JP2004100729A - すべり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】すべり軸受のティルティングパッドにおけるホットスポットの温度を低減すること。
【解決手段】摺動面に潤滑油を直接給油する給油ノズルとは別に、冷却ノズル4を設け、各ティルティングパッド2のパッド背面9やホットスポット背面11(あるいはパッド外周面17やホットスポット外周面18)に冷却ノズル4から潤滑油を直接噴射して、ホットスポット10の温度を低減する。
【選択図】 図2
【解決手段】摺動面に潤滑油を直接給油する給油ノズルとは別に、冷却ノズル4を設け、各ティルティングパッド2のパッド背面9やホットスポット背面11(あるいはパッド外周面17やホットスポット外周面18)に冷却ノズル4から潤滑油を直接噴射して、ホットスポット10の温度を低減する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はティルティングパッドを用いた直接給油式のすべり軸受においてティルティングパッドの温度を低減する技術に関し、蒸気タービンやガスタービン、水力タービンなど各種回転機械のスラスト軸受、ジャーナル軸受等に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
ティルティングパッドを用いた直接給油式のすべり軸受として、特表昭55−501106号公報、特開昭59−17021号公報、特公昭61−43573号公報、特公昭62−56362号公報、特公平1−43849号公報、特開平3−125015号公報、特開2000−186712号公報に開示されたものが知られている。この種のすべり軸受は、被支持部材の摺動面に直接、給油ノズルから潤滑油を給油するので、油浴潤滑式のものに比べて、潤滑油の量を低減できるという利点があり、また、潤滑油の攪拌に伴う損失が少ないという利点がある。しかし、潤滑油が被支持部材の摺動面に直接給油されることから、ティルティングパッドの摺動面にホットスポット(局所的に温度が高くなる部分)が生じ、これが高面圧化、高回転化の妨げとなるという問題があるが、この問題は解決されていない。
【0003】
【特許文献1】
特表昭55−501106号公報
【特許文献2】
特開昭59−17021号公報
【特許文献3】
特公昭61−43573号公報
【特許文献4】
特公昭62−56362号公報
【特許文献5】
特公平1−43849号公報
【特許文献6】
特開平3−125015号公報
【特許文献7】
特開2000−186712号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題はティルティングパッドを用いた直接給油式のすべり軸受におけるホットスポットの温度を低減することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1発明は、上記課題を解決するすべり軸受であり、ベースリングと、前記ベースリングにリング状に配置された複数のティルティングパッドと、被支持部材の摺動面に潤滑油を直接給油する給油ノズルとを備えるすべり軸受において、前記ベースリングに設けられ、ティルティングパッド毎にパッド背面に潤滑油を直接噴射する冷却ノズルを備えることを特徴とする。
【0006】
第2発明は、第1発明のすべり軸受において、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先がパッド背面のうちホットスポット対応部分であることを特徴とする。
【0007】
第3発明は、第2発明のすべり軸受において、前記ホットスポット対応部分が周囲より薄いことを特徴とする。
【0008】
第4発明は、第2発明のすべり軸受において、前記ホットスポット対応部分がハニカム構造であることを特徴とする。
【0009】
第5発明は、第1発明のすべり軸受において、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先が、パッド背面に代えて、パッド外周面であることを特徴とする。
【0010】
第6発明は、第5発明のすべり軸受において、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先がパッド外周面のうちホットスポット対応部分であることを特徴とする。
【0011】
第7発明は、第2発明または第3発明または第4発明または第6発明のすべり軸受において、ティルティングパッド毎にホットスポットの温度を検出する複数の温度センサと、冷却ノズル毎に流量を調整する複数の流量調節弁と、検出した温度が所定値以下となるように各流量調節弁を制御するコントローラとを備えることを特徴とする。
【0012】
第8発明は、第1発明または第5発明のすべり軸受において、1つのティルティングパッド当たり複数の冷却ノズルを備え、各ティルティングパッドの複数個所に潤滑油を噴射するように構成したことを特徴とする。
【0013】
第9発明は、第8発明のすべり軸受において、ティルティングパッド毎に複数個所の温度を監視する複数の温度センサと、冷却ノズル毎に流量を調節する複数の流量調節弁と、検出した温度が所定値以下となるように各流量調節弁を制御するコントローラとを備えることを特徴とする。
【0014】
なお、上記第1発明から第9発明のうちいずれかのすべり軸受を蒸気タービンやガスタービン、水力タービンなど各種回転機械に備え、スラスト軸受、ジャーナル軸受等として当該回転機械の回転軸を支持することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
[第1実施例]
図1に本発明の第1実施例に係るすべり軸受を示し、図2に図1中のII−II線に沿った断面構造を示す。図1中、回転軸5は破断して示している。
【0017】
図1、図2において、すべり軸受はベースリング1と、複数のティルティングパッド2と、複数の給油ノズル3と、複数の冷却ノズル4とで構成されている。本第1実施例のすべり軸受は、回転軸5のスラスト荷重をスラストカラー6を介して支承している。スラストカラー6は回転軸5に設けられていて、回転軸5と一緒に回転する。
【0018】
回転軸5は、蒸気タービンやガスタービン、水力タービンなど各種回転機械の回転軸である。潤滑油の飛散防止と回収のために、通常、すべり軸受はスラストカラー6とともにスラストケース等の図示しない適宜なケース部材により覆われている。
【0019】
ベースリング1はケース部材に支持されて静止しており、その中央部に回転軸5が通る孔が形成されている。複数のティルティングパッド2は、ベースリング1のスラストカラー6に望む面に、リング状に配置されている。また、各ティルティングパッド2は、ピボット等を用いた点状または線状の支点機構7により、リング状の配置方向に関して傾斜(ティルト)可能に支持されている。
【0020】
各給油ノズル3は、被支持部材であるスラストカラー6の摺動面に潤滑油を直接給油するものであり、回転方向8に関して下流側に向かって薄くなるクサビ形状の油膜がスラストカラー6と各ティルティングパッド2との間に形成される。図2では、簡単のため、給油ノズル3の図示を省略している。
【0021】
本例では、各給油ノズル3は、隣接するティルティングパッド2同士の隙間に対応する位置毎に、スラストカラー6に向いてベースリング1に設けられている。これにより、潤滑油はティルティングパッド2同士の隙間を通り、スラストカラー6と各ティルティングパッド2との摺動面にリーディングエッジ(入口)から直接給油される。但し、被支持部材の摺動面に潤滑油を直接給油する構造は、これに限られない。
【0022】
各冷却ノズル4は、パッド背面(ティルティングパッド2の摺動面に対して反対側の面)9に潤滑油を直接噴射するものである。各冷却ノズル4は、ベースリング1のスラストカラー6に望む面に、全てのティルティングパッド2毎に設けられている。各冷却ノズル4の噴射孔の数は1つでも、複数でも良い。
【0023】
各冷却ノズル4が噴射した潤滑油は、それぞれに対応する各ティルティングパッド2をパッド背面9から冷却する。従って、摺動面に潤滑油を直接給油する給油ノズル3とは別に、パッド背面9に潤滑油を直接噴射する冷却ノズル4を備えることにより、冷却ノズル4がない従来のすべり軸受に比べ、各ティルティングパッド2の温度が低減するので、各ホットスポット10の温度が低減する。これにより、高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0024】
本第1実施例では、各冷却ノズル4の潤滑油噴射先が各パッド背面9のうちホットスポット対応部分(ホットスポット10に軸方向に沿って対応する部分:以下、ホットスポット背面と称する)11となるように、各冷却ノズル4の位置を設定している。これにより、ホットスポット10の温度がより低減し、一層の高面圧化及び高回転化が可能である。
【0025】
ホットスポット10は、ティルティングパッド2の摺動面のうち、回転方向下流側の端部付近に生じ、その位置は実験等により予め知ることができる。従って、ホットスポット背面11の位置も、各冷却ノズル4を配置すべき位置も、予め知ることができる。
【0026】
本第1実施例では、回転軸5の回転方向8が図示のように一定方向であると仮定しているので、冷却ノズル4を1つのティルティングパッド2当たり1つ設けているが、回転軸5が正逆両方向に回転するものであれば、回転方向に応じてホットスポット10の発生場所が異なるので、発生場所に応じて1つのティルティングパッド2当たり冷却ノズル4を2つ設けると良い。この場合、例えば、回転方向に応じて2つの冷却ノズル4を切り替えてホットスポット10に対応する方の冷却ノズル4のみから潤滑油を噴射させたり、あるいは、回転方向にかかわらず常に2つの冷却ノズル4から潤滑油を噴射させたりすることができる。
【0027】
回転軸5に両方向のスラスト荷重が生じる場合は、ベースリング1と複数のティルティングパッド2と複数の給油ノズル3と複数の冷却ノズル4からなるすべり軸受を2つ用い、これらをスラストカラー6の両側に配置することで、両方向のスラスト荷重を支承することができる。
【0028】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例に係るすべり軸受を図3を参照して説明する。本第2実施例は、第1実施例と比べると、ティルティングパッド2のホットスポット背面11を冷却効果が高い構造に変更した点が異なり、他は同じである。図3は図2に相当する断面構造を示しており、図2と同じ機能部分には同じ符号を付して、説明の重複を省く。
【0029】
図3に示すように、本第2実施例では、全てのティルティングパッド2について、各ホットスポット背面11を、そこに凹部あるいは溝12を形成することで、周囲より薄くしてある。冷却ノズル4はホットスポット背面11に形成した凹部あるいは溝12に潤滑油を直接噴射する。これにより、潤滑油が当たる場所が周囲より薄くなって第1実施例に比べてホットスポット10に近づき、熱伝導が良くなるから、ホットスポット10をより効果的に冷却することができる。つまり、ホットスポット10の温度がより低減し、一層の高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0030】
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例に係るすべり軸受を図4を参照して説明する。本第3実施例は、第1実施例と比べると、ティルティングパッド2のホットスポット背面11を冷却効果が高い構造に変更した点が異なり、他は同じである。図4は図2に相当する断面構造を示しており、図2と同じ機能部分には同じ符号を付して、説明の重複を省く。
【0031】
図4に示すように、本第3実施例では、全てのティルティングパッド2について、各ホットスポット背面11をハニカム構造13に形成している。冷却ノズル4はハニカム構造13に潤滑油を直接噴射する。ハニカム構造13は熱伝導が良いので、ホットスポット10をより効果的に冷却することができる。これにより、ホットスポット10の温度がより低減し、一層の高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0032】
本第3実施例では、ハニカム構造13はホットスポット背面11に表面が同一面となるように埋め込まれている。これは、例えば、第2実施例と同様にホットスポット背面11に凹部あるいは溝を形成し、この部分にハニカム構造13を形成することで実現できる。
【0033】
[第4実施例]
次に、本発明の第4実施例に係るすべり軸受を図5を参照して説明する。本第4実施例は、第1実施例と比べると、各ティルティングパッド2のホットポット10の温度を監視して、ホットスポット10の温度が所定値以下となるように各冷却ノズル4の噴射量を制御する機構を付加した点が異なり、他は同じである。図5は図2に相当する断面構造と潤滑油噴射流量の制御系とを示しており、図2と同じ機能部分には同じ符号を付して、説明の重複を省く。
【0034】
図5に示すように、本第4実施例では、ホットスポット背面11に潤滑油を噴射する冷却ノズル4をベースリング1に設けることに加えて、ホットスポット10の温度を検出する温度センサ14を全てのティルティングパッド2毎に設け、また、流量調節弁15を全ての冷却ノズル4の潤滑油供給路毎に設けている。そして、各温度センサ14と各流量調節弁15をコントローラ16に接続し、各ホットスポット10の温度が所定値以下となるように各流量調節弁15をコントローラ16で制御する。本第4実施例では、熱電対を温度センサ14に使用し、ティルティングパッド2のホットポット10(図1〜図4参照)の最高温度部分になるべく近い場所に埋設している。図5では、簡単のため、ホットスポット10の図示を省略している。図5中、19は潤滑油供給系統を示している。
【0035】
つまり、ホットスポット10の温度は複数のティルティングパッド2間で必ずしも同じには上昇しないため、各温度センサ14によりそれに対応するティルティングパッド2のホットスポット10の温度を監視し、コントローラ16により、例えば、通常は各冷却ノズル4から一定流量の潤滑油を噴射するように各流量調節弁15の開度を制御し、いずれかのホットスポット10の温度が所定値よりも高い場合は、これに対応するホットスポット背面11に潤滑油を増して噴射するように該当する冷却ノズル4の流量調節弁15をより大きく開き、ホットスポット10が所定値の温度を越えないようにする。これにより、全てのホットスポット10の温度が確実に低減し、高面圧化及び高回転化が可能になる。ホットスポット10の温度と比較される設定値は、ホットスポット10毎に異なった値でも、一定値でも良い。
【0036】
ホットスポット背面11は、第2実施例(図3)と同様に周囲より薄くても、あるいは、第3実施例(図4)と同様にハニカム構造であっても良い。
【0037】
図5においては、コントローラ16はすべり軸受全体で1台としているが、コントローラ16を適宜分散して設けることが可能である。例えば、1つのティルティングパッド2毎にコントローラ16を1台設けたり、あるいは、任意の複数のティルティングパッド2毎にコントローラ16を1台設けることができる。
【0038】
[第5実施例]
次に、本発明の第5実施例に係るすべり軸受を図6を参照して説明する。本第5実施例は、第1実施例と比べると、冷却ノズル4の数をティルティングパッド2当たり2つ以上の多数とした点が異なり、他は同じである。図6は図2に相当する断面構造を示しており、図2と同じ機能部分には同じ符号を付して、説明の重複を省く。
【0039】
図6に示すように、本第5実施例では、1つのティルティングパッド2当たり多数(図6では5個)の冷却ノズル4をベースリング1に設け、各パッド背面9全体を多数の冷却ノズル4からの潤滑油で冷却するようにしている。これにより、各ティルティングパッド2全体の温度が効果的に低減し、従って、各ホットスポット10の温度が低減する。この場合、多数の冷却ノズル4の中にホットスポット背面11に潤滑油を直接噴射するものが存在していても、あるいは、存在しなくても良く、いずれの場合も高面圧化及び高回転化が可能である。
【0040】
[第6実施例]
次に、本発明の第6実施例に係るすべり軸受を図7を参照して説明する。本第6実施例は、第5実施例と比べると、各ティルティングパッド2の温度を複数個所で監視し、個々のティルティングパッド2の温度が全ての監視個所で所定値以下となるように各冷却ノズル4の噴射量を制御する機構を付加した点が異なり、他は同じである。図7は図6に相当する断面構造と潤滑油噴射流量の制御系とを示しており、図6と同じ機能部分には同じ符号を付し、説明の重複を省く。
【0041】
図7に示すように、本第6実施例では、ティルティングパッド2当たり多数の冷却ノズル4をベースリング1に設けることに加えて、当該ティルティングパッド2に温度センサ14を冷却ノズル4と同数(図7では5個)設け、また、全ての冷却ノズル4の潤滑油供給路毎に流量調節弁15を設け、更に、コントローラ16を設け、温度センサ14と流量調節弁15とをコントローラ16に接続し、ティルティングパッド2の多数個所の温度が全て所定値以下となるように各冷却ノズル4の流量調節弁15をコントローラ16で制御する。温度センサ14の位置と冷却ノズル4の位置とは軸方向に沿って対応させている。本第6実施例では、熱電対を温度センサ14に使用し、ティルティングパッド2の多数個所に埋設している。図7中、19は潤滑油供給系統を示す。
【0042】
図7では、簡単のため、1つのティルティングパッド2について冷却ノズル4と温度センサ14と流量調節弁15とコントローラ16を示し、他のティルティングパッド2については図示を省略しているが、他のティルティングパッド2についても同様に、ティルティングパッド2毎に多数の冷却ノズル4と、これと同数の温度センサ14と、同じく冷却ノズル4と同数の流量調節弁15と、コントローラ16とが設けられる。
【0043】
つまり、同じティルティングパッド2内でも場所によって温度が異なるため、各ティルティングパッド2の多数個所の温度を温度センサ14により監視し、ティルティングパッド2毎の各コントローラ16は、例えば、通常は各冷却ノズル4から一定流量の潤滑油が噴射されるように各流量調節弁15の開度を制御し、いずれかの個所の温度が所定値よりも高い場合は、パッド背面9のうち高温個所に対応する部分に噴射する潤滑油を増すように、該当する冷却ノズル4の流量調節弁15をより大きく開くことで、全ての個所が所定値の温度を越えないようにする。これにより、全てのホットスポット10(図6参照)の温度が確実に低減し、高面圧化及び高回転化が可能である。図7では、簡単のため、ホットスポット10の図示を省略している。
【0044】
図7においては、コントローラ16はティルティングパッド2毎に1台としているが、コントローラ16を適宜統合することが可能である。例えば、すべり軸受全体でコントローラ16を1台設けたり、あるいは、任意の複数のティルティングパッド2毎にコントローラ16を1台設けることができる。
【0045】
[第7実施例]
次に、本発明の第7実施例に係るスラスト軸受を図8、図9を参照して説明する。本第7実施例は、第1実施例と比べると、パッド背面9に代えて、パッド外周面(ティルティングパッド2の半径方向外側の面)17に冷却ノズル4から潤滑油を噴射する点が異なり、他は同じである。図8は図1に相当し、図9は図8中のIX−IX矢視断面構造を示しており、図1及び図2と同じ機能部分には同じ符号を付して、説明の重複を省く。
【0046】
本第7実施例では、ベースリング1の外周に環状凸部1aが、スラストカラー6に望む方向に向いて形成されている。
【0047】
このようなベースリング1のスラストカラー6に望む面に、複数のティルティングパッド2がリング状に配置されている。各ティルティングパッド2は支点機構7によりティルティングパッド2のリング状の配置方向に関して傾斜可能にされている。各給油ノズル3は隣接するティルティングパッド同士の隙間に対応する位置にてベースリング1のスラストカラー6に望む面に設けられており、潤滑油をスラストカラー6の摺動面にリーディングエッジ(入口)から直接給油する。
【0048】
各冷却ノズル4は、パッド外周面17に潤滑油を直接噴射するものであり、ベースリング1の環状凸部1aの内周面に、全てのティルティングパッド2毎に設けられている。
【0049】
各冷却ノズル4が噴射した潤滑油は、それぞれに対応する各ティルティングパッド2をパッド外周面17から冷却する。従って、摺動面に潤滑油を直接給油する給油ノズル3とは別に、パッド外周面17に潤滑油を直接噴射する冷却ノズル4を備えることにより、冷却ノズル4がない従来のすべり軸受に比べ、各ティルティングパッド2の温度が低減するので、各ホットスポット10の温度が低減する。これにより、高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0050】
本第7実施例では、各冷却ノズル4の潤滑油噴射先が各パッド外周面17のうちホットスポット対応部分(ホットスポット10に半径方向に沿って対応する部分:以下、ホットスポット外周面と称する)18となるように、各冷却ノズル4の位置を設定している。これにより、ホットスポット10の温度がより低減し、一層の高面圧化及び高回転化が可能である。
【0051】
ホットスポット10は、ティルティングパッド2の摺動面のうち、回転方向下流側の端部付近に生じ、その位置は実験等により予め知ることができる。従って、ホットスポット外周面18の位置も、各冷却ノズル4を配置すべき位置も、予め知ることができる。
【0052】
[第7実施例の変形]
ティルティングパッド2のパッド外周面17またはホットスポット外周面18を潤滑油で直接冷却する場合、図示しないが、以下のように、第2実施例ないし第6実施例と同様の構成とすることができ、これにより同様の作用効果が得られる。
(1) 第2実施例と同様の変形例:各ティルティングパッド2のホットスポット外周面18を、そこに溝あるいは凹部(図3の符号12参照)を形成して周囲よりも薄くする。
(2) 第3実施例と同様の変形例:各ティルティングパッド2のホットスポット外周面18をハニカム構造(図4の符号13参照)に形成する。
(3) 第4実施例と同様の変形例:ホットスポット10の温度を検出する温度センサをティルティングパッド2毎に設け、また、流量調節弁を各冷却ノズル4の潤滑油供給路毎に設けて、各ホットスポット10の温度が所定値以下となるように各流量調節弁をコントローラで制御する(図5参照)。つまり、所定値より温度が高いホットスポット10に対応するホットスポット外周面18に、より多くの潤滑油を噴射する。
(4) 第5実施例と同様の変形例:ベースリング1に、1つのティルティングパッド2当たり多数、冷却ノズル4を設け、各ティルティングパッド2のパッド外周面17全体を多数の冷却ノズル4から潤滑油を噴射して直接冷却する(図6参照)。
(5) 第6実施例と同様の変形例:各ティルティングパッド2毎に温度センサを冷却ノズル4と同じく多数個所に設け、また、各冷却ノズル4の潤滑油供給路毎に流量調節弁を設けて、ティルティングパッド2の多数個所の温度が全て所定値以下となるように各流量調節弁をコントローラで制御する(図7参照)。つまり、ティルティングパッド2のパッド外周面17のうち、所定値より温度が高い個所により多くの潤滑油を噴射する。
【0053】
第1実施例にて説明したと同様、第2〜第4実施例及び第7実施例でも、回転軸5の回転方向8が一定方向であると仮定しているので、冷却ノズル4を1つのティルティングパッド2当たり1つ設けているが、回転軸5が正逆両方向に回転するものであれば、回転方向に応じてホットスポット10の発生場所が異なるので、ホットスポット10の発生場所に応じて1つのティルティングパッド2当たり冷却ノズル4を2つ設けると良い。この場合、例えば、回転方向に応じて2つの冷却ノズル4を切り替えてホットスポット10に対応する方の冷却ノズル4のみから潤滑油を噴射させたり、あるいは、回転方向にかかわらず常に2つの冷却ノズル4から潤滑油を噴射させたりすることができる。第5、第6実施例のように1つのティルティングパッド2当たり冷却ノズル4を多数設ける場合は、多数の冷却ノズル4が平均的に配置されていれば、回転軸5の正逆両方向の回転に対応することができる。
【0054】
回転軸5に両方向のスラスト荷重が生じる場合は、第2〜第7実施例いずれかのすべり軸受を2つ用い、スラストカラー3の両側に配置することで、両方向のスラスト荷重を支承することができる。
【0055】
上述した第1〜第7実施例は、個別に実施する他、任意の複数を組み合わせて実施することが可能である。
【0056】
また、上述した第1〜第7実施例のすべり軸受はいずれも、スラスト軸受だけでなく、蒸気タービンやガスタービン、水力タービンなど各種回転機械の回転軸5に対するジャーナル軸受としても使用できるものである。
【0057】
上述した本発明のすべり軸受をスラスト軸受あるいはジャーナル軸受等として用いて回転軸5を支持した種々の回転機械は、ティルティングパッド2のホットスポット10の温度が低減するので、高面圧化及び高回転化が可能である。
【0058】
【発明の効果】
第1発明は、ベースリングと、前記ベースリングにリング状に配置された複数のティルティングパッドと、被支持部材の摺動面に潤滑油を直接給油する給油ノズルとを備えるすべり軸受において、ティルティングパッド毎にパッド背面に潤滑油を直接噴射する冷却ノズルを前記ベースリングに備えるので、各ティルティングパッドの温度が低減し、従って、各ホットスポットの温度が低減する。これにより、高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0059】
第2発明は、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先がパッド背面のうちホットスポット対応部分であるので、ホットスポットの温度がより低減し、一層の高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0060】
第3発明は、前記ホットスポット対応部分が周囲より薄いので、熱伝導が良く、ホットスポットの温度がより低減する。
【0061】
第4発明は、前記ホットスポット対応部分がハニカム構造であるので、熱伝導が良く、ホットスポットの温度がより低減する。
【0062】
第5発明は、前記冷却ノズルが潤滑油をパッド外周面に噴射先するので、各ティルティングパッドの温度が低減し、従って、各ホットスポットの温度が低減する。これにより、高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0063】
第6発明は、第5発明のすべり軸受において、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先がパッド外周面のうちホットスポット対応部分であるので、ホットスポットの温度がより低減する。
【0064】
第7発明は、ティルティングパッド毎にホットスポットの温度を検出する複数の温度センサと、冷却ノズル毎に流量を調整する複数の流量調節弁と、検出した温度が所定値以下となるように各流量調節弁を制御するコントローラとを備えるので、全てのホットスポットの温度が確実に低減する。
【0065】
第8発明は、1つのティルティングパッド当たり複数の冷却ノズルを備え、各ティルティングパッドの複数個所に潤滑油を噴射するように構成したので、各ティルティングパッド全体の温度が効果的に低減し、従って、各ホットスポットの温度が低減する。
【0066】
第9発明は、第8発明のすべり軸受において、ティルティングパッド毎に複数個所の温度を監視する複数の温度センサと、冷却ノズル毎に流量を調節する複数の流量調節弁と、検出した温度が所定値以下となるように各流量調節弁を制御するコントローラとを備えるので、全てのホットスポットの温度が確実に低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るすべり軸受を示す図。
【図2】図1中のII−II線断面図。
【図3】本発明の第2実施例に係るすべり軸受を示す、図2相当の断面図。
【図4】本発明の第3実施例に係るすべり軸受を示す、図2相当の断面図。
【図5】本発明の第4実施例として、図2相当の断面構造と潤滑油噴射流量の制御系とを示す図。
【図6】本発明の第5実施例に係るすべり軸受を示す、図2相当の断面図。
【図7】本発明の第6実施例として、図6相当の断面構造と潤滑油噴射流量の制御系とを示す図。
【図8】本発明の第7実施例に係るすべり軸受を示す図。
【図9】図8中のIX−IX線断面図。
【符号の説明】
1 ベースリング
1a 環状凸部
2 ティルティングパッド
3 給油ノズル
4 冷却ノズル
5 回転軸
6 スラストカラー(被支持部材)
7 支点
8 回転方向
9 パッド背面
10 ホットスポット
11 ホットスポット背面(パッド背面のうちホットスポット対応部分)
12 ホットスポット背面に形成した凹部あるいは溝
13 ハニカム構造
14 温度センサ
15 流量調節弁
16 コントローラ
17 パッド外周面
18 ホットスポット外周面(パッド外周面のうちホットスポット対応部分)
【発明の属する技術分野】
本発明はティルティングパッドを用いた直接給油式のすべり軸受においてティルティングパッドの温度を低減する技術に関し、蒸気タービンやガスタービン、水力タービンなど各種回転機械のスラスト軸受、ジャーナル軸受等に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
ティルティングパッドを用いた直接給油式のすべり軸受として、特表昭55−501106号公報、特開昭59−17021号公報、特公昭61−43573号公報、特公昭62−56362号公報、特公平1−43849号公報、特開平3−125015号公報、特開2000−186712号公報に開示されたものが知られている。この種のすべり軸受は、被支持部材の摺動面に直接、給油ノズルから潤滑油を給油するので、油浴潤滑式のものに比べて、潤滑油の量を低減できるという利点があり、また、潤滑油の攪拌に伴う損失が少ないという利点がある。しかし、潤滑油が被支持部材の摺動面に直接給油されることから、ティルティングパッドの摺動面にホットスポット(局所的に温度が高くなる部分)が生じ、これが高面圧化、高回転化の妨げとなるという問題があるが、この問題は解決されていない。
【0003】
【特許文献1】
特表昭55−501106号公報
【特許文献2】
特開昭59−17021号公報
【特許文献3】
特公昭61−43573号公報
【特許文献4】
特公昭62−56362号公報
【特許文献5】
特公平1−43849号公報
【特許文献6】
特開平3−125015号公報
【特許文献7】
特開2000−186712号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題はティルティングパッドを用いた直接給油式のすべり軸受におけるホットスポットの温度を低減することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1発明は、上記課題を解決するすべり軸受であり、ベースリングと、前記ベースリングにリング状に配置された複数のティルティングパッドと、被支持部材の摺動面に潤滑油を直接給油する給油ノズルとを備えるすべり軸受において、前記ベースリングに設けられ、ティルティングパッド毎にパッド背面に潤滑油を直接噴射する冷却ノズルを備えることを特徴とする。
【0006】
第2発明は、第1発明のすべり軸受において、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先がパッド背面のうちホットスポット対応部分であることを特徴とする。
【0007】
第3発明は、第2発明のすべり軸受において、前記ホットスポット対応部分が周囲より薄いことを特徴とする。
【0008】
第4発明は、第2発明のすべり軸受において、前記ホットスポット対応部分がハニカム構造であることを特徴とする。
【0009】
第5発明は、第1発明のすべり軸受において、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先が、パッド背面に代えて、パッド外周面であることを特徴とする。
【0010】
第6発明は、第5発明のすべり軸受において、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先がパッド外周面のうちホットスポット対応部分であることを特徴とする。
【0011】
第7発明は、第2発明または第3発明または第4発明または第6発明のすべり軸受において、ティルティングパッド毎にホットスポットの温度を検出する複数の温度センサと、冷却ノズル毎に流量を調整する複数の流量調節弁と、検出した温度が所定値以下となるように各流量調節弁を制御するコントローラとを備えることを特徴とする。
【0012】
第8発明は、第1発明または第5発明のすべり軸受において、1つのティルティングパッド当たり複数の冷却ノズルを備え、各ティルティングパッドの複数個所に潤滑油を噴射するように構成したことを特徴とする。
【0013】
第9発明は、第8発明のすべり軸受において、ティルティングパッド毎に複数個所の温度を監視する複数の温度センサと、冷却ノズル毎に流量を調節する複数の流量調節弁と、検出した温度が所定値以下となるように各流量調節弁を制御するコントローラとを備えることを特徴とする。
【0014】
なお、上記第1発明から第9発明のうちいずれかのすべり軸受を蒸気タービンやガスタービン、水力タービンなど各種回転機械に備え、スラスト軸受、ジャーナル軸受等として当該回転機械の回転軸を支持することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
[第1実施例]
図1に本発明の第1実施例に係るすべり軸受を示し、図2に図1中のII−II線に沿った断面構造を示す。図1中、回転軸5は破断して示している。
【0017】
図1、図2において、すべり軸受はベースリング1と、複数のティルティングパッド2と、複数の給油ノズル3と、複数の冷却ノズル4とで構成されている。本第1実施例のすべり軸受は、回転軸5のスラスト荷重をスラストカラー6を介して支承している。スラストカラー6は回転軸5に設けられていて、回転軸5と一緒に回転する。
【0018】
回転軸5は、蒸気タービンやガスタービン、水力タービンなど各種回転機械の回転軸である。潤滑油の飛散防止と回収のために、通常、すべり軸受はスラストカラー6とともにスラストケース等の図示しない適宜なケース部材により覆われている。
【0019】
ベースリング1はケース部材に支持されて静止しており、その中央部に回転軸5が通る孔が形成されている。複数のティルティングパッド2は、ベースリング1のスラストカラー6に望む面に、リング状に配置されている。また、各ティルティングパッド2は、ピボット等を用いた点状または線状の支点機構7により、リング状の配置方向に関して傾斜(ティルト)可能に支持されている。
【0020】
各給油ノズル3は、被支持部材であるスラストカラー6の摺動面に潤滑油を直接給油するものであり、回転方向8に関して下流側に向かって薄くなるクサビ形状の油膜がスラストカラー6と各ティルティングパッド2との間に形成される。図2では、簡単のため、給油ノズル3の図示を省略している。
【0021】
本例では、各給油ノズル3は、隣接するティルティングパッド2同士の隙間に対応する位置毎に、スラストカラー6に向いてベースリング1に設けられている。これにより、潤滑油はティルティングパッド2同士の隙間を通り、スラストカラー6と各ティルティングパッド2との摺動面にリーディングエッジ(入口)から直接給油される。但し、被支持部材の摺動面に潤滑油を直接給油する構造は、これに限られない。
【0022】
各冷却ノズル4は、パッド背面(ティルティングパッド2の摺動面に対して反対側の面)9に潤滑油を直接噴射するものである。各冷却ノズル4は、ベースリング1のスラストカラー6に望む面に、全てのティルティングパッド2毎に設けられている。各冷却ノズル4の噴射孔の数は1つでも、複数でも良い。
【0023】
各冷却ノズル4が噴射した潤滑油は、それぞれに対応する各ティルティングパッド2をパッド背面9から冷却する。従って、摺動面に潤滑油を直接給油する給油ノズル3とは別に、パッド背面9に潤滑油を直接噴射する冷却ノズル4を備えることにより、冷却ノズル4がない従来のすべり軸受に比べ、各ティルティングパッド2の温度が低減するので、各ホットスポット10の温度が低減する。これにより、高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0024】
本第1実施例では、各冷却ノズル4の潤滑油噴射先が各パッド背面9のうちホットスポット対応部分(ホットスポット10に軸方向に沿って対応する部分:以下、ホットスポット背面と称する)11となるように、各冷却ノズル4の位置を設定している。これにより、ホットスポット10の温度がより低減し、一層の高面圧化及び高回転化が可能である。
【0025】
ホットスポット10は、ティルティングパッド2の摺動面のうち、回転方向下流側の端部付近に生じ、その位置は実験等により予め知ることができる。従って、ホットスポット背面11の位置も、各冷却ノズル4を配置すべき位置も、予め知ることができる。
【0026】
本第1実施例では、回転軸5の回転方向8が図示のように一定方向であると仮定しているので、冷却ノズル4を1つのティルティングパッド2当たり1つ設けているが、回転軸5が正逆両方向に回転するものであれば、回転方向に応じてホットスポット10の発生場所が異なるので、発生場所に応じて1つのティルティングパッド2当たり冷却ノズル4を2つ設けると良い。この場合、例えば、回転方向に応じて2つの冷却ノズル4を切り替えてホットスポット10に対応する方の冷却ノズル4のみから潤滑油を噴射させたり、あるいは、回転方向にかかわらず常に2つの冷却ノズル4から潤滑油を噴射させたりすることができる。
【0027】
回転軸5に両方向のスラスト荷重が生じる場合は、ベースリング1と複数のティルティングパッド2と複数の給油ノズル3と複数の冷却ノズル4からなるすべり軸受を2つ用い、これらをスラストカラー6の両側に配置することで、両方向のスラスト荷重を支承することができる。
【0028】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例に係るすべり軸受を図3を参照して説明する。本第2実施例は、第1実施例と比べると、ティルティングパッド2のホットスポット背面11を冷却効果が高い構造に変更した点が異なり、他は同じである。図3は図2に相当する断面構造を示しており、図2と同じ機能部分には同じ符号を付して、説明の重複を省く。
【0029】
図3に示すように、本第2実施例では、全てのティルティングパッド2について、各ホットスポット背面11を、そこに凹部あるいは溝12を形成することで、周囲より薄くしてある。冷却ノズル4はホットスポット背面11に形成した凹部あるいは溝12に潤滑油を直接噴射する。これにより、潤滑油が当たる場所が周囲より薄くなって第1実施例に比べてホットスポット10に近づき、熱伝導が良くなるから、ホットスポット10をより効果的に冷却することができる。つまり、ホットスポット10の温度がより低減し、一層の高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0030】
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例に係るすべり軸受を図4を参照して説明する。本第3実施例は、第1実施例と比べると、ティルティングパッド2のホットスポット背面11を冷却効果が高い構造に変更した点が異なり、他は同じである。図4は図2に相当する断面構造を示しており、図2と同じ機能部分には同じ符号を付して、説明の重複を省く。
【0031】
図4に示すように、本第3実施例では、全てのティルティングパッド2について、各ホットスポット背面11をハニカム構造13に形成している。冷却ノズル4はハニカム構造13に潤滑油を直接噴射する。ハニカム構造13は熱伝導が良いので、ホットスポット10をより効果的に冷却することができる。これにより、ホットスポット10の温度がより低減し、一層の高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0032】
本第3実施例では、ハニカム構造13はホットスポット背面11に表面が同一面となるように埋め込まれている。これは、例えば、第2実施例と同様にホットスポット背面11に凹部あるいは溝を形成し、この部分にハニカム構造13を形成することで実現できる。
【0033】
[第4実施例]
次に、本発明の第4実施例に係るすべり軸受を図5を参照して説明する。本第4実施例は、第1実施例と比べると、各ティルティングパッド2のホットポット10の温度を監視して、ホットスポット10の温度が所定値以下となるように各冷却ノズル4の噴射量を制御する機構を付加した点が異なり、他は同じである。図5は図2に相当する断面構造と潤滑油噴射流量の制御系とを示しており、図2と同じ機能部分には同じ符号を付して、説明の重複を省く。
【0034】
図5に示すように、本第4実施例では、ホットスポット背面11に潤滑油を噴射する冷却ノズル4をベースリング1に設けることに加えて、ホットスポット10の温度を検出する温度センサ14を全てのティルティングパッド2毎に設け、また、流量調節弁15を全ての冷却ノズル4の潤滑油供給路毎に設けている。そして、各温度センサ14と各流量調節弁15をコントローラ16に接続し、各ホットスポット10の温度が所定値以下となるように各流量調節弁15をコントローラ16で制御する。本第4実施例では、熱電対を温度センサ14に使用し、ティルティングパッド2のホットポット10(図1〜図4参照)の最高温度部分になるべく近い場所に埋設している。図5では、簡単のため、ホットスポット10の図示を省略している。図5中、19は潤滑油供給系統を示している。
【0035】
つまり、ホットスポット10の温度は複数のティルティングパッド2間で必ずしも同じには上昇しないため、各温度センサ14によりそれに対応するティルティングパッド2のホットスポット10の温度を監視し、コントローラ16により、例えば、通常は各冷却ノズル4から一定流量の潤滑油を噴射するように各流量調節弁15の開度を制御し、いずれかのホットスポット10の温度が所定値よりも高い場合は、これに対応するホットスポット背面11に潤滑油を増して噴射するように該当する冷却ノズル4の流量調節弁15をより大きく開き、ホットスポット10が所定値の温度を越えないようにする。これにより、全てのホットスポット10の温度が確実に低減し、高面圧化及び高回転化が可能になる。ホットスポット10の温度と比較される設定値は、ホットスポット10毎に異なった値でも、一定値でも良い。
【0036】
ホットスポット背面11は、第2実施例(図3)と同様に周囲より薄くても、あるいは、第3実施例(図4)と同様にハニカム構造であっても良い。
【0037】
図5においては、コントローラ16はすべり軸受全体で1台としているが、コントローラ16を適宜分散して設けることが可能である。例えば、1つのティルティングパッド2毎にコントローラ16を1台設けたり、あるいは、任意の複数のティルティングパッド2毎にコントローラ16を1台設けることができる。
【0038】
[第5実施例]
次に、本発明の第5実施例に係るすべり軸受を図6を参照して説明する。本第5実施例は、第1実施例と比べると、冷却ノズル4の数をティルティングパッド2当たり2つ以上の多数とした点が異なり、他は同じである。図6は図2に相当する断面構造を示しており、図2と同じ機能部分には同じ符号を付して、説明の重複を省く。
【0039】
図6に示すように、本第5実施例では、1つのティルティングパッド2当たり多数(図6では5個)の冷却ノズル4をベースリング1に設け、各パッド背面9全体を多数の冷却ノズル4からの潤滑油で冷却するようにしている。これにより、各ティルティングパッド2全体の温度が効果的に低減し、従って、各ホットスポット10の温度が低減する。この場合、多数の冷却ノズル4の中にホットスポット背面11に潤滑油を直接噴射するものが存在していても、あるいは、存在しなくても良く、いずれの場合も高面圧化及び高回転化が可能である。
【0040】
[第6実施例]
次に、本発明の第6実施例に係るすべり軸受を図7を参照して説明する。本第6実施例は、第5実施例と比べると、各ティルティングパッド2の温度を複数個所で監視し、個々のティルティングパッド2の温度が全ての監視個所で所定値以下となるように各冷却ノズル4の噴射量を制御する機構を付加した点が異なり、他は同じである。図7は図6に相当する断面構造と潤滑油噴射流量の制御系とを示しており、図6と同じ機能部分には同じ符号を付し、説明の重複を省く。
【0041】
図7に示すように、本第6実施例では、ティルティングパッド2当たり多数の冷却ノズル4をベースリング1に設けることに加えて、当該ティルティングパッド2に温度センサ14を冷却ノズル4と同数(図7では5個)設け、また、全ての冷却ノズル4の潤滑油供給路毎に流量調節弁15を設け、更に、コントローラ16を設け、温度センサ14と流量調節弁15とをコントローラ16に接続し、ティルティングパッド2の多数個所の温度が全て所定値以下となるように各冷却ノズル4の流量調節弁15をコントローラ16で制御する。温度センサ14の位置と冷却ノズル4の位置とは軸方向に沿って対応させている。本第6実施例では、熱電対を温度センサ14に使用し、ティルティングパッド2の多数個所に埋設している。図7中、19は潤滑油供給系統を示す。
【0042】
図7では、簡単のため、1つのティルティングパッド2について冷却ノズル4と温度センサ14と流量調節弁15とコントローラ16を示し、他のティルティングパッド2については図示を省略しているが、他のティルティングパッド2についても同様に、ティルティングパッド2毎に多数の冷却ノズル4と、これと同数の温度センサ14と、同じく冷却ノズル4と同数の流量調節弁15と、コントローラ16とが設けられる。
【0043】
つまり、同じティルティングパッド2内でも場所によって温度が異なるため、各ティルティングパッド2の多数個所の温度を温度センサ14により監視し、ティルティングパッド2毎の各コントローラ16は、例えば、通常は各冷却ノズル4から一定流量の潤滑油が噴射されるように各流量調節弁15の開度を制御し、いずれかの個所の温度が所定値よりも高い場合は、パッド背面9のうち高温個所に対応する部分に噴射する潤滑油を増すように、該当する冷却ノズル4の流量調節弁15をより大きく開くことで、全ての個所が所定値の温度を越えないようにする。これにより、全てのホットスポット10(図6参照)の温度が確実に低減し、高面圧化及び高回転化が可能である。図7では、簡単のため、ホットスポット10の図示を省略している。
【0044】
図7においては、コントローラ16はティルティングパッド2毎に1台としているが、コントローラ16を適宜統合することが可能である。例えば、すべり軸受全体でコントローラ16を1台設けたり、あるいは、任意の複数のティルティングパッド2毎にコントローラ16を1台設けることができる。
【0045】
[第7実施例]
次に、本発明の第7実施例に係るスラスト軸受を図8、図9を参照して説明する。本第7実施例は、第1実施例と比べると、パッド背面9に代えて、パッド外周面(ティルティングパッド2の半径方向外側の面)17に冷却ノズル4から潤滑油を噴射する点が異なり、他は同じである。図8は図1に相当し、図9は図8中のIX−IX矢視断面構造を示しており、図1及び図2と同じ機能部分には同じ符号を付して、説明の重複を省く。
【0046】
本第7実施例では、ベースリング1の外周に環状凸部1aが、スラストカラー6に望む方向に向いて形成されている。
【0047】
このようなベースリング1のスラストカラー6に望む面に、複数のティルティングパッド2がリング状に配置されている。各ティルティングパッド2は支点機構7によりティルティングパッド2のリング状の配置方向に関して傾斜可能にされている。各給油ノズル3は隣接するティルティングパッド同士の隙間に対応する位置にてベースリング1のスラストカラー6に望む面に設けられており、潤滑油をスラストカラー6の摺動面にリーディングエッジ(入口)から直接給油する。
【0048】
各冷却ノズル4は、パッド外周面17に潤滑油を直接噴射するものであり、ベースリング1の環状凸部1aの内周面に、全てのティルティングパッド2毎に設けられている。
【0049】
各冷却ノズル4が噴射した潤滑油は、それぞれに対応する各ティルティングパッド2をパッド外周面17から冷却する。従って、摺動面に潤滑油を直接給油する給油ノズル3とは別に、パッド外周面17に潤滑油を直接噴射する冷却ノズル4を備えることにより、冷却ノズル4がない従来のすべり軸受に比べ、各ティルティングパッド2の温度が低減するので、各ホットスポット10の温度が低減する。これにより、高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0050】
本第7実施例では、各冷却ノズル4の潤滑油噴射先が各パッド外周面17のうちホットスポット対応部分(ホットスポット10に半径方向に沿って対応する部分:以下、ホットスポット外周面と称する)18となるように、各冷却ノズル4の位置を設定している。これにより、ホットスポット10の温度がより低減し、一層の高面圧化及び高回転化が可能である。
【0051】
ホットスポット10は、ティルティングパッド2の摺動面のうち、回転方向下流側の端部付近に生じ、その位置は実験等により予め知ることができる。従って、ホットスポット外周面18の位置も、各冷却ノズル4を配置すべき位置も、予め知ることができる。
【0052】
[第7実施例の変形]
ティルティングパッド2のパッド外周面17またはホットスポット外周面18を潤滑油で直接冷却する場合、図示しないが、以下のように、第2実施例ないし第6実施例と同様の構成とすることができ、これにより同様の作用効果が得られる。
(1) 第2実施例と同様の変形例:各ティルティングパッド2のホットスポット外周面18を、そこに溝あるいは凹部(図3の符号12参照)を形成して周囲よりも薄くする。
(2) 第3実施例と同様の変形例:各ティルティングパッド2のホットスポット外周面18をハニカム構造(図4の符号13参照)に形成する。
(3) 第4実施例と同様の変形例:ホットスポット10の温度を検出する温度センサをティルティングパッド2毎に設け、また、流量調節弁を各冷却ノズル4の潤滑油供給路毎に設けて、各ホットスポット10の温度が所定値以下となるように各流量調節弁をコントローラで制御する(図5参照)。つまり、所定値より温度が高いホットスポット10に対応するホットスポット外周面18に、より多くの潤滑油を噴射する。
(4) 第5実施例と同様の変形例:ベースリング1に、1つのティルティングパッド2当たり多数、冷却ノズル4を設け、各ティルティングパッド2のパッド外周面17全体を多数の冷却ノズル4から潤滑油を噴射して直接冷却する(図6参照)。
(5) 第6実施例と同様の変形例:各ティルティングパッド2毎に温度センサを冷却ノズル4と同じく多数個所に設け、また、各冷却ノズル4の潤滑油供給路毎に流量調節弁を設けて、ティルティングパッド2の多数個所の温度が全て所定値以下となるように各流量調節弁をコントローラで制御する(図7参照)。つまり、ティルティングパッド2のパッド外周面17のうち、所定値より温度が高い個所により多くの潤滑油を噴射する。
【0053】
第1実施例にて説明したと同様、第2〜第4実施例及び第7実施例でも、回転軸5の回転方向8が一定方向であると仮定しているので、冷却ノズル4を1つのティルティングパッド2当たり1つ設けているが、回転軸5が正逆両方向に回転するものであれば、回転方向に応じてホットスポット10の発生場所が異なるので、ホットスポット10の発生場所に応じて1つのティルティングパッド2当たり冷却ノズル4を2つ設けると良い。この場合、例えば、回転方向に応じて2つの冷却ノズル4を切り替えてホットスポット10に対応する方の冷却ノズル4のみから潤滑油を噴射させたり、あるいは、回転方向にかかわらず常に2つの冷却ノズル4から潤滑油を噴射させたりすることができる。第5、第6実施例のように1つのティルティングパッド2当たり冷却ノズル4を多数設ける場合は、多数の冷却ノズル4が平均的に配置されていれば、回転軸5の正逆両方向の回転に対応することができる。
【0054】
回転軸5に両方向のスラスト荷重が生じる場合は、第2〜第7実施例いずれかのすべり軸受を2つ用い、スラストカラー3の両側に配置することで、両方向のスラスト荷重を支承することができる。
【0055】
上述した第1〜第7実施例は、個別に実施する他、任意の複数を組み合わせて実施することが可能である。
【0056】
また、上述した第1〜第7実施例のすべり軸受はいずれも、スラスト軸受だけでなく、蒸気タービンやガスタービン、水力タービンなど各種回転機械の回転軸5に対するジャーナル軸受としても使用できるものである。
【0057】
上述した本発明のすべり軸受をスラスト軸受あるいはジャーナル軸受等として用いて回転軸5を支持した種々の回転機械は、ティルティングパッド2のホットスポット10の温度が低減するので、高面圧化及び高回転化が可能である。
【0058】
【発明の効果】
第1発明は、ベースリングと、前記ベースリングにリング状に配置された複数のティルティングパッドと、被支持部材の摺動面に潤滑油を直接給油する給油ノズルとを備えるすべり軸受において、ティルティングパッド毎にパッド背面に潤滑油を直接噴射する冷却ノズルを前記ベースリングに備えるので、各ティルティングパッドの温度が低減し、従って、各ホットスポットの温度が低減する。これにより、高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0059】
第2発明は、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先がパッド背面のうちホットスポット対応部分であるので、ホットスポットの温度がより低減し、一層の高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0060】
第3発明は、前記ホットスポット対応部分が周囲より薄いので、熱伝導が良く、ホットスポットの温度がより低減する。
【0061】
第4発明は、前記ホットスポット対応部分がハニカム構造であるので、熱伝導が良く、ホットスポットの温度がより低減する。
【0062】
第5発明は、前記冷却ノズルが潤滑油をパッド外周面に噴射先するので、各ティルティングパッドの温度が低減し、従って、各ホットスポットの温度が低減する。これにより、高面圧化及び高回転化が可能になる。
【0063】
第6発明は、第5発明のすべり軸受において、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先がパッド外周面のうちホットスポット対応部分であるので、ホットスポットの温度がより低減する。
【0064】
第7発明は、ティルティングパッド毎にホットスポットの温度を検出する複数の温度センサと、冷却ノズル毎に流量を調整する複数の流量調節弁と、検出した温度が所定値以下となるように各流量調節弁を制御するコントローラとを備えるので、全てのホットスポットの温度が確実に低減する。
【0065】
第8発明は、1つのティルティングパッド当たり複数の冷却ノズルを備え、各ティルティングパッドの複数個所に潤滑油を噴射するように構成したので、各ティルティングパッド全体の温度が効果的に低減し、従って、各ホットスポットの温度が低減する。
【0066】
第9発明は、第8発明のすべり軸受において、ティルティングパッド毎に複数個所の温度を監視する複数の温度センサと、冷却ノズル毎に流量を調節する複数の流量調節弁と、検出した温度が所定値以下となるように各流量調節弁を制御するコントローラとを備えるので、全てのホットスポットの温度が確実に低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るすべり軸受を示す図。
【図2】図1中のII−II線断面図。
【図3】本発明の第2実施例に係るすべり軸受を示す、図2相当の断面図。
【図4】本発明の第3実施例に係るすべり軸受を示す、図2相当の断面図。
【図5】本発明の第4実施例として、図2相当の断面構造と潤滑油噴射流量の制御系とを示す図。
【図6】本発明の第5実施例に係るすべり軸受を示す、図2相当の断面図。
【図7】本発明の第6実施例として、図6相当の断面構造と潤滑油噴射流量の制御系とを示す図。
【図8】本発明の第7実施例に係るすべり軸受を示す図。
【図9】図8中のIX−IX線断面図。
【符号の説明】
1 ベースリング
1a 環状凸部
2 ティルティングパッド
3 給油ノズル
4 冷却ノズル
5 回転軸
6 スラストカラー(被支持部材)
7 支点
8 回転方向
9 パッド背面
10 ホットスポット
11 ホットスポット背面(パッド背面のうちホットスポット対応部分)
12 ホットスポット背面に形成した凹部あるいは溝
13 ハニカム構造
14 温度センサ
15 流量調節弁
16 コントローラ
17 パッド外周面
18 ホットスポット外周面(パッド外周面のうちホットスポット対応部分)
Claims (9)
- ベースリングと、前記ベースリングにリング状に配置された複数のティルティングパッドと、被支持部材の摺動面に潤滑油を直接給油する給油ノズルとを備えるすべり軸受において、前記ベースリングに設けられ、ティルティングパッド毎にパッド背面に潤滑油を直接噴射する冷却ノズルを備えることを特徴とするすべり軸受。
- 請求項1に記載のすべり軸受において、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先がパッド背面のうちホットスポット対応部分であることを特徴とするすべり軸受。
- 請求項2に記載のすべり軸受において、前記ホットスポット対応部分が周囲より薄いことを特徴とするすべり軸受。
- 請求項2に記載のすべり軸受において、前記ホットスポット対応部分がハニカム構造であることを特徴とするすべり軸受。
- 請求項1に記載のすべり軸受において、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先が、パッド背面に代えて、パッド外周面であることを特徴とするすべり軸受。
- 請求項5に記載のすべり軸受において、前記冷却ノズルの潤滑油噴射先がパッド外周面のうちホットスポット対応部分であることを特徴とするすべり軸受。
- 請求項2、3、4、6のうちいずれか1つに記載のすべり軸受において、ティルティングパッド毎にホットスポットの温度を検出する複数の温度センサと、冷却ノズル毎に流量を調整する複数の流量調節弁と、検出した温度が所定値以下となるように各流量調節弁を制御するコントローラとを備えることを特徴とするすべり軸受。
- 請求項1または5に記載のすべり軸受において、1つのティルティングパッド当たり複数の冷却ノズルを備え、各ティルティングパッドの複数個所に潤滑油を噴射するように構成したことを特徴とするすべり軸受。
- 請求項8に記載のすべり軸受において、ティルティングパッドの複数個所の温度を監視する複数の温度センサと、冷却ノズル毎に流量を調節する複数の流量調節弁と、検出した温度が所定値以下となるように各流量調節弁を制御するコントローラとを備えることを特徴とするすべり軸受。
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