JP2004010367A - 延伸加熱炉およびこれを用いた光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素による炉心管などの周辺部材の劣化を防止し、長寿命化を図る。炉心管の劣化による取替え頻度を低減し、短時間で生産性よく延伸処理を行うことができる延伸方法を提供する。
【解決手段】ヒータ2を具備した炉体1と、この炉体1内に配設された炉心管3とを具備し、炉心管3内にガラス母材10を挿通し、前記ガラス母材を前記ヒータに対して相対的に移動しながら引っ張り、所望の外径のガラス母材を形成するようにした延伸加熱炉において、前記炉心管内部を外気から遮断し得るように形成された仕切り部材6を前記炉心管の下端部に配設したことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】ヒータ2を具備した炉体1と、この炉体1内に配設された炉心管3とを具備し、炉心管3内にガラス母材10を挿通し、前記ガラス母材を前記ヒータに対して相対的に移動しながら引っ張り、所望の外径のガラス母材を形成するようにした延伸加熱炉において、前記炉心管内部を外気から遮断し得るように形成された仕切り部材6を前記炉心管の下端部に配設したことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、延伸加熱炉およびこれを用いた光ファイバ母材の製造方法に係り、炉心管の劣化防止に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光通信などに使用される光ファイバを形成するための光ファイバ母材は、以下のようにして形成される。すなわち、ガラス微粒子堆積体を形成した後、脱水焼結工程、必要に応じてコラプス工程を経て形成されたガラス母材は、延伸加熱炉において、加熱して所望の外径となるように延伸がなされ、光ファイバ母材として、線引工程に導入せしめられる。
このようなガラス微粒子堆積体の形成方法としては、出発部材にコアとなる屈折率の高いガラス微粒子を堆積し、その外側にクラッドとなるガラス微粒子を堆積するOVD法(Outer Vapor phase Deposition:外付け法)や、軸方向にコア、クラッドとなるガラス微粒子を堆積するVAD法(Vapor phase Axial Deposition:気相軸付法)等の気相合成法が知られている。
【0003】
このような気相合成法においてガラス微粒子堆積体を形成した後、脱水焼結工程を経て、ガラス母材を形成し、このガラス母材を線引し、被覆することによって光ファイバ心線が形成される。通常は、脱水焼結工程を経たガラス母材を加熱しながら所望の外径となるように延伸した後、この線引がなされる。
【0004】
この延伸工程は次のように実行される。まず、加熱炉の中に、上方から上端を把持されたガラス母材を鉛直に挿入すると共に、下方から引っ張り棒を挿入し、両者を加熱して、ガラス母材の下端と引っ張り棒を挿入し、両者を加熱してガラス母材の下端と引っ張り棒の上端を溶着させる。
【0005】
この後、そしてガラス母材の上端把持装置を一定速度で下降させながら、引っ張り棒をそれより高い速度で下降させて、ガラス母材を延伸する。このとき引っ張り棒の下降速度、および加熱温度を調整しつつ延伸後のガラス母材の外径が制御される。
【0006】
従来、この延伸工程で用いられる延伸加熱炉は、図9に示すように、
炉体1にカーボン製のヒータ2を設け、更にこの内側に、カーボン製の炉心管3を形成してなるものである。この炉心管3の内部にガラス母材10を設置し、このガラス母材10の両端に露呈するダミーロッド11、12を介してそれぞれ上側駆動部5および下側駆動部8で把持し、下側駆動部8の下降速度が上側駆動部5の下降速度よりも大きくなるように下降させ延伸を行う。
【0007】
このとき延伸工程では2000℃程度に昇温されるため、炉心管3の劣化を防ぐべく、不活性ガスを導入部7a、7bから炉心管内に供給し、外部からのガスの浸入を遮断するために、炉心管3内に開口するようにガス吸引通路7cを形成して炉心管の劣化を防止する方法が提案されている(特開2000−095537)。
【0008】
また、不活性ガスを炉内に供給して、炉心管の中を正圧に保つ維持することにより、炉心管の消耗を少なくして寿命を延ばす方法も提案されている(特開平11−106231)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような炉心管では、不活性ガスでシールするとしても、炉心管の下側から酸素が巻き込んでしまい、炉心管を劣化させ易いという問題があった。特に、延伸工程では、15〜30分予熱して炉内温度を1700℃〜2000℃に加熱しなければならないため、この予熱時間における酸素による劣化も大きく、炉心管の寿命が短くなってしまうという問題があった。
また、連続して多数本のガラス母材を延伸する場合、延伸前の待機時においても、高温であるため、酸素による劣化が問題となる。
【0010】
そこで本発明の延伸加熱炉は、酸素による炉心管などの周辺部材の劣化を防止し、長寿命化を図ることを目的とする。
また本発明のガラス母材の製造方法では、炉心管の劣化による取替え頻度を低減し、短時間で生産性よく延伸処理を行うことができる延伸方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の延伸加熱炉によれば、ヒータを具備した炉体と、
前記炉体内に配設された炉心管と、前記炉心管内部を外気から遮断し得るように前記炉心管の下端部に配設された仕切り部材とを具備し、
前記炉心管内にガラス母材を挿通し、前記ガラス母材を前記ヒータに対して相対的に移動しながら引っ張り、所望の外径のガラス母材を形成するように構成されたことを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、延伸炉を昇温中若しくは延伸待機中に、母材を引き出すための開口部を仕切り部材によって封止しているため、酸素を完全に遮断することができ、カーボン部品の劣化を抑制することが可能となる。
【0013】
望ましくは、前記仕切り部材は、前記炉心管の下端部の開口部に装着され、開閉可能に形成することにより、必要に応じて、容易に作業性よく炉心管内を開閉することができ、酸素の遮断が容易となる。
【0014】
また望ましくは、仕切り部材は、前記炉心管の下端部の開口部に形成される蓋体で構成し、開口部に対して着脱可能に形成することにより、延伸工程を開始する際には、この蓋体をはずすことができ、作業性よく延伸工程に入ることができる。
【0015】
また望ましくは、この仕切り部材は、炉心管内部の圧力上昇によって開放可能に形成する。炉内には、窒素ガスなどの不活性ガスを常時供給しているので、オーバーフロー分を炉の内部から外部に排出する必要がある。このように仕切り部材に逆止弁機構を備えることにより、炉外部からの酸素の浸入を防ぎ、炉内の圧力を高めることなく不活性ガスを排出することができる。なおこの仕切り部材は弾性部材を介して前記炉心管の開口部に装着し、自動的に閉状態に戻るように形成しても良い。仕切り部材のヒンジ部分が支点となるように錘などを装着することにより所望の位置で保持できるようなストッパ機能を持たせることも可能である。
【0016】
更に望ましくは、この仕切り部材は、金属材料と前記金属材料の内側に配設された断熱材との2層構造で構成するようにすれば、酸素の遮断のみならず、断熱性も向上し、熱効率の向上を図ることが可能となる。更に望ましくはこの断熱材はカーボンあるいはシリコンカーバイドで構成することにより高温下で安定である。
【0017】
また本発明のガラス母材の延伸方法では、ヒータを具備した炉体と、前記炉体内に配設された炉心管とを具備してなる延伸加熱炉に、前記炉心管内にガラス母材を挿通する工程と、延伸工程に先立ち、前記炉心管の下端部の開口部を封止する工程と、前記炉心管内に不活性ガスを供給しながら、前記炉心管内を延伸温度に昇温する昇温工程と、延伸に先立ち開口部を開き、前記ガラス母材を下端から引っ張りながら、延伸を行う延伸工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
かかる構成によれば、延伸炉を昇温中若しくは延伸待機中に、開口部を封止しているため、酸素を完全に遮断することができ、カーボン部品の劣化を抑制し、作業性よく延伸を行うことが可能となる。
【0019】
また望ましくは、昇温工程において、開口部を封止した状態で延伸温度まで昇温し、昇温後、延伸に先立ち、前記開口部を開くようにする。これにより、昇温中は、酸素の流入を遮断することができ、炉心管などの周辺部材の劣化を防止しつつ効率よく延伸を行うことが可能となる。
【0020】
また、延伸工程において、複数本のガラス母材を連続して延伸する場合に、延伸工程間のインターバルに開口部を封止するようにすれば、熱効率も良好である。また、かかる構成により、高温下にあるときには酸素を遮断しているため、炉心管などの周辺部材の劣化を防ぐことが可能となる。また、ガラス母材の装着および取り外し時に酸素が遮断されているため、ヒータをオフにすることなく延伸温度に近い温度のまま取り替えを行うこともでき、昇温工程が短くてすむことになり、全体としての処理時間を低減することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
この方法では、図9に示した延伸加熱炉の下端に図2に示すように、外方に向かって突出する領域を含むカーボン製の蓋体6を着脱可能となるように設けたことを特徴とするものである。他の部分については図9に示した従来例の延伸加熱炉と同様に形成されている。まず、図1に示すように、ヒータ2を具えた加熱炉の炉心管3内に光ファイバ母材を装着し、図2に示すように、蓋体6を装着し、昇温する。そして昇温完了後、図3に示すように、蓋体6をはずし、下側駆動部8を装着し、延伸が行われる。
【0022】
すなわちこの延伸加熱炉は、カーボン製のヒータ2を有する炉体1と、この炉体1内に装着されたカーボン製の炉心管3と、炉心管の下端部を封止する蓋体6と、炉心管の上端部を封止する気密板6とで構成されており、ヒータ2によってガラス母材10加熱延伸し、所望径のガラス母材を形成するものである。
【0023】
炉心管3の内部に、ガラス母材10を設置し、このガラス母材10の両端に露呈するダミーロッド11、12を介してそれぞれ上側駆動部5および下側駆動部8で把持し、下側駆動部8の下降速度が上側駆動部5の下降速度よりも大きくなるように下降させ、延伸を行うように構成されている。さらにまた、この炉心管内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入部7a、7bが形成されており、不活性ガスの供給により酸化を防止し得るように構成されている。ここで上側駆動部5および下側駆動部8はそれぞれダミーロッド11,12を把持するチャックと、このチャックを介して、ガラス母材に上下方向の引っ張り応力をかけるように上下駆動を行うと共に、必要に応じてガラス母材を回転駆動する駆動部とで構成されている。
【0024】
図3は、延伸を行う際、蓋体6を外した状況を示す図である。
この延伸加熱炉を用いて、図4に炉内の温度プロファイルを示すようにして延伸が実行される。
【0025】
本発明の第1の実施の形態によれば、延伸炉を昇温中若しくは延伸待機中に、母材を引き出すための炉心管の下端部の開口部を蓋体6によって封止しているため、酸素を完全に遮断することができ、カーボン部品の劣化を抑制することが可能となる。また着脱可能であるため、延伸工程を開始する際には、この蓋体6をはずすことにより、作業性よく延伸工程に入ることができる。
【0026】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。この実施の形態では、図5に示すように、前記炉心管の下端部の開口部に形成される仕切り部材としての蓋体を、本体部6aと、炉心管内部の圧力上昇によって開放可能に形成された逆止弁6bとで構成したことを特徴とする。他部については前記第1の実施の形態と同様に形成されている。
【0027】
かかる構成によれば、炉内には、窒素ガスなどの不活性ガスを常時供給しているので、オーバーフロー分を炉の内部から外部に排出する必要がある。このように仕切り部材に逆止弁機構を備えることにより、炉心管外部からの酸素の浸入を防ぎ、炉内の圧力を高めることなく不活性ガスを排出することができる。
【0028】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。この実施の形態では、図6および図7に示すように、前記炉心管の下端部の開口部に形成される仕切り部材としての蓋体を、アルミニウムからなる外側部材16aと、この外側部材16aの内側に配設されたカーボン製の断熱材からなる内側部材16bとの二層構造で構成する本体部16と、炉心管内部の圧力上昇によって開放可能に形成された逆止弁17とを具備したことを特徴とする。他部については前記第1および第2の実施の形態と同様に形成されている。
【0029】
かかる構成によれば、上記第1および第2の実施の形態による効果に加え、酸素の遮断のみならず、断熱性も向上し、熱効率の向上を図ることが可能となる。
【0030】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4実施の形態について説明する。この実施の形態では、図8に示すように、下側のダミーロッド12Sを短く形成し、炉心管内部に収まるように形成しており、従って炉心管3の下端に着脱可能に装着される蓋体26はカーボン板で構成されている。
かかる構成によれば、構造が簡単である。ただ、下側駆動部は、炉心管内に挿通可能なように形成される必要がある。
他部については前記第1および第2の実施の形態と同様に形成されている。
【0031】
かかる構成によれば、上記第1乃至第3の実施の形態による効果に加え、簡単な構造で、より効率よく酸素の遮断および、断熱を行うことができる。また、短時間で延伸を実行することが可能となり、高速で光ファイバ母材を形成することが可能となる。
なお、この蓋体26は着脱自在に形成され、延伸時にはとり外して使用するようにしているが、この蓋体は、弾性部材を介して開閉可能に形成しても良い。また錘などを用いて開状態を維持できるようにすることも可能である。
【0032】
(実施例1)
次に本発明の第1の実施例について説明する。
前記第1の実施の形態で説明した、図1乃至図3に示した延伸加熱炉を用い、延伸を行った。
まず、図1に示すように、上側のダミーロッド11を介して上側駆動部5にガラス母材10を装着し、不活性ガス導入部7a、7bから不活性ガスとしての窒素ガスを30〜50リットル/分で導入する(図4ポイントA)。
【0033】
この後図2に示すように、炉心管3の下端部の開口部に蓋体を装着する。この状態で、ヒータ2をオンし、炉内温度を常温から1700〜2000℃に昇温する。図4に示すようにこの昇温開始点Bから目的温度である1700〜2000℃(目的点C)に到達するまでには15から30分を必要とした。
【0034】
このようにして目的温度に到達すると、図3に示すように、蓋体6を外して、下側駆動部8を下側のダミーロッド12の下端に取付け、上側駆動部5および下側駆動部8で把持し、下側駆動部8の下降速度が上側駆動部5の下降速度よりも大きくなるように下降させ延伸を行う。延伸所要時間は約1時間であった。
【0035】
そして、延伸終了後にヒータをオフにし、炉心管温度を常温まで下げた。
このようにしてこの延伸加熱炉を用いて繰り返し延伸処理を行った。
本実施例の延伸加熱方法によれば、延伸開始から延伸終了までの時間を延伸時間とすると、炉心管1本あたりの寿命は延伸時間にして250時間であった。
【0036】
(比較例)
比較例として、蓋体6を設けることなく、炉心管3の下端の開口部はそのままの状態で、他はまったく同様にして延伸処理を行った。
比較例の延伸加熱方法によれば、延伸開始から延伸終了までの時間を延伸時間とすると、炉心管1本あたりの寿命は延伸時間にして200時間であった。
【0037】
本発明の第1の実施例と比較例との比較により、炉心管寿命が25%も増大したことがわかる。
【0038】
また、延伸していない待機状態においても、蓋体を装着することにより、空気中の酸素を炉心管から遮断することができる。従って、炉心管温度を下げることなく、連続して次のガラス母材を装着し延伸することができるため、1回の延伸処理に対して延伸加熱炉の昇温時間を10から20分削減することが可能となる。
【0039】
なお、前記実施の形態では、ヒータを炉心管の外側に配設しているが、必ずしも、炉心管の外側でなくてもよく適宜変更可能である。また、ヒータとしては通常電気ヒータが用いられるが、誘導加熱される加熱媒体を用いるようにしてもよい。またヒータに対してガラス母材を移動させるようにしているが、ヒータを移動させるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0040】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の延伸加熱炉によれば、炉心管等の周辺部品の劣化を防止し、長寿命化を図ることが可能となる。
【0041】
本発明の光ファイバ母材の製造方法によれば、炉心管温度を下げることなく、ガラス母材を装着することができるため、予熱時間が大幅に短縮され、延伸処理に要する時間を短縮することができ、生産性を大幅に向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の延伸加熱炉を用いた延伸方法を示す温度プロファイル図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の延伸加熱炉の要部拡大図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図9】従来例の延伸加熱炉を示す図である。
【符号の説明】
1 炉体
2 ヒータ
3 炉心管
4 気密板
5 上側駆動部
6 蓋体
7a、7b 不活性ガス導入部
10 ガラス母材
11 ダミーロッド
12 ダミーロッド
18 下側駆動部
【発明の属する技術分野】
この発明は、延伸加熱炉およびこれを用いた光ファイバ母材の製造方法に係り、炉心管の劣化防止に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光通信などに使用される光ファイバを形成するための光ファイバ母材は、以下のようにして形成される。すなわち、ガラス微粒子堆積体を形成した後、脱水焼結工程、必要に応じてコラプス工程を経て形成されたガラス母材は、延伸加熱炉において、加熱して所望の外径となるように延伸がなされ、光ファイバ母材として、線引工程に導入せしめられる。
このようなガラス微粒子堆積体の形成方法としては、出発部材にコアとなる屈折率の高いガラス微粒子を堆積し、その外側にクラッドとなるガラス微粒子を堆積するOVD法(Outer Vapor phase Deposition:外付け法)や、軸方向にコア、クラッドとなるガラス微粒子を堆積するVAD法(Vapor phase Axial Deposition:気相軸付法)等の気相合成法が知られている。
【0003】
このような気相合成法においてガラス微粒子堆積体を形成した後、脱水焼結工程を経て、ガラス母材を形成し、このガラス母材を線引し、被覆することによって光ファイバ心線が形成される。通常は、脱水焼結工程を経たガラス母材を加熱しながら所望の外径となるように延伸した後、この線引がなされる。
【0004】
この延伸工程は次のように実行される。まず、加熱炉の中に、上方から上端を把持されたガラス母材を鉛直に挿入すると共に、下方から引っ張り棒を挿入し、両者を加熱して、ガラス母材の下端と引っ張り棒を挿入し、両者を加熱してガラス母材の下端と引っ張り棒の上端を溶着させる。
【0005】
この後、そしてガラス母材の上端把持装置を一定速度で下降させながら、引っ張り棒をそれより高い速度で下降させて、ガラス母材を延伸する。このとき引っ張り棒の下降速度、および加熱温度を調整しつつ延伸後のガラス母材の外径が制御される。
【0006】
従来、この延伸工程で用いられる延伸加熱炉は、図9に示すように、
炉体1にカーボン製のヒータ2を設け、更にこの内側に、カーボン製の炉心管3を形成してなるものである。この炉心管3の内部にガラス母材10を設置し、このガラス母材10の両端に露呈するダミーロッド11、12を介してそれぞれ上側駆動部5および下側駆動部8で把持し、下側駆動部8の下降速度が上側駆動部5の下降速度よりも大きくなるように下降させ延伸を行う。
【0007】
このとき延伸工程では2000℃程度に昇温されるため、炉心管3の劣化を防ぐべく、不活性ガスを導入部7a、7bから炉心管内に供給し、外部からのガスの浸入を遮断するために、炉心管3内に開口するようにガス吸引通路7cを形成して炉心管の劣化を防止する方法が提案されている(特開2000−095537)。
【0008】
また、不活性ガスを炉内に供給して、炉心管の中を正圧に保つ維持することにより、炉心管の消耗を少なくして寿命を延ばす方法も提案されている(特開平11−106231)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような炉心管では、不活性ガスでシールするとしても、炉心管の下側から酸素が巻き込んでしまい、炉心管を劣化させ易いという問題があった。特に、延伸工程では、15〜30分予熱して炉内温度を1700℃〜2000℃に加熱しなければならないため、この予熱時間における酸素による劣化も大きく、炉心管の寿命が短くなってしまうという問題があった。
また、連続して多数本のガラス母材を延伸する場合、延伸前の待機時においても、高温であるため、酸素による劣化が問題となる。
【0010】
そこで本発明の延伸加熱炉は、酸素による炉心管などの周辺部材の劣化を防止し、長寿命化を図ることを目的とする。
また本発明のガラス母材の製造方法では、炉心管の劣化による取替え頻度を低減し、短時間で生産性よく延伸処理を行うことができる延伸方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の延伸加熱炉によれば、ヒータを具備した炉体と、
前記炉体内に配設された炉心管と、前記炉心管内部を外気から遮断し得るように前記炉心管の下端部に配設された仕切り部材とを具備し、
前記炉心管内にガラス母材を挿通し、前記ガラス母材を前記ヒータに対して相対的に移動しながら引っ張り、所望の外径のガラス母材を形成するように構成されたことを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、延伸炉を昇温中若しくは延伸待機中に、母材を引き出すための開口部を仕切り部材によって封止しているため、酸素を完全に遮断することができ、カーボン部品の劣化を抑制することが可能となる。
【0013】
望ましくは、前記仕切り部材は、前記炉心管の下端部の開口部に装着され、開閉可能に形成することにより、必要に応じて、容易に作業性よく炉心管内を開閉することができ、酸素の遮断が容易となる。
【0014】
また望ましくは、仕切り部材は、前記炉心管の下端部の開口部に形成される蓋体で構成し、開口部に対して着脱可能に形成することにより、延伸工程を開始する際には、この蓋体をはずすことができ、作業性よく延伸工程に入ることができる。
【0015】
また望ましくは、この仕切り部材は、炉心管内部の圧力上昇によって開放可能に形成する。炉内には、窒素ガスなどの不活性ガスを常時供給しているので、オーバーフロー分を炉の内部から外部に排出する必要がある。このように仕切り部材に逆止弁機構を備えることにより、炉外部からの酸素の浸入を防ぎ、炉内の圧力を高めることなく不活性ガスを排出することができる。なおこの仕切り部材は弾性部材を介して前記炉心管の開口部に装着し、自動的に閉状態に戻るように形成しても良い。仕切り部材のヒンジ部分が支点となるように錘などを装着することにより所望の位置で保持できるようなストッパ機能を持たせることも可能である。
【0016】
更に望ましくは、この仕切り部材は、金属材料と前記金属材料の内側に配設された断熱材との2層構造で構成するようにすれば、酸素の遮断のみならず、断熱性も向上し、熱効率の向上を図ることが可能となる。更に望ましくはこの断熱材はカーボンあるいはシリコンカーバイドで構成することにより高温下で安定である。
【0017】
また本発明のガラス母材の延伸方法では、ヒータを具備した炉体と、前記炉体内に配設された炉心管とを具備してなる延伸加熱炉に、前記炉心管内にガラス母材を挿通する工程と、延伸工程に先立ち、前記炉心管の下端部の開口部を封止する工程と、前記炉心管内に不活性ガスを供給しながら、前記炉心管内を延伸温度に昇温する昇温工程と、延伸に先立ち開口部を開き、前記ガラス母材を下端から引っ張りながら、延伸を行う延伸工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
かかる構成によれば、延伸炉を昇温中若しくは延伸待機中に、開口部を封止しているため、酸素を完全に遮断することができ、カーボン部品の劣化を抑制し、作業性よく延伸を行うことが可能となる。
【0019】
また望ましくは、昇温工程において、開口部を封止した状態で延伸温度まで昇温し、昇温後、延伸に先立ち、前記開口部を開くようにする。これにより、昇温中は、酸素の流入を遮断することができ、炉心管などの周辺部材の劣化を防止しつつ効率よく延伸を行うことが可能となる。
【0020】
また、延伸工程において、複数本のガラス母材を連続して延伸する場合に、延伸工程間のインターバルに開口部を封止するようにすれば、熱効率も良好である。また、かかる構成により、高温下にあるときには酸素を遮断しているため、炉心管などの周辺部材の劣化を防ぐことが可能となる。また、ガラス母材の装着および取り外し時に酸素が遮断されているため、ヒータをオフにすることなく延伸温度に近い温度のまま取り替えを行うこともでき、昇温工程が短くてすむことになり、全体としての処理時間を低減することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光ファイバ母材の製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
この方法では、図9に示した延伸加熱炉の下端に図2に示すように、外方に向かって突出する領域を含むカーボン製の蓋体6を着脱可能となるように設けたことを特徴とするものである。他の部分については図9に示した従来例の延伸加熱炉と同様に形成されている。まず、図1に示すように、ヒータ2を具えた加熱炉の炉心管3内に光ファイバ母材を装着し、図2に示すように、蓋体6を装着し、昇温する。そして昇温完了後、図3に示すように、蓋体6をはずし、下側駆動部8を装着し、延伸が行われる。
【0022】
すなわちこの延伸加熱炉は、カーボン製のヒータ2を有する炉体1と、この炉体1内に装着されたカーボン製の炉心管3と、炉心管の下端部を封止する蓋体6と、炉心管の上端部を封止する気密板6とで構成されており、ヒータ2によってガラス母材10加熱延伸し、所望径のガラス母材を形成するものである。
【0023】
炉心管3の内部に、ガラス母材10を設置し、このガラス母材10の両端に露呈するダミーロッド11、12を介してそれぞれ上側駆動部5および下側駆動部8で把持し、下側駆動部8の下降速度が上側駆動部5の下降速度よりも大きくなるように下降させ、延伸を行うように構成されている。さらにまた、この炉心管内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入部7a、7bが形成されており、不活性ガスの供給により酸化を防止し得るように構成されている。ここで上側駆動部5および下側駆動部8はそれぞれダミーロッド11,12を把持するチャックと、このチャックを介して、ガラス母材に上下方向の引っ張り応力をかけるように上下駆動を行うと共に、必要に応じてガラス母材を回転駆動する駆動部とで構成されている。
【0024】
図3は、延伸を行う際、蓋体6を外した状況を示す図である。
この延伸加熱炉を用いて、図4に炉内の温度プロファイルを示すようにして延伸が実行される。
【0025】
本発明の第1の実施の形態によれば、延伸炉を昇温中若しくは延伸待機中に、母材を引き出すための炉心管の下端部の開口部を蓋体6によって封止しているため、酸素を完全に遮断することができ、カーボン部品の劣化を抑制することが可能となる。また着脱可能であるため、延伸工程を開始する際には、この蓋体6をはずすことにより、作業性よく延伸工程に入ることができる。
【0026】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。この実施の形態では、図5に示すように、前記炉心管の下端部の開口部に形成される仕切り部材としての蓋体を、本体部6aと、炉心管内部の圧力上昇によって開放可能に形成された逆止弁6bとで構成したことを特徴とする。他部については前記第1の実施の形態と同様に形成されている。
【0027】
かかる構成によれば、炉内には、窒素ガスなどの不活性ガスを常時供給しているので、オーバーフロー分を炉の内部から外部に排出する必要がある。このように仕切り部材に逆止弁機構を備えることにより、炉心管外部からの酸素の浸入を防ぎ、炉内の圧力を高めることなく不活性ガスを排出することができる。
【0028】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。この実施の形態では、図6および図7に示すように、前記炉心管の下端部の開口部に形成される仕切り部材としての蓋体を、アルミニウムからなる外側部材16aと、この外側部材16aの内側に配設されたカーボン製の断熱材からなる内側部材16bとの二層構造で構成する本体部16と、炉心管内部の圧力上昇によって開放可能に形成された逆止弁17とを具備したことを特徴とする。他部については前記第1および第2の実施の形態と同様に形成されている。
【0029】
かかる構成によれば、上記第1および第2の実施の形態による効果に加え、酸素の遮断のみならず、断熱性も向上し、熱効率の向上を図ることが可能となる。
【0030】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4実施の形態について説明する。この実施の形態では、図8に示すように、下側のダミーロッド12Sを短く形成し、炉心管内部に収まるように形成しており、従って炉心管3の下端に着脱可能に装着される蓋体26はカーボン板で構成されている。
かかる構成によれば、構造が簡単である。ただ、下側駆動部は、炉心管内に挿通可能なように形成される必要がある。
他部については前記第1および第2の実施の形態と同様に形成されている。
【0031】
かかる構成によれば、上記第1乃至第3の実施の形態による効果に加え、簡単な構造で、より効率よく酸素の遮断および、断熱を行うことができる。また、短時間で延伸を実行することが可能となり、高速で光ファイバ母材を形成することが可能となる。
なお、この蓋体26は着脱自在に形成され、延伸時にはとり外して使用するようにしているが、この蓋体は、弾性部材を介して開閉可能に形成しても良い。また錘などを用いて開状態を維持できるようにすることも可能である。
【0032】
(実施例1)
次に本発明の第1の実施例について説明する。
前記第1の実施の形態で説明した、図1乃至図3に示した延伸加熱炉を用い、延伸を行った。
まず、図1に示すように、上側のダミーロッド11を介して上側駆動部5にガラス母材10を装着し、不活性ガス導入部7a、7bから不活性ガスとしての窒素ガスを30〜50リットル/分で導入する(図4ポイントA)。
【0033】
この後図2に示すように、炉心管3の下端部の開口部に蓋体を装着する。この状態で、ヒータ2をオンし、炉内温度を常温から1700〜2000℃に昇温する。図4に示すようにこの昇温開始点Bから目的温度である1700〜2000℃(目的点C)に到達するまでには15から30分を必要とした。
【0034】
このようにして目的温度に到達すると、図3に示すように、蓋体6を外して、下側駆動部8を下側のダミーロッド12の下端に取付け、上側駆動部5および下側駆動部8で把持し、下側駆動部8の下降速度が上側駆動部5の下降速度よりも大きくなるように下降させ延伸を行う。延伸所要時間は約1時間であった。
【0035】
そして、延伸終了後にヒータをオフにし、炉心管温度を常温まで下げた。
このようにしてこの延伸加熱炉を用いて繰り返し延伸処理を行った。
本実施例の延伸加熱方法によれば、延伸開始から延伸終了までの時間を延伸時間とすると、炉心管1本あたりの寿命は延伸時間にして250時間であった。
【0036】
(比較例)
比較例として、蓋体6を設けることなく、炉心管3の下端の開口部はそのままの状態で、他はまったく同様にして延伸処理を行った。
比較例の延伸加熱方法によれば、延伸開始から延伸終了までの時間を延伸時間とすると、炉心管1本あたりの寿命は延伸時間にして200時間であった。
【0037】
本発明の第1の実施例と比較例との比較により、炉心管寿命が25%も増大したことがわかる。
【0038】
また、延伸していない待機状態においても、蓋体を装着することにより、空気中の酸素を炉心管から遮断することができる。従って、炉心管温度を下げることなく、連続して次のガラス母材を装着し延伸することができるため、1回の延伸処理に対して延伸加熱炉の昇温時間を10から20分削減することが可能となる。
【0039】
なお、前記実施の形態では、ヒータを炉心管の外側に配設しているが、必ずしも、炉心管の外側でなくてもよく適宜変更可能である。また、ヒータとしては通常電気ヒータが用いられるが、誘導加熱される加熱媒体を用いるようにしてもよい。またヒータに対してガラス母材を移動させるようにしているが、ヒータを移動させるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0040】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の延伸加熱炉によれば、炉心管等の周辺部品の劣化を防止し、長寿命化を図ることが可能となる。
【0041】
本発明の光ファイバ母材の製造方法によれば、炉心管温度を下げることなく、ガラス母材を装着することができるため、予熱時間が大幅に短縮され、延伸処理に要する時間を短縮することができ、生産性を大幅に向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の延伸加熱炉を用いた延伸方法を示す温度プロファイル図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の延伸加熱炉の要部拡大図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態の延伸加熱炉を示す図である。
【図9】従来例の延伸加熱炉を示す図である。
【符号の説明】
1 炉体
2 ヒータ
3 炉心管
4 気密板
5 上側駆動部
6 蓋体
7a、7b 不活性ガス導入部
10 ガラス母材
11 ダミーロッド
12 ダミーロッド
18 下側駆動部
Claims (8)
- ヒータを具備した炉体と、
前記炉体内に配設された炉心管と、
前記炉心管内部を外気から遮断し得るように前記炉心管の下端部に配設された仕切り部材とを具備し、
前記炉心管内にガラス母材を挿通し、前記ガラス母材を前記ヒータに対して相対的に移動しながら引っ張り、所望の外径のガラス母材を形成するように構成されたことを特徴とする延伸加熱炉。 - 前記仕切り部材は、前記炉心管の下端部の開口部に装着され、開閉可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の延伸加熱炉。
- 前記仕切り部材は、前記炉心管の下端部の開口部に形成される蓋体であり、着脱可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の延伸加熱炉。
- 前記仕切り部材は、炉心管内部の圧力上昇によって開放可能に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の延伸加熱炉。
- 前記仕切り部材は、金属材料と前記金属材料の内側に配設された断熱材とからなる二層構造体で構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の延伸加熱炉。
- ヒータを具備した炉体と、前記炉体内に配設された炉心管とを具備してなる延伸加熱炉に、前記炉心管内にガラス母材を挿通する工程と、
延伸工程に先立ち、前記炉心管の下端部の開口部を封止する工程と、
前記炉心管内に不活性ガスを供給しながら、前記炉心管内を延伸温度に昇温する昇温工程と、
延伸に先立ち開口部を開き、前記ガラス母材を下端から引っ張りながら、延伸を行う延伸工程とを含むことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。 - 前記昇温工程は、前記開口部を封止した状態で延伸温度まで昇温する工程であり、昇温後、延伸に先立ち、前記開口部を開くようにしたことを特徴とする請求項6記載の光ファイバ母材の製造方法。
- 前記延伸工程は、複数本のガラス母材を連続して延伸する工程を含み、前記封止する工程は前記延伸工程間のインターバルに前記開口部を封止するようにしたことを特徴とする請求項6記載の光ファイバ母材の製造方法。
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| JP2002161933A JP2004010367A (ja) | 2002-06-03 | 2002-06-03 | 延伸加熱炉およびこれを用いた光ファイバ母材の製造方法 |
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| JP (1) | JP2004010367A (ja) |
-
2002
- 2002-06-03 JP JP2002161933A patent/JP2004010367A/ja active Pending
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