JP2004100669A - 電磁ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁気回路を構成するインナーヨーク52とプランジャ11とを有し、インナーヨークとプランジャとの間の磁気ギャップを電磁力で縮め、弾性体57aにより拡げるようにプランジャ11をシリンダ53内で往復動させる電磁ポンプにおいて、上記プランジャ11の先端面11dとインナーヨーク52の先端面52bとの重なり合う接触面の面積を、プランジャ11の外径円の面積の50%〜5%とした。この構成により消磁したとき弾性体53aでプランジャ11をインナーヨーク52から確実に引き剥がして初期位置に向けて戻すことができる。プランジャ11のポンピングが確実になり、駆動周波数を上げれば、吐出量を増加させることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、電磁ポンプに関し、特に、粘性の高い流体を扱う場合でも周波数を上げて吐出量を増加することができる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
2サイクルのガソリンエンジンでは、ガソリンにオイルを混合した燃料を用いる。そして、ガソリンへのオイルの混入には、電磁ポンプが使用されている。
【0003】
図6は、特開2000−145623号(特許文献1)の図1に記載された電磁ポンプ50の断面図で、(a)は初期状態(通電していない状態)、(b)は吐出終了状態(通電された状態)を示す。
【0004】
磁性体からなる中空で厚肉円筒形状のプランジャ51は、中空部を流路51aとして、非磁性体からなるシリンダ53内を図の左右方向に摺動自在に嵌装されている。流路51aの先端面51bには、テーパ状に面取りされた吸入弁座51cがある。コイルばね53aは、シリンダ53に形成された段差とプランジャ51に設けられた凸部の間に嵌装され、プランジャ51をインナーヨーク52から離反する方向に常時付勢しており、プランジャ51の復帰用の弾性体となっている。
【0005】
インナーヨーク52は、プランジャ51との間に空間56が形成されるように間隔を保って固定されている。プランジャ51の先端面51bとインナーヨーク52の先端面52bとの間の隙間が磁気ギャップとなる。このインナーヨーク52も中空の流路52aを有する厚肉円筒形状であるが、外径がシリンダ53とほぼ同じ径で、内径は吸入弁座51cに接離する球形の吸入弁体54が進入できるように吸入弁体54の径より若干大きい。
【0006】
インナーヨーク52の流路52a内には、段付き孔を有するバルブシート57が圧入固定されている。バルブシート57の小径の孔の出口側には、吐出弁座57bが形成され、太径の孔には吸入弁体54を吸入弁座51cに押圧するコイルばね57aが嵌装されている。
【0007】
吐出弁座57bには、球形の吐出弁体55が接離自在に設けられ、この吐出弁体55を吐出側の弾性体としてのコイルばね57cが吐出弁座57bに向けて圧接している。
【0008】
シリンダ53及びインナーヨーク52の外側には図示しないがコイルがあり、これに通電すると、プランジャ51とインナーヨーク52とが磁気回路を構成し、プランジャ51がシリンダ53内を移動して図6(b)に示すように互いに吸着する。コイルへの通電を遮断すると、コイルばね53aの弾性力によってプランジャ51はインナーヨーク52から離れ、図6(a)の状態に復帰する。
【0009】
このような構成の電磁ポンプ50は、コイルに通電されてプランジャ51が図6(a)の状態から(b)の状態に移行するとき空間56内のオイルが押され、流路52aを経て吐出弁体55を押し開けてオイルが吐出される。図6(b)の状態から(a)の状態に復帰するとき、流路51a内のオイルが吸入弁体54を押し開けて空間56内に流入する。これらの動作を繰り返し、間欠的にオイルは矢印方向に流れる。プランジャ51が1往復して吐出するオイルの量は一定なので、コイルに流すパルス電流の周波数を制御することで、供給するオイルの量を制御することができる。
【0010】
【特許文献1】特開2000−145623号(図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図7は、図6の電磁ポンプについて、駆動周波数とオイル吐出量との関係を示す線図である。縦軸がオイル吐出量Qで、横軸が駆動周波数fHzである。点線61は、プランジャ51の径とストローク量とから算出される理論吐出量を示している。この点線61が示すように、駆動周波数が高くなれば比例してオイルの吐出量が増加する。
【0012】
線62は、電磁ポンプ50を常温で作動させた場合を示す。ここに示すように、常温であれば、ほぼ理論値通りの吐出量となる。
【0013】
しかし、電磁ポンプ50を−10℃以下という低温で作動させると、曲線63のように、駆動周波数が8Hz以下までは点線61で示した理論値とほぼ同じ吐出量になるが、駆動周波数がそれ以上になると、理論値より急激に少なくなっていく。そして、駆動周波数が10Hzを越えると、吐出量が逆に減少してしまう。
【0014】
従来の電磁ポンプ50を50ccの2輪車に使用した場合、要求されるオイル量を確保するには、6,7Hz程度で駆動させれば良かったので、問題は無かった。しかし、125ccの2輪車で使用するには、10Hz乃至はそれ以上まで上げる必要があり、低温環境になると必要なオイル吐出量を確保できなくなってしまうという問題がある。
【0015】
図8は、コイルに流すパルス電流と、プランジャ51の移動状態との関係を示す図である。図8(a)はコイルに流すパルス電流を表し、図8(b)は常温時におけるプランジャ51の往復動状態を示し、図8(c)は低温時の状態を示す。
【0016】
図8(a)〜(c)において、横軸はすべて時間であり、かつ、同じ尺度である。縦軸は(a)では電圧、(b),(c)ではプランジャ51の位置を示している。吐出終了位置は、図6(b)に示すように、プランジャ51がインナーヨーク52に吸着している位置である。初期位置は、図6(a)に示す位置で、電圧が印加されないときプランジャ51がコイルばね53aで押し戻され最もインナーヨーク52から離れた位置である。
【0017】
図8(a)に示すように、コイルには一定の間隔で12Vの電圧がオンオフされ、矩形波が一定の間隔で表れる。矩形波の立ち上がり位置でプランジャ51はインナヨーク52に引き寄せられ始め、矩形波の立ち下がり位置でコイルばね53aによって初期位置に戻り始める。
【0018】
図8(b)に示すように、常温時には、プランジャ51は、(a)の矩形波にほぼ一致して初期位置から吐出終了位置まで移動している。このように常温時には、駆動周波数が上昇してもプランジャ51はほぼ理論値通りの吐出量となる。
【0019】
図8(c)に示すように、−10℃以下の低温時には、最初の矩形波の立ち上がり位置からは少し遅れてプランジャ51が移動し始め、吐出終了位置に達するが、矩形波の立ち下がり位置では大きく遅れてから初期位置に向かって戻り始め、初期位置に戻りきらないうちに、次の矩形波が立ち上がるので、途中から反転して吐出終了位置へと移動する。したがって、プランジャ51は矩形波にならず、三角波になり、ストローク量も少なくなっている。このようになると、駆動周波数が増加するほど三角波の高さが低くなってストローク量は減少し、吐出量が減少する。
【0020】
低温環境でプランジャ51の動きが悪くなる原因は、オイルの粘性が増加するためと考えられる。オイルの粘性が増加するので、プランジャ51の先端面51bがインナーヨーク52の端面に張り付いてしまうからである。
【0021】
これに対し、電磁ポンプ50を大型化して、6,7Hzで所望の吐出量が確保できるようにすればよいのであるが、そうすると、電磁ポンプの製造コストが上がってしまう。また、コイルばね53aを強くしてオイルの粘性に打ち勝って、プランジャ51を速やかに初期位置に戻せるようにする方法も考えられる。しかし、そうすると、今度はプランジャ51とインナーヨーク52との吸着力を上げなければ吸着できなくなる。そのためには、コイルに流す電流を大きくする必要があるが、通常、125cc程度の2輪車の場合、電磁ポンプ50に流せる電流の許容値は0.5〜1.0A程度であり、オイルの粘性に打ち勝つほどの電磁吸引力は得られない。
【0022】
本発明は、このような事実から考えられたもので、低温時のオイルなどの粘性の大きい流体用として使用しても、駆動周波数を上げることによって吐出量を増加することができる電磁ポンプを提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の電磁ポンプは、磁気回路を構成するインナーヨークとプランジャとを有し、インナーヨークとプランジャとの間の磁気ギャップを電磁力で縮め、弾性体により拡げるようにプランジャをシリンダ内で往復動させる電磁ポンプにおいて、上記プランジャの先端面とインナーヨークの先端面との重なり合う接触面の面積を、プランジャの外径円の面積の50%以下としたことを特徴としている。上記接触面の面積が、プランジャの外径円の面積の15〜7%であることが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の電磁ポンプの実施例を示す断面図で、(a)は初期状態、(b)は吐出終了状態を示す。
【0025】
電磁ポンプ10の基本的な構成は従来例で説明したのと同じなので、共通する構成には同じ符号を付し、相違する点を中心に説明する。プランジャ11は磁性体で中空の厚肉円筒からなる基本構造は同じであるが、先端部の構成が相違している。すなわち、中空の流路11aの先端に吸入弁座11bがあり、その外側にテーパ面11cが形成され、このテーパ面11cの外側にインナーヨーク52の先端面52bに当接する先端面11dが形成されている構成である。
【0026】
図2は、プランジャの先端部の斜視図で、(a)は本発明のプランジャ11、(b)は従来例に示したプランジャ51である。プランジャ11,51の外径は共にDで、内径も共にdである。しかし、通電時にインナーヨーク52の先端面52bと当接する接触面は、従来のプランジャ51では、ハッチングをした部分で、これは、先端面51bの外径を接触面の外径とし、インナーヨーク52の流路52a径を接触面の内径とする環状部分で、先端面51bの全面積より若干少ない。これに対し、本発明のプランジャ11では、ハッチングをした先端面11dは、吸入弁座11bとの間にテーパ面11cがあるので、細いリング状で、面積が小さくなるように形成されている。
【0027】
図1(b)は、図1(a)の電磁ポンプ10に通電されてプランジャ11がインナーヨーク52に吸着した状態を示しているが、プランジャ11とインナーヨーク52とは、上述したように、従来より狭い面積の先端面11dのみを接触面としている。したがって、通電がオフとなり磁気回路が消滅すると、プランジャ11はコイルばね53aによって初期位置に戻されるが、接触面積が小さいので、プランジャ11は軽い力でインナーヨーク52から離反することができるようになる。したがって、低温で粘性が増加したときに駆動周波数を上げても、プランジャ11は初期位置と吐出終了位置との間のフルストローク量に近いストローク量を維持できる。したがって、プランジャ11のポンピングが確実になり、吐出量も周波数に追従して増加させることができる。
【0028】
図3は、接触面の面積比率と電磁ポンプのオイル吐出量の関係を示す線図である。同図に示す□、●、△、○、*に付記された数字は、接触面の面積比率で、接触面がプランジャ11の外径円の面積の何%であるかを示す数字である。プランジャ11の外径円の面積Sは、プランジャ11の外径をDとすると、S=πD2/4で求められる面積である。接触面の面積sは、接触面がリング状であれば、s=外径円の面積−内径円の面積、として求めることができる。外径円は、ここでは先端面11dの外径円である。内径円は、インナーヨーク52の流路52aの径と先端面11dの内径円のうち、どちらか大きい方となる。以上により、接触面積sを求めることができ、sのSに対する面積比率を算出することができる。
【0029】
従来のプランジャ51では、先端面51bの内径より流路52aの径の方が若干大きかったので、接触面は先端面51bの外径円の面積−流路52aの面積となり、先端面51bより若干小さくなるが、この接触面を計算した結果、先端面51bの面積sは、プランジャの外径円の面積Sの62.2%であった。
【0030】
本発明の図1に示すプランジャ11においては、先端面11dの内径の方が流路52aの径より大きかったので、接触面=先端面11dとして計算した。そして、先端面11dの面積比率が、46.4%、30.7%、14.9%、7.6%の4種類のプランジャ11を作成し、それぞれについて、駆動周波数を変えながら吐出量を測定した。なお、測定時のオイルの温度は、粘性の影響を受ける−15℃に保った。
【0031】
図3において、線20は理論値で、駆動周波数と吐出量とは完全に比例している。□を結ぶ線22は、従来のプランジャで、接触面の面積比率が62.2%であるが、9Hzで吐出量が最大になり、その後は周波数が増加しても吐出量は逆に低下した。
【0032】
●を結ぶ線23の面積比率が46.4%、△を結ぶ線24の面積比率が30.7%、○を結ぶ線25の面積比率が14.9%、*を結ぶ線26の面積比率が7.6%のものは、すべて、8〜10Hzで若干の効率の低下は見られるものの、吐出量は駆動周波数の増加とともに増加している。
【0033】
図3の線図から、面積比率が50%以下であれば、吐出量は駆動周波数の増加とともに増加し続けることが分かる。特に、接触面の面積を15%から7%の範囲にすると、吐出量の増加はさらに理論値に近づくので、望ましいことになる。
【0034】
なお、駆動周波数を上げたとき面積比率が50%〜15%までであれば、面積比率が小さいほど理論値に近づくが、面積比率が15%以下になると殆ど変化がない。
【0035】
以上のことから、プランジャ11の先端面11dとインナーヨーク52の先端面52bとの重なり合う接触面の面積は、プランジャ11の外径円の面積の50%〜5%であれば、駆動周波数を10Hz以上に上げても吐出量を増加させることができる。5%未満では、接触面減少の効果も特に増加せず、逆に、接触面が変形したり、摩耗し易くなるといった弊害が生じると考えられる。
【0036】
図4は本発明のプランジャの先端形状の他の例を示す断面図である。図4(a)のプランジャ21は、中空部21aの出口に吸入弁座21bを形成し、吸入弁座21bの外側に、テーパ面に代えて段付きの面21cを形成し、その外側に先端面21dを形成している。
【0037】
図4(b)のプランジャ31は、中空部31aの出口に球面状の吸入弁座31bを形成し、この吸入弁座31bを外側に延長し、その外側に先端面31cを形成している。このように先端面の面積を小さくするには、種々の形態を採用することができる。
【0038】
図5は、本発明のまた別の実施例を示す断面図である。従来例で説明したのと同じ構成には同じ符号を付けている。この実施例は、インナーヨーク42の端面にテーパ面42aを形成し、インナーヨーク42の先端面42bの面積を小さくすることで、接触面を小さくしている。
【0039】
本発明におけるプランジャとインナーヨークとの接触面の減少は、プランジャ又はインナーヨークのいずれか一方で減少させてもよく、双方の先端面の形状を変えて重ね合わせることで接触面を小さくすることができる。
【0040】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、磁気回路を構成するインナーヨークとプランジャとを有する電磁ポンプにおいて、上記プランジャの先端面とインナーヨークの先端面との重なり合う接触面の面積を、プランジャの外径円の面積の50%〜5%としたので、消磁したとき弾性体の弾性力によってプランジャをインナーヨークから引き剥がし易くなり、粘性の大きい流体用に使用した場合でも、駆動周波数を上げることで吐出量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁ポンプの実施例を示す断面図で、(a)は初期状態、(b)は吐出終了状態を示す。
【図2】プランジャの先端部の斜視図で、(a)は本発明のプランジャ、(b)は従来例に示したプランジャである。
【図3】接触面の面積比率と電磁ポンプのオイル吐出量の関係を示す線図である。
【図4】本発明のプランジャの先端形状の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明のまた別の実施例を示す断面図である。
【図6】従来の電磁ポンプの断面図で、(a)は初期状態(通電していない状態)、(b)は吐出終了状態(通電された状態)を示す。
【図7】図6の電磁ポンプについて、駆動周波数とオイル吐出量との関係を示す線図である。
【図8】コイルに流すパルス電流と、プランジャの移動状態との関係を示す図である。
【符号の説明】
11,21,31 プランジャ
11d,21d,31c (プランジャの)先端面
42b,52b (インナーヨークの)先端面
52,42 インナーヨーク
57a 弾性体(コイルばね)
D プランジャの外径
Claims (2)
- 磁気回路を構成するインナーヨークとプランジャとを有し、インナーヨークとプランジャとの間の磁気ギャップを電磁力で縮め弾性体により拡げるようにプランジャをシリンダ内で往復動させる電磁ポンプにおいて、上記プランジャの先端面とインナーヨークの先端面との重なり合う接触面の面積を、プランジャの外径円の面積の50%以下としたことを特徴とする電磁ポンプ。
- 上記接触面の面積が、プランジャの外径円の面積の15〜7%であることを特徴とする請求項1記載の電磁ポンプ。
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