JP2003285394A - 缶用樹脂ラミネート鋼板 - Google Patents
缶用樹脂ラミネート鋼板Info
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Abstract
缶以外の缶体(一般缶)の缶胴部や蓋部として好適な樹
脂ラミネート鋼板を提供する。 【解決手段】鋼板と、鋼板の両面に形成された金属クロ
ム付着量が片面あたり40〜200mg/m2の金属ク
ロムめっき層と、両金属クロム層の上に形成された金属
クロム換算での付着量が片面あたり3〜25mg/m2
のクロム水和酸化物層と、クロム水和酸化物の少なくと
も一方に形成された接着性樹脂層、及び接着性樹脂層の
上に形成された融点が140℃以上のポリプロピレン系
樹脂層からなる、厚さ15〜200μmの樹脂層を具備
し、前記接着性樹脂層は接着性ポリエチレンと接着性ポ
リプロピレンの混合物であって、接着性ポリエチレンを
8〜20%含むことを特徴とする、缶用樹脂ラミネート鋼
板
Description
缶、ドラム缶等のような飲料缶以外の缶体(一般缶)の
缶胴部や蓋部として好適な、耐熱性(塗装印刷適性)、
汎用性(酸性内容物からアルカリ性内容物までの広範囲
な用途適性)に優れ、且つ内容物保護性(加工部や傷つ
き箇所の耐食性および缶内容物中に金属や有機成分の溶
出が生じにくい特性)、製缶後における缶体の耐圧強度
等の諸特性に優れた樹脂ラミネート鋼板に関する。
野)において、各種ラミネート鋼板(樹脂被覆鋼板)を
使用した高耐食缶を製造する試みがなされている。一般
缶用途では、飲料缶と異なり、充填される内容物が化学
薬品、界面活性剤、塗料、食品、油など多岐にわたり、
内容物の性状も酸性からアルカリ性まで多種多様であ
る。ラミネート缶に用いる樹脂として、一般的に使用さ
れているポリエチレンテレフタレートなどのポリエステ
ル系樹脂は、アルカリ性の内容物に対してはフィルムが
加水分解を起こすため、適用が困難である。酸からアル
カリまでの幅広い内容物に対して耐食性を有する樹脂と
しては、ポリプロピレンやポリエチレンなどのオレフィ
ン樹脂がよく知られている。このようなオレフィン樹脂
を用いた缶用材料として、特許文献1等ではポリエチレ
ンラミネート鋼板が、また、特許文献2等ではポリプロ
ピレンラミネート鋼板がそれぞれ開示されている。
ィン系樹脂ラミネート鋼板の特性について詳細に検討し
た結果、以下のような問題点があることが判明した。ポ
リプロピレン樹脂は、オレフィン樹脂としては耐熱性に
優れているが、一般缶製缶時の加工応力の集中により加
工クラックを生じやすく、また、たとえ加工時にクラッ
クが生じなくても、加工により応力が集中した箇所が、
長時間界面活性剤等の浸透性の高い内容物に接している
と、やがてクラックが発生し、長期間の保管に耐えられ
ないという欠点がある。従来、ポリプロピレン樹脂の耐
加工クラック性を改善する方法として、樹脂ラミネート
後の冷却速度の調整により結晶化度を最適化する方法が
提案されている。しかし、本発明者らが検討したところ
によれば、ポリプロピレン樹脂は結晶化速度が早いた
め、ラミネート鋼板の外面に塗装印刷を施す用途におい
ては、塗装印刷の加熱により結晶化が進行し、上記方法
による十分な効果を得ることは難しいことが判った。
ク性を改善する他の方法として、エチレンなどのαオレ
フィンを最大で10%程度、ポリプロピレンにランダム
共重合化する方法が提案されている。しかし、本発明者
らが検討したところによれば、ランダム共重合化したポ
リプロピレン樹脂は樹脂全体の融点が低くなるため、ラ
ミネート鋼板の外面に塗装印刷を施す用途においては、
塗装印刷工程の加熱処理の際にラミネート樹脂が熱変形
(ラミネート樹脂面での接触跡の発生)したり、板搬送
設備に融着したりする問題を生じることが判った。
性が良好であるが、ポリエチレン樹脂を缶内面側にラミ
ネートした場合、樹脂そのものの融点が120℃前後と
低いため、塗装印刷工程の焼付処理の際にラミネート樹
脂が板搬送設備に融着したり、熱変形(ラミネート樹脂
面での接触跡の発生)したりすることが避けられない。
脂とポリエチレン樹脂を複合化したラミネート鋼板が提
案されており、同文献には、ポリプロピレン樹脂とポリ
エチレン樹脂の混合層によりポリプロピレン樹脂層とポ
リエチレン樹脂層を密着させた3層構造のラミネート鋼
板が開示されている。しかし、ポリプロピレン樹脂とポ
リエチレン樹脂は一般に密着性が悪いため、樹脂層間で
剥離を生じやすく、製缶後に缶体に内圧をかけた際、缶
蓋と胴板の巻き締め部で層間剥離がおき、そこから気密
が漏洩して所望の耐圧強度が得にくいなど、缶としての
実用に適さない。
求項など)
項など)
項など)
L缶やペール缶等のような大型缶をはじめとする一般缶
用途の缶胴部や蓋部に好適な樹脂ラミネート鋼板であっ
て、耐熱性(塗装印刷適性)、汎用性(酸性内容物から
アルカリ性内容物までの用途適性)に優れ、且つ内容物
保護性(加工部や傷付箇所の耐食性および缶内容物中に
金属や有機成分の溶出を生じにくい特性)、缶体耐圧強
度等の諸特性に優れた樹脂被覆鋼板を提供することにあ
る。
来技術の課題を解決すべく各種樹脂皮膜構成を有する樹
脂被覆鋼板とその特性について調査および検討を行な
い、その結果以下のような知見を得た。まず、ラミネー
ト樹脂に必要とされる耐熱性について調査した結果、現
行の油性印刷塗装の下限焼付温度は、焼付炉の温度変動
を含めて約130℃であることが判った。したがって、
実際の焼付炉の温度変動を考慮すると、ラミネート樹脂
は約140〜150℃の焼付に耐えることが必要であ
る。缶内容物と接する側の樹脂層は、塗装印刷時に板搬
送設備と熱融着を生じないことが不可欠であり、140
℃、望ましくは150℃以上の融点を有するポリプロピ
レン樹脂を主体とする樹脂層とすることが必要である。
加工部の耐クラック性を向上させるためには、ポリプロ
ピレンにエチレンをブロック共重合化させることが有効
である。プロピレン・エチレンブロック共重合体は、ポ
リプロピレン樹脂中にポリエチレン成分が粒状に分散す
る海島構造をとることが知られており、マトリックスの
ポリプロピレン(海の部分)の熱的性質が維持されやす
く、数十モル%のエチレン成分を共重合化させても融点
の低下がわずかに抑えられるという特徴を有する。その
一方で、柔軟なポリエチレン粒が分散するため、樹脂ト
ータルとして変形能が高まると同時に、プレスなどの衝
撃加工に対しても、衝撃を吸収、緩和する効果が生じ、
結果として加工部の耐クラック性が大幅に向上した。
く、電解クロメート処理鋼板(鋼板に金属クロムとその
上層にクロム水和酸化物からなる電解クロメート処理を
行ったもの、ティンフリースチール:TFS)と密着させ
るためには、接着性樹脂からなる樹脂層を鋼板との間に
設ける必要がある。このため、プロピレン系樹脂からな
る樹脂層(上層)と接着性樹脂層(下層)の2層構造が
必要となるが、この下層の接着性樹脂に、ポリプロピレ
ン系の熱接着性樹脂を単独で用いた場合には、接着性樹
脂層の耐加工クラック性や、接着性樹脂層−鋼板界面の
耐食性が劣っていた。一方、耐加工クラック性が良好な
ポリエチレン系の熱接着性樹脂を用いた場合、耐加工ク
ラック性、樹脂−鋼板界面の耐食性は良好であったが、
耐熱性が劣化し、下層で樹脂の熱変形が生じた。したが
って下層においても、熱接着性樹脂の耐食性を保持しつ
つ耐熱性を満足するには、高融点の接着性ポリプロピレ
ン系樹脂に耐食性の良い接着性ポリエチレン系樹脂を適
量混合した樹脂構造にすることが効果的であった。
18L缶やペール缶を製缶する際には、一般的に、缶胴を
溶接もしくはロックシーム法により接合した後、天蓋あ
るいは地蓋を2重巻き締めにより取り付ける。巻き締め
部では、胴板内面のフィルムと蓋内面のフィルムは、熱
融着もしくは接着剤を介して接着される。製缶後の缶体
は気密が保持されなければならないが、鋼板とラミネー
トフィルムの密着力が低い場合、温度上昇などにより内
圧が過度に上昇した場合や、缶の落下した場合等に、巻
き締め部でフィルムが剥離し、内容物が漏洩する等の重
大な事故が起こる可能性がある。巻き締め部で十分な気
密性を得るには、フィルムは下地鋼板との強い密着力を
要すると同時に、上層と下層間にも十分な密着力が付与
されなければならない。一般にポリプロピレンとポリエ
チレンとは分子相溶せず密着しにくいため、上層をポリ
プロピレン系樹脂とした場合、下層の樹脂中のポリエチ
レン比率が高くなるにしたがい、上層と下層の層間密着
力が低下し、剥離して気密が漏洩しやすくなる。気密漏
洩を防ぐにも、下層には接着性ポリプロピレン系樹脂に
接着性ポリエチレン系樹脂を適量混合した樹脂構造にす
ることが効果的であった。
れたもので、その特徴は以下の通りである。 (1) 鋼板と、鋼板の両面に形成された金属クロム付着
量が片面あたり40〜200mg/m2の金属クロムめ
っき層と、両金属クロム層の上に形成された金属クロム
換算での付着量が片面あたり3〜25mg/m2のクロ
ム水和酸化物層と、クロム水和酸化物の少なくとも一方
に形成された接着性樹脂層、及び接着性樹脂層の上に形
成された融点が140℃以上のポリプロピレン系樹脂層
からなる、厚さ15〜200μmの樹脂層を具備し、前
記接着性樹脂層は接着性ポリエチレンと接着性ポリプロ
ピレンの混合物であって、接着性ポリエチレンを8〜20
%含むことを特徴とする缶用樹脂ラミネート鋼板。
レン・エチレンブロック共重合体であり、ブロック共重
合体のプロピレン成分の比率が50モル%以上98モル%以
下であることを特徴とする上記(1)に記載の缶用樹脂ラ
ミネート鋼板。
0μmの樹脂層であることを特徴とする、上記(1)、
(2)のいずれかに記載の缶用樹脂ラミネート鋼板。
融点が150℃以上のプロピレン・エチレンブロック共
重合体であり、ブロック共重合体のプロピレンの比率が
ブロック共重合体のプロピレン成分の比率が70モル%以
上95モル%以下であることを特徴とする、上記(1)、
(2)、(3)、(4)のいずれかに記載の缶用樹脂ラミ
ネート鋼板。
ついて説明する。本発明のラミネート鋼板の素地である
表面処理鋼板は、経済性と樹脂との密着性確保の観点か
ら電解クロメート処理鋼板(ティンフリースチール:TF
S)とする。電解クロメートを施す鋼板としては、通常
この種の表面処理鋼板に用いられる鋼板であれば使用す
ることができ、例えば、板厚0.1〜0.5mmの通常
の低炭素冷延鋼板、低炭素Alキルド鋼板等が用いら
れ、これらの鋼板上に電解クロメート処理により、下か
ら金属クロム層、その上にクロム水和酸化物を形成させ
る。金属クロム層のクロム付着量は、片面あたり40〜
200mg/m2とする。付着量が40mg/m2未満の
場合、衝撃を与えた際に表面処理層による被覆が損なわ
れ、腐食が進行しやすいため耐食性が低下する。付着量
が200mg/m2を超えても性能上全く問題はない
が、経済的観点から好ましくない。より好ましい範囲は
80〜150mg/m2である。また、クロム水和酸化
物層の付着量は、片面あたり金属クロム換算で3〜25
mg/m2とする。その付着量が3mg/m2未満では金
属クロム層がクロム酸化物によって均一に覆われず金属
クロム層の露出面積が大となり、樹脂層との密着力が損
なわれ、樹脂層に傷がついた場合、腐食が進行しやすく
耐食性が低下するため好ましくない。また、25mg/
m2を超えるとクロム酸化物層が厚すぎることによって
TFSの表面色調が劣化するので好ましくない。
鋼板の少なくとも片面(缶内面側となる鋼板面)に、接
着性樹脂層(下層)と、プロピレン系樹脂層(上層)か
らなる、厚さの合計が15〜200μmの樹脂層を被覆
したラミネート鋼板である。樹脂の厚みが15μmを下
回ると、2回塗装以下の耐食性しか得られず、また、衝
撃などにより傷が入りやすい。一方、樹脂層の厚さが2
00μmを超えると巻締めが行いにくくなると同時に経
済性に劣り、実用的ではない。ラミネートの方法につい
ては特に限定されず、事前に作成した樹脂フィルムを熱
した鋼板上にラミネートする方法、Tダイなどで溶融し
た樹脂を鋼板に直接熱押出しする方法、などがあり、そ
のいずれでも良い。
上層樹脂は、融点140℃以上、好ましくは150℃以
上のプロピレン系樹脂からなる。融点が140℃未満で
は、塗装印刷時に板搬送設備に対して熱融着を生じる可
能性がある。炉温変動を考慮に入れると融点は150℃
以上であることがさらに好ましい。上層に使用する上記
プロピレンプロピレン系樹脂は、メルトフローレート
(MFR JIS K6758)が0.5〜20g/10minであ
ることが好ましい。メルトフローレートが0.5g/1
0min未満では、フィルムを製膜する際、もしくは直
接押し出しラミネートを行う際、押し出し機のモーター
負荷が大きくなり、生産性が低下する。MFRが大き過
ぎると表面粗さが小さくなり、耐ブロッキングが低下す
るので20g/10min以下であることが望ましい。
の単独重合体、若しくはプロピレンとαオレフィンとの
ブロック又はランダム共重合体である。後者の場合のα
オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセ
ン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン等
が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることが出
来る。また、αオレフィンの含有量は、ポリプロピレン
系樹脂の融点が本発明の範囲内となるように調整され
る。また、上記ポリプロピレン系樹脂の結晶化度は、塗
装印刷時の加熱により急激に結晶化度が進行するため特
に規制は無いが、一般に低い方が望ましい。
ピレン・エチレンブロック共重合体を使用すればより厳
しい環境下での加工後耐食性がより優れる。プロピレン
・エチレンブロック共重合体としては、プロピレン成分
の比率は50モル%以上98モル%以下であることが必要で
ある。プロピレン成分の比率が50モル%未満の領域で
は、ポリプロピレンのマトリックス効果が薄れ、融点の
低下が顕著になり、融点を140℃以上に保つことが困難
になる。さらに、プロピレン成分の比率が70モル%以上
であれば、融点を150℃以上に保つことが容易となり、
塗装印刷時の板搬送設備に対する熱融着防止の観点か
ら、より好ましい。一方、プロピレン成分の比率が98%
を越えると、共重合したエチレン成分による耐加工クラ
ック性の向上の効果が見られなくなる。より好ましい耐
加工クラック性を得るには、プロピレン成分の比率は95
%以下にすることが望ましい。
ック共重合体には、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候安定
剤、帯電防止剤、顔料、染料などを本発明の効果を損な
わない限度で適量配合してもよい。但し、低融点で水溶
液などに易溶性の配合物や低融点の配合物、例えばフェ
ノール系の酸化防止剤などはできるだけ配合しないこと
が望ましい。
性(熱接着性)ポリプロピレンと接着性(熱接着性)ポ
リエチレンを主成分樹脂とし、これら両樹脂は混合して
使用される。
ンの単独重合体、若しくはプロピレンとαオレフィンと
のブロック又はランダム共重合体である。後者の場合の
αオレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘ
キセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1
−ペンテン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を
用いることができる。接着性ポリプロピレンのメルトフ
ロレート(MFR JIS K6758)は0.5〜20g/10m
inであることが好ましい。
樹脂に不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を導入す
ることで接着性(熱接着性)を付与したものが好まし
い。この酸変性に使用する不飽和カルボン酸又はその誘
導体としては、マレイン酸、アクリル酸、フマール酸、
テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ク
ロトン酸、ナジック酸などの不飽和カルボン酸又はその
誘導体、例えば、アミド、イミド、無水物、エステル、
酸ハライドなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上
を用いることができるが、無水マレイン酸を用いるのが
一般的である。これらの不飽和カルボン酸及び/又はそ
の誘導体をポリプロピレンに導入する方法は、グラフト
重合が一般的である。特に、無水マレイン酸を0.01
〜5重量%とするグラフト重合が好ましい。
る接着性ポリエチレンとしては、エチレンの単独重合
体、若しくはエチレンとαオレフィンとのブロック又は
ランダム共重合体であるが、上層との密着性を確保する
ためには後者の共重合体が好ましい。ポリエチレン樹脂
がエチレンとαオレフィンとのブロック又はランダム共
重体である場合、側鎖を与えるαオレフィンの量は1〜
25mol%が望ましい。αオレフィンの量が1mol
%未満では上層のポリプロピレン系樹脂層との密着性が
低下し、一方、25mol%を超えると常温での粘着性
が増大し、製膜が難しくなる。αオレフィンとしては、
プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテ
ン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンが挙げら
れ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
なお、上記ポリエチレン樹脂の特に好ましい共重合体は
ランダム共重合体である。
ート(MFR ASTM D1238)は製膜性の観点から0.5〜5
0g/10minであることが望ましい。
樹脂に不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を導入す
ることで接着性(熱接着性)を付与したものが好まし
い。この酸変性に使用する不飽和カルボン酸又はその誘
導体としては、マレイン酸、アクリル酸、フマール酸、
テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ク
ロトン酸、ナジック酸などの不飽和カルボン酸又はその
誘導体、例えば、アミド、イミド、無水物、エステル、
酸ハライド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を
用いることができるが、無水マレイン酸、アクリル酸メ
チル、メタクリル酸メチル等を用いるのが一般的であ
る。また、そのなかでも耐食性の観点からは無水マレイ
ン酸を単独で若しくは無水マレイン酸と他の不飽和カル
ボン酸の1種又は2種以上を混合したものを用いるのが
好ましい。
ニル、アクリル酸メチル、アイオノマーをそれぞれ単独
で、若しくは2種以上を混合して用いてもよい。これら
の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をポリエチレ
ンに導入する方法としては、グラフト重合、ランダム重
合、ブロック重合が挙げられる。特に、無水マイレン酸
を0.01〜5重量%とするグラフト重合が好ましい。
チレンからなる接着層樹脂は、接着性ポリエチレン8〜
20モル%となるよう混合することが好ましい。接着性
ポリエチレンの割合が8モル%未満では耐食性の向上効
果がない。一方、耐熱性の観点からは接着性ポリエチレ
ンの割合が50モル%以下であれば熱変形の問題がなく
良好であるが、上層下層間の密着力が低く層間剥離しや
すいため、製缶後の耐圧強度が不足し、2重巻き締め部
からの気密漏洩の危険性がある。確実に気密漏洩を防止
できるだけの缶体の耐圧強度を確保するには、接着性ポ
リエチレンの割合を20モル%以下にする必要がある。
また、接着性樹脂には、前記以外の配合物も、本発明の
効果を損なわない限度で適量配合できる。
チレンからなる接着層の厚みは、2〜10μmとする。
接着層の厚みが2μm未満の場合、接着性樹脂が局所的
に薄い箇所ができやすく、鋼板の被覆が局所的に劣化
し、耐食性が損なわれる危険性がある。一方で、上層の
ポリプロピレン樹脂よりも下層の接着性樹脂は一般的に
言って高価であり、接着層厚みを10μmよりも厚くし
た場合、性能的には問題は発生しないが、経済性に劣る
ため実用的ではない。
板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂お
よび酸洗した後、公知の方法により電解クロメート処理
し、付着量が100mg/m2の金属クロム層と、その
上層に金属クロム換算での付着量が8mg/m2のクロ
ム水和酸化物層からなる電解クロメート処理層を形成し
た。この表面処理鋼板を樹脂フィルムの接着層の融点〜
250℃に加熱し、鋼板の片面に樹脂フィルムをラミネ
ートした後、2秒以内に水で急冷することによりラミネ
ート鋼板を製造した。また、上記のラミネート後、上層
樹脂の融点以下の温度で缶外面側に相当する面にクリヤ
塗装を行った(実施例1〜13、19,20)。
の方法で電解脱脂および酸洗した後、公知の方法により
電解クロメート処理し、付着量が100mg/m2の金
属クロム層と、その上層に金属クロム換算での付着量が
8mg/m2のクロム水和酸化物層からなる電解クロメ
ート処理層を形成した後、140℃程度に予熱し、Tダ
イ押し出し法(エクストリューダー法)により溶融樹脂
を塗布した後、2秒以内に水で急冷することによりラミ
ネート鋼板を製造した。また、上記のラミネート後、上
層樹脂の融点以下の温度で缶外面側に相当する面にクリ
ヤ塗装を行った(実施例14〜18)。
る組成の樹脂を、本発明の請求範囲にある組成の電解ク
ロメート処理鋼板上に、実施例と同じ方法によりラミネ
ートしたラミネート鋼板を製造し、上層樹脂の融点以下
の温度で缶外面側に相当する面にクリヤ塗装を行った
(比較例1〜8)。
を、本発明の請求範囲を外れる組成の電解クロメート処
理鋼板に実施例と同じ方法によりラミネートしたラミネ
ート鋼板を製造し、上層樹脂の融点以下の温度で缶外面
側に相当する面にクリヤ塗装を行った(比較例9〜1
1)。
方法で行った。
ート面の金属製の保持台との融着性) 樹脂被覆鋼板を
そのラミネート面が金属製の保持台に接するように置
き、振動を与えながら所定温度で30分保持した後、冷
却し、ラミネート面への保持台の接触跡の有無を調べ、
接触跡が認められる限界温度(前記保持温度)に基づき
下記の基準で評価した。 ◎:限界温度150℃以上
○:限界温度140℃以上 ×:限界温度140℃未満
(○以上であれば実用可能。) (2) 加工後耐食性 樹脂被覆鋼板をデュポン衝撃加工した後、中性洗剤
(商品名:ライポンF)中に38℃で3か月間浸漬し、
加工部の腐食の目視判定、および走査型電子顕微鏡観察
によるフィルムクラック発生の有無の判定基づき、下記
の基準で評価した。 ◎:腐食なし、クラック観察され
ず ○:腐食なし、微細なクラックがわずかに観察され
る △:軽微な腐食あり 微細なクラックが観察される
×:腐食顕著、大きなクラックが観察される (○以
上であれば実用上問題ない耐食性が確保できる。) さらに、より厳しい加工後耐食性を検証するために、
樹脂被覆鋼板をデュポン衝撃加工した後、フィルムクラ
ック形成に関してより厳しい酸性洗剤(商品名:PTS3
00)中に45℃で3か月間浸漬し、加工部の腐食の目
視判定、および走査型電子顕微鏡観察によるフィルムク
ラック発生の有無の判定基づき、下記の基準で評価し
た。 ◎:腐食なし、クラック観察されず ○:腐食な
し、微細なクラックがわずかに観察される △:軽微な
腐食あり 微細なクラックが観察される ×:腐食顕
著、大きなクラックが観察される (△以上であれば実
用上問題ない耐食性が確保できる。○以上であればより
望ましい) (3) 傷付部耐食性 樹脂被覆鋼板に対して平板のままク
ロスカットを行ったのち、20g/LのNaOH溶液中
で38℃、10日間の浸漬試験を行ない、試験後のカッ
ト部の腐食幅を下記の基準により評価した。 ○:腐食
幅1mm以下 △:腐食幅1mm超、3mm未満 ×:腐
食幅3mm超 (4) 耐圧強度 ラミネート面を内側にして、ラミネート
鋼板をロックシーム法により接合し、18L缶胴状に成
形した後、同じくラミネート面を内側にして18L缶の
天蓋、地蓋状に成形したものを2重巻き締め法により標
準的な巻き締め形状に巻き締め、巻き締め部をフィルム
上層樹脂の融点以上の温度に加熱し、胴と蓋のフィルム
上層同士を熱融着させた。このようにして出来上がった
缶体に内側からエア圧をかけながら水中に没し、巻き締
め部から気泡が漏洩する時のエア圧力により評価した。
◎:1.2kgf/cm2以上 ○:1.0kgf/cm
2以上1.2kgf/cm2未満 △:0.4kgf/c
m2以上1.0kgf/cm2未満 ×:0.4kgf/
cm2未満 (○以上であれば実用上十分な機密性が確
保できる。) (5) 色調 ラミネート鋼板表面の明度を、JIS Z 8729
において規定される10度視野の明度指数L*値に基づき
4段階で評価した(数値が大きいほど良好)。◎:L*≧
60 ○:60>L*≧55 △:55>L*≧50 ×:50>L*
(○以上であれば明るく、良好な色調である。) 表1,2は実施例,比較例の詳細及び性能評価結果を示し
ている。実施例のいずれの場合も、(1)〜(5)の評価に対
し、良好な結果が得られ、ラミネート一般缶として十分
な性能を有するラミネート鋼板である。
比率が高すぎるため、融点が低く、十分な耐熱性が得ら
れなかった。比較例2は上層にプロピレン-エチレンラ
ンダム共重合体を使用したため耐熱性が不充分であっ
た。比較例3は被覆樹脂のトータル厚みが薄いため、加
工によるクラックの抑制ができず、加工部の耐食性が不
十分であった。比較例4は下層樹脂中の接着性ポリエチ
レンの混合比率が低すぎるため傷付部耐食性が劣る結果
となった。比較例5,6は接着層中の接着性ポリエチレ
ンの混合比率が高すぎるため、上層樹脂との密着強度が
得られず、十分な耐圧強度が得られなかった。比較例6
では、比較例5よりもさらにポリエチレン比率が高いた
め、接着層樹脂の耐熱性が若干損なわれた。比較例7,
8は下層樹脂のポリプロピレン及びポリエチレンのいず
れかに非接着性の通常樹脂を適用した場合であり、鋼板
との密着力が不足し、傷付部耐食性が劣るほか、鋼板と
の界面で剥離がおきやすくなるため、十分な耐圧強度も
得られなかった。比較例9では電解クロメート処理鋼板
における金属クロムの付着量が少なかったため加工部及
び傷付部で十分な耐食性が得られなかった。比較例10
では電解クロメート処理鋼板におけるクロム水和酸化物
の付着量が少なかったため、樹脂層との密着が不十分な
結果、傷付部の耐食性が不十分となり、また、耐圧強度
も若干劣る結果となった。比較例11は電解クロメート
処理鋼板におけるクロム水和酸化物の付着量が多すぎた
ため、ラミネート鋼板表面が暗くなり、良好な色調が得
られなかった。
ト鋼板は、18L缶やペール缶等のような大型缶をはじ
めとする一般缶用途の缶胴部や蓋材に適用した場合にお
いて、耐熱性(塗装印刷適性)、汎用性(酸性内容物か
らアルカリ性内容物までの広範囲な用途適性)に優れ、
且つ内容物保護性(加工部や傷つき箇所の耐食性および
缶内容物中に金属や有機成分の溶出が生じにくい特
性)、製缶後における缶体の耐圧強度等の諸特性に優れ
ている。
Claims (4)
- 【請求項1】鋼板と、鋼板の両面に形成された金属クロ
ム付着量が片面あたり40〜200mg/m2の金属ク
ロムめっき層と、両金属クロム層の上に形成された金属
クロム換算での付着量が片面あたり3〜25mg/m2
のクロム水和酸化物層と、クロム水和酸化物の少なくと
も一方に形成された接着性樹脂層、及び接着性樹脂層の
上に形成された融点が140℃以上のポリプロピレン系
樹脂層からなる、厚さ15〜200μmの樹脂層を具備
し、前記接着性樹脂層は接着性ポリエチレンと接着性ポ
リプロピレンの混合物であって、接着性ポリエチレンを
8〜20%含むことを特徴とする、缶用樹脂ラミネート鋼
板。 - 【請求項2】前記ポリプロピレン系樹脂がプロピレン・
エチレンブロック共重合体であり、ブロック共重合体の
プロピレン成分の比率が50モル%以上98モル%以下であ
ることを特徴とする請求項1に記載の缶用樹脂ラミネー
ト鋼板。 - 【請求項3】前記接着性樹脂層の厚みが、2〜10μmの
樹脂層であることを特徴とする、請求項1から2のいず
れかに記載の缶用樹脂ラミネート鋼板。 - 【請求項4】前記ポリプロピレン系樹脂層が、融点が1
50℃以上のプロピレン・エチレンブロック共重合体で
あり、ブロック共重合体のプロピレンの比率がブロック
共重合体のプロピレン成分の比率が70モル%以上95モル
%以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれ
かに記載の缶用樹脂ラミネート鋼板。
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|---|---|---|---|
| JP2002346074A JP4096719B2 (ja) | 2002-01-23 | 2002-11-28 | 缶用樹脂ラミネート鋼板 |
Applications Claiming Priority (3)
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|---|---|---|---|
| JP2002-14695 | 2002-01-23 | ||
| JP2002014695 | 2002-01-23 | ||
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|---|---|
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| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP4096719B2 (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009286433A (ja) * | 2008-05-29 | 2009-12-10 | Showa Denko Packaging Co Ltd | 巻締め部にシーリングコンパンドを不要とした密閉金属容器 |
| JP2018052524A (ja) * | 2016-09-27 | 2018-04-05 | Jfeコンテイナー株式会社 | 金属製ドラム缶 |
| JP2025092462A (ja) * | 2023-12-08 | 2025-06-19 | 住友化学株式会社 | プロピレン樹脂組成物、成形体、および、成形体の製造方法 |
-
2002
- 2002-11-28 JP JP2002346074A patent/JP4096719B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
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|---|---|---|---|---|
| JP2009286433A (ja) * | 2008-05-29 | 2009-12-10 | Showa Denko Packaging Co Ltd | 巻締め部にシーリングコンパンドを不要とした密閉金属容器 |
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| JP2025092462A (ja) * | 2023-12-08 | 2025-06-19 | 住友化学株式会社 | プロピレン樹脂組成物、成形体、および、成形体の製造方法 |
| JP7752229B2 (ja) | 2023-12-08 | 2025-10-09 | 住友化学株式会社 | プロピレン樹脂組成物、成形体、および、成形体の製造方法 |
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