JP2004017064A - 減圧鋳造用金型、減圧鋳造ダイカストマシンおよび減圧鋳造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】垂れ込み現象の発生を回避し、高密の良質なダイカスト製品を安定して生産できること、
【解決手段】金型キャビティ13を減圧し、減圧された金型キャビティ13に溶湯を射出する減圧鋳造用の金型において、鋳込口14に分流子20を移動可能に設け、分流子20の移動によって金型キャビティ15に溶湯を導くライナ部15を連通、遮断する。
【選択図】 図1
【解決手段】金型キャビティ13を減圧し、減圧された金型キャビティ13に溶湯を射出する減圧鋳造用の金型において、鋳込口14に分流子20を移動可能に設け、分流子20の移動によって金型キャビティ15に溶湯を導くライナ部15を連通、遮断する。
【選択図】 図1
Description
【0001 】
【発明の属する技術分野】
この発明は、減圧鋳造用金型、減圧鋳造ダイカストマシンおよび減圧鋳造法に関するものである。
【0002 】
【従来の技術】
金型キャビティを減圧し、減圧された金型キャビティに溶湯をプランジャスリーブより射出する真空ダイカストと呼ばれる減圧鋳造法や、金型側より金型キャビティの真空引きとライナ部(湯道)によって金型キャビティと連通しているプランジャスリーブ内に溶湯保持炉より溶湯(溶融金属)を吸引給湯し、その後にプランジャスリーブより溶湯を金型キャビティに射出する真空引き給湯方式の減圧鋳造法が知られている。
【0003 】
【発明が解決しようとする課題】
従来の減圧鋳造法では、金型キャビティとプランジャスリーブとが常時連通しているため、真空引きの全容積が大きく、金型キャビティの真空度が上がらない、大きいタンク容積の真空装置が必要になる等の問題がある。
【0004 】
また、従来の減圧鋳造法では、金型キャビティとプランジャスリーブとが常時連通しているため、射出工程にてプランジャチップの前進によりプランジャスリーブ内の溶湯が金型の鋳込口側に集められると、溶湯が真空引きされている金型キャビティ側に引きずられ、プランジャスリーブより実際に金型キャビティに溶湯を充填する適正タイミング、たとえば、低速射出より高速射出への移行タイミングより早いタイミングで、溶湯が狭い溶湯通路であるライナ部や金型キャビティに低速で流れ込む現象が生じる。
【0005 】
この現象は、垂れ込み現象と云われ、垂れ込み現象が生じると、溶湯がライナ部で部分凝固、完全凝固し、狭い溶湯通路であるライナ部が、更に狭めたり、閉塞されたりし、この後に、高速射出、増圧が行われても、金型キャビティへの溶湯の充填が充分に行われなくなる。このため、不完全な鋳造製品が生じ易く、かけがない高密の良質なダイカスト製品を安定して生産することが難しい。
【0006 】
真空引き給湯方式の減圧鋳造法では、金型側からの金型キャビティの真空引きと吸引給湯のため、更に大きいタンク容積の真空装置が必要になり、しかも、給湯量の精度がばらつき易く、高密の良質なダイカスト製品を安定して生産することが難しい。
【0007 】
この発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたもので、垂れ込み現象の発生を回避し、また、吸引給湯も安定して良好に行え、高密の良質なダイカスト製品を安定して生産できる減圧鋳造用金型、減圧鋳造ダイカストマシンおよび減圧鋳造法を提供することを目的としている。
【0008 】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明による減圧鋳造用金型は、金型キャビティを減圧し、減圧された金型キャビティに溶湯を射出する減圧鋳造用の金型において、鋳込口に分流子が移動可能に設けられ、当該分流子の移動によって前記金型キャビティに溶湯を導くライナ部が連通、遮断される。
【0009 】
この発明による減圧鋳造用金型によれば、分流子の移動によってライナ部が連通、遮断され、プランジャスリーブより金型キャビティに溶湯を充填する適正タイミングまでは、分流子によってライナ部の連通を遮断しておくことにより、金型キャビティ減圧のための真空引き容積が減ると共に、垂れ込み現象の発生を回避できる。
【0010 】
また、上述の目的を達成するために、この発明による減圧鋳造ダイカストマシンは、溶湯を真空引きによってプランジャスリーブ内に吸引給湯し、金型キャビティを減圧し、プランジャスリーブ内の溶湯を減圧された金型キャビティにプランジャスリーブより射出する減圧鋳造ダイカストマシンにおいて、前記プランジャスリーブと前記金型キャビティとの連通、遮断を行うライナシャッタ手段と、前記プランジャスリーブ内の減圧と前記金型キャビティの減圧とを個別に行う減圧手段とを有している。
【0011 】
この発明による減圧鋳造ダイカストマシンによれば、ライナシャッタ手段によってプランジャスリーブと金型キャビティとの連通が遮断され、この遮断状態で、プランジャスリーブ内の減圧と金型キャビティの減圧を減圧手段によって個別に行うことができ、プランジャスリーブ内の減圧と金型キャビティの減圧を各々適正に行うことができ、垂れ込み現象の発生を回避し、ばらつきのない給湯量の精度を確保できる。
【0012 】
上述の発明による減圧鋳造ダイカストマシンでは、上述の発明による減圧鋳造用金型を使用でき、ライナシャッタ手段は可動の前記分流子によって構成できる。
【0013 】
また、上述の目的を達成するために、減圧鋳造法は、上述の発明による減圧鋳造用金型を使用し、分流子を前進させ、当該分流子によってライナ部を遮断した状態で、金型キャビティの減圧とプランジャスリーブに対する給湯を行い、プランジャチップの前進によって溶湯のスリーブ内充填率が所定値に達した時点で、前記分流子を後退させ、前記ライナ部を連通状態とし、金型キャビティに対する溶湯の射出充填を開始する。
【0014 】
また、上述の目的を達成するために、減圧鋳造法は、上述の発明による減圧鋳造ダイカストマシンを用い、ライナシャッタ手段の閉移動によってプランジャスリーブと金型キャビティとの連通を遮断した状態で、プランジャスリーブ内の減圧によるプランジャスリーブに対する給湯と金型キャビティの減圧を減圧手段によって個別に行い、プランジャスリーブに対する給湯完了後に、前記ライナシャッタ手段の開移動によって金型キャビティとの連通を確立し、プランジャスリーブ内の溶湯を金型キャビティに対して射出充填する。
【0015 】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1〜図5はこの発明による減圧鋳造用金型の一つの実施形態を示している。
【0016 】
この減圧鋳造用金型10は、ダイカストマシンで使用される金型であり、固定金型11と可動金型12とを有している。固定金型11と可動金型12は、製品形状を構成するキャビティ13、鋳込口14、鋳込口14よりキャビティ13へ溶湯Mを導くライナ部15とを有している。
【0017 】
固定金型11には先端にて鋳込口14に連通するプランジャスリーブ50が接続されている。プランジャスリーブ50の上部壁には給湯口51が形成されており、ラドル52等によって溶湯Mが給湯口51よりプランジャスリーブ50内に給湯される。プランジャスリーブ50内には図示されていない射出シリンダ装置によって前後進駆動されるプランジャチップ53が前後進可能に設けられている。
【0018 】
減圧鋳造用金型10にはキャビティ13を真空引きするための減圧通路16が形成されている。減圧通路16は、電磁開閉弁17、減圧配管18によって真空タンク19に接続されている。
【0019 】
可動金型12の鋳込口14部分には分流子20が設けられている。分流子20は、図4、図5に示されているように、鋳込口14を開いてライナ部15の連通を確立する通常の分流子位置(開位置)と、図1〜図3に示されているように、開位置より前進して鋳込口14を閉じ、ライナ部15の連通を遮断する閉位置との間に移動可能になっている。
【0020 】
これにより、分流子20は、プランジャスリーブ50とキャビティ13との連通、遮断を行うライナシャッタ手段として機能する。
【0021 】
分流子20は、図4、図5に示されている通常の分流子位置(開位置)では、従来のものと同様に、プランジャスリーブ50よりの溶湯Mの流れをライナ部15の側に方向付けする。
【0022 】
分流子20は、油圧シリンダ装置21のピストンロッド22に連結され、油圧シリンダ装置21によって前後進駆動、すなわち開閉駆動される。油圧シリンダ装置21は複動式のものであり、ピストン23の両側のシリンダ室24、25が電磁切換弁26によって油圧ポンプ27、ドレンパン28に切換接続される。
【0023 】
つぎに、上述の減圧鋳造用金型10を使用した減圧鋳造法を図1〜図5を参照して説明する。
【0024 】
図1に示されているように、型締完了後に、電磁切換弁26を切り換え、油圧シリンダ装置21によって分流子20を前進させ、鋳込口14を閉じ、ライナ部15の連通を遮断する。つぎに、電磁開閉弁17を開き、真空タンク19によってキャビティ13の真空引き(減圧)を行う。
【0025 】
この状態で、ラドル52によって給湯口51よりプランジャスリーブ50に溶湯Mを給湯する。給湯完了後に、図2に示されているように、プランジャチップ53の低速前進を開始する。
【0026 】
この低速前進過程では、分流子20によってライナ部15の連通が遮断されているから、図3に示されているように、プランジャチップ53の前進によってプランジャスリーブ50内の溶湯Mが金型10の鋳込口14側に集められても、この溶湯Mが真空引きされているキャビティ13側に引きずらることがなく、垂れ込み現象が生じることがない。
【0027 】
プランジャチップ53の低速前進が進み、図3に示されているように、溶湯Mのスリーブ内充填率が所定値(100%に近い値)に達すると、図4に示されているように、電磁切換弁26を切り換え、油圧シリンダ装置21によって分流子20を後退させ、鋳込口14を開き、分流子20を通常の分流子位置に位置させる。そして、電磁開閉弁17を閉じる。
【0028 】
なお、この時には、プランジャチップ53は、図4に示されているように、給湯口51を通過しており、キャビティ13が給湯口51によって大気開放されることがなく、気密状態で、真空引き状態が維持される。
【0029 】
つぎに、プランジャチップ53を低速前進より高速前進に切り換える。これにより、図5に示されているように、プランジャスリーブ50内の溶湯Mが分流子20に案内されて円滑にライナ部15へ流れ、キャビティ13に対する溶湯Mの射出充填が行われる。
【0030 】
上述したように、分流子20の移動によってライナ部15が連通、遮断され、プランジャスリーブ50よりキャビティ13に溶湯Mを充填する適正タイミングまでは、すなわち、低速射出より高速射出への移行タイミングでは、分流子20によってライナ部15の連通を遮断しておくことにより、金型キャビティ減圧のための真空引き容積が減ると共に、垂れ込み現象の発生を回避できる。これにより、高密の良質なダイカスト製品を安定して生産することができるようになる。
【0031 】
図6〜図8はこの発明による減圧鋳造ダイカストマシンの一つの実施形態を示している。なお、図6〜図8において、図1〜図5に対応する部分は、図1〜図5に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0032 】
この減圧鋳造ダイカストマシンには、上述の減圧鋳造用金型10が取り付けられている。
【0033 】
溶融状態の金属、すなわち溶湯を貯容する溶湯保持炉54が設けられている。溶湯保持炉54より溶湯をプランジャスリーブ50内に吸引給湯するために、プランジャスリーブ50に保温給湯管(吸込み管)55が連通接続されている。
【0034 】
プランジャスリーブ50の上部壁にはプランジャスリーブ50内を減圧して吸引給湯するための真空引きポート56が設けられている。真空引きポート56は、電磁開閉弁57、減圧配管58によって金型キャビティ真空引き用の真空タンク19とは別の真空タンク59に接続されている。
【0035 】
つぎに、この減圧鋳造ダイカストマシンによる減圧鋳造法を図6〜図8を参照して説明する。
【0036 】
図6は型締め完了状態を示している。この型締め完了状態で、図7に示されているように、電磁切換弁26を切り換え、油圧シリンダ装置21によって分流子20を前進させ、鋳込口14を閉じ、ライナ部15の連通を遮断する。つぎに、電磁開閉弁17を開き、真空タンク19によってキャビティ13の真空引き(減圧)を行う。電磁開閉弁57を開き、真空タンク59によってプランジャスリーブ50の減圧を行う。
【0037 】
プランジャスリーブ50内の真空度が増すと、溶湯保持炉54の溶湯が保温給湯管55によってプランジャスリーブ50内に吸い込まれ、吸引給湯が行われる。
【0038 】
この吸引給湯は、分流子20によって鋳込口14を閉じ、キャビティ13とプランジャスリーブ50との連通を遮断した状態で、真空タンク19によるキャビティ13の真空引きとは別に行われるから、金型キャビティの真空度が上がらない、吸引給湯による給湯量がばらつく等の不具合を生じることがない。また、吸引給湯過程で、溶湯Mが真空引きされているキャビティ13側に引きずらることがなく、垂れ込み現象が生じることもない。
【0039 】
キャビティ13の真空引きや吸引給湯の期間は、タイマ制御により任意に設定することができ、タイマがタイムアップすれば、電磁開閉弁17を閉じてキャビティ13の真空引きを完了し、電磁開閉弁57を閉じて吸引給湯を終了する。この後に、図8に示されているように、電磁切換弁26を切り換え、油圧シリンダ装置21によって分流子20を後退させ、鋳込口14を開き、キャビティ13とプランジャスリーブ50とを連通させる。
【0040 】
その直後に、プランジャチップ53を前進させる。これにより、プランジャスリーブ50内の溶湯Mが分流子20に案内されて円滑にライナ部15へ流れ、キャビティ13に対する溶湯Mの射出充填が行われる。
【0041 】
上述したように、分流子20によってプランジャスリーブ50と金型10のキャビティ13との連通を遮断した状態で、プランジャスリーブ50内の減圧と、キャビティ13の減圧を個別に行うことができるから、吸引給湯のためのプランジャスリーブ50内の減圧と、減圧鋳造のためのキャビティ13の減圧を各々適正に行うことができ、垂れ込み現象の発生を回避し、ばらつきのない給湯量の精度を確保できる。これにより、高密の良質なダイカスト製品を安定して効率よく生産することができるようになる。
【0042 】
【発明の効果】
以上の説明から理解される如く、この発明による減圧鋳造用金型、減圧鋳造ダイカストマシンおよび減圧鋳造法によれば、分流子によって金型キャビティに溶湯を導くライナ部が連通、遮断されるから、垂れ込み現象の発生を回避でき、また、吸引給湯も安定して良好に行え、高密の良質なダイカスト製品を安定して生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による減圧鋳造用金型の一つの実施形態の給湯開始状態を示す図である。
【図2】この発明による減圧鋳造用金型の一つの実施形態の給湯完了状態を示す図である。
【図3】この発明による減圧鋳造用金型の一つの実施形態の低速射出完了状態を示す図である。
【図4】この発明による減圧鋳造用金型の一つの実施形態の高速射出開始状態を示す図である。
【図5】減圧鋳造用金型の一つの実施形態の高速射出完了状態を示す図である。
【図6】この発明による減圧鋳造ダイカストマシンの型締完了状態を示す図である。
【図7】この発明による減圧鋳造ダイカストマシンの吸引給湯完了状態を示す図である。
【図8】この発明による減圧鋳造ダイカストマシンの射出完了状態を示す図である。
【符号の説明】
10 減圧鋳造用金型
11 固定金型
12 可動金型
13 キャビティ
14 鋳込口
15 ライナ部
16 減圧通路
17 電磁開閉弁
18 減圧配管
19 真空タンク
20 分流子
21 油圧シリンダ装置
27 油圧ポンプ
50 プランジャスリーブ
51 給湯口
53 プランジャチップ
54 溶湯保持炉
55 保温給湯管
57 電磁開閉弁
58 減圧配管
59 真空タンク
【発明の属する技術分野】
この発明は、減圧鋳造用金型、減圧鋳造ダイカストマシンおよび減圧鋳造法に関するものである。
【0002 】
【従来の技術】
金型キャビティを減圧し、減圧された金型キャビティに溶湯をプランジャスリーブより射出する真空ダイカストと呼ばれる減圧鋳造法や、金型側より金型キャビティの真空引きとライナ部(湯道)によって金型キャビティと連通しているプランジャスリーブ内に溶湯保持炉より溶湯(溶融金属)を吸引給湯し、その後にプランジャスリーブより溶湯を金型キャビティに射出する真空引き給湯方式の減圧鋳造法が知られている。
【0003 】
【発明が解決しようとする課題】
従来の減圧鋳造法では、金型キャビティとプランジャスリーブとが常時連通しているため、真空引きの全容積が大きく、金型キャビティの真空度が上がらない、大きいタンク容積の真空装置が必要になる等の問題がある。
【0004 】
また、従来の減圧鋳造法では、金型キャビティとプランジャスリーブとが常時連通しているため、射出工程にてプランジャチップの前進によりプランジャスリーブ内の溶湯が金型の鋳込口側に集められると、溶湯が真空引きされている金型キャビティ側に引きずられ、プランジャスリーブより実際に金型キャビティに溶湯を充填する適正タイミング、たとえば、低速射出より高速射出への移行タイミングより早いタイミングで、溶湯が狭い溶湯通路であるライナ部や金型キャビティに低速で流れ込む現象が生じる。
【0005 】
この現象は、垂れ込み現象と云われ、垂れ込み現象が生じると、溶湯がライナ部で部分凝固、完全凝固し、狭い溶湯通路であるライナ部が、更に狭めたり、閉塞されたりし、この後に、高速射出、増圧が行われても、金型キャビティへの溶湯の充填が充分に行われなくなる。このため、不完全な鋳造製品が生じ易く、かけがない高密の良質なダイカスト製品を安定して生産することが難しい。
【0006 】
真空引き給湯方式の減圧鋳造法では、金型側からの金型キャビティの真空引きと吸引給湯のため、更に大きいタンク容積の真空装置が必要になり、しかも、給湯量の精度がばらつき易く、高密の良質なダイカスト製品を安定して生産することが難しい。
【0007 】
この発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたもので、垂れ込み現象の発生を回避し、また、吸引給湯も安定して良好に行え、高密の良質なダイカスト製品を安定して生産できる減圧鋳造用金型、減圧鋳造ダイカストマシンおよび減圧鋳造法を提供することを目的としている。
【0008 】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明による減圧鋳造用金型は、金型キャビティを減圧し、減圧された金型キャビティに溶湯を射出する減圧鋳造用の金型において、鋳込口に分流子が移動可能に設けられ、当該分流子の移動によって前記金型キャビティに溶湯を導くライナ部が連通、遮断される。
【0009 】
この発明による減圧鋳造用金型によれば、分流子の移動によってライナ部が連通、遮断され、プランジャスリーブより金型キャビティに溶湯を充填する適正タイミングまでは、分流子によってライナ部の連通を遮断しておくことにより、金型キャビティ減圧のための真空引き容積が減ると共に、垂れ込み現象の発生を回避できる。
【0010 】
また、上述の目的を達成するために、この発明による減圧鋳造ダイカストマシンは、溶湯を真空引きによってプランジャスリーブ内に吸引給湯し、金型キャビティを減圧し、プランジャスリーブ内の溶湯を減圧された金型キャビティにプランジャスリーブより射出する減圧鋳造ダイカストマシンにおいて、前記プランジャスリーブと前記金型キャビティとの連通、遮断を行うライナシャッタ手段と、前記プランジャスリーブ内の減圧と前記金型キャビティの減圧とを個別に行う減圧手段とを有している。
【0011 】
この発明による減圧鋳造ダイカストマシンによれば、ライナシャッタ手段によってプランジャスリーブと金型キャビティとの連通が遮断され、この遮断状態で、プランジャスリーブ内の減圧と金型キャビティの減圧を減圧手段によって個別に行うことができ、プランジャスリーブ内の減圧と金型キャビティの減圧を各々適正に行うことができ、垂れ込み現象の発生を回避し、ばらつきのない給湯量の精度を確保できる。
【0012 】
上述の発明による減圧鋳造ダイカストマシンでは、上述の発明による減圧鋳造用金型を使用でき、ライナシャッタ手段は可動の前記分流子によって構成できる。
【0013 】
また、上述の目的を達成するために、減圧鋳造法は、上述の発明による減圧鋳造用金型を使用し、分流子を前進させ、当該分流子によってライナ部を遮断した状態で、金型キャビティの減圧とプランジャスリーブに対する給湯を行い、プランジャチップの前進によって溶湯のスリーブ内充填率が所定値に達した時点で、前記分流子を後退させ、前記ライナ部を連通状態とし、金型キャビティに対する溶湯の射出充填を開始する。
【0014 】
また、上述の目的を達成するために、減圧鋳造法は、上述の発明による減圧鋳造ダイカストマシンを用い、ライナシャッタ手段の閉移動によってプランジャスリーブと金型キャビティとの連通を遮断した状態で、プランジャスリーブ内の減圧によるプランジャスリーブに対する給湯と金型キャビティの減圧を減圧手段によって個別に行い、プランジャスリーブに対する給湯完了後に、前記ライナシャッタ手段の開移動によって金型キャビティとの連通を確立し、プランジャスリーブ内の溶湯を金型キャビティに対して射出充填する。
【0015 】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1〜図5はこの発明による減圧鋳造用金型の一つの実施形態を示している。
【0016 】
この減圧鋳造用金型10は、ダイカストマシンで使用される金型であり、固定金型11と可動金型12とを有している。固定金型11と可動金型12は、製品形状を構成するキャビティ13、鋳込口14、鋳込口14よりキャビティ13へ溶湯Mを導くライナ部15とを有している。
【0017 】
固定金型11には先端にて鋳込口14に連通するプランジャスリーブ50が接続されている。プランジャスリーブ50の上部壁には給湯口51が形成されており、ラドル52等によって溶湯Mが給湯口51よりプランジャスリーブ50内に給湯される。プランジャスリーブ50内には図示されていない射出シリンダ装置によって前後進駆動されるプランジャチップ53が前後進可能に設けられている。
【0018 】
減圧鋳造用金型10にはキャビティ13を真空引きするための減圧通路16が形成されている。減圧通路16は、電磁開閉弁17、減圧配管18によって真空タンク19に接続されている。
【0019 】
可動金型12の鋳込口14部分には分流子20が設けられている。分流子20は、図4、図5に示されているように、鋳込口14を開いてライナ部15の連通を確立する通常の分流子位置(開位置)と、図1〜図3に示されているように、開位置より前進して鋳込口14を閉じ、ライナ部15の連通を遮断する閉位置との間に移動可能になっている。
【0020 】
これにより、分流子20は、プランジャスリーブ50とキャビティ13との連通、遮断を行うライナシャッタ手段として機能する。
【0021 】
分流子20は、図4、図5に示されている通常の分流子位置(開位置)では、従来のものと同様に、プランジャスリーブ50よりの溶湯Mの流れをライナ部15の側に方向付けする。
【0022 】
分流子20は、油圧シリンダ装置21のピストンロッド22に連結され、油圧シリンダ装置21によって前後進駆動、すなわち開閉駆動される。油圧シリンダ装置21は複動式のものであり、ピストン23の両側のシリンダ室24、25が電磁切換弁26によって油圧ポンプ27、ドレンパン28に切換接続される。
【0023 】
つぎに、上述の減圧鋳造用金型10を使用した減圧鋳造法を図1〜図5を参照して説明する。
【0024 】
図1に示されているように、型締完了後に、電磁切換弁26を切り換え、油圧シリンダ装置21によって分流子20を前進させ、鋳込口14を閉じ、ライナ部15の連通を遮断する。つぎに、電磁開閉弁17を開き、真空タンク19によってキャビティ13の真空引き(減圧)を行う。
【0025 】
この状態で、ラドル52によって給湯口51よりプランジャスリーブ50に溶湯Mを給湯する。給湯完了後に、図2に示されているように、プランジャチップ53の低速前進を開始する。
【0026 】
この低速前進過程では、分流子20によってライナ部15の連通が遮断されているから、図3に示されているように、プランジャチップ53の前進によってプランジャスリーブ50内の溶湯Mが金型10の鋳込口14側に集められても、この溶湯Mが真空引きされているキャビティ13側に引きずらることがなく、垂れ込み現象が生じることがない。
【0027 】
プランジャチップ53の低速前進が進み、図3に示されているように、溶湯Mのスリーブ内充填率が所定値(100%に近い値)に達すると、図4に示されているように、電磁切換弁26を切り換え、油圧シリンダ装置21によって分流子20を後退させ、鋳込口14を開き、分流子20を通常の分流子位置に位置させる。そして、電磁開閉弁17を閉じる。
【0028 】
なお、この時には、プランジャチップ53は、図4に示されているように、給湯口51を通過しており、キャビティ13が給湯口51によって大気開放されることがなく、気密状態で、真空引き状態が維持される。
【0029 】
つぎに、プランジャチップ53を低速前進より高速前進に切り換える。これにより、図5に示されているように、プランジャスリーブ50内の溶湯Mが分流子20に案内されて円滑にライナ部15へ流れ、キャビティ13に対する溶湯Mの射出充填が行われる。
【0030 】
上述したように、分流子20の移動によってライナ部15が連通、遮断され、プランジャスリーブ50よりキャビティ13に溶湯Mを充填する適正タイミングまでは、すなわち、低速射出より高速射出への移行タイミングでは、分流子20によってライナ部15の連通を遮断しておくことにより、金型キャビティ減圧のための真空引き容積が減ると共に、垂れ込み現象の発生を回避できる。これにより、高密の良質なダイカスト製品を安定して生産することができるようになる。
【0031 】
図6〜図8はこの発明による減圧鋳造ダイカストマシンの一つの実施形態を示している。なお、図6〜図8において、図1〜図5に対応する部分は、図1〜図5に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0032 】
この減圧鋳造ダイカストマシンには、上述の減圧鋳造用金型10が取り付けられている。
【0033 】
溶融状態の金属、すなわち溶湯を貯容する溶湯保持炉54が設けられている。溶湯保持炉54より溶湯をプランジャスリーブ50内に吸引給湯するために、プランジャスリーブ50に保温給湯管(吸込み管)55が連通接続されている。
【0034 】
プランジャスリーブ50の上部壁にはプランジャスリーブ50内を減圧して吸引給湯するための真空引きポート56が設けられている。真空引きポート56は、電磁開閉弁57、減圧配管58によって金型キャビティ真空引き用の真空タンク19とは別の真空タンク59に接続されている。
【0035 】
つぎに、この減圧鋳造ダイカストマシンによる減圧鋳造法を図6〜図8を参照して説明する。
【0036 】
図6は型締め完了状態を示している。この型締め完了状態で、図7に示されているように、電磁切換弁26を切り換え、油圧シリンダ装置21によって分流子20を前進させ、鋳込口14を閉じ、ライナ部15の連通を遮断する。つぎに、電磁開閉弁17を開き、真空タンク19によってキャビティ13の真空引き(減圧)を行う。電磁開閉弁57を開き、真空タンク59によってプランジャスリーブ50の減圧を行う。
【0037 】
プランジャスリーブ50内の真空度が増すと、溶湯保持炉54の溶湯が保温給湯管55によってプランジャスリーブ50内に吸い込まれ、吸引給湯が行われる。
【0038 】
この吸引給湯は、分流子20によって鋳込口14を閉じ、キャビティ13とプランジャスリーブ50との連通を遮断した状態で、真空タンク19によるキャビティ13の真空引きとは別に行われるから、金型キャビティの真空度が上がらない、吸引給湯による給湯量がばらつく等の不具合を生じることがない。また、吸引給湯過程で、溶湯Mが真空引きされているキャビティ13側に引きずらることがなく、垂れ込み現象が生じることもない。
【0039 】
キャビティ13の真空引きや吸引給湯の期間は、タイマ制御により任意に設定することができ、タイマがタイムアップすれば、電磁開閉弁17を閉じてキャビティ13の真空引きを完了し、電磁開閉弁57を閉じて吸引給湯を終了する。この後に、図8に示されているように、電磁切換弁26を切り換え、油圧シリンダ装置21によって分流子20を後退させ、鋳込口14を開き、キャビティ13とプランジャスリーブ50とを連通させる。
【0040 】
その直後に、プランジャチップ53を前進させる。これにより、プランジャスリーブ50内の溶湯Mが分流子20に案内されて円滑にライナ部15へ流れ、キャビティ13に対する溶湯Mの射出充填が行われる。
【0041 】
上述したように、分流子20によってプランジャスリーブ50と金型10のキャビティ13との連通を遮断した状態で、プランジャスリーブ50内の減圧と、キャビティ13の減圧を個別に行うことができるから、吸引給湯のためのプランジャスリーブ50内の減圧と、減圧鋳造のためのキャビティ13の減圧を各々適正に行うことができ、垂れ込み現象の発生を回避し、ばらつきのない給湯量の精度を確保できる。これにより、高密の良質なダイカスト製品を安定して効率よく生産することができるようになる。
【0042 】
【発明の効果】
以上の説明から理解される如く、この発明による減圧鋳造用金型、減圧鋳造ダイカストマシンおよび減圧鋳造法によれば、分流子によって金型キャビティに溶湯を導くライナ部が連通、遮断されるから、垂れ込み現象の発生を回避でき、また、吸引給湯も安定して良好に行え、高密の良質なダイカスト製品を安定して生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による減圧鋳造用金型の一つの実施形態の給湯開始状態を示す図である。
【図2】この発明による減圧鋳造用金型の一つの実施形態の給湯完了状態を示す図である。
【図3】この発明による減圧鋳造用金型の一つの実施形態の低速射出完了状態を示す図である。
【図4】この発明による減圧鋳造用金型の一つの実施形態の高速射出開始状態を示す図である。
【図5】減圧鋳造用金型の一つの実施形態の高速射出完了状態を示す図である。
【図6】この発明による減圧鋳造ダイカストマシンの型締完了状態を示す図である。
【図7】この発明による減圧鋳造ダイカストマシンの吸引給湯完了状態を示す図である。
【図8】この発明による減圧鋳造ダイカストマシンの射出完了状態を示す図である。
【符号の説明】
10 減圧鋳造用金型
11 固定金型
12 可動金型
13 キャビティ
14 鋳込口
15 ライナ部
16 減圧通路
17 電磁開閉弁
18 減圧配管
19 真空タンク
20 分流子
21 油圧シリンダ装置
27 油圧ポンプ
50 プランジャスリーブ
51 給湯口
53 プランジャチップ
54 溶湯保持炉
55 保温給湯管
57 電磁開閉弁
58 減圧配管
59 真空タンク
Claims (5)
- 金型キャビティを減圧し、減圧された金型キャビティに溶湯を射出する減圧鋳造用の金型において、
鋳込口に分流子が移動可能に設けられ、当該分流子の移動によって前記金型キャビティに溶湯を導くライナ部が連通、遮断されることを特徴とする減圧鋳造用金型。 - 溶湯を真空引きによってプランジャスリーブ内に吸引給湯し、金型キャビティを減圧し、プランジャスリーブ内の溶湯を減圧された金型キャビティにプランジャスリーブより射出する減圧鋳造ダイカストマシンにおいて、前記プランジャスリーブと前記金型キャビティとの連通、遮断を行うライナシャッタ手段と、
前記プランジャスリーブ内の減圧と前記金型キャビティの減圧とを個別に行う減圧手段と、
を有していることを特徴とする減圧鋳造ダイカストマシン。 - 請求項1記載の減圧鋳造用金型を取り付けられ、前記ライナシャッタ手段が前記分流子であることを特徴とする請求項2記載の減圧鋳造ダイカストマシン。
- 請求項1記載の減圧鋳造用金型を使用し、分流子を前進させ、当該分流子によってライナ部を遮断した状態で、金型キャビティの減圧とプランジャスリーブに対する給湯を行い、プランジャチップの前進によって溶湯のスリーブ内充填率が所定値に達した時点で、前記分流子を後退させ、前記ライナ部を連通状態とし、金型キャビティに対する溶湯の射出充填を開始することを特徴とする減圧鋳造法。
- 請求項2または3記載の減圧鋳造ダイカストマシンを用い、ライナシャッタ手段の閉移動によってプランジャスリーブと金型キャビティとの連通を遮断した状態で、プランジャスリーブ内の減圧によるプランジャスリーブに対する給湯と金型キャビティの減圧を減圧手段によって個別に行い、プランジャスリーブに対する給湯完了後に、前記ライナシャッタ手段の開移動によって金型キャビティとの連通を確立し、プランジャスリーブ内の溶湯を金型キャビティに対して射出充填することを特徴とする減圧鋳造法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002172875A JP2004017064A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 減圧鋳造用金型、減圧鋳造ダイカストマシンおよび減圧鋳造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002172875A JP2004017064A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 減圧鋳造用金型、減圧鋳造ダイカストマシンおよび減圧鋳造法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004017064A true JP2004017064A (ja) | 2004-01-22 |
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ID=31172318
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002172875A Pending JP2004017064A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 減圧鋳造用金型、減圧鋳造ダイカストマシンおよび減圧鋳造法 |
Country Status (1)
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|---|---|
| JP (1) | JP2004017064A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100676382B1 (ko) | 2006-04-10 | 2007-02-01 | 주식회사 트라움유시케이 | 진공 결합 부분 스퀴즈를 이용한 다이 캐스팅방법 |
| JP2012218068A (ja) * | 2011-04-14 | 2012-11-12 | Toyota Motor Corp | 鋳造装置及び鋳造方法 |
| CN114160769A (zh) * | 2021-12-22 | 2022-03-11 | 苏州三基铸造装备股份有限公司 | 一种保温炉免卸压的高真空压铸设备及铸造方法 |
| CN117505808A (zh) * | 2023-10-23 | 2024-02-06 | 东莞胜辉机械有限公司 | 一种立式上注料下开模压铸机及其压铸方法 |
-
2002
- 2002-06-13 JP JP2002172875A patent/JP2004017064A/ja active Pending
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