JP2004016020A - 燻製装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】わずかなスペースでも設置でき、温燻法及び熱燻法に加えて冷燻法による燻製が季節を問わず可能であり、大変美味な冷燻法による燻製物を家庭でも容易に製造し、賞味できるようにする。
【解決手段】燻材4を燻室2に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材4の位置よりも後方かつ上方に燻室2を配置し、燻材4から出た煙5が後方に移動してから燻室2に導かれるように構成し、燻材4の上方から燻室2の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体23,24,25を貯留可能に構成された冷却槽15を燻材4の上方に配設した構成を特徴とする。
【選択図】 図15
【解決手段】燻材4を燻室2に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材4の位置よりも後方かつ上方に燻室2を配置し、燻材4から出た煙5が後方に移動してから燻室2に導かれるように構成し、燻材4の上方から燻室2の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体23,24,25を貯留可能に構成された冷却槽15を燻材4の上方に配設した構成を特徴とする。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、わずかな設置スペースしか要することがなく家庭での使用にも適した燻製装置に係り、特に従来大がかりな装置を必要としていた冷燻法による燻製が季節を問わず可能であり、大変美味な冷燻法による燻製物を家庭でも容易に製造し、賞味できるようにした燻製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燻製の方法には、燻室内の温度によって、大きく分けて貯蔵を主目的とする冷燻法と、調味を主目的とする温燻法とがあり、温燻法をさらに狭義の温燻法と熱燻法に分類する場合もある。燻室内の温度は、概ね冷燻法では30℃以下、温燻法では約50乃至60℃、熱燻法では約80乃至120℃である(なお、温度範囲は厳密なものではない。)。
【0003】燻製を行うための煙は、燻材を燃焼させることにより発生させるものであるため温度が高く、直接燻室内の食材にさらしてしまうと、該燻室内の温度が高くなり過ぎてしまう。従って冷燻法による燻製を行う場合には、煙から熱を奪って温度を下げてから燻室に導く必要があった。
【0004】ところが従来の燻製装置では、熱源である燻材を、燻室と連通した例えば直径100mmΦ、長さ2m程度のダクトの先に配置するようにし、燻材から出た熱い煙が該ダクトを通って燻室に至るまでの間に冷却されるようにしたものであったため、装置が大がかりになってしまい、広い設置スペースが必要となって一般家庭用には不向きであるという欠点があった。
【0005】また従来の燻製装置は、燻室内に懸吊された食材の真下に燻材を置いていたので、食材から燃焼中の燻材に油分等が滴下することにより、本来の煙に混じって油分等の蒸気が発生し、食材の風味を落としてしまうという問題があった。
【0006】更に食材を燻室に懸吊する場合に、燻室内に食材懸吊部材を水平に渡し、該食材懸吊部材に対して例えばワイヤを掛けて食材を懸吊することが行われてきたが、従来の食材懸吊部材は、丸棒等の比較的転動し易いものが用いられていたため、燻室内への食材の取付けを行う際に、食材間の間隔が狭まり過ぎたり、又は食材が燻室内壁に当接してしまったりする等、取付け作業の点でも、また燻製物の仕上がりの点でも障害が生じていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、燻材を燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に燻室を配置し、燻材から出た煙が後方に移動してから燻室に導かれるように構成し、燻材の上方から燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体を貯留可能に構成された冷却槽を燻材の上方に配設し、該冷却槽が煙の熱を燻室への到達前に奪うと共に食材から油分等が燻材に滴下することを妨げるように構成し、冷却媒体から生ずる冷気による温度降下を利用して煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成することによって、わずかなスペースしか要することなく、熱燻法及び温燻法に加えて冷燻法による燻製まで万能に行うことができるようにすることであり、またこれによって大変美味な冷燻法による燻製物を家庭でも容易に製造し、賞味できるようにすることである。
【0008】また他の目的は、上記構成において、冷却槽に対して冷却液体を吸収して保持可能な吸収体を取付け可能に構成し、該冷却液体の気化熱による温度降下をも利用して煙の熱を奪うように構成することによって、煙の熱をより効率的に奪うことができるようにして、燻室内の温度上昇をより効率的に抑制できるようにすることである。
【0009】更に他の目的は、上記構成において、側方から見て全体をL字形に形成し、燻材から出た煙が該L字形に沿って後方に移動してから燻室に導かれるように構成することによって、食材から油分等が燻材に滴下することを妨げることができるようにすることであり、またこれによって油分等の蒸気によって燻製物の風味が落ちたりすることがないようにすることである。
【0010】また他の目的は、上記構成において、冷却媒体に液体或いは固体又は液体及び固体を用いることによって、気温が低いときは液体のみを冷却媒体として用い、気温が高いときは固体を用いたり、また液体と固体を同時に用いる等、冷却槽の冷却能力を季節に応じて任意に調節できるようにすることである。
【0011】更に他の目的は、上記構成により、冷却槽の上側かつ燻室の手前側の平面部を調理台として利用可能に構成することによって、燻製開始前の食材への種々の処理や燻製後の燻製物の調理等を、燻製装置の上で行うことができるようにすることであり、またこれによって、燻製装置の用途的価値を高めることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
要するに本発明燻製装置(請求項1)は、燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、前記燻材を前記燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に前記燻室を配置し、前記燻材から出た前記煙が後方に移動してから前記燻室に導かれるように構成し、前記燻材の上方から前記燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体を貯留可能に構成された冷却槽を前記燻材の上方に配設し、該冷却槽が前記煙の熱を前記燻室への到達前に奪うと共に前記食材から油分等が前記燻材に滴下することを妨げるように構成してなり、前記冷却媒体から生ずる冷気による温度降下を利用して前記煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成したことを特徴とするものである。
【0013】また本発明燻製装置(請求項2)は、燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、前記燻材を前記燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に前記燻室を配置し、前記燻材から出た前記煙が後方に移動してから前記燻室に導かれるように構成し、前記燻材の上方から前記燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体を貯留可能に構成されかつ冷却液体を吸収して保持可能な吸収体を取付け可能に構成した冷却槽を前記燻材置位置の上方に配設し、該冷却槽が前記煙の熱を前記燻室への到達前に奪うと共に前記食材から油分等が前記燻材に滴下することを妨げるように構成してなり、前記冷却媒体から生ずる冷気と前記吸収体における前記冷却液体の気化熱による温度降下とを利用して前記煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成したことを特徴とするものである。
【0014】また本発明燻製装置(請求項3)は、燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、前記燻材を前記燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に前記燻室を配置して、側方から見て全体をL字形に形成し、前記燻材から出た前記煙が該L字形に沿って後方に移動してから前記燻室に導かれるように構成し、前記燻材の上方から前記燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体となる液体或いは固体又は液体及び固体を貯留可能に構成されかつ冷却液体を吸収して保持可能な吸収体を取付け可能に構成した冷却槽を前記燻材置位置の上方に配設し、該冷却槽が前記煙の熱を前記燻室への到達前に奪うと共に前記食材から油分等が前記燻材に滴下することを妨げるように構成してなり、前記液体及び前記固体から生ずる冷気と前記吸収体における前記冷却液体の気化熱による温度降下とを利用して前記煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成し、前記冷却槽の上側かつ前記燻室の手前側の平面部を調理台として利用可能に構成したことを特徴とするものである。
【0015】また本発明燻製装置用食材懸吊部材(請求項4)は、所定角度のV字断面を有し燻製装置の燻室内に両端支持により山形に伏せた状態で転動することなく取付け可能に構成され、食材を懸吊するための穴が長手方向に沿って複数形成されてなることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明する。本発明に係る燻製装置1は、図1から図6、図14から図19において、燻室2内に懸吊された食材3を燻材4の燃焼により生ずる煙5を用いて燻すことができるように構成され、燻材4を燻室2に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材4の位置よりも後方かつ上方に燻室2を配置して、側方から見て全体をL字形に形成し、燻材4から出た煙5を該L字形に沿って後方に移動させてから燻室2に導くように構成されている。
【0017】燻室2は、上下に開口した筒状の上部体6内に形成されており、該上部体6が取り付けられる下部体8内に燻材4を置くようになっている。上部体6は下部体8に対して分離可能に構成されている。
【0018】燻室2には、図1から図6に示すように、食材懸吊部材9の両端を支持して水平に載置するためのアングル材10が、ねじ11により、例えば上下に9段(9対)取り付けられ、各々の段に食材懸吊部材9を載置することで、食材3を多数懸吊できるようになっている。なお、アングル材10の段数はこれに限るものではなく、図示のように5段でもよく、任意である。またアングル材10の上には、食材懸吊部材9だけでなく、金網(図示せず)を載せてもよい。
【0019】上部体6の上端、即ち燻室2の上方は開放されており、また上部体6の手前側には、蝶番12により手前に開閉可能な第1扉21が取り付けられ、上部体6の上側及び手前側から、燻室2内への食材3の出入れができるようになっている。第1扉21には、把手21aが取り付けられ、スナップ錠13が取り付けられている。
【0020】食材3を燻しているときに、煙5を燻室2から逃がさないために、上部体6には蓋14が着脱可能に取り付けられるようになっている。蓋14には把手14aが形成されている。
【0021】下部体8は手前側及び上面後部8aが開放されており、該上面後部8aに上部体6を、燻材4からの煙5が漏れないように嵌合させて取り付けることができるようになっている。このため上部体6には、一対の把手16が取り付けられている。
【0022】下部体8内の上部には、冷却槽15を支持するためのレール18が取り付けられている。燻材置位置は、上部体6の取付け位置よりも手前側となる、下部体8の底部8bである。
【0023】下部体8の手前側の開口部分には、該開口部分を下側の一部分だけ残してその上側を塞ぐことが可能な第2扉22が蝶番19を介して開閉自在に取り付けられている。蝶番19は上側に取り付けられているので、第2扉22は自重により閉じた状態を維持できるようになっている。
【0024】第2扉22を閉じた際には、下部体8内に取り付けられた冷却槽15の手前側は該第2扉22により塞がれた状態となり、下側に残る開口部分は、燻材4を燃焼させるときの空気取入れ口8cとなるように構成されている。
【0025】食材懸吊部材9は、図1、図2、図11から図13に示すように、所定角度のV字断面を有し、燻製装置1の燻室2内に両端支持により山形に伏せた状態で転動することなく取付け可能に構成され、食材3を懸吊するための穴9aが長手方向に沿って複数形成されてなるものであり、例えばステンレス鋼により構成されている。
【0026】食材懸吊部材9は、燻室2内に取り付けられたアングル材10上に山形に伏せて用いるが、穴9aはその頂点となる角部に沿って形成されている。なお、穴9aの位置はその位置に限るものではなく、山形の二辺に形成するようにしてもよい。
【0027】冷却槽15は、図1、図2、図7から図9及び図18に示すように、燻材4の上方から燻室2の下方まで届く奥行きを有すると共に、冷却媒体となる液体の一例たる水23或いは固体の一例たる氷24又は水23及び氷24を貯留可能に構成され、かつ冷却液体(図示せず)を吸収して保持可能な吸収体26を取付け可能に構成したものであって、燻材置位置の上方となる下部体8内のレール18上に着脱自在に配設されるものである。
【0028】冷却槽15は、例えば引出し状に形成されており、手前側に取り付けられた把手15を把持することによって、下部体8内取り付けたり、また該下部体8から取り出すことが容易にできるようになっている。
【0029】冷却槽15は、手前側の上方のみが開口した箱形状に形成され、水23や氷24又は氷嚢25を貯留しておくことができるようになっている。上方に開口していない上面後部15bは、燻製装置1への取付け状態においては、燻室2の下方に位置し、図15に示すように、食材4から滴下する油分等28が水23中に入らないように受け止める部分である。
【0030】冷却槽15の後端部には、多数のスリット15cが下部に形成されたポケット15dが形成されている。該ポケット15dには、冷却液体を吸収して保持している吸収体26を差し込んでおくことができるようになっている。なお、ポケット15dについては、図10に示すように、必ずしも設けなくてもよい。
【0031】冷却槽15の奥行き長さは、図14及び図15等に示すように、下部体8の奥行きよりも短く、取付け状態において冷却槽15の後側に、ある程度の空間29が形成されるようになっている。これは燻剤4からの煙5が該空間29のみを通って燻室2内に入るようにして、冷却効果を高めると共に、油分等28が下部体8の底部8bに直接的に滴下することをなるべく防止するためである。
【0032】なお、下部体8のうち、冷却槽15の上側かつ燻室の手前側の平面部8dは、調理台として利用可能である。
【0033】本発明は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。食材3を燻室2内に懸吊する際には、図1及び図14に示すように、蓋14を取り外してから、食材懸吊部材9をアングル材10上の任意の位置に載置し、該食材懸吊部材9の穴9aに、食材3が取り付けられた、例えばフック30を引掛けるようにする。予め食材3を引掛けておいた食材懸吊部材9を、燻室2内のアングル材10に載置するようにしてもよい。なお、下部体8の平面部8dには物を一時的に置いたり、また該平面部8d上で簡単な仕込み等の調理を行うことができるので、台所から燻製装置1の設置場所が離れている場合にも便利である。
【0034】食材懸吊部材9を山形に伏せた状態で載置することにより、転動することがなくなり、非常に安定した状態で食材3を懸吊することが可能である。
【0035】アングル材10は燻室2内に5段設けられているので、多くの食材3を燻室2内に懸吊しておくことが可能である。食材3として用いるのは、例えばソーセージやハム等の肉類、魚類、卵が代表的である。
【0036】食材3を燻室2内に懸吊する場合には、上方からだけでなく、第1扉21を開くことにより、手前側からも行うことが可能である。特に下段側に食材3を懸吊する場合には、手前側からの方が作業が容易である。
【0037】20cm程度の魚であれば、例えば最上段に9匹、3段目に6匹、5段目に9匹、7段目に6匹、そして9段目に9匹懸吊することにより、計39匹の魚を同時に燻すことが可能である。更に小形の魚であれば、一度で50乃至60匹程度燻すことも可能である。
【0038】ビーフジャーキー(図示せず)をスモークする場合には、アングル材10に金網(図示せず)載置し、該金網にビーフジャーキーを並べるだけで、大量に燻すことができる。チーズ(図示せず)をスモークする場合には、金網の上に、例えば割り箸(図示せず)を並べて、その上にチーズを載置するようにすればよい。
【0039】ここで冷却媒体としての水23が貯留された冷却槽15を、図14に示すように、第2扉22を矢印B方向に開いて、下部体8内のレール18上に、矢印C方向に差し込んでから、図15に示すように、第2扉22を矢印D方向に閉じる。
【0040】燻材4は、下部体8の底部8bのうち、燻室12よりも手前側に載置し、使用者31がマッチ32等を用いて着火する。着火作業は、図14及び図15に示すように、第2扉22を開いた状態の方が行い易い。燻材4が燃焼を始めて煙5が出始めたら、第2扉22を矢印D方向に閉じる。
【0041】外気は空気取入れ口8cから矢印E方向に下部体8内に入り、燻材4を継続的にかつ緩やかに燃焼させる。煙5は当初温度が高いため、上昇して冷却槽15の下面近傍に到達する。ここで冷却槽15の温度は煙5の温度よりも低いので、その冷気によって煙5の熱は次第に奪われる。空気取入れ口8cからは空気が入ってくるので、煙5は熱を奪われながら後方へ進む。
【0042】冷却槽15の後方には燻室2と下部体8内とが連通した空間29があるので、煙5は該空間29を通って燻室2内に入り、食材3を燻す。なお、空間29を煙5が通る際には、冷却槽15の後部に取り付けられた吸収体26の近傍も通ることになる。このとき吸収体26が保持している冷却液体の蒸発に伴う気化熱によって周囲の温度降下が起き、該温度降下によっても煙5の熱が奪われる。
【0043】食材3からは肉汁や油分等28が滴下するが、該油分等28は冷却槽15の上面後部15bの上に落ちるので、該油分等28が下部体8の底部8bや水23中に直接落下することはほとんどない。また油分28等が燻材4上に落ちてしまうと、油分等28の蒸気が発生して食材3の風味を落とすことになるが、燻製装置1が側面から見てL字形に形成され、燻材4と燻室2との前後位置がずれており、しかも冷却槽15が存在することから、燻材4上に油分等28が落ちることはない。これによって非常に良好な状態で食材3を燻すことが可能である。
【0044】所定時間が経過して食材3が燻製品となったら、図16に示すように、蓋14を矢印I方向に取り外し、上段の食材3を矢印J方向に取り出すことができ、また第1扉21を矢印G方向に開き、下段の食材3を矢印H方向に取り出すことができる。
【0045】なお、室温20℃の状態で水23を冷却槽15に入れて5時間(300分)燻材4を燃焼させる試験を行ったところ、燻室2内の温度上昇は±0℃であった。その後冷却槽15を外したところ、70分後に燻室2内の温度が10℃上昇し、30℃となった。ここで再び冷却槽15を取り付けたところ、5分後に燻室2内の温度が5℃低下して25℃となり、24分後に更に1℃低下して24℃となり、30分後に更に3℃低下して21℃となり、そして35分後には更に1℃低下して室温の20℃まで戻った。
【0046】夏場など、周囲の温度が高い場合には、より冷却効果の高い冷却媒体を使用する必要がある。この場合、例えば図17に示すように、冷却媒体として水23と共に氷嚢25を冷却槽15に入れたり、また図18に示すように、水23と共に氷24を冷却槽15に入れることができる。
【0047】冷却槽15に何も貯留しない場合には、図19に示すように、煙5の温度が低下しないまま燻室2内の食材3を燻すことになる。これによって温燻法や熱燻法による燻製品を製造することが可能である。この場合でも、油分等28は冷却槽15により受け止められるので、食材3の風味を最良の状態にすることが可能である。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、上記のように燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、燻材を燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に燻室を配置し、燻材から出た煙が後方に移動してから燻室に導かれるように構成し、燻材の上方から燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体を貯留可能に構成された冷却槽を燻材の上方に配設し、該冷却槽が煙の熱を燻室への到達前に奪うと共に食材から油分等が燻材に滴下することを妨げるように構成し、冷却媒体から生ずる冷気による温度降下を利用して煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成したので、わずかなスペースしか要することなく、熱燻法及び温燻法に加えて冷燻法による燻製まで万能に行うことができるという効果があり、またこの結果大変美味な冷燻法による燻製物を家庭でも容易に製造し、賞味できるようになる効果が得られる。
【0049】また上記構成において、冷却槽に対して冷却液体を吸収して保持可能な吸収体を取付け可能に構成し、該冷却液体の気化熱による温度降下をも利用して煙の熱を奪うように構成したので、煙の熱をより効率的に奪うことができるようになり、燻室内の温度上昇をより効率的に抑制できるという効果がある。
【0050】更には、上記構成において、側方から見て全体をL字形に形成し、燻材から出た煙が該L字形に沿って後方に移動してから燻室に導かれるように構成したので、食材から油分等が燻材に滴下することを妨げることができるようにすることであり、またこれによって油分等の蒸気によって燻製物の風味が落ちたりすることがないようにすることができる効果がある。
【0051】また上記構成において、冷却媒体に液体或いは固体又は液体及び固体を用いたので、気温が低いときは液体のみを冷却媒体として用い、気温が高いときは固体を用いたり、また液体と固体を同時に用いる等、冷却槽の冷却能力を季節に応じて任意に調節できるという効果がある。
【0052】更には、上記構成により、冷却槽の上側かつ燻室の手前側の平面部を調理台として利用可能に構成したので、燻製開始前の食材への種々の処理や燻製後の燻製物の調理等を、燻製装置の上で行うことができ、またこの結果燻製装置の用途的価値を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】燻製装置の分解斜視図である。
【図2】燻製装置の分解斜視図である。
【図3】燻製装置の平面図である。
【図4】燻製装置の部分破断正面図である。
【図5】上部体に対するアングル材の取付け状態及び該アングル材に対する食材懸吊部材の載置状態を示す、拡大縦断面図である。
【図6】燻製装置を右側面から見た場合の縦断面図である。
【図7】冷却槽及び吸収体の斜視図である。
【図8】冷却槽の平面図である。
【図9】冷却槽の背面図である。
【図10】ポケットのない冷却槽の斜視図である。
【図11】食材懸吊部材の斜視図である。
【図12】食材懸吊部材の平面図である。
【図13】食材懸吊部材の縦断面図である。
【図14】水を冷却媒体として用いた冷却槽を取り付け、燻材に着火している状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【図15】燻材からの煙が冷却槽で冷却された後、冷却槽の後側の空間を通って燻室内に入り、食材を燻している状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【図16】燻製加工が終了した後、蓋を外し、また第1扉を開いて、食材を燻室から取り出す状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【図17】冷却槽中の冷却媒体として水及び氷嚢を用いて食材を燻している状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【図18】冷却槽中の冷却媒体として水及び氷を用いて食材を燻している状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【図19】冷却媒体を用いず、温燻法又は熱燻法により食材を燻している状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 燻製装置
2 燻室
3 食材
4 燻材
5 煙
9 食材懸吊部材
9a 穴
15 冷却槽
23 液体の一例たる水
24 固体の一例たる氷
25 固体の一例たる氷嚢
26 吸収体
【発明の属する技術分野】
本発明は、わずかな設置スペースしか要することがなく家庭での使用にも適した燻製装置に係り、特に従来大がかりな装置を必要としていた冷燻法による燻製が季節を問わず可能であり、大変美味な冷燻法による燻製物を家庭でも容易に製造し、賞味できるようにした燻製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燻製の方法には、燻室内の温度によって、大きく分けて貯蔵を主目的とする冷燻法と、調味を主目的とする温燻法とがあり、温燻法をさらに狭義の温燻法と熱燻法に分類する場合もある。燻室内の温度は、概ね冷燻法では30℃以下、温燻法では約50乃至60℃、熱燻法では約80乃至120℃である(なお、温度範囲は厳密なものではない。)。
【0003】燻製を行うための煙は、燻材を燃焼させることにより発生させるものであるため温度が高く、直接燻室内の食材にさらしてしまうと、該燻室内の温度が高くなり過ぎてしまう。従って冷燻法による燻製を行う場合には、煙から熱を奪って温度を下げてから燻室に導く必要があった。
【0004】ところが従来の燻製装置では、熱源である燻材を、燻室と連通した例えば直径100mmΦ、長さ2m程度のダクトの先に配置するようにし、燻材から出た熱い煙が該ダクトを通って燻室に至るまでの間に冷却されるようにしたものであったため、装置が大がかりになってしまい、広い設置スペースが必要となって一般家庭用には不向きであるという欠点があった。
【0005】また従来の燻製装置は、燻室内に懸吊された食材の真下に燻材を置いていたので、食材から燃焼中の燻材に油分等が滴下することにより、本来の煙に混じって油分等の蒸気が発生し、食材の風味を落としてしまうという問題があった。
【0006】更に食材を燻室に懸吊する場合に、燻室内に食材懸吊部材を水平に渡し、該食材懸吊部材に対して例えばワイヤを掛けて食材を懸吊することが行われてきたが、従来の食材懸吊部材は、丸棒等の比較的転動し易いものが用いられていたため、燻室内への食材の取付けを行う際に、食材間の間隔が狭まり過ぎたり、又は食材が燻室内壁に当接してしまったりする等、取付け作業の点でも、また燻製物の仕上がりの点でも障害が生じていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、燻材を燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に燻室を配置し、燻材から出た煙が後方に移動してから燻室に導かれるように構成し、燻材の上方から燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体を貯留可能に構成された冷却槽を燻材の上方に配設し、該冷却槽が煙の熱を燻室への到達前に奪うと共に食材から油分等が燻材に滴下することを妨げるように構成し、冷却媒体から生ずる冷気による温度降下を利用して煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成することによって、わずかなスペースしか要することなく、熱燻法及び温燻法に加えて冷燻法による燻製まで万能に行うことができるようにすることであり、またこれによって大変美味な冷燻法による燻製物を家庭でも容易に製造し、賞味できるようにすることである。
【0008】また他の目的は、上記構成において、冷却槽に対して冷却液体を吸収して保持可能な吸収体を取付け可能に構成し、該冷却液体の気化熱による温度降下をも利用して煙の熱を奪うように構成することによって、煙の熱をより効率的に奪うことができるようにして、燻室内の温度上昇をより効率的に抑制できるようにすることである。
【0009】更に他の目的は、上記構成において、側方から見て全体をL字形に形成し、燻材から出た煙が該L字形に沿って後方に移動してから燻室に導かれるように構成することによって、食材から油分等が燻材に滴下することを妨げることができるようにすることであり、またこれによって油分等の蒸気によって燻製物の風味が落ちたりすることがないようにすることである。
【0010】また他の目的は、上記構成において、冷却媒体に液体或いは固体又は液体及び固体を用いることによって、気温が低いときは液体のみを冷却媒体として用い、気温が高いときは固体を用いたり、また液体と固体を同時に用いる等、冷却槽の冷却能力を季節に応じて任意に調節できるようにすることである。
【0011】更に他の目的は、上記構成により、冷却槽の上側かつ燻室の手前側の平面部を調理台として利用可能に構成することによって、燻製開始前の食材への種々の処理や燻製後の燻製物の調理等を、燻製装置の上で行うことができるようにすることであり、またこれによって、燻製装置の用途的価値を高めることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
要するに本発明燻製装置(請求項1)は、燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、前記燻材を前記燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に前記燻室を配置し、前記燻材から出た前記煙が後方に移動してから前記燻室に導かれるように構成し、前記燻材の上方から前記燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体を貯留可能に構成された冷却槽を前記燻材の上方に配設し、該冷却槽が前記煙の熱を前記燻室への到達前に奪うと共に前記食材から油分等が前記燻材に滴下することを妨げるように構成してなり、前記冷却媒体から生ずる冷気による温度降下を利用して前記煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成したことを特徴とするものである。
【0013】また本発明燻製装置(請求項2)は、燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、前記燻材を前記燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に前記燻室を配置し、前記燻材から出た前記煙が後方に移動してから前記燻室に導かれるように構成し、前記燻材の上方から前記燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体を貯留可能に構成されかつ冷却液体を吸収して保持可能な吸収体を取付け可能に構成した冷却槽を前記燻材置位置の上方に配設し、該冷却槽が前記煙の熱を前記燻室への到達前に奪うと共に前記食材から油分等が前記燻材に滴下することを妨げるように構成してなり、前記冷却媒体から生ずる冷気と前記吸収体における前記冷却液体の気化熱による温度降下とを利用して前記煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成したことを特徴とするものである。
【0014】また本発明燻製装置(請求項3)は、燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、前記燻材を前記燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に前記燻室を配置して、側方から見て全体をL字形に形成し、前記燻材から出た前記煙が該L字形に沿って後方に移動してから前記燻室に導かれるように構成し、前記燻材の上方から前記燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体となる液体或いは固体又は液体及び固体を貯留可能に構成されかつ冷却液体を吸収して保持可能な吸収体を取付け可能に構成した冷却槽を前記燻材置位置の上方に配設し、該冷却槽が前記煙の熱を前記燻室への到達前に奪うと共に前記食材から油分等が前記燻材に滴下することを妨げるように構成してなり、前記液体及び前記固体から生ずる冷気と前記吸収体における前記冷却液体の気化熱による温度降下とを利用して前記煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成し、前記冷却槽の上側かつ前記燻室の手前側の平面部を調理台として利用可能に構成したことを特徴とするものである。
【0015】また本発明燻製装置用食材懸吊部材(請求項4)は、所定角度のV字断面を有し燻製装置の燻室内に両端支持により山形に伏せた状態で転動することなく取付け可能に構成され、食材を懸吊するための穴が長手方向に沿って複数形成されてなることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明する。本発明に係る燻製装置1は、図1から図6、図14から図19において、燻室2内に懸吊された食材3を燻材4の燃焼により生ずる煙5を用いて燻すことができるように構成され、燻材4を燻室2に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材4の位置よりも後方かつ上方に燻室2を配置して、側方から見て全体をL字形に形成し、燻材4から出た煙5を該L字形に沿って後方に移動させてから燻室2に導くように構成されている。
【0017】燻室2は、上下に開口した筒状の上部体6内に形成されており、該上部体6が取り付けられる下部体8内に燻材4を置くようになっている。上部体6は下部体8に対して分離可能に構成されている。
【0018】燻室2には、図1から図6に示すように、食材懸吊部材9の両端を支持して水平に載置するためのアングル材10が、ねじ11により、例えば上下に9段(9対)取り付けられ、各々の段に食材懸吊部材9を載置することで、食材3を多数懸吊できるようになっている。なお、アングル材10の段数はこれに限るものではなく、図示のように5段でもよく、任意である。またアングル材10の上には、食材懸吊部材9だけでなく、金網(図示せず)を載せてもよい。
【0019】上部体6の上端、即ち燻室2の上方は開放されており、また上部体6の手前側には、蝶番12により手前に開閉可能な第1扉21が取り付けられ、上部体6の上側及び手前側から、燻室2内への食材3の出入れができるようになっている。第1扉21には、把手21aが取り付けられ、スナップ錠13が取り付けられている。
【0020】食材3を燻しているときに、煙5を燻室2から逃がさないために、上部体6には蓋14が着脱可能に取り付けられるようになっている。蓋14には把手14aが形成されている。
【0021】下部体8は手前側及び上面後部8aが開放されており、該上面後部8aに上部体6を、燻材4からの煙5が漏れないように嵌合させて取り付けることができるようになっている。このため上部体6には、一対の把手16が取り付けられている。
【0022】下部体8内の上部には、冷却槽15を支持するためのレール18が取り付けられている。燻材置位置は、上部体6の取付け位置よりも手前側となる、下部体8の底部8bである。
【0023】下部体8の手前側の開口部分には、該開口部分を下側の一部分だけ残してその上側を塞ぐことが可能な第2扉22が蝶番19を介して開閉自在に取り付けられている。蝶番19は上側に取り付けられているので、第2扉22は自重により閉じた状態を維持できるようになっている。
【0024】第2扉22を閉じた際には、下部体8内に取り付けられた冷却槽15の手前側は該第2扉22により塞がれた状態となり、下側に残る開口部分は、燻材4を燃焼させるときの空気取入れ口8cとなるように構成されている。
【0025】食材懸吊部材9は、図1、図2、図11から図13に示すように、所定角度のV字断面を有し、燻製装置1の燻室2内に両端支持により山形に伏せた状態で転動することなく取付け可能に構成され、食材3を懸吊するための穴9aが長手方向に沿って複数形成されてなるものであり、例えばステンレス鋼により構成されている。
【0026】食材懸吊部材9は、燻室2内に取り付けられたアングル材10上に山形に伏せて用いるが、穴9aはその頂点となる角部に沿って形成されている。なお、穴9aの位置はその位置に限るものではなく、山形の二辺に形成するようにしてもよい。
【0027】冷却槽15は、図1、図2、図7から図9及び図18に示すように、燻材4の上方から燻室2の下方まで届く奥行きを有すると共に、冷却媒体となる液体の一例たる水23或いは固体の一例たる氷24又は水23及び氷24を貯留可能に構成され、かつ冷却液体(図示せず)を吸収して保持可能な吸収体26を取付け可能に構成したものであって、燻材置位置の上方となる下部体8内のレール18上に着脱自在に配設されるものである。
【0028】冷却槽15は、例えば引出し状に形成されており、手前側に取り付けられた把手15を把持することによって、下部体8内取り付けたり、また該下部体8から取り出すことが容易にできるようになっている。
【0029】冷却槽15は、手前側の上方のみが開口した箱形状に形成され、水23や氷24又は氷嚢25を貯留しておくことができるようになっている。上方に開口していない上面後部15bは、燻製装置1への取付け状態においては、燻室2の下方に位置し、図15に示すように、食材4から滴下する油分等28が水23中に入らないように受け止める部分である。
【0030】冷却槽15の後端部には、多数のスリット15cが下部に形成されたポケット15dが形成されている。該ポケット15dには、冷却液体を吸収して保持している吸収体26を差し込んでおくことができるようになっている。なお、ポケット15dについては、図10に示すように、必ずしも設けなくてもよい。
【0031】冷却槽15の奥行き長さは、図14及び図15等に示すように、下部体8の奥行きよりも短く、取付け状態において冷却槽15の後側に、ある程度の空間29が形成されるようになっている。これは燻剤4からの煙5が該空間29のみを通って燻室2内に入るようにして、冷却効果を高めると共に、油分等28が下部体8の底部8bに直接的に滴下することをなるべく防止するためである。
【0032】なお、下部体8のうち、冷却槽15の上側かつ燻室の手前側の平面部8dは、調理台として利用可能である。
【0033】本発明は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。食材3を燻室2内に懸吊する際には、図1及び図14に示すように、蓋14を取り外してから、食材懸吊部材9をアングル材10上の任意の位置に載置し、該食材懸吊部材9の穴9aに、食材3が取り付けられた、例えばフック30を引掛けるようにする。予め食材3を引掛けておいた食材懸吊部材9を、燻室2内のアングル材10に載置するようにしてもよい。なお、下部体8の平面部8dには物を一時的に置いたり、また該平面部8d上で簡単な仕込み等の調理を行うことができるので、台所から燻製装置1の設置場所が離れている場合にも便利である。
【0034】食材懸吊部材9を山形に伏せた状態で載置することにより、転動することがなくなり、非常に安定した状態で食材3を懸吊することが可能である。
【0035】アングル材10は燻室2内に5段設けられているので、多くの食材3を燻室2内に懸吊しておくことが可能である。食材3として用いるのは、例えばソーセージやハム等の肉類、魚類、卵が代表的である。
【0036】食材3を燻室2内に懸吊する場合には、上方からだけでなく、第1扉21を開くことにより、手前側からも行うことが可能である。特に下段側に食材3を懸吊する場合には、手前側からの方が作業が容易である。
【0037】20cm程度の魚であれば、例えば最上段に9匹、3段目に6匹、5段目に9匹、7段目に6匹、そして9段目に9匹懸吊することにより、計39匹の魚を同時に燻すことが可能である。更に小形の魚であれば、一度で50乃至60匹程度燻すことも可能である。
【0038】ビーフジャーキー(図示せず)をスモークする場合には、アングル材10に金網(図示せず)載置し、該金網にビーフジャーキーを並べるだけで、大量に燻すことができる。チーズ(図示せず)をスモークする場合には、金網の上に、例えば割り箸(図示せず)を並べて、その上にチーズを載置するようにすればよい。
【0039】ここで冷却媒体としての水23が貯留された冷却槽15を、図14に示すように、第2扉22を矢印B方向に開いて、下部体8内のレール18上に、矢印C方向に差し込んでから、図15に示すように、第2扉22を矢印D方向に閉じる。
【0040】燻材4は、下部体8の底部8bのうち、燻室12よりも手前側に載置し、使用者31がマッチ32等を用いて着火する。着火作業は、図14及び図15に示すように、第2扉22を開いた状態の方が行い易い。燻材4が燃焼を始めて煙5が出始めたら、第2扉22を矢印D方向に閉じる。
【0041】外気は空気取入れ口8cから矢印E方向に下部体8内に入り、燻材4を継続的にかつ緩やかに燃焼させる。煙5は当初温度が高いため、上昇して冷却槽15の下面近傍に到達する。ここで冷却槽15の温度は煙5の温度よりも低いので、その冷気によって煙5の熱は次第に奪われる。空気取入れ口8cからは空気が入ってくるので、煙5は熱を奪われながら後方へ進む。
【0042】冷却槽15の後方には燻室2と下部体8内とが連通した空間29があるので、煙5は該空間29を通って燻室2内に入り、食材3を燻す。なお、空間29を煙5が通る際には、冷却槽15の後部に取り付けられた吸収体26の近傍も通ることになる。このとき吸収体26が保持している冷却液体の蒸発に伴う気化熱によって周囲の温度降下が起き、該温度降下によっても煙5の熱が奪われる。
【0043】食材3からは肉汁や油分等28が滴下するが、該油分等28は冷却槽15の上面後部15bの上に落ちるので、該油分等28が下部体8の底部8bや水23中に直接落下することはほとんどない。また油分28等が燻材4上に落ちてしまうと、油分等28の蒸気が発生して食材3の風味を落とすことになるが、燻製装置1が側面から見てL字形に形成され、燻材4と燻室2との前後位置がずれており、しかも冷却槽15が存在することから、燻材4上に油分等28が落ちることはない。これによって非常に良好な状態で食材3を燻すことが可能である。
【0044】所定時間が経過して食材3が燻製品となったら、図16に示すように、蓋14を矢印I方向に取り外し、上段の食材3を矢印J方向に取り出すことができ、また第1扉21を矢印G方向に開き、下段の食材3を矢印H方向に取り出すことができる。
【0045】なお、室温20℃の状態で水23を冷却槽15に入れて5時間(300分)燻材4を燃焼させる試験を行ったところ、燻室2内の温度上昇は±0℃であった。その後冷却槽15を外したところ、70分後に燻室2内の温度が10℃上昇し、30℃となった。ここで再び冷却槽15を取り付けたところ、5分後に燻室2内の温度が5℃低下して25℃となり、24分後に更に1℃低下して24℃となり、30分後に更に3℃低下して21℃となり、そして35分後には更に1℃低下して室温の20℃まで戻った。
【0046】夏場など、周囲の温度が高い場合には、より冷却効果の高い冷却媒体を使用する必要がある。この場合、例えば図17に示すように、冷却媒体として水23と共に氷嚢25を冷却槽15に入れたり、また図18に示すように、水23と共に氷24を冷却槽15に入れることができる。
【0047】冷却槽15に何も貯留しない場合には、図19に示すように、煙5の温度が低下しないまま燻室2内の食材3を燻すことになる。これによって温燻法や熱燻法による燻製品を製造することが可能である。この場合でも、油分等28は冷却槽15により受け止められるので、食材3の風味を最良の状態にすることが可能である。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、上記のように燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、燻材を燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に燻室を配置し、燻材から出た煙が後方に移動してから燻室に導かれるように構成し、燻材の上方から燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体を貯留可能に構成された冷却槽を燻材の上方に配設し、該冷却槽が煙の熱を燻室への到達前に奪うと共に食材から油分等が燻材に滴下することを妨げるように構成し、冷却媒体から生ずる冷気による温度降下を利用して煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成したので、わずかなスペースしか要することなく、熱燻法及び温燻法に加えて冷燻法による燻製まで万能に行うことができるという効果があり、またこの結果大変美味な冷燻法による燻製物を家庭でも容易に製造し、賞味できるようになる効果が得られる。
【0049】また上記構成において、冷却槽に対して冷却液体を吸収して保持可能な吸収体を取付け可能に構成し、該冷却液体の気化熱による温度降下をも利用して煙の熱を奪うように構成したので、煙の熱をより効率的に奪うことができるようになり、燻室内の温度上昇をより効率的に抑制できるという効果がある。
【0050】更には、上記構成において、側方から見て全体をL字形に形成し、燻材から出た煙が該L字形に沿って後方に移動してから燻室に導かれるように構成したので、食材から油分等が燻材に滴下することを妨げることができるようにすることであり、またこれによって油分等の蒸気によって燻製物の風味が落ちたりすることがないようにすることができる効果がある。
【0051】また上記構成において、冷却媒体に液体或いは固体又は液体及び固体を用いたので、気温が低いときは液体のみを冷却媒体として用い、気温が高いときは固体を用いたり、また液体と固体を同時に用いる等、冷却槽の冷却能力を季節に応じて任意に調節できるという効果がある。
【0052】更には、上記構成により、冷却槽の上側かつ燻室の手前側の平面部を調理台として利用可能に構成したので、燻製開始前の食材への種々の処理や燻製後の燻製物の調理等を、燻製装置の上で行うことができ、またこの結果燻製装置の用途的価値を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】燻製装置の分解斜視図である。
【図2】燻製装置の分解斜視図である。
【図3】燻製装置の平面図である。
【図4】燻製装置の部分破断正面図である。
【図5】上部体に対するアングル材の取付け状態及び該アングル材に対する食材懸吊部材の載置状態を示す、拡大縦断面図である。
【図6】燻製装置を右側面から見た場合の縦断面図である。
【図7】冷却槽及び吸収体の斜視図である。
【図8】冷却槽の平面図である。
【図9】冷却槽の背面図である。
【図10】ポケットのない冷却槽の斜視図である。
【図11】食材懸吊部材の斜視図である。
【図12】食材懸吊部材の平面図である。
【図13】食材懸吊部材の縦断面図である。
【図14】水を冷却媒体として用いた冷却槽を取り付け、燻材に着火している状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【図15】燻材からの煙が冷却槽で冷却された後、冷却槽の後側の空間を通って燻室内に入り、食材を燻している状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【図16】燻製加工が終了した後、蓋を外し、また第1扉を開いて、食材を燻室から取り出す状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【図17】冷却槽中の冷却媒体として水及び氷嚢を用いて食材を燻している状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【図18】冷却槽中の冷却媒体として水及び氷を用いて食材を燻している状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【図19】冷却媒体を用いず、温燻法又は熱燻法により食材を燻している状態を示す、燻製装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 燻製装置
2 燻室
3 食材
4 燻材
5 煙
9 食材懸吊部材
9a 穴
15 冷却槽
23 液体の一例たる水
24 固体の一例たる氷
25 固体の一例たる氷嚢
26 吸収体
Claims (4)
- 燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、前記燻材を前記燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に前記燻室を配置し、前記燻材から出た前記煙が後方に移動してから前記燻室に導かれるように構成し、前記燻材の上方から前記燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体を貯留可能に構成された冷却槽を前記燻材の上方に配設し、該冷却槽が前記煙の熱を前記燻室への到達前に奪うと共に前記食材から油分等が前記燻材に滴下することを妨げるように構成してなり、前記冷却媒体から生ずる冷気による温度降下を利用して前記煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成したことを特徴とする燻製装置。
- 燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、前記燻材を前記燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に前記燻室を配置し、前記燻材から出た前記煙が後方に移動してから前記燻室に導かれるように構成し、前記燻材の上方から前記燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体を貯留可能に構成されかつ冷却液体を吸収して保持可能な吸収体を取付け可能に構成した冷却槽を前記燻材置位置の上方に配設し、該冷却槽が前記煙の熱を前記燻室への到達前に奪うと共に前記食材から油分等が前記燻材に滴下することを妨げるように構成してなり、前記冷却媒体から生ずる冷気と前記吸収体における前記冷却液体の気化熱による温度降下とを利用して前記煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成したことを特徴とする燻製装置。
- 燻室内に懸吊された食材を燻材の燃焼により生ずる煙を用いて燻すことができるように構成され熱燻及び温燻可能な燻製装置において、前記燻材を前記燻室に対する前後位置の手前側に置くように構成すると共に、該燻材の位置よりも後方かつ上方に前記燻室を配置して、側方から見て全体をL字形に形成し、前記燻材から出た前記煙が該L字形に沿って後方に移動してから前記燻室に導かれるように構成し、前記燻材の上方から前記燻室の下方まで届く奥行きを有すると共に冷却媒体となる液体或いは固体又は液体及び固体を貯留可能に構成されかつ冷却液体を吸収して保持可能な吸収体を取付け可能に構成した冷却槽を前記燻材置位置の上方に配設し、該冷却槽が前記煙の熱を前記燻室への到達前に奪うと共に前記食材から油分等が前記燻材に滴下することを妨げるように構成してなり、前記液体及び前記固体から生ずる冷気と前記吸収体における前記冷却液体の気化熱による温度降下とを利用して前記煙の熱を奪い冷燻法による燻製ができるように構成し、前記冷却槽の上側かつ前記燻室の手前側の平面部を調理台として利用可能に構成したことを特徴とする燻製装置。
- 所定角度のV字断面を有し燻製装置の燻室内に両端支持により山形に伏せた状態で転動することなく取付け可能に構成され、食材を懸吊するための穴が長手方向に沿って複数形成されてなることを特徴とする燻製装置用食材懸吊部材。
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002171924A Pending JP2004016020A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | 燻製装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004016020A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPWO2017033388A1 (ja) * | 2015-08-27 | 2018-06-14 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 燻煙装置 |
| JP2019517824A (ja) * | 2016-06-06 | 2019-06-27 | ブレイン ブリュー ベンチャーズ 3.0 エルエルシーBrain Brew Ventures 3.0 Llc | 燻製食品および飲料の作成方法 |
| JP2020005607A (ja) * | 2018-07-12 | 2020-01-16 | 日色 晋一 | 冷燻製機 |
| JP2020198895A (ja) * | 2020-09-25 | 2020-12-17 | 日色 晋一 | 冷燻製機 |
-
2002
- 2002-06-12 JP JP2002171924A patent/JP2004016020A/ja active Pending
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPWO2017033388A1 (ja) * | 2015-08-27 | 2018-06-14 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 燻煙装置 |
| JP2019517824A (ja) * | 2016-06-06 | 2019-06-27 | ブレイン ブリュー ベンチャーズ 3.0 エルエルシーBrain Brew Ventures 3.0 Llc | 燻製食品および飲料の作成方法 |
| US12011008B2 (en) | 2016-06-06 | 2024-06-18 | Brain Brew Ventures 3.0, Inc. | Method for creating smoked foods and beverages |
| US12295380B2 (en) | 2016-06-06 | 2025-05-13 | Brain Brew Ventures 3.0, Inc. | Method for creating smoked foods and beverages |
| JP2020005607A (ja) * | 2018-07-12 | 2020-01-16 | 日色 晋一 | 冷燻製機 |
| JP2020198895A (ja) * | 2020-09-25 | 2020-12-17 | 日色 晋一 | 冷燻製機 |
| JP7126717B2 (ja) | 2020-09-25 | 2022-08-29 | 日色 晋一 | 冷燻製機 |
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