JP2004014331A - 固体酸化物形燃料電池3次元応力評価法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池3次元応力評価法 Download PDF

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Abstract

【課題】固体酸化物形燃料電池(SOFC)の発電時の3次元温度分布および応力分布を、良好な精度で行う計算機シミュレーシヨンによる高速評価方法を提供する。
【解決手段】
燃料電池の発電反応(発熱反応)は、空気極基板4上の固体酸化物電解質(膜)2と燃料極1の界面5というz方向に狭い領域で生じるので、発熱部分は2次元平面と近似するものとし、発電反応の起こる2次元平面の温度分布を、発電反応を支配する電気化学反応式、物質収支式、およびエネルギー収支式よりなる反応支配方程式を解くことにより求める過程と、基板以外の部分は薄く構成され熱伝導は良好であるので、この方向への温度分布は生じないものとし、基板のz方向への温度分布は基板の厚み方向の熱伝導係数を用いて3次元温度分布を導き、この3次元温度分布を応力分布に変換する過程よりなる3次元応力評価法とする。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固体酸化物形燃料電池の強度評価法に係り、特に固体酸化物形燃料電池の温度分布から発生する熱応力を計算機シミュレーションにより3次元的に評価する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化物を電解質に持つ固体酸化物形燃料電池(SOFCと略称)では、効率を左右するイオン伝導度を充分確保するため、動作温度が高温である。また、この発電反応は発熱反応であり、SOFC、燃料ガスおよび酸化剤ガスが上記発熱反応によって暖められる。発電特性には大きな温度依存性が存在するため、上記発熱部分では発電反応量が異なってくるという非線形的な応答特性になる。そのため、SOFCには非線型の温度分布が発生し、その結果、線形の温度分布よりも大きな熱応力が発生する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
発電中に発生する熱応力を評価するためには、SOFCの温度分布が判らなければならない。高温の実験において、既存の温度測定法として、熱電対を利用する場合、空間的に多くの熱電対を1枚のSOFCに装着することは困難である。
また、動作中のSOFC内の温度分布を計測する際、SOFCの面を形成している電極上に熱電対を多く配置することはSOFC特性に影響を及ぼすため、好ましくない。既存の別の温度測定法として、サーモグラフを使用する場合、可燃ガスを高温で保持するため、断熱材が装置を覆うので光(の色)の立体角を充分確保することが難しいため、空間的温度分布を詳細に把握することは困難である。そのため、SOFCの動作中の温度分布は計算機シミュレーションによって予測することが空間的精度向上に適している。
【0004】
SOFCの温度分布を計算機シミュレーションで予測するには、SOFCの発電反応を支配する方程式を解析しなければならない。支配方程式は、燃料および酸化剤ガスの消費量を未知数とする物質収支式、SOFC温度、酸化剤ガス温度、燃料がス温度を未知数とするエネルギー収支式、およびSOFC電流密度を未知数とする電気化学反応モデル式である。この6元連立支配方程式は、例えば燃料消費量と発生電流密度とが関係し、エネルギー収支式では各ガスの熱伝達が関係するなどのため、独立な6個の式ではなく、各未知数が相互作用している。しかし、SOFC形状が3次元的広がりを持つため、温度分布解析および熱応力解析には3次元解析が必要となる。相互作用がある6元連立方程式を満足する、有限要素法による3次元解析ではメッシュの数が大きくなるため、3次元で解くことは計算速度が低くなり、計算に膨大な時間を要することが予測される。
【0005】
本発明の目的は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の発電時の3次元温度分布および応力分布を、計算機シミュレーシヨンにより、高速で、かつ良好な精度で行うことができる高速評価法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は特許請求の範囲に記載のような構成とするものである。すなわち、
請求項1に記載のように、
固体酸化物形燃料電池の3次元応力を計算機シミュレーションにより評価する方法であって、
上記燃料電池の発電反応(発熱反応)は、空気極基板上の電解質膜と燃料極の界面という狭い領域で起こるため、発熱部分は2次元平面と近似するものとし、発電反応の起こる2次元平面の温度分布を、発電反応を支配する電気化学反応式、物質収支式、およびエネルギー収支式よりなる反応支配方程式を解くことにより求める過程と、
基板以外の部分の厚さは発電効率向上のため薄く構成され、発生した熱は良く伝導されるので基板以外の部分には温度分布が生じないものとし、上記2次元温度分布を基板の温度解析の境界条件として、基板の厚み方向への温度分布は、基板の厚み方向の熱伝導係数を用いて3次元温度分布を導く過程と、
上記3次元温度分布を応力分布に変換して3次元応力分布を評価する過程よりなる固体酸化物形燃料電池3次元応力評価法とするものである。
【0007】
また、請求項2に記載のように、
固体酸化物形燃料電池(SOFC)の3次元応力を計算機シミュレーションにより応力分布を評価する方法であって、
SOFCの解析要素(過程1)である反応面の形状、燃料ガス流路および酸化剤ガス流路を計算機モデルに割り当てることによりモデル化(過程2)を行う過程と、
起電力と、オーミック抵抗成分と、過電圧成分とによってSOFC電圧を求める式、およびGibbs(ギブス)の自由エネルギーと各ガスの分圧比によって起電力を求める式である電気化学反応式、物質収支式、エネルギー収支式よりなるSOFC発熱発電反応支配方程式(過程3)を用いて、2次元解析することによりSOFC内温度分布(過程4)を求める過程と、
応力分布を与えるための拘束である温度境界条件、力学的拘束条件を設定(過程5)することにより、SOFC上部反応面を上部境界条件とし、他の面を雰囲気温度とすることにより、応力評価のための3次元温度分布を、最も支配的な強度因子である基板に対して単純な熱伝導に置き換えて3次元温度分布を導く過程と、
通常の応力解析過程により熱応力分布(過程6)を求め3次元応力分布を評価する過程よりなる固体酸化物形燃料電池3次元応力評価法とするものである。
【0008】
また、請求項3に記載のように、
請求項1または請求項2において、上記応力解析過程は、z平面z方向の主応力σzz=(3λ+2μ)αTで表される式を用いて、有限要素法の線形静解析で得られる応力解析過程による固体酸化物形燃料電池3次元応力評価法とするものである。ただし、上記式中、λ、μはヤング率、ポアソン比、およびσは剪断弾性係数で表されるラーメの弾性係数であり、αは線膨張係数、Tは温度を示す。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の一例を挙げ、図面を用いて、さらに詳細に説明する。
〈実施の形態1〉
図1は、SOFCの発電反応を表した図であって、1は燃料極、2は固体酸化物電解質(膜)、3は空気極である。空気極3から供給された酸素ガスは固体酸化物電解質2と空気極3の界面で酸素イオンとなり、固体酸化物電解質2のイオン伝導体である電解質を透過する。透過した酸素イオンは、燃料極1から供給された燃料ガスと、固体酸化物電解質2と燃料極1の界面で反応する。すなわち、反応は、上記電解質2と燃料極1の界面というz方向に狭い領域で生じる。その結果、発熱部分は2次元平面と近似することが可能である。
【0010】
しかしながら、発生した熱はSOFCの他の部分へ熱伝導する。SOFCは、通常、強度を保つために基板を有している。基板以外の部分の厚さは基板と比較して、SOFC発電効率を向上させるため、極めて薄い。そのため、発生した熱は、基板以外(例えば、自立膜型SOFCならば、燃料極、空気極であり、空気極支持模型ならば電解質膜、燃料極)に良く伝導するため、z方向に温度分布は生じないと考えることが可能である。
【0011】
本発明は以上の2点の特徴を利用した方法である。すなわち、2次元で近似される反応面(熱源面)でSOFCの発熱発電反応を記述し、z方向への基板以外への温度分布を無くす。このようにして得られた2次元温度分布をz方向への広がりを持った基板(z方向)の温度解析の境界条件とする。さらに、基板z方向への温度分布は基板の熱伝導係数を持って、熱を伝導させることによって、3次元温度分布を導くもので、このようにSOFCの発熱場所と構成材料の厚さを考慮することによって、通常解析に用いられる3次元6元連立方程式を、2次元方程武に帰着させることが可能となり、良好な近似で3次元温度分布を得ることが可能となり、精度良く従来に比べ高速評価が可能となる。
【0012】
〈実施の形態2〉
図2は、本発明の実施の形態において熱応力を評価する方法を示す図であって、評価をすべきSOFCの構成を表している。4は空気極基板を示し、基板の厚さの1/100程度の厚さを持った固体酸化物電解質(膜)2で覆われている。また、上部に燃料極1を持ち、上記電解質(膜)2との界面が発熱発電反応の反応面5を形成している。
【0013】
図3は、本発明の評価法のフロー図である。過程1に、SOFCの解析要素を示す。過程2に示すモデル化は、過程1で示したSOFCの解析要素を計算機モデルに割り当てることである。割り当てられるSOFCの解析要素(過程1)は、SOFCの反応面の形状(構造)、燃料ガス流路、酸化剤ガス流路等である。
過程3は、SOFC(発熱)反応支配方程式〔電気化学反応式、物質収支式、エネルギー収支式等〕を示す。
SOFC電圧Uは、起電力U、オーミック抵抗成分φΩと過電圧成分φによって、
U=U−φΩ−φ………(数1)
と表される。UはGibbsの自由エネルギーGと各ガスの分圧比によって、
=−G/2F−RT/2F lnPO 1/2PH/PHO………(数2)
と表される。ここで、Fはファラデー定数、Rは気体定数、Tは温度、PxはガスXの分圧である。Xは酸素ガス、水素ガス、水蒸気を表している。
【0014】
物質収支式はガス物質xのモル流量をMx、流路の高さをhとすると、ファラデーの法則から、
−divMx=J/2Fh………(数3)
が成立する。
エネルギー収支式は、SOFCに対して、
△T+kOX△TOX+Jc△TH0/2F+Jc0x△T0x0/〔4F−J(cHO△Tc0+△H)〕+dλ△Tcell=JV………(数4)
と表される。ここで、△T、△TOXはSOFCと燃料ガスおよび酸化剤ガスの温度差、△TH0、△T0x0、△Tc0は燃料ガスの入口温度と燃料ガス、酸化剤ガス、SOFC温度との差、kはガスxの熱伝達係数、cはガスの比熱、△Hは反応のエンタルピー、dはSOFCの厚さ、λは熱伝導率、△はラプラシアン(2階微分)、TcellはSOFC温度、VはSOFC電圧である。また、燃料ガスと酸化剤ガスに対しても上記と同様な式が成立する。
なお、上記(数1)〜(数4)式は、すでに発熱部分を2次元平面に近似した時の式となっており、また、(数1)、(数2)式は電気化学反応式を表している。
発電反応が2次元面でモデル化できるため、上記(数1)〜(数4)式までを2次元解析することによって、過程4が得られる。
【0015】
得られた結果は、例えば、固体酸化物形燃料電池の基板材料の熱伝導係数2J/sec/m/K、電池の大きさ(x,y,z)=40mm×100mm×7mm、空気流路の大きさ内径3mm、空気(酸化剤)、入力温度700度(℃)、流量20mol/sec/m、燃料入口ガス温度1000度(℃)、流量0.9mol/sec/m、作動電池電圧0.5Vの場合に得られた温度分布は図4のように表される。図4に示したように、2次元温度分布で良い近似が得られれば、3次元温度分布においても、上記〈実施の形態1〉欄で説明したように、SOFCの発熱場所と構成材料の厚さを考慮することによって、3次元6元連立方程式を2次元方程武に帰着させることが可能となり、良好な近似で3次元温度分布が得られることになる。
【0016】
過程5は、応力分布を与えるための拘束(温度境界条件、力学的拘束条件)である。例えば、力学的拘束は無く、温度境界条件はSOFCの置かれた環境、すなわち、雰囲気温度にとることなどが考えられる。本発明では、図5で表されるように、3次元温度分布解析を行う際、SOFCの発電反応面6〔本実施の形態では図2に示される燃料極1と固体酸化物電解質(膜)2との界面5〕を2次元熱源として取り扱う前処理により電気化学反応を分離し、熱伝導7と独立に取り扱う方法をとる。すなわち、SOFC上部の反応面6を上部の境界条件とし、他の面を雰囲気温度8とすることにより、応力評価のための3次元温度分布を、最も支配的な強度因子である基板に対する単純な熱伝導に置き換え、効率化を図ったものである。
過程6は、例えば、z平面z方向の主応力σzz=(3λ十2μ)αTを用いて有限要素法の線形静解析で得られる応力解析過程である。ここで、λ、μはヤング率、ポアソン比、およびσは剪断弾性係数で表されるラーメの弾性定数であり、αは線膨張係数であり、Tは温度である。
【0017】
結果:
上記実施の形態1、2に基づき得られた計算結果と、本実施の形態で示されたSOFCを用いた実験結果を比較すると、温度分布に関しては、図4に示されるように、酸化剤ガスの入口付近でのSOFC冷却性(反応前の酸化剤ガスは動作温度より低く、そのため、セルの酸化剤ガス入口付近が冷却される)などの定性的振舞および実験で得られたSOFCセル内の温度分布〔最高温度と最低温度の差が150度(℃)程度〕などの定量的振舞も良く一致した。また、熱応力に関しては、本実施の形態に基づいて計算で得られたフォンミース応力図(図示せず)によれば10MPa程度であり、SOFCの実測強度40MPaに比較して小さかった。これは、本実施の形態で示したSOFCを用いた実験でSOFCが破壊されていないことを考慮すると、良好な精度の応力評価法であると考えられる。また、計算機上でセルを分割して各要素において解析しているため、3次元方向の分割数の逆数分だけ解析速度が早くなる。
さらに、最終的に得られる応力分布に関しては、SOFCのようなセラミックスを主体とする場合には、元々個々の電池間でばらつきが大きいのでオーダーで評価することが重要であるため、オーダーがある程度一致していれば良いものと考えられる。
【0018】
【発明の効果】
本発明は固体酸化物形燃料電池(SOFC)での3次元応力を計算機シミュレーションにより評価する方法であり、発電反応の起こる2次元表面(発熱部分)の温度分布を、(数1)〜(数4)式で表されるSOFC(発熱)反応支配方程式を解くことにより求め、この2次元温度分布を、2次元平面の分布から厚み方向の熱伝導係数を用いて3次元温度分布を導いた後、その温度分布をさらに最終的に応力分布に変換して3次元応力を評価するもので、発熱部分を2次元近似していること、2次元平面の分布から厚み方向の熱伝導係数を用いて3次元分布を導くことを特徴とするので、通常解析に用いられている3次元6元連立方程式を2次元方程式に帰着させることができ、良好な精度で従来に比べ一段と高速で評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1で例示したSOFCの発電反応を表した模式図。
【図2】本発明の実施の形態2で例示したSOFCの熱応力を評価する空気極基板の構成示す模式図。
【図3】本発明の実施の形態2で例示したSOFCの熱応力の評価法のフロー図。
【図4】本発明の実施の形態2で例示したSOFCの温度分布を示す図。
【図5】本発明の実施の形態2で例示したSOFC上部の反応面を上部の境界条件とし、他の面を雰囲気温度とする応力評価のための3次元温度分布を示す説明図。
【符号の説明】
1…燃料極
2…固体酸化物電解質(膜)
3…空気極
4…空気極基板
5…反応面(燃料極1と電解質2との界面)
6…SOFCの発電反応面
7…熱伝導
8…雰囲気温度で拘束

Claims (3)

  1. 固体酸化物形燃料電池の3次元応力を計算機シミュレーションにより評価する方法であって、
    上記燃料電池の発熱部分は2次元平面と近似するものとし、発電反応の起こる2次元平面の温度分布を、発電反応を支配する電気化学反応式、物質収支式、およびエネルギー収支式よりなる反応支配方程式を解くことにより求める過程と、
    基板以外の部分には温度分布が生じないものとし、上記2次元温度分布を基板の温度解析の境界条件として、基板の厚み方向への温度分布を、基板の厚み方向の熱伝導係数を用いて3次元温度分布を導く過程と、
    上記3次元温度分布を応力分布に変換して3次元応力分布を評価する過程よりなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池3次元応力評価法。
  2. 固体酸化物形燃料電池の3次元応力を計算機シミュレーションにより応力分布を評価する方法であって、
    上記燃料電池の解析要素である反応面の形状、燃料ガス流路および酸化剤ガス流路を計算機モデルに割り当てることによりモデル化を行う過程と、
    起電力と、オーミック抵抗成分と、過電圧成分とによって上記燃料電池の電圧を求める式、およびGibbs(ギブス)の自由エネルギーと各ガスの分圧比によって起電力を求める式である電気化学反応式、物質収支式、エネルギー収支式よりなる上記燃料電池の発熱発電反応支配方程式を用いて、2次元解析することにより上記燃料電池内温度分布を求める過程と、
    応力分布を与えるための拘束である温度境界条件、力学的拘束条件を設定することにより、上記燃料電池の上部反応面を上部境界条件とし、他の面を雰囲気温度とすることにより、応力評価のための3次元温度分布を、最も支配的な強度因子である基板に対して単純な熱伝導に置き換えて3次元温度分布を導く過程と、
    応力解析過程により熱応力分布を求め3次元応力分布を評価する過程よりなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池3次元応力評価法。
  3. 請求項1または請求項2において、上記応力解析過程は、z平面z方向の主応力σzz=(3λ+2μ)αTで表される式を用いて、有限要素法の線形静解析で得られる応力解析過程であることを特徴とする固体酸化物形燃料電池3次元応力評価法。ただし、式中、λ、μはヤング率、ポアソン比、およびσは剪断弾性係数で表されるラーメの弾性係数であり、αは線膨張係数、Tは温度を示す。
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