JP2004016560A - 清掃用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】台所周りでの油汚れの洗浄に用いる安全性と、汚れ落とし性、拭き残り、手触りに優れた使用感を備えた清掃用シートの提供。
【解決手段】炭素数が8から22である脂肪酸のトリグリセリン脂肪酸モノエステル比率が50重量%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを1〜10重量%、炭素数が8から12である脂肪酸の少なくとも1つとグリセリンからなるグリセリンモノ脂肪酸エステルを0.1〜3.0重量%含む薬液が不織布に付与されていることを特徴とする清掃用シート。
【選択図】 選択図なし
【解決手段】炭素数が8から22である脂肪酸のトリグリセリン脂肪酸モノエステル比率が50重量%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを1〜10重量%、炭素数が8から12である脂肪酸の少なくとも1つとグリセリンからなるグリセリンモノ脂肪酸エステルを0.1〜3.0重量%含む薬液が不織布に付与されていることを特徴とする清掃用シート。
【選択図】 選択図なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は清掃用シートに関する。更に詳しくは台所周辺や台所用品の油汚れを清掃するのに適した洗浄性、安全性、優れた使用感を兼ね備えた清掃用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
調理によって飛び散った油汚れや、それが酸化して固着した油汚れは、一般家庭や、調理厨房で清掃しにくい汚れの一つであり、一般に界面活性剤、アルカリ剤、溶剤を配合した洗浄剤が用いられていたり、洗浄液を紙製のシートに含浸させたウエットクリーナーが使用されたりしている。同時に、台所や厨房周りでは食生活の安全性を保つために汚れの洗浄とともに、より安全性の高い洗浄剤が求められている。
【0003】
従来より人体洗浄用や、食品、食品容器の洗浄作業用に、安全性の高い洗浄剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルが使用されており、たとえば、特開平9−217088号公報にはモノエステル体の含有量の高いポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが頭髪の洗浄用に有効であることが開示されている。また、特開2002−248192号公報には安全性の高い洗浄剤組成物として主としてトリグリセリンの脂肪酸エステルからなる洗浄剤組成物の例が開示されている。しかしながら、油で汚れた台所の周辺、たとえば、壁、ガスレンジ、カウンター、あるいは、台所家電用品、たとえば、冷蔵庫や、炊飯器に付着した油汚れの清掃に適した清掃用具についてはなんら開示されていない。
【0004】
一方、清掃用具の一つとして洗浄成分を不織布等の布帛に含浸させた清掃用シートが知られているが、従来からその製造工程や使用時において落下菌等、空気中に存在する細菌類やカビ等の真菌類が混入し、これらが保管中に基材である不織布上で繁殖することがある。この状態で清拭操作を行うと拭き取り面をかえって汚染してしまうという問題点があった。このため、以前からウエットティッシュにはパラベン等が添加され、基材上で細菌類やカビ等の真菌類の繁殖を防止していた。しかしながら、パラベンは、細菌類やカビ等の真菌類の繁殖抑制効果が高いものの、消費者の安全意識が高まるにつれて、より安全性が高く、繁殖抑制効果が高い薬剤が求められていた。パラベンを使用せずに細菌類やカビ等の真菌類の繁殖を抑制するには、通常のウエットティッシュに除菌剤や殺菌剤、速乾剤として使用されるアルコールの濃度を高くすることが考えられる。しかし、アルコール濃度が高いと、皮膚が弱い人が使用した場合、皮脂を必要以上に除去し、手荒れを起こしたり、刺激臭が強かったりと言う問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は安全性が高く、台所周りの油汚れの洗浄の効果が高く、かつ、優れた使用感を兼ね備えた清掃用シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルと、特定のグリセリン脂肪酸エステルからなる薬液を含む清掃用シートが上記の課題を解決することを見いだし、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、
(1)炭素数が8から22である脂肪酸のトリグリセリン脂肪酸モノエステル比率が50重量%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを1〜10重量%、炭素数が8から12である脂肪酸の少なくとも1つとグリセリンからなるグリセリンモノ脂肪酸エステルを0.1〜3.0重量%含む薬液が不織布に付与されている清掃用シート、(2)薬液が、さらにエタノールを1〜30重量%含む(1)に記載の清掃用シート、および、(3)不織布の拭き取り面の面積率20%以上が、単糸径0.2〜5.0μmの繊維である極細繊維を含む素材である(1)または(2)に記載の清掃用シートである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、特にその好ましい実施態様を中心に、詳細に説明する。
本発明の洗浄成分として用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸とポリグリセリンと反応物からなり、脂肪酸の炭素数は、8から22の範囲である。直鎖状、分岐状および、飽和、不飽和の脂肪酸の中から、1種、または、2種以上の混合物を用いることができる。例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸などが挙げられる。脂肪酸の炭素数が22を越えると粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になり、一方、炭素数が8未満では、十分な洗浄効果が得られないと同時に特有の臭気を発生し、本発明の使用には適さない。
【0008】
また、ポリグリセリン脂肪酸エステル中にはポリグリセリンの縮合度が3のポリグリセリンと脂肪酸のモノエステル比率が50重量%のものが用いられる。このようなポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有量の高いポリグリセリン脂肪酸エステルは、例えば特開平9−217088号公報に記載のように、グリシドールと脂肪酸との付加重合によって得ても良いし、特開2002−60783号公報に記載のように、あらかじめポリグリセリン中のトリグリセリン含有量を、減圧蒸留や、分子蒸留などの定法により高めたポリグリセリンと脂肪酸を反応させた後、減圧蒸留や、分子蒸留などの定法によりさらに、分取することによって得てもよい。トリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が50重量%未満では、反応後のポリグリセリン脂肪酸エステルに十分な洗浄力が得られない。なお、トリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定される。
【0009】
本発明の清掃用シートに含まれる薬液にはポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが1〜10重量%含有されなければならない。1重量%未満では十分な洗浄作用が得られず、一方、10重量%以上では、洗浄液の泡立ちが多かったり、洗浄液のぬめり感が高すぎたりして、好ましくない。
次に、本発明に用いられるグリセリンモノ脂肪酸エステルについて説明する。グリセリンモノ脂肪酸エステルは、食品添加物として広く安全性が高いことが知られており、本発明では清掃用シートの防かび性を付与するために加えられる。炭素数が8から12である脂肪酸のグリセリンモノエステルが用いられる。炭素数が8未満では防腐効果が小さく、一方12を越えると泡立ちが大きくなり好ましくない。また、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、0.1から3重量%の範囲で用いられる。0.1重量%未満では十分な防腐効果が得られず、一方、3.0重量%を越えると、洗浄液の泡立ちやぬめり感が高すぎたり、溶解性が悪くなったりして好ましくない。
【0010】
本発明の清掃用シートに含まれる薬液には、手触りと、拭き残りをさらに良好に保つために1から30重量%のエタノールを含有させることが好ましい。手触りや、拭き残りの改良の点で1重量%以上、アルコール特有の臭気を抑制する観点から30重量%以下が好ましい。
次に、本発明に用いられる不織布について説明する。本発明に用いられる不織布の素材は限定されるものではない。例えば、コットン、ビスコースレーヨン、キュプラレーヨン等のセルロース系の繊維素材、アクリル、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等の合成繊維系の素材等が用途に応じて用いられる。また、これらの素材が混合されていてもよい。素材の混合の状態も限定されず、繊維同士が混合されていてもよいし、層状に複合されていてもよい。
【0011】
また、本発明における不織布を構成する繊維の繊度も特に限定されないが、拭き取り面が極細繊維を含む素材で不織布を構成すれば、清掃用シートの表面積が増加し、拭き取り性が向上するので好ましい。特にアクリル系の割繊、フィブリル化した超極細繊維を用いれば、拭き取り性も向上し、親水性も向上するのでより好ましい。
ここで、拭き取り面が極細繊維を含む素材のなかでも拭き取り面となる不織布表面のうち、面積率20%以上が単糸径0.2〜5.0μmの繊維であることが好ましい。単糸径が5μm以下であれば油分や固形汚れ等の拭き取り効果に優れ、0.2μm以上であれば摩擦による単繊維の切断を抑えることができる。より好ましくは面積率40%以上が単糸径0.3〜4.0μmの繊維であり、最も好ましくは面積率60%以上が単糸径0.35〜3.5μmの繊維である。ここでいう単糸径とは、単繊維の断面が円状の場合の直径をいい、断面が楕円状の場合は長径を、扁平の場合は最大幅がこれに相当する。面積率は数式(1)で与えられる。
面積率(%)=(単糸径が所定範囲である繊維が拭き取り面に占める面積)×100/(拭き取り面に占める全繊維の面積) (1)
【0012】
本発明の清掃用シートに用いる不織布の目付は15〜200g/m2が好ましい。不織布の目付が15g/m2未満では、清拭中に不織布が破れることがある。また、目付が200g/m2を越えると、不織布が地厚となりすぎて拭き取り面へ沿いにくくなり、拭き取り性が低下することがある。
清掃用シートの製法としては、一般に用いられているように、一定のサイズにカットし、これに、上記の薬液を一定量含浸させることで作製すればよい。含浸量としては不織布シートに対して、(薬液の重量)/(不織布シートの重量)が1.0〜3.0であることが好ましい。洗浄性の点で含浸量比は1.0以上、薬液が拭き跡として残るのを防止する点で含浸量比は3.0以下が好ましい。
なお、本願の清掃用シートには、本願の効果を損なわない範囲で他の防腐剤、香料等を添加することができる。
【0013】
本発明について、実施例に基づいて以下具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例でなんら制限されるものではない。
なお、汚れ落とし性、拭き残り性、手触り、防カビ性の評価は下記に示す方法で行った。
(1)汚れ落とし性
市販のサラダ油0.3gを5×20cmのステンレス板に塗布したのち、130℃のオーブンで3時間及び、6時間加熱し、食用油汚れが固着した試験板をそれぞれ作製する。試験板上を5×2cmの面積の清掃用シートに500gの荷重をかけながら10往復させて汚れ落としを行った。目視にて汚れ落ちの面積を判定し、面積に応じて4段階の評価を行った。
◎:ほとんど汚れを落とした。
○:わずかに汚れが残ったがほとんど気にならない。
△:若干汚れのこりがあった。
×:大部分の汚れが落ちなかった。
××:汚れがほとんど落ちなかった。
【0014】
(2)拭き残り性評価方法
得られた清掃用シートでパネラーに拭き跡等のないきれいなステンレスの表面を5往復清拭させ、表面を乾燥させた。パネラーが拭き取り面を観察して、拭き残りについて3段階で評価した。
5:ほとんど拭き残りが目立たない、又は拭き残りがあっても気にならない。
3:若干拭き残りがあり、拭き残りが少し気になる。
1:拭き残りがあるため、拭き残りが気になり、乾拭きが必要である。
パネラーは20名とし、その平均点を評価結果とした。
【0015】
(3)手触り
得られた清掃用シートでパネラーにステンレスの表面を清拭さる際の手触りについて3段階で評価した。
5:ほとんどべたつきが気にならない、又はべたつきがあっても気にならない。
3:若干べたつきがあり、手触りが少し気になる。
1: べたつきが気になり、手触りが悪い。
パネラーは20名とし、その平均点を評価結果とした。
【0016】
(4)防カビ性評価方法
試料の防カビ性の評価は、ハロー法(JIS L1902−1990)に準拠して行った。すなわち、黒カビの保存用のサブロー寒天培地(10ml)に2週間生育した黒カビ(IFO−4414)の試験管1本分の分生子を菌糸と共に胞子分散剤(0.005%ジオクチルスルホコハク酸)10mlに分散させ、滅菌脱脂綿で濾過し、溶解して45℃に保った100mlのサブロー寒天培地に加え、シャ−レ1枚当り10ml分注して平板培地を作製した。
得られた清掃用シートを2cm×2cmの大きさに切り、作製した培地の上におき、25℃で7日間の培養を行った。評価は、試料の周囲に生育阻止帯(ハロ−)の形成されたものを(−−)、試料上で菌の生育が認められなかったものを(−)、試料上にまで菌の生育の認められたものを(+)とした。
【0017】
【参考例1】
5kgのグリセリンに0.5重量%の水酸化ナトリウムを加え250℃の温度下で3時間の重合反応を行い、5mmHgの減圧下に蒸留、および分子蒸留によりグリセリンおよび、ジグリセリンを除去した。得られたポリグリセリン300gに60gのラウリン酸を加え定法によりエステル化したのち、50%飽和食塩水で処理して未反応のポリグリセリンを除去し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。液体クロマトグラフィーにより、メタノールを溶剤として、カラムにShodex Asahipak GS−320HQを用いて210nmの吸収により組成分析を行った。トリグリセリンモノラウリン酸エステルの含有量は62%であった。
【0018】
【参考例2】
参考例1で、脂肪酸としてカプリル酸を60g用いた以外は参考例1と同様にしてポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。トリグリセリンモノカプリル酸エステルの含有量は68%であった。
【0019】
【参考例3】
参考例1で、グリセリンの重合反応を5時間とし、ラウリン酸の量を200gとした以外は参考例1と同様にしてポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。トリグリセリンモノラウリン酸エステルの含有量は54%であった。
【0020】
【参考例4】
参考例1で、グリセリンの重合反応を24時間とし、減圧蒸留によりグリセリンを取り除いたポリグリセリンを得た。得られたポリグリセリン300gにラウリン酸70gを加えてエステル化してポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。トリグリセリンモノラウリン酸エステルの含有量は17%であった。
【0021】
【実施例1】
参考例1で得られたポリグリセリン脂肪酸エステル5重量%、およびグリセリンモノラウリン酸エステル(理研ビタミン(株)社製ポエムM−200)1重量%となるように精製水に溶解させた薬液を作製した。レーヨンを主体とする不織布(オーミケンシ(株)社製(PXD7055M:目付55g/m2))に対し、2倍重量の薬液を含浸させて、清掃用シートを作製した。汚れ落とし性、拭き残り性、手触り、防カビ性の評価結果を表1に示す。
【0022】
【実施例2〜4】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステルの量を表1に示した量とした以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0023】
【実施例5】
参考例2で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0024】
【実施例6】
不織布としてアクリル極細繊維90%とポリエステル繊維10%からなる不織布(旭化成(株)製(シャレリアC1030:目付30g/m2))を用いた以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0025】
【実施例7〜9】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステルの量を表1に示した量とした以外は実施例6と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0026】
【実施例10】
参考例3で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた以外は実施例6と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0027】
【実施例11〜12】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル、およびエタノールの量を表1に記載のとおりとした以外は、実施例6と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0028】
【実施例13〜14】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル、およびエタノールの量を表1に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0029】
【比較例1】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステルの量を表1に示した量とした以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0030】
【比較例2〜4】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステルの量を表1に示した量とした以外は実施例6と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0031】
【比較例5】
参考例4で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明のにより、食品を取り扱う台所周りでの使用に対して安全性が高い、かつ、固着した油汚れの洗浄の効果高さと拭き残り、手触りに優れた使用感を兼ね備えた清掃用シートの提供が可能になった。
【発明の属する技術分野】
本発明は清掃用シートに関する。更に詳しくは台所周辺や台所用品の油汚れを清掃するのに適した洗浄性、安全性、優れた使用感を兼ね備えた清掃用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
調理によって飛び散った油汚れや、それが酸化して固着した油汚れは、一般家庭や、調理厨房で清掃しにくい汚れの一つであり、一般に界面活性剤、アルカリ剤、溶剤を配合した洗浄剤が用いられていたり、洗浄液を紙製のシートに含浸させたウエットクリーナーが使用されたりしている。同時に、台所や厨房周りでは食生活の安全性を保つために汚れの洗浄とともに、より安全性の高い洗浄剤が求められている。
【0003】
従来より人体洗浄用や、食品、食品容器の洗浄作業用に、安全性の高い洗浄剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルが使用されており、たとえば、特開平9−217088号公報にはモノエステル体の含有量の高いポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが頭髪の洗浄用に有効であることが開示されている。また、特開2002−248192号公報には安全性の高い洗浄剤組成物として主としてトリグリセリンの脂肪酸エステルからなる洗浄剤組成物の例が開示されている。しかしながら、油で汚れた台所の周辺、たとえば、壁、ガスレンジ、カウンター、あるいは、台所家電用品、たとえば、冷蔵庫や、炊飯器に付着した油汚れの清掃に適した清掃用具についてはなんら開示されていない。
【0004】
一方、清掃用具の一つとして洗浄成分を不織布等の布帛に含浸させた清掃用シートが知られているが、従来からその製造工程や使用時において落下菌等、空気中に存在する細菌類やカビ等の真菌類が混入し、これらが保管中に基材である不織布上で繁殖することがある。この状態で清拭操作を行うと拭き取り面をかえって汚染してしまうという問題点があった。このため、以前からウエットティッシュにはパラベン等が添加され、基材上で細菌類やカビ等の真菌類の繁殖を防止していた。しかしながら、パラベンは、細菌類やカビ等の真菌類の繁殖抑制効果が高いものの、消費者の安全意識が高まるにつれて、より安全性が高く、繁殖抑制効果が高い薬剤が求められていた。パラベンを使用せずに細菌類やカビ等の真菌類の繁殖を抑制するには、通常のウエットティッシュに除菌剤や殺菌剤、速乾剤として使用されるアルコールの濃度を高くすることが考えられる。しかし、アルコール濃度が高いと、皮膚が弱い人が使用した場合、皮脂を必要以上に除去し、手荒れを起こしたり、刺激臭が強かったりと言う問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は安全性が高く、台所周りの油汚れの洗浄の効果が高く、かつ、優れた使用感を兼ね備えた清掃用シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルと、特定のグリセリン脂肪酸エステルからなる薬液を含む清掃用シートが上記の課題を解決することを見いだし、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、
(1)炭素数が8から22である脂肪酸のトリグリセリン脂肪酸モノエステル比率が50重量%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを1〜10重量%、炭素数が8から12である脂肪酸の少なくとも1つとグリセリンからなるグリセリンモノ脂肪酸エステルを0.1〜3.0重量%含む薬液が不織布に付与されている清掃用シート、(2)薬液が、さらにエタノールを1〜30重量%含む(1)に記載の清掃用シート、および、(3)不織布の拭き取り面の面積率20%以上が、単糸径0.2〜5.0μmの繊維である極細繊維を含む素材である(1)または(2)に記載の清掃用シートである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、特にその好ましい実施態様を中心に、詳細に説明する。
本発明の洗浄成分として用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸とポリグリセリンと反応物からなり、脂肪酸の炭素数は、8から22の範囲である。直鎖状、分岐状および、飽和、不飽和の脂肪酸の中から、1種、または、2種以上の混合物を用いることができる。例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸などが挙げられる。脂肪酸の炭素数が22を越えると粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になり、一方、炭素数が8未満では、十分な洗浄効果が得られないと同時に特有の臭気を発生し、本発明の使用には適さない。
【0008】
また、ポリグリセリン脂肪酸エステル中にはポリグリセリンの縮合度が3のポリグリセリンと脂肪酸のモノエステル比率が50重量%のものが用いられる。このようなポリグリセリン脂肪酸モノエステル含有量の高いポリグリセリン脂肪酸エステルは、例えば特開平9−217088号公報に記載のように、グリシドールと脂肪酸との付加重合によって得ても良いし、特開2002−60783号公報に記載のように、あらかじめポリグリセリン中のトリグリセリン含有量を、減圧蒸留や、分子蒸留などの定法により高めたポリグリセリンと脂肪酸を反応させた後、減圧蒸留や、分子蒸留などの定法によりさらに、分取することによって得てもよい。トリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量が50重量%未満では、反応後のポリグリセリン脂肪酸エステルに十分な洗浄力が得られない。なお、トリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有量は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定される。
【0009】
本発明の清掃用シートに含まれる薬液にはポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが1〜10重量%含有されなければならない。1重量%未満では十分な洗浄作用が得られず、一方、10重量%以上では、洗浄液の泡立ちが多かったり、洗浄液のぬめり感が高すぎたりして、好ましくない。
次に、本発明に用いられるグリセリンモノ脂肪酸エステルについて説明する。グリセリンモノ脂肪酸エステルは、食品添加物として広く安全性が高いことが知られており、本発明では清掃用シートの防かび性を付与するために加えられる。炭素数が8から12である脂肪酸のグリセリンモノエステルが用いられる。炭素数が8未満では防腐効果が小さく、一方12を越えると泡立ちが大きくなり好ましくない。また、グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、0.1から3重量%の範囲で用いられる。0.1重量%未満では十分な防腐効果が得られず、一方、3.0重量%を越えると、洗浄液の泡立ちやぬめり感が高すぎたり、溶解性が悪くなったりして好ましくない。
【0010】
本発明の清掃用シートに含まれる薬液には、手触りと、拭き残りをさらに良好に保つために1から30重量%のエタノールを含有させることが好ましい。手触りや、拭き残りの改良の点で1重量%以上、アルコール特有の臭気を抑制する観点から30重量%以下が好ましい。
次に、本発明に用いられる不織布について説明する。本発明に用いられる不織布の素材は限定されるものではない。例えば、コットン、ビスコースレーヨン、キュプラレーヨン等のセルロース系の繊維素材、アクリル、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等の合成繊維系の素材等が用途に応じて用いられる。また、これらの素材が混合されていてもよい。素材の混合の状態も限定されず、繊維同士が混合されていてもよいし、層状に複合されていてもよい。
【0011】
また、本発明における不織布を構成する繊維の繊度も特に限定されないが、拭き取り面が極細繊維を含む素材で不織布を構成すれば、清掃用シートの表面積が増加し、拭き取り性が向上するので好ましい。特にアクリル系の割繊、フィブリル化した超極細繊維を用いれば、拭き取り性も向上し、親水性も向上するのでより好ましい。
ここで、拭き取り面が極細繊維を含む素材のなかでも拭き取り面となる不織布表面のうち、面積率20%以上が単糸径0.2〜5.0μmの繊維であることが好ましい。単糸径が5μm以下であれば油分や固形汚れ等の拭き取り効果に優れ、0.2μm以上であれば摩擦による単繊維の切断を抑えることができる。より好ましくは面積率40%以上が単糸径0.3〜4.0μmの繊維であり、最も好ましくは面積率60%以上が単糸径0.35〜3.5μmの繊維である。ここでいう単糸径とは、単繊維の断面が円状の場合の直径をいい、断面が楕円状の場合は長径を、扁平の場合は最大幅がこれに相当する。面積率は数式(1)で与えられる。
面積率(%)=(単糸径が所定範囲である繊維が拭き取り面に占める面積)×100/(拭き取り面に占める全繊維の面積) (1)
【0012】
本発明の清掃用シートに用いる不織布の目付は15〜200g/m2が好ましい。不織布の目付が15g/m2未満では、清拭中に不織布が破れることがある。また、目付が200g/m2を越えると、不織布が地厚となりすぎて拭き取り面へ沿いにくくなり、拭き取り性が低下することがある。
清掃用シートの製法としては、一般に用いられているように、一定のサイズにカットし、これに、上記の薬液を一定量含浸させることで作製すればよい。含浸量としては不織布シートに対して、(薬液の重量)/(不織布シートの重量)が1.0〜3.0であることが好ましい。洗浄性の点で含浸量比は1.0以上、薬液が拭き跡として残るのを防止する点で含浸量比は3.0以下が好ましい。
なお、本願の清掃用シートには、本願の効果を損なわない範囲で他の防腐剤、香料等を添加することができる。
【0013】
本発明について、実施例に基づいて以下具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例でなんら制限されるものではない。
なお、汚れ落とし性、拭き残り性、手触り、防カビ性の評価は下記に示す方法で行った。
(1)汚れ落とし性
市販のサラダ油0.3gを5×20cmのステンレス板に塗布したのち、130℃のオーブンで3時間及び、6時間加熱し、食用油汚れが固着した試験板をそれぞれ作製する。試験板上を5×2cmの面積の清掃用シートに500gの荷重をかけながら10往復させて汚れ落としを行った。目視にて汚れ落ちの面積を判定し、面積に応じて4段階の評価を行った。
◎:ほとんど汚れを落とした。
○:わずかに汚れが残ったがほとんど気にならない。
△:若干汚れのこりがあった。
×:大部分の汚れが落ちなかった。
××:汚れがほとんど落ちなかった。
【0014】
(2)拭き残り性評価方法
得られた清掃用シートでパネラーに拭き跡等のないきれいなステンレスの表面を5往復清拭させ、表面を乾燥させた。パネラーが拭き取り面を観察して、拭き残りについて3段階で評価した。
5:ほとんど拭き残りが目立たない、又は拭き残りがあっても気にならない。
3:若干拭き残りがあり、拭き残りが少し気になる。
1:拭き残りがあるため、拭き残りが気になり、乾拭きが必要である。
パネラーは20名とし、その平均点を評価結果とした。
【0015】
(3)手触り
得られた清掃用シートでパネラーにステンレスの表面を清拭さる際の手触りについて3段階で評価した。
5:ほとんどべたつきが気にならない、又はべたつきがあっても気にならない。
3:若干べたつきがあり、手触りが少し気になる。
1: べたつきが気になり、手触りが悪い。
パネラーは20名とし、その平均点を評価結果とした。
【0016】
(4)防カビ性評価方法
試料の防カビ性の評価は、ハロー法(JIS L1902−1990)に準拠して行った。すなわち、黒カビの保存用のサブロー寒天培地(10ml)に2週間生育した黒カビ(IFO−4414)の試験管1本分の分生子を菌糸と共に胞子分散剤(0.005%ジオクチルスルホコハク酸)10mlに分散させ、滅菌脱脂綿で濾過し、溶解して45℃に保った100mlのサブロー寒天培地に加え、シャ−レ1枚当り10ml分注して平板培地を作製した。
得られた清掃用シートを2cm×2cmの大きさに切り、作製した培地の上におき、25℃で7日間の培養を行った。評価は、試料の周囲に生育阻止帯(ハロ−)の形成されたものを(−−)、試料上で菌の生育が認められなかったものを(−)、試料上にまで菌の生育の認められたものを(+)とした。
【0017】
【参考例1】
5kgのグリセリンに0.5重量%の水酸化ナトリウムを加え250℃の温度下で3時間の重合反応を行い、5mmHgの減圧下に蒸留、および分子蒸留によりグリセリンおよび、ジグリセリンを除去した。得られたポリグリセリン300gに60gのラウリン酸を加え定法によりエステル化したのち、50%飽和食塩水で処理して未反応のポリグリセリンを除去し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。液体クロマトグラフィーにより、メタノールを溶剤として、カラムにShodex Asahipak GS−320HQを用いて210nmの吸収により組成分析を行った。トリグリセリンモノラウリン酸エステルの含有量は62%であった。
【0018】
【参考例2】
参考例1で、脂肪酸としてカプリル酸を60g用いた以外は参考例1と同様にしてポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。トリグリセリンモノカプリル酸エステルの含有量は68%であった。
【0019】
【参考例3】
参考例1で、グリセリンの重合反応を5時間とし、ラウリン酸の量を200gとした以外は参考例1と同様にしてポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。トリグリセリンモノラウリン酸エステルの含有量は54%であった。
【0020】
【参考例4】
参考例1で、グリセリンの重合反応を24時間とし、減圧蒸留によりグリセリンを取り除いたポリグリセリンを得た。得られたポリグリセリン300gにラウリン酸70gを加えてエステル化してポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。トリグリセリンモノラウリン酸エステルの含有量は17%であった。
【0021】
【実施例1】
参考例1で得られたポリグリセリン脂肪酸エステル5重量%、およびグリセリンモノラウリン酸エステル(理研ビタミン(株)社製ポエムM−200)1重量%となるように精製水に溶解させた薬液を作製した。レーヨンを主体とする不織布(オーミケンシ(株)社製(PXD7055M:目付55g/m2))に対し、2倍重量の薬液を含浸させて、清掃用シートを作製した。汚れ落とし性、拭き残り性、手触り、防カビ性の評価結果を表1に示す。
【0022】
【実施例2〜4】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステルの量を表1に示した量とした以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0023】
【実施例5】
参考例2で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0024】
【実施例6】
不織布としてアクリル極細繊維90%とポリエステル繊維10%からなる不織布(旭化成(株)製(シャレリアC1030:目付30g/m2))を用いた以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0025】
【実施例7〜9】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステルの量を表1に示した量とした以外は実施例6と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0026】
【実施例10】
参考例3で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた以外は実施例6と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0027】
【実施例11〜12】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル、およびエタノールの量を表1に記載のとおりとした以外は、実施例6と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0028】
【実施例13〜14】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル、およびエタノールの量を表1に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0029】
【比較例1】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステルの量を表1に示した量とした以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0030】
【比較例2〜4】
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステルの量を表1に示した量とした以外は実施例6と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0031】
【比較例5】
参考例4で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。評価結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明のにより、食品を取り扱う台所周りでの使用に対して安全性が高い、かつ、固着した油汚れの洗浄の効果高さと拭き残り、手触りに優れた使用感を兼ね備えた清掃用シートの提供が可能になった。
Claims (3)
- 炭素数が8から22である脂肪酸のトリグリセリン脂肪酸モノエステル比率が50重量%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを1〜10重量%、炭素数が8から12である脂肪酸の少なくとも1つとグリセリンからなるグリセリンモノ脂肪酸エステルを0.1〜3.0重量%含む薬液が不織布に付与されていることを特徴とする清掃用シート。
- 薬液が、さらにエタノールを1〜30重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の清掃用シート。
- 不織布の拭き取り面の面積率20%以上が、単糸径0.2〜5.0μmの繊維である極細繊維を含む素材であることを特徴とする請求項1または2に記載の清掃用シート。
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