課題とし、
高濃度にポリフェノールを含有する組成物を提供するこ
とを第四の課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決する目的で、ポリフェノールの物性に影響する
ことなく、且つ、水に対する溶解度を向上させることを
目標とし、糖質の利用について、鋭意研究を続けてき
た。その結果、糖質をポリフェノールに対して所定量用
いた水溶液とすることにより、意外にも、ポリフェノー
ルの水に対する溶解性を向上させることができることを
新たに見出し、ポリフェノールの水に対する溶解性の改
善方法を確立するとともに、ポリフェノールを高濃度に
含有する水溶液を確立し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、ポリフェノールを、ポリフェノール
に対して、無水物換算重量で5倍量以上の糖質を含有す
る水溶液に溶解するか、又は、無水物換算重量で5倍量
以上の糖質とポリフェノールを前もって粉末状態で混合
し、同時に水に溶解させることにより、ポリフェノール
の水に対する溶解性を大きく向上させられることから、
ポリフェノールの水に対する溶解性を著しく改善できる
とともに、この解決手段を用いてポリフェノールを高濃
度に含有する水溶液を確立し、本発明を完成させた。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる糖質として
は、ポリフェノールの渋味をマスキングするために適度
な甘味度を有する、通常、重合度5以下、望ましくは重
合度4以下のオリゴ糖が用いられる。例えば、ラクトー
ス、パラチノース、マルトース、イソマルトース、ラク
トスクロース、マルトトリオース、マルトテトラオー
ス、重合度5以下、望ましくは重合度4以下の澱粉分解
物などの還元性オリゴ糖、スクロース、α,α−トレハ
ロース、ネオトレハロース、ラクトネオトレハロースな
どの非還元性オリゴ糖、グルコシルトレハロース、マル
トシルトレハロース、マルトトリオシルトレハロースな
どのα,α−トレハロース糖質誘導体、ゲイル エムブ
ラッドブルク等によって『カーボハイドレート リサー
チ』、第329巻、655乃至665頁(2000年)
で開示されるグルコース4個がα−1,6結合とα−
1,3結合とで交互に環状に結合した非還元性の環状四
糖、グルコシル環状四糖又はガラクトシル環状四糖など
の環状四糖糖誘導体、エリスリトール、ソルビトール、
マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、パラ
チニット、重合度5以下、望ましくは重合度4以下の還
元澱粉分解物などの糖アルコールなどが、単独で、又
は、必要に応じて2種以上を併用して用いることができ
る。とりわけ、α,α−トレハロース、マルトシルトレ
ハロースなどのトレハロース誘導体、マルチトール、マ
ルトース、スクロース、環状四糖及び環状四糖誘導体が
本発明に好ましく用いられる。
【0010】α,α−トレハロースは、グルコースが2
個、α,α−1,1で結合した非還元性の安定な糖質で
ある。本発明に使用するα,α−トレハロースの由来は
問わない。例えば、特開平7−246097号公報に記
載されている酵母から抽出して得られるα,α−トレハ
ロース、特開昭58−216695号公報に記載されて
いるマルトースからホスホリラーゼ法により得られる
α,α−トレハロース、特開平7−170977号公
報、特開平7−213283号公報等に記載されている
澱粉から酵素糖化法を用いて得られるα,α−トレハロ
ースなど、各種のα,α−トレハロースが適宜採用でき
る。市販の高純度α,α−トレハロース含水結晶、高純
度α,α−トレハロース無水結晶などを使用することも
適宜採用できる。例えば、株式会社林原商事が販売して
いる高純度α,α−トレハロース2含水結晶製品(株式
会社林原商事販売、登録商標『トレハ』)を使用するこ
とも可能である。
【0011】ポリフェノールを溶解する溶液中の糖質の
含有量は、ポリフェノールに対して、無水物換算重量で
5倍量以上が好適である。5倍量未満ではポリフェノー
ルの溶解性を改善する効果が少なく、ポリフェノールを
高濃度に含有する安定な水溶液を調製することができな
い。
【0012】糖質には還元性のものと非還元性のものが
あり、程度の差はあるものの、いずれもポリフェノール
の水に対する溶解性の改善効果を発揮する。糖質を加え
てポリフェノールを高濃度に含有させた水溶液中のポリ
フェノールや糖質の保存中の変性を防止することを考え
れば、非還元性の糖質を用いるのが好適である。同様
に、還元性を持たない糖アルコールを使用することも好
適である。更に、必要に応じて、各種の界面活性剤を併
用することも有利に実施できる。
【0013】ポリフェノールは、植物由来の有機化合物
の一種で、例えば、ヘスペリジン、ルチン、ナリンジ
ン、ネオヘスペリジン、ジオスミン、プロアントシアニ
ジン、アントシアニンなどのフラボノイドが知られてい
る。ポリフェノールを含有する植物抽出物としては、例
えば、茶抽出物、シソ種子抽出物、ブドウ種子抽出物、
ブドウ葉抽出物、大豆抽出物、リンゴ抽出物、ブルーベ
リー抽出物、きのこ抽出物、マツの葉又は樹皮の抽出物
などのポリフェノール含有植物からの各種抽出物などが
挙げられる。
【0014】本発明で使用するポリフェノールは、植物
から抽出した粗製品をそのまま用いても、更には、各種
の手段を用いて単品又はそれに近い純度まで精製したも
のでも使用できる。
【0015】本発明においては、常温でポリフェノール
の溶解度を向上させることができることはもとより、必
要ならば、加温して、更に溶解度を高めて用いることも
有利に実施できる。
【0016】かくして得られる本発明のポリフェノール
高含有水溶液は、従来のポリフェノール水溶液では為し
得なかったほどの高濃度のポリフェノールを溶解状態で
含有しているので、ポリフェノールの有する薬効、例え
ば、紫外線吸収能、活性酸素消去能、SOD様活性など
の作用の発揮が期待される分野、例えば、食品、飲料、
化粧品、医薬品などに有利に用いることができる。とり
わけ、本発明のポリフェノール高含有水溶液を化粧品又
は医薬品分野における皮膚外用剤として用いれば、多量
のポリフェノールを皮膚に供給することができるので、
皮膚の日焼を防止する効果、及び、しみ、そばかすなど
の皮膚の老化を防止する効果のさらなる向上が期待でき
る。
【0017】本発明のポリフェノール高含有水溶液、又
は、ポリフェノールと糖質又は糖アルコールとの混合粉
末を含有する食品、飲料又は皮膚外用組成物は、本発明
の目的を逸脱しない範囲で、通常、食品、飲料又は皮膚
への適用が許容される他の成分、例えば、油脂類、ロウ
類、炭化水素類、脂肪酸類、エステル類、アルコール
類、界面活性剤、色素、香料、ホルモン類、ビタミン
類、植物エキス、動物エキス、微生物エキス、塩類、紫
外線吸収剤、感光色素、抗酸化剤、防腐・殺菌剤、制汗
・消臭剤、清涼剤、キレート剤、糖質、アミノ酸類、増
粘剤などから適宜選ばれる1種又は2種以上を含有して
もよい。
【0018】食品又は飲食物としては、例えば、ジュー
ス、ドライフルーツ、野菜エキス、野菜粉末、漬物など
果物・野菜加工品、胡麻ペースト、ナッツペースト、コ
ーンペーストなど種実ペースト、生餡、粉末こし餡など
餡、サツマイモ粉、ヤマイモ粉などのいも粉、胡麻、玄
米、小麦、大麦、ライ麦、大豆、コーン、ピーナッツ、
アーモンド、コーヒー豆、ココア豆など種実又はこれら
の粉砕物、精白米(白米)、胚芽米、無洗米、精白大
麦、精白ハト麦、精白キビなど精白穀類、米粉、小麦
粉、大麦粉、ライ麦粉、ハト麦粉、大豆粉、大豆胚芽
粉、ソバ粉、コーンフラワーなど粉末穀類、すり胡麻、
はったい粉、きな粉、荒挽きコーヒーなど種実加工物な
どの農産品、イワシペースト、カキ肉エキス、ウニペー
スト、アジの開き、魚肉、魚粉などの水産品、畜肉、牛
乳、乳クリーム、鶏肉、鶏卵などの畜産品、醤油、味
噌、ソース、マヨネーズ、ドレッシングなどペースト状
乃至液状調味料、粉末油脂、香辛料、ふりかけなど粉末
調味料などの調味料、求肥、おかき、はじき豆、揚豆、
かりんとう、揚せんべい、カステラなどの和菓子、チョ
コレート、チューインガム、パン、ケーキ、乳菓、クリ
ーム菓子、スナック菓子などの洋菓子、アイスクリー
ム、シャーベットなどの冷菓、緑茶、ほうじ茶、紅茶、
ウーロン茶、玄米茶、麦茶、ハト麦茶などの茶類、米
飯、蒸米、米粉、餅、おにぎり、おかゆ、α化米、チャ
ーハン、ピラフなどの米加工品、パスタ、パン、麺、ピ
ザ、ナン、パン粉、プレミックスなどの小麦加工品、豆
乳、豆腐、厚揚、おから、おからハンバーグ、豆乳プリ
ンなどの大豆加工品、麹、甘酒、清酒、みりん、ビー
ル、蒸留酒、酢、味噌、醤油、糠漬、麹漬、粕漬、味噌
漬、たまり漬などの発酵飲食物、ハム、ソーセージなど
の畜肉加工品、かまぼこ、ちくわ、はんぺんなどの魚肉
練製品、ウニ、イカなどを用いた塩辛、肉、魚の干物、
小魚、エビ、イカ、貝、畜肉などを用いた珍味、佃煮、
煮豆、サラダ、炒め物、揚げ物、煮物、卵焼、焼肉、焼
き鳥、ハンバーグ、ぎょうざ、天ぷら、天かすなどの惣
菜食品、練乳、粉乳、ヨーグルト、チーズ、コーヒーフ
レッシュなどの乳加工品、ババロア、ムース、マシュマ
ロ、プリン、シュークリーム、錦糸卵、だし巻卵、茶碗
蒸し、マヨネーズなど卵加工品、畜肉、魚肉、鶏卵など
を用いた瓶・缶詰、各種茶類から製造される茶飲料、甘
酒、コーヒー飲料、乳飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲
料、サラダ油、オリーブ油、椿油などの液体状油脂、バ
ター、マーガリンなどの固体状油脂、清酒、ワイン、リ
キュールなどのアルコール飲料、冷凍食品、離乳食、治
療食、健康食品、ペプチド食品などがあり、更には、例
えば、穀類ペレット、穀類粉末、植物油粕、発酵粕、米
糠、小麦麸、大麦糠、脱脂糠、脱脂大豆、フィシュミー
ル、フィシュソリュブル、肉粉、血粉、羽毛粉、脱脂粉
乳、乾燥ホエー、さなぎ粕、アルファミールなどの飼料
原料又はこれらを含有する配合飼料などに用いることが
できる。
【0019】皮膚外用組成物としては、例えば、化粧品
分野においては、ローション、クリーム、乳液、ゲル、
粉末、ペースト、ブロックなどの形態で、石けん、化粧
石けん、肌洗い粉、洗顔クリーム、洗顔フォーム、フェ
イシャルリンス、ボディーシャンプー、ボディーリン
ス、シャンプー、リンスなどの清浄用化粧品、セットロ
ーション、ヘアブロー、チック、ヘアクリーム、ポマー
ド、ヘアスプレー、ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘア
ローション、養毛料、染毛料、頭皮用トリートメント、
びん付油、つや出し油、髪油、スキ油などの頭髪化粧
品、化粧水、バニシングクリーム、エモリエントクリー
ム、エモリエントローション、パック用化粧料(ゼリー
状ピールオフタイプ、ゼリー状ふきとり型、ペースト状
洗い流し型、粉末状など)、クレンジングクリーム、コ
ールドクリーム、ハンドクリーム、ハンドローション、
乳液、保湿液、アフターシェービングローション、シェ
ービングローション、プレシェーブローション、アフタ
ーシェービングクリーム、アフターシェービングフォー
ム、プレシェーブクリーム、化粧用油、ベビーオイルな
どの基礎化粧品、ファンデーション(液状、クリーム状
など)、おしろい(クリーム状、ペースト状、液状な
ど)、アイシャドウ、アイクリーム、マスカラ、眉墨、
まつげ化粧料、頬紅、頬化粧水などのメークアップ化粧
品、香水、練香水、粉末香水、オーデコロン、パフュー
ムコロン、オードトワレなどの芳香化粧品、日焼けクリ
ーム、日焼けローション、日焼けオイル、日焼け止めク
リーム、日焼け止めローション、日焼け止めオイルなど
の日焼け・日焼け止め化粧品、マニキュア、ペディキュ
ア、ネイルカラー、ネイルラッカー、エナメルリムーバ
ー、ネイルクリーム、爪化粧料などの爪化粧品、アイラ
イナー化粧品、口紅、リップクリーム、練紅、リップグ
ロスなどの口唇化粧品、練歯磨、マウスウォッシュなど
の口腔化粧品、バスソルト、バスオイル、浴用化粧料な
どの入浴用化粧品などの用途に利用されるよう提供され
る。また、例えば、医薬品分野においては、当該皮膚外
用組成物は、湿布剤、噴霧剤、塗布剤、浴剤、貼付剤、
軟膏剤、パスタ剤、リニメント剤、ローション剤、パッ
プ剤などの形態で提供される。
【0020】以下、本発明の、糖質を所定量含有させる
ことによりポリフェノールの水に対する溶解性を向上さ
せる方法について、具体的に、実験を用いて詳しく説明
する。
【0021】
【実験1】<糖質の添加方法による植物由来のポリフェ
ノールの水に対する溶解性の改善効果>糖質の添加方法
の違いによる植物由来のポリフェノールの水に対する溶
解性の改善効果を検討するために、以下の実験を行っ
た。溶解試験の試料として、植物由来のプロアントシア
ニジンを含有するフラボノイド製品((株)トレードピ
ア販売、商品名『ピクノジェノール』)30mgを、室
温(25℃)の精製水を用いて、次の方法で溶解し、そ
の溶解状態を調べた。試料を約80mlの水に分散さ
せた後、α,α−トレハロース2含水結晶(株式会社林
原商事販売、登録商標『トレハ』)を無水物換算重量で
1.5g(試料に対して、50倍量)を添加し、更に水
を加えて100mlとし、振とう攪拌した。試料と
α,α−トレハロース2含水結晶1.5gとを前もって
粉末の状態で混合した後、約80mlの水に分散させた
後、更に水を加えて100mlとし、振とう攪拌した。
試料とα,α−トレハロース2含水結晶1.5gとを
前もって粉末の状態で、乳鉢を用いて磨砕混合した後、
約80mlの水に分散させた後、更に水を加えて100
mlとし、振とう攪拌した。α,α−トレハロース2
含水結晶1.5gを前もって約80mlの水に溶解し、
この溶液に試料を分散させた後、更に水を加えて100
mlとし、振とう攪拌した。対照:試料を約80ml
の水に分散させた後、更に水を加えて100mlとし、
振とう攪拌した。
【0022】前記の溶液の溶解状態は、振とう攪拌後の
液の濁度(10cmセル、720nmの吸光度)を測定
して求め、結果を表1に示した。濁度の低いもの程、溶
解性が向上し、改善されていると判定した。
【0023】
【表1】
【0024】表1の結果から明らかなように、の試料
(植物由来のフラボノイド製品、『ピクノジェノー
ル』)を単独で分散したもの、又はの試料を水に分散
した後、α,α−トレハロース2含水結晶を添加したも
のでは『ピクノジェノール』の溶解性は改善されなかっ
た。これに対して、の試料とα,α−トレハロース2
含水結晶とを粉末の状態で混合したのち水に分散したも
の、の試料とα,α−トレハロース2含水結晶とを前
もって粉末の状態で、乳鉢を用いて磨砕混合した後、水
に分散したもの、のα,α−トレハロース2含水結晶
を前もって水に溶解し、α,α−トレハロース水溶液に
した後に試料を溶解したものは、いずれもほぼ完全に
『ピクノジェノール』は溶解し、『ピクノジェノール』
が持つ本来の色調に由来する吸光度は示すものの、不溶
性の微粒子に由来する濁度の残存は認められず、溶解性
が向上し、改善されることが判明した。
【0025】
【実験2】<各種糖質を用いた植物由来のポリフェノー
ルの水に対する溶解性の改善効果>各種糖質を用いた植
物由来のポリフェノールの精製水に対する溶解性の改善
効果を検討するために、以下の実験を行った。実験1の
の方法に準じて、溶解試験の試料として、植物由来の
プロアントシアニジンを含有するフラボノイド((株)
トレードピア販売、商品名『ピクノジェノール』)30
mgと精製マルトース(株式会社林原商事販売、登録商
標『サンマルト−S』)、砂糖(スクロース)、ラクト
ース、α,α−トレハロース2含水結晶製品(株式会社
林原商事販売、登録商標『トレハ』)、結晶マルチトー
ル(株式会社林原商事販売、登録商標『マビット』)、
特許協力条約に基づく国際特許出願公開番号WO02−
10361号公報の実施例A−7に記載された方法で製
造した環状四糖、又は特開平7−143876号公報の
実施例A−4に記載された方法で製造したマルトシルト
レハロースを、それぞれ無水物換算重量で0.075g
(2.5倍量)、0.15g(5倍量)、0.3g(1
0倍量)、0.75g(25倍量)、1.5g(50倍
量)、3.0g(100倍量)、6.0g(200倍
量)、又は15.0g(500倍量)とを粉末状態で混
合した後、約80mlの水に分散させた後、更に水を加
えて100mlとし、振とう攪拌した。対照として、実
験1のと同様に試料だけを水に分散し、振とう攪拌し
た。前記の溶液の溶解状態の評価は、実験1と同様に、
溶解後の液の濁度(10cmセル、720nmの吸光
度)を測定して求め、結果を表2に示した。濁度の低い
もの程、溶解性が向上し、改善されていると判定した。
【0026】
【表2】
【0027】表2の結果から明らかなように、『ピクノ
ジェノール』の溶解性は、糖質とともに溶解することに
より向上し、最も溶解性の向上効果が劣るラクトースで
あっても、25倍乃至50倍量以上の使用時で、ほぼ全
量の『ピクノジェノール』が溶解し、不溶性の微粒子に
由来する濁度の残存は認められなかった。また、5倍量
使用時で比較すると、『ピクノジェノール』は完全に溶
解するには至らないものの、どの糖質においても、2.
5倍量使用時よりも溶解性の向上が顕著に認められ、と
りわけ、α,α−トレハロース又はマルチトールを用い
た場合は、相対濁度が約0.3乃至0.4の値となり、
他の糖質を用いた場合に比べて顕著に溶解性に優れてい
た。また、10倍量使用時で比較すると、マルトース、
砂糖(スクロース)、環状四糖又はマルトシルトレハロ
ースを用いた場合、α,α−トレハロース又はマルチト
ールとほぼ同等の溶解性の向上効果を示した。この結果
より、『ピクノジェノール』の溶解性を向上させる効果
を得るためには、『ピクノジェノール』に対する糖質の
混合比を、5倍量以上、好ましくは10倍量以上、特に
好ましくは25倍量以上とすればよいことが分かった。
【0028】以上の実験結果から、糖質を用いることに
より、水に難溶であるポリフェノールの溶解性を向上さ
せ、高濃度に含有する水溶液を調製できるようになった
ことから、食品、飲料、化粧品、医薬品工業において、
これまで利用されなかったポリフェノールの用途が拡が
ることになり、非常に価値あるものといえる。
【0029】以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によ
って限定されるものではない。
【0030】
【実施例1】<ポリフェノール水溶液>マツの樹皮から
抽出したプロアントシアニジンなどのポリフェノールを
含有するエンゾジノール(ニッコー製油(株)販売)
0.1重量部に対してα,α−トレハロース2含水結晶
(株式会社林原商事販売、登録商標『トレハ』)20重
量部を粉末の状態で混合した後、精製水100重量部に
添加し、撹拌した。α,α−トレハロースを含有せず、
エンゾジノール単独の場合は完全に溶解せず、一部が懸
濁した状態で残存するのに対して、本水溶液では完全に
溶解しており、食品、飲料、化粧品、医薬品、又はそれ
らの原材料として有利に利用することができる。
【0031】
【実施例2】<ルチン水溶液>市販のルチン1重量部に
対して結晶マルチトール(株式会社林原商事販売、登録
商標『マビット』)50重量部を粉末の状態で磨砕混合
した後、精製水500重量部に溶解した。マルチトール
を含有せず、ルチン単独の場合には、ルチンは約0.0
13(w/v)%しか溶解しないのに対して、本水溶液
は、その約15倍量溶解含有しており、食品、飲料、化
粧品、医薬品、又はそれらの原材料として有利に利用す
ることができる。
【0032】
【実施例3】<皮膚外用剤>実施例1で作製したポリフ
ェノール水溶液100重量部に、グリセリン5重量部、
プロピレングリコール4重量部、L−アスコルビン酸−
2−o−α−D−グルコピラノシド(株式会社林原商事
販売、商品名『AA−2G』)1重量部、オレイルアル
コール0.1重量部、乳酸ナトリウム5重量部、エタノ
ール10重量部、香料0.1重量部、防腐剤0.1重量
部を混合溶解して、皮膚外用剤を得た。本品は、高濃度
のプロアントシアニジンなどのポリフェノールを溶解状
態で含有するので、紫外線防護効果が極めて優れてお
り、日焼け防止、しみ、そばかすなどの皮膚の老化防止
に効果的である。
【0033】
【実施例4】<ドリンク剤>実施例1で作製したポリフ
ェノール水溶液100重量部に、グレープフルーツ果汁
5重量部、L−アスコルビン酸−2−o−α−D−グル
コピラノシド(株式会社林原商事販売、商品名『AA−
2G』)0.5重量部、酢酸d−α−トコフェロール
0.01重量部、ビタミンB0.01重量部、ニコチ
ン酸アミド0.01重量部、タウリン0.03重量部を
混合溶解添加して、ドリンク剤を得た。本品は、栄養補
給だけでなく、高濃度のプロアントシアニジンなどのポ
リフェノールを溶解状態で含有するので、SOD様活
性、活性酸素消去能に極めて優れており、老化や発癌の
抑制に効果的である。
【0034】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、ポリフェノールの水に対する溶解性を向上さ
せるとともに、ポリフェノールを高濃度に含有する水溶
液を供給することが可能となる。従って、本発明の確立
は、これまでいろいろ検討されてきたにもかかわらずあ
まり使用されることがなかった、ポリフェノールの食
品、飲料、化粧品、医薬品、又はそれらの原材料への利
用を容易にすることから、食品、飲料、化粧品、医薬品
業界を始めとする産業界に与える工業的意義は極めて大
きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 7/48 A61K 31/352 31/352 A61P 39/06 A61P 39/06 A23L 2/00 F Fターム(参考) 4B017 LC03 LG15 LK06 LK11 LK12 LP01 4B018 LB08 MD08 MD31 MD32 ME08 ME10 ME14 MF01 4C083 AC072 AC122 AC131 AC302 AC841 AC842 AD211 AD642 CC02 DD23 DD27 EE01 EE12 FF01 FF05 4C086 AA01 AA02 BA08 MA02 MA05 MA07 MA08 NA02 ZC21

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖質を、ポリフェノールに対して、無水
    物換算重量で5倍量以上用いることを特徴とするポリフ
    ェノールの水に対する溶解性の改善方法。
  2. 【請求項2】 糖質が、重合度5以下のオリゴ糖である
    ことを特徴とする請求項1記載のポリフェノールの水に
    対する溶解性の改善方法。
  3. 【請求項3】 重合度5以下のオリゴ糖が、非還元性糖
    質又は糖アルコールであることを特徴とする請求項1又
    は2記載のポリフェノールの水に対する溶解性の改善方
    法。
  4. 【請求項4】 非還元性糖質又は糖アルコールが、α,
    α−トレハロース、α,α−トレハロース糖質誘導体、
    マルチトール、環状四糖、及び環状四糖糖質誘導体から
    選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求
    項3記載のポリフェノールの水に対する溶解性の改善方
    法。
  5. 【請求項5】 ポリフェノールが、植物抽出物であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のポリ
    フェノールの水に対する溶解性の改善方法。
  6. 【請求項6】 ポリフェノールが、フラボノイドである
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のポ
    リフェノールの水に対する溶解性の改善方法。
  7. 【請求項7】 フラボノイドがプロアントシアニジンを
    含有することを特徴とする請求項6記載のポリフェノー
    ルの水に対する溶解性の改善方法。
  8. 【請求項8】 プロアントシアニジンを含有するフラボ
    ノイドがマツの樹皮由来であることを特徴とする請求項
    7記載のポリフェノールの水に対する溶解性の改善方
    法。
  9. 【請求項9】 糖質を、ポリフェノールに対して、無水
    物換算重量で5倍量以上含有せしめたポリフェノール高
    含有水溶液。
  10. 【請求項10】 糖質が、α,α−トレハロース、α,
    α−トレハロース糖質誘導体、マルチトール、環状四
    糖、及び環状四糖糖質誘導体から選ばれる1種又は2種
    以上であることを特徴とする請求項9記載のポリフェノ
    ール高含有水溶液。
  11. 【請求項11】 ポリフェノールがフラボノイドである
    請求項9又は10記載のポリフェノール高含有水溶液。
  12. 【請求項12】 フラボノイドがプロアントシアニジン
    を含有することを特徴とする請求項11記載のポリフェ
    ノール高含有水溶液。
  13. 【請求項13】 プロアントシアニジンを含有するフラ
    ボノイドがマツの樹皮由来であることを特徴とする請求
    項12記載のポリフェノール高含有水溶液。
  14. 【請求項14】 ポリフェノールと、ポリフェノールに
    対して、無水物換算重量で5倍量以上の糖質との混合粉
    末。
  15. 【請求項15】 糖質が、α,α−トレハロース、α,
    α−トレハロース糖質誘導体、マルチトール、環状四
    糖、及び環状四糖糖質誘導体から選ばれる1種又は2種
    以上であることを特徴とする請求項14記載のポリフェ
    ノール高含有水溶液。
  16. 【請求項16】 ポリフェノールがフラボノイドである
    ことを特徴とする請求項14又は15記載の混合粉末。
  17. 【請求項17】 フラボノイドがプロアントシアニジン
    を含有することを特徴とする請求項16記載の混合粉
    末。
  18. 【請求項18】 プロアントシアニジンを含有するフラ
    ボノイドがマツの樹皮由来であることを特徴とする請求
    項17記載の混合粉末。
  19. 【請求項19】 請求項9乃至13のいずれかに記載の
    ポリフェノール高含有溶液、又は請求項14乃至18の
    いずれかに記載の混合粉末を含有せしめることを特徴と
    する、食品、飲料、化粧品又は医薬品の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項9乃至13記載のポリフェノー
    ル高含有溶液、又は請求項14乃至18記載の混合粉末
    を含有せしめて製造されることを特徴とする、食品、飲
    料、化粧品又は医薬品。
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