JP2003306730A - Al−SiC系複合体および放熱部品 - Google Patents

Al−SiC系複合体および放熱部品

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JP2003306730A JP2002113641A JP2002113641A JP2003306730A JP 2003306730 A JP2003306730 A JP 2003306730A JP 2002113641 A JP2002113641 A JP 2002113641A JP 2002113641 A JP2002113641 A JP 2002113641A JP 2003306730 A JP2003306730 A JP 2003306730A
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福井  聡
Masahiko Oshima
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム系ろう材を用いたDBA基板の
接合時にアルミニウムを主成分とする金属が溶融するこ
とを抑えて、Al−SiC系複合体内部の気密性を保
ち、半導体チップから発生した熱を外部へ十分に発散で
き得る、またアルミニウムを主成分とする金属を圧入し
て含浸させた後の引け巣やクラックの発生を防止できる
Al−SiC系複合体および放熱部品を提供する。 【解決手段】 主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミ
ニウムを主成分とする金属を含浸して形成されたAl−
SiC系複合体であって、該アルミニウムを主成分とす
る金属の初晶温度が615℃以上であることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に炭化ケイ素
(SiC)からなる多孔体に、アルミニウム(Al)を
主成分とする金属を含浸して形成したアルミニウムと炭
化ケイ素の複合体(Al−SiC系複合体)に関する。
本発明のAl−SiC系複合体は、低熱膨張、高熱伝導
特性を有し、放熱基板、ヒートシンク、パッケージなど
半導体装置に用いられる放熱部品に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、産業機器の分野では、半導体スイ
ッチングデバイスを用いて大きな電力を最適な電力に効
率よく交換制御する大電力モジュール装置の開発が進ん
でいる。例えば、電動車輌用インバータとして高電圧、
大電流動作が可能なIGBTモジュールがある。このよ
うな大電力モジュール化に伴い、半導体チップから発生
する熱も増大している。半導体チップは熱に弱く、発熱
が大きくなれば半導体回路の誤動作や破壊を招くことに
なる。そこで、半導体チップなど電子部品を搭載するた
めの回路基板の裏面にヒートシンクなどの放熱部品を設
けて、放熱部品を介して半導体チップから発生した熱を
外部に発散させ、半導体回路の動作を安定にすることが
行われている。電子部品を搭載するための回路基板とし
ては、窒化ケイ素(Si34)、窒化アルミニウム(A
lN)、酸化アルミニウム(Al23)などのセラミッ
クス板に銅(Cu)板をろう付け配線したDBC(Dire
ctBonding Cupper)基板が主に用いられている。
【0003】従来の放熱部品用材料として、銅、モリブ
デン、タングステンなどがある。モリブデンやタングス
テンからなる放熱部品は高価であり、また金属の比重が
大きいため放熱部品の重量が重くなり、放熱部品の軽量
化が望まれる用途には好ましくない。
【0004】また、銅からなる放熱部品は、放熱部品と
接合されるDBC基板との熱膨張係数の差が大きいの
で、放熱部品とDBC基板との加熱接合時や、使用中の
熱サイクルにより、はんだ層の破壊、熱流路の遮断、D
BC基板の割れを生じやすい。つまり、放熱部品とDB
C基板とは、はんだによりろう付けされており、ろう材
の融点以上に加熱した後、室温まで冷却される。その
際、ろう材の凝固点で互いに固定され、その後は固定さ
れたまま放熱部品とDBC基板がそれぞれ固有の熱膨張
係数に従って収縮し、互いの接合部に熱応力および熱歪
みが残留するとともに反りなどの変形を生じる。そし
て、モジュール装置の使用時に熱ストレスが繰り返し与
えられ、残留熱応力および熱歪みに重畳されると、はん
だ層の疲労破壊による熱流路の遮断と、機械的に脆い性
質を持つDBC基板の割れを生じる。
【0005】銅などの従来材に替わる放熱部品用材料と
して、アルミニウムまたはアルミニウム合金中に炭化ケ
イ素を分散させた低熱膨張・高熱伝導特性を有するAl
−SiC系複合体が注目されている(特公平7−261
74号、特開昭64−83634号等参照)。Al−S
iC系複合体の製法としては、炭化ケイ素粉末あるいは
炭化ケイ素繊維で形成された多孔体(プリフォーム)を
用い、この多孔体を型内の空間に配置し、アルミニウム
インゴットを接触させて、窒素雰囲気中で加圧もしくは
非加圧で加熱溶融したアルミニウムを型内の空間に流し
込むことによって、炭化ケイ素の多孔体に含浸させ、冷
却して作製する溶融金属含浸法などがある。この製造方
法によれば、炭化ケイ素の含有量を20〜90体積%の
範囲で選択できる。また、炭化ケイ素多孔体の形状の自
由度が高く、複雑な形状の製品をネットシェイプ成形で
きる利点を有する。
【0006】一方、回路基板としては近年、DBC基板
に代わりDBA(Direct Brazing Aluminum)基板が適
用されてきている。DBA基板はセラミックス板にアル
ミニウム板をアルミニウム系ろう材によりろう付け配線
した基板で、アルミニウムの塑性能が銅よりも高いため
耐久信頼性に優れる回路基板として注目されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】DBA基板を放熱部品
に接合する際、通常アルミニウム系ろう材が用いられ
る。従来材料の銅、モリブデン、タングステンなどの金
属単体からなる放熱部品の場合、これらの放熱部品の溶
融温度はアルミニウム系ろう材の溶融温度よりはるかに
高い温度であるため接合時に問題を生じない。
【0008】一方、本発明に係るAl−SiC系複合体
は、主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミニウムを主
成分とする金属を含浸して形成されたAl−SiC複合
本体部と、Al−SiC複合本体部の表面に形成された
アルミニウムを主成分とする金属からなるアルミニウム
被覆層から構成されている。この種のAl−SiC系複
合体からなる放熱部品の場合、含浸したアルミニウムを
主成分とする金属の初晶温度が所定の温度より低いと、
アルミニウム系ろう材を用いたDBA基板の接合時にA
l−SiC系複合体を構成するアルミニウムを主成分と
する金属が溶融し、その一部がAl−SiC系複合体の
表面に溶け出してくる。これにより、Al−SiC系複
合体内部の密度が低下し、気密性が保たれなくなるばか
りでなく、熱伝導率、曲げ強さ、ヤング率が低下する。
その結果、半導体チップから発生した熱の外部への放熱
が阻害され、半導体回路の誤動作や破壊を招く問題があ
る。
【0009】また、溶融温度を上昇させるために、合金
の添加の無い純アルミニウムを使用した場合、アルミニ
ウムの初晶温度と固相線温度との差が小さいためアルミ
ニウムを圧入し含浸させた後、Al−SiC系複合体の
アルミニウム被覆層表面に引け巣が発生しやすい。さら
に、Al−SiC系複合本体部とアルミニウム被覆層と
の境界部にクラックが発生しやすいという問題がある。
【0010】本発明は、これらの事情に鑑みなされたも
のであって、アルミニウム系ろう材を用いたDBA基板
の接合時にアルミニウムを主成分とする金属が溶融する
ことを抑えて、Al−SiC系複合体内部の気密性を保
ち、半導体チップから発生した熱を外部へ十分に発散で
き得る、またアルミニウムを主成分とする金属を圧入し
て含浸させた後の引け巣やクラックの発生を防止できる
Al−SiC系複合体および放熱部品を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のAl−SiC系
複合体は、主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミニウ
ムを主成分とする金属を含浸して形成されたAl−Si
C系複合体であって、該アルミニウムを主成分とする金
属の初晶温度が615℃以上であることを特徴とする。
【0012】前記本発明において、アルミニウムを主成
分とする金属の固相線温度が560℃以上であることが
望ましい。また、アルミニウムを主成分とする金属の初
晶温度と固相線温度の差が15℃以上であることが望ま
しい。また、Al−SiC系複合体中の炭化ケイ素の含
有量が40体積%以上であることが好ましい。さらに別
の本発明は、本発明のAl−SiC系複合体からなる放
熱部品およびこの放熱部品を具備する半導体モジュール
装置であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】主に炭化ケイ素からなる多孔体に
各種のアルミニウムを主成分とする金属を含浸させてA
l−SiC系複合体を作製して種々検討した結果、アル
ミニウムを主成分とする金属の初晶温度が615℃以上
の場合、アルミニウム系ろう材を用いたDBA基板の接
合時にアルミニウムを主成分とする金属が溶融せず、A
l−SiC系複合体の表面に溶け出すことを防ぐことが
できた。このため、Al−SiC系複合体内部の密度の
低下を生じず気密性を維持でき、Al−SiC系複合体
の熱伝導率、曲げ強さ、ヤング率の劣化も生じず、半導
体チップから発生した熱を外部へ十分に発散できる。ア
ルミニウムを主成分とする金属の初晶温度は615〜6
50℃がより好ましい。
【0014】また、アルミニウムを主成分とする金属の
固相線温度が560℃以上の場合、アルミニウム含浸後
のAl−SiC系複合本体部とアルミニウム被覆層との
境界部にクラックや、Al−SiC系複合体のアルミニ
ウム被覆層表面に引け巣が発生することを抑えることが
できる。より好ましいアルミニウムを主成分とする金属
の固相線温度は560〜600℃である。また、アルミ
ニウムを主成分とする金属の初晶温度と固相線温度の差
が15℃以上あれば、Al−SiC系複合本体部とアル
ミニウム被覆層との境界部のクラックや、アルミニウム
被覆層表面の引け巣の発生を防止するのにさらに効果が
ある。
【0015】また、セラミックス基板とAl−SiC系
複合体の熱膨張係数差が大きいと、はんだ接合面が剥離
するおそれがあるので、セラミックス基板の熱膨張係数
に近づけるため、Al−SiC系複合体中の炭化ケイ素
の含有量は40体積%以上が好ましく、50〜80体積
%がより好ましい。炭化ケイ素の含有量が40体積%未
満では熱膨張係数が大きくなり、80体積%を超えると
強度、破壊靭性が低下するとともに熱伝導率が低くなる
ので好ましくない。
【0016】(実施例1)本発明に係るAl−SiC系
複合体からなる放熱部品を次のように作製した。まず、
平均粒径60μm、純度98%以上の炭化ケイ素粉末に
結合剤、保形剤の溶媒を加え、これを攪拌機で混合して
炭化ケイ素のスラリーを得た。このスラリーを所望の形
状の金型に注入して成形後、冷却して脱型した。これを
乾燥して炭化ケイ素の多孔体を作製した。
【0017】ついで、炭化ケイ素の多孔体と型の内壁と
の間に所定の隙間を確保した状態で、炭化ケイ素の多孔
体を型内に装入した。そして、炭化ケイ素の多孔体を装
入した型内に加熱溶融したアルミニウムを圧入して含浸
させた。含浸完了、冷却後、型を解体し、炭化ケイ素の
含有量が50体積%のAl−SiC系複合体からなる板
状の放熱部品を作製した。
【0018】得られたAl−SiC系複合体は、炭化ケ
イ素の多孔体中にアルミニウムを含浸させる際に、炭化
ケイ素の多孔体と炭化ケイ素の多孔体を装入した型の内
壁との隙間に含浸アルミニウムの一部が通ることによ
り、Al−SiC系複合体の表面全体にわたって、含浸
したアルミニウムを主成分とする金属の豊富な被覆層が
形成された。被覆層の厚みは平均で50μmであり、A
l−SiC系複合体の表面には炭化ケイ素粉末の露出が
見られなかった。
【0019】このような放熱部品の作製において、含浸
したアルミニウムの種類が異なる本発明例と比較例の放
熱部品を作製した。本発明例1の含浸アルミニウムとし
て、Al−5.0Si−1.2Cu(初晶温度625
℃、固相線温度580℃)を用いた。また、比較例の含
浸アルミニウムとして、比較例1はAl−7.0Si−
0.3Mg(初晶温度610℃、固相線温度555
℃)、比較例2はAl−12.0Si(初晶温度585
℃、固相線温度575℃)を用いた。
【0020】これらのAl−SiC系複合体からなる放
熱部品を用いて、DBA基板をアルミニウム系ろう材で
ろう付けする温度(ろう付け温度590℃)まで昇温さ
せ一定の時間保持した後、冷却させた。その後、各Al
−SiC複合体の密度、熱伝導率、曲げ強さ(4点曲げ
試験)、ヤング率を測定した。表1にその測定結果を示
す。
【0021】 表1 密度 熱伝導率 曲げ強さ ヤング率 (g/cc) (W/mK) (MPa) (GPa) 本発明例1 2.98 190 420 200 比較例1 2.88 150 340 170 比較例2 2.80 130 300 150
【0022】表1から、本発明例1のAl−SiC系複
合体からなる放熱部品の場合、含浸したアルミニウムを
主成分とする金属の初晶温度が615℃以上であるた
め、アルミニウムを主成分とする金属が溶融せず、Al
−SiC系複合体の表面に溶け出すことがなく密度の低
下を生じなかった。このため、Al−SiC系複合体の
熱伝導率、曲げ強さ、ヤング率も高い値を維持できた。
一方、比較例1および比較例2はアルミニウムを主成分
とする金属が溶融して、Al−SiC系複合体の表面に
溶け出したため、密度が低下し、熱伝導率、曲げ強さ、
ヤング率のいずれも本発明例1より低下した。
【0023】(実施例2)また、前述の実施例1と同様
に、含浸したアルミニウムの種類が異なる本発明例と比
較例の放熱部品を複数個作製した。本発明例2の含浸ア
ルミニウムとして、Al−5.0Si−1.2Cu(初
晶温度625℃、固相線温度580℃)を用いた。ま
た、比較例3の含浸アルミニウムとして、純度が99.
7%以上の純Al(初晶温度657℃、固相線温度64
6℃)を用いた。
【0024】表2に本発明例および比較例のAl−Si
C系複合体を評価した結果を示す。表2において、「ク
ラック」は、含浸完了後のAl−SiC系複合本体部と
アルミニウム被覆層との境界部に発生したクラックの発
生率を表わす。「引け巣」は、Al−SiC系複合体の
アルミニウム被覆層表面に発生した引け巣の発生率を表
わす。
【0025】
【0026】表2から、本発明例2のAl−SiC系複
合体は、含浸させたアルミニウムを主成分とする金属の
固相線温度が560℃以上であり、初晶温度と固相線温
度との差が15℃以上ある。このため、含浸完了後のA
l−SiC系複合本体部とアルミニウム被覆層との境界
部にクラックが発生せず、またAl−SiC系複合体の
アルミニウム被覆層表面に引け巣が見られなかった。比
較例3ではアルミニウムの初晶温度と固相線温度との差
が11℃と小さいため、クラックや引け巣が見られた。
【0027】
【発明の効果】本発明のAl−SiC系複合体によれ
ば、アルミニウム系ろう材を用いたDBA基板の接合時
にアルミニウムを主成分とする金属が溶融することを抑
えて、Al−SiC系複合体内部の気密性を保ち、半導
体チップから発生した熱を外部へ十分に発散でき得る、
またアルミニウムを主成分とする金属を圧入して含浸さ
せた後の引け巣やクラックの発生を防止できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主に炭化ケイ素からなる多孔体にアルミ
    ニウムを主成分とする金属を含浸して形成されたAl−
    SiC系複合体であって、該アルミニウムを主成分とす
    る金属の初晶温度が615℃以上であることを特徴とす
    るAl−SiC系複合体。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウムを主成分とする金属の
    固相線温度が560℃以上であることを特徴とする請求
    項1に記載のAl−SiC系複合体。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウムを主成分とする金属の
    初晶温度と固相線温度の差が15℃以上であることを特
    徴とする請求項1または2に記載のAl−SiC系複合
    体。
  4. 【請求項4】 Al−SiC系複合体中の炭化ケイ素の
    含有量が40体積%以上であることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載のAl−SiC系複合体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のAl−
    SiC系複合体からなることを特徴とする放熱部品。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の放熱部品を具備するこ
    とを特徴とする半導体モジュール装置。
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