JP2004067904A - インクジェット記録用インク、インクセット及びその製造方法、並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録用インク、インクセット及びその製造方法、並びにインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高印字品質であり、吐出が安定であって、装置負荷が小さいインクジェット記録用インク、インクセットおよびその製造方法、並びにインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】本発明のインクジェット記録用インクは統計的にみて顔料粒子の長軸と短軸の比(σ)が2以下であり、本発明のインクジェット記録用インクセットは、20℃における200S−1のシアレートでの、インクの粘度(η)を用いて、η(1−n(σ−1))の値が複数色のインクで±5%以内である。本発明のインクジェット記録用インクセットの製造方法は、特定温度における特定シアレートで測定したときの、η(1−n(σ−1))の値が複数色のインクで±5%以内であるように調整する。また、本発明のインクジェト記録装置は前述のインクジェット記録用インクを用い、駆動方式が電歪素子およびサーマル方式によるヘッドによる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は安定な吐出状態を得るためのインクジェット記録用インク、インクセット及びその製造方法、並びにインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インクジェット記録は、微細なノズルからインクを小滴として吐出して、文字や図形を被記録体表面に記録する方法である。インクジェット記録方式としては電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換して、ノズルヘッド部分に貯えたインクを断続的に吐出して被記録体表面に文字や記号を記録する方法、ノズルヘッド部分に貯えたインクを吐出部分に極近い一部を急速に加熱して泡を発生させて、その泡による体積膨張で断続的に吐出して、被記録体表面に文字や記号を記録する方法などが実用化されている。
【0003】
このようなインクジェット記録に用いられるインクには、吐出が安定に行うことができるという特性が要求されている。インクジェット記録用インクには染料インクと顔料インクが用いられるが、染料インクは直接染料、酸性染料あるいは塩基性染料などが用いられるので、水溶性のインクジェット記録インクでは水に均一に溶解しほぼニュートン流体であるため粘度はせん断力依存性がなく特別な配慮は必要なかった。また、黒インクにのみ顔料インクを用いたものも検討されているが、この場合浸透を押さえて紙などの媒体の上で乾燥することでよいので顔料濃度が2〜3重量%程度しかなく、ほぼニュートン流体であるとしても問題なく粘度に関しては特別な配慮は必要なかった。しかし、このような浸透を押さえる場合は乾燥に時間がかかり高速印字には向かない。また、同時に印刷されると他の色との境界で混色が生じ印字品質や画質が低下するという課題を有していた。
【0004】
従って、特に問題になるのは、浸透速度を確保して顔料や高分子微粒子などの添加量をある程度多くした場合には、インクの吐出部分での粘度と供給部分での粘度に差を生じて安定な吐出のために特別な機構や電気回路等が必要となり、装置負荷が非常に高くなってしまうということである。
【0005】
また、従来の技術ではインクの紙に対する浸透性が低く、紙の表面でぬれを抑える方法では普通紙、特に近年多用される再生紙に対しては滲んでしまう。また、印字の乾燥に時間がかかるため連続印字したときに、印字した紙上のインクが乾きにくく、すぐに次の印字物を重ねることができないという課題を有する。さらに、多色の印字の場合隣り合った色が混ざり合って文字がにじんでしまうという課題を有していた。
【0006】
さらに、再生紙は様々な紙の成分が混じっていて、その浸透速度が異なるものの集合体であるため、それらの浸透速度の差によってにじみやすい。そのにじみを低減するため、一般的に紙を加熱する方式などが検討されている。しかし、印字するときに紙その他の被印字物を加熱すると、装置中の加熱部の所定温度までの立ち上げるのに時間がかかったり、装置本体の消費電力が大きくなったり、あるいは紙その他の被印字物にダメージを与えたりするという課題がある。
【0007】
そして、顔料を用いたインクでは被記録媒体として通常のサイズ剤を有する紙等に印字する場合、そのインクにある程度浸透性を付与しないと顔料が紙等の表面に残り、耐擦過性が悪くなるという課題もある。さらに従来のようにインクの表面張力が高いと、均一な印字を行なうためには紙種が制限され、印字画像の低下を引き起こしやすい。そのために、浸透速度を速くして顔料等の添加量を多くすることが考えられるが、浸透速度を速くして顔料や高分子微粒子などの添加量をある程度多くした場合には、インクの吐出部分での粘度と供給部分での粘度に差を生じて安定な吐出のために特別な機構電気回路等が必要となり、装置負荷が非常に高くなってしまうという課題を有する。
【0008】
そこで本発明はこのような課題を解決するもので、その目的とするところは、高印字品質であり、インクジェット記録用インクとしては吐出が安定であって、装置負荷が小さいインクジェット記録用インクおよびその製造方法、インクジェット記録用インクセットおよびその製造方法、並びにインクジェット記録装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット記録用インクは顔料を含有するインクにおいて、統計的にみて顔料粒子の長軸と短軸の比(σ)が2以下であることを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録用インクは、ジェットミルまたはナノマイザーを用いた非メディア分散で調製されることを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録用インクセットは複数色の本発明のインクを有するインクセットであって、20℃における200S−1のシアレートで測定したときの、該複数色のインクの粘度(η)から算出される、η(1−n(σ−1))(nは10S−1のシアレートで測定したときの粘度ηと1000S−1のシアレートで測定したときの粘度ηを用いて(η−η)/ηで示す係数であり、0.1≧n)の値が該複数色のインクで±5%以内であることを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録用インクセットの製造方法は、複数色の本発明のインクを有するインクセットの製造方法であって、特定温度における特定シアレートで測定したときの、該複数色のインクの粘度(η)から算出される、η(1−n(σ−1))(nは0.1≧n)の値が該複数色のインクで±5%以内であるように調整することを特徴とする。
また、本発明のインクジェト記録装置は前述のインクジェット記録用インクまたはインクセットを具備し、駆動方式が電歪素子方式またはサーマル方式によるヘッドによりインク液滴を記録媒体に付着させるインクジェット記録を行なうことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、インクジェット記録に用いられるインクに顔料等の粒子状の色剤を用いた場合および顔料と高分子微粒子を用いたインクジェットインクにおいて、インクジェット記録が安定に行なえるように鋭意検討したものである。
【0011】
本発明によるインクジェット記録用インクは顔料を含有するインクにおいて、統計的にみて顔料粒子の長軸と短軸の比(σ)が2以下であることを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録用インクセットは複数色の本発明のインクを有するインクセットであって、20℃における200S−1のシアレートで測定したときの、該複数色のインクの粘度(η)から算出される、η(1−n(σ−1))(nは10S−1のシアレートで測定したときの粘度ηと1000S−1のシアレートで測定したときの粘度ηを用いて(η−η)/ηで示す係数であり、0.1≧n)の値が該複数色のインクで±5%以内であることを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録用インクセットの製造方法は、複数色の本発明のインクを有するインクセットの製造方法であって、特定温度における特定シアレートで測定したときの、該複数色のインクの粘度(η)から算出される、η(1−n(σ−1))(nは0.1≧n)の値が該複数色のインクで±5%以内であるように調整することを特徴とする。
また、本発明のインクジェト記録装置は前述のインクジェット記録用インクまたはインクセットを具備し、駆動方式が電歪素子方式またはサーマル方式によるヘッドによりインク液滴を記録媒体に付着させるインクジェット記録を行なうことを特徴とする。
【0012】
本発明において顔料の粒径が統計的にみた平均値で10nm〜200nmであることが好ましい。10nm未満では顔料が小さいため、紙等の空隙に浸透して発色性が低下する。また、200nmを超えるとインクジェットに好適な粘度で沈降しやすくなるので好ましくない。より好ましくは50nm〜150nm、さらに好ましくは70nmから110nmである。
【0013】
前述の統計的にみる方法が走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)であることを特徴とする。顔料等の粒子状の物質の場合、光学的に観察する手段があるが、光学的方法では粒子の形状を把握することが難しい。走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)の写真により判定されるが、少なくとも10個以上の粒子について判断することがよい。また、これらは2次元的に表現されるが、長軸と短軸の比が平均で上記範囲にあることが好ましい。長軸をX軸とし、Y軸またはZ軸のいずれか小さい方を短軸とする。粒子は3次元的に存在しているので、XYZ軸を用いて表現すると最も長い部分(X軸)と最も短い部分(Y軸またはZ軸のいずれか小さい方)を比較することがさらによい。
【0014】
前述の顔料がカーボンブラックおよび/または有機顔料である。インクジェット用顔料として好ましいのは、密度が2以下であるカーボンブラックおよび有機顔料である。また、インクジェット用としては吐出安定性の観点から粘度が2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましい。2mPa・s未満では上述のような制限は必要ない。また、10mPa・sを超えても上述のような制限は必要ない。そして、表面張力が40mN/m以下であることを特徴とする。表面張力が40mN/mを超えると紙への浸透性が低下してにじみやすく、ドットが小さくなり、多くのインクを用いないと線幅がでなくなる。また、多くのインクを用いるとさらににじみやすくなる。より好ましくは35mN/m以下であり、さらに好ましくは33mN/m以下である。
【0015】
前述の顔料が分散剤なしに水に溶解または分散されていても、ポリマーにより水に溶解または分散されていても適用できる。ポリマーにより水に溶解または分散する場合は、ポリマーで顔料を被覆したマイクロカプセル型が保存安定性、発色性等の観点から好ましい。また、前述の顔料が非メディア分散で作成されることを特徴とする。メディア分散であると、不純物が混入しやすくなり、顔料粒子の形状が球形になりにくいため非メディア分散が好ましい。また、前述の非メディア分散がナノマイザーまたはジェットミルによることが好ましい。ナノマイザーまたはジェットミルにより粒子の形状が球形に近くなり、構造粘性を生じにくくなる。また、形状が球形に近いと表面積が小さくなるので酸化しにくくなり、印字物の堅牢性が向上するので好ましい。
【0016】
また、本発明のインクジェット記録用インクセットは複数色の本発明のインクを有するインクセットであって、20℃における200S−1のシアレートで測定したときの、該複数色のインクの粘度(η)から算出される、η(1−n(σ−1))(nは10S−1のシアレートで測定したときの粘度ηと1000S−1のシアレートで測定したときの粘度ηを用いて(η−η)/ηで示す係数であり、0.1≧n)の値が該複数色のインクで±5%以内であることを特徴とする。単一の粘度ではなく、シアレートを変えて測定した粘度と粒子形状を考慮したη(1−n(σ−1))の差を5%以下とすることで、インクジェット用インクとして、色毎に吐出量が均一になる。この値はなるべく小さい方が好ましいので、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下がよい。逆にこの値をそろえるようにすることで色毎に吐出量が均一になる。
さらに、本発明のインクジェット記録用インクセットの製造方法は複数色の本発明のインクを有するインクセットの製造方法であって、特定温度における特定シアレートで測定したときの、該複数色のインクの粘度(η)から算出される、η(1−n(σ−1))(nは0.1≧n)の値が該複数色のインクで±5%以内であるように調整することを特徴とする。好ましくは限りなく0%に近づくように調整することが好ましい。この場合、前述の特定温度が5℃〜50℃であり、前述の特定シアレートが0.1S−1〜10−1であることが好ましい。前述のようにσは1(球状体)以上の値であるが2以下が好ましく、そのときにnは0.1以下であることが好ましい。0.1を超えると構造粘性の影響によりインクのノズルからの吐出が悪くなる。また、このようにして求めた各色毎の粘度差は±5%以下であることでインクの吐出量がほぼ均一になる。
【0017】
また、本発明のインクジェット記録装置は前述のインクジェット記録用インクまたはインクセットを具備し、駆動方式が電歪素子方式またはサーマル方式によるヘッドによりインク液滴を記録媒体に付着させるインクジェット記録を行なうことを特徴とする。このように本発明は電歪素子方式のヘッドとサーマル方式のヘッド両方に適用できる。
【0018】
本発明においては高分子微粒子を顔料分散体と同時に用いることもできる。本発明においては高分子微粒子からなる水溶性のエマルジョンを添加することもできる。その添加量は0.1重量%(以下単に「%」とする。)以上10%以下である。0.1%未満では耐擦性の向上の効果が少なく、10%を越えるとインクの粘度が上昇してインクジェット記録用インクとしては使用しにくくなる。高分子微粒子を分散したエマルジョンを形成する物質として、スチレン、テトラヒドロフルフリルアクリレートおよびブチルメタクリレートの他に(α、2、3または4)−アルキルスチレン、(α、2、3または4)−アルコキシスチレン、3、4−ジメチルスチレン、α−フェニルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N、N−ジエチルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他アルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、その他含フッ素、含塩素、含珪素(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリル酸等の1官能の他に架橋構造を導入する場合は(モノ、ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、8−オクタンジオールおよび1、10−デカンジオール等の(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはFのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0019】
このような高分子微粒子を形成するために用いる乳化剤としてはラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸カリの他にアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤および両性界面活性剤を用いることができ、前述のインクに添加することができる界面活性剤類を用いることができる。重合開始剤は過硫酸カリや過硫酸アンモニウムの他に、過流酸水素やアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシドなどを用いることができた。重合のための連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタンの他にn−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド、あるいはジペンテン、インデン、1、4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテンなどを用いることができる。
【0020】
本発明のように顔料や高分子微粒子等の固形物の量が比較的多く用いたインクでは、長い時間吐出しないノズルはノズル前面でインクが乾燥して増粘するため、印字が乱れる現象がでやすい。しかし、インクがノズルの前面で吐出しない程度に微動させることによって、インクが攪拌されてインクの吐出を安定的に行なうことができる。これを行なうためには電歪素子によることが制御しやすい。したがって、この機構を用いて本発明になるインクジェット記録用インクを用いることで、インク中の顔料濃度を多くすることができ、エマルジョン等の泡立ちやすい物質を用いても色濃度を高くしてしかも安定的にインクを吐出することが可能となる。
【0021】
【実施例】
次に本発明を実施例等により説明するが、斯かる実施例等により本発明は何ら制限されるものではない。
【0022】
顔料分散体の製造
まず、分散体1はカーボンブラックであるモナーク880(キャボット製)を用いる。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、α−メチルスチレン5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、アクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル3部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させる。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成する。
上記分散ポリマー溶液40部とナノマイザー(吉田機械工業製)で1時間粉砕処理したカーボンブラックであるモナーク880(キャボット社製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌する。その後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整してから0.3μmのメンブレンフィルターでろ過して固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%の分散体1とする。
上記と同様な手法で分散体2〜4を得る。分散体2はピグメントブルー15:4(クラリアント製)を用いる。分散体3はピグメントレッド122(クラリアント製)を用いる。分散体4はピグメントイエロー180(クラリアント製)を用いる。
【0023】
高分子微粒子Aの製造
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておく。イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、スチレン5部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作成する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、スチレン30部、ブチルメタクリレート15部、ブチルアクリレート16部、メタクリル酸2部、ポリエチレングリコール200ジメタクリレート1部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、アンモニアで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過した高分子微粒子水溶液を作成する。
【0024】
Figure 2004067904
【0025】
Figure 2004067904
【0026】
Figure 2004067904
【0027】
Figure 2004067904
【0028】
Figure 2004067904
【0029】
Figure 2004067904
【0030】
Figure 2004067904
【0031】
Figure 2004067904
【0032】
Figure 2004067904
インク水溶液B中の残量のイオン交換水の中にはインクの腐食防止のためアビシア社(英国)のプロキセルXL−2を0.1%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにエチレンジアミン−4酢酸−2−ナトリウム塩(EDTA)を0.03%添加した。
【0033】
比較例に用いたインクの組成は以下になる。比較例で示す顔料はランダム共重合型スチレンアクリル酸系分散剤を用いて分散させたカーボンブラックを用いた。顔料の平均粒径をnm単位で()中に示す。
<比較例1>
水溶性顔料9(90)            5.0
グリセリン                10.0
分散剤                   3.0
非イオン系界面活性剤            1.0
イオン交換水                 残量
【0034】
<比較例2>
水溶性染料(フードブラック2)       5.5
DEGmME                7.0
ジエチレングリコール           10.0
2−ピロリドン               5.0
イオン交換水                 残量
DEGmME:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
【0035】
<比較例3>
水溶性顔料11(110)          5.5
水溶性染料(フードブラック2)       2.5
ジエチレングリコール           10.0
非イオン系界面活性剤            1.0
イオン交換水                 残量
【0036】
印字評価
表1に印字評価として文字を印字したときのにじみの評価結果を示す。表1中Aはにじみがほとんど目立たず極めてよい、Bはにじみはあるものの目立たずよい、Cは多少にじみがあり悪い、Dはにじみが多く極めて悪いということを示す。
【0037】
【表1】
Figure 2004067904
【0038】
表1の結果から明らかなように比較例で用いるようなインクは印字品質が悪く、本発明で用いるインクジェット記録用インクを用いると印字品質が良好なことが分かる。尚、これらの印字評価の測定はセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンタ−PM−930Cを用いることによって行なった。これらの評価に用いた紙は、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙でConqueror紙、Favorit紙、Modo Copy紙、RapidCopy紙、EPSON EPP紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり紙、Xerox R紙である。
【0039】
σ値の最適化
顔料粒子の長軸と短軸の比σの値と吐出安定性、保存安定性および耐光性の評価結果を表2に示す。σの値は分散した顔料をTEM(透過型電子顕微鏡)で撮った写真の30個のデータの平均値とした。σの値は分散方法を種々変更することによって変えた。吐出安定性はセイコーエプソン株式会社製EM930Cを用いた連続印字安定性として、A4版PPC用紙に15000文字印字して1000ページ以上乱れがないものをA、1000ページで1または2個所印字乱れがあるものをB、2〜10個所印字乱れがあるものをC、印字乱れが10より多くあるものをDとする。保存安定性はインクの状態で70℃7日で粘度変化量が1%未満をA、1〜2%をB、2%を越え5%以下をC、5%を超えるものをDとする。耐光性は東洋精機製キセノンウエザオメーターCi5000で50万ルクス照射したときの色濃度(OD値)の低下率(%)で示した。
【0040】
【表2】
Figure 2004067904
【0041】
表2の結果からわかるようにσの値が2を超えると吐出安定性と保存安定性が低下することがわかる。またσの値が2以下であることで、耐光性が向上することがわかる。
【0042】
η(1−n(σ−1))(nは0.1≧n)値の最適化
分散方法を変えてη(1−n(σ−1))(nは0.1≧n)の値を変えて作成した顔料分散液を用いてインクジェットで印字したときの各色毎の吐出量の変化を表3に示す。実施例1〜4の組み合わせの例を3種および実施例5〜8の組み合わせの例を3種示す。η値は添加しているグリセリンに量を調整することで変化させた。η(1−n(σ−1))はレオメトリックス製粘弾性測定装置RFSIIを用いて測定した粘度と日立製作所製走査型電子顕微鏡(SEM)S4700を用いて測定した写真の30個の粒子について求めたσの値によりもとめて、粘度差(%)として示す。また、実施例1および実施例5のカーボンブラックを用いた分散体を用いたものを基準として、それからずれる吐出量差(%)を示す。表3の判定は吐出量差が基準に対して5%未満をA、5%以上10%未満をB、10%以上15%未満をC、15%以上をDとした。尚、本測定にはセイコーエプソン株式会社製EM930Cを用いた。
【0043】
【表3】
Figure 2004067904
【0044】
表3の結果からわかるようにη(1−n(σ−1))の値が色毎に5%を超えると吐出量が10%以上になることがわかる。またnの値が0.1を超えても吐出量に大きい差が生じることがわかる。さらに、表3の組み合わせ6のようにシアレート200S−1で測定して粘度を一致させても、nやσの値によって吐出量に差が生じることがわかる。吐出量に差が生じるとドットの大きさが色毎に異なってくるので好ましくない。
【0045】
分散方法の最適化
分散方法を種々変えたときのσ値の測定結果、保存安定性および耐光性の結果を表4に示す。表4では実施例1〜4に用いるものと同じカーボンブラック(ブラック)、ピグメントブルー15:4(シアン)、ピグメントレッド122(マゼンタ)、ピグメントイエロー180(イエロー)を用いて同様の方法により分散したものを用いた。また、メディア分散であるビーズミル、サンドミル、バスケットミルを用いる方法では1〜1.5mm径のジルコニアビーズを用いて、色によって最適な条件を見出して各装置のごく標準的な方法により分散した。非メディア分散であるジェットミルとナノマイザーを用いる方法においても、色によって最適な条件を見出して各装置のごく標準的な方法により分散した。尚、表4のσ値、保存安定性および耐光性の評価方法および評価基準も表2に示すと同様の方法による。
【0046】
【表4】
Figure 2004067904
【0047】
表4の結果からわかるように、ジェットミルやナノマーザーを用いることで顔料粒子の長軸と短軸の比であるσ値を2以下にすることができ、さらに不純物も少なくすることができるので、それによって保存安定性や耐光性が向上する。
【0048】
このように、統計的にみて顔料粒子の長軸と短軸の比(σ)が2以下であるようにしてインクジェットインクを作成すること、およびη(1−n(σ−1))(nは0.1≧n)の値を±5%以内にすることで、インクジェットインクとしての特性である、吐出安定性、保存安定性、耐光性などが向上することがわかる。
【0049】
以上のように高印字品質であり、吐出が安定であって、各色毎に特定のヘッドの駆動装置が必要でなく、同一の駆動装置でよいため装置負荷が小さいインクジェット記録用インク、インクセットおよびその製造方法、並びにインクジェット記録装置を提供することができる。
【0050】
尚、本発明はこれらの実施例に限定されると考えるべきではなく、本発明の主旨を逸脱しない限り種々の変更は可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は高印字品質であり、吐出が安定であって、装置負荷が小さいインクジェット記録用インク、インクセットおよびその製造方法、並びにインクジェット記録装置を提供する。

Claims (15)

  1. 顔料を含有するインクにおいて、統計的にみて顔料粒子の長軸と短軸の比(σ)が2以下であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 前記顔料の粒径が統計的にみた平均値で10nm〜200nmである請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. 前記統計的にみる方法が走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用インク。
  4. 前記長軸をX軸とし、Y軸またはZ軸のいずれか小さい方を短軸とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  5. 前記顔料がカーボンブラックおよび/または有機顔料である請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  6. 粘度が2mPa・s以上10mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  7. 表面張力が40mN/m以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  8. 前記顔料が分散剤なしに水に溶解または分散されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  9. 前記顔料がポリマーにより水に溶解または分散されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  10. 前記顔料が非メディア分散されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  11. 前記非メディア分散がナノマイザーまたはジェットミルによることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録用インク。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを複数色有するインクジェット記録用インクセットであって、20℃における200S−1のシアレートで測定したときの、該複数色のインクの粘度(η)から算出される、η(1−n(σ−1))(nは10S−1のシアレートで測定したときの粘度ηと1000S−1のシアレートで測定したときの粘度ηを用いて(η−η)/ηで示す係数であり、0.1≧n)の値が該複数色のインクで±5%以内であることを特徴とする、インクセット。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを複数色有するインクジェット記録用インクセットの製造方法であって、特定温度における特定シアレートで測定したときの、該複数色のインクの粘度(η)から算出される、η(1−n(σ−1))(0.1≧n)の値が該複数色のインクで±5%以内であるように調整することを特徴とする、製造方法。
  14. 前記特定温度が5℃〜50℃であり、前記特定シアレートが0.1S−1〜10−1である請求項13に記載のインクジェット記録用インクの製造方法。
  15. 請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット記録用インクまたは請求項12に記載のインクジェット記録用インクセットを具備し、駆動方式が電歪素子方式またはサーマル方式のヘッドによるインクジェット記録を行なうことを特徴とするインクジェト記録装置。
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