JP2003306531A - 共役系高分子の電解不斉重合方法と光学活性共役系高分子 - Google Patents

共役系高分子の電解不斉重合方法と光学活性共役系高分子

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博正 後藤
Kazuo Akagi
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 簡便に共役系高分子の高次構造を制御し、カ
ラム分離等の煩雑な操作を要することなく共役系高分子
を不斉重合する方法を提供する。 【解決手段】 ネマティック液晶に、少なくともキラル
ドーパントとモノマーと支持電解質を添加し、電圧を印
加する。モノマーとして、イオン化ポテンシャルの低い
化合物の3,4エチレンジオキシチオフェン、イソチア
ナフテン、ピロール、チオフェンが用いられる。 【効果】共役系高分子に液晶反応場の光学活性や螺旋構
造を反映することができる。また、煩雑な異性体分離操
作を経ることなく、光学活性共役系高分子を重合でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、共役系高
分子の電解不斉重合に関するものである。さらに詳しく
は、この出願の発明はキラルドーパントの存在下、ネマ
ティック液晶中でモノマーを電解重合することにより、
光学活性な共役系高分子を重合する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術とその課題】ポリアセチレン、ポリチオフェ
ン、ポリピロール、ポリアニリンに代表される導電性高
分子は、その構造中に共役二重結合を有するため、ヨウ
素などのドーピング処理により電気伝導性を示す。これ
らの共役系高分子は、電解重合が可能なであり、電解質
溶液中にモノマーを添加し、適当な電圧を印加すること
により、陽極側に高分子薄膜が得られる。
【0003】従来、共役系高分子の電解重合は、リチウ
ムパークロレートやテトラブチルアンモニウムパークロ
レート等の電解質をアセトニトリル等の有機溶媒に溶解
し、陽極、陰極の間で電場を印加することにより行われ
てきた。
【0004】しかし、これらの共役系高分子の多くは、
ほとんどの溶媒に不溶、不融であるため、このような溶
液系における電解重合方法においては、その固体構造や
モルホロジーが重合時に決定されてしまうという問題が
あった。つまり、共役系高分子の高次構造を制御した
り、導電性を保持したまま螺旋構造を持たせたりする方
法や、カラム等による分離精製を経ることなく光学活性
体を得る方法は知られていなかったのが実情である。共
役系高分子を不斉重合する簡便な方法が得られれば、新
たな電子材料として有効となることが期待される。ま
た、RNA、蛋白質等多くの生体分子が螺旋構造を有する
ことから、共役系高分子の不斉重合が実現すれば、生体
分子合成に関する新たな知見がもたらされることも期待
される。
【0005】
【非特許文献1】K. Akagi et al., Science, Vol.282,
1683-1688 (1998).
【非特許文献2】K. Akagi et al., Synthetic Metals,
119, 103-104 (2001).
【非特許文献3】Akagi, K., Piao, G., Kaneko. S., S
akamaki. K., Shirakawa, H. and Kyotani, M., Scienc
e, 282, 1683-1686 (1998).
【非特許文献4】Shirakawa, H., Current Appl. Phy
s., 1, 88-89 (2001).
【非特許文献5】Akagi, K., Kobunshi 44, 456 (199
5).
【非特許文献6】Akagi, K., Shirakawa, H., Arraya,
K., Mukoh, A., Narahara, T., Polym. J. 19, 185 (19
87).
【非特許文献7】Solladie, G., Zimmermann, G., Ange
w. Chem. Int. Ed. Engl., 23, 348-362 (1984).
【非特許文献8】Huck, N. P. M., Jaeger, W. F., Lan
ge, B., Fringe, B. L., Science,273, 1686-1688 (199
6).
【0006】したがって、この出願の発明は、以上のと
おりの問題点を解決し、共役系高分子の高次構造を制御
し、カラム分離等の煩雑な操作を要することなく共役系
高分子を不斉重合するための方法を提供することを課題
としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、以上
のとおりの課題を解決するものとして、まず、第1に
は、光学活性共役系高分子を重合する方法であって、ネ
マティック液晶に、少なくともキラルドーパントとモノ
マーと支持電解質を添加し、電圧を印加することを特徴
とする共役系高分子の電解不斉重合方法を提供する。
【0008】この出願の発明は、第2には、ネマティッ
ク液晶がアルキルフェニルシクロヘキシル系、アルキル
シアノビフェニル系、およびアルコキシシアノビフェニ
ル系からなる群より選択される共役系高分子の電解不斉
重合方法を、また、第3には、キラルドーパントがキラ
ル液晶系化合物である共役系高分子の電解不斉重合方法
を提供する。
【0009】第4には、この出願の発明は、モノマーが
3,4-エチレンジオキシチオフェン、イソチアナフテン、
ピロール、およびチオフェンからなる群より選択される
1種以上である共役系高分子の電解不斉重合方法を提供
する。
【0010】さらに、この出願の発明は、第5には、支
持電解質がテトラブチルアンモニウムパークロレートま
たはリチウムパークロレートから選択されることを、前
記共役系高分子の電解不斉重合方法の態様として提供す
る。
【0011】そして、この出願の発明は、第6には、前
記のいずれかの重合方法で得られる光学活性共役系高分
子をも提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】この出願の発明者らは、これまで
に、液晶にキラルドーパントを添加することにより、液
晶全体に光学活性を付与したり、螺旋構造を有するキラ
ルネマティック相としたりできることを報告している。
また、発明者らは、このようなキラルネマティック液晶
中でアセチレンガスと触媒を接触させることによりポリ
アセチレンが合成されることを報告している。(例え
ば、非特許文献1および2)発明者らは、さらに鋭意研
究を進めた結果、このような液晶を不斉反応場として導
電性高分子を電解重合させることにより、光学活性な共
役系高分子が得られることを見出し、本願発明に至った
ものである。
【0013】すなわち、この出願の発明の共役系高分子
の電解不斉重合方法においては、ネマティック液晶に、
少なくともキラルドーパントとモノマーと支持電解質を
添加し、電圧を印加する。
【0014】このとき、反応場として使用されるネマテ
ィック液晶は、電解重合反応を阻害しないものであれば
よく、どのような形態であってもよい。液晶は、一般に
ネマティック、コレステリック、スメクティックのいず
れかに区別されるが、反応場として有機キラルネマティ
ック相を得るためにはネマティック液晶であることが必
要である。中でも、溶媒を包含しなくても液晶形態が実
現されるサーモトロピック液晶が好ましい。また、主鎖
型、側鎖型という分類でも、ある程度フレキシブルな主
鎖に液晶形成基(メソゲン)を導入した側鎖型の液晶で
あっても、主鎖にメソゲンがある主鎖型の液晶であって
もよい。このような液晶の構造もとくに限定されず、例
えば、2つのベンゼン環をトランス−スチルベンやアゾ
キシベンゼン、ニトロンなどの二重結合を含む連結基や
ビフェニル、またはシクロヘキサンなどの連結基でつな
いだものが例示される。さらに、メソゲン化合物の末端
にはアルキル基、またはアルコキシ基などのフレキシブ
ルな置換基が導入されていることが好ましく、さらに、
脂肪族鎖、剛直鎖あるいは非対称構造を有する置換基等
が導入されていてもよい。これらの置換基の長さは液晶
の転移温度に影響を及ぼすため、電解重合の温度等を考
慮して、適宜選択すれば良い。
【0015】以上のとおりの各種液晶の中でも室温以上
で液晶の状態を保持でき、かつ液晶相を示す温度範囲の
広いもの、具体的には、次式の5CBや6CB、あるいはフェ
ニルシクロヘキシル基とn−アルキル基とヘキサメチレ
ン鎖を有するPCHnORが好ましい。
【0016】
【化1】
【0017】この出願の発明の共役系高分子の電解不斉
重合方法では、ネマティック液晶にキラルドーパントを
添加することにより、液晶に光学活性や螺旋構造を付与
し、キラルネマティック液晶とすることができる。これ
らのキラルドーパントは、電解重合反応を阻害せず、ネ
マティック液晶との相溶性の高い化合物であればよく、
その種類は特に限定されない。種々の軸性キラルな化合
物、中でもキラルな液晶系が適用でき、バイノール誘導
体や不斉炭素を有するフェニルシクロヘキシル系化合物
が好ましいものとして例示される。具体的には、次の化
学式(I)または(II)のバイノール誘導体や化学式
(III)または(IV)のフェニルシクロヘキシル系化合
物が挙げられる。
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】さらに、この出願の発明の共役系高分子の
電解不斉重合方法では、反応場であるネマティック液晶
に、キラルドーパントとモノマー以外に導電性を付与す
るための支持電解質を添加する。支持電解質は、電解重
合反応を阻害せず、液晶に十分な導電性を与えるもので
あればよく、一般的に電気化学反応に用いられる種々の
イオン性の塩等から印加電圧に応じて適宜選択できる。
具体的には、テトラブチルアンモニウムパークロレート
(TBAP)やリチウムパークロレートが好ましく挙げられ
る。
【0021】以上のとおりの共役系高分子の電解不斉重
合において、印加される電圧は、重合されるモノマー
(すなわち、目的の共役系高分子)の種類や使用される
液晶反応場、電極材料等に合わせて適宜選択すれば良
く、とくに限定されない。例えば、後述の実施例に示さ
れるように、ピロールの(R)-PCH5O6-Binol/6CBにおける
電解重合は、1.1 V程度の電圧下で行うことができる。
もちろん、印加電圧はこのような例に限定されない。
【0022】さらに、この出願の発明の共役系高分子の
電解不斉重合では、使用される電極はどのようなもので
あってもよく、とくに限定されない。例えば、金、銀、
白金等の金属電極、カーボン電極、あるいは酸化インジ
ウム・錫(ITO)等の透明性ガラス電極などが例示され
る。これらは、モノマー(すなわち、目的の共役系高分
子)の種類や液晶の種類等、あるいは目的とする高分子
の量に応じて適宜選択される。
【0023】以上のとおりのこの出願の発明の共役系高
分子の電解不斉重合方法は、様々な共役系高分子のモノ
マーに適用されるものである。モノマーは、脂肪族共役
系、芳香族共役系、複素環式共役系、および含ヘテロ原
子共役系等の様々な高分子を与える各種の化合物から1
種類以上を選択すればよい。1種を選択すればホモポリ
マーが得られ、2種以上とすれば、混合共役系の高分子
が得られる。モノマーとしては、とくにイオン化ポテン
シャルの低い化合物が好ましく、具体的には、次式
(V)の3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)、式
(VI)のイソチアナフテン(ITN)、式(VII)のピロー
ル、あるいは式(VIII)のチオフェンが例示される。
【0024】
【化4】
【0025】したがって、この出願の発明では、以上の
とおりの方法によって重合される光学活性共役系高分子
をも提供する。このような共役系高分子としては、ポリ
アセチレン、ポリ(1,6-ヘプタジイン)等の脂肪族共役
系高分子、ポリ(パラフェニレン)やポリナフタレン、
ポリアントラセン等の芳香族共役系高分子、ポリピロー
ル、ポリフラン、ポリチオフェン等の複素環式共役系高
分子、およびポリ(パラフェニレンスルフィド)、ポリ
(パラフェニレンオキシド)、ポリアニリン等の含ヘテ
ロ原子共役系高分子など、各種のものが例示される。ま
た、2種類以上のモノマーを電解重合して得られる混合
共役系高分子としては、ポリ(パラフェニレンビニレ
ン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリ(2,2’−
チエニルピロール)などが例示される。
【0026】以上に例示される各種共役系高分子は、通
常、不斉炭素を含まず、等方性、異方性反応で合成され
た場合には直鎖状の平面構造を有することが知られてい
る。しかし、この出願の発明の電解不斉重合方法で合成
される共役系高分子は、反応場であるキラルネマティッ
ク液晶の螺旋構造を反映し、光学活性を有するようにな
る。したがって、液晶反応場のキラリティーに応じた高
次構造を有する光学活性共役系高分子を得ることができ
るのである。
【0027】以下、実施例を示してこの出願の発明につ
いてさらに詳細に説明する。もちろん、この出願の発明
は、以下の実施例に限定されるものではないことはいう
までもない。
【0028】
【実施例】<準備> ネマティック液晶の調製 (1)PCH506Br(1-(p-(trans-4-n-pentylcyclohexoyl)
phenoxy)-6-bromohexane)の合成 四つ口フラスコ内でナトリウム1.12 g(48.6 mmol)を
エタノール200 mlに溶かし、そこへPCH500 10.0 g(40.
5 mmol)エタノール溶液を滴下し、室温で24時間攪拌
した。別の四つ口フラスコに1,6-dibromohexane 48.8 g
(200.0 mmol)のエタノール溶液を調製し、前記の溶液
を等圧滴下漏斗に移し、時間をかけて滴下した。滴下
後、12時間加熱還流し、さらに水を加えて攪拌し反応
を停止した。
【0029】有機層をクロロホルムで抽出した後、塩化
カルシウムで乾燥し、濾過後溶媒を減圧留去した。さら
に、未反応の1,6-ジブロモヘキサンを減圧蒸留にて除去
した後、エタノールで再結晶し、白色板状晶を得た(1
1.54g, 収率69.6%)。
【0030】
【化5】
【0031】(2)(R)-PCH506-Binol((R)-(+)-2,2'-d
i-(p-(trans-4-n-pentylcyclohexoyl)phenoxy-1-hexylo
xy)-1,1'-binaphthyl)(化学式(A))の合成 四つ口フラスコに(R)-BINOL((株)環境科学センター
製)1.5 g(5.24 mmol)、前記のPCH506Br 5.02 g(10.
48 mmol)、炭酸カリウム7.24 g(52.4 mmol)、少量の
ヨウ化カリウム、およびアセトン200 mlを加え、加熱還
流した。24時間後、反応溶液を濾過し、溶媒を減圧留
去した。有機層をクロロホルムで抽出した後、硫酸マグ
ネシウム上で乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィー
(展開溶媒:クロロホルム)によって分離精製し、黄色
オイル状の生成物を得た(3.92 g,収率79.2 %)。
【0032】
【化6】
【0033】<実施例1> (1) キラルネマティック液晶の調製 (R)-または(S)-PCH506-binol/n-ヘプチルシアノビフェ
ニル(化学式(B)、以下6CB)/ピロール/TBAPを、1.
0:91.6:7.2:0.2(モル%)で調製したところ、(R)-
および(S)-のいずれについてもサーモトロピック液晶が
得られた。
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】この液晶の17℃における偏光顕微鏡写真
を図1に示した。図1より、フィンガープリント構造が
確認されたことから、この液晶がキラルネマティック液
晶(以下N*-LC)であることが確認された。
【0037】次に、示差走査熱量測定(DSC)と偏光顕
微鏡写真から、N*-LCが、加熱下では15〜27℃、冷却下
では2〜23℃の間でN*-LC特性を示すことが確認された。 (2) ピロールの電解不斉重合 前記のN*-LCを、テフロン(登録商標)シート(厚さ0.1
2 mm)をスペーサーとして酸化インジウム・錫(ITO)
電極で挟み、反応系を30℃に加熱した後、17℃まで10℃
/minの速度で徐冷した。良好なフィンガープリント構造
が得られた。さらに17℃の重合温度を保持したまま、9.
5 V/mmの電圧を24時間印加したところ、N*-LCのフィン
ガープリント構造が維持されたまま、ITO電極表面に厚
さ6μmの不溶、不融の濃黒紺色薄膜(ポリピロール膜、
以下PPy*)が析出した。このPPy*をメタノール、水、ア
セトニトリル、アセトンで順に洗浄した後、アセトン中
でITO電極表面から剥がし、石英板に移した。さらに石
英板上でPPy*を減圧乾燥させた。
【0038】(R)-PPy*の電子顕微鏡(SEM)写真を図2
に示した。(R)-PPy*は、N*-LC系のフィンガープリント
構造を保持していることが確認された。また、ポリピロ
ールの螺旋構造も確認された(図3)。
【0039】左旋性((R)-PPy*)、右旋性((S)-PPy*)
は、N*-LC系の調製に使用されたキラルドーパント(す
なわち、(R)-および(S)-PCH506-binol)に応じて決定さ
れることが確認された。
【0040】これより、この出願の発明の電解不斉合成
方法では、反応場であるキラルネマティック液晶の螺旋
構造が、得られる共役系高分子に反映されることが確認
された。
【0041】次に、円偏光二色性スペクトル(CD)を測
定し、図4に示した。(R)-および(S)-PPy*は、いずれも
側鎖にキラルな置換基を有さないにも関わらず、352か
ら555nmにかけて主鎖のπ→π*遷移に由来するコットン
効果を示すことが確認された。
【0042】また、図5に示されるように、キラルドー
パントとして添加された(R)-および(S)-PCH506-binolの
コットン効果は、240〜340 nmでのみ見られることか
ら、(R)-および(S)-PPy*の円偏光二色性は、キラルドー
パントに直接由来するものではないことが示唆された。
【0043】以上より、得られた(R)-および(S)-PPy*で
は、ポリピロール主鎖そのものが螺旋構造を有している
ことが明らかになった。
【0044】なお、555 nmよりも長波長側では、(S)-PP
y*は正のコットン効果を示し、(R)-PPy*は負のコットン
効果を示した。これらのCDバンドは、吸収スペクトルに
おけるバイポーラロンバンド(>600 nm)に由来するも
のと考えられる。 <比較例1>実施例2と同様の方法で、電解不斉重合を
30℃の等方性条件下で行った。しかし、得られた液晶は
螺旋構造を示さず、電解重合によりITO電極上に得られ
た薄膜(PPy)の電子顕微鏡写真もランダムな球状構造
を示した。また、290、457 nmおよび>600 nmに特徴的な
吸収スペクトル(紫外可視吸収スペクトル)が見られた
ものの、コットン効果は示さなかったことから、PPyは
光学活性を有さないものであることが確認された。 <比較例2>実施例2と同様の方法で、キラルドーパン
トを含まないネマティック液晶(6CB/ピロール/TBA
P)を調製し、得られた液晶(N-LC)を反応場として電
解重合を行った。得られた薄膜(PPy)はSchlieren様の
ムラ構造を示した。これは、PPyがネマティック相に添
って重合していることを示唆した。また、PPyのCDスペ
クトルはコットン効果を示さなかったことから、PPyは
光学活性を有さないものであることが確認された。
【0045】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明により、共役系高分子に液晶反応場の光学活性や螺
旋構造を反映させることができる。また、この出願の発
明により、煩雑な異性体分離操作を経ることなく、光学
活性共役系高分子を重合できる電解不斉重合方法が提供
される。このような方法は、電解重合可能な各種高分子
(例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、PEDOT;pol
y(3,4-ethylemnedioxythiophene)など)の不斉重合にも
適用できる。また、このような方法によって得られる共
役系高分子は、光学活性を有することから、新しい導電
性材料として有用性が高い。さらに、この出願の発明の
液晶反応場は、種々の不斉合成反応場として多種多用な
有機合成に適用できると期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の実施例において、得られたキ
ラルネマティック液晶の17℃における偏光顕微鏡写真
を示した図である。
【図2】この出願の発明の実施例において、本願発明の
方法で重合された(R)-PPy*の電子顕微鏡写真を示した図
である。
【図3】この出願の発明の実施例において、本願発明の
方法で重合された(R)-PPy*のの螺旋構造を示した図であ
る。
【図4】この出願の発明の実施例において、本願発明の
方法で重合された(R)-および(S)-PPy*の円偏光二色性ス
ペクトルを示した図である。
【図5】この出願の発明の実施例において、キラルドー
パントとして添加された(R)-および(S)-PCH506-binolの
円偏光二色性スペクトルを示した図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成15年3月4日(2003.3.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明により、共役系高分子に液晶反応場の光学活性や螺
旋構造を反映させることができる。また、この出願の発
明により、煩雑な異性体分離操作を経ることなく、光学
活性共役系高分子を重合できる電解不斉重合方法が提供
される。このような方法は、電解重合可能な各種高分子
(例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、PEDOT;pol
y(3,4-ethylenedioxythiophene)など)の不斉重合にも
適用できる。また、このような方法によって得られる共
役系高分子は、光学活性を有することから、新しい導電
性材料として有用性が高い。さらに、この出願の発明の
液晶反応場は、種々の不斉合成反応場として多種多用な
有機合成に適用できると期待される。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学活性共役系高分子を重合する方法で
    あって、ネマティック液晶に、少なくともキラルドーパ
    ントとモノマーと支持電解質を添加し、電圧を印加する
    ことを特徴とする共役系高分子の電解不斉重合方法。
  2. 【請求項2】 ネマティック液晶は、アルキルフェニル
    シクロヘキシル系、アルキルシアノビフェニル系、およ
    びアルコキシシアノビフェニル系からなる群より選択さ
    れる請求項1の共役系高分子の電解不斉重合方法。
  3. 【請求項3】 キラルドーパントは、キラル液晶系化合
    物である請求項1または2のいずれかの共役系高分子の
    電解不斉重合方法。
  4. 【請求項4】 モノマーは、3,4-エチレンジオキシチオ
    フェン、イソチアナフテン、ピロール、およびチオフェ
    ンからなる群より選択される1種以上である請求項1な
    いし3のいずれかの共役系高分子の電解不斉重合方法。
  5. 【請求項5】 支持電解質は、テトラブチルアンモニウ
    ムパークロレートまたはリチウムパークロレートから選
    択される請求項1ないし4のいずれかの共役系高分子の
    電解不斉重合方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかの重合方法
    により得られることを特徴とする光学活性共役系高分
    子。
JP2002362979A 2002-02-15 2002-12-13 共役系高分子の電解不斉重合方法と光学活性共役系高分子 Expired - Fee Related JP3876221B2 (ja)

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