JP2004018481A - シロアリ防除用コーティング組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】シロアリ防除効果を有効に、且つ、長期間にわたって持続することができ、更に、住宅環境の負荷の低減及び改善をも図ることのできるシロアリ防除用コーティング組成物を提供する。
【解決手段】天然抗シロアリ剤として、オビスギやユーカリから抽出される精油成分を用い、これらを粉末竹炭に吸着させ、マイクロカプセル化した上で水性樹脂エマルジョンに混入させる。同時に、粉末竹炭によって、シロアリ防除環境の調湿を行うと共に、建材等から放出される有害物質の除去を行う。当該シロアリ防除用コーティング組成物の調湿効果を表すものとして、図2に、当該シロアリ防除用コーティング組成物の吸湿試験の結果を示す。同図における符号Aが、当該シロアリ防除用コーティング組成物によるものである。また、符号Bが当該シロアリ防除用コーティング組成物の塗布されない鋼板によるものである。
【選択図】 図2
【解決手段】天然抗シロアリ剤として、オビスギやユーカリから抽出される精油成分を用い、これらを粉末竹炭に吸着させ、マイクロカプセル化した上で水性樹脂エマルジョンに混入させる。同時に、粉末竹炭によって、シロアリ防除環境の調湿を行うと共に、建材等から放出される有害物質の除去を行う。当該シロアリ防除用コーティング組成物の調湿効果を表すものとして、図2に、当該シロアリ防除用コーティング組成物の吸湿試験の結果を示す。同図における符号Aが、当該シロアリ防除用コーティング組成物によるものである。また、符号Bが当該シロアリ防除用コーティング組成物の塗布されない鋼板によるものである。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、安全で効果の優れたシロアリ防除用コーティング組成物に関するものであって、より詳しくは、木造建築物又は鉄筋コンクリート建築物の内装及び床下等に使用する塗料に用いられ、シロアリ防除、調湿並びに吸着剤として利用されるシロアリ防除用コーティング組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
木造建築物はもとより鉄筋コンクリート建築物においても、所謂、建築物の内装材には多くの木材が使用されている。この木材にはシロアリによる腐朽化の問題があるため、従来から、木造建築物であれば、床下部材に化学合成薬剤であるシロアリ防除剤を加圧処理及び塗布した木材が使用されている。
【0003】
ところが、これらのシロアリ防除剤の多くは、有機リン類や重金属類を含有しているため、VOC・有機リン化合物等の有害物質が室内に放出され、室内汚染の原因となっている。また、これらが土壌に浸透して蓄積・濃縮されることで、生態系に与える悪影響も懸念されている。
【0004】
特に、近年の建築物は、高気密化がなされ、過剰な湿気及び結露が発生しやすい状況にあり、また、室内の換気を行ったとしてもその効果は一時的であることから、これら有害物質は室内に滞留し、人体に対して悪影響を及ぼしやすい環境となっている。
【0005】
そのため、このような環境の改善を目的として、標的生物に対する特異性が高く、脊椎動物に対しては毒性を示さず、自然環境中に散布しても安全で、生態系に長期間残留する恐れもないシロアリ防除剤の開発が待望されることとなった。
【0006】
このような環境の改善を目的として、近年では、防虫菊(シロバナムシヨケキク)等に含まれる天然抗シロアリ成分を用いた天然抗シロアリ剤の開発や、シロアリ防除剤及び建材等から放出される化学物質の除去を目的とした炭素材のシロアリ防除剤への利用等が検討され、実用化されつつある。
【0007】
しかしながら、開発される天然抗シロアリ剤の内、実用化まで至るものは極僅かであり、さらに、実用化された天然抗シロアリ剤においても、シロアリに対する特異性、防除性及び長期持続性等の点にまだまだ不十分な点が残っている現状にある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オビスギやユーカリから抽出される天然抗シロアリ成分をマイクロカプセル化することで、或いは、竹炭粉末に吸着させることで、防除効果を有効に、且つ、長期間にわたって持続することができ、更には、竹炭粉末によって、建材等から放出される化学物質を除去すると共に、シロアリ防除環境の調湿をも行うことで、住宅環境の負荷の低減及び改善を図ることのできるシロアリ防除用コーティング組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、竹炭粉末を有効成分として含有することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために、請求項2記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、請求項1記載のシロアリ防除用コーティング組成物であって、前記竹炭粉末は、組成物の20〜60%の割合で含有されることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために、請求項3記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、請求項1又は請求項2に記載のシロアリ防除用コーティング組成物であって、前記竹炭粉末には、天然抗シロアリ剤が吸着されていることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項4記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、天然抗シロアリ剤を包含するマイクロカプセルを含有することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、請求項5記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、請求項4記載のシロアリ防除用コーティング組成物であって、前記マイクロカプセルは、組成物の0.5〜5%の割合で含有されることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために、請求項6記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、請求項3又は請求項4に記載のシロアリ防除用コーティング組成物であって、前記天然抗シロアリ剤は、オビスギから抽出精製される成分であることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、請求項7記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、請求項3又は請求項4に記載のシロアリ防除用コーティング組成物であって、前記天然抗シロアリ剤は、ユーカリから抽出精製される成分であることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に説明するシロアリ防除用コーティング組成物は、あくまでも好適な一実施形態であって、本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物をこれに限定するものではない。
【0017】
[シロアリ防除用コーティング組成物の構成]
まず、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物の概略構成について説明する。
【0018】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、粉末竹炭を主剤としたコーティング剤に、天然抗シロアリ剤を吸着させ、同時に、天然抗シロアリ剤をマイクロカプセル化したものを混入させ、このコーティング剤を被塗物に接着せしめることで、住宅環境の負荷を低減しつつ、防除効果を有効に且つ長期間にわたって持続することに成功し、本発明を完成した。このコーティング剤は、具体的には、シロアリ防除環境の調湿及び建材等から放出される化学物質の除去を目的とした粉末竹炭にシロアリ防除の主たる成分、即ち、オビスギから抽出・分画された天然抽出物、並びに、ユーカリから抽出された精油成分を吸着させた上で、この竹炭粉末混合物を30〜60%(竹炭粉末単体では20〜60%)の割合で配合した主剤と、同じく、オビスギから抽出・分画された天然抽出物、並びに、ユーカリから抽出された精油成分をマイクロカプセル化することで防除効果の長期持続を可能としたものを0.5〜5%の割合で配合した副材とを水性ウレタン樹脂に加えてできたものである。
【0019】
尚、当該シロアリ防除用コーティング組成物の竹炭粉末及びマイクロカプセルの混合割合の根拠については、後述する調湿試験及びシロアリ試験の試験結果と共に説明することとする。
【0020】
[シロアリ防除用コーティング組成物の作成方法]
次に、当該シロアリ防除用コーティング組成物の作成方法について説明する。
【0021】
当該シロアリ防除用コーティング組成物は、竹炭粉末(粒径1〜40μm)を含有する水性樹脂エマルジョンのコーティング材であり、竹炭粉末にオビスギ又はその他のスギから抽出し粗分画した精油画分又は中性画分を1〜50%の割合で吸着させ、これにユーカリ精油成分をマイクロカプセル化したものを1〜50%の割合で混合するものである。さらに、無機系抗菌剤を1〜5%の割合で混合する。このように調整した竹炭粉末混合物を水性樹脂エマルジョンに添加する。この際の混合比は、水性エマルジョンに対して竹炭粉末混合物を30〜60%(竹炭粉末単体では、20〜60%)の割合で投入するものとする。また、粉末の凝集及び沈殿防止のために分散剤を竹炭粉末混合物に対して40〜120%の割合で添加し、沈降防止剤を最終生成物に対して1〜4%の割合で添加する。
【0022】
さらに、上記により調整したシロアリ防除用コーティング組成物を、木材面に対して200〜500g/m2の塗布量で塗布し(ローラー、刷毛、吹き付け等)、常温条件下にて乾燥造膜をすることでシロアリ防除性能を有するコーティング層が形成される。
【0023】
[竹炭粉末及びマイクロカプセルの混合割合の決定]
ここで、当該シロアリ防除用コーティング組成物の竹炭粉末及びマイクロカプセルの混合割合の根拠について、その根拠となった調湿試験及びシロアリ試験の試験結果と共に説明する。
【0024】
(竹炭粉末の混合割合を決定する試験)
前述のように、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物は、シロアリ防除環境の調湿及び建材等から放出される化学物質の除去を目的として竹炭粉末を含有する。当然、竹炭粉末の含有率が高い程、その調湿効果も大きくなるのだが、含有率が高すぎると、当該組成物自体がペースト状になり、これを塗料として用いることが出来なくなる問題がある。一方、竹炭粉末の含有率が低い程、その調湿効果も小さくなるため、含有率が低すぎると、期待する調湿効果が得られなくなる問題がある。そこで、本発明者は、当該シロアリ防除用コーティング組成物に混合する竹炭粉末の割合を変化させつつ、そのときの調湿効果を測定する調湿効果試験を行うことで、この竹炭粉末の混合割合を適当な範囲内に決定することとした。
【0025】
当該調湿効果試験は、以下の通りに行われた。但し、当該調湿効果試験として吸湿試験を行った。
【0026】
まず、100×200mmの金属板に、竹炭粉末の混合割合を変化させた前記シロアリ防除用コーティング組成物及びその他の水性樹脂エマルジョンを350g/m2の塗布量で塗布し、これを常温で14日間乾燥させることで供試体を作成した。
【0027】
そして、恒温恒湿器を温度25℃、相対湿度90%に調整し、デジケータ(内径260mm)を蓋が開いている状態で設置した。デジケータ内が温度25℃、相対湿度90%になった後、予め温度25℃、相対湿度30%の条件下に静置していた供試体を速やかに前述のデジケータに投入し、蓋を閉めた。その後の相対湿度変化を測定した。
【0028】
当該吸湿試験の結果を図1に示す。同図に示すように、竹炭粉末の混合割合(含有率)が20%未満の範囲では、目安となる相対湿度60%以下という条件が満たされず、所望とする効果が得られないことが分かった。また、竹炭粉末の混合割合(含有率)が60%を超える範囲では、当該組成物自体がペースト状になり、これを塗料として用いることが出来なくなると共に、相対湿度も44%付近で一様になり、その効果にも変化が見られなくなることが分かった。
【0029】
そこで、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物においては、このような結果を鑑みて、竹炭粉末の混合割合を、これらの範囲内、即ち、含有率20〜60%の範囲内とすることとした。
【0030】
(マイクロカプセルの混合割合を決定する試験)
同様に、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物は、防除効果を有効に且つ長期間にわたって持続するために、天然抗シロアリ剤をマイクロカプセルに包含する。当然、マイクロカプセルの混合割合が高い程、防除効果は大きくなるのだが、混合割合が高すぎると、当該組成物の塗膜面にマイクロカプセルの白色が目立ち、美観が損なわれる問題がある。一方、マイクロカプセルの混合割合が低い程、防除効果も小さくなるのだが、混合割合が低すぎると、期待する防除効果が得られなくなる問題がある。そこで、本発明者は、当該シロアリ防除用コーティング組成物に混合するマイクロカプセルの割合を変化させつつ、そのときの防除効果を調べるシロアリ試験を行うことで、このマイクロカプセルの混合割合を適当な範囲内に決定することとした。
【0031】
当該シロアリ試験は、以下の通りに行われた。
10×10×20mmのアカマツ木片に、マイクロカプセルの割合を変化させた前記シロアリ防除用コーティング組成物及びその他の水性樹脂エマルジョンを350g/m2の塗布量で塗布し、常温で14日間乾燥させた後、これを供試体とした。但し、マイクロカプセルに包含する天然抗シロアリ剤は、ユーカリ精油成分とした。
【0032】
当該シロアリ試験は、(社)日本木材保存協会規格 第11号に基づき、以下の通りに行われた。
まず、アクリル樹脂製円筒の底部に石膏を詰めた試験容器を、脱脂綿を敷き詰めた容器に設置した。
次に、試験容器中に試験片をそれぞれ設置した後、シロアリ(職蟻150頭、兵蟻15頭)を投入し、温度28±2℃の暗所にて21日間飼育した。その後、試験片の重量減少率及びシロアリの生存率を測定した。
【0033】
当該シロアリ試験の結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示すように、マイクロカプセルの混合割合、即ち、含有率が0.5%未満の範囲では、目安となるシロアリ生存率25%以下という条件が満たされず、所望とする効果が得られないことが分かった。また、マイクロカプセルの含有率が5%を超える範囲では、当該組成物の塗膜面にマイクロカプセルの白色が目立ち、美観が損なわれると共に、シロアリ生存率も減少せず、その防除効果にも変化が見られなくなることが分かった。また、社団法人しろあり対策協会の認定基準に、シロアリ防除用コーティング組成物の重量減少率が3%以下というものがあるが、上記シロアリ防除用コーティング組成物の重量減少率は、マイクロカプセルの含有率が0.5%以上の範囲においては、この認定基準をクリアするものとなった。
【0036】
そこで、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物においては、このような結果を鑑みて、マイクロカプセルの混合割合を、これらの範囲内、即ち、含有率0.5〜5%の範囲内に決定することとした。
【0037】
[シロアリ防除用コーティング組成物の各種試験結果]
次に、以上に説明した本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物に対して行われた各種試験(シロアリ試験・耐候試験・調湿効果試験)の結果について説明する。
【0038】
但し、これらの試験においては、シロアリ防除用コーティング組成物として、竹炭粉末25にオビスギ2を吸着させた後、ユーカリマイクロカプセル1、抗菌剤3を混合し、さらに、水性樹脂エマルジョン55、分散剤14、沈降防止剤4を加え均一に撹拌したものを用いた。
【0039】
(シロアリ試験)
10×10×20mmのアカマツ木片に、上記シロアリ防除用コーティング組成物及びその他の水性樹脂エマルジョンを350g/m2の塗布量で塗布し、常温で14日間乾燥させた後、これを供試体としてシロアリ試験に供試した。
【0040】
当該シロアリ試験は、(社)日本木材保存協会規格 第11号に基づき、以下の通りに行われた。
まず、アクリル樹脂製円筒の底部に石膏を詰めた試験容器を、脱脂綿を敷き詰めた容器に設置した。
次に、試験容器中に試験片をそれぞれ設置した後、シロアリ(職蟻150頭、兵蟻15頭)を投入し、温度28±2℃の暗所にて21日間飼育した。その後、試験片の重量減少率及びシロアリの生存率を測定した。
【0041】
当該シロアリ試験の結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2に示すように、当該シロアリ試験は、上記シロアリ防除用コーティング組成物を塗布したアカマツ木片、即ち、供試体と、上記シロアリ防除用コーティング組成物を塗布しないアカマツ木片との比較試験であり、上記シロアリ防除用コーティング組成物を塗布しないアカマツ木片に関するシロアリ生存率は87%であるのに対して、上記シロアリ防除用コーティング組成物を塗布したアカマツ木片、即ち、供試体に関するシロアリ生存率は14%となった。このように、上記シロアリ防除用コーティング組成物のシロアリ防除効果は十分に認められる結果となった。また、社団法人しろあり対策協会の認定基準に、シロアリ防除用コーティング組成物の重量減少率が3%以下というものがあるが、上記シロアリ防除用コーティング組成物の重量減少率は2.36%であり、この認定基準をクリアするものとなった。
【0044】
(耐候試験)
10×10×20mmのアカマツ木片に、上記シロアリ防除用コーティング組成物及びその他の水性樹脂エマルジョンを350g/m2の塗布量で塗布し、常温で14日間乾燥させた後、耐候処理(湿潤処理及び揮散処理)を施し、これを第1の供試体としてシロアリ試験に供試した。
【0045】
また、対照品として水性樹脂エマルジョンにオビスギを2%添加したものと、同じく水性樹脂エマルジョンにユーカリ精油成分を1%添加したものとを用意し、同様の耐候処理(湿潤処理及び揮散処理)を施し、これらもシロアリ試験に供試した。
【0046】
尚、此処にいう耐候処理とは、以下の通りに行われたものである。
まず、供試体を室温で静水に30秒間浸漬した後、底部に水を張ったデシケータ中に入れ、温度26±2℃の恒温室に4時間放置した。
次に、温度40±2℃の循環式熱風恒温器中に20時間放置した。
これらを1サイクルとして、10サイクル繰り返し行った。
【0047】
また、シロアリ試験は、(社)日本木材保存協会規格 第11号に基づき、以下の通りに行われた。
まず、アクリル樹脂製円筒の底部に石膏を詰めた試験容器を、脱脂綿を敷き詰めた容器に設置した。
次に、試験容器中に試験片をそれぞれ設置した後、シロアリ(職蟻150頭、兵蟻15頭)を投入し、温度28±2℃の暗所にて21日間飼育した。その後、試験片の重量減少率及びシロアリの生存率を測定した。
【0048】
当該シロアリ試験の結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
表3に示すように、当該シロアリ試験は、上記シロアリ防除用コーティング組成物を塗布したアカマツ木片に耐候処理を施したものと、上記シロアリ防除用コーティング組成物の替わりに水性樹脂エマルジョンにオビスギを2%添加したものを塗布したアカマツ木片と、同じく、上記シロアリ防除用コーティング組成物の替わりに水性樹脂エマルジョンにユーカリ精油成分を1%添加したものを塗布したアカマツ木片との比較試験であり、単に水性樹脂エマルジョンに単一の天然抗シロアリ剤を添加したものは、シロアリ除去効果が薄く、社団法人しろあり対策協会の認定基準である重量減少率3%未満という基準値もクリアすることが出来ないことが分かった。即ち、竹炭粉末に一方の天然抗シロアリ剤を吸着させ、さらに、もう一方の天然抗シロアリ剤をマイクロカプセル化して混合することで初めて、耐候性が向上し、防除効果も向上することが分かった。因みに、耐候処理を施さない場合には、重量減少率は2.36%となった。
【0051】
(調湿効果試験)
100×200mmの金属板に、上記シロアリ防除用コーティング組成物及びその他の水性樹脂エマルジョンを350g/m2の塗布量で塗布し、常温で14日間乾燥させた後、これを供試体として調湿効果試験に用いた。
【0052】
この調湿効果試験は、以下の通りに行われた。
i)吸湿試験…恒温恒湿器を温度25℃、相対湿度90%に調整し、デジケータ(内径260mm)を蓋が開いている状態で設置した。デジケータ内が温度25℃、相対湿度90%になった後、予め温度25℃、相対湿度30%の条件下に静置していた試験板を速やかに前述のデジケータに投入し、蓋を閉めた。その後の相対湿度変化を測定した。尚、鋼板についても同様に行った。
ii)放湿試験…恒温恒湿器を温度25℃、相対湿度30%にし、デジケータ(内径260mm)を蓋が開いている状態で設置した。デジケータ内が温度25℃、相対湿度30%になった後、予め温度25℃、相対湿度90%の条件下に静置していた試験板を速やかに前述のデジケータに投入し、蓋を閉めた。その後の相対湿度変化を測定した。尚、鋼板についても同様に行った。
【0053】
当該調湿効果試験の結果を図2、図3、表4及び表5に示す。尚、図2及び表4が、前記吸湿試験の結果であり、図3及び表5が、前記放湿試験の結果となっている。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
図2、図3、表4及び表5に示すように、当該シロアリ防除用コーティング組成物を塗布した鋼板は、竹炭粉末による調湿効果を示し、これが塗布されない鋼板と比較して、差測定開始後180分経過時点では、吸湿効果においては湿度30%程度の差、放湿試験においては湿度32%の差が生じることが分かった。これらの差は、経過時間が増すにつれ、さらに開くことが当然に予想されるため、住宅環境の負荷を低減することが大いに期待できる。また、竹炭粉末は、建材等から放出される化学物質(有害物質)を吸着する効果も有しているため、これを含有する当該シロアリ防除用コーティング組成物は、住宅環境の改善にも大きく付与することが同時に期待できる。
【0057】
尚、本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物は、以上に説明したものに限定されるものではなく、例えば、オビスギ精油成分及びユーカリ精油成分と、竹炭粉末への吸着及びマイクロカプセル化との組み合わせは、任意であって良い。また、竹炭粉末及びマイクロカプセルの含有率に関しても、本発明に係る範囲を逸脱することなく、任意に決定して良い。
【0058】
以上に説明したように、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物においては、天然抗シロアリ剤として、オビスギ又はその他のスギから抽出した精油成分、或いは、ユーカリから抽出したユーカリ精油成分が用いられ、さらに、これらは竹炭粉末に吸着され、或いは、マイクロカプセル化された上で水性樹脂エマルジョンに添加されるので、シロアリ防除効果を有効に、且つ、長期間にわたって持続することができ、更には、当該シロアリ防除用コーティング組成物に含有される竹炭粉末の調湿効果及び有害物質の吸着効果によって、住宅環境の負荷の低減及び改善を大いに期待することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物によれば、天然抗シロアリ剤として、オビスギ又はその他のスギから抽出した精油成分、或いは、ユーカリから抽出したユーカリ精油成分を用い、さらに、これらを竹炭粉末に吸着させ、或いは、マイクロカプセル化した上で水性樹脂エマルジョンに添加するので、シロアリ防除効果を有効に、且つ、長期間にわたって持続させることができ、更には、当該シロアリ防除用コーティング組成物に含有される竹炭粉末の調湿効果及び有害物質の吸着効果によって、住宅環境の負荷の低減及び改善を大いに期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物の竹炭粉末含有率と吸湿効果との関係を示す吸湿試験の結果を表すグラフである。
【図2】本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物の吸湿試験の結果を表すグラフである。
【図3】本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物の放湿試験の結果を表すグラフである。
【符号の説明】
A…組成物
B…鋼板
【発明の属する技術分野】
本発明は、安全で効果の優れたシロアリ防除用コーティング組成物に関するものであって、より詳しくは、木造建築物又は鉄筋コンクリート建築物の内装及び床下等に使用する塗料に用いられ、シロアリ防除、調湿並びに吸着剤として利用されるシロアリ防除用コーティング組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
木造建築物はもとより鉄筋コンクリート建築物においても、所謂、建築物の内装材には多くの木材が使用されている。この木材にはシロアリによる腐朽化の問題があるため、従来から、木造建築物であれば、床下部材に化学合成薬剤であるシロアリ防除剤を加圧処理及び塗布した木材が使用されている。
【0003】
ところが、これらのシロアリ防除剤の多くは、有機リン類や重金属類を含有しているため、VOC・有機リン化合物等の有害物質が室内に放出され、室内汚染の原因となっている。また、これらが土壌に浸透して蓄積・濃縮されることで、生態系に与える悪影響も懸念されている。
【0004】
特に、近年の建築物は、高気密化がなされ、過剰な湿気及び結露が発生しやすい状況にあり、また、室内の換気を行ったとしてもその効果は一時的であることから、これら有害物質は室内に滞留し、人体に対して悪影響を及ぼしやすい環境となっている。
【0005】
そのため、このような環境の改善を目的として、標的生物に対する特異性が高く、脊椎動物に対しては毒性を示さず、自然環境中に散布しても安全で、生態系に長期間残留する恐れもないシロアリ防除剤の開発が待望されることとなった。
【0006】
このような環境の改善を目的として、近年では、防虫菊(シロバナムシヨケキク)等に含まれる天然抗シロアリ成分を用いた天然抗シロアリ剤の開発や、シロアリ防除剤及び建材等から放出される化学物質の除去を目的とした炭素材のシロアリ防除剤への利用等が検討され、実用化されつつある。
【0007】
しかしながら、開発される天然抗シロアリ剤の内、実用化まで至るものは極僅かであり、さらに、実用化された天然抗シロアリ剤においても、シロアリに対する特異性、防除性及び長期持続性等の点にまだまだ不十分な点が残っている現状にある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オビスギやユーカリから抽出される天然抗シロアリ成分をマイクロカプセル化することで、或いは、竹炭粉末に吸着させることで、防除効果を有効に、且つ、長期間にわたって持続することができ、更には、竹炭粉末によって、建材等から放出される化学物質を除去すると共に、シロアリ防除環境の調湿をも行うことで、住宅環境の負荷の低減及び改善を図ることのできるシロアリ防除用コーティング組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、竹炭粉末を有効成分として含有することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために、請求項2記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、請求項1記載のシロアリ防除用コーティング組成物であって、前記竹炭粉末は、組成物の20〜60%の割合で含有されることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために、請求項3記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、請求項1又は請求項2に記載のシロアリ防除用コーティング組成物であって、前記竹炭粉末には、天然抗シロアリ剤が吸着されていることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項4記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、天然抗シロアリ剤を包含するマイクロカプセルを含有することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、請求項5記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、請求項4記載のシロアリ防除用コーティング組成物であって、前記マイクロカプセルは、組成物の0.5〜5%の割合で含有されることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために、請求項6記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、請求項3又は請求項4に記載のシロアリ防除用コーティング組成物であって、前記天然抗シロアリ剤は、オビスギから抽出精製される成分であることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために、請求項7記載のシロアリ防除用コーティング組成物は、請求項3又は請求項4に記載のシロアリ防除用コーティング組成物であって、前記天然抗シロアリ剤は、ユーカリから抽出精製される成分であることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に説明するシロアリ防除用コーティング組成物は、あくまでも好適な一実施形態であって、本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物をこれに限定するものではない。
【0017】
[シロアリ防除用コーティング組成物の構成]
まず、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物の概略構成について説明する。
【0018】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、粉末竹炭を主剤としたコーティング剤に、天然抗シロアリ剤を吸着させ、同時に、天然抗シロアリ剤をマイクロカプセル化したものを混入させ、このコーティング剤を被塗物に接着せしめることで、住宅環境の負荷を低減しつつ、防除効果を有効に且つ長期間にわたって持続することに成功し、本発明を完成した。このコーティング剤は、具体的には、シロアリ防除環境の調湿及び建材等から放出される化学物質の除去を目的とした粉末竹炭にシロアリ防除の主たる成分、即ち、オビスギから抽出・分画された天然抽出物、並びに、ユーカリから抽出された精油成分を吸着させた上で、この竹炭粉末混合物を30〜60%(竹炭粉末単体では20〜60%)の割合で配合した主剤と、同じく、オビスギから抽出・分画された天然抽出物、並びに、ユーカリから抽出された精油成分をマイクロカプセル化することで防除効果の長期持続を可能としたものを0.5〜5%の割合で配合した副材とを水性ウレタン樹脂に加えてできたものである。
【0019】
尚、当該シロアリ防除用コーティング組成物の竹炭粉末及びマイクロカプセルの混合割合の根拠については、後述する調湿試験及びシロアリ試験の試験結果と共に説明することとする。
【0020】
[シロアリ防除用コーティング組成物の作成方法]
次に、当該シロアリ防除用コーティング組成物の作成方法について説明する。
【0021】
当該シロアリ防除用コーティング組成物は、竹炭粉末(粒径1〜40μm)を含有する水性樹脂エマルジョンのコーティング材であり、竹炭粉末にオビスギ又はその他のスギから抽出し粗分画した精油画分又は中性画分を1〜50%の割合で吸着させ、これにユーカリ精油成分をマイクロカプセル化したものを1〜50%の割合で混合するものである。さらに、無機系抗菌剤を1〜5%の割合で混合する。このように調整した竹炭粉末混合物を水性樹脂エマルジョンに添加する。この際の混合比は、水性エマルジョンに対して竹炭粉末混合物を30〜60%(竹炭粉末単体では、20〜60%)の割合で投入するものとする。また、粉末の凝集及び沈殿防止のために分散剤を竹炭粉末混合物に対して40〜120%の割合で添加し、沈降防止剤を最終生成物に対して1〜4%の割合で添加する。
【0022】
さらに、上記により調整したシロアリ防除用コーティング組成物を、木材面に対して200〜500g/m2の塗布量で塗布し(ローラー、刷毛、吹き付け等)、常温条件下にて乾燥造膜をすることでシロアリ防除性能を有するコーティング層が形成される。
【0023】
[竹炭粉末及びマイクロカプセルの混合割合の決定]
ここで、当該シロアリ防除用コーティング組成物の竹炭粉末及びマイクロカプセルの混合割合の根拠について、その根拠となった調湿試験及びシロアリ試験の試験結果と共に説明する。
【0024】
(竹炭粉末の混合割合を決定する試験)
前述のように、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物は、シロアリ防除環境の調湿及び建材等から放出される化学物質の除去を目的として竹炭粉末を含有する。当然、竹炭粉末の含有率が高い程、その調湿効果も大きくなるのだが、含有率が高すぎると、当該組成物自体がペースト状になり、これを塗料として用いることが出来なくなる問題がある。一方、竹炭粉末の含有率が低い程、その調湿効果も小さくなるため、含有率が低すぎると、期待する調湿効果が得られなくなる問題がある。そこで、本発明者は、当該シロアリ防除用コーティング組成物に混合する竹炭粉末の割合を変化させつつ、そのときの調湿効果を測定する調湿効果試験を行うことで、この竹炭粉末の混合割合を適当な範囲内に決定することとした。
【0025】
当該調湿効果試験は、以下の通りに行われた。但し、当該調湿効果試験として吸湿試験を行った。
【0026】
まず、100×200mmの金属板に、竹炭粉末の混合割合を変化させた前記シロアリ防除用コーティング組成物及びその他の水性樹脂エマルジョンを350g/m2の塗布量で塗布し、これを常温で14日間乾燥させることで供試体を作成した。
【0027】
そして、恒温恒湿器を温度25℃、相対湿度90%に調整し、デジケータ(内径260mm)を蓋が開いている状態で設置した。デジケータ内が温度25℃、相対湿度90%になった後、予め温度25℃、相対湿度30%の条件下に静置していた供試体を速やかに前述のデジケータに投入し、蓋を閉めた。その後の相対湿度変化を測定した。
【0028】
当該吸湿試験の結果を図1に示す。同図に示すように、竹炭粉末の混合割合(含有率)が20%未満の範囲では、目安となる相対湿度60%以下という条件が満たされず、所望とする効果が得られないことが分かった。また、竹炭粉末の混合割合(含有率)が60%を超える範囲では、当該組成物自体がペースト状になり、これを塗料として用いることが出来なくなると共に、相対湿度も44%付近で一様になり、その効果にも変化が見られなくなることが分かった。
【0029】
そこで、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物においては、このような結果を鑑みて、竹炭粉末の混合割合を、これらの範囲内、即ち、含有率20〜60%の範囲内とすることとした。
【0030】
(マイクロカプセルの混合割合を決定する試験)
同様に、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物は、防除効果を有効に且つ長期間にわたって持続するために、天然抗シロアリ剤をマイクロカプセルに包含する。当然、マイクロカプセルの混合割合が高い程、防除効果は大きくなるのだが、混合割合が高すぎると、当該組成物の塗膜面にマイクロカプセルの白色が目立ち、美観が損なわれる問題がある。一方、マイクロカプセルの混合割合が低い程、防除効果も小さくなるのだが、混合割合が低すぎると、期待する防除効果が得られなくなる問題がある。そこで、本発明者は、当該シロアリ防除用コーティング組成物に混合するマイクロカプセルの割合を変化させつつ、そのときの防除効果を調べるシロアリ試験を行うことで、このマイクロカプセルの混合割合を適当な範囲内に決定することとした。
【0031】
当該シロアリ試験は、以下の通りに行われた。
10×10×20mmのアカマツ木片に、マイクロカプセルの割合を変化させた前記シロアリ防除用コーティング組成物及びその他の水性樹脂エマルジョンを350g/m2の塗布量で塗布し、常温で14日間乾燥させた後、これを供試体とした。但し、マイクロカプセルに包含する天然抗シロアリ剤は、ユーカリ精油成分とした。
【0032】
当該シロアリ試験は、(社)日本木材保存協会規格 第11号に基づき、以下の通りに行われた。
まず、アクリル樹脂製円筒の底部に石膏を詰めた試験容器を、脱脂綿を敷き詰めた容器に設置した。
次に、試験容器中に試験片をそれぞれ設置した後、シロアリ(職蟻150頭、兵蟻15頭)を投入し、温度28±2℃の暗所にて21日間飼育した。その後、試験片の重量減少率及びシロアリの生存率を測定した。
【0033】
当該シロアリ試験の結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示すように、マイクロカプセルの混合割合、即ち、含有率が0.5%未満の範囲では、目安となるシロアリ生存率25%以下という条件が満たされず、所望とする効果が得られないことが分かった。また、マイクロカプセルの含有率が5%を超える範囲では、当該組成物の塗膜面にマイクロカプセルの白色が目立ち、美観が損なわれると共に、シロアリ生存率も減少せず、その防除効果にも変化が見られなくなることが分かった。また、社団法人しろあり対策協会の認定基準に、シロアリ防除用コーティング組成物の重量減少率が3%以下というものがあるが、上記シロアリ防除用コーティング組成物の重量減少率は、マイクロカプセルの含有率が0.5%以上の範囲においては、この認定基準をクリアするものとなった。
【0036】
そこで、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物においては、このような結果を鑑みて、マイクロカプセルの混合割合を、これらの範囲内、即ち、含有率0.5〜5%の範囲内に決定することとした。
【0037】
[シロアリ防除用コーティング組成物の各種試験結果]
次に、以上に説明した本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物に対して行われた各種試験(シロアリ試験・耐候試験・調湿効果試験)の結果について説明する。
【0038】
但し、これらの試験においては、シロアリ防除用コーティング組成物として、竹炭粉末25にオビスギ2を吸着させた後、ユーカリマイクロカプセル1、抗菌剤3を混合し、さらに、水性樹脂エマルジョン55、分散剤14、沈降防止剤4を加え均一に撹拌したものを用いた。
【0039】
(シロアリ試験)
10×10×20mmのアカマツ木片に、上記シロアリ防除用コーティング組成物及びその他の水性樹脂エマルジョンを350g/m2の塗布量で塗布し、常温で14日間乾燥させた後、これを供試体としてシロアリ試験に供試した。
【0040】
当該シロアリ試験は、(社)日本木材保存協会規格 第11号に基づき、以下の通りに行われた。
まず、アクリル樹脂製円筒の底部に石膏を詰めた試験容器を、脱脂綿を敷き詰めた容器に設置した。
次に、試験容器中に試験片をそれぞれ設置した後、シロアリ(職蟻150頭、兵蟻15頭)を投入し、温度28±2℃の暗所にて21日間飼育した。その後、試験片の重量減少率及びシロアリの生存率を測定した。
【0041】
当該シロアリ試験の結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2に示すように、当該シロアリ試験は、上記シロアリ防除用コーティング組成物を塗布したアカマツ木片、即ち、供試体と、上記シロアリ防除用コーティング組成物を塗布しないアカマツ木片との比較試験であり、上記シロアリ防除用コーティング組成物を塗布しないアカマツ木片に関するシロアリ生存率は87%であるのに対して、上記シロアリ防除用コーティング組成物を塗布したアカマツ木片、即ち、供試体に関するシロアリ生存率は14%となった。このように、上記シロアリ防除用コーティング組成物のシロアリ防除効果は十分に認められる結果となった。また、社団法人しろあり対策協会の認定基準に、シロアリ防除用コーティング組成物の重量減少率が3%以下というものがあるが、上記シロアリ防除用コーティング組成物の重量減少率は2.36%であり、この認定基準をクリアするものとなった。
【0044】
(耐候試験)
10×10×20mmのアカマツ木片に、上記シロアリ防除用コーティング組成物及びその他の水性樹脂エマルジョンを350g/m2の塗布量で塗布し、常温で14日間乾燥させた後、耐候処理(湿潤処理及び揮散処理)を施し、これを第1の供試体としてシロアリ試験に供試した。
【0045】
また、対照品として水性樹脂エマルジョンにオビスギを2%添加したものと、同じく水性樹脂エマルジョンにユーカリ精油成分を1%添加したものとを用意し、同様の耐候処理(湿潤処理及び揮散処理)を施し、これらもシロアリ試験に供試した。
【0046】
尚、此処にいう耐候処理とは、以下の通りに行われたものである。
まず、供試体を室温で静水に30秒間浸漬した後、底部に水を張ったデシケータ中に入れ、温度26±2℃の恒温室に4時間放置した。
次に、温度40±2℃の循環式熱風恒温器中に20時間放置した。
これらを1サイクルとして、10サイクル繰り返し行った。
【0047】
また、シロアリ試験は、(社)日本木材保存協会規格 第11号に基づき、以下の通りに行われた。
まず、アクリル樹脂製円筒の底部に石膏を詰めた試験容器を、脱脂綿を敷き詰めた容器に設置した。
次に、試験容器中に試験片をそれぞれ設置した後、シロアリ(職蟻150頭、兵蟻15頭)を投入し、温度28±2℃の暗所にて21日間飼育した。その後、試験片の重量減少率及びシロアリの生存率を測定した。
【0048】
当該シロアリ試験の結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
表3に示すように、当該シロアリ試験は、上記シロアリ防除用コーティング組成物を塗布したアカマツ木片に耐候処理を施したものと、上記シロアリ防除用コーティング組成物の替わりに水性樹脂エマルジョンにオビスギを2%添加したものを塗布したアカマツ木片と、同じく、上記シロアリ防除用コーティング組成物の替わりに水性樹脂エマルジョンにユーカリ精油成分を1%添加したものを塗布したアカマツ木片との比較試験であり、単に水性樹脂エマルジョンに単一の天然抗シロアリ剤を添加したものは、シロアリ除去効果が薄く、社団法人しろあり対策協会の認定基準である重量減少率3%未満という基準値もクリアすることが出来ないことが分かった。即ち、竹炭粉末に一方の天然抗シロアリ剤を吸着させ、さらに、もう一方の天然抗シロアリ剤をマイクロカプセル化して混合することで初めて、耐候性が向上し、防除効果も向上することが分かった。因みに、耐候処理を施さない場合には、重量減少率は2.36%となった。
【0051】
(調湿効果試験)
100×200mmの金属板に、上記シロアリ防除用コーティング組成物及びその他の水性樹脂エマルジョンを350g/m2の塗布量で塗布し、常温で14日間乾燥させた後、これを供試体として調湿効果試験に用いた。
【0052】
この調湿効果試験は、以下の通りに行われた。
i)吸湿試験…恒温恒湿器を温度25℃、相対湿度90%に調整し、デジケータ(内径260mm)を蓋が開いている状態で設置した。デジケータ内が温度25℃、相対湿度90%になった後、予め温度25℃、相対湿度30%の条件下に静置していた試験板を速やかに前述のデジケータに投入し、蓋を閉めた。その後の相対湿度変化を測定した。尚、鋼板についても同様に行った。
ii)放湿試験…恒温恒湿器を温度25℃、相対湿度30%にし、デジケータ(内径260mm)を蓋が開いている状態で設置した。デジケータ内が温度25℃、相対湿度30%になった後、予め温度25℃、相対湿度90%の条件下に静置していた試験板を速やかに前述のデジケータに投入し、蓋を閉めた。その後の相対湿度変化を測定した。尚、鋼板についても同様に行った。
【0053】
当該調湿効果試験の結果を図2、図3、表4及び表5に示す。尚、図2及び表4が、前記吸湿試験の結果であり、図3及び表5が、前記放湿試験の結果となっている。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
図2、図3、表4及び表5に示すように、当該シロアリ防除用コーティング組成物を塗布した鋼板は、竹炭粉末による調湿効果を示し、これが塗布されない鋼板と比較して、差測定開始後180分経過時点では、吸湿効果においては湿度30%程度の差、放湿試験においては湿度32%の差が生じることが分かった。これらの差は、経過時間が増すにつれ、さらに開くことが当然に予想されるため、住宅環境の負荷を低減することが大いに期待できる。また、竹炭粉末は、建材等から放出される化学物質(有害物質)を吸着する効果も有しているため、これを含有する当該シロアリ防除用コーティング組成物は、住宅環境の改善にも大きく付与することが同時に期待できる。
【0057】
尚、本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物は、以上に説明したものに限定されるものではなく、例えば、オビスギ精油成分及びユーカリ精油成分と、竹炭粉末への吸着及びマイクロカプセル化との組み合わせは、任意であって良い。また、竹炭粉末及びマイクロカプセルの含有率に関しても、本発明に係る範囲を逸脱することなく、任意に決定して良い。
【0058】
以上に説明したように、本実施形態におけるシロアリ防除用コーティング組成物においては、天然抗シロアリ剤として、オビスギ又はその他のスギから抽出した精油成分、或いは、ユーカリから抽出したユーカリ精油成分が用いられ、さらに、これらは竹炭粉末に吸着され、或いは、マイクロカプセル化された上で水性樹脂エマルジョンに添加されるので、シロアリ防除効果を有効に、且つ、長期間にわたって持続することができ、更には、当該シロアリ防除用コーティング組成物に含有される竹炭粉末の調湿効果及び有害物質の吸着効果によって、住宅環境の負荷の低減及び改善を大いに期待することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物によれば、天然抗シロアリ剤として、オビスギ又はその他のスギから抽出した精油成分、或いは、ユーカリから抽出したユーカリ精油成分を用い、さらに、これらを竹炭粉末に吸着させ、或いは、マイクロカプセル化した上で水性樹脂エマルジョンに添加するので、シロアリ防除効果を有効に、且つ、長期間にわたって持続させることができ、更には、当該シロアリ防除用コーティング組成物に含有される竹炭粉末の調湿効果及び有害物質の吸着効果によって、住宅環境の負荷の低減及び改善を大いに期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物の竹炭粉末含有率と吸湿効果との関係を示す吸湿試験の結果を表すグラフである。
【図2】本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物の吸湿試験の結果を表すグラフである。
【図3】本発明に係るシロアリ防除用コーティング組成物の放湿試験の結果を表すグラフである。
【符号の説明】
A…組成物
B…鋼板
Claims (7)
- 竹炭粉末を有効成分として含有することを特徴とするシロアリ防除用コーティング組成物。
- 前記竹炭粉末は、組成物の20〜60%の割合で含有されることを特徴とする請求項1記載のシロアリ防除用コーティング組成物。
- 前記竹炭粉末には、天然抗シロアリ剤が吸着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシロアリ防除用コーティング組成物。
- 天然抗シロアリ剤を包含するマイクロカプセルを含有することを特徴とするシロアリ防除用コーティング組成物。
- 前記マイクロカプセルは、組成物の0.5〜5%の割合で含有されることを特徴とする請求項4記載のシロアリ防除用コーティング組成物。
- 前記天然抗シロアリ剤は、オビスギから抽出精製される成分であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のシロアリ防除用コーティング組成物。
- 前記天然抗シロアリ剤は、ユーカリから抽出精製される成分であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のシロアリ防除用コーティング組成物。
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|---|---|---|---|
| JP2002177848A JP2004018481A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | シロアリ防除用コーティング組成物 |
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Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2004087819A1 (ja) * | 2003-03-31 | 2004-10-14 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 害虫忌避性塗料 |
| CN111096333A (zh) * | 2019-12-25 | 2020-05-05 | 广东省生物资源应用研究所 | 生物质炭在制备白蚁驱避剂中的应用 |
-
2002
- 2002-06-19 JP JP2002177848A patent/JP2004018481A/ja active Pending
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|---|---|---|---|---|
| WO2004087819A1 (ja) * | 2003-03-31 | 2004-10-14 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 害虫忌避性塗料 |
| CN111096333A (zh) * | 2019-12-25 | 2020-05-05 | 广东省生物资源应用研究所 | 生物质炭在制备白蚁驱避剂中的应用 |
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