JP2004019571A - エンジンのアイドリング制御装置 - Google Patents

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久保 賢吾
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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
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Abstract

【課題】冷間始動時において触媒を早期に活性化しつつ始動過程で吹き上がる回転速度を速やかにアイドル時の目標回転速度へと収束させる。
【解決手段】排気通路(15)に触媒(16)を備えるエンジンの制御装置において、始動過程で吹き上がる回転速度をアイドル時の目標回転速度に収束させるように点火時期のフィードバック制御を行う点火時期フィードバック制御手段(6、21、22)と、この点火時期のフィードバック制御により点火時期が遅角限界に到達しても回転速度がアイドル時の目標回転速度より高い場合に、点火時期のフィードバック制御を停止し、代わって空燃比のフィードバック制御を行ってアイドル時の目標回転速度に収束させる空燃比フィードバック制御手段(4、21、22)とを備える。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は始動からのエンジンのアイドリング制御装置、特に排気通路に設けた触媒の始動直後の早期暖機処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
始動過程における回転速度のオーバーシュート(吹き上がり)を低減するために、吸気量と点火時期とを同時に調節するアイドリング制御装置がある(特開2001−73848号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ガソリンエンジンにおいて排気通路に設けられる三元触媒は、排気の空燃比が理論空燃比を中心とする狭い範囲(ウインドウといわれる)にあるとき、NOx、CO、HCの各転化効率が最適になるのであるが、三元触媒は温度上昇して活性化してからでないと高い転化率が得られないので、冷間始動直後には三元触媒の入口温度を早期に上昇させる必要がある。
【0004】
その一方で、上記従来装置のように始動過程において吹き上がる回転速度をアイドル時の目標回転速度へと収束させる必要がある。
【0005】
これら2つの要求に鑑み本願の発明者は次の知見を得た。すなわち、その知見とは、低温始動時に排気温度を上昇させるには点火時期を遅角させることが有効であり、始動過程で吹き上がる回転速度がアイドル時の目標回転速度に収束するように点火時期のフィードバック制御を行えば点火時期が遅角側にずれてゆき、この点火時期の遅角で回転速度をアイドル時の目標回転速度へと低下させつつ排気温度を上昇させることができる、というものである。
【0006】
ただし、これですべて解決というわけでなく、点火時期のフィードバック制御により点火時期が遅角してゆくにしても安定限界を超えてまで遅角したのでは、アイドル回転速度が不安定となり運転性に影響する。すなわち、点火時期が遅角限界(安定限界での点火時期)に達した段階で回転速度がアイドル時の目標回転速度より高くてまだ目標回転速度に収束していない場合はどうするのか、という技術的課題が残る。
【0007】
そこで、これに対しては次のようにした。すなわち、点火時期が遅角限界に達した段階で回転速度がアイドル時の目標回転速度より高い場合には、今度は空燃比のフィードバック制御をおこなって吸気量を低減させることにより回転速度をアイドル時の目標回転速度へと収束させる。
【0008】
このように本発明は、始動過程で吹き上がる回転速度がアイドル時の目標回転速度へと収束するように先に点火時期のフィードバック制御を行い、この点火時期フィードバック制御により点火時期が遅角限界に達しても回転速度がアイドル時の目標回転速度より高い場合に、空燃比のフィードバック制御を行って回転速度をアイドル時の目標回転速度へと収束させることにより、冷間始動時において触媒を早期に活性化しつつ始動過程で吹き上がる回転速度を速やかにアイドル時の目標回転速度へと収束させることを目的とする。
【0009】
これに対して上記従来装置は、始動過程に生じる回転速度のオーバーシュートを低減することだけを解決課題とするものに過ぎず、冷間始動時における触媒の早期活性化については一切記載するところがないので、触媒入口温度を上昇させるための点火時期の遅角が不十分である。すなわち、従来装置では回転速度のオーバーシュート分を点火時期の遅角と吸気量の減量とで分け合って抑制する構成であるため、点火時期を遅角限界まで遅角させていないのに吸気量の減量で実回転速度がアイドル時の目標回転速度に収束してしまうと、点火時期はまだ遅角できる余裕があってもそれ以上は点火時期を遅角できなくなってしまい、排気温度の上昇が十分でなく触媒の活性化が遅れるのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、排気通路に触媒を備えるエンジンの制御装置において、始動過程で吹き上がる回転速度をアイドル時の目標回転速度に収束させるように点火時期のフィードバック制御を行う点火時期フィードバック制御手段と、この点火時期のフィードバック制御により点火時期が遅角限界に到達しても回転速度がアイドル時の目標回転速度より高い場合に、点火時期のフィードバック制御を停止し、代わって空燃比のフィードバック制御を行ってアイドル時の目標回転速度に収束させる空燃比フィードバック制御手段とを備える。
【0011】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、始動過程で噴き上がる回転速度をアイドル時の目標回転速度に収束させるため点火時期のフィードバック制御を行うと、この点火時期のフィードバック制御により点火時期が遅角側にずれてゆき、これによって排気温度が上昇して触媒を早期に活性化できる。
【0012】
また、点火時期のフィードバック制御により点火時期が遅角限界に到達した後は、それ以上は点火時期を遅角させないので、アイドル回転速度が不安定とならず運転性に影響することがない。その一方で空燃比のフィードバック制御が行われると、回転速度がアイドル時の目標回転速度に収束する。
【0013】
また、冷間始動直後にはエンジン回転を安定させるため、理論空燃比よりもリッチ側の空燃比の混合気を供給しており、このとき、エンジンアウトでのHC排出量が増すのであるが、上記空燃比のフィードバック制御が行われると、リッチ側にあった空燃比が理論空燃比へとずれていくので、エンジンアウトでのHC排出量を低減することができる。
【0014】
このように、請求項1に記載の発明によれば、冷間始動時において迅速に点火時期を遅角することが可能となり、これにより触媒の早期活性化と、始動過程で吹き上がる回転速度のアイドル時目標回転速度への速やかな収束とを両立させることができ、さらに冷間始動直後のHC排出量も低減できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1において、1はエンジン本体で、各気筒の吸気ポート3に燃料噴射弁4が設けられ、エンジンコントローラ21からの空燃比制御信号により吸気ポート3に燃料を噴射供給する。この場合、燃焼室5に流入する空気と噴射燃料とから燃焼室5内に形成される混合気の空燃比が燃焼可能な空燃比域にあるように燃料噴射弁4からの噴射量が設定されている。
【0016】
燃焼室5の天井には点火プラグ6が設けられ、エンジンコントローラ21からの点火時期制御信号によりピストン8が圧縮上死点に到達する少し手前で点火コイル7の一次電流が遮断され点火プラグ6より火花が飛ぶ。この火花点火により、燃焼室5内の混合気が着火して高温の燃焼ガスとなり、このガス圧でピストン8が強く押し下げられ、ピストン8と連動するクランクシャフト9が回転する。
【0017】
始動時にはスタータモータでクランクシャフト9をクランキングしながら燃料噴射弁4による燃料噴射と点火プラグ6による火花点火とを適切に行うと、クランクシャフト9の回転速度(=エンジン回転速度)はオーバーシュート気味に上昇し(吹き上がり)、ピークをとった後反転してアイドル状態の回転速度へと落ち着く(図2最上段参照)。
【0018】
一方、排気通路15には三元触媒16、17を備える。このうち上流側の三元触媒16は高い排気温度の得られるエンジン出口近くに取付けるため排気マニフォルドと一体に、また下流側の三元触媒17は車両の床下位置に設けられている。これら三元触媒16、17はエンジンからの排気の空燃比が前述したウインドウにあるとき、NOx、CO、HCの転化効率が最適になるのであるが、三元触媒16、17は温度上昇して活性化してからでないと十分な転化率が得られないので、冷間始動直後には特に上流側の三元触媒16の入口温度を早期に上昇させる必要がある。
【0019】
こうした冷間始動直後の上流側三元触媒16の早期昇温への要求を満たすと共に、始動からアイドル状態への移行時(始動過程)に生じる回転速度のオーバーシュートを抑制し、さらには冷間始動直後の燃料増量補正に伴うエンジンアウトでのHC排出量を低減するため、本発明では、始動からのアイドル回転速度のフィードバック制御を行い、その際に点火時期のフィードバック制御と当量比のフィードバック制御(空燃比のフィードバック制御)と吸気量のフィードバック制御の3段階で制御する。すなわち、吸気量を初期状態に保ったまま燃料増量補正を行いつつ、実際の回転速度がアイドル時の目標回転速度(以下単に「目標回転速度」という。)へと収束するように点火時期のフィードバック制御を先に行い、この点火時期のフィードバック制御により点火時期が遅角限界に達した場合において実際の回転速度が目標回転速度より高いときには、点火時期のフィードバック制御を停止し、実際の回転速度が目標回転速度へと収束するように当量比のフィードバック制御を行う。そして、この当量比のフィードバック制御により当量比が理論空燃比相当の1.0に達した場合において実際の回転速度が目標回転則速度より高いときには、当量比のフィードバック制御を停止し、実際の回転速度が目標回転速度へと収束するように吸気量のフィードバック制御を行う。
【0020】
これをさらに図2のモデル図を参照して説明すると、図2はエンジン回転速度Ne、点火時期ADV、目標当量比Tfbya、吸気量についてエンジン冷間始動からの挙動を示している。
【0021】
エンジン回転速度Neは、エンジンの始動と共に急激に上昇し目標回転速度Netを大きく超えてt1のタイミングでピークに達した後、下降に転じる。
【0022】
この場合に、始動直後にNeがピークをとって下降を始めたタイミング(あるいは始動からの経過時間が一定値に達したタイミング)であるt2でNeをNetに収束させるための点火時期のフィードバック制御を開始する。つまり、その時々のNeとNetとの差(偏差△Ne)に応じて点火時期のフィードバック量ADVQを算出し、これで基本点火時期ADV0を補正して点火時期ADV(=ADV0+ADVQ)を求める。NeをNetへと低下させるには点火時期を遅角させてやれば良いので、点火時期ADVはt2のタイミングより遅角側に移動してゆく。
【0023】
なお、ここでの点火時期のフィードバック制御は比例積分制御であり、従って上記のフィードバック量ADVQは比例分PADV(図2第3段目参照)と積分分IADV(図2第4段目参照)の合計である。このため、点火時期ADVはt2のタイミングで比例分PADVによりステップ的に小さくなり、その後は積分分IADVにより一定のスピードで小さくなっている。
【0024】
また、上記の基本点火時期ADV0は冷却水温に応じた値であり、実際には始動からの水温上昇とともに変化する値であるが、簡単のため一定として扱っている(図2第5段目参照)。
【0025】
t2で点火時期フィードバック制御を開始した後、t3で点火時期がリタードリミッタRLMT(遅角限界)に達すると、このRLMTを超えて点火時期を遅角させることはできないので、点火時期フィードバック制御を停止する。
【0026】
ここで、RLMTを設けている理由を説明する。図3のように、横軸に空燃比を縦軸に点火時期を採ったとき、点火時期をこれ以上遅角させると燃焼の安定性が失われる限界、つまりアイドル回転速度が不安定になる限界を安定限界ラインとして引くことができるが(実線参照)、空燃比のバラツキ(例えば燃料噴射弁4の流量バラツキによる)を考慮すると実線で示す安定限界ラインより所定の幅だけ進角側にずらせて引いたライン(一点鎖線参照)を実際の安定限界ラインとしなければならない。従って、始動時の空燃比がわかっていれば、この始動時の空燃比より上に延ばした直線と一点鎖線で示す実際の安定限界ラインとが交わる点の点火時期を読みとれば、それがリタードリミッタRLMTである。ここでは、始動時の目標空燃比を理論空燃比(図では「ストイキ」で表示)としているので(理論空燃比より少しリッチでもかまわない)、同図よりA[°BTDC]の値がリタードリミッタRLMTとなる。
【0027】
図2に戻り、点火時期がRLMTに到達したt3のタイミングではまだNeがNetよりずっと高くNetの許容範囲に収まっていないので、今度は当量比のフィードバック制御を開始する。
【0028】
ここで、始動より従来と同様に目標当量比Tfbyaを演算したとき、これは、理論空燃比相当の1.0に始動後増量補正係数KASと水温増量補正係数KTWを積み重ねた値となる。
【0029】
上記の水温増量補正は、冷間時にエンジン回転を安定させるための燃料増量補正で、KTWの値は冷却水温Twに応じた値である。詳細には、図示のようにKTWの値は、始動時の冷却水温応じた初期値より水温上昇とともに小さくなり、エンジン暖機完了のタイミングでゼロとなる。一方、始動後増量補正は、始動直後のエンジン回転の不安定をなくし、クランキング状態からのつながりをより滑らかにするために行う燃料増量補正である。詳細には、KASの値は、初期値が冷却水温Twに応じて定まり、その初期値よりエンジン回転の経過とともに一定割合で減少してゆき、最後にゼロとなる値である。
【0030】
こうした2つの燃料増量補正により、従来のTfbyaは初期値より比較的急な傾きで直線的に減少し、KASがゼロとなるタイミングよりは緩やかな傾きで直線的に減少し、最終的には1.0にぶつかる、A−B−Cで示す折れ線となるであるが、t3のタイミングからはこうした従来装置による演算を中断し、t3のタイミングでの値であるDを初期値として、NeがNetへと収束するように当量比を減らしてゆく。これによって、同じ空気量に対する燃料量が減ってトルクが減少するので、Neが低下する。
【0031】
t3から目標当量比Tfbyaを減らし続けた結果、目標当量比Tfbyaがt4で理論空燃比相当の1.0に達すると、当量比のフィードバック制御を停止する。このとき、まだNeがNetの近傍に達していなければ、次には吸気量のフィードバック制御を開始する。すなわち、t4よりNeがNetへと低下するように吸気量を減らしてゆく。
【0032】
ここで、t3で点火時期フィードバック制御を停止した後は、点火時期をRLMTに固定する。これはt3以降も点火時期を限界まで遅角した状態に保って排気の昇温を継続するためである。
【0033】
また、t4で当量比フィードバック制御を停止した後は、目標当量比Tfbyaを理論空燃比相当の1.0に固定する。これはt4以降も当量比を理論空燃比相当に保ってエンジンアウトでのHC排出量の低減を継続するためである。この結果、本発明のTfbyaはA−D−E−Cと辿る特性となる。
【0034】
t4からの吸気量の減量によりt5のタイミングでNeがNetの許容範囲に収まる。これでアイドル回転速度のフィードバック制御は目的を果たせたわけであるが、ここでのフィードバック制御は、上流側の三元触媒16の早期活性化をも目的としているので、上流側の三元触媒16の入口温度が活性化温度に達するまで継続する。すなわち、t5以降も点火時期が遅角限界に保たれた状態となり、排気の昇温が継続される。
【0035】
このように、冷間始動時に吸気量は初期状態に固定したまま燃料増量補正を行いつつ、まず点火時期を用いてのアイドル回転速度のフィードバック制御を開始すことで、始動直後よりリタードリミッタにまで点火時期が十分に遅角され、これにより排温が上昇して上流側の三元触媒15が早期に活性化する。
【0036】
また、次には当量比を用いてのアイドル回転速度のフィードバック制御を行うことで、当量比が理論空燃比相当の1.0まで小さくされ、これによりエンジン出口のHC排出量が低減する。
【0037】
また、最後に吸気量を用いてのアイドル回転速度のフィードバック制御を行うことで、点火時期のリタードリミッタを超える過度の遅角や、当量比の1.0を下回る過度の減少を回避して、実回転速度Neを目標回転速度へと収束させることができる。
【0038】
点火時期、当量比、吸気量を用いたこのような3段階のアイドル回転速度のフィードバック制御を行い、また上流側の三元触媒15の活性化後には排気の空燃比がウインドウに収まるように空燃比のフィードバック制御を行うため、コントローラ21には、POSセンサ(ポジションセンサ)22、PHASEセンサ(フェーズセンサ)23からの信号、エアフローメータ24からの吸入空気流量の信号、水温センサ25からのエンジン冷却水温の信号、アクセルセンサ26からのアクセルペダル27の開度信号、Oセンサ28からの排気中の酸素濃度の信号が入力されている。
【0039】
また、吸気通路2にはモータ駆動のスロットル弁制御装置10が設けられ、エンジンコントローラ21からのスロットルモータ信号によりスロットル弁11の駆動(吸気量の調整)が可能となっている。
【0040】
次に、エンジンコントローラ21で実行される始動からのアイドリング制御の内容を、以下のフローチャートにしたがって説明する。
【0041】
まず図4はフィードバック開始フラグを設定するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。ここで、フィードバック開始フラグはこのフラグ=1のとき始動直後のアイドル回転速度のフィードバック制御の開始を指示するものである。
【0042】
ステップ1では水温センサ25からの冷却水温Twを読み込み、ステップ2でこれと暖機完了温度Tdを比較する。TwがTd未満であるとき(エンジン暖機完了前)にはステップ3に進んでエンジン回転速度Neを読み込み、ステップ4でこれと目標回転速度Netを比較する。ここで、NeはPOSセンサ22とPHASEセンサ23からの2つの信号により検出されている。
【0043】
Netはアイドル状態でエンジンが安定して回転し得る回転速度の目標値である。NetはTwに応じTwが低くなるほど高くなる値で設定している。
【0044】
NeがNetを超えているとステップ5に進み、始動から一定時間が経過したかどうかをみる。一定時間は、図2において始動からt2まで経過するのに要する時間である。NeがNetを超えた状態で始動から一定時間が経過していれば、ステップ6に進みフィードバック開始フラグAVFB=1とする(図2第2段目参照)。
【0045】
一方、NeがNet以下にあるときと、NeがNetを超えていても始動からの経過時間が一定時間を経過する前にあるときとはステップ7に進み、フィードバック開始フラグAVFB=0とする。
【0046】
また、TwがTd以上であるときにはホットリスタート時、つまり上流側の三元触媒16は活性状態にあると判断し、このときもステップ2よりステップ7に進んでAVFB=0とする。
【0047】
図5、図6は始動からの点火時期を演算するためのもので、各気筒の基準位置の信号に同期して実行する。
【0048】
ここで、各気筒の基準位置は次のようにして得ている。すなわち、4気筒エンジンで説明すると、PHASEセンサ23は、排気側のカムスプロケットに180°毎に設けた凸部数(No.1気筒について1個、No.2気筒について2個、No.3気筒について3個、No.4気筒について4個)に応じたパルス信号(PHASE信号)を発生する。POSセンサ22は、クランクシャフトに取り付けられたシグナルプレートの歯に応じて10°毎のパルス(POS信号)を発生する(シグナルプレートには一部に歯抜けがある)。これら2つのPHASE信号、POS信号より各気筒の基準位置(例えば110°BTDC)を算出している。
【0049】
ステップ11では水温センサ25からの水温Twを読み込み、このTwの値からステップ12において基本点火時期ADV0[°BTDC]を演算する。ADV0の値はエンジン暖機完了前のエンジン状態に適した点火時期で、Twが低いほど進角側の値となっている。
【0050】
ステップ13ではフィードバック開始フラグをみる。フィードバック開始フラグAVFB=0であるときにはステップ14に進みADV0をそのまま点火時期ADV[°BTDC]として設定する。
【0051】
フィードバック開始フラグAVFB=1のときには点火時期フィードバック制御を行うためステップ13よりステップ15、16に進んでエンジン回転速度Neを読み込み、目標回転速度Netからの偏差ΔNeを、
ΔNe=Net−Ne…(1)
の式により計算する。
【0052】
ステップ17では収束フラグをみる。この収束フラグは、点火時期フィードバック制御中や後述する当量比フィードバック制御中、吸気量フィードバック制御中に、NeがNetの許容範囲に収まったとき収束フラグ=1となるフラグである。点火時期フィードバック制御を開始した直後は収束フラグ=0であるので図6に進み、これに対して収束フラグ=1となればステップ30以降に進む。すなわち、図6はNeがNetの許容範囲に収束する前の制御を、これに対して図5のステップ30以降はNeがNetの許容範囲に収束した後の制御を示している。
【0053】
まず図6から説明すると、ステップ18で偏差ΔNeの絶対値と許容値ε(>0)を比較する。点火時期フィードバック制御を開始した直後はΔNeの絶対値がεを超えているので、ステップ19に進みΔNeに基づいて、
PADV=KPADV×ΔNe…(2)
ただし、KPADV:比例定数(正の値)、
の式により、フィードバック量のうちの比例分PADV[°]を計算する。
【0054】
ステップ20では遅角限界到達フラグをみる。この遅角限界到達フラグは、点火時期がリタードリミッタRLMT[°BTDC]に到達したとき遅角限界到達フラグ=1となるフラグである。点火時期フィードバック制御を開始した直後は遅角限界到達フラグ=0であるので、ステップ21に進みΔNeに基づいて、
IADV=KIADV×ΔNe+IADVz…(3)
ただし、KIADV:積分定数(正の値)、
IADVz:IADVの前回値、
の式により、フィードバック量のうちの積分分IADV[°]を計算する。なお、IADVの初期値はゼロである。
【0055】
ステップ22ではこの積分分IADVと上記の比例分PADVとを足し合わせた値をフィードバック量ADVQ[°]として計算し、ステップ23においてこのADVQの値とADV0−RLMTとを比較する。
【0056】
ここで、リタードリミッタRLMTは、図3で前述したように空燃比のバラツキを考慮した安定限界である。始動時の目標空燃比(=理論空燃比)に対応した安定限界をリタードリミッタとすることで、アイドル運転性を悪化させることなく上流側の三元触媒16の活性化に必要な遅角量を確保することが可能となる。
【0057】
点火時期フィードバック制御は、NeがNetへと収束するように点火時期をADV0より遅角させてゆく制御であり、その遅角量の最大値がADV0−RLMTである。従って、ADVQの値がADV0−RLMT未満であるときにはまだ遅角可能であるのでステップ24に進み、
ADV=ADV0+ADVQ…(4)
の式により点火時期ADVを計算し、今回の処理を終了する。
【0058】
ここで、点火時期フィードバック制御の開始時には図2に示したようにNeがNetより大きく上記(1)式よりΔNeは負の値となるため、ステップ22のADVQは負の値である。ADV0の単位は[°BTDC]つまり圧縮上死点から進角側に計測したクランク角であるので、上記(4)式によりADV0に負の値であるADVQを加えることは、圧縮上死点から進角側に計測するクランク角が小さくなること、つまり点火時期が遅角側に補正されることを意味する。
【0059】
次回よりステップ18〜22の操作を繰り返すと、やがてADVQがADV0−RLMT以上となる。このときには点火時期がRLMTに到達したと判断し、ステップ23よりステップ25に進んで遅角限界到達フラグ=1とした後、ステップ26で点火時期ADVを、
ADV=ADV0+IADVz+PADV…(5)
の式により計算して今回の処理を終了する。
【0060】
(5)式でIADVでなく、前回の値であるIADVzを採用するのは、点火時期がRLMTを超えて遅角側になることを避けるためである。
【0061】
遅角限界到達フラグ=1となったことより、次回にはステップ20よりステップ27に進み、このときにはADVがRLMTに到達したときのIADVをそのまま保持し(IADV=IADVz)、点火時期ADVを、
ADV=ADV0+IADV…(6)
の式により計算する。
【0062】
点火時期がRLMTに到達した(遅角限界到達フラグ=1となった)後は点火時期のフィードバック制御を停止し点火時期をRLMTに固定するが、代わって、後述するように、吸気量のフィードバック制御により吸気量が絞られるため、やがてΔNeの絶対値がε以内に落ち着く。このときには、ステップ18よりステップ29に進んで収束フラグ=1とした後、ステップ27、28の操作を行って今回の処理を終了する。
【0063】
収束フラグ=1となったことより、次回は図5のステップ17よりステップ30に進む。
【0064】
ステップ30では上流側三元触媒16の活性化が完了したかどうかをみる。例えば三元触媒16の入口や三元触媒16に設けた温度センサ(図示しない)により検出される入口温度T1が三元触媒の活性温度Th未満であれば上流側三元触媒16の活性化が完了していないと判断し、ステップ31以降に進む。
【0065】
ステップ31、32では図6のステップ27、28と同じ操作を行って今回の処理を終了する。
【0066】
一方、上流側三元触媒16の活性化が完了すると、フィードバック制御を終了するためステップ30よりステップ33に進みフィードバック開始フラグAVFB=0とするとともに、ADV0をそのまま点火時期ADV[°BTDC]として設定する。これにより次回からは図5のステップ15以降に進むことができない。
【0067】
このようにして演算される点火時期ADVは点火レジスタに移され、現在のクランク角がこの点火時期ADVと一致したとき、点火コイル7の1次側を流れる電流が遮断される。
【0068】
上記の点火時期フィードバック制御により点火時期がRLMTに到達し、この場合にまだNeがNetより高く、許容範囲の上限であるNet+εを下回って許容範囲に収まっていない場合に当量比のフィードバック制御を行う。
【0069】
図7、図8は目標当量比を演算するためのもので、これは一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
【0070】
ステップ41、42、43では、混合比補正係数KMR、始動後増量補正係数KAS及び水温増量補正係数KTWをそれぞれ演算し、ステップ44において
Tfbya0=KMR+KTW+KAS…(7)
の式により目標当量比基本値Tfbya0を演算する。
【0071】
上記の混合比補正係数KMRは1.0を中心とする値で、エンジン回転数Neと基本噴射量Tp(負荷相当)をパラメータするマップ値である。冷間始動直後のアイドル状態やこれに近い負荷域では1.0(理論空燃比相当)である。
【0072】
上記の水温増量補正係数KTWは冷却水温Twに応じた1.0未満の値である。例えば冷却水温Twが低くなるほど大きくなる。
【0073】
上記の始動後増量補正係数KASは、冷却水温Twに応じた値を初期値として始動からのエンジン回転の増加と共に小さくなり、最終的にゼロとなる値である。
【0074】
ステップ45ではフィードバック開始フラグをみる。フィードバック開始フラグAVFB=0であるときにはステップ46に進み目標当量比基本値Tfbya0をそのまま目標当量比Tfbyaとして設定する。
【0075】
フィードバック開始フラグAVFB=1のときにはステップ45よりステップ47、48に進んでエンジン回転速度Neを読み込み、目標回転速度Netからの偏差ΔNeを、上記の(1)式と同様にして計算する。
【0076】
ステップ49では収束フラグをみる。この収束フラグは、当量比フィードバック制御中や前述の点火時期フィードバック制御中、後述する吸気量フィードバック制御中に、NeがNetの許容範囲に収まったとき収束フラグ=1となるフラグである。点火時期フィードバック制御を開始した直後は収束フラグ=0であるので図8に進み、これに対して収束フラグ=1となれば図7のステップ64以降に進む。すなわち、図8はNeがNetの許容範囲に収束する前の制御を、これに対して図7のステップ64以降はNeがNetの許容範囲に収束した後の制御を示している。
【0077】
まず図8から説明すると、ステップ50で偏差ΔNeの絶対値と許容値ε(>0)を比較する。点火時期フィードバック制御を開始した直後はΔNeの絶対値がεを超えているので、ステップ51に進み遅角限界到達フラグをみる。遅角限界到達フラグがゼロであるときには前述の点火時期フィードバック制御が行われるので、ステップ53に進み図7のステップ46と同様に、目標当量比基本値Tfbya0を目標当量比Tfbyaとして設定する。
【0078】
遅角限界到達フラグ=1であるときには当量比フィードバック制御を開始するためステップ51よりステップ52に進み前回にも遅角限界到達フラグ=1であったかどうかをみる。前回は遅角限界到達フラグがゼロであり今回に遅角限界到達フラグ=1であるとき(つまり遅角限界フラグが1となった直後)にはステップ54に進みそのときの目標当量比基本値Tfbya0の値を変数Tfbya1に移した後にステップ55に進む。これに対して前回、今回とも遅角限界到達フラグ=1であるときにはステップ54を飛ばしてステップ55に進む。
【0079】
ステップ55ではストイキ到達フラグをみる。このストイキ到達フラグはゼロに初期設定されているので、当初はステップ56〜61に進み、遅角限界フラグが1となった直後のTfbya0の値(つまりステップ54のTfbya1の値)を初期値として、当量比フィードバック制御を実行する。すなわち、ステップ56ではΔNeに基づいて、
IFE=KIFE×ΔNe+IFEz…(8)
ただし、KIFE:積分定数(正の値)、
IFEz:IFEの前回値、
の式により、フィードバック量としての積分分IFE[無名数]を計算する。なお、IFEの初期値はゼロである。
【0080】
そして、ステップ57ではこの積分分IFEを用いて、
Tfbya1=Tfbya1z+IFE…(9)
ただし、Tfbya1z:Tfbya1の前回値、
の式によりTfbya1を更新し、これと1.0をステップ58において比較する。
【0081】
ここで、点火時期フィードバック制御に続けて当量比フィードバック制御が開始されるときには図2に示したようにNeがNetより大きく上記(1)式よりΔNeは負の値となるため、ステップ54のIFEは負の値である。上記(8)式により、Tfbya1zに負の値であるIFEを加えることは、当量比が小さくなる側に補正されることを意味する。
【0082】
このときのTfbya1が1.0を超えていれば、ステップ59に進んで、このTfbya1を目標当量比Tfbyaとして設定する。
【0083】
次回よりステップ56、57の操作を繰り返すと、Tfbya1が徐々に減少し、やがて1.0未満となる。このときには目標当量比が理論空燃比相当の値である1.0に到達したと判断し、ステップ58よりステップ60に進んでストイキ到達フラグ=1とした後、ステップ61で理論空燃比相当の1.0を目標当量比Tfbyaとして設定する。
【0084】
ストイキ到達フラグ=1となったことより、次回にはステップ55よりステップ61に進み、目標当量比Tfbyaを理論空燃比相当の1.0に保持する。
【0085】
目標当量比Tfbyaが1.0に到達した(ストイキ到達フラグ=1となった)後は当量比のフィードバック制御を停止し目標当量比を理論空燃比相当の1.0に固定するが、代わって、後述するように、吸気量のフィードバック制御により吸気量が絞られるため、やがてΔNeの絶対値がε以内に落ち着く。このときには、ステップ50よりステップ62に進んで収束フラグ=1とした後、ステップ61の操作を行う。
【0086】
収束フラグ=1となったことより、次回は図7のステップ49よりステップ64に進む。
【0087】
ステップ64では上流側三元触媒16の活性化が完了したかどうかをみる。例えば三元触媒16の入口や三元触媒16に設けた温度センサ(図示しない)により検出される入口温度T1が三元触媒の活性温度Th未満であれば上流側三元触媒16の活性化が完了していないと判断し、ステップ65で目標当量比Tfbyaを理論空燃比相当の1.0に維持する。
【0088】
一方、上流側三元触媒16の活性化が完了すると、当量比のフィードバック制御を終了するためステップ64よりステップ66に進みフィードバック開始フラグAVFB=0とした後、ステップ46の操作を実行する。フラグAVFB=0により次回からは図7のステップ47以降に進むことができない。
【0089】
このようにして図7、図8により演算される目標当量比Tfbyaは図示しない燃料噴射量の演算ルーチンにおいて用いられ、
Ti=(Tp×Tfbya+Kathos)×α×2+Ts …(10)
ただし、Tp:基本噴射パルス幅、
Kathos:過渡補正量、
α:空燃比フィードバック補正係数、
Ts:無効パルス幅、
の式により燃料噴射パルス幅Tiが算出される。
【0090】
(10)式の過渡補正量Kathosは吸気ポート壁や吸気弁傘裏部に付着して流れる燃料壁流分の補正値、空燃比フィードバック補正係数αは制御空燃比が理論空燃比を中心とするいわゆるウィンドウに収まるようにOセンサ28の出力に基づいて演算される値、無効噴射パルス幅Tsは燃料噴射弁4が噴射信号を受けてから実際に開弁するまでの作動遅れを補償するための値である。
【0091】
また、(10)式はシーケンシャル噴射(4気筒ではエンジン2回転毎に1回、各気筒の点火順序に合わせて噴射)の場合の式であるため、数字の2が入っている。
【0092】
上記の当量比フィードバック制御により目標当量比が理論空燃比相当の1.0に到達し、この場合にまだNeがNetより高く、許容範囲の上限であるNet+εを下回って許容範囲に収まっていない場合に吸気量フィードバック制御を行う。
【0093】
図9はこの吸気量フィードバック制御に用いる目標スロットル弁開度を演算するためのもので、これは一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
【0094】
ステップ71、72ではフィードバック開始フラグAVFBとストイキ到達フラグをみる。点火時期フィードバック制御の開始前(AVFB=0)や、点火時期フィードバック制御に続く当量比フィードバック制御が行われていても目標当量比が理論空燃比相当の1.0に到達してないとき(ストイキ到達フラグ=0)にはステップ73に進んで目標吸気流量Qt[l/min]に吸気流量初期値Q0[l/min]を入れる。ここで、Q0は、クランキング開始時に吸気通路2を流れる空気の流量を定めるもので、同じエンジンであればこの値が大きいほどクランキング回転速度の上昇(吹き上がり)が急激となる。このためクランキング回転速度の上昇の程度をみてこれが最適となるようにQ0を定めている。
【0095】
AVFB=1かつストイキ限界到達フラグ=1のとき(点火時期フィードバック制御に続く当量比フィードバック制御の途中で目標当量比が理論空燃比相当の1.0に到達したとき)だけ、ステップ74以降に進む。
【0096】
ステップ74、75ではNeを読み込んでNetからの偏差ΔNe(=Net−Ne)を計算し、このΔNeを用いて、
IQA=KIQ×ΔNe+IQAz…(11)
ただし、KIQ:積分定数(正の値)、
IQAz:IQAの前回値、
の式により積分分IQAを計算する。IQAの初期値はゼロである。
【0097】
ステップ77ではこのIQAとQ0とを用いて目標吸気流量Qtを、
Qt=Q0+IQA…(12)
の式により計算する。
【0098】
目標当量比が理論空燃比相当の1.0に到達してしまってこれ以上空燃比をリーン化できないときに、これに代わって吸気のフィードバック制御に移るので、ここでも偏差ΔNeは負の値であり、従って上記(11)式の積分分IQAは負の値となる。このため、(12)式によりQ0に負の値であるIQAを加算することは、吸気流量を減少側に補正することを意味する。
【0099】
ステップ78ではこのようにして求めたQtを目標スロットル弁開口面積に換算し、さらにステップ79においてこの目標スロットル弁開口面積が得られるように目標スロットル弁開度を演算する。
【0100】
このようにして演算された目標スロットル弁開度はスロットルモータへの制御量に変換され、スロットルモータの駆動回路に与えられる。エンジンコントローラ21にはスロットルセンサ29により検出される実際のスロットル弁開度が入力されており、この実際のスロットル弁開度が目標スロットル弁開度と一致するようにスロットルモータを制御する。
【0101】
ここで、本実施形態の作用効果を図2を参照しながら説明する。
【0102】
本実施形態(請求項1に記載の発明)によれば、始動過程で噴き上がるNeを目標回転速度Neへと収束させるためt2よりフィードバック制御が開始される。この場合に、点火時期のフィードバック制御が行われ、この点火時期のフィードバック制御により点火時期が遅角側にずれてゆき(図2第5段目参照)、これによって排気温度が上昇して上流側三元触媒16の温度が上昇する。
【0103】
また、点火時期のフィードバック制御により点火時期が遅角限界であるRLMTに到達した後は、点火時期のフィードバック制御が停止され、点火時期がそれ以上遅角されることはないので、アイドル回転速度が不安定とならず運転性に影響することがない。
【0104】
その一方でt3より当量比のフィードバック制御が行われ、この当量比のフィードバック制御により目標当量比Tfbyaが小さくなってゆき(図2第6段目参照)、これによってエンジンアウトでのHC排出量が減少する。
【0105】
また、当量比のフィードバック制御により目標当量比Tfbyaが理論空燃比相当の1.0に到達した後は、当量比のフィードバック制御が停止され、目標当量比Tfbyaがそれ以上小さくされることはないので、エンジンアウトでのNOx排出量が増加することはない。
【0106】
t4より吸気量のフィードバック制御が行われると、t5でNeがNetに収束する。
【0107】
t3からの点火時期のフィードバック制御の停止後には点火時期が遅角限界に保たれることから(請求項4、5に記載の発明)、排気の昇温が継続され上流側三元触媒16の温度が上昇する。この点火時期の遅角限界への維持はNeがNetの許容範囲に収まった後も続くのであり、これにより排気が上昇しやがて入口側三元触媒16が活性化しうる温度にまで達する。
【0108】
t4からの当量比のフィードバック制御の停止後には目標当量比Tfbyaが理論空燃比相当の1.0に保たれることから(請求項6、7に記載の発明)、エンジンアウトでのHC排出量の低減が継続される。この目標当量比Tfbyaの1.0への維持はNeがNetに収まった後も続くのであり、これにより、従来装置と比較してエンジンアウトでのHC排出量を大幅に減らすことができる(図10最下段において実線と破線で囲まれた面積分のHC排出量を低減できる)。
【0109】
このように、本実施形態によれば、冷間始動時に点火時期のフィードバック制御から始めることで迅速に点火時期を遅角することが可能となり、これにより触媒の早期活性化と、始動過程で吹き上がる回転速度のNetへの速やかな収束とを両立させることができる。
【0110】
実施形態は、点火時期のフィードバック制御を比例積分制御で行うものであるが、これに対して比例制御で行う場合には、本実施形態の場合より排気温度を上昇させることができない。これに対して本実施形態(請求項5に記載の発明)では点火時期のフィードバック制御を比例積分制御とし、遅角限界に達したら比例積分制御を停止して点火時期を遅角限界に保持するので、こうした不利がない。
【0111】
最後に、図5のステップ15、16、17、図6のステップ18、19、21、22、24、29が、請求項1に記載の点火時期フィードバック制御手段の機能を、図7のステップ47、48、49、図8のステップ50、51、52、54、56、57、59、62が、請求項1に記載の空燃比フィードバック制御手段の機能を果たす部分である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の制御システム図。
【図2】エンジン始動からの回転速度、点火時期、目標当量比、吸気量の挙動を示す波形図。
【図3】安定度限界の特性図。
【図4】フィードバック開始フラグの設定を説明するためのフローチャート。
【図5】始動からの点火時期の演算を説明するためのフローチャート。
【図6】始動からの点火時期の演算を説明するためのフローチャート。
【図7】始動からの目標当量比の演算を説明するためのフローチャート。
【図8】始動からの目標当量比の演算を説明するためのフローチャート。
【図9】吸気量フィードバック制御における目標スロットル弁開度の演算を説明するためのフローチャート。
【図10】実施形態と従来装置の作用を示す波形図。
【符号の説明】
4 燃料噴射弁
6 点火プラグ
10 スロットル弁制御装置
15 排気通路
16 上流側三元触媒
21 エンジンコントローラ
22 POSセンサ
23 PHASEセンサ
25 水温センサ

Claims (10)

  1. 排気通路に触媒を備えるエンジンの制御装置において、
    始動過程で吹き上がる回転速度をアイドル時の目標回転速度に収束させるように点火時期のフィードバック制御を行う点火時期フィードバック制御手段と、
    この点火時期のフィードバック制御により点火時期が遅角限界に到達しても回転速度がアイドル時の目標回転速度より高い場合に、点火時期のフィードバック制御を停止し、代わって空燃比のフィードバック制御を行ってアイドル時の目標回転速度に収束させる空燃比フィードバック制御手段と
    を備えることを特徴とするエンジンのアイドリング制御装置。
  2. 空燃比のフィードバック制御により空燃比吸気量が理論空燃比に到達しても回転速度がアイドル時の目標回転速度より高い場合に、空燃比のフィードバック制御を停止し、代わって吸気量のフィードバック制御を行ってアイドル時の目標回転速度に収束させることを特徴とする請求項1に記載のエンジンのアイドリング制御装置。
  3. 点火時期が遅角限界に達するまでの間、空燃比のフィードバック制御を停止していることを特徴とする請求項1に記載のエンジンのアイドリング制御装置。
  4. 点火時期が遅角限界に達したとき点火時期を遅角限界に固定して空燃比のフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1または3に記載のエンジンのアイドリング制御装置。
  5. 点火時期のフィードバック制御を比例積分制御とし、遅角限界に達したとき比例積分制御を停止して点火時期を遅角限界に保持することを特徴とする請求項1または3に記載のエンジンのアイドリング制御装置。
  6. 空燃比が理論空燃比に達したとき空燃比を理論空燃比に固定して吸気量のフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項2に記載のエンジンのアイドリング制御装置。
  7. 空燃比のフィードバック制御を積分制御とし、理論空燃比に達したとき積分制御を停止して空燃比を理論空燃比に保持することを特徴とする請求項2に記載のエンジンのアイドリング制御装置。
  8. 吸気量のフィードバック制御を積分制御とすることを特徴とする請求項2、6、7のいずれか一つに記載のエンジンのアイドリング制御装置。
  9. 点火時期の遅角限界はアイドル回転速度を維持できる安定限界に設定することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載のエンジンのアイドリング制御装置。
  10. 点火時期の遅角限界はアイドル時の目標空燃比に応じて設定される安定限界に設定することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載のエンジンのアイドリング制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009002165A (ja) * 2007-06-19 2009-01-08 Toyota Motor Corp 内燃機関の制御装置
JP2009030482A (ja) * 2007-07-25 2009-02-12 Toyota Motor Corp 車両用内燃機関の制御装置
JP2009085123A (ja) * 2007-10-01 2009-04-23 Toyota Motor Corp 内燃機関の制御装置
CN117552872A (zh) * 2023-10-27 2024-02-13 东风商用车有限公司 基于远程油门开关的车辆控制方法、系统、车辆及介质

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