JP2004109253A - パターン形成体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材と、前記光触媒反応阻害性基材上にパターン状に形成されている遮蔽層と、前記遮蔽層がパターン状に形成されている前記光触媒反応阻害性基材上に成膜され、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する光触媒含有層とを有することを特徴とするパターン形成体を提供する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルタ、マイクロレンズおよびエレクトロルミネッセント素子等の各種の用途に使用可能なパターン形成体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高精細なパターンを形成する方法として、基材上に塗布したフォトレジスト層にパターン露光を行い、露光後、フォトレジストを現像し、さらにエッチングを行ったり、フォトレジストに機能性を有する物質を用いて、フォトレジストの露光によって目的とするパターンを直接形成する等のフォトリソグラフィーによるパターン形成体の製造方法が知られている。
【0003】
フォトリソグラフィーによる高精細パターンの形成は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの着色パターンの形成、マイクロレンズの形成、精細な電気回路基材の製造、パターンの露光に使用するクロムマスクの製造等に用いられているが、これらの方法によっては、フォトレジストを用いると共に、露光後に液体現像液によって現像を行ったり、エッチングを行う必要があるので、廃液を処理する必要が生じる等の問題点があり、またフォトレジストとして機能性の物質を用いた場合には、現像の際に使用されるアルカリ液等によって劣化する等の問題点もあった。
【0004】
一方、このような問題点を解決するために、光触媒の作用により特性が変化する物質を用いてパターンを形成するパターン形成体の製造方法等が本発明者等において検討されてきた。しかしながら、これまでの光触媒の作用によるパターン形成体の製造方法は、露光に際してフォトマスク等のマスクを用いて製造する方法が主たるものであり、このようなマスクを用いて行う方法は、CADデータ等のデジタルデータに基づいたパターンを形成するためには、これらのデータに基づいてフォトマスクを形成し、これを用いて露光する等、直接デジタルデータに基づいてパターンを形成することができないという問題が生じる場合もある。
【0005】
また、このような問題点から、フォトマスクを用いずに光描画照射によりパターンを形成する提案が発明者等によりなされている。しかしながら、今までに提案された光描画照射は、紫外光等の光触媒の触媒反応を開始させるエネルギーによってパターンを形成しようとするものであったため、紫外線レーザ等の高価かつ取り扱いが困難な装置を用いる必要があるという問題点を有するものであった。
【0006】
なお、本発明に関する先行技術文献は、発見されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡便な工程での形成が可能であり、フォトマスクを介する方法や電子線描画を用いる方法等によりエネルギーをパターン状に照射しなくとも、パターン形成が可能なパターン形成体およびその製造方法を提供することを主目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は請求項1に記載するように、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材と、上記光触媒反応阻害性基材上にパターン状に形成されている遮蔽層と、上記遮蔽層がパターン状に形成されている上記光触媒反応阻害性基材上に成膜され、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する光触媒含有層とを有することを特徴とするパターン形成体を提供する。
【0009】
本発明においては、光触媒反応阻害性基材上に遮蔽層をパターン状に形成することにより、その上に形成される光触媒含有層に含まれる光触媒の作用が阻害または低下される領域および阻害または低下されない領域からなるパターンを形成することができる。このようなパターンが形成された光触媒反応阻害性基材上に光触媒含有層を成膜することにより、光触媒含有層には、遮蔽層のパターンに沿って光触媒の機能が発揮される領域とされない領域とが存在するため、エネルギーを全面に照射することによりフォトマスクを介する等の方法によりエネルギーをパターン状に照射しなくとも、光触媒含有層表面に濡れ性の違いによるパターンを形成することができるのである。また、エネルギー照射後に現像・洗浄といった後処理を施す必要がないことから製造工程を簡略化することが可能である。
【0010】
本発明においてはまた、請求項2に記載するように、基体と、上記基体上にパターン状に形成され、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層と、上記光触媒反応阻害物質含有層がパターン状に形成されている基体上に成膜され、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する光触媒含有層とを有することを特徴とするパターン形成体を提供する。
【0011】
ここでいう基体とは、一般的な光触媒の作用に影響を及ぼさない部材であり、このような基体上に、光触媒の作用を阻害等する物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成することにより、光触媒の作用が阻害または低下される領域と阻害または低下されない領域とからなるパターンが基体上に形成されたこととなる。このようなパターンが形成されている基体上に成膜された光触媒含有層は、光触媒反応阻害物質含有層のパターンに沿って、光触媒の作用に違いが生じるため、光触媒含有層の表面にエネルギーを照射するのみで、濡れ性の違いによるパターンを形成することができる。さらに、エネルギー照射後に現像・洗浄といった後処理を施す必要がないことから製造工程を簡略化することが可能である。
【0012】
また、本発明においては、請求項3に記載するように、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる光触媒反応阻害物質を含有する部分がパターン状に存在する光触媒反応阻害物質含有基材と、上記光触媒反応阻害物質含有基材上に成膜され、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する光触媒含有層とを有することを特徴とするパターン形成体を提供する。
【0013】
本発明においては、光触媒反応阻害物質を含有する部分がパターン状に存在する光触媒反応阻害物質含有基材上に光触媒含有層を成膜することにより、光触媒含有層内の光触媒の機能に、当該光触媒反応阻害物質含有基材のパターンに沿って違いが生じる。従って、このような光触媒含有層にエネルギーを照射すると、容易に濡れ性の違いによるパターンが形成されたパターン形成体を得ることができるのである。
【0014】
上記請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項4に記載するように、上記光触媒含有層が、少なくとも光触媒およびバインダを有することが好ましい。このような光触媒含有層であれば、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、表面の濡れ性を容易に変化させることができるからである。
【0015】
上記請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項5に記載するように、上記光触媒含有層は、光触媒と、表面に存在し光触媒の作用により分解されて濡れ性が変化する光触媒分解性物質とを少なくとも有することが好ましい。このような光触媒含有層を用いることにより、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により光触媒分解性物質が分解され、光触媒含有層表面に良好な濡れ性の差を有するパターンを容易に形成することができるからである。
【0016】
上記請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項6に記載するように、上記光触媒含有層の膜厚は、30nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも光触媒含有層の膜厚を厚くすると、光触媒含有層全体に、光触媒含有層の下に形成されている光触媒反応阻害性基材等の影響が及ばなくなるおそれがあるからであり、一方、上記範囲よりも膜厚を薄くすると、光触媒含有層を均一な膜に形成することが難しくなるからである。
【0017】
本発明においてはまた、請求項7に記載するように、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材と、上記光触媒反応阻害性基材上にパターン状に形成されている遮蔽層と、上記遮蔽層がパターン状に形成されている上記光触媒反応阻害性基材上に成膜され、少なくとも光触媒を有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に成膜され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有することを特徴とするパターン形成体を提供する。
【0018】
本発明においては、遮蔽層がパターン状に形成されている光触媒反応阻害性基材上に、特性変化層を成膜することにより、光触媒反応阻害性基材の影響が、遮蔽層のパターンに沿って特性変化層に及ぶので、エネルギー照射のみで、特性変化層に特性が変化したパターンを容易に形成することができる。
【0019】
さらに、本発明においては、請求項8に記載するように、基体と、上記基体上にパターン状に形成され、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層と、上記光触媒反応阻害物質含有層がパターン状に形成されている上記基体上に成膜され、少なくとも光触媒を有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に成膜され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有することを特徴とするパターン形成体を提供する。
【0020】
ここでいう基体とは、一般的な光触媒の作用に影響を及ぼさない部材であり、このような基体上に光触媒反応阻害性物質含有層をパターン状に形成することにより、光触媒の作用が阻害または低下される領域と、阻害または低下されない領域とからなるパターンを基体上に形成することができる。さらに、このような基体上に光触媒処理層が成膜されていることから、光触媒処理層には、基体上に形成されている光触媒の作用が阻害または低下される領域と阻害または低下されない領域とからなるパターンの影響が及ぶこととなる。従って、このような光触媒処理層上に特性変化層を成膜することにより、エネルギー照射のみで、光触媒反応阻害物質含有層のパターンに沿って、特性が変化したパターンを特性変化層に容易に形成することができる。
【0021】
また、本発明においては、請求項9に記載するように、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる光触媒反応阻害物質を含有する部分がパターン状に存在する光触媒反応阻害物質含有基材と、上記光触媒反応阻害物質含有基材上に成膜され、少なくとも光触媒を有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に成膜され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有することを特徴とするパターン形成体を提供する。
【0022】
本発明においては、このように光触媒反応阻害物質が内部に存在する部分と存在しない部分によるパターンが形成されている光触媒反応阻害物質含有基材を用い、このような光触媒反応阻害物質含有基材上に特性変化層を成膜することにより、エネルギー照射のみで、特性変化層に光触媒反応阻害物質含有基材のパターンに沿って特性が変化したパターンを容易に形成することができる。
【0023】
上記請求項7から請求項9までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項10に記載するように、上記光触媒処理層の膜厚は、30nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも膜厚を厚くすると、光触媒反応阻害性基材等の影響が光触媒処理層全体に及ばなくなり、明確なパターンを形成することが困難となるからである。一方、上記範囲よりも膜厚を薄くすると、均一な膜として形成することが難しくなるからである。
【0024】
上記請求項7から請求項10までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項11に記載するように、上記特性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層であることが好ましい。特性変化層の特性は種々のものがあるが、その中でも重要なものとして濡れ性の変化を挙げることができる。このように特性変化層を濡れ性変化層とし、濡れ性変化層表面へのエネルギー照射により濡れ性の違いによるパターンを有するパターン形成体が形成され、この濡れ性の違いを利用してインク等の機能性部用組成物を付着させることにより、後述するように種々の機能性素子、例えばカラーフィルタ、マイクロレンズまたはEL素子等を形成することができるからである。
【0025】
上記請求項7から請求項10までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項12に記載するように、上記特性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層であることが好ましい。分解除去層を用いることにより、エネルギー照射を行うと、分解除去層が分解除去され分解除去層の有無によるパターンが形成される。このような分解除去層を例えば、分解除去層が分解除去される際に露出する部材と異なる濡れ性を示すようにすると、分解除去層をパターン状に形成することにより濡れ性の違いによるパターンを形成することができる。このような分解除去層のパターンを利用してインク等の機能性部用組成物を付着させることにより、後述するように種々の機能性素子、例えばカラーフィルタ、マイクロレンズまたはEL素子等を容易に形成することができるからである。
【0026】
上記請求項1または請求項7に記載された発明においては、請求項13に記載するように、上記遮蔽層の膜厚は10μm以下であることが好ましい。上記範囲よりも遮蔽層の膜厚を薄くした場合は、遮蔽層の遮蔽効果が薄れ、光触媒反応阻害性基材の作用が光触媒含有層に及ぶおそれがあるからであり、一方、上記範囲よりも遮蔽層の膜厚を厚くした場合には、パターン形成体全体としての平滑性を損なうおそれがあるからである。
【0027】
上記請求項2または請求項8に記載された発明においては、請求項14に記載するように、上記光触媒反応阻害物質含有層の膜厚は、10nm〜15μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも膜厚を厚くすると、パターン形成体全体としての平滑性が損なわれるおそれがあるからであり、上記範囲よりも膜厚を薄くすると、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる機能が十分に発揮されない可能性があるからである。
【0028】
上記請求項1から請求項14までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項15に記載するように、上記光触媒反応阻害物質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化アンチモン、無定形酸化チタン、アルミニウム、マンガンから選ばれる1種以上の物質であることが好ましい。このような物質がエネルギー照射に伴う光触媒の作用を阻害する効果が特に高いからである。
【0029】
上記請求項1から請求項15までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項16に記載するように、上記光触媒が酸化チタン(TiO2)であることが好ましい。酸化チタンは、バンドキャップエネルギーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒性がなく、入手も容易だからである。
【0030】
本発明は、さらに請求項17に記載するように、上記請求項1から請求項16までのいずれかの請求項に記載されたパターン形成体における光触媒含有層上または特性変化層上に、機能性部がパターン状に配置されたことを特徴とする機能性素子を提供する。このように、本発明のパターン形成体を用いることにより容易に機能性素子を得ることができる。
【0031】
上記請求項17に記載された発明においては、請求項18に記載するように、上記機能性部が金属であることが好ましい。この場合は、例えば高精細な電気回路基板等に応用することが可能である。さらに、請求項19に記載するように、請求項17に記載の機能性素子の機能性部が、画素部であることを特徴とするカラーフィルタである場合、また、請求項20に記載するように、請求項17に記載の機能性素子の機能性部が、レンズであることを特徴とするマイクロレンズである場合、請求項21に記載するように、請求項17に記載された機能性素子の機能性部が、発光層であることを特徴とするEL素子が好ましい利用態様であるとすることができる。
【0032】
上記目的を達成するために、本発明においては請求項22に記載するように、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材上に、パターン状に遮蔽層を形成する工程と、上記遮蔽層がパターン状に形成されている上記光触媒反応阻害性基材上に、エネルギー照射により濡れ性が変化する光触媒含有層を形成する工程と、上記光触媒含有層の表面にエネルギーを照射し、光触媒含有層に濡れ性の違いによるパターンを形成する工程とを少なくとも有することを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
【0033】
本発明におけるパターン形成体の製造方法においては、光触媒反応阻害性基材上に、遮蔽層がパターン状に形成されていることから、遮蔽層のパターンに沿って光触媒の作用が阻害または低下される領域およびそのような影響を受けない領域からなるパターンが形成されている。従って、このような光触媒反応阻害性基材上に光触媒含有層を成膜することにより、このパターンを利用して光触媒含有層をパターニングすることが可能である。すなわち、エネルギーをパターン照射しなくとも、全面照射であっても光触媒含有層表面に濡れ性の違いによるパターンを形成することができるのである。さらに、エネルギー照射後に現像・洗浄といった後処理を行う必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
【0034】
さらに、本発明においては、請求項23に記載するように、基体上に、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成する工程と、上記光触媒反応阻害物質含有層がパターン状に形成された上記基体上に、エネルギー照射により濡れ性が変化する光触媒含有層を形成する工程と、上記光触媒含有層の表面にエネルギーを照射し、光触媒含有層に濡れ性の違いによるパターンを形成する工程とを少なくとも有することを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
【0035】
本発明においては、光触媒の作用に影響を及ぼさない基体上に、光触媒の作用を阻害または低下させる光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成することにより、予め、基体上に光触媒が機能する領域と機能しない領域とからなるパターンを形成することができる。さらに、このようなパターンが形成された基体上に光触媒含有層を成膜すると、このパターンの影響が及び、エネルギー照射により光触媒含有層表面に濡れ性の違いによるパターンを容易に形成することができるのである。
【0036】
上記請求項22または請求項23に記載された発明においては、請求項24に記載するように、上記光触媒含有層は、少なくとも光触媒およびバインダを有することが好ましい。このような光触媒含有層であれば、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、表面の濡れ性を容易に変化させることができるからである。
【0037】
上記請求項22または請求項23に記載された発明においては、請求項25に記載するように、上記光触媒含有層は、光触媒およびエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解され、濡れ性が変化する光触媒分解性物質を少なくとも有することが好ましい。このような光触媒含有層を用いることにより、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により光触媒分解性物質が分解され、光触媒含有層表面に良好な濡れ性の差を有するパターンを容易に形成することができるからである。
【0038】
本発明においてはまた、請求項26に記載するように、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害性物質を含有する光触媒反応阻害性基材上に、パターン状に遮蔽層を形成する工程と、上記遮蔽層がパターン状に形成されている上記光触媒反応阻害性基材上に、少なくとも光触媒を有する光触媒処理層を形成する工程と、上記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う上記光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を形成する工程と、上記特性変化層の表面にエネルギーを照射し、特性変化層に特性の変化によるパターンを形成する工程とを少なくとも有することを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
【0039】
本発明においては、光触媒の触媒としての機能を阻害する作用を有する光触媒反応阻害性基材上に遮蔽層をパターニングすることにより光触媒反応阻害性基材の作用が及ぶ領域と及ばない領域とからなるパターンが光触媒反応阻害性基材上に形成されるので、光触媒反応阻害性基材上に光触媒処理層を成膜すると、当該パターンの影響が光触媒処理層に及び、特性変化層に特性の違いによるパターンをエネルギー照射によって形成することができるのである。
【0040】
本発明においてはまた、請求項27に記載するように、基体上に、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成する工程と、上記パターン状に形成された光触媒反応阻害物質含有層を有する上記基体上に、少なくとも光触媒を有する光触媒処理層を形成する工程と、上記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う上記光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を形成する工程と、上記特性変化層の表面にエネルギーを照射し、特性変化層に特性の違いによるパターンを形成する工程とを少なくとも有することを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
【0041】
本発明においては、光触媒の作用に影響を及ぼさない基体上に、逆に、光触媒の作用を阻害または低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成することにより、予め、基体上に光触媒が機能する領域と機能しない領域とからなるパターンを形成することができる。このようなパターンが形成された基体上に光触媒処理層を成膜すると、光触媒反応阻害物質の影響が光触媒処理層に及び、光触媒反応阻害物質含有層のパターンに沿って、特性変化層に特性の違いによるパターンをエネルギー照射によって形成することができるのである。
【0042】
上記請求項26または請求項27に記載された発明においては、請求項28に記載するように、上記特性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層であることが好ましい。特性変化層の特性は種々のものがあるが、その中でも重要なものとして濡れ性の変化を挙げることができる。このように特性変化層を濡れ性変化層とし、濡れ性変化層表面へのエネルギー照射により濡れ性の違いによるパターンを有するパターン形成体が形成され、この濡れ性の違いを利用してインク等の機能性部用組成物を付着させることにより、後述するように種々の機能性素子、例えばカラーフィルタ、マイクロレンズまたはEL素子等を形成することができるからである。
【0043】
上記請求項26または請求項27に記載された発明においては、請求項29に記載するように、上記特性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層であることが好ましい。分解除去層を用いることにより、エネルギー照射を行うと、分解除去層が分解除去され分解除去層の有無によるパターンが形成される。このような分解除去層を例えば、分解除去層が分解除去される際に露出する部材と異なる濡れ性を呈するようにすると、分解除去層をパターン状に形成することにより濡れ性の違いによるパターンを形成することができる。このような分解除去層のパターンを利用してインク等の機能性部用組成物を付着させることにより、後述するように種々の機能性素子、例えばカラーフィルタ、マイクロレンズまたはEL素子等を容易に形成することができるからである。
【0044】
上記請求項22から請求項29までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項30に記載するように、上記光触媒反応阻害物質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化アンチモン、無定形酸化チタン、アルミニウム、マンガンから選ばれる1種以上の物質であることが好ましい。このような物質がエネルギー照射に伴う光触媒の作用を阻害する効果が特に高いからである。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパターン形成体およびその製造方法について説明する。まず、本発明のパターン形成体について説明する。
【0046】
I.パターン形成体
本発明のパターン形成体は、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を有する物質等を用いて、このような物質の作用を、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、濡れ性等が変化する層に及ばせることにより、パターンを形成することを特徴とする。
【0047】
このような本発明におけるパターン形成体としては、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側と、そのような作用を利用してパターンが形成される側との組合せで複数の態様に分けることができる。
【0048】
具体的に光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側としては、光触媒の機能を阻害するまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材を用いる場合、光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層を光触媒の作用に影響を与えない基体上にパターン状に形成する場合、および、光触媒反応阻害物質を含有する部分がパターン状に存在する光触媒反応阻害物質含有基材を用いる場合がある。
【0049】
一方、パターンが形成される側としては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層を用いる場合および同様の作用により分解除去される分解除去層を用いる場合がある。
【0050】
以下、このような光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側と、パターンが形成される側との組合せによる各態様について説明する。
【0051】
1.第1実施態様
第1実施態様は、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側として、光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材を用い、一方、パターンが形成される側として、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層を用いた場合の態様である。
【0052】
このような本実施態様は、光触媒の作用を阻害または低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材と、前記光触媒反応阻害性基材上にパターン状に形成されている遮蔽層と、前記遮蔽層がパターン状に形成されている前記光触媒反応阻害性基材上に成膜され、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する光触媒含有層とを有することを特徴とするものである。
【0053】
ここで、「光触媒反応阻害物質」とは、光触媒の作用を阻害または低下させる機能を有する物質を意味し、「光触媒反応阻害性基材」とは、上述した光触媒反応阻害物質を含有することにより、光触媒の作用を阻害または低下させる機能を保持し、かつ基材として機能する部材を意味する。従って、このような光触媒反応阻害性基材と近傍する光触媒は、この光触媒反応阻害性基材の影響から、エネルギーを照射しても触媒として十分に機能することが阻止されるのである。
【0054】
また、ここでいう「遮蔽層」とは、上記光触媒反応阻害性基材上にパターン状に形成されることにより、光触媒含有層と光触媒反応阻害性基材とが接触することを防止し、光触媒反応阻害性基材の影響が光触媒含有層に及ぶことを遮蔽する層を示すものである。
【0055】
本実施態様によれば、光触媒反応阻害性基材上に遮蔽層をパターン状に形成することにより、予め、光触媒の作用が阻害または低下される領域とされない領域とからなるパターンを光触媒反応阻害性基材上に形成することができる。さらに、このようなパターンが形成されている光触媒反応阻害性基材上に光触媒含有層を成膜すると、光触媒含有層には、このパターンの影響が及び、光触媒含有層内部に光触媒の作用に違いが生じる。すなわち、このような状態の光触媒含有層であれば、エネルギーを全面に照射した場合であっても、光触媒含有層内部の光触媒の作用の違いにより濡れ性の違いによるパターンを光触媒含有層上に形成することができるのである。従って、エネルギー照射の際に、フォトマスクと光触媒含有層とでアライメント処理を行わなくともよく、さらにエネルギー照射後には、現像・洗浄といった後処理を施さなくともよいため、パターンの形成に要する手間を大幅に簡略化することができる利点を有する。
【0056】
このような利点を有する本実施態様におけるパターン形成体について図面を用いて説明する。
【0057】
図1は、本実施態様のパターン形成体の一例を示している。図1においては、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を有する光触媒反応阻害性基材1と、当該光触媒反応阻害性基材1上にパターン状に形成された遮蔽層2と、遮蔽層2がパターン状に形成されている光触媒反応阻害性基材1上に成膜されている光触媒含有層3とが示されている。このような本実施態様におけるパターン形成体においては、光触媒含有層3が光触媒反応阻害性基材1と接触する領域は、光触媒反応阻害性基材1の影響から光触媒の作用が阻害されているため、濡れ性が変化せず、撥液性領域4となる。一方、遮蔽層2上に位置する光触媒含有層3は、光触媒反応阻害性基材1の影響が及ばないため、エネルギーが照射されると、光触媒の作用により液体との接触角が低下する方向に濡れ性が変化した親液性領域5となる。
【0058】
以下、本実施態様を構成する光触媒反応阻害性基材、遮蔽層および光触媒含有層について詳細に説明する。
【0059】
(1)光触媒反応阻害性基材
まず、本実施態様における光触媒反応阻害性基材について説明する。本実施態様における光触媒反応阻害性基材とは、内部に光触媒反応阻害物質を含有することにより、光触媒の作用を阻害または低下させる機能を保持し、かつ一般的な基材として機能する部材である。
【0060】
このような光触媒反応阻害性基材としては、一般的に基材として機能する基材部材に少なくとも光触媒反応阻害物質が含有されているものであれば特に限定されない。
【0061】
本実施態様に用いられる基材部材を形成する材料としては、光触媒反応阻害物質を内部に含有させることが可能な部材であれば特に限定はされない。具体的には、ガラス、プラスチック(フィルム)、セラミック、金属等を挙げることができる。このような材料に上述した光触媒反応阻害物質を含有させることにより光触媒反応阻害性基材を形成することができる。
【0062】
さらに、このような光触媒反応阻害性基材に含有させる光触媒反応阻害物質としては、光触媒反応を阻害または低下させる機能を有する物質であれば特に限定はされない。具体的には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化アンチモン、無定形酸化チタン、アルミニウム、マンガンから選ばれる1種以上の物質であることが好ましい。その中でも、アルカリ金属であることが好ましい。
【0063】
また、このような光触媒反応阻害物質の含有量としては、上述した各物質によって光触媒の作用を阻害または低下させる効果が得られる含有量が異なるため、予め実験によってそのような効果が確認される量を含有量とする。
【0064】
なお、本実施態様における光触媒反応阻害性基材自体が自己支持性を有していない場合も考えられるが、この場合は、後述する基体上に光触媒反応阻害物質含有層が全面に形成されたものが該当するものであるので、ここでの説明は省略する。
【0065】
(2)遮蔽層
本実施態様における遮蔽層は、上述した光触媒反応阻害性基材上にパターン状に形成され、光触媒反応阻害性基材の作用が光触媒含有層に及ぶことを防止するために設けられる層である。すなわち、遮蔽層が形成されている領域上に位置する光触媒含有層は、遮蔽層によって光触媒反応阻害性基材の影響が遮蔽されるため、エネルギー照射の際、光触媒含有層内部に含有される光触媒が触媒として機能し、液体との接触角が低下する方向に濡れ性が変化するのである。
【0066】
このような遮蔽層を形成する材料としては、光触媒反応阻害性基材の作用が光触媒含有層および後述する光触媒処理層に及ぶことを防止することが可能な材料であれば特に限定はされないが、他の機能を保持させるような材料を選択する場合であってもよい。例えば、電極層としての機能を併用させる場合には、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O等の一般的に透明電極として用いられている材料や、Au、Ag、Cu等の金属等を挙げることができる。一方、電極層としての機能を併用させない場合としては、SiO2等を挙げることができる。
【0067】
また、遮蔽層をパターニングする方法としては、高精細なパターニングを可能とする方法であれば特に限定されない。具体的には、フォトリソグラフィー法およびエッチング法等が挙げられる。
【0068】
このような遮蔽層の膜厚としては、光触媒反応阻害性基材の影響が光触媒含有層に及ぶことを阻止する効果が得られる膜厚であれば特に限定されない。具体的には、10μm以下であり、その中でも10nm〜7μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、100nm〜0.5μmの範囲内であり、最も好ましくは、0.1μm〜0.2μmの範囲内である。上記範囲よりも膜厚を厚くすると、光触媒反応阻害性基材の影響を防止するには十分であるが、パターン形成体全体としての平滑性が損なわれるおそれがあり好ましくない。一方、上記範囲よりも膜厚を薄くすると、遮蔽層の遮蔽効果が十分に得られず、遮蔽層上に位置する光触媒含有層であっても、光触媒反応阻害性基材の影響を受け、光触媒の作用が阻害または低下し、良好なパターンを形成することができなくなるおそれがあるからである。
【0069】
(3)光触媒含有層
次に、光触媒含有層について説明する。
【0070】
本実施態様における光触媒含有層は、少なくとも光触媒を内部に含有する層であり、エネルギー照射に伴い、内部に含有されている光触媒の作用により、濡れ性が変化する性質を有する層であれば特に限定はされないが、本実施態様における光触媒含有層としては、少なくとも光触媒およびバインダからなる場合と、少なくとも光触媒と、表面に存在し光触媒の作用により分解されて濡れ性が変化する光触媒分解性物質とからなる場合とであることが好ましい。このような場合からなる光触媒含有層であれば、エネルギー照射後に現像・洗浄等の後処理を施さなくとも、濡れ性の違いによるパターンを容易に形成することができるからである。以下、各々の場合における光触媒含有層について詳細に説明する。
【0071】
(i)少なくとも光触媒およびバインダからなる場合
まず、本実施態様における光触媒含有層が少なくとも光触媒およびバインダからなる場合について説明する。
【0072】
このような光触媒含有層は、光触媒およびバインダを少なくとも含有し、エネルギーが照射された際に、内部に含有される光触媒の作用により、濡れ性が変化するものであれば特に限定はされないが、液体との接触角が低下する方向に濡れ性が変化する光触媒含有層であることが好ましい。このような光触媒含有層を用いることにより、遮蔽層上に位置する部分の光触媒含有層は、遮蔽層の遮蔽効果により光触媒反応阻害性基材の影響が及ばないため、エネルギー照射の際、光触媒が触媒として機能し液体との接触角が低下する方向に濡れ性が変化し、親液性領域を形成することができるからである。一方、光触媒反応阻害性基材と直接接触する部分の光触媒含有層は、光触媒反応阻害性基材の作用によりエネルギーが照射されても光触媒が触媒として機能することが阻止され、濡れ性に十分な変化が生じることがなく、撥液性領域を形成する。従って、光触媒含有層表面にエネルギーを照射するのみで、効率的にパターン形成体を製造することができるのである。
【0073】
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、機能性部用組成物、例えば機能性素子がカラーフィルタであれば、画素部(着色層)形成用のインク、また、機能性素子がEL素子であれば、有機EL層を形成する有機EL層形成用塗工液等に対する濡れ性が良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、上述した機能性部用組成物に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
【0074】
上記光触媒含有層は、上述した光触媒反応阻害性基材と接触している領域、すなわちエネルギーが照射されても濡れ性が変化せず撥液性領域となる領域においては、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上の濡れ性を示すことが好ましい。これは、光触媒反応阻害性基材と接触している領域は、本実施態様においては撥液性が要求される部分であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、上記機能性部形成用組成物が残存する可能性が生じるため好ましくないからである。
【0075】
また、上記光触媒含有層のうち、遮蔽層上に位置する部分は、エネルギーを照射すると液体との接触角が低下して、表面張力40mN/mの液体との接触角が9°以下、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となるような層であることが好ましい。遮蔽層上に位置し光触媒反応阻害性基材の影響が及ばない領域、すなわち親液性領域における液体との接触角が高いと、この部分での機能性部形成用組成物の広がりが劣る可能性があり、機能性部の欠け等の問題が生じる可能性があるからである。
【0076】
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、関東化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
【0077】
上述したような光触媒含有層における、後述するような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本実施態様においては、このキャリアが光触媒含有層内のバインダ化合物に作用を及ぼし、その表面の濡れ性を変化させるものであると考えられる。
【0078】
このような本実施態様で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0079】
本実施態様においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本実施態様ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0080】
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0081】
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径か50nm以下が好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
【0082】
本実施態様に用いられる光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の膜厚は、30nm〜500nmの範囲内、その中でも、30nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも光触媒含有層の膜厚を厚くすると、光触媒反応阻害性基材と接触している部分の光触媒含有層全体に、光触媒反応阻害性基材の影響が及ばず、パターン精度が劣る場合や、クラック等の不都合が生じる場合があるため好ましくなく、一方、上記範囲よりも膜厚を薄くすると、光触媒含有層を均一な膜として形成することが困難となるため好ましくないからである。
【0083】
さらに、上記光触媒含有層内のバインダ成分としては、光触媒含有層中の光触媒の作用により濡れ性が変化する材料で、かつ光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであれば特に限定されるものではなく、具体的にはオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。本実施態様においては、中でもフルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0084】
このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥液牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
【0085】
上記の(1)の場合、一般式:
YnSiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
【0086】
また、特にフルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンが好ましく用いることができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
【0087】
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si CH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si CH3(OCH3)2;
CF3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3;および
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)C2H4CH2Si(OCH3)3。
【0088】
上記のようなフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンをバインダとして用いることにより、光触媒含有層の撥液性が大きく向上し、光触媒反応阻害性基材と接触している領域上への機能性部用組成物の付着を妨げることが可能となり、遮蔽層上に位置し、エネルギー照射により液体との濡れ性が向上した親液性領域のみに機能性部用組成物を付着させることが可能となる。
【0089】
また、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
【0090】
【化1】
ただし、nは2以上の整数であり、R1,R2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1、R2がメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0091】
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコーン化合物を混合してもよい。
【0092】
さらに、本実施態様における光触媒含有層には、上記光触媒およびバインダの他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0093】
また、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、添加剤としてポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
【0094】
(ii)少なくとも光触媒と光触媒分解性物質とからなる場合
次に、光触媒含有層が、光触媒と、光触媒含有層の表面に存在し光触媒の作用により分解されて濡れ性が変化する光触媒分解性物質とから少なくともなる場合について説明する。
【0095】
このような場合からなる光触媒含有層は、光触媒分解性物質を光触媒の作用により分解させて濡れ性を変化させているため、この場合の光触媒含有層に用いられるバインダにおいては、光触媒の作用により濡れ性が変化する機能を特に必要としない。
【0096】
以下、このような場合からなる光触媒含有層の構成について説明するが、光触媒については、上記「(i)少なくとも光触媒とバインダとからなる場合」の中に記載した光触媒と同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。以下、光触媒分解性物質およびこの場合に用いられるバインダについて説明する。
【0097】
a.光触媒分解性物質
本実施態様で用いられる光触媒分解性物質としては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解される物質であれば特に限定はされないが、特に、分解されることにより濡れ性が変化する物質であることが好ましい。さらにその中でも、液体との接触角が低下する方向に濡れ性が変化する物質であることが好ましい。このような光触媒分解性物質を添加することにより、光触媒含有層表面に濡れ性の変化を起こさせることができ、もしくはそのような変化を補助することができるのである。このような光触媒分解性物質を含有する光触媒含有層とすると、遮蔽層上に位置するこの光触媒含有層は、エネルギー照射の際、光触媒の作用が阻止されることがなく、液体との濡れ性が低下する方向に濡れ性が変化し、親液性領域を形成することができる。
【0098】
このような光触媒分解性物質としては、光触媒の作用により分解し、かつ分解されることにより光触媒含有層表面の濡れ性を変化させる機能を有する界面活性剤を挙げることができる。具体的にこのような界面活性剤としては、上述した(3)光触媒含有層の「(i)少なくとも光触媒およびバインダからなる場合」の項目の中に記載した界面活性剤と同様のものを挙げることができる。また、その他にも上記項目の中に記載した添加剤も本実施態様における光触媒分解性物質として用いることが可能である。
【0099】
b.バインダ
このような場合に用いられるバインダ、すなわち光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させる機能を特に必要としないバインダとしては、主骨格が上記光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものであれば特に限定されるものではない。具体的には、有機置換基を有さないもしくは多少有機置換基を有するポリシロキサンを挙げることができ、これらはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を加水分解、重縮合することにより得ることができる。
【0100】
2.第2実施態様
第2実施態様は、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側として、上述した光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層を光触媒の作用に影響を与えない基体上にパターン状に形成したものを用い、一方、パターンが形成される側として、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層を用いた態様である。
【0101】
このような本実施態様におけるパターン形成体は、基体と、前記基体上にパターン状に形成され、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層と、前記光触媒反応阻害物質含有層がパターン状に形成されている基体上に成膜され、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する光触媒含有層とを有することを特徴とするものである。
【0102】
なお、ここでいう「基体」とは、通常の基体として機能するものであれば特に限定されないが、一般的には、光触媒の作用に対して影響を与えないものが用いられる。
【0103】
本実施態様においては、このように光触媒の作用に影響を及ぼさない基体上に、光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成し、さらに、この光触媒反応阻害物質含有層がパターン状に形成されている基体上に光触媒含有層を成膜することから、基体と接触している光触媒含有層は、エネルギー照射の際に、光触媒が触媒として機能し濡れ性を変化させるが、光触媒反応阻害物質含有層と接触する光触媒含有層は、光触媒反応阻害物質含有層の影響により、エネルギーを照射しても光触媒が触媒として十分に機能しないため、濡れ性の変化は生じない。従って、本実施態様においては、光触媒含有層表面にエネルギーを全面照射する場合であっても、パターン状に形成された光触媒反応阻害物質含有層のパターンに沿って、光触媒含有層表面に濡れ性の違いによるパターンを形成することができるのである。さらに、エネルギー照射後に現像・洗浄といった後処理を施す必要がないことから、簡便な製造方法によりパターン形成体を得ることができるのである。
【0104】
このような本実施態様のパターン形成体について図面を用いて説明する。
【0105】
図2は、本実施態様のパターン形成体の一例を示すものである。図2においては、光触媒の作用に影響を及ぼさない基体21と、当該基体21上にパターン状に形成され、光触媒の作用を阻害または低下させる光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層22が示されている。さらに、このような光触媒反応阻害物質含有層22がパターン状に形成されている基体21上には、光触媒含有層3が成膜されている。ここで、光触媒含有層3のうち基体21と接触している部分は、光触媒の作用が阻害されないため、エネルギー照射により、液体との接触角が低下する方向に濡れ性が変化した親液性領域5となる。一方、光触媒反応阻害物質含有層22上に位置する光触媒含有層3は、光触媒反応阻害物質含有層22の影響から光触媒の作用が阻害されるため、エネルギーを照射しても濡れ性が変化せず撥液性領域4となる。
【0106】
このような本実施態様について、光触媒反応阻害物質含有層および基体について詳細に説明する。なお、光触媒含有層に関しては、上述した第1実施態様の中に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0107】
(1)光触媒反応阻害物質含有層
本実施態様における光触媒反応阻害物質含有層とは、少なくとも光触媒反応阻害物質を含有する層を意味し、近傍する光触媒に対して、その触媒として機能を阻害または低下させる影響を及ぼす機能を保持している。
【0108】
このような光触媒反応阻害物質含有層としては、バインダおよび光触媒反応阻害物質を少なくとも有している。このバインダに用いることが可能な材料としては、内部に光触媒反応阻害物質を含有させることができるものであれば特に限定されないが、具体的には、上述した光触媒含有層に用いたバインダや、樹脂系の材料等を挙げることができる。
【0109】
さらに、光触媒反応阻害物質および含有量については、上述した第1実施態様の「(1)光触媒反応阻害性基材」の中に記載したものと同様なのでここでの説明は省略する。
【0110】
このような光触媒反応阻害物質含有層の膜厚は、10nm〜15μmの範囲内その中でも、10nm〜7μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも膜厚を厚くすると、パターン形成体全体としての平滑性が損なわれるからであり、一方、上記範囲よりも膜厚を薄くすると、上述した光触媒反応阻害物質の濃度との関係から、光触媒の作用を阻害または低下させる効果が十分得られないからである。
【0111】
(2)基体
本実施態様における基体とは、基体として機能する部材であれば、特に限定されないが、好ましくは、光触媒の作用に影響を与えない部材である。このような基体を形成する材料として具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、アルミニウムおよびアルミニウム合金等の金属、プラスチック等を挙げることができる。
【0112】
また、本発明のパターン形成体は、光触媒含有層および基体の間、または光触媒反応阻害物質含有層および光触媒含有層の間の接着性向上、表面粗度の改善、光触媒の作用による基体の劣化防止等を目的として基体上にプライマー層を形成してもよい。プライマー層としては、シロキサン構造を主成分とする樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を挙げることができる。
【0113】
3.第3実施態様
次に、第3実施態様について説明する。第3実施態様は、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側として、上述した光触媒反応阻害物質を含有する部分がパターン状に存在する光触媒反応阻害物質含有基材を用い、一方、パターンが形成される側として、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層を用いた態様である。
【0114】
このような本実施態様におけるパターン形成体は、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる光触媒反応阻害物質を含有する部分がパターン状に存在する光触媒反応阻害物質含有基材と、前記光触媒反応阻害物質含有基材上に成膜され、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する光触媒含有層とを有することを特徴とするものである。
【0115】
なお、ここでいう「光触媒反応阻害物質含有基材」とは、上述した光触媒反応阻害物質が、含有されている領域と含有されていない領域とが基材内に予め形成されており、かつ一般的な基材として機能する部材を意味している。従って、このような光触媒反応阻害物質含有基材上に光触媒含有層が成膜されると、光触媒反応阻害物質の有無のパターンに沿って光触媒含有層の内部には、光触媒の作用が阻害または低下される領域およびそのような影響を受けない領域が形成される。このような光触媒反応阻害物質含有基材が光触媒含有層に及ぼす影響を利用することにより、エネルギーを全面に照射する場合であっても、光触媒含有層表面に濡れ性の違いによるパターンを形成することができるのである。
【0116】
本実施態様におけるパターン形成体について図面を用いて説明する。
【0117】
図3は、本実施態様におけるパターン形成体の一例を示したものである。図3に示すように、上述した光触媒反応阻害物質を含有している領域31および含有していない領域32のパターンを有する光触媒反応阻害物質含有基材33と、当該光触媒反応阻害物質含有基材33上に成膜されている光触媒含有層3が示されている。ここで、光触媒含有層3は、光触媒反応阻害物質含有基材33の影響から、光触媒反応阻害物質を含有している領域31上に位置する部分は、エネルギー照射されても光触媒の作用が阻害されるため、撥液性領域4となる。一方、光触媒反応阻害物質を含有していない領域32上に位置する光触媒含有層3は、エネルギー照射により光触媒が作用し液体との接触角が低下する方向に濡れ性が変化した親液性領域5となる。
【0118】
このような本実施態様における光触媒反応阻害物質含有基材を形成する材料としては、内部に光触媒反応阻害物質が含有している領域と、含有していない領域とをパターン状に形成することが可能であり、かつ、自己支持性を有するものであれば特に限定はされない。
【0119】
また、このような光触媒反応阻害物質含有層を形成する方法としては、光触媒反応阻害物質の有無のパターンを内部に形成することが可能な方法であれば特に限定されない。
【0120】
4.第4実施態様
次に、第4実施態様について説明する。第4実施態様は、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側として、上述した第1実施態様と同様に光触媒反応阻害性基材を用い、一方、パターンが形成される側として、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を用いた態様である。
【0121】
このような本実施態様におけるパターン形成体は、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材と、前記光触媒反応阻害性基材上にパターン状に形成されている遮蔽層と、前記遮蔽層がパターン状に形成されている前記光触媒反応阻害性基材上に成膜され、少なくとも光触媒からなる光触媒処理層と、前記光触媒処理層上に成膜され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有することを特徴とするものである。
【0122】
このような特徴を有する本実施態様においては、上述した第1実施態様と同様に、遮蔽層がパターン状に形成されている光触媒反応阻害性基材を用いている。このような光触媒反応阻害性基材上に少なくとも光触媒を有する光触媒処理層を成膜することにより、光触媒処理層内部には、光触媒の作用が阻害または低下される領域と、そのような影響を受けない領域とが存在する。このように光触媒反応阻害性基材の影響から、光触媒の作用に違いが生じている光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を成膜することにより、全面にエネルギーを照射することにより、パターン状にエネルギーを照射しなくても特性の違いによるパターンを特性変化層に容易に形成することができる。
【0123】
このような本実施態様におけるパターン形成体について図面を用いて説明する。
【0124】
図4は、本実施態様のパターン形成体の一例を示したものである。また、特性変化層としては、種々の特性の変化を有するものが考えられるが、図4では、一例としてエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層を用いた場合を図示している。
【0125】
図4においては、光触媒の作用を阻害または低下させる機能を有する光触媒反応阻害性基材1上にパターン状に遮蔽層2が形成されている。さらに、遮蔽層2がパターン状に形成されている光触媒反応阻害性基材1上に少なくとも光触媒を有する光触媒処理層41が全面に形成されている。さらに、当該光触媒処理層41上には、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去された分解除去層42がパターン状に形成されている。遮蔽層2が形成されている領域上に位置していた分解除去層42は、遮蔽層2の効果により光触媒反応阻害性基材1の影響が及ばず、エネルギー照射により分解除去されるため、遮蔽層2が形成されていない上のみ分解除去層42は残存するのである。
【0126】
本実施態様のパターン形成体は、光触媒反応阻害性基材、遮蔽層、光触媒処理層および特性変化層により構成されているが、遮蔽層および光触媒反応阻害性基材に関しては、上述した第1実施態様の中に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、特性変化層および光触媒処理層について説明する。
【0127】
(1)特性変化層
本実施態様における特性変化層とは、光触媒の作用により特性が変化する層であればいかなる層であってもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなどのポリマー材料等を用いることにより、エネルギー照射した部分が光触媒の作用により、極性基が導入されたり、表面の状態が粗い状態となったりして種々の物質との接着性が向上するようにした層を特性変化層としてもよい。このように特性変化層を接着性が変化する接着性変化層とすることにより、エネルギー照射により遮蔽層のパターンに沿って、接着性の良好なパターンを形成することが可能となる。このような接着性の良好な部位のパターンを有するパターン形成体は、例えば、後述する機能性素子における機能性部が金属である場合には、このようなパターン形成体に金属成分を蒸着し、金属の薄膜を形成し、次いで接着性の違いを利用して金属薄膜を例えば粘着剤や薬剤等により剥離することにより、金属の薄膜のパターンを形成することが可能となる。この方法によれば、レジストのパターンを形成することなく金属薄膜のパターンを形成することが可能となり、また印刷法によるものよりも容易にプリント基板や電子回路素子等をパターン状に形成することができる。
【0128】
また、本実施態様においては、このような特性変化層が、乾式法、すなわち真空蒸着法等により形成されたものであってもよく、また、スピンコート法やディップコート法等の湿式法、インクジェットやディスペンサ等の吐出法等の方法により形成されたものであってもよい。
【0129】
このように、特性変化層は光触媒の作用により変化する種々の特性を有する層であれば特に限定されないのであるが、本実施態様においては中でも特性変化層が光触媒の作用により濡れ性が変化して濡れ性によるパターンが形成される濡れ性変化層である場合、および特性変化層が光触媒の作用により分解除去され凹凸によるパターンが形成される分解除去層である場合の二つの場合が、特に得られる機能性素子等の関係からより本実施態様の有効性を引き出すものであるので好ましい。
【0130】
(i)濡れ性変化層
本実施態様における濡れ性変化層は、上記光触媒の作用により表面の濡れ性が変化する層であれば特に限定されるものではないが、一般にはエネルギーの照射に伴う光触媒の作用により、その濡れ性変化層表面における液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する層であることが好ましい。
【0131】
このように、エネルギー照射により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層とすることにより、エネルギー照射のみで容易に濡れ性を遮蔽層のパターンに沿って変化させることができ、かつ、エネルギー照射後は、現像・洗浄といった後処理を施す必要がないことから、そのような手間が省かれ製造工程を簡略化することができる。また、遮蔽層上に位置し光触媒反応阻害性基材の影響が及ばず、光触媒の作用により濡れ性が向上した親液性領域に機能性部用組成物を付着させることにより、容易に機能性素子を形成することができる。したがって、効率的かつコスト的に有利に機能性素子を製造することができる。
【0132】
このような濡れ性変化層に関して、親液性領域および撥液性領域が示す濡れ性や、濡れ性変化層を構成するバインダ、その他添加剤等については、上述した第1実施態様の光触媒含有層における「(i)少なくとも光触媒およびバインダからなる場合」の項目の中に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0133】
また、本実施態様において、この濡れ性変化層の厚みは、光触媒による濡れ性の変化速度等の関係より、0.001μm〜1μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0.01μm〜0.1μmの範囲内である。
【0134】
本実施態様において上述した成分の濡れ性変化層を用いることにより、遮蔽層上に位置し、接触する光触媒処理層中の光触媒の作用により、上記成分の一部である有機基や添加剤の酸化、分解等の作用を用いて、濡れ性を変化させて親液性とし、光触媒が触媒として機能せず、濡れ性が変化しない領域との濡れ性に大きな差を生じさせることができる。よって、後述する機能性部を形成する塗工液等との受容性(親液性)および反撥性(撥液性)を高めることによって、品質の良好でかつコスト的にも有利なパターン形成体を得ることができる。
【0135】
(ii)分解除去層
次に分解除去層について説明する。図4に示すように、分解除去層42は、遮蔽層2が形成されている領域上に位置する部分は、エネルギー照射の際に、光触媒反応阻害性基材1の影響が及ばず、光触媒の作用により分解除去されるが、一方、遮蔽層2が形成されていない領域上に位置する部分は、光触媒反応阻害性基材1の影響により光触媒の作用が阻害または低下することにより、分解除去されずに残存する。
【0136】
このように分解除去層は、エネルギー照射される際に、遮蔽層上に位置する部分は、光触媒の作用により分解除去されることから、現像工程や洗浄工程を行うことなく分解除去層のある部分と無い部分からなるパターン、すなわち凹凸を有するパターンを形成することができる。
【0137】
なお、この分解除去層は、エネルギー照射による光触媒の作用により酸化分解され、気化等されることから、現像・洗浄工程等の特別な後処理なしに除去されるものであるが、分解除去層の材質によっては、洗浄工程等を行ってもよい。
【0138】
また、この分解除去層を用いた場合は、凹凸を形成するのみならず、分解除去されて露出する光触媒処理層と分解除去層との特性の相違によりパターンを形成することも可能である。このような特性としては、接着性、発色性等種々のものを挙げることができるが、本実施態様においては中でも濡れ性を挙げることができ、この濡れ性の相違によりパターンを形成することが、最終的に素子を形成した場合の有効性の点で好ましい。
【0139】
すなわち、本実施態様においては、分解除去層とこの分解除去層が分解除去されて露出する光触媒処理層との液体の接触角が異なるように構成されていることが好ましい。例えば、後述する機能性素子における機能性部を分解除去層上に形成する場合には、分解除去層の液体に対する接触角の方が、光触媒処理層のそれよりも小さくなる。逆に、分解除去層が分解除去され光触媒処理層が露出している領域上に機能性部を形成する場合には、光触媒処理層の液体に対する接触角のほうが、分解除去層のそれよりも小さくなる。
【0140】
このような分解除去層に用いることができる材料としては、上述した分解除去層の特性、すなわちエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される材料であり、かつ好ましくは、上記範囲内の液体との接触角を有する材料である。
【0141】
上記分解除去層の成膜方法としては、特に限定されるものではないが、上述したような材料を選択し、適切な溶剤に希釈させ塗工液としたものをスピンコーティング等の一般的な塗布法を用いて成膜する方法を挙げることができる。このような薄膜の形成方法は、容易でかつコスト的に有利な方法であるといえる。一方、機能性薄膜、すなわち、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜等の成膜方法により形成することも可能である。これらの方法は、緻密で欠陥の少ない薄膜の形成を可能とするため好ましい方法であるといえる。
【0142】
ここで、本実施態様に用いられる自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜について具体的に説明する。
【0143】
a.自己組織化単分子膜
自己組織化単分子膜(Self−Assembled Monolayer)の公式な定義の存在を発明者らは知らないが、一般的に自己組織化膜として認識されているものの解説文としては、例えばAbraham Ulmanによる総説“Formation and Structure of Self−Assembled Monolayers”, Chemical Review, 96, 1533−1554 (1996)が優れている。本総説を参考にすれば、自己組織化単分子膜とは、適当な分子が適当な基材表面に吸着・結合(自己組織化)した結果生じた単分子層のことと言える。自己組織化膜形成能のある材料としては、例えば、脂肪酸などの界面活性剤分子、アルキルトリクロロシラン類やアルキルアルコキシド類などの有機ケイ素分子、アルカンチオール類などの有機イオウ分子、アルキルフォスフェート類などの有機リン酸分子などが挙げられる。分子構造の一般的な共通性は、比較的長いアルキル鎖を有し、片方の分子末端に基材表面と相互作用する官能基が存在することである。アルキル鎖の部分は分子同士が2次元的にパッキングする際の分子間力の源である。もっとも、ここに示した例は最も単純な構造であり、分子のもう一方の末端にアミノ基やカルボキシル基などの官能基を有するもの、アルキレン鎖の部分がオキシエチレン鎖のもの、フルオロカーボン鎖のもの、これらが複合したタイプの鎖のものなど様々な分子から成る自己組織化単分子膜が報告されている。また、複数の分子種から成る複合タイプの自己組織化単分子膜もある。また、最近では、デンドリマーに代表されるような粒子状で複数の官能基(官能基が一つの場合もある)を有する高分子や直鎖状(分岐構造のある場合もある)の高分子が一層基材表面に形成されたもの(後者はポリマーブラシと総称される)も自己組織化単分子膜と考えられる場合もあるようである。本実施態様は、これらも自己組織化単分子膜に含める。
【0144】
b.ラングミュア−ブロジェット膜
本実施態様に用いられるおけるラングミュア−ブロジェット膜(Langmuir−Blodgett Film)は、基材上に形成されてしまえば形態上は上述した自己組織化単分子膜との大きな相違はない。ラングミュア−ブロジェット膜の特徴はその形成方法とそれに起因する高度な2次元分子パッキング性(高配向性、高秩序性)にあると言える。すなわち、一般にラングミュア−ブロジェット膜形成分子は気液界面上に先ず展開され、その展開膜がトラフによって凝縮されて高度にパッキングした凝縮膜に変化する。実際は、これを適当な基材に移しとって用いる。ここに概略を示した手法により単分子膜から任意の分子層の多層膜まで形成することが可能である。また、低分子のみならず、高分子、コロイド粒子なども膜材料とすることができる。様々な材料を適用した最近の事例に関しては宮下徳治らの総説“ソフト系ナノデバイス創製のナノテクノロジーへの展望” 高分子 50巻 9月号 644−647 (2001)に詳しく述べられている。
【0145】
c.交互吸着膜
交互吸着膜(Layer−by−Layer Self−Assembled Film)は、一般的には、最低2個の正または負の電荷を有する官能基を有する材料を逐次的に基材上に吸着・結合させて積層することにより形成される膜である。多数の官能基を有する材料の方が膜の強度や耐久性が増すなど利点が多いので、最近ではイオン性高分子(高分子電解質)を材料として用いることが多い。また、タンパク質や金属や酸化物などの表面電荷を有する粒子、いわゆる“コロイド粒子”も膜形成物質として多用される。さらに最近では、水素結合、配位結合、疎水性相互作用などのイオン結合よりも弱い相互作用を積極的に利用した膜も報告されている。比較的最近の交互吸着膜の事例については、静電的相互作用を駆動力にした材料系に少々偏っているがPaula T. Hammondによる総説“Recent Explorations in Electrostatic Multilayer Thin Film Assembly” Current Opinion in Colloid & Interface Science, 4, 430−442 (2000)に詳しい。交互吸着膜は、最も単純なプロセスを例として説明すれば、正(負)電荷を有する材料の吸着−洗浄−負(正)電荷を有する材料の吸着−洗浄のサイクルを所定の回数繰り返すことにより形成される膜である。ラングミュア−ブロジェット膜のように展開−凝縮−移し取りの操作は全く必要ない。また、これら製法の違いより明らかなように、交互吸着膜はラングミュア−ブロジェット膜のような2次元的な高配向性・高秩序性は一般に有さない。しかし、交互吸着膜及びその作製法は、欠陥のない緻密な膜を容易に形成できること、微細な凹凸面やチューブ内面や球面などにも均一に成膜できることなど、従来の成膜法にない利点を数多く有している。
【0146】
また、分解除去層の膜厚としては、照射されるエネルギーにより分解除去される程度の膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的な膜厚としては、照射されるエネルギーの種類や分解除去層の材料等により大きく異なるものではあるが、一般的には、0.001μm〜1μmの範囲内、特に0.01μm〜0.1μmの範囲内とすることが好ましい。
【0147】
(2)光触媒処理層
本実施態様に用いられる光触媒処理層は、光触媒処理層中の光触媒が、対象とする特性変化層の特性を変化させるような構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよいし、光触媒単体で成膜されたものであってもよい。
【0148】
このような光触媒処理層に使用する光触媒としては、上述した第1実施態様における「(3)光触媒含有層」の中に記載したことと同様である。従って、ここでの説明は省略する。
【0149】
本実施態様における光触媒処理層において、光触媒のみからなる光触媒処理層の場合は、特性変化層に対する特性を変化させる効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。一方、光触媒とバインダとからなる光触媒処理層の場合は、光触媒処理層の形成が容易であるという利点を有する。
【0150】
光触媒のみからなる光触媒処理層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒処理層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒処理層とすることが可能であり、これにより特性変化層の特性を速やかに変化させることができる。
【0151】
このような光触媒処理層の膜厚としては、30nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも膜厚を薄くすると、均一な膜状に形成することが難しくなり、特性変化層に光触媒の作用を均一に及ぼすことができなくくなるため好ましくない。一方、上記範囲よりも膜厚を厚くすると、光触媒処理層の下に位置する、光触媒反応阻害性基材または光触媒反応阻害物質含有層の作用が、それらと接触している部分の光触媒処理層全体に及ばす、その結果、特性変化層に明確なパターンを形成することができなくなるおそれがあるから好ましくない。
【0152】
なお、光触媒処理層が少なくとも光触媒およびバインダからなる場合には、上述した第1実施態様における「(3)光触媒含有層(i)少なくとも光触媒およびバインダからなる場合」と同様なのでここでの説明は省略する。
【0153】
5.第5実施態様
次に、第5実施態様について説明する。第5実施態様は、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側として、上述した光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層を光触媒の作用に影響を与えない基体上にパターン状に形成したものを用い、一方、パターンが形成される側として、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を用いた態様である。
【0154】
このような本実施態様におけるパターン形成体は、基体と、前記基体上にパターン状に形成され、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる光触媒反応阻害物質を有する光触媒反応阻害物質含有層と、前記光触媒反応阻害物質含有層がパターン状に形成されている前記基体上に成膜され、少なくとも光触媒からなる光触媒処理層と、前記光触媒処理層上に成膜され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有することを特徴とするものである。
【0155】
このような特徴を有する第5実施態様のパターン形成体について図面を用いて説明する。
【0156】
図5は、本実施態様のパターン形成体の一例を示している。また、特性変化層として、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層を用いた場合を示している。
【0157】
図5においては、光触媒の作用に影響を及ぼさない基体21上に、光触媒の作用を阻害または低下させる機能を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層22がパターン状に形成されている。さらに、少なくとも光触媒からなる光触媒処理層41が、光触媒反応阻害物質含有層22および基体21を被覆するように成膜され、当該光触媒処理層41上に分解除去層42がパターン状に形成されている。光触媒反応阻害物質含有層22が形成されていない領域上に位置していた分解除去層42は、エネルギー照射の際、光触媒の作用が阻害されることがないため、光触媒処理層41の作用により分解除去され、これにより分解除去層42は、光触媒反応阻害物質含有層22上のみ残存するようにパターン状に形成されるのである。
【0158】
本実施態様においては、光触媒の作用に影響を及ぼさない基体上に、光触媒の作用を阻害または低下させる機能を有する光触媒反応阻害物質含有層がパターン状に形成されていることにより、光触媒反応阻害物質含有層が形成されていない領域上に位置する特性変化層においては、エネルギー照射の際、光触媒処理層に含有されている光触媒の作用により特性が変化する。一方、光触媒反応阻害物質含有層が形成されている領域上に位置する特性変化層は、エネルギー照射の際、当該光触媒反応阻害物質含有層の影響から光触媒処理層に含有される光触媒の作用が阻害または低下することから、特性が変化しない。これにより、フォトマスクを介する等の方法によりエネルギーをパターン状に照射しなくとも、全面に照射することにより、容易に特性変化層表面に特性の違いによるパターンを形成することができるのである。
【0159】
このような利点を有する本実施態様を構成する光触媒反応阻害物質含有層、光触媒処理層および特性変化層は、上述したものと同様なのでここでの説明は省略する。
【0160】
6.第6実施態様
次いで、第6実施態様について説明する。第6実施態様は、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側として、上述した光触媒反応阻害物質を含有する部分がパターン状に存在する光触媒反応阻害物質含有基材を用い、一方、パターンが形成される側として、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を用いた態様である。
【0161】
このような本実施態様におけるパターン形成体は、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質を含有する部分がパターン状に存在する光触媒反応阻害物質含有基材と、前記光触媒反応阻害物質含有基材上に成膜され、少なくとも光触媒からなる光触媒処理層と、前記光触媒処理層上に成膜され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有することを特徴とするものである。
【0162】
このような特徴を有する本実施態様について図面を用いて説明する。
【0163】
図6は、本実施態様のパターン形成体の一例を示している。また、特性変化層としては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層の場合について図示している。
【0164】
図6に示すように、光触媒反応阻害物質含有基材33には、光触媒反応阻害物質を含有している領域31および含有していない領域32からなるパターンが形成されている。また、当該光触媒反応阻害物質含有基材33上には、少なくとも光触媒からなる光触媒処理層41が成膜されており、さらに、光触媒処理層41上には、光触媒反応阻害物質含有層33のパターンに沿って、分解除去層42がパターン状に形成されている。光触媒反応阻害物質を含有していない領域32上に位置していた分解除去層42は、エネルギー照射の際、光触媒処理層41に含有されている光触媒が触媒として機能することにより、分解除去されるため、分解除去層42は、光触媒反応阻害物質を含有している領域31上のみ残存するようにパターン状に形成されるのである。
【0165】
このような本実施態様のパターン形成体においては、予め、光触媒反応阻害物質含有層自体に光触媒反応阻害物質を含有している領域および含有していない領域からなるパターンが形成されていることから、光触媒反応阻害物質を含有している領域上に位置する特性変化層は、エネルギーが照射されても光触媒処理層に含有されている光触媒が作用しないため特性が変化しない。一方、光触媒反応阻害物質を含有していない領域上に位置する特性変化層は、光触媒処理層に含有されている光触媒がエネルギー照射により作用することから、特性が変化する。
【0166】
従って、フォトマスクを介する等の方法によりエネルギーをパターン状に照射しなくとも、単に全面にエネルギーを照射することにより、容易に特性変化層表面に特性の違いによるパターンを形成することができるのである。また、上述したような特性変化層を用いることによりエネルギー照射後に、現像・洗浄といった後処理を施さなくともよいため、製造工程を簡略化することができるのである。
【0167】
本実施態様のパターン形成体を構成する光触媒反応阻害物質含有基材および特性変化層に関しては、第3実施態様および第4実施態様のおいて記載したものと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0168】
II.パターン形成体の製造方法
次に、パターン形成体の製造方法について説明する。
【0169】
本実施態様のパターン形成体の製造方法は、パターン形成体と同様に、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側と、パターンが形成される側との組合せにより複数の態様が挙げられる。その中でも、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側として、光触媒反応阻害性基材を用いる場合および光触媒反応阻害物質含有層を用いる場合、さらに、パターンが形成される側として光触媒含有層および特性変化層を用いた場合について説明する。
【0170】
1.第7実施態様
第7実施態様は、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側として光触媒反応阻害性基材を用い、パターンが形成される側として光触媒含有層を用いた態様におけるパターン形成体の製造方法に関する態様である。
【0171】
このような本実施態様におけるパターン形成体の製造方法は、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材上に、パターン状に遮蔽層を形成する遮蔽層形成工程と、前記遮蔽層がパターン状に形成されている前記光触媒反応阻害性基材上に、エネルギー照射により濡れ性が変化する光触媒含有層を形成する光触媒含有層形成工程と、前記光触媒含有層の表面にエネルギーを照射し、光触媒含有層に濡れ性の違いによるパターンを形成するパターニング工程とを少なくとも有することを特徴とするものである。
【0172】
このような本実施態様の一例について図面を用いて説明する。
【0173】
図7は、本実施態様における製造方法の一例を示している。まず、図7(a)に示すように、光触媒の作用を阻害または低下させる作用を有する光触媒反応阻害性基材1上に遮蔽層2をパターン状に形成する。これにより、光触媒反応阻害性基材1上には、後に成膜される光触媒含有層に対して、光触媒の作用を阻害する領域および光触媒の作用に影響を及ぼさない領域からなるパターンが形成される。
【0174】
次に、図7(b)に示すように、遮蔽層2がパターン状に形成されている光触媒反応阻害性基材1上に光触媒含有層3を形成する。さらに、図7(c)に示すように、光触媒含有層3の全面にエネルギーを照射する。このエネルギー照射の際に、遮蔽層2が形成されている領域上に位置する光触媒含有層3は、光触媒反応阻害性基材1から影響を受けないため光触媒の作用により、液体との接触角が低下する方向に濡れ性が変化し、図7(d)に示すように、親液性領域5が形成される。一方、遮蔽層2が形成されておらず、光触媒反応阻害性基材1と接触している部分の光触媒含有層3は、光触媒反応阻害性基材1の影響により、エネルギーを照射しても濡れ性は変化しないので、撥液性領域4となる。
【0175】
このような本実施態様におけるパターン形成体の製造方法においては、光触媒反応阻害性基材上に、遮蔽層がパターン状に形成されていることから、遮蔽層のパターンに沿って光触媒の作用が阻害または低下される領域およびそのような影響を受けない領域からなるパターンが形成されている。従って、このような光触媒反応阻害性基材上に光触媒含有層を成膜することにより、このパターンを利用して光触媒含有層をパターニングすることが可能である。すなわち、エネルギーを全面に照射する場合であっても光触媒含有層表面に濡れ性の違いによるパターンを形成することができるのである。さらに、エネルギー照射後に現像・洗浄といった後処理を行う必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
【0176】
このような利点を有する本実施態様におけるパターン形成体の製造方法について、各工程ごとに説明する。
【0177】
(1)遮蔽層形成工程
本実施態様における遮蔽層形成工程とは、光触媒の作用を阻害または低下させる作用を有する光触媒反応阻害性基材上に、光触媒反応阻害性基材のそのような作用が、後に成膜される光触媒含有層に及ぶことを防止する遮蔽層をパターン状に形成する工程である。
【0178】
本工程において、光触媒反応阻害性基材上に遮蔽層をパターン状に形成することにより、遮蔽層が形成された領域は、後に成膜される光触媒含有層に光触媒反応阻害性基材の作用が及ばず、一方、遮蔽層が形成されていない領域は、光触媒含有層に光触媒反応阻害性基材の作用が及ぶこととなる。
【0179】
このような本工程においてパターン状に形成される遮蔽層のパターニング方法としては、高精細なパターンに形成することが可能な方法であれば特に限定されない。具体的には、マスクを用いた蒸着法、フォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
【0180】
その他、遮蔽層を形成する材料等、また、光触媒反応阻害性基材に関することは、第1実施態様の中に記載したものと同様なのでここでの記載は省略する。
【0181】
(2)光触媒含有層形成工程
次に、本実施態様における光触媒含有層形成工程について説明する。本工程は、上記遮蔽層形成工程により、遮蔽層がパターン状に形成されている光触媒反応阻害性基材上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層を成膜する工程である。
【0182】
本工程においては、遮蔽層がパターン状に形成されている光触媒反応阻害性基材上に光触媒含有層を成膜しているので、光触媒含有層内部にそのパターンの影響が及ぶ。すなわち、遮蔽層上に位置する光触媒含有層には、光触媒反応阻害性基材の影響が及ばないため、光触媒含有層に含有される光触媒の機能は損なわれることはない。一方、光触媒反応阻害性基材と接触している部分は、光触媒反応阻害性基材の影響を受けるため、後述するパターニング工程においてエネルギーを照射しても、光触媒が触媒として十分に機能せず、光触媒含有層の濡れ性は変化しない。
【0183】
このような光触媒含有層の形成方法として、光触媒含有層が少なくとも光触媒およびバインダからなり、さらに上述したようにオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調整し、この塗布液を光触媒反応阻害性基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤および水等が好ましい。塗布は、スピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合は、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することができる。
【0184】
一方、光触媒含有層が少なくとも光触媒と光触媒分解性物質とからなる場合の光触媒含有層の形成方法においても同様に、光触媒、バインダおよび光触媒分解性物質を溶剤中に分散して塗布液を調整し、上述した公知の塗布方法により形成することができる。また、この場合に用いる溶剤も、上述したエタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤および水等を同様に用いることができる。
【0185】
また、本実施態様においては、加熱処理を行いながら本工程を行うことにより、上述した形成方法により光触媒反応阻害性基材上に成膜された光触媒含有層を、光触媒反応阻害性基材上に十分に定着および固定させることができ、また、光触媒反応阻害性基材内に含有される光触媒反応阻害物質を遮蔽層のパターンに応じて光触媒含有層内に十分に拡散させることができるため、後述するパターニング工程の際に、光触媒含有層に濡れ性の違いによるパターンをより明確に形成することが可能となる。このような加熱処理における温度は、光触媒含有層内に光触媒反応阻害物質を拡散させることが可能な温度であれば特に限定はされないが、具体的には、100℃〜800℃の範囲内、その中でも、150℃〜500℃の範囲内であることが好ましい。
【0186】
その他、光触媒含有層に関することは、第1実施態様の中に記載したことと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0187】
(3)パターニング工程
次に、本実施態様におけるパターニング工程について説明する。本工程では、パターン状に遮蔽層が形成されている光触媒反応阻害性基材上に、成膜されている光触媒含有層に対し、エネルギーを照射し、濡れ性の違いによるパターンを形成する工程である。
【0188】
通常、パターンを形成する際には、フォトマスクを介する方法や、電子線描画によりパターン状にエネルギーを照射することによりパターニングを行うことが多い。しかしながら、本実施態様においては、予め、光触媒の作用に影響を与えるパターンが形成されている光触媒反応阻害性基材上に、光触媒含有層を成膜することにより、光触媒反応阻害性層のパターンの影響が光触媒含有層に及ぶため、このパターンを利用したパターニングが可能である。従って、エネルギーをパターン状に照射しなくとも、遮蔽層のパターンに沿って光触媒含有層に濡れ性の違いによるパターンを形成することができるのである。
【0189】
なお、本実施態様においては、エネルギーを全面に照射する方法に限定されるものではなく、パターン状にエネルギーを照射する場合であってもよい。例えばフォトマスクを介する等のエネルギーのパターン照射の方法により、遮蔽層により形成されたパターンの効果およびフォトマスクによる効果の両方の効果により、より明確なパターンの形成が可能となり、高精細なパターンを形成することができる。
【0190】
このようなパターニング工程において用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される。これは、上述したように光触媒含有層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
【0191】
このようなエネルギーとして、用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
【0192】
また、エネルギーの照射量としては、光触媒含有層および特性変化層の濡れ性及び特性を変化させるのに必要な照射量とする。
【0193】
2.第8実施態様
次に、第8実施態様について説明する。第8実施態様は、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側として、上述した光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層を光触媒の作用に影響を与えない基体上にパターン状に形成したものを用い、一方、パターンが形成される側として、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層を用いた場合のパターン形成体の製造方法に関する態様である。
【0194】
このような第8実施態様におけるパターン形成体の製造方法は、基体上に、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成する光触媒反応阻害物質含有層形成工程と、前記光触媒反応阻害物質含有層がパターン状に形成された前記基体上に、エネルギー照射により濡れ性が変化する光触媒含有層を形成する光触媒含有層形成工程と、前記光触媒含有層の表面にエネルギーを照射し、光触媒含有層に濡れ性の違いによるパターンを形成するパターニング工程とを少なくとも有することを特徴とするものである。
【0195】
本実施態様におけるパターン形成体の製造方法について図面を用いて説明する。
【0196】
図8は、本実施態様におけるパターン形成体の製造方法を示している。まず、図8(a)に示すように、光触媒の作用に影響を与えない基体21上に、光触媒の作用を阻害または低下させる機能を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層22をパターン状に形成する。これにより、基体21上には、光触媒の作用に影響が及ぼされる領域と、及ぼされない領域とからなるパターンが形成されることとなる。
【0197】
さらに、図8(b)に示すように、光触媒反応阻害物質含有層22がパターン状に形成されている基体21上に、光触媒含有層3を成膜する。
【0198】
次いで、図8(c)に示すように、光触媒含有層3の全面にエネルギーを照射すると、光触媒反応阻害物質含有層22上に位置する光触媒含有層3は、光触媒含有層3内に含有されている光触媒の作用が、光触媒反応阻害物質含有層22の影響により阻害され、濡れ性に変化が起こらず図8(d)に示すように、撥液性領域4となる。一方、光触媒反応阻害物質含有層22が形成されていない領域であり、基体21と接触している部分の光触媒含有層3は、光触媒の作用により液体との接触角が低下する方向に濡れ性が変化し、親液性領域5を形成する。
【0199】
本実施態様においては、基体上に光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成し、そのような基体上に光触媒含有層を成膜することから、フォトマスクを介する等の方法によるパターン照射を行わなくとも、単に全面にエネルギーを照射することにより、容易に光触媒含有層に濡れ性の違いによるパターンを形成することができる。
【0200】
また、光触媒含有層は、エネルギー照射により濡れ性を変化させることができることから、エネルギーを照射した後は、現像・洗浄といった後処理を施す必要がないため、製造工程を簡略化することができる。
【0201】
このような利点を有する本実施態様におけるパターン形成体の製造方法について説明する。なお、本実施態様における、光触媒含有層形成工程およびパターニング工程に関しては、上述した第7実施態様の中に記載したことと同様であるためここでの説明は省略する。以下、光触媒反応阻害物質含有層形成工程について説明する。
【0202】
(光触媒反応阻害物質含有層形成工程)
本実施態様における、光触媒反応阻害物質含有層形成工程とは、光触媒の作用に影響を及ぼさない基体上に、光触媒の作用を阻害または低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質から少なくともなる光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成する工程である。
【0203】
このような本工程において、光触媒反応阻害物質含有層を形成する方法としては、高精細なパターニングを可能とする方法であれば特に限定はされない。具体的には、マスクを用いた蒸着法、フォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
【0204】
3.第9実施態様
次に、第9実施態様について説明する。第9実施態様は、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側として、上述した光触媒反応阻害性基材を用い、一方、パターンが形成される側として、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を用いた場合のパターン形成体の製造方法に関する態様である。
【0205】
このような第9実施態様におけるパターン形成体の製造方法は、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材上に、パターン状に遮蔽層を形成する遮蔽層形成工程と、前記遮蔽層がパターン状に形成されている前記光触媒反応阻害性基材上に、少なくとも光触媒からなる光触媒処理層を形成する光触媒処理層形成工程と、前記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う前記光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を形成する特性変化層形成工程と、前記特性変化層の表面にエネルギーを照射し、特性変化層に特性の変化によるパターンを形成するパターニング工程とを少なくとも有することを特徴とするものである。
【0206】
このような本実施態様におけるパターン形成体について図面を用いて説明する。
【0207】
図9は、第9実施態様におけるパターン形成体の製造方法の一例を示している。また、図9では、特性変化層として分解除去層を用いた場合の一例を示している。
【0208】
まず、図9(a)に示すように、光触媒の作用を阻害または低下させる機能を有する基材である光触媒反応阻害性基材1上に、当該光触媒反応阻害性基材1の作用が後に成膜される特性変化層に及ぶことを防止する遮蔽層2をパターン状に形成する。
【0209】
次いで、遮蔽層2がパターン状に形成されている光触媒反応阻害性基材1上に図9(b)に示すように、少なくとも光触媒からなる光触媒処理層41を成膜する。
【0210】
さらに、図9(c)に示すように、当該光触媒処理層41上にエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層42を形成する。
【0211】
次いで、図9(d)に示すように、特性変化層42の全面にエネルギーを照射する。このエネルギー照射の際、遮蔽層2上に位置する部分の分解除去層42は、その下の光触媒処理層41が光触媒反応阻害性基材1から影響を受けないため、光触媒の作用により分解除去される。一方、遮蔽層2が形成されていない領域上に位置する部分の分解除去層42は、その下に形成されている光触媒処理層41が光触媒反応阻害性基材1の影響から、光触媒の作用が阻害しまたは低下するため、分解除去されずに残る(図9(e)参照)。
【0212】
このように、本実施態様では、光触媒反応阻害性基材上に遮蔽層を形成することにより、予め、光触媒の作用に影響を与える領域と与えない領域とからなるパターンを、光触媒反応阻害性基材に形成しているため、特性変化層、例えば図9に示すような分解除去層等をパターニングする際、エネルギーを全面照射してもパターニングすることが可能となる。
【0213】
このような本実施態様の製造方法について各工程ごとに説明する。なお、遮蔽層形成工程は上記第7実施態様の中に記載したことと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0214】
(1)光触媒処理層形成工程
本実施態様における光触媒処理層形成工程とは、パターン状に遮蔽層が形成されている光触媒反応阻害性基材上に、少なくとも光触媒からなる光触媒処理層を形成する工程である。
【0215】
また、本実施態様においても、上述した第7実施態様における光触媒含有層形成工程と同様に、加熱処理を行いながら本工程を行うことにより、光触媒反応阻害性基材内に含有される光触媒反応阻害物質が遮蔽層のパターンに応じて光触媒処理層内に十分に拡散するため、後述するパターニング工程において、より一層明確な特性の違いによるパターンを特性変化層に形成することができる。当該加熱処理に関することは、上述した第7実施態様に記載したものと同様であるのでここでの記載は省略する。
【0216】
本工程において成膜される光触媒処理層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層に、光触媒の作用を及ぼすため設けられる層である。このような光触媒処理層としては、少なくとも光触媒が含有されていればよく、このような光触媒処理層に関しては、上述した第4実施態様に記載したものと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0217】
(2)特性変化層形成工程
次に、特性変化層形成工程について説明する。本実施態様における特性変化層形成工程は、上述した光触媒処理層形成工程により成膜された光触媒処理層上にエネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を成膜する工程である。
【0218】
本工程により成膜される特性変化層についても、上述した第4実施態様の中に記載したことと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0219】
(3)パターニング工程
本実施態様におけるパターニング工程とは、特性変化層に対し、エネルギーを照射することにより、特性の違いによるパターンを特性変化層に形成する工程である。
【0220】
本工程によりエネルギー照射をする際には、通常、エネルギーをパターン照射することにより特性変化層のパターニングを行うことが一般的であるが、本実施態様においては、特性変化層を、予め、光触媒の作用に影響を及ぼす領域および及ぼさない領域からなるパターンが形成されている光触媒反応阻害性基材上に成膜していることから、そのようなパターン照射を行わなくとも、特性変化層をパターニングすることができるのである。なお、上述したように、本実施態様においてもエネルギーを全面に照射する方法に限定されるものではなく、エネルギーをパターン状に照射する場合であってもよい。これにより、より高精度なパターンを形成することができるからである。
【0221】
4.第10実施態様
最後に、第10実施態様について説明する。第10実施態様は、光触媒の機能を阻害または低下させる作用を及ぼす側として、上述した光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層を光触媒の作用に影響を与えない基体上にパターン状に形成したものを用い、一方、パターンが形成される側として、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を用いた場合のパターン形成体の製造方法である。
【0222】
このような第10実施態様としては、基体上に、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成する工程と、前記パターン状に形成された光触媒反応阻害物質含有層を有する前記基体上に、少なくとも光触媒からなる光触媒処理層を形成する工程と、前記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う前記光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を形成する工程と、前記特性変化層の表面にエネルギーを照射し、特性変化層に特性の違いによるパターンを形成する工程とを少なくとも有することを特徴とするものである。
【0223】
このような第10実施態様について図面を用いて説明する。
【0224】
図10は、本実施態様におけるパターン形成体の製造方法の一例を示しており、特性変化層として分解除去層を用いた場合について示している。
【0225】
まず、図10(a)に示すように、光触媒の作用に影響を及ぼさない基体21上に、光触媒の作用を阻害または低下させる機能を有する光触媒反応阻害物質を少なくとも含有する光触媒反応阻害物質含有層22をパターン状に形成する。
【0226】
次に、図10(b)に示すように、光触媒反応阻害物質含有層22がパターン状に形成されている基体21上に、少なくとも光触媒からなる光触媒処理層41を成膜する。さらに、図10(c)に示すように、光触媒処理層41上に、エネルギー照射により分解除去される分解除去層42を成膜する。
【0227】
次いで、10(d)に示すように、分解除去層42の全面にエネルギーを照射する。このエネルギー照射の際、光触媒反応阻害物質含有層22上に位置する部分の特性変化層42は、光触媒反応阻害物質含有層22の影響により光触媒処理層41に含有されている光触媒の作用が阻害または低下されるため、分解除去されず残存する(図10(e)参照)。一方、光触媒反応阻害物質含有層22が形成されていない領域上に位置する分解除去層42は、その下の光触媒処理層41の光触媒の作用により分解除去される。従って、フォトマスク等を介することなく、全面にエネルギーを照射する場合であっても、本実施態様においては、分解除去層をパターン状に形成することができる。
【0228】
なお、本実施態様における各工程については、上述した各態様に記載したものと同様であるためここでの説明は省略する。
【0229】
III.機能性素子
上述したパターン形成体のパターンに沿って、機能性部形成用組成物を付着させることにより、種々の機能性素子を得ることができる。
【0230】
このような機能性素子は、上述したパターン形成体のパターンに沿って機能性部が形成されてなる点に特徴を有するものである。
【0231】
ここで機能性とは、光学的(光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、電気・電子的(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、化学的(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的(耐摩耗性等)、熱的(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体機能的(生体適合性、抗血栓性等)な各種の機能を意味するものである。
【0232】
このような機能性部のパターン形成体のパターンに対応した部位への配置は、親液性領域および撥液性領域の濡れ性の差を利用した方法や、親液性領域および撥液性領域の密着性の差を利用した方法等により行われる。
【0233】
例えば、濡れ性変化層上における濡れ性パターンの密着性の差を利用する場合としては、濡れ性変化層上に全面にわたって機能性部用組成物として、例えば金属を蒸着させ、その後粘着剤等により引き剥がすことにより、密着性が良好な親液性領域のみ機能性部としての金属のパターンが形成される。これにより容易にプリント基板等を形成することができる。
【0234】
また、濡れ性変化層上における濡れ性パターンの濡れ性の差を利用する場合としては、機能性部用組成物をパターン形成体上に塗布することにより、濡れ性の良好な親液性領域のみ機能性部用組成物が付着することになり、容易にパターン形成体の親液性領域上にのみ機能性部を配置することができる。
【0235】
本実施態様に用いられる機能性部用組成物としては、上述したように機能性素子の機能、機能性素子の形成方法等によって大きく異なるものであり、例えば上述した密着性の相違により金属のパターンを形成するような場合は、この機能性部用組成物は金属となり、また濡れ性の相違によりパターンを形成する場合には、紫外線硬化型モノマー等に代表される溶剤で希釈されていない組成物や、溶剤で希釈した液体状の組成物等を用いることができる。
【0236】
溶剤で希釈した液体状組成物の場合は、溶剤が水、エチレングリコール等の高表面張力、具体的には、有機溶剤を含めて20mN/m以上の表面張力を示すものであることが好ましい。また、機能性部用組成物としては粘度が低いほど短時間にパターンが形成できることから特に好ましい。ただし、溶剤で希釈した液体状組成物の場合には、パターン形成時に溶剤の揮発による粘度の上昇、表面張力の変化が起こるため、溶剤が低揮発性であることが望ましい。
【0237】
本実施態様に用いられる機能性部用組成物としては、パターン形成体に付着等させて配置されることにより機能性部となるものであってもよく、またパターン形成体上に配置された後、薬剤により処理され、もしくは紫外線、熱等により処理された後に機能性部となるものであってもよい。この場合、機能性部用組成物の結着剤として、紫外線、熱、電子線等で硬化する成分を含有している場合には、硬化処理を行うことにより素早く機能性部が形成できることから好ましい。
【0238】
このような機能性素子の形成方法を具体的に説明すると、例えば機能性部用組成物をディップコート、ロールコート、ブレードコート、スピンコート等の塗布手段、インクジェット等を含むノズル吐出手段等の手段を用いて塗布することにより、パターン形成体表面の親液性領域パターン上に機能性部を形成する。
【0239】
さらに、無電解めっきによる金属膜形成方法に本実施態様のパターン形成体を用いることにより、機能性部として金属膜のパターンを有する機能性素子を得ることができる。具体的には、濡れ性の差を利用することにより、パターン形成体の濡れ性変化層表面における親液性領域にのみ化学めっきの前処理液によって処理を行い、次いで処理したパターン形成体を化学めっき液に浸漬することにより、所望の金属パターンを濡れ性変化層上に有する機能性素子を得ることができる。この方法によれば、レジストパターンを形成することなく、金属のパターンを形成することができるので、機能性素子として、プリント基板や電子回路素子を製造することができる。
【0240】
また、全面に機能性部用組成物を配置した後、撥液性領域と親液性領域との濡れ性の差異を利用して不要な部分を取り除くことにより、パターンに沿って機能性部を形成するようにしてもよい。これは濡れ性変化層上の親液性領域と撥液性領域との密着性の差を利用して、例えば、粘着テープを密着した後に引き剥がすことによる剥離、空気の吹き付け、溶剤による処理等の後処理により不要部分を除去して機能性部のパターンを得ることができる。
【0241】
この場合は、本実施態様のパターン形成体の濡れ性変化層表面に全面に機能性部用組成物を配置する必要があるが、この方法としては、例えばPVD、CVD等の真空製膜手段を挙げることができる。
【0242】
このようにして得られる機能性素子として具体的には、カラーフィルタ、マイクロレンズ、エレクトロルミネッセント素子、プリント基板、電子回路素子等を挙げることができる。
【0243】
IV.カラーフィルタ
カラーフィルタは、液晶表示装置等に用いられるものであり、赤、緑、青等の複数の画素部がガラス基板等上に高精細なパターンで形成されたものである。本発明のパターン形成体をこのカラーフィルタの製造に用いることにより、低コストで高精細なカラーフィルタとすることができる。
【0244】
すなわち、上述したパターン形成体の親液性領域に、例えばインクジェット装置等によりインク(機能性部用組成物)を付着・硬化させることにより、容易に画素部(機能性部)を形成することができ、これにより少ない工程数で高精細なカラーフィルタを得ることができる。
【0245】
V.マイクロレンズ
機能性素子がマイクロレンズである場合は、光触媒含有層または特性変化層上に濡れ性が変化した円形のパターンを有するパターン形成体を製造する。次いで、濡れ性が変化した部位上にレンズ形成用組成物(機能性部用組成物)を滴下すると、濡れ性が変化した親液性領域のみに広がり、さらに滴下することにより液滴の接触角を変化させることができる。このレンズ形成用組成物を硬化させることにより種々の形状あるいは焦点距離のものを得ることが可能となり、高精細なマイクロレンズを得ることができる。
【0246】
VI.EL素子
機能性素子がEL素子である場合には、有機EL層を本発明のパターン形成体のパターンを利用してパターン状に形成することができる。また、有機EL層には発光層が含まれていることが必須であることから、発光層を本発明のパターン形成体のパターンを利用して形成することが好ましい。この場合、発光層を形成する材料を適切な溶媒に溶解させ塗工液としたものを、光触媒含有層上または特性変化層上に塗布することにより、親液性領域のみ発光層を形成することができる。また、発光層以外の有機EL層として電荷注入層または電荷輸送層を本発明のパターン形成体のパターンを利用してパターン状に形成する場合であってもよい。
【0247】
なお、本実施態様は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本実施態様の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本実施態様の技術的範囲に包含される。
【0248】
【実施例】
以下に実施例を示し、本実施態様をさらに説明する。
【0249】
[実施例1]
光触媒含有層に用いる分散液をイソプロピルアルコール15g、塩酸(1N)4g、フルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ製MF−160E:N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50%重量溶液)0.024g、酸化チタン(石原産業(株)製STK−03)4gを添加し、温度を100℃に保持し、攪拌装置にて60分間攪拌し作製した。光触媒反応阻害性基材としてアルカリガラスを使用した。当該アルカリガラス上に遮蔽層として機能するITOが94/32μmにパターニングされたものを用い、その上に分散液をスピンコーティグ法により塗布した。これを150℃の温度で10分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、800Åの光触媒含有層を形成した。得られた光触媒含有層の表面の平均粗さを触針法により測定したところ、約Ra=20nmであった。また、超高圧水銀灯(ウシオ電機製UXM−3500,ML−40型ランプハウス)から、熱線を取り除いて、241nm〜271nmの紫外光のみを420秒間5.6mW/cm2の強度で全面照射を行った。水および表面張力が35mN/mの有機溶媒に対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)により測定した結果を図11および図12に示す。
【0250】
図11および図12の結果から、遮蔽層が形成されている領域は露光により、速やかに水および表面張力が35mN/mの有機溶媒に対する接触角が低下していることを考慮すれば、露光の結果、ケイ素原子に結合していたメチル基、フルオロアルキル基等の有機基が、水酸基等の酸素含有基に置換されたものと考えられる。
【0251】
[実施例2]
実施例1と同様の方法で、厚さ800Åの光触媒含有層を形成した。5.6mW/cm2の照度で全面紫外線照射およびライン/スペースが94/32μmのフォトマスクパターンを介して7分間紫外線照射を行った。高分子発光材料をインクジェットによって塗布すると、紫外線の露光領域である親液性領域に濡れ広がり、画素を形成することができた。
【0252】
[実施例3]
実施例1と同様の方法で、厚さ800Åの光触媒含有層を形成した。5.6mW/cm2の照度で全面紫外線照射およびライン/スペースが94/32μmのフォトマスクパターンを介して7分間紫外線を照射した。高分子発光材料をディスペンサーによって塗布すると、紫外線の露光領域である親液性領域に濡れ広がり、画素を形成することができた。
【0253】
【発明の効果】
本発明によれば、光触媒反応阻害性基材上に遮蔽層をパターン状に形成することにより、その上に形成される光触媒含有層に含まれる光触媒の作用が阻害または低下される領域および阻害または低下されない領域からなるパターンを形成することができる。このようなパターンが形成された光触媒反応阻害性基材上に光触媒含有層を成膜することにより、光触媒含有層には、遮蔽層のパターンに沿って光触媒の機能が発揮される領域とされない領域とが存在するため、エネルギーを全面照射することによりフォトマスクを介する等の方法によりエネルギーをパターン状に照射しなくとも、光触媒含有層表面に濡れ性の違いによるパターンを形成することができるのである。また、エネルギー照射後に現像・洗浄といった後処理を施す必要がないことから製造工程を簡略化することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターン形成体の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のパターン形成体の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のパターン形成体の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明のパターン形成体の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明のパターン形成体の他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明のパターン形成体の他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明のパターン形成体の製造方法の一例を示す工程図である。
【図8】本発明のパターン形成体の製造方法の他の例を示す工程図である。
【図9】本発明のパターン形成体の製造方法の他の例を示す工程図である。
【図10】本発明のパターン形成体の製造方法の他の例を示す工程図である。
【図11】実施例1により作製されたパターン形成体において、光触媒含有層の表面張力が35mN/mの有機溶媒に対する接触角の経時的な変化を示すグラフである。
【図12】実施例1により作製されたパターン形成体において、光触媒含有層の水に対する接触角の経時的な変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 … 光触媒反応阻害性基材
2 … 遮蔽層
3 … 光触媒含有層
4 … 撥液性領域
5 … 親液性領域
Claims (30)
- 光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材と、前記光触媒反応阻害性基材上にパターン状に形成されている遮蔽層と、前記遮蔽層がパターン状に形成されている前記光触媒反応阻害性基材上に成膜され、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する光触媒含有層とを有することを特徴とするパターン形成体。
- 基体と、前記基体上にパターン状に形成され、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層と、前記光触媒反応阻害物質含有層がパターン状に形成されている基体上に成膜され、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する光触媒含有層とを有することを特徴とするパターン形成体。
- 光触媒の作用を阻害しまたは低下させる光触媒反応阻害物質を含有する部分がパターン状に存在する光触媒反応阻害物質含有基材と、前記光触媒反応阻害物質含有基材上に成膜され、エネルギー照射により表面の濡れ性が変化する光触媒含有層とを有することを特徴とするパターン形成体。
- 前記光触媒含有層が、少なくとも光触媒およびバインダを有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
- 前記光触媒含有層は、光触媒と、表面に存在し光触媒の作用により分解されて濡れ性が変化する光触媒分解性物質とを少なくとも有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
- 前記光触媒含有層の膜厚は、30nm〜500nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
- 光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材と、前記光触媒反応阻害性基材上にパターン状に形成されている遮蔽層と、前記遮蔽層がパターン状に形成されている前記光触媒反応阻害性基材上に成膜され、少なくとも光触媒を有する光触媒処理層と、前記光触媒処理層上に成膜され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有することを特徴とするパターン形成体。
- 基体と、前記基体上にパターン状に形成され、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層と、前記光触媒反応阻害物質含有層がパターン状に形成されている前記基体上に成膜され、少なくとも光触媒を有する光触媒処理層と、前記光触媒処理層上に成膜され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有することを特徴とするパターン形成体。
- 光触媒の作用を阻害しまたは低下させる光触媒反応阻害物質を含有する部分がパターン状に存在する光触媒反応阻害物質含有基材と、前記光触媒反応阻害物質含有基材上に成膜され、少なくとも光触媒を有する光触媒処理層と、前記光触媒処理層上に成膜され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層とを有することを特徴とするパターン形成体。
- 前記光触媒処理層の膜厚は、30nm〜500nmの範囲内であることを特徴とする請求項7から請求項9までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
- 前記特性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層であることを特徴とする請求項7から請求項10までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
- 前記特性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層であることを特徴とする請求項7から請求項10までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
- 前記遮蔽層の膜厚は10μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項7に記載のパターン形成体。
- 前記光触媒反応阻害物質含有層の膜厚は、10nm〜15μmの範囲内であることを特徴とする請求項2または請求項8に記載のパターン形成体。
- 前記光触媒反応阻害物質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化アンチモン、無定形酸化チタン、アルミニウム、マンガンから選ばれる1種以上の物質であることを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
- 前記光触媒が酸化チタン(TiO2)であることを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
- 請求項1から請求項16までのいずれかの請求項に記載されたパターン形成体における光触媒含有層上または特性変化層上に、機能性部がパターン状に配置されたことを特徴とする機能性素子。
- 前記機能性部が金属であることを特徴とする請求項17に記載の機能性素子。
- 請求項17に記載された機能性素子の機能性部が、画素部であることを特徴とするカラーフィルター。
- 請求項17に記載された機能性素子の機能性部が、レンズであることを特徴とするマイクロレンズ。
- 請求項17に記載された機能性素子の機能性部が、発光層であることを特徴とするエレクトロルミネッセント素子。
- 光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害性基材上に、パターン状に遮蔽層を形成する工程と、
前記遮蔽層がパターン状に形成されている前記光触媒反応阻害性基材上に、エネルギー照射により濡れ性が変化する光触媒含有層を形成する工程と、
前記光触媒含有層の表面にエネルギーを照射し、光触媒含有層に濡れ性の違いによるパターンを形成する工程と、
を少なくとも有することを特徴とするパターン形成体の製造方法。 - 基体上に、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成する工程と、
前記光触媒反応阻害物質含有層がパターン状に形成された前記基体上に、エネルギー照射により濡れ性が変化する光触媒含有層を形成する工程と、
前記光触媒含有層の表面にエネルギーを照射し、光触媒含有層に濡れ性の違いによるパターンを形成する工程と、
を少なくとも有することを特徴とするパターン形成体の製造方法。 - 前記光触媒含有層は、少なくとも光触媒およびバインダを有することを特徴とする請求項22または請求項23に記載のパターン形成体の製造方法。
- 前記光触媒含有層は、光触媒およびエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解され、濡れ性が変化する光触媒分解性物質を少なくとも有することを特徴とする請求項22または請求項23に記載のパターン形成体の製造方法。
- 光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有し、かつ光触媒反応阻害性物質を含有する光触媒反応阻害性基材上に、パターン状に遮蔽層を形成する工程と、
前記遮蔽層がパターン状に形成されている前記光触媒反応阻害性基材上に、少なくとも光触媒を有する光触媒処理層を形成する工程と、
前記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う前記光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を形成する工程と、
前記特性変化層の表面にエネルギーを照射し、特性変化層に特性の変化によるパターンを形成する工程と、
を少なくとも有することを特徴とするパターン形成体の製造方法。 - 基体上に、光触媒の作用を阻害しまたは低下させる作用を有する光触媒反応阻害物質を含有する光触媒反応阻害物質含有層をパターン状に形成する工程と、
前記パターン状に形成された光触媒反応阻害物質含有層を有する前記基体上に、少なくとも光触媒を有する光触媒処理層を形成する工程と、
前記光触媒処理層上に、エネルギー照射に伴う前記光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を形成する工程と、
前記特性変化層の表面にエネルギーを照射し、特性変化層に特性の違いによるパターンを形成する工程と、
を少なくとも有することを特徴とするパターン形成体の製造方法。 - 前記特性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層であることを特徴とする請求項26または請求項27に記載のパターン形成体の製造方法。
- 前記特性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層であることを特徴とする請求項26または請求項27に記載のパターン形成体の製造方法。
- 前記光触媒反応阻害物質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミナ、ジルコニア、シリカ、酸化アンチモン、無定形酸化チタン、アルミニウム、マンガンから選ばれる1種以上の物質であることを特徴とする請求項22から請求項29までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
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