JP2003309331A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
晶成長技術を実現し、半導体装置の寿命又はこの動作に
係るキャリアの寿命もしくは移動度を当該半導体装置の
実用化に十分な値に改善する。 【解決手段】 基板上に一部窓明けすることにより基板
を露出させた非晶質構造を有する絶縁体を形成する。窓
明けにより露出した基板上と絶縁体上に、構成元素とし
て少なくとも窒素を含む化合物半導体を積層して半導体
材料を形成する。半導体材料又は半導体材料上に更に半
導体材料を積層した半導体材料を加工して半導体装置を
形成する。
Description
In,Tlなる所謂III 族元素の少なくとも1種とN,
P,As,Sb,Biなる所謂V族元素の少なくとも1
種から構成されるIII −V族化合物半導体の結晶成長に
係わり、特に六方晶系(hexagonal system)の構造を有す
る結晶又はV族元素としてN(窒素)を含むことが要請
されるIII−V族化合物(以下、窒化物半導体)の結晶
を形成するに望ましい結晶成長技術に関する。また本発
明は、六方晶系構造を有する結晶又は窒化物半導体から
なる半導体装置に係り、紫外光に至る波長での発光に適
し又は光情報処理或は光応用計測光源に適する半導体発
光素子や半導体レーザ素子に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、GaInN/GaN/AlGaN
材料を用いて青色波長領域の発光を行うダイオードやレ
ーザ素子に関する報告が、アプライド・フィジックス・
レター誌第64巻(1994 年3 月)、1687-1689 頁(Appl.Ph
ys.Lett.,Vol.64(1994),pp.1687-1689 )(記事1)
並びに同誌第67巻(1995 年9 月)、1868-1870頁(Appl.P
hys.Lett.,Vol.67(1995),pp.1868-1870 )(記事
2)、及びジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライ
ド・フィジックス誌第34巻7A号(1995 年7 月)、L797-L7
99 頁(Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.34(1995),pp.L797-L79
9)(記事3)、同誌第34巻10B 号(1995 年10月)、L133
2-L1335 頁(Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.34(1995),pp.L13
32-L1335)(記事4)並びに同誌第34巻11B 号(1995 年
11月)、L1517-L1519 頁(Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.34(19
95),pp.L1517-L1519)(記事5)に掲載されている。 【0003】この記事1乃至5に開示された半導体装置
に共通することは、サファイア(Al2O3)基板上に上
述の窒化物半導体からなるバッファ層を形成し、更にそ
の上に窒化物半導体層が積層されていることである。こ
のような構造は、特開平4−297023号公報(並び
にその分割出願たる特開平7−312350号公報とそ
の対応米国出願たる米国特許5,290,393号公
報)及び特開平4−321280号公報に開示されてい
る。特開平4−297023号公報が教示するところに
よれば、サファイア基板上にGaxAl1−xN(0≦
x≦1)なる第1の窒化物半導体層をこれらの融点より
低温の300〜700℃で形成すると、多結晶層が得ら
れる。この多結晶層上に1000〜1050℃の温度で
第2の窒化物半導体層を成長させると、第2の窒化物半
導体層は第1の窒化物半導体層を構成するグレイン(結
晶粒)を核にエピタキシャル成長するというものであ
る。その結果、サファイア基板上に表面状態の良い窒化
物半導体のエピタキシャル膜を形成できるため、上述の
多結晶層を半導体装置形成のためのバッファ層として利
用することが提案されている。 【0004】ところで上述の窒化物半導体からなる半導
体装置がサファイア基板上に形成される理由は、その結
晶構造がGaAs等(閃亜鉛鉱型の立方晶系構造を有す
る)と異なり、六方最密充填構造(六方硫化亜鉛又はウ
ルツ鉱構造とも呼ばれる)であることが特公平6−10
1587号公報に開示されている。しかし、この公報に
よれば、GaNとサファイアとの格子定数差が約14%
と大きいため、サファイア基板上に形成される窒化物半
導体層には転位等の格子欠陥が生じ、これにより窒化物
半導体層に形成される不飽和結合がドナ・レベルを形成
したり又はドナとなる不純物元素を吸収することで、こ
の窒化物半導体層をn型とし、またはこの窒化物半導体
層に注入されるキャリアの寿命を縮める問題が生じてい
る。この公報は、この問題を解決すべく基板としてキュ
ービック・スピネル型結晶構造のMgAl2O4やNaC
l型結晶構造のMgO等を基板に採用し、その基板上に
窒化物半導体層を格子整合させて形成する技術を開示す
る。この技術を応用した半導体レーザは、アプライド・
フィジックス・レター誌第68巻(1996 年4 月)、2105-21
07 頁(Appl.Phys.Lett.,Vol.68(1996),pp.2105-210
7)(記事6)にて報告されている。 【0005】上記従来技術によれば、六方晶系(hexago
nal system)の結晶構造を有するIII −V族化合物半導
体又はV族元素としてN(窒素)を含むことが要請され
る所謂窒化物半導体からなる半導体装置の実現性を教示
しているが、その実用性を保証するデータ(例えば、レ
ーザ素子における連続発振時間)は十分とはいえない。
特に、窒化物半導体層に発生する欠陥の密度は、本発明
者らによる追試で10 11cm-2と高く、少なくとも10
00時間連続して発振できるレーザ素子をこの条件で実
現するのは不可能であると判断した。 【0006】最近Cree Research,Inc.とNorth Americ
a Phillips社との共同研究により、基板にSiC結晶を
採用することで、この上に形成される窒化物半導体層の
格子欠陥密度を108cm-2迄低減し、従来に比べて輝
度の高い青色半導体レーザ素子が実現できたことが、日
経エレクトロニクス誌1995年12月4日号(第65
0号)第7頁(NIKKEI ELECTRONICS 1995.12.4 (no.65
0),pp.7)(記事7)に報告されている。しかし記事7
によれば、窒化物半導体層の欠陥密度はレーザ素子の長
寿命化には十分でなく、また欠陥密度低減にはSiC基
板の結晶の欠陥密度(現在、104cm-2)を低減するこ
とが不可欠とされる。従って、窒化物半導体層をSiC
基板上に形成して半導体レーザを形成する場合、長寿命
化のためには窒化物半導体層の成長のみならずSiC基
板の品質向上も不可欠となり、開発コストの上昇も予想
される。 【0007】また、これまで紹介した記事や公報は、発
光活性層や光導波層に対して用いる窒化物系材料の構成
について言及しているが、さらに半導体レーザの横モー
ドを制御するための導波路や活性層形状に関しては言及
していない。従って、このような導波路構造に適した結
晶欠陥密度の低減手法や導波路の特に活性層近傍におけ
る光損失の低減手法はいずれの記事又は公報においても
説明されていない。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、六方晶系(hexagonal system)の結晶構造を有する
III −V族化合物半導体又はV族元素としてN(窒素)
を含むことが要請される所謂窒化物半導体からなる半導
体層を極めて低い欠陥密度で形成する結晶成長技術の実
現にある。「極めて低い欠陥密度」とは、上述のSiC
基板を採用した技術でも打破することが難しい107c
m-2のオーダ又はそれ以下の欠陥密度を指す。この結晶
成長技術は、作製される半導体層の欠陥密度を一様に低
減する技術のみならず、所望の領域のみの欠陥密度を低
減する所謂選択的な結晶成長についても検討の対象とす
る。 【0009】また本発明の第2の目的は、上述の結晶成
長技術を応用して作製される半導体装置の寿命又はこの
動作に係るキャリアの寿命もしくは移動度(mobility)
を当該半導体装置の実用化に十分な値に改善することに
ある。特に発光素子やレーザ素子の例においては、上述
の選択的な結晶成長方法に基づく導波路や活性層の形状
制御や、光損失を低減するに好適な光導波路の構成、及
びレーザ素子における平坦又は平滑な活性層から量子効
率の高い誘導放出光を取り出すに好適な構成を規定する
ことにある。即ち、本発明の第2の目的の一局面が目指
す技術は、青紫色波長領域において基本横モードを安定
に導波でき、低閾値かつ高効率で動作するレーザ素子を
実現するに好適な導波路や活性層構造を規定することに
ある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、構成元
素として少なくとも窒素を含む化合物半導体の結晶から
なる第1の領域と非晶質構造の絶縁体からなる第2の領
域を有し、上記第1の領域の少なくとも一部は上記第2
の領域上に成長されている半導体材料にある。本発明者
の一人は、本出願の優先権主張の基礎となる特願平7−
238142号の明細書において、次のような半導体レ
ーザ素子を提案している。その一例を図1を参照して説
明すると、(0001)C 面を有するサファイア(α−Al2
O3)の単結晶基板1上に、第1の窒化物半導体層(G
aNバッファ層2,n型GaN光導波層3)を結晶成長
させ、次に第1の窒化物半導体層上に設けた絶縁膜マス
ク4を形成する。この絶縁膜マスク4には四角形窓領域
の周期的なパターンが設けられ、この窓領域では第1の
窒化物半導体層の上面(n型GaN光導波層3の上面)
が露出している。この状態で絶縁膜4上(窓領域では第
1の窒化物半導体層上)に、第2の窒化物半導体層(n
型GaN光導波層5)が選択成長される。なお、図1B
は絶縁膜マスク4の平面を、図1Aは、図1BのA−
A’断面を示す。 【0011】即ち、本発明者の一人が提案する半導体レ
ーザ素子は、第2の窒化物半導体層の結晶成長の核生成
領域を上述の窓領域から露出するn型GaN光導波層3
の表面に限定して、その3次元的な生成密度を高めるこ
とで、第2の窒化物半導体層をまず窓領域を埋めるよう
に成長させ、その成長表面が絶縁膜4上面に達した段階
で絶縁膜4上での成長を開始させるところに特徴を有す
る。第2の窒化物半導体層は、個々の窓領域から突出し
た部分の表面が絶縁膜4上面に対して平行方向並びに垂
直方向に延伸するように成長するため、窓領域を略同一
の面積で且つ周期的に(或いは略等間隔で)設けると、
隣接し合う窓領域から夫々延伸してきた結晶層が略同時
に絶縁膜4上で合体する。これにより、第2の窒化物半
導体層を平坦な成長面を有する結晶層として絶縁膜4上
に形成し、また絶縁膜マスクを用いない通常のバルク成
長に比べて第2の窒化物半導体層の結晶粒界や結晶欠陥
を低減する効果を奏する。 【0012】本発明者は、上述の本発明の半導体レーザ
素子を絶縁膜にSiO2を用いて数ロット作製し、これ
を結晶成長方向に薄片化して透過型電子顕微鏡(TE
M)で観察した。半導体レーザ素子は、サファイア(α
−Al2O3)単結晶基板の(0001)C 面上に第1の窒化物
半導体層、目空き部(窓領域)を有する絶縁膜、第2の
窒化物半導体層を順次積層して作製した。また、絶縁膜
の目空き部には第2の窒化物半導体層の一部が形成さ
れ、目空き部の底部にて第1の窒化物半導体層に接合し
ている。この半導体レーザ素子の所謂断面TEM像か
ら、次の知見を得た。 知見1:SiO2膜(絶縁膜)上で成長した第2の窒化
物半導体層の結晶欠陥密度は104〜105cm-2の範囲
かこれよりも低い。これに対し、SiO2の目空き部に
て第1の窒化物半導体層の上面から成長した第2の窒化
物半導体層の結晶欠陥密度は、これまで報告されている
ような109〜1011cm-2のレベルである。目空き部
で成長した第2の窒化物半導体層に見られる欠陥(転
位)の殆どはサファイア基板の界面で発生し、第1の窒
化物半導体層を貫通してこの層に入り、そのごく一部が
SiO2上に形成された第2の窒化物半導体層に侵入し
ていることである。換言すれば、SiO2上の第2の窒
化物半導体層に見られる欠陥はSiO2の目空き部から
離れるにつれて急激に減少している。この欠陥の発生
は、図1に破線で模式的に示される。 【0013】本発明者は、知見1を図2に示す六方晶系
結晶の単位構造に照らし、絶縁膜に目空き部を設けて窒
化物半導体結晶成長の核の形成を制限し、その核生成密
度を高めて形成した窒化物半導体レーザ素子について次
のように考察した。 【0014】六方晶系結晶の1種である六方硫化亜鉛
(ウルツ鉱)構造を有する結晶の成長には、欠陥はc軸
方向に選択的に延伸し、これ以外の軸方向には増殖しな
いという特徴がある。目空き部及び絶縁膜上で成長した
第2の窒化物半導体層は電子線回折パターンからともに
ウルツ鉱構造の結晶であることが確認されたが、ウルツ
鉱構造に特徴的なc軸方向に延伸する欠陥は絶縁膜上の
窒化物半導体層には殆ど見られない。第2の窒化物半導
体層を目空き部側壁上に延伸する仮想界面(図1A,1
Bに点破線で示す)で2つの領域に分けると、絶縁膜上
の領域の欠陥は略全て目空き部側の領域の欠陥を仮想界
面にて継承している。従って、絶縁膜上の領域は仮想界
面からc軸に対して略垂直方向に成長する(即ち、ホモ
エピタキシャル成長)と仮定すれば、その領域の欠陥密
度の低さはc軸方向以外には欠陥が増殖しないウルツ鉱
構造の結晶成長の性質によるものと説明できる。 【0015】そこで、本発明者は次の結論を得た。 結論1:窒化物半導体の結晶は、絶縁膜の目空き部にて
結晶構造を有する領域の表面から当該表面の原子配列に
倣って縦方向(即ち、当該表面に対し垂直方向)に延伸
するように成長し、絶縁膜上にて目空き部から突出して
成長した窒化物半導体の側面を新たな成長界面として横
方向(即ち、当該絶縁膜上面に略平行な方向)に成長す
る。換言すれば、窒化物半導体の結晶成長は、絶縁膜の
目空き部と当該絶縁膜上とで異なる態様を選択的に示す
所謂選択性結晶成長であり、また後者の場合、実質的に
ホモエピタキシャル成長である。 【0016】ここで、c軸とは六方晶系の結晶の単位構
造(unit cell)の原子配列を規定する座標軸(結晶軸
と呼ばれる)であり、図2においてはcと記した矢印線
(単位ベクトル)として表記される(a1軸、a2軸、a
3軸も同様に表記)。図2では、III 族原子(Ga,A
l等)を白丸で、V族原子(N,As等)を黒丸で示し
ている。六方晶系の結晶面は、これら単位ベクトルによ
り規定される指数(a1,a2,a3,c)で標記され、その一例は
図2に示すとおりである。サファイアも窒化物半導体と
同じく六方晶系の結晶構造を有するため、その(0001)C
面はc軸に直交する結晶面であることは図2から明らか
であろう。なお、六方晶系の結晶構造におけるa1軸及
びa2軸はa軸及びb軸とも標記され、この標記に基づ
きa軸、b軸、c軸は通常[100]、[010]、[001]なる指
数[a,b,c]として表されることもある。以上、六方晶系
の結晶構造に関して基礎的な説明を加えたが、図2を参
照してみれば、上述の第1の窒化物半導体層が同じ六方
晶系のサファイア結晶基板の(0001)面上にc軸方向にエ
ピタキシャル成長していることが理解できよう(このよ
うに成長した第1の窒化物半導体層の結晶は、サファイ
ア基板に対しc軸配向しているという)。 【0017】本発明者は、結論1に基づき窒化物半導体
の選択成長の本質を更に検討するため、目空き部を有す
る絶縁膜の結晶構造(非晶質又は単結晶)及び構成元素
とこの絶縁膜を覆うように形成される窒化物半導体の結
晶性について調べた。この調査にあたり、図3A〜3E
に示すようにサファイア基板1の(0001)C 面上に目空き
部40を有する絶縁膜4を形成又は接着し、上述の半導
体レーザ素子と同様に目空き部に核形成領域を制限して
絶縁膜上に窒化物半導体結晶5を成長させた。絶縁膜や
窒化物半導体の組成をロット毎に変えた結果、次の知見
を得た。 【0018】知見2:絶縁膜が非晶質のSiO2、Si3
N4(SiNx)、SiO2:P2O5(PSG)、SiO
N及びTa2O5では、絶縁膜上に形成された窒化物半導
体層に見られる欠陥は目空き部から離れるにつれて急激
に減少していた。また絶縁膜上に形成された窒化物半導
体層における結晶欠陥密度は、104〜105cm-2の範
囲又はこれ以下であった。 【0019】知見3:絶縁膜が結晶構造を有するSiC
やBaTiO3では、窒化物半導体層の成長が目空き部
(サファイア基板上)と同時に絶縁膜上でも開始した。
窒化物半導体層の成長面は窓領域の有無を反映した凹凸
を有し、絶縁膜上にも目空き部に匹敵する密度(108
〜1011cm-2の範囲)で結晶欠陥が発生した。 【0020】知見4:さらに、サファイア基板の表面を
Gaイオン照射で部分的に非晶質化し、この表面上に窒
化物半導体層を成長させたところ、結晶構造が維持され
た表面と略同時に非晶質化表面でも結晶成長が開始し
た。非晶質化表面上に形成された窒化物半導体層の結晶
欠陥密度は結晶構造を有する表面上に比べて低いながら
も、SiO2膜上の窒化物半導体層で得られた結晶欠陥
密度に比べて劣る(106〜108cm-2)ことが判明し
た。 【0021】以上の実験では、いずれの場合も目空き部
にて成長した窒化物半導体層に10 8〜1011cm-2の
範囲の密度の欠陥が見られた。なお、この実験について
は、発明の実施の形態にて詳述する。 【0022】本発明者は、これらの知見2〜4から次の
結論を得た。 結論2:窒化物半導体の結晶は、下地となる絶縁膜が非
晶質であると欠陥が延伸しにくい所謂c軸に垂直な方向
への成長が活発となる。逆に絶縁膜が結晶構造を有する
場合、窒化物半導体の結晶成長は絶縁膜表面の原子配列
に規定されたヘテロエピタキシャル成長となる。即ち、
窒化物半導体結晶の欠陥の低減には、その絶縁膜上にお
ける原子配列に対する当該絶縁膜の原子配列の影響を除
くことが不可欠であり、従って絶縁膜は非晶質構造であ
ることが要請される。 【0023】さらに本発明者は結論2を検証するため
に、一様且つ略平坦に形成された非晶質の絶縁膜表面の
中央にGa原子の微小な液滴を付着させ、これをアンモ
ニア雰囲気にて成長温度1030℃に加熱した。この実
験の詳細は発明の実施の形態の総論で後述することにし
て、ここでは結果を述べる。この実験では、絶縁物上で
の結晶成長機構を明らかにするために、絶縁膜としてシ
リコン単結晶基板表面を酸化して形成された非晶質Si
O2膜101を用い、このSiO2膜に上述の目空き部を
設けずに窒化物半導体を成長させた。この実験結果か
ら、次の知見を得た。 【0024】知見5:Ga原子の液滴を形成した領域に
鏡面を有する微結晶が形成された。さらに非晶質SiO
2膜の温度を成長温度1030℃に保ち、アンモニア雰
囲気でトリメチルガリウム(TMG)のガスを供給する
と、上述の微結晶を中心に六角柱型の単結晶が徐々に成
長した。この単結晶の断面をTEM観察したところ、結
晶中に見出された欠陥の密度は上述の選択性成長の値
(104〜105cm-2)を遥かに下回り、ロットによっ
ては実質的に無欠陥とみなせるものもあった。 【0025】本発明者は、上述の実験及びこれから得た
知見5に基づき絶縁物上での窒化物半導体の結晶成長機
構を図4A〜4Eに示すモデルとして解釈した。なお図
4A〜4Eのモデルでは、Ga原子(III 族元素)を白
丸、N原子(V族元素)を黒丸で示し、また夫々の原子
の移動方向を丸に添付した矢印で示した。以下に、本発
明者の見解を詳述する。 【0026】本発明者の解釈によれば、非晶質の絶縁膜
上におけるN原子及びGa原子は安定な状態を求めて活
発に動き回る。これは、アトミック・マイグレーション
(atomic migration)というシリコンの最表面において
テラス状のステップを形成するSi原子の挙動に共通す
る。本実験では、非晶質の絶縁膜上にGa原子を液滴と
して固定した(図4A)が、この状態でアンモニア雰囲
気に曝すと、雰囲気より供給されるN原子が絶縁膜上に
付着し、Ga原子の液滴に辿りつく。上述のように、II
I 族元素のGa原子に対して最外殻電子を補完し合うV
族元素のN原子は、Ga:N=1:1なる化学量論比の
ペアを組む、即ち化合物を形成することで安定化する
(図4B)。 【0027】さらに、絶縁膜の温度をGaNの単結晶が
成長するに最適な温度にすると、Ga液滴に集まるN原
子は化合物の安定性を高めるために互いに規則的な配列
を構成し、これにより上述の微結晶を形成する(図4
C)。この状態では、絶縁膜上においてGaN結晶を形
成に関与しない余剰のN原子が存在するが、ここでTM
Gを供給すると絶縁膜上に存在するGa原子数とN原子
数との比が上述の化学量論比に近づく。但し、Ga原子
もN原子も絶縁膜上において速い速度で動き回るので、
これらが相互に衝突する確率は絶縁膜上に固定されたG
aNの結晶に衝突する確率に比べて無視できるほどに低
い。従って、アンモニア雰囲気とTMGから供給される
N原子及びGa原子の全ては実質的にGaNの結晶の成
長に関与する(図4D)。その結果、GaN微結晶の全
ての結晶面において結晶成長が進行し、GaN単結晶は
六角柱状の形状を保ちつつ肥大化する(図4E)。以上
の流れから明らかなように、絶縁膜上での窒化物半導体
結晶の直接成長は、絶縁膜上に液滴として供給されたG
a原子を核として開始される。 【0028】以上の解釈に基づいて、本発明者は次の結
論を得た。 結論3:窒化物半導体層は上述の選択性結晶成長に依ら
ずとも、非晶質構造の絶縁膜上に直接成長させることが
可能である。この場合、絶縁膜上に結晶成長の核を形成
することが必要であるが、この核はIII 族元素の原子だ
けで十分である。結論3は、絶縁膜上に結晶成長の核を
供給しない限り新たな結晶成長は生じないことを示唆す
る一方、非晶質構造の絶縁膜表面に存在する原子の種類
により予期せぬ結晶成長が生じ得ることも示唆する。即
ち結論3に依れば、上述の知見4として得られた非晶質
化したサファイア基板表面上における窒化物半導体層の
成長が、結晶構造が維持された表面と略同時に開始し、
その結晶欠陥密度はSiO2膜上に成長した窒化物半導
体層に比べて高い事実が次のように矛盾無く説明できる
のである。 【0029】まず、結晶成長が非晶質化部分と結晶部分
とで略同時に生じた原因は、非晶質化表面に存在するサ
ファイアの構成元素たるAl原子がIII 族元素として窒
化物半導体層の核を形成するためであり、換言すればA
l原子が知見5に記したGa原子の液滴と同じ役割を演
じるのである。この結果、非晶質構造の絶縁膜たるサフ
ァイアの非晶質化表面上に不規則な配置で微結晶が生
じ、これから成長する単結晶領域同志が結晶成長時間に
対して個々別々に合体を起こすことで単結晶領域間に予
期せぬ応力が生じるものと考えられる。特に絶縁膜表面
の僅かな起伏は、単結晶領域間のc軸の配向角度の差と
して現れるため、一方の領域の結晶成長方向が他の領域
の結晶に食い込むように進み、これにより双方の領域間
において結晶欠陥を誘起する応力が発生する。従って、
非晶質化部分上の窒化物半導体層には、結晶部分上の
(即ち、格子不整合の影響を受けた)窒化物半導体層程
でないにしても、多数の結晶欠陥が見られる。 【0030】以上のことから、非晶質の絶縁膜上での窒
化物半導体層の直接成長に際しては、絶縁膜表面におけ
るIII 族元素の分布を制御することが重要であり、望ま
しくは絶縁膜はIII 族元素を構成元素として含まない材
料で形成すべきことが明らかとなった。換言すれば、非
晶質絶縁膜を構成する材料の組成は、その上に形成され
る半導体層のそれと異なることが望ましく、更に詳しく
はIII 族元素を構成元素として含まないことが望まし
い。また、上述の検討は窒化物半導体即ちB,Al,G
a,In,TlなるIII 族元素の少なくとも1種とN,
P,As,Sb,BiなるV族元素の少なくとも1種か
ら構成される所謂III −V族化合物半導体であり且つV
族元素としてN(窒素)を含む半導体結晶について行っ
てきたが、また所謂III −V族化合物半導体であり且つ
六方晶系(hexagonal system)の構造を有する半導体結
晶についてもこれらの検討結果をフィードバックできる
ものと本発明者は判断した。 【0031】以上の検討結果に基づき、本発明者は新た
な構成を有する半導体材料及びその製造方法を以下に提
案する。ここでいう半導体材料とは、半導体装置の構造
中に採用されるものに限らず、例えばその上部に半導体
装置を形成するための基体を含む。 【0032】半導体材料1:構成元素として少なくとも
窒素を含む化合物半導体の結晶からなる第1の領域と非
晶質構造の絶縁体からなる第2の領域を有し、第1の領
域の少なくとも一部は第2の領域上に成長されているこ
とを特徴とするもの。 【0033】半導体材料2:六方晶系の結晶構造を有す
る化合物半導体からなる第1の領域と非晶質構造の絶縁
体からなる第2の領域を有し、第1の領域の少なくとも
一部は第2の領域上に成長されていることを特徴とする
もの。 【0034】以上の半導体材料に関し、第1の領域の上
記第2の領域上に成長された部分の結晶中に存在する欠
陥密度は107cm-2以下であることを特徴とするも
の。または以上の半導体材料に関し、第1の領域を構成
する化合物半導体はIII 族元素とV族元素から構成され
ていることを特徴とするもの。 【0035】半導体材料の製造方法1: 非晶質構造の
絶縁物表面において構成元素として少なくとも窒素を含
む化合物半導体の結晶を成長させる工程を含むことを特
徴とするもの。 【0036】半導体材料の製造方法2:非晶質構造の絶
縁物表面においてIII 族元素とV族元素から構成される
化合物半導体の六方晶系構造の結晶を成長させる工程を
含むことを特徴とするもの。 【0037】以上の半導体材料の製造方法に関し、絶縁
物は六方晶系構造の結晶基板の上部に形成され、且つ目
空き部を有することを特徴とするもの。 【0038】なお、上述の半導体材料及びその製造方法
は、現在、緑色から紫外線領域までの波長の光を放出す
る発光素子の材料として注目されている窒化物半導体、
即ちIII 族元素(とりわけ、Ga,Al,In)の少な
くとも1種とN(窒素)元素か構成される六方晶系の結
晶構造を有する材料を低欠陥密度で提供する技術として
有望である。 2.半導体装置への応用 本発明者は、上述の半導体材料の製法技術により実現さ
れる半導体装置の構成を提案する。即ち、従来窒化物半
導体をヘテロエピタキシャル成長により積層して製造さ
れる半導体装置において、このヘテロエピタキシャル成
長に必然的に起因する半導体装置の構造的な問題を上述
の横方向ホモエピタキシャル成長技術を組み合わせるこ
とにより回避できる新たなる構成の半導体装置を本発明
により提供する。 【0039】ここでは本発明を半導体装置の一例であ
る、半導体光素子(半導体レーザ素子、光変調器、光ス
イッチを含めた素子の総称)に適用した場合について、
その概要を説明する。本発明による半導体光素子の基本
的な特徴は、光学的領域(光の放出、吸収、閉じ込め又
は導波に係る領域の総称で、活性層や光導波路を含む)
となる半導体層を非晶質の絶縁層上部に形成したところ
に大きな特徴を有する。即ち、光学的領域となる半導体
層自体又はその下地となる半導体層を上述の横方向ホモ
エピタキシャル成長技術により形成することで、当該結
晶層に発生する欠陥密度を低減するものである。素子作
製のプロセスで見れば、基板主面上にヘテロエピタキシ
ャル成長を繰り返して光学的領域を形成する従来の技術
に対し、本発明は基板主面上部に目開き部を有する絶縁
膜を形成し、当該絶縁膜上で半導体層をホモエピタキシ
ャル成長した後に当該ホモエピタキシャル層又はこの上
部にヘテロエピタキシャル成長した半導体層として光学
的領域を形成するところに特徴を有する。 【0040】上述のように、非晶質構造の絶縁物からな
る領域(例えば、絶縁物基体)上で生じる窒化物半導体
の横方向の結晶成長において、異なる領域から夫々横方
向に成長してきた半導体結晶は当該絶縁物領域又は基体
上にて横方向に合体する。そこで、この絶縁物領域を目
空き部を有するマスク状の絶縁膜として形成し、これに
より当該絶縁膜上における窒化物半導体結晶の成長を制
御することにより、絶縁膜上に形成される窒化物半導体
層に生じる転位等の結晶欠陥を格段に低減できる。この
ように絶縁膜上に形成された窒化物半導体層又はその上
面にエピタキシャル成長された半導体層で光学的領域を
形成することを特徴とする本発明の半導体光素子では、
光学的領域に発生する結晶欠陥密度が104〜105cm
-2の範囲かそれよりも小さい範囲に抑えられる。因み
に、格子定数の異なる結晶基板(例えばサファイア基
板)上に窒化物半導体の結晶を逐次ヘテロエピタキシャ
ル成長して光学的領域を形成する従来の半導体光素子で
は、光学的領域に生じる結晶欠陥密度が108〜1011
cm-2である。 【0041】本発明による光学的領域の結晶欠陥低減
は、結晶欠陥に因る光の散乱損失や発光に寄与するキャ
リアの寿命低下の問題を一挙に解消する。特に光導波路
の結晶欠陥の低減は、誘導放出光の共振増幅における散
乱による光学利得の損失を抑制するため、低閾値高効率
動作を確保できる。 【0042】また光学的領域と電極との間に設けられる
半導体層(以下、コンタクト層)を絶縁膜上部にホモエ
ピタキシャル成長させれば、コンタクト層へのp型又は
n型の不純物ドープ量を増大できる。従ってコンタクト
層への不純物ドープによるキャリアの発生も容易にな
り、n型及びp型キャリア濃度を従来困難とされた10
18〜1019cm-3オーダの高い値にまで設定できる。そ
の結果、例えば半導体レーザ素子ではコンタクト層の抵
抗低減により光導波層から発光活性層へ向けて高い密度
のキャリア注入が可能となり、発光利得向上、ひいては
低閾値高効率動作が達成できる。 【0043】本発明の半導体光素子の効果を高めるにあ
たり、以下に述べる導波路構造の採用は有効である。公
知の導波路構造として、電流狭窄層によって利得が得ら
れる発光活性層の領域を制限した利得導波型構造と、リ
ッジストライプ構造や埋め込みヘテロ構造(BH構造(B
uried Heterostructure))等のストライプ構造によって
発光活性層の横方向に屈折率差を設けた屈折率導波型構
造がある。とりわけ、屈折率導波型構造は横モードを基
本として安定に導波できるので低閾値高効率動作には非
常に重要である。本発明では、上述の導波路で規制され
る実質上の光学的領域(即ち、キャリア注入や電界印加
がなされる部分)を絶縁膜上方に設定することで低欠陥
密度の半導体結晶から成る光導波層や発光活性層に集中
的にキャリア注入や電界印加を行うことで、注入キャリ
ア量に対する発光効率や電界強度による光の変調効率を
高める。ここで述べた導波路構造は、光学的領域の上
部、下部又はその内部(光ガイド層やクラッド層中)の
いずれに形成してもよい。これにより、低欠陥密度で高
品質な結晶層からなる導波路構造の形成と同時に基本横
モードで安定にレーザ光を伝搬させる屈折率導波構造を
実現できるため、低閾値高効率で動作する半導体レーザ
を達成できる。また、半導体レーザ素子においてはレー
ザ共振器方向に延伸するストライプとして設けることを
推奨するが、その形状を限定するまでもない。さらにス
トライプ状の電流狭窄層や屈折率差形成層は、半導体層
をエッチング加工して形成してもよいが、これに代えて
目開き部を有する絶縁膜を新たに形成してもよい。この
場合、ストライプ形状のパターンを有する絶縁膜をマス
クに更に半導体層を選択成長することで、屈折率導波型
構造を容易に実現できる。 【0044】さらに、光学的領域を構成する半導体層の
結晶性を高めるために、当該光学的領域を挟むようにダ
ミーの選択的結晶成長を行うことが推奨される。例え
ば、より高品質な結晶層からなる導波路層を構成するた
めに、選択成長で導波路構造を作製するためのパターン
(目開き部)の両側にダミーパターンが形成された有す
る絶縁膜マスクを用いる。これにより、中央部での導波
路形成における異常成長を回避して、当該導波路の結晶
性や形状制御性を格段に向上する。また、導波路上部に
形成される電極からダミーパターンに成長された結晶層
に電流を注入しないように構成することで、素子の低閾
値高効率動作を一層図ることができる。本発明の半導体
光素子を作製する単結晶基板は、上述のサファイア基板
に限定されない。サファイア基板に代わる新たな単結晶
基板を用いるときの注意事項について、以下に説明す
る。例えば六方晶系Wurtzite構造の単結晶基板を用いた
ときに、基板面方位を(0001)C 面としておく。この基板
上においてストライプ構造を作製するときには、該基板
の(11-20)A 面に垂直であるか平行である方向に合わせ
て上記絶縁膜マスクパターンを設定することにより、矩
形状断面を有する個々の導波路結晶層を合体させて一つ
の大きな導波路構造を選択成長技術によって容易に作製
することができる。また、立方晶系Zinc Blende 構造の
単結晶基板を用いたときには、基板面方位を(111)面と
しておく。この基板上にストライプ構造を作製するとき
には、該基板の(110)面に垂直であるか、(1-10)面に垂
直である方向に絶縁膜マスクパターンを設定することに
より、上記と同様な結晶形状を有する導波路構造を作製
することが可能である。 【0045】本発明の半導体光素子は、ホモエピタキシ
ャル成長の下地となる絶縁膜に設ける目開き部の形状に
より、多種の素子を実現できる。まず、絶縁膜の目開き
幅を活性層横方向に対して、一次元的或いは二次元的に
量子化させることにより、レーザ素子の低閾値動作に有
利な量子細線や量子箱構造とした発光活性層とすること
ができる。また、目開き部を複数の平行ストライプとし
て形成し、各ストライプ間に選択成長された半導体層
(活性層)の夫々から発振する光の位相整合条件を整え
ることで、フェーズド・アレー構造の半導体レーザ素子
を構成し、これにより基本横モードで高出力動作を達成
できる。 【0046】以上、本発明の半導体装置を半導体光素子
を例に説明したが、上述の光学的領域をスイッチングさ
れるキャリアが流れる領域に置き換えて、例えば電界効
果型トランジスタを構成してもよい。電界効果トランジ
スタの場合、キャリアを動作させるための所謂チャネル
となる半導体層を絶縁膜上部に形成することが望まし
く、このチャネルに形成されるソース領域、ゲート領
域、ドレイン領域などを絶縁膜上部に形成すると更に効
果的である。好ましい素子構成の一例における特徴を述
べると、一様に形成された(換言すれば、目開き部のな
い)非晶質且つ絶縁性の領域の上部にチャネルとなる半
導体領域を介して、ソース電極、ゲート電極、及びドレ
イン電極が並んで形成される。このような半導体装置の
構成は、特にチャネル領域の結晶欠陥密度の影響を受け
やすい高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Ele
ctron Mobility Transistor)に採用すると効果的であ
る。 【0047】以上の検討結果に基づき、本発明者は新た
な構成を有する半導体装置を以下に提案する。ここでい
う半導体領域は、特に断りのない限り窒化物半導体材料
又は六方晶系の結晶構造を有する化合物半導体材料で形
成されるものとする。いずれの半導体材料も、その詳細
な規定は総論で述べたとおりである。また絶縁性領域
は、非晶質構造を有し且つ電気的絶縁性を示す材料から
成る基体又は層(膜)と定義し、特に断りのない限り目
空き部(即ち、結晶構造を有する領域が露見する領域)
は形成されないものとする。この条件を満たすものであ
れば如何なる材料でも絶縁性領域は構成できる。 【0048】半導体装置1:絶縁性領域上部に光学系と
なる半導体領域を形成したもの。光学系とは上述の光学
的領域を指す。レーザ素子においては、レーザ光発振の
ための共振器構造を絶縁性領域上に納めることが望まし
い。この半導体装置構成は、半導体レーザ素子のみなら
ず、発光素子(LED)、光伝送路、光変調器等、所謂
半導体光素子全般に採用できる。 【0049】半導体装置2:絶縁性領域上部に禁制帯幅
(エネルギー・ギャップ)の異なる半導体層からなる半
導体領域を形成したもの。この半導体領域を構成する半
導体層とは、第1の半導体層と、その上下に形成され且
つ第1の半導体層より禁制帯幅の大きい第2の半導体層
とを含む。第1の半導体層は、キャリアを注入するか、
閉じ込めるか、又は発生させるかのいずれかに利用され
る。また第2の半導体層は、第1の半導体層におけるキ
ャリア注入やキャリア閉じ込め等を助長するものであ
る。この半導体領域は、第1の半導体層の厚みを電子の
ド・ブロイ波長以下とした所謂量子井戸構造としても良
く、また夫々の半導体層を第2、第1、第2、第1…、
第2、第1、第2の順に繰り返して多重量子井戸構造を
構成してもよい。この装置構成は、半導体光素子のみな
らず、電界効果型トランジスタや、スイッチング素子及
び論理演算デバイスにも応用できる。また、第2の半導
体層の組成又は禁制帯幅を第1の半導体層の上下で異な
らせてもよい。この構成は、電界効果トランジスタを実
現する上で効果的であり、この場合ゲート電極に対して
反対側の第2の半導体層を省くこともできる。 【0050】以上のいずれの半導体装置も、既存の半導
体製造装置で作製する場合、上述の絶縁性領域を結晶構
造を有する領域上、即ち結晶基板上や結晶層(膜)上に
形成するとよい。 【0051】 【発明の実施の形態】発明を実施するための最良の形態 1.総論 まず、本発明の基本概念たる半導体結晶成長技術につい
て説明する。この実験結果に対する考察は課題を解決す
る手段にて言及したので、ここでは実験を通して得られ
た結晶成長に関する知見を詳述する。 〈結晶成長技術1〉最初に既存の結晶成長装置を利用し
た本発明の結晶成長技術に関し、図3A〜図3Eのプロ
セスフローを参照して説明する。第1の工程として、例
えばサファイア基板1の(0001)表面上にSiO2膜を形
成する。この工程は、例えばモノシランガスと酸素を用
いた気相成長により行う。即ち、サファイア基板表明に
SiO2膜を気相成長法により直接形成する。次にSi
O2膜表面にフォトレジストを塗布して、ストライプ状
に目空き部形成領域を感光させて除去する。最後に目空
き部をフッ酸(HF)系エッチング液(エッチャント)
によるSiO2膜のウェットエッチングで形成する。以
上の工程は、通常Siデバイスで採用されている技術を
利用するため、説明図面は用意していない。 【0052】次の第3の工程から、図3A〜3Dを参照
して説明する。まず、第2の工程で得られた目空き部4
0付SiO2膜4(以降、SiO2膜マスク4と呼ぶ)が
形成されたサファイア基板1を窒化物半導体結晶成長炉
に入れる。この結晶成長炉は、最新のものが特開平4−
164895号(米国特許第5,334,277 号)に記載され
ているが、本発明者は既存のMOCVD装置を利用し、
原料ガスの供給路の一つをアンモニアガス供給用に用い
た。第3の工程にて、炉の圧力を略大気圧(760Torr)
にして、この炉にアンモニア(NH3)ガスを毎分2〜
5リットル(2〜5SLM)、トリメチルガリウム(T
MG)ガスを毎分約10cc(10sccm)で連続的
に供給し、炉内にセットされたサファイア基板を成長温
度1030℃に加熱した。 【0053】図3A−3Cは、第3の工程における窒化
物半導体たるGaN結晶の成長を時系列的に示す。ま
ず、目空き部40内でサファイア基板表面上にGaNの
微結晶50が形成される(図3A)。その形状は基板上
にあたかも六角柱が立つように見えるが、この時点で炉
からサファイア基板を取り出し、走査電子顕微鏡(SE
M)で観察すると、微結晶毎にc軸方向がばらついてい
ることが確認できる。既に説明したとおり、窒化物半導
体結晶のエピタキシャル成長はc軸方向に進むため、各
微結晶50毎に成長方向は図3Aの矢印が示す如く異な
る。 【0054】従って、微結晶が成長するにつれて結晶間
の成長面が擦れ合い、食い込み合う現象が生じる。その
結果、微結晶から成長してきた複数のGaN結晶は目空
き部内にて合体するものの、合体面を中心に結晶内に掛
かる応力が原因で多数の転位を形成する(図3B)。こ
のように目空き部に成長したGaN結晶は、サファイア
基板とのヘテロ接合界面の原子配列により結晶構造が規
定されるため、便宜的にヘテロエピタキシャル部51と
呼ぶ。 【0055】このヘテロエピタキシャル部51が目空き
部より突出して成長すると、目空き部40の縁に沿うヘ
テロエピタキシャル部51の側面を新たな成長界面とし
てSiO2膜マスク4上面に沿うようにGaN結晶のホ
モエピタキシャル成長が始まる(図3C)。即ち、Si
O2膜マスク4上面に形成されるGaN結晶は目空き部
内及びその上部に成長する結晶とは成長メカニズムが異
なる。本発明者は、SiO2膜マスク4上に形成された
領域を便宜的にホモエピタキシャル部52と呼ぶ。図3
Cの断面図をSiO2膜マスク4上面側から見ると、ホ
モエピタキシャル部52の成長界面には約120°の角
度を有する凹凸が形成されていた(図3D)。これはヘ
テロエピタキシャル部51が六角柱状に成長することに
由来するもので、目空き部の縁からSiO2膜マスク4
上面ヘテロエピタキシャル部の成長界面(六角柱の側
面)が突出する時間のずれが、ホモエピタキシャル部5
2の成長開始時刻の差となり、これがホモエピタキシャ
ル部の成長界面の形状に現れたものである。このような
成長界面の凹凸を回避する策として目空き部を六角柱状
に形成する手法があるが、これについては各論で紹介す
る。 【0056】本発明者は、以上の工程で作製したGaN
結晶を電子顕微鏡で観察した結果、既に説明したように
ヘテロエピタキシャル部51に比べてホモエピタキシャ
ル部52に発生する結晶欠陥の密度が格段に低いことを
発見した。図19は、図3Dに相当する透過電子顕微鏡
の写真である。この写真の中央付近で縦芳香に走る線は
SiO2膜マスク4の開口端部を示すが、これを境に左
側の領域に見られる多数の筋状の欠陥が右の領域で殆ど
見られないことが確認できる。即ち、結晶欠陥の密度は
左側の領域(図3Dのヘテロエピタキシャル部51)で
108〜1011cm-2、左側の領域(図3Dのホモエピ
タキシャル部52)で104〜105cm -2の範囲であっ
た。また、成長過程におけるGaN結晶同志の合体はホ
モエピタキシャル部52においても確認された。この現
象は目空き部を平行な複数のストライプとして形成した
ときに見られたが、上述のように互いの成長界面が凹凸
を有する場合でも、結晶欠陥を殆ど誘発することなくホ
モエピタキシャル部は合体し、合体部の欠陥密度も最大
106〜107cm-2程度であった。 【0057】上述のSiO2膜マスク4を利用した窒化
物半導体の新たな結晶成長技術に関し、本発明者は窒化
物半導体を用いた半導体装置の量産技術として図6Aの
(1)と(2)に示すプロセスを提案する。双方の技術
とも、ホモエピタキシャル部52の合体を利用したもの
であるが、例えばサファイア又は六方晶系の結晶構造を
有する基板材料1上に複数の目空き部を持つSiO2膜
(又はこれに代わる非晶質の絶縁膜)マスク4を形成
し、窒化物半導体から成る積層構造55を形成する。図
6A〜図6Cは、半導体レーザ素子を例挙げているが、
光スイッチや電界効果型トランジスタでも構わない。要
は、キャリア注入により素子動作を行う領域をホモエピ
タキシャル部上に形成することであり、僅かの結晶欠陥
にも性能が左右される素子においては、マスク4上にお
ける結晶の合体領域上部を避けて素子動作を行う領域を
形成する図6A(2)の構成を採用することが望まし
い。図6Aの(1)及び(2)とも、電極10を形成し
た後に矢印方向にダイシングを行い、図6Bに示すよう
な単体の半導体レーザ素子を得る。因みにこの半導体レ
ーザ素子は、マスク4上に形成されたホモエピタキシャ
ル部(GaN層)にn型の不純物をドープしたn型クラ
ッド層62とn型のAl0.15Ga0.85N層からなる光導
波層63、アンドープのInGaN多重量子井戸層から
なる活性層66、p型のAl0.15Ga0.85Nからなる光
導波層(図示せず)、p型のGaNからなるクラッド層
65、p型クラッド層65より高い濃度の不純物を含む
p型GaNのキャッップ層68、p型電極10を積層し
て形成され、p型のクラッド層65に埋め込まれて形成
されたn型のGaN層67(n型クラッド層と同レベル
の不純物を含有)で活性層66におけるキャリア注入領
域を制限する。即ち、この素子ではn型のGaN層67
が形成されない領域の下部の活性層が実質上の素子動作
に関与するため、この部分をヘテロエピタキシャル部の
上方から外していることは、図6Aの(1)及び(2)
から明らかであろう。なお、図6Aの(1)及び(2)
の量産技術においては、単体の素子に切り出す前に基板
1側をラッピングし、n型クラッド層の下面を露出させ
ることでこの面にn型電極11を形成することもでき
る。図6Bの素子構造は、このようにして作製された一
例を示すものである。 〈結晶成長技術2〉次に本発明に基づく別の結晶成長技
術を、図5A〜図5Dのプロセスフローを参照して説明
する。このプロトタイプとなる実験は、既に説明した知
見5を導出するためになされたものである。 【0058】まずSi基板100を酸素雰囲気中で熱酸
化して、その表面に非晶質のSiO 2膜101を形成す
る。次に第1の工程として、SiO2膜上にGaN膜成
長のための核となるGa原子を形成する。第1の工程を
行う手段の一つとして、図5A(1)に示すような断面
構造を有する成長炉を利用する。この炉はSi基板を載
置するためのホルダ(図示せず)に対向して複数のガス
供給ノズルが2次元的に配置されている。ガス供給ノズ
ルは、2種類のガス供給ラインのいずれかに設けられて
いる。また、ホルダとガス供給ノズルとの間にはアパー
チャを有するプレートが2枚挿入できるようになってい
る。このような成長炉を、ガス供給ノズルの配置の特徴
から便宜的にシャワー・ヘッド炉と呼ぶ。 【0059】まず、シャワー・ヘッド炉内を不活性ガス
である窒素ガスでパージし、炉内圧力を約760Torrに
設定した後、表面を酸化したSi基板100を載置す
る。次に、Si基板とガス供給ノズルの間に2枚のアパ
ーチャ・プレートを挿入する。このとき、上部プレート
のアパーチャはSiO2膜101の核形成位置に合わ
せ、下部プレートのアパーチャは上部プレートのそれと
位置をずらす。この状態で、トリメチルガリウム(TM
G)ガスを上部供給ラインから10sccmで連続的に
供給し、下部プレートを図5A(1)に示す矢印方向に
スライドして、瞬間的にTMGガスをSiO2膜101
表面上に供給する。これにより、SiO2膜101表面
の核形成位置のみにGa原子の液滴からなる核53が形
成し、表面全体へのGa原子の付着は実質上抑止でき
る。 【0060】第2の工程では、更にアンモニア(N
H3)ガスを下部供給ラインから2〜5SLMで供給
し、この状態で2枚のアパーチャ・プレートを取り外
す。これと同時にSi基板100をホルダから約100
0℃に加熱する(図5B参照)。これにより、核53形
成位置を中心にGaN結晶の成長が開始し、六角柱状の
結晶54がSiO2膜101上に形成される(図5
C)。図20は、図5Cに相当する走査電子顕微鏡(S
EM)写真であり、SiO2膜101上に形成されたG
aN単結晶が、六角柱状であることが明らかに判る。 【0061】ここで、本発明者は結晶54がSiO2膜
101表面全域を覆う前に結晶成長を止め、結晶54が
形成されないSiO2膜101表面を部分的にエッチン
グしてSi多層膜からなる別の半導体素子を形成するこ
とを提案する。このような手法によれば、図6Cに示さ
れるように窒化物半導体の積層構造55からなる素子と
その駆動回路70を同一のSi基板100上にモノリシ
ックに形成することができる。この場合、駆動回路70
を構成する導電性半導体層を積層構造55の下部に位置
するn型半導体層に接合するように形成し(図示せ
ず)、積層構造55上部に位置するp型電極10と駆動
回路70との間にボンディング71を形成することで半
導体レーザモジュール等のハイブリッド素子が実現でき
る。 【0062】また、第2の工程にてSiO2膜101表
面に結晶54を可能な限り(即ち、表面からはみ出さな
い範囲で)大きく成長させる。この後、第3の工程とし
て、HF系のエッチャントでSiO2膜101を溶解
し、結晶54とSi基板100とを分離する。これによ
り、GaN単結晶からなる新たな基板材料が実現でき
る。この基板材料は、窒化物半導体のエピタキシャル成
長用基板として最も優れているとされるSiCよりも低
結晶欠陥密度が低い。従って、第3の工程で得られるG
aN基板は窒化物半導体のデバイス作製用として、格子
整合や転位抑制の観点でSiCに勝るものである。 【0063】この基板材料を用いて形成した半導体装置
の一例を、図6Bに示す。仕様は、結晶成長技術1で述
べた半導体レーザ素子と概ね同じであるが、n型の不純
物をドープしたn型クラッド層62をn型不純物をドー
プしたGaN基板で構成する点が異なる。このようにG
aN基板上に窒化物半導体層をエピタキシャル成長させ
て素子を形成すると、積層される各半導体層の格子整合
が取り易くなる一方、光学的領域を構成する半導体層に
圧縮歪や引張歪を加える格子不整合系の素子(pseudomo
rphic device)を構成したときも、格子不整合層導入に
伴う積層欠陥の発生を抑制し易くなる。 【0064】上述の第1の工程は、例えばイオンビーム
照射によっても実行できる。この例を図5A(2)を参
照して説明する。表面に非晶質のSiO2膜101を形
成したSi基板100を二次イオン質量分析装置(SI
MS)に載置し、Gaイオンを加速電圧1kV、照射量
1×1013ions/cm2でSiO2膜表面に照射し
た。ここで利用したSIMSは、一般にstatic
SIMSと呼ばれるもので、試料表面の第1原子層や吸
着層の計測に用いられるものである。このSIMSは電
流密度10-5〜10-3mA/cm2のイオンを0.5〜
5keVのエネルギーで試料に照射するが、別の種類の
SIMSには電流密度1〜100mA/cm2のイオン
を5〜30keVのエネルギーで照射するものもある。
後者の装置はイオン照射により試料表面をスパッタする
ため、SiO2膜上への核形成に不適である。 【0065】SiO2膜表面へのGaイオン照射は、イ
オンビームの直径がSiO2膜表面にて100Åとなる
ようにイオン光学系で絞り込み、照射時間は約1秒とし
た。照射時間の制御は、イオン光学系に設けられたビー
ム・ディフレクタでイオン・ビームを偏向して行った。
このようにしてSiO2膜表面にGa原子からなる核5
3を形成した後、Si基板100をSIMSから取り出
し、上述のシャワー・ヘッド炉に移して第2の工程に入
る。このとき、炉内は不活性ガスである窒素(N2)で
パージされており、またアパーチャ・プレートは外され
ている。Si基板をシャワー・ヘッド炉に載置した後、
トリメチルガリウム(TMG)ガスを上部供給ラインか
ら10sccmで、アンモニア(NH3)ガスを下部供
給ラインから2〜5SLMで夫々供給し、同時にSi基
板100をホルダから約1000℃に加熱する(図5B
参照)。後は、上述の第2の工程と同じである。 【0066】以上に述べたイオンビームで核を形成する
方法では、static SIMSを利用したが、これ
と同じ電流量及びエネルギー(加速電圧)でイオン・ビ
ームを照射できる装置であれば、他の装置を利用しても
よい。また、イオン・ビームで核を形成する方法は第1
の工程からシャワー・ヘッド炉で行う方法に比べ、Si
基板をイオン・ビーム照射装置からシャワー・ヘッド炉
(又はこれに代わる結晶成長炉)に移す手間は掛かる
が、核形成領域が任意に設定できる点や、シャワー・ヘ
ッド炉のアパーチャ・プレートが不要な点(即ち、結晶
成長炉の構成が簡素になる)点で有利である。 2.半導体装置への応用 以下、総論にて説明した本発明の結晶成長技術を応用し
た半導体装置の製造方法を各実施例において詳細に説明
する。なお、各実施例は半導体光素子の一つである半導
体レーザ装置をモデルとして説明する。 〈実施例1〉本発明の半導体装置の一実施例を図7A及
び図7Bにより説明する。図7Aにおいて、例えば(000
1)C 面を有するサファイア(α-Al2O3)単結晶基板
1上に、GaN バッファ層2,n型GaN 光導波層3
まで有機金属気相成長法により結晶成長する。その後、
図7Bに示した、ストライプ上の窓領域を少なくとも2
つ設けた形状の絶縁膜マスク4のパターン(目開き部)
40をリソグラフィーとエッチングにより形成する。こ
のとき、絶縁膜マスクのストライプ方向を該サファイア
基板1の(11-20)A面と平行な方向に設定しておく。次
に、絶縁膜マスクパターン4で形成された2つの窓領域
に対して、n型GaN 光導波層5を選択成長し、中央
に設けた絶縁膜マスク上において横方向に合体させて、
平坦な一つの矩形状の光導波層とした後に、引き続いて
AlGaN 光分離閉じ込め層とGaN 量子障壁層及び
GaInN 圧縮歪量子井戸層からなる圧縮歪多重量子
井戸活性層6,p型GaN 光導波層7,p型GaIn
N コンタクト層8を順次設ける。次に、リソグラフィ
ーにより、絶縁膜マスク9を設けて、p側電極10とn
側電極11のパターンを蒸着する。最後に、ストライプ
に垂直な方向に劈開して共振器面を切り出し、スクライ
ブにより素子を分離して図7Aに示す素子縦断面(図7
BのB−B’断面)を得る。 【0067】本実施例によると、絶縁膜マスクの幅と窓
領域の幅を調節することにより、光導波層5の上に設け
る発光活性層の幅を5μm以上に設定したときには利得
導波型構造とすることができ、該発光活性層を1〜3μ
mの範囲としたときには埋め込みBH構造の屈折率導波
型構造として設けることができた。本発明の手法では、
選択成長用の絶縁膜マスク窓領域では従来と同程度の結
晶欠陥密度109〜1011/cm2の範囲であるのに対
し、絶縁膜マスク上ではホモエピタキシャル成長を実現
でき結晶欠陥密度を104〜105/cm2の範囲かそれ
よりも小さい範囲に低減できた。本素子構造では、電流
狭窄は絶縁膜9で行っているが、活性層6の横方向に見
た場合、さらに絶縁膜マスク上の活性層における中央領
域とその外側の領域では内部光損失が大きく異なるの
で、レーザ光を損失によっても導波し伝搬領域を制限し
ていることになる。本実施例における、BH屈折率導波
型構造の素子では、利得導波型構造よりも低閾値動作が
達成でき、閾値電流は利得導波構造の素子よりも1/3
〜1/4にまで低減できた。本素子は、従来のバルク成
長により形成した素子よりも低閾値高効率でレーザ動作
し、室温における発振波長は410〜430nmの範囲
であった。 【0068】また本実施例の変形例を図7C(図7Bの
B−B’断面)により説明する。素子の作製工程や絶縁
マスク4のパターン40は上述のそれと概ね同じである
が、p型コンタクト層8まで成長した後、リソグラフィ
ーとエッチングによりp型光導波層7にリッジストライ
プを形成する。このとき、リッジストライプの底部幅を
3〜7μmの範囲とする。さらにリッジストライプの両
側に埋込層12を形成する。この埋込層12は、絶縁膜
を利用して選択成長させたn型Ga電流狭窄層としても、
誘電体絶縁膜そのもので形成してもよい。絶縁膜9を設
けて電極10、11を形成する工程は上述のとおりであ
り、その結果として図7Cに示す素子縦断面を得る。 【0069】図7Cに示す構成では、発光活性層内にお
ける低欠陥密度で低光損失の中央領域にのみ電流を注入
するリッジストライプ構造を有しているので、有効な電
流注入と安定な屈折率分布を達成できる。このため図7
Aに示すBH屈折率導波型構造と同等の閾値電流か或い
はそれよりも低い値を得た。この素子は低閾値高効率で
レーザ動作し、室温における発振波長は410〜430
nmの範囲であった。 〈実施例2〉本発明の半導体装置の他の実施例を図8A
及び図8Bにより説明する。実施例1と同様に素子を作
製するが、実施例1の導波路構造用絶縁膜マスクの他に
ダミー用パターンも加えて、図8Bに示す絶縁膜マスク
4のパターン(目開き部)40を形成する。このダミー
パターン上に成長する結晶層と中央に設ける導波路用の
結晶層が互いに合体しないように、絶縁膜マスク幅や間
隔を設定しておく。ダミーパターン(両脇の目開き部)
に成長した結晶層には電流を流さないように、絶縁膜9
でカバーしておく。その他は、実施例1と同様のプロセ
スを経て、図8Aに示す素子縦断面(図8CのC−C’
断面)を得る。 【0070】本実施例では、実施例1の導波路構造に対
して、ダミーとなる結晶層を設けることにより、中央の
導波路を形成する結晶層の品質や形状を向上させた。ダ
ミーパターンの外側における結晶成長条件には、あまり
影響を受けずに、異常成長や成長速度の不安定さを解消
して、平坦で平滑な側面や上面を有する矩形状の光導波
路を形成できた。これにより、より低損失でレーザ光を
導波できるようになり、さらに低閾値で高効率で動作さ
せることができた。この結果、実施例1より少なくとも
閾値電流を2/3から1/2の範囲に低減することが可
能であった。本素子は、室温において発振波長410〜
430nmの範囲でレーザ動作した。 【0071】図8Cには、本実施例の変形例を断面図で
示す(図8BのC−C’断面)。素子の作製工程は概ね
図8Aの場合と同じであるが、層8まで形成した後、図
7Cに示した素子と同様に埋込層(例えば、電流狭窄
層)12を設ける点が異なる。さらに、ダミーパターン
に成長した結晶層には電流を流さないように、絶縁膜9
でカバーする。図8Cに示す素子を図7Cのそれと比較
すると、中央の導波路を形成する結晶層の品質や形状を
向上させることができ、図7Cの素子より少なくとも閾
値電流を2/3から1/2の範囲に低減できた。本素子
は、室温において発振波長410〜430nmの範囲で
レーザ動作した。 〈実施例3〉本発明の半導体素子の他の実施例を図9A
及び図9Bにより説明する(ここで、図9Aは図9Bの
D−D’断面)。素子の形成は実施例2における図8C
と同じ結晶成長で行うが、絶縁マスク4のパターン(目
開き部)40は図9Bに示すようにストライプ状ではな
く、周期的な長方形状の窓領域を2次元的に配列したも
のとする。本実施例では、実施例4に比較して、中央の
導波路における発光活性層6の結晶欠陥密度をさらに低
減した。レーザ光を導波するストライプ構造は、中央の
絶縁膜マスク上に相当する活性層中央領域に形成して電
流狭窄を行うが、発光活性層全体において結晶欠陥密度
は小さいことが望ましい。このため、活性層全体に対し
て、ホモエピタキシャル成長できる領域の割合を大きく
するのが有効であり、中央の導波路構造を作製するにあ
たっては、選択成長用の絶縁膜マスクにおいて長方形状
の窓領域が占める割合をできるだけ小さくしていくこと
により対応できる。本素子では、図8Cの素子よりも相
対的に発光活性層や光導波層の結晶欠陥を低減すること
ができたので、低閾値高効率動作をさらに図ることが可
能であり、閾値電流も1/2から1/3に低減できた。
本素子は、室温において発振波長410〜430nmの
範囲でレーザ動作した。 【0072】本実施例の変形例を図9Cにより説明す
る。この例では、素子のD−D’断面は図9Aに準じる
ものの、絶縁膜マスク4のパターン40が異なる。即
ち、結晶のダミー成長に係る両端の列のパターン(目開
き部)は長方形に形成されるが、中央の導波路構造に対
応する選択成長用のパターン(目開き部)は正六角形状
に形成される。 【0073】ここで目開き部の形状について簡単に説明
する。本実施例では、下地となる結晶領域の表面を露出
させるために絶縁膜4に形成される目開き部(又は窓領
域とも呼ぶ)の形状を正方形や長方形を含む四角形とす
るか、或いは正六角形を含む六角形の形状にして周期的
に設けている。これにより、互いに隣接する目開き部か
ら絶縁膜上にホモエピタキシャル成長してきた結晶層が
当該絶縁膜上で容易に合体して一つの光導波層や発光活
性層を形作る。特に六方晶系Wurtzite構造のIII-V族半
導体である窒化物半導体材料(Nitride Semiconductor
materials)は、個々の目開き部内において、六角柱状
の形状を保ってエピタキシャル成長する。従って絶縁膜
上でのホモエピタキシャル成長が始まる界面も六角柱の
側面として形成される。 【0074】図9Cに示す絶縁膜マスク4では、六方晶
系の結晶が成長する性質を反映して、正六角形状の目開
き部(窓領域)に成長した結晶層が互いに合体し易くな
り、当該合体部が結晶欠陥を取り込む割合が格段に減少
する。このため、中央の導波路構造を形成する光導波層
や発光活性層の結晶欠陥密度が図9Bの絶縁膜マスクを
採用した素子より小さくなり、その結果、低閾値高効率
動作が可能となり、閾値電流も2/3から1/2の範囲
に低減できた。本素子も、室温において発振波長410
〜430nmの範囲でレーザ動作した。 〈実施例4〉本発明の他実施例を図10A及び図10B
により説明する。素子の作製は実施例2に準じるが、図
10Bに示すように、中央部の導波路構造を横に並べて
アレイ状に形成するための絶縁膜マスク4のパターン4
0を設けておく。これにより、実施例2の中央部導波路
を並列にしたストライプを形成し、フェーズド・アレイ
導波路構造を作製する。図10Aは図10BのE−E’
断面を示す。 【0075】本実施例では、中央部3つの導波路構造に
伝搬したレーザ光は、位相整合条件を満たすことで基本
モードとして外部に出力させることが可能であった。こ
の結果、実施例1乃至3の場合よりも高出力動作を実現
し、実施例2で得られた最高光出力より少なくとも3〜
5倍の高出力を可能とした。本素子は、室温において発
振波長410〜430nmの範囲でレーザ動作した。 〈実施例5〉本発明の他実施例を図11A及び図11B
により説明する。素子の作製は実施例1にほぼ準じる
が、まず基板1上に例えばGaN バッファ層2,アン
ドープGaN 層13,アンドープGaInN/AlGa
N −DBR構造高反射膜14(DBR=Distributed G
ragg Reflector),n型GaN 光導波層3を結晶成長
する。さらに、図11Bに示すように、正六角形状の絶
縁膜マスクと窓領域をその周辺に設けておく。次に、実
施例1と同様にして層8まで形成した後引き続いてアン
ドープGaInN/AlGaN −DBR構造高反射膜1
5を選択成長する。DBR構造高反射膜15はDBR構
造高反射膜14と同様、複数のGaInN層とAlGa
N層とを交互に積層して成る積層構造を有する。 【0076】本実施例のように、垂直共振器構造(定義
は後述する)を有する半導体レーザ素子を作製する場
合、DBR構造高反射膜14と15とで、GaInN層
及びAlGaN層の少なくとも一方の元素組成比(G
a:InやAl:Ga)を変えることによりそれぞれの
積層構造全体は反射率が異なるようにすることが望まし
い。例えばDBR構造高反射膜15上面をレーザ出射端
面とする本実施例では、DBR構造高反射膜15の反射
率をDBR構造高反射膜14のそれより低くすることが
望ましい。また、DBR構造高反射膜14は、活性層6
を歪み量子井戸構造や歪超格子構造とする場合、基板側
に設けられたバッファ層2と活性層6との応力補償に利
用することもできる。 【0077】再び半導体レーザ素子作製プロセスの説明
に戻る。層15と層8及び層7をエッチング除去してリ
ッジストライプを形成した後に、層12を埋め込み、絶
縁膜9を形成する。上部のDBR構造高反射膜15は、
絶縁膜9を設けた後に、誘電体DBR構造高反射膜とし
て設け、エッチングして図11Aのように形成する。そ
の後、p側電極とn側電極を蒸着して、ストライプに垂
直な方向に劈開して共振器面を切り出し、スクライブに
より素子を分離して図11Aに示す素子縦断面を得る
(図11BのF−F’断面)。 【0078】本実施例では、上面が平坦で平滑な正六角
形状の結晶層により中央の絶縁膜マスク上に形成する導
波路を形成でき、その光導波層上に発光活性層を設ける
ことにより、面発光用の垂直共振器構造(基板1の主面
に対し略垂直方向に形成されたレーザ発振のための共振
器構造)が作製できた。本実施例が示す半導体レーザ素
子は、基板1の主面に対し略平行にレーザ発振のための
共振器構造を形成した前述の実施例1乃至4の半導体レ
ーザ素子と構成が異なり、レーザ光を基板1主面に直交
させるように発振するという機能的な特徴を有するもの
である。本素子では、DBR構造高反射膜によって、端
面(DBR構造高反射膜15の上面)の反射率を95〜
99%以上の高い値に安定に設定でき、実施例1から4
に示した素子(活性層側面にレーザで射端面を有する)
と比較すると、最も閾値電流を小さくできた。実施例3
の素子に比べて、少なくとも閾値電流を1/10から1
/30に低減することが可能であった。本素子は、室温
において発振波長410〜430nmの範囲でレーザ動
作した。 〈実施例6〉本発明の他実施例を説明する。本実施例で
は、サファイア(α-Al2O3)基板の代わりに、基板1
を六方晶系Wurtzite構造であり基板面方位が(0001)C 面
であるn型の炭化珪素(α-SiC)として、その上にn型G
aN バッファ層を設けて、その後実施例1から7まで
の素子構造を同様にして作製し、それぞれの素子断面を
得た。 【0079】本実施例によると、基板が導電性を有して
いるので、n側電極を基板裏面に蒸着して、結晶成長し
た接合のある面を下にして、マウント実装することが可
能であった。即ち、基板上面のp側電極から窒化物半導
体を経由して、基板下面のn側電極の方へと電流を通す
ことができた。これにより、放熱性を格段に向上させる
ことができた。本実施例では、他の実施例よりも高い温
度で動作するレーザ素子を得た。本素子は、室温におい
て発振波長410〜430nmの範囲でレーザ動作し
た。 〈実施例7〉本発明の実施例を図12A及び図12Bに
より説明する。本実施例は、実施例1乃至4で説明した
半導体装置と形状は似ているが、活性層の幅を広く取る
に好適な構成を開示する。 【0080】図12Aにおいて、例えば(0001)C 面を有
するサファイア(α-Al2O3)単結晶基板1上に、Ga
N バッファ層2,n型GaN 光導波層3まで有機金属
気相成長法により結晶成長する。その後、格子状に設け
た絶縁膜マスク4の四角形窓領域パターン40をリソグ
ラフィとエッチングにより形成する。このとき、格子状
窓領域を設けた絶縁膜マスク4の長手方向を該α- Al
2O3基板1の(11-20)A面と垂直な方向に設定しておく。
次に、n型GaN 光導波層5を選択成長し横方向に合
体して平坦な一つの光導波層となるまで結晶成長を持続
させ、その後に引き続いてAlGaN 光分離閉じ込め
層とGaN 量子障壁層及びGaInN量子井戸層から
なる圧縮歪多重量子井戸活性層6,p型GaN 光導波
層7を順次設ける。次に、リソグラフィにより、絶縁膜
マスク8を設ける。さらに、p型電極10とn型電極1
1のパターンを蒸着する。最後に、導波路ストライプに
垂直方向に劈開して共振器面を切り出し、スクライブに
より素子を分離して図12Aに示す素子縦断面(図12
BのG−G’断面)を得る。 【0081】本実施例によると、格子状からなる絶縁膜
マスク全幅を広くして発光活性層を5μm以上に設定す
ることにより横利得導波型の導波路構造となり、該絶縁
膜マスク全幅を狭くして発光活性層を1〜3μmの範囲
とすることにより屈折率導波型のBH構造を導波路構造
として設けることができた。本手法では、3次元的な核
生成の密度を高め、横方向への結晶層の合体を促進させ
るため、平坦で平滑な上面を有した光導波層5をまず形
成させることが可能であった。選択成長の引き続きによ
り、光導波層5の平坦な上面に、バルク成長で作製する
よりも平坦で高品質な結晶層からなる発光活性層と上部
導波路層を形成できるので、低光損失の光導波路構造を
達成することができた。本素子は、従来のバルク成長に
より形成した素子よりも低閾値でレーザ発振し、室温に
おける発振波長410〜430nmの範囲であった。 〈実施例8〉本発明の他の実施例を図13A及び図13
Bにより説明する。素子の作製は実施例7に準じるが、
図13Bに示す絶縁膜マスク4の四角形の窓領域パター
ン(目開き部)40を列によって四角形を互い違いに設
けておくところが異なる。 【0082】本実施例の絶縁膜マスク4のように、目開
き部40のパターン列によって一列ごとに半周期パター
ンをずらすことによって、隣接する目開き部の端部から
夫々絶縁膜上に向けてホモエピタキシャル成長する結晶
層の合体を促進させ、一様且つ平坦な半導体層を形成で
きる。更に目空き部を微細化することでパターン領域間
の幅の大きく取ることにより、平坦且つ好ましい形状の
ホモエピタキシャル成長層の面積を拡げることができ
る。 【0083】本実施例によると、実施例7よりも平坦で
平滑な上面を有した光導波層5を得ることができ、さら
にその上に平坦で高品質な結晶層からなる発光活性層と
上部導波路層を設けたBH導波路構造を形成できた。こ
の結果、実施例1より少なくとも閾値電流を半分以下に
低減することが可能であった。 【0084】一方、本発明の変形例を図13Cにより説
明する。この例では、絶縁膜マスク4の個々の窓領域パ
ターンを正六角形とした点が異なる。これにより、正六
角形の絶縁膜マスク窓領域において正六角形状の結晶層
を選択成長させ、列によって互い違いに結晶層を設ける
ことにより、個々の結晶層を容易に合体させ、平坦な一
つの光導波層を形成するようにした。この結果、図13
Bに示す絶縁膜マスクを用いる場合よりも平坦で平滑な
上面を有した光導波層5を得ることができ、さらにその
上に平坦で高品質な結晶層からなる発光活性層と上部導
波路層を設けたBH導波路構造を形成できた。この結
果、実施例7より少なくとも閾値電流を1/4以下に低
減することが可能であった。なお、図13Aは図13B
又は図13CのH−H’断面を示す。 〈実施例9〉本発明の他実施例を図14A及び図14B
により説明する。素子の作製は実施例8に準じるが、図
14Bに示すように、絶縁膜マスク4の両端の列を選択
成長のダミーパターンとして設けておく。このダミーパ
ターンの列と中央部3列のパターン上に設けた結晶層
は、互いに合体させないように、ダミーパターンと中央
部パターンの間隔を離しておく。このとき、中央部3列
パターン上の光導波層5を合体させ、その上に設ける層
6を一つの発光活性層構造とする。ダミーパターンに成
長した結晶層には電流を流さないように、絶縁膜でカバ
ーしておく。その他は、全く実施例3と同様のプロセス
を経て、図14Aに示す素子縦断面(図14BのJ−
J’断面)を得る。 【0085】本実施例では、図13Cに示した絶縁膜マ
スクを採用した実施例8の素子よりも平坦で平滑な上面
を有した光導波層5を得ることができ、さらにその上に
平坦で高品質な結晶層からなる発光活性層と上部導波路
層を設けることができた。この結果、図13Cに示した
絶縁膜マスクを採用した実施例8の素子より少なくとも
閾値電流を2/3から1/2の範囲に低減することが可
能であった。 〈実施例10〉本発明の他実施例を図15A及び図15
Bにより説明する。素子の作製工程は実施例9に準じる
が、図15Bに示すように、絶縁膜マスク4の両端の列
を選択成長用のダミーパターンとして設けておく。ま
た、中央部3列のパターン上に設けた結晶層において、
光導波層5を互いに合体させずに発光活性層を横方向に
列同志ではつなげないようにし、列内では個々の窓領域
に成長した光導波層5を合体させつなげるように、絶縁
膜マスクパターン間隔を調節する。これにより、各列に
おいて結晶層がつながったストライプを形成し、フェー
ズド・アレーにした導波路構造を作製する。両端列のダ
ミーパターンに成長した結晶層には、電流が生じないよ
うに絶縁膜でカバーした。図15Aは、図15BのK−
K’断面を示す。 【0086】本実施例では、中央部3つの列の導波路は
位相整合条件を満たした基本モード動作が可能であっ
た。この結果、実施例7乃至9の場合よりも高出力動作
を実現し、実施例9で得られた最高光出力より少なくと
も3倍以上の高出力を可能とした。また、絶縁膜マスク
のパターン幅を狭くして、ストライプ方向とは垂直な横
方向にも量子化させた量子細線として設け、これを横方
向にアレー状に並べることができた。 【0087】本実施例の変形例を図15Cにより説明す
る。素子の作製は図15Aの場合に準ずるが、絶縁膜マ
スク4の中央部3列のパターン上に設けた個々の結晶層
5乃至7は、互いに合体させない点が異なる。これによ
り、レーザ発振のための共振器長方向(図15Bにおけ
る上下方向)に延伸した結晶層が全くつながらない(換
言すれば、独立した)3本の微小導波路を平行させて形
成できる。この微小導波路の幅をある程度狭くすると、
この導波路に注入されるキャリアは共振器長に垂直な方
向に量子化される。また、両端の個々のダミーパターン
に成長した結晶層には電流を流さないように絶縁膜でカ
バーした。 【0088】図15Cの素子では、中央部3つの列を構
成する個々の窓領域の導波路構造は、個々の基板面に垂
直な光導波層により、多重反射共振器面を形成してい
る。これにより、図15Aの素子には見られない、線幅
の狭い縦単一モード動作が可能であった。また、図15
Cの素子はフェーズド・アレーを構成し、位相整合条件
を満たした基本モード動作であった。この結果、図15
Aの素子と同様に、実施例9において得られた最高光出
力より少なくとも3倍以上の高出力を可能とした。ま
た、絶縁膜マスク4のパターン幅を狭くして(即ち、目
開き部40の面積を小さくして)、共振器長方向に垂直
な方向にも個々の結晶層5乃至7を絶縁膜9で分断する
ことで、共振器長方向にも量子化させた量子箱が形成で
きる。この場合、複数の量子箱が基板1に対して2次元
的に(格子状に)配列された素子が実現できる。 〈実施例11〉本実施例乃至実施例14で述べる半導体
装置の構成では、結晶構造を有する領域(例えば、基
板)の上部に非晶質の絶縁層を複数段設ける技術思想に
基づくものである。いずれの絶縁層にも目開き部を設
け、絶縁層の段数分だけ上述の窒化物半導体層の選択成
長を繰り返す。ここで絶縁層の目開き部の位置は交互に
ずらし、例えば上から見てx段目の絶縁層の目開き部が
x+1段目の絶縁層により遮られるように配置すること
が望ましい。このような選択成長を繰り返すことで、最
上部の絶縁層上に形成される窒化物半導体層中に生じる
結晶欠陥密度を激減させるのが、この技術思想の目的で
ある。 【0089】本実施例乃至実施例14では、結晶基板上
に絶縁層を2段設け、2段目の絶縁層上に形成された窒
化物半導体層に光学的領域を形成した半導体レーザ素子
について説明するが、絶縁層の段数、即ち選択成長の繰
り返し回数は2段以上でもよい。即ち、絶縁層の段数は
光学的領域又はスイッチングされるキャリアの流れる領
域に要請される結晶の品質と、製造工程数に依存する生
産コストとの釣り合いから決められる。 【0090】本実施例乃至実施例14で論じる半導体レ
ーザ素子は、基板上部に2段の絶縁膜マスクを設け、窒
化物半導体の結晶からなる層を2段階の選択成長で形成
することにより、光学的領域(例えば、光導波路層)の
結晶転位密度を格段に低減するものである。即ち、1段
目の絶縁膜マスクでホモエピタキシャル成長される結晶
層の転位密度が104〜105/cm2範囲とすると、2
段目の絶縁膜マスクでホモエピタキシャル成長される結
晶層の転位密度は103〜104/cm2の範囲に低減さ
れる。この結晶転位密度は、既に実用化されている半導
体レーザ素子、即ち窒化物半導体以外のIII-V族半導体
材料(例えば、GaAs、InP)からなる基板上に作製した
素子の光学的領域に見られる転位密度とほぼ同レベルで
ある。このような光導波路層における欠陥密度の低減
は、光散乱による損失や深い準位による光吸収及びキャ
リアトラップによる利得損失を軽減するので、半導体レ
ーザ素子の低閾値高効率動作をもたらす。従って、2段
階以上の選択成長により低欠陥密度の高品質光導波路を
形成することで、例えば基本横モード制御の屈折率導波
構造における内部光損失を低減した低閾値高効率で動作
する半導体レーザ素子を実現できる。 【0091】さて、図16A及び図16Bを参照して本
実施例の半導体レーザ素子を説明する。 【0092】先ず、サファイア(α-Al2O3)単結晶基
板1の(0001)C面上に、図16Bに示す2つのストライ
プ状の開口部なる目開き部40を有する絶縁膜マスク4
を形成する。絶縁膜マスク4のストライプは、サファイ
ア基板1の(11-20)A面に平行に延伸するように形成され
る。次に、GaN バッファ層22,n型GaN 光導波
層23まで有機金属気相成長法により第一段階の選択成
長を行う。この際、n型GaN層23は2本のストライ
プ状開口部(目開き部)40に結晶成長し、中央部の絶
縁膜マスク上で横方向にホモエピタキシャル成長して合
体することにより、一つの結晶層を形成している。 【0093】その後、n型GaN層23上面に2段目の
絶縁膜マスク41を形成する。絶縁膜マスク41には、
絶縁膜マスク4の中央部(即ち、2本のストライプ状の
目開き部40に挟まれたマスキング領域)上部に、スト
ライプ状開口部として目開き部42が形成されている。
この目開き部42のストライプは、絶縁膜マスク4の目
開き部40のストライプに略平行に延伸するため、絶縁
膜マスク41上面から見ると目開き部40は絶縁膜マス
ク41により覆われている。この絶縁膜マスク41によ
り第二段階の選択成長を行うことにより、n型GaN
光導波層5,AlGaN光分離閉じ込め層とGaN 量
子障壁層及びGaInN 圧縮歪量子井戸層からなる圧
縮歪多重量子井戸活性層6,p型GaN 光導波層7,
p型GaInN コンタクト層8を順次設ける。次に、
リソグラフィにより絶縁膜9を設けて、p側電極10と
n側電極11を蒸着する。最後に、絶縁膜マスクのスト
ライプに垂直な方向に劈開して共振器面を切り出し、ス
クライブにより素子を分離して図16Aに示す素子縦断
面(図16BのL−L’断面)を得る。即ち、この半導
体素子は絶縁膜マスク41に形成された目開き部42の
ストライプ方向にレーザ光を発振する共振器構造を有す
る。 【0094】本実施例では、絶縁膜マスク4による選択
成長で得られた低結晶欠陥密度の半導体層23を土台と
して、この上に絶縁膜マスク41を設け、これによる選
択成長でレーザ発振のための導波路構造を形成すること
で、当該導波路構造における光損失を実施例1乃至10
の素子のそれに比べて低減することができた。即ち、基
板上に形成した絶縁膜マスク4上でホモエピタキシャル
成長させた窒化物半導体層(GaN層)23の結晶欠陥
密度が104〜105/cm2のレベルであったのに対
し、このホモエピタキシャル成長で形成したGaN層2
3を土台に、絶縁膜マスク41上でホモエピタキシャル
成長させた窒化物半導体層5〜8の結晶欠陥密度は10
3〜104/cm2のレベルに低減できた。 【0095】従って、窒化物半導体層5〜7により光学
的領域を形成することにより、この領域(発光活性層及
び光導波層)における結晶欠陥による光散乱損失や、領
域内の深い準位に起因した光吸収やキャリアトラップに
基づく利得損失等に起因する内部光損失を格段に下げる
ことが可能となった。また絶縁膜マスク41の窓領域幅
(目開き部42の寸法)の調節により光導波層5の幅を
制御することができ、これにより光導波層6の上に設け
る発光活性層6の幅を5μm以上に設定して利得導波型
構造を構成することも、また発光活性層6の幅を1〜3
μmの範囲に設定して実屈折率差で導波するBHストラ
イプ構造の屈折率導波型構造を構成することもできる。
本実施例におけるBHストライプ屈折率導波型構造の素
子では、利得導波型構造よりも低閾値動作が達成でき、
閾値電流は利得導波構造の素子よりも1/3 〜1/4 にまで
低減できた。本素子は、従来のバルク成長により形成し
た素子よりも低閾値高効率でレーザ動作し、室温におけ
る発振波長は410〜430nmの範囲であった。 【0096】本実施例の変形例を図16Cにより説明す
る。素子の作製は、上述の図16Aの場合と同じである
が、層8まで成長した後に、絶縁膜を利用したエッチン
グにより図16Cに示すように層7及び8にリッジスト
ライプ状に加工する。リッジストライプの底部幅は2〜
9μmの範囲に設定する。さらに、絶縁膜を利用してリ
ッジストライプの両側に埋込層12を形成する。埋込層
12は、選択成長によるn型GaN 電流狭窄層として
も、誘電体絶縁膜を埋め込んだ層としてもよい。絶縁膜
マスク4,41の仕様は図16Aの素子と同じであり、
埋込層12は目開き部42のストライプと略平行に延伸
したストライプとして形成される。なお、図16Cは図
16BのL−L’断面を示す。 【0097】図16Cの素子では、発光活性層6横方向
において、リッジストライプ幅にのみ有効に電流が注入
でき、複素屈折率差を設けた屈折率導波が達成できる。
また、発光活性層6に注入されるキャリアの流れは、目
開き部42に加えて埋込層12の間隙でも制限されるた
め、発光活性層6の所望の領域にキャリアを効率よく注
入でき、発光効率を上げられる。本素子は、図16Aの
素子のBHストライプ構造とほぼ同程度に低閾値でかつ
高効率でレーザ動作し、室温における発振波長は410
〜430nmの範囲であった。 〈実施例12〉本発明の他実施例を図17A及び図17
Bにより説明する。実施例11と同様に素子を作製する
が、n型GaN層23まで設けた後、図17Aに示す絶
縁膜マスク41に選択成長時のダミーパターンを両側に
2本加える。3本のストライプからなる目開き部42の
間隔は、絶縁膜マスク41の中央に位置する開口部(即
ち、目開き部)で形成される導波路構造とダミーパター
ン上に設けた結晶層が互いに合体させないように設定す
る。また、ダミーパターンに成長した結晶層には電流を
流さないように、絶縁膜9でカバーしておく。その他
は、全く実施例11と同様のプロセスにより、図17A
に示す素子縦断面(図17BのM−M’断面)を得る。 【0098】本実施例によると、中央部の導波路構造に
おいては異常成長を回避して結晶性や形状を改善し、よ
り平坦で平滑な矩形状のBHストライプ構造を形成でき
た。これにより、より低損失でレーザ光を導波できるよ
うになり、実施例11より少なくとも閾値電流を2/3 か
ら1/2 の範囲に低減することが可能であった。本素子
は、室温において発振波長410〜430nmの範囲で
レーザ動作した。 【0099】本実施例の変形例を図17Cにより説明す
る。この素子は、図16Cの素子と図17Aの素子を折
衷したものである。即ち、本実施例にてp型GaN 光
導波層7及びp型GaInN コンタクト層8をリッジ
ストライプ状に加工し、このリッジストライプ部の両側
に埋込層12を形成することで図17Cに示す縦断面構
造を有する半導体レーザ素子を得る。 【0100】図17Cの素子では、p型GaN 光導波
層7の中央に位置するリッジストライプ構造において実
施例11よりも結晶性や形状を改善した導波路構造を形
成できた。これにより、さらに低損失でレーザ光を導波
できるようになり、図16Cに示す素子より少なくとも
閾値電流を2/3 から1/2 の範囲に低減することが可能で
あった。本素子は、室温において発振波長410〜43
0nmの範囲でレーザ動作した。 〈実施例13〉本発明の他実施例を図18A及び図18
Bにより説明する。実施例11の図16Cの場合と同様
に素子を作製するが、層3と4を設ける前に、図18B
に示すように、目開き部40としてストライプ状の開口
部を少なくとも3つ形成した選択成長用の絶縁膜マスク
4を設けておく。層4の上には、絶縁膜マスク4の目開
き部(開口部)40をちょうど覆うようにして絶縁膜マ
スク41を設け、絶縁膜マスク41の目開き部(開口
部)42は絶縁膜マスク4のパターン上(即ち、目開き
部40に挟まれた領域)にくるように形成する。2段階
の選択成長により、絶縁膜を利用して2段階で結晶欠陥
の導入を抑制することが可能である。次に、絶縁膜マス
ク41の上において、結晶層を合体させて光導波層5を
形成した後は、実施例11と全く同様にして図18Aに
示す素子縦断面(図18BのN−N’断面)を得る。 【0101】本実施例では、実施例11及び12の素子
よりも光導波層5,7や発光活性層6における結晶欠陥
密度を低減でき、内部光損失を小さくすることが可能で
あった。これにより、図16Cや図17Cに示す素子に
比べて閾値電流を1/2 程度にまで低減できた。本素子
は、室温において発振波長410〜430nmの範囲で
レーザ動作した。 【0102】本実施例の変形例を図18Cにより説明す
る。この素子は、図17Cの素子と図18Aの素子を折
衷したものである。即ち、絶縁膜マスク41のストライ
プ状の目開き部42にダミーパターンが加えられてい
る。 【0103】図18Cの素子では、p型GaN 光導波
層7の中央に位置するリッジストライプ構造において図
18Aの素子よりも結晶性や形状を改善した導波路構造
を形成できた。これにより、さらに低損失でレーザ光を
導波できるようになり、図18Aの素子より少なくとも
閾値電流を2/3 から1/2 の範囲に低減することが可能で
あった。本素子は、室温において発振波長410〜43
0nmの範囲でレーザ動作した。 〈実施例14〉本発明の他実施例を説明する。素子の作
製は実施例11乃至13に記載のいずれかに準ずるが、
サファイア(α-Al2O3)基板の代わりに、基板1に六
方晶系Wurtzite構造であり基板面方位(0001)C 面のn型
炭化珪素(α-SiC)を用いる。その上にn型GaN バッ
ファ層を設けて、実施例11乃至13に記載のいずれの
素子構造を同様にして作製し、図16A−16C乃至図
18A−18Cに示す素子を得た。 【0104】本実施例によると、基板が導電性を有して
いるので、n側電極を基板裏面に蒸着して、結晶成長し
た接合のある面を下にヒートシンクにマウント実装する
ことが可能であり、基板上面のp側電極から窒化物半導
体を経由して、基板下面のn側電極の方へと電流を通す
ことができた。さらにSiC 基板の熱伝導度はサファイア
基板よりも大きい値を有しており、放熱性に優れてい
る。これらにより、熱放散性を格段に向上させることが
できた。本実施例では、他の実施例よりも高い温度で動
作するレーザ素子を得た。本素子は、室温において発振
波長410〜430nmの範囲でレーザ動作した。 〈まとめ〉以上、実施例1乃至14にて論じた本発明の
半導体光素子について、以下に知見をまとめる。 【0105】いずれの実施例においても、結晶構造を有
する第1領域上に非晶質構造の絶縁性材料からなる第2
領域を設ける第1工程と、この第2領域には下地となる
第1領域を露出するための目開き部を形成する第2工
程、更に第2領域上に、例えば第2領域を覆うように窒
化物半導体材料の結晶からなる第3領域を形成する第3
工程をこの順に実行して素子を作製している。この素子
作製の基本プロセスは、第3領域を形成するための結晶
成長を、その結晶成長の核が形成される領域を第2領域
に設けた目開き部に制限して行う本発明の技術思想に基
づくものである。即ち、核生成領域を目開き部の底部で
露見する第1領域の表面に限定し、ここにおける核生成
密度を高め、且つ第2領域上での核生成を抑止する。後
者の意義は、結晶成長に関する結論3の議論を参照され
たい。 【0106】実施例では、第1領域として六方晶系の結
晶構造を有するサファイア基板、炭化珪素基板、又はい
ずれかの基板の(0001)結晶面上にエピタキシャル成長し
た窒化物半導体層を用い、その(0001)結晶面上に第2領
域を形成し、さらに第2領域の上面(即ち、目開き部を
除く部分)を2次元的に覆うように成長した第3領域の
窒化物半導体結晶(GaN層)及びその上部にエピタキ
シャル成長させた組成の異なる窒化物半導体結晶(Al
GaInN)により光学的領域を形成している。第1領
域には立方晶系の一つであるZinc Blende 構造を有する
GaAs,InP,InAs,GaSb,GaP,Ga
AsP,又はGaInAs等からなる基板を用い、当該
基板又はその上にエピタキシャル成長した窒化物半導体
層の(111)結晶面上に第2領域を形成しても同様の素子
が得られる。ここで特筆すべきは、六方晶系の結晶構造
を有するサファイア基板又は炭化珪素を用い、その(000
1)結晶面上に窒化物半導体層をヘテロエピタキシャル成
長させて(又は、バルク成長で)光学的領域を形成する
従来の半導体光素子において、当該光学的領域に生じる
結晶欠陥密度が108〜1011/cm2の範囲であるのに
対し、本発明による半導体光素子においては、六方晶系
又は立方晶系のいずれの結晶構造を有する基板を採用し
ても、光学的領域の104〜105/cm2の範囲又はそ
れ以下に低減できることである。さらに実施例11乃至
14に示す、非晶質構造の絶縁性材料からなる領域上に
形成した窒化物半導体層を第1領域とする手法では、第
2領域上面(即ち、目開き部を除く部分)に形成される
第3領域又はその上部に形成される光学的領域の結晶欠
陥密度は103〜104/cm2の範囲又はそれ以下に低
減できる。 【0107】本発明の半導体光素子では、上述のように
光学的領域(例えば、光導波層)を欠陥密度の低い、高
品質の窒化物半導体結晶で形成できるため、この光学的
領域における光損失(欠陥密度に概ね比例する)の低減
が図れる。即ち、光学的領域に結晶欠陥が生じると、こ
れによる光散乱損失、深い準位による光吸収、及びキャ
リアトラップのため、当該光学的領域における利得損失
を招く。本発明は、このような光学的領域での利得損失
を抑制し、当該光学的領域に生ずる内部光損失を格段に
下げるものであるため、当該光学的領域における光学利
得を向上してレーザ発振の低閾値動作を可能とする。 【0108】一方、本発明の半導体光素子では第3の領
域は第2の領域上で矩形状に成長し且つその成長面は略
平坦となる。このため、電流狭窄層で活性層横方向(共
振器長に対し垂直方向)に利得分布を形成する利得導波
型や活性層横方向に屈折率差を設けて基本横モードを安
定に導波する屈折率導波型の共振器を構成するリッジス
トライプ構造やBHストライプ構造を窒化物半導体によ
り平滑な形状で実現できる。 【0109】以上に述べた、本発明の半導体光素子にて
初めて実現される光学的領域の結晶欠陥低減と平滑な矩
形構造は、例えば半導体レーザ素子の性能として、レー
ザ発振のための閾値電流を少なくとも従来素子の1/2 以
下に低減し、内部量子効率を少なくとも従来素子の2倍
以上に向上させた。本発明者が様々な素子構成で確認す
る範囲では、閾値電流は最良で従来素子の1/8 迄に低減
できた。このような性能向上は、半導体レーザ素子の低
閾値高効率動作に重要である。 【0110】さらに第2の領域に設ける目開き部の形状
により基本横モードでの高出力動作を達成できるフェー
ズド・アレイ構造や、閾値電流の低減に好適な面発光型
垂直共振器構造を実現できる。前者においては、個々の
絶縁膜マスク窓領域に形成した導波路構造を多重反射共
振器とすることにより、縦単一モード動作が達成でき
る。実施例11乃至14に示す構成の素子においては、
絶縁膜マスク窓領域幅の設計によって、活性層横方向に
実屈折率差を設けたBHストライプ屈折率導波構造や、
エッチング加工により複素屈折率差を設けたリッジスト
ライプ屈折率導波構造を作製することにより、レーザ発
振のための閾値電流は利得導波構造を有する従来の素子
よりも1/3 〜1/4 にまで低減できた。 【0111】なお、各実施例の素子における室温の発振
波長は、410〜430nmの範囲で青紫色波長域とし
たが、光学的領域を構成する窒化物半導体層の組成の設
定により、600nm以下の緑色から紫外光までの発光
が可能となる。この手法については、従来技術で列挙し
た文献を参照されたい。 【0112】 【発明の効果】本発明による半導体材料及びその製造方
法においては、窒化物半導体又は六方晶系の結晶構造を
有するIII −V族化合物半導体の結晶をその欠陥密度を
107/cm2以下に抑制して成長するに好適な基体が提供
される。従って、立方晶系の結晶構造を有するIII −V
族化合物半導体で既に実用化されている半導体装置を窒
化物半導体又は六方晶系の結晶構造を有するIII −V族
化合物半導体の結晶で構成し、実用化することができ
る。 【0113】さらに本発明による半導体装置のうち、半
導体光素子においては光学的領域における光損失やキャ
リア損失が低減できる。例えば、従来困難とされた窒化
物半導体からなる半導体レーザ素子による1000時間
の連続発振(CW発振)が、本発明により可能となる。
従って、本発明の半導体レーザ装置は、青緑色から青紫
色に至る所謂短波長のレーザ光を用いた民生機器、例え
ば高精細DVD、高記録密度のMD、レーザ・ディスプ
レイの実用化を促進するという波及効果をも及ぼすもの
である。
子構造の縦断面(図1BのA−A’断面)を示す図であ
る。図1Bは図1Aの半導体レーザ素子の絶縁膜上面を
示す図である。 【図2】図2は、六方晶系の結晶構造の単位構造を示す
図である。 【図3】図3Aは、本発明の結晶成長技術1に関して結
晶成長を時系列的に示す図である。図3Bは、本発明の
結晶成長技術1に関して結晶成長を時系列的に示す図で
ある。図3Cは、本発明の結晶成長技術1に関して結晶
成長を時系列的に示す図である。図3Dは、本発明の結
晶成長技術1に関して結晶成長を時系列的に示す図であ
る。図3Eは、本発明の結晶成長技術1に関して結晶成
長を時系列的に示す図である。 【図4】図4Aは、本発明の基本概念に係る非晶質構造
の絶縁膜上でのGaN結晶成長を時系列的に示す図であ
る。図4Bは、本発明の基本概念に係る非晶質構造の絶
縁膜上でのGaN結晶成長を時系列的に示す図である。
図4Cは、本発明の基本概念に係る非晶質構造の絶縁膜
上でのGaN結晶成長を時系列的に示す図である。図4
Dは、本発明の基本概念に係る非晶質構造の絶縁膜上で
のGaN結晶成長を時系列的に示す図である。図4E
は、本発明の基本概念に係る非晶質構造の絶縁膜上での
GaN結晶成長を時系列的に示す図である。 【図5】図5Aは、本発明の結晶成長技術2に関して結
晶成長を時系列的に示す図である。図5Bは、本発明の
結晶成長技術2に関して結晶成長を時系列的に示す図で
ある。図5Cは、本発明の結晶成長技術2に関して結晶
成長を時系列的に示す図である。図5Dは、本発明の結
晶成長技術2に関して結晶成長を時系列的に示す図であ
る。 【図6】図6Aは、本発明の結晶成長技術を応用した半
導体装置の量産プロセスを説明する図である。図6B
は、半導体装置の一完成例の縦断面図である。図6C
は、半導体装置の他の完成例の斜視図である。 【図7】図7Aは、本発明の実施例1の半導体光素子の
縦断面の一例を示す図である。図7Bは図7Aの素子中
に形成される絶縁膜マスクの上面図をである。図7Cは
素子の他の例の縦断面図である。 【図8】図8Aは、本発明の実施例2の半導体光素子の
一例の縦断面図である。図8Bは、図8Aの素子中に形
成される絶縁膜マスクの上面図である。図8Cは、素子
の他の例の縦断面図である。 【図9】図9Aは、本発明の実施例3の半導体光素子の
一例の縦断面図である。図9Bは図9Aの素子中に形成
される絶縁膜マスクの上面図である。図9Cは絶縁膜マ
スクの他の例の上面図である。 【図10】図10Aは、本発明の実施例4の半導体光素
子の一例の縦断面図である。図10Bは、図10Aの素
子中に形成される絶縁膜マスクの上面図である。 【図11】図11Aは、本発明の実施例5の半導体光素
子の一例の縦断面図である。図11Bは、図11Aの素
子中に形成される絶縁膜マスクの上面図である。 【図12】図12Aは、本発明の実施例7の半導体光素
子の一例の縦断面図である。図12Bは、図12Aの素
子中に形成される絶縁膜マスクの上面図である。 【図13】図13Aは、本発明の実施例8の半導体光素
子の一例の縦断面図である。図13Bは、図13Aの素
子中に形成される絶縁膜マスクの上面図である。図13
Cは、素子の他の例の縦断面図である。 【図14】図14Aは、本発明の実施例9の半導体光素
子の一例の縦断面図である。図14Bは、素子中に形成
される絶縁膜マスクの上面図を示す。 【図15】図15Aは、本発明の実施例10の半導体光
素子の一例の縦断面図である。図15Bは、図15Aの
素子中に形成される絶縁膜マスクの上面図である。図1
5Cは、素子の他の例の縦断面図である。 【図16】図16Aは、本発明の実施例11の半導体光
素子の一例の縦断面図である。図16Bは、図16Aの
素子中に形成される絶縁膜マスクの上面図である。図1
6Cは、素子の他の例の縦断面図である。 【図17】図17Aは、本発明の実施例12の半導体光
素子の一例の縦断面図である。図17Bは、図17Aの
素子中に形成される絶縁膜マスクの上面図である。図1
7Cは、素子の他の例の縦断面図を示す。 【図18】図18Aは、本発明の実施例14の半導体光
素子の一例の縦断面図である。図18Bは、素子中に形
成される絶縁膜マスクの上面図である。図18Cは、素
子の他の例の縦断面図を示す。 【図19】図19は、透過電子顕微鏡(TEM)により
撮影された図3Dに相当する写真である。 【図20】図20は、走査電子顕微鏡(SEM)により
撮影された図5Cに相当する写真である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】構成元素として少なくとも窒素を含む化合
物半導体の結晶からなる第1の領域と非晶質構造の絶縁
体からなる第2の領域を有することを特徴とする半導体
装置。
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-
2003
- 2003-04-25 JP JP2003120888A patent/JP2003309331A/ja active Pending
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