JP2004014725A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Jun Ito
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Abstract

【課題】従来のLEDよりも外部量子効率が高く、かつ、従来の半導体レーザよりも生産コストの安い半導体発光素子を実現すること。
【解決手段】開き角が直角のV字型にエッチングされた、半導体層106〜109の各側壁から成る一連の傾斜面上には、透光性絶縁被膜110F2が成膜されている。このV字型の傾斜面は、周知のエッチング手法により形成されたものであり、左右両方の傾斜面とも45°の傾斜角が付与されている。また、共振方向における光反射部の長さδや光反射部の位置等により、共振中の光が反射(誘導放出)される確率を最適化或いは好適化するこができる。以上の構造に従えば、共振方向の端面に、例えば多層膜コーティング等の高度、高精度、或いは高コストの加工処理を施す必要が無くなり、コスト高の端面を形成しなくとも共振器等の共振機構を有する半導体発光素子を構成することができる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、 III族窒化物系化合物半導体を複数層積層して形成される半導体発光素子に関し、本発明による半導体発光素子は、例えば蛍光灯等の従来の発光光源に代わる新しい発光デバイスとして、工業的な利用価値が期待できる。
【0002】
【従来の技術】
III族窒化物系化合物半導体を複数層積層して形成される半導体発光素子としては、例えば、「応用物理第68巻第2号p.133〜145(1999)」(以下「文献1」と言う。)や、「応用物理第68巻第7号p.793〜804(1999)」(以下「文献2」と言う。)や、或いは「先端デバイス材料ハンドブック(社団法人電子情報通信学会編)5編1章p.488〜511(1993)」(以下「文献3」と言う。)等に記載されているものが一般に広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の半導体レーザでは、反射率の高い反射面から共振する光の一部をデバイス外に取り出す構造になっている。したがって、従来の半導体レーザでは、共振器の共振方向の両端の反射面における光の反射率を高くしなければ、効率の良いレーザを構成することができない。即ち、従来の発光素子(半導体レーザ)の共振器では、光の共振方向にそのまま共振中の光の一部を放出するため、共振器の共振方向の少なくとも一端の端面は、高い反射率と損失の小さい透光性とを兼ね備えた端面構造を形成しなければならなかった。
【0004】
このため従来は、半導体レーザを製造する際に、高い反射率の反射面を形成しなければならず、よって、多層膜コートを施す等の反射面処理に高い生産コストを掛けざるを得なかった。
また、従来の半導体レーザでは、放熱機構や組み付け工程等が複雑にならざるを得ず、これらの事情も生産コストを高くする大きな要因となっていた。
【0005】
一方、従来のLEDでは、例えば上記の文献1等にも記載されている様に、高い外部量子効率を得ることは難しい。現在公知となっている一般の技術水準によれば、外部量子効率は、上記の文献等からも判る様に20%〜30%程度が限度と言われている。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、従来のLEDよりも外部量子効率が高く、かつ、従来の半導体レーザよりも生産コストの安い半導体発光素子を実現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段、並びに、作用及び発明の効果】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、 III族窒化物系化合物半導体を複数層積層して形成される半導体発光素子において、発光層内で水平方向に共振している光を、面方向等の別方向へ反射する光反射部を発光層内に設けることである。
ただし、上記の面方向とは、発光層の略平面形状に対して略垂直な方向(法線方向)のことを言う。
【0008】
上記の構造に従えば、出力される光の放出方向は、光の共振方向でなくともよい。このため、共振方向の端面に、例えば多層膜コーティング等の高度、高精度、或いは高コストの加工処理を必ずしも施す必要が無くなり、コスト高の端面を形成しなくとも共振器等の共振機構を有する半導体発光素子を構成することができる。上記の構造では、共振器の両端の端面や光反射部における物理的な特性としては、透光性を考慮する必要がなく、高い反射率のみが要求される。したがって、これらの反射部は、例えば絶縁性反射部材や金属層や透光性絶縁被膜等を用いることにより容易に構成することができ、また、これらの反射部には、従来よりも高い反射率を持たせることが容易(低コスト)になる。
【0009】
また、本発明の発光素子から出力される光は、共振後に上記の光反射部に反射された光に限定されない。即ち、上記の発光素子から出力される光には、面発光のLEDと同じ発光形態の光も含まれる。
これらの作用により、本発明の発光素子によれば、従来のLEDよりも外部量子効率が高く、かつ、従来の半導体レーザよりも生産コストの安い半導体発光素子を実現することができる。
【0010】
尚、上記の光反射部(の反射面)を形成する方法としては、イオンビームエッチング等の各種のエッチング処理が有用である。また、それらの反射面に適当な傾斜角を持たせる方法としては、例えば、公開特許公報「特開平10−032189:3族窒化物半導体のドライエッチング方法及び素子」に記載されている方法や、或いは、公開特許公報「特開2001−160657: III族窒化物系化合物半導体レーザの製造方法」に記載されている方法等が一般に広く知られている。
【0011】
また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段において、上記の光反射部の共振方向の長さを、少なくとも1層の発光層内又は井戸層内において、光の波長よりも短く設定することである。
【0012】
上記の光反射部をドット状に形成して発光層内に点在させても良いが、また、上記の光反射部は端面に略平行な一連の例えばスリット状等に形成しても良い。例えば後者等の場合い、少なくとも1層の発光層内又は井戸層内における共振方向において、光反射部の長さを放出する(反射させる)光の波長よりも短く設定することで、共振中の光は光反射部により確率的に反射・放出されることになる。
即ち、この構造により、両端面間において共振モードを確立しつつ、共振光を確率的に発振させることができる。
【0013】
また、第3の手段は、上記の第1又は第2の手段において、光取り出し面を、金属電極を有する面とは相異なる面に設けることである。
即ち、本発明の発光素子をフリップチップ型に形成し、結晶成長基板側から光を取り出す方式である。
【0014】
上記の構成によれば、上記の文献1からも容易に推測できる様に、光り取り出し面を最大に確保することができるため、面発光のLEDと同じ発光形態の光をも効率良く取り出すことが可能となり、よって、外部量子効率を大きくすることができる。この方式は、特に、サファイア等の透光性基板をもちいる場合大きな効果を発揮する。
【0015】
また、第4の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段において、上記の発光層に、少なくとも1層の井戸層を設け、この井戸層を、AlGaIn(1−x−y)N(0≦x<1,0≦y<1,0<x+y<1)なる組成の、無添加又は任意の添加物を含有する III族窒化物系化合物半導体から形成することである。上記の添加物としては、例えばホウ素(B)等の III族元素やリン(P)等のV族元素等を加えても良い。
これらの構成により、周知の III族窒化物系化合物半導体発光素子と略同様に高い内部量子効率を得ることができる。
【0016】
また、第5の手段は、上記の第1乃至第4の何れか1つの手段において、光反射部の光反射面の少なくとも一部分を金属から形成することである。
例えばこの様な構成により比較的高い反射率を有する反射面(光反射部)を形成することができるため、外部量子効率の高い半導体発光素子を製造することが容易又は可能となる。
【0017】
また、第6の手段は、上記の第5の手段において、光反射面の少なくとも一部分を形成する金属を、少なくとも何れか1つの電極を形成する金属と略同一組成にすることである。
【0018】
これにより、光反射部の反射面を形成する工程と、少なくとも何れか1つの電極を形成する工程とを一つの工程に一体化することができる。したがって、例えば、電極や反射面等に使用する金属を蒸着する蒸着処理工程の工数を削減できる等の効果を得ることができる。
【0019】
また、第7の手段は、上記の第1乃至第6の何れか1つの手段において、光反射面の少なくとも一部分に、共振方向に対して約45°の傾斜角を持たせることである。
これにより、共振器(発光層)内で共振している光を面方向に真っ直ぐに放出することができる。このため、光が側壁等の他の部位に当る等して、不測の方向に反射、散乱する等の確率が抑制でき、高い外部量子効率を効果的に得ることができる。
【0020】
尚、この様な傾斜部(光反射面)を所望の傾斜角をもって、所望の形状に形成する方法としては、例えば、公開特許公報「特開2001−160657: III族窒化物系化合物半導体レーザの製造方法」に記載されている製造方法等が有用である。
【0021】
また、第8の手段は、上記の第1乃至第7の何れか1つの手段において、光反射面の一部分に、共振方向に対して約90°の角度を付けることである。
この様な構成により、光反射部の光反射面に入射した光の一部を再度共振モードに戻すことが可能となる。これにより、面方向に共振モードの光が反射(放出)される確率を小さくすることができる。
また、同時にその箇所では、光反射部の傾斜角が直角に成るので、光反射部の共振方向の長さを小さくすることができる。
【0022】
また、第9の手段は、上記の第1乃至第8の何れか1つの手段において、共振方向の終端に位置する発光層の側壁に反射膜を形成することである。
この様な反射膜の形成形態には、少なくとも以下の2つが考えられる。
【0023】
即ち、第10の手段は、上記の第9の手段において、上記の反射膜を不透明な絶縁性被膜から形成することである。発光層の側壁に成膜する場合、通常、形成する膜に絶縁性が要求されるが、この第10の手段によれば、1回の成膜工程で、上記の第9の手段を構成することができる。
【0024】
また、第11の手段は、上記の第9の手段において、上記の反射膜を透光性絶縁被膜と金属層との2層構造にすることである。この様な手段によっても、絶縁性と高い反射率とを両立することができる。
【0025】
また、第12の手段は、上記の第11の手段において、上記の金属層を、少なくとも何れか1つの電極を形成する金属と略同一組成にすることである。
【0026】
これらの様な2層構造の反射膜を発光層等の側壁に形成する方法や実施形態としては、例えば、公開特許公報「特開平11−251633:窒化ガリウム系化合物半導体素子」に記載されている技術等が一般に広く知られている。
また、透光性絶縁被膜を用いた場合でも、2層構造の反射膜の2層目の金属層を電極等の他の金属層と同時に成膜する等すれば、工程の削減に容易に寄与できる。
【0027】
また、本発明の第13の手段は、上記の第1乃至第12の何れか1つの手段において、光反射部の上方の光取り出し面付近に、光反射部と平面形状が略同形の略同じ大きさのスリットを設けることである。
この様な構成については、後述の第2実施例の説明箇所において、より具体的に例示する。この手段によれば、上記の半導体発光素子から放出される光を、共振中に光反射部の反射面で反射されたコヒーレント光だけに概ね限定することができる。
従って、この手段は、安価に半導体レーザを製造するのに有効である。
【0028】
また、第14の手段は、上記の第13の手段において、上記のスリットを結晶成長基板の光取り出し面に金属層を成膜することにより形成することである。
【0029】
この手段により、スリットを形成する光遮断部(金属層の部分)を小さくでき、よって、上記のスリットを有する半導体レーザを最小の大きさにすることができる。従って、この手段は、安価で小型の半導体レーザを製造するのに有効な手段となる。
【0030】
更に、本発明の第15の手段は、上記のいずれかの半導体発光素子を1枚の結晶成長基板上に複数個配列して製造することにより、上記のいずれかの半導体発光素子を集積化することである。
この様な集積化により、比較的出力が大きな半導体発光素子の小型化や低コスト化が容易又は可能となる。この様な発光素子は、照明だけでなく、例えば以下の2つの手段等の様に、通信や情報処理等にも有効である。
【0031】
即ち、本発明の第16の手段は、通信装置において、請求項14の半導体発光素子を集積化することにより形成された請求項15に記載の半導体発光素子を備えることである。
【0032】
また、本発明の第17の手段は、情報処理装置において、請求項14の半導体発光素子を集積化することにより形成された請求項15に記載の半導体発光素子を備えることである。
【0033】
即ち、請求項14の半導体発光素子を集積化することにより形成された請求項15に記載の半導体発光素子においては、フリップチップ型の微小な面発光レーザを平面状に配列できるので、この様な半導体発光素子は並列のデータ伝送や光情報処理への応用等にも有用となる。
【0034】
尚、上記の半導体発光素子を形成する各半導体層は、少なくともAlGaIn1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)にて表される2元系、3元系若しくは4元系の半導体から成る III族窒化物系化合物半導体等で形成することができる。また、これらの III族元素の一部は、ボロン(B)、タリウム(Tl)で置き換えても良く、また、窒素(N)の一部をリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)で置き換えても良い。
【0035】
更に、これらの半導体を用いてn型の III族窒化物系化合物半導体層を形成する場合には、n型不純物として、Si、Ge、Se、Te、C等を添加することができる。また、p型不純物としては、Zn、Mg、Be、Ca、Sr、Ba等を添加することができる。
【0036】
また、これらの半導体層を結晶成長させる基板としては、サファイヤ、スピネル、Si、SiC、ZnO、MgO、或いは、 III族窒化物系化合物単結晶等を用いることができる。
【0037】
また、これらの半導体層を結晶成長させる方法としては、分子線気相成長法(MBE)、有機金属気相成長法(MOCVD)、ハライド気相成長法(HDVPE)、液相成長法等が有効である。
【0038】
また、発振器側壁に絶縁膜を介して形成する反射金属膜や、正電極の材料として、光の反射効率を高めるためにAl、In、Cu、Ag、Pt、Ir、Pd、Rh、W、Mo、Ti、Ni、又はこれらを1種類以上含んだ合金を用いることができる。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
〔第1実施例〕
図1は、本発明の第1実施例に係わる半導体発光素子100の断面αの斜視図である。
【0040】
サファイヤ基板101の上には窒化アルミニウム(AlN)から成る膜厚約200Åのバッファ層102が設けられ、その上にシリコン(Si)ドープのGaNから成る膜厚約4.0μmの高キャリア濃度n層103が形成されている。
【0041】
そして、高キャリア濃度n層103の上には、シリコン(Si)ドープのAl0.10Ga0.90Nより成る膜厚約1μmのn型層104が積層され、更に、その上には、膜厚約100nmのn型層105が形成されている。本n型層105は、電子密度2×1018/cmのシリコン(Si)ドープAl0.01Ga0.99Nを約100nm積層したものである。
【0042】
更に、その上には、膜厚約30ÅのGa0.8In0.2Nから成る井戸層1061と、膜厚約70ÅのGaNから成るバリア層1062とが交互に積層された多重量子井戸構造のMQW層106が形成されており、バリア層の積層数Nは2である。即ち、3層の井戸層1061と2層のバリア層1062とが交互に積層されることにより、合計5層で、膜厚約230ÅのMQW構造が構成されている。
【0043】
このMQW層106の上には、膜厚約100nmのp型層107が形成されている。p型層107は、ホール密度5×1017/cmのマグネシウム(Mg)ドープAl0.01Ga0.99Nを約100nm積層したものである。
【0044】
更に、このp型層107の上には、マグネシウム(Mg)ドープのAl0.10Ga0.90Nより成る膜厚約1μmのp型層108が積層されている。
さらに、p型層108の上にはマグネシウム(Mg)ドープのGaNから成る膜厚約600Åのp型コンタクト層109が形成されている。
更に、p型コンタクト層109の上には金属蒸着により正電極110Aが形成され、また、n層103上には負電極110Bが形成されている。
【0045】
図2に、この半導体発光素子100を上方(電極側)から見た平面図を示す。共振器の長さ(両端面間の距離)Lは、例えば50〜100μm程度で良い。この共振器長Lは、半導体の屈折率や出力光に関する所望の波長等に基づいて、周知の設定基準にしたがって設定する。このような設定基準としては、例えば、前記の文献3等に詳しく記載されている。
また、符号aは、図1の透光性絶縁被膜110F1の裾部を示している。
【0046】
図3は、この半導体発光素子100の側面図である。開き角が直角のV字型にエッチングされた、半導体層106〜109の各側壁から成る一連の傾斜面上には、透光性絶縁被膜110F2が成膜されている。このV字型の傾斜面は、公開特許公報「特開2001−160657: III族窒化物系化合物半導体レーザの製造方法」に記載されているエッチング手法により形成されたものであり、左右両方の傾斜面とも45°の傾斜角が付与されている。
【0047】
また、発光層内における光反射部の共振方向の長さδは、例えば、上記の半導体発光素子100を青色発光の発光素子にする場合には、400nm未満にする。この場合、より望ましくは、1〜数十nm程度が良い。このδの長さや光反射部の位置等により、共振中の光が反射される確率を最適化或いは好適化するこができる。
【0048】
尚、各電極は、蒸着により成膜した。正電極110Aは、p型コンタクト層109に接合する膜厚約0.3μmのロジウム(Rh)又は白金(Pt)より成る第1金属層、この第1金属層の上部に形成される膜厚約1.2μmの金(Au)より成る第2金属層、更に、この第2金属層の上部に形成される膜厚約30Åのチタン(Ti)より成る第3金属層の3層構造である。
【0049】
以上の構成により、正電極110Aの延長部分より成る金属層と、透光性絶縁被膜110F1との2層構造で形成された共振器端面の反射率を容易に高く確保することができ、両端面間で共振した光は、確率的に光反射部の反射面で反射されて、面方向(基板101側)に放出(誘導放出)される。
【0050】
また、LEDの発光機構にしたがって、自然放出される光も存在する。これらの光の中には、直接光取り出し面側((基板101側)に放出されるものと、一端正電極110Aに反射されてから光取り出し面側((基板101側)に放出されるものとがある。
【0051】
これらの構成により、比較的外部量子効率の高い発光素子を比較的安価に製造することができる。
【0052】
尚、上記のV字の開き角を45°にして、光反射部の片方の傾斜面の傾斜角だけを90°にしても良い。この場合には、この90°の傾斜角の反射面における反射光は入射した光路に再び戻されるので、光反射部の位置を最適に調整することにより、反射光を再び共振モードに戻すことができる。
この様な構成に従えば、上記のδの長さを半分にでき、更に、放射される光が到来する方向を、45°の傾斜角を持つ傾斜面に入射する片方だけに限定できるので、誘導放出の確率を、上記の第1実施例の約1/4にまで減らすことができる。
【0053】
尚、半導体層105、107(p型/n型双方)は、それぞれ必ずしも設けなくとも良い。放出される光の波長や位相が比較的揃っていた方が望ましい場合には、半導体レーザとしての特質を強く導くために例えば上記の第1実施例の様に半導体層105、107を設けた方が望ましいが、LEDの特性をより強く導きたい場合等には、半導体層105、107は設けなくても良い。この半導体層105、107の省略により、発光波長が分散したり、インコヒーレント光が多く放出される等のLEDの特性をより強く導くことができる。
また、その様な場合には、光取り出し面から遠い側に位置する半導体層のみを設ける様にしても良い。また、半導体層105、107は、個別にそれぞれ2層構造にしても良い。
【0054】
また、水平で(即ち、結晶成長基板の結晶成長面と平行で)、かつ、共振方向に対して垂直な方向における、各半導体層の幅は、必ずしも図1に示す程相対的に狭くしなくとも良い。LEDの特性をより強く導きたい場合等には、これらの幅を比較的広く確保しても良い。共振方向に対して垂直な方向の各半導体層の幅は、従来のLEDと同等レベルまで拡大することも可能であり、この様な幅広の設定によっても、発光波長が分散したり、インコヒーレント光が多く放出される等のLEDの特性をより強く導くことができる。
【0055】
〔第2実施例〕
図4は、本発明の第2実施例に係わる半導体発光素子200の裏側(光取り出し面)の平面図である。この半導体発光素子200は、前述の第1実施例の半導体発光素子100の光取り出し面(基板101の露出面)に、更に、金属層120を蒸着したものである。この半導体発光素子200では、スリットSの部分を除いて、基板101のその他の露出していた光取り出し面全てが金属層120によって覆われている。
【0056】
例えば、この構成によれば、上記の半導体発光素子から放出される光を、共振中に光反射部の反射面で反射されたコヒーレント光だけに概ね限定することができる。また、上記の構成により、スリットを形成する光遮断部(金属層の部分)をコンパクトに形成でき、よって、上記のスリットを有する半導体レーザを最小の大きさにすることができる。
【0057】
〔第3実施例〕
図5は、本発明の第3実施例に係わる半導体発光素子300を上方(電極側)から見た平面図である。正電極110Aの下には、図示していないが、それぞれ上記の第2実施例の半導体発光素子200と同等の共振器が配置されている。
例えばこの様に、本発明の手段によれば、比較的容易に半導体レーザを構成できるため、それらの集積化も容易となる。
【0058】
例えばこの様に、半導体発光素子を集積化することにより、フリップチップ型の微小な面発光レーザを平面状に配列できるので、この様な半導体発光素子は並列のデータ伝送や光情報処理への応用等にも有用となる。
【0059】
〔その他の変形例〕
本発明の半導体発光素子は、例えば以下の様な公知の技術(1)〜(3)等と任意に組み合わせて構成することができる。そして、これらの応用技術を適用した場合においても、本発明に基づく作用・効果を損なうことなく、更に、それらの従来の技術に基づく作用・効果を得ることができる。
【0060】
(1)段差の解消
フリップチップ型の発光素子を製造する場合、例えば、上記の各実施例の様に、正電極と負電極の高さがことなることがある。また、この様な段差が組付けの際に、光の出力方向の精度を確保する上で問題となることがある。その様な場合には、例えば、公開特許公報「特開平11−266058:窒化ガリウム系化合物半導体レーザダイオード」に記載されている素子構造や、或いは、公開特許公報「特開2001−102673: III族窒化物系化合物半導体レーザダイオード」に記載されている素子構造等が有用である。
【0061】
(2)電極の配設形態
また、発光素子の外部量子効率や生産性や放熱性等を良好に確保するための、電極の配設形態等を中心とした幾つかの応用技術が公知である。それらの諸条件の好適化や最適化には、例えば、公開特許公報「特開2001−102673:III族窒化物系化合物半導体レーザダイオード」に記載されている素子構造や、或いは、公開特許公報「特開2001−251018: III族窒化物系化合物半導体レーザ」に記載されている素子構造等が有用である。
【0062】
また、 III族窒化物系化合物半導体との密着性や反射率を高く確保することが容易な金属としては、Rh,Pt,Ru,Ag,Pd,Al,Ni,Co等が有用である。これらを用いた金属層または電極の形成方法としては、例えば、公開特許公報「特開2000−036619: III族窒化物系化合物半導体発光素子」に記載されている素子構造等が公知である。
【0063】
(3)金属層の成膜形態
また、第2実施例のスリットSを形成する金属層120の成膜形態としては、例えば、公開特許公報「特開2001−102673: III族窒化物系化合物半導体レーザダイオード」に記載されている素子構造や、或いは、公開特許公報「特開2001−332762: III族窒化物系化合物半導体発光素子及びその製造方法」に記載されている素子構造及びその製造方法等が有用である。
【0064】
例えば、前者に記載の金属層の成膜形態を用いた場合、この金属層を電極(負電極)にすることも可能となる。この場合には、基板101やバッファ層102を導電性にする必要が生じるが、この様な構成によれば、図5の平面上には負電極を設けなくとも良くなるため、図5の平面上に共振器を更に効率よく配列できる様になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係わる半導体発光素子100の断面αの斜視図。
【図2】半導体発光素子100を上方(電極側)から見た平面図。
【図3】半導体発光素子100の側面図。
【図4】本発明の第2実施例に係わる半導体発光素子200の裏側(光取り出し面)の平面図。
【図5】本発明の第3実施例に係わる半導体発光素子300を上方(電極側)から見た平面図。
【符号の説明】
100,200,
300 … 半導体発光素子
101 … 結晶成長基板(シリコン、サファイヤ等)
102 … バッファ層
103 … 高キャリア濃度n
104 … n型層
105 … n型層
106 … MQW層
1061… 量子障壁層
1062… 量子井戸層
107 … p型層
108 … p型層
109 … p型コンタクト層
110A … 正電極
110B … 負電極
110F1… 透光性絶縁被膜(端面側)
110F2… 透光性絶縁被膜(光反射部)
120 … スリットを形成する金属層
L … 共振器の長さ(端面間距離)
δ … 光反射部のMQW層内における共振方向の長さ
α … 半導体発光素子100の垂直断面
a … 透光性絶縁被膜110F1の裾部
S … スリット(光取り出し口)

Claims (17)

  1. III族窒化物系化合物半導体を複数層積層して形成される半導体発光素子であって、
    発光層内で水平方向に共振している光を、面方向等の別方向へ反射する光反射部を前記発光層内に有する
    ことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記光反射部の共振方向の長さは、少なくとも1層の前記発光層内又は井戸層内において、前記光の波長よりも短い
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 光取り出し面が、
    金属電極を有する面とは相異なる面に設けられている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記発光層は、
    少なくとも1層の井戸層を有し、
    前記井戸層は、
    AlGaIn(1−x−y)N(0≦x<1,0≦y<1,0<x+y<1)
    なる組成の、無添加又は任意の添加物を含有する III族窒化物系化合物半導体から形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  5. 前記光反射部の光反射面の少なくとも一部分は、
    金属から形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  6. 前記光反射面の少なくとも一部分を形成する前記金属は、
    少なくとも何れか1つの電極を形成する金属と略同一組成である
    ことを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子。
  7. 前記光反射面の少なくとも一部分は、
    前記共振方向に対して約45°の傾斜角を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  8. 前記光反射面の一部分は、
    前記共振方向に対して約90°の傾斜角を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  9. 前記共振方向の終端に位置する前記発光層の側壁に反射膜が形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  10. 前記反射膜は、
    不透明な絶縁性被膜から形成されている
    ことを特徴とする請求項9に記載の半導体発光素子。
  11. 前記反射膜は、透光性絶縁被膜と金属層との2層構造を有する
    ことを特徴とする請求項9に記載の半導体発光素子。
  12. 前記金属層は、
    少なくとも何れか1つの電極を形成する金属と略同一組成である
    ことを特徴とする請求項11に記載の半導体発光素子。
  13. 前記光反射部の上方の光取り出し面付近に、前記光反射部と平面形状が略同形の略同じ大きさのスリットが設けられている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  14. 前記スリットは、結晶成長基板の光取り出し面に金属層を成膜することにより形成されている
    ことを特徴とする請求項13に記載の半導体発光素子。
  15. 請求項1乃至請求項14のいずれかの半導体発光素子を1枚の結晶成長基板上に複数個配列して製造することにより、
    請求項1乃至請求項14のいずれかの半導体発光素子が集積化されている
    ことを特徴とする半導体発光素子。
  16. 請求項14の半導体発光素子を集積化することにより形成された、
    請求項15に記載の半導体発光素子を有する
    ことを特徴とする通信装置。
  17. 請求項14の半導体発光素子を集積化することにより形成された、
    請求項15に記載の半導体発光素子を有する
    ことを特徴とする情報処理装置。
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