JP2004010488A - アレルゲンの腸管透過抑制剤 - Google Patents

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JP2004010488A JP2002161695A JP2002161695A JP2004010488A JP 2004010488 A JP2004010488 A JP 2004010488A JP 2002161695 A JP2002161695 A JP 2002161695A JP 2002161695 A JP2002161695 A JP 2002161695A JP 2004010488 A JP2004010488 A JP 2004010488A
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Michiko Watanabe
渡辺 道子
Jun Watanabe
渡辺 純
Mitsutoshi Nakajima
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Abstract

【課題】食物アレルギー予防に有効な、腸管透過抑制効果を有する新たな物質を提供すること。
【解決手段】トリプトファンエステル、フェニルアラニンエステルまたはチロシンエステルを有効成分とするアレルゲンの腸管透過抑制剤。2〜5個のアミノ酸からなり、少なくとも1つのトリプトファン、フェニルアラニンまたはチロシンを含むペプチドを有効成分とするアレルゲンの腸管透過抑制剤。香辛料からの抽出物を有効成分とするアレルゲンの腸管透過抑制剤。
【選択図】

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アレルゲンの腸管透過抑制剤に関する。さらに詳しくは、アミノ酸誘導体、オリゴペプチドまたは香辛料からの抽出物を有効成分とするアレルゲンの腸管透過抑制剤に関する。
本発明の腸管透過抑制剤は、腸管でのアレルゲン物質などの透過を抑制するので、アレルギー疾患などの予防や治療に有用である。
【0002】
【従来の技術】
食物アレルギー患者数の増加が社会問題となっている。食物アレルギーの症状は下痢、皮膚炎、喘息症状など様々である。食物アレルギーは腸管から吸収された食物由来のアレルギー原因物質(アレルゲン)により惹起される。実際、食物アレルギー患者では腸管からのアレルゲン吸収量が増加しており、このことがアレルギー発症に深く寄与していると考えられている(J. Allergy Clin. Immunol. 2000 97 985−990)。
【0003】
腸管における物質の透過には、腸管の上皮細胞間に存在するタイト・ジャンクション(tight Junction)が関与している。タイト・ジャンクションは、膜表層細胞同士を洩れなくシールし、表層細胞の周囲を鉢巻き状に取り囲んでおり、イオンなどの低分子物質は、このタイト・ジャンクションの間を通り抜けて体内に吸収される。消化されずに残った細菌、ウィルス、蛋白質などの巨大分子も腸管の上皮細胞間を通り抜けて体内に吸収される場合がある。この吸収が感染症や食物アレルギーを引き起こす原因のひとつと考えられている。
【0004】
タイト・ジャンクションの物質に対する透過性は一定でなく、グルコース、サイトカラシンDなどの存在は、タイト・ジャンクションの透過性を緩めるものである。さらに、β−ラクトグロブリンのようなホエー蛋白質またはその分解物は、タイト・ジャンクションの透過性を減少させることも知られている(特開平8−73375号公報)。このほかに、高分子量化合物の透過性を減少させる物質は他に知られていない。一方、アレルギーに起因する疾患は、現代病と言われるほどに多く、特に、食物アレルギー予防には、腸管透過抑制効果を有する探索が欠かせない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、食物アレルギー予防に有効かつ、製造、加工が容易で安全性が高い、腸管透過抑制効果を有する物質を提供することである。
【0006】
本発明者らは、腸管上皮細胞間の物質透過を抑制する物質について鋭意検討した結果、特定のアミノ酸誘導体、オリゴペプチド及び香辛料抽出物がアレルゲンの腸管物質透過を抑制する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、以下の通りである。
本発明のアレルゲンの腸管透過抑制剤は、トリプトファンエステル、フェニルアラニンエステルまたはチロシンエステルを有効成分とする。このアレルゲンの腸管透過抑制剤において、前記エステルは、炭素数1〜6の低級アルキルエステルであることが好ましい。
さらに、本発明のアレルゲンの腸管透過抑制剤は、2〜5個のアミノ酸からなり、少なくとも1つのトリプトファン、フェニルアラニンまたはチロシンを含むペプチドを有効成分とする。このアレルゲンの腸管透過抑制剤において、前記ペプチドは、WSNSG、WSN、WSまたはWGであることが好ましい。
【0008】
加えて本発明は、アレルゲンの腸管透過抑制剤は、香辛料からの抽出物を有効成分とする。このアレルゲンの腸管透過抑制剤において、香辛料からの抽出物は、ルテオリン−7−O−グルクロニド、ロスマリン酸、ケルセチン−3−O−グルクロニド、ルチンまたはピメントールである。
本発明の腸管透過抑制剤は、種々のアレルゲンに対して腸管透過抑制効果を有するが、特に、腸管から吸収される食物由来のアレルゲンに対して効果的である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のアレルゲンの腸管透過抑制剤の有効成分である、トリプトファンエステル、フェニルアラニンエステル及びチロシンエステルを構成する低級アルキルエステルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等を挙げることができる。但し、生体に対する安全性、生産コスト、及び腸管透過抑制効果という観点からは、エチルエステルであることが好ましい。また、同一種のエステルである場合、トリプトファンエステル、フェニルアラニンエステル及びチロシンエステルの間では、ほぼ同様の腸管透過抑制効果を有する。
【0010】
上記アミノ酸エステルは、例えば、アミノ酸(トリプトファン、フェニルアラニン又はチロシン)を酸触媒条件下、アルカノールと反応させることにより製造することができる。アルカノールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等を挙げることができる。具体的には、エチルエステルは、アミノ酸と1Nになるように塩化水素を吹き込んだエタノールを0.5〜2時間還流することで製造できる。還流の後、塩化水素とエタノールを溜去した残渣をそのまま用いればよい。塩化水素以外の酸を用いても良く、また、溜去を省いても良い。さらに、エタノール−ヘキサンで結晶化すること等の公知の精製方法で精製することもできる。
【0011】
本発明の2〜5個のアミノ酸からなるアレルゲンの腸管透過抑制剤は、少なくとも1つのトリプトファン、フェニルアラニンまたはチロシンを含むオリゴペプチドを有効成分とする。このオリゴペプチドは、トリプトファン、フェニルアラニン及びチロシンのいずれか1つまたは2つ以上を含むことができ、例えば、WSNSG、WSN、WS、WG等であることが好ましい。尚、Wはトリプトファン、Sはセリン、Nはアスパラギン、Gはグリシンである。
【0012】
上記オリゴペプチドは、公知のアミノ酸合成方法(固相合成法)を用いて製造することができる。または、上記ペプチドを含むタンパク質を分解し、フラグメントを常法により分離回収することでも製造することができる。
【0013】
本発明の香辛料からの抽出物を有効成分とするアレルゲンの腸管透過抑制剤における香辛料は、例えば、タイム、オールスパイス、コリアンダー、タラゴン等を挙げることができる。
さらに、香辛料からの抽出物としては、フラボノイド等を挙げることができる。
香辛料からの抽出物の具体例であるルテオリン−7−O−グルクロニド及びロスマリン酸は、それぞれ以下の化学式で表される化合物である。ルテオリン−7−O−グルクロニド及びロスマリン酸は、それぞれタイムから常法により抽出することができる。抽出法について実施例で具体的に説明する。
【0014】
ルテオリン−7−O−グルクロニド
【化1】
Figure 2004010488
【0015】
ロスマリン酸
【化2】
Figure 2004010488
【0016】
ケルセチン−3−O−グルクロニドは、以下の化学式で表される化合物である。ケルセチン−3−O−グルクロニドは、コリアンダーから常法により抽出することができる。抽出法について実施例で具体的に説明する。
【0017】
ケルセチン−3−O−グルクロニド
【化3】
Figure 2004010488
【0018】
ルチンは、以下の化学式で表される化合物である。ルチンは、それぞれコリアンダー及びタラゴンから常法により抽出することができる。抽出法について実施例で具体的に説明する。
【0019】
ルチン
【化4】
Figure 2004010488
【0020】
また、ピメントールは、以下の化学式で表される化合物である。ピメントールは、オールスパイスから常法により抽出することができる。抽出法について実施例で具体的に説明する。
【0021】
ピメントール
【化5】
Figure 2004010488
【0022】
本発明の腸管透過抑制剤を投与するに際しては、有効成分であるアミノ酸誘導体、オリゴペプチドまたは香辛料抽出物をそのままの状態で用いることもできるが、常法に従って、粉末、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、乳化剤、ドリンク剤など製剤化して用いることもできる。さらに、この腸管透過抑制剤を各種栄養剤や食品などに混ぜてアレルギーを予防することも可能である。
【0023】
例えば、本発明の腸管透過抑制剤は、トリパルミチンからなる担体を用いたマイクロカプセルにすることが、製造の容易さ、腸管での溶出の容易さ、無味化等の観点から好ましい。さらに、前記担体に界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、造粒方法に応じて油性及び水性界面活性剤を用いることができる。油性界面活性剤としては、例えば、PO500(花王社製)、水性界面活性剤としては、ML750(花王社製)等を挙げることができる。
【0024】
上記マイクロカプセルは、例えば、腸管透過抑制剤、トリパルミチン及び界面活性剤の溶融物、水溶液又は水分散体をスプレイドライすることで製造することができる。また、例えば、腸管透過抑制剤及びトリパルミチンをトリパルミチン飽和ヘキサンに添加し、得られるスラリーをスプレイドライすることでも、上記マイクロカプセルを製造することができる。スプレイドライの条件は、溶融物、水溶液、水分散体又はスラリーに含まれる固形分濃度や腸管透過抑制剤の耐熱性、酸化安定性等を考慮して適宜決定される。具体的には、例えば、スプレイドライの加熱温度を約80℃とすることができる。
【0025】
本発明の腸管透過抑制剤の投与量は、年齢、治療効果、病態などにより異なるが、通常、一人当たり一回に体重1kg当たり約1μg〜100mgの範囲で、一日一回から数回投与すればよい。
【0026】
なお、本発明の腸管透過抑制剤の効果の確認は、Caco−2細胞を透過性フィルター上で約14日間培養したものを用いて行った。詳細は実施例において説明する。
【0027】
本発明の腸管透過抑制剤は、種々のアレルゲンに対して腸管透過抑制効果を有する。本発明の腸管透過抑制剤は、特に、腸管から吸収される食物由来のアレルゲンに対して効果的であり、食物由来のアレルゲンとしては、例えば、卵白アルブリン、オボムコイド、β−ラクトグロブリン、GlyMBd30K(大豆アレルゲン)、アミラーゼインヒビター、ペルオキシダーゼ、低分子量グルテニン、等を挙げることができる。但し、これらに限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに説明する。
腸管透過性試験方法
食物アレルゲンとして蛍光標識した卵白アルブミン(FITC−OVA)を、腸管モデルとしてCaco−2細胞を透過性フィルター上で約14日間培養したものを用いた。蛍光標識した卵白アルブミン(FITC−OVA)は、市販卵白アルブミンを常法(微アルカリ性)でフルオレッセンイソチオシアネートと反応させて結合後、流水透析、SephadexG−15カラムクロマトグラフィーで精製して調製した。
【0029】
Caco−2細胞の培養は以下の方法で行った。
Caco−2細胞を American Type Culture Collection (U.S.A.)から入手し、継代数30〜40のものを透過試験に用いた。培養液の組成はDulbecco’s modified Eagle’s medium(Gibco, Life Technologies, Inc., U.S.A.)にウシ胎仔血清(20%,大日本製薬)、非必須アミノ酸溶液(1%, Gibco, Life Technologies, Inc.)、ペニシリン(100 IU/ml,和光純薬)、ストレプトマイシン(100μg /ml,和光純薬)およびゲンタマイシン(50μg /ml,和光純薬)を加えたものとした。細胞を37℃、5%CO、加湿条件下で培養し、3, 4日おきに継代を行った。透過試験に際しては、細胞を12穴トランズウェル内のメンブレンフィルター(No. 3460, Corning, U.S.A.)で培養した。培養液をベイサル(basal)側には1.5ml、アピカル(apical)側には0.5mlを加え約2週間培養した。Millicell−ESR(Millipore Co., U.S.A.)を用いて経上皮電気抵抗 (TEER)を測定し、TEERが 300Ω・cm−2以上となり単層が完成したものを透過試験に用いた。
【0030】
透過試験前夜より試料溶液をアピカル(apical)側ベイサル(basal)側両方に加え、前培養した。培養後、試料共存下でOVAを1mg/mlの濃度でハンクス平衡塩溶液に溶解したものをアピカル(apical)側に添加し、30分間培養した。30分後ベイサル(basal)側の透過液を回収し、透過したOVA量を蛍光強度により測定した。
蛍光強度測定は、島津製作所社製の分光蛍光光度計を用いて励起波長495nm、蛍光波長520nmで行った。
【0031】
実施例1
トリプトファンエチルエステル、フェニルアラニンエチルエステル及びチロシンエチルエステルをそれぞれ以下の方法により合成した。
アミノ酸(10g)と1Nになるように塩化水素を吹き込んだエタノール(100ml)を1時間還流することで製造した。還流の後、塩化水素とエタノールを溜去した残渣をそのまま用いた。
得られた各エステルのOVA透過抑制作用を、上記腸管透過性試験方法により求めた。その結果、いずれのエステルも10−7Mの濃度において、OVAの透過を顕著に抑制した。いずれのエステルも、OVAの透過を対照に対して約50%阻害した。
【0032】
実施例2
アミノ酸オリゴマー
WGは市販品であり、WSNSG、WSN及びWSは、固相合成法により調製した。
得られた各アミノ酸オリゴマーのOVA透過抑制作用を、上記腸管透過性試験方法により求めた。その結果、いずれのアミノ酸オリゴマーも10−7Mの濃度において、OVAの透過を顕著に抑制した。いずれのペプチドも、OVAの透過を対照に対して約50%阻害した。
【0033】
実施例3
33種の食品の50%メタノール抽出物について上記腸管透過性試験方法によりスクリーニングを行った。その結果、オールスパイス、タイム、コリアンダー、タラゴンに強い活性が認められた。そこで、これらの食品から、以下に示す方法により抽出し、さらに抽出物から非逆相HPLCを用いて活性成分を単離した。
【0034】
ピメントールの抽出
オールスパイス537.7gを50%メタノール800mlに浸漬し、吸引濾過し、濾液を減圧濃縮し、約1gの抽出物を得た。この抽出物を100mlの水に加え、Sep−Pakに吸着させ、60%メタノール水溶液で溶出し、減圧濃縮によりメタノールを除去した。得られた溶液を以下の条件の逆相HPLCに付し、活性成分を単離した。
【0035】
HPLC条件
ファーストラン
カラム:Shodex RS pak RP18−415
溶媒:40%メタノール0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)水溶液
流速:1ml/min.
検出波長:220nm
クロマトグラムを図1に示す。
セカンドラン
カラム:Shodex RS pak DE613
溶媒:アセトニトリル/0.1%TFA水溶液25〜35%(15分)リニアグラージェント
流速:1ml/min.
検出波長:220nm
クロマトグラムを図2に示す。
【0036】
単離した活性成分は、NMRおよび質量分析(FAB−MS(Negative)m/z493[M−H])の結果、オールスパイスの活性成分はピメントールであった。
【0037】
H NMR (500MHz, CDOD):δ3.01 (2H, br.dd, J=5.5, 5.6Hz, H−E7), 3.45 (m,H−Glc4), 3.50 (m, H−Glc3), 3.51 (m, H−Glc2), 3.72 (ddd, J=2.0, 6.8, 9.2Hz, H−Glc5), 3.78 (3H, s, H−E10(OMe)), 4.44 (dd, J=6.8, 11.8Hz, H−Glc6a), 4.58 (dd, J=2.0, 11.8Hz, H−Glc6b) 4.73 (d, J=7.7Hz, H−Glc1), 4.90 (2H,m, H−E9), 5.74 (m, H−E8), 6.46 (d, J=1.6Hz, H−E3), 6.52 (d, J=1.6Hz, H−E5), 7.08 (2H, s, H−Ga2,6).
13C NMR (500MHz, CDOD):δ40.7 (C−E7), 56.7 (C−E10(OMe) ), 64.8 (C−Glc6), 71.8 (C−Glc4), 74.8 (C−Glc2), 75.8 (C−Glc5), 77.4 (C−Glc3), 104.1 (C−Glc1), 108.5 (C−E3), 110.2 (C−Ga2, Ga6), 115.6 (C−E9), 111.6 (C−E5), 121.1 (C−Ga1), 132.6 (C−E4), 135.6 (C−E1), 139.0 (C−E8), 140.2 (C−Ga4), 146.6 (C−Ga3, Ga5), 146.7 (C−E6), 149.5 (C−E2), 168.3 (C−Ga7).
【0038】
ルテオリン−7−O−グルクロニド及びロスマリン酸の抽出
タイムを原料として上記オールスパイスの場合と同様に抽出溶液を得、以下の条件の逆相HPLCに付し、活性成分を単離した。
HPLC条件
ファーストラン
カラム:Shodex RS pak RP18−415
溶媒:メタノール/0.1%TFA水溶液30〜50%(15分)リニアグラージェント
流速:1ml/min.
検出波長:220nm
クロマトグラムを図3に示す。2つの活性ピークを得た(タイム3及び4)。
タイム3及び4のセカンドラン
カラム:Shodex RS pak DE613
溶媒:アセトニトリル/10mM酢酸アンモニウム水溶液10〜30%(15分)リニアグラージェント
流速:1ml/min.
検出波長:220nm
クロマトグラムを図4に示す。
タイム3のサードラン
カラム:Shodex RS pak DE613
溶媒:アセトニトリル/0.1%TFA水溶液25〜50%(15分)リニアグラージェント
流速:1ml/min.
検出波長:220nm
クロマトグラムを図5に示す。
タイム4のサードラン
カラム:Shodex RS pak DE613
溶媒:アセトニトリル/0.1%TFA水溶液40〜60%(15分)リニアグラージェント
流速:1ml/min.
検出波長:220nm
クロマトグラムを図6に示す。
【0039】
単離した活性成分は、NMRおよび質量分析の結果、タイム3がルテオリン−7−O−グルクロニドであり、タイム4がロスマリン酸であった。
【0040】
ロスマリン酸(Rosmarinic acid)
FAB−MS (negative) m/z 483 [M−H+Na−H]
H NMR (500MHz, CDOD)δ2.96 (dd, J = 8.9, 14.3Hz, H−7’) , 3.09 (dd, J= 3.3, 14.3Hz, H−7’), 5.14 (dd, J = 3.3, 8.9Hz, H−8’), 6.26 (d, J = 16.0Hz, H−8), 6.61 (dd, J = 1.5, 8.1Hz, H−6’), 6.68 (d, J = 8.1Hz, H−5’), 6.75 (d, J = 1.5Hz, H−2’), 6.76 (d, J = 8.1Hz, H−5), 6.93 (dd, J = 2.0, 8.1Hz, H−6), 7.03 (d, J = 2.0Hz, H−2), 7.52 (d, J = 16.0Hz, H−7).
13C NMR (500MHz, CDOD)δ38.3 (C−7’), 76.3 (C−8’), 115.0 (C−8), 115.2 (C−2), 116.3 (C−5’), 116.5 (C−5), 117.6 (C−2’), 121.8 (C−6’), 123.1 (C−6), 127.8 (C−1), 130.1 (C−1’), 145.1 (C−3’), 146.1 (C−4’), 146.8 (C−3), 147.3 (C−7), 149.6 (C−4), 168.8 (C−9).
これらのデータは文献値と一致していた。J. Agric. Food Chem. 2001, 49, 2−8.
【0041】
ルテオリン−7−O−グルクロニド(Luteolin−7−O−glucuronide)
FAB−MS (negative) m/z 461 [M−H]
H NMR (500MHz, CDOD)δ3.54 (3H, m, H−Glc2, 3 and 4), 3.85 (br.d, J = 9.1Hz, H−Glc5), 5.08 (d, J = 7.3Hz, H−Glc1), 6.49 (d, J = 2.2Hz, H−8),6.59 (s, H−3), 6.82 (d, J = 2.2Hz, H−6), 6.89 (d, J = 8.9Hz, H−5’), 7.39−7.41 (2H, m, H−2’ and 6’).
これらのデータは文献値と一致していた。Phytochemistry. 2000, 55, 263−267.
【0042】
ケルセチン−3−O−グルクロニドの抽出
コリアンダーを50%メタノール水溶液で抽出した。抽出物をSep−Packに吸着させ、60%メタノール水溶液で溶出し、溶出画分を分取HPLCに供した。
逆相分取HPLCの条件
ファーストラン
カラム:Shodex RS pak RP 18−415
溶媒:40%メタノール0.1%TFA水溶液
流速:1ml/min.
検出波長220nm
クロマトグラムを図7に示す。
【0043】
セカンドラン
カラム:Shodex RS pak RP 18−415
溶媒:アセトニトリル/10mM酢酸アンモニウム水溶液
アセトニトリル濃度が10〜30%(15分)リニアグラジェント
流速:1ml/min.
検出波長220nm
クロマトグラムを図8に示す。
【0044】
サードラン
カラム:Shodex RS pak RP 18−415
溶媒:アセトニトリル/0.1%TFA水溶液
アセトニトリル濃度が0〜30%(15分)リニアグラジェント
流速:1ml/min.
検出波長220nm
クロマトグラムを図9に示す。
【0045】
ケルセチン−3−O−グルクロニド(Quercetin−3−O−glucuronide)
FAB−MS (negative) m/z 477 [M−H]
H NMR (500MHz, CDOD)δ3.46−3.64 (4H, m, H−Glc2, 3, 4 and 5) , 5.30 (d, J = 7.6Hz, H−Glc1), 6.19 (br.s, H−6), 6.38 (br.s, H−8), 6.85 (d, J =8.4Hz, H−5’), 7.48 (dd, J = 2.1, 8.4Hz, H−6’), 7.93 (br.s, H−2’).
13C NMR (500MHz, CDOD) δ73.4, 75.6, 77.6 and 78.1 (C−Glc2, 3, 4 or 5), 94.3 (C−8), 100.0 (C−6), 104.4 (C−Glc1), 103.8 (C−10), 116.2 (C−5’), 118.1 (C−2’), 122.8 (C−6’), 135.8 (C−3), 145.9, 149.9, 158.5 (C−9), 159.2(C−2), 163.0 (C−5), 166.1 (C−7), 176.3 (C−Glc6), 179.5 (C−4).
これらのデータは文献値と一致していた。Phytochemistry. 1985, 24, 465−467.
【0046】
ルチンの抽出
タラゴンの乾燥葉を50%メタノール水溶液で抽出した。抽出物をSep−Packに吸着させ、60%メタノール水溶液で溶出し、溶出画分を分取HPLCに供した。
逆相分取 HPLC の条件
ファーストラン
カラム:Shodex RS pak RP 18−415
溶媒:メタノール/0.1%TFA水溶液
メタノール濃度が30〜70%(15分)リニアグラジェント
流速:1ml/min.
検出波長220nm
クロマトグラムを図10に示す。
【0047】
タラゴン3は水で結晶化したので少量を取り、水に溶かしてHPLCでチェックした。
分析条件
カラム:Shodex RS pak RP 18−415
溶媒:アセトニトリル /10mM酢酸アンモニウム水溶液
アセトニトリル濃度が0〜30%(15分)リニアグラジェント
流速:1ml/min.
検出波長220nm
クロマトグラムを図11に示す。
【0048】
ルチン(Quercetin−3−O−(6−O−rhamnosyl)−glucoside (rutin))
FAB−MS (negative) m/z 499 [M−H+Na−H]
H NMR (500MHz, CDOD)δ1.08 (3H, d, J = 6.2Hz, H−Rha6), 3.22〜3.26 (2H, m, H−Glc4, Rha4), 3.30 (br.s, H−Glc5), 3.35 (m, H−Glc6), 3.39〜3.45 (3H, m, H−Glc2 and 3, Rha5), 3.51 (br.d, J = 9.4Hz, H−Rha3), 3.61 (br.s, H−Rha2), 3.76 (br.d, J = 10.5Hz, H−Glc6), 4.48 (br.s, H−Rha1), 5.06 (d, J = 7.4Hz, H−Glc1), 6.14 (br.s, H−6), 6.32 (br.s, H−8), 6.82 (d, J = 8.4Hz, H−5’), 7.58 (br.d, J = 8.4Hz, H−6’), 7.62 (br.s, H−2’).
13C NMR (500MHz, CDOD)δ17.9 (C−Rha6), 68.6 (C−Glc6), 69.7(C−Rha5), 71.4 (C−Glc4), 72.1 (C−Rha2), 72.3 (C−Rha3), 74.0 (C−Rha4), 75.8 (C−Glc2), 77.2 (C−Glc5), 78.2 (C−Glc3), 94.9 (C−8), 100.0 (C−6), 102.4 (C−Rha1), 104.8 (C−Glc1), 105.6 (C−10), 116.1 (C−5’), 117.8 (C−2’), 123.2 (C−1’), 123.6 (C−6’), 135.7 (C−3), 145.8 (C−3’), 149.8 (C−4’), 158.5 (C−9), 159.3 (C−2), 162.9 (C−5), 166.1 (C−7), 179.4(C−4).
これらのデータは文献値と一致していた。J. Agric. Food Chem. 1999, 47, 4880−4882.
【0049】
得られたピメントール、ルテオリン−7−O−グルクロニド及びロスマリン酸、ケルセチン−3−O−グルクロニド、ルチンのOVA透過抑制作用を、上記腸管透過性試験方法により求めた。その結果、いずれの抽出物も10−7Mの濃度において、OVAの透過を顕著に抑制した。抑制結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 2004010488
【0051】
参考例1
マイクロカプセルの作製
カプセル材料としてトリパルミチン(TP)3g及び脂溶性界面活性剤PO−500(HLB4.9)(TPの1%)の混合物を70℃で融解し、42〜43℃にまで冷却してからシリカゲル上で乾燥したトリプトファンエチルエステル150μgを加え、攪拌しながらTP飽和ヘキサン(3重量)に流し込んでスラリーとし、スプレー乾燥した。マイクロカプセル化した後、180μmの篩を通過する画分は口腔内でのざらつきがなかったので、カプセルはこの篩で分級した。1%ML−750(HLB14.8)で表面処理し、200メッシュ篩で濾過した後に減圧乾燥して、3.1gのマイクロカプセルを得た(トリプトファンエチルエステルの回収率90%以上)。
【図面の簡単な説明】
【図1】オールスパイス抽出物のHPLCファーストランのクロマトグラム。
【図2】オールスパイス抽出物のHPLCセカンドランのクロマトグラム。
【図3】タイム抽出物のHPLCファーストランのクロマトグラム。
【図4】タイム抽出物のHPLCセカンドランのクロマトグラム。
【図5】タイム3のHPLCサードランのクロマトグラム。
【図6】タイム4のHPLCサードランのクロマトグラム。
【図7】コリアンダー抽出物のHPLCファーストランのクロマトグラム。
【図8】コリアンダー抽出物のHPLCセカンドランのクロマトグラム。
【図9】コリアンダー抽出物のHPLCサードランのクロマトグラム。
【図10】タラゴン抽出物のHPLCファーストランのクロマトグラム。
【図11】タラゴン3のHPLCクロマトグラム。
【図12】香辛料抽出物のOVA透過抑制活性を示す。

Claims (7)

  1. トリプトファンエステル、フェニルアラニンエステルまたはチロシンエステルを有効成分とするアレルゲンの腸管透過抑制剤。
  2. 前記エステルが炭素数1〜6の低級アルキルエステルである請求項1に記載の腸管透過抑制剤。
  3. 2〜5個のアミノ酸からなり、少なくとも1つのトリプトファン、フェニルアラニンまたはチロシンを含むペプチドを有効成分とするアレルゲンの腸管透過抑制剤。
  4. 前記ペプチドがWSNSG、WSN、WSまたはWGである請求項3に記載の腸管透過抑制剤。
  5. 香辛料からの抽出物を有効成分とするアレルゲンの腸管透過抑制剤。
  6. 香辛料からの抽出物が、ルテオリン−7−O−グルクロニド、ロスマリン酸、ケルセチン−3−O−グルクロニド、ルチンまたはピメントールである請求項5に記載の腸管透過抑制剤。
  7. アレルゲンが食物由来である請求項1〜6のいずれか一項に記載の腸管透過抑制剤。
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