JP2004010611A - マスキング組成物 - Google Patents

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Takashi Tsujimori
辻森 尚
Toshihiro Shiga
志賀 俊宏
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Abstract

【課題】薬物の不快な味を軽減し、服用性の向上したマスキング組成物を提供する。
【解決手段】不快な味を有する薬物とケイ酸カルシウムの混合物にメチルセルロース系ポリマーとしてヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びアクリル酸系ポリマーとしてアクリル酸エチルメタクリル酸メチルコポリマーを配合したマスキング組成物。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、苦味等の不快な味を有する薬物をマスキングした組成物に関し、より詳しくは不快な味を有する薬物とケイ酸カルシウムの混合物にメチルセルロース系ポリマー及びアクリル酸系ポリマーを配合することによりマスキング効果が高まり、且つ速放性に優れているマスキング組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
薬効成分の中には不快な味を有するものが多く、経口固形製剤において薬効成分の不快な味をマスキングすることは、製剤の服用性を向上させるというメリットがある。
従って、不快な味を有する製剤に甘味剤を配合することや、香料を添加することなど、不快な味のマスキング技術に関する特許出願は数多く存在する。経口固形製剤のうち、錠剤、カプセル剤、については比較的容易に不快な味のマスキングを行うことができる。例えば、錠剤については、水溶性フィルムコーティングによる方法が広く行われている。また、カプセル剤については、そのカプセル材はゼラチンあるいはヒドロキシメチルセルロース(HPMC)よりなり無味無臭の水溶性高分子であり、不快な味を有する薬物を充填するだけでよい。このように一般の錠剤及びカプセル剤などは、飲み込むために設計された剤形であり、口腔内を通過し胃で速やかに崩壊、溶出させることを目的としたものである。
【0003】
また、口腔内で崩壊させ吸収性を高めることを目的とした製剤、あるいは顆粒剤などの粒子径が小さく比表面積の大きな製剤では、薬物の有する不快な味は大きな問題であった。特に不快な味が強い薬物を有効成分として含有する製剤については、マスキング効果を上げるためにコーティング被膜を厚くしなければならず、製剤が徐放化してしまう等、速放出性と味のマスキングの両立は困難であった。
一方、ケイ酸カルシウム等のケイ酸類に薬物を吸着させ不快な味をマスキングする方法が開示されているが(特開昭63−243035号、特開平7−126188)、いずれもマスキングの効果が十分でなく、苦味などの不快感が残る等の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は不快な味を有する薬物をマスキングし、服用性及び速放性に優れているマスキング組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、不快な味を有する薬物、ケイ酸カルシウム、メチルセルロース系ポリマー及びアクリル酸系ポリマーを配合することにより製造した組成物は、マスキング効果が高まり、且つ速放性に優れていることを見出し、本発明を完成することができた。
【0006】
すなわち、本発明は、不快な味を有する薬物とケイ酸カルシウムの混合物に、メチルセルロース系ポリマー及びアクリル酸系ポリマーを配合することを特徴とするマスキング組成物であり、安定性を損なうことなく、また製剤自身の物理的性状に影響を与えることなく、薬物の有する不快な味がマスキングされた組成物を製造することができた。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明におけるケイ酸カルシウムは特に限定されないが、好適には(株)トクヤマ(製)フローライトREが用いられる。ケイ酸カルシウムと薬物の混合割合は、通常、ケイ酸カルシウム1重量部に対して薬物2重量部であるが、好ましくは1重量部以下である。
【0008】
本発明における不快な味を有する薬物とは、いわゆる苦味のほか不快感を与える成分であれば特に限定されないが、例えば臭化水素酸デキストロメトルファン、塩酸ブロムヘキシン、塩酸メチルエフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン、ビベンズ酸チペピジン、塩酸ノスカピン、塩酸フェニレフリン、グリチルリチン酸ジカリウム及びベラドンナ総アルカロイドを挙げることができる。これらの成分は、本発明のマスキング組成物中に1種に限らず2種以上含有していてもよい。
【0009】
本発明において使用するメチルセルロース系ポリマーは医薬品製剤に用いられるものであれば特に限定されないが、好ましくは水系コーティング剤、更に好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(AQOAT AS−MF:信越化学工業(株)製)である。
【0010】
本発明において使用するアクリル酸系ポリマーは医薬品製剤に用いられるものであれば特に限定されないが、好ましくは中性ポリマー、更に好ましくはアクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコポリマー(オイドラギットNE30D:(株)樋口商会製))である。
【0011】
本発明において使用するメチルセルロース系ポリマー及びアクリル酸系ポリマーは、水又は水とアルコールとの混合溶媒に固形部として1〜80W/V%、好ましくは2〜50W/V%の濃度で溶解あるいは分散させた液であるが、それぞれ単独で使用するだけでなく組み合わせて使用してもよい。
【0012】
本発明のマスキング組成物の製造は、薬物とケイ酸カルシウムを混合し、次いでメチルセルロース系ポリマー及びアクリル酸系ポリマーを添加することにより製造することができる。メチルセルロース系ポリマー及びアクリル酸系ポリマーは上記濃度に溶解した後、薬物とケイ酸カルシウムの混合物を撹拌しながら、徐々に添加する。
【0013】
本発明のマスキング組成物を通常の製剤化に用いられる乳糖、澱粉、デキストリン類、ケイ酸カルシウム、セルロース類、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の賦形剤、脂肪酸エステル、二酸化ケイ素等の滑沢剤、香料、アマルティー、アスパルテーム、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール等の甘味料、他の成分とともに混合、造粒し、通常の方法で圧縮成形することなどにより、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、トローチ剤とすることができる。
【0014】
更に、本発明のマスキング組成物は、フィルムコーティングや糖衣といった方法によって薬物の不快な味をマスキングすることが困難な固形剤、例えば口腔内速溶錠、顆粒剤、細粒剤、散剤にも適用することができる。
【0015】
本発明のマスキング組成物には、他に種々の薬剤が適用でき抗ヒスタミン剤、鎮咳去痰剤、解熱鎮痛剤、交感神経興奮薬、副交感神経遮断薬、粘膜修復剤、抗炎症剤などを配合してもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ、カフェイン類、生薬・漢方薬類、有機酸類、精油成分、糖類、保存剤、香料成分、色素・着色剤、矯味剤などの通常内服製剤に配合可能な成分を添加することができる。
【0016】
【実施例】
以下に、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
[実施例1]
dl−塩酸メチルエフェドリン 708g、d−マレイン酸クロルフェニラミン 58.3g、ビベンズ酸チペピジン 708g、ケイ酸カルシウム 2,420gを撹拌機により混合しながら、エタノール 14,800mL、精製水 3,800mLにAQOAT AS−MF 1,100gを溶解した液を徐々に添加し、更に混合を続ける。その後、20meshのスクリーンにより押し出し、40℃で15時間以上乾燥する。次いで、この顆粒をエタノール4,000mLにオイドラギットNE30D 1,100gを溶解した液で同様に処理し、40℃で15時間以上乾燥後、篩過して組成物を得た。
【0018】
[実施例2]
dl−塩酸メチルエフェドリン 708g、d−マレイン酸クロルフェニラミン 58.3g、ビベンズ酸チペピジン 708g、ケイ酸カルシウム 2,420gを撹拌機により混合しながら、エタノール 14,800mL、精製水 3,800mLにAQOAT AS−MF 1,100gを溶解した液の1/2を徐々に添加し、更に混合を続ける。その後、20meshのスクリーンにより押し出し、40℃で15時間以上乾燥する。乾燥後、更に、残りの液で同様に操作し、40℃で15時間以上乾燥する。次いで、この顆粒をエタノール4,000mLにオイドラギットNE30D 1,100gを溶解した液で同様に処理し、40℃で15時間以上乾燥後、篩過して組成物を得た。
【0019】
[比較例1]
dl−塩酸メチルエフェドリン 708g、d−マレイン酸クロルフェニラミン 58.3g、ビベンズ酸チペピジン 708g、ケイ酸カルシウム 2,420gを撹拌機により混合しながら、エタノール 4,000mLにオイドラギットNE30D 1,100gを溶解した液を徐々に添加し、更に撹拌を続ける。その後、20meshのスクリーンにより押し出し、40℃で15時間以上乾燥後、篩過して組成物を得た。
【0020】
[比較例2]
dl−塩酸メチルエフェドリン 708g、d−マレイン酸クロルフェニラミン 58.3g、ビベンズ酸チペピジン 708g、ケイ酸カルシウム 2420gを撹拌機により混合しながら、エタノール 14,800mL、精製水 3,800mLにAQOAT AS−MF 1,100gを溶解した液を徐々に添加し、更に撹拌を続ける。その後、20meshのスクリーンにより押し出し、40℃で15時間以上乾燥後、篩過して組成物を得た。
【0021】
[参考例1]
実施例、比較例で得た組成物に賦形剤、滑沢剤、香料などを秤量、混合後、圧縮成型することによりチュアブル錠を製造した。
【0022】
[試験例1]
上記実施例1、2及び比較例1、2の製剤をパネルテストに付し、男女15名の健常人に各1錠を服用させ、味覚テストを行い、以下に示す苦味の強さにより評価した。その結果を表1に示した。
−:苦味がしない、+:苦味がほとんどしない、++:苦味がわずかにする、+++:苦味がする
【0023】
【表1】
Figure 2004010611
【0024】
その結果、実施例1、2の製剤ではパネラーの苦味感が軽減されているのに対し、比較例1、2については、いずれのパネラーも薬物の苦味を訴えた。
【0025】
実施例1及び比較例1の製剤について、第14改正日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法、100rpm)に準じ、薬物の溶出試験を行った。試験液として、局方に記載のpH7.0の緩衝液を用い、溶出した薬物(マレイン酸クロルフェニラミン)の濃度を測定し、溶出率(%)を算出した。その結果を表2に示した。
【0026】
【表2】
Figure 2004010611
【0027】
上記の結果から明らかなように、実施例1の製剤は初期の薬物溶出が抑えられ、服用時の不快な味がマスキングされていることを示している。その後、速やかに溶出が維持されている。それに対し、比較例1では初期から多量の薬物が溶出しており、マスキング効果が不十分であることを示している。
【0028】
【発明の効果】
本発明のマスキング組成物は、不快な味を有する薬物の安定性を損なうことなく、また製剤自身の物理的性状に影響を与えることなく、不快な味を軽減することができたので子どもや老人にも服用しやすい。

Claims (3)

  1. 不快な味を有する薬物、ケイ酸カルシウム、メチルセルロース系ポリマー及びアクリル酸系ポリマーを配合することを特徴とするマスキング組成物。
  2. メチルセルロース系ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、アクリル酸系ポリマーがアクリル酸エチルメタクリル酸メチルコポリマーである請求項1に記載のマスキング組成物。
  3. 不快な味を有する薬物が臭化水素酸デキストロメトルファン、塩酸ブロムヘキシン、塩酸メチルエフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン、ビベンズ酸チペピジン、塩酸ノスカピン、塩酸フェニレフリン、グリチルリチン酸ジカリウム及びベラドンナ総アルカロイドからなる群より選ばれる1種または2種以上である請求項1〜2のいずれかに記載のマスキング組成物。
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