JP2004019409A - 建築物の免震支持装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震の揺れの方向にかかわらず十分な免震作用を得ることができ、しかも所要の震度に達すると免震作用が働き始めるように設定することができる免震支持装置を提供する。
【解決手段】上部が開口する有底の筒状体3内に弾性を有する緩衝部材4、5を備え、同緩衝部材上に、上面に複数の鋼球7を転動可能に支持するボール受け板6を備える基礎側固定部材と、鋼球7の転動によって水平方向に変位できるよう鋼球上に設けられた建築物側固定部材たる支持プレート8とを備え、前記基礎側固定部材と建築物の部材との間に、これら基礎側固定部材と建築物との間の水平方向の変位をばね12の弾発力によって規制する複数のアジャスタ9を設け、このアジャスタの自由長さを調節することによって免震作用が働き始める地震の揺れの大きさを設定できるようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はビルや住宅等の建築物を基礎上に支持するための装置に関し、より詳しくは地震力による建築物への影響をより小ならしめる免震支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
地震による建築物への影響を抑制または制御して建築物の破損を防止する構造には、地震力が建築物に伝わらないようにする免震構造があり、この免震構造は、地盤側の構造物と建築物の本体構造との間に地震のエネルギーを絶縁するアイソレータと呼ばれる部材や機構を備えている。
【0003】
従来から広く採用されているアイソレータとしては、薄いゴムシートと鋼板を交互に積層して接着した積層ゴムアイソレータがあり、この積層ゴムアイソレータでは鉛直方向の荷重(建築物の荷重)に対しては、同荷重によるゴムの水平方向への広がりを鋼板が規制して鉛直方向の変形は抑制されるが、水平方向の力に対してはゴムの弾性により大きく変形することができ、したがって建築物の荷重を十分に支持でき、かつ建築物への地震による水平方向のエネルギーの伝達を確実に遮断することができる。
【0004】
しかし、上述した従来の免震構造では個々の建築物に応じ、また想定される地震の規模に応じて積層ゴムアイソレータの鉛直荷重に対する支持強度や水平応力に対する弾性変形率等の仕様を設計しなければならず、建築物の設計や施工コストが嵩むという問題がある。
【0005】
また、上述した従来の免震構造では直下型地震におけるいわゆる縦揺れによる鉛直方向の地震エネルギーを遮断することができないという問題もある。
【0006】
さらに、上述した従来の免震構造では、免震作用が積層されたゴムや鋼板の寸法や弾性によって決まるので、地震の揺れの大きさに対応させて免震作用を調節することができず、すなわち揺れの小さな地震に対して免震作用を働かせないようにすることはできず、揺れの小さな地震や風によって建築物が揺れると、免震作用によって建築物に緩やかな揺れが長く続くという問題がある。
【0007】
また、地震はその発生後に地盤の変動を伴うケースが非常に多く、この地盤の変動により建築物が不等沈下を生じて傾いてしまうことが往々にしてあるが、従来の免震構造には不等沈下が生じた場合に建築物の沈下修正を行なうことができるようにしたものはない。
【0008】
なお一般住宅用の免震構造として、上面が曲面状に陥凹する下部板と下面が曲面状に陥凹する上部板との間に、上部板と下部板との間が水平方向へ相対的に変位できるよう複数の鋼球を介装してなる免震装置を、コンクリート基礎と住宅の土台との間に配設し、地震の揺れに応じて上部板と下部板との間で鋼球が転動することによって住宅に掛かる地震のエネルギーを抑制するようにしたものがあるが、揺れが大であると鋼球が脱落したり、直下型地震の際における鉛直方向の揺れを抑制することができなかったりという問題があり、十分な免震作用を得ることは期待できない。
【0009】
【目的】
本発明の目的とするところは、地震の揺れの方向にかかわらず十分な免震作用を得ることができ、しかも所要の震度に達すると免震作用が働き始めるように設定することができ、また建築物に不等沈下が生じた場合には建築物の沈下修正を容易かつ正確に行なうことができる免震支持装置を提供することにある。
【0010】
【発明の構成】
上記目的を達成するために、本発明に係る装置は、基礎上に建築物を支承する免震支持装置であって、上部が開口する有底の筒状体内に、上下方向に伸縮可能な弾性を有する緩衝部材を備え、同緩衝部材上に、上面に複数の鋼球を転動可能に支持するボール受け板を備える基礎側固定部材と、鋼球の転動によって水平方向に変位できるよう鋼球上に設けられた建築物側固定部材たる支持プレートとを備え、前記基礎側固定部材と建築物の部材との間に、これら基礎側固定部材と建築物との間の水平方向の変位をばねの弾発力によって規制する複数のアジャスタを設け、このアジャスタは自由長さが調節可能であって、この自由長さを調節することによって免震作用が働き始める地震の揺れの大きさを設定できるようにした構成のものとしてある。
【0011】
また本発明に係る装置は、前記基礎側固定部材と基礎との間に、内周面に巻き方向が互い異なる雌ねじが形成された上下の雌ねじ筒と、これらの雌ねじ筒の各雌ねじに螺合する互いに巻き方向が異なる上下の雄ねじが外周面に形成された雄ねじ体とを備え、この雄ねじ体の外周面における前記上下の雄ねじ間に雄ねじ体を正逆回転させるための回転操作部を有し、この回転操作部を正逆回転させることによって上下の雌ねじ筒が離間または接近して上下方向に伸縮される上下調節機構を介設した構成のものとしてある。
【0012】
【実施例】
以下、本発明に係る免震支持装置の実施例を添付図面に示す具体例に基づいて説明する。
本実施例の装置は、地震による揺れを抑制するための免震機構1と、施工時および沈下修正時に建築物の鉛直方向の位置を調節するための上下調節機構2とを備えている。
【0013】
上記免震機構1は、上部が開口する有底の筒状体3内に緩衝部材たる圧縮コイルばね4と緩衝ゴム5を有し、緩衝部材上にボール受け板6を備えている。
上記緩衝ゴム5は、例えば円柱状に形成した合成ゴムの上面中央に陥凹部5aを設けたものとしてあり、この緩衝ゴム5の外周と筒状体3の内周との間の隙間に前記圧縮コイルばね4を設けてあって、この圧縮コイルばねの自由高さは緩衝ゴムの高さとほぼ同じものとする。
【0014】
また前記ボール受け板6は、図2に示されるように中央孔6aを有するリング状に形成した鋼板の上面に、複数(図2では4つ)の凹部6b、6bを有し、各凹部に鋼球7を転動可能に支持するものとしてあって、外周辺部には鋼球が脱落するのを防止するための立ち上がり縁部6cを設けてあり、ボール受け板6の外径は円筒体3の内径よりも若干小で円筒体の内周面に沿って上下に摺動できるようにしてある。
【0015】
上記ボール受け板6の中央孔6aと、前記緩衝ゴム5の陥凹部5aには、支持プレート8の中央部下面に垂設された円柱部8aが嵌入され、支持プレートは前記鋼球7、7上に支持されている。
なお、緩衝ゴムの陥凹部5aの内径は円柱部8aの外径とほぼ同じであるが、ボール受け板の中央孔6aの内径は円柱部8aの外径よりも十分に大なるものとする。
【0016】
したがって、支持プレート8は円柱部8aが緩衝ゴム5に嵌入してはいるが、緩衝ゴムの弾性力に抗して鋼球7の転動により水平方向に移動できるように設けられている。
【0017】
なお、支持プレート8の下面と筒状体3の上縁部との間は、支持プレート上に建築物からの荷重が掛かった状態で十分な隙間があくようにしてあって、この隙間は地震による鉛直方向の力が掛かった際に想定される前記緩衝部材の鉛直方向の収縮量よりも大とする。
【0018】
前記筒状体3の上部外周には、この筒状体から水平方向に放射状に延びる複数のアジャスタ9、9を備えており、これらのアジャスタは地震の際に筒状体3と建築物との間の水平方向における相対的な移動量を規制するものとしてある。
【0019】
しかしてアジャスタ9は図3に示されるように、一端が開口し他端が閉ざされた円筒状の外筒10と内筒11を備え、外筒内にコイルばね12を収容し、かつ内筒の開口端から或る程度内側にばね受け板13を設け、このばね受け板と外筒の閉ざされた側の端部内面にそれぞれ前記コイルばねの端部を固定してある。
【0020】
なお、上記コイルばね12は圧縮方向と引張り方向のいずれの方向の荷重も受けることができるように各端部が上記ばね受け板13と外筒10に強固に固定され、どちらの方向の荷重に対してもばね定数が同程度であるものを使用する。
【0021】
また、アジャスタ9の両端にはそれぞれ先端にボールジョイント14、15を備えるロッド16、17の基部が取り付けられていて、外筒側のロッド16は基部が外筒の閉塞端部外面に直接固定されており、内筒側のロッド17は外周面に雄ねじ17aが形成されていて、この雄ねじが内筒の閉塞端部にあけた孔の外側に固定されたナット18に螺合して基部が内筒内に臨んでいる。
【0022】
上記ボールジョイントのうち一方のもの、例えば内筒側のロッド17先端のボールジョイント15は、基礎側固定部材たる前記筒状体3の外周面に溶接等によって固定してあり、他方のボールジョイント、例えば外筒側のロッド16先端のボールジョイント14は後述する建築物の土台26側に固定される。
【0023】
前記上下調節機構2は、内周面に雌ねじ部19a、20aをそれぞれ形成した上下の雌ねじ筒19、20と、上下の雄ねじ部21a、21b間に回転操作部22を有する筒体よりなる雄ねじ体21を備え、また、回転操作部22と上下の雌ねじ筒19、20間にロックナット23a、23bを設けてある。
【0024】
上下の雌ねじ筒19、20における各雌ねじ部19a、20aは互いにねじ条の巻き方向が逆向きになっており、かつ雄ねじ体における上下の雄ねじ部21a、21bも互いにねじ条の巻き方向が逆向きになっていて、回転操作部を正逆回転させることによって上下の雌ねじ筒が離間し、または接近して、上下調節機構2全体が伸縮できるようになっている。
【0025】
前記回転操作部22は外周面の横断面形状が六角形状を呈する形状としてあって、前記ロックナット23a、23bと同じ工具で回すことができるようにしてある。
また、前記各雌ねじ部、雄ねじ部、ロックナットの各ねじ条はいずれも耐荷重性の高い角ねじや台形ねじとするのが好適である。
なお、前記上側の雌ねじ筒19における上端部寄りの内側には十字状の補強リブ24を設けてある。
【0026】
上述した構成の上下調節機構2は、上側の雌ねじ筒19の上端が前記免震機構1の筒状体3の下面に溶接にて接続されていて、建築物からの荷重が大である場合には必要に応じて上側の雌ねじ筒19の外側面と筒状体3の下面との間にブラケットを設ける。
【0027】
しかして本実施例に係る装置は、地盤に打設された鋼管杭等の基礎杭25の上端に上下調節機構2における下側の雌ねじ筒20の下端を溶接して取り付け、免震機構1における建築物側固定部材たる支持プレート8の上面に建築物の土台26をボルト・ナット等の止め具27で固定し、また、アジャスタ9の遊端側のボールジョイント14をブラケット28を介して建築物側の部材たる土台26に固定して取り付ける。
なお、免震機構1における支持プレート8以外の構成および上下調節機構2は全て基礎側固定部材である。
【0028】
図1中において、符号29は土台28上に取り付けられた建築物の柱を示し、30は柱の下方における土台の補強材を示す。
【0029】
上述のように構成された本発明の装置は、基礎杭25上において土台26を支承し、より詳しくは土台26から支持プレート8に掛かる建築物の荷重が、鋼球7、7とボール受け板6および円柱部8aを介して圧縮コイルばね4と緩衝ゴム5を備える緩衝部材に掛かり、さらに筒状体3および上下調節機構2を介して基礎杭25に掛かる。
【0030】
上記支持プレート8は、鋼球7、7の転動と緩衝ゴム5の弾性変形によって筒状体3に対して水平方向に変位可能に支持されているが、この水平方向の変位は筒状体3と土台26との間に設けられているアジャスタ9、9により規制される。
【0031】
すなわち、地震によって地盤が水平方向に揺れると、基礎杭25に固定されている上下調節機構2、筒状体3、緩衝部材4、5、ボール受け板6および鋼球7、7は地盤とともに揺れるが、緩衝部材4、5、鋼球7、7およびアジャスタ9、9が揺れを絶縁するアイソレータとして作用し、建築物はその慣性力によって支持プレート8とともに地盤に対して相対的に水平方向に変位するが絶対位置はあまり変化せず、したがって、地盤の揺れは建築物に殆ど伝達されない。
【0032】
なお、アジャスタ9は図1の左右に対向して配設されている場合、一方のアジャスタが伸長すると、他方のアジャスタが収縮して振動を逃がし、またアジャスタは筒状体3とブラケット28に対してそれぞれボールジョイント14、15を介して接続してあるので、基礎杭に対するねじれ方向の揺れにも対応することができる。
【0033】
また、地震による地盤の鉛直方向の揺れは、緩衝部材4、5によって吸収され、建築物に対する衝撃が十分に緩和される。
【0034】
しかして本発明の装置においては、地震による水平方向の揺れの大きさに対し、免震作用を調節できるように構成してある。
すなわち、前記アジャスタ9は内筒側のロッド17を内筒11に対して回動させると、アジャスタ全体の自由長さを調節できるようになっており、このアジャスタの自由長さの設定によって免震作用を調節することができる。
【0035】
より詳しくは、アジャスタ9の自由長さが筒状体3と土台26側のブラケット28間の距離と同じとなるように設定した場合、免震作用は最も大となり、したがって地震による水平方向の揺れが微小であっても建築物は地盤に対して変位し、地震による水平方向の衝撃は建築物に伝達されないが、建築物は地震の揺れが収まっても弱い揺れが長く続く。
【0036】
一方、アジャスタの自由長さが筒状体3と土台26側のブラケット28間の距離に比して大または小となるように設定した場合、アジャスタ9が円筒体と土台とを引き付ける力または押し付ける力が大となり、したがって地震による揺れが所定の大きさを超えないと免震作用が働かず、地震による水平方向の揺れが微小である場合(例えば震度3未満の場合)には建築物は地盤とともに変位して地震による水平方向のエネルギーが建築物に伝達されるが、地震の揺れが収まれば建築物は速やかに揺れが止まり、地震による水平方向の揺れが所定の値(例えば震度3)を超えた場合には、建築物はアジャスタ9のばね力に抗して地盤に対する変位を生じ、地震による水平方向の衝撃が建築物に伝達されず、この地震の衝撃による建築物の損傷が防止される。
【0037】
上述したアジャスタ9の自由長さの調節は、建築物の施工時に建築物の規模や使用目的あるいは地盤の状態に対応して適宜行なうが、建築物の経年変化や地盤の変動に対応して施工後数年経過してから自由長さの設定をやり直すこともできる。
【0038】
なお、上述した構成のアジャスタ9では、地震の揺れが収まっても免震作用による建築物の微小な揺れが残り、この微小な揺れは摩擦によって完全に減衰するまで続くが、このような微小な揺れを迅速に減衰させることが要求される場合には、ダンパ機能を備えるアジャスタを使用し、その一具体例を図4に示す。
【0039】
ダンパ機能を備えるアジャスタ31は、外筒10内に仕切板32を有し、この仕切板32によって外筒内にダンパ室33が形成されていて、仕切板と内筒11のばね受け板13との間にコイルばね12を備え、ばね受け板13に一端が固定されたロッド34のダンパ室内に臨む他端に、ピストン板35が取り付けられ、このピストン板35に複数のオリフィス35aをあけたものとしてある。
【0040】
前記ダンパ室33内には、適宜の流体例えばオイルや窒素ガスあるいはオイルとガスの混合流体が封入され、アジャスタ31の軸方向にアジャスタを伸縮させようとする急激な応力が掛かっても、ピストン板35の移動はオリフィスを通過する流体の量に規制されてアジャスタの急激な伸縮が防止され、また、地震の揺れが収まった後において建築物に残る微小な揺れも、ダンパによって減衰される。
【0041】
ところで、地震は地盤の変動を伴う場合が多く、地震によって建築物に不等沈下が生じ、建築物が傾くというケースが少なくない。
このように建築物に不等沈下した場合、上述のように構成した本発明の装置では上下調節機構2によって容易に沈下修正を行なうことができる。
【0042】
具体的には、各基礎杭25の位置における沈下量を測量して各装置における修正高さを決定し、各装置においてロックナット23a、23bを緩め、回転操作部22を正逆回動させて上下の雌ねじ筒19、20を離間または接近させることにより上下調節機構の長さを所要の修正高さに対応して調節し、ロックナット23a、23bを締めるという簡単な作業で沈下修正を行なうことができ、建築物のジャッキアップ等の煩雑な作業が不要である。
【0043】
上述のように構成した本発明の装置は、建築物の土台26が十字状に交差する部分に、アジャスタ9、9が各土台と平行となるよう筒状体3まわりに四方に設けるのが原則であるが、建築物の外周部においてはアジャスタを四方に設けることができない。したがって、建築物の外周部においては、図5に示されるようにアジャスタを筒状体3まわりに土台に沿って3方向に設ける場合もあるし、火打ち土台と呼ばれる直交する土台間の補強材36にアジャスタの一端を固定する場合もある。
【0044】
図6は本発明に係る装置の他の実施例を示し、上述した第1実施例のものと緩衝部材、支持プレートおよびボール受け板の構成が異なる。
すなわち、第1実施例のものは緩衝部材を圧縮コイルばね4と緩衝ゴム5とで構成しているが、本実施例のものでは圧縮コイルばね37だけでボール受け板38を支持している。この圧縮コイルばね37は同図6では断面円形のものを使用しているが、断面が左右に長い板状を呈するコイルばねを使用する場合もあり、このようなコイルばねを使用するとばね定数すなわち耐荷重を大ならしめることができる。
【0045】
また、第1実施例ではボール受け板6が筒状体3の内周面に沿って上下に摺動できるように構成してあるが、本実施例のものではボール受け板38に下向き外周縁部38aを設け、同周縁部の内周面が筒状体3の外周面に沿ってボール受け板が上下に摺動できるようにしてある。
【0046】
さらに、支持プレート39は下面に陥凹部39aを形成してあり、この陥凹部の曲面が鋼球7、7の上部に接触する構成としてあり、かくすると支持プレート39が水平方向に変位しても常に支持プレートが初期の位置に戻ろうとする復元力が生じ、したがって第1実施例のもののように支持プレートの下面に円柱部を設けて緩衝ゴムに嵌入せしめる必要がない。
【0047】
また、第1実施例のものではアジャスタ9、9の各一端を筒状体3の外周に取り付けてあるが、本実施例のものではボール受け板38の外周に固定してある。なお、アジャスタ9は第1実施例のものと同様に筒状体の外周にその一端を取り付ける場合もある。
【0048】
上述した第1および第2実施例の装置は基礎杭25上に建築物を支持するための構成であるが、本発明の装置はコンクリート基礎上に建築物が支持される例えば一般の戸立て住宅にも適用することができ、その具体例を図7に示す。
【0049】
本実施例の装置は、第1実施例および第2実施例の装置における上下調節機構を設けず、免震機構だけを備えている。
しかして、コンクリート基礎40の上部に、凹部40aを形成し、またこの凹部上における土台26の下部に切り欠き部26aを形成してあって、これら凹部と切り欠き部との間に本実施例の装置を設ける。
【0050】
具体的には、基礎40の凹部中央に防振ゴムシート等よりなる防振部材41を介してボール受け板42を固定してあって、このボール受け板42上の鋼球7、7上に支持プレート39を設けてあり、この支持プレート39を、補強板43を介して土台26に取り付けてある。
【0051】
また、アジャスタ9、9の一端をボール受け板42の外周面に固定してあって、各アジャスタの他端を土台側のブラケットに固定してある。
なお、上記鋼球7および支持プレートの構造は上述した第2実施例のものと同じである。
【0052】
ところで、本実施例の装置は同図7に示されるように土台26を、土台下面とコンクリート基礎40上面との間に適宜の隙間44があくように設けられ、この隙間は前記防振部材41の収縮代と建築物の下部への通風口として作用する。
なお、本実施例の装置では第1および第2実施例のもののように上下調節機構を設ける場合もある。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、地震による揺れによる衝撃が免震機構によって建築物に殆ど伝達せず、地震の揺れによる建築物の損傷を防止することができる。
しかも、アジャスタの自由長さを適宜調節することにより、所定の地震の揺れの大きさ(震度)に対して上記免震作用が働き始めるように設定することができ、したがって微小な揺れの地震に対しては免震作用が働かないようにして、地震が収まった後に、建築物に微小な揺れが続くようなことが防止され、建築物に損傷を与えるような大きさの揺れの場合には地震のエネルギーを十分に減衰して建築物への損傷を防止することができる。
【0054】
また、緩衝部材によって鉛直方向の振動を吸収することができ、直下型地震の際の鉛直方向の揺れに対しても十分な免震作用を得ることができる。
【0055】
さらに、上下調節機構を備えるものでは地震に伴って生じるケースの多い建築物の不等沈下に対し、回転操作部を正逆回動せしめることによって装置の高さを正確に調節することができ、したがって容易かつ正確に沈下修正を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装置の実施例を示す縦断面図。
【図2】ボール受け板の斜視図。
【図3】アジャスタの具体例を示す縦断面図。
【図4】アジャスタの他の例を示す縦断面図。
【図5】本発明に係る装置の施工例を建築物の土台底面から示す図。
【図6】本発明に係る装置の他の実施例を示す縦断面図。
【図7】本発明に係る装置のさらに他の実施例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 免震機構       2 上下調節機構
3 筒状体        4 圧縮コイルばね
5 緩衝ゴム       6 ボール受け板
7 鋼球         8 支持プレート
9 アジャスタ     10 外筒
11 内筒        12 コイルばね
13 ばね受け板     14、15 ボールジョイント
16、17 ロッド    18 ナット
19、20 雌ねじ筒   21 雄ねじ体
22 回転操作部     23a、23b ロックナット
24 補強リブ      25 基礎杭
26 土台        27 止め具
28 ブラケット     29 柱
30 補強材       31 アジャスタ
32 仕切板       33 ダンパ室
34 ロッド       35 ピストン板
36 補強材       37 圧縮コイルばね
38 ボール受け板    39 支持プレート
40 コンクリート基礎  41 防振部材
42 ボール受け板    43 補強板
44 隙間

Claims (2)

  1. 基礎上に建築物を支承する免震支持装置であって、上部が開口する有底の筒状体内に、上下方向に伸縮可能な弾性を有する緩衝部材を備え、同緩衝部材上に、上面に複数の鋼球を転動可能に支持するボール受け板を備える基礎側固定部材と、鋼球の転動によって水平方向に変位できるよう鋼球上に設けられた建築物側固定部材たる支持プレートとを備え、前記基礎側固定部材と建築物の部材との間に、これら基礎側固定部材と建築物との間の水平方向の変位をばねの弾発力によって規制する複数のアジャスタを設け、このアジャスタは自由長さが調節可能であって、この自由長さを調節することによって免震作用が働き始める地震の揺れの大きさを設定できるようにした建築物の免震支持装置。
  2. 前記基礎側固定部材と基礎との間に、内周面に巻き方向が互い異なる雌ねじが形成された上下の雌ねじ筒と、これらの雌ねじ筒の各雌ねじに螺合する互いに巻き方向が異なる上下の雄ねじが外周面に形成された雄ねじ体とを備え、この雄ねじ体の外周面における前記上下の雄ねじ間に雄ねじ体を正逆回転させるための回転操作部を有し、この回転操作部を正逆回転させることによって上下の雌ねじ筒が離間または接近して上下方向に伸縮される上下調節機構を介設してなる請求項1に記載の建築物の免震支持装置。
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