JP2004018290A - 炭素質微細繊維状体の粒状凝集体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】嵩密度が200kg/m3以上の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体。この炭素質微細繊維状体の粒状凝集体は、噴流層反応器30内に触媒粒子及び炭素源ガスを導入して、噴流層を形成しながら、炭素質微細繊維状体の平均粒径10〜200μmの凝集体を製造し、この凝集体粒子と炭素源ガスとを流動層反応器40,50内に導入して、凝集体の流動層を形成しながら凝集体を成長させて製造される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は炭素質微細繊維状体の粒状凝集体に係り、特に、嵩密度が高く、取り扱い性に優れ、また、製造工程で固化、閉塞を引き起こすことなく、均質な形状と物性を有する炭素質微細繊維状体の粒状凝集体として、効率的にかつ安価に大量生産することができる炭素質微細繊維状体の粒状凝集体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、二酸化炭素、水素、バイオガス(二酸化炭素(CO2)とメタン(CH4)とを主成分とするガス)等の排ガスを回収し、これを炭素源として触媒の存在下で反応させることにより炭素質生成物として固定化する方法が知られている(特開平11−29314号公報、特開平11−322315号公報)。この方法によれば、炭素質生成物としてカーボンナノチューブと呼称される炭素質微細中空繊維状体が得られることが確認されている。また、カーボンナノチューブは、炭化水素類などの炭素源原料を、高温で触媒存在下にて気相反応させて得られることも知られている(特公平3−64606号公報、特公平3−77288号公報等)。
【0003】
このようにして製造されるカーボンナノチューブに代表される炭素質微細繊維状体は、従来の炭素材料と比較して著しく高導電性であるなどの優れた特性により、近年、新材料として特に注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現状では、その製造効率が非常に低く、工業的に安価に大量生産する方法は未だ開発されていないのが現状である。即ち、例えば、反応器内の炭素質微細繊維状体濃度を上げて生産効率を高めようとすると、炭素質微細繊維状体が成長と共に塊状に固化し、連続製造が困難となるという問題がある。
【0005】
また、従来知られているカーボンナノチューブ等の炭素質微細繊維状体は、その密度が著しく低く、従って取り扱いが極めて困難であり、特に飛散し易いため、加工する際の作業環境が劣悪となり、また、飛散による汚染防止のための設備を必要とするという問題があった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点を解決し、嵩密度が高く、加工の際の取り扱いが従来の炭素質微細繊維状体より極めて容易な炭素質微細繊維状体の粒状凝集体を提供することを目的とする。
【0007】
本発明はまた、製造工程で固化、閉塞を引き起こすことなく、均質な形状と物性を有する炭素質微細繊維状体の粒状凝集体として、効率的にかつ安価に大量生産することができる炭素質微細繊維状体の粒状凝集体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体は、嵩密度が200kg/m3以上であることを特徴とする。
【0009】
このように嵩密度の大きい炭素質微細繊維状体の粒状凝集体であれば、取り扱い時の飛散の問題はなく、良好な作業性のもとに容易に加工することができる。しかも、このような嵩密度の大きい本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体は、反応工程で固化、閉塞を引き起こすことなく、均質な形状と物性を有する炭素質微細繊維状体の粒状凝集体として効率的にかつ安価に大量生産することができる。
【0010】
なお、本発明において、炭素質微細繊維状体の粒状凝集体の嵩密度とは、JIS K6219−6に従って測定した値である。
【0011】
この炭素質微細繊維状体の粒状凝集体は平均粒径30〜250μm程度であることが好ましい。
【0012】
また、嵩密度の上限に特に制限はないが、製造効率等の面からは、1200kg/m3以下である。
【0013】
なお、本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体を構成する炭素質微細繊維状体としては、一般に、直径が10〜1000nm特に10〜200nmで、長さが50nm〜100μm、長さ/直径の比率(アスペクト比)が10〜10000の炭素質微細繊維状体、例えば、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
【0014】
このような本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体は、噴流層反応器内に触媒粒子及び炭素源ガスを導入して、噴流層を形成しながら、炭素質微細繊維状体の平均粒径10〜200μmの微粒状凝集体を製造する工程と、流動層反応器内に、炭素源ガスと前記噴流層反応器から取り出された該微粒状凝集体とを導入して、該微粒状凝集体の流動層を形成しながら該凝集体を成長させる工程とを経て製造されることが、反応器や配管内での固化をより一層確実に防止して、均質な形状と物性を有する炭素質微細繊維状体の粒状凝集体として、効率的かつ安価に大量生産する上で好ましい。
【0015】
このように、炭素質微細繊維状体の微粒状凝集体を噴流層反応器内である程度の大きさに成長させることにより、粒状凝集体の固化を有効に防止することができる理由は次の通りである。
【0016】
炭素源ガスを触媒粒子の存在下に高温反応させると、触媒粒子を反応の基点として炭素質微細繊維状体が生成して繊維状に成長し、触媒粒子の表面に炭素質微細繊維状体が形成された微粒状凝集体が得られる。この炭素質微細繊維状体の成長反応初期においては、凝集体粒子同士が接触した場合、凝集体粒子の表層部分に炭素質微細繊維状体の成長反応部が存在するため、この炭素質微細繊維状体の成長端が互いに絡み合って凝集体粒子が固化し、成長し易い。
【0017】
しかし、凝集体粒子を噴流撹拌で互いに遊離させた状態で炭素質微細繊維状体を成長させると、成長反応部を中心に取り囲むように炭素質微細繊維状体が成長し、成長端が表層面ではなく、内層に表出する機会が多くなる。このため、凝集体粒子同士が接触しても炭素質微細繊維状体同士が絡み合って固化することはなくなる。
【0018】
このように炭素質微細繊維状体が絡み合って固化し易い、反応初期の凝集体粒子同士の絡み合いによる固化を防止するためには、凝集体粒子の滞留を防止して凝集体粒子同士が定常的に接触しないようにする必要がある。
【0019】
そこで、本発明では、好ましくは凝集体粒子同士が固化し易い炭素質微細繊維状体の成長反応の初期において、噴流層内で凝集体粒子を激しく撹拌して互いに遊離させた状態で炭素質微細繊維状体を成長させる。
【0020】
その後、このように噴流層内である程度の大きさに成長させた微粒状凝集体粒子を流動層に移送して更に粒子を成長させることにより、炭素質微細繊維状体を効率的に成長させることができる。即ち、ある程度の大きさに成長した凝集体粒子であれば、互いに絡み合って固化することはない。この流動層は噴流層よりも粒子密度が高く、炭素質微細繊維状体の生成効率が高いため、凝集体粒子を効率的に成長させることができる。
【0021】
これに対して、触媒粒子と炭素源ガスとを最初から流動層に導入して炭素質微細繊維状体を製造しようとすると、凝集体粒子が絡み合って塊状に固まり、反応器から排出することが困難となる。また、粒子密度の比較的低い噴流層内のみで炭素質微細繊維状体を製造しようとすると、製造効率が悪く、また、反応器も大型となり、工業的に不利である。
【0022】
本発明において、噴流層内で凝集体粒子(以下「一次粒子」と称す場合がある。)を平均粒径10〜200μmにまで成長させることは極めて重要であり、この一次粒子の平均粒径が10μm未満では、この一次粒子を流動層に導入して反応させた際に、固化し易い。この一次粒子の平均粒径が200μmを超えるまで噴流層内で反応を行うことは、反応器単位容積当たりの炭素質微細繊維状体生成量が低減し、製造効率の面で好ましくない。噴流層内で一次粒子を平均粒径10〜200μmに成長させて流動層に導入することにより、流動層内での固化を防止して、効率的な炭素質微細繊維状体の製造を行うことができる。
【0023】
本発明において、この一次粒子の平均粒径は30〜100μmであることが好ましい。
【0024】
また、流動層反応器で製造される凝集体粒子、即ち本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体(以下「二次粒子」と称す場合がある。)の平均粒径は、本発明においては30〜250μmである。特に好ましくは、この一次粒子の平均粒径の2倍以下、特に1.2〜2.0倍であることが好ましい。
【0025】
なお、ここで言う一次粒子及び二次粒子(凝集体粒子)の粒径は「平均粒径」であり、従って、上記製造工程の一次粒子に粒径10μm未満或いは粒径200μmを超えるものが存在していても良い。同様に、二次粒子についても、一次粒子の平均粒径の2倍を超える凝集体が存在していても良い。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体の実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
まず、図面を参照して本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体の好適な製造方法の一例を説明するが、以下の製造方法は、本発明の粒状凝集体の製造に好適な方法の一例であって、本発明の粒状凝集体の製造方法は、何ら以下の方法に限定されない。本発明は嵩密度が200kg/m3以上の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体であり、このような嵩密度を有するものであれば、製造方法に何ら制約を受けるものではない。
【0028】
図1は本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体の製造方法の一例を示す系統図である。
【0029】
バイオガス等の原料ガスが配管1に供給され、必要に応じ、メタンと炭酸ガスとを略等モル比とするために配管2から二酸化炭素(CO2)ガスが添加、混合される。この原料ガスがブロワ3により配管4を経て熱回収熱交換器5に送られ、加熱された後、更に配管6を介して加熱炉7に送られて加熱され、配管8を介して反応器へ送り出される。この配管8は3本の配管9,10,11に分岐している。配管9は噴流層反応器30に接続され、配管10は流動層反応器40に接続され、配管11は流動層反応器50に接続されている。配管9には触媒添加用の配管12が接続されている。
【0030】
噴流層反応器30内では、配管9から導入された原料ガスが上方に噴出して噴流層が形成される。なお、噴流層反応器30には、この噴流層を撹拌するための撹拌機13aが付設されている。
【0031】
噴流層反応器30内の噴流層から飛び出した粒子(炭素微粉及び飛散触媒等)は、ガスと共に配管14からサイクロン15に導かれて捕集され、配管16を介して噴流層反応器30へ戻される。なお、サイクロン15を通り抜けた微細粒子は、ガスと共に配管17からバグフィルタ18に導入され、捕集される。バグフィルタ18にて捕集された粒子は、返送用配管(図示略)を介して噴流層反応器30に戻される。
【0032】
バグフィルタ18にて除塵されたガスは、配管19を介して前記熱回収熱交換器5に導かれ、前記原料ガスと熱交換して降温される。このようにして降温されたガスは、配管20から凝縮器21に導かれ、冷却される。これにより、該ガス中の水蒸気が凝縮して水となって分離され、排出ライン22から排出される。凝縮器21を通ったガスは、配管23を介して前記原料供給用配管1に導かれ、循環戻りガスとして原料ガスに混合される。
【0033】
なお、配管23からはガス分取用の配管24が分岐しており、ガスの一部を前記加熱炉7へ加熱燃料用ガスとして導いている。この配管24は、配管23内を流れるガスの一部を系外に取り出し、循環ガス中に窒素が蓄積することを防止するためのパージラインとして機能している。
【0034】
加熱炉7へは、加熱に必要な熱量を賄うために、前記配管1から原料ガスの一部を配管25を介して導入し、燃料ガスとして用いる。26は空気の導入配管である。
【0035】
ブロワ3の下流側の配管4には配管27を介して水素分離装置28が接続されている。この水素分離装置28は、循環ガス中にH2が過剰に蓄積することを防止するためのものである。
【0036】
噴流層反応器30の上部の取出口13bに弁13cが設けられている。この取出口13bに凝集体粒子輸送用の配管29が接続されている。前記配管6から分岐したガス供給用配管31がこの配管29の途中に接続されており、凝集体粒子はこの配管29内を気流搬送され、サイクロン32に導かれる。
【0037】
該サイクロン32内にて捕集された凝集体粒子は、配管33を介して第1の流動層反応器40に導入される。この第1の流動層反応器40の下部に前記配管10から原料ガスが導入されており、該反応器40内に凝集体粒子の流動層が形成されている。
【0038】
噴流層反応器30からの凝集体粒子は、この流動層内において反応し、成長する。成長した粒子は、反応器40の下部に設けられたスクリュ式取出機41により取り出され、配管42を介して第2の流動層反応器50へ送られる。なお、第1の流動層反応器40からの飛散粒子を含むガスは、配管43を介してサイクロン32に導かれて捕集され、反応器40へ戻される。サイクロン32を通ったガスは、配管44を介して前記バグフィルタ18へ送られる。
【0039】
第2の流動層反応器50では、その下部に前記配管11を介して原料ガスが供給されており、該反応器50内に凝集体粒子の流動層が形成されている。
【0040】
第1の流動層反応器40からの凝集体粒子はこの流動層において、更に反応して成長し、成長した粒子は、反応器50の下部に設けられたスクリュ式取出機51により取り出され、製品として系外へ排出される。
【0041】
なお、第2の流動層反応器50からの飛散粒子を含むガスは、配管52を介してサイクロン53に導かれて捕集され、配管54より反応器50へ戻される。サイクロン53を通ったガスは、配管55を介して前記バグフィルタ18へ送られる。
【0042】
本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体は、このようにして炭素質微細繊維状体を製造するに当たり、噴流層反応器30において、平均粒径10〜200μmの炭素質微細繊維状体の微粒状の凝集体粒子(一次粒子)を製造し、この平均粒径10〜200μmの一次粒子を流動層反応器40に導入して更に成長させることにより製造することができる。
【0043】
前述の如く、この一次粒子の平均粒径が10μm未満であると、凝集体粒子の固化を有効に防止し得ず、200μmを超えると製造効率が低下する。噴流層反応器30で製造する一次粒子の平均粒径は特に30〜100μmとすることが好ましい。
【0044】
この一次粒子の平均粒径は、噴流層反応器30における反応時間(滞留時間)や原料ガス供給速度、反応温度等を調整することにより制御することができる。
【0045】
噴流層反応器30で製造した一次粒子は更に第1の流動層反応器40及び第2の流動層反応器50で成長させる。流動層の運転条件は、このようにして一次粒子を流動層内で成長させて得られる二次粒子の平均粒径が一次粒子の平均粒径の2倍以下、特に1.2〜2倍になる程度を目安とするのが好ましい。この二次粒子の平均粒径と一次粒子との比が1.2未満では二次粒子の成長が不十分となることがあり、2倍超では、流動層内の滞留時間が過度に長くなり、塊状物を生成させるおそれがあると共に、反応効率を低下させるおそれがある。
【0046】
なお、図1では、流動層反応器として第1の流動層反応器40と第2の流動層反応器50とを2段に設けているが、流動層反応器は、1段のみでも良く、また3段以上に設けても良い。流動層反応器を2段以上に多段に設けて反応条件を反応器毎に制御することにより、反応器単位容積当たりの生産効率を高めると共に、得られる炭素質微細繊維状体の形状や物性等を所望の範囲に容易に調整することができる。
【0047】
反応に用いる炭素源ガスとしては、反応系にガス状で導入することができる炭素化合物であれば良く、特に制限はないが、好ましくは炭化水素及び/又は水素と炭素酸化物とを含むガスが用いられる。特に、炭素源ガスとして、例えば二酸化炭素、水素、バイオガス等のプロセス排ガスを回収利用することは、製造コストの低減のみならず、環境維持にも有効である。二酸化炭素及びメタンを炭素源ガスとして使用する場合、両者が等モルであれば、下記のような反応式に従って、メタン及び二酸化炭素を炭素質生成物として固定化させることが可能となる。
CH4 → C+2H2
2H2+CO2 → C+2H2O
【0048】
炭素源ガスとして、二酸化炭素や一酸化炭素のような炭素酸化物のガスを用いる場合、同時に反応に用いるガスとしては還元性ガスを用いる。ここでいう還元性ガスとは、それ自体が還元性を有しているか、又はそのガスが反応系中にて分解して、かかる還元性を有するガスを発生するガスを指す。上記の反応式ではメタンガスが炭素源ガスであると同時に、分解して還元性を有する水素を発生するため、還元性ガスでもある。このような還元性ガスには、水素ガス、更には各種炭化水素ガス、即ちメタン、エタン、プロパン、ブタンのような化合物が挙げられる。
【0049】
一方、触媒としては、炭素源ガスからの炭素質微細繊維状体の生成反応を効率的に行うことのできるものであれば、化学的組成並びに形状等において特に制限されないが、通常、遷移金属及びその化合物が好ましく用いられる。触媒としては特に、ニッケル、コバルト、鉄などの金属触媒が好ましい。これら金属は1種を単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて使用しても良い。また、これら金属は、元素状態でも、酸化物、水酸化物、炭酸塩といった化合物でも使用することができる。更に、これらの触媒成分をシリカなどの担体に担持したものであっても良い。この場合、担体に対する触媒成分の担持量は、担体重量に対して1〜90重量%程度とするのが好ましい。その触媒のパーティクル形状には特に制限はなく、一般に知られている形状、例えば球状等の粒状であっても良い。
【0050】
触媒粒子としては、触媒成分を担体に担持してなる担持触媒粒子が好適に用いられ、この担持触媒粒子の平均粒径は1〜20μmであることが好ましい。なお、この担持触媒粒子の平均粒径とは、担持触媒粒子の個々の粒径の平均値であり、担持触媒粒子の凝集体の粒径は平均粒径の対象としない。
【0051】
このような触媒粒子の使用量には特に制限はないが、噴流層反応器30に導入される炭素源ガスが、触媒有効成分量に対して10〜60L/g・hr程度となるような量とすることが好ましい。
【0052】
また、反応条件は、通常、噴流層反応器30及び流動層反応器40,50共に、反応温度400〜800℃、好ましくは500℃以上600℃未満である。反応温度がこの範囲よりも低いと十分な反応速度が得られず炭素質微細繊維状体の製造効率の点で不利であり、この範囲よりも高いと、一旦生成した炭素と反応雰囲気ガスとの反応が生起して炭素質微細繊維状体の収率が低下する場合があり好ましくない。
【0053】
また、反応圧力は、原料の炭素源ガスが効率的に反応するような条件であれば良く、特に制限はないが、好ましくはゲージ圧1〜200kPa、より好ましくはゲージ圧3〜50kPaである。
【0054】
次に、本発明で好適に使用される噴流層反応器及び流動層反応器の構成について説明する。
【0055】
噴流層反応器は、下部より触媒粒子と炭素源ガスとを導入して、反応器内に凝集体粒子及び触媒粒子の噴流層を形成させながら、炭素質微細繊維状体を成長させ、上部より炭素質微細繊維状体が成長して所定の平均粒径となった凝集体粒子を取り出すことができるような噴流分散機構を有するものである。
【0056】
この噴流層反応器の具体的な構造としては、特に制限はないが、例えば図2(a)(縦断面図)、(b)(図2(a)のA−A’線に沿う断面図)に示すようなものを用いることができる。
【0057】
噴流層反応器の形状は特に限定はないが、図2では逆円錐形であり、他に逆角錐形などが好ましい。図2において、61は触媒及びガス入口、62は吹込部、63は凝集体粒子出口、64はガス出口、65は掻き取り翼、66は撹拌棒である。触媒粒子及び炭素源ガスは、入口61から供給され、反応器内で噴流層を形成する。連続運転の場合、触媒粒子は数回/hr定期的に生産量に応じてバッチ投入される。触媒粒子は反応器下部から、炭素質微細繊維状体の凝集体粒子を生成させながら反応器上部に高炭素濃度マクロ分布を形成して移動していく。生成した炭素質微細繊維状体の凝集体粒子を連続的に排出する場合は、上部棚の開口部より回転掻き取り翼65にて数回/hr定期的に掻き取り、出口63から排出する。
【0058】
流動層反応器は、噴流層反応器からの凝集体粒子を更に炭素源ガスと接触させて造粒成長させる反応器である。
【0059】
この流動層反応器の具体的な構造としては特に制限はないが、例えば図3(縦断面図)に示すようなものを用いることができる。
【0060】
流動層反応器の形状は特に限定はないが、図3では逆円錐形であり、他に逆角錐形、円筒形などが好ましい。また、排出時マスフローを形成させるための円錐型内装物73と凝集体粒子の固化防止のための撹拌棒74、更に炭素源ガスを下部より吹き込むノズル71が設けられている。72はガス入口、75はガス出口、76は凝集体粒子入口、77は凝集体粒子抜き出しスクリュ、78は抜き出し口である。
【0061】
噴流層反応器からの凝集体粒子は、この流動層反応器の凝集体粒子入口76より投入され、ガス入口72からの炭素源ガスと接触しながら、炭素質微細繊維状体を成長させる。流動層反応器では、凝集体粒子は成長しながら凝集固化しない流動層を形成する必要があり、凝集体粒子は成長度、幾何形状が重要な要素となる。従って、凝集体粒子生産量に応じて反応器の基数を適宜設計する必要がある。流動層反応器の連続運転時は、生成した凝集体粒子はスクリュ77から定期的に定量排出される。
【0062】
このような噴流層反応器及び流動層反応器を用いる反応は、連続式で行っても良く、またバッチ式で行っても良い。例えば、噴流層反応器及び流動層反応器の双方を連続式で運転しても良く、噴流層反応器及び流動層反応器の一方を連続式とし、他方をバッチ式としても良く、噴流層反応器及び流動層反応器の双方をバッチ式で運転しても良い。
【0063】
これらの反応器をバッチ式、連続式のいずれかで行うかは、反応条件(滞留時間等)や、所望とする炭素質微細繊維状体の特性(炭素質微細繊維状体の長さ、直径、凝集体粒子粒径等)をコントロールするために、適宜選択することができ、このことは同一設備において、運転方式を選定することにより、種々の特性を有する炭素質微細繊維状体を製造することができることを意味する。
【0064】
本発明においては、反応器や反応系内の配管において、炭素質微細繊維状体の生成反応を抑止する作用を有する窒素等の不活性ガス又は原料である炭素酸化物等を局所的に複数箇所で微量供給することにより、凝集体粒子の固化をより一層確実に防止することができ好ましい。
【0065】
なお、図1に示す如く、噴流層反応器30及び流動層反応器40,50の排ガスは、サイクロン、バグフィルタ等の微粉捕集手段で炭素微粉、触媒粒子等の微粉を捕集した後、原料の炭素源ガスに混合して循環使用することができ、また、捕集した微粉は反応器に戻すことが好ましく、このように排出ガスを回収して循環使用することにより炭素質微細繊維状体の収率を高めることができる。
【0066】
このようにして製造される炭素質微細繊維状体の粒状凝集体を構成する炭素質微細繊維状体、例えばカーボンナノチューブの形状や大きさ、性状や結晶構造、その他の物性は、用いる触媒の特性、原料の炭素源ガスの組成、反応時間、反応温度などに依存して変化するが、通常、直径10〜200nm、長さ50nm〜0.1μmの均質な形状、物性の炭素質微細繊維状体である。
【0067】
本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体は、このような炭素質微細繊維状体が嵩密度200kg/m3以上、好ましくは300kg/m3以上で、好ましくは平均粒径30〜250μm程度に凝集したものである。このような高い嵩密度を有する炭素質微細繊維状体の粒状凝集体は、取り扱い性が著しく良好であり、従来知られている用途、例えば樹脂、ゴム、エラストマー等の補強、着色、導電性付与の等の機能性付与のための添加剤として、また、機能性顔料として塗料、インキ、トナー等の配合成分として、工業的に有利に用いることができる。
【0068】
なお、本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体の嵩密度の上限には特に制限はないが、製造効率等の面から一般的には1200kg/m3以下である。
【0069】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0070】
実施例1
図1に示す方法で炭素質微細繊維状体の粒状凝集体の製造を行った。ただし、第2の流動層反応器50は用いず、第1の流動層反応器40で得られる凝集体粒子を製品とした。
【0071】
原料ガスとしては、二酸化炭素とメタンとの1:1(モル比)混合ガスを用い、配管23からの循環戻りガスと共に熱回収熱交換器5で加熱した後加熱炉7で加熱して600℃に昇温した。
【0072】
この昇温ガスを担持触媒粒子と共に噴流層反応器30に供給し、噴流層反応器30内で噴流層を形成させながら炭素質微細繊維状体の凝集体粒子を成長させ、噴流層反応器30内から定期的に凝集体粒子を取り出し、流動層反応器40に導入した。この一次粒子の平均粒径は45μmであった。なお、この噴流層反応器30における反応条件は、温度550℃、ゲージ圧40kPaとし、担持触媒粒子としては、略球状のシリカ担体に金属ニッケルを担持させた、平均粒径15μmの担持触媒粒子を用い、噴流層反応器30に導入される触媒有効成分量に対して原料ガス(循環戻りガスを含む)を30L/g・hrの割合で導入した。
【0073】
噴流層反応器30で得られた平均粒径45μmの一次粒子は、次いで第1の流動層反応器40で、原料ガスと接触させて更に造粒成長させ、この流動層反応器40から定期的に流動層内の凝集体粒子を取り出して冷却することにより製品とした。
【0074】
この流動層反応器40の反応条件は、温度550℃、ゲージ圧40kPaとし、原料ガスは、触媒有効成分量に対して30L/g・hrの割合で導入した。
【0075】
流動層反応器40から取り出した二次粒子、即ち、炭素質微細繊維状体の粒状凝集体は、外観が球状の粒子であり、平均粒径は65μmで、嵩密度は786kg/m3であった。
【0076】
また、得られた粒状凝集体を構成する炭素質微細繊維状体は、直径が10〜200nmで、長さが50nm〜100μm、アスペクト比100〜1000の、均質な形状及び物性を有するカーボンナノチューブであり、上記方法により、反応器30,40や配管等で凝集体粒子の固化を引き起こすことなく、長期にわたり安定した連続生産を行うことができた。
【0077】
なお、噴流層反応器30及び流動層反応器40からの排出ガスは、反応器内で生成した炭素、一酸化炭素、水素、水と飛散した触媒を含む混合ガスであり、各々サイクロン15,32を経てバグフィルタ18で除塵した後、熱回収熱交換器5で原料ガスと熱交換して熱回収し、その後、凝縮器21で約40℃まで冷却して反応生成水を分離回収した。サイクロン15,32で捕集した炭素微粉及び飛散触媒は、各々噴流層反応器30、流動層反応器40に戻した。また、バグフィルタ18で捕集した炭素微粉及び飛散触媒は噴流層反応器30に戻した。
【0078】
本実施例の反応において収率は70%であり、原料ガスとして供給した二酸化炭素とメタンの炭素原料のうちの約70%がカーボンナノチューブとして回収された。
【0079】
本実施例1で得られた炭素質微細繊維状体の粒状凝集体の物性を表1にまとめて記す。
【0080】
実施例2
実施例1において、噴流層反応器30及び流動層反応器40の反応温度を500℃としたこと以外は同様にして反応を行ったところ、表1に示す物性の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体を製造することができた。
【0081】
なお、この実施例2においても、反応器30,40や配管等で凝集体粒子の固化を引き起こすことなく、長期にわたり安定した連続生産を行うことができた。
【0082】
実施例3
実施例1において、噴流層反応器30及び流動層反応器40の原料ガス導入量を触媒有効成分量に対して15L/g・hrとしたこと以外は同様にして反応を行ったところ、表1に示す物性の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体を製造することができた。
【0083】
なお、この実施例3においても、反応器30,40や配管等で凝集体粒子の固化を引き起こすことなく、長期にわたり安定した連続生産を行うことができた。
【0084】
【表1】
【0085】
比較例1
市販の多層カーボンナノチューブについて、嵩密度を測定したところ、嵩密度は73kg/m3であり、その外観は綿状の著しく嵩高い物質であり、極めて取り扱いにくいものであった。
【0086】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、嵩密度が従来品に比べて著しく高く、取り扱い性に優れた炭素質微細繊維状体の粒状凝集体が提供される。しかも、この本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体は、反応工程において、固化、閉塞を起こすことなく、均質な形状と物性を有する炭素質微細繊維状体の粒状凝集体として効率的にかつ安価に大量生産することが可能である。
【0087】
従って、本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体は、従来知られている用途、例えば樹脂、ゴム、エラストマー等の補強、着色、導電性付与の等の機能性付与のための添加剤として、また、機能性顔料として塗料、インキ、トナー等の配合成分として、工業的に有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭素質微細繊維状体の粒状凝集体の製造方法の一例を示す系統図である。
【図2】本発明に好適な噴流層反応器の構造を示す図であって、(a)図は縦断面図、(b)図は(a)図のA−A’線に沿う断面図である。
【図3】本発明に好適な流動層反応器の構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
3 ブロワ
5 熱回収熱交換器
7 加熱炉
15,32,53 サイクロン
18 バグフィルタ
21 凝縮器
28 水素分離装置
30 噴流層反応器
40 第1の流動層反応器
41,51 スクリュ式取出機
50 第2の流動層反応器
Claims (4)
- 嵩密度が200kg/m3以上であることを特徴とする炭素質微細繊維状体の粒状凝集体。
- 請求項1において、平均粒径が30〜250μmであることを特徴とする炭素質微細繊維状体の粒状凝集体。
- 請求項1又は2において、嵩密度が1200kg/m3以下であることを特徴とする炭素質微細繊維状体の粒状凝集体。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、
噴流層反応器内に触媒粒子及び炭素源ガスを導入して、噴流層を形成しながら、炭素質微細繊維状体の平均粒径10〜200μmの微粒状凝集体を製造する工程と、
流動層反応器内に、炭素源ガスと前記噴流層反応器から取り出された該微粒状凝集体とを導入して、該微粒状凝集体の流動層を形成しながら該凝集体を成長させる工程と
を経て製造されたことを特徴とする炭素質微細繊維状体の粒状凝集体。
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