JP2004016143A - 水溶性核タンパク質分解物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水溶性、易消化性などを兼備し、かつ核タンパク質本来の食餌効果を保持した水溶性核タンパク質分解物の製造方法を提供する。
【解決手段】核タンパク質を、トリプシン主体のプロテアーゼを用いる加水分解およびヌクレアーゼを用い60〜75℃で行う加水分解で処理して、分子量が1000〜3000である画分を50〜70%含有する程度まで低分子化することを特徴とする水溶性核タンパク質分解物の製造方法。前記核タンパク質は好ましくは、魚類、例えば鮭、鱒、鰊または鱈の白子から得られる。また前記水溶性核タンパク質分解物の水溶性は、水溶性核タンパク質分解物の8重量%水溶液が常温および波長380nmで10mm層当り2.0以下の吸光度を示す程度である。
【選択図】 なし
【解決手段】核タンパク質を、トリプシン主体のプロテアーゼを用いる加水分解およびヌクレアーゼを用い60〜75℃で行う加水分解で処理して、分子量が1000〜3000である画分を50〜70%含有する程度まで低分子化することを特徴とする水溶性核タンパク質分解物の製造方法。前記核タンパク質は好ましくは、魚類、例えば鮭、鱒、鰊または鱈の白子から得られる。また前記水溶性核タンパク質分解物の水溶性は、水溶性核タンパク質分解物の8重量%水溶液が常温および波長380nmで10mm層当り2.0以下の吸光度を示す程度である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、特に魚類の白子中に含まれる核タンパク質から水可溶性かつ易消化性の水溶性核タンパク質分解物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)はあらゆる生物細胞中に存在し、生物の遺伝情報を保存している高分子化合物である。これらの核酸の構成成分であるヌクレオチドは、生物のエネルギー源であるATP、代謝調整物質であるcAMPおよびcGMP、並びに補酵素であるNADおよびFADの構成成分でもあり、生命活動において重要な役割を果たしている。にもかかわらず、核酸の栄養学的価値は最近まで殆ど注目されていなかった。しかし、1980年代になって、核酸またはヌクレオチドの摂取が生物の健康状態の増進に役立つという報告が数多く行われ、近年では核酸は第7の栄養素であるとまで言われつつある。
【0003】
ところで、魚類の白子はプロタミンと核酸からなる核タンパク質を多量に含み、調味料等を製造する原料として従来から使用されている(特開平1−222755公報、特開平9−31093号公報等)。またプロタミンは大部分がアルギニンから構成され、そしてアルギニンは老化防止、腎不全、肝不全、アレルギー抑制等について優れた効果を有することが報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら核タンパク質は、その優れた食効にもかかわらず、健康食品の成分として有効に利用されていなかった。その理由は、核タンパク質が高分子量の核酸とペプチドからなるためである。高分子量の核タンパク質は水に溶け難く、製剤の剤型が錠剤、顆粒剤、カプセル剤等に限定されてしまう。また、老人、小児、消化器系に問題のある患者が摂取した場合、十分な消化・吸収を行うことができない惧れがある。
【0005】
核タンパク質を水可溶性および易消化性とするために、化学反応を用いて核タンパク質を加水分解し、核酸およびペプチドを低分子化することが考えられ得る。けれども、このような方法により低分子化した核タンパク質は、その構成単位であるモノヌクレオチドまたはアミノ酸にまで過度に低分子化されて、核酸およびペプチドが有する本来の優れた効果が消失してしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、核タンパク質をその優れた食効が消失することなく、水に溶解し、効果的な消化・吸収が可能な形態とする方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明者等は核タンパク質の酵素反応による低分子化について詳細な研究を遂行した。該研究では、反応条件を様々に変化させて低分子化を行い、そして得られた分解物の性質、特に分子量分布について評価した。その結果、低分子化に用いるプロテアーゼの種類およびヌクレアーゼによる処理の際の温度が分解物の特性に大きな影響を与えることを見出し、そしてトリプシンを主成分とするプロテアーゼを用い、かつヌクレアーゼ処理を60〜75℃で行ったときに、優れた特性の核タンパク質分解物が得られることを見出して本発明を完成させた。
【0008】
従って、本発明の請求項1に係る水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、核タンパク質を、トリプシン主体のプロテアーゼを用いる加水分解およびヌクレアーゼを用い60〜75℃で行う加水分解で処理して、分子量が1000〜3000である画分を50〜70%含有する程度まで低分子化することを特徴とする。本発明では、核タンパク質をプロテアーゼおよびヌクレアーゼで加水分解し、得られる分解物中における1000〜3000の分子量を有する画分の含有率が60%以上とすることにより、水可溶性および易消化性を兼ね備え、そして核タンパク質が本来有する優れた食効が消失していない水溶性核タンパク質分解物を製造することができる。
【0009】
本発明の請求項2に係る水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、前記核タンパク質は魚類の白子から得られることを特徴とする。
本発明では、核タンパク質を多量に含む魚類の白子を原料とすることにより、高品質の水溶性核タンパク質分解物を大量に製造することができる。
【0010】
本発明の請求項3に係る水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、請求項2記載の製造方法において、前記魚類は、鮭、鱒、鰊および鱈からなる群より選択されることを特徴とする。
本発明では、従来はその一部が食用に使用されるのみで、大部分は利用されることなく廃棄されていた鮭、鱒、鰊および鱈の白子より水溶性核タンパク質分解物を製造することにより、製造コストを低減することができる。
【0011】
本発明の請求項4に係る水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、始めにプロテアーゼで加水分解し、続いてヌクレアーゼで加水分解することを特徴とする。
本発明では、プロテアーゼ、ヌクレアーゼの順で核タンパクを加水分解することにより、より良い効率で核酸およびペプチドの低分子化を行うことができる。
【0012】
本発明の請求項5に係る水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、該水溶性核タンパク質分解物の8重量%水溶液が常温および波長380nmで10mm層当り2.0以下の吸光度を示す程度であることを特徴とする。
本発明では、得られる水溶性核タンパク質分解物の溶解度を上記の程度とすることにより、製剤としたときに、所望の食効を発揮するに十分な量の水溶性核タンパク質分解物を水中に溶解させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、核タンパク質をプロテアーゼおよびヌクレアーゼで加水分解して、分子量が1000〜3000である画分が、分解物全体に基づいて50〜70%となる程度まで低分子化する。好ましい水溶性核タンパク質分解物は、分解物を分子量により分画した場合、30%以下の分子量1000以下の画分、および10%以下の分子量3000以上の画分を含み、そして分子量1000〜3000の画分が60%程度のものである。分子量10000以上の画分は含まないことがさらに好ましい。
【0014】
元来、核タンパク質を構成する核酸およびペプチドは高分子量のため水不溶性であるが、上記のように低分子化することにより水可溶性となり、ドリンク剤等の広い用途に用いることができ、また消化吸収力が弱い人にも有効に使用することが可能となる。しかしながら、核酸およびタンパク質を際限無しに低分子化すると、最終的にはモノヌクレオチドおよびアミノ酸にまで分解されてしまい、本来の核タンパク質が有する食効が失われる。従って、本発明の製造方法では、上記のように低分子化の程度を制限する。このような処理により、核タンパク質を、本来の食効を保ったまま水に可溶で、かつ消化が容易な状態にすることができる。なお、分解物の分子量分布の測定は、GPCで試料を分子量に基づいて分別した後にUV検出器によって定量することにより、容易に行うことができる。
【0015】
本発明の水溶性核タンパク質分解物の原料は、好ましくは魚類の白子から得られる。魚類の精子はアルギニンを主な構成成分とするタンパク質であるプロタミンを多く含み、そしてプロタミンを分解して得られるオリゴペプチドは、老化防止、腎不全、肝不全、アレルギー抑制、美肌作用等の優れた効果を示すことが知られている。従って、本発明の製造方法において魚類の白子を原料とすることにより、プロタミン由来の効果を備えた製品を得ることができる。該魚類とは例えば鮭、鰊、鱒、鱈等であり、これらの白子から皮、筋、血管等を除去した後、精製して油分を除き、続いてプロテアーゼおよびヌクレアーゼでの処理を行う。
【0016】
本発明で用いるプロテアーゼはトリプシンを主体とするものである。トリプシンは高い特異性を有するセリンプロテアーゼであり、アルギニンおよびリジンのカルボキシル側でペプチド結合を選択的に加水分解するので、アルギニンを多く含むプロタミンの加水分解に適している。また本発明で用いるプロテアーゼは、トリプシンに加えて、他のプロテアーゼ、例えばキモトリプシン等を含むこともできる。良好なプロテアーゼとしては、ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社製のプロテアーゼを挙げることができる。
【0017】
本発明で用いるヌクレアーゼは、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)の3,5’−ホスホジエステル結合を加水分解し、オリゴ体重合の5’−ヌクレオチドを生成する。該プロテアーゼの性質について特に制限はないが、ある程度の熱安定性を備えることが好ましい。このようなヌクレアーゼは、例えば天野製薬株式会社、シグマ社等から市販で入手可能である。
【0018】
ヌクレアーゼでの加水分解において重要なのは反応を行う温度である。反応温度は60〜75℃の範囲内でなければならず、70℃が最も好ましい。該温度範囲より低い温度で反応を行うと、核タンパク質の低分子化が十分に進行せず分解物が水溶性とならない。一方、該温度範囲より高い温度で反応を行うと、低分子化が過度に進行して核タンパク質の優れた効果が失われる惧れがある。
【0019】
核タンパク質を加水分解する際のプロテアーゼ処理およびヌクレアーゼ処理の順序については特に制限はないが、始めにプロテアーゼで処理し、続いてヌクレアーゼで処理することが、作業上の都合および得られる最終生成物の品質の観点より好ましい。
【0020】
こうして製造した水溶性核タンパク質分解物はドリンク剤等に製剤するに十分な水溶性を有するが、該水溶性の目安としては、水溶性核タンパク質分解物の8重量%水溶液が常温および波長380nmで10mm層当り2.0以下の吸光度を示す程度である。1.8〜1.5の範囲内となることが好ましい。380nmの波長を有する光線は可視光線に含まれ、人間の目に色彩を感じさせることができる波長の光線である。従って、本発明により得られた水溶性核タンパク質分解物を少なくとも8重量%溶解させた水溶液は常温で清澄となる。この程度の水溶性が達成されれば、水溶性核タンパク質分解物はドリンク剤等に製剤した場合に所望の効果を奏するに十分な濃度で水中に溶解することができる。
【0021】
本発明の製造方法により得られた水溶性核タンパク質分解物は、栄養食品、機能性食品、健康食品、一般食品等の食品の他、化粧品の有効成分としても使用することができる。また剤型としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤の他、水溶性を有するためドリンク剤、流動食、溶液等として用いることができる。
【0022】
こうして得られた水溶性核タンパク質分解物は、核酸由来のオリゴヌクレオチドによる効果、およびペプチド由来のオリゴペプチドによる効果を兼備する。従ってこれを摂取することにより、健康状態の増進、老化防止、腎不全、肝不全、アレルギー抑制、生活習慣病の予防と改善等に効果がある。また化粧品の有効成分とした場合には、美肌、皮脂分泌コントロール、表皮細胞賦活化等の効果を奏することができる。
【0023】
【実施例】
以下の例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0024】
実施例1:水溶性核タンパク質分解物の製造
1. 鮭白子の前処理
冷凍した鮭白子1000g(含水率:78.8%)を解凍し、血抜きおよび水洗を行った。水切りした後、白子の2.5倍量である水2500gと共に粗砕して懸濁液を得た。得られた懸濁液のpHは6.9であった。
2. 核タンパク質のプロテアーゼ処理
上記の懸濁液を50℃に昇温した後、白子の0.1%であるプロテアーゼ[ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社製、PYN3.0S、主成分:ブタ膵臓からのトリプシン、微量のキモトリプシンを含む。]1gを添加し、攪拌しながら4時間反応させた。反応の間、反応液のpHを6.0〜6.3に保持した。反応の間には加熱を行わず、4時間経過後の反応液の温度は44.7℃に低下した。反応終了後、反応液の温度を70℃に昇温してプロテアーゼを失活させた。この処理により、核タンパク質のペプチド部分はその大部分が低分子化され、反応液の粘度は安定であった。
3. 核タンパク質のヌクレアーゼ処理
70℃の温度の反応液に、白子の0.1%であるヌクレアーゼ[天野製薬株式会社製、ヌクレアーゼ「アマノ」、Penicillium citrinum菌より単離。]1gを添加し、攪拌しながら4時間反応させた。反応の間、反応液のpHを5.0〜5.5に保持した。反応終了後、反応液の温度を85℃に昇温してヌクレアーゼを失活させた。この処理により、核タンパク質の核酸部分はその大部分が低分子化され、反応液の粘度は安定であった。
4. 水溶性核タンパク質分解物の回収
反応液を35℃に冷却し、pHを7.0に調節した。反応液を連続的にデカンターに送液してその上澄液を分離し、分離した上澄液をスプレードライヤーにて噴霧して乾燥し、粉末状の水溶性核タンパク質分解物130gを得た。
得られた水溶性核タンパク質分解物の組成を表1に示す。
【表1】
【0025】
実施例2:水溶性核タンパク質分解物を配合した健康増進飲料の製造
表2に示す成分を配合し、水溶性核タンパク質分解物を含む健康増進飲料を製造した。
【表2】
【0026】
【発明の効果】
本発明の水溶性核タンパク質分解物の製造方法では、核タンパク質をプロテアーゼおよびヌクレアーゼで加水分解して、分子量が1000〜3000である画分が50〜70%である程度まで低分子化することにより、水溶性、易消化性等を兼備し、かつ核タンパク質が本来有する優れた食効が消失していない核タンパク質の分解物を製造することができる。こうして得られた分解物は、食品、化粧品等の有効成分として用いると様々な優れた効果を発揮する。
【発明が属する技術分野】
本発明は、特に魚類の白子中に含まれる核タンパク質から水可溶性かつ易消化性の水溶性核タンパク質分解物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)はあらゆる生物細胞中に存在し、生物の遺伝情報を保存している高分子化合物である。これらの核酸の構成成分であるヌクレオチドは、生物のエネルギー源であるATP、代謝調整物質であるcAMPおよびcGMP、並びに補酵素であるNADおよびFADの構成成分でもあり、生命活動において重要な役割を果たしている。にもかかわらず、核酸の栄養学的価値は最近まで殆ど注目されていなかった。しかし、1980年代になって、核酸またはヌクレオチドの摂取が生物の健康状態の増進に役立つという報告が数多く行われ、近年では核酸は第7の栄養素であるとまで言われつつある。
【0003】
ところで、魚類の白子はプロタミンと核酸からなる核タンパク質を多量に含み、調味料等を製造する原料として従来から使用されている(特開平1−222755公報、特開平9−31093号公報等)。またプロタミンは大部分がアルギニンから構成され、そしてアルギニンは老化防止、腎不全、肝不全、アレルギー抑制等について優れた効果を有することが報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら核タンパク質は、その優れた食効にもかかわらず、健康食品の成分として有効に利用されていなかった。その理由は、核タンパク質が高分子量の核酸とペプチドからなるためである。高分子量の核タンパク質は水に溶け難く、製剤の剤型が錠剤、顆粒剤、カプセル剤等に限定されてしまう。また、老人、小児、消化器系に問題のある患者が摂取した場合、十分な消化・吸収を行うことができない惧れがある。
【0005】
核タンパク質を水可溶性および易消化性とするために、化学反応を用いて核タンパク質を加水分解し、核酸およびペプチドを低分子化することが考えられ得る。けれども、このような方法により低分子化した核タンパク質は、その構成単位であるモノヌクレオチドまたはアミノ酸にまで過度に低分子化されて、核酸およびペプチドが有する本来の優れた効果が消失してしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、核タンパク質をその優れた食効が消失することなく、水に溶解し、効果的な消化・吸収が可能な形態とする方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明者等は核タンパク質の酵素反応による低分子化について詳細な研究を遂行した。該研究では、反応条件を様々に変化させて低分子化を行い、そして得られた分解物の性質、特に分子量分布について評価した。その結果、低分子化に用いるプロテアーゼの種類およびヌクレアーゼによる処理の際の温度が分解物の特性に大きな影響を与えることを見出し、そしてトリプシンを主成分とするプロテアーゼを用い、かつヌクレアーゼ処理を60〜75℃で行ったときに、優れた特性の核タンパク質分解物が得られることを見出して本発明を完成させた。
【0008】
従って、本発明の請求項1に係る水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、核タンパク質を、トリプシン主体のプロテアーゼを用いる加水分解およびヌクレアーゼを用い60〜75℃で行う加水分解で処理して、分子量が1000〜3000である画分を50〜70%含有する程度まで低分子化することを特徴とする。本発明では、核タンパク質をプロテアーゼおよびヌクレアーゼで加水分解し、得られる分解物中における1000〜3000の分子量を有する画分の含有率が60%以上とすることにより、水可溶性および易消化性を兼ね備え、そして核タンパク質が本来有する優れた食効が消失していない水溶性核タンパク質分解物を製造することができる。
【0009】
本発明の請求項2に係る水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、前記核タンパク質は魚類の白子から得られることを特徴とする。
本発明では、核タンパク質を多量に含む魚類の白子を原料とすることにより、高品質の水溶性核タンパク質分解物を大量に製造することができる。
【0010】
本発明の請求項3に係る水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、請求項2記載の製造方法において、前記魚類は、鮭、鱒、鰊および鱈からなる群より選択されることを特徴とする。
本発明では、従来はその一部が食用に使用されるのみで、大部分は利用されることなく廃棄されていた鮭、鱒、鰊および鱈の白子より水溶性核タンパク質分解物を製造することにより、製造コストを低減することができる。
【0011】
本発明の請求項4に係る水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、始めにプロテアーゼで加水分解し、続いてヌクレアーゼで加水分解することを特徴とする。
本発明では、プロテアーゼ、ヌクレアーゼの順で核タンパクを加水分解することにより、より良い効率で核酸およびペプチドの低分子化を行うことができる。
【0012】
本発明の請求項5に係る水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、該水溶性核タンパク質分解物の8重量%水溶液が常温および波長380nmで10mm層当り2.0以下の吸光度を示す程度であることを特徴とする。
本発明では、得られる水溶性核タンパク質分解物の溶解度を上記の程度とすることにより、製剤としたときに、所望の食効を発揮するに十分な量の水溶性核タンパク質分解物を水中に溶解させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の水溶性核タンパク質分解物の製造方法は、核タンパク質をプロテアーゼおよびヌクレアーゼで加水分解して、分子量が1000〜3000である画分が、分解物全体に基づいて50〜70%となる程度まで低分子化する。好ましい水溶性核タンパク質分解物は、分解物を分子量により分画した場合、30%以下の分子量1000以下の画分、および10%以下の分子量3000以上の画分を含み、そして分子量1000〜3000の画分が60%程度のものである。分子量10000以上の画分は含まないことがさらに好ましい。
【0014】
元来、核タンパク質を構成する核酸およびペプチドは高分子量のため水不溶性であるが、上記のように低分子化することにより水可溶性となり、ドリンク剤等の広い用途に用いることができ、また消化吸収力が弱い人にも有効に使用することが可能となる。しかしながら、核酸およびタンパク質を際限無しに低分子化すると、最終的にはモノヌクレオチドおよびアミノ酸にまで分解されてしまい、本来の核タンパク質が有する食効が失われる。従って、本発明の製造方法では、上記のように低分子化の程度を制限する。このような処理により、核タンパク質を、本来の食効を保ったまま水に可溶で、かつ消化が容易な状態にすることができる。なお、分解物の分子量分布の測定は、GPCで試料を分子量に基づいて分別した後にUV検出器によって定量することにより、容易に行うことができる。
【0015】
本発明の水溶性核タンパク質分解物の原料は、好ましくは魚類の白子から得られる。魚類の精子はアルギニンを主な構成成分とするタンパク質であるプロタミンを多く含み、そしてプロタミンを分解して得られるオリゴペプチドは、老化防止、腎不全、肝不全、アレルギー抑制、美肌作用等の優れた効果を示すことが知られている。従って、本発明の製造方法において魚類の白子を原料とすることにより、プロタミン由来の効果を備えた製品を得ることができる。該魚類とは例えば鮭、鰊、鱒、鱈等であり、これらの白子から皮、筋、血管等を除去した後、精製して油分を除き、続いてプロテアーゼおよびヌクレアーゼでの処理を行う。
【0016】
本発明で用いるプロテアーゼはトリプシンを主体とするものである。トリプシンは高い特異性を有するセリンプロテアーゼであり、アルギニンおよびリジンのカルボキシル側でペプチド結合を選択的に加水分解するので、アルギニンを多く含むプロタミンの加水分解に適している。また本発明で用いるプロテアーゼは、トリプシンに加えて、他のプロテアーゼ、例えばキモトリプシン等を含むこともできる。良好なプロテアーゼとしては、ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社製のプロテアーゼを挙げることができる。
【0017】
本発明で用いるヌクレアーゼは、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)の3,5’−ホスホジエステル結合を加水分解し、オリゴ体重合の5’−ヌクレオチドを生成する。該プロテアーゼの性質について特に制限はないが、ある程度の熱安定性を備えることが好ましい。このようなヌクレアーゼは、例えば天野製薬株式会社、シグマ社等から市販で入手可能である。
【0018】
ヌクレアーゼでの加水分解において重要なのは反応を行う温度である。反応温度は60〜75℃の範囲内でなければならず、70℃が最も好ましい。該温度範囲より低い温度で反応を行うと、核タンパク質の低分子化が十分に進行せず分解物が水溶性とならない。一方、該温度範囲より高い温度で反応を行うと、低分子化が過度に進行して核タンパク質の優れた効果が失われる惧れがある。
【0019】
核タンパク質を加水分解する際のプロテアーゼ処理およびヌクレアーゼ処理の順序については特に制限はないが、始めにプロテアーゼで処理し、続いてヌクレアーゼで処理することが、作業上の都合および得られる最終生成物の品質の観点より好ましい。
【0020】
こうして製造した水溶性核タンパク質分解物はドリンク剤等に製剤するに十分な水溶性を有するが、該水溶性の目安としては、水溶性核タンパク質分解物の8重量%水溶液が常温および波長380nmで10mm層当り2.0以下の吸光度を示す程度である。1.8〜1.5の範囲内となることが好ましい。380nmの波長を有する光線は可視光線に含まれ、人間の目に色彩を感じさせることができる波長の光線である。従って、本発明により得られた水溶性核タンパク質分解物を少なくとも8重量%溶解させた水溶液は常温で清澄となる。この程度の水溶性が達成されれば、水溶性核タンパク質分解物はドリンク剤等に製剤した場合に所望の効果を奏するに十分な濃度で水中に溶解することができる。
【0021】
本発明の製造方法により得られた水溶性核タンパク質分解物は、栄養食品、機能性食品、健康食品、一般食品等の食品の他、化粧品の有効成分としても使用することができる。また剤型としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤の他、水溶性を有するためドリンク剤、流動食、溶液等として用いることができる。
【0022】
こうして得られた水溶性核タンパク質分解物は、核酸由来のオリゴヌクレオチドによる効果、およびペプチド由来のオリゴペプチドによる効果を兼備する。従ってこれを摂取することにより、健康状態の増進、老化防止、腎不全、肝不全、アレルギー抑制、生活習慣病の予防と改善等に効果がある。また化粧品の有効成分とした場合には、美肌、皮脂分泌コントロール、表皮細胞賦活化等の効果を奏することができる。
【0023】
【実施例】
以下の例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0024】
実施例1:水溶性核タンパク質分解物の製造
1. 鮭白子の前処理
冷凍した鮭白子1000g(含水率:78.8%)を解凍し、血抜きおよび水洗を行った。水切りした後、白子の2.5倍量である水2500gと共に粗砕して懸濁液を得た。得られた懸濁液のpHは6.9であった。
2. 核タンパク質のプロテアーゼ処理
上記の懸濁液を50℃に昇温した後、白子の0.1%であるプロテアーゼ[ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社製、PYN3.0S、主成分:ブタ膵臓からのトリプシン、微量のキモトリプシンを含む。]1gを添加し、攪拌しながら4時間反応させた。反応の間、反応液のpHを6.0〜6.3に保持した。反応の間には加熱を行わず、4時間経過後の反応液の温度は44.7℃に低下した。反応終了後、反応液の温度を70℃に昇温してプロテアーゼを失活させた。この処理により、核タンパク質のペプチド部分はその大部分が低分子化され、反応液の粘度は安定であった。
3. 核タンパク質のヌクレアーゼ処理
70℃の温度の反応液に、白子の0.1%であるヌクレアーゼ[天野製薬株式会社製、ヌクレアーゼ「アマノ」、Penicillium citrinum菌より単離。]1gを添加し、攪拌しながら4時間反応させた。反応の間、反応液のpHを5.0〜5.5に保持した。反応終了後、反応液の温度を85℃に昇温してヌクレアーゼを失活させた。この処理により、核タンパク質の核酸部分はその大部分が低分子化され、反応液の粘度は安定であった。
4. 水溶性核タンパク質分解物の回収
反応液を35℃に冷却し、pHを7.0に調節した。反応液を連続的にデカンターに送液してその上澄液を分離し、分離した上澄液をスプレードライヤーにて噴霧して乾燥し、粉末状の水溶性核タンパク質分解物130gを得た。
得られた水溶性核タンパク質分解物の組成を表1に示す。
【表1】
【0025】
実施例2:水溶性核タンパク質分解物を配合した健康増進飲料の製造
表2に示す成分を配合し、水溶性核タンパク質分解物を含む健康増進飲料を製造した。
【表2】
【0026】
【発明の効果】
本発明の水溶性核タンパク質分解物の製造方法では、核タンパク質をプロテアーゼおよびヌクレアーゼで加水分解して、分子量が1000〜3000である画分が50〜70%である程度まで低分子化することにより、水溶性、易消化性等を兼備し、かつ核タンパク質が本来有する優れた食効が消失していない核タンパク質の分解物を製造することができる。こうして得られた分解物は、食品、化粧品等の有効成分として用いると様々な優れた効果を発揮する。
Claims (5)
- 核タンパク質を、トリプシン主体のプロテアーゼを用いる加水分解およびヌクレアーゼを用い60〜75℃で行う加水分解で処理して、分子量が1000〜3000である画分を50〜70%含有する程度まで低分子化することを特徴とする水溶性核タンパク質分解物の製造方法。
- 前記核タンパク質は魚類の白子から得られることを特徴とする、請求項1記載の水溶性核タンパク質分解物の製造方法。
- 前記魚類は、鮭、鱒、鰊および鱈からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1記載の水溶性核タンパク質分解物の製造方法。
- 始めにプロテアーゼで加水分解し、続いてヌクレアーゼで加水分解することを特徴とする、請求項1記載の水溶性核タンパク質分解物の製造方法。
- 前記水溶性核タンパク質分解物の水溶性は、該水溶性核タンパク質分解物の8重量%水溶液が常温および波長380nmで10mm層当り2.0以下の吸光度を示す程度であることを特徴とする、請求項1記載の水溶性核タンパク質分解物の製造方法。
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