JP2004014241A - 直流遮断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】構成がシンプルで、繰り返し使用でき、適用電圧に制限されず、特別な構成要素を必要としないこと。
【解決手段】直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサCc1とスイッチSW1とを並列に接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサCc1とスイッチSW1とを並列に接続する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電源システムあるいは交流電流システムに適用する直流電流遮断技術もしくはこれを応用した直流遮断装置に係り、特に構成がシンプルで、繰り返し使用でき、適用電圧に制限されず、特別な構成要素を必要としない直流遮断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、直流電流を遮断する場合には、次に示すような3つの直流遮断技術、または直流遮断装置が主として用いられてきている。
【0003】
(1)アーク電圧上昇方式直流遮断技術、または直流遮断装置
本アーク電圧上昇方式直流遮断技術、またはこれを応用した直流遮断装置では、直流電流のアーク電圧を何らかの方法で電源電圧まで上昇させ、直流電流を限流させて遮断する技術である。
【0004】
具体的には、ヒューズ(〜22kV程度)、配線用直流遮断装置(〜250V程度)、気中高速度直流遮断装置(〜3000V程度)等が、直流遮断装置として低圧から高圧まで商用化されている。
【0005】
例えば、“電気書院1983年発行の電気・電子工学百科事典第17巻開閉装置・避雷器の第2章遮断器”に、上記アーク電圧上昇方式直流遮断技術およびその遮断器が詳細に記載されている。
【0006】
図40(a)、図40(b)、図40(c)は、前記同書から引用したヒューズの構造、動作時の等価回路、および遮断時のオシログラムをそれぞれ示す図である。
【0007】
ヒューズの可溶体に短絡電流等の大電流が流れると、可溶体は溶断発弧するが、アークは消弧剤によって細い筒状の空間内に閉じ込められ、かつ消弧剤によって冷却される。
【0008】
このため、アーク電圧は電源電圧まで上昇し、すなわちアーク抵抗が高くなり、短絡電流は限流されて交流の直流部分で遮断される。
【0009】
直流電流が遮断されると、ヒューズの端子間に回復電圧が現われるが、ヒューズはこの回復電圧に耐えるように作られているので、電流遮断が完了する。
【0010】
ただし、動作の度にヒューズを新しいものと交換する必要がある。
【0011】
配線用直流遮断装置、気中高速度直流遮断装置も、前記ヒューズと同様に、アーク電圧を電源電圧まで上昇させて直流電流を遮断するが、アーク電圧を上昇させる方式が異なる。
【0012】
一例として、例えば“公開実用新案公報:実開平5−8854回路遮断器”と“前記電気書院1983年発行の電気・電子工学百科事典第17巻開閉装置・避雷器の第2章遮断器”から引用した配線用直流遮断装置の消弧装置(アークシユート)、および気中高速度直流遮断装置の消弧装置(アークシュート)と全体概略構造の例を、図41(a)および図41(b)にそれぞれ示す。
【0013】
いずれの場合にも、直流電流を遮断するために開離した固定接触子と可動接触子間に発生したアークは、これら消弧装置の中に駆動されて、アーク長が延長され、かつ分断され、更に消弧装置内で冷却される。
【0014】
このため、アーク電圧(アーク抵抗)が上昇し、消弧、すなわち直流電流が遮断される。
【0015】
特に、気中高速度直流遮断装置の場合には、適用電圧が〜4000Vと高いことから、図41(b)に示されるように消弧装置が大形化し、かつアーク電圧を上昇させたり、アークを移動させるための様々な部品が装着されている。
【0016】
図41(c)に、気中高速度直流遮断装置による直流電流遮断時の波形の一例を示す。
【0017】
遮断すべき直流電流は、スイッチが開くと接触子間のアーク電圧が上昇するため限流されて、アーク電圧が電源電圧以上となり、アークが消弧、すなわち直流電流が遮断される。
【0018】
直流電流の遮断後には、固定接触子と可動接触子間に回復電圧が現われるが、固定接触子と可動接触子間は、この回復電圧に耐えるように製作されているので、直流電流遮断が完了する。
【0019】
ヒューズと異なり、これらの配線用直流遮断装置と気中高速度直流遮断装置は、繰り返して使用することが可能である。
【0020】
(2)自励転流方式直流遮断技術、または直流遮断装置
本自励転流方式直流遮断技術、またはこれを応用した直流遮断装置は、例えば“USP5,668,691 ARRANGEMENT FOR GAS CIRCUITI BREAKER WITH REACTOR AND CAPACITOR CONNECTED IN SERIES AND METHOD FOR SETTING ITS CIRCUTI PARAMETER、”あるいは“公開特許公報:特開平10−40786自励転流方式直流遮断装置”に記載されているように、SF6ガス遮断器と並列に、コンデンサとリアクトルの直列回路からなる転流回路と、これら転流回路に並列に接続されたサージアブソーバとを備えた構成により、ある値のコンデンサとリアクトルとある特定の直流アーク特性を有するSF6ガス遮断器からなる閉ループ回路で、振動電流を発生、増大させて、電流零点を発生させ、直流電流を遮断する。
【0021】
あるいは、本技術は例えば“特許公報:昭62−53894直流しゃ断器”の従来例に記載されているように、遮断器と並列にコンデンサを配置して、遮断器とコンデンサの閉ループ回路で振動電流を発生、増大させて、電流零点を発生させ、直流電流を遮断する。
【0022】
図42(a)は、USP5,668,691に示されている直流遮断装置の構成例を示す回路図である。
【0023】
SF6ガス遮断器SWと並列に、コンデンサCとリアクトルLの直列回路と非直線抵抗体NLRが接続されている。
【0024】
かかる構成において、コンデンサCとリアクトルLに特定の値を与え、かつ特定の直流アーク特性を有するSF6ガス遮断器を開極すると、図42(b)に示すように、直流アークとコンデンサ、リアクトルの閉回路で、振動電流が発生、増大する。
【0025】
Ia、すなわち遮断すべき直流電流は振動を発生、増大し、ある時間を経た後に零点を生じ、この零点で直流電流が遮断される。
【0026】
Iaが振動を発生、増大する間、アーク電圧Va、アーク抵抗Ra、コンデンサ電流Icも、図42(b)に波形図を示すように振動している。
【0027】
なお、非直線抵抗体NLRは、遮断時に発生する過電圧を抑制する。
【0028】
(3)強制転流方式直流遮断技術、または直流遮断装置
本強制転流方式直流遮断技術、またはこれを応用した直流遮断装置は、例えば“前記電気書院1983年発行の電気・電子工学百科事典第17巻間閉装置・避雷器の第2章遮断器”、あるいは“前記特許公報:昭62−53894直流しゃ断器”等に記載されている。
【0029】
図43は、本方式の構成例を示す回路図である。
【0030】
SF6ガス遮断器、空気遮断器、あるいは真空遮断器等のスイッチSWと、このスイッチSWに並列にコンデンサCとリアクトルLと転流スイッチSWCの直列回路からなる強制転流回路を配置し、さらに過電圧抑制用非直線抵抗NLRをスイッチSWと並列に配置した構成において、コンデンサCをあらかじめコンデンサ充電装置PSで所定の電圧に充電しておき、直流電流の遮断が必要な時に、転流スイッチSWCを転流スイッチ制御装置により閉じて、スイッチSWとコンデンサCとリアクトルLと転流スイッチSWCの閉ループ回路に高周波の振動電流を発生させて、スイッチSWの電流に電流零点を発生させ、直流電流を遮断するものである。
【0031】
さらに、図44は、強制転流方式直流遮断技術、または直流遮断装置のスイッチとして半導体(サイリスタ)使用した直流遮断装置の一例を、“前記電気書院1983年発行の電気・電子工学百科事典第17巻開閉装置・避雷器の第2章遮断器”から引用して示す回路図である。
【0032】
直流電源および電源コンデンサから負荷に直流電力を供給する半導体直流遮断装置は、主サイリスタMthと並列に、転流リアクトルLc、転流コンデンサCcおよび転流用サイリスタスイッチAthの直列回路が配置されている。
【0033】
また、負荷と並列に、フライフォイルダイオードFDが配置されている。
【0034】
かかる構成において、直流電流遮断が必要な時に、転流コンデンサCcのあらかじめ所定の電圧で充電されている電荷を、転流用サイリスタスイッチAthを閉じることにより、主サイリスタMth、転流リアクトルLc、転流コンデンサCc、および転流サイリスタスイッチAthの閉回路に、高周波振動電流を発生させて、電流零点で主サイリスタの直流電流を遮断する。
【0035】
なお、遮断後の負荷に蓄えられていた電磁エネルギーは、フライフォイルダイオードを介して電源側に還流される。
【0036】
(4)その他の従来技術
“前記電気書院1983年発行の電気・電子工学百科事典第17巻開閉装置・避雷器の第2章遮断器”、あるいは“公開特許公報:昭60−157121ハイブリッド形回路遮断器”、あるいは“公開実用新案公報:昭58−255733しゃ断器”によれば、ガス遮断器あるいは真空遮断器等のスイッチと並列にコンデンサを配置した構成が示されている。
【0037】
しかしながら、これらの遮断器は、いずれも交流電源システムに適用する、いわゆる交流遮断器で、遮断器(スイッチ)と並列に配したコンデンサは、交流電流の零点で交流電流を遮断した後に、遮断器(スイッチ)の極間に現われる初期過渡回復電圧、あるいは過渡回復電圧の上昇率を抑制するか、あるいは遮断器を複数直列に配置し、交流電流を零点で遮断した後に、極間に現われる初期過渡回復電圧、あるいは過渡回復電圧を分担させる構成要素である。
【0038】
次に、“特許公報:第3135338号転流式直流遮断装置”によれば、直流電源と負荷との間に設けられた主接点と、当該主接点と電気的に並列に接続され、かつ電気的に直列に接続されたコンデンサ、リアクトルおよび転流スイッチからなる転流回路とを備えた転流式直流遮断装置において、無負荷回路時における上記転流回路から上記負荷側への転流電流の流れを阻止する阻止手段を設けたことを特徴とする転流式直流遮断装置が提案されている。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の技術においては、以下に述べるような課題がある。
【0040】
(1)アーク電圧上昇方式直流電流遮断技術あるいは直流遮断装置
アーク電圧上昇方式直流電流遮断技術あるいは直流遮断装置におけるヒューズにおいては、アーク電圧を上昇させて直流を遮断した場合、可溶体が溶断するため、直流遮断毎に取り替える必要があり、直流電流を遮断後に、引き続き直流電力を送電したい場合等に、長い時間を要し、適用制限を受けるという不便さがある。
【0041】
次に、配線用直流遮断装置あるいは気中高速度直流遮断装置においては、アーク電圧を上昇させて消弧するために、特別の消弧装置が必要であり、従来から様々な工夫がなされ実用化されてはいるものの、消弧装置が複雑化したり、大型化したり、更に可動接触子の構造や操作機構に特別な工夫と構成要素が必要で、全体が大型化し、複雑である。
【0042】
さらに、上記アーク電圧上昇方式直流遮断装置おいては、適用電圧に制限があり、適用範囲が制限されている。
【0043】
因みに、ヒューズにおいては22kV程度まで、配線用遮断器においては250V程度まで、気中高速度直流遮断装置においては一般に4000V程度までが、それぞれ適用電圧限度となっている。
【0044】
(2)自励転流方式直流遮断技術あるいは直流遮断装置
自励転流方式直流遮断技術あるいは直流遮断装置においては、SF6ガス遮断器と並列に配置したコンデンサ、リアクトルからなる直列回路で、SF6ガス遮断器の接点を開いた時に発生する直流電流アークに特定の特性を持たせ、前記直列回路に振動電流を発生、増大させて、SF6ガス遮断器の接点間に電流零点をつくり、直流電流を遮断するので、遮断までの時間(遮断時間:アーク時間)が長く、かつ接点消耗が大きいという問題点がある。
【0045】
この遮断時間(アーク時間)が長いと言う問題点は、従来技術で指摘され、この問題点を無くすために、例えば“公開特許公報:特開平9−50743直流遮断装置”では、特別な回路を付加し、接点が開離してから振動電流発生、増大し、電流零点が出来るまでの時間を短縮する提案がなされたり、“公開特許公報:特開平9−50742直流遮断装置”では、遮断部に特別な工夫を行ない、上記振動電流が発生、増大して、電流零点で遮断するまでの時間を短くする提案がなされている。
【0046】
しかしながら、本方式の原理である、振動電流を発生、増大させて、電流零点を作り遮断するために必要な時間(遮断時間)を無くすことはできないと言う本質的な問題点がある。
【0047】
(3)強制転流方式直流遮断技術あるいは直流遮断装置
強制転流方式直流遮断技術あるいは直流遮断装置においては、直流電流を遮断するために、スイッチと並列にコンデンサ、リアクトルおよび転流用スイッチの直列回路を配置し、コンデンサをあらかじめ所定の電圧に充電しておき、直流電流の遮断が必要になった時に、転流用スイッチを閉じて高周波の振動電流により直流電流に電流零点を発生させて、その電流零点で直流電流を遮断する。
【0048】
従って、本方式においては、コンデンサをあらかじめ所定の電圧に充電するための装置、高周波の振動電流を始動する転流用スイッチと高周波の振動電流に耐えるコンデンサとその制御装置が必要であり、装置が複雑化、大型化し、不経済である。
【0049】
また、遮断する電流の極性に応じて、コンデンサの充電電圧の極性を選択する必要があり、特に正極性または負極性いずれかの電流を任意に遮断しなければならない時に、特別の工夫と装置が必要になるという問題点がある。
【0050】
本発明の目的は、前述したアーク電圧上昇方式直流遮断装置の問題点である、繰り返し使用できない点、繰り返し使用出来るが特別な消弧装置を必要とする点あるいは適用電圧に制限される点、また自励転流方式直流遮断装置の問題点である、振動電流を発生、増大させて電流零点で遮断するために遮断時間が長いと言う点、さらに強制転流方式直流遮断装置の問題点である、コンデンサ充電装置、転流用スイッチとその制御装置が必要であると言う点、更に遮断電流の極性に応じて充電電圧の極性を選択しなければならないと言う点を解消した、構成がシンプルで、繰り返し使用でき、適用電圧に制限されず、特別な構成要素を必要としない直流遮断装置を提供することにある。
【0051】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の発明の直流遮断装置は、直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサとスイッチとを並列に接続している。
【0052】
従って、第1の発明の直流遮断装置においては、スイッチと並列に直流電流を非振動的に転流させるコンデンサを配置することにより、本直流遮断装置を電源と負荷間等に接続し、スイッチを開くと、このスイッチの持つ消弧機能によって、スイッチの直流電流がほぼインピーダンス零であるコンデンサに振動することなく転流・遮断されるため、前述した従来の自励転流直流遮断技術、または直流遮断装置に比べて、極めて短時間にスイッチの電流を遮断することができ、極めて簡便な回路構成の直流遮断装置を得ることができる。
【0053】
また、第2の発明の直流遮断装置は、直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサと転流用スイッチとを直列に接続し、当該コンデンサと転流用スイッチとの直列回路に、スイッチを並列に接続している。
【0054】
従って、第2の発明の直流遮断装置においては、転流用スイッチと直流電流を非振動的に転流させるコンデンサを直列に配置し、これとスイッチとを並列に配置することにより、本直流遮断装置を電源と負荷間等に接続し、スイッチを開き、このスイッチの極間に直流アークが発生し、スイッチの消弧機能が最大付近になったところで、転流用スイッチを閉極すると、スイッチの持つ消弧機能によって、スイッチの直流アーク電流がほぼインピーダンス零であるコンデンサに転流・遮断されるため、前述した従来の自励転流直流遮断技術、または直流遮断装置に比べて、極めて短時間にスイッチの電流を遮断することができ、かつコンデンサの静電容量を小さくすることができ、より精密な遮断点の制御を行なうことが可能で、かつ極めて簡便な回路構成の直流遮断装置を得ることができる。
【0055】
一方、第3の発明の直流遮断装置は、上記第1または第2の発明の直流遮断装置本体に、抵抗を並列に接続している。
【0056】
従って、第3の発明の直流遮断装置においては、第1または第2の発明の直流遮断装置本体に並列に抵抗を配置することにより、上記第1または第2の発明の作用により、スイッチの直流電流をコンデンサに非振動的に転流・遮断した後に、コンデンサの電荷を抵抗で素早く放電するため、遮断完了までの時間が速く、負荷または電源の電磁エネルギーを抵抗で消費して減衰させ、かつ遮断後に現われる回復電圧上昇率と回復電圧波高値が抵抗で抑制されるため、上記第1または第2の発明の直流遮断装置の遮断時間を短くすることができ、かつ高電圧・大電流の回路に使用可能な簡便な直流遮断装置を得ることができる。
【0057】
また、第4の発明の直流遮断装置は、上記第1または第2の発明の直流遮断装置本体に、非直線抵抗を並列に接続している。
【0058】
従って、第4の発明の直流遮断装置においては、第1または第2の発明の直流遮断装置本体に並列に非直線抵抗を配置することにより、上記第1または第2の発明の作用により、スイッチの直流電流を非振動的にコンデンサに転流・遮断した後に、コンデンサの電荷を非直線抵抗で急速に放電し、かつ負荷のエネルギーを非直線抵抗で消費して減衰させ、かつ回復電圧波高値を非直線抵抗で抑制することができ、上記第1または第2の発明の直流遮断装置の遮断時間を短くでき、かつ高電圧・大電流の回路に使用可能な簡便な直流遮断装置を得ることができる。
【0059】
さらに、第5の発明の直流遮断装置は、上記第1または第2の発明の直流遮断装置本体に、抵抗と非直線抵抗を並列に接続している。
【0060】
従って、第5の発明の直流遮断装置においては、第1または第2の発明の直流遮断装置本体に並列に抵抗と非直線抵抗を配置することにより、上記第1または第2の発明の作用により、スイッチまたはスイッチの直流電流が非振動的に、コンデンサに転流・遮断した後に、コンデンサの電荷を抵抗と非直線抵抗と急速に放電し、負荷または電源のエネルギーを抵抗と非直線抵抗とで分担消費して減衰させ、かつ遮断後に現われる回復電圧上昇率が抵抗で抑制され、かつ回復電圧波高値が抵抗と非直線抵抗の並列回路で抑制されるため、上記第1または第2の発明の直流遮断装置の遮断時間を短くすることができ、かつ高電圧・大電流の回路に使用可能な簡便で経済的な直流遮断装置を得ることができる。
【0061】
一方、第6の発明の直流遮断装置は、上記第1乃至第5のいずれか1つの発明の直流遮断装置本体の負荷側、または電源側に、少なくとも1個の電流零点遮断用スイッチを直列に接続している。
【0062】
従って、第6の発明の直流遮断装置においては、第1乃至第5のいずれか1つの発明の直流遮断装置本体の負荷側、または電源側に直列に少なくとも1個の電流零点遮断用スイッチを配置することにより、上記第1乃至第5のいずれか1つの発明の直流遮断装置のスイッチで、直流電流を非振動的にコンデンサに転流・遮断した後に、コンデンサまたは抵抗、または非直線抵抗、または抵抗と非直線抵抗の並列回路を通して流れる電流を電流零点遮断用スイッチで遮断することができ、上記第1乃至第5のいずれか1つの発明の直流遮断装置の遮断時間を更に短くすることが可能な直流遮断装置を得ることができる。
【0063】
また、第7の発明の直流遮断装置は、上記第6の発明の直流遮断装置本体の主回路通電部の一部に、少なくとも1個の振動電流発生用リアクトルを接続している。
【0064】
従って、第7の発明の直流遮断装置においては、第6の発明の直流遮断装置本体の主回路通電部の一部に少なくとも1個の振動電流発生用リアクトルを配置することにより、上記第6の発明の直流遮断装置の主回路通電部の振動電流発生用リアクトルとコンデンサとの直列回路で、電流零点を生じる振動電流を発生させる振動電流発生用リアクトルのインダクタンス値を選んで配置することで、上記第1乃至第6のいずれか1つの発明の直流遮断装置のスイッチで直流電流が非振動的にコンデンサに転流・遮断した後に、上記第1乃至第6のいずれか1つの発明の直流遮断装置の負荷側、または電源側に少なくとも1個直列に配置した電流零点遮断用スイッチに電流零点を生じる振動電流が流れるため、すなわち電源側から負荷側への電流を電流零点遮断用スイッチで遮断することができ、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0065】
さらに、第8の発明の直流遮断装置は、上記第6の発明の直流遮断装置本体の負荷側に負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗、またはリアクトルと振動電流発生用非直線抵抗との直列回路を接続している。
【0066】
従って、第8の発明の直流遮断装置においては、第6の発明の直流遮断装置本体の負荷側に負荷と並列に、直列に振動電流発生用非直線抵抗、またはリアクトルと振動電流発生用非直線抵抗との直列回路を配置することにより、上記第1乃至第6のいずれか1つの発明の直流遮断装置のスイッチの直流電流が非振動的にコンデンサに転流・遮断した電流が、電源とコンデンサと電流零点遮断用スイッチと振動電流発生用非直線抵抗NLR3の直列回路からなるループで電流零点を生じる振動電流を発生させることができ、この電流を電流零点遮断用スイッチで容易に遮断することが可能な遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0067】
一方、第9の発明の直流遮断装置は、上記第7の発明の直流遮断装置本体の負荷側に、負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗を接続している。
【0068】
従って、第9の発明の直流遮断装置においては、第7の発明の直流遮断装置本体の負荷側に、負荷と並列に振動電流発生用非直線抵抗を配置することにより、上記第1乃至第6のいずれか1つの発明の直流遮断装置のスイッチから非振動的にコンデンサに転流・遮断した電流が、電源とコンデンサと電流零点遮断用スイッチとリアクトルと振動電流発生用非直線抵抗との直列回路からなるループに電流零点を生じる振動電流を発生させることができ、この電流を電流零点遮断用スイッチで容易に遮断することが可能な遮断時間の短い簡便な直流遮断装置を得ることができる。
【0069】
また、第10の発明の直流遮断装置は、上記第6乃至第9のいずれか1つの発明の直流遮断装置本体を、交流電源システムに使用している。
【0070】
従って、第10の発明の直流遮断装置においては、第6乃至第9のいずれか1つの発明の直流遮断装置本体を、交流電源システムに使用することにより、スイッチを交流電流の直流電流部分で開極させると、その直流電流が非振動的にコンデンサに転流・遮断するため、上記の第6乃至第9のいずれか1つの発明の直流遮断装置に不可欠の構成要素である、コンデンサと回路のインダクタンス、または振動電流発生用リアクトルLqとで、あるいはコンデンサCc1またはコンデンサCc2と回路のインダクタンスと振動電流発生用非直線抵抗とで電流零点を発生する振動電流を発生させることができ、その電流零点で電流零点遮断用スイッチが遮断するため、交流電流の直流電流部分での遮断を行なうことができ、交流電源システムにおける電流を、その電流零点が生じるのを待つことなく高速で遮断可能な直流遮断装置を得ることができる。
【0071】
一方、第11の発明の直流遮断装置は、上記第1乃至第10のいずれか1つの発明の直流遮断装置において、コンデンサとしては、非振動転流時間が250μS以下となるような静電容量を有するコンデンサとしている。
【0072】
従って、第11の発明の直流遮断装置においては、遮断すべき直流電流がスイッチからコンデンサに短時間に転流・遮断される効果を得て、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0073】
また、第12の発明の直流遮断装置は、上記第1乃至第10のいずれか1つの発明の直流遮断装置において、コンデンサとしては、非振動転流時の電流が時間と共に単調増加する、または単調減少する電流波形となるような静電容量を有するコンデンサとしている。
【0074】
従って、第12の発明の直流遮断装置においては、遮断すべき直流電流がスイッチからコンデンサに短時間に転流・遮断される効果を得て、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0075】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0076】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図である。
【0077】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図1に示すように、スイッチSW1と直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサCc1とを並列に接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0078】
ここで、スイッチSW1としては、例えば機械的スイッチ、あるいは半導体スイッチ、あるいは機械的スイッチと半導体スイッチとの直列スイッチで構成することができる。
【0079】
機械的スイッチとしては、制御回路に使用されるリレー等、あるいは低圧回路の配線用遮断器、気中遮断器等、あるいは高圧の真空遮断器、気体遮断器、液体遮断器、あるいは超高圧の真空遮断器、気体遮断器、液体遮断器等から構成することができる。
【0080】
半導体スイッチとしては、例えばトランジスタ、サイリスタ、GTOサイリスタ、IGBT等から構成することができる。
【0081】
スイッチSW1は、必要に応じて、直列、または並列、または直並列に構成することができる。
【0082】
コンデンサCc1の静電容量としては、スイッチSW1で遮断すべき遮断電流が、スイッチSW1からコンデンサCc1に非振動的に転流・遮断する値となるように選定することが好ましい。
【0083】
上記条件のコンデンサCc1の必要静電容量値を得るために、コンデンサCc1としては、真空コンデンサ、あるいは気体コンデンサ、あるいは固体コンデンサ、あるいは液体コンデンサ等を単体、または必要数直列、または必要数並列、または必要数直・並列、または種類の異なるコンデンサを複合して配置・構成することができる。
【0084】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0085】
図1において、スイッチSW1の直流電流が、コンデンサCc1に非振動的に転流・遮断されるとは、次のように考えられる。
【0086】
スイッチSW1を閉じた状態で、電源側Sから負荷側Lに直流電流Isが、スイッチSW1を通りIsw1として流れている状態で、何らかの必要により、直流電流Isを遮断し、負荷Lを電源Sから電気的に分離(遮断)したい時に、スイッチSW1に開極信号を与えると、スイッチSW1に特有のある時間を経て、スイッチSW1の接点が機械的に離れはじめる時点(通称、開極点)から接点間にアークが発生する。
【0087】
このアークは、通常不安定な状態で点弧しており、例えば真空遮断器においては、磁界の影響あるいは電流の変動、アークの移動等が原因でアークが動揺し、アーク抵抗が上昇する場合があり、あるいはパファー形SF6ガス遮断器においては、SF6ガスの吹き付けによって、真空遮断器のアークと同様にアークが動揺し、アーク抵抗が上昇するチャンスがある。
【0088】
ところが、本実施の形態のように、必要な静電容量値のコンデンサCc1がスイッチSW1に並列に接続されていることにより、アーク点弧中の何らかの動揺でアーク抵抗が上昇すると、コンデンサCc1はインピーダンスがほぼ零であるため、アーク抵抗は一気に上昇し(アーク抵抗が上昇する原因は、アーク抵抗が上昇するとアークに流れている電流が減少する、電流が減少するとアーク抵抗が上昇すると言うプロセスの繰り返し、すなわちアークの消弧能力が原動力となって、上記プロセスの繰り返しが発生すると考えられる)、スイッチSW1の電流Isw1は、アーク抵抗の上昇スピードと同じスピードでコンデンサCc1に転流し、スイッチSW1の電流Isw1の電流は遮断される。
【0089】
なお、上記アーク抵抗の上昇スピード、すなわち電流Isw1の減少スピードは、消弧媒体によって異なり、真空の場合には数A/μSから数十A/μS程度、SF6ガスの場合にはこれと同等、もしくは若干小さい値である。
【0090】
要約すると、スイッチSW1の電流Isw1が非振動的に転流するとは、アーク抵抗が何らかの外部要因で上昇すると、アークの消弧能力が原動力となり、アーク抵抗を加速度的に上昇させるため、アーク電流はインピーダンスの低いコンデンサCc1に加速度的に非振動的に転流し、アークの電流が遮断されるプロセスである。
【0091】
本実施の形態における作用と効果を明確に述べるために、次に示すような実験またはシミュレーションを行なった。
【0092】
図2(a)および(b)は、実験またはシミュレーションに用いた試験回路を示す図である。
【0093】
図2(a)は負荷電流遮断試験回路、図2(b)は短絡電流遮断試験回路を、それぞれ示す。
【0094】
図2において、電源リアクトルLsは、直流電圧電源DCVおよび直流電流電源回路DCVに不可避的に付随するインダクタンスで、この場合には100μHとした。
【0095】
負荷抵抗Roと負荷インダクタンスLoは、負荷側の負荷の抵抗とインダクタンスを総合したものである。
【0096】
コンデンサCc1に直列の残留抵抗Rcと残留インダクタンスLcは、コンデンサCc1を構成する時に不可避的に発生する抵抗とインダクタンスを総合したものであり、それぞれLc=1μH、Rc=0.01Ωとした。
【0097】
図2(b)における試験用短絡スイッチSSWは、本直流遮断装置の短絡電流遮断性能を模擬するために試験用として設けたスイッチで、ほぼ時間“零”で閉じて回路に過渡短絡電流を発生させるものである。
【0098】
上記試験回路において、1500V用の直流遮断装置(1)と400V用の直流遮断装置(1)を数種類準備して、遮断試験、またはシミュレーションを実施した。
【0099】
まず、定格電圧1500V、定格通電電流3000Aを想定した直流遮断装置(1)のスイッチSW1として、真空方式とSF6ガス方式を準備し、真空方式としてVCB−A、VCB−BおよびVCB−Cの3種類を、SF6ガス方式としてGCB−AとGCB−Bの2種類を準備した。
【0100】
各スイッチの、いわゆる遮断性能(消弧性能)は、VCB−A<VCB−B<VCB−C、およびGCB−A<GCB−Bの順番である。
【0101】
図3は、1500V用直流遮断装置(1)の試験またはシミュレーション条件とその結果を示す図である。
【0102】
直流電圧電源DCVの電圧を1500Vとし、負荷インダクタンスLoと負荷抵抗Roを図示するように変化させることにより、遮断する直流電流Isを変化させ、直流電流遮断を試み、遮断電流を非振動的に転流・遮断した場合は○印で、遮断電流が振動的に転流・遮断した場合は△印で、また遮断できなかった場合は×印で、試験またはシミュレーションを実施しなかった場合は−印で、それぞれ図示している。
【0103】
さらに、遮断した場合のスイッチ極間に現われた過渡回復電圧の波高値をVrで示した。
【0104】
一例として、図4(a)は、図3の条件2の、コンデンサCc1=300μFの時、すなわち非振動転流遮断時の、スイッチSW1の電流Isw1とコンデンサCc1の電流Ic1を示す。
【0105】
図4(b)は、スイッチSW1極間の過渡回復電圧Vrを示す。
【0106】
図4は、スイッチSW1の電流の転流・遮断部の時間拡大波形である。
【0107】
スイッチSW1からコンデンサCc1に非振動的に転流・遮断する電流値は、遮断電流値以下で、かつ極く短時間である、すなわち遮断までの時間が短く、この条件の場合は数μSであった。
【0108】
図5は、振動転流・遮断した場合の時間を拡大した波形であり、スイッチSW1の電流Isw1、コンデンサCc1の電流Ic1、およびスイッチSW1の極間の回復電圧Vrをそれぞれ示す。
【0109】
この場合、スイッチSW1の直流電流が、スイッチSW1からコンデンサCc1への転流・遮断時に、振動電流が発生、増大し、高周波の大電流(遮断電流の2倍以上)が流れ、転流・遮断するまでには、本実施の形態による非振動転流・遮断よりも長い時間、この場合は約200μSを必要とすることが明らかとなった。
【0110】
このように、スイッチSW1の消弧性能に応じてコンデンサCc1の静電容量を選択すれば、スイッチSW1の直流電流を非振動的に、コンデンサCc1に転流・遮断出来ることが明らかとなった。
【0111】
次に、定格電圧400V、定格通電電流150Aを想定した直流遮断装置(1)のスイッチSW1として、真空式SW−AとSW−Bを用いて、図6に示す試験とシミュレーションを実施した。
【0112】
スイッチSW1の遮断性能は、SW−A<SW−Bである。
【0113】
この場合も、スイッチSW1の遮断性能に応じて、スイッチSW1の直流電流を非振動的にコンデンサCc1に転流させることが可能なコンデンサCc1の静電容量を決定することができることが明らかとなった。
【0114】
さて、上記いずれの条件でも、コンデンサCc1の静電容量をある値以上にすることで、スイッチSW1からコンデンサCc1への転流電流を非振動的にすることが可能であり、遮断時間が短縮されて、転流時に大きな高周波電流をスイッチSW1ならびにコンデンサCc1に流すことなく、転流・遮断することが可能である。
【0115】
次に、スイッチSW1の電流がコンデンサCc1に転流した後、直流電源DCVから負荷側にコンデンサCc1を介して緩やかな振動電流が流れ、やがて回路定数で決まる時間で電源側から負荷側への電流IsまたはIcはほぼ零となり、電源側Sと負荷側LとはコンデンサCc1を介して電気的に切り離され、直流遮断装置(1)による遮断が完了する。
【0116】
図3の結果から、スイッチSW1の遮断性能が高いほど、また遮断電流Isが小さいほど、コンデンサCc1の静電容量は小さくて良い。
【0117】
また、スイッチSW1としては、ある遮断性能を有すれば、その方式(真空方式、気体方式、液体方式、半導体方式等)によらず、本実施の形態に使用可能である。
【0118】
ここで、スイッチSW1の直流電流を非振動的に転流・遮断するコンデンサCc1の静電容量値を、どのように決定するかが実用上の課題であり、この方法について以下に示す。
【0119】
まず、適用する直流電源システムの定格電圧、定格通電電流からスイッチSW1を選択し、このスイッチSW1の遮断電流に応じたある特定のコンデンサCc1を配置して、図3に示した方法で試験、またはシミュレーションを実施すれば、スイッチSW1の直流電流が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断するコンデンサCc1の静電容量の最小値を、容易に求めることができる。
【0120】
この最小値以上を、コンデンサCc1の静電容量と決定する。
【0121】
なお、候補のスイッチSW1が幾つかある場合には、全体の構成、経済性等を考慮して、最適なスイッチSW1とコンデンサCc1を選択し、本実施の形態の直流遮断装置(1)を構成することができる。
【0122】
なお、直流遮断装置(1)のスイッチSW1を直列、または並列、または直並列にした場合にも、前述の作用、効果が現われるのは自明であるから、ここではその説明を省略する。
【0123】
ここで、本発明者等は、本実施の形態に係る従来技術を追認すると共に、本実施の形態の妥当性も再確認した。
【0124】
従来技術として、例えば前記USP5,668,691 ARRANGEMENT FOR GAS CIRCUITI BREAKER WITH REACTOR AND CAPACITOR CONNECTED IN SERIES AND METHOD FOR SETTING ITS CIRCUTIPARAMETERと、これに引用されている文献Y.Yoshida et al.,“AStudy of DC−Current Interruption for GCB with Parallel Capacitor and Reactor”, Proceeding of the Fifth Annual Conference of Power & Energy Society IEE of Japan, (SectionII,Short Paper), Jul.27−29, 1994, pp.824−826を参照して、ほぼ同一の条件を設定し、シミュレーションを実施した。
【0125】
図7は、シミュレーションした直流遮断装置の回路図を示し(本図はUPS5,668,691のFig.1を参照した)、図8(a)は、前記UPS5,668,691とほぼ同一の条件とそのシミュレーション結果であり、前記UPS5,668,691のFig.2に示されているシミュレーション結果とほぼ同等の結果が得られ、本発明者等によっても従来技術の妥当性が確認された。
【0126】
そこで、本実施の形態の妥当性を比較、評価するために、図8(a)と同一条件で、コンデンサCc1の静電容量のみ変化させシミュレーションしたところ、400μFにすると、図8(b)に示すように、スイッチSW1に直流電流Isw1は振動することなく、すなわち非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断することが確認できた。
【0127】
さらに、図9(a)では、本実施の形態の主旨である、スイッチSW1とコンデンサCc1とを並列にして、スイッチをSW1の直流電流Isw1が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断するかどうかを、前記UPS5,668,691と同等の条件でシミュレーションした条件と結果であり、コンデンサCc1の静電容量を40μF、リアクトルLfのインダクタンスを零とすると、スイッチSW1の電流Isw1は振動を発生、増大し、コンデンサCc1に転流・遮断するが、一方、図9(b)に示すように、図9(a)と同一条件でコンデンサCc1の静電容量のみを100μFとすると、既に説明した作用で、スイッチSW1の電流Isw1は極めて早い時間(この場合は約125μS)で、非振動的に転流・遮断していることが分かる。
【0128】
以上により、従来技術の追認と従来技術と同等の条件における本実施の形態の確認からも、上記で説明した本実施の形態の作用、効果を確認することができた。
【0129】
このように、本実施の形態のスイッチSW1の直流電流を非振動的に転流・遮断するコンデンサCc1を選択することが可能であり、従来の自励転流直流遮断技術、または直流遮断装置における遮断時間が長いと言う本質的な問題点を除去、すなわち従来の自励転流遮断方式に比較して1/10から1/100以下の時間とすることができ、さらにコンデンサCc1とスイッチSW1に高周波の大電流を長時間流さないため、スイッチSW1の接点損傷を小さくすることができ、かつコンデンサCc1に余分な電流ストレスを与えないという利点も得ることができる。
【0130】
上述したように、本実施の形態では、スイッチSW1の直流電流が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断されるため、前述した従来のアーク電圧上昇方式直流遮断装置の問題点である、繰り返し使用できない点、繰り返し使用出来るが特別な消弧装置を必要とする点、あるいは適用電圧に制限される点を無くし、次に自励転流方式直流遮断装置の問題点である遮断時間が長いと言う点を無くし、さらに強制転流方式直流遮断装置の問題点であるコンデンサ充電装置、転流用スイッチとその制御装置が必要であると言う点を無くすことができ、構成がシンプルで、繰り返し使用することができ、適用電圧に制限されず、特別な構成要素を要しない極めて簡便な回路構成の直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0131】
(第2の実施の形態)
図10は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図である。
【0132】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図10に示すように、スイッチSW3と直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサCc2とを直列に接続し、さらにこの直列回路とスイッチSW2とを並列に接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0133】
ここで、スイッチSW3としては、例えば機械的スイッチ、あるいは半導体スイッチで構成することができる。
【0134】
機械的スイッチとしては、制御回路に使用されるリレー等、あるいは低圧回路の配線用遮断器、気中遮断器等、あるいは高圧の真空遮断器、気体遮断器、液体遮断器、あるいは超高圧の真空遮断器、気体遮断器、液体遮断器等から構成することができる。
【0135】
半導体スイッチとしては、例えばトランジスタ、サイリスタ、GTOサイリスタ、IGBT等から構成することができる。
【0136】
スイッチSW3は、必要数直列に構成することができる。
【0137】
なお、本実施の形態におけるスイッチSW2およびコンデンサCc2は、前記第1の実施の形態におけるスイッチSW1またはコンデンサCc1と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0138】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0139】
図10において、スイッチSW2を閉じた状態、スイッチSW3を開いた状態で、電源側Sから負荷側Lに直流電流を供給しているとする。
【0140】
図11に示すように、スイッチSW2に遮断指令(開極信号)を与えると、スイッチSW2は時刻T1で開極点(スイッチSW2に開極信号が与えられてからスイッチSW2の接点が機械的に離れる点)を迎え、スイッチSW2の接点間に直流電流アークが発生する。
【0141】
この場合、スイッチSW2に並列に配置されているコンデンサCc2は、スイッチSW3で電気的に分離されているため、前記第1の実施の形態で説明したように、スイッチSW2の直流電流は、コンデンサCc2に転流しない。
【0142】
ここで、時刻T2で、すなわち時刻T1から時間ΔT遅れてスイッチSW3が投入点(スイッチSW3に投入信号を与えてからSW3の接点が機械的に接触する点)を迎えるように信号を与えると、前記第1の実施の形態で説明したのと同様の作用で、スイッチSW2に流れていた直流アーク電流は、コンデンサCc2に非振動的に転流・遮断され、コンデンサCc2の電流、または電源側Sから負荷側Lへの電流Isは、回路の特性で決まる電流が流れ、最終的には電源側Sと負荷側Lとが、直流遮断装置で電気的に分離(遮断)される。
【0143】
このように、本実施の形態の直流遮断装置においては、スイッチSW2の開極点T1から時間ΔTだけ遅れてスイッチSW3が投入されるため、すなわちコンデンサCc2がスイッチSW2に電気的に並列接続されるため、この時点でスイッチSW2の直流電流が転流・遮断動作を開始する。
【0144】
すなわち、本実施の形態の直流遮断装置においては、転流・遮断動作開始点をSW3によって、制御することができるという利点があり、さらにスイッチSW2の直流電流がコンデンサCc2に転流容易な時点を選択して、すなわちスイッチSW2の消弧作用が最大付近で転流・遮断動作を決めることが可能であり、前記第1の実施の形態の直流遮断装置に比較して、コンデンサCc2の静電容量を小さくすることが可能であり、具体的には、ほぼ20%から50%コンデンサCc2の静電容量を削減できることが確認できた。
【0145】
上述したように、本実施の形態では、前述した従来の自励転流直流遮断技術、または直流遮断装置に比べて、極めて短時間にスイッチの電流を遮断することができ、かつコンデンサの静電容量を小さくすることができ、より精密な遮断点の制御を行なうことが可能で、かつ極めて簡便な回路構成の直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0146】
(第3の実施の形態)
図12(a)および図12(b)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0147】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図12(a)に示すように、前記第1の実施の形態における直流遮断装置と並列に抵抗Rp1を接続するか、あるいは図12(b)に示すように、前記第2の実施の形態における直流遮断装置と並列に抵抗Rp1を接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0148】
ここで、抵抗Rp1の抵抗値としては、スイッチSW1、またはスイッチSW2の直流電流遮断後に発生する回復電圧を、スイッチSW1、またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に抑制する値以下とすることが好ましい。
【0149】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0150】
本実施の形態における作用と効果を明確に述べるために、超電導電力貯蔵電源システム(SMES)を想定し、図13(a)および図13(b)に示す回路を用いて、実験とシミュレーションを行なった。
【0151】
図13(a)および図13(b)において、直流電流電源DCIのインダクタンスを2.2H(いわゆる電流源)とし、電源リアクトルLsは、直流電流電源DCIおよび電源回路に不可避的に付随するインダクタンスで、100μHとした。
【0152】
負荷抵抗Roと負荷インダクタンスLoは、本実施の形態の直流遮断装置の負荷側の抵抗とインダクタンスを総合したもので、Ro=0.01Ω、Lo=100μHとした。
【0153】
コンデンサCc1またはCc2に直列の残留抵抗Rcと残留インダクタンスLcは、コンデンサCc1またはCc2を構成する時に不可避的に発生する抵抗とインダクタンスを総合したものであり、それぞれLc=1μH、Rc=0.01Ωとした。
【0154】
抵抗Rp1は、2.667Ωとした。
【0155】
ここで、本実施の形態の直流遮断装置として、定格電圧4000V、定格通電電流、または定格遮断電流を3000A、極間試験電圧8000Vを想定して、あらかじめ直流電流電源DCIに初期値として3000Aを流しておき、時間約5msで転流・遮断動作をさせた。
【0156】
この時の各電圧と電流波形を図14(a)および図14(b)に示しており、図14(b)は図14(a)の時間拡大波形である。
【0157】
スイッチSW1またはスイッチSW2が転流・遮断動作に入る直前までは、スイッチSW1またはスイッチSW2に流れていた直流電流源DCIの電流Isは、転流・遮断動作と同時にコンデンサCc1またはコンデンサCc2に、Ic1またはIc2として非振動的に転流・遮断し、Isw1またはIsw2の電流は遮断される。
【0158】
電流Isw1またはIsw2が遮断されると、抵抗Rp1の電流IRp1には、まずコンデンサCc1またはコンデンサCc2から電流が流れ、Ic1またはIc2の電流が零になると、直流電流源からの電流Isは抵抗Rp1の電流IRp1と一致し、直流電流源のインダクタンス2.2(H)と抵抗Rp1の抵抗値、この場合は2.667Ωで決まる時定数である約2秒で減衰する。
【0159】
スイッチSW1またはスイッチSW2の極間には、抵抗Rp1に直流電流源から流れる電流Isを乗じた回復電圧Vrが発生する。
【0160】
抵抗Rp1を2.667Ωとしているため、Vrは約8000Vとなった。
【0161】
なお、上記説明では、スイッチSW1またはスイッチSW2の試験電圧を8000Vとしたが、例えば4000Vであれば、抵抗Rp1を約1.333Ωとすれば、極間の回復電圧を約4000Vにできることは自明であり、スイッチSW1またはスイッチSW2の極間試験電圧に応じて、抵抗Rp1の抵抗値を決定することができる。
【0162】
このように、スイッチSW1またはスイッチSW2の極間回復電圧以下に抑制する抵抗Rp1の抵抗値を選択することにより、前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または第2の実施の形態の直流遮断装置の作用、効果を損なうことなく、スイッチSW1またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に抑制することが可能であり、SMESあるいは類似の核融合用超電導コイルシステム等の直流電流源のエネルギーを抵抗Rp1で消費させる直流遮断装置を得ることができる。
【0163】
上述したように、本実施の形態では、前述した従来技術である、例えば“公開特許公報:特開平6−342619号”、あるいは“公開特許公報:特開平4−54820号”等に示されているように、直流電流遮断にヒューズを使用しないため、短時間に繰り返し使用可能であり、かつ複雑な回路構成とする必要がないため、遮断時間の短いシンプルな直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0164】
(第4の実施の形態)
図15(a)および図15(b)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0165】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図15(a)に示すように、前記第1の実施の形態における直流遮断装置と並列に非直線抵抗NRL1を接続するか、あるいは図15(b)に示すように、前記第2の実施の形態における直流遮断装置と並列に非直線抵抗NRL1を接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0166】
ここで、非直線抵抗NRL1の制限電圧としては、スイッチSW1、またはスイッチSW2の直流電流遮断後に発生する回復電圧を、スイッチSW1、またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に抑制する値以下とすることが好ましい。
【0167】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0168】
本実施の形態における作用と効果を明確に述べるために、超電導電力貯蔵電源システム(SMES)を想定し、図16(a)および図16(b)に示す回路を用いて、実験とシミュレーションを行なった。
【0169】
図16(a)および図16(b)において、前記第3の実施の形態の直流遮断装置の抵抗Rp1を、非直線抵抗NRL1に置き換えた以外は、図13(a)または図13(b)と全く同一であるので、ここではその説明を省略する。
【0170】
ここで、前記第3の実施の形態で説明したと同様に、定格電圧4000V、定格通電電流または遮断電流3000A、極間の試験電圧8000Vを想定した本実施の形態の直流遮断装置を、図16(a)および図16(b)の回路を用いて、実験とシミュレーションを実施した。
【0171】
この時の各電圧、電流波形を図17(a)および図17(b)に示しており、図17(b)は図17(a)の時間拡大波形である。
【0172】
前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または前記第2の実施の形態の直流遮断装置の作用により、スイッチSW1またはスイッチSW2が約5msで遮断動作に入ると、直流電流電源の電流IsはスイッチSW1またはスイッチSW2から、コンデンサCc1またはコンデンサCc2に非振動的に転流・遮断される。
【0173】
次に、コンデンサCc1またはコンデンサCc2は、直流電流源DCIからの電流Isで充電され、回復電圧Vrを発生する。
【0174】
この回復電圧Vrが非直線抵抗NRL1の動作電圧に達すると、非直線抵抗に電流INRL1が流れ、コンデンサCc1またはコンデンサCc2の電荷が急速に放電され、回復電圧Vrはあらかじめ設定された非直線抵抗の制限電圧8000V以下に抑制され、直流電流源電流Isは直流電流源インダクタンス2.2HとNRL1の抵抗値2.667Ωとで決まる時定数、この場合は約2秒の時定数で減衰する。
【0175】
このように、前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または前記第2の実施の形態の直流遮断装置と並列に非直線抵抗NRL1を配置することにより、前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または第2の実施の形態の直流遮断装置の作用、効果を損なうことなく、スイッチSW1またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に回復電圧を抑制し、直流電流源電流Isを遮断することが可能であり、スイッチSW1またはスイッチSW2で直流電流遮断後に発生する過電圧を安全に抑制し、かつコンデンサCc1またはコンデンサCc2の電荷を放電させると同時に、直流電流源のエネルギーからの電流Isを所定の時間内に減衰させることが可能な遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0176】
ところで、前述した従来技術である“公開特許公報:特開平10−40786号”においては、本第4の実施の形態と類似の構成で、直流電流を遮断する場合に、本実施の形態のコンデンサCc1またはコンデンサCc2に相当するコンデンサの静電容量値を規定する技術が提案されている。
【0177】
そこで、本発明者等は、この公開特許公報に記載されているシミュレーション条件とほぼ同一の条件を設定し、従来技術の追認を実施した。
【0178】
この公開特許公報の実施の形態に説明されている内容を引用すると、「この直流遮断装置の電流遮断プロセスは、図2に示されるものと同様であり、遮断器(11)のアークコンタクトを開極することで開始する。
【0179】
転流回路にリアクトルを設けなくとも、アークが発生するとアーク自身がインダクタンスを有するため、コンデンサとの相互作用により振動条件になる。
【0180】
様々な擾乱が電流の微少な変動となって現われ、回路条件が不安定領域にある場合には、この擾乱が成長して振動が拡大し電流零点を迎える。
【0181】
このように、リアクトルが無い簡単な転流回路でも、振動を拡大させて電流を遮断することが可能となる。」と説明しており、本発明者等の上記追認シミュレーションでも、前述の通りの内容が確認された。
【0182】
そこで、本発明者等は本第4の実施の形態の直流遮断装置の作用、すなわちスイッチSW1またはスイッチSW4の直流電流が、非振動的にコンデンサCc1またはコンデンサCc2に転流・遮断するコンデンサCc1またはCc2の静電容量値が決定できるかどうかを、上記と同一の条件で、コンデンサCc1またはコンデンサCc2の静電容量値を変化させて確認した結果、コンデンサCc1の静電容量を40μFおよび50μFとした場合、スイッチSW1を開極すると、スイッチSW1の電流に振動が発生、増大し、電流零点を生じ、スイッチSW1の電流がコンデンサCc1に転流・遮断され、次にコンデンサCc1を60μFと70μFとした場合、スイッチSW1の電流は非振動的にコンデンサCc1またはコンデンサCc2に転流・遮断することが確認された。
【0183】
この結果は、前記公開特許公報の結果と若干違うが、これはシミュレーションした時のデータを完全に一致させることができなかったためであると考えられる。
【0184】
図18(a)および図18(b)には、一例として、コンデンサCc1の静電容量が50μFと60μFの時の、スイッチSW1の電流Isw1、コンデンサCc1の電流Ic1、およびアーク電圧(回復電圧)Vrをそれぞれ示した。
【0185】
このように、従来技術である、前記公開特許公報の記載内容が追認されたと同時に、同公開特許公報に記載のシミュレーション条件で本実施の形態が提案する、スイッチSW1の電流を非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断するコンデンサCc1の静電容量値を決定できることが明らかとなった。
【0186】
このように、スイッチSW1の直流電流を非振動的に転流・遮断するコンデンサCc1を選択することが可能であり、前述した従来の自励転流直流遮断技術、または直流遮断における遮断時間が長いと言う本質的な問題点を除去し、コンデンサCc1とスイッチSW1に高周波の大電流を長時間流さないため、スイッチSW1の接点損傷を小さくすることができ、かつコンデンサCc1に余分な電流ストレスを与えない利点も得ることが可能な直流遮断装置を得ることができる。
【0187】
上述したように、本実施の形態では、前記第1または第2の実施の形態の直流遮断装置の遮断時間を短くすることができ、かつ高電圧・大電流の回路に使用可能な簡便な直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0188】
(第5の実施の形態)
図19(a)および図19(b)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0189】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図19(a)に示すように、前記第1の実施の形態における直流遮断装置と並列に抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2を接続するか、あるいは図19(b)に示すように、前記第2の実施の形態における直流遮断装置と並列に抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2を接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0190】
ここで、非直線抵抗NRL2の制限電圧と抵抗Rp2の抵抗値としては、スイッチSW1、またはスイッチSW2の直流電流遮断後に発生する回復電圧を、スイッチSW1、またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に抑制する値とすることが好ましい。
【0191】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0192】
本実施の形態における作用と効果を明確に述べるために、超電導電力貯蔵電源システム(SMES)を想定し、図20(a)および図20(b)に示す回路を用いて、実験とシミュレーションを行なった。
【0193】
図20(a)および図20(b)において、前記第3の実施の形態の直流遮断装置の抵抗Rp1を、抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2に置き換えた以外は、図13(a)または図13(b)と全く同一であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0194】
ここで、前記第3の実施の形態で説明したと同様に、定格電圧4000V、定格通電電流または遮断電流3000A、極間の試験電圧8000Vを想定した本実施の形態の直流遮断装置を用いて、実験とシミュレーションを実施した。
【0195】
この時の各電圧、電流波形を図21(a)および図21(b)に示しており、図21(b)は図21(a)の時間拡大波形である。
【0196】
前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または前記第2の実施の形態の直流遮断装置の作用により、スイッチSW1またはスイッチSW2が約5msで転流・遮断動作に入ると、直流電流電源の電流IsはスイッチSW1またはスイッチSW2から、コンデンサCc1またはコンデンサCc2に非振動的に転流・遮断される。
【0197】
次に、コンデンサCc1またはCc2は、直流電流源DCIからの電流Isで充電されると同時に抵抗Rp2に分流し、回復電圧Vrを発生する。
【0198】
この回復電圧Vrが非直線抵抗NRL2の動作電圧に達すると、非直線抵抗に電流INRL2が流れ始め、回復電圧Vrはあらかじめ設定された非直線抵抗の制限電圧8000V以下に抑制され、直流電流源電流Isは直流電流源インダクタンス2.2Hと抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2の抵抗値とで決まる時定数で減衰する。
【0199】
このように、前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または前記第2の実施の形態の直流遮断装置と並列に抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2を配置することにより、前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または第2の実施の形態の直流遮断装置の作用、効果を損なうことなく、スイッチSW1またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に回復電圧を抑制し、直流電流源電流Isを遮断することが可能であり、スイッチSW1またはスイッチSW2で直流電流を転流・遮断後に発生する過電圧を安全に抑制すると同時に、直流電流源電流Isを所定の時間で減衰させることが可能である。
【0200】
特に、抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2を並列に配置することにより、回復電圧Vrをスイッチの極間試験電圧以下に抑制する共に、スイッチSW1またはスイッチSW2による転流・遮断後に、電源のエネルギーを抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2とで分担させることが可能である。
【0201】
すなわち、エネルギー吸収を抵抗Rp2で行ない、回復電圧抑制を非直線抵抗NRL2で行なうというように分担させることが可能であり、より経済的な直流遮断装置を得ることができる。
【0202】
上述したように、本実施の形態では、前記第1または第2の実施の形態の直流遮断装置の遮断時間を短くすることができ、かつ高電圧・大電流の回路に使用可能な簡便で経済的な直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0203】
(第6の実施の形態)
図22(a)および図22(b)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0204】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図22(a)に示すように、前記第1の実施の形態における直流遮断装置、または第2の実施の形態における直流遮断装置、または第3の実施の形態における直流遮断装置、または第4の実施の形態における直流遮断装置、または第5の実施の形態における直流遮断装置を代表して示すブロックAの負荷側に、電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続するか、あるいは図22(b)に示すように、前記第1の実施の形態における直流遮断装置、または第2の実施の形態における直流遮断装置、または第3の実施の形態における直流遮断装置、または第4の実施の形態における直流遮断装置、または第5の実施の形態における直流遮断装置を代表して示すブロックAの電源側に、電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続して、それぞれ電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0205】
図22(c)および図22(d)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれより具体的に示す回路図であり、図22(c)は前記第1の実施の形態における直流遮断装置の負荷側に電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続した例を、図22(d)は前記第2の実施の形態における直流遮断装置の負荷側に電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続した例をそれぞれ示している。
【0206】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0207】
本実施の形態における直流遮断装置を図23(a)、図23(b)、図23(c)、図23(d)の直流電源システムに適用し、作用と効果を明確に述べる。
【0208】
直流電源システムの条件は、前記図3の条件2と同一として、コンデンサCc1は300μF一定とした。
【0209】
図24は、図23(a)における直流電流遮断動作時の電圧と電流波形を示す図である。
【0210】
前記第1の実施の形態で説明したのと同様に、この場合は、約5msでスイッチSW1が転流・遮断動作に入り、スイッチSW1の電流Isw1は、コンデンサCc1の電流Ic1に非振動的に転流・遮断される。
【0211】
電流Isw1が零になると同時に、スイッチSW1の極間には回復電圧Vrが現われる。
【0212】
一方、電流Isw1が零になると同時に、直流電圧電源電流IsはコンデンサCc1の電流Ic1となる。
【0213】
このIsw1の電流がコンデンサCc1に転流・遮断した瞬時から、本実施の形態に不可欠の構成要素であるコンデンサCc1と、直流電圧源DCVと電源リアクトルLsと残留抵抗Rcと残留インダクタンスLcと負荷抵抗Roと負荷インダクタンスLoの直列回路で過渡現象が生じる。
【0214】
この直列回路の全抵抗をRf、全インダクタンスをLfとすると、2R<√(L/Cc1)の条件を満した時、直流電圧源電流Is、すなわちコンデンサCc1の電流Ic1は電流零点を生じる振動電流となり、電流零点遮断用スイッチSW4に電流零点が生じ、直流電圧源電流Isはこの零点で遮断され、負荷側Lは電源側Sから切り離される、すなわちこの条件の場合は、約6.5msで直流遮断が完了する。
【0215】
一方、回復電圧Vrは、直流電圧源電流Isが遮断されるまでは約8000Vまで上昇し、直流電圧源電流Isが遮断されたと同時に上昇が止り、一定電圧を維持するが、実回路ではコンデンサCc1の漏れ抵抗によって減衰する。
【0216】
なお、説明を省略するが、電流零点遮断用スイッチSW4を電源側に配置した場合についても、上記と同様の作用を奏することになる。
【0217】
このように、前記第1の実施の形態の直流遮断装置の負荷側、または電源側に、少なくとも1個の電流零点遮断用スイッチSW4を直列に配置することにより、前記第1の実施の形態の直流遮断装置の作用、効果を損なうことなく、スイッチSW1の電流Isw1は非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断され、その後、直流電圧源電流Isに電流零点を生じる振動電流となり、直流電圧源電流Isは極く短時間に、電源側Sと負荷側Lとを遮断(分離)することが可能である。
【0218】
図25(a)および図25(b)は、図23(b)における直流電流遮断動作時の電圧と電流波形を、図26(a)および図26(b)は、図23(c)における直流電流遮断動作時の電圧と電流波形を、図27(a)および図27(b)は、図23(d)における直流電流遮断動作時の電圧と電流波形をそれぞれ示し、図25(b)は図25(a)の、図26(b)は図26(a)の、図27(b)は図27(a)の、それぞれ時間軸を拡大した波形である。
【0219】
これらについての詳細な説明は省略するが、いずれの場合にも、前記第3の実施の形態の直流遮断装置の作用と効果、または前記第4の実施の形態の直流遮断装置の作用と効果、または前記第5の実施の形態の直流遮断装置の作用と効果をそれぞれ損なうことなく、電流零点遮断用スイッチSW4により、直流電圧源電流Isが極く短時間に遮断され、電源側Sと負荷側Lとが分離されることは明白である。
【0220】
特に、図23(c)、または図23(d)に示す構成においては、抵抗Rp1または抵抗Rp2の作用によって、コンデンサCc1またはコンデンサCc2の電荷が素早く放電する、すなわちこの場合は約20msで放電するため、安全であり、かつこれら直流遮断装置の次の入り動作、そして切り動作に素早く移ることができる利点がある遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0221】
なお、前記第2の実施の形態の直流遮断装置の負荷側に電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続した場合の説明については省略するが、前記第2の実施の形態の説明と以上の説明とから、同様の作用と効果が得られることは明白である。
【0222】
上述したように、本実施の形態では、前記第1乃至第5の実施の形態の直流遮断装置の遮断時間を更に短くすることができる直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0223】
(第7の実施の形態)
図28(a)乃至図28(d)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0224】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図28(a)に示すように、前記第6の実施の形態における直流遮断装置を代表して示すブロックBの主回路通電部の一部に、少なくとも一個の振動電流発生用リアクトルLqを接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0225】
図28(b)乃至図28(d)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれより具体的に示す回路図であり、前記第6の実施の形態における直流遮断装置の中の前記第1の実施の形態の直流遮断装置の負荷側、または電源側に、少なくとも1個の電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続した前記第6の実施の形態の直流遮断装置の主回路通電部の一部に、少なくとも一個の振動電流発生用リアクトルLqを接続して、それぞれ電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0226】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0227】
本実施の形態における直流遮断装置の作用と効果を、図29(a)に示す直流電源システムに適用した場合を参照して明確に述べる。
【0228】
直流電圧電源DCVから、本実施の形態の直流遮断装置を介して、抵抗RoとリアクトルLoとの直列回路からなる負荷に電流を供給している。
【0229】
図29(a)に示す回路において、前記第1の実施の形態で説明した作用によって、スイッチSW1が転流・遮断動作を開始して、スイッチSW1の電流ISW1が、非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断されると、図29(b)に示すループの電流が流れる。
【0230】
このループの電流通路の電流、すなわち電流零点遮断用スイッチSW4の電流Isw4は、振動電流発生用リアクトルLqのインダクタンス値をある値以上に選択することにより、電流零点を生じる振動電流とすることができる。
【0231】
すなわち、コンデンサCc1の静電容量CとリアクトルLqのインダクタンス値Lとループの全抵抗Rとの関係が、2R<√(L/C)であれば、電流零点遮断用スイッチSW4の電流Isw4を、電流零点が生じる振動電流とすることが可能であり、この振動電流の第1の零点で電流零点遮断用スイッチSW4によって、電流を遮断することが可能である。
【0232】
具体的に、図30(a)に示す回路条件でシミュレーションした波形を、図30(b)および図30(c)に示す。
【0233】
図30(b)は、電流零点遮断用スイッチSW4を動作させなかった場合の波形であり、約5msでスイッチSW1の電流Isw1が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断され、転流した電流Ic1またはIsまたはIsw4は、約5.4msで第1の零点を生じる振動電流となっている。
【0234】
従って、スイッチSW1とスイッチSW4を動作させると、図30(c)に示すように、電流IsまたはIc1またはIsw4は第1の電流零点で遮断されている。
【0235】
このように、前記第6の実施の形態の直流遮断装置の主回路通電部の一部に、少なくとも1個の振動電流発生用リアクトルLqを配置することにより、本実施の形態に不可欠の主構成要素であるコンデンサCc1またはコンデンサCc2と振動電流発生用リアクトルLqとで、電流零点を生じる振動電流を発生させることができ、この電流零点で電流零点遮断用スイッチSW4が電流を遮断するため、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0236】
上述したように、本実施の形態では、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0237】
(第8の実施の形態)
図31(a)乃至図31(e)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0238】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図31(a)に示すように、前記第6の実施の形態における直流遮断装置を代表して示すブロックBの負荷側に負荷と並列に、リアクトルLpと振動電流発生用非直線抵抗NLR3との直列回路を接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0239】
図31(b)乃至図31(e)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれより具体的に示す回路図であり、前記第6の実施の形態における直流遮断装置の負荷側に負荷と並列に、リアクトルLpと振動電流発生用非直線抵抗NLR3との直列回路を接続して、それぞれ電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0240】
なお、本例では、リアクトルLpと振動電流発生用非直線抵抗NLR3との直列回路を接続する場合の例について示しているが、リアクトルLpを省略して、振動電流発生用非直線抵抗NLR3のみを接続するようにしてもよい。
【0241】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0242】
本実施の形態における直流遮断装置の作用と効果を、図32(a)および図32(b)に示す直流電源システムに適用した場合を参照して明確に述べる。
【0243】
なお、産業応用上、図32(a)および図32(b)では、例えば発電機の励磁直流電源システムを想定している。
【0244】
図32(a)において、スイッチSW1と電流零点遮断用スイッチSW4が閉じた状態で、直流電圧電源から抵抗RoおよびリアクトルLoで構成される負荷に、直流電流Isを供給しているとする。
【0245】
ここで、前記第1の実施の形態で説明したように、スイッチSW1が開極して、直流電流Isw1が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断されると、負荷のリアクトルLoに蓄えられていた電気エネルギーは定電流電源となり、コンデンサCc1を通して直流電源電圧源DCV側へ流れ、コンデンサCc1を充電しながら、リアクトルLpと振動電流発生用非直線抵抗NLR3との直列回路が配置されている点の電圧を上昇させる。
【0246】
そして、この電圧が振動電流発生用非直線抵抗NLR3の動作電圧に達すると、コンデンサCc1に充電された電荷は、振動電流発生用非直線抵抗NLR3のスイッチ作用によって、図32(b)に示すようなループで急激に放電する。
【0247】
この時、このループ回路の条件を、振動条件となるようにリアクトルLpを選んでおくことにより、電流零点遮断用スイッチSW4の電流、すなわち電流Isは零点を生じる振動電流となり、電流零点遮断用スイッチSW4で電流Isを容易に遮断することが可能である。
【0248】
ここで、より具体的に上記作用を明確にするために、図33(a)に示すような回路定数と定格電圧3000V、定格通電電流(遮断電流)6000AのスイッチSW1、電流零点遮断用スイッチSW4を用いた本実施の形態の直流遮断装置で、試験とシミュレーションを実施した。
【0249】
図33(b)は、電流零点遮断用スイッチSW4を閉じたままでスイッチSW1の遮断動作をさせた場合の電圧と電流波形を示し、図33(c)はスイッチSW1と電流零点遮断用スイッチSW4を遮断動作させた場合の電圧と電流波形を示している。
【0250】
図33(b)から明らかなように、直流電流は前記第1の実施の形態で説明した作用によって、約5msでスイッチSW1の電流が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断され、次に約5.7msで振動電流発生用非直線抵抗NLR3が動作して、電流零点遮断用スイッチSW4を通過する電流Isw4は、約6.5msで第1の零点を生じる振動をして、回路定数で決まる時定数で減衰し、零になっている。
【0251】
従って、スイッチSW1と電流零点遮断用スイッチSW4を動作させると、図33(c)に示すように、電流Isw4の第1の零点で遮断が完了している。
【0252】
なお、その詳細な説明は省略するが、図31(b)乃至から図31(e)に示す本実施の形態の他の構成の場合についても、コンデンサCc1の振動電流発生用非直線抵抗NLR3を通過する放電回路ループが、振動条件となるようにリアクトルLpを選定することにより、上記と同様の作用が現われることをシミュレーションで確認できた。
【0253】
また、負荷の抵抗RoとインダクタンスLoを様々に変化させた場合にも、コンデンサCc1の放電回路ループを、振動条件となるようにリアクトルLpを選択することができ、上記と同様の作用が現われることを確認できた。
【0254】
なお、回路条件によっては、回路構成上不可避的に生じる回路のインダクタンスでも上記ループの振動条件が満たされ、すなわちコンデンサCc1の放電ループのインダクタンスが100μH程度あれば、リアクトルLpは省略できることも確認できた。
【0255】
このように、本実施の形態の直流遮断装置においては、前記第6の実施の形態の直流遮断装置の負荷側に負荷と並列に、リアクトルLpと振動電流発生用非直線抵抗NLR3との直列回路を配置することにより、第6の実施の形態の直流遮断装置に不可欠の主要構成要素であるコンデンサCc1またはCc2と、電源回路と電流零点遮断用スイッチSW4と振動電流発生用非直線抵抗NLR3とからなるループで、振動電流発生用非直線抵抗NLR3のスイッチ作用によって、コンデンサCc1またはコンデンサCc2の電荷を放電させることができ、零点を生じる振動電流が発生して、その振動電流の第1の零点で電流零点遮断用スイッチSW4が遮断するため、簡単な構成で直流電流遮断完了までの時間が短い直流遮断装置を得ることができる。
【0256】
上述したように、本実施の形態による直流遮断装置では、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0257】
(第9の実施の形態)
図34(a)乃至図34(d)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0258】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図34(a)に示すように、前記第7の実施の形態における直流遮断装置を代表して示すブロックCの負荷側に負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗NLR4を接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0259】
図34(b)乃至図34(d)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれより具体的に示す回路図であり、前記第7の実施の形態における直流遮断装置の中の前記第1の実施の形態の直流遮断装置の主回路通電部の一部に、少なくとも1個の振動電流発生用リアクトルLqを接続した前記第7の実施の形態の直流遮断装置の負荷側に負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗NLR4を接続して、それぞれ電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0260】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0261】
本実施の形態における直流遮断装置の作用と効果を、図35(a)に示す直流電源システムに適用した場合を参照して明確に述べる。
【0262】
図35(a)において、直流遮断装置CのスイッチSW1を動作させると、前記第1の実施の形態で説明した作用によって、スイッチSW1の電流Isw1が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断されると同時に、負荷のリアクトルLoの電気エネルギーがコンデンサCc1を通り、電源側に向って流れ、コンデンサCc1が充電される。
【0263】
これと同時に、負荷側Lの電位が上昇して、振動電流発生用非直線抵抗NLR4の動作開始電圧に達すると、図35(b)に示すように、非直線抵抗のスイッチ作用によって、コンデンサCc1の電荷が直流電圧電源とコンデンサCc1と電流零点遮断用スイッチSW4と振動電流発生用リアクトルLqと振動電流発生用非直線抵抗NLR4との直列回路で急激に放電して、電流INLR4が流れる。
【0264】
ここで、リアクトルLqを、電流零点遮断用スイッチSW4の電流Isw4が電流零点を生じるように選択しておくことにより、この電流零点で電流零点遮断用スイッチSW4が電流を遮断する、すなわち電源電流Isが直流遮断装置Cにて遮断されたことになる。
【0265】
このように、前記第7の実施の形態の直流遮断装置の負荷側に負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗NLR4を配置することにより、本実施の形態に不可欠の主要構成要素であるコンデンサCc1またはコンデンサCc2と、リアクトルLqと振動電流発生用スイッチSW4と振動電流発生用NLR4と直流電圧電源との直列回路で、電流零点が生じる振動電流が発生し、この電流零点で電流零点遮断用スイッチSW4が電流が遮断、すなわち電源電流Isが本実施の形態の直流遮断装置で遮断されるため、簡便な構成で直流電流遮断完了までの時間が短い直流遮断装置を得ることができる。
【0266】
上述したように、本実施の形態では、簡便な構成で遮断時間の短い直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0267】
(第10の実施の形態)
図36(a)および図36(b)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図であり、前記第6の実施の形態における直流遮断装置、または第7の実施の形態における直流遮断装置、または第8の実施の形態における直流遮断装置、または第9の実施の形態における直流遮断装置を、3相交流電源システムに使用した場合の構成例について示している。
【0268】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図36(a)に示すように、具体的な一例として、3相交流電源システムに、前記第6の実施の形態における直流遮断装置の中の前記第3の実施の形態の直流遮断装置の負荷側に、電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続した場合について示している。
【0269】
図36(b)は、図36(a)における直流遮断装置ACCB−AとACCB−BとACCB−Cの詳細を示している。
【0270】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0271】
本実施の形態における直流遮断装置の作用と効果を明確に述べるために、図37(a)および図37(b)に示すような3相交流電源システムの回路構成で、実験とシミュレーションを実施した。
【0272】
図38(a)はシミュレーションまたは実験の条件を示し、その結果を図38(b)および図38(b)、図39(a)および図39(b)に示す。
【0273】
図38(b)は、直流遮断装置ACCB−A、ACCB−BおよびACCB−Cを閉じた状態で、すなわち各相のスイッチSW1とスイッチSW4を閉じた状態で、各相の試験用の投入スイッチSCS−A、SCS−BおよびSCS−Cを、時刻零で閉じた時のA相、B相およびC相の3相交流短絡電流波形を示している。
【0274】
次に、図38(c)は、各相のスイッチSW1を遮断動作させて、各相のスイッチSW4を遮断動作させなかった場合を示し、約2msで各相のスイッチSW1が遮断動作をして、各相のスイッチSW1の電流が各相のコンデンサCc1に非振動的に転流・遮断し、転流した電流、すなわち電源電流Isは各相の電源抵抗Rs、各相の電源インダクタンスLsおよび各相のコンデンサCc1の直列回路で、零点を生じる振動電流が発生している。
【0275】
図39(a)は、各相のスイッチSW1と電流零点遮断用スイッチSW4を遮断動作させた場合の波形であり、上記零点を生じる振動電流Isの第1の電流零点で、各相の電流零点遮断用スイッチSW4が遮断を完了し、一方、各相のスイッチSW1の電流が、各相のコンデンサCc1転流したと同時に各相に回復電圧Vrが発生し、かつ各相のコンデンサCc1の電荷は各相の抵抗Rp1により放電し、約8msで零となっている。
【0276】
図39(b)は、図39(a)の電圧と電流波形を分かり易くするために、各相毎に示したものである。
【0277】
これらの図は、既に前記第6の実施の形態で説明した図25(b)に示した動作波形とほぼ類似動作波形であることが分かる。
【0278】
このように、本実施の形態の直流遮断装置は、交流電源システムにおいて、交流電流の直流部分で直流電流を遮断させ得ることが明らかである。
【0279】
なお、その詳細な説明は省略するが、前記第6の実施の形態における直流遮断装置、または第7の実施の形態における直流遮断装置、または第8の実施の形態における直流遮断装置、または第9の実施の形態における直流遮断装置を、3相交流電源システムに使用した場合についても同様であり、上記説明のように、スイッチSW1またはスイッチSW2を交流電流の直流電流部分で開極させると、その直流電流が非振動的にコンデンサCc1またはコンデンサCc2に転流・遮断するため、前記第6の実施の形態における直流遮断装置、または第7の実施の形態における直流遮断装置、または第8の実施の形態における直流遮断装置、または第9の実施の形態における直流遮断装置に不可欠の構成要素である、コンデンサCc1またはコンデンサCc2と回路のインダクタンス、または電流零点発生用リアクトルLqとで、あるいはコンデンサCc1またはコンデンサCc2と回路のインダクタンスと振動電流発生用非直線抵抗NLR3またはNLR4とで電流零点を発生する振動電流が現われ、その電流零点で電流零点遮断用スイッチSW4が遮断するため、交流電流の直流電流部分での遮断が可能な効果を得ることができ、交流電源システムの電流を、その電流零点が生じるのを待たずに、高速度で遮断可能な直流遮断装置を得ることができる。
【0280】
上述したように、本実施の形態では、交流電源システムにおける電流を、その電流零点が生じるのを待つことなく高速で遮断することができる直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0281】
(その他の実施の形態)
尚、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形して実施することが可能である。
本発明は、直流電力を利用する、例えば超電導電力貯蔵システム、核融合超電導コイル電源システム、直流電気鉄道電力システム、分散電源システム(例えば、燃料電池電力システム、太陽光電力システム等)、バッテリ電源システム(例えば、自動車電源システム、変電・受配電設備制御電源システム等)、発電機励磁電源システム、直流送電システム、直流電動機適用電源システム、無停電電源システム等の直流電流遮断に適用することができ、特に低圧(〜400V)、高圧(〜6.6kV)、超高圧(〜500kV級)並びに交流電流の直流電流部遮断等の、直流電流遮断全てに適用することができる。
【0282】
また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた作用効果を得ることができる。
さらに、上記各実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより、種々の発明を抽出することができる。
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題(の少なくとも一つ)が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果(の少なくとも一つ)が得られる場合には、この構成要件が削除された構成を発明として抽出することができる。
【0283】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、前述したアーク電圧上昇方式直流遮断装置の問題点である、繰り返し使用できない点、繰り返し使用出来るが特別な消弧装置を必要とする点あるいは適用電圧に制限される点、また自励転流方式直流遮断装置の問題点である、振動電流を発生、増大させて電流零点で遮断するために遮断時間が長いと言う点、さらに強制転流方式直流遮断装置の問題点である、コンデンサ充電装置、転流用スイッチとその制御装置が必要であると言う点、更に遮断電流の極性に応じて充電電圧の極性を選択しなければならないと言う点を解消した、構成がシンプルで、繰り返し使用でき、適用電圧に制限されず、特別な構成要素を必要としない直流遮断装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図2】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を説明するための回路図。
【図3】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした条件の一例を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果の電圧、電流波形の一例を示す図。
【図5】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果の電圧、電流波形の他の例を示す図。
【図6】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした条件の他の例を示す図。
【図7】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を従来例と比較、追認したシミュレーション結果を示す回路図。
【図8】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を従来例と比較、追認したシミュレーション結果を示す回路図。
【図9】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を従来例と比較、追認したシミュレーション結果を示す回路図。
【図10】本発明の第2の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図11】本発明の第2の実施の形態による直流遮断装置の動作の時間関係を示す図。
【図12】本発明の第3の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図13】本発明の第3の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図14】本発明の第3の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図15】本発明の第4の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図16】本発明の第4の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図17】本発明の第4の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図18】本発明の第4の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を従来例と比較、追認したシミュレーションした結果を示す図。
【図19】本発明の第5の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図20】本発明の第5の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図21】本発明の第5の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図22】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図23】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図24】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を図23(a)で実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図25】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を図23(b)で実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図26】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を図23(c)で実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図27】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を図23(d)で実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図28】本発明の第7の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図29】本発明の第7の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図30】本発明の第7の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図31】本発明の第8の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図32】本発明の第8の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図33】本発明の第8の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした条件と結果を示す図。
【図34】本発明の第9の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図35】本発明の第9の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図36】本発明の第10の実施の形態による直流遮断装置を交流電源システムに使用した構成例を示す回路図。
【図37】本発明の第10の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした交流電源システムを示す回路図。
【図38】本発明の第10の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした条件と結果の一例を示す図。
【図39】本発明の第10の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした条件と結果の一例を示す図。
【図40】従来のアーク電圧上昇方式直流遮断技術およびその遮断器におけるヒューズの構造、動作時の等価回路、および遮断時のオシログラムを示す図。
【図41】従来の配線用直流遮断装置の消弧装置、および気中高速度直流遮断装置の消弧装置と全体概略構造の一例を示す図。
【図42】従来の直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図43】従来の強制転流方式直流遮断技術、またはこれを応用した直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図44】従来の強制転流方式直流遮断技術、または直流遮断装置のスイッチとして半導体を使用した直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【符号の説明】
SW1…スイッチ、
SW2…スイッチ、
SW3…スイッチ、
SW4…スイッチ、
Cc1…コンデンサ、
Cc2…コンデンサ、
Rp1…抵抗、
Rp2…抵抗、
NLR1…非直線抵抗、
NLR2…非直線抵抗、
NLR3…非直線抵抗、
NLR4…非直線抵抗、
Lp…リアクトル、
Lq…リアクトル。
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電源システムあるいは交流電流システムに適用する直流電流遮断技術もしくはこれを応用した直流遮断装置に係り、特に構成がシンプルで、繰り返し使用でき、適用電圧に制限されず、特別な構成要素を必要としない直流遮断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、直流電流を遮断する場合には、次に示すような3つの直流遮断技術、または直流遮断装置が主として用いられてきている。
【0003】
(1)アーク電圧上昇方式直流遮断技術、または直流遮断装置
本アーク電圧上昇方式直流遮断技術、またはこれを応用した直流遮断装置では、直流電流のアーク電圧を何らかの方法で電源電圧まで上昇させ、直流電流を限流させて遮断する技術である。
【0004】
具体的には、ヒューズ(〜22kV程度)、配線用直流遮断装置(〜250V程度)、気中高速度直流遮断装置(〜3000V程度)等が、直流遮断装置として低圧から高圧まで商用化されている。
【0005】
例えば、“電気書院1983年発行の電気・電子工学百科事典第17巻開閉装置・避雷器の第2章遮断器”に、上記アーク電圧上昇方式直流遮断技術およびその遮断器が詳細に記載されている。
【0006】
図40(a)、図40(b)、図40(c)は、前記同書から引用したヒューズの構造、動作時の等価回路、および遮断時のオシログラムをそれぞれ示す図である。
【0007】
ヒューズの可溶体に短絡電流等の大電流が流れると、可溶体は溶断発弧するが、アークは消弧剤によって細い筒状の空間内に閉じ込められ、かつ消弧剤によって冷却される。
【0008】
このため、アーク電圧は電源電圧まで上昇し、すなわちアーク抵抗が高くなり、短絡電流は限流されて交流の直流部分で遮断される。
【0009】
直流電流が遮断されると、ヒューズの端子間に回復電圧が現われるが、ヒューズはこの回復電圧に耐えるように作られているので、電流遮断が完了する。
【0010】
ただし、動作の度にヒューズを新しいものと交換する必要がある。
【0011】
配線用直流遮断装置、気中高速度直流遮断装置も、前記ヒューズと同様に、アーク電圧を電源電圧まで上昇させて直流電流を遮断するが、アーク電圧を上昇させる方式が異なる。
【0012】
一例として、例えば“公開実用新案公報:実開平5−8854回路遮断器”と“前記電気書院1983年発行の電気・電子工学百科事典第17巻開閉装置・避雷器の第2章遮断器”から引用した配線用直流遮断装置の消弧装置(アークシユート)、および気中高速度直流遮断装置の消弧装置(アークシュート)と全体概略構造の例を、図41(a)および図41(b)にそれぞれ示す。
【0013】
いずれの場合にも、直流電流を遮断するために開離した固定接触子と可動接触子間に発生したアークは、これら消弧装置の中に駆動されて、アーク長が延長され、かつ分断され、更に消弧装置内で冷却される。
【0014】
このため、アーク電圧(アーク抵抗)が上昇し、消弧、すなわち直流電流が遮断される。
【0015】
特に、気中高速度直流遮断装置の場合には、適用電圧が〜4000Vと高いことから、図41(b)に示されるように消弧装置が大形化し、かつアーク電圧を上昇させたり、アークを移動させるための様々な部品が装着されている。
【0016】
図41(c)に、気中高速度直流遮断装置による直流電流遮断時の波形の一例を示す。
【0017】
遮断すべき直流電流は、スイッチが開くと接触子間のアーク電圧が上昇するため限流されて、アーク電圧が電源電圧以上となり、アークが消弧、すなわち直流電流が遮断される。
【0018】
直流電流の遮断後には、固定接触子と可動接触子間に回復電圧が現われるが、固定接触子と可動接触子間は、この回復電圧に耐えるように製作されているので、直流電流遮断が完了する。
【0019】
ヒューズと異なり、これらの配線用直流遮断装置と気中高速度直流遮断装置は、繰り返して使用することが可能である。
【0020】
(2)自励転流方式直流遮断技術、または直流遮断装置
本自励転流方式直流遮断技術、またはこれを応用した直流遮断装置は、例えば“USP5,668,691 ARRANGEMENT FOR GAS CIRCUITI BREAKER WITH REACTOR AND CAPACITOR CONNECTED IN SERIES AND METHOD FOR SETTING ITS CIRCUTI PARAMETER、”あるいは“公開特許公報:特開平10−40786自励転流方式直流遮断装置”に記載されているように、SF6ガス遮断器と並列に、コンデンサとリアクトルの直列回路からなる転流回路と、これら転流回路に並列に接続されたサージアブソーバとを備えた構成により、ある値のコンデンサとリアクトルとある特定の直流アーク特性を有するSF6ガス遮断器からなる閉ループ回路で、振動電流を発生、増大させて、電流零点を発生させ、直流電流を遮断する。
【0021】
あるいは、本技術は例えば“特許公報:昭62−53894直流しゃ断器”の従来例に記載されているように、遮断器と並列にコンデンサを配置して、遮断器とコンデンサの閉ループ回路で振動電流を発生、増大させて、電流零点を発生させ、直流電流を遮断する。
【0022】
図42(a)は、USP5,668,691に示されている直流遮断装置の構成例を示す回路図である。
【0023】
SF6ガス遮断器SWと並列に、コンデンサCとリアクトルLの直列回路と非直線抵抗体NLRが接続されている。
【0024】
かかる構成において、コンデンサCとリアクトルLに特定の値を与え、かつ特定の直流アーク特性を有するSF6ガス遮断器を開極すると、図42(b)に示すように、直流アークとコンデンサ、リアクトルの閉回路で、振動電流が発生、増大する。
【0025】
Ia、すなわち遮断すべき直流電流は振動を発生、増大し、ある時間を経た後に零点を生じ、この零点で直流電流が遮断される。
【0026】
Iaが振動を発生、増大する間、アーク電圧Va、アーク抵抗Ra、コンデンサ電流Icも、図42(b)に波形図を示すように振動している。
【0027】
なお、非直線抵抗体NLRは、遮断時に発生する過電圧を抑制する。
【0028】
(3)強制転流方式直流遮断技術、または直流遮断装置
本強制転流方式直流遮断技術、またはこれを応用した直流遮断装置は、例えば“前記電気書院1983年発行の電気・電子工学百科事典第17巻間閉装置・避雷器の第2章遮断器”、あるいは“前記特許公報:昭62−53894直流しゃ断器”等に記載されている。
【0029】
図43は、本方式の構成例を示す回路図である。
【0030】
SF6ガス遮断器、空気遮断器、あるいは真空遮断器等のスイッチSWと、このスイッチSWに並列にコンデンサCとリアクトルLと転流スイッチSWCの直列回路からなる強制転流回路を配置し、さらに過電圧抑制用非直線抵抗NLRをスイッチSWと並列に配置した構成において、コンデンサCをあらかじめコンデンサ充電装置PSで所定の電圧に充電しておき、直流電流の遮断が必要な時に、転流スイッチSWCを転流スイッチ制御装置により閉じて、スイッチSWとコンデンサCとリアクトルLと転流スイッチSWCの閉ループ回路に高周波の振動電流を発生させて、スイッチSWの電流に電流零点を発生させ、直流電流を遮断するものである。
【0031】
さらに、図44は、強制転流方式直流遮断技術、または直流遮断装置のスイッチとして半導体(サイリスタ)使用した直流遮断装置の一例を、“前記電気書院1983年発行の電気・電子工学百科事典第17巻開閉装置・避雷器の第2章遮断器”から引用して示す回路図である。
【0032】
直流電源および電源コンデンサから負荷に直流電力を供給する半導体直流遮断装置は、主サイリスタMthと並列に、転流リアクトルLc、転流コンデンサCcおよび転流用サイリスタスイッチAthの直列回路が配置されている。
【0033】
また、負荷と並列に、フライフォイルダイオードFDが配置されている。
【0034】
かかる構成において、直流電流遮断が必要な時に、転流コンデンサCcのあらかじめ所定の電圧で充電されている電荷を、転流用サイリスタスイッチAthを閉じることにより、主サイリスタMth、転流リアクトルLc、転流コンデンサCc、および転流サイリスタスイッチAthの閉回路に、高周波振動電流を発生させて、電流零点で主サイリスタの直流電流を遮断する。
【0035】
なお、遮断後の負荷に蓄えられていた電磁エネルギーは、フライフォイルダイオードを介して電源側に還流される。
【0036】
(4)その他の従来技術
“前記電気書院1983年発行の電気・電子工学百科事典第17巻開閉装置・避雷器の第2章遮断器”、あるいは“公開特許公報:昭60−157121ハイブリッド形回路遮断器”、あるいは“公開実用新案公報:昭58−255733しゃ断器”によれば、ガス遮断器あるいは真空遮断器等のスイッチと並列にコンデンサを配置した構成が示されている。
【0037】
しかしながら、これらの遮断器は、いずれも交流電源システムに適用する、いわゆる交流遮断器で、遮断器(スイッチ)と並列に配したコンデンサは、交流電流の零点で交流電流を遮断した後に、遮断器(スイッチ)の極間に現われる初期過渡回復電圧、あるいは過渡回復電圧の上昇率を抑制するか、あるいは遮断器を複数直列に配置し、交流電流を零点で遮断した後に、極間に現われる初期過渡回復電圧、あるいは過渡回復電圧を分担させる構成要素である。
【0038】
次に、“特許公報:第3135338号転流式直流遮断装置”によれば、直流電源と負荷との間に設けられた主接点と、当該主接点と電気的に並列に接続され、かつ電気的に直列に接続されたコンデンサ、リアクトルおよび転流スイッチからなる転流回路とを備えた転流式直流遮断装置において、無負荷回路時における上記転流回路から上記負荷側への転流電流の流れを阻止する阻止手段を設けたことを特徴とする転流式直流遮断装置が提案されている。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の技術においては、以下に述べるような課題がある。
【0040】
(1)アーク電圧上昇方式直流電流遮断技術あるいは直流遮断装置
アーク電圧上昇方式直流電流遮断技術あるいは直流遮断装置におけるヒューズにおいては、アーク電圧を上昇させて直流を遮断した場合、可溶体が溶断するため、直流遮断毎に取り替える必要があり、直流電流を遮断後に、引き続き直流電力を送電したい場合等に、長い時間を要し、適用制限を受けるという不便さがある。
【0041】
次に、配線用直流遮断装置あるいは気中高速度直流遮断装置においては、アーク電圧を上昇させて消弧するために、特別の消弧装置が必要であり、従来から様々な工夫がなされ実用化されてはいるものの、消弧装置が複雑化したり、大型化したり、更に可動接触子の構造や操作機構に特別な工夫と構成要素が必要で、全体が大型化し、複雑である。
【0042】
さらに、上記アーク電圧上昇方式直流遮断装置おいては、適用電圧に制限があり、適用範囲が制限されている。
【0043】
因みに、ヒューズにおいては22kV程度まで、配線用遮断器においては250V程度まで、気中高速度直流遮断装置においては一般に4000V程度までが、それぞれ適用電圧限度となっている。
【0044】
(2)自励転流方式直流遮断技術あるいは直流遮断装置
自励転流方式直流遮断技術あるいは直流遮断装置においては、SF6ガス遮断器と並列に配置したコンデンサ、リアクトルからなる直列回路で、SF6ガス遮断器の接点を開いた時に発生する直流電流アークに特定の特性を持たせ、前記直列回路に振動電流を発生、増大させて、SF6ガス遮断器の接点間に電流零点をつくり、直流電流を遮断するので、遮断までの時間(遮断時間:アーク時間)が長く、かつ接点消耗が大きいという問題点がある。
【0045】
この遮断時間(アーク時間)が長いと言う問題点は、従来技術で指摘され、この問題点を無くすために、例えば“公開特許公報:特開平9−50743直流遮断装置”では、特別な回路を付加し、接点が開離してから振動電流発生、増大し、電流零点が出来るまでの時間を短縮する提案がなされたり、“公開特許公報:特開平9−50742直流遮断装置”では、遮断部に特別な工夫を行ない、上記振動電流が発生、増大して、電流零点で遮断するまでの時間を短くする提案がなされている。
【0046】
しかしながら、本方式の原理である、振動電流を発生、増大させて、電流零点を作り遮断するために必要な時間(遮断時間)を無くすことはできないと言う本質的な問題点がある。
【0047】
(3)強制転流方式直流遮断技術あるいは直流遮断装置
強制転流方式直流遮断技術あるいは直流遮断装置においては、直流電流を遮断するために、スイッチと並列にコンデンサ、リアクトルおよび転流用スイッチの直列回路を配置し、コンデンサをあらかじめ所定の電圧に充電しておき、直流電流の遮断が必要になった時に、転流用スイッチを閉じて高周波の振動電流により直流電流に電流零点を発生させて、その電流零点で直流電流を遮断する。
【0048】
従って、本方式においては、コンデンサをあらかじめ所定の電圧に充電するための装置、高周波の振動電流を始動する転流用スイッチと高周波の振動電流に耐えるコンデンサとその制御装置が必要であり、装置が複雑化、大型化し、不経済である。
【0049】
また、遮断する電流の極性に応じて、コンデンサの充電電圧の極性を選択する必要があり、特に正極性または負極性いずれかの電流を任意に遮断しなければならない時に、特別の工夫と装置が必要になるという問題点がある。
【0050】
本発明の目的は、前述したアーク電圧上昇方式直流遮断装置の問題点である、繰り返し使用できない点、繰り返し使用出来るが特別な消弧装置を必要とする点あるいは適用電圧に制限される点、また自励転流方式直流遮断装置の問題点である、振動電流を発生、増大させて電流零点で遮断するために遮断時間が長いと言う点、さらに強制転流方式直流遮断装置の問題点である、コンデンサ充電装置、転流用スイッチとその制御装置が必要であると言う点、更に遮断電流の極性に応じて充電電圧の極性を選択しなければならないと言う点を解消した、構成がシンプルで、繰り返し使用でき、適用電圧に制限されず、特別な構成要素を必要としない直流遮断装置を提供することにある。
【0051】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の発明の直流遮断装置は、直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサとスイッチとを並列に接続している。
【0052】
従って、第1の発明の直流遮断装置においては、スイッチと並列に直流電流を非振動的に転流させるコンデンサを配置することにより、本直流遮断装置を電源と負荷間等に接続し、スイッチを開くと、このスイッチの持つ消弧機能によって、スイッチの直流電流がほぼインピーダンス零であるコンデンサに振動することなく転流・遮断されるため、前述した従来の自励転流直流遮断技術、または直流遮断装置に比べて、極めて短時間にスイッチの電流を遮断することができ、極めて簡便な回路構成の直流遮断装置を得ることができる。
【0053】
また、第2の発明の直流遮断装置は、直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサと転流用スイッチとを直列に接続し、当該コンデンサと転流用スイッチとの直列回路に、スイッチを並列に接続している。
【0054】
従って、第2の発明の直流遮断装置においては、転流用スイッチと直流電流を非振動的に転流させるコンデンサを直列に配置し、これとスイッチとを並列に配置することにより、本直流遮断装置を電源と負荷間等に接続し、スイッチを開き、このスイッチの極間に直流アークが発生し、スイッチの消弧機能が最大付近になったところで、転流用スイッチを閉極すると、スイッチの持つ消弧機能によって、スイッチの直流アーク電流がほぼインピーダンス零であるコンデンサに転流・遮断されるため、前述した従来の自励転流直流遮断技術、または直流遮断装置に比べて、極めて短時間にスイッチの電流を遮断することができ、かつコンデンサの静電容量を小さくすることができ、より精密な遮断点の制御を行なうことが可能で、かつ極めて簡便な回路構成の直流遮断装置を得ることができる。
【0055】
一方、第3の発明の直流遮断装置は、上記第1または第2の発明の直流遮断装置本体に、抵抗を並列に接続している。
【0056】
従って、第3の発明の直流遮断装置においては、第1または第2の発明の直流遮断装置本体に並列に抵抗を配置することにより、上記第1または第2の発明の作用により、スイッチの直流電流をコンデンサに非振動的に転流・遮断した後に、コンデンサの電荷を抵抗で素早く放電するため、遮断完了までの時間が速く、負荷または電源の電磁エネルギーを抵抗で消費して減衰させ、かつ遮断後に現われる回復電圧上昇率と回復電圧波高値が抵抗で抑制されるため、上記第1または第2の発明の直流遮断装置の遮断時間を短くすることができ、かつ高電圧・大電流の回路に使用可能な簡便な直流遮断装置を得ることができる。
【0057】
また、第4の発明の直流遮断装置は、上記第1または第2の発明の直流遮断装置本体に、非直線抵抗を並列に接続している。
【0058】
従って、第4の発明の直流遮断装置においては、第1または第2の発明の直流遮断装置本体に並列に非直線抵抗を配置することにより、上記第1または第2の発明の作用により、スイッチの直流電流を非振動的にコンデンサに転流・遮断した後に、コンデンサの電荷を非直線抵抗で急速に放電し、かつ負荷のエネルギーを非直線抵抗で消費して減衰させ、かつ回復電圧波高値を非直線抵抗で抑制することができ、上記第1または第2の発明の直流遮断装置の遮断時間を短くでき、かつ高電圧・大電流の回路に使用可能な簡便な直流遮断装置を得ることができる。
【0059】
さらに、第5の発明の直流遮断装置は、上記第1または第2の発明の直流遮断装置本体に、抵抗と非直線抵抗を並列に接続している。
【0060】
従って、第5の発明の直流遮断装置においては、第1または第2の発明の直流遮断装置本体に並列に抵抗と非直線抵抗を配置することにより、上記第1または第2の発明の作用により、スイッチまたはスイッチの直流電流が非振動的に、コンデンサに転流・遮断した後に、コンデンサの電荷を抵抗と非直線抵抗と急速に放電し、負荷または電源のエネルギーを抵抗と非直線抵抗とで分担消費して減衰させ、かつ遮断後に現われる回復電圧上昇率が抵抗で抑制され、かつ回復電圧波高値が抵抗と非直線抵抗の並列回路で抑制されるため、上記第1または第2の発明の直流遮断装置の遮断時間を短くすることができ、かつ高電圧・大電流の回路に使用可能な簡便で経済的な直流遮断装置を得ることができる。
【0061】
一方、第6の発明の直流遮断装置は、上記第1乃至第5のいずれか1つの発明の直流遮断装置本体の負荷側、または電源側に、少なくとも1個の電流零点遮断用スイッチを直列に接続している。
【0062】
従って、第6の発明の直流遮断装置においては、第1乃至第5のいずれか1つの発明の直流遮断装置本体の負荷側、または電源側に直列に少なくとも1個の電流零点遮断用スイッチを配置することにより、上記第1乃至第5のいずれか1つの発明の直流遮断装置のスイッチで、直流電流を非振動的にコンデンサに転流・遮断した後に、コンデンサまたは抵抗、または非直線抵抗、または抵抗と非直線抵抗の並列回路を通して流れる電流を電流零点遮断用スイッチで遮断することができ、上記第1乃至第5のいずれか1つの発明の直流遮断装置の遮断時間を更に短くすることが可能な直流遮断装置を得ることができる。
【0063】
また、第7の発明の直流遮断装置は、上記第6の発明の直流遮断装置本体の主回路通電部の一部に、少なくとも1個の振動電流発生用リアクトルを接続している。
【0064】
従って、第7の発明の直流遮断装置においては、第6の発明の直流遮断装置本体の主回路通電部の一部に少なくとも1個の振動電流発生用リアクトルを配置することにより、上記第6の発明の直流遮断装置の主回路通電部の振動電流発生用リアクトルとコンデンサとの直列回路で、電流零点を生じる振動電流を発生させる振動電流発生用リアクトルのインダクタンス値を選んで配置することで、上記第1乃至第6のいずれか1つの発明の直流遮断装置のスイッチで直流電流が非振動的にコンデンサに転流・遮断した後に、上記第1乃至第6のいずれか1つの発明の直流遮断装置の負荷側、または電源側に少なくとも1個直列に配置した電流零点遮断用スイッチに電流零点を生じる振動電流が流れるため、すなわち電源側から負荷側への電流を電流零点遮断用スイッチで遮断することができ、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0065】
さらに、第8の発明の直流遮断装置は、上記第6の発明の直流遮断装置本体の負荷側に負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗、またはリアクトルと振動電流発生用非直線抵抗との直列回路を接続している。
【0066】
従って、第8の発明の直流遮断装置においては、第6の発明の直流遮断装置本体の負荷側に負荷と並列に、直列に振動電流発生用非直線抵抗、またはリアクトルと振動電流発生用非直線抵抗との直列回路を配置することにより、上記第1乃至第6のいずれか1つの発明の直流遮断装置のスイッチの直流電流が非振動的にコンデンサに転流・遮断した電流が、電源とコンデンサと電流零点遮断用スイッチと振動電流発生用非直線抵抗NLR3の直列回路からなるループで電流零点を生じる振動電流を発生させることができ、この電流を電流零点遮断用スイッチで容易に遮断することが可能な遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0067】
一方、第9の発明の直流遮断装置は、上記第7の発明の直流遮断装置本体の負荷側に、負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗を接続している。
【0068】
従って、第9の発明の直流遮断装置においては、第7の発明の直流遮断装置本体の負荷側に、負荷と並列に振動電流発生用非直線抵抗を配置することにより、上記第1乃至第6のいずれか1つの発明の直流遮断装置のスイッチから非振動的にコンデンサに転流・遮断した電流が、電源とコンデンサと電流零点遮断用スイッチとリアクトルと振動電流発生用非直線抵抗との直列回路からなるループに電流零点を生じる振動電流を発生させることができ、この電流を電流零点遮断用スイッチで容易に遮断することが可能な遮断時間の短い簡便な直流遮断装置を得ることができる。
【0069】
また、第10の発明の直流遮断装置は、上記第6乃至第9のいずれか1つの発明の直流遮断装置本体を、交流電源システムに使用している。
【0070】
従って、第10の発明の直流遮断装置においては、第6乃至第9のいずれか1つの発明の直流遮断装置本体を、交流電源システムに使用することにより、スイッチを交流電流の直流電流部分で開極させると、その直流電流が非振動的にコンデンサに転流・遮断するため、上記の第6乃至第9のいずれか1つの発明の直流遮断装置に不可欠の構成要素である、コンデンサと回路のインダクタンス、または振動電流発生用リアクトルLqとで、あるいはコンデンサCc1またはコンデンサCc2と回路のインダクタンスと振動電流発生用非直線抵抗とで電流零点を発生する振動電流を発生させることができ、その電流零点で電流零点遮断用スイッチが遮断するため、交流電流の直流電流部分での遮断を行なうことができ、交流電源システムにおける電流を、その電流零点が生じるのを待つことなく高速で遮断可能な直流遮断装置を得ることができる。
【0071】
一方、第11の発明の直流遮断装置は、上記第1乃至第10のいずれか1つの発明の直流遮断装置において、コンデンサとしては、非振動転流時間が250μS以下となるような静電容量を有するコンデンサとしている。
【0072】
従って、第11の発明の直流遮断装置においては、遮断すべき直流電流がスイッチからコンデンサに短時間に転流・遮断される効果を得て、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0073】
また、第12の発明の直流遮断装置は、上記第1乃至第10のいずれか1つの発明の直流遮断装置において、コンデンサとしては、非振動転流時の電流が時間と共に単調増加する、または単調減少する電流波形となるような静電容量を有するコンデンサとしている。
【0074】
従って、第12の発明の直流遮断装置においては、遮断すべき直流電流がスイッチからコンデンサに短時間に転流・遮断される効果を得て、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0075】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0076】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図である。
【0077】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図1に示すように、スイッチSW1と直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサCc1とを並列に接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0078】
ここで、スイッチSW1としては、例えば機械的スイッチ、あるいは半導体スイッチ、あるいは機械的スイッチと半導体スイッチとの直列スイッチで構成することができる。
【0079】
機械的スイッチとしては、制御回路に使用されるリレー等、あるいは低圧回路の配線用遮断器、気中遮断器等、あるいは高圧の真空遮断器、気体遮断器、液体遮断器、あるいは超高圧の真空遮断器、気体遮断器、液体遮断器等から構成することができる。
【0080】
半導体スイッチとしては、例えばトランジスタ、サイリスタ、GTOサイリスタ、IGBT等から構成することができる。
【0081】
スイッチSW1は、必要に応じて、直列、または並列、または直並列に構成することができる。
【0082】
コンデンサCc1の静電容量としては、スイッチSW1で遮断すべき遮断電流が、スイッチSW1からコンデンサCc1に非振動的に転流・遮断する値となるように選定することが好ましい。
【0083】
上記条件のコンデンサCc1の必要静電容量値を得るために、コンデンサCc1としては、真空コンデンサ、あるいは気体コンデンサ、あるいは固体コンデンサ、あるいは液体コンデンサ等を単体、または必要数直列、または必要数並列、または必要数直・並列、または種類の異なるコンデンサを複合して配置・構成することができる。
【0084】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0085】
図1において、スイッチSW1の直流電流が、コンデンサCc1に非振動的に転流・遮断されるとは、次のように考えられる。
【0086】
スイッチSW1を閉じた状態で、電源側Sから負荷側Lに直流電流Isが、スイッチSW1を通りIsw1として流れている状態で、何らかの必要により、直流電流Isを遮断し、負荷Lを電源Sから電気的に分離(遮断)したい時に、スイッチSW1に開極信号を与えると、スイッチSW1に特有のある時間を経て、スイッチSW1の接点が機械的に離れはじめる時点(通称、開極点)から接点間にアークが発生する。
【0087】
このアークは、通常不安定な状態で点弧しており、例えば真空遮断器においては、磁界の影響あるいは電流の変動、アークの移動等が原因でアークが動揺し、アーク抵抗が上昇する場合があり、あるいはパファー形SF6ガス遮断器においては、SF6ガスの吹き付けによって、真空遮断器のアークと同様にアークが動揺し、アーク抵抗が上昇するチャンスがある。
【0088】
ところが、本実施の形態のように、必要な静電容量値のコンデンサCc1がスイッチSW1に並列に接続されていることにより、アーク点弧中の何らかの動揺でアーク抵抗が上昇すると、コンデンサCc1はインピーダンスがほぼ零であるため、アーク抵抗は一気に上昇し(アーク抵抗が上昇する原因は、アーク抵抗が上昇するとアークに流れている電流が減少する、電流が減少するとアーク抵抗が上昇すると言うプロセスの繰り返し、すなわちアークの消弧能力が原動力となって、上記プロセスの繰り返しが発生すると考えられる)、スイッチSW1の電流Isw1は、アーク抵抗の上昇スピードと同じスピードでコンデンサCc1に転流し、スイッチSW1の電流Isw1の電流は遮断される。
【0089】
なお、上記アーク抵抗の上昇スピード、すなわち電流Isw1の減少スピードは、消弧媒体によって異なり、真空の場合には数A/μSから数十A/μS程度、SF6ガスの場合にはこれと同等、もしくは若干小さい値である。
【0090】
要約すると、スイッチSW1の電流Isw1が非振動的に転流するとは、アーク抵抗が何らかの外部要因で上昇すると、アークの消弧能力が原動力となり、アーク抵抗を加速度的に上昇させるため、アーク電流はインピーダンスの低いコンデンサCc1に加速度的に非振動的に転流し、アークの電流が遮断されるプロセスである。
【0091】
本実施の形態における作用と効果を明確に述べるために、次に示すような実験またはシミュレーションを行なった。
【0092】
図2(a)および(b)は、実験またはシミュレーションに用いた試験回路を示す図である。
【0093】
図2(a)は負荷電流遮断試験回路、図2(b)は短絡電流遮断試験回路を、それぞれ示す。
【0094】
図2において、電源リアクトルLsは、直流電圧電源DCVおよび直流電流電源回路DCVに不可避的に付随するインダクタンスで、この場合には100μHとした。
【0095】
負荷抵抗Roと負荷インダクタンスLoは、負荷側の負荷の抵抗とインダクタンスを総合したものである。
【0096】
コンデンサCc1に直列の残留抵抗Rcと残留インダクタンスLcは、コンデンサCc1を構成する時に不可避的に発生する抵抗とインダクタンスを総合したものであり、それぞれLc=1μH、Rc=0.01Ωとした。
【0097】
図2(b)における試験用短絡スイッチSSWは、本直流遮断装置の短絡電流遮断性能を模擬するために試験用として設けたスイッチで、ほぼ時間“零”で閉じて回路に過渡短絡電流を発生させるものである。
【0098】
上記試験回路において、1500V用の直流遮断装置(1)と400V用の直流遮断装置(1)を数種類準備して、遮断試験、またはシミュレーションを実施した。
【0099】
まず、定格電圧1500V、定格通電電流3000Aを想定した直流遮断装置(1)のスイッチSW1として、真空方式とSF6ガス方式を準備し、真空方式としてVCB−A、VCB−BおよびVCB−Cの3種類を、SF6ガス方式としてGCB−AとGCB−Bの2種類を準備した。
【0100】
各スイッチの、いわゆる遮断性能(消弧性能)は、VCB−A<VCB−B<VCB−C、およびGCB−A<GCB−Bの順番である。
【0101】
図3は、1500V用直流遮断装置(1)の試験またはシミュレーション条件とその結果を示す図である。
【0102】
直流電圧電源DCVの電圧を1500Vとし、負荷インダクタンスLoと負荷抵抗Roを図示するように変化させることにより、遮断する直流電流Isを変化させ、直流電流遮断を試み、遮断電流を非振動的に転流・遮断した場合は○印で、遮断電流が振動的に転流・遮断した場合は△印で、また遮断できなかった場合は×印で、試験またはシミュレーションを実施しなかった場合は−印で、それぞれ図示している。
【0103】
さらに、遮断した場合のスイッチ極間に現われた過渡回復電圧の波高値をVrで示した。
【0104】
一例として、図4(a)は、図3の条件2の、コンデンサCc1=300μFの時、すなわち非振動転流遮断時の、スイッチSW1の電流Isw1とコンデンサCc1の電流Ic1を示す。
【0105】
図4(b)は、スイッチSW1極間の過渡回復電圧Vrを示す。
【0106】
図4は、スイッチSW1の電流の転流・遮断部の時間拡大波形である。
【0107】
スイッチSW1からコンデンサCc1に非振動的に転流・遮断する電流値は、遮断電流値以下で、かつ極く短時間である、すなわち遮断までの時間が短く、この条件の場合は数μSであった。
【0108】
図5は、振動転流・遮断した場合の時間を拡大した波形であり、スイッチSW1の電流Isw1、コンデンサCc1の電流Ic1、およびスイッチSW1の極間の回復電圧Vrをそれぞれ示す。
【0109】
この場合、スイッチSW1の直流電流が、スイッチSW1からコンデンサCc1への転流・遮断時に、振動電流が発生、増大し、高周波の大電流(遮断電流の2倍以上)が流れ、転流・遮断するまでには、本実施の形態による非振動転流・遮断よりも長い時間、この場合は約200μSを必要とすることが明らかとなった。
【0110】
このように、スイッチSW1の消弧性能に応じてコンデンサCc1の静電容量を選択すれば、スイッチSW1の直流電流を非振動的に、コンデンサCc1に転流・遮断出来ることが明らかとなった。
【0111】
次に、定格電圧400V、定格通電電流150Aを想定した直流遮断装置(1)のスイッチSW1として、真空式SW−AとSW−Bを用いて、図6に示す試験とシミュレーションを実施した。
【0112】
スイッチSW1の遮断性能は、SW−A<SW−Bである。
【0113】
この場合も、スイッチSW1の遮断性能に応じて、スイッチSW1の直流電流を非振動的にコンデンサCc1に転流させることが可能なコンデンサCc1の静電容量を決定することができることが明らかとなった。
【0114】
さて、上記いずれの条件でも、コンデンサCc1の静電容量をある値以上にすることで、スイッチSW1からコンデンサCc1への転流電流を非振動的にすることが可能であり、遮断時間が短縮されて、転流時に大きな高周波電流をスイッチSW1ならびにコンデンサCc1に流すことなく、転流・遮断することが可能である。
【0115】
次に、スイッチSW1の電流がコンデンサCc1に転流した後、直流電源DCVから負荷側にコンデンサCc1を介して緩やかな振動電流が流れ、やがて回路定数で決まる時間で電源側から負荷側への電流IsまたはIcはほぼ零となり、電源側Sと負荷側LとはコンデンサCc1を介して電気的に切り離され、直流遮断装置(1)による遮断が完了する。
【0116】
図3の結果から、スイッチSW1の遮断性能が高いほど、また遮断電流Isが小さいほど、コンデンサCc1の静電容量は小さくて良い。
【0117】
また、スイッチSW1としては、ある遮断性能を有すれば、その方式(真空方式、気体方式、液体方式、半導体方式等)によらず、本実施の形態に使用可能である。
【0118】
ここで、スイッチSW1の直流電流を非振動的に転流・遮断するコンデンサCc1の静電容量値を、どのように決定するかが実用上の課題であり、この方法について以下に示す。
【0119】
まず、適用する直流電源システムの定格電圧、定格通電電流からスイッチSW1を選択し、このスイッチSW1の遮断電流に応じたある特定のコンデンサCc1を配置して、図3に示した方法で試験、またはシミュレーションを実施すれば、スイッチSW1の直流電流が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断するコンデンサCc1の静電容量の最小値を、容易に求めることができる。
【0120】
この最小値以上を、コンデンサCc1の静電容量と決定する。
【0121】
なお、候補のスイッチSW1が幾つかある場合には、全体の構成、経済性等を考慮して、最適なスイッチSW1とコンデンサCc1を選択し、本実施の形態の直流遮断装置(1)を構成することができる。
【0122】
なお、直流遮断装置(1)のスイッチSW1を直列、または並列、または直並列にした場合にも、前述の作用、効果が現われるのは自明であるから、ここではその説明を省略する。
【0123】
ここで、本発明者等は、本実施の形態に係る従来技術を追認すると共に、本実施の形態の妥当性も再確認した。
【0124】
従来技術として、例えば前記USP5,668,691 ARRANGEMENT FOR GAS CIRCUITI BREAKER WITH REACTOR AND CAPACITOR CONNECTED IN SERIES AND METHOD FOR SETTING ITS CIRCUTIPARAMETERと、これに引用されている文献Y.Yoshida et al.,“AStudy of DC−Current Interruption for GCB with Parallel Capacitor and Reactor”, Proceeding of the Fifth Annual Conference of Power & Energy Society IEE of Japan, (SectionII,Short Paper), Jul.27−29, 1994, pp.824−826を参照して、ほぼ同一の条件を設定し、シミュレーションを実施した。
【0125】
図7は、シミュレーションした直流遮断装置の回路図を示し(本図はUPS5,668,691のFig.1を参照した)、図8(a)は、前記UPS5,668,691とほぼ同一の条件とそのシミュレーション結果であり、前記UPS5,668,691のFig.2に示されているシミュレーション結果とほぼ同等の結果が得られ、本発明者等によっても従来技術の妥当性が確認された。
【0126】
そこで、本実施の形態の妥当性を比較、評価するために、図8(a)と同一条件で、コンデンサCc1の静電容量のみ変化させシミュレーションしたところ、400μFにすると、図8(b)に示すように、スイッチSW1に直流電流Isw1は振動することなく、すなわち非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断することが確認できた。
【0127】
さらに、図9(a)では、本実施の形態の主旨である、スイッチSW1とコンデンサCc1とを並列にして、スイッチをSW1の直流電流Isw1が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断するかどうかを、前記UPS5,668,691と同等の条件でシミュレーションした条件と結果であり、コンデンサCc1の静電容量を40μF、リアクトルLfのインダクタンスを零とすると、スイッチSW1の電流Isw1は振動を発生、増大し、コンデンサCc1に転流・遮断するが、一方、図9(b)に示すように、図9(a)と同一条件でコンデンサCc1の静電容量のみを100μFとすると、既に説明した作用で、スイッチSW1の電流Isw1は極めて早い時間(この場合は約125μS)で、非振動的に転流・遮断していることが分かる。
【0128】
以上により、従来技術の追認と従来技術と同等の条件における本実施の形態の確認からも、上記で説明した本実施の形態の作用、効果を確認することができた。
【0129】
このように、本実施の形態のスイッチSW1の直流電流を非振動的に転流・遮断するコンデンサCc1を選択することが可能であり、従来の自励転流直流遮断技術、または直流遮断装置における遮断時間が長いと言う本質的な問題点を除去、すなわち従来の自励転流遮断方式に比較して1/10から1/100以下の時間とすることができ、さらにコンデンサCc1とスイッチSW1に高周波の大電流を長時間流さないため、スイッチSW1の接点損傷を小さくすることができ、かつコンデンサCc1に余分な電流ストレスを与えないという利点も得ることができる。
【0130】
上述したように、本実施の形態では、スイッチSW1の直流電流が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断されるため、前述した従来のアーク電圧上昇方式直流遮断装置の問題点である、繰り返し使用できない点、繰り返し使用出来るが特別な消弧装置を必要とする点、あるいは適用電圧に制限される点を無くし、次に自励転流方式直流遮断装置の問題点である遮断時間が長いと言う点を無くし、さらに強制転流方式直流遮断装置の問題点であるコンデンサ充電装置、転流用スイッチとその制御装置が必要であると言う点を無くすことができ、構成がシンプルで、繰り返し使用することができ、適用電圧に制限されず、特別な構成要素を要しない極めて簡便な回路構成の直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0131】
(第2の実施の形態)
図10は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図である。
【0132】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図10に示すように、スイッチSW3と直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサCc2とを直列に接続し、さらにこの直列回路とスイッチSW2とを並列に接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0133】
ここで、スイッチSW3としては、例えば機械的スイッチ、あるいは半導体スイッチで構成することができる。
【0134】
機械的スイッチとしては、制御回路に使用されるリレー等、あるいは低圧回路の配線用遮断器、気中遮断器等、あるいは高圧の真空遮断器、気体遮断器、液体遮断器、あるいは超高圧の真空遮断器、気体遮断器、液体遮断器等から構成することができる。
【0135】
半導体スイッチとしては、例えばトランジスタ、サイリスタ、GTOサイリスタ、IGBT等から構成することができる。
【0136】
スイッチSW3は、必要数直列に構成することができる。
【0137】
なお、本実施の形態におけるスイッチSW2およびコンデンサCc2は、前記第1の実施の形態におけるスイッチSW1またはコンデンサCc1と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0138】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0139】
図10において、スイッチSW2を閉じた状態、スイッチSW3を開いた状態で、電源側Sから負荷側Lに直流電流を供給しているとする。
【0140】
図11に示すように、スイッチSW2に遮断指令(開極信号)を与えると、スイッチSW2は時刻T1で開極点(スイッチSW2に開極信号が与えられてからスイッチSW2の接点が機械的に離れる点)を迎え、スイッチSW2の接点間に直流電流アークが発生する。
【0141】
この場合、スイッチSW2に並列に配置されているコンデンサCc2は、スイッチSW3で電気的に分離されているため、前記第1の実施の形態で説明したように、スイッチSW2の直流電流は、コンデンサCc2に転流しない。
【0142】
ここで、時刻T2で、すなわち時刻T1から時間ΔT遅れてスイッチSW3が投入点(スイッチSW3に投入信号を与えてからSW3の接点が機械的に接触する点)を迎えるように信号を与えると、前記第1の実施の形態で説明したのと同様の作用で、スイッチSW2に流れていた直流アーク電流は、コンデンサCc2に非振動的に転流・遮断され、コンデンサCc2の電流、または電源側Sから負荷側Lへの電流Isは、回路の特性で決まる電流が流れ、最終的には電源側Sと負荷側Lとが、直流遮断装置で電気的に分離(遮断)される。
【0143】
このように、本実施の形態の直流遮断装置においては、スイッチSW2の開極点T1から時間ΔTだけ遅れてスイッチSW3が投入されるため、すなわちコンデンサCc2がスイッチSW2に電気的に並列接続されるため、この時点でスイッチSW2の直流電流が転流・遮断動作を開始する。
【0144】
すなわち、本実施の形態の直流遮断装置においては、転流・遮断動作開始点をSW3によって、制御することができるという利点があり、さらにスイッチSW2の直流電流がコンデンサCc2に転流容易な時点を選択して、すなわちスイッチSW2の消弧作用が最大付近で転流・遮断動作を決めることが可能であり、前記第1の実施の形態の直流遮断装置に比較して、コンデンサCc2の静電容量を小さくすることが可能であり、具体的には、ほぼ20%から50%コンデンサCc2の静電容量を削減できることが確認できた。
【0145】
上述したように、本実施の形態では、前述した従来の自励転流直流遮断技術、または直流遮断装置に比べて、極めて短時間にスイッチの電流を遮断することができ、かつコンデンサの静電容量を小さくすることができ、より精密な遮断点の制御を行なうことが可能で、かつ極めて簡便な回路構成の直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0146】
(第3の実施の形態)
図12(a)および図12(b)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0147】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図12(a)に示すように、前記第1の実施の形態における直流遮断装置と並列に抵抗Rp1を接続するか、あるいは図12(b)に示すように、前記第2の実施の形態における直流遮断装置と並列に抵抗Rp1を接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0148】
ここで、抵抗Rp1の抵抗値としては、スイッチSW1、またはスイッチSW2の直流電流遮断後に発生する回復電圧を、スイッチSW1、またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に抑制する値以下とすることが好ましい。
【0149】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0150】
本実施の形態における作用と効果を明確に述べるために、超電導電力貯蔵電源システム(SMES)を想定し、図13(a)および図13(b)に示す回路を用いて、実験とシミュレーションを行なった。
【0151】
図13(a)および図13(b)において、直流電流電源DCIのインダクタンスを2.2H(いわゆる電流源)とし、電源リアクトルLsは、直流電流電源DCIおよび電源回路に不可避的に付随するインダクタンスで、100μHとした。
【0152】
負荷抵抗Roと負荷インダクタンスLoは、本実施の形態の直流遮断装置の負荷側の抵抗とインダクタンスを総合したもので、Ro=0.01Ω、Lo=100μHとした。
【0153】
コンデンサCc1またはCc2に直列の残留抵抗Rcと残留インダクタンスLcは、コンデンサCc1またはCc2を構成する時に不可避的に発生する抵抗とインダクタンスを総合したものであり、それぞれLc=1μH、Rc=0.01Ωとした。
【0154】
抵抗Rp1は、2.667Ωとした。
【0155】
ここで、本実施の形態の直流遮断装置として、定格電圧4000V、定格通電電流、または定格遮断電流を3000A、極間試験電圧8000Vを想定して、あらかじめ直流電流電源DCIに初期値として3000Aを流しておき、時間約5msで転流・遮断動作をさせた。
【0156】
この時の各電圧と電流波形を図14(a)および図14(b)に示しており、図14(b)は図14(a)の時間拡大波形である。
【0157】
スイッチSW1またはスイッチSW2が転流・遮断動作に入る直前までは、スイッチSW1またはスイッチSW2に流れていた直流電流源DCIの電流Isは、転流・遮断動作と同時にコンデンサCc1またはコンデンサCc2に、Ic1またはIc2として非振動的に転流・遮断し、Isw1またはIsw2の電流は遮断される。
【0158】
電流Isw1またはIsw2が遮断されると、抵抗Rp1の電流IRp1には、まずコンデンサCc1またはコンデンサCc2から電流が流れ、Ic1またはIc2の電流が零になると、直流電流源からの電流Isは抵抗Rp1の電流IRp1と一致し、直流電流源のインダクタンス2.2(H)と抵抗Rp1の抵抗値、この場合は2.667Ωで決まる時定数である約2秒で減衰する。
【0159】
スイッチSW1またはスイッチSW2の極間には、抵抗Rp1に直流電流源から流れる電流Isを乗じた回復電圧Vrが発生する。
【0160】
抵抗Rp1を2.667Ωとしているため、Vrは約8000Vとなった。
【0161】
なお、上記説明では、スイッチSW1またはスイッチSW2の試験電圧を8000Vとしたが、例えば4000Vであれば、抵抗Rp1を約1.333Ωとすれば、極間の回復電圧を約4000Vにできることは自明であり、スイッチSW1またはスイッチSW2の極間試験電圧に応じて、抵抗Rp1の抵抗値を決定することができる。
【0162】
このように、スイッチSW1またはスイッチSW2の極間回復電圧以下に抑制する抵抗Rp1の抵抗値を選択することにより、前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または第2の実施の形態の直流遮断装置の作用、効果を損なうことなく、スイッチSW1またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に抑制することが可能であり、SMESあるいは類似の核融合用超電導コイルシステム等の直流電流源のエネルギーを抵抗Rp1で消費させる直流遮断装置を得ることができる。
【0163】
上述したように、本実施の形態では、前述した従来技術である、例えば“公開特許公報:特開平6−342619号”、あるいは“公開特許公報:特開平4−54820号”等に示されているように、直流電流遮断にヒューズを使用しないため、短時間に繰り返し使用可能であり、かつ複雑な回路構成とする必要がないため、遮断時間の短いシンプルな直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0164】
(第4の実施の形態)
図15(a)および図15(b)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0165】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図15(a)に示すように、前記第1の実施の形態における直流遮断装置と並列に非直線抵抗NRL1を接続するか、あるいは図15(b)に示すように、前記第2の実施の形態における直流遮断装置と並列に非直線抵抗NRL1を接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0166】
ここで、非直線抵抗NRL1の制限電圧としては、スイッチSW1、またはスイッチSW2の直流電流遮断後に発生する回復電圧を、スイッチSW1、またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に抑制する値以下とすることが好ましい。
【0167】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0168】
本実施の形態における作用と効果を明確に述べるために、超電導電力貯蔵電源システム(SMES)を想定し、図16(a)および図16(b)に示す回路を用いて、実験とシミュレーションを行なった。
【0169】
図16(a)および図16(b)において、前記第3の実施の形態の直流遮断装置の抵抗Rp1を、非直線抵抗NRL1に置き換えた以外は、図13(a)または図13(b)と全く同一であるので、ここではその説明を省略する。
【0170】
ここで、前記第3の実施の形態で説明したと同様に、定格電圧4000V、定格通電電流または遮断電流3000A、極間の試験電圧8000Vを想定した本実施の形態の直流遮断装置を、図16(a)および図16(b)の回路を用いて、実験とシミュレーションを実施した。
【0171】
この時の各電圧、電流波形を図17(a)および図17(b)に示しており、図17(b)は図17(a)の時間拡大波形である。
【0172】
前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または前記第2の実施の形態の直流遮断装置の作用により、スイッチSW1またはスイッチSW2が約5msで遮断動作に入ると、直流電流電源の電流IsはスイッチSW1またはスイッチSW2から、コンデンサCc1またはコンデンサCc2に非振動的に転流・遮断される。
【0173】
次に、コンデンサCc1またはコンデンサCc2は、直流電流源DCIからの電流Isで充電され、回復電圧Vrを発生する。
【0174】
この回復電圧Vrが非直線抵抗NRL1の動作電圧に達すると、非直線抵抗に電流INRL1が流れ、コンデンサCc1またはコンデンサCc2の電荷が急速に放電され、回復電圧Vrはあらかじめ設定された非直線抵抗の制限電圧8000V以下に抑制され、直流電流源電流Isは直流電流源インダクタンス2.2HとNRL1の抵抗値2.667Ωとで決まる時定数、この場合は約2秒の時定数で減衰する。
【0175】
このように、前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または前記第2の実施の形態の直流遮断装置と並列に非直線抵抗NRL1を配置することにより、前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または第2の実施の形態の直流遮断装置の作用、効果を損なうことなく、スイッチSW1またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に回復電圧を抑制し、直流電流源電流Isを遮断することが可能であり、スイッチSW1またはスイッチSW2で直流電流遮断後に発生する過電圧を安全に抑制し、かつコンデンサCc1またはコンデンサCc2の電荷を放電させると同時に、直流電流源のエネルギーからの電流Isを所定の時間内に減衰させることが可能な遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0176】
ところで、前述した従来技術である“公開特許公報:特開平10−40786号”においては、本第4の実施の形態と類似の構成で、直流電流を遮断する場合に、本実施の形態のコンデンサCc1またはコンデンサCc2に相当するコンデンサの静電容量値を規定する技術が提案されている。
【0177】
そこで、本発明者等は、この公開特許公報に記載されているシミュレーション条件とほぼ同一の条件を設定し、従来技術の追認を実施した。
【0178】
この公開特許公報の実施の形態に説明されている内容を引用すると、「この直流遮断装置の電流遮断プロセスは、図2に示されるものと同様であり、遮断器(11)のアークコンタクトを開極することで開始する。
【0179】
転流回路にリアクトルを設けなくとも、アークが発生するとアーク自身がインダクタンスを有するため、コンデンサとの相互作用により振動条件になる。
【0180】
様々な擾乱が電流の微少な変動となって現われ、回路条件が不安定領域にある場合には、この擾乱が成長して振動が拡大し電流零点を迎える。
【0181】
このように、リアクトルが無い簡単な転流回路でも、振動を拡大させて電流を遮断することが可能となる。」と説明しており、本発明者等の上記追認シミュレーションでも、前述の通りの内容が確認された。
【0182】
そこで、本発明者等は本第4の実施の形態の直流遮断装置の作用、すなわちスイッチSW1またはスイッチSW4の直流電流が、非振動的にコンデンサCc1またはコンデンサCc2に転流・遮断するコンデンサCc1またはCc2の静電容量値が決定できるかどうかを、上記と同一の条件で、コンデンサCc1またはコンデンサCc2の静電容量値を変化させて確認した結果、コンデンサCc1の静電容量を40μFおよび50μFとした場合、スイッチSW1を開極すると、スイッチSW1の電流に振動が発生、増大し、電流零点を生じ、スイッチSW1の電流がコンデンサCc1に転流・遮断され、次にコンデンサCc1を60μFと70μFとした場合、スイッチSW1の電流は非振動的にコンデンサCc1またはコンデンサCc2に転流・遮断することが確認された。
【0183】
この結果は、前記公開特許公報の結果と若干違うが、これはシミュレーションした時のデータを完全に一致させることができなかったためであると考えられる。
【0184】
図18(a)および図18(b)には、一例として、コンデンサCc1の静電容量が50μFと60μFの時の、スイッチSW1の電流Isw1、コンデンサCc1の電流Ic1、およびアーク電圧(回復電圧)Vrをそれぞれ示した。
【0185】
このように、従来技術である、前記公開特許公報の記載内容が追認されたと同時に、同公開特許公報に記載のシミュレーション条件で本実施の形態が提案する、スイッチSW1の電流を非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断するコンデンサCc1の静電容量値を決定できることが明らかとなった。
【0186】
このように、スイッチSW1の直流電流を非振動的に転流・遮断するコンデンサCc1を選択することが可能であり、前述した従来の自励転流直流遮断技術、または直流遮断における遮断時間が長いと言う本質的な問題点を除去し、コンデンサCc1とスイッチSW1に高周波の大電流を長時間流さないため、スイッチSW1の接点損傷を小さくすることができ、かつコンデンサCc1に余分な電流ストレスを与えない利点も得ることが可能な直流遮断装置を得ることができる。
【0187】
上述したように、本実施の形態では、前記第1または第2の実施の形態の直流遮断装置の遮断時間を短くすることができ、かつ高電圧・大電流の回路に使用可能な簡便な直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0188】
(第5の実施の形態)
図19(a)および図19(b)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0189】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図19(a)に示すように、前記第1の実施の形態における直流遮断装置と並列に抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2を接続するか、あるいは図19(b)に示すように、前記第2の実施の形態における直流遮断装置と並列に抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2を接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0190】
ここで、非直線抵抗NRL2の制限電圧と抵抗Rp2の抵抗値としては、スイッチSW1、またはスイッチSW2の直流電流遮断後に発生する回復電圧を、スイッチSW1、またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に抑制する値とすることが好ましい。
【0191】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0192】
本実施の形態における作用と効果を明確に述べるために、超電導電力貯蔵電源システム(SMES)を想定し、図20(a)および図20(b)に示す回路を用いて、実験とシミュレーションを行なった。
【0193】
図20(a)および図20(b)において、前記第3の実施の形態の直流遮断装置の抵抗Rp1を、抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2に置き換えた以外は、図13(a)または図13(b)と全く同一であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0194】
ここで、前記第3の実施の形態で説明したと同様に、定格電圧4000V、定格通電電流または遮断電流3000A、極間の試験電圧8000Vを想定した本実施の形態の直流遮断装置を用いて、実験とシミュレーションを実施した。
【0195】
この時の各電圧、電流波形を図21(a)および図21(b)に示しており、図21(b)は図21(a)の時間拡大波形である。
【0196】
前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または前記第2の実施の形態の直流遮断装置の作用により、スイッチSW1またはスイッチSW2が約5msで転流・遮断動作に入ると、直流電流電源の電流IsはスイッチSW1またはスイッチSW2から、コンデンサCc1またはコンデンサCc2に非振動的に転流・遮断される。
【0197】
次に、コンデンサCc1またはCc2は、直流電流源DCIからの電流Isで充電されると同時に抵抗Rp2に分流し、回復電圧Vrを発生する。
【0198】
この回復電圧Vrが非直線抵抗NRL2の動作電圧に達すると、非直線抵抗に電流INRL2が流れ始め、回復電圧Vrはあらかじめ設定された非直線抵抗の制限電圧8000V以下に抑制され、直流電流源電流Isは直流電流源インダクタンス2.2Hと抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2の抵抗値とで決まる時定数で減衰する。
【0199】
このように、前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または前記第2の実施の形態の直流遮断装置と並列に抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2を配置することにより、前記第1の実施の形態の直流遮断装置、または第2の実施の形態の直流遮断装置の作用、効果を損なうことなく、スイッチSW1またはスイッチSW2の極間試験電圧以下に回復電圧を抑制し、直流電流源電流Isを遮断することが可能であり、スイッチSW1またはスイッチSW2で直流電流を転流・遮断後に発生する過電圧を安全に抑制すると同時に、直流電流源電流Isを所定の時間で減衰させることが可能である。
【0200】
特に、抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2を並列に配置することにより、回復電圧Vrをスイッチの極間試験電圧以下に抑制する共に、スイッチSW1またはスイッチSW2による転流・遮断後に、電源のエネルギーを抵抗Rp2と非直線抵抗NRL2とで分担させることが可能である。
【0201】
すなわち、エネルギー吸収を抵抗Rp2で行ない、回復電圧抑制を非直線抵抗NRL2で行なうというように分担させることが可能であり、より経済的な直流遮断装置を得ることができる。
【0202】
上述したように、本実施の形態では、前記第1または第2の実施の形態の直流遮断装置の遮断時間を短くすることができ、かつ高電圧・大電流の回路に使用可能な簡便で経済的な直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0203】
(第6の実施の形態)
図22(a)および図22(b)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0204】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図22(a)に示すように、前記第1の実施の形態における直流遮断装置、または第2の実施の形態における直流遮断装置、または第3の実施の形態における直流遮断装置、または第4の実施の形態における直流遮断装置、または第5の実施の形態における直流遮断装置を代表して示すブロックAの負荷側に、電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続するか、あるいは図22(b)に示すように、前記第1の実施の形態における直流遮断装置、または第2の実施の形態における直流遮断装置、または第3の実施の形態における直流遮断装置、または第4の実施の形態における直流遮断装置、または第5の実施の形態における直流遮断装置を代表して示すブロックAの電源側に、電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続して、それぞれ電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0205】
図22(c)および図22(d)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれより具体的に示す回路図であり、図22(c)は前記第1の実施の形態における直流遮断装置の負荷側に電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続した例を、図22(d)は前記第2の実施の形態における直流遮断装置の負荷側に電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続した例をそれぞれ示している。
【0206】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0207】
本実施の形態における直流遮断装置を図23(a)、図23(b)、図23(c)、図23(d)の直流電源システムに適用し、作用と効果を明確に述べる。
【0208】
直流電源システムの条件は、前記図3の条件2と同一として、コンデンサCc1は300μF一定とした。
【0209】
図24は、図23(a)における直流電流遮断動作時の電圧と電流波形を示す図である。
【0210】
前記第1の実施の形態で説明したのと同様に、この場合は、約5msでスイッチSW1が転流・遮断動作に入り、スイッチSW1の電流Isw1は、コンデンサCc1の電流Ic1に非振動的に転流・遮断される。
【0211】
電流Isw1が零になると同時に、スイッチSW1の極間には回復電圧Vrが現われる。
【0212】
一方、電流Isw1が零になると同時に、直流電圧電源電流IsはコンデンサCc1の電流Ic1となる。
【0213】
このIsw1の電流がコンデンサCc1に転流・遮断した瞬時から、本実施の形態に不可欠の構成要素であるコンデンサCc1と、直流電圧源DCVと電源リアクトルLsと残留抵抗Rcと残留インダクタンスLcと負荷抵抗Roと負荷インダクタンスLoの直列回路で過渡現象が生じる。
【0214】
この直列回路の全抵抗をRf、全インダクタンスをLfとすると、2R<√(L/Cc1)の条件を満した時、直流電圧源電流Is、すなわちコンデンサCc1の電流Ic1は電流零点を生じる振動電流となり、電流零点遮断用スイッチSW4に電流零点が生じ、直流電圧源電流Isはこの零点で遮断され、負荷側Lは電源側Sから切り離される、すなわちこの条件の場合は、約6.5msで直流遮断が完了する。
【0215】
一方、回復電圧Vrは、直流電圧源電流Isが遮断されるまでは約8000Vまで上昇し、直流電圧源電流Isが遮断されたと同時に上昇が止り、一定電圧を維持するが、実回路ではコンデンサCc1の漏れ抵抗によって減衰する。
【0216】
なお、説明を省略するが、電流零点遮断用スイッチSW4を電源側に配置した場合についても、上記と同様の作用を奏することになる。
【0217】
このように、前記第1の実施の形態の直流遮断装置の負荷側、または電源側に、少なくとも1個の電流零点遮断用スイッチSW4を直列に配置することにより、前記第1の実施の形態の直流遮断装置の作用、効果を損なうことなく、スイッチSW1の電流Isw1は非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断され、その後、直流電圧源電流Isに電流零点を生じる振動電流となり、直流電圧源電流Isは極く短時間に、電源側Sと負荷側Lとを遮断(分離)することが可能である。
【0218】
図25(a)および図25(b)は、図23(b)における直流電流遮断動作時の電圧と電流波形を、図26(a)および図26(b)は、図23(c)における直流電流遮断動作時の電圧と電流波形を、図27(a)および図27(b)は、図23(d)における直流電流遮断動作時の電圧と電流波形をそれぞれ示し、図25(b)は図25(a)の、図26(b)は図26(a)の、図27(b)は図27(a)の、それぞれ時間軸を拡大した波形である。
【0219】
これらについての詳細な説明は省略するが、いずれの場合にも、前記第3の実施の形態の直流遮断装置の作用と効果、または前記第4の実施の形態の直流遮断装置の作用と効果、または前記第5の実施の形態の直流遮断装置の作用と効果をそれぞれ損なうことなく、電流零点遮断用スイッチSW4により、直流電圧源電流Isが極く短時間に遮断され、電源側Sと負荷側Lとが分離されることは明白である。
【0220】
特に、図23(c)、または図23(d)に示す構成においては、抵抗Rp1または抵抗Rp2の作用によって、コンデンサCc1またはコンデンサCc2の電荷が素早く放電する、すなわちこの場合は約20msで放電するため、安全であり、かつこれら直流遮断装置の次の入り動作、そして切り動作に素早く移ることができる利点がある遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0221】
なお、前記第2の実施の形態の直流遮断装置の負荷側に電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続した場合の説明については省略するが、前記第2の実施の形態の説明と以上の説明とから、同様の作用と効果が得られることは明白である。
【0222】
上述したように、本実施の形態では、前記第1乃至第5の実施の形態の直流遮断装置の遮断時間を更に短くすることができる直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0223】
(第7の実施の形態)
図28(a)乃至図28(d)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0224】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図28(a)に示すように、前記第6の実施の形態における直流遮断装置を代表して示すブロックBの主回路通電部の一部に、少なくとも一個の振動電流発生用リアクトルLqを接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0225】
図28(b)乃至図28(d)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれより具体的に示す回路図であり、前記第6の実施の形態における直流遮断装置の中の前記第1の実施の形態の直流遮断装置の負荷側、または電源側に、少なくとも1個の電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続した前記第6の実施の形態の直流遮断装置の主回路通電部の一部に、少なくとも一個の振動電流発生用リアクトルLqを接続して、それぞれ電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0226】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0227】
本実施の形態における直流遮断装置の作用と効果を、図29(a)に示す直流電源システムに適用した場合を参照して明確に述べる。
【0228】
直流電圧電源DCVから、本実施の形態の直流遮断装置を介して、抵抗RoとリアクトルLoとの直列回路からなる負荷に電流を供給している。
【0229】
図29(a)に示す回路において、前記第1の実施の形態で説明した作用によって、スイッチSW1が転流・遮断動作を開始して、スイッチSW1の電流ISW1が、非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断されると、図29(b)に示すループの電流が流れる。
【0230】
このループの電流通路の電流、すなわち電流零点遮断用スイッチSW4の電流Isw4は、振動電流発生用リアクトルLqのインダクタンス値をある値以上に選択することにより、電流零点を生じる振動電流とすることができる。
【0231】
すなわち、コンデンサCc1の静電容量CとリアクトルLqのインダクタンス値Lとループの全抵抗Rとの関係が、2R<√(L/C)であれば、電流零点遮断用スイッチSW4の電流Isw4を、電流零点が生じる振動電流とすることが可能であり、この振動電流の第1の零点で電流零点遮断用スイッチSW4によって、電流を遮断することが可能である。
【0232】
具体的に、図30(a)に示す回路条件でシミュレーションした波形を、図30(b)および図30(c)に示す。
【0233】
図30(b)は、電流零点遮断用スイッチSW4を動作させなかった場合の波形であり、約5msでスイッチSW1の電流Isw1が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断され、転流した電流Ic1またはIsまたはIsw4は、約5.4msで第1の零点を生じる振動電流となっている。
【0234】
従って、スイッチSW1とスイッチSW4を動作させると、図30(c)に示すように、電流IsまたはIc1またはIsw4は第1の電流零点で遮断されている。
【0235】
このように、前記第6の実施の形態の直流遮断装置の主回路通電部の一部に、少なくとも1個の振動電流発生用リアクトルLqを配置することにより、本実施の形態に不可欠の主構成要素であるコンデンサCc1またはコンデンサCc2と振動電流発生用リアクトルLqとで、電流零点を生じる振動電流を発生させることができ、この電流零点で電流零点遮断用スイッチSW4が電流を遮断するため、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることができる。
【0236】
上述したように、本実施の形態では、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0237】
(第8の実施の形態)
図31(a)乃至図31(e)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0238】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図31(a)に示すように、前記第6の実施の形態における直流遮断装置を代表して示すブロックBの負荷側に負荷と並列に、リアクトルLpと振動電流発生用非直線抵抗NLR3との直列回路を接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0239】
図31(b)乃至図31(e)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれより具体的に示す回路図であり、前記第6の実施の形態における直流遮断装置の負荷側に負荷と並列に、リアクトルLpと振動電流発生用非直線抵抗NLR3との直列回路を接続して、それぞれ電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0240】
なお、本例では、リアクトルLpと振動電流発生用非直線抵抗NLR3との直列回路を接続する場合の例について示しているが、リアクトルLpを省略して、振動電流発生用非直線抵抗NLR3のみを接続するようにしてもよい。
【0241】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0242】
本実施の形態における直流遮断装置の作用と効果を、図32(a)および図32(b)に示す直流電源システムに適用した場合を参照して明確に述べる。
【0243】
なお、産業応用上、図32(a)および図32(b)では、例えば発電機の励磁直流電源システムを想定している。
【0244】
図32(a)において、スイッチSW1と電流零点遮断用スイッチSW4が閉じた状態で、直流電圧電源から抵抗RoおよびリアクトルLoで構成される負荷に、直流電流Isを供給しているとする。
【0245】
ここで、前記第1の実施の形態で説明したように、スイッチSW1が開極して、直流電流Isw1が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断されると、負荷のリアクトルLoに蓄えられていた電気エネルギーは定電流電源となり、コンデンサCc1を通して直流電源電圧源DCV側へ流れ、コンデンサCc1を充電しながら、リアクトルLpと振動電流発生用非直線抵抗NLR3との直列回路が配置されている点の電圧を上昇させる。
【0246】
そして、この電圧が振動電流発生用非直線抵抗NLR3の動作電圧に達すると、コンデンサCc1に充電された電荷は、振動電流発生用非直線抵抗NLR3のスイッチ作用によって、図32(b)に示すようなループで急激に放電する。
【0247】
この時、このループ回路の条件を、振動条件となるようにリアクトルLpを選んでおくことにより、電流零点遮断用スイッチSW4の電流、すなわち電流Isは零点を生じる振動電流となり、電流零点遮断用スイッチSW4で電流Isを容易に遮断することが可能である。
【0248】
ここで、より具体的に上記作用を明確にするために、図33(a)に示すような回路定数と定格電圧3000V、定格通電電流(遮断電流)6000AのスイッチSW1、電流零点遮断用スイッチSW4を用いた本実施の形態の直流遮断装置で、試験とシミュレーションを実施した。
【0249】
図33(b)は、電流零点遮断用スイッチSW4を閉じたままでスイッチSW1の遮断動作をさせた場合の電圧と電流波形を示し、図33(c)はスイッチSW1と電流零点遮断用スイッチSW4を遮断動作させた場合の電圧と電流波形を示している。
【0250】
図33(b)から明らかなように、直流電流は前記第1の実施の形態で説明した作用によって、約5msでスイッチSW1の電流が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断され、次に約5.7msで振動電流発生用非直線抵抗NLR3が動作して、電流零点遮断用スイッチSW4を通過する電流Isw4は、約6.5msで第1の零点を生じる振動をして、回路定数で決まる時定数で減衰し、零になっている。
【0251】
従って、スイッチSW1と電流零点遮断用スイッチSW4を動作させると、図33(c)に示すように、電流Isw4の第1の零点で遮断が完了している。
【0252】
なお、その詳細な説明は省略するが、図31(b)乃至から図31(e)に示す本実施の形態の他の構成の場合についても、コンデンサCc1の振動電流発生用非直線抵抗NLR3を通過する放電回路ループが、振動条件となるようにリアクトルLpを選定することにより、上記と同様の作用が現われることをシミュレーションで確認できた。
【0253】
また、負荷の抵抗RoとインダクタンスLoを様々に変化させた場合にも、コンデンサCc1の放電回路ループを、振動条件となるようにリアクトルLpを選択することができ、上記と同様の作用が現われることを確認できた。
【0254】
なお、回路条件によっては、回路構成上不可避的に生じる回路のインダクタンスでも上記ループの振動条件が満たされ、すなわちコンデンサCc1の放電ループのインダクタンスが100μH程度あれば、リアクトルLpは省略できることも確認できた。
【0255】
このように、本実施の形態の直流遮断装置においては、前記第6の実施の形態の直流遮断装置の負荷側に負荷と並列に、リアクトルLpと振動電流発生用非直線抵抗NLR3との直列回路を配置することにより、第6の実施の形態の直流遮断装置に不可欠の主要構成要素であるコンデンサCc1またはCc2と、電源回路と電流零点遮断用スイッチSW4と振動電流発生用非直線抵抗NLR3とからなるループで、振動電流発生用非直線抵抗NLR3のスイッチ作用によって、コンデンサCc1またはコンデンサCc2の電荷を放電させることができ、零点を生じる振動電流が発生して、その振動電流の第1の零点で電流零点遮断用スイッチSW4が遮断するため、簡単な構成で直流電流遮断完了までの時間が短い直流遮断装置を得ることができる。
【0256】
上述したように、本実施の形態による直流遮断装置では、遮断時間の短い直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0257】
(第9の実施の形態)
図34(a)乃至図34(d)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図である。
【0258】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図34(a)に示すように、前記第7の実施の形態における直流遮断装置を代表して示すブロックCの負荷側に負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗NLR4を接続して、電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0259】
図34(b)乃至図34(d)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれより具体的に示す回路図であり、前記第7の実施の形態における直流遮断装置の中の前記第1の実施の形態の直流遮断装置の主回路通電部の一部に、少なくとも1個の振動電流発生用リアクトルLqを接続した前記第7の実施の形態の直流遮断装置の負荷側に負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗NLR4を接続して、それぞれ電源側Sと負荷側Lとの間に配置する構成としている。
【0260】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0261】
本実施の形態における直流遮断装置の作用と効果を、図35(a)に示す直流電源システムに適用した場合を参照して明確に述べる。
【0262】
図35(a)において、直流遮断装置CのスイッチSW1を動作させると、前記第1の実施の形態で説明した作用によって、スイッチSW1の電流Isw1が非振動的にコンデンサCc1に転流・遮断されると同時に、負荷のリアクトルLoの電気エネルギーがコンデンサCc1を通り、電源側に向って流れ、コンデンサCc1が充電される。
【0263】
これと同時に、負荷側Lの電位が上昇して、振動電流発生用非直線抵抗NLR4の動作開始電圧に達すると、図35(b)に示すように、非直線抵抗のスイッチ作用によって、コンデンサCc1の電荷が直流電圧電源とコンデンサCc1と電流零点遮断用スイッチSW4と振動電流発生用リアクトルLqと振動電流発生用非直線抵抗NLR4との直列回路で急激に放電して、電流INLR4が流れる。
【0264】
ここで、リアクトルLqを、電流零点遮断用スイッチSW4の電流Isw4が電流零点を生じるように選択しておくことにより、この電流零点で電流零点遮断用スイッチSW4が電流を遮断する、すなわち電源電流Isが直流遮断装置Cにて遮断されたことになる。
【0265】
このように、前記第7の実施の形態の直流遮断装置の負荷側に負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗NLR4を配置することにより、本実施の形態に不可欠の主要構成要素であるコンデンサCc1またはコンデンサCc2と、リアクトルLqと振動電流発生用スイッチSW4と振動電流発生用NLR4と直流電圧電源との直列回路で、電流零点が生じる振動電流が発生し、この電流零点で電流零点遮断用スイッチSW4が電流が遮断、すなわち電源電流Isが本実施の形態の直流遮断装置で遮断されるため、簡便な構成で直流電流遮断完了までの時間が短い直流遮断装置を得ることができる。
【0266】
上述したように、本実施の形態では、簡便な構成で遮断時間の短い直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0267】
(第10の実施の形態)
図36(a)および図36(b)は、本実施の形態による直流遮断装置の構成例をそれぞれ示す回路図であり、前記第6の実施の形態における直流遮断装置、または第7の実施の形態における直流遮断装置、または第8の実施の形態における直流遮断装置、または第9の実施の形態における直流遮断装置を、3相交流電源システムに使用した場合の構成例について示している。
【0268】
すなわち、本実施の形態による直流遮断装置は、図36(a)に示すように、具体的な一例として、3相交流電源システムに、前記第6の実施の形態における直流遮断装置の中の前記第3の実施の形態の直流遮断装置の負荷側に、電流零点遮断用スイッチSW4を直列に接続した場合について示している。
【0269】
図36(b)は、図36(a)における直流遮断装置ACCB−AとACCB−BとACCB−Cの詳細を示している。
【0270】
次に、以上のように構成した本実施の形態による直流遮断装置の作用について説明する。
【0271】
本実施の形態における直流遮断装置の作用と効果を明確に述べるために、図37(a)および図37(b)に示すような3相交流電源システムの回路構成で、実験とシミュレーションを実施した。
【0272】
図38(a)はシミュレーションまたは実験の条件を示し、その結果を図38(b)および図38(b)、図39(a)および図39(b)に示す。
【0273】
図38(b)は、直流遮断装置ACCB−A、ACCB−BおよびACCB−Cを閉じた状態で、すなわち各相のスイッチSW1とスイッチSW4を閉じた状態で、各相の試験用の投入スイッチSCS−A、SCS−BおよびSCS−Cを、時刻零で閉じた時のA相、B相およびC相の3相交流短絡電流波形を示している。
【0274】
次に、図38(c)は、各相のスイッチSW1を遮断動作させて、各相のスイッチSW4を遮断動作させなかった場合を示し、約2msで各相のスイッチSW1が遮断動作をして、各相のスイッチSW1の電流が各相のコンデンサCc1に非振動的に転流・遮断し、転流した電流、すなわち電源電流Isは各相の電源抵抗Rs、各相の電源インダクタンスLsおよび各相のコンデンサCc1の直列回路で、零点を生じる振動電流が発生している。
【0275】
図39(a)は、各相のスイッチSW1と電流零点遮断用スイッチSW4を遮断動作させた場合の波形であり、上記零点を生じる振動電流Isの第1の電流零点で、各相の電流零点遮断用スイッチSW4が遮断を完了し、一方、各相のスイッチSW1の電流が、各相のコンデンサCc1転流したと同時に各相に回復電圧Vrが発生し、かつ各相のコンデンサCc1の電荷は各相の抵抗Rp1により放電し、約8msで零となっている。
【0276】
図39(b)は、図39(a)の電圧と電流波形を分かり易くするために、各相毎に示したものである。
【0277】
これらの図は、既に前記第6の実施の形態で説明した図25(b)に示した動作波形とほぼ類似動作波形であることが分かる。
【0278】
このように、本実施の形態の直流遮断装置は、交流電源システムにおいて、交流電流の直流部分で直流電流を遮断させ得ることが明らかである。
【0279】
なお、その詳細な説明は省略するが、前記第6の実施の形態における直流遮断装置、または第7の実施の形態における直流遮断装置、または第8の実施の形態における直流遮断装置、または第9の実施の形態における直流遮断装置を、3相交流電源システムに使用した場合についても同様であり、上記説明のように、スイッチSW1またはスイッチSW2を交流電流の直流電流部分で開極させると、その直流電流が非振動的にコンデンサCc1またはコンデンサCc2に転流・遮断するため、前記第6の実施の形態における直流遮断装置、または第7の実施の形態における直流遮断装置、または第8の実施の形態における直流遮断装置、または第9の実施の形態における直流遮断装置に不可欠の構成要素である、コンデンサCc1またはコンデンサCc2と回路のインダクタンス、または電流零点発生用リアクトルLqとで、あるいはコンデンサCc1またはコンデンサCc2と回路のインダクタンスと振動電流発生用非直線抵抗NLR3またはNLR4とで電流零点を発生する振動電流が現われ、その電流零点で電流零点遮断用スイッチSW4が遮断するため、交流電流の直流電流部分での遮断が可能な効果を得ることができ、交流電源システムの電流を、その電流零点が生じるのを待たずに、高速度で遮断可能な直流遮断装置を得ることができる。
【0280】
上述したように、本実施の形態では、交流電源システムにおける電流を、その電流零点が生じるのを待つことなく高速で遮断することができる直流遮断装置を得ることが可能となる。
【0281】
(その他の実施の形態)
尚、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形して実施することが可能である。
本発明は、直流電力を利用する、例えば超電導電力貯蔵システム、核融合超電導コイル電源システム、直流電気鉄道電力システム、分散電源システム(例えば、燃料電池電力システム、太陽光電力システム等)、バッテリ電源システム(例えば、自動車電源システム、変電・受配電設備制御電源システム等)、発電機励磁電源システム、直流送電システム、直流電動機適用電源システム、無停電電源システム等の直流電流遮断に適用することができ、特に低圧(〜400V)、高圧(〜6.6kV)、超高圧(〜500kV級)並びに交流電流の直流電流部遮断等の、直流電流遮断全てに適用することができる。
【0282】
また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた作用効果を得ることができる。
さらに、上記各実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより、種々の発明を抽出することができる。
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題(の少なくとも一つ)が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果(の少なくとも一つ)が得られる場合には、この構成要件が削除された構成を発明として抽出することができる。
【0283】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、前述したアーク電圧上昇方式直流遮断装置の問題点である、繰り返し使用できない点、繰り返し使用出来るが特別な消弧装置を必要とする点あるいは適用電圧に制限される点、また自励転流方式直流遮断装置の問題点である、振動電流を発生、増大させて電流零点で遮断するために遮断時間が長いと言う点、さらに強制転流方式直流遮断装置の問題点である、コンデンサ充電装置、転流用スイッチとその制御装置が必要であると言う点、更に遮断電流の極性に応じて充電電圧の極性を選択しなければならないと言う点を解消した、構成がシンプルで、繰り返し使用でき、適用電圧に制限されず、特別な構成要素を必要としない直流遮断装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図2】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を説明するための回路図。
【図3】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした条件の一例を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果の電圧、電流波形の一例を示す図。
【図5】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果の電圧、電流波形の他の例を示す図。
【図6】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした条件の他の例を示す図。
【図7】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を従来例と比較、追認したシミュレーション結果を示す回路図。
【図8】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を従来例と比較、追認したシミュレーション結果を示す回路図。
【図9】本発明の第1の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を従来例と比較、追認したシミュレーション結果を示す回路図。
【図10】本発明の第2の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図11】本発明の第2の実施の形態による直流遮断装置の動作の時間関係を示す図。
【図12】本発明の第3の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図13】本発明の第3の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図14】本発明の第3の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図15】本発明の第4の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図16】本発明の第4の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図17】本発明の第4の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図18】本発明の第4の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を従来例と比較、追認したシミュレーションした結果を示す図。
【図19】本発明の第5の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図20】本発明の第5の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図21】本発明の第5の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図22】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図23】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図24】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を図23(a)で実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図25】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を図23(b)で実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図26】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を図23(c)で実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図27】本発明の第6の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を図23(d)で実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図28】本発明の第7の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図29】本発明の第7の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図30】本発明の第7の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした結果を示す図。
【図31】本発明の第8の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図32】本発明の第8の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図33】本発明の第8の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした条件と結果を示す図。
【図34】本発明の第9の実施の形態による直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図35】本発明の第9の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした直流電源システムを示す回路図。
【図36】本発明の第10の実施の形態による直流遮断装置を交流電源システムに使用した構成例を示す回路図。
【図37】本発明の第10の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした交流電源システムを示す回路図。
【図38】本発明の第10の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした条件と結果の一例を示す図。
【図39】本発明の第10の実施の形態による直流遮断装置の作用と効果を実験またはシミュレーションした条件と結果の一例を示す図。
【図40】従来のアーク電圧上昇方式直流遮断技術およびその遮断器におけるヒューズの構造、動作時の等価回路、および遮断時のオシログラムを示す図。
【図41】従来の配線用直流遮断装置の消弧装置、および気中高速度直流遮断装置の消弧装置と全体概略構造の一例を示す図。
【図42】従来の直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図43】従来の強制転流方式直流遮断技術、またはこれを応用した直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【図44】従来の強制転流方式直流遮断技術、または直流遮断装置のスイッチとして半導体を使用した直流遮断装置の構成例を示す回路図。
【符号の説明】
SW1…スイッチ、
SW2…スイッチ、
SW3…スイッチ、
SW4…スイッチ、
Cc1…コンデンサ、
Cc2…コンデンサ、
Rp1…抵抗、
Rp2…抵抗、
NLR1…非直線抵抗、
NLR2…非直線抵抗、
NLR3…非直線抵抗、
NLR4…非直線抵抗、
Lp…リアクトル、
Lq…リアクトル。
Claims (12)
- 直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサとスイッチとを並列に接続して成ることを特徴とする直流遮断装置。
- 直流電流を非振動的に転流・遮断させるコンデンサと転流用スイッチとを直列に接続し、
前記コンデンサと転流用スイッチとの直列回路に、スイッチを並列に接続して成ることを特徴とする直流遮断装置。 - 前記請求項1または請求項2に記載の直流遮断装置本体に、抵抗を並列に接続して成ることを特徴とする直流遮断装置。
- 前記請求項1または請求項2に記載の直流遮断装置本体に、非直線抵抗を並列に接続して成ることを特徴とする直流遮断装置。
- 前記請求項1または請求項2に記載の直流遮断装置本体に、抵抗と非直線抵抗を並列に接続して成ることを特徴とする直流遮断装置。
- 前記請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の直流遮断装置本体の負荷側、または電源側に、少なくとも1個の電流零点遮断用スイッチを直列に接続して成ることを特徴とする直流遮断装置。
- 前記請求項6に記載の直流遮断装置本体の主回路通電部の一部に、少なくとも1個の振動電流発生用リアクトルを接続して成ることを特徴とする直流遮断装置。
- 前記請求項6に記載の直流遮断装置本体の負荷側に負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗、またはリアクトルと振動電流発生用非直線抵抗との直列回路を接続して成ることを特徴とする直流遮断装置。
- 前記請求項7に記載の直流遮断装置本体の負荷側に、負荷と並列に、振動電流発生用非直線抵抗を接続して成ることを特徴とする直流遮断装置。
- 前記請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の直流遮断装置本体を、交流電源システムに使用したことを特徴とする直流遮断装置。
- 前記請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の直流遮断装置において、
前記コンデンサとしては、非振動転流時間が250μS以下となるような静電容量を有するコンデンサとしたことを特徴とする直流遮断装置。 - 前記請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の直流遮断装置において、
前記コンデンサとしては、非振動転流時の電流が時間と共に単調増加する、または単調減少する電流波形となるような静電容量を有するコンデンサとしたことを特徴とする直流遮断装置。
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