JP2004107182A - 膜形成方法及び膜形成装置 - Google Patents

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後藤 孝
Teiichi Kimura
木村 禎一
Hideaki Matsubara
松原 秀彰
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木村 和成
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Abstract

【課題】レーザーを用いて所定の位置に均一な膜を効率的に形成することのできる膜形成方法及びそのための膜形成装置を提供する。
【解決手段】本膜形成方法は、気体物質を含む原料成分を基板方向に導入しながらレーザー光を基板表面に照射し、基板の加熱と同時に原料成分の反応によって反応生成物からなる膜を基板の表面に形成するものである。原料成分は基板に対して垂直に導入することが好ましい。本膜形成装置は、気化装置を含む原料導入手段と、原料導入手段から原料成分が導入され且つ内部に基板が配設される膜形成室と、膜形成室に配設され且つ基板にレーザーを照射するためのレーザー発生装置と、を備える。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜形成方法及び膜形成装置に関し、更に詳しくは、レーザーを用いて所定の位置に均一な膜を効率的に形成することのできる膜形成方法及びそのための膜形成装置に関する。本発明の膜形成方法及び膜形成装置は、薄膜製造技術に有用である。
【0002】
【従来の技術】
膜を形成するための一般的なCVD法は、金属、金属酸化物、金属窒化物等の膜を作製する方法であり、通常、基板を予めヒーター等によって加熱し、熱励起によって基板表面において原料成分を反応させて高純度の良質な膜を得るものであり、強誘電体、磁性体等の膜形成法として広く用いられている。この方法では、基板表面で原料成分を反応させるため、熱、プラズマ等によって基板表面の近傍で化学結合を励起する必要がある。
また、レーザーを用いるCVD法としては、特許文献1によって、基板表面直上に基板表面に平行にレーザー光を入射し、基板直上の空間において、プラズマ励起により原料成分を反応させ、基板上に膜を形成する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−78847号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、レーザーを用いて所定の位置に均一な膜を効率的に形成することのできる膜形成方法及びそのための膜形成装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下に示される。
[1]基板の表面に膜を形成する方法であって、気体物質を含む原料成分を基板方向に導入しながらレーザー光を基板表面に照射し、基板の加熱と同時に上記原料成分の反応によって反応生成物からなる膜を形成することを特徴とする膜形成方法。
[2]上記原料成分を基板に対して垂直に導入する上記1に記載の膜形成方法。
[3]原料導入手段と、上記原料導入手段から原料成分が導入され且つ内部に基板が配設される膜形成室と、上記膜形成室に配設され且つ上記基板にレーザーを照射するためのレーザー発生装置と、を備えることを特徴とする膜形成装置。
[4]上記原料導入手段は、気化装置を含む上記3に記載の膜形成装置。
[5]上記気化装置は、通気性多孔質容器と、上記通気性多孔質容器を加熱する加熱手段と、上記通気性多孔質容器の内部に所定の気体を供給する気体供給手段と、を備える上記4に記載の膜形成装置。
【0006】
【発明の効果】
本発明の膜形成方法によれば、基板の表面に膜を効率的に形成することができる。特に、レーザー光を用いることによって、瞬時に基板表面を原料成分の反応温度に加熱することが可能なため、膜形成装置自体に基板を加熱する手段を設ける必要がなく、短時間で膜を形成することができる。また、所定の位置にレーザー光を照射すれば、パターン化された膜を形成することもできる。更に、気体物質を含む原料成分を、基板に対して垂直に導入した場合には、反応生成物を基板に対して垂直に成長させることができ、均一な膜を得ることができる。
本発明の膜形成装置によれば、上記膜形成方法を効果的に達成することができる。特に、原料導入手段に気化装置を含むものとした場合には、気体物質を含む原料成分を無駄なく基板方向へ導入することができる。また、この気化装置を所定の構成とすることによって、昇華性物質等の物質を容器の内部で変質させることなく効率的に気化させることができ、長時間にわたって一定量の昇華物質を供給することができる。また、通気性多孔質容器及び気体供給手段の利用によって、昇華性物質等の物質どうしが密に位置することなく、常に送られる気体と接触しながら加熱されるため、昇華性物質等の物質は流れる気体の中で効率的に気化させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明を更に詳しく説明する。
本発明の膜形成方法は、気体物質を含む原料成分を基板方向に導入しながらレーザー光を基板表面に照射し、基板の加熱と同時に上記原料成分の反応によって反応生成物からなる膜を基板の表面に形成するものである。
上記原料成分は、気体物質を含む少なくとも1種からなるものである。上記気体物質は、レーザー光の照射によって、それ自身であるいは他の成分と反応するものであれば特に限定されない。例えば、公知のCVD法で原料として用いられる材料の気化物質(昇華物質)等が挙げられる。尚、上記原料成分としては、気体でない微粒子状固体物質であってもよい。また、膜の形成を促進する作用を有する気体、例えば、酸素ガス、一酸化炭素ガス、炭酸ガス、水蒸気等を含むものであってもよい。
【0008】
上記原料成分は、基板の表面における膜形成のために基板方向に導入されるが、このとき、原料成分が複数成分からなる場合、均一な混合物となった原料成分を導入してもよいし、各成分を別々に導入してもよい。また、原料成分の一部あるいはすべてが加温されていてもよいし、されていなくてもよい。原料成分中の気体物質がある化合物の気化物である場合には、原料成分が基板方向へ到達するまで気体のままであることが好ましい。これによって、副反応がなく且つ収率の高い反応生成物からなる膜を形成することができる。
また、上記原料成分と反応する成分を、予め基板表面に存在させておいてもよい。
【0009】
上記基板としては特に限定されないが、照射されるレーザー光によって変形、分解、変質等しないものが好ましい。その例としては、金属、合金、セラミックス等が挙げられる。
【0010】
原料成分を導入する際には、基板の表面に均一な膜を形成するために、原料成分を基板に対して垂直に導入することが好ましい。ここで、「垂直」について、以下のように定義する。原料成分が1成分である場合には、基板に対して80〜90度、更には85〜90度であることが好ましいが、原料成分が2種以上の成分からなる場合には90度近くで導入することが難しいので、好ましくは60〜85度、より好ましくは70〜85度の範囲とする。
【0011】
レーザー光は、基板表面の所定の位置に向けて照射される。照射するレーザー光としては、原料成分の反応性を考慮したものを選択すればよく、特に限定されないが、通常、波長の長いレーザーであるYAGレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられる。更に、光ファイバーを用いてもよい。
【0012】
レーザー光の照射時における基板に対する角度は特に限定されず、斜め方向でもよいし、平行に近い鋭角な角度であってもよい。また、基板を配置するための基板設置用台に貫通穴がある場合には、厚さが薄く、熱伝導性が良好な基板に膜を形成するために、貫通穴を通してレーザー光を基板の裏側から照射することもできる。いずれの場合もより正確に基板表面の所定の位置に膜を形成するために、好ましい照射角度は、10〜90度、更には45〜90度である。膜を効率的に形成するには、レーザー光の出力及び照射時間、基板が配置される室の容積、原料成分の種類、濃度、反応性等を適宜選択すればよい。
また、基板の位置が固定されている場合には、膜を大面積にあるいは所定のパターン形状等に形成するためにレーザー光を走査してもよい。
【0013】
本発明の膜形成装置は、原料導入手段と、上記原料導入手段から原料成分が導入され且つ内部に基板が配設される膜形成室と、上記膜形成室に配設され且つ上記基板にレーザーを照射するためのレーザー発生装置と、を備える。
【0014】
上記原料導入手段としては、膜形成室中の基板方向に原料成分を効率よく供給することができるものであれば特に限定されない。また、所定の濃度で連続的に供給することができるものが好ましい。原料物質の供給速度も特に限定されないが、通常、10〜500cm/分、好ましくは50〜100cm/分の範囲で任意に選択すればよい。
本発明に関わる原料導入手段として、気化装置を含む手段とすることが好ましい。例えば、原料成分に含まれる気体物質を気化装置によって製造し、得られた気体物質をそのままあるいは他の成分と同時に基板方向へ導入することによって、気化から成膜へより短い経路を達成することができる。
【0015】
上記気化装置としては特に限定されないが、気化させる物質(以下、「気化性物質」ともいう。)を容器内で浮遊させながら加熱することによって気化あるいは昇華させることが好ましい。気化性物質を入れる容器としては、気化中に気化性物質をロスしないもの、即ち、浮遊の最中に外部に漏出されることのないものであれば特に限定されない。好ましくは、気化物質が送出される部分以外は密閉されていることである。
また、上記気化性物質を浮遊させる方法は特に限定されず、容器内で気体を循環させる方法、外部から気体を供給する方法等が挙げられる。ここで、「浮遊」とは、容器内で舞うように流動していてもよいし、容器内にある気化性物質が嵩高くなる等によって、隣り合う粒子の接触面積が小さい状態をいう。
【0016】
ここで、上記気化性物質の例を以下に挙げる。塩化ジルコニウム、塩化イットリウム、塩化ケイ素、塩化アルミニウム等の金属塩化物、金属アルコキシド、フタロシアニン類、金属ジピバノイルメタン錯体、金属アセチルアセトネート等のβ−ジケトネート類等の有機金属化合物等である。また、上記気化性物質は、粉体であることが好ましく、その粒径は特に限定されない。
【0017】
上記気化性物質の加熱手段も特に限定されず、誘導加熱法、通電加熱法、ヒーターを用いた外部加熱法等が挙げられる。また、電気炉内に容器を載置して容器全体を加熱してもよい。加熱温度は気化性物質の気化(昇華)温度によって、任意に選択すればよい。
【0018】
膜の形成は、膜形成室内で行われ、通常、密閉空間である。また、本発明の膜形成装置は、上記以外に、必要に応じて、冷却装置、(真空)排気装置、気体導入装置、基板設置用台、ヒーター、覗き窓等を備えることができる。上記気体導入装置は、導入される原料成分と反応又は反応を促進させるための気体を導入する目的、あるいは導入される原料成分の反応性を制御するために、雰囲気を調整する目的等で利用することができる。上記各手段及び装置は複数有するものであってもよい。
【0019】
本発明の膜形成装置の構成について、図1に示す概略図を用いて説明する。この装置1は、原料導入手段としての気化装置2と、この気化装置2に所定の気体を供給する気体供給手段3と、原料成分供給口4と、基板10が配設される膜形成室5と、冷却装置6と、レーザー発生装置7と、光学装置(レンズ)8と、排気装置9と、を備える。上記膜形成室5の内部は排気装置9によって減圧することもできる。また、基板の表面における反応を効率的に進めるために、膜形成室5の雰囲気を窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、水蒸気等としてもよい。この膜形成室5の外周部、及び基板設置用台は、冷却装置6により供給される低温気体又は低温液体によって冷却することができる。
基板10の加熱及び原料成分の反応に関わるレーザー光は、レーザー発生装置7から発生され、レーザー光導入窓を通して膜形成室5内に照射される。レーザー光は、レーザー光導入窓の直前に設置された光学装置8によって収束又は拡散することができる。これにより、基板25の表面の所定の位置にレーザー光を照射することができる。
【0020】
膜形成のための原料成分は、原料導入手段としての気化装置2から送出される気化(昇華)物質と、必要に応じて用いられる他の気体成分と、が別々に、あるいは混合されて膜形成室5の中の基板10の方向へ導入される。
基板10は、基板設置用台の上に保持される。この基板設置用台は、基板を移動、傾斜、あるいは回転させる機構を備えることによって、目的の形状あるいは性質を有する膜をより効率的に得ることができる。
【0021】
図1に示すような膜形成装置を用いることによって、膜は、気化装置2から送出された気化(昇華)物質を含む原料成分が基板方向に導入され、レーザー発生装置7からのレーザー光による基板の加熱と同時に基板表面に生成する反応生成物によって形成される。
【0022】
次に、上記気化装置2の具体的な態様を図2に基づいて説明する。気化装置2は、通気性多孔質容器22の内部に所定の気体を供給する気体供給手段3と、保持用容器21と、気化性物質23を入れるための通気性多孔質容器22と、この通気性多孔質容器22を加熱する加熱手段24と、気化(昇華)物質を送り出す送出管25と、を備える。通気性多孔質容器12は、通常、これを保持あるいは単に配置するために、例えば耐火性の保持用容器21等の中に入れられる。気化性物質23は、通気性多孔質容器22の孔を通して気体供給手段3から供給される気体(以下、「キャリアガス」ともいう。)によって穏やかに且つ流動的に変位し、加熱手段24による加熱と同時に気化(昇華)し、気化(昇華)物質が送出管25から送出される。通気性多孔質容器22の外表面及び保持用容器21の内表面は、密着していてもよいが、離れて空隙を有してもよい。気化性物質23を効率的に気化(昇華)させ、送出させるためには、通気性多孔質容器22の底面のみから気体を供給することが好ましい。これによって、気化性物質23は下方からのキャリアガスによって浮遊し、加熱によって気化性物質が変質することなく効率的に気化(昇華)する。
【0023】
上記通気性多孔質容器22としては、気体供給手段によって供給される気体及び気化(昇華)物質を通過させることができ、容器の内部及び外部が連通する細孔を備え、更に、加熱によって、劣化、変質等を引き起こさないもの、また、気化性物質と反応しないものであれば特に限定されない。その構成材料も特に限定されず、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、白金等の金属、ステンレス鋼等の合金、アルミナ、ジルコニア、シリカ等のセラミックス等が挙げられる。
また、細孔の孔径は、気化性物質によって目詰まり等を引き起こさない程度であり、更には気化(昇華)物質を効率よく通すことができればよく、好ましくは10μm〜2mm、より好ましくは100μm〜1mm、更に好ましくは200〜500μmである。
【0024】
上記気体供給手段3によって供給されるキャリアガスは、気化性物質と反応等起こさないものであれば特に限定されず、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス、窒素ガス、炭酸ガス等が挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
また、上記キャリアガスの供給速度も特に限定されず、通気性多孔質容器の体積、気化性物質の比重、気化(昇華)速度等を考慮して、通常、10〜500cm/分、好ましくは50〜100cm/分の範囲で任意に選択すればよい。供給速度が小さすぎると、気化性物質及びキャリアガスの混合が不十分で蒸気圧が不安定となる傾向にあり、一方、大きすぎると、気化性物質が固体のまま気化せずに供給される傾向にある。
【0026】
上記加熱手段24は、上記例示した方法によればよい。また、加熱温度は、通気性多孔質容器及び保持用容器の熱伝導性や、気化性物質の気化(昇華)温度等を考慮して、任意に選択すればよい。
【0027】
上記気化装置を用いることによって、長時間にわたって一定量の気化物を含む原料ガスを供給しようとしたときに、加熱による気化性物質の経時的な変質(分解、固着等を含む)によって効率的な気化を行うことができないといった従来からの問題を解決することができ、容器内の気化性物質の表面部が溶融・固化し、内部に位置する気化性物質の気化が妨害されるといった現象も見られない。即ち、一部又は全部が変質した気化性物質は再利用することができないため、大きな損失をもたらすこともない。
【0028】
以上のように、上記原料導入手段として、上記気化装置を含む手段とすることによって、膜の形成に関わる気体物質を含む原料成分を、上記気化装置に備わる気体供給手段からの気体の流速をそのまま利用することによって導入することができる。
【0029】
【実施例】
以下、例を挙げて本発明を具体的に説明する。
1.気化装置を用いた昇華
参考例1
ステンレス製の容器内に、アルミニウム製の円筒形多孔質容器(内径30mm、厚さ10mm、高さ45mm、孔径0.5〜1mm)を載置し、その内部にジピバロイルメタネートジルコニウム粉末1gを静置した。ステンレス容器を密閉した後、真空ポンプを用いて容器の内圧を3Torrに減圧しながら、毎分50cmの供給速度でアルゴンガスをキャリアガスとして導入した。容器外周部に取り付けた発熱抵抗線に通電して210℃に加熱した。その結果、ジピバロイルメタネートジルコニウム粉末の重量は時間とともに直線的に減少し、20分後には原料粉末がすべて気化した。多孔質容器内には何も残存していなかった。
【0030】
参考例2
原料粉末をジピバロイルメタネートイットリウムとし、加熱温度を160℃とした以外は、参考例1と同様にして行った。その結果、原料粉末の重量は時間とともに直線的に減少し、25分後には原料粉末がすべて気化した。多孔質容器内には何も残存していなかった。
【0031】
参考例3
ジピバロイルメタネートジルコニウム1gをジルコニウム製ボート(高さ5mm、幅5mm、長さ30mmの矩形、上面部のみ開口)内に入れ、キャリアガス導入口及び気化物質取り出し口を備えるステンレス管に入れて電気炉中に載置した。ステンレス管内部を真空ポンプによって3Torrに減圧しながら、毎分50cmの供給速度でアルゴンガスをキャリアガスとして導入した。210℃に加熱したところ、原料粉末の重量は時間とともにその減少の割合が小さくなり、15分後に0.15gで一定となり、それ以降、重量変化が見られなくなった。ジルコニウム製ボートの中には、茶褐色の半透明物質が底面に付着していた。
【0032】
参考例4
原料粉末をジピバロイルメタネートイットリウムとし、加熱温度を160℃とした以外は、参考例3と同様にして行った。その結果、原料粉末の重量は時間とともにその減少の割合が小さくなり、10分後に0.20gで一定となり、それ以降、重量変化が見られなくなった。ジルコニウム製ボートの中には、茶褐色の半透明物質が底面に付着していた。
【0033】
2.膜の形成
以下、図1に示す膜形成装置を使用し、Ni基超合金基板上にイットリウム安定化ジルコニア膜を作製する例を挙げる。
実施例
気化性物質として、ジピバロイルメタネートジルコニウム1g及びジピバロイルメタネートイットリウム0.3gを使用し、図1の構成において参考例1で用いた気化装置2を2台設置して、それぞれ220℃、170℃で加熱し気化させた。気化した各原料成分は、気体供給手段3である高圧アルゴンボンベから供給されるアルゴンガスによって送出管25を通して供給した。この時点で、2つの混合物原料化合物を含む混合ガスとなった。上記原料成分供給口4からこの混合物と、別に設けた原料物質供給手段21から酸素ガスと、を直径15mm、厚さ2mmの円板状Hastelloy−XR合金からなる基板10に、ほぼ垂直方向に、同時に且つ等濃度で連続的に導入した。その後、膜形成室5の内圧を、排気装置6によって7Torrとした。加熱に用いるレーザー発生装置7として、レーザー光源にYAGを備えるものを用いた。照射時の出力は150Wである。レーザー光束は、基板表面における照射領域が直径約15mmとなるように調整した。成膜時間(レーザー光の照射開始から照射停止までの時間)は15分とした。
【0034】
膜形成室から基板を取り出し、形成された膜を走査型電子顕微鏡により観察したところ、図3のように、基板に対して垂直に柱状結晶が配向した膜が形成されていることが分かった。膜厚は60μmであった。また、この膜をX線回折法によって分析したところ、イットリウム安定化ジルコニアのピークが検出された(図4)。
【0035】
膜を形成した後の膜形成室の内部には、原料成分が基板表面以外で反応し、膜が形成された痕跡はなく、高効率で基板上に成膜できた。
【0036】
尚、上記実施例では、レーザー光の照射による加熱としたが、公知の加熱手段、例えば、ヒーター等との併用によって基板を加熱してもよい。この場合、レーザー光の照射位置に膜を形成させるためには、ヒーター等による加熱は、原料成分の反応温度よりも低い温度にすることが必要である。
また、上記実施例では、膜を形成する主原料ガスと酸素ガスとを別々に基板方向に導入したが、本発明はこれに限定されず、これらを混合してから、混合物を基板方向に導入してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】膜形成装置の概略説明図である。
【図2】気化装置の概略説明図である。
【図3】実施例で得られた膜を示す写真である。
【図4】実施例で得られた膜のX線回折像である。
【符号の説明】
1;膜形成装置、2;気化装置、21;保持用容器、22;通気性多孔質容器、23;気化性物質、24;加熱手段、25;送出管、3;気体供給手段、4;原料成分供給口、5;膜形成室、6;冷却装置、7;レーザー発生装置、8;光学装置(レンズ)、9;排気装置、10;基板。

Claims (5)

  1. 基板の表面に膜を形成する方法であって、気体物質を含む原料成分を基板方向に導入しながらレーザー光を基板表面に照射し、基板の加熱と同時に該原料成分の反応によって反応生成物からなる膜を形成することを特徴とする膜形成方法。
  2. 上記原料成分を基板に対して垂直に導入する請求項1に記載の膜形成方法。
  3. 原料導入手段と、該原料導入手段から原料成分が導入され且つ内部に基板が配設される膜形成室と、該膜形成室に配設され且つ該基板にレーザーを照射するためのレーザー発生装置と、を備えることを特徴とする膜形成装置。
  4. 上記原料導入手段は、気化装置を含む請求項3に記載の膜形成装置。
  5. 上記気化装置は、通気性多孔質容器と、該通気性多孔質容器を加熱する加熱手段と、該通気性多孔質容器の内部に所定の気体を供給する気体供給手段と、を備える請求項4に記載の膜形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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