JP2004018272A - スラリー状腐敗性廃棄物の処理法と装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】悪臭の発生を可及的に抑制しながら有機物スラリーを液肥化する。スラリー中の寄生虫卵や病原菌を殺菌し、しかも比較的低コストで実施可能とする。
【解決手段】畜産排泄物、厨房排水、下水汚泥などのスラリー状腐敗性廃棄物を収容した閉鎖型の処理槽内にオーレスS菌を投入し、処理槽内にエアレーションを行ってオーレスS菌の増殖を促すことにより、高温醗酵によってスラリー状腐敗性廃棄物を処理した後、光合成細菌と投入してスラリー状腐敗性廃棄物を液肥とする。オーレスS菌は、60℃前後で安定した増殖を行うので、当初の分解処理を高温状態で長時間継続して行うことができ、悪臭を発生させることなく比較的短時間で醗酵処理できる。しかもスラリー内に棲息する寄生虫卵や病原菌を殺菌することができる。光合成細菌の投入によって、醗酵処理が完成されるとともに液肥としても有効となる。
【選択図】
図2
【解決手段】畜産排泄物、厨房排水、下水汚泥などのスラリー状腐敗性廃棄物を収容した閉鎖型の処理槽内にオーレスS菌を投入し、処理槽内にエアレーションを行ってオーレスS菌の増殖を促すことにより、高温醗酵によってスラリー状腐敗性廃棄物を処理した後、光合成細菌と投入してスラリー状腐敗性廃棄物を液肥とする。オーレスS菌は、60℃前後で安定した増殖を行うので、当初の分解処理を高温状態で長時間継続して行うことができ、悪臭を発生させることなく比較的短時間で醗酵処理できる。しかもスラリー内に棲息する寄生虫卵や病原菌を殺菌することができる。光合成細菌の投入によって、醗酵処理が完成されるとともに液肥としても有効となる。
【選択図】
図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、畜産排泄物、厨房排水、下水汚泥などのスラリー状の腐敗性廃棄物を醗酵処理する処理法と装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
畜産排泄物、厨房排水、下水汚泥などのスラリー状腐敗性廃棄物を処理する方法として、例えば特公平8−11239号記載の発明がある。
この発明は、処理槽内に畜産排泄物より成るスラリー状の腐敗性廃棄物を収容し、光合成細菌を投与するとともに曝気する。曝気により、処理槽上部空間に発生する泡の表面に、木屑などの難分解性有機物が取り込まれる。この泡状排泄物を、消泡機によって消泡させるとともに難分解性有機物を含むスラリー状処理物を処理槽外へ導出する。難分解性有機物以外の有機物は、光合成細菌を主とする微生物によって醗酵処理される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術は、泡に付着した難分解性有機物を含むスラリー状処理物を処理槽外に排出するために、二次公害を惹きおこす可能性があり、これを解消するにはスラリー状処理物を更に処理する手段が必要となる。
【0004】
処理槽に投入されて排泄物中の有機物の分解等に寄与する光合成細菌は、一般的には中温菌である。したがって、処理槽内での排泄物の醗酵は、いわゆる中温醗酵となる。
このため、上記手法では、悪臭の原因となる通性嫌気性菌の活動を抑制できず(酸素の有無に拘わらず増殖する)、悪臭が発生する。発生した悪臭は、ゼオライトから成る消臭剤を用いて吸着脱臭するようにしているが、実際には悪臭を十分に補足するのは困難であり、ランニングコストも、その分、増加する。
【0005】
また、上記手法は、中温醗酵であるために、排泄物中に含まれている寄生虫卵やクリプトストリジムなどの各種病原菌を殺菌することができない。したがって、上記公報記載の発明の効果である「醗酵後のスラリー状処理物の乾燥物を良好な土壌改良材として利用する」ためには、さらにこうした病原菌等を処置する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、悪臭の発生を可及的に抑制して有機物スラリーを液肥化するスラリー状腐敗性廃棄物の処理法と装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、寄生虫卵や病原菌を殺菌でき、しかも比較的低コストで実施可能な、スラリー状腐敗性廃棄物の処理法と装置を提供することにある。
【0007】
【課題を達成するための手段】
本発明は、上記した目的を達成するために次の構成を備える。
すなわち、本発明の処理法は、スラリー状腐敗性廃棄物を収容した閉鎖型の処理槽内にオーレスS菌を投入し、処理槽内にエアレーションを行ってオーレスS菌の増殖を促すことにより、高温醗酵によってスラリー状腐敗性廃棄物を処理した後、光合成細菌と投入してスラリー状腐敗性廃棄物を液肥とする、ものである。
【0008】
また、本発明の処理装置は、スラリー状腐敗性廃棄物を収容する閉鎖型の処理槽と、光合成細菌とオーレスS菌とを含む微生物群と、これらの微生物群を処理槽に投入する手段と、処理槽内に酸素を送り込む酸素供給手段とを備える。
【0009】
処理の対象となる廃棄物は、畜産排泄物、厨房排水、下水汚泥などのもともと含水率が高くスラリー状になっている腐敗性廃棄物だけでなく、食品残渣などの比較的含水率の低い腐敗性廃棄物に水を添加してスラリー状とした廃棄物も含まれる。
【0010】
処理槽内に投入されるオーレスS(AURACE−S)菌は、腐敗性廃棄物中に存在する菌で、これを単離してその菌学的性質を調べたところ次の通りであった。
【0011】
実験の方法と装置
分離源には、出願人所在地周辺の養豚場より採取した土壌を使用した。培地は、栄研化学株式会社製のパールコア標準寒天培地を使用した。養豚場土壌からの好温菌分離温度は55℃で行なった。また、グラム染色判定試験を除いては、性状判定は一夜培養後に行なった。グラム染色は、至適条件で4〜5時間液体培養して得た栄養細胞を用いて行った。
【0012】
1GC含量の測定
培養条件:分離株をディフコ製ハート・インフュージョン・ブロスにグルコース0.1%を添加した液体培地に接種し、55℃で、一夜撹拌培養した。生育状態をチェックし、生育の良好であった培養液を種菌として使用した。新鮮な培地に分離株の種菌10%を添加し、55℃で2〜3時間培養し、GC含量測定用試料とした。
【0013】
DNAの抽出:下記条件で行った。
(1).試料10mlを遠心して集菌したのち、saline−EDTAによく懸濁してから10,000xg10分間再度遠心し、上清を捨てた。
(2).菌体をメタノール・ドライアイスで急速凍結させた。
(3).リゾチーム2mg/mlー10mM Tris−HCl(pH8.0)を0.5ml加え、37゜cで30分間〜2時間反応させた。
(4).Tris−SDS緩衝液50μlを加えてよく混和し、60℃で5分間加熱した。
(5).90%(v/v)フェノール0.2mlを加えて、2分間激しく振とうした。
(6).氷水で冷却し、クロロホルム0.2mlを加えて2分間激しく振とうした。
(7).10,000xgで5分間遠心した。
(8).中間層の沈殿を巻き上げないように上層の溶液0.4mlをそっと吸い取り、別のポリプロピレンチューブに移した。
(9).クロロホルム0.5mlを加えて2分間振とうし、10,000xgで5分間遠心した。
(10).中間層の沈殿物を巻き上げないように上層の溶液0.3mlを吸い取り、別のポリプロピレンチューブに移した。
(11).(9)、(10)をもう1度繰り返した。
(12).RNase溶液50μlを加え、37℃で10分間反応させた。
(13).プロテイナーゼK溶液50μlを加え、37℃で20分間反応させた。
(14).90%フェノール0.2ml、クロロホルム0.2mlを加え、1分間振とうした。
(15).10,000xgで5分間遠心し、上清0.3ml別のポリプロピレンチューブに移した。
(16).99%エタノール0.7mlを加え、1分間振とうした。
(17).沈殿させたDNAに70%エタノール、99%エタノールの順にすすいだ。
(18).減圧デシケーターで乾燥させた。
【0014】
GC含量測定用試料の調製
下記条件で行った。
(1).上記(18)の試料に滅菌蒸留水50μlを加え、60℃で1時間放置する。その後、100℃、5分間加熱後急冷した。
(2).10μlずつポリプロピレンチューブにとった。
(3).ヌクレアーゼP1溶液を10μlずつ加え、蓋を閉めてから軽く指ではじいて混ぜ、数秒間遠心した。
(4).50℃で1時間反応させた。
(5).アルカリフォスファターゼ溶液を10μlずつ加え、蓋を閉めてから軽く指ではじいて混ぜ、数秒間遠心した。
(6).37℃で1時間反応させる。
(7).この溶液をそのままHPLCのサンプルとした。
【0015】
HPLCの運転条件
下記条件で行った。
(1).カラム :(財)化学品検査協会製L−column ODS
(2).溶出液 :0.2M NH4H2PO4ーアセトニトリル=20:1
(3).流速 :0.5ml/min検出器 :紫外分光光度計
(4).検出波長 :260nm
(5).温度 :室温
【0016】
GC含量の算出
GC含量の計算は下記の式に従った。
GC(mol%)=(Gx+Cx/Ax+Tx+Gx+Cx)×x100
Cx(Gx,Tx,Ax)は、ヌクレアーゼP1消化DNAのdCMP(dGMP,dTMP,dAMP)ピーク面積を表す。
【0017】
PCR生成物の調製
PCR反応は下記条件で行った。
反応液組成:
PCR Master Mix 25.0μL
Genomic DNA & Posi/Nega Controls 1.0μL
DW 24.0μL
【0018】
PCR条件
サーマルサイクラーは、GeneAmp PCR System 9700を使用した。
サイクリングは下記条件で行った。
【0019】
PCR反応後の精製
Microcon 100 Column(MILLIPORE 社製)を使用して行った。
サイクルシーケンス反応
MicroSeq 500 16S rDNA Bacterial Sequencing Kit を用いて行った。
シーケンシング モジュール(Sequencing Module)は、下記のとおりである。
反応液組成:
Purified PCR Products 3.0μL
Forward or Reverse Sequencing Mix 13.0μL
DW 4.0μL
【0020】
サイクリング条件
サーマルサイクラーは、GeneAmp PCR System 9700を使用した。
サイクリングは下記条件で行った。
【0021】
サイクルシーケンス反応後の精製
Centrisep Spin Columnを用いて行った。
分析方法
分析は下記条件で行った。
分析機種:ABI PRISM 3100 Genetic Analyzerを使用した。
キャピラリー:3100 50cm Capillaries (61cm x 50μm)を使用した。
ポリマー:3100 POP6を使用した。
サンプル溶解バッファー:Hi Di Formamide 10μLを使用した。
16S−rDNAの塩基配列の解析:
塩基配列の解析は、DNASIS Pro(日立ソフトウェアエンジネアリング(株))を用いて行った。
【0022】
実験の結果
55℃で生育してきた分離株、Bacillus sp. AURACE−Sの性状は以下のとおりである。
1.形態・大きさ
細胞は桿形で、短径1.0〜1.2μm、長径8〜10μmの大きさの細菌である。
2.グラム染色
本菌はグラム染色陽性である。
3.芽胞形成能の有無
本菌は芽胞を形成する。
4.運動性
本菌は運動性を有しない。
【0023】
以上の結果から、分離株AURACE−Sは、絶対好気性のグラム陽性桿菌で芽胞形成能を有することから、バチルス属細菌と判断し、Bacillus sp. AURACE−S(バチラスエスピー.オーレス−エス)と命名した。
なお、以下の記載においては、IFO(Institute of Fermentation Organization)12250号,12983号,及び13737号の菌(B.stearothermophilus「バチルス.ステロサーモフィラス」)を、本願発明で用いられるBacillus sp. AURACE−S(バチラスエスピー.オーレス−エス)と比較対照する微生物として、選定した。
【0024】
【0025】
6.生育温度
【表1】
【0026】
7.生育pH
【表2】
【0027】
8.胞子の形態
【表3】
【0028】
表1〜3の結果から明らかなように、Bacillus sp. AURACE−Sは、コロニーの表面性状、生育温度域、生育pH域において、B.stearothermophilusとは明らかに異なることが分かった。そこで、HPLCを用いて、Bacillus sp. AURACE−SとB.stearothermophilusの塩基組成比を調べた。
【0029】
【表4】
【0030】
表4に示したように、Bacillus sp. AURACE−SのGC含量は63.5mol%であったが、B.stearothermophilusのGC含量は43.0mol%と、明らかに異なっていた。
表5および表6に、Bacillus sp. AURACE−SとB.stearothermophilusとの16s−rDNAの1〜510の塩基配列を示す。
【0031】
【表5】
Bacillus sp. AURACE−Sの16s−rDNAの1〜510の塩基配列
AGGNNGAACGCTGNGCGGCGNTGTCCTAATACATGTCAAAGTCGAGCGAACCGGATGGAGTGCTTGCATTCC
TGAGGTTAGCGGCGGACGGGTGAGTAACACGTAGGCAACCTGCCTGTACGACCGGGATAACTCCGGGAAACC
GGAGCTAATACCGGATAGGATGCCGAACCGCATGGTTCGGCATGGAAAGGCCTTTGAGCCGCGTACAGATGG
GCCTGCGGCGCATTAGCTAGTTGGTGGGGTAACGGCCTACCAAGGCGACGATGCGTAGCCGACCTGAGAGGG
TGAACGGCCACACTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTAGGGAATCTTCCGCAAT
GGACGAAAGTCTGACGGAGCAACGCCGCGTGAGTGAGGAAGGTCTTCGGATCGTAAAACTCTGTTGTCAGGG
AAGAACCGCCGGGATGACCTCCCGGTCTGACGGTACCTGACGAGAAAGCCCCGGCTAACTACGTGTCANCAN
CCGCGG
【0032】
【表6】
B.stearothermophilusの16s−rDNAの1〜510の塩基配列
AACGCTGGCGGCGTGCCTAATACATGCAAGTCGAGCGGACCGGATTGGGGCTTGCTTTGATTCGGTCAGCGG
CGGACGGGTGAGTAACACGTGGGCAACCTGCCCGCAAGACCGGGATAACTCCGGGAAACCGGAGCTAATACC
GGATAACACCGAAGACCGCATGGTCTTCGGTTGAAAGGCGGCCTTTGGGCTGTCACTTGCGGATGGGCCCGC
GGCGCATTAGCTAGTTGGTGAGGTAACGGCTCACCAAGGCGACGATGCGTAGCCGGCCTGAGAGGGTGACCG
GCCACACTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTAGGGAATCTTCCGCAATGGGCGA
AAGCCTGACGGAGCGACGCCGCGTGAGCGAAGAAGGCCTTCGGGTCGTAAAGCTCTGTTGTGAGGGACGAAG
GAGCGCCGTTCGAAGAGGGCGGCGCGGTGACGGTACCTCACGAGAAAGCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGC
CGCGGT
【0033】
図1は、表5および表6の結果に基づきマルチプルアラインメントを行い、Bacillus sp. AURACE−Sの進化系統樹を作成したものである。
同図から明らかなように、Bacillus sp. AURACE−Sは進化系統樹から見ても、B.stearothermophilusとは異なる菌種であることがわかった。
【0034】
以上の結果から、Bacillus sp. AURACE−Sを新種と判断し、本菌をBacillus sp. AURACE−Sと命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託した。Bacillus sp. AURACE−Sの寄託番号は、FERM P−18769号である。
Bacillus sp. AURACE−Sは、上記したように55℃の温度環境で良好に生育し、急速にスラリー状の腐敗性廃棄物を醗酵処理する。
【0035】
処理槽内に投入される光合成細菌としては、代表的なものとして例えば、次のような微生物を採用可能である。
(1).ロドバクター・カプスラータ(Rhodobacter capsulata)。
酸素に対する態度(生育における酸素の要求度):絶対好気性。
生育温度:20℃〜40℃。
特徴:▲1▼BOD成分の分解・除去。
▲2▼有毒アミン(プトレシン、カダベリン、ジメチルニトロサミン)の分解・無毒化。
▲3▼栄養塩摂取における拮抗作用による硫酸還元菌の間接的増殖阻害(水田における硫化水素の発生防止)。
▲4▼菌体内有効成分による農作物の糖度、鮮度保持効果、収穫量の上昇。
▲5▼土壌への施用により、農業有益菌が増加。
なお、特徴の▲4▼と▲5▼は、本光合成細菌の死菌でも有効である。
【0036】
(2).ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)。
酸素に対する態度:絶対好気性。
生育温度:20℃〜40℃。
特徴:▲1▼BOD成分の分解・除去
▲2▼脱窒作用を持つものもいる(硝酸、亜硝酸の窒素ガスへの変換)。
▲3▼低級脂肪酸の分解・除去。
【0037】
(3).ロドシュードモナス・ゲラティノーサ(Rhodopseudomonas gelatinosa)およびロドシュードモナス・パラストリス(Rhodopseudomonas palustris)
酸素に対する態度:通性嫌気性。
生育温度:20℃〜40℃。
特徴:▲1▼BOD成分の分解・除去。
▲2▼リン酸の吸収。
【0038】
これらの光合成細菌は、いずれも好気性下の20℃〜40℃の環境で、良好に生育するため、Bacillus sp. AURACE−Sによる醗酵処理が落ち着いて温度低下をしたときに処理槽内に投入される。光合成細菌は、本発明方法において、単一もしくは複数種類を組み合わせたものを適用可能である。
ロドシュードモナス属の光合成細菌は、酸素の有無にかかわらず生育可能である。ロドバクター・スフェロイデスは、低級脂肪酸の分解・除去能があることから、処理過程で脱臭を必要とするときに効果的である。
そして、これらの光合成細菌が増殖することにより、他の中温菌や低温菌の活動が制限され、この結果、処理過程で温度が低下したときにも全体的な悪臭の発生が抑制される。
【0039】
処理槽内に投入される光合成細菌及びオーレスS菌の量は、ともに別段の制限を伴うものではないが、処理槽に収容されるスラリー状廃棄物の約0.1〜0.3%前後(容量換算)が良い。
【0040】
本発明方法では、前記微生物以外に微生物(オーレスS菌光合成細菌)の栄養源を前記処理槽内に更に投入するのが望ましい。栄養源は、培養基以外に、フスマ、米ぬか、その他、微生物の生存あるいは増殖に必要な栄養素となり得るものであれば良い。
【0041】
醗酵処理後の処理物は、有機性の固形物が分解され、水分が蒸発されて減量化されている。
この処理物には微生物の増殖抑制手段を施すのが望ましい。
増殖抑制手段は、例えばpH調整材から成る。このpH調整材によって処理物は、pH10以上もしくはpH3以下に調整される。
【0042】
本発明装置は、上記した構成以外に、前記微生物群の栄養源及び/もしくはpH調整材の投入手段を更に備える。
また、本発明装置は、処理槽内に発生する泡を消す消泡手段を更に備える。消泡手段によって消泡されたスラリー状の難分解性有機物は、処理槽に環流されるようにするのが望ましい。
また、本発明装置は、稼働初期時にスラリー状腐敗性廃棄物を加温手段によって所定温度、すなわちオーレスS菌が増殖可能な温度まで加温し、通性嫌気性菌など中温菌の活動時間を短くするようにしても良い。
【0043】
【実施の最良の形態】
以下、本発明を図示した実施例に基づいて詳説する。
図1は、本発明装置の概念構成図である。
図中符合1は、豚舎2などの発生源から排出された豚屎尿を主成分とするスラリー状腐敗性廃棄物を貯溜する貯留槽、3は貯留槽内に設けた汲み上げポンプ、4はこのポンプ3によって圧送されたスラリー状腐敗性廃棄物を醗酵処理するための処理槽である。
【0044】
処理槽4は、各種添加材の投入口7〜9を除いて上面開放部が閉塞されている。
処理槽内にはブロワ5が配設されている。ブロワ5は、処理槽4に収容されたスラリー状廃棄物を下方から曝気する。6は、ブロワ5に接続された空気供給菅で、その基端は処理槽外へと延びている。
【0045】
処理槽4には、各種添加材の投入口7〜9が設けられている。第1投入口7は、オーレスS菌と光合成細菌の投入口である。オーレスS菌は、上記したように、養豚場土壌より採取、分離したバチルス属に属する新菌で、45℃以上において良好に増殖する絶対好気性菌の一種である。光合成細菌は、本実施例ではロドバクター・カプスラータとロドバクター・スフェロイデスとロドシュードモナス・ゲラティノーサとを混合したものが用いられる。オーレスS菌と光合成細菌は、供給菅路中途に設けた切り換えバルブ10によっていずれかが選択的に処理槽内に供給される。処理初期段階で、オーレスS菌が第1投入口7から処理槽内に投入され、処理後期段階で、光合成細菌が第1投入口7から同様に投入される。
【0046】
両微生物の各添加量は、スラリー状腐敗性廃棄物の容量による。通常は、容量換算で、スラリー状腐敗性廃棄物100に対して0.1〜03%程度のオーレスS菌もしくは光合成細菌が添加される。
なお、図中符号11はオーレスS菌の収容器、12は光合成細菌の収容器である。
【0047】
8は第2投入口で、上記両微生物の栄養源であるふすまや米ぬかの収容器13と連通され、時宜に応じてこれらの栄養源が処理槽内に投入される。
9は第3投入口で、微生物の増殖抑制手段であるpH調整材の収容器14と連通され、必要時にpH調整材を処理槽内に供給する。
【0048】
15は、処理槽の上部に配設した消泡機である。この消泡機15は、図4の拡大図に見られるように、処理槽内と連通する気泡導入管16と、泡切り用濾過器17と、サイクロン18とを備える。サイクロン18の底部は、戻し管路23を介して前記空気供給管6と連通されている。したがって、ブロワ5の稼働により戻し管路出口に生じる負圧によって、サイクロン内部空間は、泡切り用濾過器側の入り口より戻し管路側の出口へと吸引力が作用する。
【0049】
19は、サイクロン18の上部と連通路を介して連通された洗浄塔である。洗浄塔19には脱臭塔20が並設されている。
21は、処理槽4に並設された液肥貯留槽、22は振動篩である。
また、24は光合成細菌、オーレスS菌、pH調整材、及び栄養源の各種添加材の投入時期と投入量、ポンプとブロワの駆動制御などを行うための制御回路が組み込まれた制御装置である。
【0050】
本装置の使用状態を説明する。
貯溜槽1に溜められたスラリー状の豚舎原水を、制御装置24を操作することによりポンプ3を介して処理槽に6m3投入する。第1投入口7から処理槽内にオーレスS菌を20l(リットル)供給し、ブロワ5を駆動させて外気をスラリーに送り込み、曝気する。
【0051】
スラリー中の好気性微生物は、溶存酸素下で増殖を開始し、有機物を分解してスラリーの温度を上昇させる。図3は、スラリー中にオーレスS菌を投入した場合(実線)と、投入しない場合(細破線)のスラリーの温度変化を示す。なお、図中長破線は、外気温の変化を示す。
【0052】
エアレーション開始後10時間ほどは、オーレスS菌を投入した場合とそうでない場合の両者ともに同様な温度立ち上がりを示す。10時間ほどでスラリーは約40℃まで上昇する。前記したように37℃を超えた時点で、オーレスS菌は、増殖を開始する。オーレスS菌の増殖によってスラリーは更に温度を上昇させ、約16時間で50℃に達する。オーレスS菌はその後も活動を継続し、約28時間後にはスラリーの温度を60℃にまで昇温させる。以後、96時間(約4日)に至るまで、平均して60℃強の高温状態を維持する(最高温度で約68℃)。
この高温環境によって、スラリー内の大腸菌など各種病原菌は、死滅する。
【0053】
原水と処理後の液肥について、大腸菌の測定を、BTB寒天培地を用いて定法により行ったところ、原水には105含まれていたが、液肥では陰性を示した。また、クリプトスポリジウムについて、間接蛍光抗体染色法「水道に関するクリプトスポリジウムのオーシストの検出のための暫定的な試験法」に基づいて、原水と処理後の液肥について測定したところ、処理前の原水では陽性を示したのに対し、処理後の液肥では陰性を示した。
これらはいずれも、本発明において上記した高温状態の長時間継続によって、病原菌が死滅したことを示している。
【0054】
一方、図3において、オーレスS菌を投入しない場合の通常微生物群による分解処理では、42時間経過してはじめて50℃となり、その後、46時間目に一時的に最高温度となる55℃を記録したものの、ほとんど50℃前後の温度状態を維持するに過ぎない。
この程度の高温状態では、病原菌を死滅させるに十分な温度環境を形成することはできない。
【0055】
処理槽内に生じた気泡は、スラリー中の難分解性の有機性成分をその表面に取り込んで、処理槽上部へと浮上する。
エアレーション用のブロワ5の稼働中には、空気供給菅6と連通する戻し管路23の出口が負圧となる。この負圧は、サイクロン18及びサイクロンを介しての泡切り用濾過器17の下流側に作用し、気泡導入管16より処理槽内上部空間の気泡を泡切り用濾過器17に取り込む。取り込まれた気泡は、濾過器17の濾膜によって濾過される。固形分は濾膜に補足される一方、液分はサイクロン18と戻し管路23を介して処理槽内に戻される。したがって、この消泡機は、電力や駆動源を用いることがないので、経済的に実施される。
【0056】
また、サイクロン18を通過する液分に含まれている臭気成分は、サイクロン上部からシャワー設備を有する洗浄塔19を経て脱臭塔20に導かれ、無臭の空気として外部に放出される。
【0057】
図3に示すように、96時間後にスラリーの温度は低下し始める。オーラスS菌によるスラリーの分解処理が落ち着いた結果である。図3には示されていないが、その後スラリーは急速に40℃前後まで急速に温度低下する。
この時点で、微生物供給管路のバルブ10を切り換え、光合成細菌収容器から光合成細菌を処理槽内に投入する。
光合成細菌は、この低下した温度環境下で活動を開始し、さらにスラリー内の有機物を分解する。必要に応じて第2投入口8から光合成細菌の栄養源を添加し、光合成細菌の増殖を図る。
他の中温菌が活動を開始する前に光合成細菌の増殖を図ることにより、悪臭の発生源が抑制される。
【0058】
約1週間(168時間)経過することにより、スラリーは大部分の有機物が分解され、液分の一部が蒸発されて、50%から70%程度に減量化された液肥となる。
この液肥は、処理槽底部から引き抜かれ、一旦、液肥貯溜槽21に滞留された後、振動篩22にかけられて農地に還元される。
液肥として完成した時点で、第3投入口9からpH調整材を投入してpHを酸性側もしくは塩基性側に調整することにより、各種低温菌や中温菌の増殖が抑制され、貯溜槽に貯溜されている間に悪臭等を発生させることがなくなる。
【0059】
液肥は、内部に光合成細菌をはじめとする有用微生物群が含まれている。また、N,P,Kの三大栄養素に富むばかりでなく各種のミネラル成分をも多量に含有する。しかも、上記したようにして高温殺菌処理されているために、動植物にとって有害となる病原菌や寄生虫などの害虫が死滅している。この結果、農地に還元したときに、有効な有機肥料となる。
【0060】
長野県大町市、宮田農園において、上記液肥のリンゴへの施用効果を確認する試験を行った。
試験方法:
品種; ふじの成木
施用方法;10A当たり3.5tを全面散布。
試験結果:
本発明方法による液肥散布区と慣行区について、各2樹を調査した。
【0061】
この結果から明らかなように、本発明方法の結果物である液肥は、果色や糖度において、品質の向上が見られた。
【0062】
また、その他、水稲栽培の施用試験において、本発明方法の結果物である液肥を用いた区では、初期から生育が良好であり、即効性の肥効を示し、慣行区と同様な生育量を確保できることが確認されている。倒伏や下位節間の伸長に関しても問題を生じなかった。
更に、これらの圃場試験において、病害虫が発生することもなかった。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果を奏する。
60℃前後で安定した増殖を行うオーレスS菌を用いてスラリー状の腐敗性廃棄物を分解処理した後、光合成細菌によって分解処理を受け継いで最終的に液肥とするので、当初、分解処理を高温状態で長時間継続して行うことができ、悪臭を発生させることなく比較的短時間で醗酵処理でき、しかもスラリー内に棲息する寄生虫卵や病原菌を殺菌することができる。
【0064】
また、処理対象となるスラリーを減量化でき、水分調整材などを使用することなく、比較的低廉なコストで実施することができる。
【0065】
本発明装置も単純な装置あるいは機器類から成り、設置面積を大きくとることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】Bacillus sp. AURACE−Sの進化系統樹を示す図。
【図2】本発明の一実施例に係る装置の概略構成図。
【図3】オーレスS菌の増殖による豚屎尿の温度変化を示すグラフ。
【図4】図2の気泡を消泡する装置の一例を示す拡大図。
【符号の説明】
1 スラリー状腐敗性廃棄物貯溜槽
2 豚舎
4 処理槽
6 空気供給菅
7 第1投入口
8 第2投入口
9 第3投入口
11 オーレスS菌収容器
12 光合成細菌収容器
13 微生物栄養源収容器
14 pH調整材収容器
15 消泡機
16 気泡導入管
17 泡切り濾過器
18 サイクロン
19 洗浄塔
20 脱臭塔
21 液肥貯溜槽
22 振動篩
23 戻し管路
24 制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、畜産排泄物、厨房排水、下水汚泥などのスラリー状の腐敗性廃棄物を醗酵処理する処理法と装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
畜産排泄物、厨房排水、下水汚泥などのスラリー状腐敗性廃棄物を処理する方法として、例えば特公平8−11239号記載の発明がある。
この発明は、処理槽内に畜産排泄物より成るスラリー状の腐敗性廃棄物を収容し、光合成細菌を投与するとともに曝気する。曝気により、処理槽上部空間に発生する泡の表面に、木屑などの難分解性有機物が取り込まれる。この泡状排泄物を、消泡機によって消泡させるとともに難分解性有機物を含むスラリー状処理物を処理槽外へ導出する。難分解性有機物以外の有機物は、光合成細菌を主とする微生物によって醗酵処理される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術は、泡に付着した難分解性有機物を含むスラリー状処理物を処理槽外に排出するために、二次公害を惹きおこす可能性があり、これを解消するにはスラリー状処理物を更に処理する手段が必要となる。
【0004】
処理槽に投入されて排泄物中の有機物の分解等に寄与する光合成細菌は、一般的には中温菌である。したがって、処理槽内での排泄物の醗酵は、いわゆる中温醗酵となる。
このため、上記手法では、悪臭の原因となる通性嫌気性菌の活動を抑制できず(酸素の有無に拘わらず増殖する)、悪臭が発生する。発生した悪臭は、ゼオライトから成る消臭剤を用いて吸着脱臭するようにしているが、実際には悪臭を十分に補足するのは困難であり、ランニングコストも、その分、増加する。
【0005】
また、上記手法は、中温醗酵であるために、排泄物中に含まれている寄生虫卵やクリプトストリジムなどの各種病原菌を殺菌することができない。したがって、上記公報記載の発明の効果である「醗酵後のスラリー状処理物の乾燥物を良好な土壌改良材として利用する」ためには、さらにこうした病原菌等を処置する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、悪臭の発生を可及的に抑制して有機物スラリーを液肥化するスラリー状腐敗性廃棄物の処理法と装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、寄生虫卵や病原菌を殺菌でき、しかも比較的低コストで実施可能な、スラリー状腐敗性廃棄物の処理法と装置を提供することにある。
【0007】
【課題を達成するための手段】
本発明は、上記した目的を達成するために次の構成を備える。
すなわち、本発明の処理法は、スラリー状腐敗性廃棄物を収容した閉鎖型の処理槽内にオーレスS菌を投入し、処理槽内にエアレーションを行ってオーレスS菌の増殖を促すことにより、高温醗酵によってスラリー状腐敗性廃棄物を処理した後、光合成細菌と投入してスラリー状腐敗性廃棄物を液肥とする、ものである。
【0008】
また、本発明の処理装置は、スラリー状腐敗性廃棄物を収容する閉鎖型の処理槽と、光合成細菌とオーレスS菌とを含む微生物群と、これらの微生物群を処理槽に投入する手段と、処理槽内に酸素を送り込む酸素供給手段とを備える。
【0009】
処理の対象となる廃棄物は、畜産排泄物、厨房排水、下水汚泥などのもともと含水率が高くスラリー状になっている腐敗性廃棄物だけでなく、食品残渣などの比較的含水率の低い腐敗性廃棄物に水を添加してスラリー状とした廃棄物も含まれる。
【0010】
処理槽内に投入されるオーレスS(AURACE−S)菌は、腐敗性廃棄物中に存在する菌で、これを単離してその菌学的性質を調べたところ次の通りであった。
【0011】
実験の方法と装置
分離源には、出願人所在地周辺の養豚場より採取した土壌を使用した。培地は、栄研化学株式会社製のパールコア標準寒天培地を使用した。養豚場土壌からの好温菌分離温度は55℃で行なった。また、グラム染色判定試験を除いては、性状判定は一夜培養後に行なった。グラム染色は、至適条件で4〜5時間液体培養して得た栄養細胞を用いて行った。
【0012】
1GC含量の測定
培養条件:分離株をディフコ製ハート・インフュージョン・ブロスにグルコース0.1%を添加した液体培地に接種し、55℃で、一夜撹拌培養した。生育状態をチェックし、生育の良好であった培養液を種菌として使用した。新鮮な培地に分離株の種菌10%を添加し、55℃で2〜3時間培養し、GC含量測定用試料とした。
【0013】
DNAの抽出:下記条件で行った。
(1).試料10mlを遠心して集菌したのち、saline−EDTAによく懸濁してから10,000xg10分間再度遠心し、上清を捨てた。
(2).菌体をメタノール・ドライアイスで急速凍結させた。
(3).リゾチーム2mg/mlー10mM Tris−HCl(pH8.0)を0.5ml加え、37゜cで30分間〜2時間反応させた。
(4).Tris−SDS緩衝液50μlを加えてよく混和し、60℃で5分間加熱した。
(5).90%(v/v)フェノール0.2mlを加えて、2分間激しく振とうした。
(6).氷水で冷却し、クロロホルム0.2mlを加えて2分間激しく振とうした。
(7).10,000xgで5分間遠心した。
(8).中間層の沈殿を巻き上げないように上層の溶液0.4mlをそっと吸い取り、別のポリプロピレンチューブに移した。
(9).クロロホルム0.5mlを加えて2分間振とうし、10,000xgで5分間遠心した。
(10).中間層の沈殿物を巻き上げないように上層の溶液0.3mlを吸い取り、別のポリプロピレンチューブに移した。
(11).(9)、(10)をもう1度繰り返した。
(12).RNase溶液50μlを加え、37℃で10分間反応させた。
(13).プロテイナーゼK溶液50μlを加え、37℃で20分間反応させた。
(14).90%フェノール0.2ml、クロロホルム0.2mlを加え、1分間振とうした。
(15).10,000xgで5分間遠心し、上清0.3ml別のポリプロピレンチューブに移した。
(16).99%エタノール0.7mlを加え、1分間振とうした。
(17).沈殿させたDNAに70%エタノール、99%エタノールの順にすすいだ。
(18).減圧デシケーターで乾燥させた。
【0014】
GC含量測定用試料の調製
下記条件で行った。
(1).上記(18)の試料に滅菌蒸留水50μlを加え、60℃で1時間放置する。その後、100℃、5分間加熱後急冷した。
(2).10μlずつポリプロピレンチューブにとった。
(3).ヌクレアーゼP1溶液を10μlずつ加え、蓋を閉めてから軽く指ではじいて混ぜ、数秒間遠心した。
(4).50℃で1時間反応させた。
(5).アルカリフォスファターゼ溶液を10μlずつ加え、蓋を閉めてから軽く指ではじいて混ぜ、数秒間遠心した。
(6).37℃で1時間反応させる。
(7).この溶液をそのままHPLCのサンプルとした。
【0015】
HPLCの運転条件
下記条件で行った。
(1).カラム :(財)化学品検査協会製L−column ODS
(2).溶出液 :0.2M NH4H2PO4ーアセトニトリル=20:1
(3).流速 :0.5ml/min検出器 :紫外分光光度計
(4).検出波長 :260nm
(5).温度 :室温
【0016】
GC含量の算出
GC含量の計算は下記の式に従った。
GC(mol%)=(Gx+Cx/Ax+Tx+Gx+Cx)×x100
Cx(Gx,Tx,Ax)は、ヌクレアーゼP1消化DNAのdCMP(dGMP,dTMP,dAMP)ピーク面積を表す。
【0017】
PCR生成物の調製
PCR反応は下記条件で行った。
反応液組成:
PCR Master Mix 25.0μL
Genomic DNA & Posi/Nega Controls 1.0μL
DW 24.0μL
【0018】
PCR条件
サーマルサイクラーは、GeneAmp PCR System 9700を使用した。
サイクリングは下記条件で行った。
【0019】
PCR反応後の精製
Microcon 100 Column(MILLIPORE 社製)を使用して行った。
サイクルシーケンス反応
MicroSeq 500 16S rDNA Bacterial Sequencing Kit を用いて行った。
シーケンシング モジュール(Sequencing Module)は、下記のとおりである。
反応液組成:
Purified PCR Products 3.0μL
Forward or Reverse Sequencing Mix 13.0μL
DW 4.0μL
【0020】
サイクリング条件
サーマルサイクラーは、GeneAmp PCR System 9700を使用した。
サイクリングは下記条件で行った。
【0021】
サイクルシーケンス反応後の精製
Centrisep Spin Columnを用いて行った。
分析方法
分析は下記条件で行った。
分析機種:ABI PRISM 3100 Genetic Analyzerを使用した。
キャピラリー:3100 50cm Capillaries (61cm x 50μm)を使用した。
ポリマー:3100 POP6を使用した。
サンプル溶解バッファー:Hi Di Formamide 10μLを使用した。
16S−rDNAの塩基配列の解析:
塩基配列の解析は、DNASIS Pro(日立ソフトウェアエンジネアリング(株))を用いて行った。
【0022】
実験の結果
55℃で生育してきた分離株、Bacillus sp. AURACE−Sの性状は以下のとおりである。
1.形態・大きさ
細胞は桿形で、短径1.0〜1.2μm、長径8〜10μmの大きさの細菌である。
2.グラム染色
本菌はグラム染色陽性である。
3.芽胞形成能の有無
本菌は芽胞を形成する。
4.運動性
本菌は運動性を有しない。
【0023】
以上の結果から、分離株AURACE−Sは、絶対好気性のグラム陽性桿菌で芽胞形成能を有することから、バチルス属細菌と判断し、Bacillus sp. AURACE−S(バチラスエスピー.オーレス−エス)と命名した。
なお、以下の記載においては、IFO(Institute of Fermentation Organization)12250号,12983号,及び13737号の菌(B.stearothermophilus「バチルス.ステロサーモフィラス」)を、本願発明で用いられるBacillus sp. AURACE−S(バチラスエスピー.オーレス−エス)と比較対照する微生物として、選定した。
【0024】
【0025】
6.生育温度
【表1】
【0026】
7.生育pH
【表2】
【0027】
8.胞子の形態
【表3】
【0028】
表1〜3の結果から明らかなように、Bacillus sp. AURACE−Sは、コロニーの表面性状、生育温度域、生育pH域において、B.stearothermophilusとは明らかに異なることが分かった。そこで、HPLCを用いて、Bacillus sp. AURACE−SとB.stearothermophilusの塩基組成比を調べた。
【0029】
【表4】
【0030】
表4に示したように、Bacillus sp. AURACE−SのGC含量は63.5mol%であったが、B.stearothermophilusのGC含量は43.0mol%と、明らかに異なっていた。
表5および表6に、Bacillus sp. AURACE−SとB.stearothermophilusとの16s−rDNAの1〜510の塩基配列を示す。
【0031】
【表5】
Bacillus sp. AURACE−Sの16s−rDNAの1〜510の塩基配列
AGGNNGAACGCTGNGCGGCGNTGTCCTAATACATGTCAAAGTCGAGCGAACCGGATGGAGTGCTTGCATTCC
TGAGGTTAGCGGCGGACGGGTGAGTAACACGTAGGCAACCTGCCTGTACGACCGGGATAACTCCGGGAAACC
GGAGCTAATACCGGATAGGATGCCGAACCGCATGGTTCGGCATGGAAAGGCCTTTGAGCCGCGTACAGATGG
GCCTGCGGCGCATTAGCTAGTTGGTGGGGTAACGGCCTACCAAGGCGACGATGCGTAGCCGACCTGAGAGGG
TGAACGGCCACACTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTAGGGAATCTTCCGCAAT
GGACGAAAGTCTGACGGAGCAACGCCGCGTGAGTGAGGAAGGTCTTCGGATCGTAAAACTCTGTTGTCAGGG
AAGAACCGCCGGGATGACCTCCCGGTCTGACGGTACCTGACGAGAAAGCCCCGGCTAACTACGTGTCANCAN
CCGCGG
【0032】
【表6】
B.stearothermophilusの16s−rDNAの1〜510の塩基配列
AACGCTGGCGGCGTGCCTAATACATGCAAGTCGAGCGGACCGGATTGGGGCTTGCTTTGATTCGGTCAGCGG
CGGACGGGTGAGTAACACGTGGGCAACCTGCCCGCAAGACCGGGATAACTCCGGGAAACCGGAGCTAATACC
GGATAACACCGAAGACCGCATGGTCTTCGGTTGAAAGGCGGCCTTTGGGCTGTCACTTGCGGATGGGCCCGC
GGCGCATTAGCTAGTTGGTGAGGTAACGGCTCACCAAGGCGACGATGCGTAGCCGGCCTGAGAGGGTGACCG
GCCACACTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTAGGGAATCTTCCGCAATGGGCGA
AAGCCTGACGGAGCGACGCCGCGTGAGCGAAGAAGGCCTTCGGGTCGTAAAGCTCTGTTGTGAGGGACGAAG
GAGCGCCGTTCGAAGAGGGCGGCGCGGTGACGGTACCTCACGAGAAAGCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGC
CGCGGT
【0033】
図1は、表5および表6の結果に基づきマルチプルアラインメントを行い、Bacillus sp. AURACE−Sの進化系統樹を作成したものである。
同図から明らかなように、Bacillus sp. AURACE−Sは進化系統樹から見ても、B.stearothermophilusとは異なる菌種であることがわかった。
【0034】
以上の結果から、Bacillus sp. AURACE−Sを新種と判断し、本菌をBacillus sp. AURACE−Sと命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託した。Bacillus sp. AURACE−Sの寄託番号は、FERM P−18769号である。
Bacillus sp. AURACE−Sは、上記したように55℃の温度環境で良好に生育し、急速にスラリー状の腐敗性廃棄物を醗酵処理する。
【0035】
処理槽内に投入される光合成細菌としては、代表的なものとして例えば、次のような微生物を採用可能である。
(1).ロドバクター・カプスラータ(Rhodobacter capsulata)。
酸素に対する態度(生育における酸素の要求度):絶対好気性。
生育温度:20℃〜40℃。
特徴:▲1▼BOD成分の分解・除去。
▲2▼有毒アミン(プトレシン、カダベリン、ジメチルニトロサミン)の分解・無毒化。
▲3▼栄養塩摂取における拮抗作用による硫酸還元菌の間接的増殖阻害(水田における硫化水素の発生防止)。
▲4▼菌体内有効成分による農作物の糖度、鮮度保持効果、収穫量の上昇。
▲5▼土壌への施用により、農業有益菌が増加。
なお、特徴の▲4▼と▲5▼は、本光合成細菌の死菌でも有効である。
【0036】
(2).ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)。
酸素に対する態度:絶対好気性。
生育温度:20℃〜40℃。
特徴:▲1▼BOD成分の分解・除去
▲2▼脱窒作用を持つものもいる(硝酸、亜硝酸の窒素ガスへの変換)。
▲3▼低級脂肪酸の分解・除去。
【0037】
(3).ロドシュードモナス・ゲラティノーサ(Rhodopseudomonas gelatinosa)およびロドシュードモナス・パラストリス(Rhodopseudomonas palustris)
酸素に対する態度:通性嫌気性。
生育温度:20℃〜40℃。
特徴:▲1▼BOD成分の分解・除去。
▲2▼リン酸の吸収。
【0038】
これらの光合成細菌は、いずれも好気性下の20℃〜40℃の環境で、良好に生育するため、Bacillus sp. AURACE−Sによる醗酵処理が落ち着いて温度低下をしたときに処理槽内に投入される。光合成細菌は、本発明方法において、単一もしくは複数種類を組み合わせたものを適用可能である。
ロドシュードモナス属の光合成細菌は、酸素の有無にかかわらず生育可能である。ロドバクター・スフェロイデスは、低級脂肪酸の分解・除去能があることから、処理過程で脱臭を必要とするときに効果的である。
そして、これらの光合成細菌が増殖することにより、他の中温菌や低温菌の活動が制限され、この結果、処理過程で温度が低下したときにも全体的な悪臭の発生が抑制される。
【0039】
処理槽内に投入される光合成細菌及びオーレスS菌の量は、ともに別段の制限を伴うものではないが、処理槽に収容されるスラリー状廃棄物の約0.1〜0.3%前後(容量換算)が良い。
【0040】
本発明方法では、前記微生物以外に微生物(オーレスS菌光合成細菌)の栄養源を前記処理槽内に更に投入するのが望ましい。栄養源は、培養基以外に、フスマ、米ぬか、その他、微生物の生存あるいは増殖に必要な栄養素となり得るものであれば良い。
【0041】
醗酵処理後の処理物は、有機性の固形物が分解され、水分が蒸発されて減量化されている。
この処理物には微生物の増殖抑制手段を施すのが望ましい。
増殖抑制手段は、例えばpH調整材から成る。このpH調整材によって処理物は、pH10以上もしくはpH3以下に調整される。
【0042】
本発明装置は、上記した構成以外に、前記微生物群の栄養源及び/もしくはpH調整材の投入手段を更に備える。
また、本発明装置は、処理槽内に発生する泡を消す消泡手段を更に備える。消泡手段によって消泡されたスラリー状の難分解性有機物は、処理槽に環流されるようにするのが望ましい。
また、本発明装置は、稼働初期時にスラリー状腐敗性廃棄物を加温手段によって所定温度、すなわちオーレスS菌が増殖可能な温度まで加温し、通性嫌気性菌など中温菌の活動時間を短くするようにしても良い。
【0043】
【実施の最良の形態】
以下、本発明を図示した実施例に基づいて詳説する。
図1は、本発明装置の概念構成図である。
図中符合1は、豚舎2などの発生源から排出された豚屎尿を主成分とするスラリー状腐敗性廃棄物を貯溜する貯留槽、3は貯留槽内に設けた汲み上げポンプ、4はこのポンプ3によって圧送されたスラリー状腐敗性廃棄物を醗酵処理するための処理槽である。
【0044】
処理槽4は、各種添加材の投入口7〜9を除いて上面開放部が閉塞されている。
処理槽内にはブロワ5が配設されている。ブロワ5は、処理槽4に収容されたスラリー状廃棄物を下方から曝気する。6は、ブロワ5に接続された空気供給菅で、その基端は処理槽外へと延びている。
【0045】
処理槽4には、各種添加材の投入口7〜9が設けられている。第1投入口7は、オーレスS菌と光合成細菌の投入口である。オーレスS菌は、上記したように、養豚場土壌より採取、分離したバチルス属に属する新菌で、45℃以上において良好に増殖する絶対好気性菌の一種である。光合成細菌は、本実施例ではロドバクター・カプスラータとロドバクター・スフェロイデスとロドシュードモナス・ゲラティノーサとを混合したものが用いられる。オーレスS菌と光合成細菌は、供給菅路中途に設けた切り換えバルブ10によっていずれかが選択的に処理槽内に供給される。処理初期段階で、オーレスS菌が第1投入口7から処理槽内に投入され、処理後期段階で、光合成細菌が第1投入口7から同様に投入される。
【0046】
両微生物の各添加量は、スラリー状腐敗性廃棄物の容量による。通常は、容量換算で、スラリー状腐敗性廃棄物100に対して0.1〜03%程度のオーレスS菌もしくは光合成細菌が添加される。
なお、図中符号11はオーレスS菌の収容器、12は光合成細菌の収容器である。
【0047】
8は第2投入口で、上記両微生物の栄養源であるふすまや米ぬかの収容器13と連通され、時宜に応じてこれらの栄養源が処理槽内に投入される。
9は第3投入口で、微生物の増殖抑制手段であるpH調整材の収容器14と連通され、必要時にpH調整材を処理槽内に供給する。
【0048】
15は、処理槽の上部に配設した消泡機である。この消泡機15は、図4の拡大図に見られるように、処理槽内と連通する気泡導入管16と、泡切り用濾過器17と、サイクロン18とを備える。サイクロン18の底部は、戻し管路23を介して前記空気供給管6と連通されている。したがって、ブロワ5の稼働により戻し管路出口に生じる負圧によって、サイクロン内部空間は、泡切り用濾過器側の入り口より戻し管路側の出口へと吸引力が作用する。
【0049】
19は、サイクロン18の上部と連通路を介して連通された洗浄塔である。洗浄塔19には脱臭塔20が並設されている。
21は、処理槽4に並設された液肥貯留槽、22は振動篩である。
また、24は光合成細菌、オーレスS菌、pH調整材、及び栄養源の各種添加材の投入時期と投入量、ポンプとブロワの駆動制御などを行うための制御回路が組み込まれた制御装置である。
【0050】
本装置の使用状態を説明する。
貯溜槽1に溜められたスラリー状の豚舎原水を、制御装置24を操作することによりポンプ3を介して処理槽に6m3投入する。第1投入口7から処理槽内にオーレスS菌を20l(リットル)供給し、ブロワ5を駆動させて外気をスラリーに送り込み、曝気する。
【0051】
スラリー中の好気性微生物は、溶存酸素下で増殖を開始し、有機物を分解してスラリーの温度を上昇させる。図3は、スラリー中にオーレスS菌を投入した場合(実線)と、投入しない場合(細破線)のスラリーの温度変化を示す。なお、図中長破線は、外気温の変化を示す。
【0052】
エアレーション開始後10時間ほどは、オーレスS菌を投入した場合とそうでない場合の両者ともに同様な温度立ち上がりを示す。10時間ほどでスラリーは約40℃まで上昇する。前記したように37℃を超えた時点で、オーレスS菌は、増殖を開始する。オーレスS菌の増殖によってスラリーは更に温度を上昇させ、約16時間で50℃に達する。オーレスS菌はその後も活動を継続し、約28時間後にはスラリーの温度を60℃にまで昇温させる。以後、96時間(約4日)に至るまで、平均して60℃強の高温状態を維持する(最高温度で約68℃)。
この高温環境によって、スラリー内の大腸菌など各種病原菌は、死滅する。
【0053】
原水と処理後の液肥について、大腸菌の測定を、BTB寒天培地を用いて定法により行ったところ、原水には105含まれていたが、液肥では陰性を示した。また、クリプトスポリジウムについて、間接蛍光抗体染色法「水道に関するクリプトスポリジウムのオーシストの検出のための暫定的な試験法」に基づいて、原水と処理後の液肥について測定したところ、処理前の原水では陽性を示したのに対し、処理後の液肥では陰性を示した。
これらはいずれも、本発明において上記した高温状態の長時間継続によって、病原菌が死滅したことを示している。
【0054】
一方、図3において、オーレスS菌を投入しない場合の通常微生物群による分解処理では、42時間経過してはじめて50℃となり、その後、46時間目に一時的に最高温度となる55℃を記録したものの、ほとんど50℃前後の温度状態を維持するに過ぎない。
この程度の高温状態では、病原菌を死滅させるに十分な温度環境を形成することはできない。
【0055】
処理槽内に生じた気泡は、スラリー中の難分解性の有機性成分をその表面に取り込んで、処理槽上部へと浮上する。
エアレーション用のブロワ5の稼働中には、空気供給菅6と連通する戻し管路23の出口が負圧となる。この負圧は、サイクロン18及びサイクロンを介しての泡切り用濾過器17の下流側に作用し、気泡導入管16より処理槽内上部空間の気泡を泡切り用濾過器17に取り込む。取り込まれた気泡は、濾過器17の濾膜によって濾過される。固形分は濾膜に補足される一方、液分はサイクロン18と戻し管路23を介して処理槽内に戻される。したがって、この消泡機は、電力や駆動源を用いることがないので、経済的に実施される。
【0056】
また、サイクロン18を通過する液分に含まれている臭気成分は、サイクロン上部からシャワー設備を有する洗浄塔19を経て脱臭塔20に導かれ、無臭の空気として外部に放出される。
【0057】
図3に示すように、96時間後にスラリーの温度は低下し始める。オーラスS菌によるスラリーの分解処理が落ち着いた結果である。図3には示されていないが、その後スラリーは急速に40℃前後まで急速に温度低下する。
この時点で、微生物供給管路のバルブ10を切り換え、光合成細菌収容器から光合成細菌を処理槽内に投入する。
光合成細菌は、この低下した温度環境下で活動を開始し、さらにスラリー内の有機物を分解する。必要に応じて第2投入口8から光合成細菌の栄養源を添加し、光合成細菌の増殖を図る。
他の中温菌が活動を開始する前に光合成細菌の増殖を図ることにより、悪臭の発生源が抑制される。
【0058】
約1週間(168時間)経過することにより、スラリーは大部分の有機物が分解され、液分の一部が蒸発されて、50%から70%程度に減量化された液肥となる。
この液肥は、処理槽底部から引き抜かれ、一旦、液肥貯溜槽21に滞留された後、振動篩22にかけられて農地に還元される。
液肥として完成した時点で、第3投入口9からpH調整材を投入してpHを酸性側もしくは塩基性側に調整することにより、各種低温菌や中温菌の増殖が抑制され、貯溜槽に貯溜されている間に悪臭等を発生させることがなくなる。
【0059】
液肥は、内部に光合成細菌をはじめとする有用微生物群が含まれている。また、N,P,Kの三大栄養素に富むばかりでなく各種のミネラル成分をも多量に含有する。しかも、上記したようにして高温殺菌処理されているために、動植物にとって有害となる病原菌や寄生虫などの害虫が死滅している。この結果、農地に還元したときに、有効な有機肥料となる。
【0060】
長野県大町市、宮田農園において、上記液肥のリンゴへの施用効果を確認する試験を行った。
試験方法:
品種; ふじの成木
施用方法;10A当たり3.5tを全面散布。
試験結果:
本発明方法による液肥散布区と慣行区について、各2樹を調査した。
【0061】
この結果から明らかなように、本発明方法の結果物である液肥は、果色や糖度において、品質の向上が見られた。
【0062】
また、その他、水稲栽培の施用試験において、本発明方法の結果物である液肥を用いた区では、初期から生育が良好であり、即効性の肥効を示し、慣行区と同様な生育量を確保できることが確認されている。倒伏や下位節間の伸長に関しても問題を生じなかった。
更に、これらの圃場試験において、病害虫が発生することもなかった。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果を奏する。
60℃前後で安定した増殖を行うオーレスS菌を用いてスラリー状の腐敗性廃棄物を分解処理した後、光合成細菌によって分解処理を受け継いで最終的に液肥とするので、当初、分解処理を高温状態で長時間継続して行うことができ、悪臭を発生させることなく比較的短時間で醗酵処理でき、しかもスラリー内に棲息する寄生虫卵や病原菌を殺菌することができる。
【0064】
また、処理対象となるスラリーを減量化でき、水分調整材などを使用することなく、比較的低廉なコストで実施することができる。
【0065】
本発明装置も単純な装置あるいは機器類から成り、設置面積を大きくとることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】Bacillus sp. AURACE−Sの進化系統樹を示す図。
【図2】本発明の一実施例に係る装置の概略構成図。
【図3】オーレスS菌の増殖による豚屎尿の温度変化を示すグラフ。
【図4】図2の気泡を消泡する装置の一例を示す拡大図。
【符号の説明】
1 スラリー状腐敗性廃棄物貯溜槽
2 豚舎
4 処理槽
6 空気供給菅
7 第1投入口
8 第2投入口
9 第3投入口
11 オーレスS菌収容器
12 光合成細菌収容器
13 微生物栄養源収容器
14 pH調整材収容器
15 消泡機
16 気泡導入管
17 泡切り濾過器
18 サイクロン
19 洗浄塔
20 脱臭塔
21 液肥貯溜槽
22 振動篩
23 戻し管路
24 制御装置
Claims (10)
- スラリー状腐敗性廃棄物を収容した閉鎖型の処理槽内にオーレスS菌を投入し、
処理槽内にエアレーションを行ってオーレスS菌の増殖を促すことにより、高温醗酵によってスラリー状腐敗性廃棄物を処理した後、光合成細菌を投入してスラリー状腐敗性廃棄物を液肥とする、
ことを特徴とするスラリー状腐敗性廃棄物の処理法。 - 請求項1記載の処理法において、
前記オーレスS菌と光合成細菌以外に、これら微生物の栄養源を前記処理槽内に更に投入する、
ことを特徴とするスラリー状腐敗性廃棄物の処理法。 - 請求項1もしくは2記載の処理法において、
醗酵処理後の処理物に、微生物の増殖抑制手段を施す、
ことを特徴とするスラリー状腐敗性廃棄物の処理法 - 前記スラリー状腐敗性廃棄物は、含水率の低い腐敗性廃棄物に水分を加えてスラリー状としたものである、
請求項1から3のいずれかに記載のスラリー状腐敗性廃棄物の処理法。 - 前記微生物の増殖抑制手段がpH調整材から成る、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスラリー状腐敗性廃棄物の処理法。 - 前記pH調整材によって、前記処理物がpH10以上もしくはpH3以下に調整される、
請求項5記載のスラリー状腐敗性廃棄物の処理法。 - スラリー状腐敗性廃棄物を収容する閉鎖型の処理槽と、
光合成細菌とオーレスS菌とを含む微生物群と、
この微生物群を処理槽に投入する投入手段と、
処理槽内に酸素を送り込む酸素供給手段とを備えた、
ことを特徴とするスラリー状腐敗性廃棄物の処理装置。 - 請求項7記載の装置において、
前記微生物群の栄養源及び/もしくはpH調整材の投入手段を更に備えて成る、
スラリー状腐敗性廃棄物の処理装置。 - 請求項7もしくは8記載の装置において、
前記処理槽内に発生する泡を消す消泡手段を更に備えて成る、
スラリー状腐敗性廃棄物の処理装置。 - 請求項7もしくは8記載の装置において、
前記処理槽内の収容物を所定温度に加温する加温手段を更に備えて成る、
スラリー状腐敗性廃棄物の処理装置。
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| JP2002171112A JP2004018272A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | スラリー状腐敗性廃棄物の処理法と装置 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2002
- 2002-06-12 JP JP2002171112A patent/JP2004018272A/ja active Pending
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