JP2004106949A - ゴデットローラ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】長尺のローラ本体を有するものであっても振動を少なくでき、高速で回転させることができるゴデットローラ装置を提供する。
【解決手段】ローラ本体の軸方向の長さをLとしたとき、軸方向における中心から軸方向に±L/3の範囲内の部位に第1のバランス修正部を設け、ローラ本体の一方の端部には第2のバランス修正部を設け、ローラ本体の他方の端部には第3のバランス修正部を設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】ローラ本体の軸方向の長さをLとしたとき、軸方向における中心から軸方向に±L/3の範囲内の部位に第1のバランス修正部を設け、ローラ本体の一方の端部には第2のバランス修正部を設け、ローラ本体の他方の端部には第3のバランス修正部を設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸条の案内、搬送、延伸等を行うゴデットローラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、主として生産性の向上を目的として合成繊維の製造プロセスの高速化が進み、巻取速度が7,000m/分を超えるようなものも検討されるようになってきた。これに伴い、高速で使用できるゴデットローラ装置の開発が進められているが、この開発における最大の課題は、高速回転時に発生する振動をいかにして抑制するかということである。
【0003】
一般に、ゴデットローラ装置には、ローラ本体の加工精度や組立精度に起因するアンバランスが避けられず、このアンバランスによる遠心力が振動を生起するので、組立後にバランス修正を行うようにしている。
【0004】
さて、ゴデットローラ装置に限らず、一般に高速回転体のバランス修正は、よく知られているように、回転体を削ったり、回転体に重錘を付加したりすることによって行われている。ゴデットローラ装置においてもかかる周知慣用の手法が採られるが、ゴデットローラ装置はローラ本体が糸条と接するため、従来、糸条が接触しない端部で修正を行っている。しかしながら、ローラ本体の長尺化、高速化に伴い、より高精度なバランス修正が要求されるようになってきた。
【0005】
長尺のローラ本体を上述したような高速で回転させると、危険速度、すなわちローラ本体の固有振動数が使用速度域に近づいてくる。危険速度そのものではなくても、その付近では共振による大きな振動を生ずる。また、遠心力は回転数の2乗に比例するから、アンバランス量が同じでも回転数が2倍になれば生ずる遠心力は4倍となる。そのため、一層の長尺化、高速化を図ろうとすると、より高精度なバランス修正が必要となってくるが、ローラ本体の軸方向に分布するアンバランスをローラ本体の端部で代表して修正するのは難しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、長尺のローラ本体を有するものであってもより高速で使用できるゴデットローラ装置を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ローラ本体と、このローラ本体を駆動する手段とを有し、かつ、ローラ本体の軸方向の長さをLとしたとき、軸方向における中心から軸方向に±L/3の範囲内の部位に第1のバランス修正部を設けてなるゴデットローラ装置を提供する。第1のバランス修正部は、修正時の作業性を考慮すると、ローラ本体の外表面に設けるのが好ましい。また、ローラ本体の一方の端部に第2のバランス修正部を設け、他方の端部に第3のバランス修正部を設けるのも好ましい。そうすると、より長尺のローラ本体を有するものであっても軸方向に分布するアンバランスをより効果的に修正することができるようになり、一層の高速化が可能となる。さらに、ローラ本体が、ローラ本体の軸方向に間隔をおいて配置され、かつ、ローラ本体の周方向に等配されたヒートパイプを備えているものである場合、上記第1のバランス修正部は軸方向に間隔をおいて配置されたヒートパイプ間に設けるのが好ましい。本発明は、ローラ本体の軸方向の長さをL、直径をDとしたとき、L/Dが2以上であるような長尺のローラ本体を有するゴデットローラ装置として特に好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1において、ゴデットローラ装置1は、ローラ本体2と、ローラ本体2の駆動装置3とを有する。駆動装置3は、フレーム4と、回転子5と、固定子6と、軸7とを有する電動機8を含み、軸7は軸受9、10によってフレーム4に支持され、先端部にはローラ本体2が装着されている。ローラ本体2は、その外表面が糸条の案内、搬送面を形成しており、糸条はこの外表面に接触し、案内、搬送される。
【0009】
ローラ本体2の外表面には、ローラ本体2の軸方向の長さをLとしたとき、軸方向における中心から軸方向に±L/3の範囲内の部位、この例では軸方向における中心の部位に第1のバランス修正部Aが設けられている。同様に、ローラ本体2の先端側の端面には第2のバランス修正部Bが設けられ、また、電動機8側の端面には第3のバランス修正部Cが設けられている。これら第1、第2、第3のバランス修正部A、B、Cは、ローラ本体2の外表面、先端側の端面および電動機8側の端面にそれぞれタップ加工によるタップ穴11、12、13として形成されている。これらのタップ穴11、12、13は、ローラ本体2の周方向に、複数個、たとえば8個等配されている。
【0010】
さて、バランス修正は、タップ穴に重錘を取り付けることによって行う。すなわち、まずどのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態でローラ本体を回転させ、そのときの振動を測定する。次に、第1のバランス修正部Aのタップ穴のうち任意の1個のタップ穴に重錘を取り付け、同様に振動を測定する。次に、第1のバランス修正部Aの重錘を取り外し、第2のバランス修正部Bのタップ穴のうち任意の1個のタップ穴に重錘を取り付け、同様に振動を測定する。次に、第2のバランス修正部Bの重錘を取り外し、第3のバランス修正部Cのタップ穴のうち任意の1個のタップ穴に重錘を取り付け、同様に振動を測定する。そして、得られた振動のデータから、重錘を取り付けていない最初の状態から各バランス修正部に重錘を取り付けたときに振動がどれだけ変化したかの度合いを求め、振動を最小とする各バランス修正部での重錘の重量と取付位置をコンピュータを用いて計算し、ローラ本体のアンバランスを修正する。
【0011】
図2に示すゴデットローラ装置1は、図1に示したゴデットローラ装置1に、ローラ本体2を加熱するための筒状のヒータ14を内蔵せしめるとともに、ローラ本体2に、そのローラ本体2の軸方向に間隔をおいて複数個(この例では2個)配置され、かつ、ローラ本体2の周方向に等配されたヒートパイプ15、16を設けたものである。第1のバランス修正部Aは、軸方向に間隔をおいて配置された2個のヒートパイプ15、16間に設けられている。ここで、ヒートパイプ15、16は、ローラ本体2のシェルに軸方向に延びる空間部を設け、その空間部に熱輸送媒体を封入してなるもので、ローラ本体2の外表面の温度を均一化するのに有効である。
【0012】
上述の例においては、ローラ本体を電動機の軸に直接装着しているが、ローラ本体に軸を設け、その軸と電動機の軸とをカップリングを用いて結合するようにしてもよい。
【0013】
また、第1、第2、第3のバランス修正部は、タップ加工によるタップ穴ではなく、ドリル加工によるドリル穴として形成してもよい。いずれの場合も、特に糸条が接触する第1のバランス修正部においては、糸条が引っかかったり、糸切れを生じたり、糸条に毛羽を発生させたりすることがないよう、穴の開口部に面取加工を施すとともに表面を滑らかに仕上げておくようにする。
【0014】
第1、第2、第3のバランス修正部は、タップ穴やドリル穴をローラ本体の周方向に等配している。ローラ本体の直径、重量等にもよるが、6〜16個程度を等配すれば十分である。なお、第2、第3のバランス修正部は、ローラ本体の端面ではなく、端部の外表面に設けることもできる。要するに、ローラ本体の端部に設ければよい。
【0015】
さらに、上述の例においては、第1、第2、第3の3か所のバランス修正部を設けているが、バランス修正部は、十分な修正を行えるのであれば1か所でもよい。その場合、第1のバランス修正部は、ローラ本体の重心に近い位置にあるため修正に有利である。したがって、バランス修正部を1か所とする場合には、第1のバランス修正部を設けるようにするのがよい。
【0016】
また、本発明のゴデットローラ装置は、図1、図2に示す、ローラ本体2の軸方向の長さLがローラ本体2の直径(外径)Dの2倍以上であるような長尺のローラ本体を有する場合に特に好適である。ローラ本体が長尺になるにつれて軸方向におけるアンバランスの位相分布が大きくなるが、第1、第2、第3の3か所のバランス修正部を設ければそれぞれの部位で適正なバランス修正を行うことができるようになるからである。
【0017】
図3は、図1、図2に示した本発明のゴデットローラ装置を有する糸条製造装置を示すものである。この例では、紡糸機17によって紡糸された糸条Yを所定の速度で回転する第1のゴデットローラ装置18、第2のゴデットローラ装置19で案内、搬送し、巻取機20で巻き取り、パッケージとしている。糸条Yをゴデットローラ装置18、19のローラ本体に1回のみ掛ける片掛式と呼ばれるものであるが、図4に示すように、2個一対のローラ本体を有するゴデットローラ装置18、19を用い、糸条Yを一対のローラ本体に複数回巻き回すように構成することもできる。また、いずれの場合も、ゴデットローラ装置間に速度差を与えて糸条を延伸することもできる。
【0018】
【実施例および比較例】
(実施例1)
図1に示した装置を用いた。ただし、バランス修正部は第1のバランス修正部Aのみとした。振動は、ローラ本体2の回転数を8,900rpm(周速7,000m/分)まで上げ、軸受9上にて測定した。なお、ローラ本体2の直径Dは250mm、軸方向の長さLは400mm、L/Dは1.6である。
【0019】
まず、第1のバランス修正部Aに重錘を取り付けないでローラ本体を回転させ、振動を測定した。次に、第1のバランス修正部Aに1gの重錘を取り付けてローラ本体を回転させ、振動を測定した。重錘の取付位相は0°とした。
【0020】
第1のバランス修正部Aに重錘を取り付けないときの振動データと、1gの重錘を取り付けたときの振動データとをコンピュータに入力し、適正なバランス修正量を計算した結果、30°の位相に2gの重錘を取り付ければよいことがわかった。本実施例では、第1のバランス修正部Aに周方向に8か所のタップ穴を等配して、重錘の取付位置が45°刻みとなっていることから、ベクトル換算して0°の位相に0.7g、45°の位相に1.4gの重錘を取り付けた。
【0021】
結果を図5に示す。8,900rpm(周速7,000m/分)まで問題なく昇速できている。回転数6,400rpm(周速5,000m/分)における振動値は約1mm/sec、回転数8,900rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約4mm/secであった。また、糸条の引っ掛かり等の不都合はみられなかった。
(比較例1)
実施例1において、第1のバランス修正部Aを設けず、バランス修正を行わなかった。
【0022】
結果を図6に示す。7,500rpm付近から振動値が立ち上がり始め、8,900rpm(周速7,000m/分)では約8mm/secと極めて大きな値になっている。回転数6,400rpm(周速5,000m/分)における振動値は約2mm/sec、回転数8,900rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約8mm/secで、実施例1の場合の約2倍の値を示した。
(実施例2)
実施例1において、ローラ本体2を直径Dが200mm、軸方向の長さLが400mm、L/Dが2のものに変えた。また、第1のバランス修正部Aに加えて第2のバランス修正部Bを設けた。
【0023】
バランス修正は、どのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態、第1のバランス修正部Aのみに1gの重錘を取り付けた状態、第2のバランス修正部Bのみに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第1のバランス修正部Aの位相135°に0.3g、270°に0.6g、第2のバランス修正部Bの位相45°に1.8g、90°に0.2gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0024】
回転数8,000rpm(周速5,000m/分)における振動値は約3mm/sec、回転数11,100rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約6mm/secであった。
(比較例2)
実施例2において、バランス修正部を第2のバランス修正部Bのみとした。
【0025】
バランス修正は、第2のバランス修正部Bに重錘を取り付けない状態、第2のバランス修正部Bに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第2のバランス修正部Bの位相90°に0.3g、135°に0.7gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0026】
回転数8,000rpm(周速5,000m/分)における振動値は約4mm/sec、回転数11,100rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約10mm/secであった。
(実施例3)
実施例2において、第1のバランス修正部Aに加え、第2のバランス修正部Bおよび第3のバランス修正部Cを設けた。
【0027】
バランス修正は、どのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態、第1のバランス修正部Aのみに1gの重錘を取り付けた状態、第2のバランス修正部Bのみに1gの重錘を取り付けた状態、第3のバランス修正部Cのみに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第1のバランス修正部Aの位相135°に0.3g、270°に0.6g、第2のバランス修正部Bの位相45°に0.8g、90°に0.3g、第3のバランス修正部Cの位相0°に0.2g、45°に0.6gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0028】
回転数8,000rpm(周速5,000m/分)における振動値は約2mm/sec、回転数11,100rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約4mm/secであった。
(比較例3)
実施例3において、バランス修正部を、第2のバランス修正部Bおよび第3のバランス修正部Cのみとした。
【0029】
バランス修正は、どのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態、第2のバランス修正部Bのみに1gの重錘を取り付けた状態、第3のバランス修正部Cのみに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第2のバランス修正部Bの位相135°に0.3g、270°に0.6g、第3のバランス修正部Cの位相45°に1.8g、90°に0.2gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0030】
回転数8,000rpm(周速5,000m/分)における振動値は約3mm/sec、回転数11,100rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約7mm/secであった。安定的に回転させるためには振動値は6mm/sec以下であるのが好ましいが、7mm/secという振動値はそれを超えている。
(実施例4)
図2に示した装置を用いた。ただし、バランス修正部は、第1のバランス修正部A、第2のバランス修正部Bおよび第3のバランス修正部Cを設けた。振動は、ローラ本体2の回転数を8,900rpm(周速7,000m/分)まで上げ、軸受9上にて測定した。なお、ローラ本体2の直径Dは250mm、軸方向の長さLは550mm、L/Dは2.2である。ローラ本体2のシェルには軸方向に12mmの間隔をおいて2本のヒートパイプ15、16を配置し、そのヒートパイプ列を周方向に80列配置した。
【0031】
バランス修正は、どのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態、第1のバランス修正部Aのみに1gの重錘を取り付けた状態、第2のバランス修正部Bのみに1gの重錘を取り付けた状態、第3のバランス修正部Cのみに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第1のバランス修正部Aの位相135°に0.8g、270°に0.6g、第2のバランス修正部Bの位相45°に1.4g、90°に0.4g、第3のバランス修正部Cの位相0°に1.6gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0032】
結果を図7に示す。8,900rpm(周速7,000m/分)まで問題なく昇速できている。回転数6,400rpm(周速5,000m/分)における振動値は約2mm/sec、回転数8,900rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約6mm/secであった。
(比較例4)
実施例4において、ヒートパイプ15、16を連結する形で1本のヒートパイプとした。また、第1のバランス修正部Aは設けず、第2のバランス修正部Bおよび第3のバランス修正部Cのみとした。
【0033】
結果を図8に示す。何回かバランス修正を試みたが、振動を低減することができず、6,000rpm(周速4,700m)付近から振動値が立ち上がり始め、振動が過大となってきたため、8,900rpm(周速7,000m/分)には到達することができなかった。これは、ヒートパイプを長くしたために穿穴時の工作精度が悪くなり、軸方向に分布するアンバランスを第2のバランス修正部B、第3のバランス修正部Cの2か所のみでは修正しきれなかったためであると推定される。換言すれば、実施例2に示したように、ローラ本体のシェルにヒートパイプを設ける場合、軸方向に間隔をおいて複数本配置し、それらの間にバランス修正部を設けてバランス修正を行うことが極めて有効であるということである。
(実施例5)
実施例4において、ローラ本体2を直径Dが220mm、軸方向の長さLが450mm、L/Dが2.05のものに変えた。
【0034】
バランス修正は、どのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態、第1のバランス修正部Aのみに1gの重錘を取り付けた状態、第2のバランス修正部Bのみに1gの重錘を取り付けた状態、第3のバランス修正部Cのみに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第1のバランス修正部Aの位相90°に0.8g、第2のバランス修正部Bの位相0°に2.2g、45°に0.4g、第3のバランス修正部Cの位相0°に0.4g、315°に0.3gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0035】
回転数7,200rpm(周速5,000m/分)における振動値は約3mm/sec、回転数10,100rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約5mm/secであった。
(比較例5)
比較例4において、ローラ本体2を直径Dが220mm、軸方向の長さLが450mm、L/Dが2.05のものに変えた。
【0036】
バランス修正を何回か試みたが、計算結果のとおりに重錘を取り付けても振動が低減せず、回転数7,200rpm(周速5,000m/分)では振動値が約4.5mm/secとなり、さらに昇速すると振動値が上がり、回転数10,100rpm(周速7,000m/分)には昇速できなかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明のゴデットローラ装置は、ローラ本体の軸方向の長さをLとしたとき、軸方向における中心から軸方向に±L/3の範囲内の部位に第1のバランス修正部を設けているので、ローラ本体の重心に近い位置で効果的にバランス修正を行うことができ、実施例と比較例との対比からも明らかなように、長尺のローラ本体を有するものであってもより高速で回転せしめることができるようになる。第1のバランス修正部をローラ本体の外表面に設けた場合には、バランス修正時の作業性が向上する。また、ローラ本体の一方の端部に第2のバランス修正部を設け、他方の端部に第3のバランス修正部を設けると、より長尺のローラ本体を有するものであっても軸方向のアンバランスを十分に修正することができるようになる。さらに、ローラ本体が、ローラ本体の軸方向に間隔をおいて配置され、かつ、ローラ本体の周方向に等配されたヒートパイプを備えているものである場合、第1のバランス修正部を軸方向に間隔をおいて配置されたヒートパイプ間に設けることで効果的なバランス修正を行うことができる。
【0038】
上記から、本発明のゴデットローラ装置を糸条製造装置に用いれば、糸条を高速かつ安定して製造することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るゴデットローラ装置の概略縦断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係るゴデットローラ装置の概略縦断面図である。
【図3】図1、図2に示したゴデットローラ装置を用いた糸条製造装置の一実施形態を示す概略正面図である。
【図4】図1、図2に示したゴデットローラ装置を用いた糸条製造装置の他の実施形態を示す概略正面図である。
【図5】実施例1におけるローラ本体の回転数と振動値との関係を示すグラフである。
【図6】比較例1におけるローラ本体の回転数と振動値との関係を示すグラフである。
【図7】実施例2におけるローラ本体の回転数と振動値との関係を示すグラフである。
【図8】比較例1におけるローラ本体の回転数と振動値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:ゴデットローラ装置
2:ローラ本体
3:駆動装置
4:フレーム
5:回転子
6:固定子
7:軸
8:電動機
9:軸受
10:軸受
11:タップ穴
12:タップ穴
13:タップ穴
14:ヒータ
15:ヒートパイプ
16:ヒートパイプ
17:紡糸機
18:第1のゴデットローラ装置
19:第2のゴデットローラ装置
20:巻取機
A:第1のバランス修正部
B:第2のバランス修正部
C:第3のバランス修正部
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸条の案内、搬送、延伸等を行うゴデットローラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、主として生産性の向上を目的として合成繊維の製造プロセスの高速化が進み、巻取速度が7,000m/分を超えるようなものも検討されるようになってきた。これに伴い、高速で使用できるゴデットローラ装置の開発が進められているが、この開発における最大の課題は、高速回転時に発生する振動をいかにして抑制するかということである。
【0003】
一般に、ゴデットローラ装置には、ローラ本体の加工精度や組立精度に起因するアンバランスが避けられず、このアンバランスによる遠心力が振動を生起するので、組立後にバランス修正を行うようにしている。
【0004】
さて、ゴデットローラ装置に限らず、一般に高速回転体のバランス修正は、よく知られているように、回転体を削ったり、回転体に重錘を付加したりすることによって行われている。ゴデットローラ装置においてもかかる周知慣用の手法が採られるが、ゴデットローラ装置はローラ本体が糸条と接するため、従来、糸条が接触しない端部で修正を行っている。しかしながら、ローラ本体の長尺化、高速化に伴い、より高精度なバランス修正が要求されるようになってきた。
【0005】
長尺のローラ本体を上述したような高速で回転させると、危険速度、すなわちローラ本体の固有振動数が使用速度域に近づいてくる。危険速度そのものではなくても、その付近では共振による大きな振動を生ずる。また、遠心力は回転数の2乗に比例するから、アンバランス量が同じでも回転数が2倍になれば生ずる遠心力は4倍となる。そのため、一層の長尺化、高速化を図ろうとすると、より高精度なバランス修正が必要となってくるが、ローラ本体の軸方向に分布するアンバランスをローラ本体の端部で代表して修正するのは難しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、長尺のローラ本体を有するものであってもより高速で使用できるゴデットローラ装置を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ローラ本体と、このローラ本体を駆動する手段とを有し、かつ、ローラ本体の軸方向の長さをLとしたとき、軸方向における中心から軸方向に±L/3の範囲内の部位に第1のバランス修正部を設けてなるゴデットローラ装置を提供する。第1のバランス修正部は、修正時の作業性を考慮すると、ローラ本体の外表面に設けるのが好ましい。また、ローラ本体の一方の端部に第2のバランス修正部を設け、他方の端部に第3のバランス修正部を設けるのも好ましい。そうすると、より長尺のローラ本体を有するものであっても軸方向に分布するアンバランスをより効果的に修正することができるようになり、一層の高速化が可能となる。さらに、ローラ本体が、ローラ本体の軸方向に間隔をおいて配置され、かつ、ローラ本体の周方向に等配されたヒートパイプを備えているものである場合、上記第1のバランス修正部は軸方向に間隔をおいて配置されたヒートパイプ間に設けるのが好ましい。本発明は、ローラ本体の軸方向の長さをL、直径をDとしたとき、L/Dが2以上であるような長尺のローラ本体を有するゴデットローラ装置として特に好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1において、ゴデットローラ装置1は、ローラ本体2と、ローラ本体2の駆動装置3とを有する。駆動装置3は、フレーム4と、回転子5と、固定子6と、軸7とを有する電動機8を含み、軸7は軸受9、10によってフレーム4に支持され、先端部にはローラ本体2が装着されている。ローラ本体2は、その外表面が糸条の案内、搬送面を形成しており、糸条はこの外表面に接触し、案内、搬送される。
【0009】
ローラ本体2の外表面には、ローラ本体2の軸方向の長さをLとしたとき、軸方向における中心から軸方向に±L/3の範囲内の部位、この例では軸方向における中心の部位に第1のバランス修正部Aが設けられている。同様に、ローラ本体2の先端側の端面には第2のバランス修正部Bが設けられ、また、電動機8側の端面には第3のバランス修正部Cが設けられている。これら第1、第2、第3のバランス修正部A、B、Cは、ローラ本体2の外表面、先端側の端面および電動機8側の端面にそれぞれタップ加工によるタップ穴11、12、13として形成されている。これらのタップ穴11、12、13は、ローラ本体2の周方向に、複数個、たとえば8個等配されている。
【0010】
さて、バランス修正は、タップ穴に重錘を取り付けることによって行う。すなわち、まずどのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態でローラ本体を回転させ、そのときの振動を測定する。次に、第1のバランス修正部Aのタップ穴のうち任意の1個のタップ穴に重錘を取り付け、同様に振動を測定する。次に、第1のバランス修正部Aの重錘を取り外し、第2のバランス修正部Bのタップ穴のうち任意の1個のタップ穴に重錘を取り付け、同様に振動を測定する。次に、第2のバランス修正部Bの重錘を取り外し、第3のバランス修正部Cのタップ穴のうち任意の1個のタップ穴に重錘を取り付け、同様に振動を測定する。そして、得られた振動のデータから、重錘を取り付けていない最初の状態から各バランス修正部に重錘を取り付けたときに振動がどれだけ変化したかの度合いを求め、振動を最小とする各バランス修正部での重錘の重量と取付位置をコンピュータを用いて計算し、ローラ本体のアンバランスを修正する。
【0011】
図2に示すゴデットローラ装置1は、図1に示したゴデットローラ装置1に、ローラ本体2を加熱するための筒状のヒータ14を内蔵せしめるとともに、ローラ本体2に、そのローラ本体2の軸方向に間隔をおいて複数個(この例では2個)配置され、かつ、ローラ本体2の周方向に等配されたヒートパイプ15、16を設けたものである。第1のバランス修正部Aは、軸方向に間隔をおいて配置された2個のヒートパイプ15、16間に設けられている。ここで、ヒートパイプ15、16は、ローラ本体2のシェルに軸方向に延びる空間部を設け、その空間部に熱輸送媒体を封入してなるもので、ローラ本体2の外表面の温度を均一化するのに有効である。
【0012】
上述の例においては、ローラ本体を電動機の軸に直接装着しているが、ローラ本体に軸を設け、その軸と電動機の軸とをカップリングを用いて結合するようにしてもよい。
【0013】
また、第1、第2、第3のバランス修正部は、タップ加工によるタップ穴ではなく、ドリル加工によるドリル穴として形成してもよい。いずれの場合も、特に糸条が接触する第1のバランス修正部においては、糸条が引っかかったり、糸切れを生じたり、糸条に毛羽を発生させたりすることがないよう、穴の開口部に面取加工を施すとともに表面を滑らかに仕上げておくようにする。
【0014】
第1、第2、第3のバランス修正部は、タップ穴やドリル穴をローラ本体の周方向に等配している。ローラ本体の直径、重量等にもよるが、6〜16個程度を等配すれば十分である。なお、第2、第3のバランス修正部は、ローラ本体の端面ではなく、端部の外表面に設けることもできる。要するに、ローラ本体の端部に設ければよい。
【0015】
さらに、上述の例においては、第1、第2、第3の3か所のバランス修正部を設けているが、バランス修正部は、十分な修正を行えるのであれば1か所でもよい。その場合、第1のバランス修正部は、ローラ本体の重心に近い位置にあるため修正に有利である。したがって、バランス修正部を1か所とする場合には、第1のバランス修正部を設けるようにするのがよい。
【0016】
また、本発明のゴデットローラ装置は、図1、図2に示す、ローラ本体2の軸方向の長さLがローラ本体2の直径(外径)Dの2倍以上であるような長尺のローラ本体を有する場合に特に好適である。ローラ本体が長尺になるにつれて軸方向におけるアンバランスの位相分布が大きくなるが、第1、第2、第3の3か所のバランス修正部を設ければそれぞれの部位で適正なバランス修正を行うことができるようになるからである。
【0017】
図3は、図1、図2に示した本発明のゴデットローラ装置を有する糸条製造装置を示すものである。この例では、紡糸機17によって紡糸された糸条Yを所定の速度で回転する第1のゴデットローラ装置18、第2のゴデットローラ装置19で案内、搬送し、巻取機20で巻き取り、パッケージとしている。糸条Yをゴデットローラ装置18、19のローラ本体に1回のみ掛ける片掛式と呼ばれるものであるが、図4に示すように、2個一対のローラ本体を有するゴデットローラ装置18、19を用い、糸条Yを一対のローラ本体に複数回巻き回すように構成することもできる。また、いずれの場合も、ゴデットローラ装置間に速度差を与えて糸条を延伸することもできる。
【0018】
【実施例および比較例】
(実施例1)
図1に示した装置を用いた。ただし、バランス修正部は第1のバランス修正部Aのみとした。振動は、ローラ本体2の回転数を8,900rpm(周速7,000m/分)まで上げ、軸受9上にて測定した。なお、ローラ本体2の直径Dは250mm、軸方向の長さLは400mm、L/Dは1.6である。
【0019】
まず、第1のバランス修正部Aに重錘を取り付けないでローラ本体を回転させ、振動を測定した。次に、第1のバランス修正部Aに1gの重錘を取り付けてローラ本体を回転させ、振動を測定した。重錘の取付位相は0°とした。
【0020】
第1のバランス修正部Aに重錘を取り付けないときの振動データと、1gの重錘を取り付けたときの振動データとをコンピュータに入力し、適正なバランス修正量を計算した結果、30°の位相に2gの重錘を取り付ければよいことがわかった。本実施例では、第1のバランス修正部Aに周方向に8か所のタップ穴を等配して、重錘の取付位置が45°刻みとなっていることから、ベクトル換算して0°の位相に0.7g、45°の位相に1.4gの重錘を取り付けた。
【0021】
結果を図5に示す。8,900rpm(周速7,000m/分)まで問題なく昇速できている。回転数6,400rpm(周速5,000m/分)における振動値は約1mm/sec、回転数8,900rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約4mm/secであった。また、糸条の引っ掛かり等の不都合はみられなかった。
(比較例1)
実施例1において、第1のバランス修正部Aを設けず、バランス修正を行わなかった。
【0022】
結果を図6に示す。7,500rpm付近から振動値が立ち上がり始め、8,900rpm(周速7,000m/分)では約8mm/secと極めて大きな値になっている。回転数6,400rpm(周速5,000m/分)における振動値は約2mm/sec、回転数8,900rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約8mm/secで、実施例1の場合の約2倍の値を示した。
(実施例2)
実施例1において、ローラ本体2を直径Dが200mm、軸方向の長さLが400mm、L/Dが2のものに変えた。また、第1のバランス修正部Aに加えて第2のバランス修正部Bを設けた。
【0023】
バランス修正は、どのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態、第1のバランス修正部Aのみに1gの重錘を取り付けた状態、第2のバランス修正部Bのみに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第1のバランス修正部Aの位相135°に0.3g、270°に0.6g、第2のバランス修正部Bの位相45°に1.8g、90°に0.2gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0024】
回転数8,000rpm(周速5,000m/分)における振動値は約3mm/sec、回転数11,100rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約6mm/secであった。
(比較例2)
実施例2において、バランス修正部を第2のバランス修正部Bのみとした。
【0025】
バランス修正は、第2のバランス修正部Bに重錘を取り付けない状態、第2のバランス修正部Bに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第2のバランス修正部Bの位相90°に0.3g、135°に0.7gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0026】
回転数8,000rpm(周速5,000m/分)における振動値は約4mm/sec、回転数11,100rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約10mm/secであった。
(実施例3)
実施例2において、第1のバランス修正部Aに加え、第2のバランス修正部Bおよび第3のバランス修正部Cを設けた。
【0027】
バランス修正は、どのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態、第1のバランス修正部Aのみに1gの重錘を取り付けた状態、第2のバランス修正部Bのみに1gの重錘を取り付けた状態、第3のバランス修正部Cのみに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第1のバランス修正部Aの位相135°に0.3g、270°に0.6g、第2のバランス修正部Bの位相45°に0.8g、90°に0.3g、第3のバランス修正部Cの位相0°に0.2g、45°に0.6gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0028】
回転数8,000rpm(周速5,000m/分)における振動値は約2mm/sec、回転数11,100rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約4mm/secであった。
(比較例3)
実施例3において、バランス修正部を、第2のバランス修正部Bおよび第3のバランス修正部Cのみとした。
【0029】
バランス修正は、どのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態、第2のバランス修正部Bのみに1gの重錘を取り付けた状態、第3のバランス修正部Cのみに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第2のバランス修正部Bの位相135°に0.3g、270°に0.6g、第3のバランス修正部Cの位相45°に1.8g、90°に0.2gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0030】
回転数8,000rpm(周速5,000m/分)における振動値は約3mm/sec、回転数11,100rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約7mm/secであった。安定的に回転させるためには振動値は6mm/sec以下であるのが好ましいが、7mm/secという振動値はそれを超えている。
(実施例4)
図2に示した装置を用いた。ただし、バランス修正部は、第1のバランス修正部A、第2のバランス修正部Bおよび第3のバランス修正部Cを設けた。振動は、ローラ本体2の回転数を8,900rpm(周速7,000m/分)まで上げ、軸受9上にて測定した。なお、ローラ本体2の直径Dは250mm、軸方向の長さLは550mm、L/Dは2.2である。ローラ本体2のシェルには軸方向に12mmの間隔をおいて2本のヒートパイプ15、16を配置し、そのヒートパイプ列を周方向に80列配置した。
【0031】
バランス修正は、どのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態、第1のバランス修正部Aのみに1gの重錘を取り付けた状態、第2のバランス修正部Bのみに1gの重錘を取り付けた状態、第3のバランス修正部Cのみに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第1のバランス修正部Aの位相135°に0.8g、270°に0.6g、第2のバランス修正部Bの位相45°に1.4g、90°に0.4g、第3のバランス修正部Cの位相0°に1.6gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0032】
結果を図7に示す。8,900rpm(周速7,000m/分)まで問題なく昇速できている。回転数6,400rpm(周速5,000m/分)における振動値は約2mm/sec、回転数8,900rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約6mm/secであった。
(比較例4)
実施例4において、ヒートパイプ15、16を連結する形で1本のヒートパイプとした。また、第1のバランス修正部Aは設けず、第2のバランス修正部Bおよび第3のバランス修正部Cのみとした。
【0033】
結果を図8に示す。何回かバランス修正を試みたが、振動を低減することができず、6,000rpm(周速4,700m)付近から振動値が立ち上がり始め、振動が過大となってきたため、8,900rpm(周速7,000m/分)には到達することができなかった。これは、ヒートパイプを長くしたために穿穴時の工作精度が悪くなり、軸方向に分布するアンバランスを第2のバランス修正部B、第3のバランス修正部Cの2か所のみでは修正しきれなかったためであると推定される。換言すれば、実施例2に示したように、ローラ本体のシェルにヒートパイプを設ける場合、軸方向に間隔をおいて複数本配置し、それらの間にバランス修正部を設けてバランス修正を行うことが極めて有効であるということである。
(実施例5)
実施例4において、ローラ本体2を直径Dが220mm、軸方向の長さLが450mm、L/Dが2.05のものに変えた。
【0034】
バランス修正は、どのバランス修正部にも重錘を取り付けない状態、第1のバランス修正部Aのみに1gの重錘を取り付けた状態、第2のバランス修正部Bのみに1gの重錘を取り付けた状態、第3のバランス修正部Cのみに1gの重錘を取り付けた状態でそれぞれ振動を測定し、バランス修正量をコンピュータで計算した。その結果に基づき、第1のバランス修正部Aの位相90°に0.8g、第2のバランス修正部Bの位相0°に2.2g、45°に0.4g、第3のバランス修正部Cの位相0°に0.4g、315°に0.3gの重錘をそれぞれ取り付けた。
【0035】
回転数7,200rpm(周速5,000m/分)における振動値は約3mm/sec、回転数10,100rpm(周速7,000m/分)におけるそれは約5mm/secであった。
(比較例5)
比較例4において、ローラ本体2を直径Dが220mm、軸方向の長さLが450mm、L/Dが2.05のものに変えた。
【0036】
バランス修正を何回か試みたが、計算結果のとおりに重錘を取り付けても振動が低減せず、回転数7,200rpm(周速5,000m/分)では振動値が約4.5mm/secとなり、さらに昇速すると振動値が上がり、回転数10,100rpm(周速7,000m/分)には昇速できなかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明のゴデットローラ装置は、ローラ本体の軸方向の長さをLとしたとき、軸方向における中心から軸方向に±L/3の範囲内の部位に第1のバランス修正部を設けているので、ローラ本体の重心に近い位置で効果的にバランス修正を行うことができ、実施例と比較例との対比からも明らかなように、長尺のローラ本体を有するものであってもより高速で回転せしめることができるようになる。第1のバランス修正部をローラ本体の外表面に設けた場合には、バランス修正時の作業性が向上する。また、ローラ本体の一方の端部に第2のバランス修正部を設け、他方の端部に第3のバランス修正部を設けると、より長尺のローラ本体を有するものであっても軸方向のアンバランスを十分に修正することができるようになる。さらに、ローラ本体が、ローラ本体の軸方向に間隔をおいて配置され、かつ、ローラ本体の周方向に等配されたヒートパイプを備えているものである場合、第1のバランス修正部を軸方向に間隔をおいて配置されたヒートパイプ間に設けることで効果的なバランス修正を行うことができる。
【0038】
上記から、本発明のゴデットローラ装置を糸条製造装置に用いれば、糸条を高速かつ安定して製造することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るゴデットローラ装置の概略縦断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係るゴデットローラ装置の概略縦断面図である。
【図3】図1、図2に示したゴデットローラ装置を用いた糸条製造装置の一実施形態を示す概略正面図である。
【図4】図1、図2に示したゴデットローラ装置を用いた糸条製造装置の他の実施形態を示す概略正面図である。
【図5】実施例1におけるローラ本体の回転数と振動値との関係を示すグラフである。
【図6】比較例1におけるローラ本体の回転数と振動値との関係を示すグラフである。
【図7】実施例2におけるローラ本体の回転数と振動値との関係を示すグラフである。
【図8】比較例1におけるローラ本体の回転数と振動値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:ゴデットローラ装置
2:ローラ本体
3:駆動装置
4:フレーム
5:回転子
6:固定子
7:軸
8:電動機
9:軸受
10:軸受
11:タップ穴
12:タップ穴
13:タップ穴
14:ヒータ
15:ヒートパイプ
16:ヒートパイプ
17:紡糸機
18:第1のゴデットローラ装置
19:第2のゴデットローラ装置
20:巻取機
A:第1のバランス修正部
B:第2のバランス修正部
C:第3のバランス修正部
Claims (9)
- ローラ本体と、このローラ本体の駆動手段とを有し、かつ、ローラ本体の軸方向の長さをLとしたとき、軸方向における中心から軸方向に±L/3の範囲内の部位に第1のバランス修正部を設けてなるゴデットローラ装置。
- 第1のバランス修正部をローラ本体の外表面に設けた、請求項1に記載のゴデットローラ装置。
- ローラ本体の一方の端部に第2のバランス修正部を設けた、請求項1または2に記載のゴデットローラ装置。
- ローラ本体の他方の端部に第3のバランス修正部を設けた、請求項1〜3のいずれかに記載のゴデットローラ装置。
- ローラ本体が、ローラ本体の軸方向に間隔をおいて配置され、かつ、ローラ本体の周方向に等配されたヒートパイプを備えている、請求項1〜4のいずれかに記載のゴデットローラ装置。
- 第1のバランス修正部を、ローラ本体の軸方向に間隔をおいて配置されたヒートパイプ間に設けた、請求項5に記載のゴデットローラ装置。
- ローラ本体の軸方向の長さをL、直径をDとしたとき、L/Dが2以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のゴデットローラ装置。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のゴデットローラ装置を有する糸条製造装置。
- 請求項8に記載の糸条製造装置を用いて製造された糸条。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002267899A JP2004106949A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | ゴデットローラ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP2002267899A JP2004106949A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | ゴデットローラ装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
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|---|---|
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Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007296462A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Fujifilm Corp | 塗布方法及び装置並びに塗布ライン用ローラ |
| JP2017522036A (ja) * | 2014-07-18 | 2017-08-10 | イノテック ゲーエムベーハー マシーネンエントヴィクルング ウント フェルトリープ | ソーセージストランドのソーセージを縛る方法 |
-
2002
- 2002-09-13 JP JP2002267899A patent/JP2004106949A/ja active Pending
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| JP2017522036A (ja) * | 2014-07-18 | 2017-08-10 | イノテック ゲーエムベーハー マシーネンエントヴィクルング ウント フェルトリープ | ソーセージストランドのソーセージを縛る方法 |
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