JP2004103473A - 非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池特性の劣化が抑制された非水電解質電池を提供する。
【解決手段】負極2と、正極3と、非水電解質7とからなり、非水電解質7は、電解質塩として六フッ化リン酸リチウムを含有、非水溶媒に少なくともエチレンカーボネートを含む環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有させることによって、負極と非水電解質7との反応が抑えられるため、非水電解質7の劣化が抑制されるため、電池特性の低下が防止される。なお、上記非水電解質7はエチレンカーボネートの含有量が非水溶媒全体に対して10体積%以上、60体積%以下の範囲である。
【選択図】 図1
【解決手段】負極2と、正極3と、非水電解質7とからなり、非水電解質7は、電解質塩として六フッ化リン酸リチウムを含有、非水溶媒に少なくともエチレンカーボネートを含む環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有させることによって、負極と非水電解質7との反応が抑えられるため、非水電解質7の劣化が抑制されるため、電池特性の低下が防止される。なお、上記非水電解質7はエチレンカーボネートの含有量が非水溶媒全体に対して10体積%以上、60体積%以下の範囲である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極、負極及び複数種の非水溶媒を有する非水電解質を備え、電池特性の良好な非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
充放電が可能な非水電解質二次電池は、例えば携帯電話機、カメラ一体型VTR(video tape recorder)、ラップトップコンピュータ等のポータブル電子機器の電源として広く用いられている。このため、非水電解質二次電池には、これらの電子機器の発展に伴いエネルギー密度の向上及び小型軽量化が求められている。非水電解質二次電池の中でも、鉛電池やニッケルカドミウム電池等よりも高エネルギーを有し、長時間使用可能なリチウムイオン二次電池がある。
【0003】
リチウムイオン二次電池には、良好な電池特性を得るために、負極活物質に例えば難黒鉛化性炭素や黒鉛等といった炭素質材料を用いる。このような負極活物質については、例えば特開平8−315825号公報に記載されているように、炭素質材料を出発原料に選び、炭素質材料の製造条件と制御することで更なる高容量化が可能であることが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したリチウムイオン二次電池では、負極活物質に炭素質材料を用いた負極の放電電位がリチウムに対して0.8V〜1.0Vと高くなってしまうことから、更なる高容量化が困難となる。また、リチウムイオン二次電池では、充放電曲線の形状のヒステリシスが大きく、充放電サイクル特性が劣化するといった問題も有している。
【0005】
このような問題を解決するリチウムイオン二次電池としては、炭素質材料をリチウム合金等に換え、このリチウム合金の電気化学的な生成/分解の可逆反応を応用させることで充放電を行う負極活物質となる。リチウム合金としては、例えばLi−Al合金やLi−Si合金等が用いられており、特にUS−Patent Number4950566において、Siとの合金を負極活物質として用いることが提案されている。
【0006】
しかしながら、リチウムイオン二次電池では、Li−Al合金やLi−Si合金等を負極活物質に用いて高温保存した場合、負極と非水電解液とが過剰に反応するため、非水電解液の分解が起こり、分解された非水電解液が負極表面に皮膜となって形成される。このため、リチウムイオン二次電池は、皮膜の形成により負極に対するリチウムイオンのドープ・脱ドープが妨げられ、十分な容量及び良好な充放電サイクル特性を得ることが困難となる。また、リチウムイオン二次電池は、非水電解液の分解により、非水電解液が劣化するため電池特性が低下してしまう。
【0007】
したがって、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、高温保存による電池特性の低下が抑えられた非水電解質電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る非水電解質電池は、負極活物質としてリチウムと化合可能な元素、及び/又はこの元素の化合物を有する負極と、リチウムをドープ・脱ドープすることが可能な正極活物質を有する正極と、非水溶媒及び電解質塩を含有する非水電解質とを備え、非水電解質は、非水溶媒に少なくともエチレンカーボネートを含む環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有し、電解質塩に六フッ化リン酸リチウムを含有していることを特徴とする。
【0009】
この非水電解質電池によれば、非水電解質の非水溶媒にエチレンカーボネートを含む鎖状炭酸エステルと、環状炭酸エステルとを含有しており、特にエチレンカーボネートが高温保存された場合に負極と非水電解質との反応を抑制させることから、非水電解質の分解が抑えられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した非水電解質電池について説明する。この非水電解質二次電池としてリチウムイオン二次電池1(以下、電池1と記す。)の一構成例を図1に示す。この電池1は、帯状の負極2と、帯状の正極3とがセパレータ4を介して密着状態で捲回された電極体5と、電極体5を収容する外装缶6と、非水電解液7と、電池蓋8とを備える。電池1は、電極体5を外装缶6に収納し、外装缶6に調製した非水電解液7を注入して、電池蓋8をかしめることにより封口された構造を有する。
【0011】
負極2は、負極集電体9上に負極活物質を含有する負極合剤層10が形成されている。負極活物質には、リチウムと化合可能な元素、及び/又はこの元素の化合物を用いる。具体的に、リチウムと化合可能な元素としては、例えば、Zn、Cd、Pb、Sn、Bi、In、Sb、Ge、B、Si、As等があり、これらのうち一種以上を用いる。
【0012】
この元素の化合物としては、例えばリチウムと化合可能な元素をMとした場合、化学式MxM´yLiz(M´は、Li或いはM元素以外の1つ以上の金属であり、xは0より大きい数値、y、zは0以上の数値である。)で示される。具体的には、Li−Al、Li−Al−M(式中、Mは、2A族,3B族,4B族、遷移金属元素のうち1つ以上から形成される。)、AlSb、CuMgSb等である。なお、上述したリチウムと化合可能な元素の中でも、Si又はSnを用いるのことが好ましく、更に好ましくはSiである。例えば、Si及びSnの化合物としては、化学式MxSiやMxSn(式中、Mは、Si又はSnを除く1つ以上の金属元素である。)で示される。具体的には、SiB4,SiB6,Mg2Si,Mg2Sn,Ni2Si,TiSi2,MoSi2,CoSi2,NiSi2,CaSi2,CrSi2,Cu5Si,FeSi2,MnSi2,NbSi2,TaSi2,VSi2,WSi2,ZnSi2等が挙げられ、これらのうち何れか一種以上を混合して用いる。なお、負極活物質には、上述した元素や化合物を複数含有させることも可能である。
【0013】
上述した負極活物質は、各出発原料を混合した混合物をアルゴン等の不活性ガス雰囲気中、或いは還元性ガス雰囲気中で加熱処理し、加熱処理された混合物を粉砕することによって作製する。なお、負極活物質は、この作製方法に限定されることなく、各出発原料に機械的な力を加えることによって合金を形成するメカニカルアロイング法によって作製させることもできる。
【0014】
また、上述した元素や化合物の他に、負極活物質としては、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素質材料等も挙げられる。具体的に、炭素質材料としては、例えば難黒鉛化炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解性炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物、焼成体、炭素繊維或いは活性炭等がある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークス、或いは石油コークス等がある。有機高分子化合物とは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものであり、一部には難黒鉛化炭素又は易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これらの炭素質材料は、上述した化合物等に混合させて用いることも可能であり、このように用いた場合、導電材としても機能する。
【0015】
負極2において、負極集電体9には、例えば網状や箔状の銅等を用いる。また、負極2において、負極合剤層10には、上述した負極活物質の他に、例えばポリテトラフルフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデン等の結着剤が含有されている。
【0016】
正極3は、正極集電体11上に、正極活物質を含有する正極合剤層12が形成されている。正極活物質には、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な金属酸化物、金属硫化物又は特定のポリマーが含有されている。例えば、正極活物質としては、TiS2、MoS2、NbSe2、V205等のリチウムを含有しない金属硫化物又は酸化物、或いはリチウム複合酸化物がある。リチウム複合酸化物は、化学式Li(1+x)MyM′(1−x−y)O2(式中、Mは、Co又はNiであり、M′がCoの場合には、MはNi、Mn、Mg、Al、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、Sr、Wから選ばれる少なくとも一種以上の元素を示し、xは、−0.1≦x≦0.1であり、yは、y=0又は0.005≦y≦0.5である。)で示される。具体的には、六方晶構造を有するリチウム・コバルト複合酸化物やリチウム・ニッケル複合酸化物、或いはスピネル構造を有するリチウム・マンガン複合酸化物等がある。
【0017】
正極3において、正極集電体11には、例えば網状や箔状のアルミニウム等を用いる。正極3において、正極合剤層12には、上述した正極活物質の他に、結合剤としてポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデンを、導電材として人工黒鉛やカーボンブラック等が含有されている。
【0018】
非水電解液7は、非水溶媒に電解質塩を溶解させることで調製される。具体的には、少なくともエチレンカーボネートを含有する環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを混合した非水溶媒を用い、この非水溶媒に六フッ化リン酸リチウム等の電解質塩を溶解させて調製される。
【0019】
環状炭酸エステルには、エチレンカーボネートの他に、プロピレンカーボネート等がある。鎖状炭酸エステルには、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等がある。この非水電解液7では、非水溶媒として上述した環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルの他に、例えば1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラビドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの一種以上を含有させることも可能である。
【0020】
非水溶媒に溶解させる電解質塩としては、上述したLiPF6他に、例えば、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうち一種以上を混合させて用いることも可能である。
【0021】
電池1では、非水電解液7に少なくともエチレンカーボネートを含む環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有する非水溶媒を用いており、特にエチレンカーボネートが高温保存した場合に負極2と非水電解液7との反応を抑えて、熱による非水電解液7の分解を抑制させる。
【0022】
このため、電池1では、高温保存された際の熱により分解された非水電解液7が負極2の表面で被膜となることを抑制し、従来のように皮膜によってリチウムイオンのドープ・脱ドープが妨げられることが防止され、リチウムイオンのドープ・脱ドープが適切に行われることから、電池容量及び充放電サイクル特性等の低下が抑制される。また、電池1では、非水電解液7の分解が抑制されて、非水電解液7の劣化が防止されていることから、電池特性の低下が抑制される。
【0023】
更に、非水電解液7は、非水電解液7の電解質塩として含有されているLiPF6により、非水電解液7が高い酸化安定性を有することから、高温保存により分解されることなくリチウムイオンの移動が適切に行われ、高い電池特性が得られることになる。
【0024】
非水電解液7は、エチレンカーボネートの含有量を非水溶媒全体に対して10体積%以上、60体積%以下の範囲とされている。エチレンカーボネートの含有量が10体積%より少ない場合、電池1では、高温保存された際、負極2と非水電解液7とが反応して、非水電解液7の分解が起こってしまう。一方、エチレンカーボネートの含有量が60体積%より多い場合、電池1では、非水電解液7の粘性が高くなるため、負極2、正極3の間のリチウムイオンの移動がしにくくなり、その結果、電池1の内部抵抗が高くなり、電池特性が低下してしまう。
【0025】
したがって、非水電解液7は、エチレンカーボネートの含有量を非水溶媒全体に対して10体積%以上、60体積%以下の範囲にすることによって、負極2の表面に被膜が形成されることを防止し、負極2、正極3及びセパレータ4に適切に含浸されるようになることから、リチウムイオンのドープ・脱ドープが適切に行われ、電池1の電池特性の低下を防止するように作用する。
【0026】
更に、非水電解液7は、電解質塩の濃度を非水電解質全体に対して、0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲とする。電解質塩の濃度が0.4mol/lより低い場合、電池1では、非水電解液7中のリチウムイオンの濃度が低いため、電気伝導度が小さくなり、電池特性が低下してしまう。一方、電解質塩の濃度が非水電解質全体に対して2.0mol/lより高い場合、電池1では、非水電解液7中のリチウムイオンの濃度が高いため、非水電解液7の粘性が高くなり、負極2、正極3の間のリチウムイオンの移動がしにくくなる。このため、電池1の電池特性が低下してしまう。
【0027】
したがって、非水電解溶液7における電解質塩の濃度を非水電解質全体に対して、0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲にすることによって、電池1では、非水電解液7中のリチウムイオンの濃度が適切となることから、リチウムイオンのドープ・脱ドープ量が良好となり、電池特性の低下が抑制される。
【0028】
また、電池1に対する非水電解液7の注入量は、電池1に用いられる負極活物質1g当たり0.2cm3以上、0.6cm3以下の範囲としている。非水電解液7の注入量が負極活物質1g当たり0.2cm3より少ない場合、電池1では、注入量が少なすぎるため、電極体5への液まわりが不十分となることから、内部抵抗が高くなって充放電サイクル特性等の電池特性を低下させてしまう。一方、非水電解液7の注入量が負極活物質1g当たり0.6cm3より多い場合、電池1では、結着剤が膨張し、活物質中の粒子間の接触が悪くなり、電気伝導性が低下し、電池1の内部抵抗が上昇してしまう。
【0029】
したがって、電池1では、非水電解液7の注入量を負極活物質1g当たり0.2cm3以上、0.6cm3以下の範囲にすることによって、電極体5の全体に十分に非水電解液7が行き渡り、内部抵抗が高くなることが抑制され、かつ結着剤の膨張を抑制でき、十分な電池容量及び良好な充放電サイクル特性が得られるようになる。
【0030】
セパレータ4は、負極2と正極3とを隔離して、両極の接触による内部短絡を防止すると共に、非水電解質液7中のリチウムイオンを通過させるものである。セパレータ4は、孔の平均粒径が5μm以下程度の微小な孔を多数有する樹脂からなる微多孔性膜である。樹脂としては、例えば、オレフィン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン等があり、その他にもガラス繊維、アルミナ繊維等を用いることが可能である。中でも、ポリプロピレンやポリオレフィンは、短絡防止効果に優れ、シャットダウン効果により電池1の安全性を向上させることから、セパレータ4として好ましい樹脂である。
【0031】
以上のような構成の円筒型の電池1は、次のようにして製造される。先ず、負極2を作製する。負極2を作製する際は、上述したようなリチウムと化合可能な元素、及び/又はこの元素の化合物からなる負極活物質に、結着剤を所定の割合で混合して負極合剤塗液を調製する。次に、得られた負極合剤塗液を負極集電体9の両面に未塗工部を設けるように均一に塗布し、乾燥することで負極合剤層10を形成し、乾燥後、所定の形状に裁断する。次に、負極集電体9が露出している未塗工部に負極リード16、例えば超音波溶接や、スポット溶接等により接合する。このようにして、帯状の負極2が作製される。
【0032】
次に、正極3を作製する。正極3を作製する際は、上述した正極活物質と、導電剤と、結着剤とを有機溶媒に分散させて正極合剤塗液を作製する。この正極合剤塗液を正極集電体11の両面上に、未塗工部を設けるように均一に塗布し、乾燥することで正極合剤層12を形成し、所定の寸法に裁断する。次に、正極集電体が露出している未塗工部に正極リード14、例えば超音波溶接や、スポット溶接等により接合する。このようにして、帯状の正極2が作製される。
【0033】
次に、以上のようにして作製された負極2と正極3とを多孔性ポリオレフィンフィルム等からなるセパレータ4を介して多数回捲回して、渦巻き型の電極体5を作製した後、この電極体5を絶縁板13と共に外装缶6内に挿入する。そして、負極2の集電をとるために、負極2から導出される負極リード10を外装缶6に溶接し、正極3の集電をとるために、正極3から導出される正極リード14を電流遮断用薄板15に溶接して電池蓋8に溶接する。これにより、外装缶6は、電池1における外部負極となり、電池蓋8は電池1の外部正極となる。
【0034】
次に、上述した電極体5が組み込まれた電池缶6内に、少なくともエチレンカーボネートを含有する環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有するように調製した非水電解液7を注入後、絶縁封ロガスケット17を介して外装缶6をかしめることにより電池蓋8が固定される。このようにして、電池1が製造される。なお、電池1において、巻回するときに巻回軸となるセンターピン18が設けられているとともに、電池1内部の圧力が所定の値よりも高くなった場合に、電池1内部の気体を抜くための安全弁19、及び電池1内部の温度上昇を防止するためのPTC(positive temperature coefficient)素子20が設けられている。
【0035】
以上のように製造される電池1では、少なくともエチレンカーボネートを含む環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有した非水電解液7を用いることにより、高温保存された場合でも、この非水電解液7に含有されているエチレンカーボネートにより、負極2と非水電解液7とが反応してしまうことを抑えられる。したがって、電池1では、非水電解液7の分解による負極2の表面への被膜形成が防止されると共に、非水電解液7の劣化が抑制されるため、高温保存されてもリチウムイオンのドープ・脱ドープが適切に行われることから、十分な電池特性が得られる。
【0036】
また、電池1では、非水電解液7に電解質塩として含有されるLiPF6により、非水電解液7は高い酸化安定性を有していることから、高温保存により分解されることなくリチウムイオンの移動を適正に行われる。したがって、電池1では、高容量の電池容量が得られる。
【0037】
なお、上述した実施の形態において、非水電解質として非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液7を用いたが、このことに限定されることはなく、非水電解液7を有機高分子の高分子マトリックスに含浸させてゲル状としたゲル状電解質を非水電解質に用いることも可能である。このゲル状電解質において、高分子マトリックスには、非水電解液7を吸収してゲル化するものであれば種々の有機高分子を使用できる。有機高分子には、例えば、ポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)等のフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)や図架橋体等のエーテル系高分子、又はポリアクリロニトリル等がある。特に、ゲル状電解質のマトリックスには、酸化還元安定性からフッ素系高分子を用いることが望ましい。
【0038】
以上では、円筒型の電池1について説明しているが、本発明を適用した非水電解質電池の形状について特に限定されることはなく、角型、コイン型、ボタン型、薄型等の種々の形状に適用可能である。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を適用した非水電解質電池として、実際に円筒型のリチウムイオン二次電池を作製したサンプルについて説明する。
【0040】
サンプル1
サンプル1では、先ず、負極を作製した。負極を作製する際には、出発原料とするSi粉末を20gと、Cu粉末を80gとを混合して、この混合物を石英ボードに入れて、アルゴンガス雰囲気中、1500℃で加熱し、室温まで冷却した。得られた混合物をアルゴンガス雰囲気中でボールミルにて粉砕、分級することによって粉末状の80wt%Cu−20wt%Si合金を得た。このとき、80wt%Cu−20wt%Si合金粉末は、走査型電子顕微鏡により観察した結果、粉末の平均粒径が10μmであることが確認された。
【0041】
次に、得られた80wt%Cu−20wt%Si合金粉末を45重量部と、リン片状黒鉛(ティミカル製KS−44)を45重量部とを混合した負極活物質に、結着剤としてポリビニリデンフルオライド(PVdF)を10重量部とを、n−メチルピロリドンを溶媒にして、プラネタリーミキサーを用いて混練、分散を行い、負極合剤塗液を作製した。次に、得られた負極合剤塗液を塗工装置としてダイコータを用いて、帯状に形成した厚さが10μmの銅箔からなる負極集電体の両面上に均一に塗布して、乾燥させた。乾燥後、ロールプレス機で圧縮形成し、負極集電体の両面上に負極合剤層を形成した。次に、両面上に負極合剤層が形成された帯状の負極集電体を長さ56mm間隔で裁断し、この負極集電体の所定の位置に、負極集電体の幅方向の一端部から突出するように負極リードとしてニッケル片を接続した。以上のようにして、短冊状の負極を作製した。
【0042】
次に、正極を作製した。正極を作製する際は、出発原料となる炭酸リチウムを0.5モルと、炭酸コバルトを1.0モルとをミキサーで十分に混合して、電気炉にて900度の空気中で5時間焼成し、焼成後に粉砕することにより粉末状の正極活物質を合成した。このとき、この正極活物質に対して、X線回析測定を行いLiCoO2であることを確認した。
【0043】
次に、このLiCoO2を91重量部と、導電剤としてグラファイトを6重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3重量部と、溶媒N−メチル−2−ピロリドンとを混合し、プラネタリーミキサーを用いて混練、分散を行い、正極合剤塗液を作製した。次に、塗工装置としてダイコータを用いて、帯状の形成された厚さが20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面上に、正極合剤塗液を均一に塗布して、乾燥させた。乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形し、正極集電体の両面に正極合剤層を形成した。次に、両面上に正極合剤層が形成された帯状の正極集電体を長さ54mm間隔で裁断し、この正極集電体の所定位置に、正極集電体の幅方向の一端部から突出するように正極リードとして、アルミニウム片を接続した。以上のようにして、短冊状の正極を作製した。
【0044】
次に、以上のように作製された正極と負極との間に厚さ25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータを介在させて、これらを複数積層させた積層体を多数巻回して電極体を作製した。このとき、得られた電池素子の一方端面から正極端子が、他方端面から負極端子が導出するようにした。
【0045】
次に、作製された電極体から導出している正極端子を電池蓋に、負極端子を鉄にニッケルめっきを施した外装缶にそれぞれ溶接すると共に、電池素子を外装缶に収納した。
【0046】
次に、環状炭酸エステルとしてエチレンカーボネート(EC)を10体積%と、鎖状炭酸エステルとしてジエチルカーボネート(DEC)を90体積%とを混合した非水溶媒に、濃度1mol/lのLiPF6を溶解させて調製した。次に、この非水電解液を外装缶内に注入し、アスファルトを塗布した絶縁ガスケットを介して、外装缶の開口部に正極端子が接合された電池蓋を圧入して外装缶の開口部をかしめることにより電池蓋を強固に固定した。以上のようにして、円筒形のリチウムイオン二次電池(直径18mm、高さ65mm、内径17.38mm、缶肉厚0.31mm、容量3000mAh)を作製した。
【0047】
サンプル2
サンプル2では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを20体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを80体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0048】
サンプル3
サンプル3では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを30体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを70体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0049】
サンプル4
サンプル4では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを40体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを60体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0050】
サンプル5
サンプル5では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを50体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを50体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0051】
サンプル6
サンプル6では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを60体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを40体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0052】
サンプル7
サンプル7では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを40体積%と、鎖状炭酸エステルとしてメチルエチルカーボネート(MEC)を60体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0053】
サンプル8
サンプル8では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを40体積%と、鎖状炭酸エステルとしてジメチルカーボネート(DMC)を60体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0054】
サンプル9
サンプル9では、非水電解液を調製する際に、非水溶媒として鎖状炭酸エステルのDECだけを用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0055】
サンプル10
サンプル10では、非水電解液を調製する際に、鎖状炭酸エステルのDECを80体積%と、鎖状炭酸エステルのポリカーボネート(PC)20体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0056】
サンプル11
サンプル11では、非水電解液を調製する際に、鎖状炭酸エステルのDECを90体積%と、鎖状炭酸エステルのPCを10体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0057】
サンプル12
サンプル12では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを70体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを30体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0058】
次に、以上のように作製したサンプル1乃至サンプル12に対して、高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率及び負荷特性を測定した。サンプル1乃至サンプル8に対する各測定結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1において、サンプル1乃至サンプル12の高温保存後の自己放電率及び高温保存後の容量回復率を次のようにして評価した。各サンプルに対して、最大電圧4.2V、充電電流1A、充電時間5時間の充電条件で充電を行った後、放電電流1A、終止電圧2.5Vの放電条件で放電を行い、初期容量を測定した。次に、同充電条件で充電を行った後に、45℃のオーブン中で、一ヶ月間保存した。次に、保存後の電池を室温まで空冷した後に、上述した放電条件と同様にして放電を行い、45℃一ヶ月保存後の放電容量を測定した。次に、再度、同様の条件で充電及び放電を行い、回復容量を測定した。
【0061】
そして、各サンプルの高温保存後の自己放電率は、以上のようにして得られた初期容量と、45℃一ヶ月保存後の放電容量とを[100−(45℃一ヶ月保存後の放電容量)]/初期容量の式にあてはめることで求められる。
【0062】
また、各サンプルの高温保存後の容量回復率は、初期容量に対する回復容量の比率である。
【0063】
次に、サンプル1乃至サンプル12の負荷特性を次のようにして評価した。各サンプルに対して、最大電圧4.2V、充電電流1A、充電時間5時間の条件で充電を行った後、放電電流1A、終止電圧2.5Vまで大電流放電を行い、再度同様の条件で充電を行った。次に、放電電流3A、終止電圧2.5Vまで放電を行い、3A放電容量を測定した。また、各サンプルに対して、同様の充放電条件で、充放電を行った後に放電電流0.2A、終止電圧2.5Vまで放電を行い、0.2A放電容量を測定した。そして、負荷特性は、0.2A放電容量に対する3.5A放電容量の比率である。
【0064】
表1に示す結果から、負極活物質にCu−Si合金を用い、環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量が10体積%以上、60体積%以下の範囲にされたサンプル1乃至サンプル8は、環状炭酸エステルであるECが含有されていないサンプル9乃至11と比べて、高温保存後の自己放電率が抑制され、高温保存後の容量回復率が大きくなっていることが分かる。
【0065】
サンプル9乃至サンプル11では、環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中に含有されていないため、高温保存された際の熱によって、負極と非水電解液との反応が起こり非水電解液が分解してしまうため、高温保存により電池特性が低下してしまう。また、サンプル9乃至サンプル11では、分解された非水電解液が負極表面に皮膜となって形成されるため、この被膜によって負極に対するリチウムイオンのドープ・脱ドープが妨げられ、電池特性が低下してしまう。
【0066】
また、サンプル7及びサンプル8に示すように、鎖状炭酸エステルとしてDECだけではなく、MECやDMCを用いた場合も、同様に高温保存後の自己放電率が抑制されており、高温保存後の容量回復率及び負荷特性を大きくなることが分かる。
【0067】
これらのサンプルに対して、サンプル1乃至サンプル8は、非水溶媒中の環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量を10%以上、60%以下の範囲にされていることにより、高温保存された場合でも、負極と非水電解液との反応が抑えられるため、非水電解液の分解が抑制される。したがって、サンプル1乃至サンプル8では、高温保存後の電池特性の低下が抑制されるため、サンプル9乃至サンプル11と比べて高温保存後の自己放電率が抑制され、高温保存後の容量回復率が大きいことが分かる。
【0068】
また、表1に示す結果から、サンプル1乃至サンプル8は、ECの含有量が70体積%にされたサンプル12と比べて、負荷特性が大きいことが分かる。
【0069】
サンプル12は、鎖状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量が70体積%であることから、非水電解液の粘性が高くなり、リチウムイオンの移動がしにくくなる。したがって、サンプル12では、電池内部のリチウムイオン拡散に基づく抵抗が高くなり、大電流を流した際の電池特性が低下してしまう。
【0070】
サンプル12に対して、サンプル1乃至サンプル8は、ECの含有量を10体積%以上、60体積%以下の範囲とすることによって、非水電解液の粘性が適切となり、リチウムイオンの移動がし易くなる。したがって、サンプル1乃至サンプル8では、リチウムイオン拡散に基づく抵抗の上昇が抑えられるため、サンプル12に比べて負荷特性が大きくなる。
【0071】
以上のことから、リチウムイオン二次電池を作製する際に、非水電解液中の環状炭酸エステルであるECの含有量を10体積%以上、60体積%以下の範囲ととすることは、高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率、及び負荷特性の優れたリチウムイオン二次電池を製造する上で大変有効であることが分かる。
【0072】
次に、サンプル1とは、負極活物質80wt%Cu−20wt%Si合金を20wt%Cu−80wt%Sn合金に変えて作製したサンプル13乃至サンプル18について説明する。
【0073】
サンプル13
サンプル13では、負極を作製する際に、負極活物質として20wt%Cu−80wt%Sn合金を用いる。この20wt%Cu−80wt%Sn合金を45重量部と、リン片状黒鉛45重量部と、PVdF10重量部とからなる負極合剤層を有する負極を作製した。この負極を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0074】
サンプル14
サンプル14では、非水電解質を調製する際は、環状炭酸エステルとしてECを20体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを80体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル13と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0075】
サンプル15
サンプル15では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを40体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを60体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル13と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0076】
サンプル16
サンプル16では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを60体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを40体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル13と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0077】
サンプル17
サンプル17では、非水電解液を調製する際に、非水溶媒として鎖状炭酸エステルであるDECだけを用いたこと以外は、サンプル13と同様にして電池を作製した。
【0078】
サンプル18
サンプル18では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを70体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを30体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル13と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0079】
次に、以上のように作製したサンプル13乃至サンプル18に対して、高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率、及び負荷特性を測定した。サンプル13乃至サンプル18のリチウムイオン二次電池に対する各測定結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
表2において、サンプル13乃至サンプル18の高温保存後の自己放電率及び高温保存後の容量回復率、負荷特性は、上述したサンプル13乃至サンプル18の高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率及び負荷特性と同様にして測定した。
【0082】
表2に示す結果から、負極活物質にCu−Sn合金を用い、環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量が10体積%以上、60体積%以下の範囲とされたサンプル13乃至サンプル16は、環状炭酸エステルであるECが含有されていないサンプル17と比べて、高温保存後の自己放電率が抑制され、高温保存後の容量回復率が大きいことが分かる。
【0083】
サンプル17では、環状炭酸エステルであるECが含有されていないため、高温保存された熱によって、負極と非水電解液との反応が起こり、非水電解液が分解してしまうため、高温保存により電池特性が低下してしまう。また、サンプル17は、分解された非水電解液が負極表面に皮膜となって形成されるため、この被膜によって負極に対するリチウムイオンのドープ・脱ドープが妨げられ、高温保存により電池容量が低下してしまう。
【0084】
サンプル17に対して、サンプル13乃至サンプル16は、負極活物質にCu−Sn合金を用いた場合でも、非水溶媒中の環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量を10%以上、60%以下の範囲にされていることから、高温保存されても、負極と非水電解液との反応が抑えられるため、非水電解液の分解が抑制される。したがって、サンプル13乃至サンプル16では、リチウムイオンの自己放電が抑えられると共に、負極に皮膜が形成されず、負極に対するリチウムイオンのドープ・脱ドープが適切に行われるようになるため、サンプル17と比べて、高温保存後の自己放電率及が抑制され、高温保存後の容量回復率が大きくなっている。
【0085】
また、表2に示す結果から、サンプル13乃至サンプル16は、ECの含有量が70体積%とされたサンプル18と比べて、負荷特性が大きいことが分かる。
【0086】
サンプル18では、環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量が70体積%であることから、非水電解液の粘性が高くなり、リチウムイオンの移動がしにくくなる。したがって、サンプル18では、電池内部のリチウムイオン拡散に基づく抵抗が高くなり、大電流を流した際の電池特性が低下してしまう。
【0087】
サンプル18に対して、サンプル13乃至サンプル16は、負極活物質にCu−Sn合金を用いた場合でも、ECの含有量を10体積%以上、60体積%以下の範囲に制御することによって、非水電解液の粘性が適切となり、リチウムイオンの移動がし易くなる。したがって、サンプル13乃至サンプル16では、リチウムイオン拡散に基づく抵抗上昇が抑えられるため、電池特性の低下が抑制され、サンプル18と比べて、負荷特性が大きくなる。
【0088】
以上のことから、リチウムイオン二次電池を作製する際に、負極活物質にCu−Sn合金を用いた場合でも、非水電解液中のECの含有量を10体積%以上、60体積%以下の範囲とさせることは、高温保存後の自己放電率及び容量回復率、負荷特性の優れたリチウムイオン二次電池を製造する上で大変有効であることがわかる。
【0089】
次に、サンプル3とは、電解質塩のLiPF6の濃度を変えて作製したサンプル19乃至サンプル25について説明する。
【0090】
サンプル19
サンプル19では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を0.4mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0091】
サンプル20
サンプル20では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を0.8mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0092】
サンプル21
サンプル21では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を1.0mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0093】
サンプル22
サンプル22では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を1.5mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0094】
サンプル23
サンプル23では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を2.0mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0095】
サンプル24
サンプル24では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を0.3mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0096】
サンプル25
サンプル25では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を2.3mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0097】
次に、以上のように作製したサンプル19乃至サンプル25のリチウムイオン二次電池に対して、高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率、負荷特性を測定した。サンプル19乃至サンプル25のリチウムイオン二次電池に対する各測定結果を表3に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
表3において、サンプル19乃至サンプル25の高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率、及び負荷特性は、上述したサンプル1乃至サンプル8の高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率、及び負荷特性と同様にして測定した。
【0100】
表3に示す評価結果から、LiPF6の濃度が0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲でされたサンプル19乃至サンプル23は、LiPF6の濃度が0.3mol/lであるサンプル24と比べて、負荷特性が大きいことが分かる。
【0101】
サンプル24は、LiPF6の濃度が0.4mol/lより低いため、非水電解液中に存在するリチウムイオンが少なく、電気伝導度が小さくなり、電池特性が低下してしまう。
【0102】
サンプル24に対して、サンプル19乃至サンプル23では、非水電解液中のLiPF6の濃度が0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲とされるため、非水電解液中のリチウムイオンの量が適切となり、負荷特性が大きくなる。
【0103】
また、表3に示す結果から、サンプル19乃至サンプル23は、LiPF6の濃度が2.3mol/lであるサンプル25と比べて、負荷特性が大きいことが分かる。
【0104】
サンプル25は、非水電解液中のLiPF6の濃度が2.3mol/lであり、高濃度であるため、粘性が大きくなり、リチウムイオンの移動がしにくくなる。したがって、サンプル25では、電池内部のリチウムイオン拡散に基づく抵抗が高くなり、負荷特性が低下してしまう。
【0105】
サンプル25に対して、サンプル20乃至サンプル24は、非水電解液中のLiPF6の濃度を0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲とすることによって、非水電解液中に存在するリチウムイオンの量が適切となり、リチウムイオンの移動がし易くなるため、負荷特性が大きくなる。
【0106】
以上のことから、リチウムイオン二次電池を作製する際に、非水電解液中のLiPF6の濃度を0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲とすることは、負荷特性の優れたリチウムイオン二次電池を製造する上で大変有効である。
【0107】
次に、非水電解液の注液量を変えたサンプル26乃至サンプル38について説明する。
【0108】
サンプル26
サンプル26では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルであるECを50体積%と、鎖状炭酸エステルであるDMCを50体積%とを混合した非水溶媒に、濃度1.5mol/lのLiPF6を溶解させた非水電解液を作製した。この非水電解液を負極活物質1g当たり0.20cm3となるように注入した以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0109】
サンプル27
サンプル27では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.25cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0110】
サンプル28
サンプル28では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.30cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0111】
サンプル29
サンプル29では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.35cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0112】
サンプル30
サンプル30では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.40cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0113】
サンプル31
サンプル31では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.45cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0114】
サンプル32
サンプル32では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.50cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0115】
サンプル33
サンプル33では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.55cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0116】
サンプル34
サンプル34では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.60cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0117】
サンプル35
サンプル35では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.14cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0118】
サンプル36
サンプル36では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.18cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0119】
サンプル37
サンプル37では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.62cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0120】
サンプル38
サンプル38では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.64cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0121】
次に、以上のように作製したサンプル26乃至サンプル38に対して、100サイクル目の放電容量維持率を測定した。以下に、サンプル26乃至サンプル38の100サイクル目の放電容量維持率を表4に示す。
【0122】
【表4】
【0123】
表4において、100サイクル目の放電容量維持率は、以下のようにして測定した。サンプル26乃至サンプル38に対して、先ず、上述した充電条件と同様の充電条件で充電を行った後、上述した放電条件と同様の放電条件で放電を行い、この充放電を1サイクルとした。そして、この1サイクル目の放電容量を測定した。次に、同様の充放電条件で、100サイクル充放電を行い、100サイクル目の放電容量を測定した。100サイクル目の放電容量維持率は、1サイクル目の放電容量を100とした場合に対する100サイクル目の放電容量の比率である。
【0124】
表4に示す結果から、非水電解液の注入量が負極活物質1g当たり0.20cm3以上、0.60cm3以下の範囲にされたサンプル26乃至サンプル34は、非水電解液の注入量が負極活物質1g当たり0.20cm3よりも少ないサンプル35及びサンプル36と比べて、100サイクル目の放電容量維持率が大きいことが分かる。
【0125】
サンプル35及びサンプル36は、負極活物質1g当たり非水電解液の注入量が少ないため、電極間への液まわりが不十分となり、電池の内部抵抗が上がり充放電が十分に行われず、充放電サイクル特性が低下してしまう。
【0126】
これらのサンプルに対して、サンプル28乃至サンプル36は、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり、0.20cm3以上、0.60cm3以下の範囲であり、適切な量の非水電解液が注入されていることから、非水電解液が電極体全体に十分に浸透して、リチウムイオンの移動が正負極間で適切となる。したがって、サンプル28乃至サンプル36は、サンプル35及びサンプル36と比べて、良好な充放電サイクル特性が得られるようになる。
【0127】
また、表4に示す結果から、サンプル26乃至サンプル34は、非水電解液の注液量が負極活物質1g当たり0.60cm3より多いサンプル37及びサンプル38と比べて、100サイクル目の放電容量維持率が大きいことが分かる。
【0128】
サンプル37及びサンプル38は、非水電解液の注入量が多すぎるため、結着剤が膨張し、活物質中の粒子間の接触が悪くなり、電子伝導性が低下し、電池の内部抵抗が上昇する。したがって、サンプル37及びサンプル38では、100サイクル目の放電容量維持率が低下する。
【0129】
これらのサンプルに対して、サンプル28乃至サンプル34は、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.20cm3以上、0.60cm3以下の範囲であり、適切な量の非水電解液が注入されることから、非水電解液が電極体全体に十分に浸透して、リチウムイオンの移動が正負極間で適切となり、結着剤が膨張することに基づく電池の内部抵抗上昇を防ぐことができ、サンプル37及びサンプル38と比べて100サイクル目の放電容量維持率の低下が抑制される。
【0130】
以上のことから、リチウムイオン二次電池を作製する際に、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.20cm3以上、0.60cm3以下の範囲とされることは、充放電サイクル特性の優れたリチウムイオン二次電池を製造する上で大変有効である。
【0131】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明は、エチレンカーボネートを含有する環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有する非水電解質を用いることによって、高温保存された場合でも、負極と非水電解液との反応が抑えられるため、電池特性の低下が抑制される。
【0132】
また、本発明では、非水電解質電池内に注入される非水電解液の体積を制御することによって、正負極に対して十分に非水電解液が行き渡ることになり、リチウムイオンの移動が正負極間で適切に行われるようになるため、良好な電池特性が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解質二次電池の縦断面図である。
【符号の説明】
1 電池、2 負極、3 正極、4 セパレータ、5 電極体、6 外装缶、7 非水電解液、8 電池蓋8 負極集電体、10 負極合剤層、11 正極集電体、12 正極合剤層、13 絶縁板、14 正極リード、15 電流遮断用薄板、16 負極リード、17 絶縁封口ガスケット、18 センターピン、19 安全弁、20 PTC素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極、負極及び複数種の非水溶媒を有する非水電解質を備え、電池特性の良好な非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
充放電が可能な非水電解質二次電池は、例えば携帯電話機、カメラ一体型VTR(video tape recorder)、ラップトップコンピュータ等のポータブル電子機器の電源として広く用いられている。このため、非水電解質二次電池には、これらの電子機器の発展に伴いエネルギー密度の向上及び小型軽量化が求められている。非水電解質二次電池の中でも、鉛電池やニッケルカドミウム電池等よりも高エネルギーを有し、長時間使用可能なリチウムイオン二次電池がある。
【0003】
リチウムイオン二次電池には、良好な電池特性を得るために、負極活物質に例えば難黒鉛化性炭素や黒鉛等といった炭素質材料を用いる。このような負極活物質については、例えば特開平8−315825号公報に記載されているように、炭素質材料を出発原料に選び、炭素質材料の製造条件と制御することで更なる高容量化が可能であることが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したリチウムイオン二次電池では、負極活物質に炭素質材料を用いた負極の放電電位がリチウムに対して0.8V〜1.0Vと高くなってしまうことから、更なる高容量化が困難となる。また、リチウムイオン二次電池では、充放電曲線の形状のヒステリシスが大きく、充放電サイクル特性が劣化するといった問題も有している。
【0005】
このような問題を解決するリチウムイオン二次電池としては、炭素質材料をリチウム合金等に換え、このリチウム合金の電気化学的な生成/分解の可逆反応を応用させることで充放電を行う負極活物質となる。リチウム合金としては、例えばLi−Al合金やLi−Si合金等が用いられており、特にUS−Patent Number4950566において、Siとの合金を負極活物質として用いることが提案されている。
【0006】
しかしながら、リチウムイオン二次電池では、Li−Al合金やLi−Si合金等を負極活物質に用いて高温保存した場合、負極と非水電解液とが過剰に反応するため、非水電解液の分解が起こり、分解された非水電解液が負極表面に皮膜となって形成される。このため、リチウムイオン二次電池は、皮膜の形成により負極に対するリチウムイオンのドープ・脱ドープが妨げられ、十分な容量及び良好な充放電サイクル特性を得ることが困難となる。また、リチウムイオン二次電池は、非水電解液の分解により、非水電解液が劣化するため電池特性が低下してしまう。
【0007】
したがって、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、高温保存による電池特性の低下が抑えられた非水電解質電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る非水電解質電池は、負極活物質としてリチウムと化合可能な元素、及び/又はこの元素の化合物を有する負極と、リチウムをドープ・脱ドープすることが可能な正極活物質を有する正極と、非水溶媒及び電解質塩を含有する非水電解質とを備え、非水電解質は、非水溶媒に少なくともエチレンカーボネートを含む環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有し、電解質塩に六フッ化リン酸リチウムを含有していることを特徴とする。
【0009】
この非水電解質電池によれば、非水電解質の非水溶媒にエチレンカーボネートを含む鎖状炭酸エステルと、環状炭酸エステルとを含有しており、特にエチレンカーボネートが高温保存された場合に負極と非水電解質との反応を抑制させることから、非水電解質の分解が抑えられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した非水電解質電池について説明する。この非水電解質二次電池としてリチウムイオン二次電池1(以下、電池1と記す。)の一構成例を図1に示す。この電池1は、帯状の負極2と、帯状の正極3とがセパレータ4を介して密着状態で捲回された電極体5と、電極体5を収容する外装缶6と、非水電解液7と、電池蓋8とを備える。電池1は、電極体5を外装缶6に収納し、外装缶6に調製した非水電解液7を注入して、電池蓋8をかしめることにより封口された構造を有する。
【0011】
負極2は、負極集電体9上に負極活物質を含有する負極合剤層10が形成されている。負極活物質には、リチウムと化合可能な元素、及び/又はこの元素の化合物を用いる。具体的に、リチウムと化合可能な元素としては、例えば、Zn、Cd、Pb、Sn、Bi、In、Sb、Ge、B、Si、As等があり、これらのうち一種以上を用いる。
【0012】
この元素の化合物としては、例えばリチウムと化合可能な元素をMとした場合、化学式MxM´yLiz(M´は、Li或いはM元素以外の1つ以上の金属であり、xは0より大きい数値、y、zは0以上の数値である。)で示される。具体的には、Li−Al、Li−Al−M(式中、Mは、2A族,3B族,4B族、遷移金属元素のうち1つ以上から形成される。)、AlSb、CuMgSb等である。なお、上述したリチウムと化合可能な元素の中でも、Si又はSnを用いるのことが好ましく、更に好ましくはSiである。例えば、Si及びSnの化合物としては、化学式MxSiやMxSn(式中、Mは、Si又はSnを除く1つ以上の金属元素である。)で示される。具体的には、SiB4,SiB6,Mg2Si,Mg2Sn,Ni2Si,TiSi2,MoSi2,CoSi2,NiSi2,CaSi2,CrSi2,Cu5Si,FeSi2,MnSi2,NbSi2,TaSi2,VSi2,WSi2,ZnSi2等が挙げられ、これらのうち何れか一種以上を混合して用いる。なお、負極活物質には、上述した元素や化合物を複数含有させることも可能である。
【0013】
上述した負極活物質は、各出発原料を混合した混合物をアルゴン等の不活性ガス雰囲気中、或いは還元性ガス雰囲気中で加熱処理し、加熱処理された混合物を粉砕することによって作製する。なお、負極活物質は、この作製方法に限定されることなく、各出発原料に機械的な力を加えることによって合金を形成するメカニカルアロイング法によって作製させることもできる。
【0014】
また、上述した元素や化合物の他に、負極活物質としては、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素質材料等も挙げられる。具体的に、炭素質材料としては、例えば難黒鉛化炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解性炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物、焼成体、炭素繊維或いは活性炭等がある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークス、或いは石油コークス等がある。有機高分子化合物とは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものであり、一部には難黒鉛化炭素又は易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これらの炭素質材料は、上述した化合物等に混合させて用いることも可能であり、このように用いた場合、導電材としても機能する。
【0015】
負極2において、負極集電体9には、例えば網状や箔状の銅等を用いる。また、負極2において、負極合剤層10には、上述した負極活物質の他に、例えばポリテトラフルフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデン等の結着剤が含有されている。
【0016】
正極3は、正極集電体11上に、正極活物質を含有する正極合剤層12が形成されている。正極活物質には、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な金属酸化物、金属硫化物又は特定のポリマーが含有されている。例えば、正極活物質としては、TiS2、MoS2、NbSe2、V205等のリチウムを含有しない金属硫化物又は酸化物、或いはリチウム複合酸化物がある。リチウム複合酸化物は、化学式Li(1+x)MyM′(1−x−y)O2(式中、Mは、Co又はNiであり、M′がCoの場合には、MはNi、Mn、Mg、Al、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、Sr、Wから選ばれる少なくとも一種以上の元素を示し、xは、−0.1≦x≦0.1であり、yは、y=0又は0.005≦y≦0.5である。)で示される。具体的には、六方晶構造を有するリチウム・コバルト複合酸化物やリチウム・ニッケル複合酸化物、或いはスピネル構造を有するリチウム・マンガン複合酸化物等がある。
【0017】
正極3において、正極集電体11には、例えば網状や箔状のアルミニウム等を用いる。正極3において、正極合剤層12には、上述した正極活物質の他に、結合剤としてポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデンを、導電材として人工黒鉛やカーボンブラック等が含有されている。
【0018】
非水電解液7は、非水溶媒に電解質塩を溶解させることで調製される。具体的には、少なくともエチレンカーボネートを含有する環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを混合した非水溶媒を用い、この非水溶媒に六フッ化リン酸リチウム等の電解質塩を溶解させて調製される。
【0019】
環状炭酸エステルには、エチレンカーボネートの他に、プロピレンカーボネート等がある。鎖状炭酸エステルには、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等がある。この非水電解液7では、非水溶媒として上述した環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルの他に、例えば1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラビドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの一種以上を含有させることも可能である。
【0020】
非水溶媒に溶解させる電解質塩としては、上述したLiPF6他に、例えば、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうち一種以上を混合させて用いることも可能である。
【0021】
電池1では、非水電解液7に少なくともエチレンカーボネートを含む環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有する非水溶媒を用いており、特にエチレンカーボネートが高温保存した場合に負極2と非水電解液7との反応を抑えて、熱による非水電解液7の分解を抑制させる。
【0022】
このため、電池1では、高温保存された際の熱により分解された非水電解液7が負極2の表面で被膜となることを抑制し、従来のように皮膜によってリチウムイオンのドープ・脱ドープが妨げられることが防止され、リチウムイオンのドープ・脱ドープが適切に行われることから、電池容量及び充放電サイクル特性等の低下が抑制される。また、電池1では、非水電解液7の分解が抑制されて、非水電解液7の劣化が防止されていることから、電池特性の低下が抑制される。
【0023】
更に、非水電解液7は、非水電解液7の電解質塩として含有されているLiPF6により、非水電解液7が高い酸化安定性を有することから、高温保存により分解されることなくリチウムイオンの移動が適切に行われ、高い電池特性が得られることになる。
【0024】
非水電解液7は、エチレンカーボネートの含有量を非水溶媒全体に対して10体積%以上、60体積%以下の範囲とされている。エチレンカーボネートの含有量が10体積%より少ない場合、電池1では、高温保存された際、負極2と非水電解液7とが反応して、非水電解液7の分解が起こってしまう。一方、エチレンカーボネートの含有量が60体積%より多い場合、電池1では、非水電解液7の粘性が高くなるため、負極2、正極3の間のリチウムイオンの移動がしにくくなり、その結果、電池1の内部抵抗が高くなり、電池特性が低下してしまう。
【0025】
したがって、非水電解液7は、エチレンカーボネートの含有量を非水溶媒全体に対して10体積%以上、60体積%以下の範囲にすることによって、負極2の表面に被膜が形成されることを防止し、負極2、正極3及びセパレータ4に適切に含浸されるようになることから、リチウムイオンのドープ・脱ドープが適切に行われ、電池1の電池特性の低下を防止するように作用する。
【0026】
更に、非水電解液7は、電解質塩の濃度を非水電解質全体に対して、0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲とする。電解質塩の濃度が0.4mol/lより低い場合、電池1では、非水電解液7中のリチウムイオンの濃度が低いため、電気伝導度が小さくなり、電池特性が低下してしまう。一方、電解質塩の濃度が非水電解質全体に対して2.0mol/lより高い場合、電池1では、非水電解液7中のリチウムイオンの濃度が高いため、非水電解液7の粘性が高くなり、負極2、正極3の間のリチウムイオンの移動がしにくくなる。このため、電池1の電池特性が低下してしまう。
【0027】
したがって、非水電解溶液7における電解質塩の濃度を非水電解質全体に対して、0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲にすることによって、電池1では、非水電解液7中のリチウムイオンの濃度が適切となることから、リチウムイオンのドープ・脱ドープ量が良好となり、電池特性の低下が抑制される。
【0028】
また、電池1に対する非水電解液7の注入量は、電池1に用いられる負極活物質1g当たり0.2cm3以上、0.6cm3以下の範囲としている。非水電解液7の注入量が負極活物質1g当たり0.2cm3より少ない場合、電池1では、注入量が少なすぎるため、電極体5への液まわりが不十分となることから、内部抵抗が高くなって充放電サイクル特性等の電池特性を低下させてしまう。一方、非水電解液7の注入量が負極活物質1g当たり0.6cm3より多い場合、電池1では、結着剤が膨張し、活物質中の粒子間の接触が悪くなり、電気伝導性が低下し、電池1の内部抵抗が上昇してしまう。
【0029】
したがって、電池1では、非水電解液7の注入量を負極活物質1g当たり0.2cm3以上、0.6cm3以下の範囲にすることによって、電極体5の全体に十分に非水電解液7が行き渡り、内部抵抗が高くなることが抑制され、かつ結着剤の膨張を抑制でき、十分な電池容量及び良好な充放電サイクル特性が得られるようになる。
【0030】
セパレータ4は、負極2と正極3とを隔離して、両極の接触による内部短絡を防止すると共に、非水電解質液7中のリチウムイオンを通過させるものである。セパレータ4は、孔の平均粒径が5μm以下程度の微小な孔を多数有する樹脂からなる微多孔性膜である。樹脂としては、例えば、オレフィン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン等があり、その他にもガラス繊維、アルミナ繊維等を用いることが可能である。中でも、ポリプロピレンやポリオレフィンは、短絡防止効果に優れ、シャットダウン効果により電池1の安全性を向上させることから、セパレータ4として好ましい樹脂である。
【0031】
以上のような構成の円筒型の電池1は、次のようにして製造される。先ず、負極2を作製する。負極2を作製する際は、上述したようなリチウムと化合可能な元素、及び/又はこの元素の化合物からなる負極活物質に、結着剤を所定の割合で混合して負極合剤塗液を調製する。次に、得られた負極合剤塗液を負極集電体9の両面に未塗工部を設けるように均一に塗布し、乾燥することで負極合剤層10を形成し、乾燥後、所定の形状に裁断する。次に、負極集電体9が露出している未塗工部に負極リード16、例えば超音波溶接や、スポット溶接等により接合する。このようにして、帯状の負極2が作製される。
【0032】
次に、正極3を作製する。正極3を作製する際は、上述した正極活物質と、導電剤と、結着剤とを有機溶媒に分散させて正極合剤塗液を作製する。この正極合剤塗液を正極集電体11の両面上に、未塗工部を設けるように均一に塗布し、乾燥することで正極合剤層12を形成し、所定の寸法に裁断する。次に、正極集電体が露出している未塗工部に正極リード14、例えば超音波溶接や、スポット溶接等により接合する。このようにして、帯状の正極2が作製される。
【0033】
次に、以上のようにして作製された負極2と正極3とを多孔性ポリオレフィンフィルム等からなるセパレータ4を介して多数回捲回して、渦巻き型の電極体5を作製した後、この電極体5を絶縁板13と共に外装缶6内に挿入する。そして、負極2の集電をとるために、負極2から導出される負極リード10を外装缶6に溶接し、正極3の集電をとるために、正極3から導出される正極リード14を電流遮断用薄板15に溶接して電池蓋8に溶接する。これにより、外装缶6は、電池1における外部負極となり、電池蓋8は電池1の外部正極となる。
【0034】
次に、上述した電極体5が組み込まれた電池缶6内に、少なくともエチレンカーボネートを含有する環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有するように調製した非水電解液7を注入後、絶縁封ロガスケット17を介して外装缶6をかしめることにより電池蓋8が固定される。このようにして、電池1が製造される。なお、電池1において、巻回するときに巻回軸となるセンターピン18が設けられているとともに、電池1内部の圧力が所定の値よりも高くなった場合に、電池1内部の気体を抜くための安全弁19、及び電池1内部の温度上昇を防止するためのPTC(positive temperature coefficient)素子20が設けられている。
【0035】
以上のように製造される電池1では、少なくともエチレンカーボネートを含む環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有した非水電解液7を用いることにより、高温保存された場合でも、この非水電解液7に含有されているエチレンカーボネートにより、負極2と非水電解液7とが反応してしまうことを抑えられる。したがって、電池1では、非水電解液7の分解による負極2の表面への被膜形成が防止されると共に、非水電解液7の劣化が抑制されるため、高温保存されてもリチウムイオンのドープ・脱ドープが適切に行われることから、十分な電池特性が得られる。
【0036】
また、電池1では、非水電解液7に電解質塩として含有されるLiPF6により、非水電解液7は高い酸化安定性を有していることから、高温保存により分解されることなくリチウムイオンの移動を適正に行われる。したがって、電池1では、高容量の電池容量が得られる。
【0037】
なお、上述した実施の形態において、非水電解質として非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液7を用いたが、このことに限定されることはなく、非水電解液7を有機高分子の高分子マトリックスに含浸させてゲル状としたゲル状電解質を非水電解質に用いることも可能である。このゲル状電解質において、高分子マトリックスには、非水電解液7を吸収してゲル化するものであれば種々の有機高分子を使用できる。有機高分子には、例えば、ポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)等のフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)や図架橋体等のエーテル系高分子、又はポリアクリロニトリル等がある。特に、ゲル状電解質のマトリックスには、酸化還元安定性からフッ素系高分子を用いることが望ましい。
【0038】
以上では、円筒型の電池1について説明しているが、本発明を適用した非水電解質電池の形状について特に限定されることはなく、角型、コイン型、ボタン型、薄型等の種々の形状に適用可能である。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を適用した非水電解質電池として、実際に円筒型のリチウムイオン二次電池を作製したサンプルについて説明する。
【0040】
サンプル1
サンプル1では、先ず、負極を作製した。負極を作製する際には、出発原料とするSi粉末を20gと、Cu粉末を80gとを混合して、この混合物を石英ボードに入れて、アルゴンガス雰囲気中、1500℃で加熱し、室温まで冷却した。得られた混合物をアルゴンガス雰囲気中でボールミルにて粉砕、分級することによって粉末状の80wt%Cu−20wt%Si合金を得た。このとき、80wt%Cu−20wt%Si合金粉末は、走査型電子顕微鏡により観察した結果、粉末の平均粒径が10μmであることが確認された。
【0041】
次に、得られた80wt%Cu−20wt%Si合金粉末を45重量部と、リン片状黒鉛(ティミカル製KS−44)を45重量部とを混合した負極活物質に、結着剤としてポリビニリデンフルオライド(PVdF)を10重量部とを、n−メチルピロリドンを溶媒にして、プラネタリーミキサーを用いて混練、分散を行い、負極合剤塗液を作製した。次に、得られた負極合剤塗液を塗工装置としてダイコータを用いて、帯状に形成した厚さが10μmの銅箔からなる負極集電体の両面上に均一に塗布して、乾燥させた。乾燥後、ロールプレス機で圧縮形成し、負極集電体の両面上に負極合剤層を形成した。次に、両面上に負極合剤層が形成された帯状の負極集電体を長さ56mm間隔で裁断し、この負極集電体の所定の位置に、負極集電体の幅方向の一端部から突出するように負極リードとしてニッケル片を接続した。以上のようにして、短冊状の負極を作製した。
【0042】
次に、正極を作製した。正極を作製する際は、出発原料となる炭酸リチウムを0.5モルと、炭酸コバルトを1.0モルとをミキサーで十分に混合して、電気炉にて900度の空気中で5時間焼成し、焼成後に粉砕することにより粉末状の正極活物質を合成した。このとき、この正極活物質に対して、X線回析測定を行いLiCoO2であることを確認した。
【0043】
次に、このLiCoO2を91重量部と、導電剤としてグラファイトを6重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3重量部と、溶媒N−メチル−2−ピロリドンとを混合し、プラネタリーミキサーを用いて混練、分散を行い、正極合剤塗液を作製した。次に、塗工装置としてダイコータを用いて、帯状の形成された厚さが20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面上に、正極合剤塗液を均一に塗布して、乾燥させた。乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形し、正極集電体の両面に正極合剤層を形成した。次に、両面上に正極合剤層が形成された帯状の正極集電体を長さ54mm間隔で裁断し、この正極集電体の所定位置に、正極集電体の幅方向の一端部から突出するように正極リードとして、アルミニウム片を接続した。以上のようにして、短冊状の正極を作製した。
【0044】
次に、以上のように作製された正極と負極との間に厚さ25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータを介在させて、これらを複数積層させた積層体を多数巻回して電極体を作製した。このとき、得られた電池素子の一方端面から正極端子が、他方端面から負極端子が導出するようにした。
【0045】
次に、作製された電極体から導出している正極端子を電池蓋に、負極端子を鉄にニッケルめっきを施した外装缶にそれぞれ溶接すると共に、電池素子を外装缶に収納した。
【0046】
次に、環状炭酸エステルとしてエチレンカーボネート(EC)を10体積%と、鎖状炭酸エステルとしてジエチルカーボネート(DEC)を90体積%とを混合した非水溶媒に、濃度1mol/lのLiPF6を溶解させて調製した。次に、この非水電解液を外装缶内に注入し、アスファルトを塗布した絶縁ガスケットを介して、外装缶の開口部に正極端子が接合された電池蓋を圧入して外装缶の開口部をかしめることにより電池蓋を強固に固定した。以上のようにして、円筒形のリチウムイオン二次電池(直径18mm、高さ65mm、内径17.38mm、缶肉厚0.31mm、容量3000mAh)を作製した。
【0047】
サンプル2
サンプル2では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを20体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを80体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0048】
サンプル3
サンプル3では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを30体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを70体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0049】
サンプル4
サンプル4では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを40体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを60体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0050】
サンプル5
サンプル5では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを50体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを50体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0051】
サンプル6
サンプル6では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを60体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを40体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0052】
サンプル7
サンプル7では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを40体積%と、鎖状炭酸エステルとしてメチルエチルカーボネート(MEC)を60体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0053】
サンプル8
サンプル8では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを40体積%と、鎖状炭酸エステルとしてジメチルカーボネート(DMC)を60体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0054】
サンプル9
サンプル9では、非水電解液を調製する際に、非水溶媒として鎖状炭酸エステルのDECだけを用いたこと以外は、サンプル1と同様にして電池を作製した。
【0055】
サンプル10
サンプル10では、非水電解液を調製する際に、鎖状炭酸エステルのDECを80体積%と、鎖状炭酸エステルのポリカーボネート(PC)20体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0056】
サンプル11
サンプル11では、非水電解液を調製する際に、鎖状炭酸エステルのDECを90体積%と、鎖状炭酸エステルのPCを10体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0057】
サンプル12
サンプル12では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを70体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを30体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0058】
次に、以上のように作製したサンプル1乃至サンプル12に対して、高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率及び負荷特性を測定した。サンプル1乃至サンプル8に対する各測定結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1において、サンプル1乃至サンプル12の高温保存後の自己放電率及び高温保存後の容量回復率を次のようにして評価した。各サンプルに対して、最大電圧4.2V、充電電流1A、充電時間5時間の充電条件で充電を行った後、放電電流1A、終止電圧2.5Vの放電条件で放電を行い、初期容量を測定した。次に、同充電条件で充電を行った後に、45℃のオーブン中で、一ヶ月間保存した。次に、保存後の電池を室温まで空冷した後に、上述した放電条件と同様にして放電を行い、45℃一ヶ月保存後の放電容量を測定した。次に、再度、同様の条件で充電及び放電を行い、回復容量を測定した。
【0061】
そして、各サンプルの高温保存後の自己放電率は、以上のようにして得られた初期容量と、45℃一ヶ月保存後の放電容量とを[100−(45℃一ヶ月保存後の放電容量)]/初期容量の式にあてはめることで求められる。
【0062】
また、各サンプルの高温保存後の容量回復率は、初期容量に対する回復容量の比率である。
【0063】
次に、サンプル1乃至サンプル12の負荷特性を次のようにして評価した。各サンプルに対して、最大電圧4.2V、充電電流1A、充電時間5時間の条件で充電を行った後、放電電流1A、終止電圧2.5Vまで大電流放電を行い、再度同様の条件で充電を行った。次に、放電電流3A、終止電圧2.5Vまで放電を行い、3A放電容量を測定した。また、各サンプルに対して、同様の充放電条件で、充放電を行った後に放電電流0.2A、終止電圧2.5Vまで放電を行い、0.2A放電容量を測定した。そして、負荷特性は、0.2A放電容量に対する3.5A放電容量の比率である。
【0064】
表1に示す結果から、負極活物質にCu−Si合金を用い、環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量が10体積%以上、60体積%以下の範囲にされたサンプル1乃至サンプル8は、環状炭酸エステルであるECが含有されていないサンプル9乃至11と比べて、高温保存後の自己放電率が抑制され、高温保存後の容量回復率が大きくなっていることが分かる。
【0065】
サンプル9乃至サンプル11では、環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中に含有されていないため、高温保存された際の熱によって、負極と非水電解液との反応が起こり非水電解液が分解してしまうため、高温保存により電池特性が低下してしまう。また、サンプル9乃至サンプル11では、分解された非水電解液が負極表面に皮膜となって形成されるため、この被膜によって負極に対するリチウムイオンのドープ・脱ドープが妨げられ、電池特性が低下してしまう。
【0066】
また、サンプル7及びサンプル8に示すように、鎖状炭酸エステルとしてDECだけではなく、MECやDMCを用いた場合も、同様に高温保存後の自己放電率が抑制されており、高温保存後の容量回復率及び負荷特性を大きくなることが分かる。
【0067】
これらのサンプルに対して、サンプル1乃至サンプル8は、非水溶媒中の環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量を10%以上、60%以下の範囲にされていることにより、高温保存された場合でも、負極と非水電解液との反応が抑えられるため、非水電解液の分解が抑制される。したがって、サンプル1乃至サンプル8では、高温保存後の電池特性の低下が抑制されるため、サンプル9乃至サンプル11と比べて高温保存後の自己放電率が抑制され、高温保存後の容量回復率が大きいことが分かる。
【0068】
また、表1に示す結果から、サンプル1乃至サンプル8は、ECの含有量が70体積%にされたサンプル12と比べて、負荷特性が大きいことが分かる。
【0069】
サンプル12は、鎖状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量が70体積%であることから、非水電解液の粘性が高くなり、リチウムイオンの移動がしにくくなる。したがって、サンプル12では、電池内部のリチウムイオン拡散に基づく抵抗が高くなり、大電流を流した際の電池特性が低下してしまう。
【0070】
サンプル12に対して、サンプル1乃至サンプル8は、ECの含有量を10体積%以上、60体積%以下の範囲とすることによって、非水電解液の粘性が適切となり、リチウムイオンの移動がし易くなる。したがって、サンプル1乃至サンプル8では、リチウムイオン拡散に基づく抵抗の上昇が抑えられるため、サンプル12に比べて負荷特性が大きくなる。
【0071】
以上のことから、リチウムイオン二次電池を作製する際に、非水電解液中の環状炭酸エステルであるECの含有量を10体積%以上、60体積%以下の範囲ととすることは、高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率、及び負荷特性の優れたリチウムイオン二次電池を製造する上で大変有効であることが分かる。
【0072】
次に、サンプル1とは、負極活物質80wt%Cu−20wt%Si合金を20wt%Cu−80wt%Sn合金に変えて作製したサンプル13乃至サンプル18について説明する。
【0073】
サンプル13
サンプル13では、負極を作製する際に、負極活物質として20wt%Cu−80wt%Sn合金を用いる。この20wt%Cu−80wt%Sn合金を45重量部と、リン片状黒鉛45重量部と、PVdF10重量部とからなる負極合剤層を有する負極を作製した。この負極を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0074】
サンプル14
サンプル14では、非水電解質を調製する際は、環状炭酸エステルとしてECを20体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを80体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル13と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0075】
サンプル15
サンプル15では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを40体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを60体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル13と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0076】
サンプル16
サンプル16では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを60体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを40体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル13と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0077】
サンプル17
サンプル17では、非水電解液を調製する際に、非水溶媒として鎖状炭酸エステルであるDECだけを用いたこと以外は、サンプル13と同様にして電池を作製した。
【0078】
サンプル18
サンプル18では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルとしてECを70体積%と、鎖状炭酸エステルとしてDECを30体積%とを混合した非水溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にして非水電解液を作製した。そして、この非水電解液を用いたこと以外は、サンプル13と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0079】
次に、以上のように作製したサンプル13乃至サンプル18に対して、高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率、及び負荷特性を測定した。サンプル13乃至サンプル18のリチウムイオン二次電池に対する各測定結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
表2において、サンプル13乃至サンプル18の高温保存後の自己放電率及び高温保存後の容量回復率、負荷特性は、上述したサンプル13乃至サンプル18の高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率及び負荷特性と同様にして測定した。
【0082】
表2に示す結果から、負極活物質にCu−Sn合金を用い、環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量が10体積%以上、60体積%以下の範囲とされたサンプル13乃至サンプル16は、環状炭酸エステルであるECが含有されていないサンプル17と比べて、高温保存後の自己放電率が抑制され、高温保存後の容量回復率が大きいことが分かる。
【0083】
サンプル17では、環状炭酸エステルであるECが含有されていないため、高温保存された熱によって、負極と非水電解液との反応が起こり、非水電解液が分解してしまうため、高温保存により電池特性が低下してしまう。また、サンプル17は、分解された非水電解液が負極表面に皮膜となって形成されるため、この被膜によって負極に対するリチウムイオンのドープ・脱ドープが妨げられ、高温保存により電池容量が低下してしまう。
【0084】
サンプル17に対して、サンプル13乃至サンプル16は、負極活物質にCu−Sn合金を用いた場合でも、非水溶媒中の環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量を10%以上、60%以下の範囲にされていることから、高温保存されても、負極と非水電解液との反応が抑えられるため、非水電解液の分解が抑制される。したがって、サンプル13乃至サンプル16では、リチウムイオンの自己放電が抑えられると共に、負極に皮膜が形成されず、負極に対するリチウムイオンのドープ・脱ドープが適切に行われるようになるため、サンプル17と比べて、高温保存後の自己放電率及が抑制され、高温保存後の容量回復率が大きくなっている。
【0085】
また、表2に示す結果から、サンプル13乃至サンプル16は、ECの含有量が70体積%とされたサンプル18と比べて、負荷特性が大きいことが分かる。
【0086】
サンプル18では、環状炭酸エステルであるECの非水溶媒中の含有量が70体積%であることから、非水電解液の粘性が高くなり、リチウムイオンの移動がしにくくなる。したがって、サンプル18では、電池内部のリチウムイオン拡散に基づく抵抗が高くなり、大電流を流した際の電池特性が低下してしまう。
【0087】
サンプル18に対して、サンプル13乃至サンプル16は、負極活物質にCu−Sn合金を用いた場合でも、ECの含有量を10体積%以上、60体積%以下の範囲に制御することによって、非水電解液の粘性が適切となり、リチウムイオンの移動がし易くなる。したがって、サンプル13乃至サンプル16では、リチウムイオン拡散に基づく抵抗上昇が抑えられるため、電池特性の低下が抑制され、サンプル18と比べて、負荷特性が大きくなる。
【0088】
以上のことから、リチウムイオン二次電池を作製する際に、負極活物質にCu−Sn合金を用いた場合でも、非水電解液中のECの含有量を10体積%以上、60体積%以下の範囲とさせることは、高温保存後の自己放電率及び容量回復率、負荷特性の優れたリチウムイオン二次電池を製造する上で大変有効であることがわかる。
【0089】
次に、サンプル3とは、電解質塩のLiPF6の濃度を変えて作製したサンプル19乃至サンプル25について説明する。
【0090】
サンプル19
サンプル19では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を0.4mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0091】
サンプル20
サンプル20では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を0.8mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0092】
サンプル21
サンプル21では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を1.0mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0093】
サンプル22
サンプル22では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を1.5mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0094】
サンプル23
サンプル23では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を2.0mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0095】
サンプル24
サンプル24では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を0.3mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0096】
サンプル25
サンプル25では、非水電解質を調製する際に、LiPF6の濃度を2.3mol/lにした非水電解質を調製した。そして、この非水電解質を用いたこと以外はサンプル3と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0097】
次に、以上のように作製したサンプル19乃至サンプル25のリチウムイオン二次電池に対して、高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率、負荷特性を測定した。サンプル19乃至サンプル25のリチウムイオン二次電池に対する各測定結果を表3に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
表3において、サンプル19乃至サンプル25の高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率、及び負荷特性は、上述したサンプル1乃至サンプル8の高温保存後の自己放電率、高温保存後の容量回復率、及び負荷特性と同様にして測定した。
【0100】
表3に示す評価結果から、LiPF6の濃度が0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲でされたサンプル19乃至サンプル23は、LiPF6の濃度が0.3mol/lであるサンプル24と比べて、負荷特性が大きいことが分かる。
【0101】
サンプル24は、LiPF6の濃度が0.4mol/lより低いため、非水電解液中に存在するリチウムイオンが少なく、電気伝導度が小さくなり、電池特性が低下してしまう。
【0102】
サンプル24に対して、サンプル19乃至サンプル23では、非水電解液中のLiPF6の濃度が0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲とされるため、非水電解液中のリチウムイオンの量が適切となり、負荷特性が大きくなる。
【0103】
また、表3に示す結果から、サンプル19乃至サンプル23は、LiPF6の濃度が2.3mol/lであるサンプル25と比べて、負荷特性が大きいことが分かる。
【0104】
サンプル25は、非水電解液中のLiPF6の濃度が2.3mol/lであり、高濃度であるため、粘性が大きくなり、リチウムイオンの移動がしにくくなる。したがって、サンプル25では、電池内部のリチウムイオン拡散に基づく抵抗が高くなり、負荷特性が低下してしまう。
【0105】
サンプル25に対して、サンプル20乃至サンプル24は、非水電解液中のLiPF6の濃度を0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲とすることによって、非水電解液中に存在するリチウムイオンの量が適切となり、リチウムイオンの移動がし易くなるため、負荷特性が大きくなる。
【0106】
以上のことから、リチウムイオン二次電池を作製する際に、非水電解液中のLiPF6の濃度を0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲とすることは、負荷特性の優れたリチウムイオン二次電池を製造する上で大変有効である。
【0107】
次に、非水電解液の注液量を変えたサンプル26乃至サンプル38について説明する。
【0108】
サンプル26
サンプル26では、非水電解液を調製する際に、環状炭酸エステルであるECを50体積%と、鎖状炭酸エステルであるDMCを50体積%とを混合した非水溶媒に、濃度1.5mol/lのLiPF6を溶解させた非水電解液を作製した。この非水電解液を負極活物質1g当たり0.20cm3となるように注入した以外は、サンプル1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0109】
サンプル27
サンプル27では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.25cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0110】
サンプル28
サンプル28では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.30cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0111】
サンプル29
サンプル29では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.35cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0112】
サンプル30
サンプル30では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.40cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0113】
サンプル31
サンプル31では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.45cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0114】
サンプル32
サンプル32では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.50cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0115】
サンプル33
サンプル33では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.55cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0116】
サンプル34
サンプル34では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.60cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0117】
サンプル35
サンプル35では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.14cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0118】
サンプル36
サンプル36では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.18cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0119】
サンプル37
サンプル37では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.62cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0120】
サンプル38
サンプル38では、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.64cm3となるように注液したこと以外は、サンプル26と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0121】
次に、以上のように作製したサンプル26乃至サンプル38に対して、100サイクル目の放電容量維持率を測定した。以下に、サンプル26乃至サンプル38の100サイクル目の放電容量維持率を表4に示す。
【0122】
【表4】
【0123】
表4において、100サイクル目の放電容量維持率は、以下のようにして測定した。サンプル26乃至サンプル38に対して、先ず、上述した充電条件と同様の充電条件で充電を行った後、上述した放電条件と同様の放電条件で放電を行い、この充放電を1サイクルとした。そして、この1サイクル目の放電容量を測定した。次に、同様の充放電条件で、100サイクル充放電を行い、100サイクル目の放電容量を測定した。100サイクル目の放電容量維持率は、1サイクル目の放電容量を100とした場合に対する100サイクル目の放電容量の比率である。
【0124】
表4に示す結果から、非水電解液の注入量が負極活物質1g当たり0.20cm3以上、0.60cm3以下の範囲にされたサンプル26乃至サンプル34は、非水電解液の注入量が負極活物質1g当たり0.20cm3よりも少ないサンプル35及びサンプル36と比べて、100サイクル目の放電容量維持率が大きいことが分かる。
【0125】
サンプル35及びサンプル36は、負極活物質1g当たり非水電解液の注入量が少ないため、電極間への液まわりが不十分となり、電池の内部抵抗が上がり充放電が十分に行われず、充放電サイクル特性が低下してしまう。
【0126】
これらのサンプルに対して、サンプル28乃至サンプル36は、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり、0.20cm3以上、0.60cm3以下の範囲であり、適切な量の非水電解液が注入されていることから、非水電解液が電極体全体に十分に浸透して、リチウムイオンの移動が正負極間で適切となる。したがって、サンプル28乃至サンプル36は、サンプル35及びサンプル36と比べて、良好な充放電サイクル特性が得られるようになる。
【0127】
また、表4に示す結果から、サンプル26乃至サンプル34は、非水電解液の注液量が負極活物質1g当たり0.60cm3より多いサンプル37及びサンプル38と比べて、100サイクル目の放電容量維持率が大きいことが分かる。
【0128】
サンプル37及びサンプル38は、非水電解液の注入量が多すぎるため、結着剤が膨張し、活物質中の粒子間の接触が悪くなり、電子伝導性が低下し、電池の内部抵抗が上昇する。したがって、サンプル37及びサンプル38では、100サイクル目の放電容量維持率が低下する。
【0129】
これらのサンプルに対して、サンプル28乃至サンプル34は、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.20cm3以上、0.60cm3以下の範囲であり、適切な量の非水電解液が注入されることから、非水電解液が電極体全体に十分に浸透して、リチウムイオンの移動が正負極間で適切となり、結着剤が膨張することに基づく電池の内部抵抗上昇を防ぐことができ、サンプル37及びサンプル38と比べて100サイクル目の放電容量維持率の低下が抑制される。
【0130】
以上のことから、リチウムイオン二次電池を作製する際に、非水電解液の注入量を負極活物質1g当たり0.20cm3以上、0.60cm3以下の範囲とされることは、充放電サイクル特性の優れたリチウムイオン二次電池を製造する上で大変有効である。
【0131】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明は、エチレンカーボネートを含有する環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有する非水電解質を用いることによって、高温保存された場合でも、負極と非水電解液との反応が抑えられるため、電池特性の低下が抑制される。
【0132】
また、本発明では、非水電解質電池内に注入される非水電解液の体積を制御することによって、正負極に対して十分に非水電解液が行き渡ることになり、リチウムイオンの移動が正負極間で適切に行われるようになるため、良好な電池特性が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解質二次電池の縦断面図である。
【符号の説明】
1 電池、2 負極、3 正極、4 セパレータ、5 電極体、6 外装缶、7 非水電解液、8 電池蓋8 負極集電体、10 負極合剤層、11 正極集電体、12 正極合剤層、13 絶縁板、14 正極リード、15 電流遮断用薄板、16 負極リード、17 絶縁封口ガスケット、18 センターピン、19 安全弁、20 PTC素子
Claims (5)
- 負極活物質としてリチウムと化合可能な元素、及び/又はこの元素の化合物を有する負極と、
リチウムをドープ・脱ドープすることが可能な正極活物質を有する正極と、
非水溶媒及び電解質塩を含有する非水電解質とを備え、
上記非水電解質は、上記非水溶媒に少なくともエチレンカーボネートを含む環状炭酸エステルと、鎖状炭酸エステルとを含有し、上記電解質塩に六フッ化リン酸リチウムを含有していることを特徴とする非水電解質電池。 - 上記非水電解質は、上記エチレンカーボネートの含有量が上記非水溶媒全体に対して10体積%以上、60体積%以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
- 上記非水電解質は、上記鎖状炭酸エステルとしてジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートのうちの何れか一種以上を含有し、上記鎖状炭酸エステルの含有量が上記非水溶媒全体に対して10体積%以上、90体積%以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
- 上記非水電解質は、上記電解質塩の濃度が上記非水電解質全体に対して0.4mol/l以上、2.0mol/l以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
- 上記非水電解質の体積を上記負極活物質1g当たり0.2cm3以上、0.6cm3以下の範囲にすることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
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Cited By (2)
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|---|---|---|---|---|
| JP2012023005A (ja) * | 2010-07-13 | 2012-02-02 | Samsung Sdi Co Ltd | 二次電池 |
| WO2014021431A1 (ja) * | 2012-08-02 | 2014-02-06 | 本田技研工業株式会社 | 電池 |
-
2002
- 2002-09-11 JP JP2002265948A patent/JP2004103473A/ja not_active Withdrawn
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| WO2014021431A1 (ja) * | 2012-08-02 | 2014-02-06 | 本田技研工業株式会社 | 電池 |
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