JP2004015683A - コンバージェンス補正装置、偏向ヨーク及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも簡単な回路構成によってΔVCRを補正する。
【解決手段】コンバージェンス補正装置の構成として、インライン配列で進行する3本の電子ビームのうち、両側2つのサイドビームを垂直方向に変位させる第1の補正磁界を形成する第1の補正コイル17と、この第1の補正コイル27に並列に接続され且つ第1の補正磁界と逆向きの第2の補正磁界を形成する第2の補正コイル28と、第1,第2の補正コイル27,28に対して水平偏向周期のパラボラ電流Ipを供給するブリッジ回路22と、第1の補正コイル27に直列に接続された固定インダクタL17と、第2の補正コイル28に直列に接続された被変調コイルL18,L19を有し、この被変調コイルL18,L19と固定インダクタL17とのインダクタンスの相対的な大小関係を垂直偏向周期内で反転させるインダクタンス可変手段(29,30,31)とを備える。
【選択図】 図3
【解決手段】コンバージェンス補正装置の構成として、インライン配列で進行する3本の電子ビームのうち、両側2つのサイドビームを垂直方向に変位させる第1の補正磁界を形成する第1の補正コイル17と、この第1の補正コイル27に並列に接続され且つ第1の補正磁界と逆向きの第2の補正磁界を形成する第2の補正コイル28と、第1,第2の補正コイル27,28に対して水平偏向周期のパラボラ電流Ipを供給するブリッジ回路22と、第1の補正コイル27に直列に接続された固定インダクタL17と、第2の補正コイル28に直列に接続された被変調コイルL18,L19を有し、この被変調コイルL18,L19と固定インダクタL17とのインダクタンスの相対的な大小関係を垂直偏向周期内で反転させるインダクタンス可変手段(29,30,31)とを備える。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画面上でのコンバージェンスのずれを補正するコンバージェンス補正装置とこれを用いた偏向ヨーク、さらに当該偏向ヨークを陰極線管に搭載してなる表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー陰極線管においては、電子銃から出射される3本の電子ビームの進行方向を上下左右に偏向することにより、画面上にカラー画像を表示する。電子ビームの偏向には、水平偏向コイルと垂直偏向コイルを有する偏向ヨークが用いられる。偏向ヨークは陰極線管のネック部からファンネル部に至るコーン部に装着される。そして、電子銃から出射される3本の電子ビームの軌道上に水平偏向磁界と垂直偏向磁界を形成し、これらの偏向磁界によって電子ビームを上下左右に偏向する。水平偏向磁界は水平偏向コイルに水平偏向周期の鋸歯状波電流、即ち水平偏向電流を流すことで形成され、垂直偏向磁界は垂直偏向コイルに垂直偏向周期の鋸歯状波電流、即ち垂直偏向電流を流すことで形成される。
【0003】
また、カラー陰極線管においては、電子銃から出射される3本の電子ビームをアパーチャグリルやシャドウマスク等の色選別マスクを通して蛍光面の一点にコンバージェンス(集中)させ、これによって得られるビームスポットを水平及び垂直方向に走査することにより、所望のカラー画像を再現している。このとき、3本の電子ビームが蛍光面の一点に集中しない、いわゆるミスコンバージェンスが発生すると、これが画面上での色ずれとなって現れる。
【0004】
一般に、緑の蛍光体を発光させる電子ビームをセンタービームGとし、青,赤の蛍光体を発光させる電子ビームをそれぞれサイドビームB,Rとするインライン形の電子銃を備えるカラー陰極線管では、垂直偏向磁界が斉一磁界である場合に、画面上でセンタービームGを境にサイドビームBが右側、サイドビームRが左側にずれた状態のミスコンバージェンスが発生する。
【0005】
このミスコンバージェンスは、垂直偏向コイルの巻線分布を調整して垂直偏向磁界をバレル磁界とすることで補正可能であることが知られている。しかしながら、垂直偏向磁界をバレル磁界とすると、水平軸に対して磁界が傾きをもつことになるため、図11に示すように、縦方向(垂直方向)のミスコンバージェンスが生じる。この縦方向のミスコンバージェンスが生じている場合において、サイドビームB,Rの平均値とセンタービームGとの差分がVCR(Vertical Center
Raster)と呼ばれている。
【0006】
VCRに関しては、例えば電子銃に磁性体を付加する等の手段により、静的な補正が可能である。しかし実際には、VCRの大きさが常に一定とは限らないため、画面センターの上下端と画面両サイドの上下端でVCRに差が生じることがある。具体的には、例えば図12に示すように、画面センターの上下端ではセンタービームGが外側、サイドビームB,Rが内側となり、画面両サイドの上下端ではセンタービームGが内側、サイドビームB,Rが外側となるようなパターンが残ることがある。ここでは、画面センターでのVCRと画面両サイドでのVCRとの差をΔVCRと称する。
【0007】
ΔVCRを変化させる手法としては、主に2つの方法が考えられる。第1の方法は、垂直偏向コイルの巻線分布を調整することで、画面センターと画面両サイドとのバランスをとるものである。第2の方法は、水平偏向コイルが画面両サイドのVCRに影響を与えることを利用し、水平偏向コイルの巻線分布を調整することで、画面センターと画面両サイドとのバランスをとるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1の方法と第2の方法では、いずれの場合も、サイドビームB,Rのコンバージェンスやフォーカスとの関係で巻線分布に制約がある。そのため、垂直偏向コイルや水平偏向コイルの巻線分布を調整することでΔVCRを最適に補正することが困難であった。
【0009】
そこで本出願人は、2組の6重極コイルを用いてΔVCRを補正する技術を特開2001−211460号公報にて開示している。この公報に記載された技術によれば、2組の6重極コイルに対して水平偏向周期のパラボラ電流を供給するとともに、このパラボラ電流を垂直偏向周期で変調して各々の6重極コイルに流すことにより、ΔVCRを補正することができる。しかしながら、かかる技術では、ΔVCRを補正するにあたって、水平偏向周期のパラボラ電流を垂直偏向周期で変調するために2つの可飽和リアクタを組み込むとともに、各々の可飽和リアクタの変調側コイルに流れる電流を制御するための2つのダイオードを必要とするため、回路構成が複雑化してコスト高になるという難点があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、従来よりも簡単な回路構成によってΔVCRを補正することができるコンバージェンス補正装置とこれを用いた偏向ヨーク及び表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るコンバージェンス補正装置は、インライン配列で進行する3本の電子ビームのうち、両側2つのサイドビームを垂直方向に変位させる第1の補正磁界を形成する第1の補正コイルと、この第1の補正コイルに並列に接続されるとともに、第1の補正磁界と逆向きの第2の補正磁界を形成する第2の補正コイルと、並列に接続された第1の補正コイルと第2の補正コイルに対して水平偏向周期のパラボラ電流を供給するパラボラ電流供給手段と、第1の補正コイルに直列に接続された固定インダクタと、第2の補正コイルに直列に接続された被変調コイルを有し、当該被変調コイルと固定インダクタとのインダクタンスの相対的な大小関係を垂直偏向周期内で反転させるインダクタンス可変手段とを備えた構成となっている。また、本発明に係る偏向ヨークは上記構成のコンバージェンス補正装置を用いたものとなっており、本発明に係る表示装置は当該偏向ヨークを陰極線管に搭載したものとなっている。
【0012】
上記構成のコンバージェンス補正装置とこれを用いた偏向ヨーク及び表示装置においては、第1の補正コイルが形成する第1の補正磁界と第2の補正コイルが形成する第2の補正磁界とが互いに逆向きの関係となっているため、実際の磁界形成では、第1の補正コイルに流れる電流と第2の補正コイルに流れる電流との差分に応じた補正磁界(合成磁界)が形成される。また、第1の補正コイルに固定インダクタを直列に接続する一方、第2の補正コイルに被変調コイルを直列に接続し、これら被変調コイルと固定インダクタとのインダクタンスの相対的な大小関係をインダクタンス可変手段により垂直偏向周期内で反転させることにより、第1の補正コイルに流れる電流と第2の補正コイルに流れる電流との差分に対応した電流、即ち実際の磁界形成に寄与する電流は、垂直偏向周期内でパラボラ電流の向きが反転したものとなる。これにより、パラボラ電流の向きが反転するタイミングを境に、垂直偏向周期の一方側と他方側でそれぞれ第1の補正磁界と第2の補正磁界を電子ビーム(主に2つのサイドビーム)に有効に作用させ、ΔVCRを適切に補正することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明が適用される陰極線管の全体像を示す概略斜視図である。図1において、陰極線管10の本体部(ガラスバルブ)は、パネル部11、ファンネル部12及びネック部13により構成されている。パネル部11の内面には、青,緑,赤の各色蛍光体をパターン配列した蛍光面(不図示)が形成されている。一方、ネック部13には、電子ビームの出射源となるインライン形の電子銃14が内装されている。また、ネック部13からファンネル部12に至るコーン部には、電子ビームを偏向するための偏向ヨーク15が装着されている。
【0015】
上記構成の陰極線管10は、パネル部11内面の蛍光面にカラー画像(又は白黒画像)を再現するのに必要な各種の付属部品とともに図示せぬ筐体に組み込まれ、これによってテレビジョン受像機やコンピュータ用ディスプレイ等の表示装置が構成される。
【0016】
図2は本発明に係る偏向ヨークの一部破断面を含む側面図である。図2において、偏向ヨーク15には、水平偏向コイル16、垂直偏向コイル17、セパレータ18、コア19及びリングマグネット20等の部品が装備されている。水平偏向コイル16はセパレータ18の内周側にサドル形に巻装され、垂直偏向コイル18は、セパレータ18の外周側にサドル形に巻装されている。
【0017】
また、水平偏向コイル16は偏向ヨーク15の上下(垂直方向)に対をなして配置され、垂直偏向コイル17は偏向ヨーク15の左右(水平方向)に対をなして配置されている。そして、電子銃14からインライン配列で出射される3本の電子ビームの軌道上において、水平偏向コイル16は電子ビームを画面の左右方向(水平方向)に偏向するピンクッション形の水平偏向磁界を形成し、垂直偏向コイル17は電子ビームを画面の上下方向(垂直方向)に偏向するバレル形の垂直偏向磁界を形成する。なお、垂直偏向コイル18は、偏向ヨーク15の上下に対をなしてコア19にトロイダル形に巻装される場合もある。
【0018】
コア19はフェライト等の磁性材料からなるもので、ヨーク中心軸(Z軸)方向の一方を他方よりも大きく開口した筒型構造をなしている。このコア19は、水平偏向コイル16及び垂直偏向コイル17が発生する磁界の効力をより高めるために、それらの偏向コイル16,17を覆うように装着されている。リングマグネット20は、電子銃14の組み立て誤差等による電子ビームの軌道ずれを補正するために、偏向ヨーク15の後端部に取り付けられている。さらに、偏向ヨーク15の後端側には、本発明の実施形態に係るコンバージェンス補正装置の主要部となる補正コイル部21が設けられている。
【0019】
図3は本発明の実施形態に係るコンバージェンス補正装置のコイル結線状態を示す回路図である。図3において、一対の水平偏向コイルLh,Lhは互いに並列に接続されている。水平偏向コイルLhは、先の図2に示した水平偏向コイル16に該当するものである。一対の水平偏向コイルLh,Lhには、図示しない水平偏向回路によって水平偏向周期の鋸歯状波電流、即ち水平偏向電流Ihが供給される構成となっている。
【0020】
一対の水平偏向コイルLh,Lhに対しては、4つのコイルL1,L2,L3,L4をブリッジ状に接続してなるブリッジ回路22が直列に接続されている。ブリッジ回路22内においては、2つのコイルL1,L2が共通の接続点Pをもって互いに直列に接続され、他の2つのコイルL3,L4も共通の接続点Qをもって互いに直列に接続されている。そして、直列接続の2つのコイルL1,L2と、同じく直列接続の2つのコイルL3,L4とが、共通の接続点R,Sをもって並列に接続されている。
【0021】
ここで、パラボラ電流生成のための可飽和リアクタの構成について図4を用いて説明する。図示した可飽和リアクタ23は、上述した2組のコイル対、即ちコイルL1,L4とコイルL2,L3を用いて構成されている。このうち、コイルL1,L4はドラムコア24にバイファイラ巻きで巻装され、コイルL2,L3は他のドラムコア25にバイファイラ巻きで巻装されている。バイファイラ巻きは、絶縁層を有する導線を2本同時に巻線することにより、1回の巻線作業で2つのコイルを得る巻線方式である。このバイファイラ巻きを採用すれば、2つのコイルの巻線状態が等しくなるため、それら2つのコイルにほぼ等しい磁気的特性を持たせることができる。但し、2つのコイルを別個に巻線する場合でも、各コイルの磁気的特性がほぼ等しくなるように巻線状態を調整すればよいため、必ずしもバイファイラ巻きに限定されるものではない。
【0022】
コイルL2,L3及びコイルL1,L4は、上述した接続点R,S間に水平偏向周期の鋸歯状波電流(水平偏向電流)Ihが流れたときに互いに逆向き(反対方向)の磁界を発生するよう、それぞれドラムコア24,25に対する巻線方向が設定されている。各々のドラムコア24,25は、互いに同様の形状をなすフェライト等の磁性体によって構成されたものである。また、2つのドラムコア24,25の間には永久磁石26が配置されている。永久磁石26は2つのドラムコア24,25によって両側から挟み込まれた状態で保持されている。また、永久磁石26は、ドラムコア24側にN極を、ドラムコア25側にS極を向けた状態で配置されている。これにより、各々のドラムコア24,25に巻装されたコイルL2,L3及びL1,L4に対しては、それぞれ永久磁石26による固定のバイアス磁界(図中左向きの磁界)が付与された構成となっている。
【0023】
なお、可飽和リアクタの構成としては、2つのドラムコア24,25を互いに突き合わせた状態で、各々のドラムコア24,25の外側に永久磁石を配置することにより、上記同様にコイルL2,L3及びコイルL1,L4に対して固定のバイアス磁界を付与する構成としてもよい。
【0024】
再び図3に戻って、ブリッジ回路22におけるコイルL1,L2の共通接続点P(ブリッジ回路20の一方の出力端)には、第1,第2の補正コイル27,28の各一端が、それぞれ共通の接続点Tをもって接続されている。第1の補正コイル27は互いに直列に接続された6つのコイルL5,L6,L7,L8,L9,L10(6重極コイル)によって構成され、第2の補正コイル28も互いに直列に接続された6つのコイルL11,L12,L13,L14,L15,L16(6重極コイル)によって構成されている。これら第1の補正コイル27と第2の補正コイル28とは、ブリッジ回路22の接続点P,Q間において、共通の接続点T,Uをもって互いに並列に接続されている。これにより、ブリッジ回路22の接続点P,Q間においては、並列接続をなす第1,第2の補正コイル27,28に対して電流Ipが供給される。この電流Ipは、接続点T,U間で第1の補正コイル27と第2の補正コイル28に分流して流れる。即ち、第1の補正コイル27には電流Ipから分流した第1の補正電流I1が流れ、第2の補正コイル28には電流Ipから分流した第2の補正電流I2が流れる。
【0025】
一方、ブリッジ回路22におけるコイルL3,L4の共通接続点Q(コイルブリッジ回路22の他方の出力端)には、一つの可飽和リアクタ29の一方側(被変調側)のコイル端と、固定インダクタであるコイルL17の一端が、それぞれ共通の接続点Uをもって接続されている。コイルL17の他端はコイルL11の一端(第2の補正コイル28の端部)に接続され、これによって第2の補正コイル28とコイルL17とが接続点T,Uの間で直列に接続されている。
【0026】
可飽和リアクタ29は、4つのコイルL18,L19,L20,L21を用いて構成されている。このうち、被変調側となる2つのコイル(被変調コイル)L18,L19は互いに直列に接続され、変調側となる2つのコイル(変調コイル)L20,L21も互いに直列に接続されている。コイルL18の一端(開放端)は接続点Uに、コイルL19の一端(開放端)はコイルL10の一端(第1の補正コイル27の端部)にそれぞれ接続され、これによって第1の補正コイル27と可飽和リアクタ29の2つのコイルL18,19とが接続点T,Uの間で直列に接続されている。
【0027】
一方、可飽和リアクタ29の変調側の2つのコイルL20,L21は、一対の垂直偏向コイルLv,Lvに直列に接続された抵抗素子(固定抵抗)30の両端(接続点V,W)に、ダイオード31とともに並列に接続されている。ダイオード31のアノードは接続点Vに接続され、同カソードはコイルL20の一端(開放端)に接続されている。また、コイルL21の一端(開放端)は接続点Wに接続されている。これにより、ダイオード31と2つのコイルL20,L21とが接続点V,Wの間で直列に接続されている。垂直偏向コイルLvは先の図2に示した垂直偏向コイル17に該当するものである。一対の垂直偏向コイルLv,Lvには、図示しない垂直偏向回路によって垂直偏向周期の鋸歯状波電流、即ち垂直偏向電流Ivが供給される構成となっている。
【0028】
ここで、本発明の実施形態で採用したパラボラ電流変調のための可飽和リアクタ29の構成について、図5を用いて説明する。可飽和リアクタ29は、磁性体からなるE型コア32と、同じく磁性体からなるI型コア33と、上述した直列接続のコイルL18,L19と、同じく直列接続のコイルL20,21とから構成されている。
【0029】
コイルL18,L19はE型コア32の両端脚部にそれぞれ巻装され、コイルL20,L21もE型コア32の両端脚部にそれぞれ巻装されている。即ち、コイルL18,L20はE型コア32の一方端の脚部に巻装され、コイルL19,L21はE型コア32の他方端の脚部に巻装されている。E型コア32に対するコイル巻線方向は、コイルL18,L19が互いに反対方向に巻かれ、コイルL20,L21が互いに同一方向に巻かれている。I型コア33はE型コア32の各脚部の端面に密着した状態で組み付けられている。
【0030】
上記構成からなる可飽和リアクタ29においては、E型コア32に対するコイルL18,L19の巻線方向が互いに反対方向(逆巻き)に設定されているため、当該コイルL18,L19に電流が流れたときにE型コア32内に発生する磁界は、コイルL18の巻線部分とコイルL19の巻線部分で互いに反対方向(コア内を周回する方向)となる。即ち、コイルL18が図中右向きの磁界を発生するときはコイルL19が図中左向きの磁界を発生し、コイルL18が図中左向きの磁界を発生するときはコイルL19が図中右向きの磁界を発生する。これに対して、E型コア32に対するコイルL20,L21の巻線方向は互いに同一方向に設定されているため、当該コイルL20,L21に電流が流れたときにE型コア32内に発生する磁界は、コイルL20の巻線部分とコイルL21の巻線部分で互いに同一方向となる。即ち、コイルL20が図中右向きの磁界を発生するときはコイルL21も図中右向きの磁界を発生し、コイルL20が図中左向きの磁界を発生するときはコイルL21も図中左向きの磁界を発生する。
【0031】
これにより、可飽和リアクタ29の被変調側のコイルL18,L19と変調側のコイルL20,L21にそれぞれ電流が流れた場合において、例えば、E型コア32の一方の脚部に巻線された2つのコイルL18,L20が互いに同一方向の磁界を発生するときは、同他方の脚部に巻線された2つのコイルL19,L21が互いに反対方向の磁界を発生する。この場合、コイルL18,L20が巻線されたコア部分では磁気飽和の傾向が強まるため、コイルL18のインダクタンスが顕著が低下し、これによってコイルL18,L19の合成インダクタンスが小さくなる。また、コイルL18,L20が互いに反対方向の磁界を発生するときは、コイルL19,L21が互いに同一方向の磁界を発生する。この場合、コイルL19,L21が巻線されたコア部分では磁気飽和の傾向が強まるため、コイルL19のインダクタンスが顕著に低下し、これによってコイルL18,L19の合成インダクタンスが小さくなる。
【0032】
このことから、可飽和リアクタ29の各々のコイルL18,L19,L20,L21に電流が流れた場合は、これに伴うE型コア32内での磁界形成とコアの磁気飽和現象により、コイルL18,L19の合成インダクタンスが低下する。また、上述したコイルL17のインダクタンスと相対的に比較した場合、コイルL20,L21に電流が流れていない状態では、コイルL18,L19の合成インダクタンスがコイルL17のインダクタンスよりも大きくなるように設定され、コイルL20,L21に所定のレベル以上の電流が流れた状態では、コイルL18,L19の合成インダクタンスがコイルL17のインダクタンスよりも小さくなるように設定されている。
【0033】
また、コイルL18,L19の合成インダクタンスは、コイルL20,L21に流れる電流に応じて変化する。具体的には、コイルL20,L21に流れる電流が増加すると、コイルL18,L19の合成インダクタンスが低下する。そして、コイルL18,L19の合成インダクタンスが低下すると、第1の補正コイル27に電流が流れやすくなる。したがって、コイルL20,L21に垂直偏向周期の電流I3を流すことにより、第1の補正コイル27に流れる電流I1を垂直偏向周期で変調することができる。
【0034】
続いて、補正コイル部21(図2参照)における第1,第2の補正コイル27,28の配置状態について、上記図5を用いて説明する。ここでは、陰極線管の前面(蛍光面)側から見たときのコイル配置状態を図示している。図5においては、陰極線管のネック部13の周囲に、一対のC型コア34,35と、一対のT型コア36,37とが配置されている。一対のC型コア34,35は、ネック部13を介して垂直軸上で対向する状態に配置されている。また、各々のC型コア34,35の両脚部の端部は、ネック部13の外周面に近接した状態で配置されている。一対のT型コア36,37は、ネック部13を介して水平軸上で対向する状態に配置されている。また、各々のT型コア36,37の端部は、ネック13の外周面に近接した状態で配置されている。
【0035】
これに対して、第1の補正コイル27を構成する6つのコイルL5〜L10のうち、コイルL5は上側のC型コア34の一方(図の左側)の脚部に巻装され、コイルL6はC型コア34の他方(図の右側)の脚部に巻装され、コイルL7は右側のT型コア36に巻装されている。また、コイルL8は下側のC型コア35の一方(図の右側)の脚部に巻装され、コイルL9はC型コア35の他方(図の左側)の脚部に巻装され、コイルL10は左側のT型コア37に巻装されている。これら6つのコイルL5〜L10からなる第1の補正コイル(6重極コイル)27に対しては、接続点T,U間で補正電流I1が流れる。そして、例えば図5の矢印で示す向きで補正電流I1が流れた場合は、各々のコイルL5〜L10によって発生する磁界とこれに伴う磁極の形成により、ネック部13の内部(電子ビームの軌道上)に実線矢印で示す向きで第1の補正磁界(6重極磁界)が形成される。
【0036】
また、第2の補正コイル28を構成する6つのコイルL11〜L16のうち、コイルL11は上側のC型コア34の一方(図の左側)の脚部に巻装され、コイルL12はC型コア34の他方(図の右側)の脚部に巻装され、コイルL13は右側のT型コア36に巻装されている。また、コイルL14は下側のC型コア35の一方(図の右側)の脚部に巻装され、コイルL15はC型コア35の他方(図の左側)の脚部に巻装され、コイルL16は左側のT型コア37に巻装されている。これら6つのコイルL11〜L16からなる第2の補正コイル(6重極コイル)28に対しては、接続点T,U間で補正電流I2が流れる。そして、例えば図5の矢印で示す向きで補正電流I2が流れた場合は、各々のコイルL11〜L16によって発生する磁界とこれに伴う磁極の形成により、ネック部13の内部(電子ビームの軌道上)に破線矢印で示す向きで第2の補正磁界(6重極磁界)が形成される。
【0037】
このことから、第1の補正コイル27と第2の補正コイル28は互いに逆向きの補正磁界を形成するように構成されている。また、コイルL5,L11は互いの磁気的特性が等しくなるようにバイファイラ巻きで巻装されている。同様に、コイルL6,L11と、コイルL7,L13と、コイルL8,L14と、コイルL9,L15と、コイルL10,L16も、それぞれ互いの磁気的特性が等しくなるようにバイファイラ巻きで巻装されている。この場合も、各々のコイル対の磁気的特性が等しくなるように巻線状態を調整すればよいため、必ずしもバイファイラ巻きに限定されるものではない。
【0038】
上述のように第1の補正コイル27が形成する第1の補正磁界と第2の補正コイル28が形成する第2の補正磁界は互いに逆向きの6重極磁界となるため、実際の磁界形成では互いに打ち消し合うように作用する。そのため、陰極線管のネック部13内には、第1の補正磁界と第2の補正磁界を合成したかたちの磁界(以下、合成磁界とも記す)が形成される。また、第1の補正磁界の強度は第1の補正コイル27に流れる補正電流I1の電流量に対応し、第2の補正磁界の強度は第2の補正コイル28に流れる補正電流I2の電流量に対応する。そのため、陰極線管のネック部13内に形成される補正磁界は、補正電流I1,I2の差分に相当する電流波形に対応したものとなる。
【0039】
続いて、上記構成からなるコンバージェンス補正装置を用いたΔVCRの補正原理について説明する。先ず、水平偏向周期の鋸歯状波電流である水平偏向電流Ihは、一対の水平偏向コイルLh,Lhを介してブリッジ回路22の接続点R,S間に供給される。このとき、水平偏向電流Ihが接続点R側から流入したとすると、図4に示す永久磁石26による固定のバイアス磁界に対し、コイルL2,L3はバイアス磁界と反対方向の磁界を発生し、コイルL1,L4はバイアス磁界と同一方向の磁界を発生する。
【0040】
このとき、コイルL2,L3が巻装されたドラムコア24では、コイルL2,L3による磁界とバイアス磁界との相殺作用によって磁気飽和の傾向が弱まるため、それにしたがってコイルL2,L3のインダクタンスが増加する。また、コイルL1,L4が巻装されたドラムコア25では、コイルL1,L4による磁界とバイアス磁界との相乗作用によって磁気飽和の傾向が強まるため、それにしたがってコイルL1,L4のインダクタンスが減少する。これに対して、ブリッジ回路22の接続点Rから流入した電流は、インダクタンスの小さい方のコイルにより多く流れる。そのため、ブリッジ回路22内では、接続点Rから流入した電流の一部がコイルL1を通して接続点Pから第1,第2の補正コイル27,28へと分流し、さらに接続点QからコイルL4を通して接続点Sから流出する。
【0041】
一方、水平偏向電流Ihが接続点S側から流入した場合は、図4に示す永久磁石26による固定のバイアス磁界に対し、コイルL2,L3はバイアス磁界と同一方向の磁界を発生し、コイルL1,L4はバイアス磁界と反対方向の磁界を発生する。
【0042】
このとき、コイルL2,L3が巻装されたドラムコア24では、コイルL2,L3による磁界とバイアス磁界との相乗作用によって磁気飽和の傾向が強まるため、それにしたがってコイルL2,L3のインダクタンスが減少する。また、コイルL1,L4が巻装されたドラムコア25では、コイルL1,L4による磁界とバイアス磁界との相殺作用によって磁気飽和の傾向が弱まるため、それにしたがってコイルL1,L4のインダクタンスが増加する。これに対して、ブリッジ回路22の接続点Sから流入した電流は、インダクタンスの小さい方のコイルにより多く流れる。そのため、ブリッジ回路22内では、接続点Sから流入した電流の一部がコイルL2を通して接続点Pから第1,第2の補正コイル27,28へと分流し、さらに接続点QからコイルL3を通して接続点Rから流出する。
【0043】
このような回路動作において、ブリッジ回路22の接続点P,Q間には、当該ブリッジ回路22の接続点R,S間に供給される電流の方向にかかわらず常に同一方向の電流が流れる。したがって、接続点P,Qの間で並列に接続された第1,第2の補正コイル27,28に対して供給される電流Ipの波形は、図6に示すようにパラボラ状波形に近いものとなる。以上のことから、可飽和リアクタ23のコイルL1〜L4によって構成されるブリッジ回路22は、当該ブリッジ回路22に水平偏向電流Ihが供給されることで水平偏向周期のパラボラ電流Ipを生成し、このパラボラ電流Ipを、並列接続をなす第1,第2の補正コイル27,28に対して供給するように動作する。
【0044】
このようにブリッジ回路22によって供給された水平偏向周期のパラボラ電流Ipは、接続点Tで二股状に分流し、一方が第1の補正電流I1、他方が第2の補正電流I2となる。そして、第1の補正電流I1は第1の補正コイル27に流れ、第2の補正電流I2は第2の補正コイル28に流れる。このとき、第1の補正コイル27には可飽和リアクタ29のコイルL18,L19が直列に接続され、第2の補正コイル28にはコイルL17が直列に接続されているため、第1の補正コイル27に流れる第1の補正電流I1はコイルL18,L19のインダクタンスに対応し、第2の補正コイル27に流れる第2の補正電流I2はコイルL17のインダクタンスに対応したものとなる。
【0045】
一方、垂直偏向周期の鋸歯状波電流である垂直偏向電流Ivは、一対の垂直偏向コイルLv,Lvを介して接続点V,W間に供給される。このとき、垂直偏向周期の前半部分で垂直偏向電流Ivが接続点V側から流入するものとすると、この電流の方向に対してダイオード31が順方向となるため、抵抗素子30による電圧の印加によってダイオード31がオンする。このダイオード31がオンした状態で、可飽和リアクタ20のコイルL20,L21には垂直偏向電流Ivのレベルに対応した電流が流れる。
【0046】
これに対して、垂直偏向周期の後半部分で垂直偏向電流Ivが接続点W側から流入するものとすると、この電流の方向に対してダイオード31が逆方向となるため、ダイオード31がオフ状態に保持される。したがって、可飽和リアクタ29のコイルL20,L21に電流が流れることはない。以上のことから、可飽和リアクタ29のコイルL20,L21に流れる電流I3の波形は、図7に示すように、垂直偏向電流Ivをダイオード31で半波整流した波形となる。この波形にしたがい、電流I3のレベル(電流量)は、垂直偏向周期の始端で急激に増加してピークとなり、そこから徐々に低下して、垂直偏向周期の中盤でゼロになり、このゼロレベルが垂直偏向周期の終端まで維持される。この電流I3は、垂直偏向電流Ivと同様に垂直偏向周期に同期したものとなる。
【0047】
ちなみに、垂直偏向周期の前半とは、画面の上側で電子ビームを垂直走査する期間をいい、垂直偏向周期の中盤とは、画面の上下方向のセンター位置近傍で電子ビームを垂直走査する期間をいい、垂直偏向周期の後半とは、画面の下側で電子ビームを垂直走査する期間をいう。また、垂直偏向周期の始端と終端とは、電子ビームを垂直方向に走査する際の帰線期間を境に区分されるものである。垂直偏向周期の始端では電子ビームの垂直走査位置が画面の上端となり、垂直偏向周期の中間点では電子ビームの垂直走査位置が画面の上下方向のセンターとなり、垂直偏向周期の終端では電子ビームの垂直走査位置が画面の下端となる。こうした偏向周期内の区分の仕方は、水平偏向周期にも同様に適用されるものである。
【0048】
上述のような垂直偏向周期の電流I3が可飽和リアクタ29のコイルL20,L21に供給されると、上述した可飽和リアクタ29の動作原理に基づき、コイルL18,L19の合成インダクタンスが変化する。この場合、コイルL20,L21には垂直偏向周期の前半部分だけ電流I3が流れるため、これに伴うコイルL18,L19の合成インダクタンスの低下により、垂直偏向周期の前半部分では第1の補正コイル27に流れる補正電流I1の量が多くなり、垂直偏向周期の中盤から後半部分にかけては第1の補正コイル27に流れる補正電流I1の量が少なくなる。したがって、第1の補正コイル27に流れる補正電流I1は図8(A)に示すような波形となる。
【0049】
一方、第2の補正コイル28には固定インダクタであるコイルL17が接続されているため、コイルL17のインダクタンスは常に一定となるものの、上述したコイルL18,L19の合成インダクタンスの変化により、接続点T,U間に流れるトータルの電流量(I1+I2)が増減するため、この影響で第2の補正コイル28に流れる補正電流I2は図8(B)に示すような波形となる。この場合、コイルL18,L19とコイルL17とのインダクタンスの相対的な大小関係は、コイルL20,L21に電流I3が流れたときのコイルL18,L19の合成インダクタンスの低下により、垂直偏向周期内で反転したものとなる。
【0050】
即ち、垂直偏向周期の始端から中盤にかけては、コイルL18,L19の合成インダクタンスがコイルL17のインダクタンスよりも大きくなり、垂直偏向周期の中盤から終端にかけては、コイルL18,L19の合成インダクタンスがコイルL17のインダクタンスよりも大きくなる。したがって、垂直偏向周期の始端から中盤にかけては補正電流I1が補正電流I2よりも多くなり、垂直偏向周期の中盤から終端にかけては補正電流I1が補正電流I2よりも少なくなる。ここで本実施形態においては、垂直偏向周期の始端側における補正電流の差分の絶対値と終端側における補正電流の差分の絶対値がほぼ等しくなるように、各々のコイルL17,L18,L19のインダクタンスを調整(設定)してある。
【0051】
以上のことから、実際に磁界形成に寄与するパラボラ波形の補正電流(以下、実効電流とも記す)は、図8(A)に示す補正電流I1と図8(B)に示す補正電流I2との差分に応じた波形電流となる。具体例として、第1の補正コイル27を基準に考えると、磁界形成に寄与する実効電流は、図8(A)に示す補正電流I1と図8(B)に示す補正電流I2との差分(I1−I2)に相当する波形電流、即ち図8(C)に示すような波形電流(仮想電流)となる。この図8(C)に示す実効電流では、垂直偏向周期の中盤、より詳しくは垂直偏向周期の中間点から若干始端側にずれたタイミングを境に、当該タイミングよりも始端側では図中上側に凸のパラボラ電流で、当該タイミングよりも終端側では図中下側に凸のパラボラ電流といった具合に、パラボラ電流の向きが反転する。
【0052】
一方、第1の補正コイル27と第2の補正コイル28は、ブリッジ回路22によるパラボラ電流Ipの供給に際して、互いに逆向きの補正磁界(第1の補正磁界、第2の補正磁界)を形成するように接続されているため、陰極線管のネック部13内(電子ビームの軌道上)に形成される補正磁界は、第1の補正コイル27による第1の補正磁界と第2の補正コイル28による第2の補正磁界とを合成したものとなる。この合成磁界は、各々の補正コイル27,28に流れる補正電流I1,I2の差分(I1−I2)に相当する電流、即ち図8(C)に示す波形電流(実効電流)に対応して形成される。
【0053】
ここで、パラボラ電流の極性を上記図6に示すように仮定し、このパラボラ電流の極性が負(−)のときに第1,第2の補正磁界による合成磁界が図9(A)に示す6重極磁界として形成され、パラボラ電流の極性が正(+)のときに第1,第2の補正磁界による合成磁界が図9(B)に示す6重極磁界として形成されるものとする。図9(A)に示す6重極磁界ではサイドビームB,Rが共に下側に変位し、図9(B)に示す6重極磁界ではサイドビームB,Rが共に上側に変位する。このとき、センタービームGの近傍では、水平軸に沿う2極の磁界成分を、4極の磁界成分で完全に打ち消す(キャンセルする)ように、コイルL5〜L10及びコイルL11〜L16の巻線状態がそれぞれ調整されている。そのため、センタービームGの位置は不動のまま保持される。
【0054】
したがって、陰極線管のネック部13内(電子ビームの軌道上)に図9(A)に示す6重極磁界を形成した場合は、センタービームGに対してサイドビームB,Rの位置を相対的に下げることができ、図9(B)に示す6重極磁界を形成した場合は、センタービームGに対してサイドビームB,Rの位置を相対的に上げることができる。因みに、図9(A),(B)はいずれも陰極線管の前面(蛍光面)から見た場合を示している。
【0055】
こうした磁界形成を先の図8(C)に示す実効電流の波形に対応させて考えると、次のようになる。先ず、垂直偏向周期の始端側(画面の上端側)で電子ビームを水平走査するときは、図8(C)の左側の電流波形にしたがい、水平偏向周期の前半と後半でそれぞれ図9(A)に示す6重極磁界が形成されるとともに、水平偏向周期の中盤で図9(B)に示す6重極磁界が形成される。そのため、画面の上端側で電子ビームを水平走査する場合は、水平偏向周期の前半と後端でサイドビームB,Rが下方に変位し、水平偏向周期の中盤でサイドビームB,Rが上方に変位する。
【0056】
一方、垂直偏向周期の終端側(画面の下端側)で電子ビームを水平走査するときは、図8(C)の右側の電流波形にしたがい、水平偏向周期の前半と後半でそれぞれ図9(B)に示す6重極磁界が形成されるとともに、水平偏向周期の中盤で図9(A)に示す6重極磁界が形成される。そのため、画面の下端側で電子ビームを水平走査する場合は、水平偏向周期の前半と後端でサイドビームB,Rが上方に変位し、水平偏向周期の中盤でサイドビームB,Rが下方に変位する。
【0057】
以上のような6重極磁界の形成によってサイドビームB,Rを垂直方向(上下方向)に変位させることにより、実際の画面上では、図10に示すように、画面センターの上下端でセンタービームGが内側、サイドビームB,Rが外側となり、画面両サイドの上下端ではセンタービームGが外側、サイドビームB,Rが内側となるようなパターンが得られる。この図10に示すパターンは、先の図12に示すパターンに比較して、センタービームGとサイドビームB,Rの位置関係が反転している。したがって、図10に示すパターンでセンタービームGとサイドビームB,Rの相対位置を変化させることにより、図12に示すパターン、即ちΔVCRを独立に補正することができる。
【0058】
また、従来(特開2001−211460号公報)のΔVCR補正回路と比較した場合、水平偏向周期のパラボラ電流を変調するための可飽和リアクタと変調側コイルに流れる電流を制御するダイオードの個数を2つから1つに減らすことができるため、回路構成を簡素化することができる。これにより、従来よりも部品点数を減らすことができるため、部品の取付スペースの縮小化やコストダウンを図ることが可能となる。
【0059】
なお、上記実施形態においては、図12に示すΔVCRのパターンを図10に示すパターンによって補正するとしたが、例えば、第1,第2の補正コイル27,28におけるコイル巻線方向や、各々の補正コイル27,28に供給される補正電流I1,I2の方向などを変えることにより、第1,第2の補正コイル27,28による補正磁界によって図12に示すパターンを得ることも可能である。したがって、例えば図12に示すパターンでΔVCRが発生した場合は、これを図10に示すパターンによって補正することも可能となる。
【0060】
また、上記実施形態においては、4つのコイルL1〜L4によって構成されたブリッジ回路22に対し、一対の水平偏向コイルLh,Lhを介して水平偏向周期の鋸歯状波電流(水平偏向電流)Ihを供給する構成としたが、本発明はこれに限らず、個別の電源装置を用いて水平偏向周期の鋸歯状波電流をブリッジ回路22に供給する構成としてもよい。
【0061】
但し、上記実施形態のように一対の水平偏向コイルLh,Lhに対してブリッジ回路22を直列に接続し、これによってブリッジ回路22に水平偏向電流Ihを供給して水平偏向周期のパラボラ電流を生成する構成とした方が、製造コスト等の面で有利である。これと同様の理由により、一対の垂直偏向コイルLv,Lvに供給される垂直偏向電流Ihをダイオード31で半波整流して所望の電流I3を生成し、この電流I3を可飽和リアクタ29の変調用のコイルL20,L21に供給する構成とした方が製造コスト等の面で有利である。
【0062】
また、本発明に係るコンバージェンス補正装置は、偏向ヨーク15に搭載して用いる以外にも、偏向ヨーク15とは独立した構成要素(例えば、ネックアセンブリ)として陰極線管に組み込むことも可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、互いに逆向きの補正磁界を形成する第1,第2の補正磁界に対して水平偏向周期のパラボラ電流を供給するとともに、第1の補正コイルに固定インダクタを、第2の補正コイルに被変調コイルをそれぞれ直列に接続し、それら固定インダクタと被変調コイルとのインダクタンスの相対的な大小関係を垂直偏向周期内で反転させる構成を採用することにより、従来よりも簡単な回路構成によってΔVCRを補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される陰極線管の全体像を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る偏向ヨークの一部破断面を含む側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るコンバージェンス補正装置のコイル結線状態を示す回路図である。
【図4】パラボラ電流生成のための可飽和リアクタの構成を示す図である。
【図5】パラボラ電流変調のための可飽和リアクタの構成と補正コイルの配置状態を示す図である。
【図6】パラボラ電流の波形と極性を示す図である。
【図7】変調コイルに流れる電流の波形を示す図である。
【図8】補正コイルに流れる電流の波形を説明する図である。
【図9】補正磁界の向きと電子ビームの動きを説明する図である。
【図10】コンバージェンス補正装置によって得られる電子ビームのパターンを示す図である。
【図11】画面に生じる縦方向のミスコンバージェンスを示す図である。
【図12】ΔVCRが発生した状態での電子ビームの位置ずれ状態を示す図である。
【符号の説明】
10…陰極線管、15…偏向ヨーク、16,Lh…水平偏向コイル、17,Lv…垂直偏向コイル、21…補正コイル部、22…ブリッジ回路、23,29…可飽和リアクタ、27…第1の補正コイル、28…第2の補正コイル、30…抵抗素子、31…ダイオード、L5〜L10…コイル(6重極コイル)、L11〜L16…コイル(6重極コイル)、L17…コイル(固定インダクタ)、L18,L19…コイル(被変調コイル)、L20,L21…コイル(変調コイル)
【発明の属する技術分野】
本発明は、画面上でのコンバージェンスのずれを補正するコンバージェンス補正装置とこれを用いた偏向ヨーク、さらに当該偏向ヨークを陰極線管に搭載してなる表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー陰極線管においては、電子銃から出射される3本の電子ビームの進行方向を上下左右に偏向することにより、画面上にカラー画像を表示する。電子ビームの偏向には、水平偏向コイルと垂直偏向コイルを有する偏向ヨークが用いられる。偏向ヨークは陰極線管のネック部からファンネル部に至るコーン部に装着される。そして、電子銃から出射される3本の電子ビームの軌道上に水平偏向磁界と垂直偏向磁界を形成し、これらの偏向磁界によって電子ビームを上下左右に偏向する。水平偏向磁界は水平偏向コイルに水平偏向周期の鋸歯状波電流、即ち水平偏向電流を流すことで形成され、垂直偏向磁界は垂直偏向コイルに垂直偏向周期の鋸歯状波電流、即ち垂直偏向電流を流すことで形成される。
【0003】
また、カラー陰極線管においては、電子銃から出射される3本の電子ビームをアパーチャグリルやシャドウマスク等の色選別マスクを通して蛍光面の一点にコンバージェンス(集中)させ、これによって得られるビームスポットを水平及び垂直方向に走査することにより、所望のカラー画像を再現している。このとき、3本の電子ビームが蛍光面の一点に集中しない、いわゆるミスコンバージェンスが発生すると、これが画面上での色ずれとなって現れる。
【0004】
一般に、緑の蛍光体を発光させる電子ビームをセンタービームGとし、青,赤の蛍光体を発光させる電子ビームをそれぞれサイドビームB,Rとするインライン形の電子銃を備えるカラー陰極線管では、垂直偏向磁界が斉一磁界である場合に、画面上でセンタービームGを境にサイドビームBが右側、サイドビームRが左側にずれた状態のミスコンバージェンスが発生する。
【0005】
このミスコンバージェンスは、垂直偏向コイルの巻線分布を調整して垂直偏向磁界をバレル磁界とすることで補正可能であることが知られている。しかしながら、垂直偏向磁界をバレル磁界とすると、水平軸に対して磁界が傾きをもつことになるため、図11に示すように、縦方向(垂直方向)のミスコンバージェンスが生じる。この縦方向のミスコンバージェンスが生じている場合において、サイドビームB,Rの平均値とセンタービームGとの差分がVCR(Vertical Center
Raster)と呼ばれている。
【0006】
VCRに関しては、例えば電子銃に磁性体を付加する等の手段により、静的な補正が可能である。しかし実際には、VCRの大きさが常に一定とは限らないため、画面センターの上下端と画面両サイドの上下端でVCRに差が生じることがある。具体的には、例えば図12に示すように、画面センターの上下端ではセンタービームGが外側、サイドビームB,Rが内側となり、画面両サイドの上下端ではセンタービームGが内側、サイドビームB,Rが外側となるようなパターンが残ることがある。ここでは、画面センターでのVCRと画面両サイドでのVCRとの差をΔVCRと称する。
【0007】
ΔVCRを変化させる手法としては、主に2つの方法が考えられる。第1の方法は、垂直偏向コイルの巻線分布を調整することで、画面センターと画面両サイドとのバランスをとるものである。第2の方法は、水平偏向コイルが画面両サイドのVCRに影響を与えることを利用し、水平偏向コイルの巻線分布を調整することで、画面センターと画面両サイドとのバランスをとるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1の方法と第2の方法では、いずれの場合も、サイドビームB,Rのコンバージェンスやフォーカスとの関係で巻線分布に制約がある。そのため、垂直偏向コイルや水平偏向コイルの巻線分布を調整することでΔVCRを最適に補正することが困難であった。
【0009】
そこで本出願人は、2組の6重極コイルを用いてΔVCRを補正する技術を特開2001−211460号公報にて開示している。この公報に記載された技術によれば、2組の6重極コイルに対して水平偏向周期のパラボラ電流を供給するとともに、このパラボラ電流を垂直偏向周期で変調して各々の6重極コイルに流すことにより、ΔVCRを補正することができる。しかしながら、かかる技術では、ΔVCRを補正するにあたって、水平偏向周期のパラボラ電流を垂直偏向周期で変調するために2つの可飽和リアクタを組み込むとともに、各々の可飽和リアクタの変調側コイルに流れる電流を制御するための2つのダイオードを必要とするため、回路構成が複雑化してコスト高になるという難点があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、従来よりも簡単な回路構成によってΔVCRを補正することができるコンバージェンス補正装置とこれを用いた偏向ヨーク及び表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るコンバージェンス補正装置は、インライン配列で進行する3本の電子ビームのうち、両側2つのサイドビームを垂直方向に変位させる第1の補正磁界を形成する第1の補正コイルと、この第1の補正コイルに並列に接続されるとともに、第1の補正磁界と逆向きの第2の補正磁界を形成する第2の補正コイルと、並列に接続された第1の補正コイルと第2の補正コイルに対して水平偏向周期のパラボラ電流を供給するパラボラ電流供給手段と、第1の補正コイルに直列に接続された固定インダクタと、第2の補正コイルに直列に接続された被変調コイルを有し、当該被変調コイルと固定インダクタとのインダクタンスの相対的な大小関係を垂直偏向周期内で反転させるインダクタンス可変手段とを備えた構成となっている。また、本発明に係る偏向ヨークは上記構成のコンバージェンス補正装置を用いたものとなっており、本発明に係る表示装置は当該偏向ヨークを陰極線管に搭載したものとなっている。
【0012】
上記構成のコンバージェンス補正装置とこれを用いた偏向ヨーク及び表示装置においては、第1の補正コイルが形成する第1の補正磁界と第2の補正コイルが形成する第2の補正磁界とが互いに逆向きの関係となっているため、実際の磁界形成では、第1の補正コイルに流れる電流と第2の補正コイルに流れる電流との差分に応じた補正磁界(合成磁界)が形成される。また、第1の補正コイルに固定インダクタを直列に接続する一方、第2の補正コイルに被変調コイルを直列に接続し、これら被変調コイルと固定インダクタとのインダクタンスの相対的な大小関係をインダクタンス可変手段により垂直偏向周期内で反転させることにより、第1の補正コイルに流れる電流と第2の補正コイルに流れる電流との差分に対応した電流、即ち実際の磁界形成に寄与する電流は、垂直偏向周期内でパラボラ電流の向きが反転したものとなる。これにより、パラボラ電流の向きが反転するタイミングを境に、垂直偏向周期の一方側と他方側でそれぞれ第1の補正磁界と第2の補正磁界を電子ビーム(主に2つのサイドビーム)に有効に作用させ、ΔVCRを適切に補正することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明が適用される陰極線管の全体像を示す概略斜視図である。図1において、陰極線管10の本体部(ガラスバルブ)は、パネル部11、ファンネル部12及びネック部13により構成されている。パネル部11の内面には、青,緑,赤の各色蛍光体をパターン配列した蛍光面(不図示)が形成されている。一方、ネック部13には、電子ビームの出射源となるインライン形の電子銃14が内装されている。また、ネック部13からファンネル部12に至るコーン部には、電子ビームを偏向するための偏向ヨーク15が装着されている。
【0015】
上記構成の陰極線管10は、パネル部11内面の蛍光面にカラー画像(又は白黒画像)を再現するのに必要な各種の付属部品とともに図示せぬ筐体に組み込まれ、これによってテレビジョン受像機やコンピュータ用ディスプレイ等の表示装置が構成される。
【0016】
図2は本発明に係る偏向ヨークの一部破断面を含む側面図である。図2において、偏向ヨーク15には、水平偏向コイル16、垂直偏向コイル17、セパレータ18、コア19及びリングマグネット20等の部品が装備されている。水平偏向コイル16はセパレータ18の内周側にサドル形に巻装され、垂直偏向コイル18は、セパレータ18の外周側にサドル形に巻装されている。
【0017】
また、水平偏向コイル16は偏向ヨーク15の上下(垂直方向)に対をなして配置され、垂直偏向コイル17は偏向ヨーク15の左右(水平方向)に対をなして配置されている。そして、電子銃14からインライン配列で出射される3本の電子ビームの軌道上において、水平偏向コイル16は電子ビームを画面の左右方向(水平方向)に偏向するピンクッション形の水平偏向磁界を形成し、垂直偏向コイル17は電子ビームを画面の上下方向(垂直方向)に偏向するバレル形の垂直偏向磁界を形成する。なお、垂直偏向コイル18は、偏向ヨーク15の上下に対をなしてコア19にトロイダル形に巻装される場合もある。
【0018】
コア19はフェライト等の磁性材料からなるもので、ヨーク中心軸(Z軸)方向の一方を他方よりも大きく開口した筒型構造をなしている。このコア19は、水平偏向コイル16及び垂直偏向コイル17が発生する磁界の効力をより高めるために、それらの偏向コイル16,17を覆うように装着されている。リングマグネット20は、電子銃14の組み立て誤差等による電子ビームの軌道ずれを補正するために、偏向ヨーク15の後端部に取り付けられている。さらに、偏向ヨーク15の後端側には、本発明の実施形態に係るコンバージェンス補正装置の主要部となる補正コイル部21が設けられている。
【0019】
図3は本発明の実施形態に係るコンバージェンス補正装置のコイル結線状態を示す回路図である。図3において、一対の水平偏向コイルLh,Lhは互いに並列に接続されている。水平偏向コイルLhは、先の図2に示した水平偏向コイル16に該当するものである。一対の水平偏向コイルLh,Lhには、図示しない水平偏向回路によって水平偏向周期の鋸歯状波電流、即ち水平偏向電流Ihが供給される構成となっている。
【0020】
一対の水平偏向コイルLh,Lhに対しては、4つのコイルL1,L2,L3,L4をブリッジ状に接続してなるブリッジ回路22が直列に接続されている。ブリッジ回路22内においては、2つのコイルL1,L2が共通の接続点Pをもって互いに直列に接続され、他の2つのコイルL3,L4も共通の接続点Qをもって互いに直列に接続されている。そして、直列接続の2つのコイルL1,L2と、同じく直列接続の2つのコイルL3,L4とが、共通の接続点R,Sをもって並列に接続されている。
【0021】
ここで、パラボラ電流生成のための可飽和リアクタの構成について図4を用いて説明する。図示した可飽和リアクタ23は、上述した2組のコイル対、即ちコイルL1,L4とコイルL2,L3を用いて構成されている。このうち、コイルL1,L4はドラムコア24にバイファイラ巻きで巻装され、コイルL2,L3は他のドラムコア25にバイファイラ巻きで巻装されている。バイファイラ巻きは、絶縁層を有する導線を2本同時に巻線することにより、1回の巻線作業で2つのコイルを得る巻線方式である。このバイファイラ巻きを採用すれば、2つのコイルの巻線状態が等しくなるため、それら2つのコイルにほぼ等しい磁気的特性を持たせることができる。但し、2つのコイルを別個に巻線する場合でも、各コイルの磁気的特性がほぼ等しくなるように巻線状態を調整すればよいため、必ずしもバイファイラ巻きに限定されるものではない。
【0022】
コイルL2,L3及びコイルL1,L4は、上述した接続点R,S間に水平偏向周期の鋸歯状波電流(水平偏向電流)Ihが流れたときに互いに逆向き(反対方向)の磁界を発生するよう、それぞれドラムコア24,25に対する巻線方向が設定されている。各々のドラムコア24,25は、互いに同様の形状をなすフェライト等の磁性体によって構成されたものである。また、2つのドラムコア24,25の間には永久磁石26が配置されている。永久磁石26は2つのドラムコア24,25によって両側から挟み込まれた状態で保持されている。また、永久磁石26は、ドラムコア24側にN極を、ドラムコア25側にS極を向けた状態で配置されている。これにより、各々のドラムコア24,25に巻装されたコイルL2,L3及びL1,L4に対しては、それぞれ永久磁石26による固定のバイアス磁界(図中左向きの磁界)が付与された構成となっている。
【0023】
なお、可飽和リアクタの構成としては、2つのドラムコア24,25を互いに突き合わせた状態で、各々のドラムコア24,25の外側に永久磁石を配置することにより、上記同様にコイルL2,L3及びコイルL1,L4に対して固定のバイアス磁界を付与する構成としてもよい。
【0024】
再び図3に戻って、ブリッジ回路22におけるコイルL1,L2の共通接続点P(ブリッジ回路20の一方の出力端)には、第1,第2の補正コイル27,28の各一端が、それぞれ共通の接続点Tをもって接続されている。第1の補正コイル27は互いに直列に接続された6つのコイルL5,L6,L7,L8,L9,L10(6重極コイル)によって構成され、第2の補正コイル28も互いに直列に接続された6つのコイルL11,L12,L13,L14,L15,L16(6重極コイル)によって構成されている。これら第1の補正コイル27と第2の補正コイル28とは、ブリッジ回路22の接続点P,Q間において、共通の接続点T,Uをもって互いに並列に接続されている。これにより、ブリッジ回路22の接続点P,Q間においては、並列接続をなす第1,第2の補正コイル27,28に対して電流Ipが供給される。この電流Ipは、接続点T,U間で第1の補正コイル27と第2の補正コイル28に分流して流れる。即ち、第1の補正コイル27には電流Ipから分流した第1の補正電流I1が流れ、第2の補正コイル28には電流Ipから分流した第2の補正電流I2が流れる。
【0025】
一方、ブリッジ回路22におけるコイルL3,L4の共通接続点Q(コイルブリッジ回路22の他方の出力端)には、一つの可飽和リアクタ29の一方側(被変調側)のコイル端と、固定インダクタであるコイルL17の一端が、それぞれ共通の接続点Uをもって接続されている。コイルL17の他端はコイルL11の一端(第2の補正コイル28の端部)に接続され、これによって第2の補正コイル28とコイルL17とが接続点T,Uの間で直列に接続されている。
【0026】
可飽和リアクタ29は、4つのコイルL18,L19,L20,L21を用いて構成されている。このうち、被変調側となる2つのコイル(被変調コイル)L18,L19は互いに直列に接続され、変調側となる2つのコイル(変調コイル)L20,L21も互いに直列に接続されている。コイルL18の一端(開放端)は接続点Uに、コイルL19の一端(開放端)はコイルL10の一端(第1の補正コイル27の端部)にそれぞれ接続され、これによって第1の補正コイル27と可飽和リアクタ29の2つのコイルL18,19とが接続点T,Uの間で直列に接続されている。
【0027】
一方、可飽和リアクタ29の変調側の2つのコイルL20,L21は、一対の垂直偏向コイルLv,Lvに直列に接続された抵抗素子(固定抵抗)30の両端(接続点V,W)に、ダイオード31とともに並列に接続されている。ダイオード31のアノードは接続点Vに接続され、同カソードはコイルL20の一端(開放端)に接続されている。また、コイルL21の一端(開放端)は接続点Wに接続されている。これにより、ダイオード31と2つのコイルL20,L21とが接続点V,Wの間で直列に接続されている。垂直偏向コイルLvは先の図2に示した垂直偏向コイル17に該当するものである。一対の垂直偏向コイルLv,Lvには、図示しない垂直偏向回路によって垂直偏向周期の鋸歯状波電流、即ち垂直偏向電流Ivが供給される構成となっている。
【0028】
ここで、本発明の実施形態で採用したパラボラ電流変調のための可飽和リアクタ29の構成について、図5を用いて説明する。可飽和リアクタ29は、磁性体からなるE型コア32と、同じく磁性体からなるI型コア33と、上述した直列接続のコイルL18,L19と、同じく直列接続のコイルL20,21とから構成されている。
【0029】
コイルL18,L19はE型コア32の両端脚部にそれぞれ巻装され、コイルL20,L21もE型コア32の両端脚部にそれぞれ巻装されている。即ち、コイルL18,L20はE型コア32の一方端の脚部に巻装され、コイルL19,L21はE型コア32の他方端の脚部に巻装されている。E型コア32に対するコイル巻線方向は、コイルL18,L19が互いに反対方向に巻かれ、コイルL20,L21が互いに同一方向に巻かれている。I型コア33はE型コア32の各脚部の端面に密着した状態で組み付けられている。
【0030】
上記構成からなる可飽和リアクタ29においては、E型コア32に対するコイルL18,L19の巻線方向が互いに反対方向(逆巻き)に設定されているため、当該コイルL18,L19に電流が流れたときにE型コア32内に発生する磁界は、コイルL18の巻線部分とコイルL19の巻線部分で互いに反対方向(コア内を周回する方向)となる。即ち、コイルL18が図中右向きの磁界を発生するときはコイルL19が図中左向きの磁界を発生し、コイルL18が図中左向きの磁界を発生するときはコイルL19が図中右向きの磁界を発生する。これに対して、E型コア32に対するコイルL20,L21の巻線方向は互いに同一方向に設定されているため、当該コイルL20,L21に電流が流れたときにE型コア32内に発生する磁界は、コイルL20の巻線部分とコイルL21の巻線部分で互いに同一方向となる。即ち、コイルL20が図中右向きの磁界を発生するときはコイルL21も図中右向きの磁界を発生し、コイルL20が図中左向きの磁界を発生するときはコイルL21も図中左向きの磁界を発生する。
【0031】
これにより、可飽和リアクタ29の被変調側のコイルL18,L19と変調側のコイルL20,L21にそれぞれ電流が流れた場合において、例えば、E型コア32の一方の脚部に巻線された2つのコイルL18,L20が互いに同一方向の磁界を発生するときは、同他方の脚部に巻線された2つのコイルL19,L21が互いに反対方向の磁界を発生する。この場合、コイルL18,L20が巻線されたコア部分では磁気飽和の傾向が強まるため、コイルL18のインダクタンスが顕著が低下し、これによってコイルL18,L19の合成インダクタンスが小さくなる。また、コイルL18,L20が互いに反対方向の磁界を発生するときは、コイルL19,L21が互いに同一方向の磁界を発生する。この場合、コイルL19,L21が巻線されたコア部分では磁気飽和の傾向が強まるため、コイルL19のインダクタンスが顕著に低下し、これによってコイルL18,L19の合成インダクタンスが小さくなる。
【0032】
このことから、可飽和リアクタ29の各々のコイルL18,L19,L20,L21に電流が流れた場合は、これに伴うE型コア32内での磁界形成とコアの磁気飽和現象により、コイルL18,L19の合成インダクタンスが低下する。また、上述したコイルL17のインダクタンスと相対的に比較した場合、コイルL20,L21に電流が流れていない状態では、コイルL18,L19の合成インダクタンスがコイルL17のインダクタンスよりも大きくなるように設定され、コイルL20,L21に所定のレベル以上の電流が流れた状態では、コイルL18,L19の合成インダクタンスがコイルL17のインダクタンスよりも小さくなるように設定されている。
【0033】
また、コイルL18,L19の合成インダクタンスは、コイルL20,L21に流れる電流に応じて変化する。具体的には、コイルL20,L21に流れる電流が増加すると、コイルL18,L19の合成インダクタンスが低下する。そして、コイルL18,L19の合成インダクタンスが低下すると、第1の補正コイル27に電流が流れやすくなる。したがって、コイルL20,L21に垂直偏向周期の電流I3を流すことにより、第1の補正コイル27に流れる電流I1を垂直偏向周期で変調することができる。
【0034】
続いて、補正コイル部21(図2参照)における第1,第2の補正コイル27,28の配置状態について、上記図5を用いて説明する。ここでは、陰極線管の前面(蛍光面)側から見たときのコイル配置状態を図示している。図5においては、陰極線管のネック部13の周囲に、一対のC型コア34,35と、一対のT型コア36,37とが配置されている。一対のC型コア34,35は、ネック部13を介して垂直軸上で対向する状態に配置されている。また、各々のC型コア34,35の両脚部の端部は、ネック部13の外周面に近接した状態で配置されている。一対のT型コア36,37は、ネック部13を介して水平軸上で対向する状態に配置されている。また、各々のT型コア36,37の端部は、ネック13の外周面に近接した状態で配置されている。
【0035】
これに対して、第1の補正コイル27を構成する6つのコイルL5〜L10のうち、コイルL5は上側のC型コア34の一方(図の左側)の脚部に巻装され、コイルL6はC型コア34の他方(図の右側)の脚部に巻装され、コイルL7は右側のT型コア36に巻装されている。また、コイルL8は下側のC型コア35の一方(図の右側)の脚部に巻装され、コイルL9はC型コア35の他方(図の左側)の脚部に巻装され、コイルL10は左側のT型コア37に巻装されている。これら6つのコイルL5〜L10からなる第1の補正コイル(6重極コイル)27に対しては、接続点T,U間で補正電流I1が流れる。そして、例えば図5の矢印で示す向きで補正電流I1が流れた場合は、各々のコイルL5〜L10によって発生する磁界とこれに伴う磁極の形成により、ネック部13の内部(電子ビームの軌道上)に実線矢印で示す向きで第1の補正磁界(6重極磁界)が形成される。
【0036】
また、第2の補正コイル28を構成する6つのコイルL11〜L16のうち、コイルL11は上側のC型コア34の一方(図の左側)の脚部に巻装され、コイルL12はC型コア34の他方(図の右側)の脚部に巻装され、コイルL13は右側のT型コア36に巻装されている。また、コイルL14は下側のC型コア35の一方(図の右側)の脚部に巻装され、コイルL15はC型コア35の他方(図の左側)の脚部に巻装され、コイルL16は左側のT型コア37に巻装されている。これら6つのコイルL11〜L16からなる第2の補正コイル(6重極コイル)28に対しては、接続点T,U間で補正電流I2が流れる。そして、例えば図5の矢印で示す向きで補正電流I2が流れた場合は、各々のコイルL11〜L16によって発生する磁界とこれに伴う磁極の形成により、ネック部13の内部(電子ビームの軌道上)に破線矢印で示す向きで第2の補正磁界(6重極磁界)が形成される。
【0037】
このことから、第1の補正コイル27と第2の補正コイル28は互いに逆向きの補正磁界を形成するように構成されている。また、コイルL5,L11は互いの磁気的特性が等しくなるようにバイファイラ巻きで巻装されている。同様に、コイルL6,L11と、コイルL7,L13と、コイルL8,L14と、コイルL9,L15と、コイルL10,L16も、それぞれ互いの磁気的特性が等しくなるようにバイファイラ巻きで巻装されている。この場合も、各々のコイル対の磁気的特性が等しくなるように巻線状態を調整すればよいため、必ずしもバイファイラ巻きに限定されるものではない。
【0038】
上述のように第1の補正コイル27が形成する第1の補正磁界と第2の補正コイル28が形成する第2の補正磁界は互いに逆向きの6重極磁界となるため、実際の磁界形成では互いに打ち消し合うように作用する。そのため、陰極線管のネック部13内には、第1の補正磁界と第2の補正磁界を合成したかたちの磁界(以下、合成磁界とも記す)が形成される。また、第1の補正磁界の強度は第1の補正コイル27に流れる補正電流I1の電流量に対応し、第2の補正磁界の強度は第2の補正コイル28に流れる補正電流I2の電流量に対応する。そのため、陰極線管のネック部13内に形成される補正磁界は、補正電流I1,I2の差分に相当する電流波形に対応したものとなる。
【0039】
続いて、上記構成からなるコンバージェンス補正装置を用いたΔVCRの補正原理について説明する。先ず、水平偏向周期の鋸歯状波電流である水平偏向電流Ihは、一対の水平偏向コイルLh,Lhを介してブリッジ回路22の接続点R,S間に供給される。このとき、水平偏向電流Ihが接続点R側から流入したとすると、図4に示す永久磁石26による固定のバイアス磁界に対し、コイルL2,L3はバイアス磁界と反対方向の磁界を発生し、コイルL1,L4はバイアス磁界と同一方向の磁界を発生する。
【0040】
このとき、コイルL2,L3が巻装されたドラムコア24では、コイルL2,L3による磁界とバイアス磁界との相殺作用によって磁気飽和の傾向が弱まるため、それにしたがってコイルL2,L3のインダクタンスが増加する。また、コイルL1,L4が巻装されたドラムコア25では、コイルL1,L4による磁界とバイアス磁界との相乗作用によって磁気飽和の傾向が強まるため、それにしたがってコイルL1,L4のインダクタンスが減少する。これに対して、ブリッジ回路22の接続点Rから流入した電流は、インダクタンスの小さい方のコイルにより多く流れる。そのため、ブリッジ回路22内では、接続点Rから流入した電流の一部がコイルL1を通して接続点Pから第1,第2の補正コイル27,28へと分流し、さらに接続点QからコイルL4を通して接続点Sから流出する。
【0041】
一方、水平偏向電流Ihが接続点S側から流入した場合は、図4に示す永久磁石26による固定のバイアス磁界に対し、コイルL2,L3はバイアス磁界と同一方向の磁界を発生し、コイルL1,L4はバイアス磁界と反対方向の磁界を発生する。
【0042】
このとき、コイルL2,L3が巻装されたドラムコア24では、コイルL2,L3による磁界とバイアス磁界との相乗作用によって磁気飽和の傾向が強まるため、それにしたがってコイルL2,L3のインダクタンスが減少する。また、コイルL1,L4が巻装されたドラムコア25では、コイルL1,L4による磁界とバイアス磁界との相殺作用によって磁気飽和の傾向が弱まるため、それにしたがってコイルL1,L4のインダクタンスが増加する。これに対して、ブリッジ回路22の接続点Sから流入した電流は、インダクタンスの小さい方のコイルにより多く流れる。そのため、ブリッジ回路22内では、接続点Sから流入した電流の一部がコイルL2を通して接続点Pから第1,第2の補正コイル27,28へと分流し、さらに接続点QからコイルL3を通して接続点Rから流出する。
【0043】
このような回路動作において、ブリッジ回路22の接続点P,Q間には、当該ブリッジ回路22の接続点R,S間に供給される電流の方向にかかわらず常に同一方向の電流が流れる。したがって、接続点P,Qの間で並列に接続された第1,第2の補正コイル27,28に対して供給される電流Ipの波形は、図6に示すようにパラボラ状波形に近いものとなる。以上のことから、可飽和リアクタ23のコイルL1〜L4によって構成されるブリッジ回路22は、当該ブリッジ回路22に水平偏向電流Ihが供給されることで水平偏向周期のパラボラ電流Ipを生成し、このパラボラ電流Ipを、並列接続をなす第1,第2の補正コイル27,28に対して供給するように動作する。
【0044】
このようにブリッジ回路22によって供給された水平偏向周期のパラボラ電流Ipは、接続点Tで二股状に分流し、一方が第1の補正電流I1、他方が第2の補正電流I2となる。そして、第1の補正電流I1は第1の補正コイル27に流れ、第2の補正電流I2は第2の補正コイル28に流れる。このとき、第1の補正コイル27には可飽和リアクタ29のコイルL18,L19が直列に接続され、第2の補正コイル28にはコイルL17が直列に接続されているため、第1の補正コイル27に流れる第1の補正電流I1はコイルL18,L19のインダクタンスに対応し、第2の補正コイル27に流れる第2の補正電流I2はコイルL17のインダクタンスに対応したものとなる。
【0045】
一方、垂直偏向周期の鋸歯状波電流である垂直偏向電流Ivは、一対の垂直偏向コイルLv,Lvを介して接続点V,W間に供給される。このとき、垂直偏向周期の前半部分で垂直偏向電流Ivが接続点V側から流入するものとすると、この電流の方向に対してダイオード31が順方向となるため、抵抗素子30による電圧の印加によってダイオード31がオンする。このダイオード31がオンした状態で、可飽和リアクタ20のコイルL20,L21には垂直偏向電流Ivのレベルに対応した電流が流れる。
【0046】
これに対して、垂直偏向周期の後半部分で垂直偏向電流Ivが接続点W側から流入するものとすると、この電流の方向に対してダイオード31が逆方向となるため、ダイオード31がオフ状態に保持される。したがって、可飽和リアクタ29のコイルL20,L21に電流が流れることはない。以上のことから、可飽和リアクタ29のコイルL20,L21に流れる電流I3の波形は、図7に示すように、垂直偏向電流Ivをダイオード31で半波整流した波形となる。この波形にしたがい、電流I3のレベル(電流量)は、垂直偏向周期の始端で急激に増加してピークとなり、そこから徐々に低下して、垂直偏向周期の中盤でゼロになり、このゼロレベルが垂直偏向周期の終端まで維持される。この電流I3は、垂直偏向電流Ivと同様に垂直偏向周期に同期したものとなる。
【0047】
ちなみに、垂直偏向周期の前半とは、画面の上側で電子ビームを垂直走査する期間をいい、垂直偏向周期の中盤とは、画面の上下方向のセンター位置近傍で電子ビームを垂直走査する期間をいい、垂直偏向周期の後半とは、画面の下側で電子ビームを垂直走査する期間をいう。また、垂直偏向周期の始端と終端とは、電子ビームを垂直方向に走査する際の帰線期間を境に区分されるものである。垂直偏向周期の始端では電子ビームの垂直走査位置が画面の上端となり、垂直偏向周期の中間点では電子ビームの垂直走査位置が画面の上下方向のセンターとなり、垂直偏向周期の終端では電子ビームの垂直走査位置が画面の下端となる。こうした偏向周期内の区分の仕方は、水平偏向周期にも同様に適用されるものである。
【0048】
上述のような垂直偏向周期の電流I3が可飽和リアクタ29のコイルL20,L21に供給されると、上述した可飽和リアクタ29の動作原理に基づき、コイルL18,L19の合成インダクタンスが変化する。この場合、コイルL20,L21には垂直偏向周期の前半部分だけ電流I3が流れるため、これに伴うコイルL18,L19の合成インダクタンスの低下により、垂直偏向周期の前半部分では第1の補正コイル27に流れる補正電流I1の量が多くなり、垂直偏向周期の中盤から後半部分にかけては第1の補正コイル27に流れる補正電流I1の量が少なくなる。したがって、第1の補正コイル27に流れる補正電流I1は図8(A)に示すような波形となる。
【0049】
一方、第2の補正コイル28には固定インダクタであるコイルL17が接続されているため、コイルL17のインダクタンスは常に一定となるものの、上述したコイルL18,L19の合成インダクタンスの変化により、接続点T,U間に流れるトータルの電流量(I1+I2)が増減するため、この影響で第2の補正コイル28に流れる補正電流I2は図8(B)に示すような波形となる。この場合、コイルL18,L19とコイルL17とのインダクタンスの相対的な大小関係は、コイルL20,L21に電流I3が流れたときのコイルL18,L19の合成インダクタンスの低下により、垂直偏向周期内で反転したものとなる。
【0050】
即ち、垂直偏向周期の始端から中盤にかけては、コイルL18,L19の合成インダクタンスがコイルL17のインダクタンスよりも大きくなり、垂直偏向周期の中盤から終端にかけては、コイルL18,L19の合成インダクタンスがコイルL17のインダクタンスよりも大きくなる。したがって、垂直偏向周期の始端から中盤にかけては補正電流I1が補正電流I2よりも多くなり、垂直偏向周期の中盤から終端にかけては補正電流I1が補正電流I2よりも少なくなる。ここで本実施形態においては、垂直偏向周期の始端側における補正電流の差分の絶対値と終端側における補正電流の差分の絶対値がほぼ等しくなるように、各々のコイルL17,L18,L19のインダクタンスを調整(設定)してある。
【0051】
以上のことから、実際に磁界形成に寄与するパラボラ波形の補正電流(以下、実効電流とも記す)は、図8(A)に示す補正電流I1と図8(B)に示す補正電流I2との差分に応じた波形電流となる。具体例として、第1の補正コイル27を基準に考えると、磁界形成に寄与する実効電流は、図8(A)に示す補正電流I1と図8(B)に示す補正電流I2との差分(I1−I2)に相当する波形電流、即ち図8(C)に示すような波形電流(仮想電流)となる。この図8(C)に示す実効電流では、垂直偏向周期の中盤、より詳しくは垂直偏向周期の中間点から若干始端側にずれたタイミングを境に、当該タイミングよりも始端側では図中上側に凸のパラボラ電流で、当該タイミングよりも終端側では図中下側に凸のパラボラ電流といった具合に、パラボラ電流の向きが反転する。
【0052】
一方、第1の補正コイル27と第2の補正コイル28は、ブリッジ回路22によるパラボラ電流Ipの供給に際して、互いに逆向きの補正磁界(第1の補正磁界、第2の補正磁界)を形成するように接続されているため、陰極線管のネック部13内(電子ビームの軌道上)に形成される補正磁界は、第1の補正コイル27による第1の補正磁界と第2の補正コイル28による第2の補正磁界とを合成したものとなる。この合成磁界は、各々の補正コイル27,28に流れる補正電流I1,I2の差分(I1−I2)に相当する電流、即ち図8(C)に示す波形電流(実効電流)に対応して形成される。
【0053】
ここで、パラボラ電流の極性を上記図6に示すように仮定し、このパラボラ電流の極性が負(−)のときに第1,第2の補正磁界による合成磁界が図9(A)に示す6重極磁界として形成され、パラボラ電流の極性が正(+)のときに第1,第2の補正磁界による合成磁界が図9(B)に示す6重極磁界として形成されるものとする。図9(A)に示す6重極磁界ではサイドビームB,Rが共に下側に変位し、図9(B)に示す6重極磁界ではサイドビームB,Rが共に上側に変位する。このとき、センタービームGの近傍では、水平軸に沿う2極の磁界成分を、4極の磁界成分で完全に打ち消す(キャンセルする)ように、コイルL5〜L10及びコイルL11〜L16の巻線状態がそれぞれ調整されている。そのため、センタービームGの位置は不動のまま保持される。
【0054】
したがって、陰極線管のネック部13内(電子ビームの軌道上)に図9(A)に示す6重極磁界を形成した場合は、センタービームGに対してサイドビームB,Rの位置を相対的に下げることができ、図9(B)に示す6重極磁界を形成した場合は、センタービームGに対してサイドビームB,Rの位置を相対的に上げることができる。因みに、図9(A),(B)はいずれも陰極線管の前面(蛍光面)から見た場合を示している。
【0055】
こうした磁界形成を先の図8(C)に示す実効電流の波形に対応させて考えると、次のようになる。先ず、垂直偏向周期の始端側(画面の上端側)で電子ビームを水平走査するときは、図8(C)の左側の電流波形にしたがい、水平偏向周期の前半と後半でそれぞれ図9(A)に示す6重極磁界が形成されるとともに、水平偏向周期の中盤で図9(B)に示す6重極磁界が形成される。そのため、画面の上端側で電子ビームを水平走査する場合は、水平偏向周期の前半と後端でサイドビームB,Rが下方に変位し、水平偏向周期の中盤でサイドビームB,Rが上方に変位する。
【0056】
一方、垂直偏向周期の終端側(画面の下端側)で電子ビームを水平走査するときは、図8(C)の右側の電流波形にしたがい、水平偏向周期の前半と後半でそれぞれ図9(B)に示す6重極磁界が形成されるとともに、水平偏向周期の中盤で図9(A)に示す6重極磁界が形成される。そのため、画面の下端側で電子ビームを水平走査する場合は、水平偏向周期の前半と後端でサイドビームB,Rが上方に変位し、水平偏向周期の中盤でサイドビームB,Rが下方に変位する。
【0057】
以上のような6重極磁界の形成によってサイドビームB,Rを垂直方向(上下方向)に変位させることにより、実際の画面上では、図10に示すように、画面センターの上下端でセンタービームGが内側、サイドビームB,Rが外側となり、画面両サイドの上下端ではセンタービームGが外側、サイドビームB,Rが内側となるようなパターンが得られる。この図10に示すパターンは、先の図12に示すパターンに比較して、センタービームGとサイドビームB,Rの位置関係が反転している。したがって、図10に示すパターンでセンタービームGとサイドビームB,Rの相対位置を変化させることにより、図12に示すパターン、即ちΔVCRを独立に補正することができる。
【0058】
また、従来(特開2001−211460号公報)のΔVCR補正回路と比較した場合、水平偏向周期のパラボラ電流を変調するための可飽和リアクタと変調側コイルに流れる電流を制御するダイオードの個数を2つから1つに減らすことができるため、回路構成を簡素化することができる。これにより、従来よりも部品点数を減らすことができるため、部品の取付スペースの縮小化やコストダウンを図ることが可能となる。
【0059】
なお、上記実施形態においては、図12に示すΔVCRのパターンを図10に示すパターンによって補正するとしたが、例えば、第1,第2の補正コイル27,28におけるコイル巻線方向や、各々の補正コイル27,28に供給される補正電流I1,I2の方向などを変えることにより、第1,第2の補正コイル27,28による補正磁界によって図12に示すパターンを得ることも可能である。したがって、例えば図12に示すパターンでΔVCRが発生した場合は、これを図10に示すパターンによって補正することも可能となる。
【0060】
また、上記実施形態においては、4つのコイルL1〜L4によって構成されたブリッジ回路22に対し、一対の水平偏向コイルLh,Lhを介して水平偏向周期の鋸歯状波電流(水平偏向電流)Ihを供給する構成としたが、本発明はこれに限らず、個別の電源装置を用いて水平偏向周期の鋸歯状波電流をブリッジ回路22に供給する構成としてもよい。
【0061】
但し、上記実施形態のように一対の水平偏向コイルLh,Lhに対してブリッジ回路22を直列に接続し、これによってブリッジ回路22に水平偏向電流Ihを供給して水平偏向周期のパラボラ電流を生成する構成とした方が、製造コスト等の面で有利である。これと同様の理由により、一対の垂直偏向コイルLv,Lvに供給される垂直偏向電流Ihをダイオード31で半波整流して所望の電流I3を生成し、この電流I3を可飽和リアクタ29の変調用のコイルL20,L21に供給する構成とした方が製造コスト等の面で有利である。
【0062】
また、本発明に係るコンバージェンス補正装置は、偏向ヨーク15に搭載して用いる以外にも、偏向ヨーク15とは独立した構成要素(例えば、ネックアセンブリ)として陰極線管に組み込むことも可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、互いに逆向きの補正磁界を形成する第1,第2の補正磁界に対して水平偏向周期のパラボラ電流を供給するとともに、第1の補正コイルに固定インダクタを、第2の補正コイルに被変調コイルをそれぞれ直列に接続し、それら固定インダクタと被変調コイルとのインダクタンスの相対的な大小関係を垂直偏向周期内で反転させる構成を採用することにより、従来よりも簡単な回路構成によってΔVCRを補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される陰極線管の全体像を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る偏向ヨークの一部破断面を含む側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るコンバージェンス補正装置のコイル結線状態を示す回路図である。
【図4】パラボラ電流生成のための可飽和リアクタの構成を示す図である。
【図5】パラボラ電流変調のための可飽和リアクタの構成と補正コイルの配置状態を示す図である。
【図6】パラボラ電流の波形と極性を示す図である。
【図7】変調コイルに流れる電流の波形を示す図である。
【図8】補正コイルに流れる電流の波形を説明する図である。
【図9】補正磁界の向きと電子ビームの動きを説明する図である。
【図10】コンバージェンス補正装置によって得られる電子ビームのパターンを示す図である。
【図11】画面に生じる縦方向のミスコンバージェンスを示す図である。
【図12】ΔVCRが発生した状態での電子ビームの位置ずれ状態を示す図である。
【符号の説明】
10…陰極線管、15…偏向ヨーク、16,Lh…水平偏向コイル、17,Lv…垂直偏向コイル、21…補正コイル部、22…ブリッジ回路、23,29…可飽和リアクタ、27…第1の補正コイル、28…第2の補正コイル、30…抵抗素子、31…ダイオード、L5〜L10…コイル(6重極コイル)、L11〜L16…コイル(6重極コイル)、L17…コイル(固定インダクタ)、L18,L19…コイル(被変調コイル)、L20,L21…コイル(変調コイル)
Claims (6)
- インライン配列で進行する3本の電子ビームのうち、両側2つのサイドビームを垂直方向に変位させる第1の補正磁界を形成する第1の補正コイルと、
前記第1の補正コイルに並列に接続されるとともに、前記第1の補正磁界と逆向きの第2の補正磁界を形成する第2の補正コイルと、
前記並列に接続された前記第1の補正コイルと前記第2の補正コイルに対して水平偏向周期のパラボラ電流を供給するパラボラ電流供給手段と、
前記第1の補正コイルに直列に接続された固定インダクタと、
前記第2の補正コイルに直列に接続された被変調コイルを有し、当該被変調コイルと前記固定インダクタとのインダクタンスの相対的な大小関係を垂直偏向周期内で反転させるインダクタンス可変手段と
を備えることを特徴とするコンバージェンス補正装置。 - 前記インダクタンス可変手段は、前記被変調コイル及び当該被変調コイルと磁気的に結合する変調コイルを有する可飽和リアクタと、垂直偏向周期の鋸歯状波電流を半波整流して得た電流を前記変調コイルに供給する電流供給手段とからなる
ことを特徴とする請求項1記載のコンバージェンス補正装置。 - インライン配列で進行する3本の電子ビームのうち、両側2つのサイドビームを垂直方向に変位させる第1の補正磁界を形成する第1の補正コイルと、
前記第1の補正コイルに並列に接続されるとともに、前記第1の補正磁界と逆向きの第2の補正磁界を形成する第2の補正コイルと、
前記並列に接続された前記第1の補正コイルと前記第2の補正コイルに対して水平偏向周期のパラボラ電流を供給するパラボラ電流供給手段と、
前記第1の補正コイルに直列に接続された固定インダクタと、
前記第2の補正コイルに直列に接続された被変調コイルを有し、当該被変調コイルと前記固定インダクタとのインダクタンスの相対的な大小関係を垂直偏向周期内で反転させるインダクタンス可変手段と
を備えるコンバージェンス補正装置を用いた
ことを特徴とする偏向ヨーク。 - 前記インダクタンス可変手段は、前記被変調コイル及び当該被変調コイルと磁気的に結合する変調コイルを有する可飽和リアクタと、垂直偏向周期の鋸歯状波電流を半波整流して得た電流を前記変調コイルに供給する電流供給手段とからなる
ことを特徴とする請求項3記載の偏向ヨーク。 - インライン配列で進行する3本の電子ビームのうち、両側2つのサイドビームを垂直方向に変位させる第1の補正磁界を形成する第1の補正コイルと、
前記第1の補正コイルに並列に接続されるとともに、前記第1の補正磁界と逆向きの第2の補正磁界を形成する第2の補正コイルと、
前記並列に接続された前記第1の補正コイルと前記第2の補正コイルに対して水平偏向周期のパラボラ電流を供給するパラボラ電流供給手段と、
前記第1の補正コイルに直列に接続された固定インダクタと、
前記第2の補正コイルに直列に接続された被変調コイルを有し、当該被変調コイルと前記固定インダクタとのインダクタンスの相対的な大小関係を垂直偏向周期内で反転させるインダクタンス可変手段と
を備えるコンバージェンス補正装置を用いた偏向ヨークを陰極線管に搭載してなる
ことを特徴とする表示装置。 - 前記インダクタンス可変手段は、前記被変調コイル及び当該被変調コイルと磁気的に結合する変調コイルを有する可飽和リアクタと、垂直偏向周期の鋸歯状波電流を半波整流して得た電流を前記変調コイルに供給する電流供給手段とからなる
ことを特徴とする請求項5記載の表示装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002169509A JP2004015683A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | コンバージェンス補正装置、偏向ヨーク及び表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002169509A JP2004015683A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | コンバージェンス補正装置、偏向ヨーク及び表示装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004015683A true JP2004015683A (ja) | 2004-01-15 |
Family
ID=30436051
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002169509A Pending JP2004015683A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | コンバージェンス補正装置、偏向ヨーク及び表示装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004015683A (ja) |
-
2002
- 2002-06-11 JP JP2002169509A patent/JP2004015683A/ja active Pending
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