JP2004018802A - 水性塗料組成物 - Google Patents

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Ryuichi Aoki
青木 隆一
Tadashi Hatakeyama
畠山 忠
Hiroji Sasaki
佐々木 博治
Hiroaki Omoto
尾本 博明
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Abstract

【課題】耐熱水性や耐候性、耐汚染性、耐アルカリ性等に優れた塗膜を形成することができる水性塗料組成物を提供する。
【解決手段】
(a)式(1) R Si(OR4−n〔式中、Rは炭素数1〜8の有機基であり、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜2の整数である。〕で示されるシリケート、オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物100質量部と、(b)加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有し、酸価30〜150mgKOH/gのシリル基含有ビニル系樹脂20〜200質量部と、及び(c)加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有し、酸価0〜25mgKOH/gのシリル基含有ビニル系樹脂20〜200質量部との加水分解縮合反応物を、中和剤で中和し、水を添加して得られる有機無機複合樹脂水分散液を含有する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の有機無機複合樹脂水分散液を含有する水性塗料組成物であり、耐熱水性や、耐候性、耐汚染性、耐アルカリ性等に優れた塗膜を形成することのできる水性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物と、シリル基含有ビニル系樹脂とを加水分解縮合反応させて得られる有機無機複合樹脂を結合剤とする塗膜は、耐候性、耐汚染性等に優れ、またオルガノポリシロキサン系無機樹脂を結合剤とする塗膜のようにクラックが生じにくく、それため、前述の有機無機複合樹脂を結合剤とするコーティング組成物が注目されるようになってきている。
しかしながら、このようなコーティング組成物の多くは有機溶剤系塗料であり、大気汚染や省資源の観点からは、好ましくない。また、従来の水系有機無機複合樹脂を用いたコーティング組成物から得られる塗膜についても、耐熱水性や耐アルカリ性等が劣る問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の課題を背景になされたもので、特定の有機無機複合樹脂水分散液を用いることにより、耐熱水性や、耐アルカリ性、耐候性、耐汚染性等に優れた塗膜を形成することのできる水性塗料組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
(a)式(1)、
Si(OR4−n
〔式中、Rは、炭素数1〜8の有機基であり、Rは、炭素数1〜5のアルキル基であり、そして、nは、0〜2の整数である。〕
で示されるシリケート、オルガノシラン、及び/又はその部分加水分解縮合物100質量部と、
(b)加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を持ち、かつ酸価が30〜150mgKOH/gのシリル基含有ビニル系樹脂20〜200質量部と、
(c)加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を持ち、かつ酸価が0〜25mgKOH/gのシリル基含有ビニル系樹脂20〜200質量部と、
の加水分解縮合反応物を、中和剤で中和し、水を添加して得られる水性塗料組成物に関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の水性塗料組成物の各構成成分について説明する。
(a)成分
(a)成分は、式(1)、
Si(OR4−n
〔式中、Rは、炭素数1〜8の有機基であり、Rは、炭素数1〜5のアルキル基であり、そして、nは0〜2の整数である。〕
で示されるシリケート、オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物である。
前記式において、Rとしての有機基としては、例えば、アルキル基や、シクロアルキル基、アリール基、ビニル基等が挙げられる。
ここで、アルキル基は、直鎖でも分岐したものでもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。好ましいアルキル基は、炭素数が1〜4個のものである。
【0006】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基や、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が好適に挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基等が挙げられる。前記各官能には、任意に置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子や、臭素原子、フッ素原子等)や、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、脂環式基等が挙げられる。
としてのアルキル基は、直鎖でも分岐したものでもよい。
アルキル基としては、具体的には、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、好ましいアルキル基は、炭素数が1〜2個のものである。
前記式(1)で示されるシリケート(n=0)の具体例としては、エチルシリケートや、メチルシリケート、ジイソプロピルジエチルシリケートなどが好適に挙げられる。
【0007】
前記式(1)で示されるオルガノシラン(n=1又は2)の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシランや、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジプロポキシシランなどが挙げられるが、好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランである。
【0008】
これらシリケート又はオルガノシランは、1種単独で使用することも、2種以上混合して使用することもできる。
(a)成分は、以上に説明したシリケート又はオルガノシランの部分加水分解縮合物であってもよい。該縮合物のポリスチレン換算質量平均分子量は、例えば、300〜5000、好ましくは、500〜3000が適当であり、このような分子量の縮合物を使用することにより、貯蔵安定性を悪化させることなく、密着性のよい塗膜が得られる。また、シリケート又はオルガノシランの部分加水分解縮合物は、ケイ素原子に結合した−OH基や−OR基を1個以上、好ましくは3〜30個有するものが適当である。
このような縮合物の具体例としては、市販品としてコルコート社製のエチルシリケート40や、三菱化学社製のMS56、東レ・ダウコーニング社製のSH6018や、SR2402、DC3037、DC3074;信越化学工業社製のKR−211や、KR−212、KR−213、KR−214、KR−216、KR−218;東芝シリコーン社製のTSR−145や、TSR−160、TSR−165、YR−3187等が挙げられる。
【0009】
(b)成分
(b)成分は、ビニル系樹脂の末端あるいは側鎖に加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を、樹脂1分子中に少なくとも1個、好ましくは、2個以上有し、かつ酸価が、30〜150mgKOH/g、好ましくは、35〜80mgKOH/gであり、好ましくは、質量平均分子量が、約10000〜50000、更に好ましくは、質量平均分子量13000〜35000のビニル系樹脂であることが好適である。
前記シリル基は、好ましくは、式(2)、
−SiX(R(3−P)
〔式中、Xは、アルコキシ基や、アシロキシ基、ハロゲン基、ケトキシメート基、メルカプト基、アルケニルオキシ基、フェノキシ基等の加水分解性基又は水酸基であり、Rは、水素又は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基等の1価の炭化水素基であり、Pは、1〜3の整数である。〕
で示されるものである。
【0010】
アルコキシ基におけるアルキル基は、例えば、炭素数1〜10、好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基であることが適当であり、直鎖でも分岐したものでも良い。このようなアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等を好適に挙げることができる。
アシロキシ基としては、例えば、アセトキシ基や、ベンゾイロキシ基等を好適に挙げることができる。
ハロゲン基としては、例えば、塩素原子や、臭素原子、フッ素原子等を好適に挙げることができる。
ケトキシメート基としては、例えば、アセトキシメート基や、ジメチルケトキシメート基等を好適に挙げることができる。
アルケニルオキシ基におけるアルケニル基としては、前記アルキル基に対応するアルケニル基を好適に挙げることができる。
【0011】
としての炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖でも分岐したものでも良い。このようなアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等を好適に挙げることができる。
アリール基としては、例えばフェニル基等が好適に挙げられる。
アラルキル基は、アルキル基の水素原子が、アリール基によって置換された構造を有する基であり、アルキル基及びアリール基の範囲は、前記の通りである。
シリル基含有ビニル系樹脂は、例えば、式(3)、
(X)(R(3−P)Si−H
〔式中、X、R及びPは、前記式(2)と同じ意味である。〕で示されるヒドロシラン化合物と、炭素−炭素二重結合を有するビニル系樹脂とを常法に従って、反応させることにより製造することができる。
このようなヒドロシラン化合物としては、例えば、メチルジクロロヒドロシランや、メチルジエトキシヒドロシラン、メチルジアセトキシヒドロシラン等が代表的なものとして挙げられる。ヒドロシラン化合物の使用量は、ビニル系樹脂中に含まれる炭素−炭素二重結合1モル量に対し、0.5〜2モル量が適当である。
【0012】
上記のビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸や、イタコン酸、フマル酸等のカルボン酸又は無水マレイン酸等の酸無水物を必須ビニル系モノマーとして含有し、更に、(メタ)アクリル酸メチルや、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等からなる群から選ばれるビニル系モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の重合性光安定剤;2−ヒドロキシ−4−((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン等の重合性紫外線吸収剤の共重合体等が好適に挙げられるが、共重合体製造時に、(メタ)アクリル酸アリールや、ジアリールフタレート等をラジカル共重合させることにより、ビニル系樹脂中にヒドロシリル化反応させるための炭素−炭素二重結合の導入が可能となる。
【0013】
なお、前述のカルボン酸又は酸無水物は、共重合体の構成モノマー中に、得られるビニル系樹脂の酸価が、30〜150mgKOH/g、好ましくは、35〜80mgKOH/gとなるように含有させる必要がある。酸価が、前記範囲より小さいと、得られる水分散液の貯蔵安定性が悪くなり、逆に大きいと、得られる塗膜の耐水性、耐熱水性が悪くなるので、いずれも好ましくない。
また、前記のシリル基含有ビニル系樹脂の、その他製造方法としては、前述のカルボン酸又は酸無水物を含むビニル系モノマー及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等の水酸基含有モノマーと、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランや、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン等のシリル基含有ビニル化合物とをラジカル重合させる方法もある。これらシリル基含有ビニル系樹脂の具体例としては、例えば、市販品として鐘淵化学工業社製のカネカゼムラック等が挙げられる。
【0014】
(c)成分
(c)成分は、ビニル系樹脂の末端あるいは側鎖に加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を樹脂1分子中に少なくとも1個、好ましくは、2個以上有し、かつ酸価が0〜25mgKOH/g、好ましくは、5〜15mgKOH/gで、好ましくは、質量平均分子量が、例えば、約10000〜50000、好ましくは、13000〜40000のビニル系樹脂である。
(c)成分は、前記(b)成分と同一の成分及び合成方法で調製することができる。
但し、前述のカルボン酸又は酸無水物は、共重合体の構成モノマー中に、得られるビニル系樹脂の酸価が、0〜25mgKOH/g、好ましくは、5〜15mgKOH/gとなるように含有させる必要がある。酸価が前記範囲より大きいと、得られる塗膜の耐水性、耐熱水性が悪くなるので好ましくない。
(b)及び(c)成分は、(a)成分による塗膜の耐クラック性の悪化を防ぐとともに、耐熱水性及び耐アルカリ性を向上するために用いられるが、酸価の高い(b)成分のみを用いると、塗膜の耐熱水性及び耐アルカリ性の低下し易く、(b)成分の多い領域では、有機無機複合樹脂の粘度が高くなり、塗装作業性に劣るので好ましくない。一方、(b)成分を用いずに(c)成分のみを用いた場合では、得られた有機無機複合樹脂の水への分散性が悪くなり易く、塗料用樹脂としては用い難い。
【0015】
(d)シリカ含有複合樹脂について
本発明で使用される(b)成分及び/又は(c)成分のシリル基含有ビニル系樹脂には、シリカを配合して、シリカ含有複合樹脂(d)とすることができる。シリカを配合する場合には、例えば、前記(b)及び(c)成分の製造を製造する際に、例えば、コロイダルシリカを、複合樹脂中にシリカが5〜25%、好ましくは、7〜20%含有するようにして行われる。この製造時に前記(b)及び/又は(c)成分中のシリル基とコロイダルシリカとが一部反応し複合樹脂(d)が形成される。なお、シリカの割合が、5%未満では、有機無機複合水分散液中でのシリカ含有率が低くなるため、塗膜の初期硬化乾燥性を十分に改善する効果が大きくない。一方、シリカの量が、25%を超える場合には、シリカ複合樹脂の製造がゲル化等の理由により困難となり易く、また有機無機複合水分散液の塗膜の外観不良や、耐水性不良の原因となり易くなる。
シリカ含有複合樹脂(d)成分の割合は、(b)成分及び(c)成分の合計量中、例えば、20〜100質量%、好ましくは、30〜70%配合することが適当である。これにより、(a)成分との加水分解縮合反応により、得られる有機無機複合水分散液の塗膜の初期硬化乾燥性が良くなる。
コロイダルシリカは、シリカ粒子が有機溶剤に分散したものを用いるのが適当である。
【0016】
コロイダルシリカは、通常、シリカ粒子が分散し、通常、平均粒径5〜100μm、好ましくは、10〜30μmのほぼ球状のコロイドタイプと、シリカ粒子が分散した粒子数個が凝集し、太さ5〜20μm、長さ40〜300μm程度で細長い鎖状のコロイドタイプがあり、いずれも使用可能である。コロイダルシリカを分散する有機溶剤としては、例えば、メタノールや、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪酸アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;その他、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル等を好適に挙げることができる。
球状のコロイダルシリカも市販品として、容易に入手することができ、具体例としては、例えば、日産化学工業(株)製のMA−ST−M、IPA−ST、EG−ST、EG−ST−ZL等が挙げられる。
また、細長い鎖状のコロイダルシリカも前述の有機溶剤に分散したものであり、市販品として容易に入手することができ、具体例としては、例えば、日産化学工業(株)製のST−OUP等が挙げられる。
シリカ含有樹脂に使用されるシリカは、塗膜の初期硬化性や、耐汚染性を向上させるために配合するものであり、その配合量は、前記水性塗料組成物の固形分100質量部に対して、固形分換算で0〜20質量部、好ましくは、1〜10質量部が適当である。
【0017】
(a)成分と(b)、(c)、(d)各成分の比率について
(a)成分と(b)成分との混合割合は、前者100質量部に対し、後者は20〜200質量部、好ましくは、30〜100質量部であることが適当である。後者が前記の範囲より少ないと、得られた有機無機複合樹脂の水への分散性が悪くなり、逆に多すぎると、得られる塗膜の耐熱水性及び耐アルカリ性等が悪くなり易くなるので好ましくなく、また、有機無機複合樹脂の粘度が高くなり易く、塗装作業性に劣る結果となる。
(a)成分と(c)成分との混合割合は、前者100質量部に対し、後者は15〜200質量部、好ましくは、30〜100質量部であることが適当である。後者が前記の範囲より少ないと、得られた塗膜の耐熱水性及び耐アルカリ性が悪くなり易く、逆に多すぎると、得られた有機無機複合樹脂の水への分散が悪くなり易くなるので、好ましくない。
また(b)成分及び(c)成分の合計量中、(d)成分は、上記のように、通常、20〜100質量%、好ましくは、30〜70質量%含有するのが適当である。(d)成分が前記範囲より少ないと、塗膜の初期硬化乾燥性が低下する傾向にある。
【0018】
次に、本発明の水性塗料組成物である有機無機複合樹脂水分散液の製造方法について説明する。
まず、前記の(a)成分と、(b)、(c)及び、必要に応じて、(d)成分の混合物を水及び触媒の存在下で加水分解及び縮合反応させる。
水の量は、(a)成分と、(b)、(c)及び、必要に応じて、(d)成分の混合物中に初期に存在していた加水分解性基の45〜100%、好ましくは、50〜90%が加水分解及び縮合反応するのに充分な量であり、具体的には、前記混合物中の加水分解性基1モルに対し、0.4〜1.0倍、好ましくは、0.5〜0.9倍のモル数となる量が適当である。
【0019】
触媒としては、硝酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、蟻酸、プロピオン酸等の有機酸を挙げることができる。触媒の添加量は、前記混合物のpHが3〜6になる量が適当である。加水分解縮合反応は、(a)成分と(b)、(c)及び、必要に応じて、(d)成分の混合物を、水及び触媒の存在下で、例えば、40〜80℃、好ましくは、45〜65℃で、例えば、2〜10時間撹拌しながら反応させる方法が適当であるが、この方法に限定されるものではない。なお、(a)成分と、(b)、(c)及び、必要に応じて、(d)成分混合物中に初期に存在していた加水分解性基の45%以上とするのは、有機無機複合樹脂水分散液(エマルジョン)となった時の貯蔵安定性が良く、また、塗料に用いた時に、透明性の高い塗膜形成が可能なためである。
(a)成分と(b)、(c)及び、必要に応じて、(d)成分の加水分解縮合反応を、前記のように一段階で実施することは可能であるが、生成物の貯蔵安定性の観点から次のような二段階で反応することが好ましい。
【0020】
即ち、第一段階として水及び酸触媒の存在下で、(a)成分と、(b)、(c)及び、必要に応じて、(d)成分の混合物中に初期に存在していた加水分解性基の40〜80%、好ましくは、45〜70%が加水分解縮合反応するように、40〜80℃、好ましくは、45〜65℃で1〜8時間、撹拌しながら反応させる。
第二段階として、第一段階に続いて、更に水及び、トリメトキシボランや、トリエトキシボラン等のトリアルコキシボラン;トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシジ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシビス(アセチルアセテート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等のチタンキレート化合物;モノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム等のアルミニウムキレート化合物などの有機金属化合物触媒を添加し、加水分解及び縮合反応させる。第二段階で添加する水の量は、(a)成分と(b)、(c)及び、必要に応じて、(d)成分の混合物中に初期に存在していた加水分解性基の、例えば、45〜100%、好ましくは、50〜90%が加水分解及び縮合反応するのに充分な量である。
【0021】
第二段階で用いるトリアルコキシボランや、有機金属化合物触媒は、縮合反応を促進し、塗膜の外観や、耐候性、耐汚染性、耐熱水性等を向上させることができる。これら触媒量は、第一段階で得られた反応物と、未反応で残っている前記(a)成分と(b)、(c)及び、必要に応じて、(d)成分の合計量100質量部に対して、0.001〜5質量部、好ましくは、0.005〜2質量部が適当である。第二段階における加水分解縮合反応は、第一段階と同様に、例えば、40〜80℃で2〜5時間反応させるのが適当である。なお、加水分解縮合反応物は、その反応で生成するアルコール分により、又はそのアルコール分と必要に応じて添加した後記する有機溶媒とにより、溶液状態となっている。
このようにして得られた反応物である有機無機複合樹脂の溶液に、中和剤を加え、均一に分散させ、中和した後、水を加えるか、もしくは中和剤と水とを同時に加え、攪拌することにより強制分散させ、本発明の塗料組成物である水分散液(エマルジョン)を得る。
【0022】
中和剤の量は、安定なエマルジョンが得られる様に、反応物である有機無機複合樹脂中の酸基の、例えば、50〜100%、好ましくは、60〜90%を中和する量が適当である。中和剤としては、例えば、トリエチルアミンや、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モルホリン等が代表的なものとして挙げられる。
水の量は、塗料の塗装作業性等を考慮して任意に決定されるが、通常塗料組成物の固形分が、例えば、10〜70質量%、好ましくは、20〜50%になる程度の量が適当である。
このようにして得られた有機無機複合樹脂水分散液には、前述の加水分解縮合反応によりアルコール分が生成し、これが水分散液中に残っている。従って、その水分散液を、そのまま塗料組成物として使用すると、揮発性有機成分(VOC)が多くなるので、常法に従ってアルコール分を減圧下で除去してもよい。
本発明の水性塗料組成物は、硬化剤としてアミノ基含有化合物、エポキシ基含有化合物、金属化合物などを1種又は複数用いることができる。
【0023】
硬化剤としては、例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−シクロへキシル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロぺニルオキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイミノオキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリイソプロぺニルオキシシランとグリシドールとの付加物などのエポキシ基含有化合物などが使用可能である。
【0024】
塗料組成物の貯蔵安定性や、塗装作業性を良くするために、例えば、水や、有機溶媒、充填剤、染料、更には、硬化促進剤や、増粘剤、顔料分散剤等の各種添加剤などを配合しても良い。
このような有機溶媒としては、例えば、メタノールや、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の親水性有機溶媒や、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の疎水性の各種塗料用有機溶媒との混合有機溶媒が使用可能である。これら有機溶媒は、前述の水分散液の製造時において、反応が均質に生じるように溶媒として配合することも可能である。有機溶媒の配合量は、塗料組成物中、例えば、0〜20質量%、好ましく、は0〜10質量%が適当である。
【0025】
前記充填材としては、タルクや、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ、リトポン等の各種塗料用体質顔料や、着色顔料が使用可能である。充填材の配合量は、塗料組成物の固形分中、例えば、0〜70質量%、好ましくは、0〜50質量%が適当である。
前記硬化促進剤としては、オクチル酸スズや、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、トリブチルスズラウレート等の有機スズ化合物や、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペリジン、フェニレンジアミン、トリエチルアミンなどのアミン化合物等が代表的なものとして挙げられるが、特に有機スズ化合物が有効である。
本発明の塗料組成物は、被塗物表面に刷毛、スプレー、ロール、ディッピングなどの塗装手段により塗装し、常温もしくは300℃以下の温度で焼付けることにより硬化塗膜を形成することが可能である。なお、被塗物としては、無機窯業基材や、ステンレス、アルミニウム等の各種金属基材、ガラス基材、プラスチック基材、紙基材などの各種被塗物に使用可能である。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
なお、実施例中「部」、「%」は、特に断らない限り、質量基準で示す。
(b)シリル基含有ビニル系樹脂溶液(イ)の調製
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、エチレングリコールモノブチルエーテル50部と、n−ブタノール50部とを加え、撹拌しながら100℃に加温した。
次に、イソブチルメタクリレート50部、2−エチルヘキシルメタクリレート31.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10部、アクリル酸8.5部と、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート2.5部の混合溶液を、100℃で3時間かけて滴下し、その後105℃に昇温し、2時間維持し、反応を終了させた。得られたシリル基含有ビニル系樹脂溶液(イ)は、固形分濃度50%で、樹脂の酸価は65mgKOH/g、質量平均分子量は25000であった。
【0027】
(d−1)シリカ含有複合シリル基含有ビニル系樹脂溶液(ロ)の調製
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、エチレングリコールモノブチルエーテル50部と、n−ブタノール30部及びイソプロパノール分散コロイダルシリカ(IPA−ST:日産化学製)80部とを加え、撹拌しながら80℃に加温した。次に、イソブチルメタクリレート50部、2−エチルヘキシルメタクリレート31.5部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン8.5部、アクリル酸10部、及び2, 2’−アゾビスイソブチロニトリル2.5部の混合溶液を、80℃で3時間かけて滴下し、その後85℃に昇温し、4時間維持し、反応を終了させた。得られたシリカ含有複合シリル基含有ビニル系樹脂溶液(ロ)(樹脂固形分に対するシリカの含有量は19質量%)は、固形分濃度50%で、樹脂の酸価62mgKOH/g、質量平均分子量30000であった。
【0028】
(c)シリル基含有ビニル系樹脂溶液(ハ)の調製
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、エチレングリコールモノブチルエーテル50部と、n−ブタノール50部とを加え、撹拌しながら100℃に加温した。
次に、イソブチルメタクリレート45部、2−エチルヘキシルメタクリレート30部、メチルメタクリレート15部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン8.5部、アクリル酸1.5部、及びt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート2.5部の混合溶液を、100℃で3時間かけて滴下し、その後105℃に昇温し、2時間維持し、反応を終了させた。得られたシリル基含有ビニル系樹脂溶液(ハ)は、固形分濃度50%で、樹脂の酸価11mgKOH/g、質量平均分子量27000であった。
【0029】
(d−2)シリカ含有複合シリル基含有ビニル系樹脂溶液(ニ)の調製
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、エチレングリコールモノブチルエーテル50部、n−ブタノール30部、及びイソプロパノール分散コロイダルシリカ(IPA−ST:日産化学製)80部を加え、撹拌しながら80℃に加温した。次に、イソブチルメタクリレート50部、2−エチルヘキシルメタクリレート30部、メチルメタクリレート10部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン8.5部、アクリル酸1.5部、及び2, 2’−アゾビスイソブチロニトリル2.5部の混合溶液を、80℃で3時間かけて滴下し、その後85℃に昇温し、4時間維持し、反応を終了させた。得られたシリカ含有複合シリル基含有ビニル系樹脂溶液(ニ)(樹脂固形分に対するシリカの含有量は19質量%)は、固形分濃度50%で、樹脂の酸価9mgKOH/g、質量平均分子量32000であった。
【0030】
有機無機複合樹脂水分散液Aの調製
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、(a)メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(東レ・ダウコーニング(株)製のSR2402;固形分100%)を23部、メチルトリメトキシシランを8部、(b)シリル基含有ビニル系樹脂溶液(イ)を25部、(c)シリル基含有ビニル系樹脂溶液(ハ)を30部、メチルエチルケトンを10部加え、混合した後、イオン交換水3部及び1規定塩酸0.05部を加え、60℃で3時間反応させた。次いで、モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム0.3部及びイオン交換水0.8部を加え、更に65℃で3時間反応させた。次いで、トリエチルアミン1.2部及び水55部を加え、50℃で1時間撹拌した後、減圧(133hPa(100Torr))下、脱溶剤を行った後、水で固形分濃度35%になるように希釈調整を行い、有機無機複合樹脂の水分散液Aを得た。
【0031】
有機無機複合樹脂水分散液Bの調製
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、(a)フェニルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(東レ・ダウコーニング(株)製のDC3074;固形分100%)を25部、メチルトリメトキシシランを8部、(b)シリル基含有ビニル系樹脂溶液(イ)を25部、(d−2)シリカ含有複合シリル基含有ビニル系樹脂溶液(ニ)を50部、及びメチルエチルケトンを10部加え、混合した後、イオン交換水2.2部及び1規定塩酸0.05部を加え、60℃で3時間反応させた。次いで、トリエトキシボラン0.5部及びイオン交換水0.6部を加え、更に60℃で3時間反応させた。次いで、N、N−ジメチルエタノールアミン1.1部及び水60部を加え、50℃で1時間撹拌した後、減圧(133hPa(100Torr))下、脱溶剤を行った後、水で固形分濃度35%になるように希釈調整を行い、有機無機複合樹脂の水分散液B((b)及び(c)成分の質量に対する(d)成分の含有量67質量%)を得た。
【0032】
有機無機複合樹脂水分散液Cの調製
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、(a)メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(東レ・ダウコーニング(株)製のSR2402;固形分100%)を23部、メチルトリメトキシシランを8部、(d−1)シリカ含有複合シリル基含有ビニル系樹脂溶液(ロ)を30部、(d−2)シリカ含有複合シリル基含有ビニル系樹脂溶液(ニ)を40部、メチルエチルケトンを10部、及びイソプロパノールを5部加え、混合した後、イオン交換水3部及び1規定塩酸0.05部を加え、60℃で3時間反応させた。次いで、モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム0.3部及びイオン交換水0.8部を加え、更に65℃で3時間反応させた。次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル5部、N、N−ジメチルエタノールアミン1.2部、水50部を加え、50℃で1時間撹拌した後、減圧(133hPa((100Torr))下、脱溶剤を行った後、水で固形分濃度35%になるように希釈調整を行い、有機無機複合樹脂の水分散液C((b)及び(c)成分の質量に対する(d)成分の含有量100質量%)を得た。
【0033】
有機無機複合樹脂水分散液Dの調製
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、(a)メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(東レ・ダウコーニング(株)製のSR2402;固形分100%)を23部、メチルトリメトキシシランを8部、(b)シリル基含有ビニル系樹脂溶液(イ)を60部、メチルエチルケトンを10部加え、混合した後、イオン交換水3部及び1規定塩酸0.05部を加え、60℃で3時間反応させた。次いで、モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム0.3部及びイオン交換水0.8部を加え、更に65℃で3時間反応させた。次いで、トリエチルアミン2.5部及び水70部を加え、50℃で1時間撹拌した後、減圧(133hPa((100Torr))下、脱溶剤を行った後、水で固形分濃度35%になるように希釈調整を行い、有機無機複合樹脂水分散液Dを得た。
【0034】
有機無機複合樹脂水分散液Eの調製
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、(a)メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(東レ・ダウコーニング(株)製のSR2402;固形分100%)を23部、メチルトリメトキシシランを8部、(c)シリル基含有ビニル系樹脂溶液(ハ)を50部、メチルエチルケトンを10部加え、混合した後、イオン交換水3部及び1規定塩酸0.05部を加え、60℃で3時間反応させた。次いで、モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム0.3部及びイオン交換水0.8部を加え、更に65℃で3時間反応させた。次いで、トリエチルアミン0.45部及び水50部を加え、50℃で1時間撹拌した後、減圧(133hPa((100Torr))下、脱溶剤を行った結果、樹脂の沈殿が生じた。
【0035】
有機無機複合樹脂水分散液Fの調製
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、(a)メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(東レ・ダウコーニング(株)製のSR2402;固形分100%)を2部、メチルトリメトキシシランを1部、(b)シリル基含有ビニル系樹脂溶液(イ)を25部、(c)シリル基含有ビニル系樹脂溶液(ハ)を30部、メチルエチルケトンを10部加え、混合した後、イオン交換水0.4部及び1規定塩酸0.05部を加え、60℃で3時間反応させた。次いで、モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム0.1部及びイオン交換水0.2部を加え、更に65℃で3時間反応させた。次いで、トリエチルアミン1.2部及び水50部を加え、50℃で1時間撹拌した後、減圧(133hPa((100Torr))下、脱溶剤を行った後、水で固形分濃度35%になるように希釈調整を行い、有機無機複合樹脂の水分散液Fを得た。
【0036】
<塗板の作製>
前述の有機無機複合樹脂の各水分散液及び硬化剤を、以下の表1の上段に示す割合で、塗装直前に混合し、塗料組成物を調製した。なお、有機無機複合樹脂水分散液Eは、樹脂成分が分離しており、塗料化はできなかった。
得られた塗料組成物につき、以下の通り塗板を作製し、塗膜外観や、硬度、耐熱水性、耐汚染性、耐候性、耐アルカリ性の各種塗膜性能試験を行い、その結果をそれぞれ表1の下段に示した。
素材として石膏スラグパーライト板(厚さ12mm)を用い、その表面にポリイソシアネートプレポリマー溶液シーラー「Vセラン♯100シーラー」(大日本塗料株式会社製商品名)(酢酸ブチル:キシレン=1:1の溶液で100%希釈)を塗着量が90〜100g/m(wet質量)となるように吹付塗装した。これを100℃で5分間乾燥した。次いで、ベース塗料として、アクリルシリコーン樹脂系塗料「Vセラン♯500エナメル」(大日本塗料株式会社製商品名)(酢酸ブチル:キシレン=1:1の溶液で40%希釈)を塗着量が80〜90g/m(wet質量)となるように吹付塗装した。これを120℃で15分間乾燥した。次いで、表1に示す配合からなる塗料組成物を塗着量が(130±10)g/m(wet質量)となるように吹き付け塗装した。
これを80℃で12分間乾燥した後、室温で更に3日間乾燥し、塗板を作製した。なお、試験方法及び評価は、以下に基づき行った。
【0037】
<塗膜性能試験>
レベリング:レベリングテスター(0.125mm)を用いて、表1の上段に示す配合からなる塗料組成物をガラス板に塗装した後、10分間水平に置き室温乾燥した後、80℃で12分間乾燥し、塗面状態を目視判定した。
塗膜外観:塗板に形成された塗膜の外観を目視判定した。
鉛筆硬度:室温で3日間乾燥したものと1週間乾燥した塗板を、JIS K
5400(8.4.2)により測定した鉛筆硬度。
耐汚染性:室温で3日間乾燥させたものと1週間乾燥した塗板を、赤と黒のマジックインキを塗布し、24時間後にn−ブタノールでぬらした布で拭き取り、除染性を目視で判定した。
◎ ・・・完全除去      ○ ・・・極く軽微な汚染
△ ・・・少し汚染      × ・・・汚染著しい
耐熱水性:塗板を80℃の熱水中に6時間、24時間浸漬した後、塗膜外観の異常を目視で判定した。
○ ・・・変化なし
△ ・・・光沢低下、白化等の軽微な変化あり
× ・・・光沢低下、白化等の変化大
【0038】
耐候性:サンシャインウェザー−オーメーター3000時間後の塗膜の光沢を、光沢計で測定した。
○ ・・・塗膜外観に変化はなく、光沢保持率90%以上
× ・・・塗膜変化が著しく、光沢保持率80%未満
耐アルカリ性:飽和消石灰アルカリ水溶液に塗板を50℃で30日間浸漬後、塗膜表面を目視で評価した。
○・・・変化なし      △・・・塗膜表面若干白濁
【0039】
【表1】塗料組成物の配合と塗膜性能の評価結果
Figure 2004018802
【0040】
上記表1より明らかな通り、本発明の塗料組成物である実施例1〜4は、優れた塗膜性能を有していた。一方、(c)成分のシリル基含有ビニル系樹脂(ハ)を含まない水性塗料組成物である比較例1は、耐熱水性と耐アルカリ性に劣り、またシリカも含まないため、初期汚染性にも劣っていた。
また、(a)成分100質量部に対して、(b)成分及び(c)成分の合計916質量部を含有する水性塗料組成物である比較例2では、全ての塗膜性能が不十分であった。更に、(b)成分のシリル基含有ビニル系樹脂(イ)を含まない有機無機複合樹脂水分散液Eでは、水分散性が悪く、樹脂成分が沈殿した。
【0041】
【発明の効果】
本発明の水性塗料組成物は、耐熱水性や、耐候性、耐汚染性、耐アルカリ性等に優れた塗膜を形成させることができる。

Claims (3)

  1. (a)式(1)、
    Si(OR4−n
    〔式中、Rは、炭素数1〜8の有機基であり、Rは、炭素数1〜5のアルキル基であり、そして、nは、0〜2の整数である。〕
    で示されるシリケート、オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物100質量部と、
    (b)加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有し、かつ酸価が30〜150mgKOH/gのシリル基含有ビニル系樹脂20〜200質量部と、
    (c)加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有し、かつ酸価が0〜25mgKOH/gのシリル基含有ビニル系樹脂20〜200質量部と、
    の加水分解縮合反応物を、中和剤で中和し、水を添加して得られる有機無機複合樹脂水分散液を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
  2. 前記(b)成分及び/又は(c)成分のシリル基含有ビニル系樹脂がシリカを含む複合樹脂(d)である、請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. 前記(b)成分及び(c)成分の合計量中、前記(d)成分を20〜100質量%含有する請求項1又は請求項2に記載の水性塗料組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008239779A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Dainippon Toryo Co Ltd 低汚染性水性被覆組成物及びその被覆物

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