JP2003306829A - ポリエステル斑糸 - Google Patents

ポリエステル斑糸

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JP2003306829A JP2002108009A JP2002108009A JP2003306829A JP 2003306829 A JP2003306829 A JP 2003306829A JP 2002108009 A JP2002108009 A JP 2002108009A JP 2002108009 A JP2002108009 A JP 2002108009A JP 2003306829 A JP2003306829 A JP 2003306829A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたスパナイズ外観およびドライ感を布帛
で発現し、かつ製織工程通過性に優れたポリエステル斑
糸を提供する。 【解決手段】 長さ方向に太細がある単繊維を含むマル
チフィラメント糸条において、該糸条が下記(1)〜
(2)の条件を満足することを特徴とするポリエステル
斑糸による。 (1)ノーマルテストで得られるスペクトログラフ上
に、周期4〜10cmと周期50〜150cmにそれぞ
れピーク値(Pmax1、Pmax2)が存在し、且つ
そのピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5〜
4.0である。 (2)熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)が、
80〜200℃の間で温度上昇とともに増大し、かつ8
0〜100℃において、各々10cN/dtex以下お
よび0.5%以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル斑糸
に関するものである。さらに詳しくは、優れたスパナイ
ズ外観およびドライ感を布帛で発現し、かつ製織工程通
過性に優れたポリエステル斑糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルはその優れた特性を生かし
衣料用布帛素材として広く使用されている。近年、衣生
活の多様化、高級化、個性化と共に、天然繊維が持つ繊
維物性の不規則性によりもたらされる色相、色明度の変
化、あるいは複雑な繊維構造によりもたらされる様々な
触感をポリエステルで発現する試みがなされている。
【0003】例えば、ポリエステル未延伸糸を不完全に
延伸したポリエステル斑糸は、その布帛において、綿布
帛に似たサラットした手触り(以下ドライ感と称する)
および適度に分散したカスリ状の濃淡筋(以下スパナイ
ズ外観と称する)とを表現することができるので、従来
多くのポリエステル斑糸が提案されている(特公昭51
−7207号、特開昭58−70711号など)。これ
らの斑糸は、斑が強調されればされるほど、スパナイズ
外観およびドライ感は強く発現してくるが、あまりにも
この斑を強調しすぎると天然繊維素材にみられるナチュ
ラル感が損なわれたり、低配向の未延伸部残存が多くな
り製織工程での取り扱い性や繊維の力学的特性が低下す
るという問題が発生する。
【0004】特公平3−77304号公報には、太繊度
部が特殊な分散状態、すなわち、糸条としてノーマルテ
ストで得られるスペクトログラフ上の周期50cmの値
が最大値の1/2以下である斑糸が、力学的特性および
取り扱い性に優れたポリエステル斑糸として開示されて
いる。確かに、このポリエステル斑糸の力学的特性は通
常のポリエステル斑糸に比較し改善されており、その取
扱い性も向上しているが、太繊度部の分布を特定範囲に
規定しているため、スパナイズ外観およびドライ感をよ
り高めることが出来ないという問題がある。また、この
ポリエステル斑糸は、製織前に撚止めセット等、比較的
低い温度(80〜100℃)で熱処理を受けると、太繊
度部と細繊度部の熱収縮斑が強く発現してしまい、単繊
維が乱れたマルチフィラメント構造となり、以降の取り
扱い性(すなわち製織工程通過性)が悪くなるという問
題が残っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術を背景になされたもので、その目的は、優れたスパナ
イズ外観およびドライ感を布帛で発現し、かつ製織工程
通過性に優れたポリエステル斑糸を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、上記課題は、長
さ方向に太細がある単繊維を含むマルチフィラメント糸
条において、該糸条が下記(1)〜(2)の条件を満足
することを特徴とするポリエステル斑糸により達成され
ることが見出された。
【0007】(1)ノーマルテストで得られるスペクト
ログラフ上に、周期4〜10cmと周期50〜150c
mにそれぞれピーク値(Pmax1、Pmax2)が存
在し、且つそのピーク値比(Pmax1/Pmax2)
が1.5〜4.0である。
【0008】(2)熱収縮応力および熱収縮率の標準偏
差(σ)が、80〜200℃の間で温度上昇とともに増
大し、かつ80〜100℃において、各々10cN/d
tex以下および0.5%以下である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態について詳
細に説明する。本発明におけるポリエステルは、エチレ
ンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート又はテ
トラメチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とする
ポリエステルを主たる対象とするが、なかでもポリエチ
レンテレフタレートが好ましい。かかるポリエステルに
は、必要に応じて第3成分を少量(通常は全繰返し単位
を基準として15モル%以下、好ましくは10モル%以
下、特に好ましくは5モル%以下)共重合してもよい。
かかるポリエステルの固有粘度(35℃のオルソ−クロ
ロフェノール溶液を溶媒として使用し算出)は、通常衣
料用布帛素材として使用されるポリエステルと同じ程度
の固有粘度で、ポリエチレンテレフタレートの場合は
0.45〜0.70、ポリトリメチレンテレフタレート
およびポリテトラメチレンテレフタレートの場合は0.
7〜1.5の範囲が適当である。また、艶消剤、その他
の添加剤を含有していてもよい。なかでも、後述の如
く、アルカリ減量処理することによって、繊維表面又は
繊維内部に、微細孔又は微細溝を形成する性能を有する
微細孔形成剤を含有している場合には、該孔又は溝の形
状によって、吸水性、天然絹様風合、鮮明性、ドライタ
ッチ等の各種効果を発現させることができるので好まし
い。
【0010】本発明のポリエステル糸は繊維軸方向に次
のような太細斑分布を有している。すなわち、ノーマル
テストで得られるスペクトログラフ上に、周期4〜10
cmと周期50〜150cmにそれぞれピーク値(Pm
ax1、Pmax2)が存在し、且つそのピーク値比
(Pmax1/Pmax2)が1.5〜4.0である。
【0011】本発明でいうスペクトログラフとは、スイ
スのツエルベーガ社で開発されたウスタースペクトログ
ラフのことであり、斑内容の迅速な分析を可能とするも
ので、特に斑のピッチを知るのに有用である(その詳細
は繊維機械学会発行の「むらの理論と実際」第255頁
〜第372頁に詳述されている)。測定条件はノーマル
テストとし、測定速度は400m/分とした。
【0012】本発明の斑糸と従来の斑糸のスペクトログ
ラフの例を図1及び図2に示し、図をもって詳細に説明
する。ここで図1は後記する本発明実施例1で得た斑糸
のスペクトログタフであり、一方図2は従来の斑糸のス
ペクトログラフである。図1と図2とを比較すると、ピ
ークの数に特徴的な差があることがわかる。つまり、本
発明の斑糸は、斑の周期が50〜150cmの長い部分
と4〜10cmの短い部分との2箇所に極大値が存在す
るように斑が分散しているので、従来の長周期領域に極
大値が存在しない斑糸と比較してよりナチュラルなスパ
ナイズ外観を呈する。
【0013】すなわち、本発明のポリエステル斑糸は、
「ノーマルテストで得られるスペクトログラフ上に、周
期4〜10cm、好ましくは5〜8cmと、周期50〜
150cm、好ましくは80〜120cmの範囲に、そ
れぞれピーク値(Pmax1、Pmax2)が存在し、
且つそのピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.
5〜4.0、好ましくは1.5〜2.0である」特性を
有していることが肝要である。
【0014】該ピーク値が一つしかなかったり、あるい
は、ピーク値の位置が前記範囲外であったり、さらに
は、ピーク値比(Pmax1/Pmax2)が前記範囲
を外れる場合には、太繊度部のランダム分散性が低下
し、ドライ感やスパナイズ外観が乏しくなる。
【0015】次に、本発明のポリエステル斑糸は、「熱
収縮応力が、80〜200℃の間で温度上昇とともに増
大し、かつ80〜100℃において10cN/dtex
以下、より好ましくは8cN/dtex以下であり」ま
た「熱収縮率の標準偏差(σ)が、80〜200℃の間
で温度上昇とともに増大し、かつ80〜100℃におい
て0.5%以下、より好ましくは0.4%以下」である
特性を有していることが肝要である。
【0016】通常、ポリエステル斑糸は撚糸後80〜1
00℃で撚り止めセットが行われる。80〜100℃に
おける熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)が、
各々10cN/dtex以下および0.5%以下である
本発明のポリエステル斑糸は、80〜100℃の撚り止
めセットにおいては、太繊度部と細繊度部の熱収縮斑の
発現が少なく、撚り止めセット後も、単糸の乱れが起こ
ることが無く安定したマルチフィラメント構造を維持し
ている。このような乱れの無いマルチフィラメント構造
は、以降の整経、製織工程で安定した工程通過性を示
す。一方80〜100℃における熱収縮応力平均が10
cN/dtexを超えるあるいは熱収縮率の標準偏差
(σ)が0.5%を超えるポリエステル斑糸では、80
〜100℃の撚り止めセットにおいて、太繊度部と細繊
度部の熱収縮斑が顕著に発現し、単糸が乱れたマルチフ
ィラメント構造となり、製織工程の通過性が著しく悪く
なる。
【0017】さらに、本発明のポリエステル斑糸の熱収
縮応力平均および熱収縮率の標準偏差(σ)は、80〜
200℃の範囲で温度上昇と共に大きくなる特性を有し
ているので、製織後の精練、染色、仕上げ工程におい
て、より高い温度で熱処理が行われると、太繊度部と細
繊度部の熱収縮斑が強く発現し、布帛でスパナイズ外観
とドライ感とが発現するようになる。一方該熱収縮応力
平均値が温度上昇と共に大きくならないあるいは80〜
200℃の間で熱収縮応力がピーク値を示す場合、ある
いは、該熱収縮率の標準偏差(σ)が、温度上昇と共に
大きくならないあるいは80〜200℃の間で熱収縮率
の標準偏差(σ)がピーク値を示す場合は、撚り止めセ
ット等比較的低温熱処理(80〜100℃)の段階で、
繊維軸方向の太繊度部と細繊度部との熱収縮斑が強く発
現してしまい、精練、染色加工処理工程等でのスパナイ
ズ外感およびドライ感の発現効果が少なくなる場合が多
くなる。
【0018】かくして、本発明のポリエステル斑糸は、
製織前の比較的低温(80〜100℃)での熱処理工程
では太、繊度部と細繊度部との熱収縮挙動が小さく、製
織工程での通過性が良好であり、精練、染色加工処理工
程で太細斑が強く発現し、優れたスパナイズ外観および
ドライ感の布帛となすことができる。
【0019】また、より優れたドライ感を布帛で発現す
るために、布帛のアルカリ処理が行われる。この際、繊
維表面又は繊維内部に、微細孔又は微細溝を形成させる
微細孔形成剤をポリエステルに含有させれば、該孔又は
溝の形状によって、ドライ感のみならず吸水性、天然絹
様風合、鮮明性、等の各種効果を発現させることができ
るので好ましい。例えば、該微細孔形成剤として下記一
般式(I)で表わされるスルホン酸金属塩を含有してい
る場合には、ドライ感が向上して綿に類似した性能を得
ることができる。
【0020】
【化2】
【0021】式中、M及びM′は金属であり、アルカリ
金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛が
好ましく、M及びM′は同一でも異なっていてもよい。
Rは水素原子又はエステル形成性官能基であり、nは1
又は2を示す。
【0022】かかるスルホン酸金属塩は、例えば特公昭
61−31231号公報にあげられているものが好まし
く用いられ、具体的には3−カルボメトキシベンゼンス
ルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸ナトリウム、3−
ヒドロキシエトキシカルボニルベンゼンスルホン酸ナト
リウム−5−カルボン酸1/2マグネシウムをあげるこ
とができる。
【0023】上記スルホン酸金属塩のポリエステルへの
添加時期は、ポリエステルを溶融紡糸する以前の任意の
段階でよく、例えばポリエステルの原料中に添加配合し
ても、ポリエステルの合成中に添加してもよい。また、
上記化合物の添加量は、少ないと最終的に得られるポリ
エステル繊維の綿様風合が低下し、一方多いと紡糸時に
トラブルを発生しやすくなるので、ポリエステル重量を
基準として0.5〜2.5重量%、特に0.6〜1.2
重量%の範囲が適当である。
【0024】本発明の斑糸の見かけ単繊維繊度(太細を
長さ方向に平均したもの)や糸条としての総繊度は特に
限定されるものではないが、単繊維繊度としては1.5
〜5.0dtex、総繊度としては40〜170dte
xの範囲が適当である。
【0025】斑糸の単繊維の横断面形状については特に
限定する必要はないが、三角断面とするとよりドライ感
やスパナイズ外観が向上するので好ましい。
【0026】また、本発明の斑糸の熱水(100℃)収
縮率は4〜10%、より好ましくは5〜8%であること
が、精練、染色工程で布帛の収縮を制御する上で好まし
い。
【0027】本発明のポリエステル斑糸は例えば、次の
方法で製造することができる。すなわち、ペレット状と
なした前述のポリエステル(好ましくは微細孔形成剤を
含有したポリエステル)を常法で乾燥し、スクリュウ押
出機を備えた溶融紡糸設備に導入し、溶融混練し、紡糸
口金から溶融吐出し、冷却固化した紡出糸条に油剤を付
与し、ポリエステルのガラス転移点付近の温度に設定し
た予熱ローラーで紡糸引き取りしつつ延伸ローラーを介
して低倍率で延伸し、半延伸糸として巻き取る(予熱ロ
ーラー引取速度:1500〜2500m/分、延伸倍
率:1.1〜1.5、が望ましい条件)。
【0028】本発明においては、紡糸油剤付着前の紡出
糸条にかかる紡糸張力を0.1〜0.3cN/dte
x、より好ましくは0.1〜0.2cN/dtexの範
囲とすることが大切である。紡糸張力が0.1cN/d
tex未満の場合は、紡出糸条の冷却斑が発生したり、
自然延伸比近傍で延伸後のポリエステル斑糸のスペクト
ログラフ上の周期50〜150cmにピーク値が発現し
ないことが多い。紡糸張力が0.3cN/dtexを超
える場合は、平坦なスペクトログラフとなり、ピーク値
比(Pmax1/Pmax2)が1.5未満となること
が多い。なお、紡糸張力は、糸条を集束する位置(集束
距離:紡糸口金面から集束装置までの距離)を変えるこ
とによって調整する。メタリングノズル式の給油集束装
置は、油剤付与と集束を同時に行うことができるので,
好ましく用いられる。
【0029】次に、本発明においては、油剤付与後、3
〜6個の空気噴射孔を有するインターレースノズルを用
いて、ノズル圧空圧力を0.1〜0.3MPaの範囲に
設定し、走行糸条に交絡を付与することが大切である。
インターレースノズルの空気噴射孔が1〜2個の場合
は、糸条交絡部長さが長くなり、全単糸にわたる強い交
絡が発現しやすい。これを自然延伸比近傍で延伸する
と、100℃付近に熱収縮応力あるいは熱収縮率の標準
偏差(σ)のピークが出現することが多くなる。また比
較的太繊度部が長くなり、前述のスペクトログラフ上の
ピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5未満と
なることが多い。一方、空気噴射孔数が7個以上の場合
は、80〜100℃における熱収縮応力および熱収縮率
の標準偏差(σ)が、各々10cN/dtexおよび
0.5%を超えることが多くなる。また、糸条交絡が細
かくなりすぎ、スペクトログラフ上のPmax1および
Pmax2値が短周期方向にずれて、4cm未満および
50cm未満の位置に出現することが多くなる。
【0030】また、ノズル圧空圧力が0.1MPa未満
の場合は、スペクトログラフ上のピーク値比(Pmax
1/Pmax2)が1.5未満となることが多い。一
方、ノズル圧空圧力が4.0MPaを超える場合は、ス
ペクトログラフ上のピーク値比(Pmax1/Pmax
2)が4.0を超えることが多くなる。
【0031】得られた半延伸糸は、更に、60〜90℃
に加熱した予熱ローラーおよび170〜240℃に設定
した非接触ヒーターを経て、1.1〜1.5倍の延伸倍
率で延伸(延伸速度500〜1400m/min)し、
20%以下、より好ましくは1〜10%のオーバーフィ
ードを掛けながら接触式ヒーター160〜180℃にて
熱セットし、ポリエステル斑糸として巻き取る。
【0032】この時、オーバーフィード率が20%を超
えると、熱セット斑が起こりやすくなったり、熱収縮応
力および熱収縮率の標準偏差(σ)が温度上昇と共に大
きくならないことが多くなる。オーバーフィード率が1
%未満の場合は、80〜100℃における熱収縮応力お
よび熱収縮率の標準偏差(σ)が、各々10cN/dt
exおよび0.5%を超えることが多くなる。また、熱
水(100℃)収縮率が10%を超えることが多くな
る。
【0033】かくして得られた本発明のポリエステル斑
糸は、必要に応じて適度な撚りを施し撚り止めセットし
た後、ウォータージェットルーム等高速で製織すること
ができる。得られた布帛は、必要に応じてアルカリ減量
処理を施し、染色、仕上げされ優れたスパナイズ外観と
ドライ感とを備えたものとなる。
【0034】なお、本発明においては、スパナイズ外観
およびドライ感を意図しているので、複雑な組織に製織
するのは好ましくなく、平織もしくはその変化組織、簡
単な綾織もしくはその変化組織、サテン織等に製織する
のが好ましい。また、布帛中に占める本発明の斑糸の割
合は、必ずしも100%である必要はないが、優れたス
パナイズ外観とドライ感とを発現するためにはその割合
が多いほど好ましい。
【0035】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に具体的に
説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測
定した。 (1)固有粘度 オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測
定した。 (2)スペクトログラフ(Pmax1、Pmax2) スイスツエルベーガ社のウスタースペクトログラフに
て、測定モード:ノーマルテスト、測定速度:400m
/分でポリエステル糸のスペクトログラフを記録し、周
期4〜10cmと周期50〜150cmとのピーク値を
各々Pmax1およびPmax2とした。 (3)熱収縮応力 試料繊維をサンプリング治具を用いて5cmの輪をと
し、熱応力測定器の上部と下部のフックに掛けて2.9
4mN×表示テックス(1/30gf×表示デニール)
の初荷重を掛け、一定温度にて熱応力を測定した。測定
は3回行い、その平均の値を使用した。測定温度は80
℃、100℃、150℃、200℃とした。 (4)熱収縮率 東レエンジニアリング(株)熱収縮斑システムFTA−
500を用い、試料繊維を糸速度5m/分でフィードロ
ーラーから供給し、走行糸条の張力が0.5gの定荷重
(一定張力)となるようにドローローラー速度を制御
し、該速度を2分間連続して測定し、一定温度に設定さ
れた長さ20cm加熱域中を通過させ、ドローローラー
で引き取った。これらのローラーの速度差から試料繊維
の収縮率を計算した。この測定を10回繰り返し、その
標準偏差(σ)を計算した。測定温度は80℃、100
℃、150℃、200℃とした。 (5)製織性 各実施例、比較例で得られたポリエステル斑糸に100
0回/mのS撚を掛けた後、80℃で撚り止めセットを
行い、該撚糸糸の経糸、緯糸使いとして、ウォータージ
ェットルームで下記条件で製織を実施し、糸要因による
停台回数(回/台・日)を調査した。 織組織: 幅1.3mの平織(経糸34本/cm、緯糸
31本/cm) 緯糸打ち込み速度: 500rpm (6)ドライ感、スパナイズ外観 上記(4)で製織した生機を、ボイルオフ(98℃、1
0sec)、リラックス(120℃、20min)、プ
レセット(190℃、60sec)、アルカリ減量(減
量率15%)、染色(染料:カヤロンポリエステルネイ
ビーブルー2GN−SF200(日本化薬社製)、13
0℃、20min)および仕上げ(170℃、60se
c)処理を行い風合い評価用の織物を得た。該織物を検
査員が目視および触感にてスパナイズ外観およびドライ
感を下記基準で格付けした。 (スパナイズ外観) レベル1: 適度に分散し、ナチュラルなカスリ状の濃
淡筋が認められる。 レベル2: カスリ状の濃淡筋の分散にやや偏りがある
が、全体として満足できるカスリ状濃淡筋となってい
る。 レベル3: 一面に短すぎる濃淡筋あるいは長すぎる濃
淡筋が認められる。あるいは明瞭な濃淡筋が認められな
い。 (ドライ観) レベル1: 綿布帛に似たサラットした手触りが感じら
れる。 レベル2: サラットした感覚がやや弱く感じられる。 レベル3: プラスチックライクなプレーンな感触であ
る。 (7)熱水(100℃)収縮率 JIS L1013にしたがって測定した。
【0036】[実施例1]テレフタル酸ジメチル197
部、エチレングリコール124部、3―カルボメトキシ
・ベンゼンスルホン酸Na―5―カルボン酸Na4部
(テレフタル酸ジメチルに対して1.3モル%)、酢酸
カルシウム1水塩0.118部を精溜塔付ガラスフラス
コに入れ、常法にしたがってエステル交換反応を行い、
理論量のメタノールが留出した後反応生成物を精溜塔付
重縮合用フラスコに入れ、安定剤としてトリメチルホス
フェート0.112部及び重縮合触媒として酸化アンチ
モン0.079部を加え、温度280℃で、常圧下20
分、30mmHgの減圧下15分反応させた後高真空下
で80分間反応させた。最終内圧は0.38mmHgで
あり、得られた変性ポリマーの固有粘度は0.640,
軟化点は258℃であった。反応終了後変性ポリマーを
常法にしたがいペレット化した。
【0037】得られたペレットを常法にしたがい乾燥し
て紡糸口金から溶融吐出し、該吐出糸条を冷却固化させ
た後に、紡糸張力が0.13cN/dtexとなるよう
にメタリングノズル位置で集束距離を調整し、該メタリ
ングノズルで油剤を付与し、0.15MPaで圧空が噴
射している噴射孔が3個のインターレースノズルを通
し、60℃に設定した回転ローラーで2250m/分の
速度で引取り、3030m/分の速度で半延伸し(延伸
倍率1.35)巻き取った。得られた半延伸糸を、予熱
ローラー温度70℃、熱セットヒーター(非接触式)温
度200℃、延伸倍率1.4倍、延伸速度800m/分
で延伸した後、2%のオーバーフィードをかけつつ、1
75℃に設定した熱セットヒーター(接触式)で熱セッ
トして巻き取り、表1に示す物性のポリエステル斑糸
(120デシテックス/36フィラメント)を得た。
【0038】
【表1】
【0039】得られたポリエステル斑糸を前述の方法で
製織およびスパナイズ外観、ドライ感の評価を実施し
た。表2から明らかな如く、製織工程では極めて安定し
た通過性に示し、布帛は優れたスパナイズ外観およびド
ライ感を呈していた。
【0040】
【表2】
【0041】[実施例2、比較例1〜2]ノズル圧空圧
力を表3の如く変更した以外は、実施例1と同じ方法、
条件でポリエステル斑糸を得た(表1に各々の物性を示
す)。
【0042】
【表3】
【0043】得られたポリエステル斑糸を前述の方法で
製織およびスパナイズ外観、ドライ感の評価を実施し、
各々表2に示す結果を得た。
【0044】[比較例3]紡糸張力を0.08cN/d
texに調整することおよび空気噴射孔が2個のインタ
ーレースノズルを使用すること以外は実施例1と同じ方
法、条件でポリエステル半延伸糸を得た。該半延伸糸
を、実施例1と同じ方法、条件で延伸し、熱セットヒー
ター(接触式)での熱セットを行うことなく、ポリエス
テル斑糸とした(表1に物性を示す)。得られたポリエ
ステル斑糸を前述の方法で製織およびスパナイズ外観、
ドライ感の評価を実施し表2に示す結果を得た。
【0045】[比較例4]紡糸張力を0.4cN/dt
exに調整することおよび空気噴射孔が7個のインター
レースノズルを使用すること以外は実施例1と同じ方
法、条件でポリエステル斑糸を得た(表1に物性を示
す)。得られたポリエステル斑糸を前述の方法で製織お
よびスパナイズ外観、ドライ感の評価を実施し表2に示
す結果を得た。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、製織性を損ねること無
く、優れたスパナイズ外観およびドライ感を有するポリ
エステル布帛を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル斑糸のスペクトログラフ
の1例を示す図。
【図2】従来のポリエステル斑糸のスペクトログラフの
1例を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長棟 恵示 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式会 社松山事業所内 (72)発明者 逢坂 浩幸 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式会 社松山事業所内 Fターム(参考) 4L035 BB33 BB61 BB89 BB91 DD07 DD12 EE01 JJ15 KK05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長さ方向に太細がある単繊維を含むマル
    チフィラメント糸条において、該糸条が下記(1)〜
    (2)の条件を満足することを特徴とするポリエステル
    斑糸。 (1)ノーマルテストで得られるスペクトログラフ上
    に、周期4〜10cmと周期50〜150cmにそれぞ
    れピーク値(Pmax1、Pmax2)が存在し、且つ
    そのピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5〜
    4.0である。 (2)熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)が、
    80〜200℃の間で温度上昇とともに増大し、かつ8
    0〜100℃において各々10cN/dtex以下およ
    び0.5%以下である。
  2. 【請求項2】 ポリエステル中に微細孔形成剤を含有す
    る請求項1記載のポリエステル斑糸。
  3. 【請求項3】微細孔形成剤が下記一般式で表される金属
    塩化合物である請求項1〜2のいずれか1項に記載のポ
    リエステル斑糸。 【化1】 [式中、M及びM′は金属、Rは水素原子又はエステル
    形成性官能基、nは1又は2を示す]。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011144475A (ja) * 2010-01-14 2011-07-28 Teijin Fibers Ltd 細繊度ポリエステル斑糸

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